古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:バブル

 古村治彦です。

 

 アラン・グリーンスパンはFRB議長として、アメリカ経済のかじ取りをした「マエストロ」と呼ばれた人物です。現在は91歳だそうで、映像で見る限り、相応に年齢を重ねていますが、まだ元気なようです。グリーンスパンは1996年に「根拠なき熱狂(irrational exuberance)」という言葉を使って、インターネットバブルを表現した人です。

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 日本語では「根拠なき」となっていますが、irrationalという言葉は、「合理的ではない」ということになります。「合理」とは、自分の利益を最短距離で最大化するための考え、ということになります。1990年代のインターネットバブルをグリーンスパンは、「人間が合理的な生き物であるとするならば、あり得ない動きをしていることで起きている経済の熱狂」と表現しました。経済においても人間は「合理的に」動くものではなく、それが熱狂、バブルを生み出してはじけてしまう、ということです。バブル発生と崩壊は人間らしい行為ということになるでしょう。崩壊が予測できればいいのでしょうが、個人として予測はできても、崩壊を防ぐまでのことはできません。

 

 グリーンスパンがブルームバーグのテレビ番組に出演し、現在、株式市場と債券市場がバブル状態にあると発言しました。株式市場は2万6000ドル台を記録し、アメリカ国債の金利は最低の水準を記録しています。日本も同じです。


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 アメリカではトランプ大統領の減税政策が実施に移されることになり、また、インフラ整備計画も発表になりました。連邦議会がどのように対応するか分かりませんが、こうしたトランプ大統領の政策が現在の株式市場の活況、資金流入、国債の利率の低水準を導いています。

 

 その代償として、トランプ大統領の計画を実行すれば、政府の財政赤字が膨らんでいくということが起きます。減税で税収が減り、インフラ整備でお金がかかるということになれば、国債を買ってもらって(=政府が借金をして)賄うということになります。ですから、トランプ政権としては、お金の使い道を変えていくしかありませんが、どの国でも固定的に出てしまう、社会保険(医療費や年金のお金)は削れませんし、削れる部分はかなり限られてしまいます。

 

 グリーンスパンは「財政赤字が増大することで、債券市場のバブルが起きているのだが、そのことに人々は十分な注意を向けていない」と述べています。これは、「トランプが行っている政策の良い面ばかりを見て、悪い面を見ていないので、バブルが起きている」ということになります。しかし、現在の状況は、既に経済学の理論や経済学の知識では予測をしにくい、最先端の状況になっています。トランプ大統領が本能的に行っている言動で起きているのが現在の状況で、これは後々経済学者たちが研究して新たな知識や理論を生み出すことになると思います。

 

 3月に利上げがあれば、現在のグリーンスパンが「バブル」と呼んでいる状況が変化することは容易に考えられます。そこから、崩壊に向かうのかどうかということになりますが、財政赤字をどこまで許容できるのか、ということになりますが、株高は一休止、もしくは株式の下落になると思います。また、国債の金利上昇で国債の価値が下がる(だれも買いたがらなくなる)とアメリカの信用不安、ドルに対する不安ということになって、ドルの価値が下がることも懸念されます。そうなると、現在日本でも同じ状況になっていますが、株高が終わり、円高が進むのではないかと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

アラン・グリーンスパン元連邦準備制度理事会議長が株式市場と債券市場がバブルだと見ている(Former Fed Chair Alan Greenspan Sees Bubbles in Stocks and Bonds

 

ジェンナ・スミアレク筆

2018年2月1日

『ブルームバーグ』

https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-01-31/former-fed-chair-alan-greenspan-sees-bubbles-in-stocks-and-bonds

 

「根拠なき熱狂(irrational exuberance)」という言葉を有名にした人物が、投資家たちは再びその中にいると言っている。

 

91歳になるアラン・グリーンスパンは水曜日、トム・キーンとスカーレット・フーが司会を務めるブルームバーグ・テレヴィジョンの番組に出演し、「2つのバブルが存在する。株式市場のバブル、債券市場のバブルだ」と述べた。グリーンスパンは1987年から2006年まで米連邦準備制度を率いた人物だ。また、1990年代のドットコム・バブルの間に、「根拠なき熱狂」という言葉を使って財産価値の過剰な増大を描写したことでも知られる。

 

株式市場の諸指標は、ここ数日売りが優勢であるのに、記録的に高い値を付けており、政府の債権や国債の利率は歴史的な低い数値を記録している。こうした状況の中、グリーンスパンはコメントを行った。連邦準備制度が徐々に金融政策を引き締めようとしている中で、利率はこれから数年で情報していくと予測されている。

 

グリーンスパンは次のように述べている。「いろいろと考えてみると、債券市場のバブルは徐々に重大な問題になっていくだろう。しかし、短期で見ればそんなに悪いことではない。明白なことは、長期金利が大きく上がる方向に進んでいる。これは経済の構造全体に対して重要なインパクトを持つ」。

 

水曜日、連邦準備制度理事会は利率を変更しないという選択を行った。そして、市場は、連邦準備制度理事会が3月の会合で利率を引き上げることを織り込んでいる。

 

グリーンスパンは、アメリカ政府の抱える負債が国内総生産に占める割合が増加し続けるだろうという警告を発した。グリーンスパンは、火曜日の一般教書演説の中でドナルド・トランプ大統領が新たな政府の計画の資金を特定しなかったことに「驚いた」と述べた。トランプ大統領は先月、1兆5000億ドルの減税法案に署名した。批判者たちはこの減税によって政府の借金は増大がするだろうと主張している。

 

アメリカ政府の長期債券の販売は伸びているが、財政赤字は悪化している。

 

グリーンスパンは、債券の販売の原因を財政赤字の増大だとした。

 

「バブルが起きているのはどうしてか?そうだね、実際のところ、これまでになく政府の借金が増え始めている」とグリーンスパンは述べた。更に、対GDP比で見ても、「借金は大変な勢いで増加している。しかし、私たちはそれに十分な注意を払っていない」と述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 ヨーロッパ中央銀行の金融緩和がバブルを生み出すかもしれないという内容の記事です。しかし、やっていることはアメリカでも日本でも同じで、つまり、バブルを生み出す危険性があるということです。

 

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あぶく銭のもたらす危険に気を付けろ(Beware the Perils of Easy Money

 

デイヴィッド・フランシス筆

2015年3月13日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/03/13/beware-the-perils-of-easy-money/

 

アメリカ経済はうまく回っている(rolling)。株価は上昇し、雇用も伸びている。しかし、専門家たちは、最終的には酷い結末が待っているかもしれないと警告を発している。

 

 その理由は、ヨーロッパ中央銀行が、連邦準備制度がアメリカ経済を不況から救い出すために行ったプログラムをそのまま真似をして、今週になって、経済成長を促すために、前代未聞の規模でヨーロッパ各国の国債を購入すると発表した。それによってヨーロッパ各国の国債は逆イールド(短期金利が長期金利を上回る)を起こす。このプログラムを実施すると望ましくない結果を生み出す可能性もある。それは、このプログラムが健全な経済の基本的な原理を蔑ろにしているからだ。その原理とは、「債券は投資に対して程補とではあるが一貫した利益をもたらすので、お金を投資するには安全なものである」というものだ。

 

 誰も次に何が起きるかをはっきり予測できない。それは、こうしたプログラムが過去に実施されたことがなかったからだ。しかし、良い結果がもたらされるだろうと考える人はほとんどいない。

 

 エンヴィジョン・キャピタル・マネイジメント会長のマリリン・コーエンはフォーリン・ポリシー誌の取材に対して、「私は衝撃を受け、恐怖感を持っている。このようなことはどれくらい継続できるのだろうか?」と述べた。

 

 彼女は『どのような結果となるか分からない。しかし、多くの金融機関が資金を失うことになると思う』と語った。

 

 イングランド銀行の通貨政策委員会委員のクリスティン・フォーブスによると、その理由はこうだ。利率が低く、利益がほとんどないということになると、投資家たちは安全な投資先から離れることになるからだ。そして、彼らは資金をリスクの高い商品に投資し、利益を上げようとするのだ。

 

 フォーブスは2015年2月24日にロンドンで行った講演の中で、「こうした資金の流れが起きると債券市場以外の市場を押し上げ、潜在的にバブルを生み出すことになる」と語った。

 

 アメリカ国民はバブルについては詳しいはずだ。バブルとは金儲けを楽にできるようにしてくれる経済サイクルのことだが、例外なく無残な結果に終わる。2008年の住宅バブルの崩壊は世界経済にまで波及し、大恐慌を引き起こす寸前までいった。そして、世界的な景気後退を引き起こし、ヨーロッパ国債危機を招来させた。ヨーロッパ中央銀行のプログラムはヨーロッパ連合(EU)を経済危機の淵から救い出そうとする試みなのである。

 

 経済アナリストであるジェシー・コロンボは、バブル経済に関する情報を追いかけている。コロンボは、現在の信用バブルの爆縮(implosion)が2008年に世界が経験したものよりも悪い状況をもたらすと確信している。彼は、自由市場に中央銀行が介入することが問題の根源であると述べた。

 

 コロンボはフォーリン・ポリシー誌の取材に対して、「これは人工的な、バブル主導の経済回復をもたらしつつある」と述べた。

 

 これまで挙げた警告は、ウォールストリートでも起きている。ここ最近、ファンドマネジャーたちはマイナス金利について警告を発している。

 

ヤヌス・グローバル・アンコストレインド・ボンド・ファンド会長ビル・グロースは、2015年3月に投資の先行きについて書いた文章の中で、「低い金利は世界中の金融のビジネスモデルを破壊する。金融ビジネスは現代の経済を機能させる上で重要な存在だ」と書いている。

 

パリに本拠を置くソシエテ・ジェネラルのヨーロッパ金利戦略部門の責任者シアラン・オヘイガン「ヨーロッパ中央銀行は自分のしっぽを追いかけているかのようだ」と述べている。

 

(終わり)





メルトダウン 金融溶解
トーマス・ウッズ
成甲書房
2009-07-31




 

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