古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:バラク・オバマ

 古村治彦です。

 

 マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(MLK)・デーの祝日、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が、ABCの朝の長寿番組「グッドモーニング・アメリカ」に出演し、大統領選挙出馬表明を行いました。MLKデーに大統領選挙出馬表明化ということは既にこのブログでもご紹介しましたが、その通りになりました。

 

 しかし、全米で放送される朝の人気番組での表明とは予想外でした。ただ、ハリスは回想録を出版しており、その販売促進のためにツアーをし、マスコミにも露出していたので、このタイミングになることは予想されていました。


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 ハリスはジャマイカ移民とインド移民で研究者だった両親の間に生まれました。両親が離婚し、母に連れられてカナダのモントリオールで育ちました。大学はワシントンDCにあるハワード大学です。ハワード大学は黒人が学生の大多数を占める大学で、「ブラック・アイヴィー・リーグ」の一つとされています。カリフォルニア大学ヘイスティングス校の法科大学院に進み、司法試験に合格し、キャリアの大半を検事として過ごしました。

 

 ハリスの名前が有名になったのは、2013年にバラク・オバマ大統領(当時)が、当時カリフォルニア州司法長官(Attorney General of California)だったカマラ・ハリスを「我が国でもずば抜けて美人の司法長官」と呼んだことで批判を受け、ハリスに直接謝罪するという出来事が起きてからです。


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 民主党の大物議員だったバーバラ・ボクサーの後を受けて、2016年の連邦上院議員選挙で当選したばかりの頃から既に、2020年の米大統領選挙の有力候補として、司法のキャリアが長かったキリステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)と共に名前が挙がっていました。

 

 今回、ハリスは選挙運動のスローガンに「フォ・ザ・ピープル(For the People)」を掲げ、平等、良識(慎み深さ)、正義、民主政治体制を強調して訴えるとしています。ここがトランプ大統領との対抗軸になるということでしょう。対外関係についての言葉はありませんが、既にヒラリー・クリントンと会談を持っているということですので、人道的介入主義派に近いと見ることも出来るでしょう。




 アメリカでは非白人の大統領は出ましたが、女性大統領はまだ出ていませんし、非白人の女性大統領も出ていません。今回、トゥルシー・ギャバ―ド(インド系・太平洋島しょ部系)に続いて、カマラ・ハリス(ジャマイカ系・インド系)が出馬していますが、民主党の大統領選挙候補者指名を受けることは難しいと言わざるを得ません。

 

 これで民主党予備選挙は多士済々、討論会では時間が足りないことになるでしょうが、にぎやかな選挙戦となるでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

カマラ・ハリスが大統領選挙出馬を表明(Kamala Harris announces presidential campaign

 

カイル・バラック筆

2019年1月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/426272-kamala-harris-announces-presidential-campaign  

 

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は月曜日、2020年の大統領選挙に出馬する予定だと発表した。

 

ABCの番組「グッドモーニング・アメリカ」に出演し、「私はアメリカが州国大統領選挙に出馬します」と述べた。

 

「私は大統領選挙出馬にとても高揚感を感じている」。"I'm very excited about it."

 

ハリスは2020年米大統領選挙民主党予備選挙の有力候補として早くから名前が挙がっていた。今月に入り、ハリスが出版した回想録『私たちが手にしている真実・あるアメリカ人の旅路"The Truths We Hold: An American Journey"』販売促進の宣伝ツアーとメディア出演が始まったことを受けて、彼女の出馬が取り沙汰されるようになった。

 

カマラ議員は、平等、良識(慎み深さ)、正義、そして民主政治体制を選挙戦では訴えていくことになる、スローガンは「フォ・ザ・ピープル(人々のために)」を使用すると述べた。

 

ハリスは2016年に連邦上院議員選挙に初当選した。以前はカリフォルニア州司法長官を務めた。

 

彼女はABCに出演中に、「私のキャリア全ては人々の安全を守るということに費やされてきました」と述べた。

 

ハリスは、「私が現状を見た時に考えるのは、アメリカ国民は、彼らのために戦い、自己利益よりも国民を優先する人物を指導者に持つだということです」と述べた。

 

ハリスの両親は公民権運動に参加した人々であり、「マーティン・ルーサー・キング・ジュニア・デーに大統領選挙出馬を発表できたことは光栄なことです」と発言した。

 

ハリスは次のように述べた。「キング博士を偲びかつお祝いする日である今日はアメリカ国民である私たちすべてにとって特別な日です。私たちがキング博士について考え、思いをいたす日に立候補宣言をすることが出来たのは光栄なことだと思います」。

 

ハリスは今月初め、「アメリカは非白人の女性が大統領として迎えるための準備はできています」と述べた。

6分13秒からのやり取り

ABCのテレビ番組「ザ・ヴュー」に出演し、出演者の一人アビー・ハンツマンはハリスに次のように質問した。「トランプが解き放ったものを、私たちはこれまで目撃してきました。それでもなお、この国は非白人女性初の大統領が出てくる用意が出来ていると思いますか?」。

 

ハリスは次のように答えた。「それは間違いありません。聞いてください。これは何も私自身のことを言っているのではありませんよ。しかし、私はアメリカの一般国民の皆さんの能力について話しているのです」

 

ハリスは「アメリカの一般国民をもっと信用しなくては」と述べた。

 

ハリスは「アメリカ国民を信用しましょう。アメリカ国民はずっと賢いのですから」と述べた。

 

ハリスはアメリカ国民が指導者について考える際に、自分たちに都合の良い性別や人種よりも、「共通性」を重視するはずだと確信していると述べた。

 

「何か負担に思っていることがあると、真夜中にふと目を覚ますことがありますよね。・・・自分たちが投票すると登録している政党の考えを受け入れていれば夜中に何かを考えて目を覚ますことなんてありません。夜中に何かが頭の中にあって目を覚ましてしまうことがあっても、それは人口の人種構成比というようなことではありません」。

 

ハリスは次のように述べた。「皆さん、夜中に目を覚ます時というのはたいてい2、3の心配事のことですよね。健康についてであったり、子供たちや自分の親についてであったり。“就職できるだろうか?”“仕事を続けられるだろうか?今月末の支払いは大丈夫だろうか?老後は安心して暮らせるだろうか?”といったことですよ」。

 

ハリスは「私たちの大部分は、私たちを引き裂く違いよりも、より多くの共通するものを持っています」と述べた。

 

ハリスは今週日曜日(1月27日)にカリフォルニア州オークランドで集会を開き、正式に選挙運動を開始することになる。

 

ハリスは多くの顔ぶれが出ると予想されている民主党予備選挙に参加することになった。

 

ハリスの同僚である民主党所属の連邦上院議員であるエリザベス・ウォーレン(マサチューセッツ州選出)とキリステン・ギリブランド(ニューヨーク州選出)はこれまでに大統領選挙に向けた準備委員会発足を発表している。

 

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(終わり)

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 古村治彦です。

 

 このブログでも何度も取り上げました、フリアン・カストロが2020年米大統領選挙出馬を表明しました。フリアン・カストロは弁護士出身で2009年から2014年までテキサス州サンアントニオ市の市長を務めました。そして、2014年からはバラク・オバマ大統領の下、住宅・都市開発長官を務めました。30代の若さでの閣僚就任は大きな話題となりました。2016年の米大統領選挙では、民主党の候補者となったヒラリー・クリントンの副大統領候補として名前が挙がりましたが、実際には選ばれませんでした。


 

 双子の兄弟ホアキン・カストロは連邦下院議員で、ジャパン・コーカス、米日議連の会長として来日し、安倍晋三首相と会談を持ったこともあります。

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ホアキン・カストロと安倍晋三


 フリアン・カストロは、自分が市長を務めたサンアントニオ市で演説を行いました。その中で、「私の祖母は約100年前にこの国に来た。彼女は二世代後にが、孫の1人がアメリカ連邦議会の議員となっていること、そして、もう1人の孫が、今日皆さん方の前に立ち、“私はアメリカ合衆国大統領選挙候補者だ”と言うことなど全く想像することすらできなかったことでしょう」と述べました。

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ホアキン・カスロト(左)とフリアン・カストロ 

 フリアン・カストロは双子の兄弟ホアキンと共に民主党の若手有望株として早くから注目されてきました。40代半ばということで、まだまだ若いということもあり、今回は小手調べで次に備えるということもあるのではないかと思います。

 

 カストロ兄弟が注目されているのは、アメリカ国内政治で存在感を増しているヒスパック系ということもあると思います。ちなみに、下に紹介する記事には、ラティーノ(Latino)という言葉とヒスパニック(Hispanic)という言葉が使われています。ラティーノ(女性はラティーナ)はラテンアメリア出身者やその子孫たちを意味する言葉です。ヒスパニックはラティーノに含まれます。ラテンアメリカでもスペイン語を話さない国、例えばブラジル(ポルトガル語)もありますから、こうした国々出身者はヒスパニックとは言いません。

 

 下の記事によると、ホアキン・カストロはヒスパニック系の連邦議員たちの議員連盟である連邦議会ヒスパニック系議員連盟(Congressional Hispanic Caucus)の会長を務めているということです。双子の兄弟フリアンの支援を取り付けやすい立場にあります。

 

 共和党からの反応はなかなか興味深いものです。フリアン・カストロを「軽量級」と評し、誰かの副大統領候補になるための出馬だろうと皮肉を言っています。彼の年齢を考えると、早過ぎるということはありませんが、次や次の次くらいまで狙える人物ですから、そのように考えると、共和党の皮肉もあながち的外れということはありません。

 

 人気の高いビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)とはテキサス州を地盤とする者同士の戦いということになります。早くからの注目度ということになると、カストロということになりますが、オロークの人気の急上昇ぶりには勝てないかもしれません。


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フリアン・カストロとバラク・オバマ

 フリアン・カストロはバラク・オバマ政権関係者からは初めての立候補者ということになりますので、オバマ前大統領、ミシェル夫人を中心とするグループからどのような支援を得るのかということが鍵になると思います。

 

 

(貼り付けはじめ)

 

フリアン・カストロが2020年米大統領選挙出馬を宣言し、トランプを激しく批判(Julián Castro announces 2020 White House bid, swipes at Trump

 

ラファエル・バーなる筆

2019年1月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/425039-julian-castro-announces-2020-plans

 

前住宅・都市開発長官フリアン・カストロ(オバマ政権、民主党所属)は土曜日、2020年米大統領選挙民主党予備選挙に出馬すると発表した。

 

カストロは自身が2014年まで市長を務めた生まれ育った町サンアントニオ市で演説を行い、その中で、「私はアメリカ合衆国大統領候補者だ」と述べた。

 

44歳になるカストロは、2018年のテキサス州知事選挙と連邦上院議員選挙へ出馬せず、そのことで、大統領選挙に出馬するのではないかという噂が出ていた。

 

オバマ政権時代の住宅政策のトップであったカストロは、先月、2020年米大統領選挙出馬に向けた準備委員会を構築中だと発言した。大統領選挙に当選となると、アメリカ史上初のヒスパニック系大統領ということになる。

 

カストロは土曜日に行った演説の中で、彼自身を健康保険や気候変動などの問題を重視する進歩派の候補者だと規定した。そして、トランプ大統領の移民政策と国境を巡る動きを激しく批判した。

 

カストロは次のように述べた。「現在、確かに危機は存在する。それは、指導者を巡る危機だ。ドナルド・トランプは、私たちの偉大な国の価値観を共有していない」。

 

カスロトは、トランプ大統領のメディア攻撃を激しく非難した。そして、自身の演説会の取材に来ていた記者団に謝意を述べ、メディアは、アメリカにおける「真実を伝える友人たち」だと呼んだ。

 

オバマ政権の閣僚だったフリアン・カストロは、彼が大統領に当選して最初に行うこととして、「アメリカのパリ協定への復帰」を挙げた。パリ協定は2015年に成立したが、トランプ大統領はアメリカの脱退を決めた。

 

フリアン・カストロは、政府が医療費を全額負担する「メディケア・フォ・オール」と普遍的な幼児教育をはじめとする進歩主義的な考えを支持するという公約を掲げた。

 

ホアキン・カストロ連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)は、土曜日の演説会で彼の双子の兄弟であるフリアンを紹介する際に、フリアンは、多士済々の民主党予備選挙に出馬することになるが、彼こそが最善の候補だと訴えた。

 

ホアキン・カストロは「皆さんの助けと支持を受けて、私たちは最善の考えと最大のハートを持つ最善の候補者を持つことが出来ることを私は知っている」と述べた。

 

共和党は即座に民主党予備選挙候補者となったフリアンにジャブを浴びせた。共和党は声明を発表し、その中でフリアン・カストロを「軽量級」と評した。

 

共和党全国委員会報道担当マイケル・アーレンズは次のように述べた。「フリアン・カストロはこれまでにないほどの軽量級の人物がアメリカ大統領選挙に出馬するということで歴史に名前を残した。市長時代は弱腰で、住宅・都市開発長官時代は自分の官庁をうまくまとめることも出来なかった。カストロの出馬は、誰かの副大統領候補になるための絶望的な試みということでしかない」。

 

フリアン・カストロの出馬表明は、ラティーノ系政治において重要な2つの総会が開催されるタイミングで行われた。

 

活動が活発な2つの政治行動委員会(PAC)、連邦議会ヒスパニック系議員連盟(CHC)の選挙活動部門とラティーノ・ヴィクトリー・ファンドは今週末にプエルトリコで総会を行う予定だ。ホアキン・カストロはCHCの会長を務めている。

 

民主党予備選挙におけるラティーノ系有権者の存在は2020年の大統領選挙において大きいものとなっている。予備選挙の日時が変更になっているのも、増加しているラティーノ系有権者にとって有利に働く。

 

ラティーノ系の有権者たちは、来年の早い段階で行われるネヴァダ州の党員集会で重要や役割を果たすことになる。また、アメリカ国内で最も多いラティーノ系の人口を持つテキサス州とカリフォルニア州でも同様だ。

 

カストロは多くの顔ぶれが出馬するであろう民主党予備選挙に参加することになる。

 

トゥルシー・ギャッバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は金曜日、2020年の大統領選挙への出馬を決めた。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は既に準備委員会発足を発表した。カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)をはじめとする人々もまもなく出馬を宣言すると見られている。

 

フリアン・カストロは自身の地元の州出身者同士の競争に直面することになるだろう。2018年11月の中間選挙でテッド・クルーズ連邦上院議員(共和党)に僅差で敗れたビトー・オローク連邦下院議員(民主党)も大統領選挙に出馬すると見られている。

 

ジョン・ボウデンはこの記事作成に協力した。

 

=====

 

カスロトは、2020年米大統領選挙出馬を発表した後にニューハンプシャー州で開催されるフォーラムに出席する(Castro to headline forum in New Hampshire after announcing 2020 decision

 

マックス・グリーンウッド筆

2019年1月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/424178-castro-to-headline-forum-in-new-hampshire-after-announcing-2020-decision

 

ジュリアン・カストロ(Julián Castro)前住宅都市開発長官は来週、ニューハンプシャー州を訪問することになった。その前にカストロは2020年米大統領選挙出馬を発表すると見られている。

 

カストロは、2019年1月16日にニューハンプシャー州マンチェスターで、ニューハンプシャー政治研究所主催の「ポリティックス・アンド・エッグス」フォーラムに出席することになっている。このイヴェントの過去の講演者にはエリック・ホルダー元司法長官、ジェフ・フレイク元連邦上院議員(アリゾナ州選出、共和党)、マーティン・オマリー元メリーランド州知事がいる。

 

このフォーラムは、東海岸のビジネス組織ニューイングランド・カウンシルが共催者となっている。

 

カストロがニューハンプシャー州で講演を行うことは、カストロが2020年の米大統領選挙出馬を計画していることを示している。

 

カストロは先月、大統領選挙出馬を模索する検討委員会を発足させた。今週土曜日には彼の地元サンアントニオ市で出馬を発表する予定となっている。カスロトは2009年から2014年までサンアントニオ市長を務めた。

 

ニューハンプシャー州は大統領選挙候補者にとって大統領選挙の初期段階で重要な州となっている。その理由は、ニューハンプシャー州は大統領選挙予備選挙が最初に行われる州であるからだ。

 

カスロトは多くの人々がひしめく2020年米大統領選挙に出馬することになる。民主党では30名以上の名前が挙がっている状況だ。その中にジョー・バイデン前副大統領のような大物も含まれている。

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は先週大統領選挙民主党予備選挙への出馬を発表した。大物政治家としては初めての発表となった。彼女は検討委員会発足を連邦選挙管理委員会に届け出た。ウォーレンは発表後にアイオワ州を訪問し、5か所で集会を開いた。

 

これからの数週間で5名程度の民主党の政治家が出馬発表を行う可能性があると見られている。

 

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 古村治彦です。

 

 先月末、第41代アメリカ大統領ジョージ・H・W・ブッシュが94歳で亡くなりました。若い人の中には、第43代アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュの父として認識している人も多いと思います。父ブッシュに関してはネガティヴなイメージが付きまといます。現職大統領で二期目を目指すも落選(ビル・クリントンが勝利)しましたし、何より、日本訪問中に晩さん会で卒倒する姿が報じられたことで、弱いイメージがついてしまいました。

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晩さん会での様子
 

 今回ご紹介する記事は、ジョージ・H・W・ブッシュを正当に評価した内容になっています。父ブッシュは共和党内部やマスコミから「弱虫」、「ヴィジョンもなくただただ慎重すぎる」という非難を浴びていました。湾岸戦争時にイラク軍に占領されたクウェートからイラク軍を撤退させ、そのままイラクに侵攻し、サダム・フセインを追い落とすこともできたはずですが、すぐに停戦しました。父ブッシュ政権に参加していたネオコン派(息子ブッシュの政権では最高幹部クラス)が大きく失望し、激怒しました。父ブッシュの慎重さを長男であるジョージ・Wも父の決断を激しく非難したという報道もなされました。


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父ブッシュと話すオバマ

 拙著『アメリカ政治の秘密』にも書きましたが、ジョージ・H・W・ブッシュを正当に評価していたのは、バラク・オバマ前大統領です。オバマ自身が、自分の目指す外交は、ジョージ・H・W・ブッシュ時代の外交だと述べたこともあります。共和党と民主党で所属政党は違いますが、共和党内のタカ派、ネオコン派よりも、オバマ大統領の方がはるかに父ブッシュを評価していました。アメリカ政治における派閥、グループに関しては、是非拙著『アメリカ政治の秘密』をお読みください。父ブッシュ政権の慎重な姿勢には、ジェイムズ・ベイカー国務長官の存在も大きく影響しました。経済が低調だったこともあり、父ブッシュは現職大統領でありながら、選挙に敗れるという恥辱にまみれました。

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ジェイムズ・ベイカーと父ブッシュ
 

 父ブッシュを破って大統領となったビル・クリントンはたびたび問題を起こし、また、下に掲載した記事にある通り、旧ソ連、ロシアに対して傲慢な態度を取りました。また、これは、妻であるヒラリー・クリントンにも引き継がれているのですが、外国の「民主化」を金科玉条のごとく掲げ、他国に介入するという驕慢さでした。クリントンの後には、息子ブッシュが当選し、アメリカ史上初めての親子での大統領となりましたが、彼の政権はネオコン派に牛耳られ、こちらもテロとの戦いと「民主化」を掲げ、海外で泥沼にはまる結果となりました。ヒラリーたち人道的介入主義派と息子ブッシュ政権内のネオコン派がアメリカの苦境を生み出したと言えます。それに対する反対の波がオバマを大統領に当選させたということになります。そのオバマが尊敬したのが父ブッシュであったということは皮肉であり、かつ当然のことと言えるでしょう。

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バーバラ夫人、父ブッシュ、ミシェル夫人、オバマ
 

 慎重で地味な姿勢はどうしても評価が低くなってしまいます。しかし、それを貫くということは、なかなかできることではありません。ある種の強さがなければできないことです。そういう意味では、ジョージ・H・W・ブッシュは強い人物だと言えるでしょう。そうしたジョージ・HW・ブッシュ元大統領の再評価はアメリカ国内でももっと進むことになるでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

ジョージ・HW・ブッシュの誤解された大統領時代(George H.W. Bush’s Misunderstood Presidency

―第41代米大統領は思慮深かった。しかしかつては弱腰と嘲笑された。しかし、このような嘲笑を今でも覚えている人は少なくなった。

 

マイケル・ハーシュ筆

2018年12月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2018/12/01/george-h-w-bush-misunderstood-presidency-death/

 

それは1992年1月に起きた。アメリカは冷戦に続き湾岸戦争を勝利した。1か月後の1992年2月にソヴィエト連邦は公式に解体した。しかし、この当時のアメリカでは、勝利の高揚感の雰囲気は全くなかった。勝利の高揚感は後々出てくることになる。アメリカ経済は不況に見舞われ、そのためにブッシュは、10か月後の大統領選挙に敗北し、現職大統領だったにもかかわらず二期目を迎えることが出来なかった。第41代大統領ブッシュ自身は、サダム・フセインに対しては勝利を収めることが出来たがそれだけでは不十分で、経済面でより指導力を発揮しなければならないことを分かっていた。この当時、日本叩きが最高潮に達し、「アメリカの仕事はアメリカ人に」という言葉が時代の雰囲気を表わしていた。ポール・トソンガス連邦上院議員は1992年の選挙で「冷戦が終了し、勝利していたのは日本だった」と訴えた。

 

アメリカ製の自動車は世界中で売れ行きが悪く、特に日本ではそうだった。そこで、ブッシュは自動車会社のビッグ・スリーの代表者を引き連れて東京を訪問した。しかし、目的を達することは出来なかった。これがブッシュ大統領の一期のみの任期の終わりの始まりとなった。今でも人々の記憶に残っているイメージは、失敗に終わった東京における首脳会談で起きた出来事だ。長身の貴族然としたブッシュが公式晩さん会の席上で倒れ、日本の宮澤喜一首相から介抱を受けている姿だ。ブッシュは当日、テニスをプレーして脱水症状を起こしてしまった。そして、夕食会の乾杯で卒倒した。ブッシュの姿はアメリカの消化不良と過労を象徴するものとなった。

 

ジョージ・HW・ブッシュ元大統領は今週金曜日に94歳で亡くなった。ブッシュ元大統領に関しては、上記のような姿で人々に記憶されている。ブッシュ元大統領の時代は、ロナルド・レーガンとビル・クリントンに挟まれた、弱い大統領の奇妙な4年間だった。この4年間は冷戦終結とブッシュ元大統領が命名した「新しい世界秩序」の開始の時代であった。ブッシュ大統領が弱かったという評価は公平なものではない。ブッシュの評価となっている「弱さ」は、最高指導者の賢明な慎重さを示すものであって、このおかげで時代の転換を成功させ、時代の変化の中でもアメリカの優位性と世界の安定を維持することが出来たのだ。

 

ブッシュはよそよそしい、ワスプの典型的な人物として記憶されている。「サタディ・ナイト・ライヴ」でコメディアンのダナ・カーヴィーがブッシュ大統領を風刺した姿そのもの(コントの題名は「そんなに臆病にならないでよ!」)であった。また、私が所属していた雑誌『ニューズウィーク』誌が表紙にブッシュ大統領の姿と共に掲載したタイトル「“弱気の虫”と戦う(Fighting ‘The Wimp Factor)」もまた、ブッシュ大統領が弱い人物であったというイメージを人々に植え付けた。この言葉についてブッシュ家は今でも許していない。父ブッシュは第二次世界大戦の英雄なので、ブッシュ家が許さないのも当然だ。

 

ブッシュは第一次イラク戦争を勝利に導いた大統領として記憶されている。しかし、開戦から100時間で停戦し、アメリカ軍をバグダッドまで進軍させることはなかった。その当時、ブッシュの決断は多くの人々からは屈辱だ、ととらえられた。ブッシュの長男ジョージ・W・ブッシュは、1992年の大統領選挙で敗北した父に対して、過度に慎重すぎたために敗北したのだ、と非難したと報じられたことがある。サダム・フセインは権力を握り続け、父ブッシュはその翌年に自身の決断を正当化するために奔走することになった。父ブッシュは1999年に湾岸戦争に従軍した元兵士たちたちを前にして次のように説明した。「バクダッドまで進攻してイラクを占領すれば、アメリカは占領軍となる。アラブ人の土地でアメリカは孤立する。味方は誰もいないということになる。そうなれば結果は悲惨なものとなっただろう」。

 

もちろん、ブッシュ元大統領の思慮深さは正しかった。ブッシュ(父)大統領の言葉は、この当時、父の下で働いていた息子ジョージ・Wに対しての助言でもあったのだが、ジョージ・Wとアメリカが持ち続けた屈辱感があったために、父ブッシュの助言は聞き入れられることはなかった。ジョージ・W・ブッシュ大統領が、アフガニスタンにおけるアルカイーダ掃討作戦も終了していないうちに、イラクの「民主政体への転換」を目指して、イラクに侵攻し、占領するという決断を行ったことは、アメリカ史上最悪の戦略上の間違いと言っても差し支えないであろう。父ブッシュは息子の決断が史上最悪の間違いとなることを言い当てていたように見える。2003年のイラク侵攻直前の夏に、父ブッシュは『ウォールストリート・ジャーナル』紙に寄稿した論説の中で、ジョージ・Wにイラク侵攻を思いとどまるように主張した。論説の著者は、父ブッシュの大統領時代の国家安全保障問題担当大統領補佐官であり、分身とも言うべきブレント・スコウクロフトであったが、父ブッシュは論説に手を入れて完成稿にしたと多くの人々が考えた。

 

論説は「現在の状況でイラクを攻撃することは、イラクにおけるテロリスト組織を完全に破壊できない限り、私たちが現在取り組んでいる世界規模のテロリストとの戦いを大きな危険に晒すことになるだろう」という言葉で締めくくられている。

 

この言葉はそれから15年間の出来事を的確に示す碑文となった。

 

父ブッシュは今でも保守的なタカ派から疑惑の目を向けられている。冷戦終結に対処するにあたり、「彼は保守的な人物というにはあまりに穏健に過ぎた」というのが彼らの主張である。東ヨーロッパのソ連の影響圏とソ連自体が崩壊するという事態に直面した時、ブッシュとスコウクロフトはまた慎重さを発揮した。レーガン大統領のように華々しく勝利演説を行う時ではなかった。冷戦からの移行を「掌握し管理」しなければならなかった。それには相応の理由があった。崩壊したソ連から独立した各共和国から数千発の核兵器が流出していたのだ。ブッシュは、旧ソ連の民主的な体制への移行を促進するのではなく、スローダウンさせた。そして、ソ連最後の指導者となったミハイル・ゴルバチョフ、民主的に選ばれた彼の後継者ボリス・エリティンと協力して、内戦や危険な大量破壊兵器の拡散を引き起こす無秩序を回避しようと努力した。

 

繰り返すが、タカ派は激怒した。ウクライナでソ連軍の撤退に関する国民投票の準備が進められていた1991年8月1日、ブッシュはウクライナで演説を行い、その中で、「自滅をもたらすナショナリズム」に対して警告を発した。『ニューヨーク・タイムズ』紙のコラムニスト、ウィリアム・サファイアはこの演説を「チキン・キエフ」演説と呼んだ。ブッシュは再び、「ヴィジョン」のないただただ慎重すぎる人物というレッテル貼りがなされた。

 

それから数十年が過ぎ、この父ブッシュの行動は、過度な慎重さと言うよりも先見の明の結果であったということが明らかになっている。アメリカの勝利の高揚感が20年続いたが、これはレーガン大統領でもブッシュ大統領でも、共和党所属の大統領が持たしたものではなかった。それは、民主党所属のビル・クリントン大統領のNATOをロシア国境まで拡大するという決断によってもたらされた。クリントン政権は1990年代初頭にロシア政府に対して自由市場に関する横柄な助言を数多く押し付けた。ロシアは「民営化」の時代となった。ロシアの一般国民はこれを「横領化(grabitization)」と呼んだ。民営化の結果は捻じ曲げられ、オリガルヒによる経済支配のドアを開くことになった。NATOの拡大、民主的資本主義のすばらしさを吹聴する単純な「歴史の終わり」メッセージを受けて、ロシア国内ではそれらに対する反発と西側の意図に対する疑義が大きくなっていった。この結果として、ロシア・ナショナリズムの旗の下でウラジミール・プーティンは権力を確固たるものとした。プーティンはロシア・ナショナリズムを利用してクリミア併合とウクライナ東部への侵攻を正当化した。

 

2016年の米大統領選挙への介入を計画した時、プーティンは、これは2014年のウクライナの選挙に対するアメリカの介入に対する報復なのだと考えたに違いない。当時のヴィクトリア・ヌーランド国務次官がウクライナの選挙の候補者たちを操る様子がテープに録音されていた。プーティンは2011年と2012年のロシアの選挙について考えたことだろう。この当時、ヒラリー・クリントン国務長官の下で、アメリカ政府の資金提供を受けた非政府組織が反プーティンのデモを称賛した。

 

アメリカ政府が独善性を弱め、ジョージ・HW・ブッシュに倣いもう少しだけ注意深くあれば、状況はより良い方向に進んでいたことだろう。

 

ジョージ・HW・ブッシュを際立たせているのは、彼の政治における勇敢さであった。いくつかの例外を除いて、彼は政策を政治によって歪めるということを拒絶した。1988年の大統領選挙で、民主党の大統領候補マイケル・デュカキスに対して、ウィリー・ホートンをテーマにした攻撃的CMを流したが、これは 例外的な行動である。このCMの内容は私たちが現在直面し、知りすぎるほど知っているアメリカの人種差別と恐怖心を煽るものであった。父ブッシュはイラクとソ連について、タカ派と勇敢に対峙した。彼の主張とやり方が正しかったことは証明されている。また、国内政策についても彼は圧力をはねのけた。1980年の米大統領選挙の共和党予備選挙で、ブッシュはレーガンに挑戦した。その際、サプライサイド経済学派の減税を行え、それでうまくいくという熱狂的な主張を「ヴードゥー経済学」とこき下ろした。これについても父ブッシュの主張は正しかった。

 

父ブッシュは常に先読みが出来る人であった。父ブッシュは、かつて述べたように、大統領が人々の支持を集めるには「ヴィジョンのように見えるもの」が必要だということを認識していた。彼は、人々が「湾岸戦争では不十分な勝利しか得られていない、サダム・フセインは権力の座に就いたままで、イラク国内のクルド人とシーア派を見捨てた」と言い出すことを分かっていた。父ブッシュは常に彼の決断は間違っていたと後悔していた。 彼は税制に関して中途半端であれば深刻な政治上のトラブルを引き起こすであろうということは分かっていた。そこで、増税はしないと公言した。「私の言うことをよく聞いてください!」と父ブッシュは大見得を切ったが、これを彼は終生悔いていた。しかし、結局造成するという決断を下した。彼は自身が正しいと考えたことを実行しただけのことだ。それは、レーガン時代に積みあがった巨額の財政赤字削減に取り組むことであった。

 

結局のところ、父ブッシュは世界を黒と白に分けるよりも、灰色として見ていたようだ。彼は規律や秩序を重んじる人物であったが、確実性に欠けた人物のように見られてしまった。

 

しかし、実際のところ、世界においては白黒はっきりつけられることは少なく、ほとんどが灰色だ。そんな中でも一つだけ確かなことがある。それは、指導者としてのジョージ・HW・ブッシュの謙虚さと慎重さが現在のワシントンにとって必要なものとなっているということだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 2018年も押し詰まってきました。2019年ももうすぐですが、アメリカでは2020年のアメリカ大統領選挙に向けて、いろいろと動き出す時期です。挑戦者側の民主党ではいろいろな人たちの名前が出ては消えている状況です。ヒラリー・クリントンの名前も出てくるほどです。

 

 民主党の大統領選挙に向けて、ヒラリーで敗北したことを受けて、オバマ政権出身者が良いのではないかという話が出ています。バラク・オバマ前大統領、もっと言えば、ミシェル・オバマ夫人が支持を表明した人物が民主党の大統領選挙候補としてふさわしいという話が出ています。しかし、オバマ政権出身者ということになれば、こちらも複数おり、その中でもジョー・バイデン前副大統領とエリック・ホルダー前司法長官が、オバマ夫妻とオバマ政権出身者たちの支持を得やすいということになっています。

 

 しかし、一枚岩とは言えず、どちらかということになると、遺恨が生じることも考えられます。ですから、オバマ夫妻も簡単には誰を支持するのかということは表明できないということになります。オバマ夫妻はこれからも民主党内で影響力を持つ、うまくいけばキングメイカーになるということを考えているでしょうから、ここで失敗する訳にはいきません。

 

 今年11月の中間選挙で、民主党は連邦下院での過半数、435議席を獲得しました。これを「ブルーウェイヴ(青い波、青色は民主党を示す色)」と喧伝するマスコミもありました。しかし、下に紹介する記事では、話はそう単純にはいかないようです。

 

 下で紹介する記事の分析によると、民主党は左に寄り過ぎたために、左派が優勢な場所では勝利を得られたが、それ以外の場所では、左派出身の候補者は落選したということだそうです。民主党はバーニー・サンダースの台頭を受け、左派の人々を多く擁立したが、選挙区の事情に合わない人たちも出て来て、そういう人たちは落選したということです。

 

 そして、興味深いのは、今回の中間選挙では連邦上院と州知事の一部の選挙も実施されたのですが、有権者の動きが「トランプ政権が嫌いなので、国政では民主党に入れた」のだが、「州知事選挙では、増税を訴えている民主党の候補者に入れない」ということであったという分析がなされていることです。連邦議員には左派を選ぶが(トランプが嫌いだから共和党には入れたくない、民主党は左派の人が候補者だが仕方がないからこの人に入れる)、知事の場合には増税を言わない人に入れる、という動きになったということです。

 

 民主党が左派に寄り過ぎると、左派が優勢な場所ではよいのですが、アメリカ全土ということになると、支持を得られないということになります。しかし、民主党では左派が強い状況ですから、左派の意向が反映されやすいということになります。そうなればアメリカ全土で戦う大統領選挙では民主党に不利ということになります。

 

 民主党の有力候補者であるジョー・バイデンにしてもバーニー・サンダースにしても70代を過ぎており、年齢の点で懸念があります。トランプ大統領の方が年下ということになります。トランプ大統領としてはバイデンやサンダースが出てくれば年齢の点で対抗し、左派が出てくれば儲けものという感じで待っているのだろうと思います。

 

 ビトー・オローク連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)の名前も取りざたされていますが、テキサス州の連邦上院議員選挙で現職のテッド・クルーズ連邦上院議員に敗北してしまいました。もし大統領選挙出馬ということになると、自分の出身州で勝てなかった人物が大統領選挙候補としてふさわしいかどうかということも議論になるでしょう。

 

 こうして見ると、2020年に向けた民主党の先行きは厳しいものがあるということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

オバマを中心とする世界は分裂しており、2020年の大統領選挙における候補者が複数存在する(A divided Obama world has options in 2020

 

エイミー・パーネス筆

2018年11月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/414188-a-divided-obama-world-has-options-in-2020

 

2020年のホワイトハウスを目指すレース(大統領選挙)に誰が戻るかとなった時に、オバマを中心とする世界は分裂する。

 

バラク・オバマ前大統領の協力者たちの多くはジョー・バイデン前副大統領に大統領選挙に出馬して欲しい、彼を支援する用意はできていると考えている。

 

その他の人々は、オバマ政権で司法長官を務めたエリック・ホルダーに出馬して欲しいと考えている。ホルダーはオバマ大統領の上級補佐官を務めたヴァレリー・ジャレットと緊密な関係にある。

 

他にはマサチューセッツ前州知事デヴァル・パトリックを支持する人たちもいる。パトリックは、オバマ大統領のストラティジストを務めたデイヴィッド・アクセルロッドと長年にわたり盟友関係にあり、パトリックは大統領選挙出馬に向けてアクセルロッドと話し合った。

 

2020年の大統領選挙に関して、30名ほどの名前が出ている。そうした中で、緊密な関係にあるオバマを中心とする世界の人々が初めて分裂する可能性がある。

 

オバマ大統領の側近だったある人物は「こうした人々は同じ支持基盤で争うので、争いは厳しくなるだろう」と述べた。

 

オバマ大統領時代のホワイトハウス報道官と2012年の大統領選挙でオバマ陣営のスポークスマンを務めたベン・ラボルトは、オバマ派の内部が分裂する可能性があることを認めた。

 

ラボルトは次のように発言している。「今年の民主党の予備選挙に出馬する準備をしている才能ある人物はいる。その人物が出ることで、オバマを中心とする世界の人々にとっては、離散ということになる。民主党員の多くが支持できる人であっても、友人やオバマ政権時代に同僚だった人々からは支持されない、そんなことが初めて起きるかもしれない」。ちなみにラボルト自身は誰を支持するかについて表明することを拒絶した。

 

ラボルトは続けて次のように語っている。「私たちは2度の激しい選挙戦を勝利した経験から知恵を持っており、その知恵で民主党に貢献したいと望んでいる。私たちは選挙戦を通じて候補者たちの支持を強力に拡大させるための知恵と経験を持っている」。

 

オバマは裏側で彼の側近たちを支援し、選挙に出るように促してさえいる。しかし、オバマ自身は、ミシェル・オバマ夫人と同様に、民主党の予備選挙が終盤に差し掛かるまで、公の場で誰を支持するかは明言せず、中立を保つ可能性が高いとオバマ周辺の人々は語っている。

 

しかし、オバマの側近や大口支援者の間では、オバマの支持を得たいという期待は大きくなる一方だ。

 

オバマの側近であるある人物は、全員が、ヴァレリー・ジャレットがどう動くかを見ていると語った。ジャレットはホルダーとホルダーの家族と緊密な関係を保ち続けている。

 

しかし、ジャレットは友人たちに対して、パトリックを支持するかもしれないとも語っている。デイヴィッド・サイマスをはじめとするオバマの補佐官だった人々は、パトリックを支援していると言われている。サイマスはパトリックの許で次席首席補佐官を務め、現在はオバマ財団の最高経営責任者を務めている。

 

民主党所属のあるストラティジストは次のように語っている。「パトリックとホルダーに対して、オバマ政権出身者たちとヴァレリー・ジャレットは親近感を覚え、政界以外にもその魅力が伝わる人物だと考えている節がある。デヴァル・パトリックの政界での人脈はオバマ政権出身者ばかりだ。オバマ政権出身者たちの間で誰が候補者になるかについて終わりのない占いが続くだろう。彼らはオバマの意向が最終的に誰に向くかを知りたいと考えている」。

 

オバマ政権出身者や支援者の間では、バイデン出馬という噂も流れている。大統領選挙の初期段階であるが既にそうした話が出ている。バイデンはオバマ政権に参加していた人々を惹き付けるだろう。なぜならばそれはオバマ政権出身者たちの多くがバイデンを、トランプを倒す可能性を持つ数少ない人物の一人だと考えているからだ。

 

オバマの大統領選挙陣営に参加したある民主党員は次のように語っている。「今名前が出ている3人が選挙に出る場合、誰がオバマの敷いたレールに乗ることが出来るだろうか?私の直感ではバイデンということになる。バイデンはオバマ政権のナンバー2であったし、在任中にオバマ自身に何かあれば大統領職を譲るというくらいに信頼していた人物だ」

 

ジョン・、トミー・ヴェトー、ダン・ファイファー、ジョン・ラヴェットのようなオバマ大統領の補佐官だった人々は、バイデン出馬を注意深く見守っている。彼らは、「ポッド・セイヴ・アメリカ」というポッドキャストとテレビ番組を制作する会社を立ち上げ、成功させている。

 

それでも、バイデン、パトリック、ホルダーはそれぞれ大統領選挙出馬を検討していると言われているが、本当に出馬するかどうかは不明瞭だ。

 

ホルダーは中間選挙で出馬していた候補者たちを支援して回っていた。その中で、今月初めにマスコミの注目を集める発言を行った。ホルダーは、ミッシェル・オバマが提唱して有名になったスローガン「相手が品位も何もない形で攻撃するならば、私たちは品位を高く保とう」を言い換えたことで、マスコミの注目を集めた。

 

ジョージア州である選挙集会に出席した際、ホルダーは「いやいや、相手が品位も何もない形で攻撃してくるならば、私たちは相手を蹴り上げてやる。それが民主党の新しいやり方なのだ」と発言した。

 

ホルダーをよく知っている人々は、ホルダーは融通が利かず、選挙戦でもクソ真面目な話ばかりだった。

 

長年民主党に所属し、ホルダーが司法長官時代には司法省の報道官を務めたブライアン・ファロンは次のように述べている。「民主党員の多くは、エリック・ホルダーがあまり好ましくない話題ばかりを取り上げることに“舌打ち”をしていた。それでもホルダーは悪びれることなく、構造的な人種差別について延々と語った」。

 

ファロン「トランプが政治の世界に出てくるかなり前から、ホルダーは司法長官として、警察による暴力、有権者が投票の際に受ける抑圧、大量収監に厳しく対処するための政策を実施していた。歴代司法長官でホルダーの業績に比肩できる人はほぼいない」。

 

バイデンとパトリックは、全米を廻って選挙の民主党の候補者たちを応援することで、マスコミの注目を集めた。その他の民主党の大物とは異なり、バイデンは民主党優勢州だけではなく、共和阿東優勢州にも積極に出かけて行った。これは、バイデンが今でも白人の労働者階級の有権者の人気を保っていることを示している。

 

バイデン、ホルダー、パトリックの3人は互いに賛辞を送り合う。ホルダーは『バスフィード』誌の取材に対して「私がデヴァル・パトリックと知り合ってしばらく経つ。知り合って数年経つ。彼は知事を二期務めたが、素晴らしい仕事をしたと思う」と述べた。

 

ロバート・ウォルフは2008年と2012年にオバマ陣営の選挙資金担当幹部(bundler)を務めた。ウォルフは2020年の大統領選挙の候補者となり得る人物たちと親しい関係にある。ウォルフは2020年の大統領選挙は個人の関係では決まらないだろうと述べた。

 

ウォルフは次のように発言した。「民主党は党として、高度に純化するだろうと考えている。そうした中で、この人だなと私たち民主党員、民主党支持者の考えが一致するように進めることができる人が実際にトランプを倒せる人物なのだろう」。

 

=====

 

民主党はブルーウェイヴ(青い波)でチャンスが潰え、2020年の選挙では厳しい戦いを強いられることになる(Democrats face tough 2020 battle after blowing chance at blue wave

 

クリスティン・テイト筆

2018年11月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/415750-democrats-face-tough-2020-battle-after-blowing-chance-at-blue-wave

 

左派の人々が常々不得意としているのは、期待に応えるということだ。トランプ大統領の就任以降、彼の反対勢力は、中間選挙において連邦議会の共和党を一掃するブルーウェイヴが起きる発生するという期待に賭けていた。しかし、結果は民主党が連邦下院議員選挙でそこそこの勝利を収め、連邦上院では共和党が大きな勝利を収めた。民主党は重要な選挙で、穏健もしくは保守的な選挙区であまりに左派的な候補者を擁立したことで敗北を喫した。最高の結果を得たのは穏健派の民主党の候補者たちであった。一方、強硬な左派の候補者は各選挙で敗北を喫した。

 

左派の人々は、今回の中間選挙が2020年の選挙の前哨戦であり勝利を収めることが出来ると確信していた。多くの点で、民主党はイデオロギー上の純粋性ではなく、中道に進むべき選挙であった。

 

ほぼ全ての世論調査と新聞の論説は、アメリカ全土で民主党の候補者たちが勝利すると予測していた。民主党が圧勝すべき各州において、実際には民主党は後退した。ペンシルヴァニア州のようなラストベルトの一部で勢力を盛り返したが、増進した分はオハイオ州とインディアナ州での敗北で相殺された。

 

民主党は接戦の多くを落としてしまった。その理由は、民主党の候補者たちが主流ではない人々から選ばれたことにある。民主党は根こそぎ勝利を収めようとしたが、左派が優勢ではない各州で期待以下の勝利しか収めることが出来なかった。民主党はニューメキシコ州、ヴァージニア州、コロラド州で印象的な勝利をもぎ取った。しかし、民主党は支持基盤にのみ向けた選挙運動を展開したことで、無党派や穏健派の有権者たちからの支持を得ることが出来なかった。2006年と2008年の選挙では民主党はこうした有権者から支持を得た。いくつかの選挙区では、進歩派のバーニー・サンダースの仲間だと主張してきた候補者たちが勝てるはずの選挙で敗北を喫したのである。

 

フロリダ州は進歩派により過ぎた民主党敗北の顕著な例となった。アンドリュー・ギラムは、『リアルクリアポリティックス』誌の事前調査では平均で3.6%リードしており、全国メディアでは勝利の可能性が高いと報じられていた。しかし、ギラムは接戦ではあったが、1ポイントの差をつけられて敗北した。これは衝撃であった。ギラムはもともと喧伝されていたよりも大した候補者ではなかったということが明らかになった。ギラム敗北の主な原因は何か?ギラムの公約は伝統的に民主、共和両党が伯仲しているフロリダ州の左派にとっては素晴らしいものであった。最大の公約は、州の法人税を41%も引き上げるというものであった。しかし、これによって生み出される10億ドル規模の増税をもってしても、彼の主張した急進的な政策を賄うのには十分ではなかった。ギラムの計画は納税医者に更に毎年26億ドルの負担増を強いるものであった。

 

フロリダ州知事選挙における民主、共和両党の候補者たちについて報道を見れば、ギラムが失った数千、数万の得票について説明できる、それまで見えていなかった問題が見えるようになる。ギラムは世論調査の結果では常にリードしていた。しかし、ある住民投票が人々の投票における優先順位が決まったことで、結果が変わってしまった。フロリダ州では州憲法修正5条について住民投票が行われた。州憲法修正第5条は、増税する場合には州議会で圧倒的多数で可決された場合にのみに限られるとするものだ。この修正第5条は約65%の賛成で成立した。

 

穏健派有権者がひとたびは急進左派に投票した選挙区で、民主党は今回の中間選挙で敗北した。ミズーリ州選出連邦上院議員のクレイリー・マカスキル、モンタナ州選出連邦上院議員のジョン・テスター、インディアナ州選出連邦上院議員ジョー・ドネリーは、前回までの民主党色を薄めた選挙戦ではなく、オバマケアや増税、最高裁判事で反トランプ的な投票を行ったことを前面に打ち出して戦った。3名のうち、生き残ったのはテスターだけだった。

 

民主党は、目立つ選挙区で妥協してしまった。なぜなら民主党は強固な支持基盤の意向を無視できずに、選挙区の特性を無視して、左派過ぎる人物を擁立することを止めることが出来なかった。民主党が選挙区の特性に合った候補者を擁立したところでは、勝利を収めているのだ!ジョー・マンシン連邦上院議員は、ウェストヴァージニア州の前知事という中道派のイメージと連邦最高裁判事人事でブレット・カヴァナーに賛成票を投じたことで、何とか勝利を収めることが出来た。コノー・ラム連邦下院議員はペンシルヴァニア州西部の新たに引き直された第17区で56%を獲得して勝利した。シュレッド・ブラウンはオハイオ州連邦上院議員選挙で二期目の当選を決めた。

 

上記の当選した候補者たちは伝統的な民主党の政治主張とは距離を取っていた。こうした人々の間には2つの共通点がある。第一に彼らは社会主義者ではない。第二に彼らは選挙区で選挙戦を戦うために特性を理解しそこに合った候補者たちである。

 

今年の中間選挙において連邦上院と下院の選挙で民主党は今回選挙独特の現象に直面した。経済は好調なのに、有権者の多く、特に郊外の富裕な人々がドナルド・トランプを激しく嫌っている。都市部の強硬な進歩主義派と全国の穏健派が連合を組むということが勝利をもたらす戦略となった。有権者はトランプを激しく嫌う中で、有権者はワシントンに対して「メッセージを送る」ということと自分たちの財布に直結する州レヴェルの選挙で、州の運営の仕方をどのように行うかということの間で選択を行った。その人物が健康保険を政府が全額支払う制度を支持するから候補者にするというだけでは、一般有権者の支持を獲得することはできない。小さな青い「波」が引いていく中で、民主党に残された課題はより難しいものとなっていくだろう。

 

その顕著な例として、民主党が圧倒的に優位なニューイングランド地方が挙げられる。マサチューセッツ州からはエリザベス・ウォーレン、ロードアイランド州からはシェルドン・ホワイトハウス、ヴァーモント州からはバーニー・サンダースが連邦上院に送られる。この地方の連邦下院議員の当選者はほぼ民主党所属である。しかしながら、州知事選挙では、共和党がヴァーモント州、ニューハンプシャー州、マサチューセッツ州で勝利した。マサチューセッツ州の有権者はウォーレンを当選させながら、それ以上の大差で、共和党所属の現職知事チャーリー・ベイカーを当選させた。ロバート・コンクエストが提唱した政治における3つの法則を思い出させる。それは、「人はすべからく自分に関することでは保守的になる」というものだ。ニューイングランド地方の有権者は全国に反トランプ的な態度を鮮明に示しながら、自分たちの生活圏では州税の税率や手数料率をより低くすることを選択した。これはつまり、「自分たちは嫌だけど、他の地方の人たちには社会主義をどうぞ」という態度なのだ。

 

既に2020年の選挙に向けた動きは始まっている。民主党が連邦上下両院で過半数を獲得し、ホワイトハウスを奪還する機会を手にしたいと考えるならば、中道に向けて動くべきだ。行き過ぎの調査と左派により過ぎた公約によって、民主党は2020年の選挙での勝利の機会を失う可能性も高い。左派と急進左派の間くらいの有権者を狙って、ジョー・バイデンやビトー・オロークを候補者にするならば、民主党がホワイトハウスを奪還する機会も生まれる可能性がある。中間選挙の結果で示されたように、カマラ・ハリスとエリザベス・ウォーレンではアメリカ全土で勝負できない。

 

結局のところ、ドナルド・トランプは現役の大統領であり、その地位を使って自分の考えを人々に広める力を持っている。そして、2018年の中間選挙ではその力を効率よく使ったということになる。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 2016年の米大統領選挙で民主党の一部から大反発を受け、結局、本選挙でもドナルド・トランプに敗れたヒラリー・クリントンですが、リベラル派であるはずの彼女らしからぬ発言がアメリカで注目を浴びました(少しですが)。

 

 イギリスの高級紙『ザ・ガーディアン』紙とのインタヴューに応じ(インタヴューが行われたのはアメリカ国内)、その中で、ヨーロッパ各国はそろそろ移民流入を止めるべきだ、そうしないと各国のポピュリズム、反移民を掲げる政党がますます台頭して、国内政治を混乱させ続けるし、テロリズムの脅威も増えるという発言を行いました。リベラル派なら、自分の国が大変な状況で出てこざるを得なかった難民の皆さん、大変ですね、いらっしゃい、と言いそうなものですが、それを制限すべきと発言しました。

 

 ヒラリーがどうしてこのような発言をしたのか、いくつかの解釈が出来ると思います。ヒラリーは2020年の米大統領選挙への再出馬を考えているのではないかという報道がアメリカではなされています。まだ諦めていない、ということです。そのために、移民を制限すべき、という発言をして、移民に対して否定的な世論に迎合しているという考えが出来ます。しかし、こんなことをしても、2016年にヒラリーに投票しなかった人たちが、ヒラリーも考えを変えたか、立派立派と彼女に投票するはずもなく、また、リベラル派の重要な主張でもある移民について否定的な考えを示したことで、民主党内での支持を失うということまで考えられます。

 

ヒラリーが本気で、移民制限を主張することで大統領選挙で勝利したいと考えているのなら、政治センスがない、世論の風向きを読めないということで、どんなに頭が良くても、一国の指導者には向かないということになります。「トランプや、私の夫ビルのようにアホで何も考えていないのに大統領になれて、あんなあほな男たちよりもずっと頭が良くて、人格も立派な自分が大統領になれないのはおかしい、女性差別だ」とヒラリー考えているかもしれませんが、この場合、ヒラリーに政治家としてのセンスと能力が欠如していることが問題であるということになります。

 

 また、民主党の内部闘争に目を向ければ、バラク・オバマ前大統領、露骨に言えばミシェル・オバマ夫人の影響力が増大し(次の大統領選挙の民主党候補者にはオバマの支持がある人が良いと考える人が増えつつある)、2016年の大統領選挙で、民主党予備選挙でヒラリーを追い詰めたバーニー・サンダース連邦上院議員をはじめとする、民主社会主義者の勢力も伸びています。民主社会主義者たちは、移民問題について寛容な立場を採ります。これに対して、ヒラリーは自分が「現実主義的な」リベラルであるとアピールして、民主党内での影響力を保持しようと考えているという解釈もできます。

 

 更に、アメリカ外交の潮流にも目を転じれば、ヒラリーは、人道的介入主義派ということになります。人道的介入主義は、戦争や飢餓などが起きている、もしくは非民主的な政治体制で国民が弾圧を受けているそのような国々に対しては、それらの国々の国民を救うという人道的な目的のために、アメリカが軍事力を行使しても良い、いやすべきだ、という考えです。ヒラリーにしてみれば、「バラク・オバマ前大統領のリアリズムも、ドナルド・トランプ大統領のアイソレーショニズムも、シリア問題を解決できずに難民を生み出した。私が大統領になって、アメリカ軍をシリアに派遣しておけば、難民問題なんか起きなかったんだ」ということになります。更に、「世界を一つに、国境などなくそう、全ての国々が民主的政治制度と資本主義的経済制度を採り入れたら理想世界が実現するという私たちの崇高な理念の邪魔になるポピュリズム、ナショナリズムが移民流入のために台頭してきているのは望ましくない」ということを述べていることになります。

 

 ヒラリーが今頃移民制限のようなことをヨーロッパに仮託して述べたところで、結局のところ、アメリカ政治での影響力を回復することもまた増すことはできません。成仏しきれずに悪霊となってさまよい続けるような態度であり続ける限り、ヒラリーに次の機会はありませんし、一番得をするのはドナルド・トランプ大統領ということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

ヒラリー・クリントンは、ヨーロッパ各国に対して、ポピュリストの台頭を防ぐためという理由で移民受け入れを制限するように求めた(Hillary Clinton calls on Europe to curb migration to halt populists

 

ブランドン・コンラディス筆

2018年11月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/news/417989-hillary-clinton-calls-on-europe-to-curb-migration-to-halt-right-wing-populists

 

ヒラリー・クリントン元国務長官はヨーロッパ各国の指導者たちに対して、ヨーロッパ大陸における右派ポピュリズムの脅威が増大する中で、それに対抗するためにより厳格な移民政策を実行するように求めている。

 

クリントンは木曜日に発行された『ザ・ガーディアン』紙に掲載されたインタヴュー記事の中で、「ヨーロッパは移民流入をコントロールする必要がある。なぜなら移民流入が火に油を注ぐことになっているからだ」と発言している。

 

「アンゲラ・メルケルのような各国の指導者たちが採用している、非常に寛大で温かいアプローチについて私は称賛する。しかし、ヨーロッパはもう十分に自分たちのやるべきことをやったと言うことは正確であると私は考える。そして、ヨーロッパは明確なメッセージを送らねばならない。それは、“私たちはこれ以上避難所と支援を与え続けることはできない”というものだ。なぜなら、移民問題についてはある程度のところで線を引いておかねば、それが国家自体を混乱させ続けることになるからだ」。

 

ヒラリー・クリントンの発言は、ヨーロッパ内部における分裂を明示している。ここ数年間の難民の大量流入によって、ヨーロッパ各国の政治状況は分裂的、党派性が強いものとなり、テロリズムの脅威が増大し、過激な主張を行うポピュリズム政党が数多く誕生している。

 

メルケルは、難民流入に関するヨーロッパで行われている議論の中心的存在となっている。メルケルは2015年にいわゆる「開かれたドア」移民政策を税所に実施した。この政策によって、北アフリカと中東から数万の移民がヨーロッパに流入することになった。

 

ドイツ首相であるメルケルは先月、

The German chancellor last month signaled she would be stepping down from her role amid growing unease over the fallout from her policies. ギリシア、ハンガリー、イタリア、スウェーデンなどで反移民を掲げる政党が台頭する中で、メルケルの決心は公表された。

 

ヨーロッパ連合(EU)はまた、イギリスのEU離脱の決定から派生する様々な出来事に対処することに追われている。イギリスのEU離脱の国民投票の結果には、移民に対する恐怖が大きな影響を与えた。

 

ヒラリー・クリントンは2016年の米大統領選挙でドナルド・トランプに敗れた。トランプは反移民的主張で勝利を収めた。トランプの首席戦略官を務めたスティーヴン・バノンは、ヨーロッパにおいて彼の影響力を保持しようとしている。バノンは、ブリュッセルに本部を置く新しい組織を作った。これは、ヨーロッパ大陸にある各国のポピュリズム政党の勢力を伸長させることを目的としている。T

 

ヒラリーはザ・ガーディアン紙とのインタヴューの中で次のように語った。「移民を政治の道具や政権の姿勢のシンボルに使うことで、政治は間違った方向に進んでしまう。移民たちの持つ文化的ヘリテージとアイデンティティ、国民の統合に対する攻撃も強まる。こうしたことは現在、アメリカの政権によって利用されている」。

 

ヒラリーは次のように語った。「移民問題に対する解決策についてだが、なにもメディアや政治的に立場の違う人々を攻撃することではない。また、陪審員を買収することでもないし、自分たちの政党や運動に対しての経済的、政治的支援をロシアに求めることでもない」

 

(貼り付け終わり)

 

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