古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:バーニー・サンダース

 古村治彦です。

 

 前回、トランプ大統領の一般教書演説についての記事などをご紹介しました。私が一般教書演説を聞いていて驚いたのは、「社会主義に対する警告」でした。私が若い頃に、持て囃されたフランシス・フクヤマの「歴史の終わり」論では、資本主義(Capitalism、キャピタリズム)と民主政治体制(Democracy、デモクラシー)が最終的に勝利し、アメリカは勝利者だということになっていました。

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 しかし、21世紀のアメリカ議会で、大統領が自国内の社会主義を求める声に警告を発し、わざわざ「アメリカは社会主義国にはならない」と述べたというのは驚きでした。社会主義とは最も対極にある国であるはずの、資本主義と民主政治体制が高度に発達した総本山、アメリカで、大統領が社会主義の台頭に言及したというのは驚きでした。それくらいに、人々の平等を求める声、格差是正を求める声がアメリカ国内で大きくなっている、ということが示唆されるものでした。

 

 2016年米大統領選挙民主党予備選挙でのバーニー・サンダースの善戦、2018年の中間選挙でアレクサンドリア・オカシオ=コルテスの登場など、「民主社会主義者」を自認する政治家たちが存在感を増しています。

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当該部分を聞くサンダース
 

 これはポピュリズムという幅の広い思想運動の中で、左派的な動きとして、民主社会主義者たちが台頭しており、この右派的な動きは、トランプ大統領の誕生であり、言ってみれば、コインの表裏の関係にあると私は考えています。

 

 トランプ大統領を支持したのは、旧来の共和党の支持者の一部に加えて、元々は民主党支持で、労働組合にも参加していた、白人の労働者たちでした。アパラチア山脈からラストベルトと呼ばれる五大湖周辺の工業地帯に住んでいる人たちです。大学教育など高等教育を受けておらず、所得が低い労働者は本来であれば民主党の支持基盤でしたが、トランプ大統領を応援しました。

 

 これは民主党がエリート主義に陥り、ウォール街の大手金融機関などから多額の献金を受ける政治家たちが増え、口では人権や福祉などを唱えるが、実際に貧困層や労働者のために何もやっていないではないか、更に言えば、移民やマイノリティの人権のことばかりで、白人である自分たちの人権のことなど何も言わない、という怒りが旧来の民主党支持者たちの間に広まり、こうした人々がトランプ大統領を支持しました。こうした流れには、人権や福祉に対する懐疑も加わっています。

 

 一方、左派的な動きもまた、既成の民主党主流派、民主党エスタブリッシュメントに対する怒りから出てきたものです。エスタブリッシュメントは民主党の支持基盤をないがしろにしている、ウォール街とのつながりが深いから大企業や富裕層の利益ばかりを守っている、という怒りから、進歩主義派、民主社会主義者が存在感を増すようになりました。

 

 右派ポピュリズムと左派ポピュリズムと分類して良いと思います。既存の政治家やシステムが一般国民である自分たちのためになっていない、活動していない、機能していないという怒りから、ワシントンを変えなければならないということになり、新しい政治家たちやこれまで隅に追いやられていた政治家たちを自分たちの代表としてワシントンの既存勢力を攻撃させるという動きになりました。人々の怒りと既存の存在に対する攻撃性はポピュリズムの特徴です。

 

 それにしても、一般教書演説で、「社会主義」という言葉が出てきたのは驚きでした。中国を攻撃するためのレトリックなのかと思いましたが、アメリカ国内で社会主義を求める声が大きくなっていることに対する懸念であったということが驚きです。資本主義が高度に発達してその内包する矛盾が深刻になり、社会主義へと移行する、もしくは階級闘争が激化するというマルクスの考えが現実に起きているかのようです。

 

 アメリカでは長く国民皆保険ということはタブー視されてきました。何度もこの話はしているのですが、今回もします。2000年代前半に私はアメリカの大学に留学しました。そこで、日本政治の授業を履修しました。先生は日本の大学に留学経験もあり、日本語も堪能な人でした。日本の社会保障制度を取り上げた授業の回がありました。そこで、ポロっと「日本は国民皆保険です。国民皆保険ではないというのは、世界の先進国ではアメリカだけです」と言いました。何の悪気もなく、アメリカを批判するということでもありませんでした。

 

 しかし、次の授業の際に先生は「前回、私は世界の先進国の中で国民皆保険ではないのはアメリカだけですと述べました。これはアメリカを批判する意図ではありませんでした。また、私は社会主義者ではありません」と冒頭に述べました。私は驚いて、授業の後にどうしてそのような発言をなさったのですか、と質問したところ、「学部の事務所に学生の親という人から電話があって、アメリカを批判する反米的な社会主義者を雇っているのか、という抗議の電話があったから、説明しておこうと思って発言した」と教えてくれました。

 

 講義をしてきた親御さんは、国民皆保険は社会主義的な制度で、資本主義で自由主義なアメリカにはそぐわないと考えていたのでしょう。しかし、この考えに従うと、G7に加盟している先進諸国はほぼ全て社会主義国ということになります。

 

 アメリカには社会主義という言葉に対するアレルギーがあり、かつ、平等を志向するような政策には簡単に社会主義という言葉をレッテル貼りして非難する傾向があるようです。

 

 社会主義という言葉が21世紀のアメリカ議会の議場で大統領の口から出たという事実、これがアメリカの最先端の状況を示しているように思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

オカシオ=コルテスや進歩主義派の人物たちがトランプ大統領は社会主義という言葉を威嚇戦術として使用したと批判(Ocasio-Cortez, progressives accuse Trump of using socialism as scare tactic

 

ジュリーグレイス・ブルフケ筆

2019年2月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/428663-ocasio-cortez-progressives-accuse-trump-of-using-socialism-as-scare-tactic

 

進歩主義派の民主党所属連邦議員たちは、トランプ大統領が一般教書演説の中で、アメリカ国内で社会主義を求める声が大きくなっているという警告を発したことを、威嚇戦術(scare tactics)を使って自分たちを危険だとレッテル貼りしたと批判した。

 

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は記者団からトランプの発言について質問され次のように答えた。「素晴らしかったと思う。大統領は怖がっている。彼は全てのものが彼に迫ってきていると感じ、世論の支持を得るための戦いに敗れつつあることを認識している」。

 

オカシオ=コルテスは民主社会主義者で、昨年夏に民主党予備選挙で勝利を受けて、政治の世界で名声を獲得した。単一支払者医療保険制度(single-payer health care system)を主張するリベラル派の連邦下院議員たちの仲間入りをした。また、最富裕層に対しての税率を上げることとクリーンエネルギー分野での雇用を創出するためのプログラムに資金提供するための「グリーン・ニューディール(Green New Deal)」を主張している。

 

ニューヨーク州選出の連邦議員オカシオ=コルテスは、トランプの発言内容を「信じられない」ものと評し、「自分たちの提案に対抗するための実質的な提案を彼は出来ないのだ」と述べた。

 

プラミラ・ジャヤパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)は進歩主義派連邦議員連盟の共同会長だ。ジャヤパル議員は、議員連盟の提案は過激なものではなく、提案内容の多くは西洋諸国で既に実施されているものだと述べた。

 

ジャヤパル議員は「全ての人のためのメディケアや最富裕層への増税、グリーン・ニューディールのような素晴らしい考えをトランプ大統領は警戒しているのだと思う。それで彼はこうした考えに社会主義というレッテル貼りをしたいのだ」と述べた。

 

「トランプ大統領は先進諸国で行われている政策について懸念を持っており、それに社会主義というレッテルを貼りたいのだ。しかし、こうした諸政策は世界の先進諸国で実際に実行されている。これらの政策は先進諸国において制度化され、それらの上に社会が構成されている」。

 

一般教書演説の中で、トランプは社会主義によってヴェネズエラでは経済上、政治上の訳斎が引き起こされたと述べた。

 

トランプ大統領は演説の中で次のように語った。「現在、アメリカ合衆国の国内では、私たちの国で社会主義を採用しようという声が上がっている。これは警戒を要することだ。アメリカは、政府による強制、独占、統制ではなく、自由と独立の上に創設された。私たちは生まれながらに自由で、これからも自由であり続ける。今夜、私たちはアメリカがこれからも社会主義国となることは決してないという決意を新たにする」。

 

共和党側の出席者たちは演説のこの部分に対して、トランプ大統領にスタンディングオヴェイションで称賛を与えた。

 

新人のラシーダ・トレイブ連邦下院議員(ミシガン州選出、民主党)は議員当選以来、トランプ大統領に対して厳しい批判を行っている。トレイブ議員は、トランプ大統領が社会主義を理解していないと批判し、トランプ大統領の言葉によって国家の更なる分裂が進んでいると考えていると述べた。

 

トレイブ議員は「人々の多くは社会主義を理解していないと思う。図書館や郵便局は社会主義だと思う。我が国にあり私たちが大事にしている制度の多くは平等という価値観を基礎にしている」と述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は早速アメリカ政界において大きな批判に晒されています。共和党側が批判するのは当然ですが、彼女が所属する民主党内でも批判が起きています。

 

 アレクサンドリアが富裕層に対する税率の引き上げ、最高税率70%への引き上げを主張し、民主、共和両党で批判が起きています。アレクサンドリアは、年間収入1000万ドル(約11億円)以上の世帯の最高税率を70%にすることを主張しています。

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アレクサンドリア・オカシオ=コルテス
 

現在のアメリカでは、約1080万世帯が100万ドル以上、130万世帯が500万ドルから2500万ドル、15万6000世帯が2500万ドル以上を稼いでいるということになります。人口の10%ほどが100万ドル以上を稼ぐということになります。1000万ドルということになると、人口の1%以内ということになるでしょう。(参考:Some say ‘millionaire is the new middle class’—here’s how many Americans are actually worth $1 millionhttps://www.cnbc.com/2017/06/23/how-many-americans-are-millionaires.html

 

2011年にウォール街で始まった「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」運動のスローガンは、「私たちは99%だ(We are the 99%)」というものです。アメリカでは人口の1%の収入が激増し、アメリカの総資産の約34%を保有しているということで、「1%対99%」はアメリカの格差拡大を象徴する言葉となっています。アレクサンドリアはこの1パーセントを増税の対象にするという主張をしています。

 

 アレクサンドリアについて、「過激すぎる」という批判が民主党内からも出ています。私はアレクサンドリアの出現とトランプ大統領の誕生は共に、「人々の怒り」が根底にあるということは前から指摘してきました。トランプ大統領を当選させたのは、ラストベルトと呼ばれる工業地帯の白人労働者たちです。この人たちは労働組合に入っており、もともとは民主党支持でした。しかし、民主党が自分たちの代表ではないということで、トランプを支持しました。

 

 アレクサンドリアが無名の新人であったのに、10期連続当選の現職ジョセフ・クローリーを破ることが出来たのも、クローリーが地元の人々の生活に目を向けていないという批判が大きくなったということも理由として挙げられます。

 

 民主党がエリート主義に陥り、ウォール街民主党と揶揄されるような状態になっていた、それを象徴するのがヒラリー・クリントンでした。ヒラリーを応援したのは民主党エスタブリッシュメントであり、この民主党エスタブリッシュメントがアレクサンドリア批判を展開しています。

 

 アレクサンドリアの提案について、アメリカ国民の過半数が支持しているという結果が出ました。トランプを大統領に押し上げた流れがまだアメリカに残っているということがここから分かります。既成政党主流派にとっては大きな脅威となる流れです。アレクサンドリア・オカシオ=コルテスとドナルド・トランプ大統領は人間的に重なるところはない2人ですが、実は共通点を持っている、そして2人の過激さをアメリカ人は支持し、それを使って、現状を打破しようとしているということが分かります。

 

(貼り付けはじめ)

 

世論調査:アメリカ人の過半数が最高税率を70%に引き上げることに賛成(Poll: A majority of Americans support raising the top tax rate to 70 percent

 

マシュー・シェフィールド筆

2019年1月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/hilltv/what-americas-thinking/425422-a-majority-of-americans-support-raising-the-top-tax-rate-to-70

 

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)と共和党でオカシオ=コルテス議員を批判している人々は両方とも、議員のアメリカの最高税率の劇的な引き上げ提案を「過激」と称している。しかし、最新の世論調査の結果が火曜日に出され、アメリカ人の過半数が彼女の考えに賛成していることが明らかになった。

 

新人議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテスがアメリカの最高税率を70%に引き上げることを提案した。その後、2019年1月12日から13日にかけて本誌ザ・ヒル誌と「ハリスX」社が世論調査を実施した。世論調査の結果、有権者の過半数、59%が彼女の考えを支持するということが分かった。

 

オカシオ=コルテスは彼女の考えを具現化するための法案をいまだに提案していないが、世論調査は、幅広い階層や在住地のアメリカ人が、少なくとも現時点では、彼女の考えを支持していることを示している。

 

女性は賛成62%、反対38%と大きな差がついている。男性の過半数も賛成しており、その数字は55%対45%となっている。彼女の提案はアメリカの全ての地方で人気がある。南部に住む人々の間では、賛成57%、反対43%という結果が出た。地方在住者も彼女の提案に56%が賛成し、44%が反対している。

 

最高税率を70%に引き上げることについて、共和党員の中では賛成が驚くべき数字を集めた。本誌とハリスX社の世論調査では、共和党支持の有権者の45%が賛成し、55%が反対している。

 

支持政党を持たない有権者はオカシオ=コルテスの提案に賛成が60%、反対が40%という結果が出た。民主党支持者の間では賛成が71%、反対が29%となった。

 

オカシオ=コルテスはバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を含む進歩主義的な連邦議員のグループに属している。サンダース議員はアメリカの富裕層に対しての連邦税の税率を引き上げることを求めている。ニューヨーク州選出の民主党所属議員であるオカシオ=コルテスは2019年1月6日に民主党内で税率引き上げについて議論を開始した。CBSのテレビ番組「60ミニッツ」とのインタヴューの中で、オカシオ=コルテスは最高税率の設定に賛成する、1000万ドルの収入がある個人には70%の税率をかける、と述べた。

 

「60ニミッツ」の中で、オカシオ=コルテスは20世紀中盤の税率について言及した。1950年代から60年代にかけて、アメリカの富裕層に対する税率は90%を超えるものであった。

 

オカシオ=コルテスは「私の提案は、1000万ドルの収入全てに最高税率をかけるということではない。しかし、私の提案は、収入が上がれば上がるほど、社会に対してより貢献できるようになるということだ」と述べた。

 

オカシオ=コルテスの提案は民主党内で批判を受け、かつ受容されている。共和党員と保守派のコメンテイターたちは総じて批判的である。中には誤解して、オカシオ=コルテスはアメリカの富裕層のうち70%の人々の収入全てを税金として取り上げたいと考えていると主張している。

 

最新の本紙とハリスX社の世論調査は登録された有権者の割合に沿ってオンライン上で実施された。誤差は3.1ポイントだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 2020年米大統領選挙に関して、連日このブログでもご紹介しています。民主党予備選挙には、既に何人も立候補宣言をし、まだこれから有力候補の出馬表明が続出すると見られています。これから民主党内で激しい競争が繰り広げられ、最終的に来年中盤頃に開かれる全国大会で指名を獲得、民主党の大統領選挙候補者となります。そして11月に本選挙という運びになります。

 

 「来年のことを言えば鬼が笑う」という言葉もありますが、現時点で、「ドナルド・トランプ大統領対○○」という形で世論調査を行ったところ、民主党の候補者たちの支持が上回ったという世論調査の結果が出ました。そのことに関する記事をご紹介します。ジョー・バイデンは12ポイント差、バーニー・サンダースは10ポイント差をつけており、第二集団であるエリザベス・ウォーレン、キリステン・ギリブランド、カマラ・ハリスは一桁の差をつけているという結果が出ました。

 

 しかし気を付けたいのは、今回の世論調査を実施した「パブリック・ポリシー・ポーリング」社が民主党系の世論調査会社であるということです。そこのところを考えると、出た数字もまた割り引いて考えねばならないと思います。また、「世論調査で調査した民主党の有力候補たちから誰がトランプ大統領と戦うのかということが重要な問題ではない。トランプ大統領が任期中盤まで過ごした段階で、有権者たちは民主党から有力候補たちから誰が出てもトランプ大統領よりも評価しているということが重要だ」という世論調査会社社長の発言も少し大げさで、言い過ぎではないかと思います。一桁の差はひっくり返ることもありますし、2016年の米大統領選挙では事前の世論調査の多くではヒラリー・クリントンがリードという結果が出ていました。

 

 来年になれば鬼ではなく、誰かが笑うことになる訳ですが、まだ立候補者が出そろっていない段階で云々するのは拙速であり、あくまで参考程度のことに過ぎません。アメリカでは、ヒラリー・クリントンの再出馬という声も出ているようで、そうなれば来年笑うのは、トランプ大統領ということになるでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

世論調査:トランプ大統領は2020年大統領選挙の民主党の有力候補者たちに負けている(Poll: Trump trails several possible 2020 Dem opponents

 

ジョン・バウデン筆

2019年1月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/426421-poll-trump-trails-dem-2020-candidates

 

左派の世論調査会社による最新の世論調査によると、トランプ大統領は、既に出馬表明している人物を含む民主党の有力候補者たちの後塵を拝していることが分かった。

 

「プブリック・ポリシー・ポーリング(PPP)」社の世論調査によると、トランプ大統領は、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)に7ポイント、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)に6ポイント、キリステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)に5ポイントの差をつけられて負けている。

 

トランプ大統領は2020年米大統領選挙への出馬を考慮しているとされているが、いまだに出馬発表をしていない進歩主義者の指導者たちにも負けている。ジョー・バイデン前副大統領には12ポイント、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)には10ポイント負けている。

 

PPP社社長のディーン・デブナンは世論調査の結果発表の際に出したプレスリリースの中で次のように述べている。「世論調査で調査した民主党の有力候補たちから誰がトランプ大統領と戦うのかということが重要な問題ではない。トランプ大統領が任期中盤まで過ごした段階で、有権者たちは民主党から有力候補たちから誰が出てもトランプ大統領よりも評価しているということが重要だ」。

 

同じ世論調査では、トランプ大統領が2015年に大統領選挙運動を開始して以来、罪を犯したと考えている有権者が45%いるという結果が出た。有権者の61%が、ロバート・ムラー特別検察官が主導する捜査によって大統領による犯罪の証拠が出てきた場合には弾劾されねばならないと考えていることが分かった。

 

デブナンは続けて次のように述べた。「私たちはムラー特別検察官の捜査終了を待っている段階だ。しかし、有権者はトランプ大統領が罪を犯したことを示す証拠をムラー検察官が発見するだろうと予想している。そして、有権者たちはその証拠に基づいてムラーが大統領を訴追することを望んでいる」。

 

PPP社の世論調査は2019年1月19日から21日にかけて761名の有権者を対象に実施され、誤差は3.6ポイントである。

 

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(終わり)

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 古村治彦です。

 

 バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州、無所属)は各種世論調査で2020年米大統領選挙民主党予備選挙の出馬予想でトップ3に入る人気を誇っています。しかし、まだ正式な出馬表明はしていません。

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 サンダースが選挙運動の映像制作ティームをリクルートしていると報じられました。この映像制作ティームは「ミーンズ・オブ・プロダクション」社というデトロイトに本拠を置く会社です。社名になっている、means of productionとは「生産手段」という意味で、マルクスが使った言葉です。ここから分かるように、左派、進歩主義的な会社です。

alexandriaocasiocortez001

 

※「ミーンズ・オブ・プロダクション」社のウェブサイト

https://means.media/

 

 ミーンズ・オブ・プロダクション社の最大のヒット作は、アレクサンドリア・オカシオ=コルテスの選挙運動のCMでしょう。このCMでアレクサンドリアの人気に火が付き、無名の新人が連続10期当選の現職に完勝しました。

 

 

 

 アレクサンドリアは、2016年の米大統領選挙民主党予備選挙で、バーニー・サンダース陣営に参加していました。サンダースが、スタッフだったアレクサンドリアの真似をするという形になりますが、メディア戦略というか、映像に関しては、若い感性の方が上ということでしょう。

 

 下の記事の中に出てくる政治活動委員会「ジャスティス・デモクラッツ」は、左派的、進歩主義的な政策を掲げ、それに賛成する候補者を資金面も含めて支援するというものです。2018年の中間選挙で、民主党予備選挙に多くの立候補者を出し、その中には最終的に当選した人たちもいます。アレクサンドリア・オカシオ=コルテスもその一人です。

 

※「ジャスティス・デモクラッツ」のウェブサイト

https://www.justicedemocrats.com/

 

 アメリカでは左派、進歩主義派の勢力が伸びていますが、少数派であることには変わりがありません。しかし、このような左派から連邦議員が誕生し、その数が増えているというのは、アメリカ国内の格差が拡大していることを示しています。格差の拡大から来る不平不満を利用したのが、2016年のドナルド・トランプであり、2018年のアレクサンドリア・オカシオ=コルテスです。こうした人々を「ポピュリスト」と言いますが、出てくる現象として、右派ポピュリズムと左派ポピュリズムがあります。根底にあるのは、現状に対する不満と既成政治に関する不信感です。そこから人々の分裂が始まり、アメリカ政治の党派による分裂、かつ党派内の分裂が進んでいるのが現状です。

 

(貼り付けはじめ)

 

サンダースが2018年の民主党予備選挙で勝利したオカシオ=コルテスが使ったメディアティームをリクルート(Sanders recruits media team used by Ocasio-Cortez in successful 2018 primary: report

 

マイケル・バーク筆

2019年1月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/425156-sanders-recruits-media-team-used-by-ocasio-cortez-in-successful-2018

 

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)は、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が使ったメディア制作ティームを採用しようとしている。オカシオ=コルテスは昨年の連邦下院議員選挙民主党予備選挙で大勝した。月曜日、『ポリティコ』誌が報じた。

 

サンダースの2020年米大統領選挙への出馬の話が盛り上がっている中で、サンダースの側近たちは「ミーンズ・オブ・プロダクション」社と会談を持ったと報じられている。みーずん・オブ・プロダクション社は映像制作ティームでデトロイトを拠点にしている。昨年、オカシオ=コルテスの選挙運動のコマーシャルが話題となり、インターネット上で拡散された。

 

この映像コマーシャルはツイッター上で約400万回視聴された。その内容は、オカシオ=コルテスが労働者階級のバックグラウンドを持っていることを事細かに紹介し、連邦下院議員への道のりを歩んでいる様子を映し出した。

 

オカシオ=コルテスは、昨年の連邦下院議員選挙民主党予備選挙で、当時の現職、ジョセフ・クローリー前連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)に完勝し、その後の連邦下院議員選挙で当選し、新人の連邦下院議員となった。

 

ポリティコ誌は、ミーンズ・オブ・プロダクション社は、2020年のサンダースの選挙運動において「大きな役割」を果たすことは間違いないところだと報じた。

 

政治活動委員会である「ジャスティス・デモクラッツ」の報道担当ワリード・シャヒドはポリティコ誌の取材に対して、ミーンズ・オブ・プロダクション社は、「進歩主義的ポピュリストと民主社会主義者のアメリカ国内での人気を高める最新の技術と力を持っていることが証明されている」と述べた。

 

サンダースは2020年米大統領選挙民主党予備選挙に出馬し民主党の指名を争うかどうかは発表していない。しかし、予備選挙の有力候補であると見られている。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 アレクサンドリア・オカシオ=コルテスについてはこのブログでも何度かご紹介しました。昨年、民主党予備選挙で連続10期連続当選、次はいよいよ連邦下院議長かという鵜沢もあったジョセフ・クローリーを破ったことで一躍全米の注目を浴びました。そして、2018年11月の中間選挙、連邦下院議員選挙(ニューヨーク第14区)で当選し、29歳で史上最年少の女性議員となりました。


alexandriaocasiocortez016

 オカシオ=コルテスの行動はメディアにもよく取り上げられていますが、民主党主流派に喧嘩を売っています。別の機会で詳しくご紹介しますが、連邦下院民主党執行部によく楯突いています。バーニー・サンダース連邦上院議員の2016年の大統領選挙でスタッフをやったことが政治の世界に入るきっかけですから、当然の行動です。

 

 これに対して、民主党主流派、エスタブリッシュメントそのもののような存在(しかし、民主党員は辞めている)であるジョー・リーバーマンがあんな奴が民主党の中心的存在にはならないと文句を言いました。進歩主義派、左派は常に少数ですから、民主党の中心になれないのは当然ですが、ここまで言うかという感じで、かなり怒っているようです。

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 リーバーマンは民主党の大物政治家でしたが、最後は左派に嫌われ、コネチカット州連邦上院議員選挙民主党予備選挙で敗北し、無所属で出馬し、勝利を収めましたが、民主党には復帰しませんでした。また、2008年の大統領選挙では、民主党のバラク・オバマではなく、共和党のジョン・マケインを応援しました。共和党で言えばネオコン派、民主党で言えば人道的介入主義派の人間で、ヒラリーとはとても親密な間柄です。


joeliebermanhillaryclinton001

 リーバーマンからの批判に対して、アレクサンドリアは、「新しい党になったのだけど、あなたは誰?」という言葉で反撃しました。日本語にすると分かりにくいのですが、英語では、「New party, who dis?」となります。これは、「New phone, who dis?」という言葉のもじりです。携帯電話を新しくした際に、電話番号が消えてしまって、それでその電話番号からかかってきたときに、「携帯電話を新しくしたので、電話番号が分からなくなってしまった、今かけているあなたは誰?」ということを聞くための言葉です。

 
alexandriaocasiocorteztwitter001

 アレクサンドリアは、「党は新しくなったんだけど、あなたは誰ですか?古い人間の出る幕じゃないのよ」と言っているということになります。

 

 民主党エスタブリッシュメント、ウォール街民主党を代表するジョー・リーバーマンから批判されるのはアレクサンドリアにしてみれば、だから何?という感じでしょう。バーニー・サンダースの躍進以来、民主党左派の力は伸びています。そして、民主党エスタブリッシュメント、ウォール街民主党は自分たちが民主党支持だった人々がトランプを支持したという事実を重く受け止めなければ、党内の左派、そして共和党との競争に負けてしまうでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

オカシオ=コルテスがリーバーマンからの批判に反撃:「新しい党になったのだけど、あなたは誰?」(Ocasio-Cortez responds to Joe Lieberman’s criticisms: ‘New party, who dis?’

 

モーガン・グスタルター筆

2019年1月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/424879-ocasio-cortez-responds-to-joe-liebermans-criticisms-new-party-who-dis  

 

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(ニューヨーク州選出、民主党)は木曜日、ジョー・リーバーマン元連邦上院議員(コネティカット州選出、無所属)に反撃を行った。リーバーマンは、オカシオ=コルテスが民主党を担う存在にならないことを希望すると述べた。

 

オカシオ=コルテスはツイッター上で反撃を行った。「新しい党になったのだけど、あなたは誰?(New party, who dis?)」

 

リーバーマンは元民主党員で、2000年米大統領選挙では民主党の副大統領候補者となった。リーバーマンは、ニューヨーク出身の進歩主義者が現代の民主党の中心となるべきではないと述べた。

 

リーバーマンは「フォックス・ビジネス・ネットワーク」に出演し、司会者のニール・キャヴ―に「全ての面から考えて、私は、彼女が未来を担う存在であるべきではないし、そうならないと確信している」と述べた。

 

リーバーマンは続けて次のように語った。「オカシオ=コルテスは多くの人々の注目を浴びている。それは、彼女がこれまでにいないタイプだからだ。彼女は議論を巻き起こす。しかし、連邦下院に初当選した民主党所属議員の大部分は中道左派(center-left)であって、純粋左派(left-left)ではない。それは、共和党が押さえていた選挙区で勝利して議席を奪取するには中道左派でなければならないからだ」。

 

オカシオ=コルテスは、昨年全米の注目を浴びた。彼女は、ニューヨーク第14選挙区の民主党予備選挙で現職だったジョセフ・クローリー前連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)を破った、クローリーは当時10期連続当選の現職で連邦下院民主党所属議員連盟の会長を務めた。

 

民主社会主義者を自認する29歳のオカシオ=コルテスは2018年11月の連邦下院議員選挙で当選し、史上最年少の女性議員となった。

 

オカシオ=コルテスは批判に対して、ソーシャルメディアのアカウントを使って反撃することが多い。今月初め、気候変動に対する積極的な対策として「グリーン・ニュー・ディール」の財源とするために、富裕層への税率を引き上げるというアイディアを主張し、保守派を当惑させている。

 

=====

 

ジョー・リーバーマンは、オカシオ=コルテスが民主党の「未来を担う」存在にならないことを希望すると発言(Joe Lieberman says he hopes Ocasio-Cortez is not ‘the future’ of Democratic party

 

ブレット・サミュエルズ筆

2019年1月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/424842-joe-lieberman-says-he-hopes-ocasio-cortez-is-not-the-future-of

 

ジョー・リーバーマン元連邦上院議員(コネティカット州選出、無所属)は木曜日、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は民主党を担う存在にならないことを希望している、より幅広い有権者にアピールするために民主党は政治的に中道を維持しなければならない、と主張した。

 

リーバーマンは「フォックス・ビジネス・ネットワーク」に出演し、司会者のニール・キャヴ―に「全ての面から考えて、私は、彼女が未来を担う存在であるべきではないし、そうならないと確信している」と述べた。

 

リーバーマンは続けて次のように語った。「オカシオ=コルテスは多くの人々の注目を浴びている。それは、彼女がこれまでにいないタイプだからだ。彼女は議論を巻き起こす。しかし、連邦下院に初当選した民主党所属議員の大部分は中道左派であって、純粋左派ではない。それは、共和党が押さえていた選挙区で勝利して議席を奪取するには中道左派でなければならないからだ」。

 

リーバーマンは元民主党員で、2000年米大統領選挙で民主党の副大統領候補となった。リーバーマンは2020年の米大統領選挙における民主党候補者は「中道左派」であるべきだ、そうでなければ共和党と競争できない、と主張した。

 

民主社会主義者を自認している29歳のオカシオ=コルテスは、昨年、民主党予備選挙で10期連続当選をしていた当時現職のジョセフ・クローリー前連邦議員(ニューヨーク州選出、民主党)を破ったことで全米の注目を浴びた。オカシオ=コルテスは2018年11月に当選し、史上最年少の連邦下院議員となった。

 

オカシオ=コルテスは保守派を当惑させている。そして、進歩主義的な政策を次々と主張して議論を混乱させている。その中には、「グリーン・ニュー・ディール」のような進歩主義的な政策の財源とするために富裕層への税率を引き上げることが含まれている。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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