古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:ヒラリー・クリントン

 古村治彦です。

 

 ジョー・バイデン副大統領がヒラリー・クリントン敗北の理由として、「彼女自身がどうして選挙戦を戦っているのか分かっていなかった」ということを挙げています。大変ユニークな分析です。

 

 ヒラリーは女性で初めて大統領になるチャンスがある人物として大統領選挙に出馬する責務があると感じてはいたが、有権者に対して語りかけが足りなかった、有権者の声を聞くことが足りなかった、とバイデンは言っています。そして、人々の不満や恐怖心を聞く政党であった民主党がエリート主義になっていたと反省の弁を述べています。

 

 確かに、ヒラリーは能力が十分にあったでしょう。しかし、有権者のためではなく、自分のために選挙に出た、そして、有権者を向かないで、有権者の見ているものを見ないで選挙戦を戦ったということなのでしょう。上滑りする綺麗ごとばかりを、女性初の大統領になるという浮ついた気持ちで語ったところで、今本当に困っている人々には何のアピールにもならなかったのです。ヒラリーが勝利した州は民主党が強い州で、そこでは、誰が出ても民主党の候補者が勝利できたでしょう。しかし、それだけでは勝利はできません。トランプが勝利した州は共和党が自動的に勝つ州にプラスして、人々の不満や恐怖心が渦巻いていた州でした。

 

 政治家が選挙に通って権力を握る、ということは自己利益実現の最たるものです。しかし、それを露骨にやる、もしくは見えてしまうと、その自己利益実現はできないのです。ヒラリーは自分とだけ格闘し、周囲は見えていなかった、だから、自分というものを押し付けることで有権者は拒絶反応を示したということでしょう。

 

 トランプは「アメリカ・ファースト」というスローガンを掲げました。そして、「今苦境の中にいると不満や狂信を持っているアメリカ国民よ、このアメリカはあなた方のことだ」というメッセージを送ることに成功しました。トランプは非常に利己的で、自己中心的のように思われ、実際にそうなのでしょうが、選挙に勝つという自己利益実現に成功しました。見た目では、ヒラリーは謙虚・抑制的(トランプに比べて、ですが)、トランプは我儘・勝手なのに、人々はヒラリーに自己中心、押しつけ、独りよがり、自分たちのことを見ていないということを感じて忌避しました。

 

 こういうことは私たち自身にも置きかえて教訓として活かすことができると思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

バイデン:ヒラリー・クリントンはどうして選挙戦を戦っているのかを理解していなかった(Biden: Clinton never figured out why she was running

 

ジョーダン・ファビアン筆

2016年12月22日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/311591-biden-clinton-never-figured-out-why-she-was-running

 

バイデン副大統領は、ヒラリー・クリントンは大統領選挙で敗れたが、その理由の1つは、ヒラリーが大統領選挙に出馬している理由を彼女自身が理解していなかったことが挙げられると確信していると述べた。

 

木曜日のロサンゼルス・タイムズ紙に掲載されたインタヴューの中で、バイデンは「私は彼女が本当に理解していたとは思えない。話は変わるが、彼女の出馬の決断は困難なことだったと思う」と述べた。

 

選挙期間中にウィキリークスによって公開されたハッキングされたEメールの中で、ヒラリーの側近や協力者たちも非公式に同じような懸念を表明していたということをバイデンは自分の考えを補強する証拠として挙げた。

 

しかし、バイデンはヒラリーを選挙に負けたということだけで非難するのは公正なことではないとも述べた。バイデンは、ヒラリーは選挙運動中に崇高な目的を見つめていた、そして、オバマ大統領がアフリカ系アメリカ人に行ったように、女性の政界での活躍への道を切り開く義務を負っていると感じていた、と述べた。

 

バイデンは次のように語った。「彼女は出馬する以外に選択肢はないと考えたのだ。つまり、大統領に当選するかもしれない機会を与えられた史上初めての女性だったのであり、彼女にとってそれは責務であったと思う」。

 

バイデンのコメントにはオバマ政権の幹部としての直接的な批判が若干含まれている。

 

バイデン副大統領は選挙期間中、十数回にわたり、ヒラリーのために遊説を行った。

 

しかし、バイデンは、ドナルド・トランプは自分の出身地であるペンシルヴァニア州スクラントンのような白人の労働者たちが多く住む地域の人々を熱狂させて、選挙に勝利したがそれはずるいことだと感じた、とも述べた。

 

バイデンはその時の心境を次のように語った。「しまった、私たちは選挙に負けるかもしれない、と感じた。トランプに熱狂している人々は私が一緒に生まれ育った人々だった。もしくはその子供たちだった。彼らは人種差別主義者ではないし、性差別主義者でもない。しかし、私たちは彼らに語りかけなかった」。

 

バイデンは民主党全体が選挙で低調であったが、それは、「私たち民主党が、高卒の大部分が白人であるが、非白人もいる、そういった多くの人々に対して、“民主党は自分たちの抱えている問題を理解している”と思ってもらえるようにしなかったから」だと語った。

 

バイデンは、民主党の志向の中に、エリート主義が入り込んでいた、と述べた。

 

同時に、バイデンは、トランプは、ヒラリーよりも労働者階級の人々に問題解決の方策を提示することに成功している訳ではないとも語った。

 

バイデンは「私は、彼が労働者階級や中流階級の人々を理解しているとは思わない。少なくとも彼は彼らの痛みは認識している。しかし、彼は偏見、恐怖心を利用した。自暴自棄の気持ちを利用したのだ」と語った。

 

トランプは更に「トランプが人々を熱狂させる時に語った言葉には何も積極的で+なものはなかったと確信している」と述べた。

 

バイデン副大統領は民主党予備選挙でヒラリーに挑戦することを検討した。彼が予備選挙に出ていたら、自分はエリートではないというアピールと共に中流階級の人々に向けたメッセージを次々と発したことだろう。

 

しかし、バイデンは最終的には選挙に出ないという選択をした。バイデンは息子ボウの逝去を悼みながら、選挙戦を行うことはできないと述べた。

 

74歳になるバイデンは、これまで複数回の機会を軽視してはきたが、将来の大統領選挙出馬の可能性を排除することを拒絶した。

 

バイデンは、妻ジル・バイデン博士がノーザン・ヴァージニア・コミュニティ・カレッジで教鞭を執っている間はワシントンにたまに居住する計画だと明かした。

 

バイデンは、副大統領退任後に仕事を続けるために、ペンシルヴァニア大学内にオフィスを構える可能性についても説明している。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22








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 古村治彦です。

 

 今回は、大統領選挙が終わる直前に発表されたある論稿をご紹介します。この論稿で著者のジャッド・グレッグは、共和党のドナルド・トランプ、民主党のヒラリー・クリントンがアメリカの統治形態の基礎を攻撃したと主張しています。トランプは選挙システムを、ヒラリーはFBIをそれぞれ激しく批判しました。

 

 著者のグレッグは、候補者2人が当選を目指して選挙システムとFBIを激しく攻撃したために、それらに対するアメリカ国民の信頼が薄らぎ、アメリカの統治システムに対する信頼が揺らぐのではないかと心配しています。

 

 アメリカの有権者は、一部には彼らの主張を真に受けてしまう人たちもいるでしょうが、大部分は、「選挙のためのレトリックだ」と分かっている人たちでしょう。それでも、今回、アメリカの民意は、「ワシントンの大掃除をする」「共和党、民主党関係なく、ワシントンのインサイダー、エスタブリッシュメントをやっつける」ということになりました。これまで共和党に投票しなかった、白人の大学教育を受けていない男性労働者たち(南部では歴史的な経緯から民主党支持、北部では組合に加入していることからずっと民主党支持)がトランプに投票し、民主党側では、党のエスタブリッシュメントに失望した、バーニー・サンダース支持者とオバマを地滑り的勝利で当選に導いたオバマ・コアリッションが不活発だったために、トランプを押し上げ、ヒラリーを引きずりおろす格好になりました。

 

 一部には選挙人制度についての批判も出ていますが、選挙人制度には、小さな州の存在感を確保し、各州の独立性を守るという、反連邦主義的なアメリカの伝統にも則っているという面もあります。トランプが言っている「汚れきった沼から泥水を抜いて綺麗にする」ということが民意であり、それを今回アメリカの民主政治制度がすくい上げたのだということができます。

 

(貼り付けはじめ)

 

ジャッド・グレッグ:傷つけられるデモクラシー(Judd Gregg: Damaging democracy

 

ジャッド・グレッグ筆

2016年11月7日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/opinion/judd-gregg/304610-judd-gregg-damaging-democracy

 

私たちの憲法を基盤にした民主政治体制の強さは、人々の信頼に依っている。

 

リンカーン大統領は、彼独自の明確さと意識をもって、アメリカの民主政治体制の真髄を「人々の、人々による、人々のための統治」と述べた。

 

しかし、政府は自分たちがその一部を形成しているのだ、政府は私たちの生活のためにあるのだという信頼を人々が失ってしまえば、民主政治体制は存続の危機に直面する。

 

このアメリカで、そのようなことが起きるなどとは、かつては創造できなかった。しかし、今回の大統領選挙の残り数週間、民主政治体制の危機が起きる可能性が感じられてしまう状況であった。ありがたいことに、この状況も火曜日には終わる。

 

ヒラリー・クリントン、ドナルド・トランプの両候補とも、彼らがなすべき、人々の信頼を強めるという義務を放棄し、政府の諸機関を攻撃することに終始した。

 

ドナルド・トランプが私たちに語ったことは、彼が同意できないものは全て汚れていて、正しくない、ということだった。彼の攻撃対象リストのトップに来るのは、選挙システムだ。

 

人々が攻勢に実施されているという確信を持つことができる選挙がなければ、民主政治体制を備えているとは言えない。トランプは繰り返し繰り返し、選挙は公正さを欠いていると批判した。

 

「選挙は公正さを欠いている」ということを繰り返し述べることで、トランプは、民主政治体制にとって不可欠な価値を攻撃している。この価値とは、「投票した私の一票はきちんと数えられる、選挙は正当性を持っている」と人々が確信を持つことだ。トランプはこの民主政治体制にとって中核的な価値を傷つけている。

 

ヒラリー・クリントンは彼女自身の失敗と弱点を隠すために、私たちの民主政治体制において重要な機関である連邦政府の法執行機関を攻撃している。

 

FBIは、J・エドガー・フーヴァーが引退して以降、最悪の時期を過ごすことになったことだろう。しかし、これまでの数十年間、FBIはアメリカ国内で第一の法執行機関であり続けてきた。

 

FBIは党派に偏らない、我が国の法律に関する公正な執行者、我が国の守護者という評判を確立してきた。FBI長官にはこれまで誠実さを持つ才能あふれる人々が就任してきた。

 

ヒラリー・クリントンが私的なEメールサーヴァーを使用して国家安全保障を損なったのは、ヒラリー自身の間違いであって、FBIの間違いではなかった。

 

FBIとFBI指導部は、彼らの基本的な義務を果たすために捜査二十舌以上のことはないというのが事実だ。FBIは、いかなる人物も法の上にはいないこと、我が国の安全保障には妥協など許されないことを明確に示してくれた。

 

ヒラリーと彼女の側近たちは、ジェイムズ・コミーFBI長官を激しく批判した。

 

コミー長官は、新たな数千通のEメールが発見されたことを公表しなければならなかった。そうしなければ、彼は事実を隠蔽し、捜査を捻じ曲げたとして訴追されることになっただろう。

 

コミー長官はFBIの捜査過程における誠実さを維持するために適切な行動を行った。ヒラリーは適切な行動を取らなかった。

 

ヒラリーとヒラリーの支持者たちのFBIとFBI長官に対する攻撃は、FBIの信頼性を損なうこと、FBIが独立した、公正な機関ではないと人々に信じさせることを目的としていた。

 

彼らのこうした攻撃は、日曜日にコミー長官が新たに発見されたEメールの中に、彼が7月に出した「ヒラリー・クリントンは訴追されるべきではない」という結論をクスがエス材料は発見されなかったと発表したことで和らぐことになるだろう。しかし、たとえそうなっても、彼らが既に傷つけた大きな傷を癒すことにはならない。

 

ヒラリー・クリントンと彼女の支持者たちによる自己利益中心で、機会主義的な攻撃は、彼らの政治的な利益のために大変重要な政府機関の信頼性を犠牲にするものである。これは今までにはなかった破壊的な行動であった。その苦い影響はこれからもずっと続くだろう。

 

 

この偉大な国の大統領になろうとする人々が我が国の統治形態に対する信頼性を維持することが個人的な利益よりも重要なのだということを理解することがこれほどになっているのは今の時期を置いてない。

 

これは、統治している人々が彼らの失敗について説明責任を果たさなくてもよいということを言っているのではない。そうではなく、そういう時こそ説明責任を果たすべきだと言いたいのだ。

 

しかし、今回の選挙に出馬した主要政党の両候補はリーダーシップを持っていることを示さなかった。それどころか、彼らのアプローチは、ポピュリスト的無秩序(アナーキー)の坂道を登る第一歩であった。

 

火曜日に、今回の選挙は終わる。しかし、選挙がもたらしたダメージや傷は消えないだろう。

 

選挙に勝つのがどちらであれ、これまでのアプローチを根本的に変え、自分の仕事は我が国の統治形態を守ることであるということを認識する必要がある。

 

※ジャッド・グレッグ(共和党):元ニューハンプシャー州知事、元連邦上院議員(ニューハンプシャー州選出、3期)。連邦上院予算委員会幹部委員、委員長、連邦上院議員歳出委員会外交関連計画歳出小委員会幹部委員も歴任した。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







 
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 古村治彦です。

 

 2016年アメリカ大統領選挙が終わりました。共和党のドナルド・トランプが、民主党のヒラリー・クリントンを大差で破って当選となりました。まだ最終的な開票結果は出ていませんが、ヒラリーはトランプに敗北を認め、祝意を伝える電話をかけたということです。ヒラリー派選挙終盤、選挙が終わったら何をしたいかと質問され、テレビの米デイショーやドラマをたくさん録画しているので、それらを見たいと冗談半分に述べましたが、まさかそれらを見る時間がたっぷり用意されるとは思っていなかったでしょう。

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 選挙直前、PBSのニュース番組に、アメリカ連邦下院民主党院内総務であるナンシー・ペロシが出演していました。彼女は現在のアメリカ政治で最高位にある女性です。「あと数時間で、最高位にある女性という言われ方が終わります」と言っていましたが、彼女がこれからもしばらくはアメリカ政治の最高位にある女性ということになります。

 

 ヒラリー陣営が投開票後の集会を開くための会場にしていた場所はコンヴェンションセンターでした。そこは天井が高くてガラス張りでした。これは、「ガラスの天井(グラス・シーリング、女性は目に見えない壁に阻まれて社会的に上昇できない)を打ち壊す日」を意味するための会場選びだったそうです。しかし、それも今や幻のように消え去りました。アメリカの有権者は、「ヒラリーが女性だから」という理由で彼女を選ばなかったのではないし、女性は大統領にふさわしくないなどとも考えていないでしょう。ヒラリー個人がふさわしいかどうかの判断でありました。彼女の選対は約500億円の政治資金を集めました。トランプの倍です。それでも選挙に勝つことはできませんでした。

 

 私は選挙速報を見ながら、ヒラリー側は関ヶ原の西軍側、石田光成のような気持だったのではないかと思います。軍勢の数や布陣で言えば圧倒的に有利(明治時代に関ヶ原の戦いの布陣図を見たドイツ軍参謀本部の将校は西軍勝利と言ったそうです)だったのに、負けてしまった、それに近いものがあると思います。また、私はトランプを応援していましたから、何となく2009年の日本の政権交代、民主党勝利を思い出していました。

 

 私は2016年11月7日付のブログで、ヒラリーが316、トランプが222で、ヒラリーが当選すると予測しました。これは見事に外れました。現在の情勢では、この数字がほぼ逆で、トランプが勝利ということになるでしょう。私の未熟さと無能さのために、このような恥ずかしいことになったと反省しています。そして、どうしてこうも大きな外し方をしたのか、ということを考えたいと思います。

 

 まず、私の判断材料は世論調査の数字とアメリカのメディアの記事だけでしたが、世論調査が「世論」を反映していなかったということが挙げられます。現実を反映しない世論調査の数字は役に立たないどころか害悪です。世論調査をはじめとする統計調査ではどうしても誤差が出てきますし、今回の場合は激戦州での世論調査で1、2ポイントの差、もしくは引き分けということもあって読みづらいものでした。更には、日本でも一部報道されたそうですが、「隠れトランプ支持者」と呼ばれる、世論調査には出てこないトランプ支持者が多かったということがあるようです。

 

 次に中途半端な経験から、五大湖周辺のラスト・ベルト、ペンシルヴァニア、オハイオ、ミシガン、ウィスコンシンは民主党が連勝しているし、ヒラリーが世論調査の数字で数ポイント分リードしているから、ヒラリーだろうと安易に判断してしまいました。オハイオは最後の方はトランプがヒラリーを追い抜いていましたから、トランプが取るだろうと思っていました。私が7日付のブログで書いた、「こうなったら面白いシナリオ」は、フロリダとノースカロライナをトランプが取ったら、ヒラリーとは接戦になるというものでした。しかし、ヒラリーがペンシルヴァニア、ミシガン、ウィスコンシンを落としたために、接戦とはならず、トランプが300以上を取る結果になりそうです。ラスト・ベルトの大学教育を受けていない白人労働者たちがヒラリーではなく、トランプを支持した、「トランプは俺たちの仲間だ」ということになりました。

 

 ラスト・ベルトが決戦場だということは分かっていましたが、別の点では安易に考えていたために、失敗を犯しました。反省しています。

 

 トランプはポピュリズムのリーダーとして、初めてワシントンに行きます。ウィリアム・ジェニングス・ブライアンやヒューイ・ロングが果たせなかったことを果たしました。映画「スミス都に行く」をもじると「トランプ都に行く」となります。彼はまず連邦政府と共和党の変革を強く求めるでしょう。もちろん、妥協するところも出てくるでしょうが、オバマの「チェンジ」とは異なるポピュリズムによる「革命」をおこすことになるでしょう。外交・防衛政策分野ではネオコン系や人道的介入主義派は一掃されるでしょう。

 

 経済政策は保護主義的になるでしょうし、ポピュリズムですから弱者保護(福祉)も行うでしょう。そうなると、これまでの「共和党=金持ちのための党、民主党=貧乏人のための党」という単純な図式は崩れていくでしょう。私が忘れられないのは、第3回目の討論会で、司会者が「両候補の政策を実行すると、国債のGDP比で言うと、クリントン候補が●●%、トランプ候補が▲▲%になりますね」と言ったことです。この時、ヒラリーよりもトランプの方の数字が大きかったのです。これは、トランプが言葉は悪いですが、ばらまき政策をやることになるということです。この点で、共和党伝統の「国債を減らして、均衡財政を行う」という考えとは全く異なりますから、共和党がトランプという指導者の出現で、変質していく可能性があります。

 

 今回の選挙では私は予測を外すという恥ずかしい失態をしました。人間は失敗をすることで学ぶことができるということもありますが、やはり失敗はできればしない方が良いものです。このことを糧にして精進してまいりたいと思います。

 


(終わり)









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 古村治彦です。

 

 アメリカの歴史学者で、トランプ勝利をずっと唱えている人がいます。ワシントンにあるアメリカン大学の歴史学教授アラン・リクトマンです。リクトマンは予測のために、13カ条からなるポイントフォームを作り、そのうちの6個以上で不利となれば、現職大統領(現職大統領が属している政党の候補者)が負ける(相手が勝つ)と予測しています。

 

 リクトマンによると、「オバマ大統領が現職大統領として選挙に出られないこと、2014年の中間選挙では共和党が勝利したこと、オバマ政権2期目で外交政策と軍事政策で大きな成功がなかったこと、ヒラリー・クリントンにカリスマと国家的ヒーローの資格が欠如していること」で民主党のヒラリー・クリントンに不利な状況にあり、更に、民主党に対する不満がリバータリアン党への支持に向かっていると述べています。

 

 このような状況下、ヒラリーの側近フーマ・アベディンと別居中の夫アンソニー・ウェイナー元連邦下院議員のパソコンから機密情報を含む可能性があるEメールが押収されました。ウェイナーは未成年にわいせつな写真をスマートフォンから送り、その中に幼児である息子が写りこんでいたということで、捜査を受けています。その捜査の過程で、彼のパソコンが押収され、そこに妻アベディンのEメールもあったということのようです。

 

 これによってFBIが再捜査ということになり、ヒラリーにとっては大きなダメージとなります。これによってリクトマン教授の予測も変更されることなく、「トランプ勝利」で固定化されるのではないかと思います。

  

(貼り付けはじめ)

 

30年に渡って選挙を正確に予測した大学教授:トランプが勝つだろう(Prof correct on 30 years of elections: Trump will win

 

マーク・ヘンシュ筆

2016年10月28日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/303239-prof-correct-on-30-years-of-elections-trump-will-win

 

1984年の大統領選挙から30年に渡って、アメリカ大統領選挙の結果を正確に予測してきた大学教授がいる。この大学教授は、今年の選挙はドナルド・トランプが勝利するという予測から撤退していない。

 

アメリカン大学の歴史学教授アラン・J・リクトマンは金曜日の『ワシントン・ポスト』紙に掲載されたインタヴューの中で、「接戦にはなるであろうが、いくつかの重要な要素はまだトランプ勝利を示している」と語っている。

 

リクトマンはワシントン・ポスト紙に対して、現在ホワイトハウスを押さえている民主党について13カ条の文言について「真偽」を決めるシステムで結果を予測していると述べた。

 

リクトマンは、この13カ条の内6カ条以上が偽になった場合、現職の方の政党が選挙に負けることになると語った。

 

リクトマンは2016年の選挙について、「早い段階では私が考える要素は民主党にとって決定的ものではなかったのですが、選挙が近づくにつれて6番目の要素が民主党に偽となり、不利になったのです」と語った。

 

リクトマンは、この決定的な要素とは、第三党の候補者の強さであると述べている。リバータリアン党のゲーリー・ジョンソンは、現在の世論調査の結果を基にすると、5%以上の得票率を見込める。

 

リクトマンは、「この数字は現在ホワイトハウスを押さえている民主党に対する人々の不満を明確に表しているものです。予測はとても難しいのですが、現職大統領が所属する民主党に不利となる6つの重要な要素があるのです」と語った。

 

リクトマンのシステムで、民主党に不利になっている要素は他に次のようなものがある。オバマ大統領が現職大統領として選挙に出られないこと、2014年の中間選挙では共和党が勝利したこと、オバマ政権2期目で外交政策と軍事政策で大きな成功がなかったこと、ヒラリー・クリントンにカリスマと国家的ヒーローの資格が欠如していること、である。

 

リクトマンは、先月の別のインタヴューでもトランプ勝利を予言していた。そして、彼は最近になっても彼の作ったシステムによって、トランプ勝利と予測している。しかし、この予測も2つの要素によって変更されることもある。

 

リクトマンはリバータリアンのジョンソンの世論調査の数字について、「ジョンソンの得票率が5%以下となるようなら、予測を変更することになるでしょう」と述べた。ジョンソンの得票率が低下することは、民主党にとって不利となる要素が除去されることになるのだ。

 

「2つ目の要素はドナルド・トランプです。私はトランプほどの歴史上他に類を見ない、あしき前例となり得る、危険な候補者を見たことがありません。彼は歴史のパターンを変化させる可能性があります。彼は1860年のエイブラム・リンカーン大統領当選以来の選挙のパターンを変えてしまうかもしれません」とリクトマンは述べた。

 

投開票日まで2週間を切った段階で、全国規模と各州での最近の世論調査の結果では、ヒラリーとトランプとの間の差は縮まっている。それでもヒラリーはほとんどの激戦州でリードを保っている。

 

(貼り付け終わり)




(終わり)







 
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古村治彦です。

 

2015年から始まりましたアメリカ大統領選挙もいよいよ投開票日を迎えました。今回の大統領選挙は、ドナルド・トランプというこれまでにないタイプの人物が出馬、快進撃で共和党の予備選挙を勝ち抜き、共和党の大統領選挙候補者となりました。

 

民主党のヒラリー・クリントンは盤石の体制で、スタッフと資金の面で圧倒するはずでしたが、自身の問題、Eメール問題とクリントン財団の問題、健康問題があり、最後までアップアップしながら選挙戦を何とか戦い抜きました。

アメリカ国内は東部と西部で3時間の時差があります。また、アメリカは夜遅くまで開票所が開いていますので、西海岸で選挙が終わるのがだいたい日本の明日のお昼頃です。既に東部の州ではその頃開票作業が始まっていますから、だいたいお昼ごろには選挙の大勢が判明すると思います。それは、後述するように、今回の選挙のカギを握る各州は東側に多く存在しているからです。

アメリカ大統領選挙は、各州で割り当てられた選挙人を奪い合う選挙になります。一般投票で一票でも多く獲得した候補者がその週に割り当てられた選挙人を全て取ることになります(メイン州とネブラスカ州は例外)。選挙人は各州の自治と独立の意識が高く、まず各州の代表を決めるということになっているからですし、昔は各州で名望家たちが州代表として選ばれて、大陸を横断するような苦しい旅行をして大統領を選びに行くという制度であった名残りです。

 

 選挙人数は全部で538名、過半数は270名となります。270名を獲得した候補者が勝利者となります。選挙人は各州の人口を勘案して割り当てられています。

 
現在のところ、私が考えるヒラリー、トランプが獲得確実な州の地図は以下の通りです。


20161108presidentialelectionmypredictionmap001
 
 

カギを握るのは、接戦となって予断を許さない状況になっているニューハンプシャー州(4名)、ノースカロライナ州(15名)、フロリダ州(44名)、ペンシルヴァニア州(20名)、オハイオ州(18名)、ネヴァダ州(6名)です。これらの合計92名を除いて、ヒラリー、トランプそれぞれが獲得確実な票を合計すると、ヒラリー:248名、トランプ:198名となります。

 

①6州全部をヒラリーが制した場合:340対198でヒラリー勝利。2012年のオバマ大統領の波の獲得選挙人数となる。

 

②6州全部をトランプが制した場合:290対248でトランプ勝利。トランプが勝つなら接戦という予測通りの結果(これ以上の数字での勝利はないので)。

 

ということになります。

 

アメリカ時間の日曜日(日本時間の月曜日)にジェイムズ・コミーFBI長官が、10月28日に連邦議会に提出した書簡で示唆したEメール問題の再捜査について、「新しい証拠は見つからなかったので、7月に刑事訴追すべきでないという結論を出したがそれに変更を加えない」ということを発表しました。これで最終的には流れはヒラリーに行くことになったと思います。

 

アメリカ時間の日曜日(日本時間の月曜日)にジェイムズ・コミーFBI長官が、10月28日に連邦議会に提出した書簡で示唆したEメール問題の再捜査について、「新しい証拠は見つからなかったので、7月に刑事訴追すべきでないという結論を出したがそれに変更を加えない」ということを発表しました。これで最終的には流れはヒラリーに行くことになったと思います。

 

ヒラリーは既に248名を確保していますから、270名まで残り22名、フロリダ州かペンシルヴァニア州を押さえたらほぼ勝ちは見えてきます。ネヴァダ州でもヒラリーが有利となっていますから、かなり有利です。一方、トランプはどうしてもフロリダ州とノースカロライナ州を取らないと、勝負になりません。この2つを取るということはかなり厳しい状況です。この第一段階がかなり厳しいし、第二段階でも、オハイオとニューハンプシャーを両方取ることもまたかなり厳しいのです。そう考えると、ヒラリーが322名、トランプが216名獲得で、ヒラリー勝利という結果になる確率が高いものと思います。322という数字は過半数270を52超えていますから、多少ブレはあっても、ヒラリーの優位は変わらないと思います。

20161108presidentialelectionmypredictionmap003

 

次に私がこうなったら面白いというシナリオを今から書いていきたいと思います。最後の最後の世論調査の結果でも上記のカギを握る州ではそれぞれ、ヒラリーとトランプの差が1、2ポイントで誤差の範囲内ということになっており、ヒラリー有利、トランプ有利と出ていても、どちらに転ぶかはもう分かりません。
 
 

①トランプはノースカロライナとフロリダ、ネヴァダを制することで50名の選挙人を獲得となり、ヒラリー248名、トランプ248名と並ぶ。トランプがフロリダ州を落とすと他で勝っても過半数の270名には届かない。

20161108presidentialelectionmypredictionmap004
 
 

②トランプにとっては、フロリダ州は必ず取らねばならない州。ここを落としたら選挙の結果はヒラリー勝利で決定してしまう。フロリダ、ノースカロライナ、ネヴァダ州全てを取って、獲得基礎人数で並ばねばならない。トランプがフロリダ州を獲得して、ノースカロライナ州を落とした場合、ヒラリー263対トランプ233となり、ヒラリーが圧倒的有利となる。だから、トランプはどうしてもノースカロライナ、フロリダ両方を取って、ヒラリー248名、トランプ248名で並ばねばならない。ネヴァダ州だけ落とした場合は、ヒラリー254名、トランプ242名となって、接戦となる。

20161108presidentialelectionmypredictionmap005
 

 

③ヒラリーとトランプが248名で並ぶ、もしくはヒラリー254名、トランプ242名という状況になったら、決戦場はペンシルヴァニア(20名)、オハイオ(18名)、ニューハンプシャー(4名)となる。

 

④ヒラリー(248名)、トランプ(248名)がそれぞれペンシルヴァニア、オハイオ両方(38名)を獲得したら、合計が286名となってその時点で勝利が決まる。ネヴァダをトランプが落とした場合でも、これは変わらない。

 
⑤トランプがネヴァダを落として、ヒラリー254名、トランプ242名となった場合、ヒラリーがオハイオ、ペンシルヴァニアのどちらかを取ったら、270名を超えるのでヒラリー勝利となる。

20161108presidentialelectionmypredictionmap007
 

 

⑥ヒラリー、トランプが248名ずつだった場合、それぞれオハイオ、ペンシルヴァニアを分け合った場合は、268対266となる。

 

⑦そしてニューハンプシャー州の結果次第となる。ペンシルヴァニアを取った方がニューハンプシャーも取ったら、合計272名で勝利、オハイオ州を取った方がニューハンプシャーを取ったら、270名で勝利ということになる。

 

⑧現在の情勢では、オハイオ州はトランプ有利、ペンシルヴァニア州はヒラリー有利となっている。もし、前述のシナリオ通り(ヒラリー248名、トランプ248名)に進んだ場合には、ヒラリー:268名、トランプ:266名となる。最後の最後で選挙結果を決定するのは、ニューハンプシャー州の4名ということになる。

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⑨ニューハンプシャー州の情勢は全くの五分と五分。ただ、若干ヒラリーがリードと数字も出ている(誤差の範囲内)なので、ヒラリーが勝つ可能性が高い。

 

⑩トランプがニューハンプシャー州勝負にまで持ち込むことができる場合は、ほぼ全米でトランプ支持が伸びている時だろうから、トランプの勝利の可能性もある。

 

以上が、私が楽しみにしているシナリオです。しかし、このシナリオのためには、トランプがフロリダ、ノースカロライナ、オハイオを獲得することが条件となるので、かなり厳しいと思われます。これをクリアできるとしたら、情勢はトランプ有利となっているでしょうから、トランプが最終的に勝利することになるでしょう。

 

どのような結果になるでしょうか。当たるも八卦、当たらぬも八卦と申します。皆さん、寛大な心でご寛恕をいただけますように宜しくお願い申し上げます。

 

(終わり)









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