古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ヒラリー・クリントン

 古村治彦です。

 

 アメリカの女優スーザン・サランドンがイギリス紙『ザ・ガーディアン』のインタヴューに応じ、「ヒラリーが大統領になっていたらとっくに戦争になっていた」「彼女は危険だ」と発言したという内容の記事をご紹介します。

 

 スーザン・サランドンはアカデミー賞も受賞した名優で、民主党支持です。ハリウッドの俳優の多くが民主党支持ですが、彼女の場合は民主党内のリベラル派で、反エスタブリッシュメント派です。そして、ヒラリーが危険であることを正確に見抜いていることで称賛に値する人物です。

 

 アメリカのメディアでは連日トランプの一挙一投足を取り上げ、批判していますが、サランドンは「ヒラリーが大統領になっていたとしても、物事がよりスムーズに進むことはなかっただろうし、とっくに戦争になっていただろう」と発言しています。

 

 ヒラリーが大統領になっていたらシリア内線と北朝鮮問題が現在よりもより深刻な状況になっていたでしょう。そうした状況になるということは、アメリカとロシア、中国との関係がより険悪になっていたということです。そうなれば世界はもっと不安定で、どこでその破綻がより大きな紛争につながったことか想像の域を出ませんが、ヒラリーが大統領になっていれば、最悪、アメリカ軍は今頃シリアと朝鮮半島で屍を晒していたことでしょう。

 

 北朝鮮情勢は不透明ですが、アメリカの北朝鮮攻撃が起きるのではないかという可能性が高まっているように感じられます。来年の今頃はいったいどうなっているだろうか、と考えると、もしかすると北朝鮮国内で金正恩体制が崩壊し、漸進的な民主化と国土再建が進んでいることがあるかもしれません。

 

(貼り付けはじめ)

 

スーザン・サランドン:ヒラリー・クリントン大統領であっても「スムーズにはいかなっただろう」(Susan Sarandon: ‘It wouldn’t be much smoother’ with Hillary Clinton as president

 

ジュリア・マンチェスター筆

2017年11月26日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/in-the-know/in-the-know/361873-susan-sarandon-it-wouldnt-be-much-smoother-with-hillary-clinton

 

女優スーザン・サランドンは日曜日に出されたインタヴューの中で、トランプ大統領ではなく、ヒラリー・クリントン大統領であったとしても、「物事はトランプ大統領よりもスムーズに進まなかっただろう」と述べた。また、ヒラリー・クリントンについて「危険だ」と発言した

 

サランドンは『ザ・ガーディアン』紙のインタヴューの中で、「物事はスムーズではなかっただろう。私たちが認識していないのだが、オバマ政権下でどうであったをよく考えてみればわかる」と述べた。

 

サランドンは次のように語った。「私はヒラリー・クリントンが大変危険だと確信していた。彼女が大統領になっていたとしても、私たちは分裂したままであっただろうし、戦争に突入していたことだろう」。

 

サランドンは2016年の米大統領選挙期間中、ヒラリー・クリントンを厳しく批判した。

 

サランドンはリベラルである。2016年6月、サランドンは、ヒラリー・クリントンの外交政策は、トランプの政策に比べて、より大きな国家安全保障上のリスクをもたらすと確信していると述べた。

 

しかし、今回の『ザ・ガーディアン』紙のインタヴューの中で発言内容は少し後退しているように思われる。

 

インタヴューの中で、サランドンは「私の発言の趣旨は正確に伝えられていないが、私の発言が引用されることには気にしない」と述べた。

 

サランドンはバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の熱心な支持者である。また、サランドンは米大統領選挙期間中、民主党のエスタブリッシュメントに対して激しい批判を浴びせた。

 

サランドンは大統領選挙直前、民主党全国委員会を激しく批判し、民主党全国委員会は「徹底的に汚れている」と発言した。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







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 古村治彦です。

 

 昨年の大統領選挙で民主党は負けるべくして負けた、ということを暴露した民主党全国委員会前暫定委員長ドナ・ブラジルですが、さらにメディアに出て、ヒラリー選対に対する攻撃を強めています。ヒラリー選対のスタッフだった94名が公開書簡で、ブラジルを批判したことに対して、テレビ番組のインタヴューで、彼らに対して「地獄に落ちろ」と言い、「カルト集団のようであった」と発言しています。

 

 ブラジルは、民主党の大統領選挙予備選挙がヒラリーに有利になるように捻じ曲げられていたわけではない、民主党全国委員会が独自に行動することが出来ないように、ヒラリー選対、ヒラリーの資金集め団体との間で合意がなされていたと述べています。ブラジルは、ヒラリーを批判しているわけではない、ということを述べています。

 

 しかし、ブラジルの前任の民主党全国委員会委員長だったデビー・ワッサーマン=シュルツやスタッフが、「ヒラリーを勝たせるためにはどうしたらよいか」ということを話し合うためにEメールをやり取りしていたことは暴露されていますから、民主党全国委員会がヒラリー贔屓をしていたことは明らかです。

 

 ブラジルの発言から見て、ヒラリー選対に関しては、ヒラリー本人の問題もさることながら、選対に集まった幹部たちの傲慢ぶりが相当問題になっていたのだろうと思います。現在の日本の状況にも似ています。自分たちが強いと考えて、周囲を威圧する、やりたいようにやる、というのは安倍晋三首相と側近たちのやり方と同じです。そして、周囲がその威圧に恐れをなして、忖度を始める、というところまでそっくりなのだろうと思います。

 

 しかし、傲慢さはいつか敗北を招き入れます。ヒラリーもそうでしたが、安倍首相も最後の大事な場面で敗北し、99勝しながら最後の1敗のためにすべてを失う、と状況になるのではないかと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

ブラジルから批判者たちに対して:「地獄に落ちろ」(Brazile to critics: 'Go to hell'

 

マロリー・シェルボーン筆

2017年11月5日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/358823-brazile-to-critics-go-to-hell

 

民主党全国委員会(DNC)前暫定委員長ドナ・ブラジルは、彼女が民主党全国委員長だった時代に見つけた諸問題について沈黙を守るように求めた人々に対して次のように語った。「地獄に落ちろ」。

 

ブラジルは、ABCの「ディス・ウィーク」に出演し、司会者ジョージ・ステファノポロスに対して次のように語った。「ジョージ、私に黙っていろと言っている人間たちは、数か月前に、ヒラリーに黙っていろと言ったんです。あの人たちに言いたいことがあるかですって?地獄に落ちろ、よ。私は自分の話をこれからもしていきます」。

 

ブラジルは、ヒラリー・クリントン選対、民主党全国委員会、ヒラリーの資金集め委員会連合である「ヒラリー・フォ・アメリカ(HFA)」との間の合意について、著書の中で書き、それからの引用が記事となり、合意内容が紹介された。ブラジルは、ヒラリー選対が「民主党の財政、戦略、集めた資金すべてをコントロール」するようになったと主張している。ブラジルは、合意が署名されたのが2015年8月であったと述べている。これはヒラリーが民主党の大統領選挙候補指名を受けるほぼ1年前のことだった。ブラジルは記事が出た後、テレビ番組に出演し発言を行った。

 

ブラジルは、ヒラリー選対とヒラリーの資金集め委員会連合であるHFAについて次のように書いている。「HFAと財政的な合意は違法ではなかったが、非倫理的だと思われる」。

 

ブラジルの暴露は、民主党内部に混乱を引き起こした。そして、論争を引き起こす諸問題を再燃刺させた。昨年の民主党予備選挙ではヒラリー・クリントンとバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)との間で戦われたが、その公平性について疑問が出ていた。

 

日曜日のテレビ出演の中で、ブラジルはどうして自分が沈黙を保ったままでストーリーを語らないほうが良かったと言われねばならないのか、と反論した。

 

「私はヒラリーに雇用されているわけではないのよ、ジョージ。私は自分の国アメリカのことを心配しています。民主政治体制について心配しています。私は“地獄に落ちろ”と言いますよ。それは、私のストーリーを語れるのは私しかいないのだから」とブラジルは語った。

 

ヒラリー選対のスタッフだった人々はブラジルの暴露に対して反撃し、「私たちは、ブラジルが著書の中で描いた選対の様子が自分たちの選対の様子であることを認識していない」と述べている。

 

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ブラジル:ヒラリー選対は「カルト集団」だった(Brazile: Clinton campaign was a 'cult'

 

レベッカ・サヴランスキー筆

2017年11月8日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/news/359367-brazile-clinton-campaign-was-a-cult

 

民主党全国委員会(DNC)前暫定委員長ドナ・ブラジルは新しいインタヴューの中で、2016年の大統領選挙のヒラリー・クリントン選対は「カルト集団」のようだったと述べた。

 

ドナ・ブラジルは水曜日にMSNBCの「モーニング・ジョー」に出演した。司会者ジョー・スカーボローは、2016年の大統領選挙でドナルド・トランプが勝利を収めた理由として、ヒラリー選対が間違いを犯したこと、ジェイムズ・コミーFBI前長官、ロシアからの影響を挙げた。

 

スカーボローは、「これらの理由が全てあっても、接戦にすらならずにヒラリーが勝利するはずであったと思います」と述べた。

 

そして、スカーボローは次のように質問した。「ヒラリーたちはどうして負けたのでしょうね?結局のところ、傲慢だったということなのかでしょうか?」。

 

ブラジルは次のように述べた。「ヒラリー選対はカルト集団だったんです。カルト集団のように感じました。彼らの中に入っていくことはできませんでした」。

 

ブラジルは自分のことを「草の根のオーガナイザー」であると述べた。

 

「私は、人々が生活し、働き、楽しみ、祈る場所に入っていく方法を知っています」とブラジルは述べた。

 

「私自身に資金と人材を持たなければ、候補者を助けることはできません。党が集めた資金と人材を使うことが出来なければ何も出来ません」とブラジルは続けて述べた。

 

今月に入って受けた別のインタヴューの中で、ブラジルは、2016年の大統領選挙の民主党予備選挙が捻じ曲げられていたことを示す「証拠は見つけられなかった」と述べた。

 

「私が見つけることが出来たと述べたのは、民主党全国委員会が自分たちの作戦を実行することを妨げる内容のメモでした。癌だけど致命的なものではないでした」とブラジルは述べた。

 

ブラジルの著作からの引用が記事として紹介されて以降、ブラジルのメディア出演と過激な発言が続いている。ブラジルは著書の中で、ヒラリー選対、民主党全国委員会、ヒラリーの資金集め委員会連合の間で、選対が「民主党の財政、戦略、集めた資金すべてをコントロールする」という合意が成立し、その内容を記したメモを発見した、と書いている。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


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 古村治彦です。

 

 前回、掲載した民主党全国委員会暫定委員長を務めたドナ・ブラジルの最新刊に関する報道が続いているようです。今度は『ワシントン・ポスト』紙が発売前の本を手に入れ、記事にしています。

 

 本の中で、ブラジルは民主党全国委員会委員長の権限として、大統領候補をヒラリー・クリントンからジョー・バイデンに交代させることを考慮したと書いているということです。その理由として、ヒラリーは熱意を持っていたが、選対幹部に熱意はなかった、また、ヒラリー選対の幹部たちが自分(ブラジル)を奴隷のように扱い、敬意を払わなかったということを挙げています。

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ドナ・ブラジル 

 ブラジルは、ヒラリー・クリントン勝利のために民主党予備選挙を捻じ曲げたデビー・ワッサーマン=シュルツの後任として暫定委員長となりました。ブラジルは民主党全国委員会について調査をし、ヒラリー・クリントンが有利になるようにしていた証拠を発見し、また、ヒラリー選対からは奴隷のように扱われたということを暴露しています。また、ヒラリーでは労働者階級から投票を期待できない(民主党の本来の支持基盤であるはずなのに)、ということをブラジルが認識していたということも分かりました。

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 私は民主党内部がここまでボロボロで、ヒラリー選対がそこまで腐っていたのかということに今更ながらに驚きを隠せません。ブラジルという人物は立派な人で、立派な民主党員であるのに、敬意も払わらずに、傲慢であったということは問題ですし、ヒラリー選対が口では綺麗ごとを述べながら、一番身近な黒人女性であるブラジルに「自分を鞭で打たれる奴隷少女のように扱うな」と言わせてしまうところに馬鹿らしい矛盾があり、ヒラリー陣営は敗れるべくして敗れたのだということが改めて明らかになりました。

 

 ブラジルはヒラリーに対して、というよりも選対幹部たちに対して批判的です。彼らはアメリカの一流大学を卒業した、若くて優秀な人々でした。しかし、彼らは選挙において必要な熱意や人間を遇する方法を知らなかったためにヒラリー落選という結果をもたらしてしまいました。

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ヒラリー選対 

 私はデイヴィッド・ハルバースタムの名著『ベスト・アンド・ブライテスト』を思い出します。この本は、アメリカ最高の頭脳がアメリカ政府に結集しながら、ヴェトナム戦争でアメリカは敗れてしまう、という内容です。エリートが陥りやすい落とし穴というものがあり、本来は労働者やマイノリティのために戦うべき民主党が、エリートたちのための党になってしまい、それが民主党の、ヒラリーの敗北をもたらしたということなのだろうと思います。ここから民主党が持ち直すには原点回帰ということしかないのだろうと思いますが、それが最も困難なことであろうと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

ブラジルは、「2016年の大統領選挙候補者をヒラリー・クリントンからジョー・バイデンに交代することを考えた」と語る(Brazile says she considered swapping Clinton for Biden as 2016 nominee

 

マックス・グリーンウッド筆

2017年11月4日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/358775-brazile-says-she-considered-swapping-clinton-for-biden-as-2016-nominee

 

民主党全国委員会(DNC)暫定委員長を務めたドナ・ブラジルは、2016年の民主党の大統領選挙候補者指名を受けたヒラリー・クリントンの指名を取り下げ、ヒラリーの代わりに当時のジョー・バイデン副大統領を指名することを熟考したと発言した。

 

『ワシントン・ポスト』紙が土曜日に今度刊行されるブラジルの最新刊の一部について報道した。この記事の中で、ブラジルは著書で、民主党全国委員会暫定委員長の権限を行使して、労働者階級を熱狂させることができる候補者たち(大統領候補と副大統領候補)を立てることを考えた、と述懐していると報じられた。

 

ワシントン・ポスト紙によると、ブラジルが考えた大統領選挙候補者はバイデンで、副大統領候補はコーリー・ブッカー上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)であったということだ。

 

しかし、最終的にブラジルはこのような変更をしないと決断した。それは、ブラジルが、二大政党で初めての大統領選挙候補者の選挙運動をひっくり返すことなどできないと考えたからだと語っている。

 

「私はヒラリーについて、そして彼女を誇りに思い、熱狂しているアメリカの女性全てについて思いをはせた。この人たちのためにそんなことはできなかった」とブラジルは著書の中で書いている。

 

ブラジルの回顧録『切り刻まれた傷:ドナルド・トランプをホワイトハウスに導いた割込みと崩壊のインサイドストーリー(Hacks: The Inside Story of the Break-ins and Breakdowns that Put Donald Trump in the White House)』は11月7日に発売される。この本の中で、ヒラリー選対は、ヒラリー・クリントン元国務長官を大統領に当選させるために必要な熱意に欠けていた、とブラジルは書いている。

 

ヒラリー・クリントン選対の上級幹部たちはブラジルに尊敬の態度を示さなかった、また、有権者の動員を促進するための必要な資金を民主党に供給することを拒否した、と民主党に長年属しているヴェテランのストラティジストであるとブラジルは述懐している。

 

ブラジルはヒラリーに対しておおむね好意的に書いている。しかし、ブラジルは、ヒラリー・クリントン選対は、ヒラリーを当選させようとする熱意に欠け、ヒラリーを落選に導いた数多くの間違いを犯した、と書いている。ブラジルは、ヒラリー・クリントン選対のニューヨーク市ブルックリンに構えた本部を「人が亡くなっていく」病院のようだ、と考えていた、とワシントン・ポスト紙は報じている。

 

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ブラジルは、ヒラリー・クリントン選対が自分のことを「鞭を打たれる奴隷の少女」のように扱ったと批判(Brazile hit Clinton campaign for treating her like a ‘whipping girl’

 

マックス・グリーンウッド筆

2017年11月4日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/358777-brazile-hit-clinton-campaign-for-treating-her-like-a-whipping-girl

 

民主党全国委員会暫定委員長(DNC)を務めたドナ・ブラジルは、ヒラリー・クリントン選対の幹部たちから奴隷のように扱われ、それに対して、あなたたちの「鞭を打たれれる奴隷の少女」のように扱われるためにここにいるのではない、と語ったと著書の中で書いている。

 

「ワシントン・ポスト」紙は土曜日、ブラジルの最新刊『切り刻まれた傷:ドナルド・トランプをホワイトハウスに導いた割込みと崩壊のインサイドストーリー(Hacks: The Inside Story of the Break-ins and Breakdowns that Put Donald Trump in the White House)』からの引用を記事にして報じた。ワシントン・ポスト紙は発売前の本を手に入れたということだ。

 

回顧録の中で、ブラジルは、ヒラリー・クリントン選対の幹部チャーリー・ベイカー、マーロン・マーシャル、デニス・チェンとのやり取りを書いている。ブラジルは、ドラマ映画「それでも夜は明ける(12 Years a Slave)」に出てきた奴隷の少女のように扱われた、と述べている。

 

ブラジルは、「それでも夜は明ける(12 Years a Slave)」でルピタ・ニョンゴが演じたパッツィーを自分になぞらえた。そして、ヒラリー選対の幹部たちに対して次のように言ったと書いている。「私は“奴隷のパッツィー”ではないのよ。あなたたちは私を鞭打ち続けている。それに対して、出すと約束している資金を出さないし、私に仕事をさせない。私は、鞭を打たれる奴隷少女になるつもりはないの!」と言ったと書いている。

 

ワシントン・ポスト紙によると、ブラジルは著書の中で、ヒラリー・クリントンが意欲のある候補者であったが、ヒラリー選対には彼女を当選させるための必要な熱意と気持ちに欠けていたと書いている。

 

ブラジルは、ヒラリー選対が民主党全国委員会の行う有権者動員策に対する資金を提供せず、自分のことを尊敬もって扱わなかったと書いている。

 

ブラジルは著書の中で、彼女は怒りを感じながら、ヒラリー選対の幹部たちに対して、民主党全国委員会委員長の権限として、必要と感じたら候補者を後退させることもできるのだと述べたと書いている。ある時点で、ブラジルはヒラリー・クリントンと副大統領候補ティム・ケイン連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)を、ジョー・バイデン副大統領(当時)とコーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)に交代させることを考慮したと書いている。

 

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 古村治彦です。

 

 昨年の大統領選挙で民主党の予備選挙がゆがめられたものだったという内部告発がなされました。具体的にはヒラリー・クリントンに有利になるように仕向けられていた、その証拠があるというものです。この内部告発を行ったのは、ドナ・ブラジルという人物で、昨年、民主党全国委員会暫定委員長を務めました。

 

 昨年の民主党大会(ヒラリーが予備選挙で勝利して大統領選挙候補者指名を受ける大会)の前、民主党全国委員会の当時の委員長デビー・ワッサーマン=シュルツやスタッフがやり取りしたEメールがハッキングされ、流出しました。そして、その中に、「ヒラリーを勝たせるにはどうしたらよいか」ということを話し合う内容が含まれていました。これが大問題になり、ヒラリーの対抗馬だったバーニー・サンダースを支持する人々が抗議活動を展開し、デビー・ワッサーマン=シュルツは委員長を辞任しました。そして、後任で暫定委員長となったのがブラジルです。


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ワッサーマン=シュルツ(左)とブラジル

 ブラジルは、本を出版することになり、その内容に、昨年の大統領選挙予備選挙でヒラリーが有利になるように仕組まれていたということを示す証拠がある、ということを書いています。彼女は暫定委員長として、民主党全国委員会の内部について調査をする仕事をし、その結果として、予備選挙がゆがめられていたということを示す証拠を見たと書いています。

 

 具体的には2015年8月に、民主党全国委員会、ヒラリー・クリトン選対、ヒラリー・クリトン資金集め委員会連合の間で合意が締結・署名され、それによって、ヒラリー選対が資金不足に苦しんでいた民主党全国委員会に運営資金を提供する見返りに、民主党の財政、戦略、集めた資金すべてをコントロールする、というものでした。民主党は2012年のオバマ大統領の再選のために多額の負債を抱えていたという話は初耳で驚くばかりです。

 

 これでは、民主党が「ヒラリー・クリトン党」になるのと同じです。本来は公平な予備選挙を実施すべき全国委員長デビー・ワッサーマン=シュルツが率先してヒラリーに肩入れをしていたのも当然の帰結です。

 

 今回、このような暴露がなされたことで、ヒラリーの再登板の目はなくなりました。落選後、全国を回って、自分は悪くない、悪いのはCIA長官だったジェイムズ・コミーや対抗馬だったバーニー・サンダース、バラク・オバマ大統領、ジョー・バイデン副大統領、そして民主党全国委員会だと悪口を言い続け、トランプ大統領に対するロシアゲート問題に対して、「私の本を読めばもっとわかる」などとうそぶいていました。しかし、「お前がそもそもフェアな戦いをしないようにしていたのではないか、それで負けたら世話ないわ」ということになって恥をかきました。

 

 ドナ・ブラジルは汚れきっていない民主党員なのでしょう。彼女によってヒラリーのあくどさが暴露されました。これは民主党にとっては大きな痛手となりますが、「膿を出し切って再生の道を進む」ためには必要なステップということになるでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

ブラジル:クリントンが大統領候補指名プロセスをゆがめた「証拠」を見つめて「心が傷ついた」(Brazile: ‘Proof’ that Clinton rigged nomination process ‘broke my heart’

 

マロニー・シェルボーン筆

2017年11月2日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/358390-brazile-proof-that-clinton-rigged-nomination-process-broke-my-heart

 

民主党全国委員会(DNC)暫定委員長を務めたドナ・ブラジルが本を出版した。この最新刊の中で、ブラジルは、ヒラリー・クリントン選対が民主党の大統領候補指名システムにおいて、ヒラリーが有利になるようにしたことを示す証拠(とブラジルが主張している)を見つけた時「心が傷ついた」と書いている。

 

ブラジルの最新刊『切り刻まれた傷:ドナルド・トランプをホワイトハウスに導いた割込みと崩壊のインサイドストーリー(Hacks: The Inside Story of the Break-ins and Breakdowns that Put Donald Trump in the White House)』からの引用が『ポリティコ』誌に掲載された。この記事の中で、ブラジルは、ハッキングされたEメールが流出し、その中でクリントン陣営が大統領候補指名をゆがめたことが示唆されており、自分が暫定委員長になったのはこのことを調査することが責務であったと書いている。

 

ブラジルは、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に言及する際に、「9月7日に私はバーニー(・サンダース連邦上院議員)に電話を掛けた。この日までに私は証拠を見つけ、心が大きく傷ついていた」と書いた。

 

ブラジルは、クリントン陣営、民主党全国委員会、そしてクリントンの資金集め委員会連合との間に結ばれた合意について書いている。ブラジルによると、この合意は、「クリントン選対が党の財政、戦略、集めた資金全体をコントロールする」という内容であった。この合意内容によって、民主党は財政的に助けられた。ブラジルによると、2012年のバラク・オバマ大統領の再選のための活動で民主党は大きな負債を抱えることになったので、この合理はありがたいものであった。

 

ブラジルは「クリントン選対は民主党全国委員会の延命を行った。選対は民主党全国委員会の月々の最低限の必要経費分の資金を提供してくれた。一方、クリントン選対は民主党を資金集めのための情報センター・手形交換所として使った」と書いている。

 

ブラジルは、この合意は2015年8月に締結されて署名されたと書いている。ヒラリー・クリントンが民主党の指名を受けるほぼ1年前から、民主党はヒラリー・クリントンのコントロール下にあった。

 

ブラジルは「合意内容は、違法ではないが、倫理的ではなかったのは確かだ」と書いている。

 

「選挙運動を公平なものにしようとするならば、有権者がどちらに指導者になって欲しいかを決定する前に、一方の選対が党をコントロールするようなことを起こしてはならない。これは刑法上の犯罪行為ではないが、私の考えでは、これは党の誠実さを損なうものであった」とブラジルは書いている。

 

ブラジルの暴露は、サンダースの支持者たちの批判の列に加わるものだ。サンダースは民主党の予備選挙でヒラリーに対抗して出馬し、指名を得ることができなかった。

 

ブラジルは、自分よりも前に民主党全国委員会委員長を務めたデビー・ワッサーマン=シュルツ連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)を批判している。ブラジルは、デビー・ワッサーマン=シュルツが、「暫定委員長の役割は党をコントロールしないことで、素晴らしい管理者である必要などない」と述べた、と批判している。

 

「党の委員長というものは、大統領選挙が行われない期間は本部スタッフを縮小するものだ。しかし、デビー(・ワッサーマン=シュルツ)はそうしないという選択を行った。彼女は民主党全国委員会からの給与を与えるコンサルタントを多数雇用することにこだわった。そして、オバマ大統領の雇用したコンサルタントの給与も民主党全国委員会から支払われていた」とブラジルは書いている。

 

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ウォーレンは2016年の民主党予備選挙がクリントン有利にゆがめられていたと同意した(Warren agrees that 2016 Democratic primary was rigged for Clinton

 

ブランドン・カーター筆

2017年11月2日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/358514-warren-says-she-agrees-that-2016-democratic-primary-was-rigged-for-clinton

 

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は木曜日、2016年の民主党の大統領選挙予備選挙はヒラリー・クリントン有利にゆがめられていたと確信していると述べた。

 

CNNのジェイク・タッパーがウォーレンに対して、「民主党の予備選挙がヒラリー・クリントンに有利になるようにゆがめられていたと考えているか」と質問され、ウォーレンは簡潔に「イエス」と答えた。

 

タッパーは民主党全国委員会暫定委員長を務めたドナ・ブラジルの最新刊についてウォーレンに質問した。著書の中でブラジルは、ヒラリー・クリトン選対が民主党の予備選挙を自陣に有利になるようにゆがめた証拠を見つけたと述べている。

 

ブラジルの著書の引用は『ポリティコ』誌に掲載された。ヒラリー選対が指名を得るために予備選挙をゆがめようとしたことを示す民主党全国委員会のEメールがハッキングされ流出したあと、自分の仕事は民主党全国委員会を調査することであったとブラジルは述べた。

 

ブラジルは、民主党全国委員会、クリントン選対、そしてヒラリーの資金集め委員会連合との間に合意が結ばれていたことを発見した、とブラジルは語っている。合意内容は、クリントン選対が「民主党の財政、戦略、集めた資金すべてをコントロールする」というものだとブラジルは述べている。合意は、ヒラリー・クリントンが党の指名を受けるほぼ1年前の2015年8月に締結・署名された。

 

ウォーレンは、嫌疑は「本当の問題」であって、民主党全国委員会の新委員長トム・ペレスに対して、民主党の融和と統一に努力するように求めた。

 

「トム・ペレスが民主党全国委員会委員長に選ばれた直後、私は彼と話をしました。この時、私は彼に対して、民主党をまとめて欲しい、すべての人が民主党が民主党員のために働いているという確信を持てるようにして欲しい、民主党員が民主党のために働いていると思わせないで欲しいと言いました。ペレスは今試練を受けている最中なのです」とウォーレンは語った。

 

ウォーレンは続けて次のように語った。「これはトム・ペレスにとっての試練です。バーニー・サンダース、彼の代議員を党の統一過程に参加させて、“これは公平に行われているし、うまくいっている。これは私たちの確信だ”と言ってもらえるか、失敗するか、なのです」。

 

ブラジルは著書の中で、合意について暴露し、「これは違法ではないが、倫理的ではなかったと思われる」と書いている。

 

ブラジルは「これは犯罪行為ではないが、党の誠実さを傷つけるものだと考えている」と書いている。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







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 古村治彦です。

 

 今回は前回に引き続き、ジェイク・サリヴァンについての記事をご紹介します。今回は後半部についてご紹介します。

 

 サリヴァンは、それでもやはりアメリカの偉大さは、海外に介入することである、とい信念を変えていません。アメリカが世界に介入することで、世界を良くするという考えを捨てていません。また、エスタブリッシュメント、エリートとしての態度も崩していません。

 

 しかし、自分は故郷のミネソタ州に帰って、政治家をやるか、地区検事をやるべきではないか、そうすることで人々の声を聞き、生活を目にすることができる、とも考えているようです。彼は新たなエリート像を模索しているようです。

 

 それでも彼はワシントンの重力から逃れることはできず、また、ヒラリーとの関係も着ることができないでいるようです。

 

 サリヴァンは、人道的介入主義派のプリンスとして、これから温存されて、いつか民主党が政権に近づく時には大物となって出てくることになるでしょう。

 

 

(貼り付け終わり)

 

ケンタッキー州の田舎の町で生まれ育ったというある学生がサリヴァンの話に入り、「人口の少ない、飛行機や高速道路で通過するだけの田舎の州の出身ですが、私が一緒に育った人々と同じ考え方をすることは難しいのです」と語った。これを受けて、サリヴァンはアメリカの「拡大しつつある」、「恐ろしい」分裂について話すことになった。

 

この学生の話を受けて、サリヴァンは自分が生まれ育ったミネソタ州のことを思い出した。1989年にベルリンの壁が崩壊した時、サリヴァンは13歳だった。それから数か月後、ソヴィエト連邦の指導者ミハイル・ゴルバチョフは一般的なアメリカ人たちと会いたいと熱望し、サリヴァンの住んでいた、ミネアポリスの近所にやってきた。ソ連首相の車列に対して、ラトヴィア系とエストニア系のアメリカ人たちがバルト三国の独立のために抗議活動をしていた。サリヴァンはこの様子を見て、世界にとってアメリカの存在が重要なのだということを感じ取った。

 

候補者としてのトランプは、アメリカ例外主義という考えを不必要な負担であるとして拒絶した。トランプはテキサス州で開催されたティーパーティーの集会で次のように語った。「アメリカ例外主義は素晴らしい言葉だなどと思わない。私たちは例外で、お前たちはそうではないということだ。私はアメリカがこれまで世界に与えてきたものを取り返したい。私たちはこれまで世界にあまりにも多くを与えてきた」。

 

サリヴァンはトランプ主義に対する対抗手段として、彼がミネソタで感じていた種類のアメリカ例外主義を徹底的に主張することだと考えるようになっている。サリヴァンは次のように語っている。「私たちの国家として持つDNAに基礎を持つ何かしら傲慢な考えが必要となります。DNAは、私たちがアメリカ人としてのアイデンティティを規定するものです。このDNAは人々を奮起させるための武器となります」。

 

しかし、サリヴァンは自分の考えを詳しく語ることに困難を感じた。彼の考えを深めるために、サリヴァンは1890年に軍事戦略家アルフレッド・セイヤー・マハンが発表した難解な論文を読んだ。マハンはアメリカを国際的な海軍強国と形容した。サリヴァンは、歴史家スティーヴン・カインズナーの著書『ザ・トルゥー・フラッグ』を研究した。この著書は、セオドア・ルーズヴェルト、マーク・トウェイン、アメリカ帝国の誕生に関する内容だ。

 

サリヴァンはミネソタやケンタッキーの人々の考えと共鳴すべきという考えを軽視した。サリヴァンは次のように述べた。「アメリカの例外主義は、アメリカは新しいものを生み出し、気候変動、流行病、核拡散といった厳しい諸問題を解決する力を持っているという考えを基礎にしています」。これから数週間後、サリヴァンは、アメリカの例外的な使命は、強力で成長を続ける中間層への関与をしていくということになる、とも述べた。

 

しかし、こうした主張は、何も大きなことではなく、傲慢でもなく、人々を鼓舞するものではない。

 

サリヴァンは、彼が世界における考えを「ミネアポリスの公立高校」で培ったと常に述べている。しかし、サリヴァンは同時にワシントンの排他的な外交政策エリートが作り上げたということも明確だ。

 

アメリカでは党派同士の憎しみ合いが存在しているが、共和党と民主党の国際主義者たちは、彼らは憎しみ合いなどないと訴えてきた。彼らは最大の諸問題について合意していた。:アメリカは世界の中でも特異な道徳的権威を持っており、世界の指導者として特別な責任を担っている、と彼らは考えている。共和党内の外交政策エスタブリッシュメントのほぼ全員はトランプが大統領選挙候補者になることに反対する公開書簡に署名した。

 

サリヴァンはこうしたエリートの最も奥ゆかしい特性を体現した人物と言えるかもしれない。彼は反対者をシャットアウトしないし、ツイートで悪口を言わない。共和党関係者の多くはサリヴァンを称賛している。イランとの合意を激しく批判しているマーク・ダボウィッツは次のように語っている。「サリヴァンは誠実そのものの人物だ。批判すべき点は見当たらないし、彼がどんな問題を持っているかを指摘することもない」。

 

大統領選挙期間中、そして大統領に就任してからも、トランプは外交政策の常識のほぼすべてに挑戦してきた。トランプはアメリカの同盟諸国を口汚く罵り、核不拡散の試みに疑問を呈し、民主的な諸価値、人権、自己利益を基盤として構築されてきたアメリカの外交政策の理想を拒絶した。

 

ワシントン内部からのトランプへの対応は、ワシントン外に広がることはない。ワシントンの外交政策専門たちがティームを組んで、ブルッキングス研究所から発表したレポートの中に次のような一節がある。このティームにサリヴァンも参加した。「私たちは、国際秩序に対してアメリカが行ってきた支援を放棄することは深刻な戦略的間違いであり、これがアメリカをより脆弱により貧しくし、世界をより危険な場所にするだろう、と確信している」。

 

最近まで、サリヴァンはこうした努力の価値と学識について考え込んでしまっていた。長年にわたり、外交政策分野のエスタブリッシュメントは、アメリカ主導の、ルールに基づいた国際秩序の維持の重要性を訴えてきた。この訴えはアメリカ国民のほとんどにとってはよくて意味のないものである。悪くとると、こうした訴えは魂のこもっていないグローバリズムにつながるものである。

 

サリヴァンにとって、エスタブリッシュメントの知的な消耗の衝撃的な具体例は12か国が参加する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が今年の初めにトランプ大統領が公式に廃棄すると発表したことだ。共和党と民主党の国家安全保障問題アナリストたちは長年にわたりTPPをアメリカの国家安全保障と中国封じ込めにとって必要不可欠であると主張してきた。サリヴァンもまたTPPを支持していた。

 

サリヴァンは次のように語った。「こうした専門家のほとんどはTPPの詳細やアメリカ労働者に対するマイナスの影響が出る可能性について関心を払わなかった。エリートたちは、TPPは南シナ海の領海争いのような他の問題にとってプラスの効果があると主張した」。TPPの交渉過程の中で、エリートたちは、彼らが仕え、守ることになっている人々のことを忘れてしまったのだ。

 

サリヴァンは、エリートと一般の人々との間の懸隔は、より大きな問題の前兆だと主張している。

 

サリヴァンは次のような質問をした。「私たちの社会において広がりつつある基礎の部分での分裂が生み出している尊厳、孤立、アイデンティティに関する諸問題を私たちはどのように解決できるだろうか?」。彼は自分のすぐ近くに座っているケンタッキー州出身の学生を見つめた。サリヴァンは続けて次のような質問をした。「私たちが今話題にしている、人々とは切り離された、謙虚な姿勢を持っているエリートになることなしに、この質問をすることは可能なのか、可能ならそれはどのようにしてか?」。

 

この質問は部屋の雰囲気を暗くした。

 

サリヴァンは最近になって、ワシントン、ハーヴァード、イェールといった場所から離れたら、こうした疑問に対してより容易に答えられるだろうと考え始めている。

 

サリヴァンはあるインタヴューで次のように語った。「TPPが南シナ海の紛争を解決するなどという主張は、善良なアメリカ国民にとって価値のある主張ではないのです。ミネソタ、ニューハンプシャー、タルサといった場所にこれから行って住んでみても、これまで手に入れられなかった知恵を急に手にできるなんて思いませんよ。しかし、考え方を身に着けることはできます。自分がしてきた考え方とは異なる考え方をする、これが重要だと思います」。

 

サリヴァンが2005年に連邦最高裁判所事務官の仕事を終えて最初に行ったことは、地元に帰ることであった。この時、ワシントンの大きな法律事務所からは契約金25万ドルでの契約を提示されたが、これを断り、ミネアポリスの法律事務所に入った。この事務所の顧客のほとんどは農業関係や食品産業であった。

 

この当時のことについて、サリヴァンは、ワシントンで政府関係の仕事をするか、ミネアポリスで平凡な生活をするかの分かれ道であったと語っている。「ワシントンでは、仕事が全ての中心です。それはワシントンでの仕事はその人の全てを投入させるハードな内容のものだからです。ミネアポリスでは、仕事は人生の一部に過ぎません」。

 

ヒラリーが国務長官を辞任した2013年、サリヴァンは地元に帰る予定にしていた。彼は、連邦議会の選挙に出馬するか、連邦検事になろうかと考えていた。しかし、オバマ大統領(当時)は、サリヴァンにホワイトハウスで働くようにと説得した。当時、オバマ大統領の首席外交政策補佐官であったベン・ローズは次のように述懐している。「オバマ大統領は、帰るならいつでも帰ることができるじゃないか、と言いました。地元がなくなりはしないだろう、だけど、ホワイトハウスの最高レヴェルで働く機会がそこにあるんだし、その機会が次いつ来るかは分からないじゃないか、ともね」。

 

ホワイトハウスでの仕事を終えても、サリヴァンはワシントンとのつながりを保つことができた、それは、ヒラリー選対を通じて、また彼の妻を通じてであった。サリヴァンの妻は、連邦最高裁判事スティーヴン・G・ブライヤーの秘書官となる予定で、そのため、夫妻は少なくとも来年はワシントンに留まることになるだろう。

 

翌年以降にワシントンを去って、どこか基盤を置ける場所に移り住むというのが次の計画だ。サリヴァンは、結果がより現実的で、即座に出て、手に取ることができる、地域プロジェクトの様なものに関わることを考えている。ミネソタは一つの選択肢であり、妻が育ったニューハンプシャーがもう一つの選択肢だ。

 

もう一つの可能性はワシントンに留まることだ。サリヴァンは「私は人々と実際に会って、過去10年の経験を基にして、これからアメリカがどこに向かうかということを話したいという希望を諦めている状態です」とも語った。

 

サリヴァンのレヴェルの人物で、ワシントンを去るとか地元に帰るという選択をすることはほぼないことだ。問題はより複雑なものだ。お金の面は心配ないのだ。アジアのある国は、最近、サリヴァンの2日間の訪問に2万5000ドルを提示した。

 

彼はこの提示を断る前に、「よく分からないが、そんなものなのかな?」と考えたことを覚えている。

 

イェールの学生たちの心配は、サリヴァンの考えとは全く反対の方向に向かっていた。彼らは、トランプ大統領のいるワシントンで彼らにとって魅力的な機会が今でも残っているのかということを懸念していた。

 

ある学生は、最近発表され、評判を呼んだ『フォーリン・ポリシー』誌の記事を要約しながら、「これは、テクノクラシーとエリートに対する不吉な鐘の音ということになるのでしょうか?」と質問した。

 

サリヴァンが答える前に、別の学生が次のように言った、「東海岸のエリート2.0となるか、私たちは全員終わりとなるか、ということだね」。

 

ワシントンや学界の一部に蔓延している滅亡するという予言にサリヴァンは与しない。サリヴァンは学生たちに、トランプは彼が選び出したワシントンのエリートに依存しているのだ、と語った。トランプ大統領は外交政策を実行するのに将軍たちに頼り切っているし、政権内部は大富豪たちに掌握されていると語った。サリヴァンは、「ゴールドマンサックスが我が国の経済政策を遂行している。専門性と言うのは常に求められるものだよ」。

 

サリヴァンと学生たちの集まりも終わりに近づいた。夜は深まった。彼の皿の上に置かれたピザは冷たくなっていた。

 

サリヴァンは「ワシントン郊外に家を探したいと本当に考えているんですよ」と述べた。

 

学生が「ヴァージニアですか?それともメリーランドですか?」とジョークを言った。

 

サリヴァンは「おそらくそのどちらかだね。現在私ができる最高の仕事はワシントンの外側にいることなんだ」と語った。

 

サリヴァンはドアに向かった。翌日はニューヨークでヒラリーに会って、回顧録の校正を行う予定になっていた。校正が時間通りに終わり、疲れていなければ、フランス大使と夕食を共にすることにもなっていた。その後にワシントンに戻る予定であった。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12








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