古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ヒラリー・クリントン

 古村治彦です。

 トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は民主党の中で「鬼っ子」「異端児」となっている。歯に衣着せぬ発言と大胆な行動で民主党主流派や正統派を苛立たせている。民主党指導部からの受けも悪い。地元ハワイ州の民主党指導部(日系人が多い)にも平気で喧嘩を売る。ハワイ州軍の少佐であり、イラクに2度派遣された従軍経験を持つ帰還軍人だ。この点に関しては彼女を批判する人々も頭を下げる。

 ギャバードはアメリカが外国に介入することに反対し、政権転覆のための戦争(regime change wars)をするべきではないと主張している。この点ではドナルド・トランプ大統領と考えは共通している。選挙戦直後の2016年11月21日にトランプはギャバード議員と会談を持った、ギャバード議員はトランプに対してシリアに対する関与の度合いを強めることに反対するという話をしたということだ。トランプはこの時にギャバードの政権入りを考えていたが実現しなかった。

 2016年の大統領選挙の時、ギャバードは民主党全国委員会の副委員長を務めていたが、民主党全国委員会の委員長デビー・ワッサーマン=シュルツをはじめ幹部たちがヒラリー・クリントンに有利になるように討論会などを設定することに抗議し副委員長を辞任し、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)支持を表明した。

 こうしたギャバードの行動は民主党主流派、そしてヒラリー・クリントンを激怒させた。そして、最近になってヒラリー・クリントンは報復として、「ギャバードがロシアからの支援を受けている、それはトランプ大統領をさせるためだ」という根拠のない攻撃を行った。これに対して、ギャバードは鮮やかに切り返し、ヒラリーを「民主党を悪くしている腐敗の権化(personification of the rot that has sickened the Democratic Party)」「戦争屋たちの女王(queen of warmongers)」と呼んで、人々の関心を集めることに成功した。

 ギャバードのヒラリー評は本質をズバリとついた素晴らしいものだ。そして、ヒラリーの攻撃を利用して、人々の関心を集めることに成功しているのも大きい。ヒラリーの発言については民主党主流派や主流メディアも対応に苦慮している。そもそもが根拠のない話であってそれをそのまま使う訳にはいかないので、メディアでは同じ内容をヒラリーの支援者が語っている形にして引用してギャバード攻撃を仕掛けているが、うまくいかない。また、「放っておけば自滅する候補者にスポットライトが浴びるようにしやがって、ヒラリーのバカが」という批判も出ているようだ。

 今回の騒動は民主党内部の腐敗や分断がこれからも進んでいくことを象徴している。これで大統領選挙には勝てないということになり、結果としてトランプ再選を望む外国を利することになる。こうした点に思いが至らずに、自分の復讐心だけで現在も余計な動きをしているヒラリーにはそもそも大統領になる資質はなかったということになる。

(貼り付けはじめ)

クリントンのギャバード攻撃は大統領選挙において深刻な火種になる(Clinton attacks on Gabbard become flashpoint in presidential race

ジョナサン・イーズリー筆

2019年10月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/466785-clinton-attacks-on-gabbard-become-flashpoint-in-presidential-race

トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)の選挙運動が民主党予備選挙において火種となっている。ヒラリー・クリントン元国務長官は、ロシア政府がギャバードに対して2020年の本選挙でトランプを再選させるために第三党で出馬するように勧誘していると発言した。この発言の後、ギャバードが民主党にとっての火種となっている。

ギャバードは第三党の候補者として立候補することはないと明言した後、ヒラリー・クリントンに反撃をし、ヒラリーを「民主党を悪くしている腐敗の権化personification of the rot that has sickened the Democratic Party)」と呼んだ。

トランプ大統領は右派と左派の多くと一緒になってギャバードを擁護している。支持率が低い候補者であるギャバードに対して新しいアピールをする機会を与えることになり、このアピールは苦しい選挙運動を続けているギャバードにとって有効なものとなるだろう。

民主党員の中にはヒラリーの発言に苛立っている人がいる。こういった人々は、ギャバードはロシア政府のお気に入り、財産であることを示す証拠はないと主張している。また、自分たちはギャバードのことが気に入らないのに、2016年の大統領選挙民主党候補者ヒラリーが、そのままにしていれば消えていくはずのギャバードに人々の関心を集めさせていると非難している。

ギャバードは38歳の帰還軍人である。ギャバードはこれまでも民主党指導部を攻撃し、シリア大統領バシャール・アサドと会談を持ったこともあった。こうした行動で、民主党主流派と対立している。アサド大統領率いるシリア政府はロシア軍によって支えられている。

しかし、ギャバードに関心が集まるようにしてしまったことで、ヒラリー・クリントンは民主党内のエスタブリッシュメントと反主流派との間の亀裂を再び深めることになった。前回の大統領選挙民主党予備選挙で反主流派はバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出。無所属)をヒラリー・クリントンに負けない候補者にまで押し上げた。

民主党に政治献金を行っているある人物は次のように述べている。「ヒラリー・クリントンが2020年の大統領選挙に関してギャバードの名前を出すたびに私たちは恐怖感を持ってしまう。民主党員がお互いに戦い、今回の論争が古い傷を再び開けてしまえば、トランプ大統領を利するだけだ」。

ヒラリーの発言内容は民主党全国委員会を苦しい立場に追い込んでいる。民主党全国委員会は外国政府からの介入への懸念と予備選挙での中立性の維持との間でバランスを取ろうとしている。

ギャバードは民主党全国委員会が資金集めと世論調査の支持率の数字に関する参加条件を「不正に操作している(rigging)」と非難している。参加条件を意図的に厳しくすることで、彼女やその他の候補者たちが討論会に参加することを困難にさせていると主張している。

ギャバードは11月の討論会の参加条件をクリアしていない。それでも月曜日、ギャバードは11月の討論会の参加条件となっている4回の支持率に関して最初の1つをクリアしたと発表した。

民主党全国委員会は今回の論争についてのコメントを拒否している。しかし、討論会の参加条件を設定している。そして、多くの候補者が立候補している予備選挙をうまく管理しながら条件の透明性を確保していると主張している。

民主党全国委員会のある幹部は、民主党全国委員会はインターネットのネットワークの補強と民主党の候補者たちに関する偽情報を監視することに多額の資金を投入していると述べた。

しかし、ヒラリーの「ギャバードは意図していないだろうがロシアにとっての財産になっている」という当て擦り発言は、民主党幹部たちが私的な会話の中で話していたことを表に出すものとなった。

2016年の大統領選挙に関して民主党幹部たちが嫌な思いを今でも持っているのは、緑の党の候補者ジル・ステインが重要な各州でヒラリーに向かうはずの投票を奪った可能性が高いというものだ。

民主党の一部には、ギャバードは不穏な考えを持つ泡沫候補で全く見込みのない無謀な選挙戦を展開しているが、こうした彼女の行動は、親トランプ派のコメンテイターのマイク・サーモヴィッチや「クークラックスクラン」の元指導者デイヴィッド・デュークのような右派の物議をかもす人物たちからの支持を集めている、と考えている。

ギャバードはデュークから支援を受けているという指摘を否定している。しかし、彼女はフォックスニュースチャンネルに複数回出演し、タッカー・カールソンのインタヴューを受けており、こうした行動が民主党指導部を苛立たせている。

月曜日、トランプ大統領はギャバードを擁護した。

大統領は「(ヒラリーは)誰でもロシアのエージェントだと非難している。こうした人々は病気なのだ。何か悪いことがこうした人々の中で起こっている」と述べた。

ギャバードの支援者や協力者たちは、彼女の選挙運動が右派に向けてアピールするものではないと述べている。しかし、エスタブリッシュメントに対する攻撃と民主党正統派の考えからの逸脱は、トランプ支持者の一部を含むすべての場所の反主流派の共鳴を呼んでいる。

ギャバードの支援者たちはヒラリー・クリントンが組織化しているギャバードへの攻撃に怒っている。また、『ニューヨーク・タイムズ』紙は、ギャバードは右派からの支援を受けているとかロシア政府は積極的に彼女の選挙戦を支援していると当てこするヒラリー・クリントンの支援者や協力者の発言内容を引用することでギャバードに対する攻撃を支援する形になっている。

今週末に公表したヴィデオ映像の中で、ギャバードは「2016年の大統領選挙で私はバーニー・サンダースを推薦した。多くの人々がそんなことをしたらあなたの政治キャリアは終わることになると言った」と述べた。

「人々は次のように私に言った。“ヒラリーはこのことを決して忘れない。だから、彼女と彼女の富裕で力を持つ友人や協力者たちがあなたを破滅させることは間違いない。彼女の友人たちは政界やメディアに多くいる”と。選挙戦に出馬した初日から数えきれない程の、私に対する汚い言葉に満ちた攻撃が始まった。こうした攻撃をしている人たちは私の評価と私のこれまでの公務に傷をつけ破壊しようとしている。何故なら私がこうした人々の考えや行動に立ちはだかっているからだ」。

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)の協力者たちはギャバードに対する攻撃に参加している。ハリスの検察官時代の仕事内容についてのギャバードの攻撃を増幅しているインターネット上での疑わしい行動が存在していると協力者たちは主張している。

ギャバード選対がロシアと協力していることを示す証拠は存在しない。また専門家たちは、インターネット上のロシアのボットを使った活動は、アメリカ国内の多くの組織や団体をより分断させることを目的にしていると指摘している。

ギャバードの擁護者たちは、ハリスからの攻撃は討論会での衝突から出たものだと見ているが、ヒラリー・クリントンからの攻撃は2016年にギャバードがサンダースの取り扱いに抗議して民主党の副委員長を辞任したことに対する報復だと主張している。

サンダースを支持している進歩主義派のストラティジストであるジョナサン・タシニは次のように述べている。「ヒラリー・クリントンからの攻撃は、赤狩りのマッカーシー時代の中傷と同じだ。ゴールドマンサックスにいる彼女の親友であり欺瞞のプロたちとシャルドネワインを飲みながら何の証拠もないところから中傷をあっという間に生み出す」。

タシニは続けて次のように述べている。「より皮肉なことは、もしある人物が外国政府から資金を受け取って財産のような存在になっているというならば、ヒラリー・クリントンこそがその人だということだ。ヒラリーの財産はサウジアラビアから数百万ドルを受け取っている。サウジアラビアの独裁者たちは女性を抑圧し、イエメンで一般市民たちに対して虐殺に近い戦争を実行している。こうしたことは彼女を困らせてはいないようだ」。

予備選挙候補者のうち、実業家アンドリュー・ヤン、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジはギャバードに対する攻撃には根拠がないとし、彼女を擁護している。

専門家や主流メディアに出ているニュースキャスターはヒラリーの発言内容について、敵意とより深い疑義をもって扱っている。

しかし、ヒラリーの協力者たちはある種の賭けに出ている。こうした人々は、ギャバードに対しての発言はギャバードが第三党の候補者として立候補することや別の候補者が当選した際に閣僚などになることを阻止するための試みなのだと主張している。

民主党系ストラティジストであるアダム・パークホーメンコは次のように述べている。「民主党全国委員会が何をしようがしまいが、トゥルシーと彼女のボットは不正に操作されているとか共同謀議だと叫び続けるのだ。シリアのアサド大統領を擁護する人々と同じ考え方なのだ。私が大変失望しているのはロシアの介入を否定する機会を与えられた候補者たちがそれに惨めに失敗していることだ」。

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ギャバードはクリントンに対して「戦争屋たちの女王」と反撃(Gabbard hits back at 'queen of warmongers' Clinton

マーティー・ジョンソン筆

2019年10月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/466524-gabbard-hits-back-at-queen-of-warmongers-clinton

アメリカ大統領選挙民主党予備選挙候補者トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は金曜日、2016年大統領選挙民主党指名候補ヒラリー・クリントンが「ギャバードは2020年の大統領選挙でロシアのお気に入り」という示唆をしたことに対して反論し、ヒラリーのことを「民主党を悪くしている腐敗の権化(personification of the rot that has sickened the Democratic Party)」と呼んだ。

ヒラリー・クリントンはポッドキャスト番組「キャンペーンHQ」に出演し、司会のデイヴィッド・プロウフに対して「彼女はロシア人のお気に入りだ。これまでロシア人たちは多くのサイトとSNS上のボットを作り、彼女を支援している」と述べた。プロウフは2008年の大統領選挙でバラク・オバマ陣営の選対責任者を務めた人物だ。

元ファーストレイディーにしてニューヨーク州選出の連邦上ン議員でもあったヒラリーはギャバードの名前を出さなかったが、彼女の発言がギャバードを指していたのは明白だ。ギャバードはこれまでにもロシアにとっての財産であるとか手駒であるという非難を繰り返し否定してきた。

一連のツイートの中で、ギャバードはヒラリー・クリントンを攻撃し、ヒラリーを民主党エスタブリッシュメントの「腐敗の具現化」と呼んだ。

ギャバードは「私が大統領選挙に立候補表明した初日から、私の評判を貶めるための組織だった運動が展開されてきた」と述べた。

ギャバードはヒラリーに対して「私の評判を落とす運動の裏に誰がいるのか、そして何故そのようなことをするのかということが不思議で仕方がなかった。今はっきりと分かった。常にあなたがいたのだ」と述べた。
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ギャバードは更に「私と攻撃したいなら大統領選挙に参加してからする」ようにと発言した。

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ギャバードはハワイ州軍の一員であり、イラクに従軍した帰還軍人である。正解事情に精通している人々は、ギャバードの選挙運動はロシアが作成したSNS上のボットやインターネット上の「荒らし」行為によって支援されていることに懸念を持っている。

ギャバードは反エスタブリッシュメント的な外交政策の立場を堅持し発言を行い、人々を驚かせている。特に政権転覆戦争へのアメリカへの関与に対する非難と2017年にシリア大統領バシャール・アサドとの会談は人々を大いに驚かせている。

ギャバ―ドのツイッター上でのヒラリー・クリントンへの攻撃は他の候補者であるコーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)の言葉を失わせる程のものであった。


「リアルクリアポリティックス」の世論調査の平均支持率によると、ギャバードは全国規模では1.2%を記録している。今週のオハイオ州での討論会では支持率下位の候補者であった。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 今回は興味深い世論調査の結果をご紹介します。「民主党を最もよく代表する政治家は誰だと思いますか(民主党を最もよく象徴する政治家は誰だと思いますか)」という質問に対して、「バラク・オバマ前大統領です」と答えた人が最も多かったということです。

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 バラク・オバマ前大統領と答えたのは、有権者全体で35%、民主党支持者に限ると51%という結果が出ました。オバマに続くのがバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)、ジョー・バイデン前副大統領、連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)という順番になりました。

 

 興味深いのは、今回の世論調査の選択肢にヒラリー・クリントンが入っていないことです。そして、民主党支持者の中で、5名から名前を選ばなかったのは6%しかいなかったということです。有権者全体では23%が誰も選ばなかったのは、民主党嫌いの人が多く、そんなことは考えたくもないということも多かったのでしょう。民主党の中で、ヒラリー・クリントン、もしくはヒラリーに近い人々を支持する人たちは減っていることが分かります。

 

 また同時に、バーニー・サンダースとアレクサンドリア・オカシオ=コルテスのような進歩主義派、リベラル左派を支持する人たちは足しても2割程度だということになります。民主党自体が左傾化しているということが言われていますが、進歩主義派、リベラル左派はまだ少数派ということになります。

 

 今でもオバマ前大統領が民主党、民主党支持者に大きな影響を与えている、ということは、民主党は2016年から新しい指導者を生み出せないままでいる、ということです。バイデンが大統領選挙民主党予備選挙についての世論調査でトップに来るのは、彼自身の魅力というよりも、オバマ時代を懐かしむノスタルジーでしかありません。

 

保護貿易や公共投資といった民主党の諸政策を実行しているのは、ドナルド・トランプ大統領(元民主党員)です。トランプ大統領に対する新しい対抗軸を生み出し、新しい指導者となるべき政治家を生み出せないままです。このままでは、2020年の大統領選挙でトランプ大統領の再選を止めることはできないでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

民主党は今でもオバマの党だ:オバマ前大統領が「誰が民主党を最も良く代表するか」という質問で民主党の政治家の中でオバマがトップ(It's still Obama's party: Former president easily tops list of who best represents Democrats

 

マシュー・シェフィールド筆

2019年4月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/hilltv/what-americas-thinking/436953-its-still-obamas-party-former-president-tops-list-of-who-best

 

10名以上の候補者たちが2020年米大統領選挙の民主党候補者となり、民主党を代表しようと戦っている中で、バラク・オバマ前大統領は今でも民主党に対して大きな影響を持続けている。

 

火曜日、ザ・ヒル誌とハリスX社の共同世論調査の結果が発表された。5名の左派・中道派の5名の政治家たちの中で、民主党の考えを最も良く代表する人は誰かという質問に、登録済み有権者は、オバマが最も人気のある選択であり、他の政治家たちを大きく引き離している。

 
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有権者全体のグラフ

 

2019年3月30日から31日にかけて実施された世論調査の結果、登録済有権者全体の35%が民主党員や支持者の考えを最もよく代表しているのはオバマ前大統領だと答えた。

 

オバマに続くのはバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)だ。サンダースは2020年米大統領選挙民主党予備選挙の有力候補だ。サンダースだと答えたのは15%だ。大統領選挙に出馬すると見られているジョー・バイデン前副大統領を選んだのは13%だった。

 

連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は9%を獲得して4位に入った。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は5%を獲得して5位となった。

 

しかし、調査に参加した人々の中で、分からないと答え、誰も選ばなかったのが23%であった。

 

オバマ前大統領のリードは、自身を民主党員、支持者、民主党寄りだと答えた人々の間ではより大きくなる。こうした人々の51%が、オバマ前大統領が民主党を最もよく代表する政治家だと答えた。サンダースと答えたのは17%、バイデンと答えたのは14%だ。


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民主党支持・民主党寄りの有権者のグラフ

 

民主党の熱心な支持者たちの間でペロシ議長は6%で4位に入った。一方、オカシオ=コルテスを選んだのは5%であった。この5名から選ぶことを拒否したのは6%に留まった。

 

「レイク・リサーチ・パートナーズ」社代表で、民主党の世論調査専門家セリンダ・レイクは、5名の政治家の中でオバマが優越していることは何も驚きではないと述べた。

 

レイクは火曜日、「ホワット・アメリカズ・シンキング」の司会者ジャマル・シモンズに次のように語った。「オバマ前大統領が獲得した数字がそこまで高くないのは私にとって逆に驚きだった。私たちはオバマ時代を懐かしがっている。オバマ大統領の政策に反対することもあったが、彼のスタイルは丁寧で礼儀正しく、私たちはこれを心から懐かしがっている」。

 

アメリカ・エンタープライズ研究所(AEI)研究員のダン・コックスはシモンズに対して次のように語っている。「オカシオ=コルテス議員は保守派のメディアの中で集中攻撃を受けている。一方で、民主党支持の有権者たちの中で、彼女を自分たちの価値観を具現化している指導者と考えている人たちは少ないということが今回の調査で分かった。これは、彼女の民主党内における影響が大きくないということを示している」。

 

民主党の政治家たちの中でオバマ前大統領が優越している。昨年(2018年)の8月にザ・ヒル誌とハリスX社の世論調査で、共和党支持の有権者の中で54%が、トランプ大統領は共和党を最も良く代表する政治家だと答えているのはオバマの優越と同じだ。

 

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共和党に関するグラフ

 

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(終わり)

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 古村治彦です。

 

 2019年4月11日、ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジがイギリスの警察に逮捕されました。アメリカの要請によって、イギリスの警察が代理で逮捕しました。

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 アサンジは2012年からロンドンのエクアドル大使館に滞在する形になっていますが、政治的な亡命者ということでエクアドルが受け入れたのですが、エクアドルの大統領が代わり、アメリカとの関係改善(資金援助)を望む現大統領はアサンジの亡命者の資格を剥奪していました。大使館に警察が入るということは、その大使館からの要請がなければできないので、エクアドルがアメリカに引き渡したということになります。


 

 ウィキリークスは機密情報の暴露という素晴らしい仕事で、人類に大きく貢献しました。犯罪者たちと同列に語るべきものではありません。アサンジ逮捕を喜ぶ人たちは、アメリカ政府に近い人間や、民主党エスタブリッシュメント派の支持者、そしてヒラリー・クリントンの支持者たちが多いということになります。この人たちからすれば、「私たちが応援するヒラリーから大統領の座を盗んだ」ということになって、ヒラリーとこうした人々は、アサンジを八つ裂きにしても飽き足らぬ奴と憎しみを駆り立てていました。

 

 イギリスがアメリカの犬であるということを今更驚くべきことでもありませんが、ここまで尻尾を振らねばならないのかと思うと悲しくなりますが、「日本人には言われたくないよ」と向こうからは思われているでしょう。

 

 私が注目・応援している、大統領選挙民主党予備選挙候補者であるトゥルシー・ギャバ―ド連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)はアサンジ逮捕を非難しました。さすがです。2016年にヒラリーに露骨に肩入れする民主党全国委員会執行部の副委員長だったのですが、それに反対し、辞任してバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)を応援するという気概の持ち主です。


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 アサンジとウィキリークスがやっていることは、ジャーナリストのリーク情報を報道することと同じです。これに対して逮捕して裁判を受けさせて、おそらく長期に懲役を科す、数百年の懲役ということにして実質的に終身刑にしてしまうというのは報道の自由や知る権利を侵害する重大な人権侵害です。

 

 ヒラリーは祝杯を挙げているのかもしれません。しかし、その場所はホワイトハウスではありませんし、民主党に彼女のいるべき場所もありません。ウィキリークスが報復で、何か機密情報を公表するか、アサンジの生命を守るために動きを控えるのか、注目されます。

 

(貼り付けはじめ)

 

ヒラリー・クリントンは、アサンジの逮捕後に、彼は「何をして来たのかを答えねばならない」と発言(Hillary Clinton says Assange must 'answer for what he has done' after arrest

 

レイチェル・フラジン筆

2019年4月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/438568-hillary-clinton-says-assange-must-answer-for-what-he-has-done

 

ヒラリー・クリントン元国務長官は木曜日に出席したイヴェントの会場で、ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジは「彼がしてきたことについて答え」ねばらないと述べた。

 

AP通信によると、ヒラリー・クリントンは、ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジについて、「重要なことは、彼は自分がしてきたこと、少なくとも彼が逮捕された容疑について、してきたことを答えねばならない」と述べたということだ。

 

ヒラリーは皮肉を込めて次のように語った。「皮肉なことは、アサンジはトランプ政権がアメリカ合衆国に歓迎する唯一の外国人であろうということだと思う」。

 

アサンジは木曜日午前、アメリカの代理としてロンドンの当局が逮捕した。

 

アメリカ司法省は木曜日、アサンジに対する訴追が行われると発表した。アサンジは、アメリカ陸軍二等兵で情報分析官であったチェルシー・マニングから機密の政府通信をウィキリークスが公表した件に関連して、複数のコンピュータをハッキングした共同謀議のために告発されている。

 

2016年、アサンジはヒラリー・クリントン選対と民主党全国委員会から盗み出したハッキングしたEメールを公表した。アサンジは彼の行為を自己弁護し、ジャーナリストとして公共の利益にかなう文書のリークを行っただけだと述べた。

 

トランプ大統領は選挙期間中、自分はウィキリークスが好きだと述べたが、アサンジの逮捕後にはウィキリークスから距離を取ろうとした。

 

トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対して、「私はウィキリークスについて何も知らない。私は何のかかわりもない」と述べた。

 

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ギャバード:アサンジの逮捕はジャーナリストたちに対する脅威である(Gabbard: Assange arrest is a threat to journalists

 

レイチェル・フラジン筆

2019年4月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/438542-gabbard-assange-arrest-is-a-threat-to-journalists

 

大統領選挙民主党予備選挙の候補者であるトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は木曜日、ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジの逮捕を非難し、この逮捕をジャーナリストたちに対する脅威であると述べた。

 

ギャバ―ドはツイッターに次のように投稿した。「ジュリアン・アサンジの逮捕は全てのアメリカ国民とジャーナリストたちに対するメッセージを意味している。それは、“声を上げるな、静かに行動せよ、規則に従え”、もしそれを破れば代償を払うことになるぞ、というものだ」。

 

ロンドン警察がアサンジを逮捕して数時間後、民主党はコメントを発表し、アサンジはアメリカで逮捕容疑に関して裁判を受けることになると述べた。

 

アサンジは、アメリカ陸軍二等兵で情報分析官であったチェルシー・マニングから機密の政府通信をウィキリークスが公表した件に関連して、複数のコンピュータをハッキングした共同謀議のために告発されている。

 

正式な起訴は昨年、ヴァージニア州で行われている。木曜日に逮捕が執行された起訴内容は、アサンジは、マニングが国防省の一大のコンピュータのパスワードを盗むことに協力したというものだ。このコンピュータは機密情報が収められていた政府のシステムにつながっていた。

 

アメリカの情報機関関係者と連邦議員たちはこれまで2016年の米大統領選挙期間中のウィキリークスの様々な行動について懸念を表明してきた。ウィキリークスは、民主党全国委員会と2016年のヒラリー・クリントンの選対からハッキングされて盗まれた大量のEメールを公表した。

 

アメリカは、Eメールのハッキングの裏にはロシアのハッカーたちがいると主張している。しかし、アサンジは彼の行動をめぐる批判の内容を否定し、Assange has dismissed criticisms surrounding his actions, arguing he acted like other journalists would have by seeking to leak classified documents viewed as in the public interest.

 

ギャバ―ドは2020年米大統領選挙民主党予備選挙に出馬している10名上の候補者の中の一人で、トランプ大統領と戦う機会を得ようとしている。

 

2016年の米台と両選挙期間中、トランプはウィキリークスを評価していると述べたが、木曜日にアサンジが逮捕された後は、ウィキリークスから距離を取ろうとした。

 

トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対して、「私はウィキリークスについて何も知らない。私は何のかかわりもない」と述べた。

 

アサンジはロンドンにあるエクアドル大使館に2012年から滞在していた。しかし、エクアドル政府は先週、アサンジの外交上の亡命者の資格を剥奪し、イギリス警察による逮捕を主導した。

 

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アサンジ容疑者持て余す=ルール無視や奇行、高額費用も-エクアドル

 

20190412日 時事通信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019041200460&g=int

 

 【サンパウロ時事】エクアドル政府は11日、在ロンドン大使館で7年にわたってかくまいながら、亡命資格を剥奪して英当局に身柄を引き渡した内部告発サイト「ウィキリークス」の創始者アサンジ容疑者について、持て余していたことを明らかにした。

 

 バレンシア外相は11日の国会で、亡命を取り消した理由を説明。エクアドル側の再三の制止を聞かずに他国への内政干渉を続け、長い籠城生活で心身の健康状態が悪化していた点と並び、「無礼な行動」を挙げた。

 

 バレンシア氏は「大使の報告によると、館内をキックスケーターでうろついて物を壊したり、サッカーをしたりした。制止を無視して未明に大声を上げることもあった」と暴露。「大使館での態度は批判すべきものだった」と強調した。

 

 また、アサンジ容疑者の滞在中に大使館側が負担した費用は650万ドル(約7億2600万円)以上に達したという。

 

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●エクアドル大統領モレノ は「裏切り者」=アサンジ容疑者逮捕にコレア氏 

 

20190411日  時事通信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019041101191&g=int

 

 エクアドル政府の迫害を逃れベルギーに滞在中とされるコレア前大統領は11日、内部告発サイト「ウィキリークス」創始者アサンジ容疑者逮捕を受けてツイッターに投稿し「モレノ大統領が英警察を大使館に入れて逮捕させた。エクアドルだけでなく南米史上に残る最悪の裏切り者だ」と非難した。

 

 コレア氏はモレノ大統領を「腐った男」と批判。「モレノ大統領が行ったことは犯罪だ」と訴えた。

 

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●米司法省、アサンジ容疑者の起訴発表=身柄引き渡し手続き入りへ 」

 

2019年4/11 時事通信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019041101093&g=int

 

 【ワシントン時事】米司法省は11日、内部告発サイト「ウィキリークス」創始者で英警察に同日逮捕されたジュリアン・アサンジ容疑者の起訴を発表した。

 

 米国はアサンジ容疑者の身柄引き渡しを要請しており、逮捕を受け、本格的な引き渡し手続きに入るとみられる。

 

 司法省によると、アサンジ容疑者はマニング元米軍情報分析官と共謀し、2010年に機密情報を扱う米政府のコンピューターに違法な侵入を試みた罪で昨年3月に起訴された。有罪が確定すれば最高で5年の禁錮刑に処せられる。

 

 マニング元分析官は、軍事情報や公電など計70万点以上を不正入手してウィキリークスに提供し、13年に禁錮35年の刑を言い渡された。減刑され17年に釈放されたが、CNNテレビによれば、証言を拒否したとして今年3月に再び収監されている。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ大統領の「ロシア疑惑」について、ロバート・ムラー特別検察官の捜査が終わり、その概要をウィリアム・バー司法長官が書簡にして連邦議会に送付しました。その内容は、ロシア疑惑、ロシア疑惑捜査に対するトランプ大統領による司法妨害は共に立証されなかった、というものです。

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報告を受けた後のトランプ大統領
 

 ロシア疑惑とは、2016年の米大統領選挙において、ロシアが当選されると自分たちに都合の悪い民主党ヒラリー・クリントン候補を落選させようとし、共和党のドナルド・トランプ候補陣営と結託、共謀したのではないかという疑惑です。ロシアによる選挙介入はアメリカの複数の情報機関が行われていたと認める報告書を出しています。

 

 トランプ陣営幹部でロシア側と接触があった人物たちが複数いたことから、この問題が大きくなりました。マイケル・フリン国家安全保障問題担当大統領補佐官(当時)がロシア大使と会談を持っていたこと、それをトランプ大統領やペンス副大統領に報告していなかったことなどを理由に、就任早々解任されるということになりました。また、今回の件とは別件もほじくり返され、トランプ陣営の選対本部長(途中で解任)を務めたポール・マナフォートは逮捕されました。

 

 トランプ陣営がロシア側と一緒になってヒラリーを落選させるために動いた「共謀」を証明することは大変難しく、そもそも共謀を明確に立証することは困難でした。実際にムラー特別検察官は多くの人員を投入し1年以上かけて捜査しても確たる証拠は結局見つかりませんでした。

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ロバート・ムラー特別検察官
 

 ロシア疑惑の捜査に対して、トランプ大統領が司法妨害を行ったのではないかという疑惑については、ちょっと歯切れが悪いようです。「これについて有罪を構成するに足るだけの証拠がなかった」ということになりました。民主党側はこの点を突いていくことになるでしょう。しかし、それでもトランプ大統領を弾劾まで追い込むことは不可能になりました。ナンシー・ペロシ下院議長は今回の書簡が出る前から、弾劾はすべきではないということを述べて既に予防線を張っています。

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バー司法長官が連邦議会に送った書簡

 ロシアによるアメリカ大統領選挙への介入はあったでしょう。ロシアにしてみれば、「お前たちもソ連崩壊後、俺たちの国にいろいろと要らない、差し出がましい口をきいたよな」という感情もあり、「やり返しただけだ」ということになるでしょう。

 

また、SNSを使えば、「世論誘導」が出来る、ということも明らかになっています。拙著『アメリカ政治の秘密』でも書きましたが、2011年のアラブの春にはツイッター社やフェイスブック社が関わっていたことは明らかです。アカウントを持つ利用者の個人情報を持ち、書き込みの傾向などを簡単に割り出せるのですから、利用者の考えを誘導しつつ、あくまで「自分で考えた」と思い込ませることは簡単なことです。

 

 今回の捜査結果概要の書簡送付で、トランプ大統領は勝利を収めることが出来ました。弾劾も行われませんし、これまで批判をして来た人々に対して反撃が出来ます。2020年の大統領選挙に向けて好材料となります。これまで長い時間と資源をかけて、この結果と言うのはまさに「大山鳴動して鼠一匹」ということになりました。

 

(貼り付けはじめ)

 

ムラーはトランプに勝利を届けた:5つの要点(Mueller delivers a win for Trump — Five Takeaways

 

ナイオール・スタンジ筆

2019年3月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/435556-mueller-delivers-a-win-for-trump-five-takeaways?rnd=1553476550

 

日曜日、ホワイトハウスにとっては安心を、トランプの敵対者たちには不満が残った。ロバート・ムラー特別検察官による捜査結果の要約がウィリアム・バー司法長官から発表された。

 

22か月にわたる捜査は終了した。ここから要約に関する要点を紹介する。

 

(1)トランプにとっての大勝利

 

トランプ大統領にとって、バー司法長官が連邦議会に送った書簡以上の結果は望むことはできなかっただろう。それほどの最良の結果となった。

 

「共謀などない」、というのはトランプ大統領が一貫して主張してきたことだ、ロバート・ムラー特別検察官と彼のティームはこれに同意することになった。

 

バー司法長官が送った書簡によると、2016年の選挙に関し、「特別検察官の捜査ではトランプ選対、もしくはトランプ選対に関係を持ついかなる人もロシアと共謀も協力もしていない」ということであった。

 

捜査の中心的な疑いであるロシアとの共謀について疑いが晴らされたが、この疑惑は深刻に受け止められ、ムラーには捜査のために多くの資源が投入された。ムラーは19名の法曹関係者を起用し、40名のFBI捜査官の協力を受け、2800通以上の召喚状を発行した。

 

司法手続きへの妨害の可能性についての疑問に関しては、ムラーは明白に、疑いが晴れたのではないし、トランプ大統領が明確に罪を犯したということでもないと述べた。

 

ムラーはこの疑問をバー司法長官とロッド・ローゼンスタイン司法副長官に委ねた。ローゼンスタインは「集められた証拠では、大統領が司法妨害を行ったと断定するには不十分であった」と結論付けた。

 

民主党側はロシア疑惑について更に知りたいと望むだろう

 

フロリダで大統領専用機「エアフォースワン」に登場する直前、記者団に対して短く「完全な潔白の証明だ」と述べた。

 

連邦議会にいるトランプ大統領の味方は強気だ。

 

連邦議会においてトランプに忠実な議員の中の一人、マーク・メドウズ連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は「本日のバー司法長官の声明はこれまで続いてきた議論に終止符を打つものだ。共謀はなかった。妨害もなかった。これで終わりだ」。

 

ホワイトハウスのホーガン・ギドリー副報道官はワシントンに戻るエアフォースワンの中で、トランプ大統領は元気を回復して好調だと述べた。

 

ギドリーは記者団に対して「大統領の機嫌は大変良い。全てが明らかにされたことを大変喜んでいる」と述べた。

 

(2)民主党側は厳しい戦いに直面する

 

日曜日、民主党側は即座に反応を示した。民主党側は連邦議会で独自の捜査を継続するだろうと述べた。連邦下院では民主党が過半数を握っている。

 

連邦下院司法委員会委員長ジェロルド・ナドラー連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)はツイッター上で、司法委員会はバー司法長官の証人喚問を求めると書いた。ナドラーは、「司法省の内部の分裂と最終決定に関して大変懸念を持っている」とし、それらについて調査すると述べた。

 

連邦下院の情報諜報委員会と監督委員会はトランプ大統領に関連する諸問題について独自の調査を現在も行っている。

 

民主党側は行政府が説明責任を果たすようにするための重要な仕事を行っているのだと主張するだろう。それがその通りに進むのは良いが、それでは民主党側が抱えるより大きな問題の解決にはならない。

 

政権発足直後からのトランプ大統領に関する諸問題の調査の中で、ムラーによる捜査は主要なものとなってきた。一般の有権者たちにしてみれば、ムラーの捜査結果が最終的な結論だということになる。

 

そうなれば民主党側が更なる調査を独自に行うことは難しくなる一方で、トランプ大統領と彼の味方が、民主党側を政治的な野心を持って無駄なことをする人々と決めつけることはより容易になる。

 

民主党側が今回の捜査結果の上を行く、確実性の高い訴追を行う機会を作るためのハードルは急激に高くなった。

 

(3)司法妨害に関する疑問は残る

 

バー司法長官の書簡の中のトランプ大統領にとっての最大の問題は決定的なものとまでは言えないが、司法妨害の疑いに関連するムラーの捜査で明らかにされた事実や証拠が書簡の中では明確にかつ詳細に示されていないということだ。

 

バー司法長官の書簡ではこの点は不明確になっている。民主党側は早速この明確性と詳細さを欠いている点を捉え、更なる情報提供を求めている。

 

連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)と連邦上院少数党(民主党)院内総務チャールズ・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は共同声明を発表し、その中で、バー司法長官の書簡について、「多くのことの答えているのと同じくらいに多くの疑問を生み出している」と述べた。

 

民主党側の要求は理にかなっている。

 

バー司法長官の書簡では、司法妨害について、ムラーは「伝統的な検察官の手法による判断を行わないと決定した」と述べている。続けて、「ムラーは、捜査を行った大統領の行動が司法妨害を構成するのかどうかについて、有罪、無罪、どちらの結論も導き出せなかった」とも述べている。

 

これが示しているのは、ムラーは、大統領の行為が少なくとも一般的な司法妨害となり得る証拠を見つけたということかもしれない。それでもバー司法長官とローゼンスタイン司法副長官は刑事事件としての裁判を維持できるだけの強力な証拠は存在しなかったと結論付けた。

 

CNNの法律関係アナリストマイケル・ゼルダンは本誌の取材に対して、ムラーが、捜査で集めた証拠によってトランプ大統領の「疑いが晴れ(exonerate)」てはいないと述べざるを得なかったことに注目し、これは「大変に奇妙な」ことだと指摘した。

 

ゼルダンは「検察官は通常、疑いが晴れる(exoneration)という言葉は使わない」と述べ、これは、ムラーのティームと司法省との間に同意できない点があるのだろうと示唆した。

 

トランプ大統領にとって、ムラーが公開していない情報が司法妨害についての疑いを更に高めるようなものでなくても、公開されることで政治的なダメージを与える可能性があるので、危険はまだ存在しているということになる。

 

(4)大統領弾劾の可能性はなくなった

 

ペロシ下院議長は今月初めに『ワシントン・ポスト』紙とのインタヴューの中で、トランプ大統領に対する弾劾にブレーキをかける発言を行い、驚きを与えた。

 

この時、ペロシ議長は弾劾を進めることを好まないと述べた。

 

その理由について、ペロシ議長は次のように述べた。「弾劾は国家を分裂させてしまうものであり、勢いよく進めるものではないし、疑問や躊躇なく進めるものではないし、党派争いの道具にすべきものでもない。私たちはこの道を進むべきではないと考えている。それはその道を進めばアメリカは分裂してしまうからだ」。

 

バー司法長官の書簡の内容は弾劾を進めるための最低限の条件に届いていない。トランプ大統領を2020年の大統領選挙で落選させるために、前回トランプ大統領に投票した無党派層とそこまで熱心ではないトランプ支持者たちを寝返らせるに足るだけの大きな衝撃にはなっていない。

 

トランプ大統領の政治上の運命は2020年の大統領選挙で決まり、その前に決まるということはない、ということがこれまでよりもより確定的になった。

 

(5)テレビに出ている識者たちが恥をかく

 

メディアに出ている熱心な反トランプの姿勢を取る識者や著名人たち、その中には法律の専門家たちも含まれているが、この人たちの多くはロシア疑惑に関する諸事実がひっくり返されることを願っているとしてもそれは無理のないことだ。

 

バー司法長官の書簡が送られた後にテレビをつける人たちは、そこに出ている識者たちが何とか面目を保とうとしている姿を見て驚くことだろう。

 

ムラーの捜査結果が出たことで、トランプ大統領と彼の家族を馬鹿だ、地味だ、単純だと見下す活発な動きが低下するだろうということは容易に予測できる。

 

トランプ大統領と彼の味方はこれから何日も何カ月も反メディアの太鼓をより大きな音で打ち鳴らすことだろう。この人々は2020年の大統領選挙投票日までメディアの過剰な報道を示す例としてムラーの話をし続けるだろうということは容易に想像できる。

 

日曜日夜に発表した声明の中で、ペンス副大統領は「アメリカにとって偉大な日」になったことを喜ぶと述べた。

 

ペンスは、民主党とそれに同調する不特定の「メディアの人々」が「根拠のない告発」を行ったという主張を行った。

 

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要するにどういうこと トランプ政権のロシア疑惑を800文字以内で

 

2017124

http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-42218253

 

2016年米大統領選をめぐるロシア疑惑がトランプ政権に濃い影を落とし続けてきた。しかしなかなか厄介な話なので、あらためて短く整理してみた。

 

要するに

 

複数の米情報機関は、昨年の大統領選でドナルド・トランプ氏を勝たせようと画策したと結論している。果たしてトランプ陣営関係者がこのために、ロシアと結託したのかどうか、専任の特別検察官が調べている。

 

証拠は

 

トランプ選挙対策本部の複数の幹部が、ロシア政府関係者と接触していた。いくつかの面会については、当初公表されていなかった。

 

接触とは

 

マイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、政権発足前に駐米ロシア大使と会談していたことについて、連邦捜査局(FBI)に嘘をついた。フリン前補佐官はムラー検察官との司法取引に応じ、有罪を認めた。このため、政権幹部の有罪を裏付ける証拠を、前補佐官が持っているのではないかと、取り沙汰されるようになった。

 

大統領の長男、ドナルド・ジュニア氏は選挙期間中の昨年6月、ヒラリー・クリントン氏について「泥(不利な情報)」を持つというロシア人弁護士に面会していた。陣営の外交顧問だったジョージ・パパドプロス被告は、ロシア関係者との接触と面会の仲介についてFBIに嘘をついたと認めた。

 

ほかには誰が関与

 

大統領の娘婿、ジャレッド・クシュナー上級顧問の関与も注目されている。元選対本部長のポール・マナフォート被告は、大統領選とは関係のない資金洗浄罪で起訴された。

 

そして大統領は

 

ロシア疑惑捜査の一部を指揮していたジェイムズ・コーミー長官を今年5月に解任してからというもの、大統領による司法妨害があったのかどうかが議論されている。これについては法律の専門家の間で、意見が割れている。

 

(英語記事 The Trump-Russia saga in 200 words

 

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ロシア疑惑文書の筆者、トランプ氏への恐喝懸念 議員が証言公開

 

20180110

http://www.bbc.com/japanese/42632824

 

「スティール文書」に関する証言を公開した民主党のダイアン・ファインスタン上院議員

「ロシア当局がドナルド・トランプ氏について決定的に不利な材料を入手している」という調査報告書、いわゆる「スティール文書」に関する米上院公聴会での証言内容が9日、民主党議員によって公開された。文書を作成した元英国情報部員のクリストファー・スティール氏が、トランプ氏がロシアに恐喝されているかもしれないと懸念していたことが、改めて示された。

 

民主党のダイアン・ファインスタイン上院議員(カリフォルニア州選出)は、「スティール文書」の作成を依頼したワシントンの調査会社「フュージョンGPS」の創業者グレン・シンプソン氏が昨年8月に上院司法委員会で証言した際の記録を公表した。シンプソン氏は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの調査報道記者を経て、「フュージョンGPS」を立ち上げた人物。

 

ファインスタイン議員は、シンプソン氏の依頼に基づき議事録を公開したと説明している。フュージョンGPSをめぐって「妙な憶測や誤情報」が飛び交っているため、証言内容を公表すべきと判断したという。

 

ファインスタイン氏は、トランプ陣営とロシア当局の共謀疑惑や司法妨害疑惑について、捜査や議会調査を妨げようとする「非常に心配な動き」があると懸念を示した。今月初めには、司法委員会のチャールズ・グラスリー委員長(共和党)が、スティール氏について刑事捜査すべきだと発言している。

 

ファインスタイン議員が公表した上院司法委員会の議事録は312ページに及ぶ。そのなかでフュージョンGPSのシンプソン氏は司法委に、スティール氏が20167月の時点で連邦捜査局(FBI)に、トランプ氏がロシアに恐喝されているかもしれないと、懸念を伝えていたと証言している。

 

議事録によるとシンプソン氏は非公開の公聴会で、トランプ氏や側近たちがロシア政府と個人的かつ金銭的につながっていると示す「スティール文書」の内容に自信を示したほか、文書が理由で殺害された人が1人いると証言した。

 

トランプ氏とロシアとの関係についての調査を出資したのは、ヒラリー・クリントン氏の陣営と民主党だったと言われている。ホワイトハウスや共和党関係者の多くは、「スティール文書」の内容に根拠はなく、選挙の対立候補に泥を塗ることだけを目的としたでっちあげだと非難している。

 

トランプ氏がロシア政府に脅されていたという主張を裏付ける証拠は、出てきていない。

 

しかしシンプソン氏は上院議員を前に、「(元英情報部員のスティール氏は)大統領候補が恐喝されているのかどうか、安全保障上の問題があるように見えると考えていた」と証言した。

 

シンプソン氏はさらに、「これが国家安全保障を脅かすのかどうか、クリス(スティール氏)はとても心配だと話していた。そして、この国の政府の誰かにこの情報を伝える義務があると思うと話していた」と証言した。

 

10時間にわたり証言したシンプソン氏は、文書の情報源について議員たちに聞かれても、なかなか答えようとしなかった。

 

フュージョンGPSの顧問弁護士ジョシュア・レビー氏が質疑に割って入り、「シンプソン氏は情報源を慎重に守ろうとしている」と言い、さらに「この文書の公表によってすでに人が1人殺されている。この文書は誠実な仕事の成果で、そのせいで誰かに危害がもたらされるようなことがあってはならない」と述べている。

 

レビー弁護士は、誰が殺害されたのか公聴会で明らかにしなかった。

 

しかしCNNは消息筋の話として、弁護士は特定の人物について言及したのではなく、2016年大統領選後に複数のロシア人が謎の死を遂げていることを念頭に発言したのだと伝えた。

 

「スティール文書」には、トランプ氏がかつてモスクワのホテルで複数の売春婦といるところを撮影されていたなどの内容が含まれている。

 

トランプ氏は昨年111日の記者会見で、この指摘をばかげたことだと一蹴。自分はロシアにいる間は常に、ホテルが監視されているという認識で行動していたなどと話していた。

 

シンプソン氏の証言内容について、FBIはコメントしていない。

 

BBCを含め複数の報道機関が、201611月の大統領選以前に文書について説明を受けていた。しかし、ほとんどの報道機関は内容の裏付けがとれないため、記事にしなかった。

 

米オンラインメディア「マザー・ジョーンズ」が同年1031日に文書の存在について記事にした後、CNNが昨年1月に文書について報道。続いて米バズフィードが、文書の内容をそのまま公表した。

 

シンプソン氏が「スティール文書」以前にロシア企業による人権侵害と資金洗浄を調査した際に、その調査の対象となった米国の投資家ビル・ブラウダー氏は米紙ニューヨーク・タイムズに対して、「(シンプソン氏は)中傷キャンペーンのプロで、金のためなら何でも言う嘘つきだ」と非難している。

 

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ホワイトハウス、FBI「権力乱用」文書公表を承認

 

2018023

http://www.bbc.com/japanese/42928284

 

米司法省と連邦捜査局(FBI)がドナルド・トランプ米大統領に反して偏っている証拠だとして共和党幹部がまとめた文書について、ドナルド・トランプ米大統領は2日、機密扱い解除を承認した。これを受けて連邦議会は、4ページにおよぶ文書を公表した。民主党は、大統領がこれを口実に特別検察官や司法副長官を解任すれば、ウォーターゲート事件当時のような「憲政上の危機」につながると警告した。

 

問題の資料は、米下院情報委員会のデビン・ヌネズ委員長(共和党)のスタッフがまとめた文書(メモ)で、司法省が外国諜報活動偵察法(FISA)にもとづく監視活動権限を乱用し、大統領選のトランプ陣営関係者を不当に監視しようとしたと非難している。ヌネズ議員はトランプ氏の当選後、政権移行チームに参加していた。

 

FBI31日、メモの正確性が疑わしいため、公表について「深刻な懸念を抱いている」と、ホワイトハウスの方針に反対する異例の声明を出した。

 

民主党は、ヌネズ・メモはFBIによるロシア疑惑捜査の正当性を否定するのが狙いだと批判している。

 

ヌネズ・メモは大統領選のロシア疑惑に関するいわゆる「スティール文書」を根拠に、司法省とFBIがトランプ陣営関係者の盗聴監視許可を延長しようとしたと指摘する内容になっている。FBIが昨年3月にFISA裁判所から盗聴令状の延長を得ようとする際に、内容が立証されていない「スティール文書」がその根拠だと裁判所に伝えていなかったと、ヌネズ委員長は問題視している。

 

資料によると、監視対象はトランプ陣営の外交顧問だったカーター・ペイジ氏。同氏は昨年11月、下院情報委員会に対し、20167月のモスクワ訪問でロシア政府関係者と面会したと証言している。

 

スティール文書は、ワシントンの調査会社「フュージョンGPS」が元英国情報部員のクリストファー・スティール氏に作成を依頼したもの。費用の一部は、ヒラリー・クリントン氏の陣営と民主党が出資した。

 

ヌネズ議員の資料はさらに、スティール氏が司法省幹部に、トランプ氏を当選させてはならない、自分は「必死だ」と話していたと書き、一連の動きは「米国民を権力乱用から守るために設けられた司法手続きの懸念すべき破綻」を示していると指摘している。

 

ヌネズ・メモは最高機密扱いに指定されていたが、129日にヌネズ氏が委員長で共和党が多数を占める下院情報委員会が公表を採択し、文書をホワイトハウスに送付。トランプ大統領が2日、機密指定解除を承認した。

 

共和党の反応

 

ヌネズ・メモの公表を支持する共和党関係者は、FBIや司法省における不正行為と政治的偏向を明るみに出すものだと評価する。

 

トランプ大統領は2日、資料の内容について質問され、大勢が「自分を恥じるべきだ」と答えた。大統領はそれに先立ち、FBIや司法省の捜査を政治的に利用して共和党を傷つけようという動きがあると非難していた。

 

ヌネズ委員長は、司法省やFBIが国民の信頼を「深刻に損なった」ことを示すもので、改革のきっかけになるよう期待すると述べた。

 

FBIの監視対象だったペイジ氏は、司法省に対する賠償訴訟でヌネズ・メモを証拠として使うと話した。

 

しかし、共和党の全員がヌネズ・メモ公表を支持しているわけではない。党重鎮のジョン・マケイン上院議員は、共和党の同僚たちがFBIや司法省を攻撃したことを鋭く批判し、トランプ氏が法の支配を損ねたと非難した。

 

マケイン議員はツイッターで、「FBIと司法省に対する最新の攻撃は、いかなるアメリカの利益にもならない。どの党にとっても、どの大統領にとっても。プーチンの利益になるだけだ」と書いた。

 

民主党の反応

 

民主党は、2016年大統領選でのロシア疑惑を捜査するFBIを貶めようとする「恥ずべき」行為だと反発している。

 

民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務は、「情報機関の情報源や活動手法を保護しなかったことで、(トランプ氏は)たった今、お友達のプーチンに花束を贈ったわけだ」と反発した。

 

さらに、チャック・シューマー上院院内総務、ペロシ下院院内総務をはじめ、他に8人の民主党幹部は共同声明で、この文書を「口実」に、ロシア疑惑を捜査しているロバート・ムラー特別検察官や、ムラー氏を任命したロッド・J・ローゼンスタイン司法副長官を更迭してはならないと警告した。

 

「そのような正当性のない行動は、ロシア疑惑捜査に関する司法妨害の試みとみなす」と民主党幹部は言明し、そのようなことになれば1970年代に当時のリチャード・ニクソン大統領がウォーターゲート事件をめぐり特別検察官を罷免しようとした時のような「憲政の危機」につながると念押ししている。

 

ホワイトハウスは後に、司法省に「変更はない」と言明し、ローゼンスタイン副長官は今後も職務を遂行するものと認識していると述べた。

 

ウォーターゲート事件では、ニクソン大統領が197310月に、事件を捜査していた特別検察官の解任を命じ、司法長官と司法副長官が辞任した後、後任の司法長官が特別検察官を解任した。このてんまつは、「土曜の虐殺」と呼ばれる。この後、連邦議会で大統領弾劾決議案の提出が相次ぎ、翌19747月になって、下院司法委員会が大統領を司法妨害で弾劾する委員会決議案を可決した。ニクソン氏は同年8月に辞任した。

 

FBIの反応

 

他方で、FBI職員連合の報道官はヌネズ・メモ公表に先立ち1日、「党派的政争」にかまけて自分たちの職務から目をそらしたことはないし、「今後もそのようなことは容認しない」と声明を出している。

 

昨年夏にトランプ氏に指名されたFBIのクリストファー・レイ長官も、文書の公表前に、公表に対する「深刻な懸念」を表明。さらに公表を受けて、職員にメールで、「口先でしゃべるのはたやすい。長続きするのは実際の仕事の内容だ。自分たちの職務を(政治から)独立して、かつ規則通りに遂行するという、全員共通の決意は揺るがない。私は諸君と共にある」と伝えた。

 

トランプ氏から昨年5月に解任されたジェイムズ・コーミー前FBI長官はツイッターで、ヌネズ・メモの公表を受けて、「それだけ? 不正直で誤解を招くメモが下院情報委員会を台無しにし、各情報機関との信頼を破壊し、FISA裁判所との関係を傷つけ、米国市民に関する機密捜査の内容を暴露するという許しがたい行為に及んだ。なんのために? 司法省とFBIは職務を遂行しなくてはならない」と書いた。

 

秘密は明らかになった。メモは公表され、その結果は……あらかた誰もが予想していた通りだった。

 

共和党作成の資料が言われていたほど衝撃的なものかどうかは、いまや悪名高い「スティール文書」をどう捉えているかによる。FBIFISA裁判所にカーター・ペイジ氏の盗聴監視令状を請求した際、「スティール文書」が『不可欠な」要素だったという、ヌネズ・メモの主張を信じるか。それとも、ヌネズ委員長たちがあえて省いた情報が、令状請求の根拠として実はあったのか。

 

ヌネズ・メモは、FBIはスティール氏の立場についてFISA裁判所に説明すべきだったと主張する。つまり、スティール氏がトランプ氏に否定的で、報道機関としきりに接触し、そもそも文書のための調査活動費が一部、民主党やクリントン陣営から出資されていたことなどだ。

 

しかし、そのような情報開示がされていたとして、それでFISA裁判所は令状発行を拒否しただろうか? 1978年に設置されて以来、FISA裁判所は何万という監視令状請求を受けてきたが、令状を認めなかったのはごくわずかだ。そして、2013年の時点ですでに複数の米情報機関から要注意人物として注目されていたペイジ氏に対する監視活動ひとつを理由に、ロシア疑惑捜査の全てを疑問視しても良いのかどうか。FBIのロシア疑惑捜査は、ペイジ氏への監視を始める数カ月前から始まっていた。20167月に始まったトランプ陣営の外交顧問だったジョージ・パパドプロス被告への捜査が発端となっているのだ。

 

こうした疑問に対する答えによって、このヌネズ・メモが爆弾だったのか、それとも不発弾だったのか、今後への影響が決まる。

 

 

(貼り付け終わり)

 

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 古村治彦です。

 

 マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(MLK)・デーの祝日、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が、ABCの朝の長寿番組「グッドモーニング・アメリカ」に出演し、大統領選挙出馬表明を行いました。MLKデーに大統領選挙出馬表明化ということは既にこのブログでもご紹介しましたが、その通りになりました。

 

 しかし、全米で放送される朝の人気番組での表明とは予想外でした。ただ、ハリスは回想録を出版しており、その販売促進のためにツアーをし、マスコミにも露出していたので、このタイミングになることは予想されていました。


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 ハリスはジャマイカ移民とインド移民で研究者だった両親の間に生まれました。両親が離婚し、母に連れられてカナダのモントリオールで育ちました。大学はワシントンDCにあるハワード大学です。ハワード大学は黒人が学生の大多数を占める大学で、「ブラック・アイヴィー・リーグ」の一つとされています。カリフォルニア大学ヘイスティングス校の法科大学院に進み、司法試験に合格し、キャリアの大半を検事として過ごしました。

 

 ハリスの名前が有名になったのは、2013年にバラク・オバマ大統領(当時)が、当時カリフォルニア州司法長官(Attorney General of California)だったカマラ・ハリスを「我が国でもずば抜けて美人の司法長官」と呼んだことで批判を受け、ハリスに直接謝罪するという出来事が起きてからです。


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 民主党の大物議員だったバーバラ・ボクサーの後を受けて、2016年の連邦上院議員選挙で当選したばかりの頃から既に、2020年の米大統領選挙の有力候補として、司法のキャリアが長かったキリステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)と共に名前が挙がっていました。

 

 今回、ハリスは選挙運動のスローガンに「フォ・ザ・ピープル(For the People)」を掲げ、平等、良識(慎み深さ)、正義、民主政治体制を強調して訴えるとしています。ここがトランプ大統領との対抗軸になるということでしょう。対外関係についての言葉はありませんが、既にヒラリー・クリントンと会談を持っているということですので、人道的介入主義派に近いと見ることも出来るでしょう。




 アメリカでは非白人の大統領は出ましたが、女性大統領はまだ出ていませんし、非白人の女性大統領も出ていません。今回、トゥルシー・ギャバ―ド(インド系・太平洋島しょ部系)に続いて、カマラ・ハリス(ジャマイカ系・インド系)が出馬していますが、民主党の大統領選挙候補者指名を受けることは難しいと言わざるを得ません。

 

 これで民主党予備選挙は多士済々、討論会では時間が足りないことになるでしょうが、にぎやかな選挙戦となるでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

カマラ・ハリスが大統領選挙出馬を表明(Kamala Harris announces presidential campaign

 

カイル・バラック筆

2019年1月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/426272-kamala-harris-announces-presidential-campaign  

 

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は月曜日、2020年の大統領選挙に出馬する予定だと発表した。

 

ABCの番組「グッドモーニング・アメリカ」に出演し、「私はアメリカが州国大統領選挙に出馬します」と述べた。

 

「私は大統領選挙出馬にとても高揚感を感じている」。"I'm very excited about it."

 

ハリスは2020年米大統領選挙民主党予備選挙の有力候補として早くから名前が挙がっていた。今月に入り、ハリスが出版した回想録『私たちが手にしている真実・あるアメリカ人の旅路"The Truths We Hold: An American Journey"』販売促進の宣伝ツアーとメディア出演が始まったことを受けて、彼女の出馬が取り沙汰されるようになった。

 

カマラ議員は、平等、良識(慎み深さ)、正義、そして民主政治体制を選挙戦では訴えていくことになる、スローガンは「フォ・ザ・ピープル(人々のために)」を使用すると述べた。

 

ハリスは2016年に連邦上院議員選挙に初当選した。以前はカリフォルニア州司法長官を務めた。

 

彼女はABCに出演中に、「私のキャリア全ては人々の安全を守るということに費やされてきました」と述べた。

 

ハリスは、「私が現状を見た時に考えるのは、アメリカ国民は、彼らのために戦い、自己利益よりも国民を優先する人物を指導者に持つだということです」と述べた。

 

ハリスの両親は公民権運動に参加した人々であり、「マーティン・ルーサー・キング・ジュニア・デーに大統領選挙出馬を発表できたことは光栄なことです」と発言した。

 

ハリスは次のように述べた。「キング博士を偲びかつお祝いする日である今日はアメリカ国民である私たちすべてにとって特別な日です。私たちがキング博士について考え、思いをいたす日に立候補宣言をすることが出来たのは光栄なことだと思います」。

 

ハリスは今月初め、「アメリカは非白人の女性が大統領として迎えるための準備はできています」と述べた。

6分13秒からのやり取り

ABCのテレビ番組「ザ・ヴュー」に出演し、出演者の一人アビー・ハンツマンはハリスに次のように質問した。「トランプが解き放ったものを、私たちはこれまで目撃してきました。それでもなお、この国は非白人女性初の大統領が出てくる用意が出来ていると思いますか?」。

 

ハリスは次のように答えた。「それは間違いありません。聞いてください。これは何も私自身のことを言っているのではありませんよ。しかし、私はアメリカの一般国民の皆さんの能力について話しているのです」

 

ハリスは「アメリカの一般国民をもっと信用しなくては」と述べた。

 

ハリスは「アメリカ国民を信用しましょう。アメリカ国民はずっと賢いのですから」と述べた。

 

ハリスはアメリカ国民が指導者について考える際に、自分たちに都合の良い性別や人種よりも、「共通性」を重視するはずだと確信していると述べた。

 

「何か負担に思っていることがあると、真夜中にふと目を覚ますことがありますよね。・・・自分たちが投票すると登録している政党の考えを受け入れていれば夜中に何かを考えて目を覚ますことなんてありません。夜中に何かが頭の中にあって目を覚ましてしまうことがあっても、それは人口の人種構成比というようなことではありません」。

 

ハリスは次のように述べた。「皆さん、夜中に目を覚ます時というのはたいてい2、3の心配事のことですよね。健康についてであったり、子供たちや自分の親についてであったり。“就職できるだろうか?”“仕事を続けられるだろうか?今月末の支払いは大丈夫だろうか?老後は安心して暮らせるだろうか?”といったことですよ」。

 

ハリスは「私たちの大部分は、私たちを引き裂く違いよりも、より多くの共通するものを持っています」と述べた。

 

ハリスは今週日曜日(1月27日)にカリフォルニア州オークランドで集会を開き、正式に選挙運動を開始することになる。

 

ハリスは多くの顔ぶれが出ると予想されている民主党予備選挙に参加することになった。

 

ハリスの同僚である民主党所属の連邦上院議員であるエリザベス・ウォーレン(マサチューセッツ州選出)とキリステン・ギリブランド(ニューヨーク州選出)はこれまでに大統領選挙に向けた準備委員会発足を発表している。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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