古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

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 古村治彦です。

 副島隆彦先生と佐藤優先生の対談『「知の巨人」が暴く 世界の常識はウソばかり』が2022年2月1日にビジネス社から発売になります。以下にまえがき、目次、あとがきを貼り付けます。参考にしていただき、ぜひ手に取ってお読み下さい。

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「知の巨人」が暴く 世界の常識はウソばかり

(貼りつけはじめ)

まえがき

佐藤優

本書の内容自体は読みやすい。そこで屋上屋(おくじょうおく)を架すようなまえがきを書くことは止め、共著者である副島隆彦氏に対する率直な認識を記すことにする。

私は、ほんものの「知の巨人」は副島氏であると昔から思っている。制度化された学問(いわゆる大学や学会での活動)とは別の、在野にこそ真の知性が宿っている場合のほうが多いからだ。

ちなみに副島氏も、ある時期まで制度化された枠組みの中で教育と研究に従事した。1998年から常葉(とこは)大学教育学部の教授を12年間つとめた。常葉大学は、主に静岡県で活躍する人々を養成する伝統ある大学だ。副島氏のもとで学んだ数百名の学生が、現在は教壇に立っていると思う。大学教授時代の話を尋ねても、副島氏は「研究室で学生と一緒にたこ焼きを作っていた」などと、本質をはぐらかす答えをするのであるが、それは副島氏がシャイだからだ。

情熱を込めて教育を行い、学生たちとも親しく交遊していたのだと私は推察している。副島氏の講義から触発された人たちは、現在、社会の中堅として活躍している。

私も2006年から、母校の同志社大学神学部や生命医科学部、学長が塾長をつとめる学部横断的に学生を集めて精鋭教育を行う新島(にいじま)塾などで教育を手伝っているが、悪戦苦闘している。それには大きく分けて2つの原因がある。そして、その2つの原因は緊密に絡み合っているので解きほぐすのが難しい。

 第1は、高校2年から文科系と理科系にクラスが分かれてしまうので、中等教育(中学は前期中等教育で、高校は後期中等教育である)で必要とされる知識が身に付かないまま大学生になっている人がほぼ全員だという、異常な状態だ。

 私は、高校教育の現場がどうなっているかに関心を持ったので、2018〜20年、母校の埼玉県立浦和高校でも教壇に立った。そこで1年終了の時点で、数学に自信がない生徒が文科系クラスを選択しているという安易な進路選択の状況を見て愕然(がくぜん)とした。私が浦高(うらこう)で教えるようになった若干の成果は、自らの知的関心と将来の夢をよく考えて、文科系、理科系を選択する生徒が増えたことだ。

 話を大学生に戻す。文科系の大学生が総じて苦手感を持つのが数学だ。しかし、数学は経済学、経営学はもとより、社会学や文学や神学(たとえば聖書のテキストマイニングに際しては統計知識が必要)においても不可欠になる。

 高校で文科系を選択すると、数IIBまでは履修することになっているが、これは建前に過ぎず数IAの内容ですら怪しい場合も多い。これは学生たちの責任というよりも、このような状況を放置してきた大人たちの責任である。私は自分が教える学生に対しては、数IIIまで独学が難しければ、通信教育を受けるか学習塾に通う形でもいいので、きちんと勉強するように、と指導している。

 理科系の大学生に関しては、一般的に歴史が弱いと見られているが、これは実態に反する。高校レベルでの現代文が理解できているならば(要は論理的な文章を正確に読む訓練ができていること)、歴史書を読めば理解できるので、理科系の学生でも問題はない。

 むしろ、国公立大学を受験する理科系の学生は、暗記する内容が少ないという理由で政治経済と倫理を選択する傾向がある。理科系の学生のほうが政治や哲学については、入試で日本史、世界史を選択した文科系の学生よりも正確な知識を持っている場合もよくある(受験勉強は意外と真の教養につながるのである)。

 理科系の学生が圧倒的に弱いのは英語だ。理科系の場合、最先端の論文のほとんどが英語で書かれている。また論文を書く場合も、英語で書くのが通例だ。しかし、高校段階でも大学の一般教養でも、そのような英語のノウハウを身に付けるような講義は開講されていない。一部の外国語のセンスが良い人以外は、大学の専門課程以降でも英語の習得に、かなりエネルギーと時間を費やしている。

 あるいは英語文献を扱うのを諦(あきら)めて、日本語文献の範囲内で研究を行う学生もいる。これだと、せっかく優れた問題意識と思考力があっても英語の壁に阻(はば)まれて、学生の可能性を十分に活かすことができない。

 副島氏は、代々木ゼミナールで英語の名物教師をつとめていたことがある。実用英語の使い手(特に読む力)として副島氏は一級である。この分野での副島氏の業績を1つだけ挙げるとするならば、ジョン・J・ミアシャイマー/スティーヴン・M・ウォルト『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策1、2』(講談社、2007年刊)の翻訳だ。本書は国際政治を読み解く際の基本書だ。

 副島氏の国際関係観にも、ミアシャイマー流のリアリズムがある。私は外交官時代、ロシアとの関係に次いでイスラエルとの関係が深かった。現下、日本の論壇でもイスラエルの生存権を認めることから、中東問題については論じなくてはならないと考えている。

 ミアシャイマー氏の見解については、同意できる部分とそうでない部分があるが、副島氏が訳さなければ、私がこの本を読むことはなかったと思う。副島氏の翻訳によって、私の視界は以前よりも広くなった。

 さて日本の中等教育の構造的欠陥は、文科系、理科系に知を分断してしまうだけではない。定向進化を遂げてしまった受験産業の副作用として、試験により偏差値でランク付けされることで高校生、大学生の心が疲れてしまっていることだ。その結果、受験競争の勝者を含め、ほとんどの大学生が勉強嫌いになっている。

 副島氏は、ネットで「学問道場」を主宰している。サイバー空間を通じて、再び人々が知に関心を向ける場を作ろうとしている。私はプロテスタント神学という古い学問を基礎としているので、個別に知を伝授するという方法しか思いつかない。

 中世の神学部では教養課程9年、専門課程15 年が標準的な修業年限だった。私は19歳のとき、神学を学び始めたが、自分で神学的思考を操れるようになったのは40代後半になってからだった。大学院修了後は外交官になり、2002年5月に当時吹き荒れた鈴木宗男事件の嵐に巻き込まれ、東京地方検察庁特別捜査部に逮捕され、東京拘置所の独房に512日間勾留されたときも、神学の勉強だけはずっと続けてきた。

 私が神学部と大学院神学研究科で指導した学生で、研究職志望や牧師志望は1人もいなかった。官僚、新聞記者、スポーツ用品メーカーの国際部門などに就職していったが、いずれも、あと20 年は神学の研究を続ける心づもりでいる(裏返して言うと、そういう心構えを持つ学生だけを選んで指導した)。

 人間、一人ひとりの生命は有限だ。自分自身で知についてある程度の感触を摑(つか)んでから、他者にそれを伝達できる期間は20年もなかったという現実を、現在、末期腎不全(じんふぜん)と前立腺(ぜんりつせん)がんのダブルパンチを受けて闘病を余儀なくされている私としては、ひしひしと感じている。

ところで、副島氏には、「農村が都市を包囲していく」という毛沢東(もうたくとう)流の戦略があると私は見ている。だから、地方で日本経済を現実に支えている経営者を、副島氏は大切にしている。私の場合、得意分野が外交で、人脈も永田町(政界)や霞が関(官界)に偏ってしまう。この点でも、私は副島氏から多くを学んでいる。

 実政治に関して、副島氏は岸田文雄(きしだふみお)首相支持の姿勢を明確にしている。

   日本政治への、私、副島隆彦の一番大きな、最大の希望は以下のことだ。

岸田政権を支える岸田首相本人を含めた8人の有力政治家たちがいる。このまだ若い指導者たち(と言っても、もう皆、50歳、60歳台だ)たち8人(80歳台のひともいる)が用心深く団結することで、安倍晋三たちを自民党から追い出すこと。

   これが政権政党である自民党にとっての最大の目標である。普通の国民には理解されないが、この自民党内の党内闘争、派閥抗争こそは、今の日本政治の中心である。

   この反安倍で、お互いの目くばせと無言の表情だけで、じわーっと結集す8人の政治家の名前は今は書かない。

   自分たちの粘り腰のいかにも日本人らしい慎重さで、自分たちのボロと弱点を露出することなく用意周到に準備する。そして愚劣極まりない、しかし手ごわい安倍晋三 の勢力を、計画的にお山の大将に祭り上げる作戦で孤立させて、やがて自民党から追放すること。これが今年1年の日本政治の最大の見せ場となる。

   反安倍で考えを同じくする有力政治家8人が結集することで、安倍集団を自民党内で孤立させ、のたうち回らさせる。そして安倍たちが自ら暴走、激発することで、実に稚拙で大人げない集団だ、ということが国民に丸見えになるので、彼ら60人ぐらいを自民党から追放する。何故なら安倍党は、すでに特殊な政治宗教団体に純化しているから、自民党と相容(あいい)れないのである。

   それでは自民党の大分裂になる。とてもそんなことは起きない、と考えるのが普通の人々だろう。

   私、副島隆彦は、自分が持つ予言者(プレディクター)の能力で、これから起きることを予想、予言する。世界情勢が一段と厳しくなれば、その影響が日本にも必ず押し寄せる。

   それは、日本政治の担当責任者たちへの圧迫となって必ず表れる。それは、支配政党内の政治抗争となって浮かび上がる。これが日本政治を待ち構える、今年最大のドラマであり、国家スケジュールである。

             (2022年1月2日 副島隆彦の学問道場「今日のぼやき」)

 私は、岸田政権の本質がいまだ何であるかよく理解できないでいる。安倍晋三(あべしんぞう)氏に関しては、現実主義的な北方領土交渉を行ったことを高く評価している。他方、現在、自民党内で世代交代をめぐる暗闘が繰り広げられているという認識を副島氏と共有している。副島氏は、自らを予言者(プレディクター)であると規定するが、国際情勢の変動が日本の支配エリートの分断をもたらすのは必然的現象なのだ。

 最後に私と副島氏の思想に関する共通認識について触れておく。それは若き日のカール・マルクス、フリードリヒ・エンゲルスに共通している。

 

   思想の歴史が証明していることは、精神的生産が物質的生産とともに変化するということでなくて、なんであろうか?あらゆる時代の支配的な思想は、いつでも支配階級の思想にすぎなかった。

(カール・マルクス/フリードリヒ・エンゲルス『共産党宣言』プログレス出版所、モスクワ、1971年、69頁)

 本書で批判の対象となっているのは、米中ロの地政学、戦後日本のリベラリズム、日本共産党のスターリン主義などを含め、現代の「支配的な思想」である。こういう思想が普及することによって、利益を得る集団があるということだ。私と副島氏は、1848年にマルクスとエンゲルスが行った作業を、2022年の日本で少しだけ形を変えて行っているにすぎないのである。

 本書を上梓するにあたっては、編集者でライターの水波康氏、(株)ビジネス社の大森

勇輝氏にたいへんにお世話になりました。どうもありがとうございます。

2022年1月12 日、入院中の都内某大学病院の病室にて

佐藤優

=====

『「知の巨人」が暴く 世界の常識はウソばかり』  もくじ

まえがき 佐藤優 3

第1章 世界の新潮流を読む

●低成長・マルクス主義の時代

時代の最先端思想は帝国から流れてくる 22

人間の欲望自体を縮小させるという発想 26

デフォルトとなった価値相対主義 29

●マイルドヤンキーが日本の主流

「ヤンキーの虎」が日本の新潮流 36

日本のボリシェヴィキはマイルドヤンキー 38

第2章 戦後リベラルの正体

●構造改革派の思想と田辺元の敗北

「佐高信の正体」と構造改革派 44

構造改革派の思想を生んだ久野収 49

田辺元と「悪魔の京大講義」 54

●日本共産党の正体

日本共産党は、なぜ危険なのか 61

批判されるべき「貧乏人平等主義」 68

日本共産党の暴力革命必然論 70

スパイだった野坂参三――日本共産党最大の事件 79

一国共産主義へと導いた宮本顕治の達観 86

●新左翼とは何だったのか

70年代は殺し合いの内ゲバ時代 94

東大闘争――過激派たちの末路 99

新左翼の誕生とセクトの分裂 102

ソ連から流れた左翼陣営へのカネ 105

繰り返すべきでない新左翼運動の悲劇 108

第3章 米中ロの世界戦略と日本の未来

●アメリカの敗北で起爆するイスラム革命

日本政府のアフガン政策は間違っていなかった 112

インテリジェンス分析の弱さがアメリカ敗北の一因 118.

ロシアが懸念する中央アジア・フェルガナ盆地 123

●宗教対立と戦略なきバイデン政権

ローマ教皇のイラク訪問が意味するもの 131

綱渡り状態が続くイスラエルの内政 135

●中国の台湾侵攻と日本の未来

中国は台湾に侵攻できない 139

日本は中国とケンカすべきではない 144

実現の可能性がある北方領土の二島返還 149

日本は属国のままか、あるいは帝国になれるのか 152

国家を破綻させる「革命」の恐ろしさ 156

欲望の肯定が生み出した中国の巨大な成長 160

平均賃金で韓国に抜かれた日本の最重要課題 165

第4章 ディープ・ステイトの闇

●ディープ・ステイトとは何か

ディープ・ステイトの成り立ちと日本での実態 170

MMT理論とコロナ給付金で崩壊する日本 175

イベント屋と化したディープ・ステイト 180

●世界を支配する闇の真実

ヒトラーはイギリスのスパイだった! 183

ヒトラー暗殺未遂事件が生んだ真の悲劇 186

第5章 間違いだらけの世界の超常識

●世界はデイズム(理神論)に向かっている

この世は物質と霊魂でできている 194

ヘーゲルとマルクスの間違いとは何か 202

●学問の最先端を理解する

形而上学がすべての学問の土台 209

西洋の学問の最上位は神学である 215

「我思う」から「考える葦」、そしてスピノザへ 219

人類を悲惨な状況に追い込んだルソーの絶対平等思想 223.

ドストエフスキーが見抜いた資本主義の本質 229

ポストモダン、構造主義が消えた必然 235

●佐藤優と副島隆彦の生き方哲学

人間には特権的な地位がある 239

キリスト教がいまだに強い真の理由 242.

あとがき 副島隆彦 246

=====

あとがき

副島隆彦

佐藤優氏との対談本は、これで7冊目である。この本の書名は「知の巨人うんぬん」となっている。私は、知の巨人という奇妙な、気色の悪い言葉を嫌悪(けんお)する。ところが、何とこれが書名になってしまった。知の巨人というコトバは、出版業界の宣伝文句として、文藝春秋のライター上がりの立花隆(たちばなたかし)に奉(たてまつ)られた 冠(かんむり)言葉だ。立花隆は、CIA(米中央情報局)の手先となって、愛国政治家の田中角栄を謀略政治言論で突き殺した当人である。

 この対談本の相手の佐藤優は知の巨人であろうが、私はそうではない。私は九州の田舎から出て来て何とか言論人になろうと、貧乏の中で何のコネもなく自力で這(は)い上がって来た人間だ。だから私は、この世の全ての特権階級、言論お公家(くげ)さま集団が大嫌いである。

 私は、世の中で隠されている諸真実を本に書いて暴き立てることで、出版業界で何とか徒食(としょく)して来た。私は自他共に認める〝真実暴きの言論人〞である。

 佐藤氏は、まえがきで私が静岡の私大で12年間教えたことを、私に何か人生戦略が有るかのように書いてくれている。そんなものは、ありません。私は、年収1000万円の収入が欲しかったから大学教師をしていただけだ。私のアメリカ政治研究の能力を評価してくれた政治家が、推薦してくれた。その前の13年間の予備校講師も、ゴハンを食べる(生活費を稼ぐ)ための必要でやっていたのであって他に理由はない。

 私は、世の中のごく普通の人々の悲しみと苦しみが分かる人間である。私は、権力者や支配者層の人間たちと闘い続けるから、彼らに同調しないし、身を売らない。

 佐藤優は、ロシア語とドイツ語から、宗教(神学)と思想の両方を刻苦勉励して習得した。私は英語しかできない。佐藤優は、日本では稀有な世界基準 world values(ワールド・ヴァリューズ)で、高等知識を取り扱うことができる稀有な思想家である。だから、私は佐藤優と話が合う。互いの知能(インテレクト)を理解し合っている。こういう本物の知識人は、今の日本にあまりいなくなった。昔は少しいた。今の日本の知識人(学者)階級の知能低下は目に余る。ヒドいの一語に尽きる。

 本書のP213でアリストテレスの主要な著作の meta-physica(メタ・フィジカ)と physica(フィジカ)(物理学 ×自然学ではない)の区別を論じた。メタフィジカの「メタ」meta-は、普通言われているような物質世界(フィジカ)の「上」とか「前」とか「後(あと)」ではない。Meta-は「下」である。フィジカの下に有る土台のことだ。

  このことで、私は佐藤氏と一致した。メタ meta-は、この現実の世界 physica(フィジカ)の下に有って、それを支える基礎、土台のことである。このことを2人で確定した。

 meta-physicaを、明治の初めに×「形而上学(けいじじょうがく)」(形あるものの上[うえ]にある学問)と訳した。このことの大間違いが、本書ではっきりした。これは、日本における西洋学問の輸入、移植の際の欠陥、大(だい)誤り、大失敗の指摘と訂正ののろしとなるだろう。

 私が、この30年間抱えてきた学問研究上の疑問の苦悩を佐藤優に一つ一つ問いかけて、

「そうですよ」「そうですよ」と頷(うなず)き(合意)をもらえたことが大きい。日本国におけるヨーロッパ近代学問(これがscience [サイエンス]。P217の表)の受容上の数々の大誤りが、本書で訂正されていった。このことは、日本における学問と思想の大きな前進である。

  私は、「ウィキペディア」を強く疑っている。インターネット上に開かれて、誰でも、どこからでも、自由(フリー)に読める百科事典(エンサイクロペディア)を名乗っている。現代の新たな人類の知識(知能)の管理組織である。その危険性に私は、警鐘を鳴らしてきた。アマゾン、グーグル、アップルら米 big tech(ビッグテック)の危険性と同じだ。だが、今のところ誰も私の主張を聞いてくれない。

 ウィキペディア Wikipediaの、あの膨大な文章は一体、誰が、どんな組織で書いているのか分からない。ウィキペディアンたちがボランティアで書いてます、は人々を欺(あざむ)く謀略言論である。書き手は名無しのゴンベエだ。文章責任(文責[ぶんせき])が全く明らかでない。公共の知のふりをした闇に隠れた支配組織だ。

 ウィキペディアは、80 年前(1938年)にイギリスの大(だい)SF作家のH(エイチ)・G(ジー)・ウェルズがぶち上げた world brain(ワールド・ブレイン)「世界頭脳」というアイデアを元(もと)にしている。この世界頭脳は、世界中のどんな貧しい人々も、ただちに習得できる公共知の提供の構想だった。

 ところが、この世界頭脳(ワールド・ブレイン)は危険である。人類を上から支配する目に見えないビッグ・ブラザー big brotherの片割れである。その現在の姿がウィキペディアである。それなのに、日本の出版業界と知識人層は疑うことも知らず、このウィキペディアにべったりと依存している。だから、出版業界が衰退しジリ貧になるのだ。

 佐藤優と、次の対談本では、これらの問題を話し合いたい。

佐藤優氏が、まえがきで献辞を書いたので私は繰り返さない。

2022年1月

副島隆彦

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 古村治彦です。
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消えた球団 1950年の西日本パイレーツ
 新年早々、『1950年の西日本パイレーツ』(塩田芳久著)を読了。ビジネス社の「消えた球団シリーズ」の1冊だ。他に毎日オリオンズ、松竹ロビンズ、高橋ユニオンズ編がある。ビジネス社の編集者で知り合いの方がいて、本書の話になって、「古村さんみたいなマニアックな読者の方に読んでいただこうと思って企画しているんですよ」という言葉通り、面白く読んだ。著者は西日本新聞の記者で、紙面で西日本パイレーツについて連載記事を執筆していたそうだ。

西日本パイレーツはセパ分裂後、1950年の1年間だけセリーグに所属した球団で西日本新聞が持っていた。同時にパ・リーグには西日本鉄道(西鉄)が所有する西鉄クリッパーズも存在し、1950年の二リーグ分裂元年には福岡に2球団が存在した。セパ分裂に関しては、複雑な事情があるが、読売新聞が西日本新聞に話を持ち掛けて球団創設となった。西日本新聞と西鉄は協力して球団を持つ意向であったそうだが。

西日本新聞社内でも「黒歴史」と呼ばれ、著者も「海賊版」のようなチームと形容していたが、パイレーツが日本野球史に残っているのは、青森球場でのジャイアンツの藤本英雄投手が完全試合を達成した時の相手がパイレーツだったことだ。しかし、この時のパイレーツは大変な状況だった。74泊75日のロードの中で、鈍行列車の床で選手たちが寝るような環境の中で、このような不名誉な記録を残してしまうことになった。フランチャイズ制もめちゃくちゃで、地元平和台では14試合しかしていない。当時は新幹線も飛行機もなく、鈍行列車で行くしかない。東京のチームが弱体チームのパイレーツとの試合のためにわざわざ遠征してくれるなんてことはない。逆にパイレーツはお客さんを求めて日本全国を旅することになった。この当時は流通網が寸断されており、都市部では食料不足でも、地方に行けばお腹いっぱい食べられるという時代だった。パイレーツは8球団中6位となった。セリーグは6球団を目指して、パイレーツの追い出し(西鉄クリッパーズと一緒になってパ・リーグでやれ)、広島と大洋は合併せよという方針を打ち出した。西日本新聞と西鉄は合併球団でセリーグ所属を望んだがそれは無理だった。

結局最後はセリーグから追い出されるようなことになり(読売新聞が甘言を弄して誘っておきながら)、西鉄と合併してパ・リーグに所属、新監督にジャイアンツの総監督として窓際に追いやられていた三原脩を迎えて、西鉄ライオンズが誕生ということになった。

野球史の知識があればより楽しく読める一冊。なくても、劣悪な環境の中で戦った選手たちの心意気、読売の理不尽に対峙する人々の意地に触れることができる。元中日の200勝投手にして、「フォークの神様」杉下茂御大のインタヴューは貴重。記憶力の良さに驚く。

最後に、福岡のプロ野球を発展させたのが、三原脩、王貞治と、共にジャイアンツで監督を務めながら、どこか不遇であった人々であったこと、福岡で彼らの理想が花開いたことは何か運命的なものを感じる。

 著者は資料的な制約やコロナ禍の中、丹念に調べ上げて、力作に仕上げている。さすが西日本新聞記者の心意気、だ。

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。  
 2021年12月3日に副島隆彦著『ディープ・ステイトとの血みどろの戦いを勝ち抜く中国』(ビジネス社)が発売される。副島先生の中国研究は既に10冊を超えた。私も2019年に副島先生のお供で深圳と香港を訪問した。その時の様子はこのブログでもご紹介した。
『全体主義中国がアメリカを打ち倒す』(副島隆彦著)発刊記念中国訪問記(1):深圳編
『全体主義中国がアメリカを打ち倒す』(副島隆彦著)発刊記念中国訪問記(2):香港編  
 『ディープ・ステイトとの血みどろの戦いを勝ち抜く中国』では、中国最高指導部が、「災い転じて福となす」戦略で達成した成果7つについて書いている。その7つについては、「はじめに」から以下のように引用する。
(貼り付けはじめ)
(1) 「デジタル人民元」がアメリカのドル覇権を叩き潰しつつある。デジタル人民元 が 世界通貨体制の 要(かなめ)となるだろう。
(2)  台独[たいどく](台湾独立派)を叩き潰して、アメリカが台湾に肩入れし、手出し干渉することを撃退する。日本やオーストラリアごときは、その手駒(てごま。paw ポウ)に過ぎない。
(3)  習近平は、勉強させ過ぎ(過酷な受験勉強)の子供たちを救出した。精鋭(せいえい)国際教育集団(OSIEG)という巨大教育産業(全国学習塾チェーン)を叩き潰して倒産させた。ニューヨーク上場株式消滅。ゲーム・アニメ・動画も同じく弾圧した。
(4)  経営危機の「恒大(こうだい)集団」を始め最大手不動産デベロッパーを、うまく国家の住宅政策に取り込んだ。恒大は同業種の国有企業が吸収合併(マージャー ・アンド ・アクイジジョン)。過熱した住宅価格も2割下げる。そしてゆくゆくは、14億人の全ての民衆(国民)に床面積100㎡(30坪)の高層住宅を持たせる(買えるようにする)。
(5)  ”中国版ビッグテック” (アリババ、テンセントなど)を、デジタル人民元の仕組みの中に解体的に取り込む。
(6)  9月24日に、ビットコインと全ての仮想 通貨(かそうつうか。暗号資産 クリプト・アセット)を最終的に禁圧し、国外追放にした。鉱山(マイナー)主たちの多くがアメリカのテキサス州に逃げた。仮想通貨はやがて叩き潰され、世界通貨体制の中にブロックチェーン技術を中心にして取り込まれる。  新しい世界通貨体制(ニュー・ワールド・カレンシー・オーダー)は予定通り、やがて、中央アジアのカザフスタン国に、すべての国の政府と中央銀行が集まって、国際条約で発足する。
(7)  生物兵器(バイオウエポン。細菌爆弾、ジャームボム)としてのコロナウイルスの武漢への攻撃を、中国は完全に撃退した(2020年9月に習近平が勝利宣言をした)。中国はディープ・ ステイト(陰[かげ]に隠れた世界支配者ども)の中国攻撃を、内部に攻め込ませる形で迎撃(げいげき)して粉砕した。中国の勝利だ。  このあとのm(メッセンジャー)RNAワクチンという世界民衆大量殺戮(さつりく)の邪悪な生物化学兵器も中国は見抜いて防御した。愚か者の日本や欧米の白人たちは、これから国民がたくさん死ぬ。(1-4ページ)
(貼り付け終わり)
 重要なのは、中国国内に分裂や分断をもたらさないことである。そのために習近平政権は、「共同富裕」という考えで、中間層を増大させ、いまだに貧しい6億の農民の報酬を引き上げることを宣言した。分厚い中間層はどの国にとっても安定と発展のためには不可欠な要素である。そのために急激な高度経済成長でもたらされた格差を是正する。
 更に言えば、一時期の日本よりも厳しい受験戦争から子どもたちを解放すること、そして、スマートフォンやSNS、ゲームへの依存から救出することを目指している。この点が重要だ。なぜならば、若者たちのスマートフォンやSNS、ゲームへの依存は、すでに先進諸国でも問題になっているからだ。これらは孤立感や憎悪を増幅させる。その結果として、社会は壊れていく。私は、2021年11月25日に『ビッグテック5社を解体せよ』(ジョシュ・ホウリー著、古村治彦訳、徳間書店)を出版したが、そこにも同様のことが書かれている。現在、世界各国が抱える問題は共通しており、それは深刻なものとなっている。中国も例外ではない。そして、中国最高指導はそれらの諸問題を逆手(さかて)にとって、「禍を転じて福と為す」ということで、より良い状態を生み出そうとしている。
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ビッグテック5社を解体せよ 
 ここでちょっと宣伝をさせていただくと、私は2014年に『野望の中国近現代史』(オーヴィル・シェル、ジョン・デルリー著、ビジネス社)という翻訳本を出版した。 この本は非常に重要な本だ。本ブログ2021年7月9日付記事「「恥辱の世紀」から「復興」へ「歴史のバトン」をつなぐ中国:「富と力」を求めた200年間」で、2021年7月1日付でアメリカの外交専門誌『フォーリン・ポリシー』誌に掲載された「中国共産党はこれまで常にナショナリスト政党であった(The Chinese Communist Party Has Always Been Nationalist)」(ラッシュ・ドシ筆)という記事を紹介した。
「恥辱の世紀」から「復興」へ「歴史のバトン」をつなぐ中国:「富と力」を求めた200年間
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 この記事は『野望の中国近現代史』の内容をそのまま要約したものだった。現在はほぼ絶版状態になっており、新刊本は書店では手に入らないし(アマゾンでは残り1点だそうだ)、電子書籍版もないので、中古本を買っていただくしかないが、中国の近現代史を大づかみに一気に理解したい方には最良の一冊である(少し分厚いですが。私の高校の同級生は2度読んだよと言ってくれました)。アメリカの知識人階級の中国近現代史理解は本書でできていると言っても良いだろう。
 最後に私の中国体験を書いておきたい。2019年に中国を訪問したが、それ以前にも行ったことがある。私は1984年、当時小学4年生だったと記憶しているが、地元鹿児島の南日本新聞社主催の「子ども遣唐使」という小中学生だけの中国訪問ツアーに参加した。これは、鹿児島の薩摩半島の南端にある坊津(ぼうのつ)という場所に、奈良の唐招提寺の開山となった鑑真和上(がんじんわじょう)が漂着した歴史があること、当時は日本からの中国への渡航も制限が緩和されたこともあっての子どもたちの訪問団が実現したということだったと思う。前年が第1回で、それに参加した子どもの保護者から話を聞いた親が勧めてくれたという記憶がある。私にとっては当然ながら初めての海外旅行だった。その頃の鹿児島で海外旅行に行く小学生なんてほぼいなかった。
 私たちは鹿児島空港から長崎空港へ飛び、長崎空港から中華民航機で上海に向かった。私たちの訪問地は上海と無錫だった。上海空港はただただ広かったが、飛行機が到着した場所から空港の建物まで歩いた。私はそれまで子供ながらに鹿児島空港と羽田空港を利用した経験があったので、雑草が生えている滑走路を歩きながら、「タラップもないなんてなんてみすぼらしい」という感想を持った。中国側からは通訳の方もついて、ホテルに着き、翌日からは観光や少年宮と呼ばれる教育施設の訪問などがあった。
 私が記憶しているのはパンダだ。やっぱり子供である。私は親戚もいた関係で東京には毎年のように行っていたので(こんな子供もまた鹿児島では珍しかった)、日本の上野動物園でパンダを見た経験はあった。上野にいたパンダは空調の聞いた檻(というよりも部屋)に入っていて快適そうだった。一方、上海動物園のパンダ。上海のパンダはただの檻に入れられて、夏の猛暑の中、水風呂にひたすら入っていた。そして、夏バテのためか昼寝をしていた。そこに、白人の親子もおり、子どもたちがパンダを起こそうとして「ヘイ、パンダ」「ヘイ、パンダ」と呼び掛けていた。「英語でもパンダはパンダって言うんだな」という妙な感心をしたことを覚えている。
 上海の動物園には中国人の子どもたちもたくさん来ていたが、皆一様にランニングシャツに短パンだった。そこに外国語を話すこざっぱりとした格好の子供たちの一団がやって来たのが異様だったのか、私たちの後ろを同年代の子供たちがついてきた。私は子供心に、「日本が戦争をして負けた後の写真やドラマ、ドラマでよく見る格好だ」と思い、中国は貧しいんだと実感した。それから40年ほど経った訳だが、その時一瞬邂逅した、日本の子どもたちと上海の子どもたちは今や中年になっている訳だが、その生活はどうなのだろうかと考えると、大きな逆転があったのではないかと容易に推測できる。彼らは中国の高度経済成長を経験し、私たちは失われた30年を経験した。
 それから由緒のあるお寺を訪問した。その中身については全く覚えていないが、私は壁に何か描かれていたが乱暴に消された跡があることに気付いた。それが歴史のあるお寺にそぐわないと子供心に思ったのだろう、通訳の方に「あそこだけどうしてあんなに汚れているんですか」と質問した。通訳の方は「文化大革命というものの跡です」と教えてくれた。私は「文化大革命とは何ですか」と質問した。その答えは「日本に帰ってお父さんとお母さんに聞いてください」というものだった。それでこの話は終わり、あまり良くないことなのだろうと察することができた。それから、この通訳の方は何かと私に気遣いをしてくれるようになった。どこかに行くたびに私の感想を聞きたがり、面白そうに聞いてくれた。他の子どもたちはちょっと違うと思ってくれたようだ。
 後日談では、私が入学した高校の美術室にはベランダがあり、そこは高校生たちが隠れてタバコを吸うスペースになっていた(今はそうではないと思います)。私はそこの掃除当番になって毎日吸殻を捨てていたのだが、ある日壁にうっすらと「造反有理」と書かれているのを見つけた。これは文化大革命のスローガンだと知っていたので、恐らく学生運動の名残なんだろうと納得した。その後、その高校の出身者である私の叔父に話をしたら、「懐かしいなぁ、それを書いたのは私だよ」と教えられて、小学4年生で知った文化大革命という言葉が非常に身近に感じられた。
 1984年はロサンゼルスでオリンピックが開催された年だ。ご多分に漏れず、私もオリンピックを楽しみにしており、コカ・コーラを何本か飲むと貰えた(というシステムだったと思う)、マスコットのイーグル・サムの付いたグラスを集めていた。中国訪問中はオリンピックの開催期間でもあったので、ホテルのテレビでオリンピックを見ることになったが、当然のことながら、中国での放送は中国選手ばかりが映る。今ではそんなことは何とも思わないが、当時子どもだった私は日本選手の活躍が見たかったので大いに不満だった。 ホテルでテレビを見ていた時に、日本のドラマの吹き替えが多かったのも印象的だった。「赤いシリーズ」と呼ばれたドラマで、山口百恵が出ているシリーズが丁度放送されていた。「わぁ、山口百恵だ、懐かしいなぁ」と思ったことを覚えている(山口百恵は私がもっと小さい頃に既に引退していたので)。また、上海のバンドのあたりには、三田佳子がキャラクターの三洋電機の洗濯機の大きな広告があったことを覚えている。
 中国訪問中、私は誕生日を迎えた。ホテルでは心づくしのケーキを出してくれた。しかし、このケーキはスポンジがパサパサ、クリームも日本のものとは違う感じで、子どもたちの口には合わなかった。また、ある時に通訳の方と話していて、自転車が給料1カ月分だと教えてくれて、その給料は日本円で言えば8000円くらいと教えてもらえた(通訳の方の給料はもっと高かったと思う)。私の親は教師をしていたが、それよりもずっと高い給料をもらっている(それでも日本では真ん中くらい)ということを知っていたので、中国の貧しさを実感した。
 私が子どもの頃に中国を訪問して40年、中国は日本を逆転した。これからその差は広がっていくだろう。一人当たりのGDPはまだ日本が上回っているが、それもいつまで続くか分からない。日本の衰退・縮小が続き、中国が成長を続けていけば、自然とそうなる。既に中国の都市部では生活水準で日本を上回っているところが出ている。中国が本気で中間層の厚みを増そうとして、配分や再配分に本腰を入れていけば、生活水準は上がっていく。ランニングシャツに短パンだった上海の子どもたちは今や一流ブランドの洋服に身を包み、あの頃こざっぱりとした格好をしていた私たちはどうだろうか、ユニクロの洋服を着て満足している。この大きな逆転を実感することは歴史の大きな流れを実感することだと私は思う。副島先生の中国研究本を読みながら、なぜか昔話を書きたくなった。長くなってしまって申し訳ありません。ご寛恕の程、お願いいたします。 (貼り付け終わり) (終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2021年12月3日に副島隆彦先生の最新刊『ディープ・ステイトとの血みどろの戦いを勝ち抜く中国』(ビジネス社)が発売開始となります。以下にまえがき、目次、あとがきを貼り付けます。参考にして是非お読みください。よろしくお願いいたします。
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ディープ・ステイトとの血みどろの戦いを勝ち抜く中国

(貼り付けはじめ)

はじめに

この本は、最、最新の中国研究の本である。この9月、10月に中国で7つの大きな動きがあったことから書く。中国政府は一気にまとめて、7つの巨大勢力を次々と叩き潰した。このことが分からなければ、最新、最先端の中国を分析、解剖したことにならない。

私は、はっきりと見抜いた。叩き潰された7つの巨大勢力とは何か。

(1)「デジタル人民元」がアメリカのドル覇権を叩き潰しつつある。デジタル人民元

世界通貨体制の 要(かなめ)となるだろう。

(2) 台独[たいどく](台湾独立派)を叩き潰して、アメリカが台湾に肩入れし、手出し、干渉することを撃退する。日本やオーストラリアごときは、その手駒(paw[ポウ])に過ぎない。

 (3) 習近平は、勉強させ過ぎ(過酷な受験勉強)の子供たちを救出した。精鋭(せいえい)国際教育集団(OSIEG)という巨大教育産業(全国学習塾チェーン)を叩き潰して倒産させた。ニューヨーク上場株式消滅。ゲーム・アニメ・動画も同じく弾圧した。

(4) 経営危機の「恒大(こうだい)集団」を始め最大手不動産デベロッパーを、うまく国家の住宅政策に取り込んだ。恒大は同業種の国有企業が吸収合併(マージャー ・アンド ・リクイジジョン)。過熱した住宅価格も2割下げる。そして、14億人の全ての民衆(国民)に100㎡の高層住宅を持たせる(買えるようにする)。

(5) 中国版ビッグテック(アリババ、テンセントなど)を、デジタル人民元の仕組みの中に解体的に取り込む。

(6) 9月24日に、ビットコインと全ての仮か 想そう 通つう 貨か (暗号資産[クリプトアセット])を禁圧し、国外追放にした。鉱山(マイナー)主たちの多くがアメリカのテキサス州に逃げた。仮想通貨はやがて叩き潰され、世界通貨体制の中にブロックチェーンを中心にして取り込まれる。新しい世界通貨体制(ワールド・カレンシー・オーダー)は予定通り、やがて、カザフスタン国にすべての国の政府と中央銀行が集まって、国際条約で発足する。

(7) 生物兵器[バイオウエポン](細菌爆弾[ジャームボム])としてのコロナウイルスの武漢への攻撃を、中国は完全に撃退した(2020年9月に習近平が勝利宣言をした)。中国はディープ・ ステイト(陰[かげ]に隠れた世界支配者ども)の中国攻撃を内部に攻め込ませる形で迎撃(げいげき)して粉砕した。中国の勝利だ。このあとのmRNAワクチンという世界民衆大量殺戮(さつりく)の邪悪な生物化学兵器も中国は見抜いて防御した。愚か者の日本や、欧米の白人たちは、これから国民がたくさん死ぬ。

このように、中国は7つの巨大な敵勢力をこの秋、一気に叩き潰した。そして、習近平は 「中国はこれから中産階級を育てて増やすことで、『共同富裕』を目指す」と宣言した (8月17日)。これは、中産階級がどんどん没落している日本や、欧米の資本主義国に対する大変な嫌味(イヤミ)と皮肉である。

中国は、昔の毛沢東主義の「貧乏な絶対平等主義」を捨てたのである。「みんなで豊かになろう(共同富裕)」と 指導者 が、大声で、何のためらいもなく宣言できる、今の中国は素晴らしいのである。このように大きく、大きく世界を見る目がないなら、政治言論や政治研究などやる必要はない。

私、副島隆彦は、常に世界規模(スケール)の大きな動きを見ている。日本国内の反共右翼と中国嫌いたちがどんなに喚(わめ)いて泣き叫(さけ)ぼうが、どうせ中国が世界覇権国(ヘジェモニックステイト)になる。文句があるなら何か書いてきなさい。

副島隆彦

=====

目次

はじめに  1

第1章    中国の歴史を根底から変えた習近平の「共同富裕」

「共同富裕」の本当の意味  16

過剰な不動産投資を徹底的に潰す中国政府  23

習近平の柔らかい中国型の社会統制  27

異様な不動産価格の高騰と恒大の破綻問題の行方  32

「影子銀行」と社債という時限爆弾  38

恒大問題は今後どうなっていくのか?  41

中国の住宅バブルを叩き潰してはいけない  43

標的となった大手学習塾チェーン  47

「双減政策」と「家庭教育促進法」の真の目的  52

中国の貧富の格差と日本の衰退  60

私が深圳で見た中国の読書人階級  66

1980年代の中国で現れた「新家父長制」とは何か?  68

共同富裕は「第2の文革」という大いなる誤解  73

第2章  これから世界の通貨の中心となるのは、「デジタル人民元」である

世界的なデジタル通貨への流れは止まらない  78

これからの世界決済制度をリードするデジタル人民元  84

中国政府はなぜ 「ビットコイン狩り」を断行したのか  90

金ドル体制の崩壊と「1ドル=1円」時代の到来  98

日中経済は 「1人民元=2円」の次元へと移行する  101

中国流ビッグテックの潰し方  106

第3章  マスメディアが煽り続ける台湾問題の真実

日本はアメリカの台湾防衛の肩代わりをさせられる  112

クアッド首脳会議の裏で起きていた真実  116

今から50年前、台湾は国連から追放された  120

台湾情勢を煽って得するのは誰なのか?  124

習近平は台湾に武力侵攻する気などない  134

台湾と香港で繰り広げられるスパイ合戦  137

日本に密入国した脱走スパイたちの行方  139

タイワニーズたちの複雑な心理  146

「もう戦争で死ななくていい」という、韓国人にとって腹の底から湧き出る喜び  150

第4章  テクノロジー開発競争と欧米諸国の没落

中国と台湾はTPPに加盟できるのか?  158

アメリカの裏庭に入り込む中国  163

孟晩舟とカナダ人スパイの交換劇  165

6Gすなわち量子コンピュータ開発をめぐる日米中の争い  172

アメリカから離れていく台湾の半導体大手TSMC  178

「COP26」をめぐる中国とイギリスのつばぜり合い  184

体系的略奪を行った大英帝国に対する中国の怒り  187

第5章  ディープ・ステイトと中国の終わりなき闘い

中国 VS. ディープ・ステイトの闘いが始まった  194

2024年の米大統領選を勝ち抜くトランプ  196

CIAも認めたコロナ武漢発生説の真相  200

コロナはアメリカが作った対中生物化学兵器だ  204

バイオケミカルウォーに打ち勝った中国  208

アフガニスタンで起きたアメリカの大失敗  217

アメリカ撤退に先立ちタリバーンと関係を築いていた中国  222

高速道路と高速鉄道でますます一体化するユーラシア  228

世界の最先端を行っていた一人っ子政策  239

中国はユーラシア大陸へと、さらに伸びていく  241

おわりに   247

=====

おわりに

この本、『ディープ・ステイトとの血みどろの戦いを勝ち抜く中国』を、私が書 いている時、日本国内ではまだコロナウイルスとそのワクチンを打つことをめぐる混乱と社会不

安が続いている。ワクチンを打った人たちの中で、全国で物凄い人数が高熱を出し、痛み

を感じ、さまざまな悪い症状を起こしている。そのことを、ヒソヒソどころかざわざわと

話している。

ところが 日本 政府 も、医者 たちの 団体 も、 テレビも 新聞 も、「ワクチンの 3回目、4回目を接種しよう」という立場である。そのように急(せ)き立て扇動(せんどう)している。私は、せめて子供たちだけには、絶対にワクチンを接種させてはいけない、という立場である。もうすでにワクチンを打った大人たちは仕方がない。

日本には真実は、コロナウイルスはほとんど入ってこなかったし(政府が防御した)、この新型ウイルスで死んだ人はほとんどいない、と思っている。私自身は、このヘンなワクチンを打ってはいけないという立場である。私は反ワクチン派 un - vaccinated である。みんなが大きく騙されているだけだ。自分の体と頭をおかしくされている。

この世界を邪悪な意志で統制しようとしているディープ・ステイト(陰[かげ]に隠[かく]れて世界を支配する者たち)の底知れない悪魔性を痛感するに及んで、私はわが民族の存亡まで危惧している。

それに引き換え中国は、国民向けのワクチンはmRNA(メッセンジャー・アール・エ

ヌ・エイ)の遺伝子組み換え型ではない。中国製のワクチンは従来型の、ウイルスが不活化(ふかつか)(完全に死んでいる)のシノファーム社製とシノバック社製のワクチンを作って国民を守っている。

私はウイルス学や感染症学の専門家でも医者でもないので、知ったかぶりはしない。それでも今、人類を襲っている集団発狂状態を、深く憂慮する。

本書のP200で書いたが、中国は、2019年10月にアメリカの恐ろしい勢力が(米軍を使って)武漢(ウーハン)に撒いた新型コロナウイルスという生物化学兵器(細菌爆弾)を見事に撃退した。中国の勝利である。ディープ・ステイトはこの後(あと)、狂ったようになって、世界各国に新たに変異種のコロナウイルスを撒いて回った。だが、人工のものであるために、大した被害は出ていない。それでもコロナの恐怖で、世界各国の人々をパニック状態に陥れておいて、その次にワクチンの形で、直接人間の体の筋肉と血液中に、生きているコロナウイルスを注射させた。

 こういうことを書くと、私は、今の日本の社会情勢からは、少数派の異質な言論人と見

なされ疎外される。私は、人々は集団発狂状態(マスヒステリア)に陥っていると考える。

このマスヒステリア(mass hysteria という えは、精神分析学(精神医学)の

斗(たいと)であるジーグムント・フロイトが唱えたもので、集団発狂は、英語及びヨーロッパ語で、マスヒステリアと言うより他にないのである。

私はコロナ問題について、2019年の7月に、『日本は戦争に連れてゆかれる   狂人日記2020』(祥伝社新書)を書いた。この本の中で、日本国民は太平洋戦争に突入した時に、訳も分からず異様に興奮して一瞬のうちに集団狂躁(きょうそう)状態に陥ったと書いた。今の静かなる集団発狂状態と酷似している。

日本が大国のアメリカと戦争を始める、などと思っていた国民は、真珠湾攻撃のその日

まで、指導者層数十人を除いて、誰もいなかったのである。その直後、日本人は一気に舞

がって、「鬼畜(きちく)米英」「撃(う)ちてし 止(やま)まん 」「聖戦必捷(せいせんひっしょう)」を唱えながら、正装の羽織袴(はかま)姿で、町内会ごとに皇居を一周したのである。

日本を、ことさらに中国にぶつけようとする人たちがいる。そして、戦争にまで突入す

ればいいと本気で思っている人々がいる。「中国が攻めてくる」と。

私はこの反共(はんきょう)右翼で反中国を喧伝(けんでん)し、日本国民を扇動するメディアや言論人たちと厳しく対決しないわけにはいかない。中国は、一歩引いて、慎重に、かつ優れた頭脳でこれに対抗している。

戦争にのめり込んでいく時の国民心理の根底にあるのは、激しい自己防御(ぼうぎょ)本能(セルフプロテクション・インスティンクト)である。ところが、この自己防御本能は、急激に相手への攻撃性となって現れることがある。あまりにも人間に虐待された動物が、人間に嚙かみついてくるのに似ている。この行動は、自己破壊衝動(セルフ・ディストラクティブネス)として、自傷行為(自損行為)になる。

恐怖感から本気で相手に殴り掛かったら、自分の手の骨を折るであろう。これがフロイトが 学問的 研究 した「自我」(Das Ich[ダス イッヒ]ego[エゴ])である。それが集団としての国民感情として表れるのが、超自我[ちょうじが]Über Ich[ヒューバー イッヒ] super ego [エゴ])である。スーパーエゴ (超自我)は、部族社会や民族全体としての共同主観(共同幻想   マス・イルージョン)である。フロイトはこのエゴ(自我)とスーパーエゴ(超自我)の理論を唱えたことによって今も20世紀の大思想家である。

超自我(スーパーエゴ)は、体制側の社会統制(ソウシアル・コントロール social controlに自ら進んで従っていく人間の本能的な自己防御行動である。だから今は、みんながしている通りに自分もマスクをして、ワクチンを打ちに行くのである。そうやって、皆と同じだと安心したいのである。だが、それこそが、まさしく集団発狂心理(マス・ヒステリア)であった。私たちは、おそらくまとめて、ごっそりと次の戦争に連れてゆかれるだろう。

私は「ああ、そうか。このことだったのか」と、改めてフロイトの思想の偉大さを理解できた。

コロナとワクチンに狂っている日本国民は哀れである。いや、計画的にディープ・ステイトの力によって、私たちは狂わされているのである。「狂っているのはお前のほうだ」と言いたい人は言ってください。

この本は、「はじめに」で書いた、7つの巨大勢力を中国政府が最近、一気に叩き潰した、

を全体の構成にしている。このことをうまく説明できていれば、本書の成功だと考える。(1)デジタル人民元、(2)台湾独立派、(3)過酷な受験勉強、(4)恒大集団、(5)中国版ビッグテック、(6)ビットコインと全ての仮想通貨、(7)コロナウイルス、の7つである。

この本を作るために、ビジネス社編集部の大森勇輝氏に一方(ひとかた)ならぬお世話になった。記して感謝します。

2021年11月

副島隆彦

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 古村治彦です。

 

 今回は『今の巨大中国は日本が作った』(副島隆彦著、ビジネス社、2018年4月28日)をご紹介します。この本は現在の中国の最新の情報と分析が詰まった一冊となっています。

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今の巨大中国は日本が作った

 

 この本では、森嶋通夫、青木昌彦という2人の日本人経済学者(ノーベル賞に近い日本人学者と言われた)が中国から派遣された優秀な留学生を教え、その留学生たちが現在、中国を運営している、その代表が中国共産党中央政治局常務委員の王滬寧(おうこねい)であることを明らかにしています。

 

 中国は高度経済成長期の日本をよく研究し、参考にしています。1960年代から70年代にかけての日本の高度経済成長の最大の特徴は、大きな格差を生み出さない経済成長(economic growth without inequality)です。経済成長には大きな格差が生じ、それが社会を不安定にするというのが定説ですが、日本では所得の再配分(redistribution of income)によって社会の安定を維持しながら経済成長することに成功しました。中国が目指す路線もまさにこれです

 

 この他にも「中国は民主政治体制(デモクラシー)に移行する」という大胆な予測もなされています。現在、独裁的な力を持つ習近平国家主席の下でこそデモクラシーが実現するというのは興味深い話です。

 

 こうした新しい情報や予測が満載の本となっています。以下にまえがき、目次、あとがきを掲載します。是非手にとってご覧ください。宜しくお願いいたします。

 

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まえがき

 

この本は、私の中国研究の最新の成果の報告である。いくつか大きな発見があった。

 

本の中心部分は、昨201710月の第19回中国共産党大会(19[だい]という)から今年3月の全人代[ぜんじんだい](中国の国会)で新しいトップ人事が決まったことを受けて、これからの5年の中国はどうなってゆくか、だ。そして、さらにその次の5年後も考える。

 

つまり2022年。そして2027年(習近平時代の終わり)。それまでに中国はどうなってゆくかをテーマとする。

 

2012年に始まった習近平体制は、通常であれば2期目の5年で終わりだった。だが、さらにその次の5年も習近平が政権を担う。3月の全人代で「任期の上限を撤廃する憲法改正案」が採択された。「習近平の独裁体制が死ぬまで続く」と、専門家たちが解説したが、そんなことはない。習近平は2027年(あと9年)で辞める。

 

私の今度の中国研究で行き着いた大事な発見は、その次の2022年からの5年で、中国はデモクラシー(民主政体[せいたい]・民主政治)を実現するということだ。これからの5年間は、確かに習独裁(、、、)である。彼に強い力が集中して、戦争でも騒乱鎮圧でも残酷にやる。だが、その次の2022年からの5年は、中国がデモクラシー体制に移行する準備期間となるだろう。そうしないと世界が納得しないし、世界で通用しないからだ。

 

この説明に際し言っておきたいのは、私は「民主主義」という言葉を使わない。「デモクラチズム(、、、)」という言葉はない。だから、×民主主義は誤訳(ごやく)である。

 

デモクラシー(代議制[だいぎせい]民主政体[せいたい])とは世界基準の政治知識であり、次のようになる。

 

    普通選挙制度 ユニバーサル・サファレッジ universalsuffrage

    複数政党制 マルチ・パーティ・システム multi-party system

 

である。この「①普通選挙」と曲がりなりにも、とにかくも「②複数政党制」を完備すれば、デモクラシー国家と言える。①の普通選挙[エレクション]制度は、18歳以上の男女すべてに一人一票を与え、無記名の投票(ボウティング)で代表者を選ぶ(エレクション)政治体制である。中国は、これに必ず移行していくと私はみている。

 

今のままでは、中国国民の反発、不満も限界に達する。現在の一党独裁は、世界がもう許さない。このことを習近平自身がしみじみとよく分かっている。

 

①の普通選挙制度の前提として、②の複数政党制が必要だ。少なくとも2つ、あるいは3つ、4つの大政党ができなければいけない。そして、選挙で勝った政党によって、中国の政権が作られる政治体制に変わっていくのだ。そのための移行期が2022年からだ。そこでは、もう習近平独裁は行われない。

 

どうして中国がそのように変わるのか。

 

そうした政治体制に変わらなければ世界が納得しないからである。このことは、党の長老も含めた最高指導者たちによる昨年8月に北戴河[ほくたいが](渤海[ぼっかい]湾に面した中国の避暑地)で行われた会議で決定された。

 

習近平が去年の夏、長老たちをねじ伏せるようにして、次の5年と、さらにその次の5年も自分がやると宣言した。そしてここで中国共産主義青年団(共青団[きょうせいだん])系と、習近平の勢力が折り合い、合意した。その証拠の記事をあとのP25に載せた。

 

前国家主席である胡錦濤(こきんとう)が、その場で習近平を一所懸命なだめる形で、「2017年から5年間の政治体制にも、共青団系を半分くらい入れてほしい」と望んだ。習近平はこれを拒否した。かろうじて李克強(りっこきょう)首相(国務院総理。首相)と汪洋(おうよう)副首相が共青団で、チャイナセブンと呼ばれる政治局常務委員、中国のトップ7に入った。

 

その他5人は、すべて習近平の系統で占められた。いやナンバー7の韓正(かんせい)は、どうも江沢民(こうたくみん)の派閥(上海閥[ばつ])である。どうしても古い勢力を1人は入れないと済まないのだろう。共青団系はギリギリまで譲歩せざるを得なかった。

 

江沢民に育てられた習近平(当時、副主席だった)を10年間、熱心に教育したのは胡錦濤だ。「指導者になる者に必要なのは、我慢に我慢だ。私たちは派閥抗争などやっていてはいけない。中国は世界を指導する国になるのだ」と育てた。

 

だが、もっと深く習近平を見込んで育てたのは、鄧小平[とうしょうへい]1904生~1997死)だ。

 

鄧小平が、地獄の底から這い上がった中国を、

「中国は豊かな国になる。もうイデオロギー優先の愚かな国であってはならない。民衆を

貧困から救い出さなければいけない」

として、今の巨大に成長した中国の基礎を作った。鄧小平(89歳のとき。その4年後の

1997年に93歳で死去)は、1993年に40歳のときの習近平と会っている。

 

「お前は、(私の敵である)江沢民(こうたくみん)、曽慶紅(そけいこう)が育てた人材だ。だが、私はお前を次の時代の指導者に選ぶ」と言って、「それまで我慢せよ。指導者に大切なのは我慢することだ」と切々と説いた。

 

だから2017年からの5年間、つまり2022年までは、習近平独裁体制が続く。ここで国内を政治的にも経済的にも安定させながら、「偉大なる中華民族の復興」は、やがて「デモクラシーの政治体制」として実現する。この主張が、この本の揺るぎない骨格である。

 

この本での2つ目の大発見は、今の巨大に成長した中国を作ったのは、特定の日本人経済学者たちであった、という大きな事実だ。

 

今、大繁栄を遂げた中国にその計設図(ドラフト)、OS[オウエス](オペレーティング・システム)を伝授した日本人学者たちがいる。中国が貧しい共産主義国から脱出して急激に豊かになってゆくためのアメリカ理論経済学(、、、、、)の真髄を、超(ちょう)秀才の中国人留学生たちに教えたのは、森嶋通夫[もりしまみちお]1923生~2004死。19701989年ロンドンLSE(エルエスイー)教授。『マルクスの経済学』1974年刊、東洋経済新報社)である。それを名門スタンフォード大学で中国人大(だい)秀才たちに長年、丁寧に授業して叩き込んだのは青木昌彦(まさひこ)教授(1938生~2015死)である。

 

この2人が、「マルクス経済学である『資本論』を、ケインズ経済学のマクロ計量モデルにそのまま置き換えることができるのだ」と計量経済学(エコノメトリックス)の高等数学の手法で、中国人たちに教え込んだ。これが1980年代からの(もう40年になる)巨大な中国の成長の秘訣(ひけつ)、原動力になった。

 

「マルクスが描いた資本家による労働者の搾取率(さくしゅりつ)は、そのままブルジョワ経済学(近代[きんだい]経済学)の利潤率[りじゅんりつ](利益率)と全く同じである」

 

と森嶋通夫が、カール・マルクスの理論を近経[きんけい](=アメリカ経済学)の微分方程式に書き換えた(置き換えた)ものを青木昌彦が教えた。それが今の巨大な中国を作ったOS(オウエス)、青写真、設計図、マニュアル(手法)になったのだ。

 

大秀才の中国人留学生たちは、全米中の大学に留学していた。彼らは電話で連絡を取り合って、巨大な真実を知った。自分たちが腹の底から渇望(かつぼう)していた大きな知識を手に入れた。「この本で私たちは、欧米近代= 近代資本主義(モダンキャピタリズム)とは何だったのかが、分かった。これで中国は大成長(豊かさ)を手に入れることができる」と皆で分かった。

 

このときの留学生とともに、今の中国指導者のナンバー2の王岐山(おうきざん)、つい最近まで中国人民銀行(中国の中央銀行)の総裁だった周小川(しゅうしょうせん)、そして、中国の国家理論家(国師[こくし]。現代の諸葛孔明[しょかつこうめい])の王滬寧(おうこねい)らがいる。彼らはズバ抜けた頭脳を持った人々なのである。日本人は今の中国の指導者たちの頭脳をナメている。自分の足りない頭で、中国人をナメて、軽く見て、見下くだしている。何と愚かな国民であることか。

 

やはり、鄧小平が偉かったのだ。

 

鄧小平が毛沢東の死(197699日)後、1978年から「改革開放」を唱えて、「中国人はもう貧乏をやめた。豊かになるぞ」と大号令をかけた。そしてヘンリー・キッシンジャーと組んで、中国を豊かにするために外国資本をどんどん中国に導入(招き入れ)した。そして驚くほどの急激な成長をとげた。

 

と同時に、鄧小平はキッシンジャー・アソシエイツ(財団)の資金とアメリカ政府の外国人留学生プログラムに頼って、何万人もの優秀な若者を留学生としてアメリカに学ばせた。そのなかの秀才たちが、らんらんと目を輝かせて、「資本主義の成長発展の秘密」を、森嶋通夫と青木昌彦という2人の日本人学者から学び取った。それが今の巨大な中国を作ったのである。この大事なことについては、本書の第3章で詳しく説明する。

 

副島隆彦

 

=====

 

●目次

 

まえがき   3

 

第1章中国国内の権力闘争と2022年からのデモクラシーへの道

 

この先5年と次の5年、民主中国の始まり   22

 

タクシー運転手が知っていた中国の未来像   27

 

習近平の知られざる人生の転機   30

 

鄧小平が40歳の習近平を見込んだ理由   34

 

腐敗の元凶となった江沢民と旧国民党幹部の地主たち   41

 

中国の金持ちはこうして生まれた   42

 

デモクラシーへの第一歩となった共産党の新人事   46

 

今後のカギを握る王岐山の力   49

 

中国を動かす重要な政治家たち   54

 

中国初の野党となる共青団   60

 

台湾はどこへ向かうのか   62

 

バチカン(ローマ・カトリック)と中国の戦い   66

 

人類の諸悪の根源はローマ・カトリック   72

 

チベット仏教について物申す   75

 

第2章人民解放軍vs.習近平のし烈な戦い

 

北朝鮮〝処理〟とその後   82

 

北朝鮮が〝処理〟されてきた歴史   88

 

近い未来に訪れる朝鮮半島の現実   90

 

鄧小平が行った中越戦争[ちゅうえつせんそう]1979年)がモデル   91

 

7軍区から5戦区へと変わった本当の意味   96

 

軍改革と軍人事の行方   101

 

勝てる軍隊作りとミサイル戦略   109

 

第3章今の巨大な中国は日本人学者が作った

 

中国を冷静に見られない日本の悲劇   116

 

日本はコリダー・ネイションである   122

 

日本国の〝真の敗北〟とは何なのか   124

 

現実を冷静に見るということ   126

 

国家が仕込んだ民間スパイ   130

 

中国崩壊論を言った評論家は不明を恥じよ   132

 

「日本は通過点に過ぎない」とハッキリ言い切った人物   136

 

本当のデモクラシーではないのに他国に民主化を説くいびつさ   138

 

アメリカに送り込まれた中国人エリートたちのとまどい   141

 

今の中国の政治社会のOSは日本が作った   144

 

森嶋通夫との浅からぬ縁   146

 

中国社会を作ったもう1人の日本人   151

 

森嶋、青木の頭脳と静かに死にゆく日本のモノづくり   155

 

そしてアメリカは西太平洋から去っていく   158

 

尖閣防衛と辺野古移転というマヤカシ   162

 

第4章 大国中国はアメリカの言いなりにならない

 

中国の成長をバックアップしたアメリカ    170

 

ロックフェラー、キッシンジャーからのプレゼント   175

 

米軍と中国軍は太平洋で住み分ける   182

 

米・中・ロの3大国が世界を動かしている   186

 

チャイナロビーは昔の中国に戻ってほしい   191

 

アメリカと中国の歴史的な結びつき   192

 

中国とイスラエルの知られざる関係   194

 

第5章 AIIB と一帯一路で世界は中国化(シノワゼイション)する

 

日本のGDP25年間で500兆円、中国は今や1500兆円   200

 

世界の統計は?ばかり   204

 

アメリカの貿易赤字の半分は中国   207

 

貿易戦争というマヤカシ   210

 

一帯一路は今どうなっているのか   216

 

アフリカへと着実に広がる経済網   229

 

次の世界銀行はアルマトゥという都市   238

 

世界の〝スマホの首都〟は深?である   242

 

あとがき   250

 

=====

 

●あとがき

 

私は、この10年で計10冊の中国本を書いて出版してきた。この本で11冊目である。

 

この本で書いたとおり、今の巨大中国の設計図(OS[オウエス])を作って与えたのは、森嶋通夫(もりしまみちお)先生(京都大学、ロンドンLSE教授)である。故森嶋通夫は、私の先生である小室直樹先生の先生である。私に、碩学の二人の遺伝子が伝わっている。それでこの本が出来た。お二人の霊にこの本を献(ささ)げる。

 

この本を書いている途中にも中国は次々と新しい顔を見せる。その変貌の激しさにこの私でも付いてゆくのがやっとである。同時代(コンテンポラリー)に私たちの目の前で進行したあまりにも急激な巨大な隣国(しかし帝国[ディグオ])の変化に私自身がたじろいでいる。一体、中国はこれから何をする気か。それでも私は、中国に喰らい付いて、この先も調査研究を続ける。

 

この本の担当編集者の大森勇輝君が大きく尽力してくれた。唐津隆社長からも気配りをいただいた。記して感謝します。

 

20184

副島隆彦

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)


※私の仲間である石井利明さんのデビュー作『福澤諭吉フリーメイソン論』が2018年4月16日に刊行されました。大変充実した内容になっています。よろしくお願いいたします。

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