古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:ヘンリー・キッシンジャー

 古村治彦です。

 

 アメリカでは、ドナルド・トランプ大統領によるジェイムズ・コミーFBI長官解任を受けて、トランプ反対派とマスコミからの攻撃が激しさを増しています。連邦議会上下両院で少数派となっている民主党は、来年の中間選挙での躍進を目指して、トランプ政権との対決姿勢を鮮明に打ち出しています。

 

健康保険問題では、共和党内部にもトランプが求めるオバマケア代替法案に反対の議員たちも多く、本当に成立するのか疑問で、また、成立しても、かなりの妥協の産物になっているでしょう。また、トランプを支持した人々は、低所得でメディケイドという公的保険に入っている人が多く、メディケイドに入れないが収入が低い人々はオバマケアで一応保険に入れたが、オバマケア撤廃でどうなるかということで不安と不満を持っています。私は、トランプ大統領は、オバマケアでも良いと思っているのではないかと思います。

 

 減税もトランプ大統領を支持した低所得の人々にとってはあまり恩恵がある話ではなく、そうしたこともあって、現在トランプ大統領の支持率は30%中盤、不支持率は50%超えという状況です。

 

 大手マスコミは毎日派手にトランプ批判を展開しています。私は、外交に関してトランプ大統領を支持していますから、大手マスコミの報道はやり過ぎ、行き過ぎではないかと考えています。以下に、トランプ政権内部の内部闘争に関する記事をご紹介しますが、その中には、政権幹部の話として、旧知の記者たちが「この話は本当か」と噂話を確かめる電話をしてくるが、そんな話はないので否定しても、翌日の新聞には記事として掲載される、という話が紹介されています。

 

 アメリカの歴代政権で、内部闘争がなかった政権などありません。大なり小なり争いはあります。バラク・オバマ政権では人道的介入主義派が国務省を根城にして余りにもバカなことをやるので、ホワイトハウスが外交の主導権を握り、キューバとの国交回復、イランとの核開発に関する合意を成立させました。ジョージ・W・ブッシュ政権時代には、ネオコンがまたあまりにも酷いので、そうではない人々が抑え役に回るということがありました。

 

 私はトランプ政権発足時の閣僚やスタッフの配置を見て、「同じような権限や力のポジションに全く違う考えの人々を起用して、競争させつつ、良い案を出させて、トランプがそれを実行するようになるだろう」と考えました。これは、実業家としては当然のことで、「コンペ(コンペティション)」をして、より良い方を選択する、ということです。しかし、外から見れば、内部で対立がある、上から抑える人がいないと、競争がエスカレートしているように見える、ということになります。

 

 トランプ政権は、ワシントンの政治家や官僚に対する人々の怒り、ポピュリズムから生まれた政権です。ですから、既存の政治家や官僚、そしてマスコミは当然反発します。日本でも、新聞やテレビが政権にうまくコントロールされる、官僚が世論を誘導しようとして情報をリークする、ということが問題になっていますが、アメリカでも同じことです。日本の記者クラブ制度は目につきやすいものですが、アメリカでは目に見えない形で、既存メディアのコントロールがあるように思います。

 

 私は、歴代政権と比べて、トランプ政権だけが特別内部闘争が激しいのではない、ただ、メディアが面白おかしくあることないことを報道して、「激しい対立で政権崩壊寸前」という前提で、出来事を分析する記事を掲載していると、それが「真実」であるかのように見られてしまっている、と考えています。

 

 そして、大きくは、トランプ攻撃でトランプを追い出し、出来れば早くマイク・ペンス副大統領を大統領に、そして2020年には民主党系の人道的介入主義派、もしくはその言うことを聞く人物を大統領に、と共和党ネオコン、民主党、官僚、マスコミは考えているでしょう。

 

 しかし、トランプは何度も逆境を乗り越えてきた人物であり、危機的状況すらも内部の引き締めと裏切り者の排除に使うだけの度胸と力を持っていると私は考えます。

 

(貼りつけはじめ)

 

トランプ政権内部の闘争が沈静化(Infighting cools down in Trumpland

 

ジョナサン・イースリー筆

2017年4月25日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/330341-infighting-cools-down-in-trumpland

 

トランプ大統領のホワイトハウスは、内部闘争とリークによる傷を癒そうとしている。政権発足からの100日を越えて、内部闘争とリークに付きまとわれている。

 

トランプは、上級顧問であるジャレッド・クシュナーと首席ストラティジストであるスティーヴン・バノンとの間の一時的な休戦を仲介した。クシュナーはトランプの義理の息子であり、政権内での責任が重くなっている。バノンはブライトバート・ニュース社の会長を務め、好き放題なスタイルとナショナリスト的な考えが目立ち、トランプの型破りな選挙運動を象徴する人物である。

 

バノンと話した人は、バノンがクシュナーを攻撃している自分の味方に対して、攻撃をやめるように強く求めたと語っている。

 

 

しかし、政権内部の闘争と明日の新聞にその話が報道されるのではないかという恐怖感のために、トランプ政権の幹部たちは疲れ切っている。

 

政権の幹部たちがマスコミに対して噂を流し、それを払拭しようとして激しく闘っているように見える。本誌の取材に応じた政権幹部たちは、こうした争いに参加することを拒むと走ってくるバスの下に投げ飛ばされる、もしくはマスコミに対して影響力を失っているという話をされる、という不安を感じていると語っている。

 

「やるか、やられるか」という精神状態は幹部から中堅職員に拡大しており、彼らもまた内部闘争に参加するようになりつつある。

 

ホワイトハウスの幹部たちの間で広がっている不平不満はマスコミが数多く取り上げている。今月初め、政権内部に充満する不平不満が噴出した。連邦上院がニール・ゴーシックの連邦最高裁判事任命を承認した日、マスコミがこれよりも大きなスペースで報じたのが、トランプ政権内の宮廷内闘争の話であった。これはトランプ政権の勝利と言える。

 

政権内部の闘争はトランプの支持者たちにも反映し、彼らの間も分裂している。バノン率いる草の根保守派とニューヨークの「リベラル派」として出現しつつある派閥との間で闘いが起きている。クシュナー、イヴァンカ・トランプ、大統領経済顧問のゲイリー・コーン、大統領国家安全保障担当次席補佐官のディナ・パウエルがニューヨークの「リベラル」に分類される。

 

本誌が取材した共和党関係者たちは、内部闘争とリーク合戦がこれまでにないほどの激しさとしつこさだと語っている。

 

トランプを支えている人々は内部闘争がトランプの大統領としての成功を邪魔していると述べている。

 

アメリカ商工会議所の政治担当上級ストラティジストであるスコット・リードは、「これまでなかったレヴェルのリークがなされていることに衝撃を受けています」と語った。

 

リードは次のように語った。「トランプは実業家で、コンペをして、様々な異なった考えが提示されることを好みます。トランプ政権の秘密は、規律が保たれており、内部の話は外に出ないことです。もし規律が保たれず、秘密が外に漏れるようになると、それがマスコミにとっての格好の攻撃材料となり、トランプ大統領にとっては良くないことになります。トランプは規律を正そうとし、それをうまくやっています。政権内の人々は黙って仕事をすることです。そして、ケンカなどせずに、政策をきちんと進めてほしいですね。宮廷内の争いで経済が成長するなんてことはありませんから」。

 

トランプがバノンとクシュナーの争いに介入し、仲裁をしてから、まだ数週間しか経ってはいない。

 

トランプ政権発足から100日間が経過するこの時期は、トランプ政権内のライヴァルたちがまとまって進めるかどうかを占うテストとなる。

 

ホワイトハウスの幹部たちと政権の閣僚たちは総出で、トランプ政権の政策を売り込むために、地方、全国両方のレヴェルのメディアに出演することになる。そして、政権発足100日間は成功であったとアピールするだろう。

 

トランプ政権に近いある共和党幹部は、「政権発足最初の100日を何とかうまく乗り切ったと思う」と語った。

 

ホワイトハウスの幹部たちは、噂話とリーク合戦に嫌気がさしている。そして、内部闘争はマスコミによって過大に報道され、その中のいくつかの話は完全にでっち上げだと主張している。

 

ある政権幹部は本紙の取材に対して、「報道は大袈裟すぎる」と述べた。

 

他の幹部たちは本紙の取材に対して、記者たちは、彼らに電話をしてきて、政権内部のどぎつい、面白おかしい話に就いて本当かどうかを確かめるのだと語った。政権幹部たちがそうした話は真実ではないと語っても、記者たちはとにかくその話を報道してしまうということだ。

 

ホワイトハンス顧問セバスティアン・ゴルカは月曜日、ジョージタウン大学での講演で、「宮廷内闘争のおかげで新聞は売れるし、インターネット上の広告のクリック数も上がる」と述べた。ゴルカは更に、彼が読んだ内部闘争についての記事のほとんどは完全に嘘だと主張した。

 

マスコミ各社のスクープ合戦や蹴落としあいがあるのは間違いないところだ。

 

トランプの支持者の中には、こうした報道は、トランプ大統領の「創造的な緊張関係」を好む姿勢の副産物だと述べる。「創造的な緊張関係」では、側近たちが競争して、最高のアイデアを生み出すことになる、ということである。

 

保守派のシンクタンクであるアメリカン・プリンシプルズ・プロジェクトの所長フランク・カノンは次のように語る。「トランプは何かを決定する前に、出来るだけ幅広い意見を多くの人々から聞くことを好みます。しかし、政権内部で争いが起きている時にこそ、幅広い意見を多くの人々から聞くことを実行すべきです。特にここ数週間、これを実行すると明確に打ち出すべきです」。

 

バノンとクシュナーの衝突はトランプ政権を第一にする姿勢とは程遠いものとなっている。

 

政権発足してから、トランプは、前共和党全国委員会委員長であった大統領首席補佐官レインス・プリーバスを更迭するという噂が流れた。

 

プリーバスの味方をしている人々は、こうした噂を広めていたのは、トランプの大統領選挙の選対本部にいた人々とバノンの味方をしている人々だと確信していた。こうした人々は、プリーバスはエスタブリッシュメント側の人間で、大統領選挙期間中にトランプに対して忠実ではないと考えていた。

 

プリーバスはこのような噂の払しょくに努めた。そして、バノンとプリーバスはそれ以降、友好関係を築いているように見える。

 

保守派の中には、クシュナー・コーン派の台頭に警戒感を持つ人たちもいる。コーンは元民主党員で、ゴールドマンサックスの役員をしていた。トランプの支持層からは大いなる疑いの目で見られている。

 

保守派の多くはバノンのコーンの台頭によってバノンの力が落ちているという懸念を持っている。トランプがバノンを国家安全保障会議最高会議の出席者から排除した後、バノンはそのまま政権から外れるのではないかという噂が出た。

 

ティー・パーティー運動の指導者デビー・ドゥーリーは先週、本誌のインタヴューに応じ、次のように語った。「そのようなことはないと思うが、トランプがバノンを排除するならば、草の根保守の人々の間で大爆発が起きるだろう」。

 

主流派保守の人々はこのような主張に対して不満を募らせている。主流派保守の人々は、トランプ大統領が様々な種類のアドヴァイザーからの助言を聞いていることを喜んでいる。アドヴァイザーの中には、コーン・クシュナー派と深い繋がりを持つパウエルが、大統領国家安全保障問題担当次席補佐官になっていることに安心感を持っている。

 

共和党のヴェテラン職員チャーリー・ブラックは「彼女はリベラルでもなんでもない。彼女が元連邦下院院内総務ディック・アーミー(テキサス州選出、共和党)とジョージ・W・ブッシュの下で働いたことを思い出すべきだ」と語った。

 

ブラックはまた次のように語る。「私はゲイリー・コーンについて知らない。彼はニューヨーク出身で、熱心な民主党支持者であった人物の典型例だ。しかし、彼は実業家であって、問題解決を優先する人物だ。問題解決を優先する姿勢こそがトランプのメッセージであり、それによって彼は大統領選挙に勝ったのだ。このことを理解する必要がある。バノンは最初から選挙戦に関与した人物ではない。そして、トランプのメッセージは変わっていない。とにかく、トランプがアドヴァイザーたちの助言を全く聞かないなどと考える理由は存在しない」。

 

保守派の人々は、「リベラル」派が勝利しつつある兆候を目撃していると述べている。しかし、最終的な勝利を収めている訳ではない。ティー・パーティーの指導者マーク・メックラーは次のように指摘している。ここ数週間のトランプの発言は、製造業とアメリカ国内の雇用創出に重点を置いたものとなっている。しかし、彼は貿易、移民、国境の壁建設、イスラム国打倒からぶれてはいない。

 

メックラーは次のように語る。「私たちは、ホワイトハウスが実際に行っていることをじっくり見つめている。トランプの考えと姿勢以外はすべて雑音に過ぎない」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22


 古村治彦です。

 

 先週、アメリカのドナルド・トランプ大統領はジェイムズ・コミーFBI長官を解任しました。その翌日、ホワイトハウスでロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣、セルゲイ・キシリアック駐米ロシア大使と会談を持ちました。この時に、イスラエルから提供された機密情報をロシア側に伝えたということで問題になっています。

 

 トランプとロシア外相らが会談した日、報道陣の前に姿を現したのはヘンリー・キッシンジャー元国務長官です。ホワイトハウスの記者団は、トランプとラヴロフ外相、キシリアック大使が一緒にいるところを取材することは許可されませんでした。そして、事前に通告されていなかったキッシンジャーとトランプが隣り合って座っている場所に招き入れられました。そして、この場でトランプが初めて肉声で、コミー長官解任について語りました。

 

 私はこのお膳立てがとても重要だと考えます。コミーFBI長官は、2月に辞任したマイケル・フリン前大統領国家安全保障問題担当補佐官とロシアとの関係について捜査していました。これは、トランプ選対とロシアとの間にはどれほどの関係があったのか、更には昨年の大統領選挙でロシアが影響を与えて、自分たちに都合が悪いヒラリー・クリントンの当選阻止を行ったのかどうかというところまで行きつく話でした。トランプが捜査に手心を加えるように求めたとするコミーのメモ書きがあるということで、これが大きな問題になると見られています。

 

 コミー解任とロシア外相らとの会談は直接は関係はないでしょうが、結び付けられたら、大きなインパクトになるということはトランプと側近たちも分かっていたでしょうが、敢えてコミー解任を断行したのは、ロシアとの関係を重視する、それは、外交で懸案のシリアと北朝鮮への対処で協力するということを鮮明に打ち出すという意味があったものと思われます。また、キッシンジャーがトランプと一緒にマスコミの前に姿を現したのは、意味があります。それは、トランプがキッシンジャーのリアリズム外交路線を堅持するということを表明することになったからです。

 

トランプと習近平・中国国家主席との首脳会談では、ヘンリー・キッシンジャーの後ろ盾を受けているジャレッド・クシュナーが準備をしていたことが明らかになっています。しかし、クシュナーとロシアとの関係は不明ですし、トランプの親族がロシア側と接触するのは難しいということで、キッシンジャーが直接おみこしをあげて出てきたということが考えられます。

 

 トランプは、ロシアをダシにしてトランプ攻撃をしている民主党やネオコン派に対して、自分は屈しないということを改めて鮮明に打ち出したということが言えると思います。

 

 イスラエルが入手した機密情報をロシア側に漏らしたということが問題視されていますが、これも小さな問題をさも重要な問題であるかのように報道して、トランプ攻撃をしようと主流派メディアの動きでしかありません。機密情報をロシア側に漏らした、と伝えたのは、ワシントン・ポスト紙、後追いで、この機密情報がイスラエルから伝えられたものだった、と報じたのはニューヨーク・タイムズ紙です。両紙ともヒラリー・クリントン支持を鮮明にしていた新聞ですから、トランプ攻撃のためにはどんな手段でも使うということになっています。

 

 両紙はトランプ憎しで、針小棒大な報じ方をしていますが、それが誰を利するかというと、ロシアや中国と衝突することをいとわない、人道的介入主義派(民主党)、ネオコン(共和党)であるということになります。トランプを倒して次に何が来るか、ということを考えない極めて浅はかな行動ということになります。

 

(貼りつけはじめ)

 

キッシンジャーを隣において、トランプはコミー解任について初めて肉声で語る(WATCH: With Kissinger at his side, Trump delivers first in-person response to Comey firing

 

ジョシュア・バラジャス筆

2017年5月10日

PBS

http://www.pbs.org/newshour/rundown/watch-kissinger-side-trump-delivers-first-person-response-comey-firing/

 

ドナルド・トランプ大統領がホワイトハウスでロシア外相と会談を持ったその日、記者団は、トランプが大統領執務室でヘンリー・キッシンジャーと一緒にいる写真を撮影した。この日の前日、トランプはジェイムズ・コミーFBI長官を解任した。

 

記者団によると、記者たちは、ロシア外相セルゲイ・ラヴコフとトランプが一緒にいる写真が撮れるものと思っていたが、実際には、記者団はリチャード・ニクソン大統領の下で国務長官を務めたヘンリー・キッシンジャーとトランプが一緒にいる部屋に招き入れられた。キッシンジャーがいることを記者団は事前に知らされていなかった。

 

トランプは、キッシンジャーと会談を持ち、「ロシアやそのほか様々な問題」について議論したと述べた。

 

記者団からコミー解任の理由を問われ、トランプは次のように語った。「彼はきちんとした仕事をしなかった。ただそれだけのことだ。彼はきちんとした仕事をしなかった」。これが、コミー解任の決断について、トランプが初めて肉声で語った言葉であった。トランプは火曜日の夜から水曜日の朝にかけて、コミー解任について自分の考えをツイートしていた。

 

トランプ大統領は、今日ロシアの外相たちと会談を持つのにあたり、コミーの解任は何か影響するかどうかと質問された。

 

大統領は、「一切何もない」と答えた。

 

トランプは、キッシンジャーについて、「長年にわたる友人だ」としている。2016年の大統領選挙の勝利の直後、トランプはニューヨークでキッシンジャーと会談を持ち、「世界中の事件や問題」について議論した。

 

記者団がトランプとラヴコフが会談をしている様子を見ることは許可されなかった。2人の会談の様子の写真はロシア政府が提供した。写真には、トランプがラヴコフと駐米ロシア大使セルゲイ・キシリアックが会談を持つ様子が写っていた。

 

ホワイトハウスは記者団から会談の様子の取材が出来ないことについての懸念を伝えられたが、これに対して、ホワイトハウスの職員は「ホワイトハウスの公式カメラマン、ロシア側の公式カメラマンがその場にいた。それで良い」と述べた。

 

トランプがコミーを解任した翌日、理由がはっきりしないFBI長官解任の理由について、ジャーナリストと政治家たちが様々な発信をして、解任の詳細を提供している。

 

ホワイトハウスのシーン・スパイサー報道官は、コミー解任についての質問を避けるために、事実を隠ぺいしたという報道もなされた。ロシア外相セルゲイ・ラヴコフはコミー解任について質問され、「彼が解任されたですって?・・・冗談でしょう」と答えた。

 

CBSの特派員が、ロシアのソチでホッケーをしているウラジミール・プーティン大統領が直接取材をし、コミー解任についての感想を求め、米ロ関係に影響があるかどうかと質問した。

 

プーティンは通訳を通じて次のように答えた。「影響はないだろう。あなたの質問は私にとって大変可笑しいものに感じる。このようなことを言って申し訳ないが、怒らないでほしい。私たちには何も関係ない」。

 

プーティンは「トランプ大統領は能力を発揮し、法律と憲法に従って行動している」と述べた。プーティン大統領は「今は、ホッケーファンとホッケーをやるだけだよ」と述べた。

 

=====

 

ロシアの情報機関がトランプの機密情報漏えい報道に「激怒」(Israeli intelligence ‘boiling mad’ over Trump disclosure: report

 

マーク・ヘンシュ筆

2017年5月16日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/333670-israeli-intelligence-boiling-mad-at-trump-report

 

トランプ大統領がイスラエルから提供された機密情報をロシアと共有したという報道を受けて、イスラエルの情報・諜報関係者たちは、「激怒し、アメリカ側からの回答を求めている」と報道されている。

 

火曜日、バズフィード誌の取材に対して、イスラエルの情報機関関係者2名は、イスラエルが、イスラム国が飛行機に爆発物を仕掛けたコンピュータを持ち込もうと計画しているという機密情報をアメリカと共有していたことを認めた。

 

イスラエル情報機関の関係者はバズフィードに対して次のように語った。「情報共有の分野で独特なシステムを我が国はアメリカと構築している。我が国は他の国とはそのような関係を持っていない」。

 

「私たちに通報しないで、機密情報を他国と共有するということはどういうことか?これは私たちにとって最悪の恐怖と言うことになる」とこの人物は語った。

 

ニューヨーク・タイムズ紙は月曜日、トランプがロシア外相らに話した高度の機密情報はイスラエルからもたらされたもので、このことは、アメリカの情報機関に勤務する現役職員、並びに元職員が認めている、と報じた。

 

ニューヨーク・タイムズ紙は、ホワイトハウスでのロシア外相とロシア大使との会談中に共有した情報は、イスラム国が関与したテロ攻撃に関するものだと報じた。

 

イスラエルの情報機関とホワイトハウスは、機密情報がイスラエル発であったかどうかについて、肯定、否定両方とも拒絶した。

 

もう1人のイスラエル情報機関関係者は、トランプが機密情報をロシアと共有したことについて、バズフィード誌の取材に対して、「私たちは激怒しており、アメリカ側から誠意ある回答を求めている」と語った。

 

火曜日、米大統領国家安全保障問題担当補佐官H・R・マクマスターは「大統領は、ロシアの外相らとの会談中に、機密情報の情報源と収集方法を傷つけるようなことはしていない」と述べた。

 

マクマスター補佐官はホワイトハウスで記者団に対して、「大統領は情報がどこからもたらされたものか、知らなかった」と述べた。

 

月曜日、ワシントン・ポスト紙は、トランプが先週、ホワイトハウスで会談したロシア外相セルゲイ・ラヴコフと中米ロシア大使セルゲイ・キシリアックに対して機密情報を漏らしたと報じた。

 

トランプの「機密情報」漏えいは、イスラム国内部にアクセスできる情報源との関係を傷つけるリスクが存在する。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22


 古村治彦です。

 

 2017年4月6日に米中首脳会談が行われます。その下準備を行ったのが、トランプの娘イヴァンカの配偶者(義理の息子)であるジャレッド・クシュナーだということです。以下の『ワシントン・ポスト』紙の記事は大変重要です。


 

 クシュナーはトランプの側近で、2016年5月に、トランプがヘンリー・キッシンジャー元米国務長官と会談を持つ際にアレンジをした人物です。当選後、ヘンリー・キッシンジャーはトランプに頼まれて訪中し、トランプと習近平それぞれのメッセージを伝えるという役割を果たしました。そして、キッシンジャーは、トランプ政権内の対中国チャンネルとしてクシュナーが機能するようにお膳立てをしました。

 

 トランプ政権内には対中宥和派(ただ親中国なのではなく交渉でうまくやっていこう)と対中強硬派がおり、それぞれが役割分担をしてうまくやっている印象です。強いことを言いながらも、ちゃんと交渉が出来るようにもしておくという外交の基本中の基本ができています。

 

 クシュナーはキッシンジャーの助けを借りて、国務委員・楊潔チと駐米中国大使である崔天凱との関係を築き、米中関係の問題解決のためのチャンネルになるということで、これからますます重要性を増していくことになりそうです。義理の息子がホイホイとしゃしゃり出ているということではなく、「キッシンジャーのお墨付き」を得て活動しているというところに価値があります。

 政治の世界では裏でつながるということがとても泰司なのだということを改めて認識しました。

 

(貼りつけはじめ)

 

クシュナーの中国へのチャンネルの内側(Inside the Kushner channel to China

 

ジョシュ・ロギン筆

2017年4月2日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/inside-the-kushner-channel-to-china/2017/04/02/d1a960c6-164f-11e7-833c-503e1f6394c9_story.html?utm_term=.63f01b9116b5

 

4月6日(木)の中国国家主席習近平との首脳会談を前に、トランプ政権は、省庁間の垣根を超えたティームを作り、中国側のメッセージ、政策、米中関係における優先順位について議論を行っている。これは比較的常識的なプロセスである。しかし、この作業を詳しく見ると、ホワイトハウスと中国の最高指導部との間の高いレヴェルでのやり取りのためのカギとなるチャンネルが存在することが分かる。このチャンネルは、トランプの義理の息子ジャレッド・クシュナーによって形成されている。

 

クシュナーの対中国チャンネルは、大統領選挙でトランプの勝利後すぐに、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官の助けを借りて形成された。中国の最高指導部の幹部たちと次々と会談を持つ中で、クシュナーをはじめとするトランプの側近たちは、現在の政策プロセスが始まる前に、来たるべき首脳会談における方向付けと幅広い議題を決定した。トランプと習近平がマーアラゴで首脳会談を持つ際に、2人は準備期間の一連の会談で、アメリカ、中国、アジア太平洋地域に関する、クシュなーたちが議論したテーマを話すことになるだろう。

 

ホワイトハウスと政権移行ティームの幹部たちは、「クシュナーの目的は、様々な厄介な諸問題は存在するが、米中関係を拡大し、改善することだ」と語っている。クシュナーの目的は、トランプが選挙期間中に公約に掲げた、様々な問題に関して中国政府と対峙したいと望む他の政権幹部たちの考えと対立する。

 

選挙後の2016年11月中旬、キッシンジャーは、米大統領国家安全保障問題担当補佐官就任予定だったマイケル・フリン(後に辞任)、トランプとトランプタワーで会談を持った。この席でトランプは、キッシンジャーに対して、北京を訪問して習近平に対して、「二国間の協力関係について全ての選択肢がテーブルの上にある」ということを直接伝えてほしいと頼んだ。12月2日、キッシンジャーは北京を訪問し、習近平と会談を持った。習近平は、米中間の首脳会談をできるだけ早く実現したいという私的なメッセージをキッシンジャーに託した。

 

同じ12月2日、トランプは、台湾総統蔡英文から統制祝いの電話を受けた。これに対して中国外務省は反発した。しかし、公になった緊張関係の裏で、米中両国間でお互いに関係改善を求める姿勢は継続した。キッシンジャーは、12月6日、クシュナーをはじめとするトランプの側近たちと会談し、中国の国務委員である楊潔チと会談を持つように促した。その後、楊潔チと駐米中国大使である崔天凱は、2016年12月9日、10日にトランプタワーを訪問して、クシュナーのオフィスが主導して2度の会談を持った。

 

会談の中で、楊潔チは中国側の要求リストを提示した。中国側は、トランプ政権に対して「大国関係の新しいモデル」という考えを採用するに求めた。この考えは習近平が提案したもので、衝突を回避し、協力関係を深化させるためのものだ。中国側はまた、習近平の唱える「一帯一路」イニシアティヴをトランプが支持することを希望した。「一帯一路」イニシアティヴは中国の大規模なインフラと開発プロジェクトの総称である。中国側は更に、中国が革新的な国益だと考える台湾、ティベット、国内問題にアメリカが干渉しないように求めた。

 

見返りとして、中国は、雇用創出のためのトランプの国内優先政策の推進を助けるために金額などを決めていないが投資を行う準備があると伝えた。クシュナーと崔大使は、12月の会談以降も緊密に連絡を取り合い、中国の最高指導部もクシュナーのチャンネルに依存する形になっている。クシュナー・チャンネルは、来たるべき首脳会談のアレンジに使用された。

 

11月中旬、クシュナーは、中国の保険会社である安邦保険集団の幹部たちと会談を持った、クシュナーの不動産会社が安邦保険集団からの不動産投資の交渉を行った。しかし、こうした交渉は、利益相反の可能性があるという批判を受けて、先週まで中止されていた。

 

政権内部には、クシュナーが中国の関係を改善しようと躍起になり過ぎているという懸念の声がある。クシュナーと考えを同じくしている政権幹部として、大統領経済顧問ゲイリー・コーンと財務長官スティーヴン・ムニューシンが挙げられる。中国に対してより厳しい、より攻撃的なアプローチを主張する政権幹部には、大統領首席ストラティジストであるスティーヴ・K・バノン、国家通商会議議長ピーター・ナヴァロ、商務長官ウィルバー・ロスがいる。

 

あるホワイトハウス高官は、クシュナーは無条件に親中国ではないし、トランプは選挙期間中に、安全保障と貿易に対して中国と対決するという主張を公約の柱としていたことを認識している。

 

この高官は次のように語った。「ジャレッドの中国に対する見方は、全てが交渉可能だというものだ。ジャレッドは不動産業者であり、全ての物事でウィン・ウィンを実現できる解決策があると考える。彼はまた政治的な知識も豊富だ。こうしたことが義父であるトランプ大統領の政治姿勢に大いに影響を与えている」。

 

米中関係のある程度の改善は明確になっている。クシュナーは他の側近たちと一緒になって、トランプが2月に習近平と電話会談を行った際に、「1つの中国」政策を堅持することを再確認するように説得した。レックス・ティラーソン国務長官は今年3月に中国の王毅外相と会談した後に、中国側の主張をバカにしたような態度を取った。

 

米中首脳会談を観察している専門家たちは、トランプ大統領からはいくつかの個別の問題で厳しい言葉が出るであろうと考えている。北朝鮮と南シナ海に関して、トランプ政権は、伝統的な共和党のタカ派的安全保障政策を主張している。貿易に関して、トランプは、国家主義的なアメリカ・ファーストの経済政策に固執している。

 

しかし、トランプが中国の提案している大国間関係モデルと中国のアジア地域での拡大を支持し、国内の弾圧について発言をしないということになると、これは米中関係の新しい時代を迎える予兆となるだけではなく、米中関係においてクシュナーが最重要人物であることを示すことになる。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)








アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22


 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ次期大統領についてのヘンリー・キッシンジャーの評価についての記事をご紹介します。トランプについてはどのような外交を展開するのか未知数であるというのが一般的な評価で、それが不安をもたらしています。

 


 選挙期間中にイラク戦争には反対だったと語り、ジョージ・W・ブッシュ前大統領を批判し、バラク・オバマ大統領とヒラリー・クリントン前国務長官がIS(イスラム国)を生み出したと斬り捨てています。自分はISを退治することができるが、それは自分を支持する米軍の将軍たちの献策を受け入れるからだとも発言していますが、米軍を中東に派遣する感じはありません。ロシアと関係を改善させたいとし、中国は不公正な貿易を行っていると、1980年代に日本に向けたような批判を行い、台湾を重視するかのような姿勢を取っています。

 

 トランプはめちゃくちゃなことを言っているように見えます。ISをやっつけると言いながら、米軍を出さないということは矛盾しているように見えます。台湾を重視するというのは、中国との軋轢を生み出し、現状では大事にされる台湾も困った立場に追い込まれてしまうことになります。

 

 ヘンリー・キッシンジャーはテレビ番組に出演し、トランプはこれまでの大統領とは違うので、違うアプローチから何か素晴らしいものが出てくる可能性があると発言しました。あくまで、可能性であって、出てこないこともあるということを言いたいようですが、これまでとは違った大統領であり、外交政策も違ったものとなり、それで何か素晴らしいものが生まれて、歴史に名前を残す大統領になるかもしれない、というのがキッシンジャーの評価です。

 

 キッシンジャーは国際関係の学問的潮流で言えば、リアリズム、リアリストに属する人です。アメリカの国益を第一に、理想を追わず、敵とでも手を結ぶということを実践してきた人です。そして、現在は、中国という新興大国を敵にすることなく、G2体制という米中による国際管理体制構築を主張しています。

 

 トランプは国際問題解決優先主義(アイソレーショニズム)であり、アメリカの理想を広めることや人道的な理由から海外に軍隊に出すようなことは反対しています。こうした点では、ビル・クリントン政権、ジョージ・W・ブッシュ政権、バラク・オバマ政権と、濃淡の差はありますが、理想主義に分類される人道的介入主義とネオコンサヴァティヴィズムの人々が外交政策を担当した政権が続いた時期とは違う外交が展開されることになるでしょう。キッシンジャーもこの点を言っているものと思われます。

 

 アメリカの国内問題解決優先主義とは具体的には、すっかりくたびれてしまった社会資本の改善があると思います。アメリカに行って、アメリカの社会資本、インフラは日本よりも劣っているなと思われた人も多くいらっしゃると思います。高速道路はただだけど、路面がデコボコだったとか、都市部でもいきなり停電が起きて何時間も復旧しないとかそういう経験をした方も多いと思います。トランプはこの社会資本の改善や修繕も公約に掲げています。しかし、そうなると、彼の減税政策と矛盾してしまうことになります。

 

 そこで、トランプとしては民間活力活用(民活、Public Private Partnership、PPP)を利用するということになるでしょう。しかし、アメリカ国内だけではどうしようもありません。そこで外国からの資本投資を受け入れたいという考えも持っているでしょう。台湾に肩入れをして、中国を刺激しているのは、台湾と中国を競わせて、アメリカに対する資本投資を刺激しているようにも見えます。私たちの日常生活でも、何かを買う場合には、どこの店が安いかを探したり、複数の店に行って、「あそこはいくらだったからこれくらいに負けて欲しい」などと交渉したりということはやることです。

 

 ヘンリー・キッシンジャーはトランプ当選以降、中国とロシアを訪問し、習近平国家主席とウラジミール・プーティン大統領と会談しています。彼が米中露の関係を保つスタビライザーの役割を果たしています。2020年までにトランプがキッシンジャーという安定装置を使いながら、どのように外交政策を展開していくのか、注目です。

 

(貼り付けはじめ)

 

キッシンジャー:「トランプの外交政策のアプローチから“何か素晴らしい”ものが出てくる可能性がある」(Kissinger: 'Something Remarkable' Could Emerge From Trump's Approach to Foreign Policy

 

キャシー・バーク筆

2016年12月18日

『ニューズマックス』誌

http://www.newsmax.com/Newsfront/henry-kissinger-trump-opportunity-stay-focused/2016/12/18/id/764532/

 

元国務長官で人々の尊敬を集める共和党系の政治学者ヘンリー・キッシンジャーは、ドナルド・トランプ次期大統領の外交政策から「何か素晴らしい」ものが出てくる可能性があり、トランプは「熟慮をした大統領」として歴史に名前を残す機会を持つであろうと述べた。

 

日曜日に放送されたテレビ番組「フェイス・ザ・ネイション」のインタヴューの中で、キッシンジャーは「トランプに対して大きな信頼を持っている。彼はアメリカの状況を分析し、戦略を作り、共和党指導部に打ち勝とうとしている」と述べた。

 

キッシンジャーは次のように述べた。「トランプが大統領選挙候補者になるまで、彼を大統領選挙候補者として考えたことはなかった。彼が大統領選挙候補者として出てきたとき、私はこれを過渡的な現象だと考えた。しかし、今はトランプがこれまで培った技能を国際的な状況に応用することが彼の挑戦なのだと理解している」。

 

キッシンジャーは、「外交・国際関係分野において、トランプは諸外国がこれまでみたことがなかった現象なのだ」と語った。

 

キッシンジャーは、「トランプが大統領に当選したことは諸外国にとってショックな経験である。同時に、トランプが歴史上に思慮深い大統領として名前を残す機会と可能性があると私は考えている」とも語った。

 

キッシンジャーは更に次のように述べた。「トランプはこれまでの大統領が発してこなかった疑問を呈する大統領になる。その質問は素晴らしい何かになるであろうと思われるし、そうなれば新しい大統領の姿を見せることになるだろう。私は必ずそうなるとは言わない。私は彼にはそうなる大いなる機会があると言いたい」。

 

キッシンジャーはまたトランプに対する助言として次のように述べた。「集中して、自分が達成しなければならない基本的なことを明確にせよ」。

 

「最も大変なことは日常の諸問題と根本的な諸問題を区別することだ。根本的な諸問題は長期にわたって影響を残すものだ。また、些細な諸問題で官僚たちとの戦いで消耗しないようにすることだ。」

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22








 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ次期政権の閣僚、ホワイトハウススタッフ人事が固まりつつあります。重要ポストである国務長官にはエクソン・モービル社最高経営責任者レックス・ティラーソンが指名されました。閣僚人事は連邦上院の承認が必要となりますが、ティラーソンがロシアとのビジネス関係を深めてきたことについて、一部上院議員の中には懸念を表明している人たちが出ています。

 

 しかし、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官はそうした懸念をバカらしいと一蹴しています。エクソン・モービル社の最高経営責任者として多額のビジネス取引をロシアと結ぶのは至極当然であって、それができなければ、最高経営責任者としては無能だ、と言うことを述べています。

 


 キッシンジャーが上記のような発言を行ったのは、コミッティー・オブ・ワンハンドレッドという米中関係を深化させることを目的としている組織のイヴェントでした。キッシンジャーは、米中による世界管理、G2体制の主導者であり、かつ、ロシアのプーティン大統領とも関係を持っている人物です。

 

 トランプが大統領選挙に当選後、キッシンジャーはトランプと会談し、その後、中国を訪問し、習近平国家主席と会談しています。キッシンジャーは、トランプに対して「ご進講」を行うと共に、中国に対して、「かなり過激な発言が出てくると思うが心配しないでもらいたい」ということを説明に行ったのだと思います。

 

 トランプは台湾に肩入れする姿勢を見せています。これは、トランプ大統領当選に貢献し、政権参加においても一定の影響力を持つであろう、ヘリテージ財団の影響があるように思います。ヘリテージ財団は、アメリカ国内のチャイナ・ロビー派(台湾派)の組織で、このヘリテージ財団に多額の寄付を行っているのは、トランプを選挙期間中支え続けた、大富豪の娘レベカ・マーサー、アムウェイ、そしてコーク財団です。

 

 トランプのこうした動きはレーガン政権初期の対中姿勢ともよく似ています。しかし、中国と事を構えることで最も被害を受けるのは台湾ですから、これ以上のエスカレーションは誰も望んでいないでしょう。

 

 また、トランプはまだ正式に大統領になっていませんし、選挙人による最終的な投票も済んでいない状況では、逆に言うと、何を言ってもよいし、今のうちに過激なことを言っておいて、政権発足後に少しずつ軌道修正をしていくというやり方をするのだろうと思います。

 

 米中ロが表面上は対立しながらも接近していく、という状況の中で、日本は、アメリカによって中国に吠えかかる犬の役割をやらされるでしょう。アメリカは都合の良い時には吠えさせておいて、いざとなったら、厳しくしつけて(お灸をすえて)、「日本を黙らせてやった」と中国に恩を売るということもやるでしょう。日本は吠えかかる犬をどうしたってやらされるのなら、遠くにはなれて吠えかかって、決して近づいて吠えかからないことです。あまりに近い距離で吠えかかったら間違って噛みついたり、爪で引っかいたりするという「事故」がおきかねません。ですから、事故が起きないように慎重に吠えかからねばなりません。

 

(貼り付けはじめ)

 

キッシンジャーはトランプの国務長官選びを賞賛(Kissinger lauds Trump's pick for secretary of State

 

マーク・ヘンシュ筆

2016年12月14日

『ザ・ヒル』誌

https://www.youtube.com/watch?v=1DoPe8z4fe8&list=RD23achdSE-QI&index=8

 

ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は、ドナルド・トランプ次期大統領の国務長官指名を賞賛した。

 

火曜日、トランプはエクソン・モービル社最高経営責任者レックス・ティラーソンを国務長官に指名した。

 

キッシンジャーは、マンハッタンで『』誌の取材に答え、「国務長官の資格に完璧に当てはまる人物など存在しない。私は今回の指名は良かったと思う」と語った。

 

キッシンジャーは更に、ティラーソンが行ってきたこれまでのビジネスのつながりから、ロシアのウラジミール・プーティンとの関係が親密すぎるのではないかという懸念の声が上がっていることについて、それを批判した。

 

キッシンジャーは、コミッティー・オブ・ワンハンドレッドが主催したイヴェントに出席し、「私は、ティラーソンのロシアとの関係が近すぎるという主張に関心を持たない。もし彼がロシアと友好的でなければ、エクソン・モービル社の最高経営責任者など務まらなかっただろう。私はそのような懸念に金輪際耳を傾けない」と述べた。コミッティー・オブ・ワンハンドレッドは米中関係の促進を目的としている組織である。

 

しかし、ティラーソン自身について詳しく議論する段階になると、キッシンジャーの口も重くなり、ティラーソンの任用について議会の承認が得られるかどうかについて質問されて、「(私の予想が外れても)自殺はしませんからね」と軽口を叩いた。

 

リチャード・ニクソン、ジェラルド・フォード両政権で国務長官を務めたキッシンジャーは、トランプがティラーソンを選んだことについて、「親近感を持っている」と語った。ティラーソンとロシア政府の関係は、連邦上院の任用承認のための公聴会に置いて、必ず厳しい質問を浴びせられる理由となることは確実だ。

 

プーティンとティラーソンは2011年にエネルギーパートナーシップについて交渉を行った。『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、この時、プーティンはこのパートナーシップは5000億ドルの価値を持つと語ったと報じている。

 

ティラーソンはその翌年(2012年)にロシア友好勲章を受賞した。この勲章は外国人に与えられるものとしては最高の勲章である。

 

マルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出、共和党)は火曜日、ティラーソンに関して「大変懸念」を持っていると語り、ティラーソンの国務長官任用に反対する可能性もあると示唆した。

 

連邦上院軍事委員会委員長ジョン・マケイン連邦上院議員(アリゾナ州選出、共和党)とリンゼー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は共に懸念を表明している。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







 

このページのトップヘ