古村治彦です。
このブログでも何度も取り上げました、フリアン・カストロが2020年米大統領選挙出馬を表明しました。フリアン・カストロは弁護士出身で2009年から2014年までテキサス州サンアントニオ市の市長を務めました。そして、2014年からはバラク・オバマ大統領の下、住宅・都市開発長官を務めました。30代の若さでの閣僚就任は大きな話題となりました。2016年の米大統領選挙では、民主党の候補者となったヒラリー・クリントンの副大統領候補として名前が挙がりましたが、実際には選ばれませんでした。
双子の兄弟ホアキン・カストロは連邦下院議員で、ジャパン・コーカス、米日議連の会長として来日し、安倍晋三首相と会談を持ったこともあります。
ホアキン・カストロと安倍晋三
フリアン・カストロは、自分が市長を務めたサンアントニオ市で演説を行いました。その中で、「私の祖母は約100年前にこの国に来た。彼女は二世代後にが、孫の1人がアメリカ連邦議会の議員となっていること、そして、もう1人の孫が、今日皆さん方の前に立ち、“私はアメリカ合衆国大統領選挙候補者だ”と言うことなど全く想像することすらできなかったことでしょう」と述べました。
フリアン・カストロは双子の兄弟ホアキンと共に民主党の若手有望株として早くから注目されてきました。40代半ばということで、まだまだ若いということもあり、今回は小手調べで次に備えるということもあるのではないかと思います。
カストロ兄弟が注目されているのは、アメリカ国内政治で存在感を増しているヒスパック系ということもあると思います。ちなみに、下に紹介する記事には、ラティーノ(Latino)という言葉とヒスパニック(Hispanic)という言葉が使われています。ラティーノ(女性はラティーナ)はラテンアメリア出身者やその子孫たちを意味する言葉です。ヒスパニックはラティーノに含まれます。ラテンアメリカでもスペイン語を話さない国、例えばブラジル(ポルトガル語)もありますから、こうした国々出身者はヒスパニックとは言いません。
下の記事によると、ホアキン・カストロはヒスパニック系の連邦議員たちの議員連盟である連邦議会ヒスパニック系議員連盟(Congressional Hispanic Caucus)の会長を務めているということです。双子の兄弟フリアンの支援を取り付けやすい立場にあります。
共和党からの反応はなかなか興味深いものです。フリアン・カストロを「軽量級」と評し、誰かの副大統領候補になるための出馬だろうと皮肉を言っています。彼の年齢を考えると、早過ぎるということはありませんが、次や次の次くらいまで狙える人物ですから、そのように考えると、共和党の皮肉もあながち的外れということはありません。
人気の高いビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)とはテキサス州を地盤とする者同士の戦いということになります。早くからの注目度ということになると、カストロということになりますが、オロークの人気の急上昇ぶりには勝てないかもしれません。
フリアン・カストロとバラク・オバマ
フリアン・カストロはバラク・オバマ政権関係者からは初めての立候補者ということになりますので、オバマ前大統領、ミシェル夫人を中心とするグループからどのような支援を得るのかということが鍵になると思います。
(貼り付けはじめ)
フリアン・カストロが2020年米大統領選挙出馬を宣言し、トランプを激しく批判(Julián
Castro announces 2020 White House bid, swipes at Trump)
ラファエル・バーなる筆
2019年1月12日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/425039-julian-castro-announces-2020-plans
前住宅・都市開発長官フリアン・カストロ(オバマ政権、民主党所属)は土曜日、2020年米大統領選挙民主党予備選挙に出馬すると発表した。
カストロは自身が2014年まで市長を務めた生まれ育った町サンアントニオ市で演説を行い、その中で、「私はアメリカ合衆国大統領候補者だ」と述べた。
44歳になるカストロは、2018年のテキサス州知事選挙と連邦上院議員選挙へ出馬せず、そのことで、大統領選挙に出馬するのではないかという噂が出ていた。
オバマ政権時代の住宅政策のトップであったカストロは、先月、2020年米大統領選挙出馬に向けた準備委員会を構築中だと発言した。大統領選挙に当選となると、アメリカ史上初のヒスパニック系大統領ということになる。
カストロは土曜日に行った演説の中で、彼自身を健康保険や気候変動などの問題を重視する進歩派の候補者だと規定した。そして、トランプ大統領の移民政策と国境を巡る動きを激しく批判した。
カストロは次のように述べた。「現在、確かに危機は存在する。それは、指導者を巡る危機だ。ドナルド・トランプは、私たちの偉大な国の価値観を共有していない」。
カスロトは、トランプ大統領のメディア攻撃を激しく非難した。そして、自身の演説会の取材に来ていた記者団に謝意を述べ、メディアは、アメリカにおける「真実を伝える友人たち」だと呼んだ。
オバマ政権の閣僚だったフリアン・カストロは、彼が大統領に当選して最初に行うこととして、「アメリカのパリ協定への復帰」を挙げた。パリ協定は2015年に成立したが、トランプ大統領はアメリカの脱退を決めた。
フリアン・カストロは、政府が医療費を全額負担する「メディケア・フォ・オール」と普遍的な幼児教育をはじめとする進歩主義的な考えを支持するという公約を掲げた。
ホアキン・カストロ連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)は、土曜日の演説会で彼の双子の兄弟であるフリアンを紹介する際に、フリアンは、多士済々の民主党予備選挙に出馬することになるが、彼こそが最善の候補だと訴えた。
ホアキン・カストロは「皆さんの助けと支持を受けて、私たちは最善の考えと最大のハートを持つ最善の候補者を持つことが出来ることを私は知っている」と述べた。
共和党は即座に民主党予備選挙候補者となったフリアンにジャブを浴びせた。共和党は声明を発表し、その中でフリアン・カストロを「軽量級」と評した。
共和党全国委員会報道担当マイケル・アーレンズは次のように述べた。「フリアン・カストロはこれまでにないほどの軽量級の人物がアメリカ大統領選挙に出馬するということで歴史に名前を残した。市長時代は弱腰で、住宅・都市開発長官時代は自分の官庁をうまくまとめることも出来なかった。カストロの出馬は、誰かの副大統領候補になるための絶望的な試みということでしかない」。
フリアン・カストロの出馬表明は、ラティーノ系政治において重要な2つの総会が開催されるタイミングで行われた。
活動が活発な2つの政治行動委員会(PAC)、連邦議会ヒスパニック系議員連盟(CHC)の選挙活動部門とラティーノ・ヴィクトリー・ファンドは今週末にプエルトリコで総会を行う予定だ。ホアキン・カストロはCHCの会長を務めている。
民主党予備選挙におけるラティーノ系有権者の存在は2020年の大統領選挙において大きいものとなっている。予備選挙の日時が変更になっているのも、増加しているラティーノ系有権者にとって有利に働く。
ラティーノ系の有権者たちは、来年の早い段階で行われるネヴァダ州の党員集会で重要や役割を果たすことになる。また、アメリカ国内で最も多いラティーノ系の人口を持つテキサス州とカリフォルニア州でも同様だ。
カストロは多くの顔ぶれが出馬するであろう民主党予備選挙に参加することになる。
トゥルシー・ギャッバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は金曜日、2020年の大統領選挙への出馬を決めた。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は既に準備委員会発足を発表した。カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)をはじめとする人々もまもなく出馬を宣言すると見られている。
フリアン・カストロは自身の地元の州出身者同士の競争に直面することになるだろう。2018年11月の中間選挙でテッド・クルーズ連邦上院議員(共和党)に僅差で敗れたビトー・オローク連邦下院議員(民主党)も大統領選挙に出馬すると見られている。
ジョン・ボウデンはこの記事作成に協力した。
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カスロトは、2020年米大統領選挙出馬を発表した後にニューハンプシャー州で開催されるフォーラムに出席する(Castro to headline forum in New Hampshire after announcing 2020
decision)
マックス・グリーンウッド筆
2019年1月7日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/424178-castro-to-headline-forum-in-new-hampshire-after-announcing-2020-decision
ジュリアン・カストロ(Julián Castro)前住宅都市開発長官は来週、ニューハンプシャー州を訪問することになった。その前にカストロは2020年米大統領選挙出馬を発表すると見られている。
カストロは、2019年1月16日にニューハンプシャー州マンチェスターで、ニューハンプシャー政治研究所主催の「ポリティックス・アンド・エッグス」フォーラムに出席することになっている。このイヴェントの過去の講演者にはエリック・ホルダー元司法長官、ジェフ・フレイク元連邦上院議員(アリゾナ州選出、共和党)、マーティン・オマリー元メリーランド州知事がいる。
このフォーラムは、東海岸のビジネス組織ニューイングランド・カウンシルが共催者となっている。
カストロがニューハンプシャー州で講演を行うことは、カストロが2020年の米大統領選挙出馬を計画していることを示している。
カストロは先月、大統領選挙出馬を模索する検討委員会を発足させた。今週土曜日には彼の地元サンアントニオ市で出馬を発表する予定となっている。カスロトは2009年から2014年までサンアントニオ市長を務めた。
ニューハンプシャー州は大統領選挙候補者にとって大統領選挙の初期段階で重要な州となっている。その理由は、ニューハンプシャー州は大統領選挙予備選挙が最初に行われる州であるからだ。
カスロトは多くの人々がひしめく2020年米大統領選挙に出馬することになる。民主党では30名以上の名前が挙がっている状況だ。その中にジョー・バイデン前副大統領のような大物も含まれている。
エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は先週大統領選挙民主党予備選挙への出馬を発表した。大物政治家としては初めての発表となった。彼女は検討委員会発足を連邦選挙管理委員会に届け出た。ウォーレンは発表後にアイオワ州を訪問し、5か所で集会を開いた。
これからの数週間で5名程度の民主党の政治家が出馬発表を行う可能性があると見られている。
(貼り付け終わり)
(終わり)
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