古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ボストン

 古村治彦です。

 

 今年秋の中間選挙(連邦下院全議席、連邦上院一部議席、州知事の一部)に向けて、民主、共和両党で候補者を決める予備選挙(primary)が行われています。今年6月にニューヨーク州で、番狂わせが起きて、無名の新人アレクサンドリア・オカシオ=コルテスが、10期連続当選中だった現職連邦下院議員ジョセフ・クローリーを破ったことが全米で注目を集めました。

 

 今度はマサチューセッツ州ボストンで、やはり10期連続当選していた現職のマイケル・キャプアーノが新人の挑戦者アイアナ・プレスリーに民主党予備選挙で敗れるという波乱が起きました。ボストンは現職有利な土地柄で、黒人女性プレスリーの勝利は驚きをもって迎えられました。

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アイアナ・プレスリーとマイケル・キャプアーノ
 

 プレスリーは、ケネディ家の一族ジョセフ・ケネディ連邦下院議員やジョン・ケリー元連邦上院議員(後の国務長官)の下で働き、そこからボストン市議会史上初の黒人女性議員となりました。その点では知名度はありました。しかし、10期連続当選で、民主党所属の下院議員でもリベラル派の重鎮、リーダー格となっていたキャプアーノを破るということは多くの人たちが予想していませんでした。

 

 下に掲載した記事を読むと、地元の有権者たちは「キャプアーノには不満はないのだが、選挙区を代表する新たな顔と声が必要だ」という考えを持っていました。6月にそこに、キャプアーノよりもよりリベラルで進歩的なプレスリーが立候補し、選挙戦は混戦となり、プレスリーが勝利ということになりました。

 

 このように現職に対して逆風が吹いているのが今回の中間選挙の特徴です。特に長年にわたり議員を務めてきた、体制派そのもののような政治家に対する風当たりは厳しくなっています。クローリーやキャプアーノのようなリベラル派と目される議員たちでも、「ワシントン政治に染まっている」という烙印を押されて、落選ということになりました。

 

 民主党で番狂わせを演じたのは、マイノリティの女性たちであり、かつ進歩主義的、自分のことを社会主義者だと言っている人たちです。彼らは体制派よりもより急進的な政策を主張しています。メディケア・フォ・オール、公立大学の無償化、アメリカ合衆国移民関税執行局(ICE)の廃止などです。こうした人たちの旗頭が2016年のアメリカ大統領選挙の民主党予備選挙でヒラリー・クリントンに対して善戦し、結果として、ヒラリーを本選挙で落選させることになったバーニー・サンダース連邦上院議員です。

 

 2016年アメリカ大統領選挙におけるバーニー・サンダースの躍進とドナルド・トランプの最終的な勝利に共通しているのは、ワシントン政治と体制派政治家に対する嫌悪です。民主、共和党の両極端な人物が支持を集めているということになります。この動きは2018年の中間選挙でも続いているということになります。

 

 中間選挙の情勢はまだ不透明で、接戦が続いており、やや民主党が有利という報道がなされています。これからどうなっていくのか注目されます。

 

(貼り付けはじめ)

 

キャプアーノはマサチューセッツ州での民主党予備選挙で挑戦者プレスリーに敗れる(Capuano falls to Democratic challenger Pressley in Mass. Primary

 

メラニー・ザノナ、リサ・ヘイゲン筆

2018年9月4日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/405011-capuano-falls-to-democratic-challenger-pressley-in-mass-primary

 

マイケル・キャプアノ連邦下院議員はマサチューセッツ州での民主党予備選挙で挑戦者であるアイアナ・プレスリーの後塵を拝した。キャプアーノは現職議員として、進歩派の挑戦者に敗れる政治上の番狂わせに巻き込まれた。

 

『ワシントン・ポスト』紙によると、議員歴20年のキャプアーノは午後9時20分に敗北を認めた。マサチューセッツ州第7区での競争相手、44歳のプレスリーはボストン市議会初の有色人種女性の議員となった人物だ。キャプアーノにとっては20年間で初めて予備選挙で挑戦者を迎えての選挙戦となった。

 

AP通信が午後9時53分に予備選挙の結果を報じた。

 

WBZニュースレディオによると、キャプアーノは火曜日の夜に次のように語った。「予備選挙で勝利を得るために私たちは自分たちにできることを全てやった。努力が実を結ばなかったことを残念に、かつ申し訳なく思う。しかし、これが人生だ。アイアナ・プレスリーは間違いなく素晴らしい議員になるだろう」。

 

キャプアーノは今回の選挙において、予備選挙で敗れた4人目の現職議員となった。民主党のクローリー、共和党のロバート・ピッテンガー連邦下院議員(ノースカロライナ州選出)とマーク・サンフォード連邦下院議員(サウスカロライナ州選出)に続く4番目となった。キャプアーノの敗北は現職議員たちが反エスタブリッシュメントの逆風に直面していることを示している。

 

今年6月のニューヨーク州での予備選挙で28歳の民主社会主義者を自認するアレクサンドリア・オカシオ=コルテスがヴェテラン議員のジョー・クローリーを破った後、民主党を活気づかせている進歩派への追い風をプレスリーはうまく掴むことが出来た。

 

オカシオ=コルテス同様、プレスリーは彼女自身をワシントンのエスタブリッシュメントを攻撃することを目指す有色人種の若い女性と規定して戦った。マサチューセッツ州第7区は民主党が堅固であり、共和党から立候補がないので、プレスリーは来年初め、連邦議会に議員として出席することになるだろう。

 

プレスリーの勝利は、民主党の予備選挙における一連の女性、その多くがマイノリティの挑戦者の勝利の流れに連なっている。予備選挙で女性とマイノリティの勝利が続いており、今年の11月に向けて、「女性の年」となっている。

 

投開票が行われた火曜日の夜、支援者を前にしてプレスリーは次のように語った。「キャプアーノに挑戦するという決断は生易しいものではなかった。私たちは孤立することになると考えた。地元や全国レヴェルで民主党のエスタブリッシュメント(体制派)からの支援は望めないことは分かっていた。しかし、変化を押しとどめることはできなかった」。

 

プレスリーはトランプ大統領を批判し、「人種差別、女性差別、同情心に欠けた男性」と呼んだ。民主党が強いマサチューセッツ州全体と同じく、ボストンではトランプ大統領の人気は大変に低い。

 

アフリカ系アメリカ人女性のプレスリーは、自分こそが、66歳の白人男性キャプアーノよりも、人種構成が多様で、リベラルなボストンをより代表することが出来ると訴えた。

 

火曜日の夜、プレスリーは勝利演説を行った。プレスリーは、「自分の勝利は政治や政府において尊重されていない人々、あなたたちの問題、懸念、優先事項は後回しだと言われ続けた人々の勝利だ」と述べた。

 

プレスリーは企業による政治行動委員会(PAC)からの資金を拒絶し、アメリカ合衆国移民関税執行局(ICE)の廃止を主張した。ICEの廃止はリベラル派の新たな主張となっている。一方、キャプアーノは廃止よりも縮小を主張していた。

 

ボストン市議会議員であるプレスリーは、オカシオ=コルテス、マサチューセッツ州司法長官マウラ・ヒーリー(民主党)、『ボストン・グローブ』紙から支持・推薦を受けていた。

 

アメリカの各進歩主義団体は、プレスリーの勝利は今回の選挙で一連の進歩派の勝利の一環であると称賛している。

 

「デモクラシー・フォ・アメリカ」の会長ジム・ディーンは次のように語った。「アイアナ・プレスリーは、ボストンに住む黒人、ヒスパニック、白人の労働者階級の人々のための恐れ知らずの闘士だ。彼女は、連邦議会において、メディケア・フォ・オールや刑法改革を主導だろう」

 

ディーンは続けて次のように語った。「プレスリーはマサチューセッツ州史上初、アフリカ系アメリカ人女性の連邦下院議員となった。彼女は様々な人生の経験を重ねている。性的虐待を経験し、親は投獄されていた。このような人生の経験は権力の場である連邦議会にとって必要なものである」。

 

キャプアーノは民主党の中でも最もリベラルな政治家として知られていた。彼は議会における長年の経験を持っているので、トランプ大統領の主張と戦うことが出来ると訴えていた。

 

8月の夏休み期間中、本誌は地元の一般有権者に取材を行った。地元の人々はキャプアーノに反対する点はないのだが、選挙を代表する新顔を見てみたいと答えていた。

 

プレスリーの現職議員キャプアーノを破っての勝利は大きな衝撃となった。各種世論調査の結果ではプレスリーはキャプアーノの後塵を拝している状況だった。

 

プレスリーは政治資金集めの点で、キャプアーノから大きく後れを取っていた。キャプアーノは今回の選挙のために170万ドル(約1億9000万円)を集めていた。一方、プレスリーが集めたのは89万8000ドル(約9900万円)だった。

 

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プレスリーはマサチューセッツ州での選挙で現職のキャプアーノを破ることを目指している(Pressley seeks to oust Caputo as Massachusetts heads to polls

 

マックス・グリーンウッド筆

2018年9月4日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/404851-progressive-pressley-seeks-to-oust-caputo-as-massachusetts-heads-to-polls

 

マサチューセッツ州は伝統的に現職が強い場所だ。連邦上院議員だった故テッド・ケネディ(マサチューセッツ州選出、民主党)がその例だ。しかし、マサチューセッツ州連邦下院議員選挙第7選挙区では、挑戦者がそれまでの伝統を覆そうとしている。

 

火曜日に第7区で民主党連邦下院議員選挙予備選挙が実施され、ボストン市議会議員アイアナ・プレスリーが10期連続当選の現職マイク・キャプアーノを破って、指名されることを目指している。

 

キャプアーノは容易に再選されるだろうと見られていた。しかし、キャプアーノは各種世論調査でリードをしているが、予備選挙でプレスリーから予想外に強力な挑戦を受けている。

 

プレスリーとキャプアーノは共に、進歩的な政治家と見られており、進歩的な政策を進めるであろうと見られている。アフリカ系アメリカ女性で初めてボストン市議会議員に選ばれたプレスリーは44歳だ。プレスリーは人種構成がより多様化している第7区を代表するによりふさわしいと考えられる。

 

これまでの予備選挙で多くの女性やマイノリティの人々が勝利を収めている。その多くが民主党側で起きていることである。プレスリーの動きはこれらに続くものだ。予備選挙で勝利した女性やマイノリティはワシントンやアメリカ各州の州都でより重要な役割を果たそうとしている人々なのだ。

 

先週、フロリダ州タラハシー市の市長アンドリュー・ギルアムは、フロリダ州知事選挙民主党予備選挙で並み居る挑戦者たちを僅差でかわし、勝利した。11月の本選挙で勝利し、フロリダ州史上初のアフリカ系アメリカ人知事となる可能性が増している。

 

今年6月、28歳の無名の新人アレクサンドリア・オカシオ=コルテスが政界を震撼させた。アレクサンドリアはニューヨーク州での民主党予備選挙で10期連続当選の現職連邦下院議員ジョー・クローリー(ニューヨーク州選出、民主党)を破り、民主党の候補者に選出された。

 

他の予想外に勝利を収めている挑戦者たちと同様、プレスリーは、自分が候補者になれば、有権者に対して、現状を打破し、ワシントンに新しい声を届ける機会を与えることになると主張した。

 

一方、キャプアーノは、今年の11月に民主党が連邦下院で過半数を占めるようになれば、自分は豊富な経験と政治的な人脈を使って、影響力を与えることが出来ると訴えた。

 

火曜日にどちらが民主党の予備選挙で勝利をするにしても、11月の本選挙では楽勝するだろう。共和党では予備選挙に立候補する人物が出ていない。マサチューセッツ州第7区

ではほぼ1世紀に渡り、共和党所属の連邦下院議員をワシントンに送っていない。

 

連邦上院の他のレースでは、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)に対して、民主党の予備選挙では挑戦者が出ないであろう。そして、彼女は11月の本選挙では圧勝で二期目を決めると考えられている。そうなれば、彼女は2020年のアメリカ大統領選挙の有力候補となるだろう。クック・ポリティカル・レポートはウォーレンの選挙に関しては民主党が盤石と評価している。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 安倍晋三首相は現在、アメリカ訪問中です。安倍首相の訪米は2015年4月26日から5月2日まで(日本の大型連休「ゴールデン・ウィーク」の前半)の日程です。詳しい日程は明らかにされていませんでしたが、政治情報分析に定評のあるヴェテラン政治評論家歳川隆雄氏がその詳しい日程を記事にしています。以下をご参照ください。

 

(雑誌記事転載貼り付けはじめ)

 

●「歳川隆雄「ニュースの深層」 これが安倍首相訪米日程の詳細と議会演説「ワーストシナリオ」だ」

 

歳川 隆雄

20150425日(土)

『現代メディア』誌

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43048

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43048?page=2

 

安倍晋三首相は昭恵夫人を伴い、426日から53日まで米国を公式訪問する。訪米日程は公表されていないが、その詳細を掴んだので紹介する。

 

●これが安倍首相の訪米日程詳細

 

426日ボストン:J・Fケネディ図書館をキャロライン・ケネディ駐日大使の案内で訪問。ジョン・ケリー国務長官私邸で晩餐会出席。

 

27日ボストン:ボストン・マラソンのテロ現場にて献花。ハーバード大学でスピーチ、学生との質疑応答。マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボ視察(ノーベル賞受賞の利根川進教授が案内)、ワシントンDCへ移動。

 

27日午後ワシントンDC:アーリントン墓地で献花・ホロコースト記念館訪問。

 

28日ワシントンDC:ホワイトハウスで歓迎式典、オバマ大統領と日米首脳会談・共同記者会見、バイデン副大統領、ケリー国務長官との昼食会、オバマ大統領主催の公式晩餐会。

 

29日ワシントンDC:上下両院合同会議で演説。ベイナー下院議長主催のレセプション、有力上院議員との懇談会、笹川平和財団主催のシンポジウム出席・スピーチ、駐米日本大使公邸で日米関係者を招いて夕食会。

 

30日午前ワシントンDC:米科学アカデミー主催の朝食会、サンフランシスコに移動。

 

30日午後サンフランシスコ:米イノベーション企業家ラウンドテーブルとの懇談会、スタンフォード大学ダニエル・オキモト教授主催のシンポジウム出席、シリコンバレー(テスラモーターズなど)視察、グラッドストン研究所訪問(ノーベル賞受賞の山中伸弥教授らと懇談)、ブラウン・カリフォルニア州知事と会談、日米交流に尽力した約100人を招いたレセプション、ロサンゼルスに移動。

 

51日午後ロサンゼルス:日米交流関係者との昼食、日米経済フォーラム出席、在留邦人によるイベント参加、日系人部隊記念碑献花、全米日系人博物館訪問、同行記者団との内政懇談。

 

2日午前ロサンゼルス:交流イベントを検討中、同午後政府専用機で帰国の途へ(帰国は日本時間3日午前)。

 

まず、ファクトから。ワシントンにあるホロコースト記念館は、歴代米大統領が就任してから最初に訪れる場所であり、日本の首相が訪問するのは初めてだ。米国のユダヤ人社会に対する好ましいメッセージとなる。

 

429日米議会演説でのワーストシナリオとは

 

肝心の米議会演説である。安倍首相は英語でスピーチを行う。草稿は、首相のスピーチライターである谷口智彦内閣官房参与が今井尚哉首相秘書官(政務担当)の意見を聞き、準備した。そして安倍首相が朱入れを行ったものだが、未来志向の格調高いモノになったようだ。

 

キーワードは「和解」である。歴史認識問題については、安倍首相の強い意向から「侵略」と「反省」というワーディングは使われるが、「お詫び」という言葉はない。22日のバンドン会議での首相演説と同じ。

 

外務省にとってのワーストシナリオは、チマチョゴリを着た韓国系米国人女性が議会傍聴席から安倍首相演説中にヤジを飛ばして衛視に強制退去されるような事態が出来し、そのシーンをCNNが撮影・放映することである。

 

佐々江賢一郎駐米大使は今、米上下院の要路に対してそのようなことが起こらないよう、特別の配慮を申し入れているが、各上下院議員は“支援者”向けの傍聴パスを1枚持っており、例えば反日・親韓のマイケル・ホンダ下院議員が提供するようであれば、そうした韓国係女性の入館を法的に規制できない。

 

強運の持ち主の安倍首相が演説中の妨害はないだろうと、官邸・外務省関係者は半ば祈るがごとく見守っている。

 

(雑誌記事転載貼り付け終わり)

 

 安倍首相はボストン、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルスを巡り、帰国する予定になっています。東海岸から西海岸へとアメリカを横断する旅ですが、一点気になったのは、ニューヨークを訪問しないことです。ボストンはアメリカの古都(比べるべくもないですが日本で言えば京都や奈良)ですが、経済や政治の中心とは言えず、歴史と学術の街です。2014年4月にボストン・マラソンで爆弾テロ事件が起き、多くの人々が犠牲になったことは今でも鮮明に記憶されています。それでも「世界」の中心はニューヨークですが、それでも安倍首相訪米はニューヨークではなく、ボストンが選ばれました。

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 ボストンでは、ジョン・F・ケネディ大統領を記念する博物館を訪問しました。案内は安倍首相に同行して帰国した、ケネディ大統領の長女キャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使。その後、ジョン・ケリー国務長官の私邸で夕食会が行われました。ジョン・ケリーの家系はユダヤ教からカトリックに改宗しており、母親はフォーブス家の一族です。また、ケリーはケネディ大統領が上院議員の時に選挙ヴォランティアをするなど、ケネディ家とも若い時から親しい関係にあり、2番目の奥様はケチャップで有名なハインツの未亡人ということで、おカネにも全く不自由していません。

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 アメリカの政界で言えば、ケネディ家は民主党系の王朝(共和党系の王朝はブッシュ家)であり、ボストンはその都であると言えるでしょう。訪米して真っ先にボストンを訪問したことは、言わば、「臣従」の儀式とも言えるでしょう。しかし、現在のケネディ家にはすぐに大統領になるとか、アメリカ政界や民主党の中心になるような人物はいません。

 

 それでは誰に臣従する儀式かと言うと、ヒラリーに対する臣従です。それなら、彼女が地盤にしているニューヨークに行くべきですが、今、ニューヨークに行ってもヒラリーには会えません。彼女は大統領選挙への出馬を表明して、アイオワ州を回っている最中だからです。そこで、ヒラリーをバックアップすると決めたキャロラインが現在の当主を務めるケネディ家の都ボストンを訪問することになったのだと考えられます。

 

 安倍首相のボストン訪問はケネディ大統領トリビュート・ツアーということになります。ケネディ大統領の博物館を訪問し、キャロライン・ケネディから案内を受け、夜はケネディ大統領が若い時から関係があったケリー国務長官から話を聞き、ケネディ大統領の名前が付けられたハーヴァード大学ケネディ記念行政学・政治学大学院(ケネディスクール、Kスクール)でスピーチをし、学生たちとの質疑応答を行いました。ケネディスクールについては、拙著『ハーヴァード大学の秘密』(PHP研究所、2014年)を是非お読みください。

 

 私は『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)で書きましたが、ケネディ大統領は私たち日本人が持つ清新で若々しく素晴らしいイメージとは全く別のせいじかでありました。「強いアメリカ」を標榜し、アメリカによる世界支配を実行しようとしたのはケネディ大統領です。ケネディ大統領の前任者ドワイト・アイゼンハワー大統領とは全く別の路線にアメリカを向けたのです。その一環としてアメリカによる日本官吏が本格化しました。

 

 また、強固な反共政策を実行し、キューバ革命を転覆させようとして失敗したピッグス湾事件、ドミノ理論に基づいた共産主義拡大阻止のためのヴェトナムへの介入、キューバ危機などすべてケネディ大統領時代に起きた出来事です。私は、現在の共和党のネオコン(元々民主党にいた人々が失望して共和党に移った)と民主党の人道主義的介入派の源流はケネディ大統領だと書きました。私は、はつらつとした青年大統領ケネディのイメージは表向きで、彼の実態はそれほど「危険」な人物であったと今は考えています。

 

 安倍首相がケネディ大統領トリビュート・ツアーをボストンで行ったことは、現在のネオコンと人道主義的介入派を満足させたことでしょう。そして、安倍晋三首相は、アメリカの世界戦略において使える人物ということになりました。「強いアメリカ」の維持のために日本を犠牲に供する人物、安倍晋三ということになります。日本がアメリカの下請けとして、経済だけではなく、軍事(人の血)の面でも貢献できるようにしている、より具体的には中国との衝突や自衛隊をアメリカ軍の参加に入れて利用できることへの道を開いたとして評価しているでしょう。それを具体的に示すためのボストン訪問となりました。

 

 しかし、日本にとっては、これから困難な道が待っていることを示しています。

 

(終わり)












 

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