古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:マイク・ペンス

 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙共和党予備選挙では、支持率でドナルド・トランプ前大統領が圧倒的にリードしている。エスタブリッシュメント派が推している、フロリダ州知事ロン・デサンティスやニッキー・ヘイリーも米国連大使は知名度の割に苦戦している。そうした中で、ヴィヴェック・ラマスワミ(Vivek Ramaswamy)という聞きなれない名前の、ずぶの素人、無名の新人がここ最近支持率を挙げている。
vivekramaswamy001

ヴィヴェック・ラマスワミ
 ラマスワミはトランプ前大統領を支持している。2020年の大統領選挙ではトランプ前大統領に投票している。討論会の席上で「トランプ前大統領は21世紀において最高の大統領だ」と発言し、トランプ前大統領から「ありがとう、ヴィヴェック!」という言葉をもらっている。討論会では、マイク・ペンス元副大統領、ニッキー・ヘイリー元米国連大使、クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事といった知名度の高い、ヴェテラン政治家たちを向こうに回して、人々の関心を集めることに成功したようだ。

 ヴィヴェは1985年生まれの39歳。両親はインド系の移民であるが、父親はGE(ゼネラル・エレクトリック)のエンジニア、母親は心理学者という裕福な家庭で育った。ハーヴァード大学では生物学を専攻し、イェール大学法科大学院に進学した。大学院在学中に既にヘッジファンドを設立し、100億円以上の利益を上げていたということだ。その後も実業界で成功を収めた、立志伝中の人物ということになる。
2024uspresidentialelectionrepublicancanidatespolls2023graph001

 ラマスワミは世論調査での支持率の数字を上昇させている。ドナルド・トランプ前大統領には大きく及ばないものの、共和党のヴェテラン政治家たちを追い抜いている。トランプとラマスワミの数字を合わせて考えると、他の有力政治家たちが「希望にあふれている(hopeful)」という状態ではなく、「希望が小さくなっている(long-shot)」という状態になっていることが分かる。ちなみにlong-shotとは、弓矢で長い距離から的を狙うということで、距離が長ければ長いほど的に当たりにくい、希望が少ないという意味になる。トランプ前大統領の人気の高さとラマスワミの台頭によって、共和党エスタブリッシュメントに魂を売ったヴェテラン政治家たちは、どんどん的が遠くなっているという現状である。

 民主党側ではジョー・バイデンが現職大統領として高齢を押して出てくるが、体調や能力を不安視されている。それでも何が何でもバイデンを当選させたい勢力が民主党内だけではなく、共和党内部にもいる。そこの分裂線がウクライナ戦争に対する支援に関する考え方である。ラマスワミはウクライナ支援に反対を唱えている。それだけで共和党予備選挙では大きな台風の目ということになるだろう。私たちも注目していかねばならない。

(貼り付けはじめ)

トランプの後継者は俺だ、インド系大富豪候補者の支持率が急上昇

8/26() 11:02配信

高濱 賛

JBpress

https://news.yahoo.co.jp/articles/8cdad8320cfc1e5b7817d008e8a3ea340f7bd7e6

https://news.yahoo.co.jp/articles/8cdad8320cfc1e5b7817d008e8a3ea340f7bd7e6?page=2

■ デサンティスに肉薄、支持率10%に

 米共和党が823日に行った初の大統領候補者テレビ討論会の視聴者は5000万人、同時刻にSNSXで流れたドナルド・トランプ前大統領の単独インタヴューはアクセス数が7300万から7400万だった。 (Trump's debate counter-programming draws millions of views on X)(Fox News is the debate’s biggest loser

 8人の候補者の顔見世も「象(トランプ氏)の出ないショー」ではトランプ氏に勝てなかった。 とにかく共和党支持者にとっては、トランプ氏抜きの大統領選は考えられないことを改めて示した。 共和党の選挙戦略専門家のアレックス・コナント氏によれば、共和党支持者の4分の1はトランプ氏に何があっても投票、4分の1はトランプ氏には投票しない、残りの半分は投票態度を決めかねているという。 (Los Angeles Times

 一方、トランプ氏抜きの今回の討論会で「誰が勝者か」を一般有権者に尋ねたワシントン・ポストの世論調査では以下のような結果が出た。

 (1)ロン・デサンティス・フロリダ州知事:29

 (2)ヴィヴェック・ラマスワミ氏:26

 (3)ニッキー・ヘイリー元国連大使:15

 (4)マイク・ペンス前副大統領:7

 (5)クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事:4

 (6)ティム・スコット上院議員:4

 (Our Republican debate poll finds Ron DeSantis and Vivek Ramaswamy won

 注目すべきは、政治経験ゼロのラマスワミ氏が副大統領や上院議員、知事現職・経験者を差し置いて、デサンティス氏に肉薄していることだ。 直近の世論調査でも、断トツのトランプ氏(55.4%)を追うデサンティス氏(14.3%)に次いで7.20%で3位につけている。世論調査によっては10%の支持率を得ている。 (2024 Democratic Presidential Nomination

■ 「痩せぎすで変な名前の男」と自己紹介

 討論会参加者の並び順は支持率で決まる。中央にはデサンティス氏、その向かって右側に痩せた浅黒い色の男が陣取った。 モデレーターから指されると開口一番、こう述べた。

「皆さん、痩せぎすの、しかも名前も聞きなれない男は、いったい何者でしょう?」 (Who the heck is this skinny gay with a funny last name? )

「一つ言えることは、私は誰からもカネをもらったり(企業団体の)世話にもなっていない唯一の候補者です。これだけは声を大にして申し上げておきます。気候変動は作り話です」 (I’m the only person on the stage who is not bought and paid for, so I can say this. Climate change agenda is a hoax.

 ラマスワミ氏は、討論会を通じて一番喋りまくった。

 気象変動、ウクライナへの軍事支援、中国の脅威、メキシコとの国境問題とテーマごとに他の候補者と一対一で渡り合った。 終始一貫しているのはトランプ氏の4年間の内政外交すべてを支持する姿勢だった。 反トランプのジャーナリスト、チャーリー・スカイズ氏はこう描写した。

「ラマスワミ氏は、持前の弁舌でトランプ氏よりも巧みにトランピズムを展開した。熱狂的なトランプ支持者が聞きたかった歌を奏でた」「それはトランプ氏を支持している他の候補者が真似できないようなパフォーマンスだった」 (The Vivek and Nikki Show

■ 高学歴・裕福・・・インド移民の典型

 同氏はオハイオ州・シンシナティ生まれ。

 両親はインド、ケララ州出身のヒンズー教教徒で、父はカルカッタ国立工科大学を卒業後、米国に移住、ゼネラル・エレクトリック(GE)のエンジニアとして働いてきた。 母は高齢者専門の心理学者だった。高学歴で裕福なインド移民の典型だった。

 ラマスワミ氏は、カトリック系の高校を出た後、ハーバード大学に進学、生物学を専攻し、卒業論文ではキメラ動物創造に関する倫理上の諸問題を取り上げ、最優秀賞を受賞している。 また、在学中にゴールドマンサックスでインターンとしての勤務経験がある。 在学中は「ハーバード・ポリティカル・ユニオン」(HPU=米大学最古の弁論部)やユダヤ系学生団体「シャブタイ」にも参加、米国社会のエリート育成機関に積極的に参加した。 その後、イェール法科大学院に進み、大学院生当時、金融、薬品、バイオテク分野関連のヘッジ・ファンドを知人と設立し、法務博士号取得前に15000万ドルの純益を上げていた。 その後、そのヘッジ・ファンドを「ロイバント・サイエンス」と改称、次々と製薬会社を買収、売却、合併した。 2020年には環境保護、社会・企業のガバナンスのための基金を設立、これが政界進出へのスタート台になっている。 トランプ氏とは、2022年、ニュージャージー州のトランプ氏の別邸で夕食を共にしたのが出会いだった。 億万長者のラマスワミ氏が、トランプ氏の支持層を取り込む国盗り物語は注目に値する。

=====

共和党の米大統領選挙候補ヴィヴェック・ラマスワミとはどんな人物か?(Who is Vivek Ramaswamy, Republican presidential candidate?

ティム・リード筆

2023年8月24日

『ロイター通信』

https://www.reuters.com/world/us/who-is-vivek-ramaswamy-republican-presidential-hopeful-2023-08-23/

ロイター発(8月23日付)。バイオテック企業の元重役で大富豪のヴィヴェック・ラマスワミが水曜日夜の討論会において2024年米大統領選挙共和党候補者指名レースの注目候補者となる機会を得ている。

ラマスワミの人生とキャリアについてのいくつの事実についてこれから取り上げていく。

●アメリカ中西部で育ったヒンドゥー系(A HINDU RAISED IN THE AMERICAN MIDWEST

38歳になるラマスワミは、オハイオ州においてインド南部からの移民である両親の間に誕生した。彼は両親のヒンドゥー教の信仰の中で育ったが、カトリック系の高校に進学した。ハーヴァード大学で生物学を専攻し学士号を取得し、その後はイェール大学法科大学院に進んだ。

ラマスワミはヘッジファンドの投資部門で働き、イェール大学法科大学院を修了する前には既に数百万ドルを稼ぎ出していたと述べている。2014年、彼は自身でバイオテック企業ロイヴァント・サイエンシズ(Roivant SciencesROIV.O)を創設した。この企業は製薬分野の大企業が完全に開発できなかった、もしくは市場化できなかった特許を買い取っていた。2021年、ラマスワミは最高経営責任者(CEO)を辞任した。2023年、ビジネス誌『フォーブス』はラマスワミの資産を6億3000万ドル(約914億円)と推計した。

●元リバータリアンのラッパーで一貫性のない投票行動の記録(A FORMER LIBERTARIAN RAPPER WITH A PATCHY VOTING RECORD

ラマスワミは、大学時代、リバータリアンだったと語っている。ハーヴァード大学在学中、「ダ・ヴァック(Da Vek)」というアーティスト名でリバータリアンをテーマにしたラップを披露していた。彼は今年、選挙運動でラップのスキルを披露した。今月のアイオワ・ステート・フェアで彼が披露したエミネムの「Lose Yourself」はソーシャルメディアで拡散された。

ラマスワミは、2004年の米大統領選挙ではリバータリアン党に投票したが、2008年、2012年、2016年は投票しなかったと述べた。彼はこれまで共和党と民主党の候補者の両方に献金している。2020年の米大統領選挙では共和党のドナルド・トランプ前大統領に投票したということだ。

●「反極左リベラル目覚め主義派」の闘士(AN "ANTI-WOKE" CRUSADER

ここ数年、ラマスワミは堅固な保守派として活動している。2021年にベストセラーになった著書『目覚め主義株式会社(Woke, Inc.)』の中で、社会正義や気候変動への懸念をビジネス戦略の前提にしようする一部の大企業の決断を批判し、勤勉さ(hard work)、資本主義(capitalism)、信仰心(religious faith)、愛国心(patriotism)に悪影響を及ぼす「ウォーキズム(目覚め主義、wokeism)」を非難している。この本によって、ラマスワミは保守派の間で知名度を上げ、右派のスターとして急速に頭角を現し始めた。

●共和党の米大統領選挙運動(REPUBLICAN PRESIDENTIAL CAMPAIGN

ラマスワミは今年2月に大統領選挙への出馬を表明したが、その時点では泡沫候補の扱いをされていた。ラマスワミは、ほとんどの世論調査でいまだに一桁台の指示率に低迷しているが、多くのライヴァルを引き離しており、なかでもフロリダ州のロン・デサンティス知事は、現在2位の座を維持するために戦っている。

ラマスワミはトランプを擁護する一方で、共和党予備選挙で重要な位置を占めるキリスト教福音派(Christian evangelicals)へのアピールを狙っている。ヒンドゥー系でありながら、ラマスワミは有権者たちに対し、アメリカは「キリスト教的価値観(Christian values)」や「ユダヤ・キリスト教的価値観(Judeo-Christian values)」に基づいていると語り、自分のことをアメリカ・ナショナリストと表現している。

ラマスワミの政策的立場は、ほとんどが明確に保守的である。アファーマティブ・アクション(affirmative action)に反対し、レイプや近親相姦、母体の生命が危険な場合は例外として、6週間以降の中絶を州レヴェルで禁止することを支持している。大統領職の権限を大幅に拡大し、FBI、教育省、徴税機関である内国歳入庁(Internal Revenue ServiceIRS)など連邦政府の多くを解体したいと訴えている。

ラマスワミは、ウクライナのNATO加盟に反対し、キエフは戦争を終結させるためにロシアに譲歩すべきであり、ロシアが既に占領しているウクライナの一部を、ロシアが保持することを認めるべきだと述べている。

=====

第1回の共和党の討論会における勝者と敗者(Winners and losers of the first GOP debate

ナイオール・スタンジ筆

2023年8月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4168420-winners-and-losers-of-the-first-gop-debate/

ミルウォーキー発。2024年米大統領選挙における討論会シーズンの幕開けとなった水曜日の夜、共和党候補者たちは激突した。

ドナルド・トランプ前大統領がフィサーブ・フォーラムで開催されたフォックス・ニューズ主催の討論会に参加しないことを決めたため、このイヴェントへの関心が下がり、視聴率も低下したようだ。

しかし、トランプはスポットライトを完全に譲った訳ではない。タッカー・カールソンとの会話は、討論会が始まる5分前に、かつてツイッターとして知られていたプラットフォーム「X」で生中継された。

トランプ氏は木曜、ジョージア州当局に出頭し、4度目の刑事起訴に直面し表舞台に戻ることになる。

ミルウォーキーでの討論会は、トランプ前大統領が直接介入したり邪魔したりすることなく、ライヴァルたちが多くの聴衆に接触する貴重な機会となった。

これから、重要な夜となった討論会における勝者と敗者について述べていく。

■勝者たち

●マイク・ペンス元副大統領(Former Vice President Pence

ペンスは討論会の参加資格を得るのに苦労した。必要な寄付者数などの基準を超えるのに他の候補者たちよりも長い時間が必要となった。

しかし、水曜日の夜、彼は多くの力強い割り込みや介入を行い、予想外の勝者となった。2021年1月6日の行動についての全候補者への質問が出されたが、これがペンスには予想外の追い風となった。

何人かのライヴァルたちは、程度の差はあったが、2020年の大統領選挙結果を証明し、それを覆そうとするトランプの圧力に耐えたペンスの行動に賛辞を送った。

他の場面では、ペンスの激しさ(特にヴィヴェック・ラマスワミに向けられたとき)が、この夜最も驚かされた要素だった。

討論会の序盤、ペンスは38歳のラマスワミに対して「今はオンザジョブトレーニング(on-the-job training OJT)をしている暇などない。ずぶの新人を入れる必要はない」と述べた。

ペンスはまた、中絶反対派の有権者に対して、聖書の語句を引用しながら、自身の中絶に関する長年の記録を思い出させる場面もあった

ペンスは予備選で大きな難題に直面しており、とりわけ共和党有権者からの不支持率は他のどの候補者よりも高い。

しかし水曜日は、これまでの選挙戦で最高の夜となった。

●クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事(Former New Jersey Gov. Chris Christie

クリスティは、ラマスワミがステージ上で「お金で買われていないそして支払われていない(not bought and paid for)」唯一の候補者であると豪語した直後、水曜日の夜で最もクリーンなショットを決めた。

憤慨したクリスティは、「今夜はもう、ChatGPTみたいな奴にはうんざりなんだ」と言い返した。

このセリフでクリスティは、約8年前に同様の討論会でフロリダ州選出のマルコ・ルビオ連邦上院議員を攻撃した時と同じように、ラマスワミの弱点を見つけたのかもしれない。

クリスティは当然のことながら、トランプとの違いも強調した。

彼は今回の選挙で最も反トランプ姿勢を明確に示している候補者であり、この事実自体が、彼の敗北をほぼ確実なものにしている。

トランプの複数の起訴について、クリスティは、人々がトランプ前大統領の行為を犯罪だと信じるかどうかにかかわらず、「誰かがこの行為を常態化させるのを止めなければならない、分かるか?」と述べた。

共和党支持層の大部分はクリスティの発言を嫌うだろう。しかし、ディベートの技術という点では、今回のステージで最も印象的なパフォーマンスだっただろう。

●フォックス・ニューズの司会者たち(Fox News’s moderators

フォックス・ニューズは様々なプレッシャーを受けながら討論会を行った。

4月にドミニオン・ヴォーティング・システムズと名誉棄損に関して、7億8700万ドルで和解したのは記憶に新しい。タッカー・カールソンの降板は、多くの視聴者を落胆させた。ドナルド・トランプは、フォックス・ニューズに対しても断続的に砲火を浴びせ続けている。

しかしフォックスは、討論会の共同司会者ブレット・ベイヤーとマーサ・マッカラムの働きによって、水曜日は良い夜を過ごすことができた。

ベイヤーとマッカラムのコンビは適当だと判断される場合には、候補者たちの衝突を許容しながら、討論会の進行全体をコントロールし続けた。ある場面では、ベイヤーは過剰な反応をする聴衆たちの方を振り向いて、そうした行動を諫めることもあった。

更に重要なことは、ペンス元副大統領と1月6日の連邦議事堂進入事件との関係、ウクライナ問題、妊娠中絶問題に関して、2人の巧妙な質問によって、明確な答えが導き出されたことだ。

●ニッキー・ヘイリー元米国連大使(Former United Nations Ambassador Nikki Haley

討論会の印象は、人々の記憶に残る瞬間によって決まることが多い。

この基準に当てはめると、ヘイリーは討論会の夜を素晴らしく過ごしたことになる。

彼女は中絶(abortion)に関してライヴァルたちとは異なる立場を主張し、連邦政府による妊娠初期での中絶禁止や「これほど個人的なこと」の決定における最高裁判所判事の役割について懐疑的な姿勢を表明した。

ヘイリーはトランプを「アメリカで最も嫌われている政治家(the most disliked politician in America)」と明確に指摘し、彼を先頭にしては共和党の勝利など望めないと主張した。

しかし、彼女にとっての唯一にして最大の瞬間は、ウクライナへの資金提供に対する起業家ラマスワミの深い懐疑に対して激怒した瞬間であった。

彼女はロシアのウラジーミル・プーティン大統領に言及しながら、「この男は殺人者であり、あなたは親米国であるウクライナよりも殺人者を選んでいるのだ」とラマスワミに言い放った。

ラマスワミが弁明しようとすると、ヘイリーは更に圧力をかけた。「あなたには外交政策の経験がない。それが良く出ている」とヘイリーはラマスワミに述べた。

■勝ち負けがはっきりしない(Mixed

●ヴィヴェック・ラマスワミ(Vivek Ramaswamy

ラマスワミが、最も意見が分かれるであろう候補者であることは、ほぼ間違いないところだ。

ラマスワミの支持者たちが、彼が輝いていたと主張する理由は簡単だ。彼は明らかに異質であり、激しい言葉の暴力に耐え、新しい若い世代の感性にユニークにマッチした候補者である。

ラマスワミが他の候補者たちに狙われた度合いも、彼が与える脅威の大きさに比例したものである。

しかし、特にウクライナ問題や、大統領に選出されたらトランプの前科をすべて赦免するという馬鹿げた約束など、浅はかさも感じられた。

彼の全体的な態度にも疑問符がつく。彼のファンが自信と明晰さとみなす特徴は、自己満足と口先だけのように感じられる。

ラマスワミは、このような大勢の聴衆の前で自分を知らしめることができたという一点で、世論調査の数字が上昇することにつながるかもしれない。

しかし、彼の弱点もまた大きく暴露されることになった。

■敗者たち

●フロリダ州知事ロン・デサンティス(Florida Gov. Ron DeSantis

デサンティスはミルウォーキーで大きな一夜を過ごす必要があった。しかし、それは叶わなかった。

フロリダ州知事デサンティスは明らかな失言をした訳ではなかった。しかし、素晴らしい瞬間があった訳でもなく、更に重要なのは、どの場面でも討論会で自分を押し出すことができなかったことだ。

長い時間、デサンティスは討論会の背景の中に溶け込んでしまっていた。

これは非常に大きな問題だ。何故なら、デサンティスの選挙キャンペーンは、「自分がトランプに代わる唯一の候補者であること」を前提にしているからだ。

デサンティス候補の選挙戦はスタート時点から下降線をたどっており、水曜夜のリハーサルを重ねすぎたように見えたパフォーマンスによって、その流れが変えられるなどとは考えられない。

●ティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出)(Sen. Tim Scott (S.C.)

共和党予備選挙候補者の中には、トランプ、デサンティス、そして台頭著しいラマスワミに次ぐ、明確な第2集団がすでに存在する。そこにはペンス、ヘイリー、スコットが含まれている。

スコットは、この3人の中で最も印象を残せない夜を過ごした。サウスカロライナ州選出の連邦上院議員は多くの共和党員や支持者に好かれているが、彼の控えめな愛想の良さは論争の多い討論会には不向きだ。

スコットは、クリスティとラマスワミの口論に割って入り、次のように主張した。「子供じみたやりとりで行ったり来たりするのは、アメリカ国民のためにはならない」。

しかし、討論会のほとんどの時間で、スコットはインパクトに欠けていた。

また、ヘイリーの存在はスコットにとって危険だ。選挙戦を進めるにあたって、非常に重要な地元州をヘイリーとスコットが共有するなど、2人の共通点を考えれば、両候補が長期的に見て成功する余地はないということになるだろう。

●ノースダコタ州知事ダグ・バーガムとアサ・ハッチンソン元アーカンソー州知事(North Dakota Gov. Doug Burgum and former Arkansas Gov. Asa Hutchinson

世論調査で下位に沈んだ2人の候補者にとっては、ステージの端っこで立ち往生する厳しい夜になることはあらかじめ目に見えていた。

両者共にブレイクする瞬間はなかった。

バーガムに関する最大の注目は、討論会当日にバスケットボールをしてケガをしてしまい、病院に運ばれた彼がステージに立てるかどうかということだった。

ハッチンソンはいつものようにトランプ批判を展開し、憲法修正第14条が「反乱や反乱を起こした者が大統領になることを禁じている」ことから、この条文は、ドナルド前大統領の再出馬を禁じている可能性があるとまで発言した。

この発言に対して聴衆からのブーイングを受けた。

それでも、バーガムとハッチンソンが直面している最大の疑問は、いかにして自分たちの存在をアピールするかということだ。

両者共に、水曜日の討論会ではこの疑問に対する回答を見えることができなかった。

=====

第1回の共和党討論会の後、トランプはラマスワミを称賛(Trump praises Ramaswamy after first GOP debate

キャロライン・ヴァキール筆

2023年8月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4168687-trump-praises-ramaswamy-after-first-gop-debate/

ドナルド・トランプ前大統領は、バイオテクノロジー起業家ヴィヴェック・ラマスワミを賞賛した。共和党のミレニアル世代であるラマスワミは、第1回の米大統領選挙共和党予備選挙の候補者討論会でトランプを擁護した。

「この回答は、ヴィヴェック・ラマスワミに大勝利をもたらした。それは、TRUTH(真実)と呼ばれるものであったからだ。ありがとう、ヴィヴェック!」。トランプは木曜日の早朝、自身のプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。

トランプは、38歳の共和党候補ラマスワミが第1回討論会で、「トランプ大統領は、21世紀最高の大統領だったと思う」と発言したラマスワミの発言のクリップを掲載した。

マイク・ペンス元副大統領、ニッキー・ヘイリー元米国連大使、クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事などの候補者たちが共和党の新進気鋭の候補者であるラマスワミにジャブを浴びせたが、ラマスワミは水曜夜の討論会で注目の的となった。

クリスティは討論会において、トランプを追及した。トランプは、フォックス・ニューズと共和党全国委員会(RNC)が開催した討論会には出席せず、代わりに元フォックス・ニューズの司会者タッカー・カールソンとの録画済みインタヴューを公開した。結果として、トランプは、フォックス・ニューズと共和党全国委員会(RNC)を冷たくあしらうことになった。そうしたトランプ元大統領を討論会で擁護した唯一の候補者は、ラマスワミだった。

「重要な結論はこうだ。誰かがこのような行為が常態化するのを止めなければならない。理解できるだろうか? さて、刑事告発が正しい、もしくは間違っている、どちらを信じるにしても、この行為はアメリカ大統領にふさわしくない」。クリスティは討論会で、司会者たちから、法的な問題があるにせよ、トランプを党の大統領選挙候補者として支持するかどうかいついて発言を躊躇する理由を問われて、このように答えた。

ラマスワミは「私もこの議題について入って、質問に答えたい。本当のことを言いますよ?トランプ大統領は、21世紀最高の大統領だったと確信します」と述べた。

=====

ウクライナをめぐる共和党の論争が舞台へ(The GOP’s Debate on Ukraine Takes Center Stage

-トランプ大統領がいない状況ではあるが、共和党の外交政策における最大の争点はウクライナである。

ジャック・ディッチ筆

2023年8月24日

『フォーリン・ポリシー』誌

By Jack Detsch

https://foreignpolicy.com/2023/08/24/republicans-united-states-gop-debate-foreign-policy-ukraine/?tpcc=recirc_latest062921

ドナルド・トランプ前米大統領は、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催された共和党の2024年米大統領予備選の第1回討論会に出席しなかった。しかし、トランプが初めて大統領選に出馬した時と同じように、水曜日の夜、ステージに上がった候補者たちの中で、外交政策のサンドバッグ(punching bag)となったのは造反候補者だった。

フォックス・ニューズの司会者たちは、トランプが直面している数ある法的問題のどれかで有罪判決を受けた場合、前大統領を共和党候補として支持するかどうか候補者たちに質問し、トランプの不在が中心的な話題となったが、水曜日の夜の基調は外交政策の違いによって決められた。対ロシア戦争におけるウクライナへのアメリカの支援をめぐる争いは、特に激しいものだった。

企業家のヴィヴェック・ラマスワミは、政治家としては新人だが、世論調査では下位集団から一貫して上昇し続けてきて3位まで上げてきた。この夜の討論会では、アメリカはウクライナに対する支援を止めるように訴えて、最初に大きな拍手を受けた。

ラマスワミは「私たちはロシアを更に中国の手の中に追いやることになる」と発言した。討論会に先立ち、ラマスワミは、モスクワが中国との関係を断つ代わりに、ロシアが軍事的に占領しているウクライナの一部地域の支配権を保持することをアメリカが許可するように求めていた。

ウクライナの反攻(counteroffensive)が停滞している状況で、キエフへの支持は共和党内の主要な争点となっている。先週、影響力のある保守系シンクタンクであるヘリテージ財団(Heritage Foundation)のトップの国防専門家が、ヘリテージ財団のケヴィン・ロバーツ会長が書いた論説に失望し幻滅したとして、財団を去った。論説の中でロバーツは、ハリケーン被害救済よりもウクライナ支援を優先する議員を非難した(この記事は、かつてツイッターとして知られていたソーシャルメディア「X」の公開ファクトチェックで人々からの憤慨を集めた)。

しかし、より主流の保守派の人々は、ラマスワミやロバーツらの主張は完全に間違っていると考えている。「ファウンデーション・フォ・ディフェンス・フォ・デモクラシーズ()」の上級研究員であるマーク・モンゴメリーは次のように述べている。「私の考えでは、ウクライナへの援助を贈り物や慈善事業のように扱うことはできない。これはアメリカの国益に関わることだ。苦境に立たされた民主政体国家に対する、攻撃的な権威主義的行動には、摩擦(衝突)が起きている時点で立ち向かわなければならず、一歩下がって、次のラインで何かをするということはあり得ない」。

ラマスワミの立場は、水曜日のステージで共和党の他の候補者たちとも対立することになった。候補者たちのほとんどは、ウクライナ人にアメリカの銃を提供することで、アメリカは利益を得ており、それによってロシア軍を弱体化させることができると考えている。

「次はわれわれの番だ」とクリス・クリスティ前ニュージャージー州知事は「次は私たちの番だ」語った。マイク・ペンス前副大統領は、ラマスワミへの攻撃が続く中、ロナルド・レーガンの「強さによる平和(peace through strength)」という言葉に注意を向けさせようとし、ラマスワミが「地球上で最も偉大な国家をかなり小さく見ている(pretty small view of the greatest nation on earth)」と罵った。

ニッキー・ヘイリー前サウスカロライナ州知事から、政治的新人ラマスワミはプーティンという人殺しの味方をしようとしていると非難された。ラマスワミは、ステージの他の人々を、防衛産業に従順なジョージ・W・ブッシュ時代のネオコンたち(George W. Bush-era neoconservatives beholden to the defense industry)だと決めつけた。「ロッキード社かレイセオン社の役員になれるよう、幸運を祈ります」とヘイリーに向かって言った。

しかし、トランプ政権下で国連大使を務めたヘイリーはすぐに反撃した。ヘイリーは「あなたには外交政策の経験がなく、それが表れている」と発言し、この夜最大の拍手を受けた。

フロリダ州のロン・デサンティス知事は、自らを対中強硬派(China Hawk)に見せようと努力したが、一方でウクライナに関するやりとりの間はほぼ沈黙を守っていた。それでもデサンティスは、アメリカがウクライナを支援するためには、ヨーロッパ諸国の更なる支援を条件とすべきだと述べた。デサンティスは以前、ロシアによるウクライナへの全面侵攻(full-scale invasion)を「領土問題(territorial dispute)」と呼んだ。

ティム・スコットが麻薬フェンタニルの致命的な拡散を嘆いた後、デサンティスはメキシコの麻薬カルテルを外国のテロ組織として指定することを強く主張した。テロ組織指定によってアメリカは経済制裁を科すことが可能となる。でサンティスは更に、国境を越えてアメリカに麻薬を流す密売人たちを「冷たい死体(stone cold dead)」とすることを約束した。ペンスは、国防総省がメキシコ軍と提携してカルテルを討伐することを主張した。

国境問題や中国問題で、候補者たちの間での意見の一致が見られた。しかし、このような一地点はあったが、ウクライナについては大きな対立を隠れている。ペンスや他の共和党エスタブリッシュメント派が問題視していたのは、ウクライナへの軍事援助が約500億ドルにまで達しているが、この金額は多すぎるのではなく、小さすぎるということだった。

モンゴメリーは、「この問題に関して議論をしなければならないことは明らかだ。しかし、私が言いたいことは、ウクライナ支援に関する議論については、ウクライナへの支援継続を信じる人々が勝利すべきだということだ」と述べた。

※ジャック・ディッチ:『フォーリン・ポリシー』誌国防総省・国家安全保障担当記者。ツイッターアカウント:@JackDetsch

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 もう先週のことになってしまうが、アメリカ大統領選挙副大統領候補者討論会がユタ州の州都ソルトレイクシティのユタ大学のキャンパスで実施された。副大統領候補者討論会は1回だけの実施予定であり、この時だけが一対一の直接対決ということになった。

 共和党からは現職のマイク・ペンス副大統領、民主党からはカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が出席した。ペンス副大統領としては、トランプ大統領のサポート、1回目の大東島候補者討論会でのトランプ大統領が混乱を引き起こしたので、何とか低評価からの挽回を図ることが必要だった。ハリスと民主党側からすれば、既に大きなリードをしているので、ハリスが調子に乗って失言をしたり、変な態度を取ったりして批判のネタを与えないということが重要だった。

 副大統領候補者討論会はお互いに司会者からの質問に答えない場面が多かった。トランプは自分の言いたいことをまくしたてて荒々しく質問に答えなかったが、ペンスは静かに司会者からの質問に答えなかった。ハリスは笑顔で司会者とペンスを馬鹿にしながら質問に答えなかった。

しかし、お互いの発言を遮ることは少なかったということもあって秩序だった討論会のように見えた。ただ、私が実感したのは、「やっぱりハリスは人気が出なかったはずだ」ということだ。

考えてみれば、昨年から始まった大統領選挙民主党予備選挙で、ハリスは有力候補と考えられていた。その経歴や年齢、容姿からも支持が集まれば一気に大統領候補になるとも考えられていた。しかし、実際には全く人気が出ず、選挙戦から早々に撤退する羽目に陥ってしまった。討論会でのハリスの姿や言動からは、人間性の悪さが出てしまっていた。ペンスの(演技をしていただけかもしれないが)純朴そうなアメリカのおじさん、という姿が更にハリスの攻撃性や人を馬鹿にする態度を際立させることになった。

 エリートに対する反感、ということはアメリカで大きくなっている。日本でもそうなりつつあると私は感じている。ハリスはそのエリート臭と上から目線が出ないようにしなければ、所属する党の任期だけではなく、個人的な人気も必要となってくる、これからの大統領選挙で勝つことはないだろう。

 討論会の最後に司会者がアメリカの少女からどうして政治家同士が激しく罵り合い、いがみ合うのかという趣旨の質問があったことを紹介して、両候補者に答えを求めた。ペンスは激しく言い合うのは国のためを思ってのことで、それが終われば仲良くやっているし、またそうでなければならない、と答え、ハリスはそうした分裂をしないために、バイデンは出馬した、と最後までバイデンの宣伝に努めた。最後の質問に関しては、パン巣の方が素晴らしい答えだった、大統領選挙ということを離れての答えだった、と私は思う。ハリスは最後の最後まで大統領選挙にこだわり過ぎて、執着が過ぎて、見にくい姿を晒したと私は思う。

 大統領選挙候補者討論会の第2回目は中止となった。開かれていれば明後日にまた放送されていたことだろう。討論会についても考え物だ。お互いが言いたいことを言って相手の発言を聞かず、質問にも答えないという形式で何の意味があるだろう。また、それで説得される有権者がいるとも思えない。前回の大統領候補者討論会を見て、私は自分がアメリカ国民なら棄権するという選択もあるだろうなと思った。政治への関心がアメリカでも下がっていくということになるだろう。アメリカはデモクラシーの総本山と自負しているだろうし、それを世界中に広めなければという考えも根強いが、国内の惨状を俯瞰で見れば、すでに崩壊への道を歩き始めたということになる。

(貼り付けはじめ)

副大統領候補者討論会の5つのポイント(Five takeaways from the vice presidential debate

ナイオール・スタンジ筆

2020年10月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/520136-five-takeaways-from-the-vice-presidential-debate

ペンス副大統領とカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が水曜日の夜、ソルトレイクシティでただ1回の討論会のために顔を合わせた。

今回の対決はトランプ大統領とジョー・バイデン前副大統領との間の嵐のような1回目の討論会から8日後に行われた。

主要なポイントは何だったろうか?

(1)ハリスは自身の目的を達成した(Harris hit her goals

民主党側のコンビは世論調査で大量リードしている。従って、ペンス副大統領とは引き分けで、大きな失策さえなければハリスにとっては良い討論会だったということになる状況だった。

彼女はそれ以上のことをやり遂げた。

討論会の最初の数分間、トランプ政権の新型コロナウイルス感染拡大への対応を激しく非難した。ハリスは「我が国の歴史上、どの政権も侵さなかった最大の過ち」と表現した。

ハリスは医療制度など他の論点でもパンチを繰り出した。具体的にはトランプ大統領による軍人たちに対する侮辱と財政について攻撃した。

トランプ大統領の多額の負債について最近になって情報公開されたことについて、ハリスは次のように述べた。「アメリカ合衆国大統領であり軍の最高司令官が借金を持っているということを知るのは良いことです。なぜならアメリカ国民には、大統領の決断に影響を与えているものについて知る権利を持っているからです」。

ハリスのパフォーマンスは完璧ではなかった。ハリスは、トランプ大統領が指名したエイミー・コニー・バレットが承認を得ることに成功した場合には、彼女とバイデンが当選した後で、連邦最高裁の定数を増やすかどうかという質問について、全く答えなかった。

しかし、全体を通して、ハリスは、完全な負けを喫しないことが必要であったことを考えると、勝利したと評価できる。

(2)ペンスは自身の仕事を行った(Pence did his job

ペンス副大統領はトランプ大統領よりも極めて正統な政治家である。彼は水曜日の夜にそのことを改めて示した。

副大統領になる前には、自分自身のラジオ番組を持っていたペンスは討論会参加者として力を持っている人物だ。そして、割り込むようなことをする人物ではない。これらのことは、4年前に証明されている。この時はヒラリー・クリントンの副大統領候補者だったティム・ケイン連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)が相手だった。

水曜日の討論会で、ペンス副大統領はトランプ大統領の経済政策について説明し、支持を得る方向に進めることができた。ペンス副大統領は通常運転のトランプ大統領よりも、説明が上手くかつ人々を説得する話し方ができる人だ。ペンス副大統領はいくらかの共感を示すこともできる人であり、共感を示すという点はトランプ大統領のウィークポイントだ。

ペンス副大統領に関しては、SNS上で持ち時間を超えて話していたこととハリスの発言に割り込んだことがあったことで批判を受けていた。しかし、ペンス副大統領もまた大きな失策を犯すことはなかったし、時にハリスを守勢に回らせることに成功した。

ペンス副大統領は老練なパフォーマンスを行った。しかし、トランプ大統領が勝利をするためにどうしても必要な新しい支持者の獲得ということはできなかった。

(3)質問に答えないことが多くあった(Whole lotta dodging going on

候補者2人は多くの質問に答えず、そこから派生した議論は行われなかった。

具体例はたくさんある。その一つは、ペンスがトランプ政権のオバマケアを廃止する試みについて質問された時だ。ペンスはこの質問に対して彼自身の中絶反対の信念について語り、バイデンとハリスが連邦最高裁判所の定員を増やすのかについて質問した。ハリスも自分の番になってオバマケアについての質問を避けた。

ペンス副大統領はこのほかにも複数の質問に答えなかった。トランプ大統領の健康状態についての透明性をアメリカ国民は持つべきか、トランプ大統領が落選して権力を移譲する際に平和的に行わないということになったら、ペンス副大統領はどうするかという質問には答えなかった。

討論会の司会者であるスーザン・ペイジは、候補者たちにきちんと質問に答えるようにさせなかったということで批判を受けている。

(4)例のあのハエが勝利した(The fly won

討論会の夜に最も人々の関心を集めた瞬間は疑いなくあの瞬間だった。

討論会の後半、一匹のハエがペンス副大統領の頭にとまった。そしてしばらくの間、そこにとどまった。副大統領は何の反応も示さなかったが、ツイッターは反応した。

いくつものツイッターのアカウントで早速、ハエの考えていることを代弁して核ということが行われた。

バイデン選対は、献金のお願いに合わせて、ジョー・バイデンがハエたたきを持っている写真をツイッターに投稿した。民主党はまたインターネット上のアドレス「flywillvote.com」を登録した。このアドレスを打ち込むと、民主党全国委員会のウェブサイトに飛び、人々に投票のための登録を行うことを促すようになっている。

このハエは極めて暗い選挙戦の中でいささかの軽い休息となった。

ハエの出現は水曜日夜の討論会における最も興味深い出来事の一つとなった。しかし、そのことが示しているのは、水曜日の討論会がいかにありふれたものであったか、特に先週のトランプとバイデンとの間の討論会と比べて平凡なものであったかを示すものである。

(5)ゲームの様相を変えることはできなかった(No game changer

水曜日夜、人々は標準的な、高いレヴェルの政治的な討論会を目撃した。どちらの候補者たちとも相手をノックアウトできなかった。どちらの候補者ともにキャリアを傷つけるような酷い失言をしなかった。

最終的な結果としては、新型コロナウイルス感染拡大、経済、トランプ大統領の衝突と軋轢を生み出す性格といった様々な大きな問題に特徴づけられている選挙戦において、今回の討論会は無視できる程度の影響しか与えなかったということである。

民主党側は選挙戦の様相が変わらないことで利益を得る。

しかし、全ての前例と予測がことごとく覆されている年の中で、次に何が起きるかを分かっている人などいるだろうか?

=====

世論調査:過半数が副大統領候補者討論会ではハリスがペンスに勝利したと考えている(Poll: Majority believe Harris won VP debate against Pence

ジョン・バウデン筆

2020年10月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/520162-poll-majority-believe-harris-won-vp-debate-against-pence

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)とペンス福大東慮との間で行われた、水曜日の副大統領候補者討論会を視聴した有権者のうち、10人中6人が、ハリスがペンスを上回ったという印象を持ったことが世論調査の結果で明らかとなった。

CNNSRSS社は、登録済み有権者で水曜日の討論会を視聴した人たちに対して共同世論調査を実施した。59%の人々が討論会の檀上でハリスが上手に討論を行ったと答え、38%がペンスの方がうまかったと答えた。

今回の副大統領候補者討論会に対する認識は性別で分かれている。女性の討論会視聴者の69%が「ハリスが勝利した」と答えた。30%が「ペンスが勝利した」と答えた。男性視聴者の48%が「ハリスの方が上手くやった」と答え、46%が「ペンスの方が上手くやった」と答えた。

CNNの調査によると、視聴者の多くは民主党を支持するようになっているが、討論会の前後での支持率を調べてみると、ハリス副大統領の支持率は41%のままで、ハリスの支持率は56%から63%に上がった。

視聴者の55%が今回の討論会の結果が投票に影響を与えることはないと答えた。討論会の結果が影響を与えると答えた視聴者の過半数は、討論会の結果を受けて、ハリスのランニングメイトであるジョー・バイデン前副大統領(民主党)に投票することになるだろうと示唆した。

CNNSRSS社の共同世論調査は登録済み有権者609名を対象に、討論会直後に実施された。誤差は5.3ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大はアメリカと中国の争いの最前線となっている。アメリカは「中国が初期対応を誤ったために世界中に感染拡大してしまった、責任を取れ」「国際調査団に中国のウイルス学研究所の徹底調査をさせろ」ということを主張している。中国政府は新型コロナウイルスが実験室などで人の手によって造られたものではないと主張し、また、中国が発祥ということはないと反発している。

 「新型コロナウイルスはアメリカが作った、いやいや中国が作った」という討論がずっと続いている。そうした中で、アメリカのドナルド・トランプ大統領とトランプ政権は中国に対して厳しい姿勢を維持している。その急先鋒は、マイク・ポンぺオ国務長官だ。ポンぺオ国務長官は最近になってトーンダウンしたが、「新型コロナウイルス発祥は中国だという証拠はたくさんある」と述べ、世界的な感染拡大の責任は中国にあると述べてきた。

 2020年5月24日の段階で、世界中で約540万の感染者、死者数が34万3000、回復者数が約225万となっている。アメリカは感染者数約167万、死者数が約9万8000、回復者数が約45万となっている。日本は感染者数約1万6500、死者数は808、回復者数は約1万3000となっている。アメリカは感染者数、死者数で世界の約30%を占めている。新型コロナウイルスは今年初めには中国、特に武漢市で猛威を振るったが、今や欧米、特にアメリカで猛威を振るっていると言ことになる。トランプ政権の初期対応の誤りによってアメリカが最大の感染者数年者数を出すということになったという批判もなされている。そうした批判をかわすためにもトランプ政権としては、中国に責任を押しつけたいということになる。

 マイク・ポンぺオという人物が中央政界で知られるようになったのは、2010年の連邦下院議員選挙からだ。2008年にバラク・オバマが大統領選挙で勝利した直後から、アメリカでは保守派の草の根運動としてティーパーティー運動が始まった。小さな政府を標榜し、国民皆保険を目指すオバマケアに反対する、「納税者」の運動を展開した。この運動の資金源は、世界的な大富豪であるコーク兄弟であった。ポンぺオはティーパーティー運動に参加し、2010年の中間選挙で連邦下院議員に当選した。その後、4期連続で当選した。トランプ政権のマイク・ペンス副大統領とポンぺオ国務長官はそれぞれ連邦下院議員の経験があるが、その時のスポンサーだったのはコーク兄弟だった。

 2016年の大統領選挙でドナルド・トランプが勝利を収めると、アメリカの情報・諜報機関CIAの長官に就任した。2018年にレックス・ティラーソンがトランプ大統領のツイッターでの書き込みによって解任された後、ポンぺオが国務長官に就任した。

 マイク・ポンぺオという人物はコーク兄弟の後ろ盾を受けて、中央政界に進出し、CIA長官を務め、現在は最重要閣僚である国務長官を務めている。ポンぺオはコーク兄弟の代理人だ、という記事もあったが、現状を見ればそれはとても甘い見方であったことが分かる。コーク兄弟をはじめとするリバータリアンは対外戦争に反対だ。しかし、ポンぺオの言動や行動はとても危なっかしい。中国やロシアとはいつでもやってやるぞという姿勢だし、トランプ大統領が始めた北朝鮮との直接交渉にしても、北朝鮮側から「ポンぺオ国務長官を外して欲しい」という要請をされてしまうほどだ。

 ポンぺオは複数の勢力とつながり、利用してここまでやってきたと考えることが妥当だろう。それはマイク・ペンス副大統領にも言えることだ。その勢力の中には、アメリカを対外戦争に引きずり込もうという勢力もある。表面ではネオコンや人道的介入派として出ている勢力であるが、その裏がどうなっているのか分からないが、かなり恐ろしい勢力がいるのではないかと私は考えている。トランプ政権は反中央政府、反ワシントン既成政治を旗印に誕生したが、更に一回り大きな勢力に利用されているのではないかと私は危惧を持っている。

(貼り付けはじめ)

●「沈黙のバットウーマン 武漢の研究者、コロナで先駆  米中対立の火種に」

2020/5/20   日経新聞   北京=多部田俊輔、編集委員 滝順一

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59338010Q0A520C2EA1000/

 中国の湖北省武漢市で世界で初めて感染が確認された新型コロナウイルスの発生源を巡って、米中の対立が止まらない。武漢ウイルス研究所が発生源だと主張する米国側に対し、中国側は「捏造(ねつぞう)」だと否定する。真相のカギを握るとみられているのが同研究所の石正麗氏だ。コウモリ由来のウイルス研究者の石氏は「バットウーマン(コウモリ女)」の異名も持つが、このところ動静が途絶えている。

「石氏が家族とともに1千ページに及ぶ秘密文書を持って欧州に逃亡した」。5月はじめ、武漢研究所「発生源」説がくすぶる中、こんな情報が米欧を駆け巡った。すぐに中国メディアは石氏が中国のSNS(交流サイト)に「国を裏切り亡命したとのデマはありえない」と投稿したと報じ、亡命説を否定。しかし石氏は表に出てこない。

「新型コロナウイルスは自然が人類に与えた懲罰であり、自分の命をかけて研究所か

らの流出はない」。石氏は2月初旬に中国のSNSで友人らにこのような趣旨の投稿をしてから、新型コロナの発生源に関して発言を控えている。

石氏は1964年生まれ。大学で遺伝学を学んだ後、政府直属の最高研究機関「中国科学院」傘下の武漢ウイルス研究所に入った。医学などの研究で名門とされる仏モンペリエ大学で2000年にウイルス学の博士号を取得し、武漢に戻った。

石氏が有名になったのは0203年に中国で流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の発生源究明での実績だ。各地の洞窟で野生コウモリを捕まえて体液を分析し、SARSウイルスの起源がコウモリだと証明した。13年に英科学誌ネイチャーで発表し、「バットウーマン」と呼ばれるきっかけにもなった。

15年には今回の新型コロナを予言したともいえる研究成果も、米ノースカロライナ大学のラルフ・バリク教授と共同で公表していた。バリク氏はコロナウイルス研究の第一人者。2人はコウモリのコロナウイルスが変異すると、SARSウイルスの治療薬が効かない新種のウイルスが生まれる恐れがあると、ネイチャー姉妹誌で公表した。

さらに石氏らの研究チームは1月に湖北省政府から新型コロナの研究を命じられると、22月初旬にいち早く、新型コロナもコウモリ由来の可能性が高いと発表していた。

一方、トランプ米大統領やポンペオ米国務長官は武漢ウイルス研究所が新型コロナの発生源だと主張する。最も危険性の高い病原体を扱える「バイオセーフティーレベル(BSL―4」の施設で、最初に感染者が出たとされる野生動物を売買する市場からも約30キロしか離れていない。

米ワシントン・ポストによると、18年に同研究所を視察した米当局者が「コロナウイルスの研究をしているが安全対策が不十分」と警告する公電を米国へ送っていた。ポンペオ氏は研究所の立ち入り検査を求めている。

ただウイルスが意図的に研究所から漏れたとみる専門家は少ない。米メディアによると、カリフォルニア大学の感染症専門家のジョナ・マゼット氏は新型コロナの感染が始まる前に「石氏の研究所には新型コロナウイルスはなかった」と指摘。武漢研究所が発生源だとする米政権の主張に反論する。実情を知る石氏は口を閉ざしたままだ。

大統領選を控えるトランプ政権は「中国たたき」が得票につながるとみて強硬姿勢に傾く。習近平(シー・ジンピン)指導部はポンペオ氏を標的に「人類共通の敵」などと対米批判を繰り返す一方、国内では研究者を含めた情報統制を強める。

「共産党の指導が厳しく愛国的なテーマを掲げないと研究が難しくなっている」。中国の有力大学で教える外国人専門家は漏らす。関係者によると、新型コロナも研究者らが自由に発信することは許されない。コロナ禍の克服には変異を繰り返しながら感染を広げるウイルスの正体を突き止めることが必要だ。中国の情報開示が問われている。

(北京=多部田俊輔、編集委員 滝順一)

=====

●「ポンペオ氏、新型コロナ発生源は「不明」 武漢研究所説から転換」

2020.05.18 Mon posted at 10:15 JST CNN

https://www.cnn.co.jp/usa/35153896.html

ワシントン(CNN) ポンペオ米国務長官は新型コロナウイルスが中国・武漢のウイルス研究所から発生したとの説から方向転換し、発生源は不明との立場を示した。米ニュースサイト、ブライトバートが16日に配信したインタビューの中で語った。

ポンペオ氏はこの中で、新型ウイルスの発生源を特定するため、支援チームの派遣を繰り返し要請してきたと述べた。

同氏はまた、ワクチン開発に取り組む研究者らにとって、発生源を知ることは重要な「鍵」になると強調。そのうえで中国の対応は透明性を欠くと改めて非難し、米国による制裁の可能性に言及した。

ただし制裁の具体的な手段については、トランプ大統領が十分な説明を受けたうえで決断を下すことを望むと述べた。

ポンペオ氏はこれまで、新型ウイルスが武漢のウイルス研究所から発生したと主張。今月初めのインタビューでは「大量の証拠」があると述べたが、その後「確信はない」と軌道修正していた。

トランプ氏も同様に「証拠を見たことがある」と主張したが、研究者らや国際情報共有網からは「可能性は極めて低い」との見解が出され、米情報機関は両方の可能性を検討中と述べていた。

中国政府は研究所説を、トランプ氏の再選に向けた中傷作戦だと批判している。

=====

ポンぺオ国務長官が険悪な雰囲気の記者会見の中で武漢の実験室をめぐる主張を擁護した(Pompeo defends Wuhan lab claims in combative press conference

ロウラ・ケリー筆

2020年5月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/496356-pompeo-defends-wuhan-lab-claims-in-combative-press-conference

マイク・ポンぺオ国務長官は水曜日、記者たちと言い争いを行った。中国のある実験室から新型コロナウイルスの感染拡大が始まったのかどうかという疑問についてやり合った。こうした主張は情報諜報機関の幹部や衛生の専門家たちから否定されている。

ポンぺオはBBCの記者バーバラ・プレット・アッシャーからのウイルスの起源に関する諜報について質問に対して次のように答えた。「バーバラ、バーバラ、いったん落ち着きましょう。」

Your efforts to try and find — just to spend your whole life trying to drive a little wedge between senior American officials … it's just false,”

ポンぺオは、中国の武漢ウイルス学研究所でウイルスに接したことで新型コロナウイルスの感染が始まったという理論を主張している。中国の武漢ウイルス学研究所である科学者がウイルスに接触したことが始まりという話だ。こうした主張を基にして、アメリカ政府は感染拡大に関して中国政府が国際的な調査団による中国国内の調査を許可すること、世界規模の拡大に責任を取ることを求めている。

ポンぺオは日曜日に行ったあるインタヴューの中で、「武漢という中国の都市にあるある実験室からウイルスが流出したことを示す“多くの証拠”が存在する」と述べた。しかし、この発言に対しては政府高官と衛生の専門家たちから否定されている。

米統合参謀本部議長であるマーク・ミリー大将は火曜日、ウイルスの発生は自然なものであり、実験室から偶然にもしくは意図的に流出したことを示す「決定的な証拠」は存在しないと述べた。

世界的な科学者たちの合意は、今回の新型コロナウイルスはある動物の中に発生して、人間に感染したというものだ。アメリカ国立アレルギー・感染症研究所所長でホワイトハウスの対コロナウイルスのタスクフォースの主要メンバーであるアンソニー・ファウチは、ウイルスはある実験室から流出したものという主張を否定し、この疾病は野生から出てきたと述べた。

国務省は「多くの証拠」を肯定する新しい情報を得ているのかと問われ、ポンぺオは、アメリカ政府はウイルスがある実験室から発生したのかどうか、そして証拠があるのかどうかについて関知していないと答えた。

ポンぺオ国務長官は「これらの噺はどちらも全体として首尾一貫しています」と述べた。

ポンぺオは次のように述べた。「あなたが分からないことについて私も確実なことは何も言えないのですよ。新型コロナウイルスがある実験室から発生したという主張には確実性はなく、明らかな証拠もありません。ウイルス発生の起源と証拠についてのアメリカ政府の声明はどちらも正しい可能性があります。渡したこれら2つの主張を行います。政権幹部も同様に2つの主張を行います。これらはすべて真実です」。

先週、アメリカの情報機関の幹部たちは公開声明を発表した。これは極めて珍しいことだ。この声明の中で、幹部たちは今回の新型コロナウイルスはある動物の中で発生したという世界的な科学者たちの合意に同意したが、ある実験室での事故で発生した結果であるのかどうかについて調査を継続しなければならないと主張した。

中国は昨年12月末に世界保健機関(WHO)に対して肺炎の「奇妙な」ケースの発生を報告した。そして同時に、武漢市の海鮮市場での販売員と消費者のクラスターが発生したとも報告した。

=====

中国との言論戦の中で、ポンぺオが先鋒として登場(Pompeo Emerges as Point Man in War of Words With China

―ポンぺオを批判する人々は、ポンぺオは感染拡大に対する世界規模での対応のために強調するよりも中国攻撃に狂奔していると述べている。ポンぺオを支持する人々は、ポンぺオは中国の責任追及をしているのだと述べている。

ロビー・グラマー筆

2020年5月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2020/05/01/coronavirus-trump-pandemic-pompeo-attack-china/

最近の数週間、マイク・ポンぺオ米国務長官は、トランプ政権の強硬な対中国戦略の顔として出てきている。コロナウイルス感染拡大に関して中国非難のメッセージの拡散のために保守系メディアに依存している。多くのフォックスニュースや保守系のラジオのトークショーで中国叩きが行われており、ポンぺオはそれらに依存している。

ポンぺオはダン・“オックス”・オクスナーに対して「私たちの姿勢は明確であり、それは中国共産党は特別の責任を負っているというものだ」と述べた。オクスナーは保守系のラジオのトークショーの司会者であり、ポンぺオは木曜日だけでこうしたラジオのトークショー4番組に出演した。その中にオクスナーの番組も含まれていた。「このウイルスは武漢で発生しました。中国は世界とデータ、情報を共有する特別な責任を持っています。そして、透明性を確保する必要があります」。

外交分野以外の人々と元外交官たちにとっては、ポンぺオ国務長官のメディアを使った大規模な宣伝によって保守派の人気を高めている。これはドナルド・トランプ大統領の支持基盤を活性化するように見える。感染拡大によるロックダウンによって世界経済は減退し、アメリカ国内の失業数は急増している。このような状態の中で、保守派の活性化は2020年の選挙にとって重要である。批判者たちは、ポンぺオ国務長官が感染拡大に対する世界的な反応を協調させることではなく、政権による攻撃の急先鋒になっていると述べている。ポンぺオ国務長官の支持者たちはこうした批判を党派性の強い情報操作(spin)に過ぎないとしている。

中国はポンぺオ国務長官に反撃をしている。先週、中国は国営メディアを使って、通常では考えられない規模で個人攻撃を行った。この時、中国政府は、「中国がウイルスの感染拡大の初期段階で対応を誤り、世界規模で感染が拡大した」というアメリカからの批判をかわそうと躍起になっていた。中国共産党機関紙『人民日報』紙のある論説には次のような一節があった。「ポンぺオのような政治家の頭の中には、偏見、憎悪、個人の利益しか存在しない。ポンぺオの発言や行動は人々を困惑させている。そのようないじめと荒唐無稽な発言で“アメリカを再び偉大にできる”などと彼は考えているのか、と」。

今年の4月だけで、ポンぺオ国務長官は90以上のアメリカ国内と外国の報道機関のインタヴューに応じた。これは感染拡大初期と比べると大きな変化である。4月、ポンぺオ国務長官は米国務省内でほぼ定期的な記者会見も開いていた。様々な報道機関からの記者たちが彼に質問をすることができる機会だ。加えて、国務省は、感染拡大やその他の問題についての国務省の対応について、国務省の幹部職員たちにほぼ毎日電話でのブリーフィングを行ってきた。

外交官出身者の中には、ポンぺオ国務長官が特定の政治的志向を持つ選ばれた国内の聴衆に集中し過ぎていると批判している。ポンぺオ国務長官が一対一のインタヴューやトークショーに出演しているが、その多くは保守系メディアである。国務省は一般の人々にも利用できるように、ポンぺオと報道機関のインタヴューの文字起こしを発表している。複数の元外交官たちは本誌の取材に対して、ポンぺオ国務長官がトランプを擁護しているメディアにこだわっているのは、こうしたメディアにばかり出ることで、厳しい質問を受けることがないからだ。また、外国メディアからのインタヴュー受ける代わりに保守系メディアのインタヴューを受けている。外国メディアの取材に応じることは、アメリカの政策について諸外国の人々により良く説明する機会となるがそれを放棄している。

職業外交官出身で、バラク・オバマ大統領時代のホワイトハウスで国際社会関与担当の部長を務めたブレット。ブラエンは次のように述べた。「ポンぺオ国務長官は、トランプ政権が採用している政策の理由について世界とコミュニケーションするためにほとんど時間を使っていません。彼は、国務長官の役割をより党派性の強いものにしてしまいました。歴史的に見て、国務長官は争いから超然としていようとしてきました。私が現在の政権の政策に同意できないにしても、国務長官の仕事は、世界各国のメディアに対して、アメリカ政府の政策の正当性を説明することであり、そのために最前線に立つことなのです」。

アメリカ国務省は、感染拡大によって民間航空のキャンセルが相次ぎ、渡航禁止などを実施する外国が増えている中で、海外で足止め状態になっている数万単位のアメリカ国民の帰国というこれまでにない仕事を実行しなければならなくなっている。そうした中で、ポンぺオ国務長官は国内のメディアにばかり登場しているのはこれらの仕事の実行に役立たないと指摘している人々もいる。世界各国に置かれているアメリカ大使館と領事館は今年1月以降、これまでに7万人以上のアメリカ国民の帰国を援助している。国務省の幹部たちは、在外公館は民間航空とチャーター機を使ってアメリカ国民を帰国させていると述べている。

ポンぺオ国務長官がメディアに頻繁に登場しているのは、トランプ政権のより大枠の戦略である、中国が感染拡大への対応を誤ったのかどうかについての独立機関による調査を求めることとウイルスの起源について疑問が多く出ている中で国際機関による調査官たちに中国国内のウイルス研究施設の調査を許可するように中国政府に圧力をかけること、この2点に沿った動きなのである。トランプ政権はまた、世界保健機関(World Health OrganizationWHO)の世界的な感染拡大への対応における役割について非難している。WHOは中国からの圧力に屈ししていると攻撃している。トランプ政権を批判している人々は、政権が感染拡大に対する対応が遅れたことを隠すために批判を行っていると述べている。アメリカ国内では110万以上の感染者数を確認し、死者は約6万5000名に達している。

トランプ政権は、世界保健機関が中国の圧力に屈しているかを調査するために、しばらくの間予算供与を停止すると発表した。

民主党所属の連邦議員たちはこのような手段を批判している。彼らは、確かにWHOは失敗をしたが、アメリカからの支援を必要としている、と発言した。連邦上院少数派(民主党)院内総務チャック・シューマー連邦上院議員、連邦上院外交委員会で民主党側の最上位のメンバーであるボブ・メレンデス連邦上院議員、その他の連邦上院議員たちは4月20日付で書簡をポンぺオ国務長官に送付した。その中で次のように述べている。「感染拡大への対応と封じ込めに関しては複雑さを増している。そうした中で、国際的な対応を強調させるためには更なるアメリカの指導色が必要となる。WHOにおける中国の影響力の増大に対する解決策は、アメリカの指導力と関与であって、アメリカが不在となることではない」。

水曜日の記者会見でポンぺオは次のように述べた。「アメリカは世界保健機関に最大の資金提供を行っています。世界保健機関は目的達成に失敗しました。きちんとした結果を得るためにアメリカの納税者のお金をどのように使うべきかを把握するために調査を行っています。私たちは“健康(保健、health)”を名前につけているある故草木機関が実際に私たちが必要としている結果をもたらしていると言いつくろいながら、ウソをつくようなことをすべきではないのです」。

※ロビー・グラマー:『フォーリン・ポリシー』誌の外交と国家安全保障担当記者

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 ロイター通信がドナルド・トランプ大統領と民主党の大統領選挙候補者に内定しているジョー・バイデン前副大統領に関する世論調査を実施した。五大湖周辺の「ラスト・ベルト(Rust Belt)」に属するミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルヴァニア州での世論調査を実施した。2016年の米大統領選挙ではこの3つの州で、トランプ大統領が予想外の勝利を収め、大統領に当選した。ラスト・ベルトは伝統的に工業地帯で、労働組合が強く、民主党の金城湯池であった。今回の大統領選挙でもこの3つの州は激戦州であり、民主党は奪還を目論んでいる。

rustbeltstatesmap001

ラスト・ベルトの地図

 今回の世論調査の結果は、3つの州ともバイデンがトランプをリードしているというものだった。しかし、その差は小さいものであり、接戦となっている。しかし、問題は、トランプ大統領は新型コロナウイルスとの戦いの最高司令官、「戦時大統領」であり、二期目を目指す現職なので、バイデンをリードしていなければならない立場にある。トランプ大統領は大美厳しい立場にある。

reutersipsosaprilthreerustbeltstatespolls001

 大統領選挙は選挙人の総取りであり、ペンシルヴァニア州には20名、ミシガン州には16名、ウィスコンシン州には10名が配分されている。合計すると46名だ。前回の大統領選挙ではトランプ大統領は306名、ヒラリー・クリントンが232名という結果だった。トランプ大統領がこの3つの州を失うということになれば選挙人の過半数270名に到達できないということになる。

 有権者の最大の関心事は新型コロナウイルス対策であり、次に経済問題、更には医療制度と続く。トランプ大統領としては、新型コロナウイルス感染拡大を止め、経済活動を再開させて、支持を取り戻さねばならない。しかし、その道筋はまだついていない。そもそもトランプ大統領はマイク・ペンス副大統領を責任者にしたはずだが、毎日の記者会見に臨むことになって、ペンスに責任転嫁したのに、それがうまくいっていない。

 ペンスもマイク・ポンぺオ国務長官もトランプ大統領の陰に隠れ目立たないようにしているが、時にメディアで話題になるのは対中強硬姿勢だ。トランプを隠れ蓑、盾(たて)として使いながらやりたい放題という感じだ。そもそもこの2人はジョージ・W・ブッシュ政権の副大統領だったディック・チェイニーに連なる人物たちで、一部では「まるでチェイニー政権ではないか」とまで言われている。

 バイデンは誰にでも良い顔をするし、何よりも民主党のグローバリスト系だ。連邦上院議員だった2003年にイラク戦争開戦に賛成票を投じたように、「アメリカの世界支配」は正当だと考える人物だ。トランプ政権内に、イラク戦争を副大統領として主導したチェイニー系がおり、民主党にはバイデンがいる。これではトランプ大統領は四面楚歌(しめんそか)の状態で、味方は娘のイヴァンカとイヴァンカの夫ジャレッド・クシャナーくらいということになる。

 トランプ大統領はアイソレーショニズム(国内問題解決優先主義)、「アメリカ・ファースト」を訴えて当選した。だからこの4年間、アメリカは大きな戦争をしなくて済んだ。しかし、それでは困る勢力がいる。それが共和党系ならばネオコン(Neoconservatives)、民主党系ならばヒラリーたちの介入主義派(Interventionism)である。軍産複合体とも呼ばれる人たちだ。民主党系は、昔はリベラル・ホークとも呼ばれていた。

 バラク・オバマ前大統領がいまだにバイデン支持を表明していない、という奇妙な事実も考え合わせると、トランプ大統領の再選を阻もうとしている勢力は民主、共和両党に幅広く存在しているのではないかと考えられる。

(貼り付けはじめ)

世論調査:バイデンは重要な3つのラスト・ベルトの州でリード(Biden leads in three crucial Rust Belt states: Poll

ザック・バドリック筆

2020年4月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign-polls/494241-biden-leads-in-three-crucial-midwestern-states-poll

水曜日に発表されたロイター通信の世論調査によると、3つの「ラスト・ベルト」に属する3つの州でジョー・バイデン前副大統領がトランプ大統領をリードしていることが明らかになった。これらの3つの州は2016年のトランプ大統領の勝利にとって重要な役割を果たした。

ロイター通信・イプソス社の世論調査の結果では、ミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルヴァニア州の登録済み有権者の45%がバイデン支持と答え、39%がトランプ支持と答えた。

各州の結果を見ると、バイデンはトランプ大統領に対して、ウィスコンシン州で3ポイント、ペンシルヴァニア州で6ポイント、ミシガン州で8ポイントの差をつけてリードしている。

別のロイター通信・イプソス社の全国規模の世論調査の結果によれば、バイデンはトランプ大統領に対して8ポイントの差をつけてリードしている。

今回の世論調査の結果では、3つ全ての州でトランプ大統領の支持率は不支持率を下回った。それでも支持率と不支持率の差は全国規模での差に比べて小さいものであった。ウィスコンシン州の登録済み有権者の47%がトランプ大統領を支持し、53%が不支持と答えた。一方、ペンシルヴァニア州では支持率は48%、不支持率は52%だった。ミシガン州では、支持率は44%、不支持率は56%だった。

3つの州全ての有権者の最大の懸念としてコロナウイルスの感染拡大を挙げた。3つの州の有権者の48%がコロナウイルスの感染拡大は自分たちの共同体において最重要の問題だと答えた。15%が経済を、12%が医療制度を、2%が移民制度を最重要の問題に挙げた。

トランプ大統領とバイデンは、誰がウイルスの感染拡大と経済後退に大勝するのに最適かという設問では接戦を演じている。有権者の50%がバイデンと答え、47%がこの仕事にはトランプ大統領が最適だと答えた。

3つの州の有権者の約47%はトランプ大統領の感染拡大への対処を支持すると答えた。一方で、67%はそれぞれが住む州の知事たちの対処を支持すると答えた。

イプソス社は、ミシガン州の登録済み有権者612名、ペンシルヴァニア州の登録済み有権者578名、ウィスコンシン州の登録済み有権者645名を対象に、4月15日から20日かけて世論調査を実施した。この世論調査の全体の結果の誤差は3ポイントで、各州の世論調査の結果では誤差は5ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 トランプ大統領はアメリカとメキシコの国境に壁を建設することを諦めていません。連邦上院では共和党が、連邦下院では民主党がそれぞれ過半数を握っている状況で、壁建設の予算を含めるつなぎ予算案を連邦上院が可決し、壁建設の予算を含めないつなぎ予算案を連邦下院がそれぞれ可決し、お互いに送り合っていますが、どちらも否決ということで、結果として一部政府機能が閉鎖となって2週間以上が経ちました。

 

 トランプ政権では、マイク・ペンス副大統領と、連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)と連邦上院少数派院内総務チャールズ・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)の補佐官たちが、連日交渉を持ち、落としどころを探っているようです。

 

 トランプ大統領は週末、大統領の公式別荘であるキャンプ・デイヴィッドで終日補佐官たちと会議を開き、その後、「コンクリート製ではなく、鋼鉄製の壁を建設する」という発表を行いました。「芸術的な外見で、より強靭な壁」を鋼鉄で作る、ということだそうです。

 

 民主党は壁建設そのものに反対しています。しかし、国境警備の装備や技術の向上には参政しています。トランプ大統領は壁建設のために50億ドルの予算を要求し、民主党側は壁建設には予算を投下せず、国境警備の装備や技術向上のために13億ドルの予算を計上しています。しかし、どちらも壁建設の立場を譲らず、膠着状態に陥り、一部政府機能の閉鎖が継続しています。

 

 アメリカ南部の国境は砂漠地帯が続き、そこには一部にフェンスや壁が既に建設されています。しかし、そのような人工物を乗りこえて不法移民が押し寄せているのが現状です。不法移民は、メキシコのカルテル(マフィア)にお金を払って入国の手引きをしてもらいます。多くの場合は既にアメリカにいる家族や親族がカルテルにお金を払います。その額は日本円で数十万円ですが、貧しい国の貧しい人々からしてみれば年間収入をはるかに超える大きな金額です。

 

 今資金が全額払えない場合には、人身売買の対象となり、男性は危険で厳しい仕事、女性は売春をさせられることになります。犯罪に加担させられることもあります。そうして、カルテルは人々を食いものにして肥え太っていきます。麻薬と人間で膨大なお金を稼ぎだしています。麻薬と安くて使い捨て出来る労働力の需要がアメリカ国内である限り、この動きは止められません。どんなに壁を作って、その壁を高くしようが、この流れを止めることはできません。その規模やスピードを小さく遅くすることはできるでしょうが。

 

 どんなに強固な壁が建設されてもカルテルはその裏をかく、壁自体に隙間を見つける、国境警備の公務員たちに賄賂を渡して見逃してもらう、などの方法を駆使して麻薬と人間をアメリカに送り続けるでしょう。壁が出来ればそれらにかかるコストが大きくなったということで、彼らが吹っ掛ける金額が大きくなるだけのことでしょう。

 

 アメリカの肉体労働の現場、危険な職場、きつい農園での作業は不法移民がいなければ成り立たないことになっています。そこを無視してただ壁だけを作って、しかも完全に流れを止めることが出来ないとなると、壁は無駄ということになります。

 

 この不法移民の問題に関しては、アメリカ国民の意識の変化というか、未来に対する怯えというものが根源にあるように思います。アメリカが勢いがあり、「帝国」として余裕がある頃は良かったのですが、アメリカの衰退というようなことが言われ出してから、アメリカの没落が、ローマ帝国と同じように、外国人の流入によって引き起こされるという考えが強まったように思います。帝国としての栄耀栄華が終わろうとしていることの怯え、そこから生まれる怒りがこのような矛盾に満ちた状況(不法移民には反対、しかし使い捨ての安い労働力として必要不可欠)を生み出している、ということになります。

 

 トランプ大統領と議会民主党執行部がどのような形で妥協するのか、ということになりますが、トランプ大統領は突っぱねるだけ突っぱねて、その間に相手との妥協点を探り、それと自分の要求の距離感を測り、まぁいいかというところが見つかったら、エイヤ、とあっさり自分の要求を引っ込めるということが出来る人です。その点は融通無碍で、今、強気の態度を示しながら、妥協点を見つけ出そうとしています。民主党執行部も何かの妥協や理屈を見つけ出そうとしています。

 

 日本では国会のねじれ状態ということについて批判も多いですが、確かに時間がかかることはマイナスかもしれませんが、アメリカでもこのようなことが起きており、しかも最後まで話し合い妥協点を探るという努力が続けられているということは評価されねばなりません。日本でもねじれ状態のある種評価できる面に光が当たって欲しいところです。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプ大統領は国境にコンクリート製の壁ではなく、鋼鉄製の壁を建設する計画を推進(Trump pushing for steel barrier instead of concrete wall at border

 

ブレット・サミュエルズ筆

2019年1月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/424080-trump-says-hes-pushing-for-steel-barrier-instead-of-concrete-wall-at

 

トランプ大統領は日曜日、トランプ政権はアメリカ南部の国境に沿って、コンクリート製ではなく鋼鉄製の壁(wall)を建設する計画を推進すると述べた。壁建設のために予算を巡る議論が平行線をたどり、そのために一部政府機能が閉鎖されているがこれに対しての、「素晴らしい解決策」だとトランプ大統領は語った。

 

トランプ大統領は土曜日を丸一日使い、キャンプ・デイヴィッド(米大統領の別荘施設)において補佐官たちと会議を行った。同日、マイク・ペンス副大統領は連邦議会民主党執行部の補佐官たちとの会談を行った。トランプ大統領の鋼鉄製の壁導入宣言は、これらの会談の後に発表された。トランプ大統領は、壁の材質の変更によって民主党側を宥めることが出来ると示唆したが、民主党は壁そのものに、効果の面から反対している。

 

トランプ大統領は、キャンプ・デイヴィッドから帰還してすぐに記者団に対して次ように述べた。「私たちは数多くの人々と連絡を取り、連携している。私はそうした人々に、私たちは鋼鉄製の壁を建設すると伝えた。鋼鉄製だ。壁は鋼鉄で作られる。外見上そこまで目立たないもので、より強力なものだ」。

 

トランプ大統領は、鋼鉄製にすることで、「より大きな強靭さを備える」ことになると述べ、民主党はコンクリート製の壁だから反対しているのだと示唆した。

 

トランプ大統領は「民主党側はコンクリート製が気に入らないのだ。だから、私たちは鋼鉄製の壁にすると言うつもりだ」と述べた。そして、鋼鉄製の壁は「美しく」、コンクリート製よりも「強靭だ」とも述べた。

 

トランプ大統領は日曜日のできるだけ早い時間にユナイテッド・ステイツ・スティール社をはじめとする各鉄鋼会社の経営幹部たちに連絡を取り、デザインについて研究するように連絡するつもりだと述べた。

 

日曜日の夕方、トランプ大統領はツイッター上で、彼の計画は鋼鉄製の壁に集中することになると述べた。ペンス副大統領とナンシー・ペロシ連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)と連邦上院少数党院内総務のチャールズ・シューマー(ニューヨーク州選出、民主党)の代理人たちとの間で「国境警備に関しての詳細な点」について「生産的な会談」が行われたとトランプ大統領は語った。

 

この会談について詳細を知っているある民主党関係者はトランプ大統領の会談に関する説明内容を否定し、「進展は何もなかった」と述べている。ホワイトハウスは、壁建設による予算増加を相殺するために国土安全保障省関係の予算を削減するということは提案していない。また、この関係者は、先週連邦下院で可決された、政府機能再開のための複数の予算と法律をトランプ大統領が支持することはない、とペンス副大統領が会談の中で示唆したとも述べた。

 

この関係者は、日曜日夕方にペンス副大統領と議会民主党の代理人たちとの会談が再び行われる予定はないとも語った。

 

ここ数週間、トランプ大統領はアメリカ・メキシコ国境に壁を建設する希望を巡り、言葉遣いを変化させてきた。トランプ大統領は複数回にわたり、構造物を「囲い(fencing)」と呼ぶことになり、「芸術的なデザイン」となるだろうと述べた。

 

民主党側は、壁建設に反対しているのは、道徳と効果の面が理由であるとこれまで述べてきた。連邦議会民主党は、壁建設を行っても不法移民の抑制にはつながらない、予算は国境警備の技術の発展に投下されるべきだと主張してきている。

 

トランプ大統領は壁建設に50億ドルの予算を要求し、民主党側はより国境警備の施策に対して13億ドルの予算を投じるが、壁建設には予算を投下しないと主張している。

 

トランプ大統領と連邦議会民主党側との間で合意がなされないことで、一部の政府機能が閉鎖され、この事態が16日間続き、これからも続くことになる。

 

ペンス副大統領は土曜日に続いて日曜日にも連邦議会民主党の代理人たちと国境警備について会談を持った。トランプ大統領は、今週ずっと「真剣な話し合い」が続けられることになると述べた。

 

トランプ大統領は日曜日にも、議会の承認を得ないで壁建設を進めるために国家非常事態宣言を発表することを考慮中だと繰り返した。この件について、民主、共和両党の連邦議員たちは批判している。民主党側はその宣言の合法性について疑義を呈している。

 

トランプ大統領は、国境警備に関する合意に含まれる可能性がある「ドリーマーズ(子供の頃に不法移民の親に連れられてアメリカにやってきた人々)」の保護に関して、冷や水を浴びせた。ドリーマーズは、若年移民に対する国外強制退去の延期措置(DACA)によって守られている。トランプ大統領は、DACAを撤回した。DACAによってアメリカに不法に連れられてきた子供たちが、強制送還の恐怖なしに、生活し、働くことができる。

 

トランプ大統領は、民主党側との合意を求める前に、DACAの合法性について連邦最高裁が最終的な判断を下すことを待ちたいと述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

価格:1,400円
(2018/3/9 10:43時点)
感想(0件)

ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

価格:1,836円
(2018/4/13 10:12時点)
感想(0件)





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ