古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:マイク・ポンぺオ

古村治彦です。

 

今回は、訪米した金英哲朝鮮労働党副委員長についての記事をご紹介します。

kimyongcholtrump001

 

金英哲は朝鮮労働党中央委員会副委員長や東一戦線部長を務めています。朝鮮人民軍では大将まで昇進し(一度は大将まで進みながら上将に降格されてしまいましたがまた昇進)、偵察総局長・副総参謀長を務めました。以下の記事にあるように、韓国海軍の艦船「天安」の沈没事件や南北の国境近くにある延坪島への砲撃事件に関与し、また、サイバー攻撃事件であるソニー・ピクチャーズへのハッキング事件にも関与しているとされています。

 

経歴を見ると、1946年生まれで、万景台革命学院、金日成軍事総合大学を卒業と出てきます。金英哲の両親は北朝鮮の成立や朝鮮戦争で国家に貢献したので、その子供として、北朝鮮の一番のエリートコースを進むことが出来たのだと思われます。世代としては、金正日と同世代の革命第二世代とも呼ぶべき世代に属していると思います。


kimyongchol001

その後は朝鮮人民軍に入り、昇進していきます。そして、2009年に新設された朝鮮人民軍偵察総局の初代局長に就任します。この部局は、北朝鮮の外国におけるスパイネットワークを管理したり、サイバー攻撃を行ったりする部局だと言われています。下の記事で、金英哲を「スパイの元締め」と呼んでいるのはそのためです。2010年代には、北朝鮮の強硬な外交姿勢を主導した人物と言われています。

 

2011年から権力の座に座った金正恩は既に多数の幹部クラスの人々を粛清しています。実の叔父である張成沢を死刑にしています。金英哲は1960年代から50年以上にわたり、粛清の波を生き延びてきたということは、相当な経験と現状把握力と危険を察知する嗅覚の持ち主だということになります。この金英哲がマイク・ポンぺオのカウンターパート、交渉担当者として出てきたということは、北朝鮮は彼らなりに相当の譲歩を行う覚悟があるということだと思います。

 

金英哲は孫くらいの年齢である金正恩に北朝鮮のおかれている現状を説き、いざとなれば、自分が悪者になるので、何とか体制保障を勝ち取るために相当な条件の譲歩を許してくれるように説得したのではないかと思います。そして、金正恩の親書を持って渡米しました。親書の中身は発表されていません。概要すら漏れてきていません。あんなに大きな封筒で、表彰状みたいなものであろうということは皆分かっているのに、肝心の中身が分からないのです。アメリカ政府からも漏れてこないというのは、北朝鮮にとって相当重要なことが書かれているということだと思いますが、これ以上のことは分かりません。

 

ポンぺオもCIA長官を1年ほど務めましたので、金英哲と同じく、スパイの親玉とも言えるでしょう。スパイの親玉を務めた人物同士が米朝首脳会談の下交渉の最高責任者ということになりました。12日の米朝首脳会談開催までにどんなことが起きるのか、会談で何が話されるのか、注視していきたいと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

ポンぺオと対峙する北朝鮮政府高官はスパイの元締めであり、金正恩を教育した人物で、粛清を生き延びた(North Korean Facing Pompeo Is a Master Spy Who Helped Groom Kim, Then Survived His Purges

―アメリカ政府高官たちは、金英哲(Kim Yong Chol)のニューヨーク訪問は、18年ぶりの北朝鮮政府高官の訪米で、米朝首脳会談を救うことを目的としていると述べた。

 

ロビー・グラマー筆

2018年5月31日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2018/05/31/north-korean-facing-pompeo-is-a-master-spy-who-helped-groom-kim-then-survived-his-purges-asia-diplomacy-nuclear-summit-trump-kim-jong-un-kim-yong-chol/

 

核兵器を巡る交渉を復活させるために、マイク・ポンぺオ国務長官と会談を行っている北朝鮮政府高官は、北朝鮮のスパイ網の元締めを務めた人物であり、北朝鮮がここ数年にわたり実行してきた軍事作戦にも関係している。2014年に起きたソニー・ピクチャーズに対するサイバー攻撃はその最たるものだ。これによってソニー・ピクチャーズは大きな被害を受け、財政的にも数百万ドルの損失を出した。

 

金英哲は水曜日の夕方、ニューヨークでポンぺオと会談を持った。アメリカ政府高官たちは、北朝鮮の最高幹部クラスの訪米は18年ぶりのことだと述べた。2人はフィレミヨンとヴァニラアイスクリームの夕食を楽しみ、木曜日朝から公式の会談を再開したと国務省は発表した。

 

分析家たちは次のように考えている。ポンぺオと金英哲の会談は両者の間の個人的な親密さを醸成している可能性がある。そして、彼らの会談は、北朝鮮政府の核開発プログラム中止を目的とするアメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長との首脳会談実現にとって重要な役割を果たすことになる。

 

北朝鮮との交渉を担当した経験を持ち、現在はリチャードソン・センター・フォ・グローバル・エンゲイジメントの副会長ミッキー・バーグマンは、「個人的な関係がより重要だ。それは、北朝鮮の人々は個人的関係に価値を置くからだ」と述べている。リチャードソン・センターは世界各国の政治犯の釈放を求めて活動している非営利組織だ。

 

外交官や情報機関関係者たちは、金英哲は北朝鮮における黒幕と呼べる人物の中で最も力を持つ人物であり、金体制の中を生き延びた人物であると評している。金英哲がアメリカ政府との交渉に出てきたことは、金英哲が、金正恩以外で北朝鮮の方向を変えることが出来る巨大な影響力を持っていることを示している。

 

73歳になる金英哲は、北朝鮮を支配する朝鮮労働党の副委員長である。そして、北朝鮮の独裁者3代に仕えた人物である。金英哲はこれまで何度もあった粛清の嵐を生き延びた。2011年に金正恩が権力の座に就いてから北朝鮮政府の高官たちの多くが粛清されたが、彼は生き延びた。

 

CIAの分析官を務め、現在はシンクタンクであるCSISの朝鮮半島専門研究員を務めるスー・ミー・テリーは、「金正恩は権力の座に就き、数百名の人物を粛清した。金英哲は粛清を生き延びただけでなく、金正恩の右腕となることができた」と語った。

 

テリーは続けて「金英哲は金正恩の考えを代弁することが出来る。彼以外にそのようなことが出来る人物はいない」と語った。

 

2009年から2016年にかけて、金英哲は北朝鮮の情報機関とサイバーセキュリティー担当部署である偵察総局の責任者を務めた。ここで彼は北朝鮮による西側諸国や韓国に対するサイバー攻撃にかかわった。2012年に韓国で北朝鮮のスパイネットワークが一斉検挙されたことで、金英哲は降格処分となったと考えられている。しかし、「リハビリテーション」と呼ばれる期間を経て、復活した。

 

CIA分析官を務め、現在はブルッキングス研究所に所属する北朝鮮専門家のジュン・パクは、権力の座に就いたばかりの金正恩の教育に金英哲は貢献したと述べている。

 

ジュン・パクは次のように述べた。「北朝鮮におけるスパイ組織は極めて重要な存在だ。特に指導者の教育機関には重要な役割を果たす。金正恩が権力の座に就いてから7年間、金英哲は恐らく失敗をしなかったのであろう。そして、金正恩の信頼を勝ち取ったのだろう」。

 

金英哲は1960年代に韓国との国境にある非武装地帯の衛兵からキャリアをスタートさせた。その後、国連との連絡将校や金正日の護衛を務め、1990年代から2000年代後半には南北交渉における軍事交渉担当官を務めた。

 

金正恩の側近として、金英哲将軍はアメリカによる制裁の対象者となっている。

 

金英哲はスパイ組織の責任であった時期に起きた韓国に対する2度の攻撃で主要な役割を果たしたと考えられている。2010年3月、韓国海軍の艦船が魚雷攻撃を受け、46名の乗組員が死亡した。同年末、韓国のある島が砲撃を受け、4名が死亡し、19名が負傷した。

 

2014年北朝鮮はソニー・ピクチャーズへのサイバー攻撃を実行した。これは金英哲の直接の指示だと考えられている。この時、ソニー・ピクチャーズは、金正恩の暗殺のシーンがあるコメディ映画を発表した後であった。

 

最近になって、金英哲は北朝鮮の外交の中心的存在となっている。金英哲は、南北の非武装地帯での南北首脳会談において、北朝鮮側代表団に参加し、2度も韓国の文在寅大統領と会談している

 

金英哲は今年2月に韓国で開催された冬季オリンピックへの北朝鮮代表団に参加している。閉会式で、トランプ大統領の娘で補佐官でもあるイヴァンカの近くで無表情で起立している金英哲の様子は映像に残っている。お互いはお互いの存在を無視していた。

 

金英哲はニューヨークを訪問し、ポンぺオと3度目の会談を行った。CIAの前長官で現在は国務長官のポンぺオは今年に入って2度北朝鮮を極秘に訪問し、拘留されていた3名のアメリカ人の解放に成功し、6月12日にシンガポールで開催される米朝首脳会談の地ならしを行った。

 

先週、トランプ大統領は首脳会談を突如キャンセルした。キャンセルを通知する書簡の中で、トランプ大統領は北朝鮮のアメリカに対する「大いなる怒りと敵意の公表」に言及した。しかし、トランプ大統領は首脳会談の実現可能性についても言及した。

 

ホワイトハウスのジョー・ハジン次席補佐官率いるアメリカ代表団(「プレ・アドヴァンス」ティーム)は現在シンガポールに滞在し、予定されている米朝首脳会談の後方支援準備を行っている。

 

これとは別に、アメリカの幹部外交官と安全保障担当が、南北の間にある非武装地帯で北朝鮮政府の担当者たちと交渉を行っている。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)


imanokyodaichuugokuwanihonjingatsukutta001

今の巨大中国は日本が作った


shinjitsunosaigoutakamori001
真実の西郷隆盛
 

semarikurudaibourakutosensoushigekikeizai001

迫りくる大暴落と戦争〝刺激〟経済
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

 古村治彦です。

 

 今回は少し遅くなりましたが、マイク・ポンぺオCIA長官(次期国務長官)が復活祭の時期(4月第一日曜日)に北朝鮮を訪問し、北朝鮮の最高指導者金正恩朝鮮労働党委員長と面会したということを伝える記事をご紹介します。

 

 今年の3月にいろいろな事態が急速に動き始め、韓国大統領特使が北朝鮮を訪問し金委員長と会談、この特使がアメリカを訪問し、ドナルド・トランプ大統領に北朝鮮訪問について報告し、その際に金委員長からの米朝首脳会談の提案を受け入れました。3月末には、金委員長が指導者となって初めての外遊として中国・北京を訪問し、習近平国家主席と会談を持ちました。また、習近平国家主席が近々北朝鮮を訪問するという報道も出ました。

 

 こうした中、米朝首脳会談準備でアメリカ側の指揮を執るポンぺオCIA長官(次期国務長官)が4月上旬に北朝鮮を極秘に訪問し、金委員長と会談を持ったということが報じられました。北朝鮮側は米朝首脳会談に真剣に取り組んでいることが分かります。

 

 韓国は北朝鮮との戦争状態を終結し、平和条約を結ぶ方向で動いています。しかし、ここで重要なのは、中国とアメリカの意向です。朝鮮戦争では中国とアメリカがそれぞれ北朝鮮、韓国に味方をして多くの犠牲を払いました。ですから、朝鮮半島に関してはアメリカと中国の意向が重要となります。

 

 中国と韓国は直接交渉と平和条約締結の方向で動いています。北朝鮮もこの方向で進んでいます。一方、日本は「交渉のための交渉はしない」として、経済制裁など圧力を強化して北朝鮮の屈服を図るという主張です。交渉と圧力、2つの方向性があり、トランプ大統領はこの2つをうまく手綱を引いたり、緩めたりしながら、事態を進めているという感じです。

 

 日本は北朝鮮に対する吠え掛かり係をやらされ、嫌われている状況で、それにプラスして、アメリカ側は日本との二国間経済交渉で日本の対米黒字(アメリカの対日赤字)を削減しようとしてきています。日本はこれらを唯々諾々と呑むしかありません。主要なアクターになれないということを日本のメディアではあまり報じられていませんが、その現実をしっかりと見据えておかねば、上京を大きく誤って認識することになるでしょう。また、大いなる内弁慶として、外側から見れば滑稽な姿を晒すことになるでしょう。すでに十分に晒しているように思われますが。

 

 

(貼り付けはじめ)

 

ポンぺオCIA長官と北朝鮮の最高指導者金正恩委員長と復活祭の週末に会談を持った(CIA Director Pompeo met with North Korean leader Kim Jong Un over Easter weekend

 

シェイン・ハリス、キャロル・D・レオニング、デイヴィッド・ナカムラ筆

2018年4月17日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/politics/us-china-trade-dispute-looms-over-trump-summit-with-japans-abe/2018/04/17/2c94cb02-424f-11e8-bba2-0976a82b05a2_story.html?noredirect=on&utm_term=.ca9a46445049

 

マイク・ポンぺオCIA長官は4月上旬の復活祭(イースター)の週末にドナルド・トランプ大統領の特使として北朝鮮を極秘訪問し、北朝鮮の最高指導者金正恩委員長と会談を行った。本紙の取材に対して、ポンぺオ長官の訪問について直接の知識と情報を持つ2人の人物が答えた。

 

上記の2名の人物は米朝交渉の高度の秘密性を理由にして匿名を条件にして本紙の取材に応じた。2人は、「トランプ大統領の信頼厚い政権幹部とならず者国家の権威主義的な元首との間で、通常では考えられない会談が行われた。これは、北朝鮮の核兵器開発プログラムをテーマとするトランプ大統領と金委員長との直接対話に向けた地ならしの一環だ」と述べた。

 

この秘密の任務はこれまで報道されてこなかった。この任務はポンぺオが国務長官に指名された後すぐに実施された。

 

ポンぺオは先週行われた連邦上院外交委員会での証人の可否を決める公聴会で次のように発言した。「アメリカ政府が北朝鮮の核開発プログラムに関して条件を設定し、それによって直接対話を行うことが出来ると楽観的に考えている。この交渉によって、アメリカと世界が真剣に望んでいる外交的な目標が達成できる方向に進むことが出来る」。

 

 

火曜日、マー・ア・ラゴ・リゾートでトランプ大統領は記者団に対して発言を行った。その中で、アメリカ政府は北朝鮮政府との間で「きわめて高いレヴェルで」直接交渉を持ったと述べ、金委員長とポンぺオ長官との対面が会ったことを仄めかした。トランプ大統領は詳細を明らかにしなかった。

 

トランプ大統領は、遅くとも6月上旬までに金正恩と会談を持つ可能性が高いと述べた。

 

ポンぺオは北朝鮮との交渉を指揮している。ポンぺオと金委員長との会談は2000年以来の最高レヴェルの会談となった。2000年、当時の国務長官マデリーン・オルブライトが現在の金正恩委員長の父金正日が戦略的な諸問題について議論を行った。国家情報局長官ジェイムズ・R・クラッパー・ジュニアは2014年に北朝鮮を訪問し、北朝鮮に拘束されていた2名のアメリカ人の解放を実現した。またこの時に北朝鮮の中間クラスの情報担当者と会談を行った。

 

CIAはコメントを拒否した。ホワイトハウスもまたコメントを拒否し、CIA長官の外国訪問について話はしないと述べるにととどまった。北朝鮮政府もまたコメントを拒否した。

 

ポンぺオ長官の北朝鮮訪問から約1週間後、アメリカ政府高官たちは北朝鮮政府の高官たちが金委員長は非核化の可能性について交渉したいと望んでいると認めたと発言した。これはトランプ政権の関係者たちが明らかにしている。これは、米朝首脳会談を前にして米朝両政府の間で新たなコミュニケーションチャンネルが開かれたこと、トランプ政権は北朝鮮政府が首脳会談実現に向けて本気になっているという確信を持っているという兆候を示す発言だ。

 

火曜日、トランプ大統領は自身が所有するリゾートであるアー・ア・ラゴでの日本の首相安倍晋三との会談の途中、「私たちはきわめて高いレヴェルでの直接交渉を行っている、北朝鮮との間できわめて高いレヴェルでの交渉だ」と述べた。

 

トランプ大統領は詳細には言及しなかった。アメリカは北朝鮮との間に正式な外交関係を持っていない。しかし、アメリカの外交官はこれまでにも北朝鮮を訪問し、アメリカ政府は北朝鮮政府との間にある複数の秘密のチャンネルを使って連絡をしてきた。

 

トランプ大統領は次のように発言した。「北朝鮮は交渉を継続し、離脱していない。韓国は北朝鮮と交渉を行っており、戦争状態を終わらせるために首脳会談を行う計画を持っている。私はそれらがうまくいくように祈っている」。

 

トランプは朝鮮戦争を正式に終わらせるための南北首脳会談の計画について「祝福があるように」と述べた。これは核兵器を所有する北朝鮮をめぐる外交的な急速な進展が実現することを意味する。

 

安倍首相との2日間の首脳会談の始まりにあたり、トランプ大統領は北朝鮮関連での急速な事態の進展を肯定的に評価した。北朝鮮の核兵器と弾道ミサイルの実験に関して、トランプ政権はアメリカの国家安全保障に対する最大の脅威と考えてきた。

 

トランプ大統領は、「韓国政府の高官たちは、アメリカ政府の支持がなければ、特に私の支持がなければ、何も議論話されなかっただろうし、オリンピックも失敗に終わっただろうと述べ、とても感謝している」と述べた。韓国政府は今年2月に平昌で開催された冬季五輪を北朝鮮政府との外交交渉を再開するための道具として利用した。

 

北朝鮮は選手団と高い地位の人々による代表団を五輪に派遣した。これはアメリカの同盟国である韓国との関係の改善を示す大きなサインとなった。これは東アジアの外交、トランプ大統領が主導的な役割を果たしていた状態の急激な変化をもたらした。

 

トランプ大統領は次のように語った。「世界にとっての問題を解決するための大きな機会が存在する。これはアメリカにとっての問題ではない。日本やそのほかの国にとっての問題でもない。世界にとっての問題なのだ」。

 

アメリカも参戦した朝鮮戦争における戦闘は65年前に停止したが、平和条約はいまだに締結されていない。火曜日、ある韓国政府高官は、戦争状態の正式な終了は、来週南北の間にある非武装地帯で開催される金委員長と韓国の文在寅大統領との首脳会談の議題となると発言した。

 

トランプ大統領は「両者が戦争状態を終結させるために議論することは喜ばしい、うまくいくことを祈っている」と述べた。

 

しかし、平和条約締結は複雑な道筋をたどるであろうし、アメリカの参加と合意が必要となるだろう。アメリカは韓国に代わって休戦協定に署名しているので、いかなる種類の平和条約であってもアメリカと北朝鮮との間で結ばれる必要がある。

 

長年にわたり平和条約が締結されてこなかった理由は、北朝鮮が長年にわたり、平和条約が締結されたら、韓国駐留の米軍は必要ではなくなるので撤退させねばらないと主張し、アメリカはこの要求を拒絶してきたからだ。

 

トランプ大統領は北朝鮮の世襲の指導者を「小さなロケットマン」と揶揄した。その後、両者の間で侮辱と脅しの応酬が続いた。これは昨年のことだ。しかし、トランプ大統領は金委員長と会談を持つ計画を進めている。トランプ大統領は北朝鮮がアメリカや同盟諸国に脅威を与えるなら北朝鮮を「完全に破壊」すると述べ、金委員長はトランプ大統領を老いぼれと揶揄した。

 

火曜日、トランプ大統領は、すべてが順調に進めば、金委員長との首脳会談は6月上旬までに開催されるだろうと述べた。トランプ大統領は同時に警告も付け加えた。「物事がうまくいかないこともあるだろう。会談が実現しないこともあるだろう。それでも私たちはこれまで堅持してきた非核化に向けた強力な道筋を進み続けるだろう」。

 

トランプ大統領は首脳会談の場所は現在考慮中で、決定はもうすぐ行われるだろうと述べた。また、記者からの質問に対して、場所はアメリカ国内ではないと付け加えた。トランプ政権は朝鮮半島以外のアジア、東南アジア、ヨーロッパで場所を探していると述べた。

 

安倍首相は彼がトランプ大統領に協力して成し遂げた進歩について喜ばしいという態度を取った。安倍首相はトランプ大統領に対して、1970年代から80年代にかけて少なくとも13名の日本人が北朝鮮の機関によって拉致された未解決の問題について金委員長にその解決を求めるように依頼した。この問題は安倍首相にとって重要な国内問題である。

 

トランプ大統領は2017年11月の東京訪問の際に拉致被害者の家族と面会した。昨年の夏、アメリカ人大学生オットー・ワームビアが亡くなったことにトランプ大統領は激怒した。ワームビアは北朝鮮に17カ月拘束し、意識不明状態で解放された後すぐに死亡した。現在、3名のアメリカ人が北朝鮮に拘束されている。アメリカ政府高官は北朝鮮との交渉ではこの3名の解放を議題にしたいと述べている。

 

安倍首相は「トランプ大統領が拉致被害者家族に面会してくださったことは、日本政府が拉致問題に関してどのように対応してきたかを大統領が深く理解してくださっていることを示している。私は大統領の努力に感謝を申し上げる」と述べた。また、安倍首相はトランプ大統領に対して、北朝鮮政府に「最大限の圧力」を維持するように求めた。

 

トランプ大統領と安倍首相は両者の関係を修復するために首脳会談を行う。トランプ大統領が金委員長と会談するという決定を下したことで日本政府は衝撃を受けた。また、鉄鋼とアルミニウムに対する関税で日本を適用除外対象から外した。こうしたことでトランプ大統領と安倍首相の関係は傷ついた。

 

両者は初期のうまくいった関係を復活させようとしている。トランプ大統領は、水曜日には、様々な追加的な会談の前に2人でゴルフをプレーすると述べた。トランプ大統領は、以前にも述べたが、今回もマー・ア・ラゴは「冬の時期のホワイトハウス」だと述べた。

 

トランプの補佐官たちはアメリカが11か国から構成される環太平洋経済協定への参加の可能性があると述べたが、この動きはまだ機が熟している訳ではないとも強調した。

 

トランプ大統領の首席経済問題補佐官であるラリー・クドローは、貿易に関する日本との対立を過小評価している。クドローはトランプ政権の関税政策は中国を罰することを目的にしていると述べた。クドローは中国が「第三世界の国の経済規模しかないかのようにふるまっている」と批判した。クドローは国際的な連合がトランプ政権の戦略を支持していると明言した。

 

クドローは次のように述べた。「貿易に関して善意の諸国による協力について私はこれまで述べてきた。他国も中国のふるまいを批判している。中国は先進国の経済規模であるのに、第三世界の経済規模であるかのようにふるまっている。中国は技術やそのほかの問題に対して、ルールに従って行動しなければならない」。

 

クドローは中国の悪いふるまいに対処するためにアメリカがTPPに入る必要ではないと述べた。クドローは強いアメリカ経済こそが貿易に関するアメリカの考えを世界に広めるための強力な武器になると強調し、トランプの中国の貿易に対するより強力な姿勢は国際的な支援を得られるだろうとも述べた。

 

クドローは次のように語る。「世界は私たちの側に立っている。トランプ大統領は意識的に世界の支持を求めている訳ではないが、世界は支持してくれるだろう。これは良いことだ。中国はこの流れを注意深く読み、積極的に対応することを望む」。

 

火曜日、中国はアメリカ産のモロコシに対して一時的なダンピング防止策を実施すると発表した。これは、2016年の大統領選挙でトランプ大統領が勝利したカンザス州やテキサス州のようなモロコシの生産高の高い州の農業従事者に打撃を与えることになる。

 

アメリカ産のモロコシの輸入抑制の動きは中国政府とアメリカ政府との間の貿易戦争の規模を拡大させている。月曜日、アメリカ政府はアメリカ企業が中国の携帯電話メーカーZTEに部品を売却することを7年間禁止する措置を取った。世界で1位と2位の経済大国が数十億ドル規模の関税を使って脅威の応酬を行っている。

 

しかし、トランプ大統領は、補佐官たちの中国政府に対する様々な批判のバランスを取ろうとした。トランプ大統領は中国の習近平国家主席を称賛した。トランプ大統領は習主席に対して北朝鮮への経済制裁を実行するように強く求めた。

 

トランプは次のように述べている。「習主席は非常に寛大な人物だ。彼は経済制裁を強化している。誰も期待していなかったレヴェルまで強化している。私は中国政府に対して経済制裁を強化して欲しいと望んでいる。習主席は誰も予想していないレヴェルまで強化している。北朝鮮へ流入する物資の量は確実に減少している」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)


※私の仲間である石井利明さんのデビュー作『福澤諭吉フリーメイソン論』が2018年4月16日に刊行されます。大変充実した内容になっています。よろしくお願いいたします。

fukuzawayukichicover001
(仮)福澤諭吉 フリーメイソン論

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

価格:1,400円
(2018/3/9 10:43時点)
感想(0件)

ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

価格:1,836円
(2018/4/13 10:12時点)
感想(0件)

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ米国大統領は次期大統領国家安全保障問題担当補佐官にジョン・ボルトンを指名しました。4月9日付で、ハーバート・R・マクマスター陸軍中将と交代します。マクマスターは補佐官辞任後に大将に昇進せずに退役するということになります。

 

 ボルトンの指名は外交関係者やアメリカ政治に詳しい人々を驚かせました。レックス・ティラーソン国務長官からCIA長官マイク・ポンぺオへの交代と併せて、トランプ政権の強硬姿勢を取ることを示すものです。

 

 ジョン・ボルトン(John Bolton、1948年―)は、歴代の共和党政権に参加しています。ドナルド・レーガン政権時代(1981―1989年)には米国国際開発庁と司法省に勤務しました。続く、ジョージ・HW・ブッシュ政権時代(1989-1993年)には国際連合担当国務次官補を務めました。ジョージ・W・ブッシュ政権時代(2001-2009年)には国務次官、2005年には米国国連大使を務めました。

 

 ボルトンはジョージ・W・ブッシュ政権の対外政策を牛耳ったネオコンの一人です。彼自身はネオコンと呼ばれることを嫌います。それは、ネオコンの第一世代が民主党員だった人たちが民主党に失望し共和党支持に転向した人たちであるのに対して、自分は一貫して共和党支持者であったということから、「転向者を源流とするグループに入れないで欲しい」という考えを持っているためです。しかし、外形的にはネオコンです。

 

 ネオコンはアメリカの価値観を世界各地に「輸出」し、世界中の国々を資本主義と民主政治体制の国々にすればアメリカに敵対する国はなくなるし、世界から戦争がなくなって平和になるという考えです。これは、共産主義を世界中に輸出しようとした旧ソ連の裏返し(ヨシフ・スターリンは一国社会主義建設を優先しましたが)ということが言えるでしょう。

 

 しかし、彼らはアメリカに友好的な非民主国家まで民主化しろとは言いません。ペルシア湾岸諸国や中央アジアには王政や独裁制の国々が多くありますが、それらの国々を攻撃して政権(体制)変更(転覆)しろとは言いません。あくまでアメリカに逆らう国々の政治体制を転覆させろということを主張します。

 

 2002年の一般教書演説で、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領は、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸(Axis of Evil)」と呼びました。そして、イラクには実際に侵攻し、サダム・フセイン政権を瓦解させました。フセインは最終的には死刑となりました。

 

 ブッシュ政権の後に成立したバラク・オバマ政権で起きたのがアラブの春です。アラブの春では偶発的な事件から反体制運動が北アフリカの国々で連鎖的に発生しました。この過程で、アメリカとヨーロッパに屈服し、大量破壊兵器とテロ活動を放棄していたリビアのムアンマール・カダフィが殺害されました。こうした動きを主導したのは、民主党内でネオコンのカウンターパートと言うべき、人道的介入主義派で、国務長官を務めていたヒラリー・クリントンでした。こうしたことは拙著『アメリカ政治の秘密』で明らかにしています。

 

 現在、悪の枢軸で残っているのはイランと北朝鮮です。北朝鮮に関しては急速な核開発を行い、アメリカにとって脅威となっています。それでも今年に入って、緊張緩和ムードになり、アメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長の首脳会談が開催されるということになりました。

 

 しかし、この開催の時期や場所がはっきりしない中で、国務長官がレックス・ティラーソンから現職のCIA長官だったマイク・ポンぺオに、大統領国家安全保障問題担当補佐官がハーバート・R・マクマスター陸軍中将からジョン・ボルトンに交代することになりました。ポンぺオもネオコンに近い人物であり、ネオコンによって対外関係の司令塔が独占されることになりました。トランプ大統領は常に2つの異なる考えを持つ人間たちをそれぞれ同様の力と権限を持つ役職に就けて、自分の考えを実行するときに2つの考えのうち、どちらかを選んで実行させるというやり方を取るということをやってきたと私は考えます。

 

 今回、国務省とホワイトハウスの対外関係部署をネオコンが抑えたということで、トランプ政権の対外姿勢は強硬になります。ボルトンは北朝鮮について強硬な主張をしていますので、緊張緩和ムードが大きく後退することになるでしょう。

 

 北朝鮮にしてみれば、ここで核兵器を手放すかどうかという決断を迫られますが、アメリカのこれまでの外交を考えると、核兵器を手放した時点で、金王朝は遅かれ早かれ崩壊させられるということを金正恩は考えるでしょう。手放してしまえば一時的な妥協が成立する(体制保障というアメリカの約束が反故にされる可能性が高い)、手放さなければまだアメリカがチキンゲームに負けて交渉に乗ってくる可能性がある(より良い条件で妥協が成立する可能性がある)となり、北朝鮮は核兵器を握りしめたままということになるでしょう。

 

 ボルトンは核兵器貯蔵施設や核開発関連施設に対する先制攻撃を主張しています。北朝鮮に対して先制攻撃であっても、先に攻撃をされてからの報復攻撃であっても、米軍が攻撃すれば、現在の北朝鮮の体制の転換というところまで進むことになるでしょう。

 

 ジョン・ボルトンの指名となってアメリカやヨーロッパでは、アメリカによるイランに対する攻撃があるのではないかという懸念の声が大きくなっています。イランに関しては、オバマ政権時代に核開発をめぐって合意が成立しました。しかし、ボルトンやポンぺオと言った人々はイランとの合意は失敗だったとしています。

 

 イランを怖がっているのはイスラエルで、核兵器を所有している両国間で戦争となれば核戦争まで行き着く可能性があります。イランがどれほどのミサイル能力を持っているのか分かりませんが、北朝鮮でもアメリカ本土に到達できるミサイルを開発できたとすると、イランも所有している可能性があると考えられます。北朝鮮もイランもロシアからの支援を受けているので、ある程度のミサイル開発技術をロシアからもらっているでしょう。

 

 中東での問題はより危険で複雑、ヨーロッパにも大きな影響を与えることから、トランプ大統領としては今の段階では関わりたくないでしょう。ですからボルトンとポンぺオの起用は対北朝鮮問題用のシフトということになります。

 

 私は北朝鮮問題が平和裡に解決できることを願っていますが、現実はその可能性が低くなっているのではないかと考えざるを得ない状況になっていると思います

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプは究極のタカ派(Uber-Hawk)のボルトンを大統領国家安全保障問題担当補佐官に指名(Bolton as National Security Adviser

―「爆撃、イランを爆撃」から北朝鮮に対する予防的先制攻撃まで、ブッシュ政権で高官だったボルトンはより好戦的な外交政策を主張している

 

コラム・リンチ、エリアス・グロール筆

2018年3月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2018/03/22/trump-taps-uber-hawk-bolton-as-national-security-adviser/

 

ボルトンは北朝鮮に対する予防的先制攻撃を明確に求め、イランの体制を変更させるために爆撃することを主張し、アフガニスタンにおける無制限の米軍駐留を求めている。ボルトンはまた台湾に米軍を駐留させるなど中国に対してより強硬な姿勢を取るように求めてきた。

 

ジョージ・W・ブッシュ政権に参加したボルトンを含む共和党所属のネオコンサヴァティヴの人々は2003年にイラクの指導者サダム・フセインを追い落とすように主張した。しかし、他のネオコンの人々とは対照的に、ボルトンは民主政治体制と人権のようなアメリカの価値観を輸出することに関心を持ったことはこれまでほぼなかった。ボルトンはブッシュ政権において国務省高官と米国国連大使を務めた。

 

ボルトンはトランプ大統領と同様に国際的な取り決めを無視し、国際連合やヨーロッパ連合(EU)のような多極的な組織を見下し、政治的な敵を激しく非難している。ボルトンは回想録『ジョン・ボルトン:降伏は選択肢に非ず』の中で、EU官僚たちを「EUの病人たち」と繰り返し揶揄している。

 

ここ数週間、ボルトンが指名されるという噂が流れた。実際にボルトンの指名が発表されるとアメリカとヨーロッパの外交関係者たちは驚きと不安の声を発した。彼らはマクマスターの辞任とボルトンの就任によってアメリカは複数の争いに関与する道を進むことになるという懸念を持っている。

 

外交評議会(CFR)のマイカ・ゼンコは次のようにツイートしている。「ジョン・ボルトンはこれまでアメリカが戦ってきた全ての戦争を支持した。彼はアメリカが戦う際に何の制限もつけるべきではないと考え、イランと核武装した北朝鮮との体制転換のための戦争を支持している。恐ろしいことだ」。

 

4月初め、ボルトンは現在の大統領国家安全保障問題担当補佐官を務めるHR・マクマスター陸軍中将と交代する。マクマスターは辞任と引き換えに大将に昇進させてもらえるという噂が流れたが、実際位は中将のままで退役することになる。ホワイトハウスの関係者は今回の交代は「常に憶測を呼ぶティームではなく、実際に行動できる新しいティームを結成する」ためのものだと述べている。発足して1年ちょっとのトランプ政権で、ボルトンは3人目の大統領国家安全保障問題担当補佐官となる。

 

ボルトンの補佐官任命は連邦上院の承認を必要としない。ボルトンの指名によって、トランプ政権のタカ派的な姿勢が強まることになるだろう。トランプは大統領選挙期間中、アメリカの海外における冒険主義を制限するという公約を掲げた。しかし、トランプは大統領就任後、アメリカの外交政策に関してより軍事中心的なものとなっている。トランプと同じく、ボルトンはヴェトナムでの従軍を忌避するために進学をした。ボルトンはヴェトナム戦争を支持した。

 

これから世界各地の諸問題について見ていく。ボルトンの政策に関する主張はアメリカの外交政策を大きく変化させる危険性がある。

 

●イラン爆撃

 

ボルトンが大統領国家安全保障問題担当補佐官に指名された。ボルトンは長年にわたりイランに対する軍事行動を主張してきた人物で、そのような人物がトランプの側近となる。トランプは国務長官をレックス・ティラーソンからマイク・ポンぺオCIA長官に交代させた。このようにイランに対してタカ派的な態度を取る強硬派を運転席につけたのだ。

 

2015年のニューヨーク・タイムズ紙に掲載した論説のタイトルの中で、イランとの戦争を主張した。ボルトンは「イランの核爆弾を止めるために、イランを爆撃せよ(To Stop Iran’s Bomb, Bomb Iran)」と書いた。ボルトンはこれまでイスラエルが近隣諸国の原子力施設に対して予防的先制攻撃を行ってきたことを支持してきた。また、核兵器関連施設に対する軍事行動を主張してきた。更にはイランの政権を打倒するために反対派勢力を支援することも主張してきた。

 

ボルトンはイランの体制変更を強く主張してきた。ボルトンはイランの過激な反体制派グループであるムジャヒディン・ハルクを支持してきた。ムジャヒディン・ハルクはアメリカ政府からテロリスト組織として認定されている。それでもこの組織を支持している。ボルトンに2011年にブリュッセルで開催されたイヴェントに出席した。ボルトンはこのイヴェントでムジャヒディン・ハルクが掲げるイランの体制変更を「無条件に」支持すると語った。

 

2009年、ボルトンはイスラエルがイランに対して核兵器を使用することを支持した。ボルトンはシカゴ大学での演説中に次のように語った。「イスラエルがイランの核開発プログラムに対して核兵器を使用する準備をしていなければ、イランは近い将来、プログラムで開発した核兵器をイスラエルに対して使用することになるだろう」。

 

●北朝鮮

 

北朝鮮は核兵器とミサイル技術を急速に開発している。これを受けて、ボルトンは北朝鮮国内の核兵器を除去するために予防的先制攻撃を行うことを主張している。

 

先月、ボルトンは『ウォールストリート・ジャーナル』紙に寄稿した。その中で、ボルトンは北朝鮮への攻撃の時は今だと主張した。ボルトンは19世紀の砲艦外交を使いながら次のように書いている。「危機はすぐそこまで迫っている。北朝鮮に関するアメリカの諜報不足という点からも考えて、私たちは攻撃開始を引き延ばすべきではない。攻撃を引き延ばせば北朝鮮はアメリカ本土を確実に攻撃できる核兵器を開発してしまう危険がある。それは現在よりも更に危険な状態となる」。

 

このような攻撃は北朝鮮の韓国や東アジア地域の展開する米軍基地に対する報復攻撃を誘発することになるだろう。米軍関係者は北朝鮮の報復攻撃によって数千名規模のアメリカ人が死亡し、ここ数十年では見られなかった規模の戦争が起きるだろうと警告している。

 

ボルトンの予防的先制攻撃という強い主張がトランプ大統領と北朝鮮の指導者金正恩との朝鮮半島の非核化について話し合う最高首脳会談の開催計画とどれほど一致するのかについては明確にはなっていない。昨年、ボルトンは北朝鮮との直接交渉を「オバマ政権時代の政策の継続」だと批判した。

 

●中国

 

ボルトンに対しては中国政府から疑念の目で見られている。ボルトンは台湾の自己決定を強く主張しており、トランプ政権に対して、これまでアメリカ政府が堅持してきた「一つの中国」政策を見直すように主張してきた。ボルトンはまた台湾に対するアメリカらの武器売却を増加させるように求めている。更にはアメリカ軍の台湾駐留も主張している。これは、ダグラス・マッカーサー元帥の掲げた中国沿岸の「不沈空母」という考えを思い出させる。

 

対照的に、中国政府は国交を開封したニクソン政権以来、アメリカとの国交に関して「一つの中国」政策は交渉の余地のない要素だと考えている。

 

今週、中国の習近平国家主席は中国の領土を「1インチでも奪われないように」防衛するという印象的な演説を行った。彼の語った中国の領土には台湾も含まれている。

 

●イスラエル

 

ボルトンはイスラエルに対して全面的な支持を与えることが予期される。マクマスターは保守派の一部からイスラエルに対して十分に支持していないという激しい非難を受けていた。元イスラエル米国大使ダン・ジラーマンはある時、ボルトンを「イスラエルにとっての秘密兵器」と形容した。

 

●国際機関

 

ボルトンはアメリカにおいてマルタイカルチュアニズムに対して厳しい批判を行う人物の一人だ。また、アメリカの武器制限条約への参加やアメリカの軍事能力を制限することになるだろう国際的な協定について繰り返し疑問を呈している。ボルトンは西サハラ領有権・独立問題に関して国連から交渉担当として派遣されたことがある。彼は国連について発言し、その発言が有名になった。ニューヨークにある国連の書記局ビルは38階建てだ。もしその10階分が失われてもこれまで変わらずに業務は行われることだろう」。

 

回想録の中でボルトンは次のように書いている。「国際刑事裁判所を創設するためのローマ規定に“署名をしない”となった時が国務省時代で私が最も幸福な日であった。私はコリン・パウエルに子供の時のクリスマスの日のようにウキウキした気分だと言った」。

 

ボルトンの国際条約に関する姿勢はトランプ大統領とほぼ同じだ。ボルトンはかつ手口のように語った。「条約はアメリカの目的にかなうときにだけ法律と同様の効力を持つ。国際的な状況においては、条約は法的な強制力を持つものではなく、単純に“政治的な”ものとなる」。

 

ボルトンは国際秩序の擁護者たちに対して最大級に見下している。EUと国務省の官僚たちを特に見下している。ボルトンは彼らについて背骨がないふにゃふにゃしていると非難している。

 

ボルトンは回想録の中で次のように書いている。「病気のようなEUの外交官たちの間で広がっているのが道徳的な優位性など存在しないという考えだ。これは高学歴者が陥りがちな病気のようなものだ。感染力が強いもので、国務省の官僚たちが感染しつつある」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)


アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

価格:1,400円
(2018/3/9 10:43時点)
感想(0件)


Share on Tumblr Clip to Evernote

このページのトップヘ