古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:マイケル・ブルームバーグ

 古村治彦です。

 少し古い記事だが以下に3本を紹介する。重要な内容なので興味がある方は是非読んでいただきたい。スーパーチューズデーの結果分析の記事だ。

 今回のスーパーチューズデーでは投票参加者数が増加した。特に穏健派(moderates)と呼ばれる有権者グループの増加が目立った。この人々はサンダースの台頭を警戒し、中道派の候補者が絞られたことでバイデンへ投票した。「トランプを倒す、そのためにバイデンを選ぶ」という熱意が戻ってきたようだ。
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 一方で、サンダースが頼りにしてきた若い年齢層の有権者は期待ほど投票に行かなかったようだ。これではサンダースは勝てない。サンダースは狭い有権者グループ(若者とヒスパニック系)に働きかけ、熱心な支持者を作り出すことにできた。しかし、幅広いグループや層への浸透ができていなかった。わたしはこれを「縦に深く進むことはできているが、横へ薄く広がることはできなかった」と呼びたいと思う。このサンダースの熱心な支持者、特に若者を「バーニー・ブラザーズ(Bernie Bros)」と呼んでいる。こうした人々はインターネット上で他の候補者や支持者たちへの激しい個人攻撃を行っている。そのために多くの有権者が眉をひそめることになり、サンダースへの支持に広がりを欠くことになった。
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 投票者数が少なく(投票率が低い)、敵対する中道派内で有力立候補者が乱立状態、進歩主義派のライヴァルであるウォーレンの支持率が上がらないということであれば、サンダースに有利となるはずだった。サンダースの得票率が少なくても1位になって代議員の配分数が多くなるということが見込まれた。しかし、サンダース陣営の弱点である「横に広く」ができていないことを中道派に見透かされた。

それは南部サウスカロライナ州でのバイデンの予想外の圧勝で確信されたのだと思う。「あれ、なんでサンダースは何年も時間があったのに、アフリカ系アメリカ人有権者への支持拡大、浸透を図っていなかったのだろうか」と多くの人たちが思ったはずだ。

 サンダースの掲げる主張は低所得者の割合が大きいアフリカ系アメリカ人有権者にとって魅力的なはずだ。サンダース陣営は前回の大統領選挙の後から活発な活動を続け、若者とヒスパニック系からの支持拡大に成功した。しかし、民主党にとっては古くからの強固な支持基盤であるアフリカ系アメリカ人への浸透をなぜ行わなかったのか、もしくはなぜ失敗したのか、これから研究されるべき課題だろう。

 サンダースの失敗を見ていると、これは日本の現状に対する教訓を汲み取ることができる。日本の野党がまとまって幅広い人々に及ぶ、支持の連合体を構築でき、選挙に行かない無党派層に選挙に来てもらえれば、選挙に勝てるということだ。

サンダースの勝利の目論見は、今の自民党が勝利する理由とよく似ている。(1)投票者数・投票率が低いこと(組織票が大きな力を持つ;投票率が高くなってサンダースは負けた)、(2)多くの野党が分立していること(中道派の候補者が分立)、(3)支持基盤は狭いが強固(自民党は排外主義的な考えを持つ人々;サンダースは若者とヒスパニック系)ということになる。

サンダースと自民党を比べるのはおかしいが、自民党の支持者(J-NSC)やネトウヨのインターネット上の書き込みとサンダース支持者(バーニー・ブラザーズ)のインターネット上での書き込みの内容が酷いというところも似ている。どちらも熱狂的なあまりにそうなる。

 次の3月10日に実施されるミシガン州での予備選挙でサンダースがどういう戦いを見せてくるかは興味深いが、残された時間は少ない。ウォーレン頼みということになるだろうが、こちらも難しいだろう。手っ取り早いのは若者に投票を訴えることだろう。

(貼り付けはじめ)

ウォーレンがスーパーチューズデーでの失望を受けて選挙運動を再分析評価へ(Warren reassessing campaign after disappointing Super Tuesday

リード・ウィルソン筆

2020年3月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/485898-warren-reassessing-campaign-after-disappointing-super-tuesday

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)はスーパーチューズデーでの失望的な結果を受けて民主党の候補者指名を目指す道が残っているかどうかを分析評価するために1日を費やしている。彼女は勝負になるだけの代議員数を獲得することができなかった。

火曜日深夜、デトロイトでの集会を終えて、ウォーレンはボストンに飛行機で戻り帰宅した。水曜日には人前に出るイヴェントの予定はない。ウォーレン選対のある幹部は本誌の取材に対して、彼女は選対幹部たちと会って残っている可能性について判断することになるだろうと述べた。

この幹部は「エリザベスは選対の幹部たちに対して進む道について分析評価するようにと話しました」と述べた。

これまでの予備選挙でウォーレンが勝利を収めた州はない。2月に行われた諸州でもスーパーチューズデーで出の各州でも勝利を収めることはできなかった。地元であるマサチューセッツ州でも3位に終わるという屈辱を味わった。ジョー・バイデン前副大統領とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の後塵を拝する形になった。

火曜日が終わる段階で、ウォーレンの予想される獲得代議員数は、2月の予備選挙とスーパーチューズデーを合わせて50名程度となった。バイデンとサンダースが積み上げた数に比べて小さいものとなった。

スーパーチューズデーではバイデンは好結果を残した。15州と自治領のうち少なくとも9つで勝利を収めた。そして代議員数で大量リードする結果となった。バイデンは少なくとも453名の代議員を獲得し、サンダースの382名を上回った。カリフォルニア州やテキサス州のような州では票の集計作業が続いており、代議員の配分も続けられる。

ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは、スーパーチューズデーに賭けていたがうまくいかず、選挙戦を停止した。彼は少なくとも44名の代議員を獲得したが、これはウォーレンの獲得した代議員数よりも2名多いものとなった。

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スーパーチューズデーでの勝者と敗者(Winners and losers from Super Tuesday

ナイオール・スタンジ筆

2020年3月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/485919-winners-and-losers-from-super-tuesday

民主党予備選挙の日程において火曜日は最大の日となった。全国の14州で投開票が実施され、多くの宣誓済み代議員が配分される。

誰が勝者もしくは敗者となったか?

●勝者

(1)ジョー・バイデン前副大統領

スーパーチューズデーはバイデンにとって素晴らしい夜となった。わずか3週間前にはニューハンプシャー州の予備選挙で5位に沈み、政治的には墓碑銘を書かれていたのに、戦争走者の位置を取り返した。

バイデンは、土曜日にサウスカロライナ州での予備選挙からの勢いの波をそのまま持続させてスーパーチューズデーに臨んだ。バイデンは14州のうち10州で勝利した。その中には水曜日にバイデンが勝者と認定されたメイン州も含まれている。

おそらく最も驚かれた勝利はテキサス州での勝利だ。バイデンの勝利は各種世論調査の結果を見ても、専門家の見解を聞いても予想できなかった。

同様に、バイデンは南部各州で大差をつけた。バイデンはアラバマ州で40ポイントを超える差、ヴァージニア州で約30ポイント差、アーカンソー州とノースカロライナ州でだいたい20ポイントの差をつけた。

アフリカ系アメリカ人有権者からの強力な支持が南部各州での彼の成功の基盤となった。

大差をつけての勝利によってバイデンは代議員獲得にとって重要な全てのレースで大きな成果を残すことができた。

代議員の最終的な配分はまだ確定していない。その中にはサンダースが優勢であり、重要なカリフォルニア州も含まれている。水曜日の午前中に出された『ニューヨーク・タイムズ』紙の予想によると、代議員数でバイデン対サンダースは351対280の結果になるとしている。

カリフォルニア州での結果が加算されても、サンダースはバイデンとの間についた差を縮められるだけだろう。しかし、ほんの数日前までは、左派のサンダースがスーパーチューズデーでほぼ逆転不可能な差をつけてリードする可能性が高いと見られていた。そのようなことはこれまで起きていない。

バイデンは急速に先頭走者の位置に返り咲いた。

バイデンの復活はここ数年の政治において最も大きな驚くべき逆転劇である。

(2)民主党エスタブリッシュメント派

帝国の逆襲だった。

サンダースの支持者たちは、「サンダースこそは今アメリカが必要としている創造的破壊者(disruptor)なのだ」とこれまで繰り返し訴えてきた。サンダースの支持者たちは、「サンダースのアウトサイダーからの主張に有権者は集まり、民主党エスタブリッシュメント派の呪縛から逃れることができる」と主張した。

そうした主張に対しては深刻な疑義が提示されている。党のエスタブリッシュメント派は、多くの人々が予測するよりも、より大きな復元力を持ち、より規律が保たれているということを示した。

ごく最近まで、親エスタブリッシュメント派、中道派の投票は絶望的に分散しているように見られていた。一方、サンダースは進歩主義派の投票をどんどん集め、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は消え去ってしまった。

実際、サンダースが民主党の大統領選挙候補者指名を獲得するであろうという見通しが現実味を増すことで、穏健派は刺激された。穏健派は11月の本選挙でサンダースがトランプ大統領を倒して大統領に当選することなどできないという恐怖感を持っている。バイデンがサウスカロライナ州で勝利した後、中道派は驚くべき速度でバイデンを軸に結集した。

民主党内の主要人物たちもまたバイデンに対する支持を表明した。連邦上院多数党(民主党)前院内総務ハリー・リード前連邦上院議員(ネヴァダ州選出、民主党)や元米国国連大使スーザン・ライスが支持表明を行った。

しかし、他にも物事が順調に進んだ。スーパーチューズデーの結果を見ると、民主党支持の有権者たちは、2016年に当時の候補者だったドナルド・トランプを党の指名候補に押し上げた共和党支持の有権者たちに比べて、党のエスタブリッシュメント派に対して反感を持っている訳ではないということが見て取れる。

バイデンは民主党支持の有権者たちにとっては古くから馴染みのある政治家であり、ワシントンの流儀に従う漸進的な改良主義者だ。バイデンは、サンダースのような煽動的な政治家よりも民主党支持の有権者たちにとって受け入れやすい存在だったということだろう。

(3)支持表明者たち:エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジ、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)、連邦下院多数党(民主党)幹事長ジェイムズ・クライボーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)

バイデンはサウスカロライナ州での予備選挙以降、必要なものをすべて手にすることができている。そして彼は重大な手助けを得ることができた。

エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)とインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジ(民主党)は選挙戦から撤退し、バイデン支持を表明した。また、既に選挙戦から撤退していたビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)からも支持表明を受けた。

クロウブシャーの支持表明は今から振り返ってみると、特に重要なものであった。バイデンはクロウブシャーの地元ミネソタ州で勝利を得た。これは今回のスーパーチューズデーで起きたいくつかのサプライズの中の一つだ。

予備選挙の候補者だった人物たちからの支持表明と他の民主党の重要人物からの支持表明によって、バイデンは背中に追い風を感じながら戦えることになった。

スーパーチューズデーの結果は、サウスカロライナ州での予備選挙直前に連邦下院多数党(民主党)幹事長ジェイムズ・クライボーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)のバイデン支持の決心によってもたらされたものだ。クライボーンの支持表明はバイデンの驚くべき復活のために火をつけるものとなった。

●敗者

(1)バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)

サンダースの熱心な支持者たちは彼のカリフォルニア州での勝利を彼のアピールの証拠だと指摘するだろう。そして、一対一のレースとなった戦いで競争力を持ち、勝つことができると主張するだろう。

これらは正しいが、今回は全てが現実のものとはならなかった。スーパーチューズデーはサンダースにとってスーパーに失望をもたらすものとなった。

テキサスでの敗北はみぞおちに食らわされたパンチのようなものであった。サンダースはテキサスで活発に選挙運動を展開し、各種世論調査の結果からも彼の勝利が確実視されていた。サンダースは少なくとも2つの敗北が許されない州で敗北した。サンダースは、オクラホマ州とミネソタ州で4年前にヒラリー・クリントンを破った

今回の結果は、どれだけ多くの民主党員や民主党支持者たちが、根本的にサンダースが党の指名候補になるという考えに違和感を持ち反対しているかを示すものとなった。

南部諸州でのバイデンの勝利によって、サンダースのアフリカ系アメリカ人有権者からの支持を得る能力について疑念は深まることになった。アフリカ系アメリカ人有権者からの支持の低さは2016年にヒラリー・クリントンに敗北した原因となった。

サンダースはまだ逆転可能だがそれはとても厳しい。火曜日の結果は予想外の、とても重たいパンチを彼に食らわせた。

(2)ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグ

水曜日の朝、ブルームバーグは選挙戦から撤退し、バイデン支持を表明した。

ブルームバーグは5億ドル以上の資金を投じながら大きな前進が得られなかった。これで彼にとっては撤退しか道がなくなってしまった。

ブルームバーグはいくつかの州でそこそこの結果しか得られなかった。良い結果となったのは小さな戦いだけだった。彼は自治領であるアメリカ領サモアでの党員集会で勝利を挙げただけであった。後はユタ州で2位に入ったくらいだった。

彼が選挙戦を続けることを正当化できるものは何も残っていなかった。

ブルームバーグの選挙戦は山登りのように大変なものだった。彼は自分のお金で党の指名を買おうとしているのが露骨に見え、厳しい批判を浴びた。

彼は討論会での失敗してしまって更に打撃を受けた。政治的な棺桶の蓋に打ち付けられた最後の蓋となったのは、バイデンのサウスカロライナ州での勝利だった。これによってバイデンは復活し、ブルームバーグの戦える余地は急速になくなっていった。

(3)エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)

ウォーレンにとってはまたも苦しい夜となった。ウォーレンは予備選挙全体を通じて期待を下回る結果しか残せていない。

ウォーレンは地元マサチューセッツ州で3位に終わった。彼女は他のどの州でも上位2名を追い上げることもできなかった。それどころか、多くの州でバイデン、サンダース、ブルームバーグに続く4位という結果となった。

ウォーレン選対のある幹部は本誌のリード・ウィルソンの取材に対して、水曜日にウォーレンが「選対に対してこれからの選挙戦について分析評価するように話した」と述べた。このような言葉遣い(phraseology)は大抵の場合、即座の選挙からの撤退を意味するものだ。

サンダースの熱心な支持者たちもウォーレンが選挙戦から撤退し、サンダースに進歩主義派の支援を一本化させる機会を与えて欲しいと熱望している。

スーパーチューズデーが始まるまで、ウォーレン選対は今年7月にミルウォーキーで開催される民主党全国大会に向けて選挙戦を行うという考えを繰り返し強調していた。

スーパーチューズデーの結果は、ウォーレンが選挙戦を続けるいかなる理由も奪い去った。しかし、現時点ではウォーレンの選挙戦は続いている。

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スーパーチューズデーでの民主党予備選挙の投票者数は大きく増加(Democratic turnout surges on Super Tuesday

マックス・グリーンウッド筆

2020年3月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/485994-democratic-turnout-surges-on-super-tuesday

スーパーチューズデーにおける民主党の有権者の参加者数は伸びた。少なくとも10以上の州で2016年のレヴェルを超えた。そのうちの一つでは過去最高を記録した。

スーパーチューズデーで投開票が実施される各州の中で4番目に多い代議員が配分されているヴァージニア州では、130万以上の有権者が投票に参加した。2016年の時に比べて約70%の増加となった。2016年の民主党予備選挙では約78万3000人が参加した。今回の数字はこれまでの最高を記録した2008年の時も上回った。この時や100万に少し届かない数の人々が投票に参加した。

ノースカロライナ州では、2016年の時に比べて投票参加者数は約17%増加した。投票参加者に関する分析によると、テキサス州の場合には、4年前に比べて少なくとも45%以上も多い有権者が投票所に向かった。

コロラド州、メイン州、ミネソタ州、ユタ州といった今年から党員集会から予備選挙に形式を変更した各州でも、過去の選挙と今回の選挙の結果を比較することは難しいが、投票参加者数が大きく増加した。

今回の投票参加者数の増加は、民主党支持の有権者たちがトランプ大統領からホワイトハウスを奪還することについて熱意を持っていることを示す初期的な兆候と言える。

民主党系のストラティジストであるマイケル・スター・ホプキンズは次のように述べた。「今もし私がホワイトハウスで働いているか、トランプ選対にいるとして、選挙結果を見たら、心の底から恐怖を感じることでしょうね。ジョー・バイデンはどれほどの追い風を受けているのか分からなくなって、総投票数を見てしまうとね。トランプは選挙自体から逃げ出してしまうでしょうね」。

2016年に比べて投票参加者数を減らしたのはただ1州、オクラホマ州だった。火曜日の投票総数は30万4000だったが、4年前の約33万5000に比べて減少した。

もっとも、水曜日になってもいくつかの州では票の集計作業が続いている。カリフォルニア州では、およそ300万票が集計されたが、更に数百万票が集計を待っている状態だ。各郡の選挙の係員たちは木曜日までにどれだけの数の票が集計を待っているか報告しなければならない。

火曜日に投票者数が増えたことは穏健派の有権者がもたらしたものだ。穏健派の有権者たちはバイデンに重要な各州での勝利をもたらした。

バイデンの選挙運動は、土曜日のサウスカロライナ州の予備選挙での圧勝があってからの数日で勢いを取り戻した。サウスカロライナ州での勝利は、穏健派とアフリカ系アメリカ人有権者たちからの投票の結果だ。これらの有権者グループはサウスカロライナ州の民主党支持の有権者の過半数を占めている。

スーパーチューズデーでの勝利はインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジとエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)の選挙戦からの撤退も大きく貢献している。これによってバイデンは穏健派の有権者たちの支持を固めることができた。こうした有権者の大多数は、民主社会主義者を自認するバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に対する懸念を持ち続けていた。

出口調査の結果によると、テキサス州では、全投票参加者のうち43%が穏健派を自認する人々であった。この数字は2016年に比べ約10%も伸びた。2016年の時には34%だった。こうした動きは、ヴァージニア州、ノースカロライナ州、アラバマ州、そしてマサチューセッツ州でも見られた。マサチューセッツ州ではバイデンは1位となったが、全くの予想外のことであった。

穏健派の投票参加者数の増加はサンダースの敗北の原因となった。サンダースはこれまで、高い投票率、特に若い人々の得票率こそは彼の選挙に勝利をもたらすと主張してきた。

しかし、こうした若い有権者たちは火曜日にサンダースが望んだほどには投票所に行かなかった。出口調査の結果では、スーパーチューズデーで予備選挙が実施された14州を通じて、サンダースは18歳から29歳までの有権者たちの間で圧倒的な支持を獲得した。しかし、この年代の有権者の全有権者に占める割合が前回に比べて増加した州は1つもなかった。

民主党系のストラティジストであるホプキンズは「大学生くらいの年齢の有権者に頼っている候補者は誰でもたいてい失望する結果に終わっています」と述べた。

ホプキンズは続けて「35歳から上、65歳から上の有権者、この人たちは投票しています。この人たちは投票所まで足を運び、列に並びます。これはサンダースがこれから長年にわたって抱えることになる問題になるでしょう」。

サンダースは4つの州で勝利を収めた。その中には地元のヴァーモント州とカリフォルニア州での大勝利が含まれている。カリフォルニア州には最大の代議員が配分されている。しかし、サンダースはまたいくつかの州で得票率の低下を目の当たりにした。こうした州では穏健派の有権者たちが選挙に参加した。

2016年の大統領選挙の際、オクラホマ州では、サンダースがヒラリー・クリントンに大差をつけて勝利した。今回はバイデンが13ポイントの差をつけてサンダースに勝利した。同時に、同州の予備選挙参加者の中で穏健派の割合が15%も増加している。出口調査の結果では、4年前は36%だったのが今年は51%になった。

火曜日にロサンゼルスで行った勝利演説の中で、バイデンは今回の予備選挙の結果は、自分が他喉のライヴァルよりもより幅広い人々をまとめた連合を構築してきたことを示す証拠であると述べた。また、スーパーチューズデーの投票参加者数の増加は勝利をもたらしてくれたとも述べた。

バイデンはサンダースと彼が発する政治革命のメッセージに対する皮肉を込めながら、「人々は革命について話します。一方で私たちは投票参加者数を増やしました。この人たちは私たちのために投票所に足を運んでくれたのです」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。
※このブログのオリジナルのタイトルは「、エリザベス・ウォーレン(とトゥルシー・ギャバ―ド)とマイケル・ブルームバーグはどうするんだ:はっきり言っていなくなってよ、ということに」でした。しかし、速報でマイケル・ブルームバーグが選挙戦から撤退し、バイデン支持表明が入ってきたのでタイトルを変更します。

 スーパーチューズデーの勝敗の結果はだいたい出揃ったが、正確な代議員の配分数は現在のところ決まっていない。ジョー・バイデンが大勝し、バーニー・サンダースは事前の各種世論調査の数字よりも悪く、事前にトップを取れると思われていた州でバイデンに敗北した。マイケル・ブルームバーグも期待外れの結果に終わった。バイデンが勢いを取り戻したためにそれにはじかれてしまった形だ。エリザベス・ウォーレンは地元マサチューセッツ州でバイデン、サンダースに敗れ3位に終わった。

 こうした中で、進歩主義派の中から「まとまろう(=ウォーレンとギャバ―ドを撤退させよう)」という動きが出そうである。アレクサンドリア・オカシオ=コルテスと同じく新人連邦下院議員であるイルハン・オマルがツイッター上で「進歩主義派でまとまろう、まとまっていたら勝てた」という糾弾を行った。その矛先は明言していないが、進歩主義派の候補者であるウォーレンとトゥルシー・ギャバ―ドである。ギャバ―ドはスーパーチューズデーでアメリカ領サモアにおいて2位に入り、代議員1名を獲得した。全く蚊帳の外の候補者であるが、2016年にはサンダースを応援した人物だ。彼女が取る1%くらいの得票でも今となっては重要だ。ウォーレンはもっと票を獲得するのだから、サンダース支持者からすれば更に邪魔である。

 ウォーレンもギャバ―ドも意志の強さは一級品である。サンダースの狂信的な支持者であるバーニー・ブラザーズから執拗な攻撃を受けてもひるむことはないだろう。ギャバ―ドは予備役ではあるがハワイ州軍の士官でイラクとアフガニスタンで軍務に就いた経験を持つ。しかし、ギャバ―ドはサンダースが説得すれば一本化に乗るかもしれない。問題はウォーレンだ。ウォーレン自身は民主党エスタブリッシュメント派、主流派との関係は悪くない。ここで選挙戦は撤退するが、誰にも支持表明しないということになれば、ウォーレンの支持者の一部はサンダースにはいかないこともある。ウォーレン支持者からすればサンダースこそが邪魔な存在なのだ。

 進歩主義派としては一本化して、来週のミシガン州でなんとしてもサンダースを勝利に、できれば大勝利に導きたい。これができれば、サンダースが巻き替えることも可能だ。前回の大統領選挙で民主党が敗北し、トランプを当選させることになったミシガンで勝つ、ということは大きなアピールになる。

 一方、中道派からすると、マイケル・ブルームバーグの動向は重要だ。ブルームバーグは豊富な資金力でテレビ広告を放映し、多くのスタッフを雇って選挙運動を展開し、一気に有力候補にまで台頭した。しかし、ネヴァダ州とサウスカロライナ州での討論会で弱い姿を晒した上に、バイデンが勢いを取り戻したために、スーパーチューズデーで予想を下回る結果しか得られなかった。


 日本時間2020年3月5日0時10分頃に、マイケル・ブルームバーグの選挙戦のsuspend(サスペンド、一時停止する)が報道された。ここで使われるsuspension(サスペンション、一時休止)とwithdraw(ウィズドロー、撤退する)の名詞withdrawal(ウイズドロウアル、撤退)は厳密には意味が違うのだが、選挙戦からの撤退ということになる。また、ブルームバーグがバイデン支持を表明という報道も入ってきた。これで中道派は一本化された。進歩主義派はこの1週間でまとまる、つまりウォーレンとギャバードを選挙戦から撤退させられるか、しかもあまり揉めることなく、ということが焦点になる。

(貼り付けはじめ)

バイデンが火曜日の夜に大勝を収めた時、オマルは「統一された進歩主義派の運動」の欠如を声高に糾弾する(Omar calls out lack of 'united progressive movement' as Biden wins big on Super Tuesday

レベッカ・クレアー筆

2020年3月4日

『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/485868-omar-calls-out-lack-of-united-progressive-movement-as-biden-wins-big-in

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の選挙運動を支えているイルハン・オマル連邦下院議員(ミネソタ州選出、民主党)は、「統一された進歩主義派の運動」があれば、彼女の地元ミネソタ州でサンダースに勝利をもたらすことができただろうがそれができなかったと示唆した。火曜日にジョー・バイデン前副大統領がミネソタ州で予想外の逆転勝利を収めた後にオマルの発言はなされた。

オマルは火曜日夜にツイッター上に次のように投稿した。「昨夜穏健派がまとまったように進歩主義派がまとまっていたらどうなったかを想像しよう。誰が勝利を収めていただろうか?これこそ私たちが分析すべきことである。統一された進歩主義派の運動があれば「一緒に構築する」ということができ、僅差で敗れたミネソタ州や他の州で勝利を収めることができたのだ」。

イルハン・オマルのツイート

スーパーチューズデーでバイデンはミネソタ州において予想外の勝利を収めた。最新の世論調査では4位に沈んでいたのに大逆転で勝利した。

エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)が月曜日の夜に選挙戦を停止してバイデン支持を表明した後、バイデンの驚きの勝利がもたらされた。インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジもまた選挙戦を終えた後にバイデン支持を表明した。昨年11月に選挙戦から撤退したビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)もそれに倣った。

2016年の大統領選挙民主党予備選挙でサンダースはミネソタ州で勝利したが、火曜日の選挙ではバイデンに続く2位となった。

サンダースはエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)と共に選挙戦に残っている進歩主義派の候補者である。ウォーレンは選挙戦を続け、火曜日には地元マサチューセッツ州で勝利を収めることができなかった。

 マサチューセッツ州で勝利したのはバイデンで、続く2位にはサンダースが入り、ウォーレンは3位となった。

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スーパーチューズデーでの不振を受けてブルームバーグは選挙運動を見直す(Bloomberg to reassess campaign following lackluster Super Tuesday showing

マックス・グリーンウッド、エイミー。パーネス筆

2020年3月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/485856-bloomberg-to-reassess-campaign-following-lackluster-super-tuesday-showing

ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは水曜日、スーパーチューズデーで実施された各州での予備選挙の結果が不振だったことを受けて、民主党予備選挙全体について見直すことを決めた。ブルームバーグ選対に近い複数の関係者の証言で明らかになった。

ブルームバーグは昨年11月に選挙戦を始めたばかりで、自身の財産から数億ドルを投じてテレビ広告を放映し、スーパーチューズデーで予備選挙の投開票が実施される14州に選挙運動のための組織を構築した。

火曜日に投開票が実施された各州での予備選挙はブルームバーグが初めて候補者登録された選挙となった。ブルームバーグはアイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州、サウスカロライナ州での予備選挙に立候補者登録をせず、スーパーチューズデー以降に集中するという戦略を採用した。

しかし、結果は彼自身の期待を大きく下回るものとなった。ヴァージニア州とノースカロライナ州を含む彼が特に資金を多く投入した各州で期待外れとなった。

ジョー・バイデン前副大統領がこれらの州に加えてアラバマ州、アーカンソー州、テネシー州、ミネソタ州で勝利を収めた。一方、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)はヴァーモント州、コロラド州、ユタ州で勝利を収めた。

こうした結果はブルームバーグに失望をもたらした。ブルームバーグの選挙戦は、先月から始まった予備選挙でバイデンの支持が下落することを前提にして行われてきたものだった。

ジョー・バイデンはアイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州で期待を大きく下回る惨敗を喫したが、週末のサウスカロライナ州で圧勝し、スーパーチューズデーに向かって大きな勢いを得ることになった。

ここ数日のうちに起きた穏健派のライヴァルたち、インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジとエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)の決心によってバイデンの勢いが増した。2人は選挙戦から撤退し、バイデン支持を表明した。

穏健派のバイデンを中心とした合同は、バイデンの民主党の候補者指名獲得への道のりを複雑なものにした。火曜日に発表した声明の中で、ブルームバーグ選対の責任者ケヴィン・シーキーは、ブルームバーグが選挙戦に出馬表明してからほんの数カ月で有力候補にまで台頭した実績を強調した。

しかし、シーキーは予備選挙におけるブルームバーグの次の一手はどのようなものになるかについては語らなかった。

シーキーは次のように述べた。「今夜、3分の1の代議員が配分されたに過ぎない。マイクが今夜述べたように、今夜私たちがどれだけの数の代議員を勝ちとる結果になっても、これまで誰も可能だなどと考えたこともなかったことを私たちは成し遂げたのだ。わずか3カ月の選挙運動で、最初支持率1%のところから民主党の候補指名を争う有力候補にまでなることができたのだ」。

シーキーは更に「私たちにとっての最重要の課題は変わらない。今年11月にドナルド・トランプを倒すことだ」とも語った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。
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 スーパーチューズデーの投開票が始まった。全米14の州と1つの自治領で宣誓済み代議員1344名を争う戦いだ。全宣誓済み代議員数が3979なので、約3分の1の行方が決まる。先に書いておくが、来週のミシガン州がサンダースにとっては極めて重要となる。前回の大統領選挙でトランプに負けたのは、民主党が地盤だと考えていた中西部、五大湖周辺州でヒラリーが勝てなかったからだ。中西部奪還は民主党の悲願である。そのために今回の選挙では中西部に強い候補者を選ばねばならない。中西部出身者であるピート・ブティジェッジとエイミー・クロウブッシャーが選挙戦から撤退しバイデン支持を表明しているので、バイデンは追い風が吹いている。来週のミシガン州でサンダースが勝てるかどうかが注目される。

 スーパーチューズデーの正式な結果が出るのは時間がかかる。最大の代議員415名が配分されているカリフォルニア州の正式な結果が出るのは日本で明日になるかもしれない。
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 現在までのところ、バイデンが1位となると見られているのは、アラバマ州、アーカンソー州、マサチューセッツ州、ミネソタ州、ノースカロライナ州、テネシー州、テキサス州、ヴァージニア州で、サンダースが1位となると見られているのは、カリフォルニア州、コロラド州、ユタ州、ヴァ-モント州、ブルームバーグが1位となったのは、アメリカ領サモアだ。メイン州では接戦が続いている。

 バイデンは2月29日のサウスカロライナ州での圧勝の勢いとエイミー・クロウブッシャー、ピート・ブティジェッジ、ビトー・オロークといった大統領選挙で戦った人々からの支持表明もあって、急激な状況気流に乗って、サンダース包囲網を形成している。サンダースはこの包囲網に苦しめられた結果となった。南部諸州では元々バイデンは強かったが、さらに勢いがついた上に、サンダースがリードしていたマサチューセッツ州とテキサス州ではバイデンが逆転した形となっている。また、ミネソタ州では地元出身のクロウブシャーが支持率1位を記録していたが、バイデン支持と表明したことで、2位につけ凍てたサンダースを3位のバイデンが追い抜く形になった。
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スーパーチューズデー前の代議員数(濃い青色が選挙で争う宣誓済み代議員数)
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CBSによる代議員配分の途中経過報道
 サンダースは地元ヴァ-モント州で圧勝したが、配分されている代議員数は16だ。カリフォルニア州、ユタ州、コロラド州といった西部諸州で勝利を収めたが、バイデンをどれくらい引き離せるかが注目される。民主党の金城湯池ブルーステイトは、アメリカ東海岸と西海岸であるが、実のところ、両岸でしっくりいかない。西部は東部に対して「気取りやがって」という感情を持ち、東部は西部に対して「あいつらは過激すぎる」と考えている。アメリカの基準では過激な主張をしているサンダースが西部諸州で1位となったのは当然である。東部の人たちは東部の人を選ぶという伝統があるが、サンダースはマサチューセッツで勝てなかった。あいつは東部的ではないと考えられているのだろう。

 ブルームバーグは正式な選挙のデビュー戦となったが、かけたお金を考えると厳しい結果となった。芸能人でも期待の新人でデビューの時に多額の資金をかけたのにうまくいかなかったということがあるが、そのような感じだ。これではあいつはダメだということになり、ますますじり貧のスパイラルに陥ってしまうだろう。撤退もささやかれる。

 ウォーレンは地元マサチューセッツ州で3位に終わりそうということで本格的に撤退論が出てくるだろう。彼女自身は来週のミシガン州も頑張るぞという発信をしているが、どうなるか分からない。

 24名以上の候補者がひしめき合ったアメリカ大統領選挙民主党予備選挙もサンダースとバイデンの2人に絞られることになった。サンダースは若い人々やヒスパニックといった有権者層には絶大な人気があるが、それだけでは選挙に勝てない。バイデンはアフリカ系アメリカ人の人気は高いが、ヒスパニック系の人気が低い。お互いがお互いの弱点をどう克服するか、時間がない中でどのような動きをして支持を拡大させていくか注目される。

 アイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州で大惨敗、ボクシングで言えばノックダウンされてカウント9まで立てなかったバイデンが復活して猛ラッシュで逆転している状況だ。

(貼り付けはじめ)

スーパーチューズデーで見るべき5つの州(5 states to watch on Super Tuesday

ジュリア・マンチェスター筆

2020年3月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/485578-5-states-to-watch-on-super-tuesday

大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちは予備選挙において最も重要なスーパーチューズデーを迎える。14の州で投開票が実施され、1300名の代議員が配分される。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)はニューハンプシャー州とネヴァダ州での勝利、アイオワでの引き分けの後に先頭走者としてスーパーチューズデーに進んできた。しかし、ジョー・バイデン前副大統領はサウスカロライナ州での圧勝の後に勢いがついている。

スーパーチューズデーはニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグのデビュー戦ともなる。これまでの3日で、エイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジ、大富豪トム・ステイヤーが選挙戦からの撤退を表明し、ブルームバーグにとっては有利な状態で選挙を迎えることになる。

火曜日に注目すべき重要州を見ていこう。

(1)カリフォルニア州

カリフォルニア州はスーパーチューズデーの夜における最大のご褒美ということになる。415名の代議員が配分されている。

サンダースは現在のところカリフォルニア州での勝利が確実視されている。しかし、バイデンはサンダースの支持を削り取る可能性を持っている。

リアルクリアポリティックスは、カリフォルニア州での民主党予備選挙に関する各種世論調査の数字の平均を発表している。それによると、サンダースは2位に17ポイントの大差をつけてリードしている。しかし、バイデンはここ最近の調査で支持率の数字を上げている。

月曜日に発表されたCBSニュース・YouGovの共同世論調査の結果では、カリフォルニア州でのサンダースの支持率は31%だったのに対して、バイデンは19%だった。ウォーレンは18%だった。

ブティジェッジとクロウブシャーを支持していた有権者たちからの支持を得ることで、バイデンは支持を伸ばすことになる。これによって、バイデンは得票率15%の条件をクリアできる可能性が大きくなり、それによってカリフォルニア州で勝利を得られなくても、代議員の配分を受けることができる。

全国民主訓練委員会の創設者であり責任者であるケリー・ディエットリッチは「私たちはもう4、5、6人でポットを分け合うことはありません。私たちは今3人で分け合っています」と述べている。全国民主訓練委員会は選挙に出馬し公職を目指す民主党員を訓練する組織である。

しかし、ブルームバーグはカリフォルニア州でテレビ広告だけでも3600万ドルを投じており、ブルームバーグがどれほどの影響を選挙戦に与えているかを見る必要がある。

民主党系のステラティジストであるブラッド・バノンは次のように語っている。「ブルームバーグはカリフォルニアでうまくいっていないと思いますよ。バイデンがわずか3日前の時の彼と比べて、見違えるように強力な候補者となっている事実があります。バイデンと同じ穏健派の候補であるブルームバーグはこのために支持を減らすでしょう」。

バノンは「ブルームバーグの選挙戦略の1つはバイデンの弱さにつけ入るというものでしたが、バイデンが強力な候補者になってしまっているのです」と述べた。

(2)テキサス州

テキサス州は全米で2番目に多くの代議員が配分されている。その数は228だ。現在のところ、サンダースが支持率でトップだが、カリフォルニア州に比べて、バイデンとの差はかなり小さい。

リアルクリアポリティックスが発表しているテキサス州の支持率の平均では、サンダースがバイデンに6ポイントの差をつけている。

サンダースは、ネヴァダ州での勝利が多くをヒスパニック系有権者によっていたこともあり、テキサス州内のラティーノ共同体の中で強力な支持を固めてそれに依存している。

「ラティーノ・ディシジョンズ・フォ・ウニヴィジョン」社とテキサス大学メキシコ系アメリカ人研究センターの共同世論調査の結果によると、テキサス在住のヒスパニック系有権者の間で、サンダースの支持率は31%だったのに対して、ブルームバーグは23%、バイデンは19%だった。この世論調査の結果はサウスカロライナ州での予備選挙の前に発表されたものだ。

民主党系のステラティジストで、クリントン政権とオバマ政権のホワイトハウスでアドヴァイザーを務めたモー・ヴェラは、テキサス州のような場所で良い結果を得るため、バイデンはヒスパニック系の支持を伸ばさねばならないと述べた。

「トランスペレント・ビジネス」社の役員を務めるヴェラは本誌の取材に対して、「バーニー・サンダースは称賛に値しますね。彼と並びたいと思うなら、バイデンはラティーノの有権者に対して行動を起こす必要があります」と語った。

(3)マサチューセッツ州

マサチューセッツ州は、ウォーレンの選挙結果が振るわないものとなれば、ウォーレンの選挙運動の終焉の鐘となる可能性が高い。彼女の知名度は抜群に高く、マサチューセッツ州を地盤とする進歩主義派の連邦議員の一部から支持表明を受けている。その中にはエド・マーキー連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とジョー・ケネディ連邦下院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が含まれている。しかし、こうした好条件があるにもかかわらず、最近の各種世論調査の結果では、ウォーレンは地元でも支持率を下げている。

土曜日に発表されたサフォーク大学・『ボストン・グローブ』紙・WBZテレビの世論調査では、ウォーレンと同じニューイングランド地方を地盤とするサンダースがマサチューセッツ州で支持率24%を記録しトップとなった。ウォーレンは22%で2位につけた。この差は世論調査の誤差4.4ポイント以内の数字だ。

先週初めに発表されたWBURの世論調査では、2人の差はより大きかった。サンダースの支持率は25%で、ウォーレンは17%だった。この時の調査の誤差は4.9ポイントだった。

ニューハンプシャー州での彼女のパフォーマンスは、マサチューセッツ州でどれくらいうまくやれるかを示すものであった。ニューイングランドの各州はニューイングランドから出ている地元出身の候補者を選ぶことで有名だ。2016年も2020年もニューハンプシャー州ではバイデンが勝利した。

対照的に、同じニューイングランド出身のウォーレンはニューハンプシャー州で、中西部出身のブティジェッジとエイミー・クロウブッシャーに負けて4位となった。

バノンは「ウォーレンは明日マサチューセッツで必ず勝たねばならないと思います。次に進むためにもどうしても勝たねばなりません。自分の地元の州で勝てないのに、有権者に投票してくださいなんてどうして言えますか?」と述べた。

(4)ヴァージニア州

ヴァージニア州はスーパーチューズデーで投開票が行われる州の中で4番目に多い代議員が配分されている。そして、ブルームバーグはヴァージニア州を重視してきた。

ブルームバーグはヴァージニア州を7回訪問した。これはスーパーチューズデーの各州の中で最も多い回数だ。ブルームバーグ選対はヴァージニア州全体に8つの事務所を置いた。その中には共和党が優勢なダンヴィルとロアノケも含まれている。ヴァージニア全体には80名のスタッフが配置されている。

ブルームバーグ選対は、2019年に民主党がヴァージニア州議会で過半数を取り戻したこととヴァージニア州でのより厳しい銃規制に触れ、そのまま民主党がヴァージニア州をコントロールし続ける必要があることを強調している。

2007年にヴァージニア工科大学で起きた銃撃による大量殺人事件が起きて以降、ヴァージニア州の政治においては銃規制が重要な問題となっている。

ブルームバーグの上級アドヴァイザーであるティム・オブライエンは本誌に対して「ヴァージニア州は民主党の将来を示す縮図です。穏健派、進歩主義派、郊外の有権者で構成されています」と述べた。

ブルームバーグは土曜日にヴァージニア州マクリーンの選挙動員集会に参加し、2019年のヴァージニア州での選挙への自分の貢献を強調した。

ブルームバーグは歓声を上げる聴衆を前に「昨年の秋の連邦議員選挙でヴァージニア州から民主党の議員を出すための手助けをするということが大変重要でした。私はその貢献ができたことを今でもとても嬉しく思っています」と述べた。

しかし、各種世論調査の結果を見ると、ブルームバーグはヴァージニア州ではサンダースとバイデンを追いかける展開となっている。サウスカロライナ州での圧勝の後、バイデンはブルームバーグのヴァージニア州での勝利の芽を摘み取る可能性が大きくなっている。

バイデンは最近になってヴァージニア州の民主党の重要な人物たちの多くから支持表明を受けている。テリー・マカフィー元ヴァージニア州知事、ティム・ケイン連邦上院議員、イレイン・ルリア連邦下院議員、ボビー・スコット連邦下院議員は日曜日夜にヴァージニア州ノーフォークで開かれたバイデンの選挙集会に参加し、支持表明を行った。この選挙集会でバイデンはロックスターのような歓声を受けた。

(5)アラバマ州

アフリカ系アメリカ人有権者は、アラバマ州の民主党予備選挙有権者の大きな部分を占める。民主党の背骨だと広く考えられている有権者グループにアピールしたいと考えている候補者たちにアラバマ州は重要である。

「ファイブサーティーエイト」の予想では、バイデンがアラバマ州で勝利する確率は61%だ。

サウスカロライナ州での圧勝の後、バイデンはアフリカ系アメリカ人有権者からの支持を固めている。バイデンは日曜日、アラバマ州セルマで開かれた公民権運動の行進を記念するイヴェントに出席し、温かい歓迎を受けた。

民主党系のストラティジストであるジャマル・サイモンズは本誌の取材に次のように答えた。「穏健派のアフリカ系アメリカ人は民主党支持の有権者の大多数を占めていると思いますよ。それが言い過ぎだとすれば少なくとも大きな部分をね。アフリカ系アメリカ人で年齢を重ねていくと、アラバマ州、ミシシッピ州、ジョージア州で民主党の幹部クラスになっていく人が多いんです。こうした人々は穏健派とまでは言えない場合でもとても現実的です。そのためにこうした人々はよりジョー・バイデンを支持するということになるんです」。

サンダースは非白人の若い有権者の支持に頼っているが、サンダースとバイデンはサウスカロライナ州での予備選挙では若いアフリカ系アメリカ人有権者の支持を分け合ったように見られる。アラバマ州においては、進歩主義派の連邦上院議員であるサンダースにとってこれは良い兆候ではないということになるだろう。

サイモンズはサウスカロライナ州を念頭に置きながら、「バーニーは他の州に比べて、あそこでは若いアフリカ系アメリカ人たちの支持を得ることができなかったんですよ、うまくいかなかったんですよ」と述べた。

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 古村治彦です。

 いよいよ民主党予備選挙の山場であるスーパーチューズデーが始まる。3月3日に14の州と1つの自治領(アメリカ領サモア)で予備選挙が実施される。ここで宣誓済み代議員の約3分の1にあたる1344名の代議員が決まる。これまでの4つの州の合計代議員が155であることを考えると、スーパーチューズデーの重要性が分かる。中でもカリフォルニア州には415名、テキサス州には228名、ノースカロライナ州には110名と1つの州で100名を超える配分がなされている巨大州での動向が重要である。
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 先ほど、エイミー・クロウブシャーが選挙戦からの撤退とジョー・バイデン支持を表明した。その前にはピート・ブティジェッジがバイデン支持を表明した。バイデンは「ピートは私の亡くなった息子ボウを思い出させてくれる」と称賛した。また、選挙戦からかなり前に撤退していたビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)も地元テキサス州でバイデン支持を表明した。一気にサンダース包囲網が形成されつつある。サンダースはこの包囲網を食い破ることができるかということが焦点になる。
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 最新の世論調査の結果では、サンダースがリードを保っている。カリフォルニア州でもテキサス州でもバイデンにある程度の差をつけてリードしているが、楽勝ムードではない。サンダースとしてはウォーレンが邪魔になりつつあるが、ウォーレンはスーパーチューズデーで地元マサチューセッツ州での予備選挙の結果を見て撤退するということになるだろう。バイデンとしてもマイケル・ブルームバーグが邪魔であるが、ブルームバーグの討論会での酷いパフォーマンスや金持ちが資金力で選挙を買っているという批判も高まっており、支持率は下がっている。バーニー・サンダースの狂信的な支持者である若者たちは、ウォーレンには選挙戦から降りるように攻撃を仕掛けつつ、ブルームバーグには頑張って欲しいと応援するというような動きをすることも考えられる。

 サンダースがカリフォルニア州でバイデンに大きな差をつけられず、サンダースがカリフォルニア州でバイデンに大きな差をつけられず、テキサス州でバイデンが1位ということになるとサンダースの先頭走者の位置も危うくなる。
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 更に、ウォーレンが選挙戦から撤退して、サンダースを応援するのかどうかということも不透明である。ウォーレンが誰も支持しない、もしくはバイデンを支持するということになれば、サンダース包囲網は完成ということになる。そうなれば、完全な分断状態ということになるだろう。サンダース支持者たちは「予備選挙において宣誓済み代議員獲得数で1位であれば、たとえ全国大会の1回目の投票で過半数が取れなくても1位の候補者が党の指名候補となるべきだ」と主張しているが、こういう状況になってくると、バイデンが過半数を取れないで1位で全国大会に臨むという可能性も出てきた。その時にサンダース支持者がどうするかということが注目だ。暴れて1968年の全国大会以来の流血の惨事ということも考えられる。スーパーチューズデーは要注目であるが、結果が出るまで時間がかかることは覚悟しておかねばならない。国内で3時間の時差があるのに、東海岸のマサチューセッツ州から西海岸のカリフォルニア州で選挙、アメリカ領サモアでは党員集会が開かれる。

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サウスカロライナ州での勝利の後バイデンの支持率が全国規模の調査で7ポイント上昇(Support for Biden rises 7 points nationally after South Carolina win

ザック・バドリク筆

2020年3月2日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign-polls/485507-support-for-biden-rises-7-points-nationally-after-south-carolina-win

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は全国規模の世論調査で民主党予備選挙候補者の中でトップに立っているが、「モーニング・コンサルト」社の最新の世論調査の結果によると、ジョー・バイデン前副大統領が土曜日のサウスカロライナ州での予備選挙で圧勝してから7ポイントも支持率を上げていることが分かった。

全国規模の世論調査の結果では、サンダースの支持率は29%で、対するバイデンは26%である。続くニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグの支持率は17%で、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)の支持率は11%だ。

同社がサウスカロライナ州での予備選挙の前に行った世論調査では、サンダースの支持率は32%で、バイデンの支持率は19%だった。

インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジとエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は共に既に選挙戦からの撤退を表明したが、最新の世論調査が実施された時点ではまた発表がなされていなかったために、それぞれの支持率は10%と3%だった。

前回の世論調査ではアフリカ系アメリカ人の間での支持率でサンダースは単独トップだったのだが、今回の世論調査では31%でバイデンと同率首位となった。バイデンはヒスパニック系有権者の間での支持率を9ポイント伸ばして21%したが、それでもサンダースは誌パニック系有権者の間での支持率で圧倒的な差をつけてリードしている。ヒスパニック系有権者はスーパーチューズデーで投開票が実施されるテキサス州とカリフォルニア州で重要な役割を果たすことになる。

スーパーチューズデーで投開票が実施される14州の世論調査の結果の平均では、サンダースが大差でリードしている。サンダースの支持率が33%に対してバイデンは24%だった。しかし、ここでもバイデンは支持率を7ポイント伸ばしている。ブルームバーグはこれまでの4つの予備選挙では候補者登録をしておらず、火曜日が公式に初めての選挙ということになるが、支持率は4ポイント下落して16%となった。

今回の世論調査は2020年2月23日から27日にかけてと3月1日に2656名の民主党予備選挙戦か予定者を対象に実施された。誤差は2ポイントだ。

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 古村治彦です。
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 インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジが選挙戦からの撤退を発表した。昨年1月に出馬検討を表明してからしばらくは支持率ゼロ%の全くの無名候補であったが、3月にCNNのタウンホールミーティング形式番組での丁寧かつ当意即妙なやり取りが話題となり、MSNBCでも取り上げられ、人気が出てきた。そして有力候補の仲間入りとなった。日本では急に出てきたように報道されてきたが、昨年の3月から既に有力候補者であった。ハーヴァード大学卒業、ローズ奨学生でオックスフォード大学院留学、8か国語を操り、市長時代に南北戦争時代につくられた条例(輜重は休職して軍務に就くことができる)を利用して海軍の情報士官としてアフガニスタン派遣、そして同性愛者で配偶者チャステンと共に選挙運動をするなど人々の注目を集める存在だった。

 ブティジェッジの撤退のタイミングは、バイデンのサウスカロライナ州でも予想よりも多くの得票を得ての圧勝の後ということもあって、バイデンを勢いづかせるものだ。大富豪のステイヤーもほぼ同時期に撤退を発表しているが、こちらもバイデンへの支援ということになる。ステイヤーの場合は献金を通じてこれから支援ができるということになる。

 サンダースはサウスカロライナ州での敗北は織り込み済みであったが、予想よりも低い得票率しか上げられなかった。これはサンダースにとってはブレーキとなる。中道派がまとまりを見せようという中で、サンダースにとってはウォーレンの存在が少し邪魔になってきていると思う。

 今回のブティジェッジの撤退はいろいろと「約束」があるのだろうと思う。今の民主党は、簡単に言えば「オバマの党」と「サンダースの党」に分裂している。ブティジェッジは完全にオバマの党の一員だ。インディアナ州サウスベンド市はインディアナ州の北部で、シカゴに近い。ブティジェッジは選挙本部をサウスベンド市に置いたが、シカゴにも同等の機能を持つ本部を設置している。私はこのことを知った時に、オバマにかなり気を遣っているとこのブログでも書いたが、オバマが大統領退任直前のインタヴューで、民主党には多くの未来のための人材がいる、として全く無名のブティジェッジの名前を挙げていたことも考えると、今回の撤退はオバマからの何らかの話があってのことではないかと思う。もっと言えば、オバマによるバイデンへの間接的な支援であったのではないかと思う。

 ブティジェッジの主張は進歩主義派と中道派の中間のようなもので、「いいとこどり」という批判がなされてきた。そのために進歩主義派の一部と中道派の一部からの支持を集めるという形になった。「モーニング・コンサルト」社の世論調査での「ブティジェッジ支持以外の方に聞きます。ブティジェッジの次に支持する候補者は誰ですか?」という質問に対する答えが「サンダース:21%、ウォーレン:19%、バイデン:19%、ブルームバーグ:17%」という結果であった。この数字を見ると、ブティジェッジ支持者の「二番目のお気に入り(second favorite)」はバラけているということが分かる。従って、同じ中道派であるバイデンもしくはブルームバーグに多くの支持が集まるということはない。

 ブティジェッジは地元インディアナ州サウスベンド市で撤退演説を行った。支持者たちは「2024!」と声を合わせて叫んだ。「2024年の大統領選挙では頼むよ!」ということであるが、果たしてブティジェッジにその目があるのかどうか、可能性は低いと言わざるを得ない。年齢に関しては4年後でも40代はじめであり、朝5時からジムに行って汗を流してスリムな体系を維持するなど健康維持に努めていることから、大丈夫であろう。問題は以下の2点だ。

 まず、ブティジェッジは非白人からの支持獲得に苦闘していた。アフリカ系アメリカ人に関しては、市長時代に市政史上初のアフリカ系アメリカ人の警察本部長を更迭したことで、アフリカ系アメリカ人たちからの評判が悪い。これは本部長となった人物が、警察署内で自分に対する人種差別的な発言があるということを聞き、更衣室に盗聴器を設置、警察官たちの発言を録音していて、実際に差別発言があったことが分かったという事件だ。この事件でブティジェッジは、「盗聴器を仕掛けるということが法律にのっとって行われなかった」ということで本部長を更迭した。これがアフリカ系アメリカ人たちから批判を受けることになった。

また、アフリカ系アメリカ人には同性愛者を忌避する傾向が強い。これは、ブティジェッジが昨年ニューヨークを訪問し、黒人共同体の指導者アル・シャープトン師との会談で、シャープトン自身も認めていることだ。これはヒスパニック系も同様で、ヒスパニック系に多いカトリック信者もまた同性愛者を忌避する傾向が強い。また、白人で「完璧なエリート」であるというところは生理的に受け付けないということもあるようだ。

 次に、各種世論調査でもはっきり出ているが、ブティジェッジは自分と同世代から下の若者たちからの人気がない。彼自身が属するミレニアル世代(20代半ばから30代後半まで)とZ世代(投票ができる18歳から20代半ばまで)の民主党支持者の圧倒的多数は「民主社会主義者を自認する」バーニー・サンダース支持である。ブティジェッジの持つエリート臭も相まって、ブティジェッジは人気が低い。4年後となればこの世代はますます民主党内で存在感を増していく。高齢者は自然減ということになる。彼が得意だったであろう勉強で例えるならば、苦手科目の克服、非白人と若者からの支持獲得が必要となる。

 更に言えば、2024年に民主党がどのような状況になっているかは不明だ。分裂しておらず、また今年のように大統領選挙予備選挙ができればよいが、先行きはいささか不透明だ。

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ブティジェッジが大統領選挙から撤退(Buttigieg dropping out of presidential race

ジュリア・マンチェスター筆

2020年3月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/485392-buttigieg-drops-out-of-presidential-race

ピート・ブティジェッジはサウスカロライナ州での失望感溢れる敗北を受けて大統領選挙から撤退する。全国的に全く無名だったインディアナ州サウスベンド市前市長の流星のような華々しい登場から台頭は、民主党指名候補者争いにおいて多くの彼よりも有名なライヴァルたちをなぎ倒して進んできたがそれも終わる。

ブティジェッジはサウスベンドに向かっている。今夜地元サウスベンド市で発表を行う予定だ。

当時市長だったブティジエッジは昨年4月末に選挙戦への正式出馬を表明した。そして、融合に関するメッセージとワシントンの世代交代を行うという公約を発表した。

ブティジエッジは自分自身を、進歩主義派のバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)とエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)に対する、より現実的な選択肢になり得る存在と規定し、「メディケア・フォ・オール・フー・ウォント・イット(Medicare for All Who Want It"、希望者だけのメディケア・フォ・オール)」計画を打ち出した。

ブティジエッジはまたあらゆる層の穏健派の人々を惹きつけようと努力した。「将来“元”共和党支持者と呼ばれるようになる人々(訳者註:今は共和党支持だけど将来変わるかもしれない人々)」との対話について彼はよく話した。

ブティジェッジはまた主要政党の大統領選挙候補者としては史上初めて同性愛者を公言した人物として歴史に名前を残した。彼の配偶者チャステン・ブティジェッジは選挙運動で大きな役割を果たしてきたが、特にSNSでは顕著だった。

連邦議員として初めてブティジェッジへの支持を表明したドン・ベイヤー連邦下院議員(ヴァージニア州選出、民主党)は本誌の取材に対して次のように答えた。「悲しみ。失望。大いなる敬意。ピートは自分で考えて自分で決めました。彼は自分を支持してくれる有権者が火曜日に意味のある投票をしてもらえるようにしたいと考えました。ミルウォーキーの全国大会で勝利できる可能性がある候補者に投票してもらいたいと考えました。ピートにとっての最良の日々はまだこれからです。選挙期間中、彼には数多くのアメリカ国民から敬意と愛情を注がれました」。

選挙戦を始動させてから、各種世論調査でのブティジェッジの支持率の数字は変動した。彼の選挙運動が最高に盛り上がったのは、アイオワ州での党員集会の結果獲得代議員数において僅差でサンダースを破った場面であった。

しかしながら、ネヴァダ州とサウスカロライナ州で敗北を喫し、それぞれ3位と4位に終わった。ブティジェッジは非白人有権者たちからの支持を引き出すのに苦労してきた。とくにアフリカ系アメリカ人からはそうで、いくつかの世論調査では支持率ゼロ%を記録した。

ブティジェッジに批判的な人々は彼がサウスベンド市長時代に行ったいくつかの決定などについて人種差別的であったという要素を強調して攻撃を行った。その中にはサウスベンド市史上初のアフリカ系アメリカ人の警察本部長の更迭も含まれていた。

ブティジェッジの選挙戦からの撤退の決心は、大富豪のトム・ステイヤーがサウスカロライナ州での敗北を受けて土曜日の午後に選挙戦を停止すると発表した後に発表された。

ブティジェッジは中道派の有力候補としては初めての選挙戦撤退を決めた人物ということになる。残る中道派の有力候補者は、ジョー・バイデン前副大統領、エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグ(ニューヨーク州、民主党)となる。

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