古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ミット・ロムニー

 古村治彦です。

 

 トランプ政権の骨格が固まりつつあります。たくさんの名前が閣僚候補として浮上してきます。こうした名前を出すのは新聞社ですが、何の根拠もなく、記者の思い付きで名前を出している訳ではなく、取材をして、その名前を聞き出してきて記事として出すのですから、それぞれに可能性がゼロ、全くないということはありません。

 

 トランプとしては、自分たちと争った人物であっても能力や考えを認めれば、閣僚にする、重要ポストに就けるということを行っています。女性蔑視だとも攻撃されましたが、能力を認め、ニッキー・ヘイリーを米国連大使に、ベッツィー・ディヴォスを教育長官に起用しました。

 

 今月の19日に選挙人による最終的な投票が行われ、トランプ次期大統領が正式に決定ということになります。そうなると、就任式まで残り1カ月しかないということになりますから、それまでに、重要ポストである国務、国防、財務の各長官を決定しなければなりません。

 

 トランプの年齢のことを考えると、4年後にもう一度出馬するかどうか微妙ですから、この時の「ポストトランプ」を狙う人たちにとっては、トランプ政権入りが吉と出るか、凶と出るか、今は思案のしどころということだと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプ政権の形が決まりつつある(Trump's Cabinet begins to take shape

 

リサ・ヘイゲン筆

2016年11月24日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/307449-trumps-cabinet-begins-to-take-shape

 

ドナルド・トランプ次期大統領は、来年1月の大統領執務室入りに入るに備えて、彼の支援者たちを政権の重要閣僚に就任させることで報いようとしている。

 

トランプはまた、ライヴァルだった人物たちの関係修復に意欲を見せている。彼らの中から閣僚を選ぼうとしている。

 

これから、これまでにトランプが指名した、もしくは使命を考慮した人々を取り上げていく。

 

●国務長官(Secretary of State

 

ミット・ロムニーは、選挙期間中にトランプとの間で公開の場で争ったが、アメリカの最高の外交官である国務長官の最有力候補になっている、と『ウォールストリート・ジャーナル』紙は報じている。

 

元マサチューセッツ州知事のロムニーは、今年3月に演説を行い、トランプに対する反対を表明した。ロムニーは演説の中で、アメリカ国民に対してトランプについて貴をつけるように警告を発し、トランプを「詐欺師」「偽物」と呼んだ。トランプは直ちに反撃し、ロムニーを2012年の大統領選挙で敗北した「負け犬の候補者」と呼んでやり返した。

 

2人はこれまでのいきさつを水に流しているように見えるが、国家安全保障についての考えの違いは歴然として存在している。特にロシアについての考え方では隔たりがある。

 

トランプがロシア大統領ウラジミール・プーティンを賞賛した昨年末、ロムニーは、プーティンを「悪漢」呼ばわりした。

 

トランプが最も信頼している支援者ルディ・ジュリアーニも国務長官の有力候補と見られている。元ニューヨーク市長ジュリアーニは、ひとたびは最有力候補と見られていた。

 

共和党内部には、ジュリアーニの国務長官就任に懸念を表明している人々がいる。その代表格がランド・ポール連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)で、彼はジュリアーニの国務長官就任について公の場で反対を表明している。

 

ウォールストリート・ジャーナル紙は、国務長官について、ロムニー支持、ジュリアーニ支持、その他の人を探すべきというグループがそれぞれトランプ陣営内に出来て、内部抗争が起きていると報じた。

 

●国防長官(Secretary of Defense

 

トランプは、国防総省を統括する国防長官に、ジェイムズ・マティス米海兵隊退役大将を就任させることを「真剣に考慮している」と語った。

 

トランプはマティスについて、「本物だ」と賞賛している。また、マティスに関しては、連邦上院軍事委員会委員長ジョン・マケイン(アリゾナ州選出、共和党)も支持している。

 

トランプ次期大統領は既にこの退役大将から話を聞いていることを認めている。マティスが国防長官となるためには、連邦議会からの特別な許可を必要とする。

 

火曜日にニューヨーク・タイムズ紙の取材に応じたトランプは、記者たちに対して、「私は水責めなどの拷問についてマティス氏に質問してみたのだが、驚いたことに、彼は反代打といった」と述べた。

 

選挙期間中、トランプは取調べの方法として水責めを認めるという発言をしていた。しかし、そもそも水責めは国際法で実施は禁止されている。

 

●司法長官(Attorney General

 

ジェフ・セッションズ(アラバマ州選出、共和党)は、司法省を統括する地位に就任することが決まった。

 

セッションズは連邦上院議員の中で最初にトランプを支持したじんぶつで、トランプが最も信頼する人物だ。

 

セッションズは、移民に対して強硬な姿勢を取っていることで知られ、セッションズの政策はトランプの国境の安全対策を助けることになっている。

 

セッションズの司法長官使命は、民主党と公民権運動諸団体の間で大きな反対を引き起こした。彼らは、司法省の公民権局をセッションズが統括することに懸念を表明した。

 

1986年、セッションズは連邦判事就任を拒絶された。彼は、全米黒人地位向上協会とアメリカ公民権連合を「非米的」と呼び、クークラックスクランについて、「マリファナさえ吸わなければ存在しても構わない」と発言したという疑惑のために、連邦判事になれなかった。セッションズはこの疑惑のいくつかについてはコメントを拒否し、また別のいくつかについては全くの事実無根だと述べた。

 

セッションズは、共和党が過半数を占めている連邦上院から承認を受けて、司法長官に就任する見通しだ。

 

マイク・ポンペオ連邦下院議員(カンザス州選出、共和党)は、セッションズが司法長官に指名された日に、CIA長官に指名された。

 

●国土安全保障長官(Homeland Security Secretary

 

国土安全保障長官に関しては候補者の名前が複数出ている。

 

連邦下院国土安全保障委員会委員長のマイケル・マコール連邦下院議員(テキサス州選出、共和党)は、選挙期間中にトランプに助言をしてきた。マコールは国土安全保障長官の候補者として名前が挙げられている。

 

マコールは、2018年の中間選挙で、テッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)に対して、共和党予備選挙で挑戦したいと考えている。しかし、同時に、トランプ政権に参画することにも関心を持っているとも示唆している。

 

カンザス州州務長官クリス・コバックもまた候補者となっている。コパックはトランプとの会談の写真が新聞の一面を飾った。彼はこの会談の機会に、国土安全保障省に関する自分の計画をトランプに披瀝した可能性がある。

 

ワシントン・ポスト紙はジョン・F・ケリーとフランセス・タウンゼントを候補者として報じている。ケリーは退役海兵隊大将であり、タウンゼントはジョージ・W・ブッシュ政権に参画した国土安全保障と対テロ対策の専門家である。

 

●財務長官(Treasury Secretary

 

ジェブ・ハンサーリング連邦下院議員(テキサス州選出、共和党)は候補者として名前が挙げられ、先週、トランプと会談し、税金と金融規制について議論した。ハンサーリングは、輸出入銀行について声高に反対する人物として知られている。

 

しかし、連邦下院金融サーヴィス委員会委員長ハンサーリングは、財務長官に就任するつもりはなく、そのような要請もないだろうと述べている。しかし、トランプの政権移行ティームから連絡があれば話はするとも語っている。

 

ゴールドマン・サックスの元幹部スティーヴン・ムヌキンは、トランプ選対の全国財政委員長を務めたが、ムヌキンも財務長官候補として名前が挙がっている。

 

●保健福祉長官(Secretary of Health and Human Services

 

トム・プライス連邦下院議員(ジョージア州選出、共和党)は整形外科医出身で、保健福祉長官の最有力候補だ、と複数の人々が本誌に語っている。

 

プライスはオバマケアに対する反対を主導してきた人物で、昨年、オバマケア廃止と新たな制度導入のための法案を連邦議会に提出した。

 

トランプは大統領に就任したら、オバマ大統領が署名した健康保険法の撤回を行うと繰り返し述べている。しかし、ここ最近、トランプは健康保険法のある部分をそのままにしておくつもりだと示唆している。共和党は、連邦上下両院で過半数を握っているライヘンの議会でオバマケアを最重要の議題として設定しようとしている。

 

連邦下院予算委員長プライスは、連邦下院共和党の「より良い方法」法案の健康保険分野の部分の草案を作成した実績を持つ。

 

フロリダ州知事リック・スコットは任期制限を迎えている。そして、スコットはトランプの支援者であった。彼もまた保健福祉長官候補として名前が挙がっているが、CNNとのインタヴューでトランプ政権入りに否定した。

 

●米国連大使(US Ambassador to United Nations

 

トランプは水曜日、サウスカロライナ州知事ニッキー・ヘイリーを国連大使に指名した。

 

ヘイリーは共和党の予備選挙ではマルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出、共和党)を支持し、トランプとは不仲であった。ヘイリーは、2016年のオバマ大統領の一般教書演説に対する共和党による反対演説に登場し、トランプを批判した。また、2015年にサウスカロライナ州チャールストンの黒人教会で起きた銃撃事件とトランプの発言の関連性について語ったことがあった。

 

ヘイリーはインド系アメリカ人であり、次期政権で最高幹部の職に就く最初の女性でマイノリティとなった。

 

現在州知事として2期目を務めているヘイリーは外国経験が豊富という訳ではない。しかし、サウスカロライナ州へのビジネス誘致で外国との交渉をこなしてきた経験を持っている。彼女の国連大使就任が議会で認められたら、マデリーン・オルブライト以来、他の連邦政府の職を経験することなく、国連大使となる人物ということになる。

 

●教育長官(Secretary of Education

 

ベッツィー・ディヴォスは、公立学校選択制度と特別認可学校制度の唱導者だ。そのディヴォスは水曜日、トランプから教育長官のポジションを提示され、それを受諾したと語った。ディヴォスの指名は、ヘイリーの指名の後に行われたので、ディヴォスはトランプ政権で2人目の女性となった。

 

ディヴォスは現在、公立学校選択制を主張する教育政策専門グループであるアメリカン・フェデレイション・フォ・チルドレンの会長を務めている。

 

元ミシガン州共和党委員会委員長ディヴォスは、大富豪であり、共和党に対する大口献金者だ。また、トランプに対しては支持を控えていた。今年の夏に開催された共和党全国大会には、オハイオ州知事ジョン・ケーシックを支持する代議員として出席した。

 

ディヴォスは、「コモン・コア」を熱心に支持してきたことで根掘り葉掘り調べられるだろう。「コモン・コア」は、教育に関するいくつかの基準を集めたもので、選挙期間中にトランプは批判してきた。ディヴォスは州レヴェルでは「コモン・コア」の採用を支持したが、連邦政府の基準とすることには反対している。

 

●住宅都市開発長官(Secretary of Housing & Urban Development

 

ベン・カーソンは、住宅都市開発長官の職に関心を持っていないと表明した後、今週になって、カーソンは住宅都市開発長官への指名を受けたと述べた。

 

カーソンは水曜日、SNSのフェイスブックで、次期政権の住宅都市開発長官の指名を受諾することを示唆した。それでも、感謝祭の休日期間中に就任について考慮するつもりだとも述べた。

 

カーソンのビジネスアドヴァイザーであるアームストロング・ウィリアムズは、住宅都市開発長官の職はカーソンの関心と一致すると述べている。また、元脳神経外科医のカーソンはデトロイトで貧困の中で育った経験を持っている。そうしたカーソンは、アメリカのインナーシティーの再建を手助けできるだろう。

 

選挙期間中、トランプはマイノリティに向けてアピールを行った。特にアフリカ系アメリカ人とヒスパニックに向けて、インナーシティーの都市機能を強化すると訴えた。

 

カーソンはまだ公式には何の発表をしていないが、ウィリアムズは先週、本誌に対して、カーソンはこれまで政府弟子午後をした経験を持っていないと語った。そして次のように述べた。「彼は大統領への挑戦の道が閉ざされないことを望んでいるのです」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








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 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプに共和党エスタブリッシュメント側で反対した人々の代表と言えば、ポール・ライアン連邦下院議長(ウィスコンシン州選出、共和党)と、2012年共和党大統領選挙候補者ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事です。他の人たちはともかく、この2人には「恩赦(アムネスティ、amnesty)」はない、というのは、トランプ支持者たちの共通認識です。

 

 ライアン下院議長に対して、トランプは人事で抑えを置くことに成功しました。大統領首席補佐官に、レインス・プリーバス共和党全国委員会委員長を抜擢しました。プリーバスはウィスコンシン州出身で、これまで議員選挙に出て落選した経験を持っています。プリーバスは、共和党全国委員長としてトランプ当選に貢献しました。また、プリーバスの出身州ウィスコンシン州では、トランプが勝利し、トランプ当選の原動力となりました。ライアンは当然のことながら、トランプ当選に貢献しませんでした。

 

 こうした状況を受けて、トランプはこれから脚光を浴びるポジションにまだ44歳のプリーバスを持ってきました。プリーバスはこれから4年勤め上げても、48歳、働き盛りです。2年後の中間選挙に出るとなると、ライアンにとっては大きな脅威となります。特に大統領首席補佐官として名前を売った後となると、ライアンにとっては危険極まりないライヴァルとなります。このようにして、トランプは人事でライアンに報復することに成功しました。

 

 今回、もう1人の「戦犯」であるミット・ロムニーについては、トランプ周辺では、「能力があり、既存の勢力との関係改善に効果があることは、認められるので国務長官として登用してやっても良いが、そのためには前非を悔い、謝罪する必要がある」という声が出ているようです。この主張がトランプの考えを反映したものなのかどうかは分かりません。

 

 トランプは何のしがらみもないし、周辺人物たちとの関係では自分の方が上ですから、彼らの意向を無視して、自分の思う通りに人事を行うことができるでしょう。これはこれまでの大統領になかった、トランプの強みです。トランプとしては、能力がありさえすれば、敵であっても登用することに躊躇しないでしょう。

 

 しかし、トランプがロムニーを何の謝罪もなく閣僚に、しかも重要閣僚に据えるとなると、彼の周辺、更には支持者たち、有権者たちが怒ってしまうでしょう。だから、ロムニーには、謝罪をしてもらって、ということになります。しかし、ここで謝罪をするということは、ロムニーにとっては、トランプの軍門に下り、トランプに忠誠を誓うということになりますから、彼としては大変な屈辱ということになります。ロムニーが謝罪する場合には、「アメリカの国益のために自分ができることは何でもする」という大義名分を立てるでしょうが、これで、彼は完全に政治的には死んでしまうことになります。

 

 それでも良くて、国務長官になりたいということであれば謝罪をするでしょうが、逆に言うと、謝罪をしてしまった後で、「話が変わりまして」ということになってしまって、国務長官になれなかった場合には最悪ですから、ロムニーが謝罪をする場合には、「ロムニーが国務長官になる可能性が高いな」ということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプの政権移行ティームはロムニーに謝罪を望む(Report: Trump team wants Romney to apologize

 

ハーパー・ニーディグ筆

2016年11月25日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/307521-report-trump-team-wants-romney-to-apologize

 

フォックス・ニュースは、ドナルド・トランプの政権移行ティームがミット・ロムニーに、選挙期間にトランプ次期大統領に対して攻撃を行ったことについて公式の場で謝罪するように求めている、と報じた。

 

政権移行ティームの幹部は、フォックス・ニュースのエド・ヘンリーに対して、トランプ周辺人物の中には、ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事を国務長官として起用することを考慮するにあたり、ロムニーに謝罪してもらいたいと考えている、と述べた。

 

トランプは、ロムニーかルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長のどちらかを国務長官に起用することを考えていると報じられている。

 

トランプに忠誠を誓う周辺人物と草の根運動の支持者たちは、ジュリアーニが望ましい候補者だと考えている。一方、ロムニーはエスタブリッシュメント系保守派にとって望ましい候補者である。

 

トランプの支持者マイク・ハッカビーフォックス・ニュースの水曜日の番組に出演した際に、「ミットについては個人的には何とも思っていない。しかし、ミットが、ドナルド・トランプを落選させようとして力を尽くしてくれたことに関しては面白くない」と語った。

 

ハッカビーは今年3月にミット・ロムニーが行った有名な「反トランプ演説」に言及して、次のように語った。「ロムニーが重要閣僚に就任するための唯一の方法は、公の場でマイクの前に立ち、彼がソルトレイク・シティーで行った有名な演説とそれ以降の発言の内容を全否定することだ」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








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 古村治彦です。

 

 先日もご紹介しましたが、リベラルな映画監督して日本でも知られている(お笑い芸人のハリセンボンの顔が似ていることでも有名)、マイケル・ムーアが、ドナルド・トランプが11月の本選挙でヒラリー・クリントンに勝って大統領になるという予測を立てています。彼はその理由を5つ挙げており、今回はそれを紹介している記事を皆様にご紹介します。

 

 マイケル・ムーアの理由をまとめると、「ラストベルト(アメリカの製造業の中心であったが今は衰退している)のミシガン、ウィスコンシン、ペンシルヴァニア、オハイオで怒れる白人男性たちがトランプを熱烈に支持している。彼らは自分たちが力を失っていると感じ、生活にも困っており、」

 

 アメリカの製造業の復活のようなことをトランプもそしてヒラリーも主張していますが、とても現実的な話ではないと思います。アメリカ製の製品、軽工業の製品や重工業の製品などまず目にしたことはありません。戦前から戦後しばらくまでは、アメリカの鉄鋼(USスティール)や自動車(フォード、GM、クライスラー)、電化製品(GERCA)と言えば、輝かしい、あこがれの高級品でした。しかし、今は壊れやすくて、値段が高いだけの競争力ゼロの製品となりました。

 

 アメリカで競争力がある製品と言えば、軍事関連のもので、それを民生用にしたものです。こうした製品は戦争がなければ買い替えや追加注文もないでしょうから、結局、戦争や内戦、対外的な緊張がどうしても必要となります。ヒラリーが大統領になろうが、トランプが大統領になろうが、アメリカが悪あがきをして、「お前たちは不公正な貿易をやっている」と難癖をつけて制裁金を取るか、制裁を科すか、武器を売りつけるしかありません。

 

 次に、2012年の共和党大統領選挙候補者で、共和党内の反トランプの急先鋒だったミット・ロムニーの発言をご紹介します。ロムニーは、「トランプが勝つ場合は接戦、負ける場合は、ヒラリーが地滑り的な大勝利」という主張を行っています。この主張は、政治の玄人筋の予想と同じです。トランプが地滑り的勝利をするためには、今、民主党が強い州を取らねばなりませんが、これはかなり厳しい状況です。ですから、接戦でも勝てば大統領になれますから、激戦州、特に五大湖周辺のラストベルトに集中する戦略だと思われます。

 

 私は現在の情勢では、7対3でヒラリーが優勢だと考えています。トランプが激戦州でヒラリーを圧倒するのかどうかが注目点ですが、トランプは、ロシアにヒラリーのEメールのハッキングを呼びかけたり、民主党大会で演説を行ったイスラム教徒の米軍将校の父親に対する発言で挑発をしたりで、墓穴を掘っている印象があります。

 

 8月は直接の討論会はありませんので、メディアでどのように取り上げられるかが勝負となりますが、9月の直接対決まで小休止という感じです。

 

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マイケル・ムーア:「トランプが大統領になる5つの理由」(Michael Moore: 5 reasons Trump will be president

 

レベッカ・サヴランスキー筆

2016年7月25日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/donald-trump-michael-moore-hillary-clinton-prediction-victory-election-5-reasons-why

 

リベラル派の映画監督のマイケル・ムーアは、ドナルド・トランプが大統領に選ばれるだろうと考え、11月の大統領選挙でトランプが勝利する5つの理由を挙げている。

 

ムーアは、自身のウェブサイトで次のように書いている。「このみじめなで、傲慢、危険なピエロで反社会的な人物が私たちの次の大統領になるだろう。トランプ大統領。この言葉を繰り返そう。なぜなら、来年からの4年間、私たちは、トランプ大統領という言葉を何度も口にするだろうからだ」。

 

ムーアは、トランプが次のアメリカ大統領になるだろうという事実に直面する必要があると述べた。

 

ムーアは、トランプが、ミシガン、オハイオ、ペンシルヴァニア、ウィスコンシンというラストベルトの4つの民主党が強い州に力を注ぐだろうと述べた。2010年以降、これら4つの州では共和党の知事が選ばれている。トランプは支持率で、ペンシルヴァニア州では民主党のヒラリー・クリントンをリードし、オハイオ州では並んでいる。

 

「トランプはヒラリーをこの4つの州でやっつけるだろう。また彼女がTPPを支持していることもトランプに有利になる。彼女の通商政策によって4つの州の人々は傷つけられるだろう」と書き、TPPに対する反対を表明した。

 

「これら4つの州に住む市民は“傷つき、貧しい生活を強いられ、生きるだけで精いっぱい”なのだ」と書いている。

 

彼は2つ目の理由として、「怒れる白人男性の危機感」を挙げている。

 

彼は次のように書いている。「男性優位で240年続いてきたアメリカが終わりを迎えようとしている。女性が主導権を握ろうとしている。どうしてこんなことが起きたんだ?!なんてことだ!これまでに危険な予兆があったのに、俺たちはそれを無視してきた」。

 

ムーアは、男性たちが「自分たちの手から力が滑り落ちていき、自分たちのやり方が通らなくなっている」と感じているのだと書いている。

 

ムーアは、ヒラリーについても、彼女は正直ではなく、信頼できないと見られており、当選は難しいと書いている。

 

「ヒラリーを当選させたいという熱狂はない。今回の選挙は、一つのことに集約される。誰が多くの人々を投票所まで行かせて、自分の名前を書かせるかということだ。そして、トランプが現在のところ、有利な立場に立っている」。

 

ムーアはバーニー・サンダースの支持者たちに目を向けている。彼は、「サンダース支持者の中にはしぶしぶクリントンに投票する人も出てくるだろうが、その他の人は投票日には、選挙に行かないか、第三党の候補者に投票するだろう」と予想している。

 

ムーアは、トランプ勝利の最後の理由として、「多くの人々が彼に投票するのは、“それが可能だから(共和党の候補者になったから)”だ」と書いている。

 

ムーアは、「リンゴが詰まった手押し車をひっくり返して、両親を怒らせるという悪戯をすることが出来るようなものなのだ」と書いている。

 

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ロムニー:「トランプ勝利の可能性は非常に高い」(Romney: Trump victory 'very possible'

 

ジェシー・ヘルマン筆

2016年7月29日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/289853-romney-very-possible-trump-wins

 

2012年の共和党大統領選挙候補者ミット・ロムニーが、ドナルド・トランプは地滑り的な大勝利はないにしても、選挙に勝つ可能性が「非常に高い」と述べた。

 

2週間前に、ミット・ロムニーは共和党ラジオ・フリーというポドキャストに出演し、「率直に言って、私は、トランプが勝つ可能性が非常に高いと考えている」とバズフィードが報じた。

 

ロムニーは次のように発言した。「地滑り的な勝利はないと思うが、彼が勝つかもしれないと考えている。彼が負ける可能性ももちろんある。負ける場合には地滑り的な大敗になる可能性があると思う。しかし、どちらが起きるかは分からない。トランプが勝つか負けるかは、ヒラリー・クリントン次第だ。現在はシステムが溶け出しているのか、もしくは衝撃が起きているのか、分からない」

 

 ロムニーはトランプもヒラリーも支持しないとこれまで表明してきた。しかし、ロムニーは、ラジオでのインタヴューで、トランプは、有権者の支持を取り付けて、共和党の予備選挙での勝利できたと述べた。

 

ロムニーは次のように語っている。「皆さんはドナルド・トランプを信用しなくてはならない。彼は自身のキャリアを通じて培った言葉遣いと行動様式を政治の分野に持ち込むことが出来る。そして、有権者の支持を取り付けて、共和党の候補者になることが出来た」。

 

彼は続けて次のように語った。「私と他の多くの人たちは理想的な候補者ではないと考えているが、彼は候補者になった。この段階では、甘受しなくてはならない。しかし、何が起きるかは分からない」。

 

ロムニーは民主党の候補者ヒラリーも攻撃した。ロムニーはヒラリーを「ひどい候補者」と呼んだ。彼女は夫であるビル・クリントン元大統領の物まねをしようとしすぎていると語った。

 

ロムニーは次のように語った。「ヒラリーも大統領選挙に出ていることを忘れてはいけない。彼女はひどい候補者だ。人々は彼女を信頼していない。私は、人々が彼女を信頼できないと考えていると思う。私は支持していない。彼女はこうあって欲しいと私が期待する行動をとっていないが、それがどうしてなのか理解できない。私はアンジェラ・メルケルやキャスリーン・セベリウスのようになって欲しいとヒラリーに対しては思っている」

 

ロムニーは続けて次のように述べた「真剣な女性のリーダーたちはたくさんいる。彼女たちは聴衆の中に入らないし、彼らの腕を取って大きく掲げながら笑顔で写真に収まるようなことはしない。彼女はビル・クリントンのように行動しているが、ビル・クリントンではない。彼女は何事もうまくこなしていない」。

 

(終わり)











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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

 古村治彦です。

 

 今回はヒラリー・クリントン前国務長官贔屓の記事を皆様にご紹介します。これがアメリカの多数派の考えなのだと思います。

 

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オバマ後の外交政策の軸について

 

デイヴィッド・イグナティウス(David Ignatius)筆

ワシントン・ポスト紙

2015年1月20日

http://www.washingtonpost.com/opinions/david-ignatius-foreign-policys-post-obama-pivot/2015/01/20/e2dd9244-a0e6-11e4-903f-9f2faf7cd9fe_story.html

 

 オバマ大統領はここ数か月の間、実権を失ったレイムダック状態の大統領であるといわれることに苛立っていた。今年の一般教主演説の中で対決姿勢を示した理由の一つはそれである。大統領の側近や補佐官たちは、彼が試合の第4クォーターで最高のプレーをするのだと主張している。そして、イランとの国交回復からグアンタナモ基地の閉鎖まで力強く実施してほしいと望んでいる。

 

 オバマ大統領はこれから2年間、外交政策を担当する。私が記憶している限り、これまでの全ての一般教書演説で中東は頻繁に出てきた。そのたびに画期的な外交や悲惨な衝突という言葉が一緒に出てきた。オバマ大統領がイランの核開発問題をどのように解決するかで、オバマ大統領の評価が定まることになるだろう。

 

 しかし、政治的な関心はオバマから既に移っている。様々な世論調査の結果から、人々は2016年の米大統領選挙では、共和党はミット・ロムニーとジェブ・ブッシュ、民主党はヒラリー・クリントンが有力候補になると考えていることが分かる。CBSが今週行った世論調査によると、共和党支持者の59%はロムニーが候補者に相応しいと考え、50%はジェブ・ブッシュがふさわしいと考えているという結果が出た。民主党支持者たちのうち85%が、ヒラリー・クリントンが候補者に相応しいと考えているということだ。

 

 2016年の米大統領選挙に関して興味深いのは、共和党、民主党どちらの候補者たちも全員がオバマ大統領の外交政策に反対しているという点だ。これは、2期目の大統領に対しての反応としては当然と言えるだろう。現職と同じことをやると公約する候補者なんて存在しない。しかし、それ以外にも理由がある。オバマ大統領に対する批判者たちは、既に印象付けに成功しているが、彼らはこれから2年間のアメリカ政治の主人公になろうとしている。

 
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ミット・ロムニー
 

 外交政策に関するロムニーの最も素晴らしい主張は、彼はアルカイーダとその他のイスラム教過激派の復活を予期していたというものであった。2012年10月22日、大統領選挙の討論会の席上、オバマ大統領はアルカイーダの中核をなす指導者たちが「殺害」されたことについて威勢の良い発言を行った。しかし、抑制的なロムニーは適切な発言を行った。彼は次のように語った。「アルカイーダは逃げ回ってなどいない。彼らは隠れてなどいない。アルカイーダは10から12の国に存在し、アメリカの友好国、世界、アメリカ自身にとって長期にわたり大きな脅威となっている。私たちはこのような過激主義を葬り去ることが出来る包括的な戦略を必要としている」

 

 後から考えてみれば、彼らのやり取りはひどいものだった。オバマ大統領は2011年にアメリカ軍をイラクから撤退させたことは正しかったと主張したが、全くうわべだけのものであった。オバマ大統領は次のように語っている。「もし私たちが10000人の米軍の将兵をイラクに駐留させたままであったら、イラクのおかげで私たちは問題を抱えることになっただろう。そうなれば私たちは中東で身動きが出来なくなっていただろう」。私たちはオバマ大統領が間違っていたことを知っている。彼はイラクの危機に対処するために米軍を急いで戻さねばならなかった。もっと賢い政策を実施していればそんなことをする必要はなかった。

 

 ロムニーのアルカイーダに関する発言内容は正しいが、イランについては間違っている。彼はオバマ大統領のイラン関与戦略を非難した。そして、イランを軍事的に攻撃するために議会の承認を必要としないと発言し、イランの核兵器開発について警告を行った。彼は次のように語った。「私たちはこれ以上待つ必要はないし、さらに4年間をオバマ政権に委ねることもない。オバマ政権に更に4年間を与えてしまうと、手遅れになってしまう」。彼の発言はあまりにも軍事偏重的だった。最後の討論会までに、ロムニーはトーンを和らげたが、彼の外交政策に関する主張の裏には、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相がいるように見えた。


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ヒラリー・クリントン

 ヒラリーもまたオバマ大統領の外交政策に反対のようである。ホワイトハウスの交換の中には、ヒラリーが2014年に出した回想録『ハード・チョイシズ』の中で手痛い裏切りをしていることに憤っている。昨年私はこの本の書評を行った。この時、私は「クリントンが国務長官として素晴らしい判断をし、上司であるオバマ大統領よりも早くいくつかの重要な問題について理解した」と書いた。

 

 ヒラリーは先見の明を持っている。2009年の段階で「アジアに軸足を移す」という文章を発表した。2011年の段階でエジプトのホスニ・ムバラク大統領の追い落としについて警告を発していた。国連による仲介努力が破たんした後、シリアの反政府勢力に武器供与を行うように主張した。2013年の早い段階で、ロシアのウラジミール・プーティン大統領が問題になると警告を発していた。言うまでもないことだが、ヒラリーのやった正しいことのリストをオバマ大統領率いるホワイトハウスは面白く思ってはいない。

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 ジェブ・ブッシュ

 

 最後にブッシュだけが持つ問題について触れたい。もし彼が共和党の大統領選挙候補者に選ばれたら、彼はオバマ大統領と兄ジョージ・W・ブッシュ前大統領の外交政策と戦わねばならなくなる。2003年のアメリカによるイラク進攻について多くの人々は間違いであったと判定している。そのため、ジェブ・ブッシュの選挙戦にとって最重要となるのは、自分が大統領になったら同じような間違いを犯さないと人々に納得させることである。

 

 オバマ大統領は火曜日の夜、上院の演壇に立ち、一般教書演説を行った。私たちの関心は次に移っている。それは「だれが次の大統領になるのか」ということだ。

 

(終わり)









 

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