古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ミラ・リカーデル

 古村治彦です。

 

 ここ数日、メラニア・トランプ大統領夫人がミラ・リカーデル国家安全保障問題担当次席大統領補佐官の更迭要求が話題になってきました。現地時間水曜日、ホワイトハウスは声明を発表し、ミラ・リカーデルの人事異動を発表しました。新しい職務はまだ分かっていませんが、国家安全保障問題担当次席大統領補佐官は解任されることになりました。今年5月に、ジョン・ボルトンによって招聘されましたが、半年で更迭ということになりました。

 

 以下の記事によると、リカーデルは官僚的な人物で、これまでにもジョン・ケリー大統領首席補佐官やジェイムズ・マティス国防長官と衝突したということで、味方はジョン・ボルトンしかいなかったようです。リカーデルの解任によって、ボルトンの力は落ちることになるでしょう。しかし、リカーデルが政権から離れず、ホワイトハウスではなく他の部署に異動するということで落ち着いたのは、ボルトンの巻き返しがあったためのようです。

 

 トランプ政権に対しては、多くのメディアがリーク情報を基にして様々な報道を行っています。これに対してトランプ政権内では神経を尖らせ、誰がリークしているんだ、ということで犯人探しも行われてきたようですが、政権の最高幹部クラスが自分の影響力を高める、もしくはライヴァルを蹴落とすといった目的でリークを利用しているようで、犯人探しとなれば、ほぼ全員ということになってしまうようです。また、トランプ大統領自身も友人たちに電話をかけて、様々なことを話してしまって、それが漏れてしまうということもあるようです。このアマチュア感、素人臭さがトランプ政権の良さでもあり、悪さでもあります。

 

 こうした政権内の雰囲気には、官僚的な人物は最もそぐわないということになります。もちろん組織運営上、官僚的な人物によるコントロール、手続き上の管理ということも必要になってきますが、ケリーやマティスのような軍隊で鍛え上げてきた人々とも衝突するということになると、リカーデルに行き過ぎた官僚主義的行動があったのだろうと推測されます。

 

 また、リカーデルを招聘したのはボルトンですが、2人はイラク戦争を主導したジョージ・W・ブッシュ政権で働いていた人々で、イラク戦争を批判して当選したトランプ政権の色合いと合う人たちではありませんし、ケリーやマティスのような制服組出身者とも気が合わないのだろうと思います。ボルトンの前任HR・マクマスターは現役の中将であったのに、国家安全保障問題担当大統領補佐官更迭時には昇進もなく退役という気遣いのない処分もあって、制服組出身者たちにしてみれば、ボルトンに対してマイナスの感情があるものと思われます。

 

 次席補佐官は、大統領や閣僚が出席する国家安全保障会議を実質的に主宰するほどに重要なポジションです。このポジションが大統領夫人の人事介入によって更迭されたということの意味は大きいし、これまでの政権であればこのようなことは少なくとも公には行わなかったでしょう。そこで、敢えてより考えてみると、メラニア・トランプ大統領夫人が汚れ役を買って出たということもあり得る推測ではないかとも思います。

 

 なんにしても、このようなことが起きるのがトランプ政権の特徴であり、繰り返しになりますが、このワシントンのアウトサイダーぶりこそが国民からの支持を集めることにつながっています。

 

 

(貼り付けはじめ)

 

ボルトンの副官は大統領夫人との公然となった衝突の後にホワイトハウスを離れる(Bolton aide exits White House after high-profile clash with first lady

 

ジョーダン・ファビアン筆

2018年11月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/416797-bolton-aide-exits-white-house-after-high-profile-clash-with-first

 

国家安全保障会議の最高幹部ミラ・リカーデルは、メラニア・トランプ大統領夫人との公然となった驚くべき衝突の後に、現在の職務から離れることになった。

 

水曜日、ホワイトハウスは声明を発表し、その中で、リカーデルは「政権内の新しい役割に移動する」予定だと述べたが、新しい職務については具体的に言及しなかった。

 

ホワイトハウス報道官のサラ・ハッカビー・サンダースは「大統領はリカーデル氏のアメリカ国民に対する継続的な奉仕と国家安全保障政策についての真摯な追求に感謝している」と述べた。

 

 

The announcement capped off a tense day of speculation about Ricardel's future after the first lady's office took the unusual step of publicly calling for her ouster. これは妥協の産物のようだ。国家安全保障問題担当大統領補佐官ジョン・ボルトンは、副官であるリカーデルを助けようとして奮闘したと報じられている。

 

しかし、リカーデルがホワイトハウスを離れることは、ホワイトハウス内部での争闘が大きくなっていることを示す兆候であり、それに大統領夫人オフィスがどのように関与しているかに光を当てるようになった。

 

イーストウィング(大統領夫人オフィス)は、先月のメラニア・トランプ夫人のアフリカ訪問時の政府専用機の座席のことでリカーデルと衝突したと報じられている。大統領夫人訪問ティームはリカーデルがメラニア・トランプ夫人についてのマイナスの話をリークしたのはリカーデルだと非難した。リカーデルは夫人のアフリカ訪問の準備を手伝ったが、このような事態になった。

 

大統領夫人オフィス報道官ステファニー・グリシャムは火曜日に発表した声明の中で、「大統領夫人オフィスの立場は、彼女(訳者註:ミラ・リカーデル)はホワイトハウスで勤務するという光栄に浴するに値しない、というものだ」と述べた。

 

今回の事態はホワイトハウス内における激しい勢力争いの引き金を引いた。ボルトンはリカーデルの更迭に反対したので、火曜日の時点ではリカーデルは職務に留まっていた。また、水曜日も、彼女の更迭が発表される前には職務に留まっていたと報じられている。

 

ボルトンは、今年5月にリカーデルを国家安全保障会議(NSC)のナンバー2のポジションに招聘した。リカーデルは高い行政手腕を持ち、官僚的手続きを墨守するタイプだという評判であった。リカーデルは、大統領首席補佐官ジョン・ケリーと国防長官ジェイムズ・マティスと衝突した。

 

しかし、リカーデルとメラニア・トランプ夫人との衝突が最後のひと押しとなったことは明らかだ。今年10月のメラニア夫人のアフリカ訪問時、夫人はABCとのインタヴューに応じ、その中で、彼女は夫である大統領に対して、政権の中に彼女が信頼できない人たちがいると助言したと発言した。

 

メラニア夫人はそうした人物たちについて「そうですね、ホワイトハウスの中には働いていない人たちがいます」と発言した。そして、ウエストウィングの中に信頼できない人たちがいると続けた。

 

メラニア夫人は続けて「統制を取ることがどんどん難しくなっています。いつも背中から刺されないように気をつけないといけない状況なのです」と語った。

 

リカーデルを巡る騒動は、トランプが政権内の大幅な人事交代を考えていると報じられる中で起きた。人事交代の対象には、国土安全保障長官クリステン・ニールセンとジョン・ケリーが入っている。ケリーは政権内でニールセンの大きな後ろ盾となっている人物だ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

価格:1,400円
(2018/3/9 10:43時点)
感想(0件)

ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

価格:1,836円
(2018/4/13 10:12時点)
感想(0件)





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 メラニア・トランプ大統領夫人は、ジョージ・W・ブッシュ元大統領のローラ夫人、バラク・オバマ前大統領のミシェル夫人に比べて影が薄い存在です。お子さんがまだ小さいので、子育てが忙しいということもあるとは思いますが、ローラ夫人やミシェル夫人に比べて表に出ることは少ないです。モデル出身なのでメディア映えするとは思いますが、英語が母国語ではないということもあって少し引っ込んでしまっているのだろうと思います。

melaniatrumpafricavisit001

アフリカ訪問中のメラニア夫人
 

 そのメラニア夫人が公式に、ホワイトハウスの人事に対して口を出したということで、アメリカでは話題になっています。ミラ・リカーデル国家安全保障問題担当大統領次席補佐官への介入要求を大統領夫人オフィスが正式に声明として発表しました。大統領夫人がホワイトハウスの人事に関わることを公式に発表することは極めてまれなケースです。

 
miraricardel005
ミラ・リカーデル

 今回はこのことを報じる記事をご紹介します。記事では今回のメラニア夫人によるリカーデル解任要求の背景が紹介されています。ミラ・リカーデルについては、このブログでもご紹介したことがあります。

※本ブログで紹介した当該記事へはこちらからどうぞ。

 リカーデルはジョージ・W・ブッシュ政権で国防総省に勤務し、また、ボーイング社でも副会長を務めた人物です。行ってみれば、組織の中で偉くなっていった人物であって、そういう人物は手続きや規律にうるさいということは容易に想像できます。これに対して、トランプ政権にはそういうタイプの人物は少ないし、「官僚的な」人物との付き合いもこれまでなかったでしょうから、ワシントンに来て初めて一緒に仕事をすることになって戸惑っているでしょう。

 

 トランプやメラニア夫人、イヴァンカ、クシュナーは自分が言うことに反対する、拒否する人物が周囲にいないのでしょう。企業経営者として自分が一番上なのですから、そういう人物を遠ざけることは可能です。しかし、複雑なワシントンの構造の中では、組織をどう動かすかに長けている人物が必要で、何事もトップダウンという訳にはいきません。

 

 メラニア夫人のアフリカ訪問にあたり、夫人側が国家安全保障会議の持つ資料の提供を要求、これに対して、リカーデルが自分か他のスタッフが同行しないので、資料は渡せないと拒否したことが今回の解任要求声明発表の原因となったようです。

 

 大統領夫人には儀典や旅行などを担当するオフィスがあり、公的な存在ではありますが、もちろん行政に関与することはできません。昔のエレノア・ルーズヴェルトやヒラリー・クリントンのように実質的に行政に関与することになった夫人たちはいますが、それはあくまで夫である大統領のバックがあったからで、法的には何も力はありません。今回、このような声明を公式に出すということは極めて異例で、批判の対象となることはメラニア夫人側も分かっているでしょう。それでも敢えて出したということは、よほどのことがあるのだろうと思います。これ以上は推測の上に推測を重ねることになるので控えます。

 

 今回の出来事は極めてトランプ政権らしい話だと思います。ワシントンの「プロ」なら絶対にしないことが起きるというのは、アマチュアだという批判を招くことになりますが、ワシントンに染まっていないということも示しているからです。

 

(貼り付けはじめ)

 

メラニア・トランプがボルトンの次席リカーデルは更迭されるべきだと発言(Melania Trump Says Bolton Deputy Ricardel Should Be Ousted

 

ジェニファー・ジェイコブス、ジャスティン・シンク筆

2018年11月14日

『ブルームバーグ』誌

https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-11-13/melania-trump-says-bolton-deputy-ricardel-should-be-ousted

 

・メディアの報道によると、大統領は政権内の人事交代を考慮中であるようだ。

・ニールセン国土安全保障長官は政権から去ると報じられている。

 

メラニア・トランプ大統領夫人は火曜日、ジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官の次席であるミラ・リカーデルの更迭を要求した。この要求は、ドナルド・トランプ大統領が政権内の人事交代を近々行うという報道がなされる中で行われた。
 

メラニア・トランプ大統領夫人の報道担当官ステファニー・グリシャムは、大統領夫人がリカーデルの更迭を求めているのではないかという疑問に対する答えとして声明を発表し、その中で「大統領夫人オフィスの立場は、彼女(訳者註:ミラ・リカーデル)はホワイトハウスで勤務するという光栄にもはや値しない、というものだ」と述べた。

 

リカーデルはボルトン補佐官の次席を務めている。先月、メラニア夫人はアフリカを訪問した。その際、夫人側のスタッフとリカーデルが衝突した。リカーデルは、自分か他の国家安全保障会議(NSC)のスタッフが同行しない限り、NSCの持つ資料を渡すことはできないと強く主張した、とこの問題に詳しいある人物が匿名で証言した。

 

大統領夫人がウエストウイング(大統領執務室)の決定に関して公に介入することは極めて稀である。しかし、大統領夫人側のスタッフと大統領側のスタッフが衝突した際に、大統領側のスタッフが更迭されることは多く起きている。上級のスタッフでもこうしたことは起きている。1987年、ロナルド・レーガン大統領の首席補佐官ドナルド・リーガンはナンシー・レーガン大統領夫人と衝突した後に更迭された。

 

2000年には、独立委員会が、当時のヒラリー・クリントン大統領夫人が、夫ビル・クリントン大統領のホワイトハウスの旅行担当の複数のスタッフの更迭に関与したことについて、虚偽の証言を行ったと報告している。

 

アフリカ訪問中、メラニア夫人はABCニュースのインタヴューに応じた。その中で、夫人はトランプ大統領に対して、自分が信頼できない複数の人物が大統領の下で働いているとこれまでに進言したと述べた。彼女は「そうですね、中にはホワイトハウスで全く仕事をしていない人たちもいますね」と述べた。

 

NSCの報道担当官ガレット・マーキス、ホワイトハウスの報道担当官サラ・ハッカビー・サンダースは、グリシャムの声明に対するコメントの要求に応じなかった。リカーデルには連絡できなかった。火曜日の朝、リカーデルはホワイトハウスで行われたインドのヒンズー教のお祭りディーワーリーに出席した。ディーワーリーではトランプ大統領の演説も行われた。

 

メラニア・トランプ大統領夫人の声明を受けてすぐにリカーデルが解任されるとした『ぉーるストリート・ジャーナル』紙の報道について、あるホワイトハウスの高官は強く否定した。別の高官は午後4時時点でリカーデルはホワイトハウス内にとどまっていると述べた。

 

ボルトンは今年4月にそれまで商務省に勤務していたリカーデルを次席補佐官に抜擢した。リカーデルはジョージ・W・ブッシュ元大統領時代に国防総省に勤務していた。

 

トランプ政権内の複数の高官によると、ボルトンはリカーデルを評価しているが、ホワイトハウスのスタッフの間では嫌われているということだ。リカーデルは融通が利かず、手続きに拘泥する人物と評価され、リカーデルのせいでNSCと他の省庁との間の強力が難しくなっていると不満を表明する政府高官も少なからず存在する。

 

●ニールセンも更迭の危機

 

グリシャムの声明が発表されたがこれは、ドナルド・トランプ大統領が政権内の人事交代を大幅に行うことを考慮中だと複数のメディアが報じている中での出来事となった。人事交代の対象には、国土安全保障長官キルステン・ニールセンも含まれている。先週水曜日に『ワシントン・ポスト』紙が最初にニールセンの更迭を報じた。トランプ大統領はアメリカ南部国境における移民「危機」と呼ぶ状況に対してのニールセンの対応に不満を持っていると報じられた。

 

ワシントン・ポスト紙の報道に対して、国土安全保障省報道官テイラー・ホウルトンは声明の中で次のように述べた。「長官は国土安全保障省に勤務する人々を率いる光栄を与えられ、全ての脅威からアメリカ国民を守るという大統領の安全保障政策を実施するために尽力している。そしてこれからも尽力を続ける」。

アメリカ南部国境を越える不法越境者の数が急増していることについて、ニールセンは強い非難を受けている。国土安全保障省は、今年10月だけで5万1000人が不法に国境を越えたとして逮捕された、そのうちの2万3000人以上が家族だと発表した。2017年10月に比べて、逮捕された不法越境者の数は2倍となり、同行する家族の数は4倍上に増加した。

 

ニールセンは首席大統領補佐官ジョン・ケリーと近い関係にあり、ニールセンの国土安全保障長官就任を進めたのはケリーであった。ケリーは、トランプが再選を目指す2020年の大統領選挙まで首席補佐官を務めると発言しているが、ニールセンの更迭はケリーの更迭を誘発する可能性を秘めている。

 

トランプが、先週の中間選挙後の夜の集会でマイク・ペンス副大統領の首席補佐官ニック・エイヤーズと話しているところを2人の人物が目撃している。この目撃証言から、エイヤーズがケリーの後任となるという噂がトランプの側近たちの間で広まることになった。

 

ペンスの側近たちはこうした噂を否定している。エイヤーズは今週の副大統領のアジア訪問に同行していない。ペンス副大統領はトランプ大統領のシンガポールとパプアニューギニア訪問には同行する予定となっている。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

価格:1,400円
(2018/3/9 10:43時点)
感想(0件)

ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

価格:1,836円
(2018/4/13 10:12時点)
感想(0件)





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ大統領がハーバート・R・マクマスターを解任し、ジョン・ボルトンを国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命して、1カ月ほどが経過しました。その間に、米英仏によるシリアへのミサイル攻撃がありました。北朝鮮情勢は対話路線が前面に押し出ている感じです。

 

 そうした中で、ホワイトハウスで国家安全保障問題担当大統領補佐官が主宰する国家安全保障会議(NSC)の構成がだいぶ変わっているようです。ジョン・ボルトン就任後に更迭や自発的な退任が続いていたようです。

 

 ボルトンはミラ・リカーデル(Mira Ricardel)は自分の下の次席補佐官に任命しました。リカーデルは、2017年3月に商務次官(輸出管理担当)となりました。そして、今回、国家安全保障問題担当次席大統領補佐官に就任することになりました。

miraricardel001

ミラ・リカーデル 

 リカーデルはジョージタウン大学外交学部を卒業後、ボストン郊外にあるタフツ大学フレッチャー記念法・外交研究大学院で博士号を取得しました。ロナルド・レーガン政権で国務省の軍縮担当、ボブ・ドール連邦上院議員のスタッフ、ジョージ・W・ブッシュ政権で国防次官補代理、国防次官補臨時代理などを歴任しました。民間部門では、2006年から2015年にボーイング社の副会長(軍事部門、国際部門)を務めました。

 

 2016年、ドナルド・トランプの政権以降ティームに入り、国防政策部門を担当しました。トランプ政権内では商務次官を務めていました。今回、次席補佐官に就任しました。

 

 リカーデルは中央アジアやユーラシアを専門にしているようです。商務次官で輸出管理担当ということは、現在の貿易戦争の原因となっている関税政策にもかかわっているものと思われます。こうした点から反中国、反ロシア的な考えを持っているのだろうと推測されます。ネオコンのボルトンが選んだのですから、当然と言えるでしょう。

 

 私が気になったのはリカーデルが約10年にわたり、ボーイング社の副会長を務めていた点です。しかも軍事部門が長かったようですので、軍需産業の代表とも言える存在です。国家安全保障会議(NSC)を主宰するのは補佐官ですが、実際に準備を行うのは次席補佐官です。従って、これからアメリカの対外姿勢が強硬になっていくのだろうと思われます。

 

 北朝鮮問題は米朝首脳会談実現に向けて、マイク・ポンぺオCIA長官(次期国務長官)が訪朝したことで、かなり楽観的な雰囲気になっています。私は、トランプ大統領がポンぺオを訪朝させたのは、連邦議会での承認を得やすくするためもあり、また首脳会談の準備をしている、そのために強硬派であったポンぺオを行かせた、というジェスチャーを見せるものだったと思います。

 

 アメリカの対外政策を司る部門である国務省と国家安全保障会議の2つのラインで別々の方策、交渉と武力行使の準備をさせて、最終的にトランプ大統領がどちらかを選択するということになっているのだろうと思います。この2つの路線を競わせて最終的に自分で選ぶというのはトランプ大統領の常套手段です。ですから、交渉一辺倒になったと楽観視するのはまだ早いと思われます。

 

(貼り付けはじめ)

 

ジョン・ボルトンがミラ・リカーデルを次席補佐官に指名(John Bolton announces Mira Ricardel as deputy adviser

 

AP通信

2018年4月20日

http://uk.businessinsider.com/ap-john-bolton-announces-mira-ricardel-as-deputy-adviser-2018-4

 

フロリダ州ウエスト・パーム・ビーチ発(AP通信)。ジョン・ボルトン国家安全保障門団体等大統領補佐官は現在、国家安全保障会議(NSC)の内部チェックと構成の変更を行っており、金曜日、ミラ・リカーデルが国家安全保障問題担当次席大統領補佐官に就任すると発表した。

 

リカーデルは3つの政権でそれぞれ国務省、国防省、商務省に勤務した。また、ボブ・ドール上院議員のスタッフを務めた経験を持つ。

 

ドナルド・トランプ大統領によってあ新たに国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命されたボルトンはリカーデルを次席補佐官に選んだことについて、「アメリカと諸国の同盟関係、防衛態勢、技術に関する安全保障、外国に対する安全保障上の支援、国家安全保障問題幅広い基盤を持つ専門性、軍縮のような国家安全保障諸問題などの幅広い専門性」をその理由としている。

 

ボルトンはトランプ政権で3人目の国家安全保障問題担当大統領補佐官で、前任者はハーバート・R・マクマスターであった。

 

国土安全保障問題担当大統領補佐官であったトム・ボサートを含む国家安全保障問題担当の高官の多くがボルトンによって更迭、もしくはボルトンの補佐官就任を受けて自発的に退任している。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

imanokyodaichuugokuwanihonjingatsukutta001

今の巨大中国は日本が作った

※私の仲間である石井利明さんのデビュー作『福澤諭吉フリーメイソン論』が2018年4月16日に刊行されました。大変充実した内容になっています。よろしくお願いいたします。

fukuzawayukichicover001
(仮)福澤諭吉 フリーメイソン論

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

価格:1,400円
(2018/3/9 10:43時点)
感想(0件)

ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

価格:1,836円
(2018/4/13 10:12時点)
感想(0件)

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ