古村治彦です。
昨日、色々な記事を読んでいたら、日米の人口に関する研究結果に関する記事が出ていた。その前に人口に関するいくつかの言葉を整理しておきたい。まずベビーブーム世代(baby boomers)だが、この世代は第二次世界大戦終結前後から1964年くらいまでに生まれた人たちのことを指す。日本では「団塊の世代」とも呼ばれる。その子供たちの世代(1960年代後半から1980年くらいまでに生まれた人たち)をアメリカでは「X世代(Generation X)」と呼ぶ。日本では1970年代前半に生まれた、団塊の世代の子供たち世代を「団塊ジュニア世代(第二次ベビーブーム世代)」と呼ぶ。
「X世代」の次に来る世代は、アメリカでは「ミレニアル世代(Millennials)」と呼ぶ。1981年から1996年くらいまでに生まれた、現在25歳から40歳くらいまでの人たちだ。その下の世代で現在大学生くらいから下の世代を「Z世代(Generation Z)」と呼ぶ。上からまとめて挙げていくと次の通りだ。
アメリカ 日本
・ベビーブーム世代 ・団塊の世代
・X世代 ・団塊ジュニア
・ミレニアル世代
日本の人口ピラミッド
アメリカの人口ピラミッド
人口ピラミッド(population pyramid)という年齢別の人口数を表す図がある。子だくさんだが平均寿命が短い発展途上国型では三角形(下にアフリカ諸国の総計を示した図を掲載する)、子供の数が減少する先進諸国では釣鐘型、日本のように極度な少子高齢社会だと頭でっかちの逆三角形に近い形となっていく。下の記事にあるが、アメリカでは40代以下の世代が人口の半分を占めるという形になっているが、日本の場合は40代以上の世代が人口の半分以上を占めるようになっている。日本は人口減少時代に入り、昨年はおおよそ85万人が新たに生まれ、135万人が亡くなるので、50万人も減っている。人口の減少率が1%以上という都道府県も増えている。日本以上のペースで子供が生まれにくく、高齢者(65歳以上)が人口に占める割合が急激に増加している国は他にはない。人類の大いなる実験場だ。
アフリカの人口ピラミッド
アメリカの研究結果で興味深いのは、アメリカの若い人たちの間で、白人が過半数を割るということだ。ベビーブーム世代は4人に3人は白人であり、現在はまだ白人が過半巣を占めているが、数十年後には過半数を割るようになる。また、若い人たちはリベラルな考えを持つ人が多く、政府が諸問題解決のために大きな役割を果たすべきだと答える割合が高いということだ。若い世代を代表する政治家としてはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)がいる。「ミレニアル社会主義(Millennial Socialism)」という言葉も生まれているほどだ。日本の若者層に関しては、いくつかの研究結果で、自民党支持が多いということとは対照的だ。
「人口ボーナス(demographic dividend)」という現象がある。これは「総人口に占める働く人の割合が上昇し、経済成長が促進される」ということだ。アジアでは、インドネシアやマレーシアなどがこれから人口ボーナス期を迎える。一方、日本は2005年の段階で人口ボーナス期を終了している。そのために経済成長が鈍化している、ということになる。これからは人口ボーナス期の果実を食いつぶしていくことになる。
人口動態は社会や経済、政治に大きな影響を与える。人口学(demography)、歴史人口学(historical demography)は実は重要な学問だ。
(貼り付けはじめ)
ミレニアル世代が現在、アメリカの人口で最大のシェアを占める(Millennials
now largest share of US population)
リード・ウィルソン筆
2020年8月4日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/state-watch/510478-millennials-now-largest-share-of-us-population
ミレニアル世代とそれ以降に生まれた人々の人口が史上初めてアメリカの人口の過半数を占めることになった。しかし、より年上の世代はまだアメリカの有権者の過半数をまだ占めている。
ブルッキングス研究所所属の人口学者ウィリアム・フレイの新しい研究によると、1981年から1996年の間に生まれたミレニアル世代の数はアメリカの人口の22%を占めるようになっている。
1997年から2012年の間に生まれたZ世代と、まだ名前がついていない2013年生まれ以降の世代の数を合わせると、現在40歳以下の人々がアメリカの人口に占める割合は50.7%になっている。
第二次世界大戦後の1946年から1964年の間に生まれたベビーブーム世代は人口の21.8%を占めている。
しかし、ベビーブーム世代は有権者の中で最大のシェア、28.9%を占めている。ミレニアル世代は27%を占めている。X世代は24.8%を占めている。Z世代はやっと投票ができる年齢に到達し始めているが、人口では20.3%を占めているが、有権者の中では10.1%を占めているに過ぎない。
ベビーブーム世代はその政治的な力を使ってこれまで4名の大統領を連続して自分たちの世代から選び出した。今年の選挙でジョー・バイデン前副大統領が大統領になれば5人連続となる。
人口調査の推計によると、ミレニアル世代とそれ以降の人々は2030年までに有権者の中で過半数を占めるようになる。
より若い世代の塊はより年上の世代に比べて、人種の多様性に富み、移民、警察改革、そして環境保護といった諸問題でよりリベラルな態度を取る。
世代の中に白人人口が占める割合はミレニアル世代の60%、Z世代の55.6%に過ぎない。ベビーブーム世代ではその割合は約75%だった。Z世代の下の世代では白人の人口は半分を割っている。アメリカの世代で白人が過半数を割ったのは史上初だ。
昨年ピュー・リサーチ・センターが実施した世論調査の結果では、より若い世代は諸問題を解決するために政府は関与すべきだと答えるようになっている。また、多様性が高まることは社会にとって良いことであると答える。また、より年上の世代に比べて気候変動は人間の活動によってもたらされると考えている。
より若い世代はトランプ大統領の行っている仕事を評価しない傾向にある。最近のエマーソン大学の世論調査の結果では、30歳以下の人の36%、50歳以下の38%しかトランプ大統領の仕事ぶりを評価しなかった。50歳以上の人の過半数はトランプ大統領の仕事ぶりを評価した。
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日本の人口、過去最大50万人減少 1億2427万人に 東京・神奈川・沖縄以外は減
毎日新聞2020年8月5日 18時04分(最終更新 8月5日 18時04分)
https://mainichi.jp/articles/20200805/k00/00m/040/182000c
総務省は5日、住民基本台帳に基づく1月1日現在の人口動態調査結果を発表した。国内の日本人の人口は、前年より50万5046人少ない1億2427万1318人(前年比0・40%減)と11年連続で減少。減少幅も6年連続で広がり、1968年の調査開始以降で最大となった。一方で、留学生や技能実習生らの増加に伴い、外国人の人口は19万9516人増の286万6715人(同7・48%増)と6年連続で増え、過去最多を更新した。
昨年1年間の日本人の出生者数は、前年比5万4092人減の86万6908人と4年連続で減少し、79年度に調査項目に加えて以降、最少を更新した。死亡者数は前年より1万5342人多い137万8906人と7年連続で増加。死亡者数が出生者数を上回る「自然減」は51万1998人と12年連続で拡大した。年齢別の構成比は、65歳以上が28・41%(同0・35ポイント増)と増える一方で、0~14歳は12・30%(同0・15ポイント減)と減少傾向が続き、少子高齢化に歯止めがかかっていない。
東京圏・名古屋圏・関西圏の「3大都市圏」に住む日本人は、6447万9280人と2年連続で減少したが、14年連続で全国人口の半数を占めた。都道府県別で人口が増えたのは、東京、神奈川、沖縄の3都県で、東京は6万8547人増と21年連続でトップ。減少数が最も多かったのは北海道の4万2286人で、兵庫県2万6937人、静岡県2万5600人と続いた。人口減少率は秋田県1・52%、青森県1・36%、山形県1・27%の順で、東北の減少率が高かった。
一方、外国人の国内での出生者数は1万7859人、死亡者数は7306人で、自然増加数は1万553人と2012年度に調査を始めて以来、過去最多を更新した。都道府県別では、島根県を除く46都道府県で増加。外国人の人口が最も多いのは東京都の57万7329人(前年比2万5646人増)で、愛知県27万4208人(同2万700人増)、大阪府25万2742人(同1万6765人増)と続いた。全住民に占める外国人の割合は、東京都が4・17%と最大で、愛知県3・62%、群馬県3・05%だった。【堀和彦】
2020年 住民基本台帳に基づく都道府県別の日本人の人口
都道府県 人口 増減数 増減率(%)
北海道 522万6066 ▼4万2286 ▼0.80
青森県 126万9494 ▼1万7535 ▼1.36
岩手県 122万7464 ▼1万5548 ▼1.25
宮城県 226万8775 ▼1万3140 ▼0.58
秋田県 98万1114 ▼1万5178 ▼1.52
山形県 107万4351 ▼1万3774 ▼1.27
福島県 186万6570 ▼2万436 ▼1.08
茨城県 285万1707 ▼1万9476 ▼0.68
栃木県 192万2681 ▼1万2782 ▼0.66
群馬県 190万9403 ▼1万5202 ▼0.79
埼玉県 719万7793 ▼2400 ▼0.03
千葉県 615万4626 ▼3059 ▼0.05
東京都 1325万7596 6万8547 0.52
神奈川県 898万1167 4213 0.05
新潟県 221万7650 ▼2万4867 ▼1.11
富山県 103万6503 ▼8528 ▼0.82
石川県 112万3115 ▼7622 ▼0.67
福井県 76万4795 ▼7052 ▼0.91
山梨県 80万9800 ▼7265 ▼0.89
長野県 204万9761 ▼1万6652 ▼0.81
岐阜県 197万3948 ▼1万6650 ▼0.84
静岡県 361万1596 ▼2万5600 ▼0.70
愛知県 730万1322 ▼1万479 ▼0.14
三重県 175万8638 ▼1万5356 ▼0.87
滋賀県 138万7945 ▼2861 ▼0.21
京都府 248万1833 ▼1万3090 ▼0.52
大阪府 859万6893 ▼1万6128 ▼0.19
兵庫県 543万5379 ▼2万6937 ▼0.49
奈良県 134万0085 ▼1万180 ▼0.75
和歌山県 94万7173 ▼1万882 ▼1.14
鳥取県 55万6195 ▼5250 ▼0.94
島根県 67万0468 ▼6783 ▼1.00
岡山県 187万2421 ▼1万1505 ▼0.61
広島県 277万0709 ▼1万6377 ▼0.59
山口県 135万2180 ▼1万4642 ▼1.07
徳島県 73万5974 ▼8547 ▼1.15
香川県 96万7202 ▼7667 ▼0.79
愛媛県 135万5720 ▼1万4133 ▼1.03
高知県 70万4396 ▼8610 ▼1.21
福岡県 504万7263 ▼7915 ▼0.16
佐賀県 81万6605 ▼5838 ▼0.71
長崎県 134万0026 ▼1万5197 ▼1.12
熊本県 175万2215 ▼1万2553 ▼0.71
大分県 113万7378 ▼1万70 ▼0.88
宮崎県 108万8186 ▼9107 ▼0.83
鹿児島県 161万8119 ▼1万4979 ▼0.92
沖縄県 146万1018 2332 0.16
全国計1億2427万1318 ▼50万5046 ▼0.40
※1月1日時点。増減は前年比。▼はマイナス
(貼り付け終わり)
(終わり)
アメリカ政治の秘密
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側