古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ミレニアル世代

 古村治彦です。

 昨日、色々な記事を読んでいたら、日米の人口に関する研究結果に関する記事が出ていた。その前に人口に関するいくつかの言葉を整理しておきたい。まずベビーブーム世代(baby boomers)だが、この世代は第二次世界大戦終結前後から1964年くらいまでに生まれた人たちのことを指す。日本では「団塊の世代」とも呼ばれる。その子供たちの世代(1960年代後半から1980年くらいまでに生まれた人たち)をアメリカでは「X世代(Generation X)」と呼ぶ。日本では1970年代前半に生まれた、団塊の世代の子供たち世代を「団塊ジュニア世代(第二次ベビーブーム世代)」と呼ぶ。

 「X世代」の次に来る世代は、アメリカでは「ミレニアル世代(Millennials)」と呼ぶ。1981年から1996年くらいまでに生まれた、現在25歳から40歳くらいまでの人たちだ。その下の世代で現在大学生くらいから下の世代を「Z世代(Generation Z)」と呼ぶ。上からまとめて挙げていくと次の通りだ。

アメリカ         日本

・ベビーブーム世代    ・団塊の世代

X世代         ・団塊ジュニア

・ミレニアル世代

Z世代
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日本の人口ピラミッド
2019populationpyramidusa
アメリカの人口ピラミッド
 人口ピラミッド(population pyramid)という年齢別の人口数を表す図がある。子だくさんだが平均寿命が短い発展途上国型では三角形(下にアフリカ諸国の総計を示した図を掲載する)、子供の数が減少する先進諸国では釣鐘型、日本のように極度な少子高齢社会だと頭でっかちの逆三角形に近い形となっていく。下の記事にあるが、アメリカでは40代以下の世代が人口の半分を占めるという形になっているが、日本の場合は40代以上の世代が人口の半分以上を占めるようになっている。日本は人口減少時代に入り、昨年はおおよそ85万人が新たに生まれ、135万人が亡くなるので、50万人も減っている。人口の減少率が1%以上という都道府県も増えている。日本以上のペースで子供が生まれにくく、高齢者(65歳以上)が人口に占める割合が急激に増加している国は他にはない。人類の大いなる実験場だ。
2019populationpyramidafricancountries001

アフリカの人口ピラミッド
 アメリカの研究結果で興味深いのは、アメリカの若い人たちの間で、白人が過半数を割るということだ。ベビーブーム世代は4人に3人は白人であり、現在はまだ白人が過半巣を占めているが、数十年後には過半数を割るようになる。また、若い人たちはリベラルな考えを持つ人が多く、政府が諸問題解決のために大きな役割を果たすべきだと答える割合が高いということだ。若い世代を代表する政治家としてはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)がいる。「ミレニアル社会主義(Millennial Socialism)」という言葉も生まれているほどだ。日本の若者層に関しては、いくつかの研究結果で、自民党支持が多いということとは対照的だ。

 「人口ボーナス(demographic dividend)」という現象がある。これは「総人口に占める働く人の割合が上昇し、経済成長が促進される」ということだ。アジアでは、インドネシアやマレーシアなどがこれから人口ボーナス期を迎える。一方、日本は2005年の段階で人口ボーナス期を終了している。そのために経済成長が鈍化している、ということになる。これからは人口ボーナス期の果実を食いつぶしていくことになる。

 人口動態は社会や経済、政治に大きな影響を与える。人口学(demography)、歴史人口学(historical demography)は実は重要な学問だ。

(貼り付けはじめ)

ミレニアル世代が現在、アメリカの人口で最大のシェアを占める(Millennials now largest share of US population

リード・ウィルソン筆

2020年8月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/510478-millennials-now-largest-share-of-us-population

ミレニアル世代とそれ以降に生まれた人々の人口が史上初めてアメリカの人口の過半数を占めることになった。しかし、より年上の世代はまだアメリカの有権者の過半数をまだ占めている。

ブルッキングス研究所所属の人口学者ウィリアム・フレイの新しい研究によると、1981年から1996年の間に生まれたミレニアル世代の数はアメリカの人口の22%を占めるようになっている。

1997年から2012年の間に生まれたZ世代と、まだ名前がついていない2013年生まれ以降の世代の数を合わせると、現在40歳以下の人々がアメリカの人口に占める割合は50.7%になっている。

第二次世界大戦後の1946年から1964年の間に生まれたベビーブーム世代は人口の21.8%を占めている。

しかし、ベビーブーム世代は有権者の中で最大のシェア、28.9%を占めている。ミレニアル世代は27%を占めている。X世代は24.8%を占めている。Z世代はやっと投票ができる年齢に到達し始めているが、人口では20.3%を占めているが、有権者の中では10.1%を占めているに過ぎない。

ベビーブーム世代はその政治的な力を使ってこれまで4名の大統領を連続して自分たちの世代から選び出した。今年の選挙でジョー・バイデン前副大統領が大統領になれば5人連続となる。

人口調査の推計によると、ミレニアル世代とそれ以降の人々は2030年までに有権者の中で過半数を占めるようになる。

より若い世代の塊はより年上の世代に比べて、人種の多様性に富み、移民、警察改革、そして環境保護といった諸問題でよりリベラルな態度を取る。

世代の中に白人人口が占める割合はミレニアル世代の60%、Z世代の55.6%に過ぎない。ベビーブーム世代ではその割合は約75%だった。Z世代の下の世代では白人の人口は半分を割っている。アメリカの世代で白人が過半数を割ったのは史上初だ。

昨年ピュー・リサーチ・センターが実施した世論調査の結果では、より若い世代は諸問題を解決するために政府は関与すべきだと答えるようになっている。また、多様性が高まることは社会にとって良いことであると答える。また、より年上の世代に比べて気候変動は人間の活動によってもたらされると考えている。

より若い世代はトランプ大統領の行っている仕事を評価しない傾向にある。最近のエマーソン大学の世論調査の結果では、30歳以下の人の36%、50歳以下の38%しかトランプ大統領の仕事ぶりを評価しなかった。50歳以上の人の過半数はトランプ大統領の仕事ぶりを評価した。

=====

日本の人口、過去最大50万人減少 12427万人に 東京・神奈川・沖縄以外は減

毎日新聞202085 1804(最終更新 85 1804)

https://mainichi.jp/articles/20200805/k00/00m/040/182000c

 総務省は5日、住民基本台帳に基づく11日現在の人口動態調査結果を発表した。国内の日本人の人口は、前年より505046人少ない124271318人(前年比040%減)と11年連続で減少。減少幅も6年連続で広がり、1968年の調査開始以降で最大となった。一方で、留学生や技能実習生らの増加に伴い、外国人の人口は199516人増の2866715人(同748%増)と6年連続で増え、過去最多を更新した。

 昨年1年間の日本人の出生者数は、前年比54092人減の866908人と4年連続で減少し、79年度に調査項目に加えて以降、最少を更新した。死亡者数は前年より15342人多い1378906人と7年連続で増加。死亡者数が出生者数を上回る「自然減」は511998人と12年連続で拡大した。年齢別の構成比は、65歳以上が2841%(同035ポイント増)と増える一方で、014歳は1230%(同015ポイント減)と減少傾向が続き、少子高齢化に歯止めがかかっていない。

 東京圏・名古屋圏・関西圏の「3大都市圏」に住む日本人は、64479280人と2年連続で減少したが、14年連続で全国人口の半数を占めた。都道府県別で人口が増えたのは、東京、神奈川、沖縄の3都県で、東京は68547人増と21年連続でトップ。減少数が最も多かったのは北海道の42286人で、兵庫県26937人、静岡県25600人と続いた。人口減少率は秋田県152%、青森県136%、山形県127%の順で、東北の減少率が高かった。

 一方、外国人の国内での出生者数は17859人、死亡者数は7306人で、自然増加数は1553人と2012年度に調査を始めて以来、過去最多を更新した。都道府県別では、島根県を除く46都道府県で増加。外国人の人口が最も多いのは東京都の577329人(前年比25646人増)で、愛知県274208人(同2700人増)、大阪府252742人(同16765人増)と続いた。全住民に占める外国人の割合は、東京都が417%と最大で、愛知県362%、群馬県305%だった。【堀和彦】

2020年 住民基本台帳に基づく都道府県別の日本人の人口

都道府県  人口    増減数   増減率(%)

北海道  5226066  ▼42286  ▼0.80

 

青森県  1269494  ▼17535  ▼1.36

 

岩手県  1227464  ▼15548  ▼1.25

 

宮城県  2268775  ▼13140  ▼0.58

 

秋田県   981114  ▼15178  ▼1.52

 

山形県  1074351  ▼13774  ▼1.27

 

福島県  1866570  ▼2436   ▼1.08

 

茨城県  2851707  ▼19476  ▼0.68

 

栃木県  1922681  ▼12782  ▼0.66

 

群馬県  1909403  ▼15202  ▼0.79

 

埼玉県  7197793  ▼2400    ▼0.03

 

千葉県  6154626  ▼3059    ▼0.05

 

東京都  13257596  68547    0.52

 

神奈川県 8981167  4213     0.05

 

新潟県  2217650  ▼24867  ▼1.11

 

富山県  1036503  ▼8528    ▼0.82

 

石川県  1123115  ▼7622    ▼0.67

 

福井県   764795  ▼7052    ▼0.91

 

山梨県   809800  ▼7265    ▼0.89

 

長野県  2049761  ▼16652  ▼0.81

 

岐阜県  1973948  ▼16650  ▼0.84

 

静岡県  3611596  ▼25600  ▼0.70

 

愛知県  7301322  ▼1479   ▼0.14

 

三重県  1758638  ▼15356  ▼0.87

 

滋賀県  1387945  ▼2861    ▼0.21

 

京都府  2481833  ▼13090  ▼0.52

 

大阪府  8596893  ▼16128  ▼0.19

 

兵庫県  5435379  ▼26937  ▼0.49

 

奈良県  1340085  ▼1180   ▼0.75

 

和歌山県  947173  ▼1882   ▼1.14

 

鳥取県   556195  ▼5250    ▼0.94

 

島根県   670468  ▼6783    ▼1.00

 

岡山県  1872421  ▼11505  ▼0.61

 

広島県  2770709  ▼16377  ▼0.59

 

山口県  1352180  ▼14642  ▼1.07

 

徳島県   735974  ▼8547    ▼1.15

 

香川県   967202  ▼7667    ▼0.79

 

愛媛県  1355720  ▼14133   ▼1.03

 

高知県   704396  ▼8610    ▼1.21

 

福岡県  5047263  ▼7915    ▼0.16

 

佐賀県   816605  ▼5838    ▼0.71

 

長崎県  1340026  ▼15197   ▼1.12

 

熊本県  1752215  ▼12553   ▼0.71

 

大分県  1137378  ▼170    ▼0.88

 

宮崎県  1088186  ▼9107    ▼0.83

 

鹿児島県 1618119  ▼14979   ▼0.92

 

沖縄県  1461018   2332    0.16

全国計124271318  ▼505046  ▼0.40

11日時点。増減は前年比。はマイナス

(貼り付け終わり)
rekishijinkougakunosekai001

歴史人口学の世界 (岩波現代文庫)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 

 インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジについてはこのブログでも何度もご紹介しています。全くの無名、知名度ゼロ、支持率ゼロ%のところから、今や民主党予備選挙で有力候補の仲間入りというところまできました。

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 ブティジェッジは同性愛者を公言し、同性の配偶者と結婚をしています。しかし、それが彼の一つの個性、少し変わったところ、というくらいに思えるほど、経歴や経験が多彩で、かつインタヴューでの受け答えの素晴らしさが際立っています。37歳という年齢は国政に参加するにあたっては若く、これからどのように活動していくのか、今回の選挙の結果がうまくいかなくても、次をどのように展開するのかという楽しみもあります。



 

 これはブティジェッジ陣営が明らかにしていないことですが、彼がヒラリー・クリントンと会談を持ったということが報じられました。ブティジェッジが他の大物たちと会ったことは彼自身がツイッターで公にし、写真や映像が残っていますが、この件に関しては、公にしておらず、画像や映像は残っていません。

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 ヒラリーという存在はそれだけ難しいものということになります。彼女に近づきすぎると痛い目に遭うかもしれない、しかし、ヒラリー派を相手に喧嘩もしたくない、ということは考えるでしょうから、結局秘密に会う、しかし、一応リークするが、証拠は残さないということになります。

 

 ブティジェッジは左傾化しているミレニアル世代(現在の30代後半から20代半ばくらいの若い人々)の中で中道派の位置を占めようとしているようです。彼の主張は民主党エスタブリッシュメントから見ればリベラルですが、ミレニアル世代の中では、中道派過ぎるとして反発を受けるでしょう。こうした場合、選挙に勝つには、ミレニアル世代の代表の面と共に年齢が上の人々から受け入れられる中道派の面も持ち合わせる必要があります。ミレニアル世代よりも年齢が上のX世代やベイビーブーム世代の支持も必要だからです。

 

 ブティジェッジの出身地であり現在市長を務めているインディアナ州サウスベンド市は、隣のイリノイ州シカゴに近い町です。ですから、シカゴを拠点としているバラク・オバマ前大統領の流れをくむ(後継者というには関係が薄すぎる)という形で、現在、支持率トップのバイデンの次を狙う、彼を支持する人々の支持を狙うという考えなのだろうと思います。


barackobama146

 ブティジェッジに対しては、バラク・オバマとヒラリー・クリントンの選挙資金を取りまとめた人々も支援に動いています。彼の人気の急上昇と共にこうした動きが出ています。勝てば官軍、勝ち馬に乗る、ということなのでしょう。今回のブティジェッジの場合は先行投資という意味合いも強いように思います。今回がだめでもまだ37歳、これからチャンスはあります。

 

 こうして見ていくと、ブティジェッジが戦略的にうまく動いていることが分かります。

 

(貼り付けはじめ)

 

ブティジエッジがヒラリー・クリントンと会談(Buttigieg meets with Hillary Clinton

 

エイミー・パーネス筆

2019年5月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/441632-buttigieg-meets-with-hillary-clinton

 

米大統領選挙民主党予備選挙候補者ピート・ブティジェッジは火曜日にヒラリー・クリントンと会談を持った、と本誌の取材に対し、取材源が答えた。

 

取材源によると、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジから会談を依頼したということだ。ブティジェッジは最近の各種世論調査で支持率を急上昇させている。

 

ブティジェッジは、2020年米大統領選挙民主党予備選挙候補者として、2016年米大統領選挙民主党候補者ヒラリー・クリントンと会談を持った人物としては、最も直近の人物ということになる。これまでにヒラリー・クリントンと会談を持ったのは、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)である。

 

ヒラリーの側近は「彼女は2020年の大統領選挙の候補者たちに教えることがたくさんあり、喜んで助言を与える」と述べた。

 

取材源によると、元国務長官ヒラリー・クリントンはニューヨークにある彼女の事務所でブティジェッジに会った、ということだ。

 

ヒラリー・クリントンは今のところ誰も支援していないが、予備選挙が終わるまで誰も支援しないだろうと側近たちは述べている。

 

今回の会談が報じられたのは、2016年の米大統領選挙でヒラリー・クリントンのために多額の献金を集めた人々の中からブティジエッジ支援を表明する人たちが出ているという報道が出た後であった。その中には、2016年の米大統領選挙で10万ドル以上を集めたスティーヴ・エルメンドーフも含まれている。

 

=====

 

民主党内で台頭しつつあるスター候補ピート・ブティジェッジが2020年米大統領選挙の資金源として、バラク・オバマとヒラリー・クリントンに大口献金を起こった人物たちが名簿に名前を連ねる(Rising Democratic star Pete Buttigieg enlists Barack Obama and Hillary Clinton fundraisers to build his 2020 campaign war chest

 

2019年4月17日

CNBC

https://www.cnbc.com/2019/04/17/pete-buttigieg-enlists-barack-obama-hillary-clinton-fundraisers-for-2020-campaign.html

 

●要点(KEY POINTS

 

CNBCがピート・ブティジェッジ陣営の複数のスタッフから入手したリストによると、ブティジェッジは大統領選挙民主党予備選挙で人気を上昇させ、その結果、20名以上の民主党の大口献金者たちが支持を表明している。

 

・リストには、バラク・オバマとヒラリー・クリントンのために巨額の献金を取りまとめた人物の名前が複数入っている。

 

・2016年の大統領選挙でクリントンのために10万ドル以上の献金を取りまとめたスティーヴ・エルメンドーフは2019年4月14日の日曜日、ブティジェッジ支持を決心した。この日にブティジエッジはインディアナ州サウスベンド市で正式な出馬表明演説を行った。

 

ピート・ブティジェッジは大統領選挙民主党予備選挙で人気を上げ、20名上の民主党系の大口健記者たちからの支援を引き出している。CNBCはブティジェッジ陣営のスタッフから支援者のリストを入手した。その中にはバラク・オバマとヒラリー・クリントンのために多額の献金を取りまとめた人物たちが含まれていた。

 

リストに掲載されていた献金者たちは複数の元アメリカ大使や不動産業者などが掲載されていた。大物たちが支持を表明しているということは、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは、翌年の本選挙でドナルド・トランプ大統領に挑戦するために多くの候補者がひしめきあっている大統領選挙民主党予備選挙において、全く無名の存在から有力候補へとなったことを示している。

 

ブティジェッジの誠実なアプローチは、民主党の献金者層の熱意をかき立てている。リストに掲載されている中で大物と言えば、ロビイストで2004年の大統領選挙のジョン・ケリー陣営の幹部スタッフを務めたスティーヴ・エルメンドーフだ。エルメンドーフは2019年4月14日にブティジェッジ支援を決心した。この日、ブティジェッジはインディアナ州サウスベンド市で正式な出馬表明演説を行った。

 

エルメンドーフは「ブティジェッジを見れば見るほど、彼は他の全ての候補者たちよりも素晴らしいパフォーマンスを行っていると考えるようになった。彼は明るいメッセージを送っており、私は彼が好きだ。彼は良い意味でトランプとは正反対の人物であり、質問をされるたびに彼は解決策を見つけようと努力している。彼は誰も攻撃しない」と述べた。非営利組織「センター・フォ・レスポンシヴ・ポリティックス」の報告書によると、エルメンドーフは2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントンのために10万取り上の献金を取りまとめた。

 

エルメンドーフは続けて次のように語った。「彼は全ての場所で自分自身をアピールできていると思う。彼は受けられるインタヴューには全て応じ、素晴らしいパフォーマンスを見せている。彼は自身が本物であることを見せつけている。ワシントン政治に染まっていない、新しくて若い人物が選挙戦に出てきたということになる」。

 

ブティジェッジの大口献金者リストに掲載されているもう一人の大物は、映画プロデューサーで環境保護活動家ロウリー・デイヴィッドだ。ロウリー・デイヴィッドは、『ラリーのミッドライフ☆クライシス』シリーズの主演と脚本のラリー・デイヴィッドの元妻で、アカデミー賞を受賞した気候変動に関するドキュメンタリー映画『不都合な真実』のプロデューサーを務めた。

 

大富豪として知られるポウラド家の人々もまたブティジェッジを支持している。ポウラド家はミネアポリスを拠点とする30以上の事業を所有し、メジャーリーグのミネソタ・ツインズも所有している。『フォーブス』誌によると、ポウラド家の純資産は2015年の段階で38億ドル(約4100億円)であるロバート・ポウラドは2012年の大統領選挙でオバマを支持し、少なくとも50万ドル以上の資金を取りまとめた。

 

ロサンゼルス在住の活動家で映画監督でもあるジル・ゴールドマンは2008年の大統領選挙のオバマ陣営の全国資金財政委員会の委員を務めた。ゴールドマンのブティジェッジを支持している。ゴールドマンは2008年の米大統領選挙でオバマに対して少なくとも20万ドルの資金を取りまとめた人物である。

 

オバマ政権下で駐イタリア米国大使を務めたジョン・フィリップスもリストに名前が掲載されている。フィリップスは有力な法律事務所フィリップス・アンド・コーエンの創設者であり、2012年の大統領選挙ではオバマのために少なくとも50万ドルの資金を取りまとめた人物である。

 

デイヴィッド、ゴールドマン、フィリップスからはコメント依頼に対する返事はなかった。ポウラドには連絡が出来なかった。CNBCはリストに名前があった他の人々にも連絡をしている。

 

ヘッジファンドの経営者で献金の取りまとめ役であるオリン・クラマーもまたブティジェッジを支持している。『ニューヨーク・タイムズ』紙とCNBCはいち早くクラマーのブティジェッジ支持を報じた。

 

他の多くの候補者たちとは違い、ブティジエッジは大口献金者たちから完全に距離を取るという態度は取っていない。

 

ブティジェッジの最初の選挙運動に関する公約は、企業のPACと化石燃料産業からの資金を受け取らないというものであった。しかし、彼は企業の経営陣からの援助を受けることについては何も発言していない。

 

2019年第一四半期、ブティジェッジは700万ドルの資金を集め、人々を驚かせた。これによって、彼は民主党内の有力候補の位置にまで上昇することが出来た。資金の一部は、各金融関係企業の経営陣からのものだ。その中には、シカゴに本拠を置く投資会社ウィックロウ・キャピタル社の部長スティーヴン・シューラーも含まれている。

 

ブティジェッジはアメリカの資本主義を称賛したが、いくつかの批判も忘れなかった。

 

CNBCとの最近のインタヴューの中で、同性愛を公表し、退役軍人であるブティジェッジは、人々に利益をもたらすが、それは資本主義の影響力を利用できることが出来る人たちに限られているとも述べた。

 

ブティジェッジは「アメリカの資本主義は人類史上最も生産的な力である。その結果、アメリカは特に20世紀において、技術と繁栄において限界を突破することが可能となった」と述べた。

 

ブティジェッジは、格差拡大の原因となるアメリカの資本主義社会の中で、人々が成功できるようにするための政策が行われていないということを批判し続けている。

 

「経済とは、ガラクタが一緒になって存在するものではない。経済は民間部門と公共部門との間の相互作用だ。そして、公共部門に関する諸政策は、私がこれまで生きてきた期間、格差が拡大する方向にずっと捻じ曲げられてきた」。

 

以下にブティジエッジのために献金を取りまとめる民主党系の人々の名前を掲載する。

 

・オリン・クラマー(Orin Kramer)、ニューヨーク

 

・マーゴ・ライオン(Margo Lion)、ニューヨーク

 

・ブライアン・ラファネリとマーク・ウォルシュ(Bryan Rafanelli & Mark Walsh)、ボストン

 

・バリー・ホワイトとエレノア・ホワイト(Barry & Eleanor White)、ボストン

 

・ウィリアム・マホーニーとアマリア・マホーニー(William & Amalia Mahoney)、シカゴ

 

ジョン・アトキンソンとボニー・アトキンソン(John & Bonnie Atkinson)、シカゴ

 

デイヴィッド・フリードマン(David Friedman)、コロラド

 

エリック・ジェイムソンとマルコ・ゼレガ(Eric Janssen & Marco Zerega)、シカゴ

 

デイヴィッド・ジェイコブソンとジュリー・ジェイコブソン(David & Julie Jacobson)、シカゴ

 

ウルスラ・テラシ(Ursala Terrasi)、カンザスシティ

 

ロバート・ポウラドとレベッカ・ポウラド(Robert and Rebecca Pohlad)、ミネアポリス

 

クリス・ポウラドとケイシー・ポウラド(Chris and Kacey Pohlad)、ミネアポリス

 

ジョー・ポウラドとサラ・ポウラド(Joe and Sara Pohlad)、ミネアポリス

 

ジル・ゴールドマン(Jill Goldman)、ロサンゼルス

 

・ヴッキー・ケネディ(Vicki Kennedy)、ロサンゼルス

 

・ロウリー・デイヴィッド(Laurie David)、ロサンゼルス,

 

・スージー・トムキンス=ブエル(Susie Tomkins-Buell)、サンフランシスコ

 

・クリスティン・フォレスター(Christine Forrester)、サンディエゴ

 

・ジョン・フィリップス(John Phillips)、ワシントンDC

 

・スティーヴ・エルメンドーフ(Steve Elmendorf)、ワシントンDC

 

・ウィリアム・エアコウ(William Eacho)、ワシントンDC

 

・トッド・シジウィック(Tod Sedgwick)、ワシントンDC

 

・ボビー・マンドール(Bobby Mandell)、オーランド

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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