古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:ランド・ポール



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 アメリカ国民が「タカ派的」になっていく中で、民主、共和両党ともに「タカ派路線」を進むことになり、そのためにランド・ポールは総攻撃に遭って負けてしまうだろうという記事です。2017年からの世界が暗澹たるものになっていくのであろうと今からため息が出ます。

 

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ハトはタカとの戦いには勝てない(A Dove Can’t Win a Hawk Fight

―ランド・ポールの微妙な外交政策では、強硬な態度が好まれる共和党の予備選挙を勝ち抜くチャンスはない

 

マイケル・A・コーエン(Michael A. Cohen)筆

2015年4月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/04/08/a-dove-cant-win-a-hawk-fight-rand-paul-gop-primary/

 

 もしあなたが2016年の大統領選挙に出馬することになった共和党の政治家とするならば、選挙期間における最高の日となるのは、あなたが共和党の大統領選挙候補者になったと発表する日となるだろう。喝采を送る聴衆、賛辞、色とりどりの吹き流しと風船、希望と高まる期待、その日1日だけは何でもできると思えてくる。共和党の大統領選挙候補者にとっては、この日よりもより良い日を迎えることはないだろう。

 

それでも未来はやって来る。

 

 共和党の予備選挙に参加することを発表した、ケンタッキー州選出連邦上院議員ランド・ポールをこの文章で取り上げる。4月7日の火曜日、ケンタッキー州ルイヴィルで彼は笑顔と幸福感に包まれていた。こんなことは言いたくないのだが、ランドさん、そこからあなたは落ちていくだけになりますよ。

 

 ベン・カーソンを一言で言うなら「狂気」だし、リック・ペリーは「頭の悪さ」となり、クリス・クリスティの場合は「クリス・クリスティらしさ」ということになる。ランド・ポールの場合は、「ハト派」となる。共和党の予備選挙で大きな力を持っているのは強硬なタカ派の人々であり、ランド・ポールは招かれざる客なのである。彼は共和党の馬鹿げた外交政策を少しはまともにしようと努力しているが、彼の訴えに耳を傾ける共和党支持者は少ない。一言で言えば、彼は自身の外交政策に関する考え方のために共和党の大統領選挙候補者になれないのである。

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ランド・ポール 

 

 火曜日、ランド・ポールはルイヴィルで、友人、家族、歓声を上げる支持者たちに囲まれていた。その中で、彼は国家安全保障とアメリカの世界における位置づけに関して正しいことを述べようとした。

 

 彼はまず宣言した。「敵は急進イスラムだ。私たちはそれから目を背けることはできない」

 

 彼は自分の目標とする人物の名を挙げた。「私は、レーガン大統領がそうしたように、強さを通じて平和を維持する国防政策を実行する」。

 

 

 彼は続けて主敵を攻撃した。「オバマ大統領と私との違いを言うならば、彼は弱者の立場から交渉が可能だと考えているように見えるということだ」。

 

 しかし、彼がどれほど努力しても、ポールは自分自身の信念と彼のこれまでの政治行動の記録から逃れることはできない。

 

 ポールは、オバマ大統領のイランとの合意を批判しながらも、イランの将来の核開発を巡る交渉は支持している。彼は過去にイスラエルに対する軍事援助を削減するように主張したこともあった。これは現在の共和党では、「ねぇ、オバマってそこまで悪くないよね?」と言うことよりも悪いこととなっているのだ。昨年、ポールは新聞の論説ページに投稿し、その中で、キューバに対する経済制裁を止めるように主張した。彼は更に「私は孤立主義者ではない」という何の捻りもない題の別の文章でもこのことを主張した。2011年、ポールは、保守派政治活動会議(CPAC)の総会で、保守派であるならば、その人は「軍事予算には多くの無駄がある」という主張に同意すべきだと述べた。

 

 彼のこれまでの発言から分かることは、ポールは「アメリカは抑制的な外交政策と国家安全保障政策を行う必要があり、軍事力の行使は最終手段だとすべきだ」と考えていることが分かる。

 

 これらは微妙な考えである。言わずもがなの事であるが、こうした考えを共和党の幹部たちは共有していない。

 

 例えば、CBSニュースの世論調査によると、共和党支持者の86%がイスラム国(IS)をアメリカにとっての大きな脅威と見なしている。民主党支持者になるとこの数は25%も低くなる。共和党支持者の72%がイラクやシリアへの地上軍の派遣を支持している。民主党支持者よりも22%も高い数字だ。イランとの核開発を巡る交渉が枠組みで合意に達する前、共和党員の過半数はイランを封じ込めるために軍事力を行使すべきだと考えていた(この数字は民主党員よりも25%も高かった)。昨年8月、イラクにおいてイスラム国と戦うべきかという質問に対し、共和党員の34%は反対し、戦わないことに57%が反対した。一方、民主党員の場合はこの数字がほぼ逆転し、戦うことに62%が反対し、25%が賛成した。共和党員は、アメリカがイラクに米軍を残しておくべきで、アフガニスタンでは正しいことをやったと考える傾向にあり、「圧倒的な軍事力」こそがテロリス無二大勝する最良の方法であると強く信じているのである(このように考える民主党員は30%しかいない)。

 

 こうした数字を見るだけでも、ポールのイデオロギー傾向から彼が共和党の大統領候補の指名を受けることは困難だということは分かる。しかし、更に彼にとって障害となるのは、現在の共和党は外交政策においてより強硬な路線を取りつつあるという事実だ。イスラム国の勢力拡大、ロシアにウクライナ侵攻、オバマ大統領が憎むべきイランの最高指導部と取引をしようとしていることに直面し、共和党は少なくとも現在のところ、国家安全保障について政治的に有利な立場に立っている。

 

 共和党側は2016年の大統領選挙を外交政策の選挙だと見なしている。そして民主党側はいつもの通り、恐怖感を募らせている。中道派の民主党員のグループ「サードウェイ」は2月にレポートを発表した。その中で、「民主党と共和党との間の安全保障に関する考え方の違いが発生し、その違いはこれまで以上に大きくなっている。これが選挙においては問題になる」と主張した。それへの対処として、サードウェイは、民主党が「アメリカに対する脅威」の存在をしっかりと認識していることをアピールすること、そして民主党が国民を守るために「全力を傾けている」と有権者に分かってもらうようにすることを提言している。ヒラリーがこの提言をしっかりと受け止めていることは明らかだ。結果として、民主、共和両党は可能な限りタカ派的な主張を行うようになるだろう。その一環として、アメリカが直面している脅威をその実態以上に過大に強調するだろう。

 

 ポールがどれほど過去の行動から現在の自分は違うと訴えても、彼が共和党の大統領候補になっている姿を想像することは不可能だ。彼が出馬を正式に表明する演説を終える前に、外部の諸団体は予備選挙が行われる各州でテレビコマーシャルを流し、その中で、「ポールはオバマ大統領のイランと交渉を支持するという間違いを犯した危険な人物だ」とレッテル貼りをし、「イランが“我が国の国家安全保障にとって脅威となる”と考えるのは馬鹿げている」とポールは主張していると攻撃した。

 

 こうした攻撃はこれからもっと激しくなっていくだろう。ポールは国家安全保障に関しては守勢に回らざるを得なくなるだろう。彼は選挙戦に参加している限り、保守派からの攻撃に晒され続けるだろう。少なくとも、彼のライヴァルたちは全員、共和党の幹部たちのタカ派性にアピールをすることは間違いないところだ。

 

更には、ランド・ポールには簡単に逃れられないもう1つの問題が存在する。それは、ルイヴィルの集会にも参加していた父親ロン・ポールである。


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ロン・ポール

 多くの有権者はランド・ポールという名前を聞いたらロン・ポールを連想することになるのは想像に難くない。ランド・ポールは国家安全保障で中間的な立場に立ち、外交政策についてのタカ派のようにオバマ政権に対して最低限度の批判を加えようとしている。しかし、父ロン・ポールは、全く妥協せずにアイソレーショニスト的な考えを隠さずに主張している。イスラエル、国防予算、イラク、対テロ戦争に関して、ロン・ポールは、アメリカ国内のいかなる現実政治家たちよりも共和党主流派の考えから距離を取っている。ランド・ポールとロン・ポールの関係を知らない共和党の予備選挙に参加する有権者たちに対して、共和党の予備選立候補者たちは、討論会で国家安全保障に関して父と同じ考えを持っているかどうかを質問してアピール機会を狙っている。これまでに述べた3つの弱点はポールにとっての足かせとなり、ポールに痛みを強いることになるだろう。

 

 ここまで長々と述べてきたが、最後に一言。「ランドさん、太陽の光が降り注ぐ素晴らしい日を楽しんでください」。ただそんな日は長くは続かないだろうけれども。

 

(終わり)








 



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙は民主、共和両党で有力候補者たちの予備選への出馬表明が次々と行われています。共和党ではテッド・クルーズ、ランド・ポール、マルコ・ルビオの3名の若手連邦上院議員が立候補を表明しました。民主党では最有力候補ヒラリー・クリントン前国務長官が立候補を表明しました。


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ランド・ポール
 

 外交政策に関して言うと、ランド・ポール議員が総攻撃に遭っています。彼はリバータリアンとして、外国に対する不介入を訴えていますが、それが共和党内部からも激しい批判に晒されています。共和党内部のネオコンと民主党の人道主義的介入派から見れば、ランド・ポールの不介入路線は最も許しがたい主張です。

 

 しかし、アメリカ国民と外国にとっては最も望ましい路線です。ランド・ポールは共和党の予備選で苦戦することになるでしょうが、舌戦を展開し、「介入主義(interventionism)」の間違いと危うさを訴え続けて欲しいと思います。

 

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ランド・ポール:グラハムとマケインはオバマにとっての「外交政策に関して愛玩犬だ」と発言(Paul: Graham and McCain are Obama’s ‘lapdogs’ on foreign policy

 

ジョナサン・イースリー(Jonathan Easley)筆

2015年4月21日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/239645-paul-graham-and-mccain-are-obamas-lapdogs-on-foreign-policy

 

 ケンタッキー州選出連邦上院議員ランド・ポール(共和党)は火曜日、彼自身と共和党内の外交政策に関してタカ派に属する政治家たちとの間の舌戦をヒートアップさせた。サウスカロライナ州選出連邦上院議員リンゼイ・グラハム(共和党)とアリゾナ州選出連邦上院議員ジョン・マケイン(共和党)をまとめてオバマ大統領の国家安全保障政策に関して「大統領の愛玩犬(lapdog)」と呼んだのだ。


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リンゼイ・グラハム

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ジョン・マケイン

 

 テレビ局フォックス・ニュースとのインタビューの中で、ポール議員はグラハム議員とマケイン議員からの批判に対してどの反応するかと質問された。グラハム議員とマケイン議員はここ数日、ランド・ポールの外国に対する不介入という考えは国家安全保障にとっての大きな脅威となると批判していた。

 

ポール議員は「こうした批判は過去20年間にわたって全ての政策に関して誤りを犯した人々からなされたものです」と発言した。

 

 ポール議員は続けて次のように発言した。「私だけがリビアでの戦争は間違っているとはっきりと主張しました。シリアのアサド政権に対して空爆を行うことはイスラム国の力を強めるだけだと主張しました。シリアの反アサド勢力に対して武器を供与することはイスラム国を強化することにしかならないと主張しました。私だけですよ。私だけがオバマ大統領とオバマ大統領の愛玩犬になってしまった人々に対して反対を唱えたのです。彼らはこのことについて恥じていると私は思います」

 

 ポール議員は、共和党の一部から彼の不介入という考えについて懐疑を持たれている。共和党タカ派はポール議員を「孤立主義者(アイソレーショニスト、isolationist)」と呼び、彼の考えは国家安全保障に対して脅威となると批判している。

 

 グラハム議員は外交政策を第一にして大統領選挙について考えを述べているのだが、彼はポール議員に対する最大の批判者となっている。

 

グラハム議員は月曜日に、MSNBCに登場し、ポール議員は外交政策について「全く間違った考えを持っている」と発言し、国家安全保障についてオバマ大統領や民主党の大統領予備選挙出馬を表明したヒラリー・クリントン前国務長官よりも軟弱な姿勢を取っていると批判した。

 

ポール議員は火曜日に「私をますます声高に批判する人々はオバマ大統領の外交政策の賛同者なのです。彼らはオバマ大統領の外交政策路線を10倍の規模に増幅して行いたいと思っているだけなのです」と発言した。

 

 ポール議員はロナルド・レーガン元大統領のように「強さを通じて平和を確保する(peace through strength)」するという考えを持っていると主張した。

 

 ポール議員は次のように発言した。「私は介入が必ずしも常に正しい答えだとは考えていません。介入によって全く予期しなかった結果が出ることもこれまで度々ありました。彼らの主張する外交政策は全く的外れです。また、混乱し、無秩序でもあります。私はこれまで全ての戦争に関わりたいと望んできた人々に行動を有権者が再調査し、再認識する必要があると思います」

 

 外交政策は共和党の大統領選挙予備選がスタートしたばかりのこの時期において最も批判の応酬が行われている分野である。共和党タカ派は中東の大混乱を受けて勢いを増している。イラクとシリアにおいてイスラム国の脅威が増大し、オバマ大統領は核開発プログラムに関してイランと交渉を行っている。これらに関して共和党タカ派は批判を強めている。

 

(終わり)









 



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 共和党の大統領選挙候補争いで、ケンタッキー州選出のランド・ポール連邦上院議員が正式に出馬を発表しました。このことに関する記事をご紹介します。

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ランド・ポール

 

 ランド・ポールはリバータリアン的な考えに基づいて、外交政策に関して独自の意見を表明してきました。共和党のネオコン、民主党の人道主義的介入派とは全く違う考えで、彼が大統領になれば、「大きな戦争」は避けられる可能性があります。しかし、そのような人物だからこそ、残念ですが大統領にはなれないでしょう。

 

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誰がランドの側に立つか?(Who Will Stand With Rand?

―米大統領選挙への出馬表明の中で、ランド・ポール(Rand Paul)は、ネオコンとハト派との間に新しい道筋を切り開こうとしている

 

ジョン・ハドソン(John Hudson)筆

2015年4月7日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/04/07/who-will-stand-with-rand/

 

 4月7日の火曜日、ケンタッキー州ルイヴィルで歓声を上げる支持者たちに囲まれながら、ケンタッキー州選出連邦上院議員ランド・ポール(Rand Paul、1963年―)はホワイトハウスを目指すことを公式に発表した。彼は選挙活動を通じて、共和党がリバータリアン的な世界観を本当に求めているのかを試すことになる。

 

 26分間の演説の中で、ポールは、様々座な国内政策について語ったが、減税、均衡財政、そして学校の選択といった内容で、共和党の正統派の考えと同じものを示した。

 

 しかし、外交政策に関しては、バラク・オバマ(Barack Obama)政権の批判の対象となる理想主義(idealism)とジョージ・W・ブッシュ前政権の正反対の軍事優先主義(militarism)との間の道筋を切り開こうとした。ポールは、共和党内部で勢力を回復しつつあるネオコンから厳しい批判を受けている。

 

ポールはルイヴィルで集まった支持者たちに次のように語った。「アメリカは外国からの侵略を防ぐのに十分なほどに強力であると考えている。しかし、不必要な介入を避けるほどには賢くない。私たちは自分たちの力で自分たちを守らねばならない。しかし、私たちは、私たちが1人の人間であることの前提を放棄してはならない。私たちは、この悪に対する長い戦いの中で、権利章典(Bill of Rights)を無効化してはならないのである」

 

 ここ数カ月、ポールは共和党内部のタカ派からの度重なる攻撃を跳ね返してきた。ポールが政府の国民に対する調査活動に懐疑的な態度を示し、アメリカの軍事介入に対する明確な批判を行い、イランの核開発プログラムに関する外交における解決を支持してきたことに対して、タカ派は「ポールはアイソレーショニスト(isolationist)だ」とレッテル貼りをしようとして来た。

 

 火曜日、共和党系のある非営利団体が密かに100万ドルをかけた、ポールに対する批判キャンペーンを開始した。この団体はポールを「間違ったことを行い、危険な存在だ」と批判している。

 

 ジョン・マケイン(John McCain)連邦上院議員のスタッフを務めた人物が率いる組織「ファウンデイション・フォ・ア・セキュア・アンド・プロスペラス・アメリカ(Foundation for a Secure and Prosperous America)」は新しいテレビコマーシャルを流し始めた。その中で「ランド・ポールに伝えよう。オバマの味方をするな、と。たとえイランが1発でも原子爆弾を持てば、それはアメリカにとっての悪夢と厄災になるのだから」と訴えている。

 

 ランド・ポールは、テキサス州選出の連邦下院議員であった父親ロン・ポール(Ron Paul)から引き継いだリバータリアン的な基盤を放棄することなく、共和党内のタカ派の中で支持を拡大させようという戦略を採っている。しかし、現在までのところ、この戦略はうまくいっていない。データ・ジャーナリズム・サイトである「ファイヴ・サーティー・エイト」の最新の分析によると、ポールが共和党内部のエスタブリッシュメントに対する支持拡大はうまくいっていない。彼の共和党幹部の間での支持率は上昇していないし、彼が支持率を上げているのは、共和党内部で主流派ではないリバータリアンたちの間である。

 

「ファイヴ・サーティー・エイト」のアナリストであるハリー・エントンは、「ポールは夢想の中では、全員を満足させることができるのだろうが、現実の世界では、結局のところ誰も満足させることが出来ない」と書いている。

 

 ランド・ポールは、自分とオバマの遺産が結び付けられて攻撃されることに対して神経質になっており、火曜日の演説では、オバマ大統領の外交政策に対して批判的であった。ポールは、特にオバマが「急進的なイスラム」に対して批判を行うことに躊躇している態度を取っていることを強く批判した。

 

 ポールは次のように述べた。「私たちは敵を明確にするまでは、戦いに勝つことはできない。敵は急進的なイスラムだ。ここは避けて通れない」。

 

 ポールはイランとの核開発を巡る一時的な合意に関してアクロバティックな動きを見せている。これは、タカ派とハト派との間の道筋を歩こうとしていることを示している。保守派からの批判を受けて、ポールはホワイトハウス、イラン政府、そして5つの大国との間で到達した合意に対して懐疑の姿勢を明確にした。

 

 ポールは次のように語った。「私が懸念しているのは、イラン政府が合意について私達とは違った解釈をするのではないかという点だ。彼らは私たちが言っていることとは全く正反対のことを声明の中で述べている」。

 

 しかし、ポールは同僚の共和党所属のボブ・コーカーと共同で法案を提出したことを明らかにした。この法案はイランとの最終的な合意に対して議会による見直しを盛り込むものであった。これに対してホワイトハウスは反対を表明している。同時に、ポールは大統領がイランと締結する合意に対して反対票を投じすることはないとも述べた。彼以外の共和党の大統領候補者たちは全員反対票を投じることを明らかにしている。

 

 ランド・ポールは過去の発言を繰り返した。彼は膨れ上がった予算と外国への援助予算に関してホワイトハウスを批判することで共和党内部のタカ派をなだめようとした。

 

 彼は「中国から金を借りて、その金で軍隊をパキスタンに送るような形で、我が国の力を世界に拡散することはしない」と述べた。

 

 ランド・ポールは連邦上院の外交委員会のメンバーであり、エジプトやパキスタンのような反アメリカ的な態度を取る、もしくは独裁的な体制の国々に対する援助を差し止めようとしてきた。偶然だが、ランド・ポールの演説の1日後に、国務省はパキスタンの要請に応じて、アメリカ製のミサイルと対ヘリコプター攻撃兵器の購入のために10億ドルを提供することを決めた。

 

 しかし、ランド・ポールはここ数カ月、よりタカ派的な姿勢を取って来たが、彼は全面的にタカ派になった訳ではない。火曜日、リバータリアンとタカ派との間の狭い穴に針を通そうとして、眼科医でもあるポールは、共和党の幹部であるミッチ・マコネルとジョン・ベイナーとライヴァルであるマルコ・ルビオとジェブ・ブッシュとは反対の立場を取り、政府による無制限の捜査といった彼の中心的な話題にも言及した。

 

 ポールは「令状なしでアメリカ国民の電話の通話記録とコンピューター記録を捜査することは、非アメリカ的であり、私たちの市民的自由に対する脅威である。貴方の電話での通話記録は貴方だけのものだ。法を遵守している国民の通話記録は政府が触って良いものではないのだ」と高らかに宣言した。

 

 ランド・ポールは遠回しの表現で、オバマ政権が困難な中を進めてきたイランとの核開発を平和的に解決するための交渉を擁護した。これは交渉に対して批判を続けてきた共和党にとっては愉快なものではない。

 

ポールは次のように述べた。「私たち全員が認識しなければならないのは、交渉が悪いことではないということだ。私たちの目標は、常に平和であって、戦争ではないし、常にそうあるべきだ」。

 

 多くの人々は、ランド・ポールが共和党を構成している福音主義者、小規模な自営業者、ウォールストリートの金融機関の幹部、リバータリアンといった幅広い人々を糾合できるかどうか疑っている。それでもポールは、共和党内部には外交政策におけるリアリストが存在できる空間があると主張している。

 

 火曜日、彼は聴衆たちに対して一つのスローガンを示した。それは「国内でも国外でも、制限された政府」というものであった。

 

演説の終盤で、ポールは「国内において、保守派は政府自体が問題であって、解決策とはならないことを理解しているのだ。保守派の人々は、国内をうまく運営できない政府でも外国の制度の整備を成功させるという考えを支持すべきではない」と述べた。

 

(終わり)









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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 オバマ大統領のキューバとの国交正常化交渉の発表を受けて、共和党内部では論争が起きているようです。2016年の大統領選挙の有力候補者同士であるマルコ・ルビオ連邦上院議員とランド・ポール上院議員の間で批判合戦が起きているとのことです。

 

 2人の批判合戦は、共和党内部にある外交政策に関する2つの大きな考え方を代表していると記事では書かれています。アメリカ政治を理解する上で重要な記事であると思います。

 記事の中に出てくるリバータリアン、アイソレーショニストという言葉については、副島隆彦先生の主著『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(講談社、1993年)をお読みください。
 


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キューバを巡るポール・ルビオ論争は、2016年の米大統領選挙の共和党予備選の外交政策の前哨戦だ

 

フィリップ・ラッカー筆

2014年12月19日

ワシントン・ポスト紙

http://www.washingtonpost.com/politics/in-paul-rubio-feud-over-cuba-a-preview-of-gops-2016-foreign-policy-debate/2014/12/19/41218766-87ab-11e4-a702-fa31ff4ae98e_story.html?tid=sm_fb

 

共和党の大統領有力候補2人が2014年12月19日の金曜日に激しくぶつかった。彼らは、バラク・オバマ大統領が発表した新しい対キューバ政策について論争を行った。このことは共和党内部の外交政策を巡る意見対立を明確にし、2016年の米大統領選挙の前に行われる共和党内の予備選挙にも影響を与えることになる。

 

 ランド・ポール連邦上院議員(ケンタッキー州選出)は、オバマ大統領の共産党が支配するキューバとの国交正常化に向けた動きを支持している。ポール議員は、同僚のマルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出)を激しく非難した。ポール議員はルビオ議員をキューバとの貿易と外交関係を再開することに対して強硬に反対する「孤立主義者(アイソレーショニスト)」だと批判した。ポール議員はルビオ議員は、「アメリカが国境線の内側まで後退し、濠をめぐらし世界との関係を絶ちたいと考えている」と述べた。

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ランド・ポール

 

 ルビオ議員はキューバ難民の息子として生まれ、オバマ大統領の対キューバ政策に対しては先頭に立って反対を表明している。ルビオ議員はフォックス・ニュースの取材に対して、「オバマ大統領を支持するポール議員は、キューバに関して、自分で何を言っているのか全く分かっていないのだ」と述べた。ポール議員のコメントはルビオ議員の発言を受けて出されたものだ。

 
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マルコ・ルビオ
 

 2人の論争は、2016年の米大統領選挙の共和党側の有力候補同士が表舞台で行っている論争となり、共和党内に、伝統的なタカ派(ルビオ議員はこちらに含まれるし、これまでの共和党出身の大統領や大統領候補たちもこちらのグループだ)と、党内に出現しつつある、若いリバータリアン・グループ(ポール議員はその代表格である)との間で、世界観が大きく異なることを明確に示している。

 

 長年にわたり、ルビオが取る立場が共和党にとって当然のものであった。しかし、ポールはそうしたこれまでの常識に挑戦している。

 

 共和党のストラティジストであるジョン・フィーフェリーは次のように述べている。「私たちはいまだに冷戦の闘士のままでいるべきでしょうか?それとも外交に関して全く新しい立場を取るべきでしょうか?ルビオ議員の世界観はこうです。私たちの目の前には、キューバがあり、北朝鮮がある。私たちに必要なのは、大胆な、国際主義的な、アメリカが主導する世界なのだ。私たちは悪い奴と戦わねばならない。ランド・ポール議員は父のロン・ポール元下院議員の外交政策を継承し、それを新たな段階に進めようとしています。彼はアメリカが世界に関与するように主張していますが、アメリカが世界の警察官であるべきだという立場を取りません」

 

共和党内のタカ派は、長年にわたり、ランド・ポール議員の求める外交政策は「孤立主義的」だと批判してきた。ポール議員はこうしたレッテル貼りを拒絶している。今週になって始まったキューバ政策を巡る論争の中で、ポール議員は、この「孤立主義」という言葉をルビオ議員に当てはめた。

 

 ポール議員のコメントは個人のサイトによる発信から始まっている。これは異例なことだ。ポール議員はルビオを批判する内容のメッセージをツイッターに複数書いた。その後、彼は自身のフェイスブックのページで、2段にわたりコメントを書いた。ポール議員は次のように書いている。「ルビオ議員は孤立主義者のように行動しています。そして、キューバ系アメリカ人の過半数を代弁しているのではないのです」。

 

 ポール議員は金曜日の午後に『ニューヨーク・タイムズ』紙の論説ページに論稿を発表した。この論稿の中で、ポール議員は自身が共産主義を嫌う環境の中で育ってきたが、「キューバに対する孤立主義政策は間違っており、有効に機能してこなかった」という結論に達したと主張した。彼は、世論は「友好関係の復活(ラプローチメント)」の方向へと変化していて、特に若い人々、その中には若いキューバ系アメリカ人たちも含まれているのだが、彼らは国交正常化を支持しており、アメリカの産業界にとっても製品をキューバで売ることができるので利益になるとも書いている。

 

 ポール議員は次のように書いている。「共産主義は資本主義の魅力の前に生き残ることなどできない。カストロ政権をアイフォン、アイパッド、アメリカの自動車、そしてアメリカの発明によって圧倒しようではないか」

 

 ジェフ・フレイク連邦上院議員(共和党、アリゾナ州選出)は今週、アメリカの外交官たちとキューバを訪問し、キューバに拘留されていた建設業者アラン・グロスの釈放を求めていた。フレイク議員はポール議員の考えに賛成している。フレイク議員は、オバマ大統領の国交正常化に向けた動きを支持し、50年に渡る輸出禁止措置の後、今こそ「何か別のことを始める時期」だと述べている。

 

 金曜日の夜、ルビオ議員はポール議員のコメントに反応した。彼は、保守的なラジオDJであるマーク・レヴィンに対して次のように語った。「ランドがバラク・オバマの対キューバ政策に賛成するのは不幸なことだと思う」

 

 ポール、ルビオ両議員にとって、論争は短期的には彼らにとって利益となる。2016年の大統領選挙の共和党の候補者としてこれまでに10名以上の名前が挙がった。その中で2人はマスコミの関心を集め、政策について2人が先行しているという印象を与えた。こうした様子を大口の寄付者たちや支持者たちは見ているのだ。

 

 二人の論争は、ポール議員の常に戦う姿勢を示している。彼は民主党側の大統領選挙候補者となるであろう前国務長官のヒラリー・ロドハム・クリントンに対して最も攻撃的な人物である。そして金曜日に示したように、自分の同僚である共和党の議員に対しても攻撃することを厭わないことを示したのである。

 

アナ・ナヴァロはマイアミを拠点に活動している共和党のストラティジストであり、ルビオやジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事とも近い。彼女は、今回の論争について、「マスコミにネタがなかったので大きく取り上げられた」に過ぎないと述べている。

 

 「目の手術やケンタッキーのバーボンについては、ポール議員(彼は眼科医から政治家になった)も大変詳しいことでしょう。しかし、ルビオ議員をキューバ政策で圧倒しようというのはね、しかも1回で140文字しかかけないツイッターでそれをしようというのは生産的ではないし、立派な大人がやることでもないし、連邦上院議員らしくないですよ」

 

 ポール議員は、共和党の外交政策や人種間関係などについて新しい方向に向けようと努力している。彼は民主党側と協力して薬物犯罪の判決に関するガイドラインの法制化に向けて動いている。

 

ジョージ・W・ブッシュ前大統領の報道官を務めたアリ・フライシャーは次のように述べている。「ポール議員は許容すべき範囲を拡大しようとしています。そして、共和党がこれまでやってこなかった方向で党勢を拡大しようとしているのです。私は、ポール議員の唯一の味方は若い人々であると思います。若い人々以外に彼に味方はおらず、実際に何かをやろうとすると大変な苦労があると思います。共和党の歴史が示しているように、共和党の外交政策は介入主義的で、強硬で、ロナルド・レーガン大統領時代のものを基本的に踏襲しているのです」

 

 ポール議員のスタッフたちは、彼がキューバ政策を党派性に基づいて考えておらず、経済と外交の問題として考えていると語っている。

 

 しかし、共和党の支持者たちの多くはそう思わないだろう。保守派の指導者として長年活躍してきたリチャード・ヴィゲリーは次のように語っている。「保守派の人々の間で、キューバ政策について考え直そうという気運があるのは事実です。しかし、交渉がオバマ大統領によって行われるのです。私たちが信頼を持っていない大統領が交渉を行うのですから、疑念が起きるのは当然です。もしキューバとの交渉が信頼に足る保守的な共和党の政治家によって行われるならば、事態は全く違ったことになるでしょう」

 

 ルビオ議員は連邦上院外交関係委員会の委員であるが、国際問題に関して自分が第一人者であるという印象付けを行おうとしている。水曜日にキューバ政策の転換が発表された直後、ルビオ議員は、個人の経験を絡めながら、オバマ大統領を激しく非難した。ルビオ議員は1950年代にキューバから避難してきた難民の子として生まれ、マイアミで育った。彼は同じキューバ難民、キューバ系アメリカ人たちの中で育ち、彼らを代表してワシントンDCに乗り込んで来た。

 

 ルビオ議員は議事堂の中で木者たちに対して次のように語った。「オバマ政権は、我がアメリカがよって立つ基盤である普遍的なそして不可侵の個人の諸権利を守るのではなく、暴政を敷く体制と妥協を行いました。これはイランに続いて2度目のことです」

 

 2016年の米大統領選挙の共和党側の有力候補者たちのほとんど、ジェブ・ブッシュ、テキサス州知事のリック・ペリー、テッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出)、ウィスコンシン州知事のスコット・ウォーカーなどは、キューバ政策についてルビオ議員と似たような内容の声明を発表した。ニュージャージー州知事のクリス・クリスティはキューバについて何か語ってはいないが、ルビオ議員と同じような、いや彼よりもよりタカ派的な世界観を持っていることは既に有名である。

 

 ネオコンの有力者で雑誌『ウィークリー・スタンダード』誌の発行人であるウィリアム・クリストルは、「共和党の有力な大統領選挙候補者たちと議員たちは外交政策に関しては全く同じ考えを持っている」と述べている。

 

 そして、クリストルは次のように語っている。「ランド・ポール議員は共和党内で孤立した、うるさ型なのだ。ポール議員は共和党の支持者たちの気持ちを代弁してはいる。しかし、その割合はどうだろうか、10%?、15%?、20%?、まぁそれくらいのものだ。彼が共和党の外交政策の方向を決めるような人物になるとはとても考えられない」

 

(終わり)









 




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12


野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 古村治彦です。

 今回は、アメリカ政治の重要論文をご紹介します。

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ランド・ポールにとっての秘密兵器:ヒラリー・クリントン(
Rand Paul's Secret Weapon: Hillary Clinton

 

もしヒラリーが2016年の大統領選挙出馬を早めに決定する場合、民主党支持と支持政党を持たない有権者たちが共和党の予備選挙に参加することになるだろう。そして、彼らはケンタッキー選出の連邦上院議員を支持するだろう。

 

ピーター・ベイナート(Peter Beinart)筆

2014年4月9日

ジ・アトランティック(The Atlantic)誌

http://www.theatlantic.com/politics/archive/2014/04/rand-pauls-secret-weapon-hillary-clinton/360409/

 

 私はこのシリーズに関連する論稿をいくつか掲載してきた。私の主張は「ランド・ポールが共和党の予備選挙に勝利し、大統領選挙候補になるだろう。笑わないで欲しい」というものだ。


randpaul001
ランド・ポール

 

 私はこれまで掲載した論稿の中で、ランド・ポールは、父親であるロン・ポールが成功したアイオワとニューハンプシャーでの予備選挙の戦い方と構造を受け継ぐことができると書いた。これは彼のライヴァルたちにはないものである。私は、ランド・ポールが共和党に高額の献金を行う支持者たちとインターネットで献金する少額の献金者たちの両方から多額の献金を集める能力があると書いた。そして、私は、予備選挙が早く行われる各州に住む共和党支持者たちは、ランド・ポールを急進的なリバータリアンではなく、保守本流であると考えているということも書いた。

 

 ランド・ポールが持つその他の大きな、そして知られていない強みというものがある。それは、ヒラリー・クリントンの存在である。物事は常に変化し続けるが、2016年の民主党の大統領選挙候補者は、現職の大統領が出ない予備選挙の中で最も競争がない予備選挙で選ばれることになるだろう。ヒラリー・クリントンに挑戦する人物たちは、バーニー・サンダースやブライアン・シュバイツアーのようなドンキホーテのような人々になるであろう。挑戦者たちは政治的基盤や多額の献金を集める能力を持たない人たちとなるだろう。

 

 ランド・ポールにとっては、これは僥倖となる。民主党支持と支持政党を持たない有権者たちの多くが共和党の予備選挙に参加することになるだろうからだ。彼らはヒラリーに対する反対のために何か行動を起こしたいと考え、その場所が共和党の予備選挙になる。そして、流れてきた有権者たちのほとんどがランド・ポールに投票することになるだろう。

 

 経済における政府の役割というテーマに関して言うと、ランド・ポールの考えは民主党支持、もしくは民主党支持に近い有権者たちの考えとは真逆となる。しかし、共和党内の彼のライヴァルたちとも反対なのである。そして、ランド・ポールは、ライヴァルたちとの間で、政府によるスパイ活動、軍事介入、収容所への収容といった重要な諸問題についての考えが異なるのである。そして、ランド・ポールの考えは、民主党員の多くにとって受け入れられるものであるばかりでなく、支持できるものなのである。例えば、NSAの調査に関して言えば、ランド・ポールは、ワシントンにいる民主党の政治家たちの多くに比べて、リベラルなグラスルーツグループの活動家たちの多くの考えを代表していると言える。ランド・ポールは、ヒラリー・クリントンに比べて、米軍を死地に送り込むことを躊躇している。最近、公開された演説の中で、ランド・ポールは、ディック・チェイニーがイラク戦争を推進したのは、関係するハリバートン社に利益をもたらすためであったと述べている。

 

 リベラルな人々が現時点でランド・ポールが彼らが支持できる考えを持っていることを知らないとしても、2016年までには知ることになるだろう。民主党の予備選挙が退屈なものとなると、マスコミは共和党の予備選挙に多くの時間を割くことになるだろう。ランド・ポールはライヴァルたちから、異端とも言うべき国家安全保障の考えに対して容赦ない攻撃を受けることだろう。しかし、彼の考えが明らかになることで、リベラルな民主党員や支持政党がない有権者たちから共感を得ることができるだろう。

 

最良のモデルとなるのが2000年の大統領選挙だ。この時、多くの点で典型的な共和党の政治家であるジョン・マケインが民主党員たちを刺激し、彼らの指示を集めたのである。マケインは選挙資金制度の改革を主張し、ジョージ・W・ブッシュの富裕層向けの減税計画を批判した。共和党内部のエリートたちがマケインを批判すればするほど、民主党員と支持政党を持たないリベラル派はマケインが正しいことをするだろうと考えるようになった。2000年のニューハンプシャーでの予備選挙に参加した有権者のうち、3分の1を占めたのが支持政党なしの有権者であった。彼らはマケインを支持しており、ブッシュとの差は42ポイントにもなった。ミシガン州の場合、それまで共和党の予備選の参加者の3割ほどが民主党支持や支持政党なしの有権者であったが、2000年の予備選では50%以上の参加者が民主党支持や支持政党なしの有権者であった。そして、彼らの第+がマケインを支持した。

 

 2000年のジョン・マケインと2012年のランド・ポールとの間には相違点があるのは当然のことだ。マケインは大統領本選挙に出馬しても勝利する可能性がある強力な候補者になると考えられていた。共和党の既存の支持層にとってマケインの快進撃を止めることが難しかった。しかし、最終的には彼を候補者にすることを阻止することができた。ランド・ポールは対照的に、共和党版のジョージ・マクガヴァーン(George McGovern、1922~2012年)だと考えられている。ランド・ポールは経験不足のイデオローグであり、クリントンに負けてしまうだろうと考えられている。しかし、ランド・ポールがマクガヴァーンと違うところは、共和党内部に熱烈な支持者たちを一定数持っている。ティーパーティー運動が盛り上がったこの時代、15年前に比べて、共和党内部のエリートたちの力は弱まっている。

 

 数年前から、専門家たちは、「帝国主義的な道徳を強制する右派(imperialistic, morally coercive right)」に対抗する「リベラル・リバータリアン連合(liberal-libertarian alliance)」について研究し始めている。これまでのところ、このリベラル・リバータリアン連合というテーマは主要メディアで取り上げられず、個人のブログに書かれている程度である。しかし、2016年になれば、リベラル・リバータリアン連合が主要メディアに取り上げられることになるだろう。そして、このリベラル・リバータリアン連合の存在が、常識が間違っていることを示す理由なのである。ランド・ポールは、2016年の大統領選挙の共和党候補者となれる人物なのである。

 

(終わり)








 

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