古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:レッド・ステイト

 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙まで残り2カ月を切った。最終版の戦いを迎える。共和党の現職ドナルド・トランプ大統領と民主党の候補者ジョー・バイデン前副大統領による一対一の討論会が3回、共和党のマイク・ペンス副大統領と民主党のカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)による討論会が1回、これから行われる。

 現職大統領の側は選挙直前の10月にサプライズで、大きなことを仕掛けることも考えられる。これを「オクトーバー・サプライズ(October Surprise)」という。まだ何が起きるか分からない。

 現在の各種世論調査の数字で見ると、大きな流れは、バイデンが大きくリード、である。しかし、これは全国規模の調査の数字である。アメリカ大統領選挙の仕組みは、単純にアメリカ全土での総得票数で当選者が決まるというものではない。各州に選挙人(合計は538名)が配分され、各州での得票で1票で多い方の候補者が選挙人を総取りする、勝者総取り(Winner-Take-All)という方式だ。従って、各州の動向をより細かく見なければ、選挙戦の実態を掴むことはできない。前回の選挙では、選挙直前の段階で、ヒラリー・クリントンがドナルド・トランプに対して、全国規模の世論調査の支持率の数字で約3%の差をつけてリードしていた。また、実際の得票総数でもヒラリーが上回った。しかし、選挙人獲得数でトランプが勝利した。

 選挙人が配分されている全米50州とワシントンDCのうち、約40州はもう結果が見えている。これがレッド・ステイト(Red States)、ブルー・ステイト(Blue States)と呼ばれているものだ。レッド・ステイトとは、共和党のイメージカラーの赤から来ており、共和党優位州であり、ブルー・ステイトは民主党優位州だ。これらの州では大統領選挙に関して言えば、結果は最初から見えている。このレッド・ステイトとブルー・ステイトで見ると、民主、共和両党はほぼ互角、となる。

 問題は激戦諸州(Battleground States)の動向だ。これが約10州ある。これらの州でも7月頃にはバイデンがリードしているところが多かったが、現在は大接戦となっている州が多くなっている。選挙戦全体として、バイデンの勢いが出ず、トランプが盛り返している、という展開である。

 日本でも「バイデン氏が大幅リード」などという報道がなされているが、実態はそうではない。大接戦であり、これからの展開ではトランプ大統領が逆転して勝利ということが考えられる。

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各種世論調査によると、バイデンが全国規模の調査でリードしているが、トランプ大統領は激戦諸州で希望を持っている(Polls show national lead for Biden, hope for Trump in battlegrounds

ジョナサン・イーズリー、マックス・グリーンウッド筆

2020年9月2日

https://thehill.com/homenews/campaign/514886-polls-show-national-lead-for-biden-hope-for-trump-in-battlegrounds

最新の各種世論調査によると、民主党の大統領選挙候補者ジョー・バイデンは、党の指名を受けた全国大会以降、全国規模の世論調査でトランプ大統領に対して大きな差をつけている。しかし、激戦諸州での世論調査の結果を見ると、トランプ大統領にとって希望の光がある。各種世論調査の結果を見ると、2020年の大統領両選挙の結果を左右するであろう激戦諸州のいくつかで大接戦が展開されていることが分かる。

民主、共和両党の全国大会後、両候補者共に大きな数字の上昇を見せてはいない。

全国規模では、バイデンはトランプ大統領に対して大量リードをつけている。過去24時間に6つの世論調査で、7ポイントから11ポイントの差をつけている。『USAトゥデイ』紙とサフォーク大学の共同世論調査によると、全国規模ではバイデンが7ポイントの差をつけている。新たに発表された、『エコノミスト』誌とYouGovの共同世論調査と南カリフォルニア大学(USC)の世論調査によると、バイデン前副大統領は11ポイントの差をつけている。キュニピアック大学、CNN、グリンネル・カレッジが実施した各種世論調査では、バイデンが8ポイントから10ポイントの差をつけている。

しかしながら、マンモス大学がペンシルヴァニア州で実施した世論調査によると、トランプ大統領とバイデンの間では統計学上引き分けであった。わずか6週間前の調査では、バイデンが13ポイントの差をつけていた。

ミネソタ州、ウィスコンシン州、フロリダ州、ミシガン州を含むその他の激戦諸州の最近の各種世論調査の結果を見ると、レースは接戦となっていることが分かる。選挙の投開票日まで、両陣営と我が国に残されているのは61日となっているが、それまで激しい戦いが続くだろう。

新しいデータが次々と発表される中で、政治不安を示す出来事が次々と起こり、大統領選挙の様相を掴むことを難しくしている。両陣営ともに人種に関する正義をめぐる抗議運動、コロナウイルス感染拡大、景気後退をめぐる新しい事態に日々対応している。

ガイ・セシルは、バイデンの大統領選挙を支援する、トップクラスのスーパーPAC(政治行動委員会)の「プライオリティーズUSA」委員長である。セシルは、大統領選挙は「構造的に接戦」のままであるが、大統領選挙の大きな流れ、とくに注目を集めている激戦諸州については重要な変化が起きている兆候は見られないと主張している。

水曜日にヴィデオを通じての記者会見で、セシルは、重要な激戦諸州での世論調査の結果が発表されたが、選挙戦が大接戦になっていることを示していることを認めた。しかし、セシルは、選挙の投開票日まで残り2カ月に入る段階で、支持率の差が縮まることは予想されていたことだと述べている。そして、どちらの候補者の支持率も劇的に変換することはないだろうと予想していると述べた。

「私たちは接戦を予想しています。そして、私たちは選挙の行方が比較的安定して推移すると予想しています。選挙戦は接戦になると予想しています。しかし、こうしたことは全て、選挙では当たり前のことです。そして、支持基盤となる人々の票固めを行えばそうなるということは既に分かっていたことです」。

南カリフォルニア大学ドーンサイフ記念センター・フォ・ザ・ポリティカル・フューチャーが実施した最新の世論調査の結果によると、2016年の大統領選挙でトランプ大統領に勝利をもたらした重要ないくつかのグループの中で、トランプ大統領の支持率が下がっている。白人、男性、高齢者がそうしたグループである。

この世論調査の結果によると、郊外在住の有権者の間で、バイデンは13ポイントの差をつけている。これはトランプにとって深刻な問題である。2016年の大統領選挙では、トランプ大統領はヒラリー・クリントンと互角の戦いを演じた。

ドーンサイフ記念センターのロバート・シュラムは次のように述べた。「明らかなことは、現在でもまだ選挙の結果を予測するのは早過ぎますし、現在も続いている人種に関する争いとトランプ、バイデン両候補者の対応がもたらす影響と将来の道筋についてまだ分かりません。しかし、一つ明確なことは、ジョージ・HW・ブッシュ以降の現職大統領の中で、トランプ大統領は最も弱い立場から選挙戦をスタートさせているということです」。

全国規模での世論調査の結果ではバイデンは強い立場を維持しているが、ここ数週間で、彼がトランプにつけているリードが縮まっている。リアルクリアポリティックス(RCP)が出している世論調査の平均で見ると、7月末の9.8ポイントが、現在では7.2ポイントになっている。

2016年の大統領選挙の投開票日当日、RCPの全国規模の世論調査の平均で、ヒラリー・クリントンはトランプに3.2ポイントの差をつけていた。ヒラリー・クリントンは全国規模での得票総数で300万票以上の差をつけたが、獲得選挙人数で敗北した。トランプは、激戦諸州で効果的に勝利を収め、ここ数十年で初めてミシガン州、ウィスコンシン州、そしてペンシルヴァニア州を民主党から共和党に奪い返した。

専門家たちは今回の大統領選挙でも全国規模での得票総数でトランプは4、もしくは5ポイントの差をつけられて敗北するが、共和党が持つ選挙人獲得における優位さで再選される可能性があると述べている。

セシルは水曜日、激戦州で非白人もしくは労働者階級の有権者たちが、自分の考えている夜予測よりも少しでも違った行動に出れば、選挙人獲得で大きな変化を引き起こし、ある候補者から別の候補者に勝利者が写ることもあると警告を発した。

2016年ではトランプ大統領が勝利を収め、今回の選挙でも最大の激戦州となっているペンシルヴァニア州を見てみると、水曜日に発表されたマンモス大学の世論調査の結果で、バイデンにとってより懸念される状況になる。7月に実施された前回の世論調査に比べて、トランプ大統領が支持率の数字を9ポイントも上げている。最新の世論調査で、バイデンはトランプに4ポイントの差をつけている。しかし、この数字は世論調査の誤差である4.9ポイントの中に収まっている。

この世論調査ではまた、重要なグループの中におけるバイデンの支持率は下がっている。ペンシルヴァニア州の男性有権者の間で、トランプ大統領は19ポイントの差をつけているが、7月の結果に比べて2ポイント伸ばしている。50歳以下の有権者の間ではバイデンが優位であり、9ポイントの差をつけている。しかし、前回の調査では29ポイントの差をつけていた。

それでも激戦諸州のほとんどでバイデンは優勢ではある。

火曜日に発表されたモーニング・コンサルト社の最新の世論調査の結果によると、先月の民主党と共和党の全国大会以降、11の激戦諸州のうち、9つでバイデンがリードしている。アリゾナ州を見てみると、両党の全国大会開催前、バイデンのリードは7ポイントであったが、それ以降ではバイデンの支持率が52%、トランプの支持率が42%となり、バイデン支持が伸びている。

しかしながら、激戦諸州のほとんどで選挙戦は大接戦になっている。ミシガン州、ウィスコンシン州、フロリダ州でバイデンがつけている大量リードが縮まりつつある。これら3つの州はバイデン優位州から激戦州に変化している。

7月末の時点で、リアルクリアポリティックスが出している、ミシガン州での世論調査の平均の結果では、バイデンが8.4ポイントの差をつけていた。現在ではその差が2.6ポイントになっている。ウィスコンシン州でも同じ状況になっている。7月末の時点では、バイデンは5ポイントの差をつけていたが、それが今週の水曜日には3.5ポイントになっている。フロリダ州では7月の段階では6.2ポイントの差だった者が現在では3.7ポイントになっている。

ノースカロライナ州とアリゾナ州はここ数カ月、接戦となっている。ほとんどの世論調査の結果では、どちらの候補者も2ポイント以上の差をつけられていない。

ミネソタ州では、トランプ大統領はバイデンを追い上げている。1972年以来、共和党の候補者はミネソタ州で勝利を収めることができていない。最近の2つの世論調査の結果では、どちらの候補者も誤差の範囲以上の差をつけられていない。

トランプ選対の上級顧問ジェイソン・ミラーは今週、記者たちに次のように述べた。「私たちはミネソタ州に全ての力を注ぎます。ミネソタ州で私たちは勝利することができると確信しています」。

しかしながら、トランプ大統領はジョージア州、オハイオ州、そしてアイオワ州で守勢に回っている。

WEB-TV2とランドマーク・コミュニケーションズがジョージア州で実施した共同世論調査の結果が水曜日に発表された。その結果によると、トランプ大統領はバイデンに3ポイントの差しかつけていない。2016年にトランプが勝利を収め、今回も前回と結果が異なる可能性があるオハイオ州では、バイデンとトランプ大統領は大接戦を演じている。火曜日に発表されたモーニング・コンサルトの世論調査の結果では、トランプ大統領が5ポイントの差をつけている。「ファイヴサーティエイト」が出している世論調査の結果を平均したものによると、今年6月から比べると選挙戦は大接戦になっている。

プライオリティUSAの会長セシルは水曜日、プライオリティUSAは、ジョージア州を含むいくつかの共和党優位州でもバイデンにとって「プラスとなる動き」が起きていることを確認していると述べた。テキサス州でさえもそうだと述べた。しかし、2020年の大統領選挙における激戦諸州において急激な変化が起きる可能性はないと否定している。セシルは、大統領選挙は次の6州の結果で決まると述べている。その6州とは、アリゾナ州、フロリダ州、ミシガン州、ノースカロライナ州、ペンシルヴァニア州、そして、ウィスコンシン州だ。

セシルは次のように述べている。「選挙の状況は6カ月前、8カ月前とは構造的に変化していません。構造的にこれら6つの州は接戦でなるでしょう。」

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 

 少し古い記事になりますが、以下に、民主党のヒラリー・クリントンが共和党支持者の獲得を目指しているという記事を掲載します。

 

 今週になって、トランプがこれまでのやり方を変えた(pivot)したことで、トランプの支持率が少し持ち直すと思われますが、共和党全国大会以降、失言が続いて支持率が下がり、激戦州でも軒並みヒラリーが優位となった上に、2000年以降、常に共和党が勝ってきたレッド・ステイト(共和党が優位な州)の中でも、アリゾナ州とジョージア州でヒラリーがリードするという展開になっていきました。

 

 ヒラリー陣営は、レッド・ステイトへも積極的に浸透を図っているようです。ここまでされてしまうと、選対内部で内紛があり、選挙運動がめちゃくちゃだったトランプ陣営は押されてしまうのは当然です。しかし、ケリアン・コンウェイを登用して、トランプ選対は体制を立て直しつつあります。

 

 ここまでのところ、選挙資金、人員、選挙運動の熱心さではヒラリーが圧倒しています。しかし、彼女が投入しているリソースから考えて、支持率は低いと言わざるを得ません。コストパフォーマンスが悪いのです。ヒラリーを民主党史上最弱の候補者と言う人たちが民主党支持者の中にもいるので、このコストパフォーマンスの悪さは当然なのかもしれません。

 

 トランプは十分に巻き返す余地がありますが、まずは足場を固め、ヒラリーの共和党支持層への浸透を防ぐことが必要になります。そして、討論会が始まる9月には反転攻勢を始めることが出来るかがポイントになると思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

クリントン選対が共和党員に対する勧誘の動きを公に(Clinton Campaign Makes Republican Recruiting Effort Official

 

モリー・オトゥール筆

2016年8月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2016/08/10/clinton-campaign-makes-republican-recruiting-effort-official/?utm_content=buffer06f25&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

ヒラリー・クリントン選対は水曜日(2016年8月10日)、共和党員で共和党大統領選挙候補者ドナルド・トランプに反対し、民主党の候補者ヒラリーを支持する人たちが出続けていることを受けて、彼らへの働きかけを公に強め始めた。

 

「トゥゲザー・フォ・アメリカ」というスローガンを使い始めたことは、ヒラリー・クリントン前国務長官の自信を示すものである。この動きは、共和党と無党派に向けて非公然に支持を訴えてきたことを正式に訴え始めたのだ。

 

ヒラリーは、水曜日の午後、アイオワでの集会で演説し、その中で「これは通常の選挙ではない」と語った。そして、共和党からの離脱者や「我が国を第一に考えたいと思う人なら誰でも」歓迎するとした。

 

ヒラリーは「ドナルド・トランプは共和党の価値観を代表していないだけでなく、私たちアメリカ人の価値観を代表していない」と述べた。

 

ヒラリー選対が発表した文書によると、共和党の大物50名がヒラリー支持を表明している。その中には3名の元閣僚、20名の現職・元職の連邦議会議員、元大使、元米軍幹部、共和党が政権を握っていた当時の政府高官、実業界のリーダーたちが含まれている。

 

共和党や無所属の中の大物には、前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ、ジョージ・W・ブッシュ大統領の大統領国家安全処方問題担当補佐官を務めたブレント・スコウクロフトがヒラリーを支持していることは既に知られている。水曜日になって、国家情報局長官だったジョン・ネグロポンテ、元商務長官でケロッグ社の会長兼最高経営責任者カルロス・ガティレス、ヒューレット・パッカード社の会長兼最高経営責任者メグ・ウィットマンといった人々もクリントン支持を表明したことが明らかになった。

 

彼らは、メイン州選出の連邦上院議員スーザン・コリンズとイリノイ州選出の連邦下院議員アダム・キンジンガーのような、最近になってトランプに激しく反発している共和党の指導者たちの隊列に参加している。水曜日、民主党の副大統領候補で現在は無所属となっているジョー・リーバーマン前連邦上院議員がヒラリー支持を表明した。

 

共和党予備選挙中や、トランプが予想外に共和党候補者になった後に起きた様々な「ネヴァー・トランプ」活動は収まらなかった。それは、トランプが自分たちの選択肢になるとは考えられなかったからだ。

 

しかし、トランプの過激な言葉遣いや突飛な政策志向についての懸念が高まっている。反対に、ヒラリーに対する信頼やトランプに対する選択肢はヒラリーしかないという考えが広がっている。そうした中で、 トランプではなくヒラリーを公然と支持する共和党員が増え続けている。

 

ヒラリー陣営は、トランプはアメリカを分裂させ、危険なので、アメリカ大統領にふさわしくないと強調している。月曜日、50名の共和党系の国家安全保障・外交政策の専門家たちが、トランプには投票しないとする公開書簡を発表した。この動きをヒラリー陣営は把握していたが、協働してはいない。

 

「トランプはアメリカの国家安全保障と福利を危機に晒すだろう」と書いている。しかし、彼らはヒラリーに投票すると公然とは言っていない。

 

ヒラリー陣営による「トゥゲザー・フォ・アメリカ」のスタートは、タイミングよく出された強烈なパンチとなった。共和党大統領選挙候補者トランプは、先月の共和党全国大会以降、世論調査の数字を落とし続けている。主要な激戦州の共和党支持の有権者たちの支持を落とし、全国規模の世論調査でもヒラリーにリードを許している。

 

共和党内の最重要人物であるコンドリーザ・ライス、コリン・パウエル両元国務長官は、これまで大統領選挙について何も言及していない。

 

どれだけの共和党員が反対党の候補者に投票するかははっきりしない。また、ヒラリー陣営の試みが、反エスタブリッシュメントで熱心なトランプ支持者たちの考えを変えることが出来るかははっきりしていない。しかし、ヒラリー選対の委員長ジョン・ポデスタは、共和党員の中からヒラリー支持が出ている動きは、無党派や穏健派の有権者たちが「自分たちの代弁者はトランプではなく、ヒラリーだ」と考えていることを示す兆候だと述べている。

 

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クリントンはユタ州の新聞の論説ページでモルモン教徒にアピール(Clinton makes appeal to Mormon voters in Utah paper op-ed

 

リサ・へーゲン筆

2016年8月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/290990-clinton-makes-appeal-to-mormon-voters-in-utah-paper-op-ed

 

ヒラリー・クリントンは、教会が所有しているユタ州の新聞の論説ページに自ら文章を投稿し、モルモン教徒の有権者たちにアピールを行っている。

 

『デザート・ニュース』紙の論説ページに掲載した文章の中で、民主党の大統領選挙候補者ヒラリーは、世界における信教の自由のために彼女がこれまでどのような闘いをしてきたかを書いている。

 

ヒラリーは次のように書いている。「私は長年にわたり、信教の自由のために戦い続けてきた。国務長官として、私は世界各地の宗教的少数者たち、エジプトのキリスト教コプト派からチベットの仏教徒まで、彼らを守ることを外交政策の基本とした。」

 

ヒラリーがこのような論稿をユタ州の新聞に掲載したのは、民主党側がユタ州のような伝統的に共和党が強い「レッド・ステイト」での情勢を楽観視していることを示している。各種世論調査の結果によると、ヒラリーとドナルド・トランプが接戦を展開していること、共和党が強い州ではあるが、トランプの人気は低いままであることが明らかになっている。

 

ヒラリーは論説の中で、モルモン教徒でユタ出身の政府関係者たちと仕事をしてきたと強調した。

 

ヒラリーは、論説の中で、「私は、元ユタ州知事で駐中国大使を務めたジョン・ハンツマンと一緒になって、政府からの弾圧を受けている中国のキリスト教徒たちと連帯した」と書いている。

 

ヒラリーはまた、2012年の共和党大統領選挙候補者でモルモン教徒のミット・ロムニーがトランプのイスラム教徒の入国禁止について懸念を持っていることを強調し、ユタ州知事ケーリー・ハーバートが「宗教弾圧とテロリズムから逃れてきたシリア難民たちに対して温かい歓迎」をしたことを称賛した。

 

ヒラリーは、モルモン教会の指導者であり、シスターのローズマリー・M・ウィクソンの言葉「個人として私たちは強い。神と一緒ならば、私たちを止めることなどできない」を引用している。

 

この論説について最初に報道したのは『バズフィード』だった。

 

ヒラリーの論説が発表されたのは、夫ビル・クリントン元大統領が資金集めのためにユタ州のパーク・シティを訪れる1日前であった。ビル・クリントンがユタ州で人々の前に姿を現すかどうかははっきりしない。

 

トランプは、モルモン教徒初の主要政党の大統領選挙候補者となったロムニーを激しく批判してきた。ユタ州の総人口のうち、末日聖徒イエス・キリスト教会の信者が占める割合は60%だ。彼らの圧倒的多数が共和党に投票してきた。ユタ州の共和党予備選挙では、トランプは3位に終わり、得票率は14%に留まった。

 

52年間も民主党が勝ったことがないユタ州でヒラリーが勝利を得るには長い道のりが待っている。しかし、ユタ州の政治関係者たちは、今年の大統領選挙は前例のないものであるので、接戦となるだろうと予測している。

 

新聞の編集兼発行人のポール・エドワーズは、バズフィードの取材に対して、「クリントン、トランプ両陣営に連絡を取って、今年の選挙にあたってユタ州の有権者たちに訴える機会を提供しますと伝えました」と答えた。エドワーズによれば、彼はトランプ陣営に数回連絡を取ったのだが、何も返答がないということだ。

 

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「クリントン・リパブリカン」は2016年の流行語(Clinton Republicans a 2016 trend

 

エイミー・パーネス筆

2016年8月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/290923-clinton-republicans-are-2016-trend

 

 

「クリントン・リパブリカンズ(ヒラリーを支持する共和党員)」に会ってみよう。

 

30年前にレーガン・デモクラッツ(レーガンを支持する民主党員)が出現し、ロナルド・レーガンのホワイトハウスへの道をきれいに舗装したように、今回の大統領選挙では、支持する政党とは反対の候補者を応援する人々が出現している。

 

彼らは民主党の候補者ヒラリー・クリントンを助けている。

 

共和党からヒラリー支持を表明する人々が次々と出てきている状況は、ヒラリー陣営を勢いづけ、共和党内部の分裂の深刻さに人々の関心を集めている。

 

スーパーPAC「レディ・フォ・ヒラリー」の創設者アダム・パークホメンコは先週末、ツイッターに次のように投稿した。「“レーガン・デモクラット”という言葉を覚えている?最近になって“クリントン・リパブリカン”について多く聞くようになった」。

 

ヒラリーを支持する共和党員たちには、共和党の大口献金者であり、IT企業の最高幹部であったメグ・ホイットマン、元ミシガン州知事ウィリアム・ミリケン、MGM社の最高経営責任者で共和党の大口献金者であったハリー・スローン、引退を表明している連邦下院議員リチャード・ハンナ(ニューヨーク州選出、共和党)が含まれている。

 

あるヒラリーの側近は、共和党員が次々とヒラリー支持を表明することで、ドミノ効果が起き、更なる幹部クラスの共和党員のヒラリー支持表明を行いやすくし、それに拍車をかけることになると述べている。

 

ヒラリーに近いある人物によると、共和党員でヒラリーを支持する人たち(「避難民たち」)は、ヒラリーに対する好意でそうしていると言うよりも、トランプに対する嫌悪感によってヒラリー支持に回っている、ということだ。

 

この人物は、「私たちは何もする必要がない。ドナルド・トランプが私たちのために働いてくれているのだから」と語っている。

 

ヒラリーはこの状況をうまく利用しようとしている。

 

民主党全国大会において、ヒラリーは共和党のテーマや価値観を強調した。

 

ヒラリーは次のように語っている。「私たちは世界で最強の軍隊を持っている。最も革新的な企業家、自由と平等、正義と機会といった最も永続的な価値観も持っている。私たちはこのような言葉を口にできることを誇りに思うべきだ。こうした言葉を聞いているとき、その人はアメリカについて聞いているのだ」。

 

クリントン陣営は、共和党政権時代に閣僚を務めた大物たちと保守派の論客たちによるトランプの批判の言説を集めたコマーシャルを放送している。これは、共和党支持の有権者の支持を得ようとする試みだ。

 

最近のある演説の中で、ヒラリーは、トランプが大統領に「不適格」で、核兵器のボタンを預けられるほどの信頼は出来ないと述べた。

 

共和党ストラティジストであるロン・ボンジェーンはトランプ支持を表明していないが、熱烈な共和党支持者たちがヒラリーの支持をするようなことはないだろうと語った。しかし、ボンジェーンは、トランプの出現で共和党が狂わされてしまったとも語っている。

 

ボンジェーンは「トランプは大統領になってしっかりと仕事をするということを人々に信じさせることが出来ていない」と語った。

 

しかし、ボンジェーンをはじめとする共和党員たちは、トランプがヒラリー支持を表明する共和党員の出現と流出を止めることが出来るとも考えている。

 

ボンジェーンは次のように語っている。「トランプが方針を正しい方向に向け直し、共和党内部の内輪もめやゴールド・スターを授与された戦死した兵士の家族に対する批判ではなく、ヒラリーに対する批判に集中したら、共和党員の中で、トランプを支持しようという人たちも出てくるだろう」。

 

過去にも、共和党員が民主党の大統領選挙候補者に投票したことがあった。

 

コリン・パウエル元国務長官は2008年の大統領選挙で、共和党の候補者であったジョン・マケイン連邦上院議員(アリゾナ州選出、共和党)ではなく、民主党の候補者バラク・オバマを支持した。

 

また、元マサチューセッツ州知事ウィリアム・ウェルドは、今回の大統領選挙では、リバータリアン党の副大統領候補となっている。

 

ヒラリーは今回の民主党予備選挙で、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)からの挑戦を受けたので、ヒラリーは左旋回した。しかし、彼女は中道派であるという評価を受け、連邦議会で共和党所属の議員たちと協力してきた歴史を持つ。

 

外交政策と国家安全保障に関する諸問題について、ヒラリーはタカ派と目されている。彼女はイラク戦争を支持した。ヒラリーは、オバマ政権内で、リビアとシリアに対して軍事行動をとるように訴え続けた。

 

ヒラリーのこのような姿勢は共和党支持の有権者にとって魅力的なものとなる可能性がある。トランプはこれまで、ジョージ・W・ブッシュ前大統領を含む共和党の外交政策に関する指導者たちに対して批判を展開してきたが、それを気に入らない有権者たちもいる。

 

しかしながら、歴史家たちは、どれだけの共和と員が船から逃げ出すか、そして、ヒラリーがどれだけの期間彼らの支持を維持できるのかはっきりしないと述べている。

 

ヒラリーを支持する共和党員の多くは、民主党が好きだからではなく、トランプが嫌いだからヒラリー支持になっているという事実がある。

 

プリストン大学教授で、歴史学と公共問題を専門とするジュリアン・ジージラーは「私たちは大きな転換が起きるのを見ることだろう」と語っている。

 

オハイオ大学の歴史学教授キャサリン・ジェリソンは、共和党員によるヒラリーへの支持は長く続かないだろうと予測している。

 

ジェリソンは次のように語っている。「今回の選挙ではそのような動きを見ることが出来るが、それが繰り返されることはないだろう。それは、共和党員のヒラリー支持は、ドナルド・トランプに反対する動きであるからだ」。

 

ボンジェーンはそもそも「クリントン・リパブリカン」という動きなど見ていないと述べている。

 

ボンジェーンは次のように語っている。「共和党員は、ヒラリーが素晴らしい大統領になるなどとは考えていないと思う。トランプから離れる共和党員たちは、自分が知らない悪魔よりも自分が知っている悪魔を選択するというだけのことだ」。

 

共和党政権で政府高官となった人々が次々とヒラリー支持を表明しているが、そうした人々に更に共和党の最高幹部クラスが続くのかどうかは明確ではない。特に元国務長官のコリン・パウエルやコンドリーザ・ライス、その他トランプ支持を表明していないビッグネームがどうするかははっきりしていない。

 

ジージラーは次のように語っている。「共和党の幹部クラスでヒラリーに投票すると表明する人々が続出しているが、党派性が強まっている現状で、どれほどの共和党員が民主党に投票するかははっきりしない。1980年代に比べて、有権者たちは姿勢を変えたがらない。従って、棄権するのではなくヒラリーに投票する共和党員がどれほど出るかははっきりしない」。

 

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