古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ロシア

 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ大統領の「ロシア疑惑」について、ロバート・ムラー特別検察官の捜査が終わり、その概要をウィリアム・バー司法長官が書簡にして連邦議会に送付しました。その内容は、ロシア疑惑、ロシア疑惑捜査に対するトランプ大統領による司法妨害は共に立証されなかった、というものです。

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報告を受けた後のトランプ大統領
 

 ロシア疑惑とは、2016年の米大統領選挙において、ロシアが当選されると自分たちに都合の悪い民主党ヒラリー・クリントン候補を落選させようとし、共和党のドナルド・トランプ候補陣営と結託、共謀したのではないかという疑惑です。ロシアによる選挙介入はアメリカの複数の情報機関が行われていたと認める報告書を出しています。

 

 トランプ陣営幹部でロシア側と接触があった人物たちが複数いたことから、この問題が大きくなりました。マイケル・フリン国家安全保障問題担当大統領補佐官(当時)がロシア大使と会談を持っていたこと、それをトランプ大統領やペンス副大統領に報告していなかったことなどを理由に、就任早々解任されるということになりました。また、今回の件とは別件もほじくり返され、トランプ陣営の選対本部長(途中で解任)を務めたポール・マナフォートは逮捕されました。

 

 トランプ陣営がロシア側と一緒になってヒラリーを落選させるために動いた「共謀」を証明することは大変難しく、そもそも共謀を明確に立証することは困難でした。実際にムラー特別検察官は多くの人員を投入し1年以上かけて捜査しても確たる証拠は結局見つかりませんでした。

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ロバート・ムラー特別検察官
 

 ロシア疑惑の捜査に対して、トランプ大統領が司法妨害を行ったのではないかという疑惑については、ちょっと歯切れが悪いようです。「これについて有罪を構成するに足るだけの証拠がなかった」ということになりました。民主党側はこの点を突いていくことになるでしょう。しかし、それでもトランプ大統領を弾劾まで追い込むことは不可能になりました。ナンシー・ペロシ下院議長は今回の書簡が出る前から、弾劾はすべきではないということを述べて既に予防線を張っています。

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バー司法長官が連邦議会に送った書簡

 ロシアによるアメリカ大統領選挙への介入はあったでしょう。ロシアにしてみれば、「お前たちもソ連崩壊後、俺たちの国にいろいろと要らない、差し出がましい口をきいたよな」という感情もあり、「やり返しただけだ」ということになるでしょう。

 

また、SNSを使えば、「世論誘導」が出来る、ということも明らかになっています。拙著『アメリカ政治の秘密』でも書きましたが、2011年のアラブの春にはツイッター社やフェイスブック社が関わっていたことは明らかです。アカウントを持つ利用者の個人情報を持ち、書き込みの傾向などを簡単に割り出せるのですから、利用者の考えを誘導しつつ、あくまで「自分で考えた」と思い込ませることは簡単なことです。

 

 今回の捜査結果概要の書簡送付で、トランプ大統領は勝利を収めることが出来ました。弾劾も行われませんし、これまで批判をして来た人々に対して反撃が出来ます。2020年の大統領選挙に向けて好材料となります。これまで長い時間と資源をかけて、この結果と言うのはまさに「大山鳴動して鼠一匹」ということになりました。

 

(貼り付けはじめ)

 

ムラーはトランプに勝利を届けた:5つの要点(Mueller delivers a win for Trump — Five Takeaways

 

ナイオール・スタンジ筆

2019年3月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/435556-mueller-delivers-a-win-for-trump-five-takeaways?rnd=1553476550

 

日曜日、ホワイトハウスにとっては安心を、トランプの敵対者たちには不満が残った。ロバート・ムラー特別検察官による捜査結果の要約がウィリアム・バー司法長官から発表された。

 

22か月にわたる捜査は終了した。ここから要約に関する要点を紹介する。

 

(1)トランプにとっての大勝利

 

トランプ大統領にとって、バー司法長官が連邦議会に送った書簡以上の結果は望むことはできなかっただろう。それほどの最良の結果となった。

 

「共謀などない」、というのはトランプ大統領が一貫して主張してきたことだ、ロバート・ムラー特別検察官と彼のティームはこれに同意することになった。

 

バー司法長官が送った書簡によると、2016年の選挙に関し、「特別検察官の捜査ではトランプ選対、もしくはトランプ選対に関係を持ついかなる人もロシアと共謀も協力もしていない」ということであった。

 

捜査の中心的な疑いであるロシアとの共謀について疑いが晴らされたが、この疑惑は深刻に受け止められ、ムラーには捜査のために多くの資源が投入された。ムラーは19名の法曹関係者を起用し、40名のFBI捜査官の協力を受け、2800通以上の召喚状を発行した。

 

司法手続きへの妨害の可能性についての疑問に関しては、ムラーは明白に、疑いが晴れたのではないし、トランプ大統領が明確に罪を犯したということでもないと述べた。

 

ムラーはこの疑問をバー司法長官とロッド・ローゼンスタイン司法副長官に委ねた。ローゼンスタインは「集められた証拠では、大統領が司法妨害を行ったと断定するには不十分であった」と結論付けた。

 

民主党側はロシア疑惑について更に知りたいと望むだろう

 

フロリダで大統領専用機「エアフォースワン」に登場する直前、記者団に対して短く「完全な潔白の証明だ」と述べた。

 

連邦議会にいるトランプ大統領の味方は強気だ。

 

連邦議会においてトランプに忠実な議員の中の一人、マーク・メドウズ連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は「本日のバー司法長官の声明はこれまで続いてきた議論に終止符を打つものだ。共謀はなかった。妨害もなかった。これで終わりだ」。

 

ホワイトハウスのホーガン・ギドリー副報道官はワシントンに戻るエアフォースワンの中で、トランプ大統領は元気を回復して好調だと述べた。

 

ギドリーは記者団に対して「大統領の機嫌は大変良い。全てが明らかにされたことを大変喜んでいる」と述べた。

 

(2)民主党側は厳しい戦いに直面する

 

日曜日、民主党側は即座に反応を示した。民主党側は連邦議会で独自の捜査を継続するだろうと述べた。連邦下院では民主党が過半数を握っている。

 

連邦下院司法委員会委員長ジェロルド・ナドラー連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)はツイッター上で、司法委員会はバー司法長官の証人喚問を求めると書いた。ナドラーは、「司法省の内部の分裂と最終決定に関して大変懸念を持っている」とし、それらについて調査すると述べた。

 

連邦下院の情報諜報委員会と監督委員会はトランプ大統領に関連する諸問題について独自の調査を現在も行っている。

 

民主党側は行政府が説明責任を果たすようにするための重要な仕事を行っているのだと主張するだろう。それがその通りに進むのは良いが、それでは民主党側が抱えるより大きな問題の解決にはならない。

 

政権発足直後からのトランプ大統領に関する諸問題の調査の中で、ムラーによる捜査は主要なものとなってきた。一般の有権者たちにしてみれば、ムラーの捜査結果が最終的な結論だということになる。

 

そうなれば民主党側が更なる調査を独自に行うことは難しくなる一方で、トランプ大統領と彼の味方が、民主党側を政治的な野心を持って無駄なことをする人々と決めつけることはより容易になる。

 

民主党側が今回の捜査結果の上を行く、確実性の高い訴追を行う機会を作るためのハードルは急激に高くなった。

 

(3)司法妨害に関する疑問は残る

 

バー司法長官の書簡の中のトランプ大統領にとっての最大の問題は決定的なものとまでは言えないが、司法妨害の疑いに関連するムラーの捜査で明らかにされた事実や証拠が書簡の中では明確にかつ詳細に示されていないということだ。

 

バー司法長官の書簡ではこの点は不明確になっている。民主党側は早速この明確性と詳細さを欠いている点を捉え、更なる情報提供を求めている。

 

連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)と連邦上院少数党(民主党)院内総務チャールズ・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は共同声明を発表し、その中で、バー司法長官の書簡について、「多くのことの答えているのと同じくらいに多くの疑問を生み出している」と述べた。

 

民主党側の要求は理にかなっている。

 

バー司法長官の書簡では、司法妨害について、ムラーは「伝統的な検察官の手法による判断を行わないと決定した」と述べている。続けて、「ムラーは、捜査を行った大統領の行動が司法妨害を構成するのかどうかについて、有罪、無罪、どちらの結論も導き出せなかった」とも述べている。

 

これが示しているのは、ムラーは、大統領の行為が少なくとも一般的な司法妨害となり得る証拠を見つけたということかもしれない。それでもバー司法長官とローゼンスタイン司法副長官は刑事事件としての裁判を維持できるだけの強力な証拠は存在しなかったと結論付けた。

 

CNNの法律関係アナリストマイケル・ゼルダンは本誌の取材に対して、ムラーが、捜査で集めた証拠によってトランプ大統領の「疑いが晴れ(exonerate)」てはいないと述べざるを得なかったことに注目し、これは「大変に奇妙な」ことだと指摘した。

 

ゼルダンは「検察官は通常、疑いが晴れる(exoneration)という言葉は使わない」と述べ、これは、ムラーのティームと司法省との間に同意できない点があるのだろうと示唆した。

 

トランプ大統領にとって、ムラーが公開していない情報が司法妨害についての疑いを更に高めるようなものでなくても、公開されることで政治的なダメージを与える可能性があるので、危険はまだ存在しているということになる。

 

(4)大統領弾劾の可能性はなくなった

 

ペロシ下院議長は今月初めに『ワシントン・ポスト』紙とのインタヴューの中で、トランプ大統領に対する弾劾にブレーキをかける発言を行い、驚きを与えた。

 

この時、ペロシ議長は弾劾を進めることを好まないと述べた。

 

その理由について、ペロシ議長は次のように述べた。「弾劾は国家を分裂させてしまうものであり、勢いよく進めるものではないし、疑問や躊躇なく進めるものではないし、党派争いの道具にすべきものでもない。私たちはこの道を進むべきではないと考えている。それはその道を進めばアメリカは分裂してしまうからだ」。

 

バー司法長官の書簡の内容は弾劾を進めるための最低限の条件に届いていない。トランプ大統領を2020年の大統領選挙で落選させるために、前回トランプ大統領に投票した無党派層とそこまで熱心ではないトランプ支持者たちを寝返らせるに足るだけの大きな衝撃にはなっていない。

 

トランプ大統領の政治上の運命は2020年の大統領選挙で決まり、その前に決まるということはない、ということがこれまでよりもより確定的になった。

 

(5)テレビに出ている識者たちが恥をかく

 

メディアに出ている熱心な反トランプの姿勢を取る識者や著名人たち、その中には法律の専門家たちも含まれているが、この人たちの多くはロシア疑惑に関する諸事実がひっくり返されることを願っているとしてもそれは無理のないことだ。

 

バー司法長官の書簡が送られた後にテレビをつける人たちは、そこに出ている識者たちが何とか面目を保とうとしている姿を見て驚くことだろう。

 

ムラーの捜査結果が出たことで、トランプ大統領と彼の家族を馬鹿だ、地味だ、単純だと見下す活発な動きが低下するだろうということは容易に予測できる。

 

トランプ大統領と彼の味方はこれから何日も何カ月も反メディアの太鼓をより大きな音で打ち鳴らすことだろう。この人々は2020年の大統領選挙投票日までメディアの過剰な報道を示す例としてムラーの話をし続けるだろうということは容易に想像できる。

 

日曜日夜に発表した声明の中で、ペンス副大統領は「アメリカにとって偉大な日」になったことを喜ぶと述べた。

 

ペンスは、民主党とそれに同調する不特定の「メディアの人々」が「根拠のない告発」を行ったという主張を行った。

 

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要するにどういうこと トランプ政権のロシア疑惑を800文字以内で

 

2017124

http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-42218253

 

2016年米大統領選をめぐるロシア疑惑がトランプ政権に濃い影を落とし続けてきた。しかしなかなか厄介な話なので、あらためて短く整理してみた。

 

要するに

 

複数の米情報機関は、昨年の大統領選でドナルド・トランプ氏を勝たせようと画策したと結論している。果たしてトランプ陣営関係者がこのために、ロシアと結託したのかどうか、専任の特別検察官が調べている。

 

証拠は

 

トランプ選挙対策本部の複数の幹部が、ロシア政府関係者と接触していた。いくつかの面会については、当初公表されていなかった。

 

接触とは

 

マイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、政権発足前に駐米ロシア大使と会談していたことについて、連邦捜査局(FBI)に嘘をついた。フリン前補佐官はムラー検察官との司法取引に応じ、有罪を認めた。このため、政権幹部の有罪を裏付ける証拠を、前補佐官が持っているのではないかと、取り沙汰されるようになった。

 

大統領の長男、ドナルド・ジュニア氏は選挙期間中の昨年6月、ヒラリー・クリントン氏について「泥(不利な情報)」を持つというロシア人弁護士に面会していた。陣営の外交顧問だったジョージ・パパドプロス被告は、ロシア関係者との接触と面会の仲介についてFBIに嘘をついたと認めた。

 

ほかには誰が関与

 

大統領の娘婿、ジャレッド・クシュナー上級顧問の関与も注目されている。元選対本部長のポール・マナフォート被告は、大統領選とは関係のない資金洗浄罪で起訴された。

 

そして大統領は

 

ロシア疑惑捜査の一部を指揮していたジェイムズ・コーミー長官を今年5月に解任してからというもの、大統領による司法妨害があったのかどうかが議論されている。これについては法律の専門家の間で、意見が割れている。

 

(英語記事 The Trump-Russia saga in 200 words

 

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ロシア疑惑文書の筆者、トランプ氏への恐喝懸念 議員が証言公開

 

20180110

http://www.bbc.com/japanese/42632824

 

「スティール文書」に関する証言を公開した民主党のダイアン・ファインスタン上院議員

「ロシア当局がドナルド・トランプ氏について決定的に不利な材料を入手している」という調査報告書、いわゆる「スティール文書」に関する米上院公聴会での証言内容が9日、民主党議員によって公開された。文書を作成した元英国情報部員のクリストファー・スティール氏が、トランプ氏がロシアに恐喝されているかもしれないと懸念していたことが、改めて示された。

 

民主党のダイアン・ファインスタイン上院議員(カリフォルニア州選出)は、「スティール文書」の作成を依頼したワシントンの調査会社「フュージョンGPS」の創業者グレン・シンプソン氏が昨年8月に上院司法委員会で証言した際の記録を公表した。シンプソン氏は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの調査報道記者を経て、「フュージョンGPS」を立ち上げた人物。

 

ファインスタイン議員は、シンプソン氏の依頼に基づき議事録を公開したと説明している。フュージョンGPSをめぐって「妙な憶測や誤情報」が飛び交っているため、証言内容を公表すべきと判断したという。

 

ファインスタイン氏は、トランプ陣営とロシア当局の共謀疑惑や司法妨害疑惑について、捜査や議会調査を妨げようとする「非常に心配な動き」があると懸念を示した。今月初めには、司法委員会のチャールズ・グラスリー委員長(共和党)が、スティール氏について刑事捜査すべきだと発言している。

 

ファインスタイン議員が公表した上院司法委員会の議事録は312ページに及ぶ。そのなかでフュージョンGPSのシンプソン氏は司法委に、スティール氏が20167月の時点で連邦捜査局(FBI)に、トランプ氏がロシアに恐喝されているかもしれないと、懸念を伝えていたと証言している。

 

議事録によるとシンプソン氏は非公開の公聴会で、トランプ氏や側近たちがロシア政府と個人的かつ金銭的につながっていると示す「スティール文書」の内容に自信を示したほか、文書が理由で殺害された人が1人いると証言した。

 

トランプ氏とロシアとの関係についての調査を出資したのは、ヒラリー・クリントン氏の陣営と民主党だったと言われている。ホワイトハウスや共和党関係者の多くは、「スティール文書」の内容に根拠はなく、選挙の対立候補に泥を塗ることだけを目的としたでっちあげだと非難している。

 

トランプ氏がロシア政府に脅されていたという主張を裏付ける証拠は、出てきていない。

 

しかしシンプソン氏は上院議員を前に、「(元英情報部員のスティール氏は)大統領候補が恐喝されているのかどうか、安全保障上の問題があるように見えると考えていた」と証言した。

 

シンプソン氏はさらに、「これが国家安全保障を脅かすのかどうか、クリス(スティール氏)はとても心配だと話していた。そして、この国の政府の誰かにこの情報を伝える義務があると思うと話していた」と証言した。

 

10時間にわたり証言したシンプソン氏は、文書の情報源について議員たちに聞かれても、なかなか答えようとしなかった。

 

フュージョンGPSの顧問弁護士ジョシュア・レビー氏が質疑に割って入り、「シンプソン氏は情報源を慎重に守ろうとしている」と言い、さらに「この文書の公表によってすでに人が1人殺されている。この文書は誠実な仕事の成果で、そのせいで誰かに危害がもたらされるようなことがあってはならない」と述べている。

 

レビー弁護士は、誰が殺害されたのか公聴会で明らかにしなかった。

 

しかしCNNは消息筋の話として、弁護士は特定の人物について言及したのではなく、2016年大統領選後に複数のロシア人が謎の死を遂げていることを念頭に発言したのだと伝えた。

 

「スティール文書」には、トランプ氏がかつてモスクワのホテルで複数の売春婦といるところを撮影されていたなどの内容が含まれている。

 

トランプ氏は昨年111日の記者会見で、この指摘をばかげたことだと一蹴。自分はロシアにいる間は常に、ホテルが監視されているという認識で行動していたなどと話していた。

 

シンプソン氏の証言内容について、FBIはコメントしていない。

 

BBCを含め複数の報道機関が、201611月の大統領選以前に文書について説明を受けていた。しかし、ほとんどの報道機関は内容の裏付けがとれないため、記事にしなかった。

 

米オンラインメディア「マザー・ジョーンズ」が同年1031日に文書の存在について記事にした後、CNNが昨年1月に文書について報道。続いて米バズフィードが、文書の内容をそのまま公表した。

 

シンプソン氏が「スティール文書」以前にロシア企業による人権侵害と資金洗浄を調査した際に、その調査の対象となった米国の投資家ビル・ブラウダー氏は米紙ニューヨーク・タイムズに対して、「(シンプソン氏は)中傷キャンペーンのプロで、金のためなら何でも言う嘘つきだ」と非難している。

 

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ホワイトハウス、FBI「権力乱用」文書公表を承認

 

2018023

http://www.bbc.com/japanese/42928284

 

米司法省と連邦捜査局(FBI)がドナルド・トランプ米大統領に反して偏っている証拠だとして共和党幹部がまとめた文書について、ドナルド・トランプ米大統領は2日、機密扱い解除を承認した。これを受けて連邦議会は、4ページにおよぶ文書を公表した。民主党は、大統領がこれを口実に特別検察官や司法副長官を解任すれば、ウォーターゲート事件当時のような「憲政上の危機」につながると警告した。

 

問題の資料は、米下院情報委員会のデビン・ヌネズ委員長(共和党)のスタッフがまとめた文書(メモ)で、司法省が外国諜報活動偵察法(FISA)にもとづく監視活動権限を乱用し、大統領選のトランプ陣営関係者を不当に監視しようとしたと非難している。ヌネズ議員はトランプ氏の当選後、政権移行チームに参加していた。

 

FBI31日、メモの正確性が疑わしいため、公表について「深刻な懸念を抱いている」と、ホワイトハウスの方針に反対する異例の声明を出した。

 

民主党は、ヌネズ・メモはFBIによるロシア疑惑捜査の正当性を否定するのが狙いだと批判している。

 

ヌネズ・メモは大統領選のロシア疑惑に関するいわゆる「スティール文書」を根拠に、司法省とFBIがトランプ陣営関係者の盗聴監視許可を延長しようとしたと指摘する内容になっている。FBIが昨年3月にFISA裁判所から盗聴令状の延長を得ようとする際に、内容が立証されていない「スティール文書」がその根拠だと裁判所に伝えていなかったと、ヌネズ委員長は問題視している。

 

資料によると、監視対象はトランプ陣営の外交顧問だったカーター・ペイジ氏。同氏は昨年11月、下院情報委員会に対し、20167月のモスクワ訪問でロシア政府関係者と面会したと証言している。

 

スティール文書は、ワシントンの調査会社「フュージョンGPS」が元英国情報部員のクリストファー・スティール氏に作成を依頼したもの。費用の一部は、ヒラリー・クリントン氏の陣営と民主党が出資した。

 

ヌネズ議員の資料はさらに、スティール氏が司法省幹部に、トランプ氏を当選させてはならない、自分は「必死だ」と話していたと書き、一連の動きは「米国民を権力乱用から守るために設けられた司法手続きの懸念すべき破綻」を示していると指摘している。

 

ヌネズ・メモは最高機密扱いに指定されていたが、129日にヌネズ氏が委員長で共和党が多数を占める下院情報委員会が公表を採択し、文書をホワイトハウスに送付。トランプ大統領が2日、機密指定解除を承認した。

 

共和党の反応

 

ヌネズ・メモの公表を支持する共和党関係者は、FBIや司法省における不正行為と政治的偏向を明るみに出すものだと評価する。

 

トランプ大統領は2日、資料の内容について質問され、大勢が「自分を恥じるべきだ」と答えた。大統領はそれに先立ち、FBIや司法省の捜査を政治的に利用して共和党を傷つけようという動きがあると非難していた。

 

ヌネズ委員長は、司法省やFBIが国民の信頼を「深刻に損なった」ことを示すもので、改革のきっかけになるよう期待すると述べた。

 

FBIの監視対象だったペイジ氏は、司法省に対する賠償訴訟でヌネズ・メモを証拠として使うと話した。

 

しかし、共和党の全員がヌネズ・メモ公表を支持しているわけではない。党重鎮のジョン・マケイン上院議員は、共和党の同僚たちがFBIや司法省を攻撃したことを鋭く批判し、トランプ氏が法の支配を損ねたと非難した。

 

マケイン議員はツイッターで、「FBIと司法省に対する最新の攻撃は、いかなるアメリカの利益にもならない。どの党にとっても、どの大統領にとっても。プーチンの利益になるだけだ」と書いた。

 

民主党の反応

 

民主党は、2016年大統領選でのロシア疑惑を捜査するFBIを貶めようとする「恥ずべき」行為だと反発している。

 

民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務は、「情報機関の情報源や活動手法を保護しなかったことで、(トランプ氏は)たった今、お友達のプーチンに花束を贈ったわけだ」と反発した。

 

さらに、チャック・シューマー上院院内総務、ペロシ下院院内総務をはじめ、他に8人の民主党幹部は共同声明で、この文書を「口実」に、ロシア疑惑を捜査しているロバート・ムラー特別検察官や、ムラー氏を任命したロッド・J・ローゼンスタイン司法副長官を更迭してはならないと警告した。

 

「そのような正当性のない行動は、ロシア疑惑捜査に関する司法妨害の試みとみなす」と民主党幹部は言明し、そのようなことになれば1970年代に当時のリチャード・ニクソン大統領がウォーターゲート事件をめぐり特別検察官を罷免しようとした時のような「憲政の危機」につながると念押ししている。

 

ホワイトハウスは後に、司法省に「変更はない」と言明し、ローゼンスタイン副長官は今後も職務を遂行するものと認識していると述べた。

 

ウォーターゲート事件では、ニクソン大統領が197310月に、事件を捜査していた特別検察官の解任を命じ、司法長官と司法副長官が辞任した後、後任の司法長官が特別検察官を解任した。このてんまつは、「土曜の虐殺」と呼ばれる。この後、連邦議会で大統領弾劾決議案の提出が相次ぎ、翌19747月になって、下院司法委員会が大統領を司法妨害で弾劾する委員会決議案を可決した。ニクソン氏は同年8月に辞任した。

 

FBIの反応

 

他方で、FBI職員連合の報道官はヌネズ・メモ公表に先立ち1日、「党派的政争」にかまけて自分たちの職務から目をそらしたことはないし、「今後もそのようなことは容認しない」と声明を出している。

 

昨年夏にトランプ氏に指名されたFBIのクリストファー・レイ長官も、文書の公表前に、公表に対する「深刻な懸念」を表明。さらに公表を受けて、職員にメールで、「口先でしゃべるのはたやすい。長続きするのは実際の仕事の内容だ。自分たちの職務を(政治から)独立して、かつ規則通りに遂行するという、全員共通の決意は揺るがない。私は諸君と共にある」と伝えた。

 

トランプ氏から昨年5月に解任されたジェイムズ・コーミー前FBI長官はツイッターで、ヌネズ・メモの公表を受けて、「それだけ? 不正直で誤解を招くメモが下院情報委員会を台無しにし、各情報機関との信頼を破壊し、FISA裁判所との関係を傷つけ、米国市民に関する機密捜査の内容を暴露するという許しがたい行為に及んだ。なんのために? 司法省とFBIは職務を遂行しなくてはならない」と書いた。

 

秘密は明らかになった。メモは公表され、その結果は……あらかた誰もが予想していた通りだった。

 

共和党作成の資料が言われていたほど衝撃的なものかどうかは、いまや悪名高い「スティール文書」をどう捉えているかによる。FBIFISA裁判所にカーター・ペイジ氏の盗聴監視令状を請求した際、「スティール文書」が『不可欠な」要素だったという、ヌネズ・メモの主張を信じるか。それとも、ヌネズ委員長たちがあえて省いた情報が、令状請求の根拠として実はあったのか。

 

ヌネズ・メモは、FBIはスティール氏の立場についてFISA裁判所に説明すべきだったと主張する。つまり、スティール氏がトランプ氏に否定的で、報道機関としきりに接触し、そもそも文書のための調査活動費が一部、民主党やクリントン陣営から出資されていたことなどだ。

 

しかし、そのような情報開示がされていたとして、それでFISA裁判所は令状発行を拒否しただろうか? 1978年に設置されて以来、FISA裁判所は何万という監視令状請求を受けてきたが、令状を認めなかったのはごくわずかだ。そして、2013年の時点ですでに複数の米情報機関から要注意人物として注目されていたペイジ氏に対する監視活動ひとつを理由に、ロシア疑惑捜査の全てを疑問視しても良いのかどうか。FBIのロシア疑惑捜査は、ペイジ氏への監視を始める数カ月前から始まっていた。20167月に始まったトランプ陣営の外交顧問だったジョージ・パパドプロス被告への捜査が発端となっているのだ。

 

こうした疑問に対する答えによって、このヌネズ・メモが爆弾だったのか、それとも不発弾だったのか、今後への影響が決まる。

 

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 今年も残り2カ月半というところになってきました。今年6月にシンガポールで、初の米朝首脳会談が開催され、ドナルド・トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が握手をし、直接話をするという歴史的な出来事がありました。その後、共同宣言が発表され、朝鮮半島の非核化が進むかと思われましたが、その後、米朝交渉は停滞気味のようです。

 

 先月、アメリカ政府は、スティーヴン・ビーガンという人物を国務省の対北朝鮮特別代表に任命しました。米朝交渉を実質的に取り仕切ることになりました。ビーガンについては、本ブログでいち早くご紹介しました。ビーガンについては、共和党系の外交政策分野の人材であり、ヨーロッパとロシアを専門としている人物であることをご紹介し、ビーガンの説く米代表就任は、北朝鮮問題に関して、アメリカがロシアを巻き込むことを意図しているとブログの記事で私は書きました。

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スティーヴン・ビーガン


 実際、ビーガンは2018年10月16日にロシアの首都モスクワを訪問し、ロシア政府関係者と北朝鮮問題について協議しています。以下に記事を貼り付けます。

 

(貼り付けはじめ)

 

米の特別代表がロシア訪問 北朝鮮への働きかけ協議か

20181016 2057

 

2回目の米朝首脳会談に向けてアメリカ政府で実務レベルの協議を担うビーガン特別代表がロシアのモスクワを訪れ、16日、モルグロフ外務次官と協議しました。北朝鮮の非核化をめぐって働きかけを強めるようロシアに求めたとみられます。

 

アメリカ政府で北朝鮮問題を担当するビーガン特別代表は16日、モスクワを訪れて、ロシア外務省のモルグロフ次官と協議し、ロシア外務省は協議のあと、「核を含めた問題の政治的、外交的な解決に向けて努力していくことで一致した」と発表しました。

 

ビーガン特別代表は、今月、アメリカのポンペイオ国務長官とともに北朝鮮を訪問し、2回目の米朝首脳会談の早期開催に向けて実務レベルの協議を進めることでキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長との間で合意しました。

 

ただ、朝鮮戦争の終戦宣言を要求する北朝鮮と、非核化に向けた北朝鮮の具体的な措置が先だとするアメリカとの立場の隔たりは埋まっておらず、実務レベルの協議を担うビーガン特別代表としてはモルグロフ次官に対し、非核化をめぐって北朝鮮への働きかけを強めるよう求めたとみられます。

 

ビーガン特別代表は、このあとフランスのパリ、ベルギーのブリュッセルを訪れ北朝鮮問題について関係者と協議する見通しです。

 

(貼り付け終わり)

 

※2018年9月4日付記事「米朝交渉は停滞気味のようだ」でご紹介しております。↓

http://suinikki.blog.jp/archives/76831743.htmlからどうぞ。


 米朝直接交渉はあまり進展が見られません。北朝鮮はこれまでもアメリカとの交渉ではあの手この手で中身を骨抜きにしたり、思い切って合意を破ったりで、アメリカ側を翻弄してきました。そのために経済制裁を科されることにもなりましたが、中国とロシアという後ろ盾があり、これまである意味ではうまく生き残ってきました。そのために、国民に大きな被害が出ていることをかんがえると、うまくという言葉は適切ではありませんが。

 

 そうした中で、北朝鮮に一定程度影響力を持つロシアを巻き込んでの問題解決ということになり、ビーガンに白羽の矢が立ったということになるのでしょう。以下に紹介する記事は、ビーガンの特別代表就任について書かれたものです。その中で、ビーガンはヴェテランで、特別代表に適任だが、北朝鮮との交渉の経験がないこと、そして、トランプ大統領が移り気で首尾一貫していないので、トランプ大統領に振り回されるであろうことを不安材料に挙げています。

 

 今後、北朝鮮問題がどのように動いていくか、注目されます。

 

(貼り付けはじめ)

 

ポンぺオの新しい対北朝鮮特別代表は外交上の地雷原に勇躍攻撃を仕掛ける(Pompeo’s New North Korea Envoy Wades Into Diplomatic Minefield

―スティーヴン・ビーガンは対北朝鮮特別代表に適任だと多くの人が考えている。しかし、Stephen Biegun is widely considered a great pick for the job. But it may be an impossible task in the first place.

 

ロビー・グラマー筆

2018年9月25日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2018/09/25/north-korea-mike-pompeo-stephen-steve-biegun-state-department-trump-kim-jong-un-diplomacy-nuclear-negotiations-united-nations-general-assembly/

 

就任してから1カ月、トランプ政権における対北朝鮮政策におけるキーマンであるスティーヴン・ビーガンは、北朝鮮の指導者金正恩委員長とアメリカのドナルド・トランプ大統領との間の2度目の首脳会談実現に向けた、彼にとっての最初の試練に直面している。

 

マイク・ポンぺオ国務長官は今週の国連総会において、トランプ大統領と金委員長との間の2度目の首脳会談の地ならしを行っていると明言した。

 

ビーガンは国務省の北朝鮮に対する特別代表に新たに就任した。第2回目の米朝首脳会談が実現する場合、ビーガンはこの動きの中心的役割を果たすことになるだろう。ビーガンは、ジョージ・W・ブッシュ政権で働いた経験を持つ。この時に世界で最も手ごわい、経験と知識を持つ交渉者を相手に交渉をしていた。北朝鮮はこれまで数十年間にわたり、アメリカの平和と核を巡る交渉の邪魔をしてきた。そうした北朝鮮の現体制を維持することを至上命題にしている高官たちに対してはビーガンの対北朝鮮特別代表就任は大きな負担となるだろう。

 

同時に、ビーガンは、北朝鮮問題に取り組みたいと考えているトランプ大統領の矛盾したメッセージやころころと変更される目標をうまく誘導しなければならない。今週ニューヨークで開催された国連総会において、トランプは金委員長の「勇気」に感謝し、米朝両首脳が近々再び会談を行うと示唆しつつ、北朝鮮は非核化に向けて「大きな進歩」を遂げていると発言した。しかし、多くの専門家たちは、金委員長はこれまでに重要なことは何も放棄していないということに同意している。

 

これら2つの挑戦はビーガンの任命が抱えるパラドックスを浮き彫りにしている。ビーガンは適格だと多くの人々は評価しているが、ビーガンの任務の遂行は不可能ではないかという懸念も出ている。

 

ポンぺオは、先月、ビーガンをフォード社から引き抜いた。そして、アメリカの外交政策において最も厳しい挑戦に対する責任を与えることになった。この挑戦は大統領が個人的に重視しているものだ。ビーガンは、フォード社に入社する前に、連邦議会のスタッフとして15年間、外交政策に関して専門性を涵養していた。ビーガンの任命に対して、共和党の外交政策専門家たちの間からは、適任だという好意的評価が出ている。

 

しかし、ビーガンを称賛している専門家や元政権幹部たちは、ビーガンの任務は最初からつまずくだろうとも述べている。トランプは6月にシンガポールで行われた金委員長との首脳会談において、何も具体的なことは決まっていない段階においてツイッター上で勝利宣言をしてしまった。この後では特別代表の任務は難しいものになると専門家たちは述べている。「北朝鮮からの核の脅威はもはや存在しない」とトランプはツイッター上で明言した。

 

ジョージタウン大学所属のアジア専門家ヴィクター・チャは、次のように語っている。ちなみにチャはトランプ政権の駐韓米国大使になると目された人物だ。「トランプ政権において北朝鮮との交渉者になることは困難なことである。交渉者はトランプ大統領が既に獲得したと宣言したものを獲得するために交渉を行わねばならない立場に追い込まれる。このような立場に追い込まれるのは喜ばしいことではない」。

 

ジョージ・W・ブッシュ政権の国家安全保障会議(NSC)に勤務したピーター・フィーヴァーは次のように述べた。「北朝鮮に対しては民主党も共和党も25年にわたって失敗を重ねてきた。従って、誰がやっても北朝鮮との交渉を妥結させることはできないのではないかと考えている。しかし、私は同時に、ビーガンは少なくとも北朝鮮に騙されることはないと断言できる」。

 

今回の記事を書くにあたり、ビーガンへのインタヴューを国務省に申請したが、却下された。報道担当官はまた、今秋国連において、ポンぺオとビーガンが北朝鮮の担当者と面会するのかどうかについてコメントを拒否した。「国務省には発表すべき新たな会談の予定はない」とだけ発表した。

 

本紙では10名を超える現職、元職の外交政策に関係する政権関係者に取材を行った。彼らは、ビーガンについて、複雑な外交政策の様々な問題に対処してきた経験を持つと称賛している。1990年代、ビーガンはジェシー・ヘルムズ連邦上院議員の上級顧問を務めた。当時、ヘルムズ議員は連邦上院外交委員会委員長を務めていた。この時、ビーガンは裏方として、冷戦期にワルシャワ条約機構に加盟し、西側と敵対していた東欧諸国をNATOに加盟させてNATOの規模を拡大させるという計画を立案し、成功させた。この作業には、保守的なタカ派の人々をクリントン政権に協力させることが必要不可欠であった。また、NATOの加盟国増大に関してはアメリカ連邦上院の承認が必要であった。

 

ブッシュ政権において国防総省に勤務し、連邦上院に属するビーガンと一緒に仕事をした経験を持つイアン・ブレジンスキーは「ビーガンがNATOの拡大において極めて重要な役割を果たした」と語っている。ブレジンスキーは更に、ビーガンは当時の連邦議会のタカ派的な考えを、具体的な、実現可能な法律にするために役割を果たしたと述べた。この法律によって、NATOの地図は書き換えられることになった。

 

それから数年後、ビーガンは、国家安全保障会議(NSC)の上級秘書としてホワイトハウスに勤務し、2002年にブッシュ政権が発表した「国家安全保障戦略(NSS)」の策定において中心的な役割を担った。国家安全保障戦略の策定は数カ月にも及ぶ苦行であった。それぞれ異なった目的を持つ官僚や政府機関を説得し、最終的に、大統領の考えを反映させた一つの文書に落とし込み、それに同意させるということは困難な任務であった。

 

ブッシュ大統領の国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたスティーヴン・ハドリーは、ビーガンはこれまでの経験を対北朝鮮特別代表という新たな任務に活かすことが出来ると述べた。

 

ハドリーは本紙の電話取材に対して次のように述べた。「ビーガンのこれまでの経験と知識は対北朝鮮特別代表という任務にとって適したものだと考えている。アジア地域の政治、核拡散問題、北朝鮮問題についても理解している。ビーガンはポンぺオ国務長官とトランプ大統領を助けて、対北朝鮮政策全体をうまく構築することが出来るだろう」。

 

それでも、ビーガンはヨーロッパとロシアの専門家であって、北朝鮮との交渉では経験したことのない言葉遣いや複雑さにぶつかることだろう。北朝鮮との交渉では進展や成果は幻のように消え去ってしまう可能性もある。北朝鮮の交渉者たち、特にヴェテランの交渉者たちは、交渉の文書の中の一つの単語、一つの文を動かして、妥協を台無しにしてきた。

 

CIAに勤務した経験を持ち、現在はブルッキングス研究所上級研究員を務めるジュン・パクは、ビーガンの北朝鮮に関する知識や経験不足は「諸刃の剣」となると指摘する。パクは、次のように指摘する。「北朝鮮問題にかかわってこなかった人々は、北朝鮮問題解決のための“斬新な”考えを持つことができる。彼らは歴史を振り返ることで苦境に陥るというようなこともないだろう。また、北朝鮮との交渉で苦渋を飲まされてきたという経験に束縛されることもないだろう」。

 

パクは続けて、「しかし、こうした長所に、彼らの短所も潜んでいる。深い歴史的な背景が必要な場面が出てくるが、経験がない人々にはそれがない」とも述べている。

 

ビーガンは外交上の二正面作戦を行わなければならないだろう。一方は対北朝鮮、一方は対ワシントン(トランプ政権)である。

 

トランプ大統領は米朝首脳会談直後に北朝鮮が核兵器放棄を約束したと喧伝したが、北朝鮮政府は核兵器保有にこだわり、交渉を長引かせようとしている。ジーナ・ハスペルCIA長官は月曜日、珍しく公の場で発言し、その中で、北朝鮮が核兵器を放棄するのかどうか疑念を持っていると述べた。しかし同時に、米朝関係は、トランプ大統領による金委員長に対する働きかけによって、1年前に比べて格段に改善していると持述べた。

 

ポンぺオ自身は、今年6月に訪朝して、北朝鮮の高官たちがどれほど掴みどころもなく、予測不可能な動きをするのかを実感したはずだ。この時の訪朝では、金正恩はポンぺオと会談を持つことを拒絶することで、ポンぺオを鼻であしらった。そして、その直後に発表した声明では、ポンぺオが行った様々な要求は「ギャングが行うような」内容であったと批判したのだ。

 

ここでビーガンの経験と才能が必要となる。ビーガンはワシントンにおいては尊敬を集めているが、大統領から権限を与えられた特別代表として北朝鮮がきちんと対応するのか、アメリカ側からのこれまでは別の邪魔が出てくるのかということは明確になっていない。こうした障害のために、北朝鮮側はトランプ自身と意思を確認するために苦闘することになる。

 

CIA朝鮮半島担当部門の次長を務め、ワシントンに本部を置くシンクタンクであるヘリテージ財団に在籍するブルース・クリングナーは次のように述べている。「ポンぺオが金正恩と会談を持つことや交渉の進展をもたらすことに苦労しているのなら、それよりも低い地位の官僚たちが大統領の意向を受けて交渉に行って、何か成果を上げることが出来るのだろうか?」

 

北朝鮮の指導者として初めてアメリカ大統領と一対一の首脳会談を行った金正恩は、トランプとだけしか話したくないのだ。北朝鮮政府は巧妙にトランプを批判することを避けている。ワシントンの国家安全保障問題の専門家たちを攻撃しながら、トランプ大統領を称賛するような発表を行っている。

 

ビーガンはトランプ大統領の気まぐれな政策と格闘しなければならなくなるだろう。トランプは北朝鮮政府を戦争で脅迫していたが、それが金正恩を称賛するようになり、それからも戦争と称賛の間の複雑なメッセージを次々と発してきた。

 

シンガポールでの首脳会談の後、トランプ大統領は一方的に、米軍の韓国軍との共同軍事演習を延期すると発表し、共同宣言を発表したが、専門家たちは中身が曖昧過ぎて本当の進展を明確にすることはできないと評価する内容であった。ビーガンが特別代表に任命された後の今年8月、トランプ大統領は突然、ポンぺオとビーガンによる包丁を中止すると発表した。その理由として、交渉での進展がなかったことが挙げられた。

 

一方、ポンぺオ国務長官は先週、北朝鮮と韓国との対話を取り上げながら、非核化に向けた交渉はトランプ政権の第一期目の任期が終わるまでには終了することになるだろうと述べた。しかし、ポンぺオは月曜日には、自身の発言内容から後退する発言を行った。ニューヨークで開催された国連総会の記者会見で、交渉に期限を区切るというのは「馬鹿げた」ことだと発言した。

 

ブルッキングス研究所のパクは、「トランプ政権からは複雑で事実が歪曲されたメッセージが多数発信されている」と述べている。

 

このような批判に対して、国務省の報道担当官はEメールで次のように発言している。「私たちは完全に証明される非核化を望んでいる。大統領は北朝鮮が最終的に完全に非核化され、核兵器が再び問題にならないようにしたいと望んでいる」。

 

トランプと金正恩が再び会談を持ち、別の合意に達することがある場合、トランプ大統領は合意内容を具体化できる有能な高官を必要とし、ビーガンはその任務にふさわしいと複数の専門家たちが口を揃えている。しかし、トランプと側近たちが最終的なものだと発表する合意内容は多くの北朝鮮専門家たちを苛立たせるものとなるだろう。

 

ジョージタウン大学のヴィクター・チャは次のように述べている。「トランプと金正恩は合意に達することはできると思う。しかし、問題は、その合意が素晴らしい合意か、悪い合意か、嘘の合意か、ということだ」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 今年の6月に米朝首脳会談が行われ、共同宣言が出されました。「これで、北朝鮮はすぐに核兵器を放棄する、良かった良かった、金正恩もドナルド・トランプもいい人じゃん」という雰囲気が醸成されました。これ以降、どのような進展があったのか、よく分からない状況です。北朝鮮が積極的に核兵器放棄に向けた動きを行っているようには見えません。

 

 マイク・ポンぺオ国務長官が4度目の訪朝をするという発表がなされました。アメリカという国家のこれほどの高官がこのような短期間でこれほどの頻度で北朝鮮を訪問するというのは異例なことでした。しかし、直前になって、トランプ大統領がポンぺオ長官の訪朝を中止させました。

 

 トランプ大統領は北朝鮮との交渉が進展しておらず、それは中国の責任だというツイートをしています。しかし、これは、6月の米朝首脳会談と共同宣言を発表した時点で、中国が北朝鮮への制裁を骨抜きにすることは容易に予想が出来たことで、もしトランプ大統領がそのことを今頃になって怒っているということであれば、それはトランプ大統領の不明ということになります。

 

 ですから、トランプ大統領の中国に対する発言は、中国に対して北朝鮮に対してもっと強く影響力を行使して、とりあえず、核兵器関連を急速に解決できる方向に勧めて欲しいという意図があると考えられます。中国を批判しているように見せながら、何とかならないかとお願いというか、依頼、説得をしているということだと思います。中国がこれでどう動くかが注目されます。

 

ポンぺオ国務長官は、幻と終った訪朝発表の際に、スティーヴン・ビーガン(Stephen Biegun)という人物を特別代表に任命して、帯同させると発表しました。これからビーガンがアメリカの対北朝鮮交渉で重要な役割を果たすことになるという意味の発表でした。

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スティーヴン・ビーガン

 

 ビーガン(1963年生まれ)は、自動車メーカー大手のフォード社の外国政府担当副社長を務めています。ですが、政府機関で仕事をしていた時期が長い人物です。1984年にミシガン大学を卒業、専攻はロシア語と政治学だったそうです。その後、1992年から1994年まで国際共和研究所(International Republican InstituteIRI)のロシア駐在部長を務めました。IRIは共和党系のNGOで、はっきり言えば、世界各国で民主化(democratization)を進めるため、NGOの外見を持った準政府機関です。民主党系には全米民主研究所(National Democratic InstituteNDI)というNGOがあります。

 

 IRINDIに資金を提供しているのは、こちらもNGOの外見を持っているが、実質的にはアメリカ連邦議会から資金を提供されている、全米民主政治体制のための基金(National Endowment for DemocracyNED)です。NEDIRINDIはアメリカの介入主義のための準政府機関です。このことについては、拙著『アメリカ政治の秘密』(2012年、PHP研究所)で取り上げています。ビーガンは「非民主国家の民主化(democratization of nondemocratic states)」のための人材ということになります。

 

 その後、連邦下院外交委員会のスタッフ(海外援助予算、貿易政策、ヨーロッパ担当)、連邦上院外交委員会のスタッフ(1994-1998年)、首席スタッフ(1999-2000年)、を務めました。共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領(在任:2001-2009年)が誕生すると、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)事務総長(2001-2003年)、国家安全保障問題担当大統領補佐官コンドリーザ・ライスの上級スタッフを務めました。ホワイトハウスでは国家安全保障会議の運営を取り仕切っていたそうです。

 

 その後は、連邦上院議員で共和党連邦上院院内総務を務めた、重鎮ビル・ファーストの国家安全保障問題担当アドヴァイザーを務め、フォード社の副社長に就任しました。ビーガンはアジアの専門家でもなく、国家安全保障問題を中心に活動してきたことを考えると、今回の人事は不思議な感じがします。

 

 北朝鮮担当特別代表にはこれまで、韓国系、アジア系の人物が就いていました。今回ロシア専門家が就任したということは、北朝鮮問題をアジア系の人々の手から離して、新たな道筋を探そうとしているのではないかと考えられます。そして、ロシアを引き入れて、中国の北朝鮮に対する影響力を減少させ、相対的にアメリカの影響力を増大させようという考えがあるのではないかと思います。

 

 更に言うと、ビーガンの前歴を考えると、ビーガンの特別代表就任は北朝鮮に対する圧力とも考えられます。これまでのように甘やかして下手(したて)には出ない、北朝鮮問題を国家安全保障上の専門家であり、かつ、非民主国家の民主化の専門家が、北朝鮮を国家安全保障上の問題として捉え、民主化のアプローチから交渉の場に立つ、というのは、北朝鮮からすれば「体制保障をもらっているのに、これでは話が違う」ということになります。更に、ビーガンがロシア専門家ということを考えると、ロシアの影響力を使おうというトランプ大統領の意図が感じられます。

 

 米朝交渉が停滞気味のまま、中間選挙ということになると、北朝鮮に対する弱腰(appeasement toward North Korea)という形での批判が起こり、共和党内部からもトランプ大統領に対する批判が出て来てしまう可能性が考えられます。そうなると選挙戦は難しくなってしまうということになってしまいます。ですから、それまでに何とか形だけでもなんとか進展のようなものが見えるようにしたいということだろうと考えられます。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「トランプ氏、北朝鮮の非核化進展遅れは中国のせいと」

BBC 20180831

https://www.bbc.com/japanese/45364594

 

ドナルド・トランプ米大統領は29日、北朝鮮の非核化に具体的進展が乏しいことについて、中国の責任だとツイッターで非難した。

 

トランプ氏は、「ホワイトハウスの声明」と大文字で題した上で、連続ツイートを投稿した。

 

「ドナルド・J・トランプは、北朝鮮が中国からとてつもない圧力を受けていると強く感じている。これは、我々と中国政府が大きく対立している貿易問題のせいだと考える。同時に、中国が北朝鮮に」

 

「資金や燃料、肥料その他の必需品を含め、相当な支援を提供していることを承知している。これは迷惑だ! それでもなお大統領は、金正恩氏と自分の関係はとても良好で温かいものだと考えており、現時点では」

 

「米韓合同軍事演習に大金を使う必要はないと考えている。それに大統領は、その気になればいつでもただちに韓国や日本との合同演習を再開できる。そうなったら、前よりもはるかに大規模なものになる。米中貿易やその他の」

 

「相違点については、いずれトランプ大統領と中国の偉大な習近平主席が解決する。2人の関係と絆は、いまだにとても強力だ」

 

大統領のツイートとは裏腹に、ジェイムズ・マティス米国防長官は28日、韓国との合同軍事演習を再開する見通しだと発言したばかり。マティス長官は、「最大規模の演習をいくつか延期したのは、シンガポール首脳会談後に誠意を示すためだったが、現時点ではこれ以上、演習を中止する予定はない」と説明した。北朝鮮は、米韓合同演習を「挑発的」だと異議を唱えておえり、6月の米朝首脳会談では米国側が一時中止に応じていた。

 

外交部の華春瑩報道官は、「問題解決のためには、米国は責任転嫁ではなく、自分自身を見つめるべきだ」と批判した。

 

6月にシンガポールで開いた米朝首脳会談では、北朝鮮が「朝鮮半島の完全非核化」に合意し、トランプ氏は「北朝鮮の核の脅威はなくなった」と宣言した。

 

しかしそれ以来、北朝鮮による核開発施設や発射台の解体は十分に進んでいない、核放棄は具体的に進展していないという専門家の指摘が相次いでいる。

 

トランプ氏の連続ツイートは、その責任はすべて中国にあると批判しつつも、北朝鮮の金氏だけでなく、中国の習主席も称賛し、個人的関係の良さを強調している。

 

批判と称賛と警告が分かりにくく混ざり合った大統領ツイートの背景には、歴史的な首脳会談に伴う具体的な成果を求める批判や圧力を政権が意識していることの表れともみられる。

 

=====

 

●「米国務長官「非核化前進見込めず」」

毎日新聞2018825 2229(最終更新 825 2229)

https://mainichi.jp/articles/20180826/k00/00m/030/118000c

 

 【ワシントン渋江千春、高本耕太】トランプ米大統領は24日、ポンペオ国務長官に対し、来週予定していた北朝鮮訪問を取りやめるよう指示したと、同日のツイッターで明らかにした。初の米朝首脳会談(6月12日)で合意した北朝鮮の非核化をめぐる米朝交渉が難航しており、ツイッターでも「現時点で大きな前進があるとは思えないため」と理由に掲げている。

 

 トランプ氏はこれまで集会などで北朝鮮との協議を「極めて順調に進んでいる」と繰り返し評価してきた。20日のロイター通信によるインタビューでも「北朝鮮が具体的な非核化措置を取っていると信じる」と述べていた。だが、この発言後も北朝鮮側から積極姿勢が示されなかったことから、評価を転換させ、不満を表明した。

 

 また、トランプ氏は24日のツイッターで、北朝鮮の後ろ盾である中国との貿易戦争にも言及し、「我々が貿易の分野で中国に強硬な姿勢をとっていることから、中国はかつてのように(北朝鮮の)非核化プロセスに協力していない」と非難した。

 

 今後のポンペオ氏の訪朝時期については、米中間の貿易関係が改善された後になる可能性が高いとも述べた。米中間の貿易戦争が泥沼化するなか、中国が北朝鮮への影響力を対米取引カードとして使う事態を避けたいという思惑も透けて見える。

 

 一方、トランプ氏は金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対しては敬意を示したうえで「近く会えることを楽しみにしている」と呼びかけ、2度目の米朝首脳会談に強い意欲を示した。

 

 ポンペオ氏は、北朝鮮訪問が実現していれば、訪朝後に日本や韓国を訪問し、河野太郎外相や康京和(カン・ギョンファ)外相とそれぞれ会談して訪朝結果を説明する方向で調整していた。

 

=====

 

●「米国務長官が来週訪朝=特別代表にフォード副社長」

 

8/24() 0:42配信 時事通信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180824-00000001-jij-n_ame

 

 【ワシントン時事】ポンペオ米国務長官は23日、北朝鮮を来週訪問すると明らかにした。

 

 また、米自動車大手フォード・モーターのスティーブン・ビーガン副社長を北朝鮮担当の特別代表に起用し、訪朝にも同行させると発表した。具体的進展が見られない北朝鮮の非核化で、事態打開を目指す。

 

 ポンペオ氏の北朝鮮訪問は7月以来で、中央情報局(CIA)長官時代を含め4回目。ポンペオ氏は記者団に「外交を通じて北朝鮮の脅威を解消することが、引き続きトランプ大統領の最優先課題だ」と述べ、交渉進展に意欲を示した。

 

 国務省のナウアート報道官は23日の記者会見で、ポンペオ氏と金正恩朝鮮労働党委員長との会談は現時点で予定されていないと述べた。ポンペオ氏は7月の前回訪問でも、正恩氏と会談していない。

 

 ビーガン氏は記者団に「(北朝鮮問題は)困難で容易に解決できるものではない。北朝鮮国民の平和な未来を実現するため、可能なあらゆる機会を捉えなければならない」と語った。

 

 ビーガン氏はブッシュ(子)政権時代の200103年、当時のライス大統領補佐官(国家安全保障担当)の上級スタッフを務めた。マクマスター前大統領補佐官の辞任が取り沙汰された際、後任候補として名前が挙がったこともある。 

 

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 古村治彦です。

 

 今回は北極海航路に中国が進出するという内容の記事をご紹介します。

 

 中国は現在、ユーラシア大陸を横断する一帯一路計画を推進しています。また、地中海からインド洋を通っての航路にも多額の投資をしています。そして、現在は地中海から北海などを経由して北極海を通る航路にも多額の投資をしているということです。


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 私は北極海航路が出来そうだという話を聞いたときに、ある人と地図を見ながら、中国が地中海沿岸やヨーロッパ各地の港湾に多額の投資をしているのは、北極海航路を使うためではないだろうかと話をしていたことを思い出します。話をしていた人は、「しかし、ロシアがうるさいから難しいんじゃないの」と言っていましたが、中国は金の力でロシアを黙らせているのではないかと思われます。


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 北極の氷が融け、船舶の航行可能な海面が拡大しつつあるそうです。ここはこれまで船舶が通れなかったわけですから、ここでの航路は出来立てほやほやで、誰が主導権を握っているという訳ではないようです。もちろんロシアが主導権を握るのだろうということは予測されますが、北極圏に中国が進出を図っているそうです。

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2019年就役予定の砕氷船「雪竜2」の模型 

 北極海航路は南廻り航路に比べて2週間近く短い期間で中国とヨーロッパをつなぐことが出来る上に、アメリカ海軍の存在もなく、中国にとっては国家安全保障上、自分たちが有利な立場となる航路ができることになります。米中間での紡績戦争の懸念が高まる中、中国の「ユーラシア大陸・アフリカ大陸のブロック化」の一環が北極海航路推進だと思われます。

 

 アメリカや日本が国全体がシュリンクし、縮んでいくのに代わり、中国がこれから世界に進出していくことになります。北極海、北極圏はその最前線ということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

氷が溶けつつある北極海に資金を投入する準備が出来ている中国(China’s Ready to Cash In on a Melting Arctic

―中国政府は北極圏シルクロード建設の大計画を持っている

 

シェリー・ゴードン、エリザベス・フレッセ筆

2018年5月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2018/05/01/chinas-ready-to-cash-in-on-a-melting-arctic/

 

最近の議会証言で、海軍長官リチャード・スペンサーは、今年の夏に発表される予定のアメリカ海軍の新たな北極海戦略は北極圏の氷が溶けていることが原因であることに言及し、最後に「忌々しい奴らが溶けたのです」と述べた。アメリカ海軍が16年間の計画を発表してから、新たな計画を発表したのはそのわずか4年後のこととなった。その理由の一つは北極圏の氷が後退したことで、結果として「新たな交易路、新たな資源の発見、大陸間の地図の書き換え」が発生することとなった。また、アメリカが新たな計画を発表する理由としては、「北極圏に利害関係を持つ存在」として中国が登場し、重要な役割を果たしていることも挙げられる。

 

中国は最近、北極海に関する新たな白書を発表した。この白書はアメリカ海軍が新たな北極海戦略を発表する3カ月前に発表されたものだ。この白書では「北極圏シルクロード(Polar Silk Road)」が標榜されている。これは、習近平国家主席が頻繁に使う「一帯一路計画」をなぞったものだ。一帯一路計画は中国の外交政策の基本となっている。北極圏シルクロードとは氷のない北極圏に新たな航路を設定し、その航路は中国の貿易が独占的に使用し、中国の世界に向けた野心を実現しようというものだ。

 

中国は既に北極海協議会にオブザーヴァ―として既に参加し、「北極圏に近い」国家として、北極海進出の野心を持っている。しかし、中国の北極圏政策は、 中国を「北極圏に近い」国家から「北極圏に利害関係を持つ」国にしようというものだ。これはあくまで自称ではある。「利害関係を持つ国」になると、地域における権益と責任が増大する。このような変化は、将来のアメリカの北極圏政策に影響を与えることになる。

 

中国は北極海に対する野心を持っている。その中には、北極圏シルクロードを通る貿易ルートを構築すること、北極海沿岸諸国への対外直接投資を拡大すること、戦略的に科学的研究を実施することが含まれる。中国は、北極海における気候変動のインパクトが近い将来に中国の国内問題になると認識している。

 

ある研究者は「北極圏の氷が溶けることで、次の世紀では中国の沿岸部に大規模な浸水が発生するだろう。そうなれば2000万人の人が移動を余儀なくされる。農業生産高が減少するのは言うまでもないことだ」と述べている。北極圏の氷が溶けることは、中国の「責任ある世界の強大国」になるという野心に影響を与える。現在のアメリカのトランプ政権が放棄している気候変動への対処におけるリーダーシップを取ることで世界の大国となれる。

 

中国が想定している北極圏のシルクロードはまずヨーロッパの北海ルートから始まり、海上の有料道路のようなロシア沿岸を進み、北極海に到達する。北極海ルートを通っての中国からヨーロッパへ海上輸送経路は一年のうちで氷が溶ける数カ月かだけで利用可能となるだろう。このルートだと、スエズ運河とマラッカ海峡を通る現在のルートに比べて15日間の時間短縮となる。そして、このルートは、アメリカ海軍が存在しないルートである。

 

長期的には、中国は北極点の近くを通る「極地横断航路」を使えると予想している。これから数十年で北極の氷が溶けることで極地横断が出来ると考えられる。この航路の距離はより短くなる。この極地横断航路は毎年数か月間利用できるようになる。これによって、中国の輸出入にかかる日数を短縮し、燃料費を削減することができる。それだけでなく、ロシアがコントロールする水域を通らなくて済むことになる。大連大学極地海域研究センター所長リー・ゼンフーは「北極圏航路をコントロールする主体が世界経済の新しい道筋と国際的な戦略をコントロールすることになる」と述べている。中国は北極圏において経済的な大国として存在している。中国は直接的な存在として、そして北極海における利害関係を持つ存在して間接的な影響力を発揮している。アメリカはこの新しい航路で敗北したくなければ、影響力と役割を増大させる必要がある。

 

中国は資源開発と港湾開発への投資を増加させることで北極圏での存在感を高めている。現在のところ、中国は石油と天然ガスの輸入をペルシア湾とアフリカに依存している。石油と天然ガスの輸送は、アメリカ海軍が監視している戦略上の重要地点をいくつも通過しなければならない。しかし、中国はロシアのヤマル液化天然ガスプラント、ノルウェー国内の油田や天然ガス田に投資をすることで、エネルギー資源の多様化を実行している。ロシアやノルウェーへの投資によって、中国は天然資源の新たな供給源を開発するだけではなく、自国にとって重要な物資の輸送路となるであろう北極圏におけるインフラ整備の経験を積むことになる。同様の理由で、中国は現在、アラスカ、カナダ、ノルウェーでの石油と天然ガス分野での投資の機会を窺っている。また、北欧の北極圏地域における天然資源や港湾整備への投資も増大させている。

 

北極圏における中国のパートナーとなっているのは、北極圏協議会に加盟する5つの北ヨーロッパの国々だ。具体的には、アイスランド。デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドだ。それぞれの国は自国の北極圏開発計画のための資金援助を必要としている。アイスランドとグリーンランドは中国の海外直接投資の目的地となっている。アイスランドは中国の存在に対して複雑な対応を示している。アイスランドは中国からの地熱科学研究分野の投資を歓迎し、アイスランドに深海港を建設することに中国が支援を行うことについて話し合いを行っている。しかし、中国企業が観光関連で土地を購入することをアイスランド政府は拒絶している。グリーンランドの雪と氷が融けるにつれて、中国はグリーンランドにおける港湾開発とレアメタル開発に投資を行っている。レアメタルは中国の巨大な製造業にとって必要不可欠なものである。フィンランドと中国はデータ版の「シルクロード」創設に同意した。このデータ版「シルクロード」は北極圏とアジア地域の市場をつなぐことを目指している。

 

中国の北極圏における野望の最後の部品となるのは、科学の戦略的な利用だ。中国はノルウェーの北極圏地方にあるスヴァルバード列島に多くの科学者を送り込んでいる。この場所は国際的に認められた非武装地帯であり、全ての国家に科学者を送り込む権利が認められている。そのほかの場所にも多くの中国人科学者が送り込まれている。1984年以降、30を超える北極圏における大規模調査と探検が行われてきた。そして、北極圏における研究と航路開発の野望のために、中国は現在、次期砕氷船を建造中である。「雪竜(シューロン)2」は2019年に就役する予定だ。アメリカは次の大型砕氷船の建造を計画中であり、実際の建造は2020年に開始される。中国は北極圏の気候と天候を観測するために多くの衛星を打ち上げている。その中には2017年に打ち上げられたFY-3Dも含まれている。この衛星は、アメリカの共同極地監視衛星システム1号機の打ち上げの3か前に打ち上げられたものだ。中国は北極圏における科学分野の外交を推進している。一方、アメリカは、アメリカ海洋大気庁の極地衛星プログラムと「ポーラー・フォロー・オン」プログラムを統合し、予算を20%削減しようとしている。

 

中国の北極圏における影響力は、経済的な目標と科学を使った外交が協力して得られたものである。中国極地研究所は、2020年までに中国の輸出入の5%から15%が北極海航路を通して行われるようになると推定している。そして、この数字は、北極海航路へのアクセスを確保することを目的に北極圏における利害関係国との関係を良好なものとすることで、更に大きくなる。中国は極地研究の増加と天然資源開発を通じて科学研究を使った外交を推進する。そして、これからの15年間でのこの地域での漁獲量を維持することに合意することで、中国の存在感は更に重要度を増す。

 

このような状況はユーラシア大陸を横断する一帯一路計画に沿って中国の存在が高まっている状況と同じだ。一帯一路計画は二国間による合意や外交を基礎にしている。外交を通じた一帯一路計画の推進によって中国は協力する各国の天然資源を利用し、中国の経済成長に伴う環境へのインパクトを外国に逸らし、中国企業や中国の技術が利益を生む機会を確保することができる。中国の北極圏計画にはより多くの国々が参加し、交易ルートを確保し、北極圏における中国の利益を推進している。一方、アメリカは北極圏で変化しつつある地政学的な状況に対応する必要がある。アメリカ海軍と他の政府機関の北極海に対する戦略を改善し、北極圏における科学的、人的、商業的投資を行うべきだ。北極圏はアメリカにとって次の技術革新の最前線となる。アメリカは科学的、技術的能力と利用して北極圏とアメリカをつなげるようにすべきだ。アメリカは、通信技術と輸送を通じて北極圏に進出すべきだ。アメリカは北極圏に存在する同盟諸国にとっての重要なパートナーとなるようにすべきだ。

 

(終わり)


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金儲けの精神をユダヤ思想に学ぶ (祥伝社新書)

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今の巨大中国は日本が作った


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真実の西郷隆盛
 

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迫りくる大暴落と戦争〝刺激〟経済
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 古村治彦です。

 

 北朝鮮の金正恩労働党委員長の訪中に関しての最重要の言葉は「非核化(denuclearization)」でした。私たちはこの「非核化」という言葉を聞いて、「北朝鮮が核兵器を放棄することだな」と考えますが、ここで気をつけねばならないことがあります。それは、金正恩が「朝鮮半島の非核化(denuclearization on Korean Peninsula)」という言葉を使ったことです。

 

 現在、朝鮮半島は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と韓国(大韓民国)に分かれています。韓国は核兵器を保有していません。韓国駐留アメリカ軍は冷戦期、核兵器を配備していましたが(アメリカ政府は核兵器配備を公式に肯定も否定もしなかった)、1991年に当時のジョージ・H・ブッシュ大統領が核兵器を引き上げたことで、韓国国内には核兵器は存在しません。2017年になってアメリカ政府は韓国国内の駐留米軍基地に核兵器を再配備することを検討しましたが、実現には至っていないようです。

 

 ですから、韓国にはないのだから、「朝鮮半島の非核化」ということは、北朝鮮国内の核兵器の廃棄ということになります。しかし、金正恩が述べている「朝鮮半島の非核化」は、アメリカが核の傘で韓国を守ること、駐留米軍を撤退させることも含まれた概念ということになります。金正恩は「故金日成国家主席と故金正日総書記の遺志に従って朝鮮半島の非核化に努力する」と述べました。「祖父の代から準備して、親父の代に加速して、自分で核兵器を作っておいて非核化とはおこがましい、何を言っているんだ」と私は思いました。

 

 しかし、金一族の考えからすれば、韓国が先に「核武装化化(アメリカ軍が核兵器を配備しアメリカの核の傘に入った)」して現在もその状態は続いている、私たちは後発で自力で核兵器を保有するに至った、だから、朝鮮半島の非核化というのは、北朝鮮が核兵器を廃棄することと、アメリカ軍が撤退することなのだ、ということになります。

 

 アメリカは、北朝鮮の核兵器に関して、前提条件なしで完全な廃棄を求めています。経済援助といったものも認めないでしょう。米朝首脳会談が実現して、金正恩がドナルド・トランプ大統領に対して、こんな廻りくどい「朝鮮半島の非核化」の話をしても、「うるさい、お前は核兵器を捨てるのか、捨てないのかどっちだ」と一喝されて終わりになるかもしれません。

 

 しかし、トランプ大統領は「韓国駐留米軍はアメリカにとって負担になっている」とも述べました(2018年3月31日付読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/world/20180330-OYT1T50081.html?from=ytop_main3)。北朝鮮が核兵器を完全に放棄し、それを中国が担保し、中国がきちんと北朝鮮を管理できるならば、在韓米軍の撤退ということもあり得ます。

 

 北朝鮮国内では金正恩が「朝鮮半島の非核化」について語ったという報道話されていないということです。北朝鮮が核兵器を放棄し、アメリカが韓国から撤退ということが実現された場合、北朝鮮国内で故金日成国家主席以来の念願を孫である金正恩委員長が実現させたというような報道がなされて、金正恩支配の正統性を増すような動きが活発になるでしょう。

 

 かなり飛躍した推測になりますが、トランプ大統領の在韓米軍に関する発言は、中国政府や習近平からのかなり詳しい報告とそれに関する分析がなされての発言ではないかと思います。これについて2つの解釈が成り立つと私は考えます。一つは金正恩の朝鮮半島の非核化について、中国に責任を分担させることを条件にして受け入れ、これを機会に在韓米軍を撤退させようとしている、というものです。もう一つは、金正恩の朝鮮半島の非核化という考えを受け入れた姿勢を見せながら、実際の米朝首脳会談で、「韓国には核兵器は1発もないのだから、朝鮮半島の非核化というのは北朝鮮の核兵器廃棄しかありえない、その他のごちゃごちゃした解釈は認めない」と肘鉄を食らわせて、屈服させる、もし屈服しないなら、約束違反、朝鮮半島の非核化に努力していないのは北朝鮮だとして攻撃する理由とする、というものです。

 

 4月末に南北首脳会談もありますが、この時まで北朝鮮、中国、ロシア、アメリカ、韓国がどのように動いていくかを注視する必要があります。日本は残念ながら主要な登場人物とはなれません。お金が必要な時に呼ばれるだろうとは思いますが。

 

=====

 

・現在の北朝鮮をめぐる外交は伝言ゲーム(game of telephone)をしているかのようだ。

・韓国大統領特使が平壌で金正恩と夕食を共にし、その後ワシントンDCに向かった。韓国大統領特使は金正恩の「非核化」に関する交渉を行いたいという希望をアメリカに伝えた。トランプ大統領は今年の春に金正恩と会談を持つことに同意した。これを受けて金正恩は今週になって列車で北京に向かい、中国の習近平国家主席と会談を持った。習近平はトランプに金正恩訪中の最新情報を伝えた。トランプ大統領はツイートで、「中朝首脳会談はうまくいき、金正恩は私との会談を楽しみにしていると聞いた」と述べた。

 

・北朝鮮自体は沈黙を守っていた。

・朝鮮中央通信は金正恩の訪中と韓国との対話などは伝えたが、北朝鮮の非核化への努力については報じなかった。

 

・金正恩の非核化の約束は二次的な手段で伝えられた。中国国営新華社通信が報じたものしかない。新華社通信は金正恩の2つの発言を引用している。

・一つ目は核兵器プログラムについての金正恩の立場は父親と祖父の遺志に沿ったものだという発言。

・二つ目は朝鮮半島の非核化の問題は、韓国とアメリカが善意を持って北朝鮮の努力に応えること、平和を実現するための進歩的で同僚的な方法を採る間は平和と安定の雰囲気を作ることで、朝鮮半島の非核化の問題は解決可能となる、という発言。

 

CIAの元朝鮮半島担当分析官でCSIS上級研究員スー・ミ・テリーの分析は次の通り。

・金正恩が北朝鮮から核兵器を除去すると発言せず、「朝鮮半島の非核化」という言葉を使ったことが重要だ。「朝鮮半島の非核化」という枠組み提示は金政権にとっては「新しいものではない」。

・北朝鮮はこれまで安全保障のために、朝鮮戦争を完全終結させるための平和条約締結、韓国からの米軍の撤退、米韓軍事同盟の終結(アメリカの核の傘による韓国の防衛の終結)を求めてきた。

・韓国が核兵器を保有していないのに朝鮮半島の非核化という話になるのはこのためだ。

 

・北京訪問中、金正恩は安全保障に関する保証について言及しなかった。テリーはこの点について北朝鮮からの更なる報道を待ちたいとしている。

・北朝鮮は核兵器プログラム廃棄と引き換えでアメリカが韓国を見捨てること(アメリカ軍の撤退)以上のことは求めていない。

 

・韓国とアメリカからの譲歩があれば、韓国とアメリカから「善意、好意」を示すこと、「平和の雰囲気」を作り出すこと、「同調的な方法」を取ることでのみ非核化が進むと金正恩は述べたとテリーは分析している。

・韓国とアメリカからの譲歩とはトランプ政権が北朝鮮に科した国際的な経済制裁の緩和である。

 

・「たくさんのことが話されたが“明確”になったことは何もない」とテリーは述べた。

・北朝鮮は核兵器プログラムを放棄する用意があるとはなっていない。北朝鮮はいつでも撤退できるように保険を掛けた言葉遣いをしている。

・北朝鮮は核実験とミサイル実験を停止しアメリカと核兵器に関して直接交渉するという戦術に変更した。

・アメリカの経済面での圧力と軍事力の脅威によって金正恩が「動揺」し、「時間を稼ぐ」ために緊急的な動きを見せた。しかし、これらが戦略上の大転換であることを示す兆候はない。

 

・トランプは何かを話すときでも彼が本当に考えていることは明確にしない。

・トランプはアメリカ本土に直接届く長距離ミサイルに核弾頭を乗せて飛ばす能力を北朝鮮が持つことを明確に拒絶している。

・マイク・ポンぺオ(次期国務長官)を含むトランプ大統領の補佐官たちはより強硬な路線を主張している。それはこれまである国一国(南アフリカ)だけが成し遂げたことだ。それは、開発した核兵器を「完全に、証明付きで、再開できないような形」で放棄するということだ。

 

・トランプが大統領国家安全保障問題担当補佐官に指名するほんの数日前、ジョン・ボルトンは、「金正恩が核兵器プログラムを放棄し、それをアメリカに確約するという、2004年のリビアの行ったことをやらなければ、トランプは交渉をすぐに打ち切り、北朝鮮の核兵器が世界に脅威を与える前に核兵器プログラムを消滅させるために軍事力行使を真剣に考えるべきだ」と述べた。

・ボルトンは北朝鮮に経済援助を与えるべきではないとも述べた。北朝鮮は数十年に渡り経済援助を手にしつつ、核開発を止めなかった。また、金正恩との間で平和条約を蒸すムベキではないともしている。

・予備的な力を残したままの北朝鮮を信用できないとボルトンは述べた。

 

・金正恩が訪中で語った言葉が示しているのは、北朝鮮とアメリカとの間で、「非核化」という言葉についての定義がかけ離れているということだ。

 

(貼り付けはじめ)

 

What Does 'Denuclearization' Mean to Kim Jong Un?

A close reading of what the Korean leader reportedly told Xi Jinping in Beijing

 

URI FRIEDMAN 5:29 PM ET   GLOBAL

https://www.theatlantic.com/international/archive/2018/03/kim-jong-un-china-xi-jinping-train-nuclear-trump-summit/556679/?utm_source=atltw

 

One of the oddest things about the current flurry of diplomacy with North Korea is that it has played out like a game of telephone: South Korean officials dined with Kim Jong Un in Pyongyang and then flew to Washington, D.C., bearing a message that Kim was willing to discuss “denuclearization,” which inspired Donald Trump to agree to an unprecedented summit this spring with the North Korean leader, which motivated the North Korean leader to hop on a train to Beijing this week, which prompted Chinese President Xi Jinping to update Trump on how the visit went, which led the American president to tweet this morning that he’d heard the meeting “went very well and that KIM looks forward to his meeting with me.”

 

Through it all, North Korea itself has remained conspicuously silent, at least in public. Hopes for a resolution to the North Korean nuclear crisis have thus largely been pinned on a stream of whispers. As of this writing, the North’s state-run Korean Central News Agency features news of Kim’s trip to China and dialogue with South Korea, of the issuing of tea-themed postage stamps, and the invention of a fancy new “automatic meteorological observation device,” but no mention of any North Korean commitments to denuclearization.

 

Kim’s promises this week were conveyed second-hand through a report from China’s state-run news agency Xinhua, which includes two direct quotes from Kim Jong Un. In the first, he stated that his position on his nation’s nuclear-weapons program is in line with that of his father and grandfather: “It is our consistent stand to be committed to denuclearization on the peninsula, in accordance with the will of late President Kim Il Sung and late General Secretary Kim Jong Il.” In the second, he declared that the “issue of denuclearization of the Korean peninsula can be resolved, if South Korea and the United States respond to our efforts with goodwill, create an atmosphere of peace and stability while taking progressive and synchronous measures for the realization of peace.”

 

For a guided reading of Kim’s rare public remarks, I turned to Sue Mi Terry, a former Korea analyst at the CIA who is now a senior fellow at the Center for Strategic and International Studies. She said it’s significant that Kim spoke not of removing nuclear weapons from North Korea, but rather of the “denuclearization of the Korean peninsula,” as a whole. That formulation by the Kim government is “not new,” Terry told me, and has been accompanied in the past with demands for measures to preserve the regime’s security such as the signing of a peace treaty to finally end the Korean War, the withdrawal of U.S. troops from South Korea, and the end of the U.S.-South Korean military alliance, which in turn would terminate the protection the United States extends to South Korea through its nuclear weapons. Hence, talk of a nuclear-free peninsula despite the fact South Korea doesn’t have nuclear weapons. (In this respect, Kim was right to assert that he was simply echoing the policies of his father, who was also quoted by Chinese media as committing to the denuclearization of the peninsula even as he persisted in developing the nation’s nuclear-weapons arsenal.)

 

While it’s notable that Kim didn’t specifically reference security guarantees during his trip to Beijing, Terry said she’d need to see more statements from North Korea, and not just a one-off quote filtered through the censored Chinese press, to conclude that the North is now willing to trade away its nuclear program for anything less than the United States abandoning South Korea.

 

Terry interpreted Kim’s call for South Korea and the United States to exhibit “goodwill,” establish an “atmosphere of peace,” and take “synchronous measures” as a suggestion that he would only move towards denuclearization in response to concessions from both South Korea and the United States—specifically, relief from the severe international sanctions that the Trump administration has imposed on North Korea. 

 

 There’s a lot there” and none of it is particularly “revelatory,” Terry said. It’s not “North Korea is willing to give up its nuclear-weapons program.” Instead, it’s hedged language that the North can always retreat from. North Korea has shifted tactics in pausing its nuclear and missile testing and agreeing to direct nuclear talks with the United States, perhaps because U.S. economic pressure and threats of military force “spooked” Kim and made him scramble to “buy time,” Terry explained. But there aren’t strong signs yet of a strategic shift.

 

Trump also hasn’t clarified what he has in mind when he speaks, as he did on Wednesday, of “peace and the denuclearization of the Korean peninsula.” So far, he has focused on denying North Korea the capability of placing nuclear warheads on long-range missiles that can reach the United States. But his advisers, including Mike Pompeo, the man slated to become his next secretary of state, have staked out an even harder line, insisting that North Korea do what only one other country in history has done before: give up nuclear weapons it developed in a manner that is “complete, verifiable, and irreversible.”

 

Just days before being named Trump’s new national-security adviser, John Bolton said that if Kim Jong Un isn’t willing to relinquish his entire nuclear program and ship it off to the United States, the way Libya did with its far less advanced program in 2004, Trump should immediately end the negotiations and seriously consider using military force to eliminate North Korea’s nuclear weapons before they can threaten the world. He argued that the United States should not provide economic assistance, which North Korea has pocketed for decades without ceasing its nuclear activities, and certainly not sign a peace treaty with Kim. (Trump has at times seemed more willing to withdraw U.S. military support to South Korea.) The North Koreans are “lucky to have a meeting with the president of the United States,” he said. “Are we content with a resolution of this crisis that leaves North Korea with the technology to have nuclear weapons?” Bolton asked Larry Kudlow, Trump’s incoming director of the National Economic Council, during a radio interview in August. “I wouldn’t trust the North Koreans with a spare electron.”

 

There would, of course, be nothing to negotiate if negotiations began with the parties in perfect agreement about what they wanted out of the talks. But what Kim Jong Un’s comments in China this week indicated is just how far apart North Korea and the United States are on the definition of one hugely consequential word: “denuclearization.”

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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