古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ロシア

 古村治彦です。

 

 今年の6月に米朝首脳会談が行われ、共同宣言が出されました。「これで、北朝鮮はすぐに核兵器を放棄する、良かった良かった、金正恩もドナルド・トランプもいい人じゃん」という雰囲気が醸成されました。これ以降、どのような進展があったのか、よく分からない状況です。北朝鮮が積極的に核兵器放棄に向けた動きを行っているようには見えません。

 

 マイク・ポンぺオ国務長官が4度目の訪朝をするという発表がなされました。アメリカという国家のこれほどの高官がこのような短期間でこれほどの頻度で北朝鮮を訪問するというのは異例なことでした。しかし、直前になって、トランプ大統領がポンぺオ長官の訪朝を中止させました。

 

 トランプ大統領は北朝鮮との交渉が進展しておらず、それは中国の責任だというツイートをしています。しかし、これは、6月の米朝首脳会談と共同宣言を発表した時点で、中国が北朝鮮への制裁を骨抜きにすることは容易に予想が出来たことで、もしトランプ大統領がそのことを今頃になって怒っているということであれば、それはトランプ大統領の不明ということになります。

 

 ですから、トランプ大統領の中国に対する発言は、中国に対して北朝鮮に対してもっと強く影響力を行使して、とりあえず、核兵器関連を急速に解決できる方向に勧めて欲しいという意図があると考えられます。中国を批判しているように見せながら、何とかならないかとお願いというか、依頼、説得をしているということだと思います。中国がこれでどう動くかが注目されます。

 

ポンぺオ国務長官は、幻と終った訪朝発表の際に、スティーヴン・ビーガン(Stephen Biegun)という人物を特別代表に任命して、帯同させると発表しました。これからビーガンがアメリカの対北朝鮮交渉で重要な役割を果たすことになるという意味の発表でした。

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スティーヴン・ビーガン

 

 ビーガン(1963年生まれ)は、自動車メーカー大手のフォード社の外国政府担当副社長を務めています。ですが、政府機関で仕事をしていた時期が長い人物です。1984年にミシガン大学を卒業、専攻はロシア語と政治学だったそうです。その後、1992年から1994年まで国際共和研究所(International Republican InstituteIRI)のロシア駐在部長を務めました。IRIは共和党系のNGOで、はっきり言えば、世界各国で民主化(democratization)を進めるため、NGOの外見を持った準政府機関です。民主党系には全米民主研究所(National Democratic InstituteNDI)というNGOがあります。

 

 IRINDIに資金を提供しているのは、こちらもNGOの外見を持っているが、実質的にはアメリカ連邦議会から資金を提供されている、全米民主政治体制のための基金(National Endowment for DemocracyNED)です。NEDIRINDIはアメリカの介入主義のための準政府機関です。このことについては、拙著『アメリカ政治の秘密』(2012年、PHP研究所)で取り上げています。ビーガンは「非民主国家の民主化(democratization of nondemocratic states)」のための人材ということになります。

 

 その後、連邦下院外交委員会のスタッフ(海外援助予算、貿易政策、ヨーロッパ担当)、連邦上院外交委員会のスタッフ(1994-1998年)、首席スタッフ(1999-2000年)、を務めました。共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領(在任:2001-2009年)が誕生すると、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)事務総長(2001-2003年)、国家安全保障問題担当大統領補佐官コンドリーザ・ライスの上級スタッフを務めました。ホワイトハウスでは国家安全保障会議の運営を取り仕切っていたそうです。

 

 その後は、連邦上院議員で共和党連邦上院院内総務を務めた、重鎮ビル・ファーストの国家安全保障問題担当アドヴァイザーを務め、フォード社の副社長に就任しました。ビーガンはアジアの専門家でもなく、国家安全保障問題を中心に活動してきたことを考えると、今回の人事は不思議な感じがします。

 

 北朝鮮担当特別代表にはこれまで、韓国系、アジア系の人物が就いていました。今回ロシア専門家が就任したということは、北朝鮮問題をアジア系の人々の手から離して、新たな道筋を探そうとしているのではないかと考えられます。そして、ロシアを引き入れて、中国の北朝鮮に対する影響力を減少させ、相対的にアメリカの影響力を増大させようという考えがあるのではないかと思います。

 

 更に言うと、ビーガンの前歴を考えると、ビーガンの特別代表就任は北朝鮮に対する圧力とも考えられます。これまでのように甘やかして下手(したて)には出ない、北朝鮮問題を国家安全保障上の専門家であり、かつ、非民主国家の民主化の専門家が、北朝鮮を国家安全保障上の問題として捉え、民主化のアプローチから交渉の場に立つ、というのは、北朝鮮からすれば「体制保障をもらっているのに、これでは話が違う」ということになります。更に、ビーガンがロシア専門家ということを考えると、ロシアの影響力を使おうというトランプ大統領の意図が感じられます。

 

 米朝交渉が停滞気味のまま、中間選挙ということになると、北朝鮮に対する弱腰(appeasement toward North Korea)という形での批判が起こり、共和党内部からもトランプ大統領に対する批判が出て来てしまう可能性が考えられます。そうなると選挙戦は難しくなってしまうということになってしまいます。ですから、それまでに何とか形だけでもなんとか進展のようなものが見えるようにしたいということだろうと考えられます。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「トランプ氏、北朝鮮の非核化進展遅れは中国のせいと」

BBC 20180831

https://www.bbc.com/japanese/45364594

 

ドナルド・トランプ米大統領は29日、北朝鮮の非核化に具体的進展が乏しいことについて、中国の責任だとツイッターで非難した。

 

トランプ氏は、「ホワイトハウスの声明」と大文字で題した上で、連続ツイートを投稿した。

 

「ドナルド・J・トランプは、北朝鮮が中国からとてつもない圧力を受けていると強く感じている。これは、我々と中国政府が大きく対立している貿易問題のせいだと考える。同時に、中国が北朝鮮に」

 

「資金や燃料、肥料その他の必需品を含め、相当な支援を提供していることを承知している。これは迷惑だ! それでもなお大統領は、金正恩氏と自分の関係はとても良好で温かいものだと考えており、現時点では」

 

「米韓合同軍事演習に大金を使う必要はないと考えている。それに大統領は、その気になればいつでもただちに韓国や日本との合同演習を再開できる。そうなったら、前よりもはるかに大規模なものになる。米中貿易やその他の」

 

「相違点については、いずれトランプ大統領と中国の偉大な習近平主席が解決する。2人の関係と絆は、いまだにとても強力だ」

 

大統領のツイートとは裏腹に、ジェイムズ・マティス米国防長官は28日、韓国との合同軍事演習を再開する見通しだと発言したばかり。マティス長官は、「最大規模の演習をいくつか延期したのは、シンガポール首脳会談後に誠意を示すためだったが、現時点ではこれ以上、演習を中止する予定はない」と説明した。北朝鮮は、米韓合同演習を「挑発的」だと異議を唱えておえり、6月の米朝首脳会談では米国側が一時中止に応じていた。

 

外交部の華春瑩報道官は、「問題解決のためには、米国は責任転嫁ではなく、自分自身を見つめるべきだ」と批判した。

 

6月にシンガポールで開いた米朝首脳会談では、北朝鮮が「朝鮮半島の完全非核化」に合意し、トランプ氏は「北朝鮮の核の脅威はなくなった」と宣言した。

 

しかしそれ以来、北朝鮮による核開発施設や発射台の解体は十分に進んでいない、核放棄は具体的に進展していないという専門家の指摘が相次いでいる。

 

トランプ氏の連続ツイートは、その責任はすべて中国にあると批判しつつも、北朝鮮の金氏だけでなく、中国の習主席も称賛し、個人的関係の良さを強調している。

 

批判と称賛と警告が分かりにくく混ざり合った大統領ツイートの背景には、歴史的な首脳会談に伴う具体的な成果を求める批判や圧力を政権が意識していることの表れともみられる。

 

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●「米国務長官「非核化前進見込めず」」

毎日新聞2018825 2229(最終更新 825 2229)

https://mainichi.jp/articles/20180826/k00/00m/030/118000c

 

 【ワシントン渋江千春、高本耕太】トランプ米大統領は24日、ポンペオ国務長官に対し、来週予定していた北朝鮮訪問を取りやめるよう指示したと、同日のツイッターで明らかにした。初の米朝首脳会談(6月12日)で合意した北朝鮮の非核化をめぐる米朝交渉が難航しており、ツイッターでも「現時点で大きな前進があるとは思えないため」と理由に掲げている。

 

 トランプ氏はこれまで集会などで北朝鮮との協議を「極めて順調に進んでいる」と繰り返し評価してきた。20日のロイター通信によるインタビューでも「北朝鮮が具体的な非核化措置を取っていると信じる」と述べていた。だが、この発言後も北朝鮮側から積極姿勢が示されなかったことから、評価を転換させ、不満を表明した。

 

 また、トランプ氏は24日のツイッターで、北朝鮮の後ろ盾である中国との貿易戦争にも言及し、「我々が貿易の分野で中国に強硬な姿勢をとっていることから、中国はかつてのように(北朝鮮の)非核化プロセスに協力していない」と非難した。

 

 今後のポンペオ氏の訪朝時期については、米中間の貿易関係が改善された後になる可能性が高いとも述べた。米中間の貿易戦争が泥沼化するなか、中国が北朝鮮への影響力を対米取引カードとして使う事態を避けたいという思惑も透けて見える。

 

 一方、トランプ氏は金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対しては敬意を示したうえで「近く会えることを楽しみにしている」と呼びかけ、2度目の米朝首脳会談に強い意欲を示した。

 

 ポンペオ氏は、北朝鮮訪問が実現していれば、訪朝後に日本や韓国を訪問し、河野太郎外相や康京和(カン・ギョンファ)外相とそれぞれ会談して訪朝結果を説明する方向で調整していた。

 

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●「米国務長官が来週訪朝=特別代表にフォード副社長」

 

8/24() 0:42配信 時事通信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180824-00000001-jij-n_ame

 

 【ワシントン時事】ポンペオ米国務長官は23日、北朝鮮を来週訪問すると明らかにした。

 

 また、米自動車大手フォード・モーターのスティーブン・ビーガン副社長を北朝鮮担当の特別代表に起用し、訪朝にも同行させると発表した。具体的進展が見られない北朝鮮の非核化で、事態打開を目指す。

 

 ポンペオ氏の北朝鮮訪問は7月以来で、中央情報局(CIA)長官時代を含め4回目。ポンペオ氏は記者団に「外交を通じて北朝鮮の脅威を解消することが、引き続きトランプ大統領の最優先課題だ」と述べ、交渉進展に意欲を示した。

 

 国務省のナウアート報道官は23日の記者会見で、ポンペオ氏と金正恩朝鮮労働党委員長との会談は現時点で予定されていないと述べた。ポンペオ氏は7月の前回訪問でも、正恩氏と会談していない。

 

 ビーガン氏は記者団に「(北朝鮮問題は)困難で容易に解決できるものではない。北朝鮮国民の平和な未来を実現するため、可能なあらゆる機会を捉えなければならない」と語った。

 

 ビーガン氏はブッシュ(子)政権時代の200103年、当時のライス大統領補佐官(国家安全保障担当)の上級スタッフを務めた。マクマスター前大統領補佐官の辞任が取り沙汰された際、後任候補として名前が挙がったこともある。 

 

(貼り付け終わり)


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(終わり)

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 古村治彦です。

 

 今回は北極海航路に中国が進出するという内容の記事をご紹介します。

 

 中国は現在、ユーラシア大陸を横断する一帯一路計画を推進しています。また、地中海からインド洋を通っての航路にも多額の投資をしています。そして、現在は地中海から北海などを経由して北極海を通る航路にも多額の投資をしているということです。


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 私は北極海航路が出来そうだという話を聞いたときに、ある人と地図を見ながら、中国が地中海沿岸やヨーロッパ各地の港湾に多額の投資をしているのは、北極海航路を使うためではないだろうかと話をしていたことを思い出します。話をしていた人は、「しかし、ロシアがうるさいから難しいんじゃないの」と言っていましたが、中国は金の力でロシアを黙らせているのではないかと思われます。


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 北極の氷が融け、船舶の航行可能な海面が拡大しつつあるそうです。ここはこれまで船舶が通れなかったわけですから、ここでの航路は出来立てほやほやで、誰が主導権を握っているという訳ではないようです。もちろんロシアが主導権を握るのだろうということは予測されますが、北極圏に中国が進出を図っているそうです。

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2019年就役予定の砕氷船「雪竜2」の模型 

 北極海航路は南廻り航路に比べて2週間近く短い期間で中国とヨーロッパをつなぐことが出来る上に、アメリカ海軍の存在もなく、中国にとっては国家安全保障上、自分たちが有利な立場となる航路ができることになります。米中間での紡績戦争の懸念が高まる中、中国の「ユーラシア大陸・アフリカ大陸のブロック化」の一環が北極海航路推進だと思われます。

 

 アメリカや日本が国全体がシュリンクし、縮んでいくのに代わり、中国がこれから世界に進出していくことになります。北極海、北極圏はその最前線ということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

氷が溶けつつある北極海に資金を投入する準備が出来ている中国(China’s Ready to Cash In on a Melting Arctic

―中国政府は北極圏シルクロード建設の大計画を持っている

 

シェリー・ゴードン、エリザベス・フレッセ筆

2018年5月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2018/05/01/chinas-ready-to-cash-in-on-a-melting-arctic/

 

最近の議会証言で、海軍長官リチャード・スペンサーは、今年の夏に発表される予定のアメリカ海軍の新たな北極海戦略は北極圏の氷が溶けていることが原因であることに言及し、最後に「忌々しい奴らが溶けたのです」と述べた。アメリカ海軍が16年間の計画を発表してから、新たな計画を発表したのはそのわずか4年後のこととなった。その理由の一つは北極圏の氷が後退したことで、結果として「新たな交易路、新たな資源の発見、大陸間の地図の書き換え」が発生することとなった。また、アメリカが新たな計画を発表する理由としては、「北極圏に利害関係を持つ存在」として中国が登場し、重要な役割を果たしていることも挙げられる。

 

中国は最近、北極海に関する新たな白書を発表した。この白書はアメリカ海軍が新たな北極海戦略を発表する3カ月前に発表されたものだ。この白書では「北極圏シルクロード(Polar Silk Road)」が標榜されている。これは、習近平国家主席が頻繁に使う「一帯一路計画」をなぞったものだ。一帯一路計画は中国の外交政策の基本となっている。北極圏シルクロードとは氷のない北極圏に新たな航路を設定し、その航路は中国の貿易が独占的に使用し、中国の世界に向けた野心を実現しようというものだ。

 

中国は既に北極海協議会にオブザーヴァ―として既に参加し、「北極圏に近い」国家として、北極海進出の野心を持っている。しかし、中国の北極圏政策は、 中国を「北極圏に近い」国家から「北極圏に利害関係を持つ」国にしようというものだ。これはあくまで自称ではある。「利害関係を持つ国」になると、地域における権益と責任が増大する。このような変化は、将来のアメリカの北極圏政策に影響を与えることになる。

 

中国は北極海に対する野心を持っている。その中には、北極圏シルクロードを通る貿易ルートを構築すること、北極海沿岸諸国への対外直接投資を拡大すること、戦略的に科学的研究を実施することが含まれる。中国は、北極海における気候変動のインパクトが近い将来に中国の国内問題になると認識している。

 

ある研究者は「北極圏の氷が溶けることで、次の世紀では中国の沿岸部に大規模な浸水が発生するだろう。そうなれば2000万人の人が移動を余儀なくされる。農業生産高が減少するのは言うまでもないことだ」と述べている。北極圏の氷が溶けることは、中国の「責任ある世界の強大国」になるという野心に影響を与える。現在のアメリカのトランプ政権が放棄している気候変動への対処におけるリーダーシップを取ることで世界の大国となれる。

 

中国が想定している北極圏のシルクロードはまずヨーロッパの北海ルートから始まり、海上の有料道路のようなロシア沿岸を進み、北極海に到達する。北極海ルートを通っての中国からヨーロッパへ海上輸送経路は一年のうちで氷が溶ける数カ月かだけで利用可能となるだろう。このルートだと、スエズ運河とマラッカ海峡を通る現在のルートに比べて15日間の時間短縮となる。そして、このルートは、アメリカ海軍が存在しないルートである。

 

長期的には、中国は北極点の近くを通る「極地横断航路」を使えると予想している。これから数十年で北極の氷が溶けることで極地横断が出来ると考えられる。この航路の距離はより短くなる。この極地横断航路は毎年数か月間利用できるようになる。これによって、中国の輸出入にかかる日数を短縮し、燃料費を削減することができる。それだけでなく、ロシアがコントロールする水域を通らなくて済むことになる。大連大学極地海域研究センター所長リー・ゼンフーは「北極圏航路をコントロールする主体が世界経済の新しい道筋と国際的な戦略をコントロールすることになる」と述べている。中国は北極圏において経済的な大国として存在している。中国は直接的な存在として、そして北極海における利害関係を持つ存在して間接的な影響力を発揮している。アメリカはこの新しい航路で敗北したくなければ、影響力と役割を増大させる必要がある。

 

中国は資源開発と港湾開発への投資を増加させることで北極圏での存在感を高めている。現在のところ、中国は石油と天然ガスの輸入をペルシア湾とアフリカに依存している。石油と天然ガスの輸送は、アメリカ海軍が監視している戦略上の重要地点をいくつも通過しなければならない。しかし、中国はロシアのヤマル液化天然ガスプラント、ノルウェー国内の油田や天然ガス田に投資をすることで、エネルギー資源の多様化を実行している。ロシアやノルウェーへの投資によって、中国は天然資源の新たな供給源を開発するだけではなく、自国にとって重要な物資の輸送路となるであろう北極圏におけるインフラ整備の経験を積むことになる。同様の理由で、中国は現在、アラスカ、カナダ、ノルウェーでの石油と天然ガス分野での投資の機会を窺っている。また、北欧の北極圏地域における天然資源や港湾整備への投資も増大させている。

 

北極圏における中国のパートナーとなっているのは、北極圏協議会に加盟する5つの北ヨーロッパの国々だ。具体的には、アイスランド。デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドだ。それぞれの国は自国の北極圏開発計画のための資金援助を必要としている。アイスランドとグリーンランドは中国の海外直接投資の目的地となっている。アイスランドは中国の存在に対して複雑な対応を示している。アイスランドは中国からの地熱科学研究分野の投資を歓迎し、アイスランドに深海港を建設することに中国が支援を行うことについて話し合いを行っている。しかし、中国企業が観光関連で土地を購入することをアイスランド政府は拒絶している。グリーンランドの雪と氷が融けるにつれて、中国はグリーンランドにおける港湾開発とレアメタル開発に投資を行っている。レアメタルは中国の巨大な製造業にとって必要不可欠なものである。フィンランドと中国はデータ版の「シルクロード」創設に同意した。このデータ版「シルクロード」は北極圏とアジア地域の市場をつなぐことを目指している。

 

中国の北極圏における野望の最後の部品となるのは、科学の戦略的な利用だ。中国はノルウェーの北極圏地方にあるスヴァルバード列島に多くの科学者を送り込んでいる。この場所は国際的に認められた非武装地帯であり、全ての国家に科学者を送り込む権利が認められている。そのほかの場所にも多くの中国人科学者が送り込まれている。1984年以降、30を超える北極圏における大規模調査と探検が行われてきた。そして、北極圏における研究と航路開発の野望のために、中国は現在、次期砕氷船を建造中である。「雪竜(シューロン)2」は2019年に就役する予定だ。アメリカは次の大型砕氷船の建造を計画中であり、実際の建造は2020年に開始される。中国は北極圏の気候と天候を観測するために多くの衛星を打ち上げている。その中には2017年に打ち上げられたFY-3Dも含まれている。この衛星は、アメリカの共同極地監視衛星システム1号機の打ち上げの3か前に打ち上げられたものだ。中国は北極圏における科学分野の外交を推進している。一方、アメリカは、アメリカ海洋大気庁の極地衛星プログラムと「ポーラー・フォロー・オン」プログラムを統合し、予算を20%削減しようとしている。

 

中国の北極圏における影響力は、経済的な目標と科学を使った外交が協力して得られたものである。中国極地研究所は、2020年までに中国の輸出入の5%から15%が北極海航路を通して行われるようになると推定している。そして、この数字は、北極海航路へのアクセスを確保することを目的に北極圏における利害関係国との関係を良好なものとすることで、更に大きくなる。中国は極地研究の増加と天然資源開発を通じて科学研究を使った外交を推進する。そして、これからの15年間でのこの地域での漁獲量を維持することに合意することで、中国の存在感は更に重要度を増す。

 

このような状況はユーラシア大陸を横断する一帯一路計画に沿って中国の存在が高まっている状況と同じだ。一帯一路計画は二国間による合意や外交を基礎にしている。外交を通じた一帯一路計画の推進によって中国は協力する各国の天然資源を利用し、中国の経済成長に伴う環境へのインパクトを外国に逸らし、中国企業や中国の技術が利益を生む機会を確保することができる。中国の北極圏計画にはより多くの国々が参加し、交易ルートを確保し、北極圏における中国の利益を推進している。一方、アメリカは北極圏で変化しつつある地政学的な状況に対応する必要がある。アメリカ海軍と他の政府機関の北極海に対する戦略を改善し、北極圏における科学的、人的、商業的投資を行うべきだ。北極圏はアメリカにとって次の技術革新の最前線となる。アメリカは科学的、技術的能力と利用して北極圏とアメリカをつなげるようにすべきだ。アメリカは、通信技術と輸送を通じて北極圏に進出すべきだ。アメリカは北極圏に存在する同盟諸国にとっての重要なパートナーとなるようにすべきだ。

 

(終わり)


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金儲けの精神をユダヤ思想に学ぶ (祥伝社新書)

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今の巨大中国は日本が作った


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真実の西郷隆盛
 

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迫りくる大暴落と戦争〝刺激〟経済
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 古村治彦です。

 

 北朝鮮の金正恩労働党委員長の訪中に関しての最重要の言葉は「非核化(denuclearization)」でした。私たちはこの「非核化」という言葉を聞いて、「北朝鮮が核兵器を放棄することだな」と考えますが、ここで気をつけねばならないことがあります。それは、金正恩が「朝鮮半島の非核化(denuclearization on Korean Peninsula)」という言葉を使ったことです。

 

 現在、朝鮮半島は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と韓国(大韓民国)に分かれています。韓国は核兵器を保有していません。韓国駐留アメリカ軍は冷戦期、核兵器を配備していましたが(アメリカ政府は核兵器配備を公式に肯定も否定もしなかった)、1991年に当時のジョージ・H・ブッシュ大統領が核兵器を引き上げたことで、韓国国内には核兵器は存在しません。2017年になってアメリカ政府は韓国国内の駐留米軍基地に核兵器を再配備することを検討しましたが、実現には至っていないようです。

 

 ですから、韓国にはないのだから、「朝鮮半島の非核化」ということは、北朝鮮国内の核兵器の廃棄ということになります。しかし、金正恩が述べている「朝鮮半島の非核化」は、アメリカが核の傘で韓国を守ること、駐留米軍を撤退させることも含まれた概念ということになります。金正恩は「故金日成国家主席と故金正日総書記の遺志に従って朝鮮半島の非核化に努力する」と述べました。「祖父の代から準備して、親父の代に加速して、自分で核兵器を作っておいて非核化とはおこがましい、何を言っているんだ」と私は思いました。

 

 しかし、金一族の考えからすれば、韓国が先に「核武装化化(アメリカ軍が核兵器を配備しアメリカの核の傘に入った)」して現在もその状態は続いている、私たちは後発で自力で核兵器を保有するに至った、だから、朝鮮半島の非核化というのは、北朝鮮が核兵器を廃棄することと、アメリカ軍が撤退することなのだ、ということになります。

 

 アメリカは、北朝鮮の核兵器に関して、前提条件なしで完全な廃棄を求めています。経済援助といったものも認めないでしょう。米朝首脳会談が実現して、金正恩がドナルド・トランプ大統領に対して、こんな廻りくどい「朝鮮半島の非核化」の話をしても、「うるさい、お前は核兵器を捨てるのか、捨てないのかどっちだ」と一喝されて終わりになるかもしれません。

 

 しかし、トランプ大統領は「韓国駐留米軍はアメリカにとって負担になっている」とも述べました(2018年3月31日付読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/world/20180330-OYT1T50081.html?from=ytop_main3)。北朝鮮が核兵器を完全に放棄し、それを中国が担保し、中国がきちんと北朝鮮を管理できるならば、在韓米軍の撤退ということもあり得ます。

 

 北朝鮮国内では金正恩が「朝鮮半島の非核化」について語ったという報道話されていないということです。北朝鮮が核兵器を放棄し、アメリカが韓国から撤退ということが実現された場合、北朝鮮国内で故金日成国家主席以来の念願を孫である金正恩委員長が実現させたというような報道がなされて、金正恩支配の正統性を増すような動きが活発になるでしょう。

 

 かなり飛躍した推測になりますが、トランプ大統領の在韓米軍に関する発言は、中国政府や習近平からのかなり詳しい報告とそれに関する分析がなされての発言ではないかと思います。これについて2つの解釈が成り立つと私は考えます。一つは金正恩の朝鮮半島の非核化について、中国に責任を分担させることを条件にして受け入れ、これを機会に在韓米軍を撤退させようとしている、というものです。もう一つは、金正恩の朝鮮半島の非核化という考えを受け入れた姿勢を見せながら、実際の米朝首脳会談で、「韓国には核兵器は1発もないのだから、朝鮮半島の非核化というのは北朝鮮の核兵器廃棄しかありえない、その他のごちゃごちゃした解釈は認めない」と肘鉄を食らわせて、屈服させる、もし屈服しないなら、約束違反、朝鮮半島の非核化に努力していないのは北朝鮮だとして攻撃する理由とする、というものです。

 

 4月末に南北首脳会談もありますが、この時まで北朝鮮、中国、ロシア、アメリカ、韓国がどのように動いていくかを注視する必要があります。日本は残念ながら主要な登場人物とはなれません。お金が必要な時に呼ばれるだろうとは思いますが。

 

=====

 

・現在の北朝鮮をめぐる外交は伝言ゲーム(game of telephone)をしているかのようだ。

・韓国大統領特使が平壌で金正恩と夕食を共にし、その後ワシントンDCに向かった。韓国大統領特使は金正恩の「非核化」に関する交渉を行いたいという希望をアメリカに伝えた。トランプ大統領は今年の春に金正恩と会談を持つことに同意した。これを受けて金正恩は今週になって列車で北京に向かい、中国の習近平国家主席と会談を持った。習近平はトランプに金正恩訪中の最新情報を伝えた。トランプ大統領はツイートで、「中朝首脳会談はうまくいき、金正恩は私との会談を楽しみにしていると聞いた」と述べた。

 

・北朝鮮自体は沈黙を守っていた。

・朝鮮中央通信は金正恩の訪中と韓国との対話などは伝えたが、北朝鮮の非核化への努力については報じなかった。

 

・金正恩の非核化の約束は二次的な手段で伝えられた。中国国営新華社通信が報じたものしかない。新華社通信は金正恩の2つの発言を引用している。

・一つ目は核兵器プログラムについての金正恩の立場は父親と祖父の遺志に沿ったものだという発言。

・二つ目は朝鮮半島の非核化の問題は、韓国とアメリカが善意を持って北朝鮮の努力に応えること、平和を実現するための進歩的で同僚的な方法を採る間は平和と安定の雰囲気を作ることで、朝鮮半島の非核化の問題は解決可能となる、という発言。

 

CIAの元朝鮮半島担当分析官でCSIS上級研究員スー・ミ・テリーの分析は次の通り。

・金正恩が北朝鮮から核兵器を除去すると発言せず、「朝鮮半島の非核化」という言葉を使ったことが重要だ。「朝鮮半島の非核化」という枠組み提示は金政権にとっては「新しいものではない」。

・北朝鮮はこれまで安全保障のために、朝鮮戦争を完全終結させるための平和条約締結、韓国からの米軍の撤退、米韓軍事同盟の終結(アメリカの核の傘による韓国の防衛の終結)を求めてきた。

・韓国が核兵器を保有していないのに朝鮮半島の非核化という話になるのはこのためだ。

 

・北京訪問中、金正恩は安全保障に関する保証について言及しなかった。テリーはこの点について北朝鮮からの更なる報道を待ちたいとしている。

・北朝鮮は核兵器プログラム廃棄と引き換えでアメリカが韓国を見捨てること(アメリカ軍の撤退)以上のことは求めていない。

 

・韓国とアメリカからの譲歩があれば、韓国とアメリカから「善意、好意」を示すこと、「平和の雰囲気」を作り出すこと、「同調的な方法」を取ることでのみ非核化が進むと金正恩は述べたとテリーは分析している。

・韓国とアメリカからの譲歩とはトランプ政権が北朝鮮に科した国際的な経済制裁の緩和である。

 

・「たくさんのことが話されたが“明確”になったことは何もない」とテリーは述べた。

・北朝鮮は核兵器プログラムを放棄する用意があるとはなっていない。北朝鮮はいつでも撤退できるように保険を掛けた言葉遣いをしている。

・北朝鮮は核実験とミサイル実験を停止しアメリカと核兵器に関して直接交渉するという戦術に変更した。

・アメリカの経済面での圧力と軍事力の脅威によって金正恩が「動揺」し、「時間を稼ぐ」ために緊急的な動きを見せた。しかし、これらが戦略上の大転換であることを示す兆候はない。

 

・トランプは何かを話すときでも彼が本当に考えていることは明確にしない。

・トランプはアメリカ本土に直接届く長距離ミサイルに核弾頭を乗せて飛ばす能力を北朝鮮が持つことを明確に拒絶している。

・マイク・ポンぺオ(次期国務長官)を含むトランプ大統領の補佐官たちはより強硬な路線を主張している。それはこれまである国一国(南アフリカ)だけが成し遂げたことだ。それは、開発した核兵器を「完全に、証明付きで、再開できないような形」で放棄するということだ。

 

・トランプが大統領国家安全保障問題担当補佐官に指名するほんの数日前、ジョン・ボルトンは、「金正恩が核兵器プログラムを放棄し、それをアメリカに確約するという、2004年のリビアの行ったことをやらなければ、トランプは交渉をすぐに打ち切り、北朝鮮の核兵器が世界に脅威を与える前に核兵器プログラムを消滅させるために軍事力行使を真剣に考えるべきだ」と述べた。

・ボルトンは北朝鮮に経済援助を与えるべきではないとも述べた。北朝鮮は数十年に渡り経済援助を手にしつつ、核開発を止めなかった。また、金正恩との間で平和条約を蒸すムベキではないともしている。

・予備的な力を残したままの北朝鮮を信用できないとボルトンは述べた。

 

・金正恩が訪中で語った言葉が示しているのは、北朝鮮とアメリカとの間で、「非核化」という言葉についての定義がかけ離れているということだ。

 

(貼り付けはじめ)

 

What Does 'Denuclearization' Mean to Kim Jong Un?

A close reading of what the Korean leader reportedly told Xi Jinping in Beijing

 

URI FRIEDMAN 5:29 PM ET   GLOBAL

https://www.theatlantic.com/international/archive/2018/03/kim-jong-un-china-xi-jinping-train-nuclear-trump-summit/556679/?utm_source=atltw

 

One of the oddest things about the current flurry of diplomacy with North Korea is that it has played out like a game of telephone: South Korean officials dined with Kim Jong Un in Pyongyang and then flew to Washington, D.C., bearing a message that Kim was willing to discuss “denuclearization,” which inspired Donald Trump to agree to an unprecedented summit this spring with the North Korean leader, which motivated the North Korean leader to hop on a train to Beijing this week, which prompted Chinese President Xi Jinping to update Trump on how the visit went, which led the American president to tweet this morning that he’d heard the meeting “went very well and that KIM looks forward to his meeting with me.”

 

Through it all, North Korea itself has remained conspicuously silent, at least in public. Hopes for a resolution to the North Korean nuclear crisis have thus largely been pinned on a stream of whispers. As of this writing, the North’s state-run Korean Central News Agency features news of Kim’s trip to China and dialogue with South Korea, of the issuing of tea-themed postage stamps, and the invention of a fancy new “automatic meteorological observation device,” but no mention of any North Korean commitments to denuclearization.

 

Kim’s promises this week were conveyed second-hand through a report from China’s state-run news agency Xinhua, which includes two direct quotes from Kim Jong Un. In the first, he stated that his position on his nation’s nuclear-weapons program is in line with that of his father and grandfather: “It is our consistent stand to be committed to denuclearization on the peninsula, in accordance with the will of late President Kim Il Sung and late General Secretary Kim Jong Il.” In the second, he declared that the “issue of denuclearization of the Korean peninsula can be resolved, if South Korea and the United States respond to our efforts with goodwill, create an atmosphere of peace and stability while taking progressive and synchronous measures for the realization of peace.”

 

For a guided reading of Kim’s rare public remarks, I turned to Sue Mi Terry, a former Korea analyst at the CIA who is now a senior fellow at the Center for Strategic and International Studies. She said it’s significant that Kim spoke not of removing nuclear weapons from North Korea, but rather of the “denuclearization of the Korean peninsula,” as a whole. That formulation by the Kim government is “not new,” Terry told me, and has been accompanied in the past with demands for measures to preserve the regime’s security such as the signing of a peace treaty to finally end the Korean War, the withdrawal of U.S. troops from South Korea, and the end of the U.S.-South Korean military alliance, which in turn would terminate the protection the United States extends to South Korea through its nuclear weapons. Hence, talk of a nuclear-free peninsula despite the fact South Korea doesn’t have nuclear weapons. (In this respect, Kim was right to assert that he was simply echoing the policies of his father, who was also quoted by Chinese media as committing to the denuclearization of the peninsula even as he persisted in developing the nation’s nuclear-weapons arsenal.)

 

While it’s notable that Kim didn’t specifically reference security guarantees during his trip to Beijing, Terry said she’d need to see more statements from North Korea, and not just a one-off quote filtered through the censored Chinese press, to conclude that the North is now willing to trade away its nuclear program for anything less than the United States abandoning South Korea.

 

Terry interpreted Kim’s call for South Korea and the United States to exhibit “goodwill,” establish an “atmosphere of peace,” and take “synchronous measures” as a suggestion that he would only move towards denuclearization in response to concessions from both South Korea and the United States—specifically, relief from the severe international sanctions that the Trump administration has imposed on North Korea. 

 

 There’s a lot there” and none of it is particularly “revelatory,” Terry said. It’s not “North Korea is willing to give up its nuclear-weapons program.” Instead, it’s hedged language that the North can always retreat from. North Korea has shifted tactics in pausing its nuclear and missile testing and agreeing to direct nuclear talks with the United States, perhaps because U.S. economic pressure and threats of military force “spooked” Kim and made him scramble to “buy time,” Terry explained. But there aren’t strong signs yet of a strategic shift.

 

Trump also hasn’t clarified what he has in mind when he speaks, as he did on Wednesday, of “peace and the denuclearization of the Korean peninsula.” So far, he has focused on denying North Korea the capability of placing nuclear warheads on long-range missiles that can reach the United States. But his advisers, including Mike Pompeo, the man slated to become his next secretary of state, have staked out an even harder line, insisting that North Korea do what only one other country in history has done before: give up nuclear weapons it developed in a manner that is “complete, verifiable, and irreversible.”

 

Just days before being named Trump’s new national-security adviser, John Bolton said that if Kim Jong Un isn’t willing to relinquish his entire nuclear program and ship it off to the United States, the way Libya did with its far less advanced program in 2004, Trump should immediately end the negotiations and seriously consider using military force to eliminate North Korea’s nuclear weapons before they can threaten the world. He argued that the United States should not provide economic assistance, which North Korea has pocketed for decades without ceasing its nuclear activities, and certainly not sign a peace treaty with Kim. (Trump has at times seemed more willing to withdraw U.S. military support to South Korea.) The North Koreans are “lucky to have a meeting with the president of the United States,” he said. “Are we content with a resolution of this crisis that leaves North Korea with the technology to have nuclear weapons?” Bolton asked Larry Kudlow, Trump’s incoming director of the National Economic Council, during a radio interview in August. “I wouldn’t trust the North Koreans with a spare electron.”

 

There would, of course, be nothing to negotiate if negotiations began with the parties in perfect agreement about what they wanted out of the talks. But what Kim Jong Un’s comments in China this week indicated is just how far apart North Korea and the United States are on the definition of one hugely consequential word: “denuclearization.”

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ米国大統領は次期大統領国家安全保障問題担当補佐官にジョン・ボルトンを指名しました。4月9日付で、ハーバート・R・マクマスター陸軍中将と交代します。マクマスターは補佐官辞任後に大将に昇進せずに退役するということになります。

 

 ボルトンの指名は外交関係者やアメリカ政治に詳しい人々を驚かせました。レックス・ティラーソン国務長官からCIA長官マイク・ポンぺオへの交代と併せて、トランプ政権の強硬姿勢を取ることを示すものです。

 

 ジョン・ボルトン(John Bolton、1948年―)は、歴代の共和党政権に参加しています。ドナルド・レーガン政権時代(1981―1989年)には米国国際開発庁と司法省に勤務しました。続く、ジョージ・HW・ブッシュ政権時代(1989-1993年)には国際連合担当国務次官補を務めました。ジョージ・W・ブッシュ政権時代(2001-2009年)には国務次官、2005年には米国国連大使を務めました。

 

 ボルトンはジョージ・W・ブッシュ政権の対外政策を牛耳ったネオコンの一人です。彼自身はネオコンと呼ばれることを嫌います。それは、ネオコンの第一世代が民主党員だった人たちが民主党に失望し共和党支持に転向した人たちであるのに対して、自分は一貫して共和党支持者であったということから、「転向者を源流とするグループに入れないで欲しい」という考えを持っているためです。しかし、外形的にはネオコンです。

 

 ネオコンはアメリカの価値観を世界各地に「輸出」し、世界中の国々を資本主義と民主政治体制の国々にすればアメリカに敵対する国はなくなるし、世界から戦争がなくなって平和になるという考えです。これは、共産主義を世界中に輸出しようとした旧ソ連の裏返し(ヨシフ・スターリンは一国社会主義建設を優先しましたが)ということが言えるでしょう。

 

 しかし、彼らはアメリカに友好的な非民主国家まで民主化しろとは言いません。ペルシア湾岸諸国や中央アジアには王政や独裁制の国々が多くありますが、それらの国々を攻撃して政権(体制)変更(転覆)しろとは言いません。あくまでアメリカに逆らう国々の政治体制を転覆させろということを主張します。

 

 2002年の一般教書演説で、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領は、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸(Axis of Evil)」と呼びました。そして、イラクには実際に侵攻し、サダム・フセイン政権を瓦解させました。フセインは最終的には死刑となりました。

 

 ブッシュ政権の後に成立したバラク・オバマ政権で起きたのがアラブの春です。アラブの春では偶発的な事件から反体制運動が北アフリカの国々で連鎖的に発生しました。この過程で、アメリカとヨーロッパに屈服し、大量破壊兵器とテロ活動を放棄していたリビアのムアンマール・カダフィが殺害されました。こうした動きを主導したのは、民主党内でネオコンのカウンターパートと言うべき、人道的介入主義派で、国務長官を務めていたヒラリー・クリントンでした。こうしたことは拙著『アメリカ政治の秘密』で明らかにしています。

 

 現在、悪の枢軸で残っているのはイランと北朝鮮です。北朝鮮に関しては急速な核開発を行い、アメリカにとって脅威となっています。それでも今年に入って、緊張緩和ムードになり、アメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長の首脳会談が開催されるということになりました。

 

 しかし、この開催の時期や場所がはっきりしない中で、国務長官がレックス・ティラーソンから現職のCIA長官だったマイク・ポンぺオに、大統領国家安全保障問題担当補佐官がハーバート・R・マクマスター陸軍中将からジョン・ボルトンに交代することになりました。ポンぺオもネオコンに近い人物であり、ネオコンによって対外関係の司令塔が独占されることになりました。トランプ大統領は常に2つの異なる考えを持つ人間たちをそれぞれ同様の力と権限を持つ役職に就けて、自分の考えを実行するときに2つの考えのうち、どちらかを選んで実行させるというやり方を取るということをやってきたと私は考えます。

 

 今回、国務省とホワイトハウスの対外関係部署をネオコンが抑えたということで、トランプ政権の対外姿勢は強硬になります。ボルトンは北朝鮮について強硬な主張をしていますので、緊張緩和ムードが大きく後退することになるでしょう。

 

 北朝鮮にしてみれば、ここで核兵器を手放すかどうかという決断を迫られますが、アメリカのこれまでの外交を考えると、核兵器を手放した時点で、金王朝は遅かれ早かれ崩壊させられるということを金正恩は考えるでしょう。手放してしまえば一時的な妥協が成立する(体制保障というアメリカの約束が反故にされる可能性が高い)、手放さなければまだアメリカがチキンゲームに負けて交渉に乗ってくる可能性がある(より良い条件で妥協が成立する可能性がある)となり、北朝鮮は核兵器を握りしめたままということになるでしょう。

 

 ボルトンは核兵器貯蔵施設や核開発関連施設に対する先制攻撃を主張しています。北朝鮮に対して先制攻撃であっても、先に攻撃をされてからの報復攻撃であっても、米軍が攻撃すれば、現在の北朝鮮の体制の転換というところまで進むことになるでしょう。

 

 ジョン・ボルトンの指名となってアメリカやヨーロッパでは、アメリカによるイランに対する攻撃があるのではないかという懸念の声が大きくなっています。イランに関しては、オバマ政権時代に核開発をめぐって合意が成立しました。しかし、ボルトンやポンぺオと言った人々はイランとの合意は失敗だったとしています。

 

 イランを怖がっているのはイスラエルで、核兵器を所有している両国間で戦争となれば核戦争まで行き着く可能性があります。イランがどれほどのミサイル能力を持っているのか分かりませんが、北朝鮮でもアメリカ本土に到達できるミサイルを開発できたとすると、イランも所有している可能性があると考えられます。北朝鮮もイランもロシアからの支援を受けているので、ある程度のミサイル開発技術をロシアからもらっているでしょう。

 

 中東での問題はより危険で複雑、ヨーロッパにも大きな影響を与えることから、トランプ大統領としては今の段階では関わりたくないでしょう。ですからボルトンとポンぺオの起用は対北朝鮮問題用のシフトということになります。

 

 私は北朝鮮問題が平和裡に解決できることを願っていますが、現実はその可能性が低くなっているのではないかと考えざるを得ない状況になっていると思います

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプは究極のタカ派(Uber-Hawk)のボルトンを大統領国家安全保障問題担当補佐官に指名(Bolton as National Security Adviser

―「爆撃、イランを爆撃」から北朝鮮に対する予防的先制攻撃まで、ブッシュ政権で高官だったボルトンはより好戦的な外交政策を主張している

 

コラム・リンチ、エリアス・グロール筆

2018年3月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2018/03/22/trump-taps-uber-hawk-bolton-as-national-security-adviser/

 

ボルトンは北朝鮮に対する予防的先制攻撃を明確に求め、イランの体制を変更させるために爆撃することを主張し、アフガニスタンにおける無制限の米軍駐留を求めている。ボルトンはまた台湾に米軍を駐留させるなど中国に対してより強硬な姿勢を取るように求めてきた。

 

ジョージ・W・ブッシュ政権に参加したボルトンを含む共和党所属のネオコンサヴァティヴの人々は2003年にイラクの指導者サダム・フセインを追い落とすように主張した。しかし、他のネオコンの人々とは対照的に、ボルトンは民主政治体制と人権のようなアメリカの価値観を輸出することに関心を持ったことはこれまでほぼなかった。ボルトンはブッシュ政権において国務省高官と米国国連大使を務めた。

 

ボルトンはトランプ大統領と同様に国際的な取り決めを無視し、国際連合やヨーロッパ連合(EU)のような多極的な組織を見下し、政治的な敵を激しく非難している。ボルトンは回想録『ジョン・ボルトン:降伏は選択肢に非ず』の中で、EU官僚たちを「EUの病人たち」と繰り返し揶揄している。

 

ここ数週間、ボルトンが指名されるという噂が流れた。実際にボルトンの指名が発表されるとアメリカとヨーロッパの外交関係者たちは驚きと不安の声を発した。彼らはマクマスターの辞任とボルトンの就任によってアメリカは複数の争いに関与する道を進むことになるという懸念を持っている。

 

外交評議会(CFR)のマイカ・ゼンコは次のようにツイートしている。「ジョン・ボルトンはこれまでアメリカが戦ってきた全ての戦争を支持した。彼はアメリカが戦う際に何の制限もつけるべきではないと考え、イランと核武装した北朝鮮との体制転換のための戦争を支持している。恐ろしいことだ」。

 

4月初め、ボルトンは現在の大統領国家安全保障問題担当補佐官を務めるHR・マクマスター陸軍中将と交代する。マクマスターは辞任と引き換えに大将に昇進させてもらえるという噂が流れたが、実際位は中将のままで退役することになる。ホワイトハウスの関係者は今回の交代は「常に憶測を呼ぶティームではなく、実際に行動できる新しいティームを結成する」ためのものだと述べている。発足して1年ちょっとのトランプ政権で、ボルトンは3人目の大統領国家安全保障問題担当補佐官となる。

 

ボルトンの補佐官任命は連邦上院の承認を必要としない。ボルトンの指名によって、トランプ政権のタカ派的な姿勢が強まることになるだろう。トランプは大統領選挙期間中、アメリカの海外における冒険主義を制限するという公約を掲げた。しかし、トランプは大統領就任後、アメリカの外交政策に関してより軍事中心的なものとなっている。トランプと同じく、ボルトンはヴェトナムでの従軍を忌避するために進学をした。ボルトンはヴェトナム戦争を支持した。

 

これから世界各地の諸問題について見ていく。ボルトンの政策に関する主張はアメリカの外交政策を大きく変化させる危険性がある。

 

●イラン爆撃

 

ボルトンが大統領国家安全保障問題担当補佐官に指名された。ボルトンは長年にわたりイランに対する軍事行動を主張してきた人物で、そのような人物がトランプの側近となる。トランプは国務長官をレックス・ティラーソンからマイク・ポンぺオCIA長官に交代させた。このようにイランに対してタカ派的な態度を取る強硬派を運転席につけたのだ。

 

2015年のニューヨーク・タイムズ紙に掲載した論説のタイトルの中で、イランとの戦争を主張した。ボルトンは「イランの核爆弾を止めるために、イランを爆撃せよ(To Stop Iran’s Bomb, Bomb Iran)」と書いた。ボルトンはこれまでイスラエルが近隣諸国の原子力施設に対して予防的先制攻撃を行ってきたことを支持してきた。また、核兵器関連施設に対する軍事行動を主張してきた。更にはイランの政権を打倒するために反対派勢力を支援することも主張してきた。

 

ボルトンはイランの体制変更を強く主張してきた。ボルトンはイランの過激な反体制派グループであるムジャヒディン・ハルクを支持してきた。ムジャヒディン・ハルクはアメリカ政府からテロリスト組織として認定されている。それでもこの組織を支持している。ボルトンに2011年にブリュッセルで開催されたイヴェントに出席した。ボルトンはこのイヴェントでムジャヒディン・ハルクが掲げるイランの体制変更を「無条件に」支持すると語った。

 

2009年、ボルトンはイスラエルがイランに対して核兵器を使用することを支持した。ボルトンはシカゴ大学での演説中に次のように語った。「イスラエルがイランの核開発プログラムに対して核兵器を使用する準備をしていなければ、イランは近い将来、プログラムで開発した核兵器をイスラエルに対して使用することになるだろう」。

 

●北朝鮮

 

北朝鮮は核兵器とミサイル技術を急速に開発している。これを受けて、ボルトンは北朝鮮国内の核兵器を除去するために予防的先制攻撃を行うことを主張している。

 

先月、ボルトンは『ウォールストリート・ジャーナル』紙に寄稿した。その中で、ボルトンは北朝鮮への攻撃の時は今だと主張した。ボルトンは19世紀の砲艦外交を使いながら次のように書いている。「危機はすぐそこまで迫っている。北朝鮮に関するアメリカの諜報不足という点からも考えて、私たちは攻撃開始を引き延ばすべきではない。攻撃を引き延ばせば北朝鮮はアメリカ本土を確実に攻撃できる核兵器を開発してしまう危険がある。それは現在よりも更に危険な状態となる」。

 

このような攻撃は北朝鮮の韓国や東アジア地域の展開する米軍基地に対する報復攻撃を誘発することになるだろう。米軍関係者は北朝鮮の報復攻撃によって数千名規模のアメリカ人が死亡し、ここ数十年では見られなかった規模の戦争が起きるだろうと警告している。

 

ボルトンの予防的先制攻撃という強い主張がトランプ大統領と北朝鮮の指導者金正恩との朝鮮半島の非核化について話し合う最高首脳会談の開催計画とどれほど一致するのかについては明確にはなっていない。昨年、ボルトンは北朝鮮との直接交渉を「オバマ政権時代の政策の継続」だと批判した。

 

●中国

 

ボルトンに対しては中国政府から疑念の目で見られている。ボルトンは台湾の自己決定を強く主張しており、トランプ政権に対して、これまでアメリカ政府が堅持してきた「一つの中国」政策を見直すように主張してきた。ボルトンはまた台湾に対するアメリカらの武器売却を増加させるように求めている。更にはアメリカ軍の台湾駐留も主張している。これは、ダグラス・マッカーサー元帥の掲げた中国沿岸の「不沈空母」という考えを思い出させる。

 

対照的に、中国政府は国交を開封したニクソン政権以来、アメリカとの国交に関して「一つの中国」政策は交渉の余地のない要素だと考えている。

 

今週、中国の習近平国家主席は中国の領土を「1インチでも奪われないように」防衛するという印象的な演説を行った。彼の語った中国の領土には台湾も含まれている。

 

●イスラエル

 

ボルトンはイスラエルに対して全面的な支持を与えることが予期される。マクマスターは保守派の一部からイスラエルに対して十分に支持していないという激しい非難を受けていた。元イスラエル米国大使ダン・ジラーマンはある時、ボルトンを「イスラエルにとっての秘密兵器」と形容した。

 

●国際機関

 

ボルトンはアメリカにおいてマルタイカルチュアニズムに対して厳しい批判を行う人物の一人だ。また、アメリカの武器制限条約への参加やアメリカの軍事能力を制限することになるだろう国際的な協定について繰り返し疑問を呈している。ボルトンは西サハラ領有権・独立問題に関して国連から交渉担当として派遣されたことがある。彼は国連について発言し、その発言が有名になった。ニューヨークにある国連の書記局ビルは38階建てだ。もしその10階分が失われてもこれまで変わらずに業務は行われることだろう」。

 

回想録の中でボルトンは次のように書いている。「国際刑事裁判所を創設するためのローマ規定に“署名をしない”となった時が国務省時代で私が最も幸福な日であった。私はコリン・パウエルに子供の時のクリスマスの日のようにウキウキした気分だと言った」。

 

ボルトンの国際条約に関する姿勢はトランプ大統領とほぼ同じだ。ボルトンはかつ手口のように語った。「条約はアメリカの目的にかなうときにだけ法律と同様の効力を持つ。国際的な状況においては、条約は法的な強制力を持つものではなく、単純に“政治的な”ものとなる」。

 

ボルトンは国際秩序の擁護者たちに対して最大級に見下している。EUと国務省の官僚たちを特に見下している。ボルトンは彼らについて背骨がないふにゃふにゃしていると非難している。

 

ボルトンは回想録の中で次のように書いている。「病気のようなEUの外交官たちの間で広がっているのが道徳的な優位性など存在しないという考えだ。これは高学歴者が陥りがちな病気のようなものだ。感染力が強いもので、国務省の官僚たちが感染しつつある」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)


アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

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 古村治彦です。

 

 2018年3月2日に副島隆彦先生の最新刊『米軍の北朝鮮爆撃は6月! 米、中が金正恩体制破壊を決行する日』(光文社)が発売になります。首都圏の大型書店では3月2日か3日には店頭に並ぶ予定です。それ以外の地域の大型書店では、配送のトラックとの兼ね合いもあり、5日に店頭に並ぶものと考えられます。

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米軍の北朝鮮爆撃は6月! 米、中が金正恩体制破壊を決行する日

 

 以下にまえがき、もくじ、あとがきを掲載します。参考にしていただき、手にとってご覧ください。よろしくお願い申し上げます。

 

(貼り付けはじめ)

 

まえがき   

 

アメリカは北朝鮮に対して、堪忍袋の緒が切れつつある。自分たちを核兵器で脅す国の存在を許さない。

 

私は、すでに去年(2017年)の4月に、「(日本人よ)心配するな! 安心せよ。北朝鮮の核ミサイルは日本に飛んでこない」という文を書いて公表した。その主な内容は、「北朝鮮の核ミサイル関連施設への米軍の爆撃は、来年の4月であろう」とするものだった。このことを私は自分の本の中に書いた。

 

だが、この米軍爆撃は、どうも2カ月先の6月に延びたようだ。その理由は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、北朝鮮の独裁者金正恩(キム・ジョンウン)にベッタリとくっついて救援に向かって、「崇高な南北統一」、あるいは「民族統一」という世界中の人々が甘く考えることのできない、大きな球を、世界政治に投げ込んだからである。だからズルズルとこのあと、緊迫したまま数カ月が経ってゆく。アメリカと北朝鮮の睨み合いは最終局面に入ってゆく。

 

こうなると金正恩としては、ますます絶対に核ミサイルを手放さない。手放したら自分たちの体制が即座に破壊されると分かっている。だから、同じ民族(同族)である韓国と抱きしめ合うことで、アメリカおよび中国からの強い圧力に抵抗している。

 

だがそれでもトランプと習近平は、もう、今の危険きわまりない金正恩体制を許すことはない。超大国であるアメリカと中国は、金正恩と文在寅を自分たちと対等の話し相手(交渉相手)だとは認めていない。こんなチビコロ国家の指導者なんか、大国の力で叩きのめしてやると考えている。

 

私は去年4月の自説では、「アメリカは相手に先に手を出させる。北朝鮮から韓国に通常ミサイルを撃たせる。それを合図に米軍のバンカーバスター(地中貫通型大型爆弾)搭載の巡航ミサイルによる一斉の、北朝鮮の核関連施設へのピンポイント(精密)攻撃が行われる」と書いた。だがその後の状況をみていると、戦争勃発(攻撃開始)の合図は、世界中からの注視と監視のもとにあるから、簡単にはできない。開戦の大義名分をアメリカと中国はすぐには作れない。だから少なくとも国連(ユナイテッド・ネイションズ)の安全保障理事会(安保理。世界の軍事問題を取り扱う)の拡大会議で、秘密の緊急の決議をすることで、北朝鮮への爆撃を実施するしかない。秘密でやらないと北朝鮮(金正恩)に察知されたら、先にアメリカ本土に核ミサイルを発射されてしまう。そうなったらアメリカの負けだ。1950年6月の朝鮮戦争の勃発のときは、すぐに国連の総会(ジェネラル・アセンブリー)での決議で、国連軍が作られた。そして北朝鮮軍および中国軍と戦った。だが、あのとき正式の国連軍(The UN Force)であったか分からない。あのときの緊急の総会は、「平和のための結集」と呼ばれて、ソビエト・ロシアとその家来(衛星国)であった東ヨーロッパ諸国には知らせないで、抜き打ちで行った決議である。

 

だから、今回の北朝鮮への爆撃も、国連軍(国連憲章51条に基づく)と呼ばれるかどうか分からない。たぶん呼ばれないだろう。だが今回は、5大国のうちの2つであるロシアと中国も反対に回らない。北朝鮮は孤立無援になっている。だから、6月には我慢の限界で米軍が北朝鮮への爆撃(ボンバードメント)を敢行するだろう。

 

私は、青年時代から左翼あるいは、急進リベラル派である。だから平和主義者(パシフィスト)で戦争反対の考えで生きてきた。だが、年齢に応じて少しだけ保守化した。

 

ところが、なぜ、今回の北朝鮮に対する米と中の軍事行動(外科的手術)による強制処分に賛成するのか。「お前は反戦平和と言っているくせに、なぜ戦争に賛成するのか」と非難されるだろう。私は本書で徹底的に反論し説明する。私の目から見て、かえって不可解なのは、いつもはあれほどに強く北朝鮮の政治体制の独裁主義と共産主義の非人間性を憎み、嫌っている、人々がなぜ大声をあげて「北朝鮮の現体制をさっさと崩壊させるべきだ」と主張しないのか。それが私から見たら逆に不可解である。

 

なぜ石原慎太郎氏のような愛国保守の人たちが、今回、黙りこくっているのか。「核ミサイルを日本に落とすなど言語道断である。今こそ北朝鮮の共産主義体制を打倒する。そのために自分たちも米軍と一緒に漁船を仕立てて北朝鮮を攻めるぞ」と言わないのか不思議である。そのような勇ましい右翼の人士が、たったひとりも出て来ない。このことが私はかえって不思議でならない。

 

私の期待と予測では、米軍の爆撃と中国軍の侵攻から1カ月以内に、急いで金正恩体制を崩壊させ、金漢率(キム・ハンソル、後述する)と取り替えて新しい穏健な政治体制に作り替えることが良い。それが今も飢餓状態にある2000万人の北朝鮮国民を急いで救出することになる。

 

私の考えでは、北朝鮮はミャンマーのような穏やかな中進資本主義の国になって、外国資本(外資)をたくさん導入して、国内のあちこちの鉱物資源を掘ることから始めて、急いで国を建て直すのが一番いい。中国共産党でさえそのように考えている。今のままの過激な北朝鮮の、自分勝手で極端な共産主義を続けられるのは、世界にとって迷惑である。

 

北朝鮮の核兵器問題で一番怒っているのは、中国である。中国の習近平である。北朝鮮から北京まで800キロしかない。日本まではだいたい1100キロだ。中国が一番怒っている。だから私の去年4月の予言でも、「米軍による核施設爆撃があった、その直後に中国軍が北の国境線と西側の海岸線から侵攻(進撃)するだろう。中国兵が5万人ぐらい死ぬだろう。国境の地雷原を突破しなければいけないからだ」「1979年の中国・ベトナム戦争(中越戦争)の再来である」と書いた。今も私のこの予言(近未来予測)に変わりはない。中国の習近平はそこまでやると覚悟している。本書でいろいろと説明する。

 

だから米軍の爆撃は、今年の6月であろう。アメリカ国民にとって大切な独立記念日である7月4日(ジュライ・フォース)よりは前にトランプ大統領は爆撃命令を出す、と私は判断した。

 

=====

 

目次

まえがき

 

第一章      北朝鮮爆撃はなぜ6月なのか? 副島隆彦の予言は当たるか

南北融和ムードが戦争モードにガラリと変わる  18

心配するな、慌てるな。日本に核ミサイルは飛んでこない  25

アメリカは攻撃の前に北朝鮮に先に撃たせる  26

中国が金正恩体制を崩壊させる  29

米軍のシリア攻撃は北朝鮮への警告だった  38

日本は「局外中立」を宣言すべきだ  43

「管理された小さな戦争」しか起こらない  46

習近平が金正恩を許さない  50

われ、北朝鮮潜入を企てる  54

 

第二章   高永喆(元韓国国防省分析官)と緊急対談   米軍の通信傍受体制から、北朝鮮の新体制まで白熱討論

南北急接近でも米軍は6月空爆を実行する  62

「本番」をにらんで米空母が6隻態勢で集結  73

アメリカは北朝鮮に先に攻撃させる  78

キッシンジャーがコントロールする米・中・露の「第二次ヤルタ体制」  83

「スモール・ウォー」(小さな戦争)で終わる  88

日本や韓国に被害は出ない  91

北朝鮮と友好関係にある瀋陽軍区の兵士が進撃する  95

中国軍は38度線を越えない  103

 

第三章   2018年6月、北朝鮮体制崩壊へのシナリオ

ワシントンDCに届く核ミサイルは完成間近  110

戦争が始まる前には一切報道しないことになっている  115

トランプが「私の将軍たち」と信頼する3人の元軍人  120

韓国が演習に参加しなければ米軍が単独でやる  123

朝鮮戦争の頃から変わっていない南北境界線  125

1カ月以内で片づける  128

核兵器保有の主権を持つ北朝鮮を止められるのは国連だけ  131

爆撃後、米軍はすぐに朝鮮半島から手を引く  135

平昌五輪後に米韓軍事演習は実施される  138

キッシンジャーがお膳立てした「北朝鮮処理」  141

核兵器開発管理の枠組みが決まったのは2015年1月  146

キッシンジャーの人生最後の大仕事  149

ヒラリーなら世界が火の海になっていた  153

世界の3巨頭による「第二次ヤルタ会談」が開かれる  154

習近平は「死ぬのを恐れるな」と演説した  157

金正恩体制変更までのシナリオ  159

マティスが「戦争計画」を明言  162

 

第四章   トランプの本音は北朝鮮問題を1カ月でさっさと片づけたい

「アメリカ・ファースト!」の本当の意味  167

第二次大戦の時からあったアメリカの「国内問題第一主義」  172

ロックフェラー・グローバリズムと闘ったリンドバーグの思想  175
なぜトランプは「イスラエルの首都はエルサレム」と言ったのか  177
ヒラリーたちの「グローバリズム」とは「地球支配主義」である  179
アメリカは「世界の警察官」から降りる  182

 

第五章   習近平「北朝鮮処理のあと、西太平洋を中国に渡せ」

 江沢民や胡錦濤よりも格上となった習近平  189

「中国夢」を掲げて次の世界覇権国を目指す  194

対抗する「共青団」勢力を骨抜きに  196

習近平派がまとめて台頭  197

習近平独裁を支える政治警察長官  199

「一帯一路」構想とAIIBが突進する  200

「中国崩壊論」が崩壊した  205

政界より先に嵐が吹き荒れた中国軍の人事  207

日本は「アジア人どうし戦わず」を貫け  220

 

あとがき

 

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あとがき 

 

「まえがき」で書いたことの続きである。不思議なことに、「なに。北朝鮮の核ミサイルが日本に飛んでくるだと。断じて許せん。北朝鮮を征伐に行く」という日本人がひとりも出て来ない。何故なのだ。私はこんなことを考えながらブツブツとこの本を書いていた。日本人は本当にフヌケになってしまった。全てのことが他人事なのである。  

 

日本人の韓国、北朝鮮に対する考えは複雑である。まったく同じような顔と体つきをした人間どうしなのだから、もっと仲良くすればいいのに。と言っても、そんなに簡単なことではない。反共右翼や保守的な考え方の人たちは、「北朝鮮の裏にいるのは中国だ」「中国が必ず北朝鮮を助けるはずだ」「だからアメリカは中国とぶつかる」と考えている。私のこの本は、このような人たち相手にも書かれている。リベラル派が多い知識層の日本人は、すでに5年ぐらい前から「どうも朝鮮人韓国人は、中国のことが嫌いなようだ」と分かってきた。私のような世界政治の研究をずっとやってきた人間は、中国と朝鮮の長い争いや戦いの歴史を知っている。15世紀に世宗大王(朝鮮王国の名君)がハングルという新しい文字を作って、国語にしたのには深い理由がある。それは、何があっても朝鮮民族は中国・漢民族に吸収合併されない、という強い民族防衛の思想があるからだ。この考えは今も変わらない。朝鮮・韓国人は、人口が3分の1に減るまで戦っても絶対に中国には屈服しない、という固い意志を持っている。韓国人の知人にちょっと聞いたくらいでは口にしないが、本心である。今の韓国の若者たちは、北朝鮮問題に対して、全く無関心を装っている。「自分たちが生活していくだけでも大変なのに。とても北朝鮮の人たちまでは助けられない」と思っている。だから北朝鮮問題に対しては、何もしゃべらないで口を閉ざしている。

 

だがよく考えてみればこの態度は、日本国民もほとんど同じである。日本人は、北朝鮮問題に対して黙っている。今もそうだ。「独裁体制の気持ちの悪い国だね」と、ささやき合ってきた。ところが去年から北朝鮮の核ミサイルが自分たちにも飛んでくる可能性が高まってきた。そうなると他人事では済まなくなってきた。だが、それでも今の日本にはどうすることもできない。黙ってじっと事態の推移を見守るしかない。国際社会(=世界)が、何とかしてくれるだろうと待っているしかない。何とかしてくれる、とは問題を処理する? 片付ける? 危険を取り除く? ということか。

 

この本の中に書いたが、1月4日に、習近平は、中国軍の幹部たちを集めて「死ぬことを恐れるな」と演説している。同じ日の1月4日に、トランプ大統領は「南北対話が行われている間は、アメリカはいかなる軍事行動も取らない」と明言した。文在寅韓国大統領との電話会談である。ということは、南北対話が終わったら軍事行動を取る、という意味である。国連での手続きもちゃんとそれまでに取る、という意味だ。マティス国防長官は同じ1月4日に、「平昌オリンピックの後には必ず米韓合同軍事演習を行う。それまで延期する」と言った。ロシアのプーチン大統領は、1月11日に「金正恩はゲームに勝っている。この若者は、なかなかの政治家である」と持ち上げた。ロシアは巧妙に自分の取り分を確実に確保しようとしている。北朝鮮の体制変更後のこの地域(リージョン)での自国の経済的利益を得るだろう。広大なシベリアの大開発というロシアにとって大きな国家戦略の一環である。  プーチンは、アメリカが言う「朝鮮半島の非核化」即ち、北朝鮮から核兵器を取り上げて、現体制の作り変え(レジーム・チェンジ)に反対しない。北朝鮮を穏やかな中進国に作り変えるというトランプと習近平の計画に反対しない。

 

なぜならば、トランプと習近平とプーチンの、世界の三大国の3巨頭は、すべてヘンリー・キッシンジャー博士(94歳)の教え子のようなものであり、今の世界はキッシンジャー戦略で動いているからである。この本でずっと説明してきた。キッシンジャーが1954年(31歳)のときに書いた「限定的核戦争論」という論文のとおりのことが今起きており、それに対応する形で刻々と世界は動いている。キッシンジャーは、すでに64年前に「5大国以外の国々がやがて核兵器を持つようになる。それでもできる限りそれらを奪い取らなくてはならない。それが世界が安定して維持されるために必要な世界戦略である」と書いた。現実の世界は、この非情な論理で動いている。私たちは甘い考えを持つべきではない。   トランプと習近平とプーチンによる3巨頭の「第二次ヤルタ会談体制」は、私の自説である。私のこの理論以外にどんな世界体制論が現在あるだろう。私の主張は日本の言論界でほとんど無視されているように見える。しかし本当は私が最先端を行っており、国内言論を先導(かつ煽動、笑)しているのである。このことを知っている人はたくさんいる。だが、皆、黙っている。

 

私にとってはすでに北朝鮮の核問題は終わっている。その次に、アメリカ(トランプ)と中国(習近平)との、激しい闘いが待っている。それは台湾と南シナ海のスプラトリー・アイランズ(南沙諸島)の問題である。この一部に東シナ海の尖閣諸島が入る。去年11月9日の北京での米中会談で、トランプが、「中国は少しは世界に遠慮して、南沙諸島の軍事人工島を撤去しなさい」と言った。そうしたら習近平が、「アメリカの方こそ遠慮しなさい。いつまでも世界の海を支配しなくてもいい。米海軍はグアムまで引っ込みなさい」と言ったようだ。世界のトップの政治家どおしの言い争いというのは、本当はこのように分かり易いものなのである。

 

中国は、今のままの巨大な経済力の成長をどうせ続ける。だからそれに見合った軍事力の増大で、アメリカを圧して「西太平洋(ウエスト・パック。ハワイより西)は中国に任せなさい」と言っている。この問題が北朝鮮の次の問題としてすでにせりあがってきている。私の大きな結論では、トランプ大統領は、アメリカ国内の立て直しの方が重要であるから、アジア諸国から軍事力を徐々に撤退しようと考えている。「もうこれ以上余計な軍事出費をアメリカはかけられない」と分かっている。だから中国の要求に少しずつ応じて行かざるを得ない。これは〝アメリカの衰退〟を表している。

 

この事態に日本の保守派や反共右翼たちはいきり立っている。「アメリカは、なぜ中国とロシアの伸長に対して本気で対決しようとしないのだ」と強く不満に思っている。だがこれらの旧式の古い考えの人々は、やがて現実対応力を失って衰退していく。私たちは、北朝鮮後のことを急いで考えなければいけない。

 

この本は緊急出版に近い本である。台本作成から3週間という突貫工事に俊敏に対応してくれた担当編集者の光文社出版企画編集部の田尾登志治副編集長に格段のご支援をいただいた。ライターの市川昭彦氏が、幸運にも韓国軍の国防省で長年、戦争兆候の調査分野におられた高永喆氏との対談を実現してくださった。米澤仁次局長にはこの本が時宜にかなって迅速に出版されることで万全のご配慮をいただいた。記して感謝します。

 

2018年2月10

副島隆彦

 

(貼り付け終わり)

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