古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:ロバート・ケーガン

 古村治彦です。

 

 ネオコンの著名な評論家であるロバート・ケーガンが、ヒラリー・クリントンの政治資金集めのイヴェントを開催するという情報が入りました。たったこれだけのことですが、『フォーリン・ポリシー』誌では記事になりました。こんなことは、それだけ、「奇妙なこと、おかしなこと」なのです。

 

 共和党ではドナルド・トランプが大統領選挙候補者に内定していますが、これに対して、共和党内の外交政策専門家たち、特にネオコンに属する人々は、トランプに嫌悪感を示しています。このブログでもご紹介しましたが、共和党内の外交専門家たちは、3月にはトランプに反対する公開書簡を発表しています。

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ロバート・ケーガンとヴィクトリア・ヌーランド 

 

 ですが、ついに、ヒラリーの政治資金集めにまで協力するネオコンが出てきました。それは、ロバート・ケーガンです。ロバート・ケーガンは一家そろって、父親も夫人も、弟夫婦もネオコンという筋金入りです。奥さんのヴィクトリア・ヌーランドについても何度もご紹介していますが、こちらは国務省のキャリア外交官です。ヒラリーが国務長官の時にはヌーランドは国務省報道官を務めていましたし、ロバート・ケーガンは長官直属の超党派の諮問会議のメンバーでした。

 

 個人的には関係が深いというのは分かるのですが、資金集めをやるとなると、これは共和党に対する裏切り行為です。こういう動きが出てきているというのは、共和党内部に相当な亀裂とダメージがあるということの証拠になります。

 

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スクープ:共和党所属でネオコンとして有名な人物がヒラリー・クリントンのために資金集めを行う(Prominent GOP Neoconservative to Fundraise for Hillary Clinton

 

ジョン・ハドソン筆

2016年6月23日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2016/06/23/exclusive-prominent-gop-neoconservative-to-fundraise-for-hillary-clinton/

 

 著名なネオコン派の論客にしてイラク戦争を早くから主張していたある人物が、来月、ヒラリー・クリントンの選挙資金集めの集まりを開くことが『フォーリン・ポリシー』誌の取材で明らかになった。この動きはヒラリー・クリントン陣営が著名な共和党員や共和党支持者たちと協力する姿勢になっていること、更には共和党員や支持者の中にドナルド・トランプの大統領選挙当選阻止のためにかなりの禁じ手をやる人たちが出てきていることを示している。

 

 ブルッキングス研究所上級研究員で、シンクタンク「プロジェクト・フォ・ザ・ニュー・アメリカン・センチュリー」の共同設立者であるロバート・ケーガンは、7月21日にワシントン市内のローガン・サークル地区で「ヒラリー・フォ・アメリカ」の資金集めのための集まりを開く予定だ。本誌が入手した招待状には次のような文言が記載されている。「このイヴェントでは、アメリカのNATO、ヨーロッパの主要な同盟国とパートナー、そしてEUに対するこれからも続けられる投資に関してオフレコの会話も行われる予定です」。

 

 本誌はケーガンにコメントを求めたが返答はなかった。

 

 ヒラリー・クリントン陣営では、トランプの高い不人気と彼の攻撃的なコメントのために、伝統的な共和党支持者たちからの得票を期待できると考えている。そして、陣営では共和党支持者たちに積極的に働きかける動きが始まるだろう。

 

 ヒラリー陣営ではしかし、このような動きについては慎重になっていた。それは、民主党左派で予備選で激しく闘ったバーニー・サンダースや彼の支持者からの批判を受けたからだ。サンダースはヒラリーが上院議員時代の2002年にイラク戦争に賛成の投票を行ったこと、ヘンリー・キッシンジャーの様な批判が多い共和党側の人物たちやウォール街とも深い関係を持っていることを批判した。

 

 2月に行われた討論会で、サンダースは「ヒラリー・クリントン氏は著書と今回の討論において、ヘンリー・キッシンジャーからの推薦、もしくは支持をとりつけようとしている。私は驚き以上のものを感じている。それは、ヘンリー・キッシンジャーがアメリカ史上最もアメリカを破壊した国務長官であると私は考えるからだ」と述べた。

 

 共和党内の外交政策の専門家たちの多くがトランプを非難しているが、ヒラリーを支持すると公言している人の数はもっと少ない。しかし、亀裂は表に出始めている。

 

 6月22日、ヒラリーは共和党のブレント・スコウクロフトの推薦を取り付けた。スコウクロフトは、ジョージ・HW・ブッシュ(父ブッシュ)、ジェラルド・フォード両大統領の大統領国家安全保障担当補佐官を務めた。また、リチャード・ニクソン、ジョージ・W・ブッシュ両大統領には助言者として仕えた。

 

スコウクロフトは声明の中で、「ヒラリー・クリントン氏は国際問題の分野の経験が豊富で、世界に対する理解も深い。これらの要素はアメリカ大統領に不可欠だと私は考えている」と述べている。

 

 しかし、スコウクロフトは共和党内のリアリストに属している。彼はリベラル派の中のグループと同じく、「アメリカはあまり外国に介入すべきでない」という世界観を持っている。一方、ケーガンはネオコンに属している。ネオコン派、軍事力の行使、独裁者の軍事力を使った排除、民主政治体制の世界への拡散を中心に据えたイデオロギーだ。

 

 民主党の大統領選挙予備選が熱を帯びていく過程で、サンダースを支持する有名人たちは、ヒラリーとケーガンやネオコンのよりタカ派的な政策を結び付けようとした。彼らはそのために、ケーガンのヒラリーに対する好意的な発言を引っ張り出してきた。

 

 2014年、『ニューヨーク・タイムズ』紙の取材に対して、ケーガンは次のように述べている。「外交政策の面で、ヒラリー・クリントンと一致する点は多い。彼女がやりたいだろうなと私たちが考える政策を彼女がやったら、それはネオコン的な政策と呼ばれるものになるだろう。しかし、彼女の支持者たちはそれをネオコン的とは呼ばないだろう。何か他の言葉を付けるだろう」。

 

 ここ数年、ケーガンは、シリアにおける5年にわたる内戦にアメリカが介入していないことと、ウクライナ紛争においてロシアに対してより強硬な姿勢を取らないことに関し、オバマ政権を厳しく批判してきた。ケーガンはまた、連邦予算において国防予算の増額を求めている。ケーガンの考えは、彼が最近『ニュー・リパブリック』誌に掲載した論稿のタイトル「超大国は引退などできないのだ」に要約される。彼は論稿の中で、世界においてアメリカは更に外交的、軍事的存在感を増すようにすべきだと主張している。

 

 ケーガンはNATOの熱心な支持者であり、擁護者である。そのため、トランプの考えとは真っ向から対立する。トランプは軍事同盟を「時代遅れ」なものであり、ヨーロッパに同盟諸国には、自国のGDPの2%以上を防衛費として支出しないのなら、制裁を加えるべきだと考えている。NATOに加盟している28カ国でこの基準を満たしている国はほとんどない。ヒラリー・クリントンは最近の複数の演説でNATOを擁護している。

 

 ケーガンはヒラリー・クリントンが国務長官を務めていた時期に国務省報道官を務めたヴィクトリア・ヌーランドの夫である。ヌーランドは現在、ヨーロッパ・ユーラシア担当国務次官補を務めている。ヌーランドは、オバマ政権に対して、ウクライナでの紛争でアメリカはより積極的な役割を果たすように強く主張したことで知られる。

 

 カンブリアホテルで開催されるイヴェントの入場券の値段は1枚100ドルだ。イヴェントのスピーカーと主催者と話が出来るパーティーに出席できるVIPチケットは1枚250ドルだ。「主催者」の待遇を得るためのチケットは500ドルである。

 

(終わり)

 






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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-07-29



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

ヌーランドとホワイトハウスとの間で考えは一致していないが、民主、共和両党に属する連邦議員たちは、ヌーランドの言っていることは正しいと確信を持っている。

 

 連邦下院外交委員会で民主党側を率いる議員でミュンヘン安全保障会議にも出席したエリオット・エンゲルは次のように発言している。「彼女の話を聞くと元気が出る。私たちはウクライナに対して防衛を目的とした武器を供与すべきなのだ。ロシアがいつもウクライナを打ち破るという主張に私は与しない。それは敗北主義的態度だと思う」。

 

 エンゲルのタカ派的態度は彼だけのものではなく、連邦議会上下両院の議員たちの多くの態度でもある。

 

 2014年12月、連邦議会は多くの議員の賛成により、大統領に対してウクライナに、弾薬、兵士が操縦する調査用のドローン(無人飛行機)、対戦車兵器を含む最終的な支援を与える権限を与える法律を可決した。オバマ大統領も可決された法案に署名することに同意した。それはこの法律は大統領にウクライナへの支援を強制する内容ではなかったからだ。連邦上院は今週、新しい戦術を試すために、法律の改正を行おうとしている。この改正は、対ウクライナ支援のための予算のうちの20%までが使われるまでの間、ウクライナの安全保障支援のための3億ドルの半分の執行を停止するという内容だ。この法律改正についてはホワイトハウスが反対している。それは、アメリカが最終的な支援を行うことでウクライナにおける流血の惨事がエスカレートし、プーティンには更なる暴力的な侵攻を行うための口実を与えることになるとホワイトハウスは恐れているのだ。

 

 アメリカ連邦議会とホワイトハウスの政策の違いが、ヌーランドと彼女に応対するヨーロッパ諸国の外交官たちの間の不和の原因だという説明もなされているが、彼女の厳しい姿勢もまた原因だと主張する人々もいる。

 

ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究所(SAIS)の上級研究員フェデリガ・ビンディは「ヌーランドの攻撃的な姿勢は、少なくともヨーロッパの外交界においては行き過ぎのように感じられている」と述べている。

 

 ヌーランドを擁護する人々は、ヌーランドの「厳しい愛情」という特徴こそ、昨年のロシアによるクリミア併合後のロシアに対するアメリカ政府の対応に必要であったと述べている。

 

 ホワイトハウスの戦略は、厳しいが非軍事的な方法を混合させた形の対ロシア政策を実施し、それによってヨーロッパの団結を図るというものである。この政策に含まれるのは、昨年9月に開始されたアメリカとEUによるロシアのエネルギー国営企業、武器製造企業、金融部門を標的とした経済制裁、G8からのロシアの除外、同盟諸国に対してプーティンをそれぞれの首都に招かないこと、もしくはロシアを国賓待遇で訪問をしないように求めることだ。

 

ヨーロッパの団結を維持するのは易しい仕事ではない。

 

 ロシアを軍事的に抑止する問題について、ヨーロッパは混乱している。バルト海沿岸諸国はより攻撃的な対応を求めているが、イタリアとギリシアは外交による対応を求めている。EUの中で最も力を持つドイツとフランスはこの2つの解決策の中間的な解決を求めている。

 

 制裁については、ヨーロッパ諸国の首脳はアメリカよりも腰が引けている。それは、ヨーロッパ諸国はロシアの各企業との間で長年にわたり、友好的な関係を築いているからだ。禁輸政策の結果、フランスの農産物輸出とイタリアの観光業は大きな痛手を蒙っている。

 

 ヨーロッパ諸国が対ロシア制裁から離脱する場合、ヌーランドに対してそれを伝えねばならない。これはなかなか荷厄介で一筋縄ではいかない。

 

 2015年3月中旬、ヌーランドはローマを訪問した。この時、イタリア首相マッテオ・レンツィは、ロシアがクリミアを併合して以来、ヨーロッパ諸国の首脳としてモスクワを初訪問し、プーティンと会談してイタリアに帰国したばかりであった。

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マッテオ・レンツィ 

 

 イタリアはプーティンを孤立させることを目指す西側の政策に批判的であった。ヌーランドはレンツィがロシア訪問を行った後初めてイタリアを訪れたアメリカ政府高官であり、レンツィに圧力をかけるという困難な仕事を行った。ある外交関係者によると、ヌーランドはレンツィに対して激しい言葉遣いで非難を行い、レンツィは侮辱されたと感じ、怒り狂ったということである。

 

 あるオバマ政権高官は、このメッセージはレンツィに届ける必要があるものだったと協調している。この高官は次のように述べている。「オバマ政権の政策は、同盟諸国がプーティンを首都に招かない、またプーティンから国賓待遇で招待されてもそれを受けないように求めることだ。アメリカ政府の高官たちは、イタリア政府に対して、レンツィ首相の訪露に対して懸念を持っていると伝えてきた」。

 

 ヨーロッパ諸国からの不信感があることは認めながらも、この高官は、ヌーランドのメッセージは「怒りではなく、失望をヨーロッパ諸国に与えた」と述べた。

 

 この厳しい姿勢を理由にして、アメリカ政府や連邦議会の人々はヌーランドを賞賛しているのである。

 

エンゲルは、「彼女は率直にあるがままに話す。何か守ろうとかごまかそうとかしない」と語った。

 

* * *

 

 ヌーランドはフランス語とロシア語を不自由なく操る。20代の頃、ロシア語を学ぶために数カ月にわたり、ソ連のトロール漁船に乗船したのだが、この時にソ連(ロシア)に対する激しい憎しみを抱いたと言われている。

 

ヴィクトリア・ヌーランドの父シャーウィン・ヌーランドは既に亡くなっているが、イェール大学教授として有名であった。ヴィクトリアの夫ロバート・ケーガンはネオコンに属する有名な評論家である。彼女の人生は力を持った、人々の心を動かす表現者たちに囲まれていると言える。

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 ロバート・ケーガン

 

 ケーガンは、新アメリカ世紀プロプロジェクト(PNAC)の創設者の1人であり、悲惨な結果に終わったアメリカ軍のイラク侵攻を最も強力に主張した人物である。枯れもまたヨーロッパの人々を苛立たせた人物として有名である。彼は外交政策分野におけるアメリカとヨーロッパの分裂について論稿を書いた。この中で、軍事力の使用について、「アメリカ人は火星から、ヨーロッパ人は金星から生まれたくらいに違いがある」と書いた。

 

 ヌーランドは宣誓式において、自分の結婚生活について、夫ケーガンの論稿に言及しながら次のように述べた。「彼は私の火星であり、金星であり、そして地球です」。

 

 昨年、ヌーランドとケーガンは、『ポリティコ』誌の取材に対して、最初の数回のデートで民主政治と世界におけるアメリカの役割について話したことで意気投合し、恋に落ちたと語った。

 

 ヌーランドがケーガンと結婚しているため、ヨーロッパ人の殆どは、彼女が共和党員だと思っている。しかし、彼女のロシアに対するタカ派的なアプローチはオバマ政権内部で彼女だけが採っているものではない。

 

 複数のアメリカ政府関係者によると、アメリカ政府の最高首脳たちも私的な場ではウクライナへの武器供与を支持しているということだ。その中には、ケリー国務長官、アシュトン・カーター国防長官、ジョー・バイデン副大統領、ミュンヘン安全保障会議でヌーランドと共にブリーフィングを行ったブリードラヴ空軍大将も含まれている。カーターは自分の考えを公然と話し、それが放送された。カーターは2015年2月の上院軍事委員会に出席し、「私はウクライナへの武器供与を支持する。それは、ウクライナが自国防衛をすることをアメリカが支援しなくてはならないと考えているからだ」と述べた。

 

 オバマ政権内でヌーランド以外にもウクライナ問題について発言している人物が2人いる。1人は国家安全保障会議ヨーロッパ問題担当上級部長チャールズ・カプチャンであり、もう1人はロシア・ユーラシア担当上級部長セルスティ・ワーランダーである。カプチャンとワーランダーの考えは、彼らの学問研究の成果から生み出されたものだ。カプチャンは長年にわたり、NATOに対して疑義を持っていた。彼は危機的状況の軍事力による解決に疑念を持ってきた。彼の存在と疑念によって、よりタカ派的な解決策が国家安全保障会議を通過することはなく、まさに知的な防波堤と言うことが出来る。

 

 ヌーランドは、国務省の人々の多くが持つウクライナ危機に関する主流の考えから逸脱してはいない。しかし、ヨーロッパの人々のヌーランドが大変なタカ派であるとい印象を和らげることはすぐにはできないだろう。それは彼女が取り返しのつかないことで有名になってしまったからだ。ウクライナ国内の反対勢力とウクライナ元大統領のヴィクトール・ヤヌコヴィッチとの間の政治的対立が大きくなっていた2014年、彼女の私的な電話での会話が録音され、何者かによって漏洩されたのである。

 

 皮肉なことに、この会話録音の漏洩によってヌーランドは有名になったが、彼女が国務次官補としてやってきた仕事を誰も理解しようとはしなかった。

 

 アメリカ、ヨーロッパの外交筋からの情報だと、その当時にさんざん報道された内容とは異なり、ヌーランドの余計なひと言は、EUのヤヌコヴィッチ政権に対する姿勢に対する不満、またはEUに対するヌーランドの日ごろの考えから出たものではないということだ。

 

 F爆弾(fuckという言葉を使ったこと)が世界を駆け巡ったのだが、これは2014年1月初頭まで遡る技術的な不同意の結果として生まれたことなのである。当時、数多くの人々がキエフの独立広場での抗議活動に参加し、ヤヌコヴィッチ大統領の辞任を求めた。ヤヌコヴィッチは親露的な人物で、多くの公約違反を犯したが、EUとの政治・貿易協定への署名を見送った。

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ウクライナ反対派(ネオナチ勢力)と仲の良いヌーランドとマケイン

 

 アメリカ政府高官たちは、ヤヌコヴィッチに対してその当時の政権を放棄して、反対勢力の指導者たちを参加させるテクノクラート政府の樹立を行うように求めた。数週間の抵抗の後、ヤヌコヴィッチは態度を軟化させ、反対勢力に対して新政府で2つの地位を与えると提案した。これは外交上大きな転換点となった。ずる賢い政治家ヤヌコヴィッチにしてやられることを恐れた反対勢力は、話し合いに第三者、理想的にはEUが加わることを求めた。EUが話し合いへの参加を拒絶したことで、ヌーランドは怒り、そして後に後悔することになった激しい言葉遣いとなってしまったのだ。彼女はヨーロッパ諸国を遠ざけ、国連に肩代わりをさせるとことを考えたのだ。

 

 ヌーランドは次のように語った。「これは良いアイディアなのよ。状況を改善し、国連にその手助けをさせるというのは。ああそうそう、その点ではEUはダメね、クソ喰らえだわ」。

 

ドイツのアンゲラ・メルケル首相はヌーランドの電話での会話内容を「全く持って容認しがたい」ものだと述べた。ジョン・ケリー国務長官はEUの首脳たちに対してヌーランドの発言内容について謝罪した。

 

 人々の殆どは、電話の録音はロシアの諜報機関が漏洩させたもので、その目的はEUとアメリカとの間の溝を大きくすることだと考えている。

 

 しかし、ここまでのところ、この戦略はうまくいっていない。アメリカとヨーロッパは禁輸政策で多少混乱はしたが、一致した行動を取っている。2015年6月17日、EUは対ロシア禁輸を更に6カ月延長することに合意した。ロシア政府は延長をしないように激しく働きかけを行ったが失敗に終わった。しかし、ロシアの諜報機関は、ヌーランドとヨーロッパ諸国の交渉相手との関係は悪化しているという鵜沢を流し続けている。

 

(終わり)







野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

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