古村治彦です。

 

 今回は、5月中旬以降の世界の動きを紹介した記事をご紹介します。この記事では、大事なイランの大統領選挙(2017年5月19日)について書かれていませんが、それ以外は書かれていると思います。イランの大統領選挙では現職で穏健派のロウハニ大統領に対して、対米強硬保守派がライシ元検事総長に一本化したので、ロウハニ氏が落選する可能性が出てきています。アメリカとイランとの間で核開発に関する合意が結ばれましたが、この先行きが不透明なために、ロウハニ大統領がこの合意を成功とアピールできないという事情があります。

 

 今週はトランプ大統領がトルコのエルドアン大統領やコロンビアのサントス大統領をホワイトハウスに迎え、その後、大統領就任後初の外遊に出かけます。イスラエルとサウジアラビアと中東の同盟諸国を訪問し、その後、ヴァティカンを訪問します。現在のローマ法王はトランプに対して批判的ですが、どのような会談になるかどうか重要です。

 

 G7では、トランプ大統領がG7の枠組み自体を問題にするという可能性もあるそうです。中国とロシアが入っていない会議では意味がないということだそうで、日本にとっては、地位低下、アジア唯一のG7参加国というステータスの喪失ということになります。

 

 これからしばらくの世界情勢について考える上で参考になりますので是非お読みください。

 

(貼り付けはじめ)

 

中国の道、ドイツの選挙、そして、トランプの訪問者たち(China’s Road, German Elections, and Trump’s Visitors: The Weekend Behind, the Week Ahead

 

エミリー・タムキン筆

2017年5月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/05/15/chinas-road-german-elections-and-trumps-visitors-the-weekend-behind-the-week-ahead/

 

北朝鮮が再びミサイル発射に忙しくしていた時、中国は、「一帯一路」フォーラムを主催していた。中国の習近平国家主席の提唱した同名の貿易イニシアティヴを中心に会議が開催された。

 

各国の指導者の中には、この中国が開いた外交上の大宴会に欠席した人々もいたが、喜んで参加した人々もいた。インドのナレンダ・モディ首相は欠席した。インドは、一帯一路イニシアティヴについて、国家主権を損なうと主張している。会議に出席したチェコ大統領のミロシュ・ゼマンはロシア大統領ウラジミール・プーティンに対して、ジャーナリストたちは全員追い出すべきだとジョークを言った。プーティンはこれに対して、いや追い出す必要はないが、数は減らすべきだと答えた。また、プーティンはピアノの弾き語りを披露した。

 

ロシアに目を移すと、ソ連時代に建設されたモスクワの高層アパート群の取り壊しに対して多くの人々が抗議のために集まった。抗議に集まった人々はこれまで政治的な活動をしたことなどない人々だ。参加者の中の例外は野党の指導者アレクセイ・ナヴァルニーだ。ナヴァルニーは抗議活動を組織した訳ではなかったが、ナヴァルニーは妻と息子と共に、警察によって抗議活動の中から排除された。

 

ロシアから少し西に目を移すと、エマニュエル・マクロンが正式にフランシス・オランドに代わってフランス大統領に就任した。マクロンは就任演説の中で、公約から後退することなく、大統領としての責務をきちんと実行すると誓った。

 

他のヨーロッパの国の政治ニュースを見てみると、ドイツ首相アンゲラ・メルケル率いる中道右派キリスト教民主同盟(CDU)は、北ライン・ウェストファリア地域での選挙で、マルティン・シュルツ率いる社会民主党(SPD)を破った。社会民主党の首相候補であるシュルツは、この秋に行われる連邦総選挙の前哨戦だと述べていた。彼の主張が正しいとすると、前哨戦の結果はシュルツにとって不吉な結果となった。キリスト教民主同盟の州レヴェルでの勝利は、メルケル時代が続くことを予期させる。さらに注目すべきは、極右政党の「ドイツのための選択肢(AfD)」は16州で行われた州議会選挙のうち、13州で勝利を収めている。

 

ドナルド・トランプにとってはどうだろうか?彼はこれから外国からの賓客を迎える。アブダビのムハマンド・ビン・ザイード・アルニュハヤン皇太子、トルコ大統領レセプ・タイプ・エルドアン、コロンビア大統領ホアン・マニュエル・サントスがホワイトハウスを訪問する。

 

一連の賓客を迎えた後、トランプ大統領は大統領として初めての外国訪問に出発する。イスラエル、サウジアラビア、ヴァティカンを訪問し、シシリー島でのG7、ブリュッセルでのNATO首脳会議に出席する。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)



アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22