古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:下條竜夫

古村治彦です。

 

今回は、学問道場主催の定例会開催のお知らせをいたします。大変お待たせいたしました。開催日は本年2023年4月9日(日)になります。どうぞふるってご参加下さい。参加受付は一番下のリンクからお願いいたします。

 

今回も、前回に引き続き、定例会出席による参加と、インターネット配信(同時中継ではございません)での参加の2つの方式をご用意しております。DVDの頒布の予定はございません。以下に定例会の内容を貼り付けます。

 

(貼り付けはじめ)

 

第44回副島隆彦を囲む会主催定例会

「核戦争か。もう×陰謀論者と言わせない」

 

・講師:副島隆彦(そえじまたかひこ)先生、下條竜夫(げじょうたつお)研究員

・開催日時:2023年4月9日(日)12時開場、12時45分開演

・会場:JR「御茶ノ水」駅 全電通労働会館ホール

・会場住所:〒101-0062  東京都千代田区神田駿河台3丁目6

TEL03-3219-2211 FAX03-3219-2219

・地図:

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・会場までのアクセス:

JR中央・総武線 御茶ノ水駅

(聖橋口出口 徒歩5)

東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅

(B3出口 徒歩5)

東京メトロ丸ノ内線 淡路町駅

(A5出口 徒歩5)

都営地下鉄新宿線 小川町駅

(A7出口 徒歩5)

 

・当日の予定:

開場  12:00

開演  12:45

終了  17:00(予定・終了時刻は延長する可能性がございます)

 

【新型コロナウイルス感染拡大防止のお願い】

・発熱など体調が悪い場合には参加をお見合わせ下さい。

・マスクを着用してご参加ください。

・手洗いと手指の消毒をお願いいたします。

・ロビーやお手洗いなどでは密にならないよう、ご協力をお願いいたします。

 

(貼り付け終わり)

 

第一部は下條竜夫(げじょうたつお)SNSI・副島隆彦の学問道場研究員の講演です。演題は「物質(物理)と霊魂」です。下條研究員はこれまでに『物理学者が解き明かす重大事件の真相』(2016年)『物理学者が解き明かす思考の整理法』(2017年)といった物理学を分かりやすく説明し、それを応用して世間で起きた事件を分析する本を出しています。今回、既存の物理学の枠組みを超えてより真実に近づく話をします。

 

第二部、第三部は、副島隆彦(そえじまたかひこ)先生の講演です。演題は「核戦争か。もう×陰謀論者と言わせない」です。2022年2月24日にウクライナ戦争が始まり、1年が過ぎました。アメリカとイギリスの策謀に対して、ロシア、そして中国は賢明に対応しています。戦争は第三次世界大戦、そして核戦争へと段階が上がっていく中で、真実を述べてきた学問道場、そして副島隆彦先生の言論に改めてご注目ください。また、3月に入って、アメリカ経済の減速が見えてきています。

 

※定例会出席のお申し込みはコチラ↓

https://www.kokuchpro.com/event/a2581e2750be4ff24ba5e4030118dddc//

 

定例会出席参加ならびに、配信参加をどうぞよろしくお願いいたします。

 

副島隆彦の学問道場

古村治彦拝

 

(以上)

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 古村治彦です。

 今回は7月16日に発売となった、下條竜夫(げじょうたつお)著『物理学者が解き明かす邪馬台国の謎 卑弥呼の本名は玉姫であり、邪馬台国は太宰府にあった』(秀和システム)をご紹介する。
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物理学者が解き明かす邪馬台国の謎 卑弥呼の本名は玉姫であり、邪馬台国は太宰府にあった

 下條竜夫氏は兵庫県立大学理学研究科准教授を務め、私とは副島隆彦門下の同僚となる。下條氏はこれまでに『物理学者が解き明かす重大事件の真相』『物理学者が解き明かす思考の整理法』という2冊の単著を出している。

 今回のテーマは日本古代史、多くの人々が関心を持っている邪馬台国(やまたいこく)だ。下條氏は邪馬台国の秘密を明らかにしている。物理学者がどのように古代史の謎に挑むか、是非皆さんで確かめていただきたい。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

はじめに

●邪馬台国の謎

日本の歴史上の最大の謎は、卑弥呼(ひみこ)と邪馬台国(やまたいこく)である。

 中国の歴史書の『三国志』「東夷伝」の倭人の条(くだり)に卑弥呼と邪馬台国が紹介されている。卑弥呼は「鬼道(きどう)」と呼ばれる怪しげな呪術(じゅじゅつ)を使いながら倭国の女王として祀(まつ)りあげられたと書いてある。なぜ、そんな人物が女王になったのかはわからない。その卑弥呼が住んだ国と書いてあるのが邪馬台国である。ここも謎に包まれている。場所さえ特定できない。

 この本の中で詳しく述べるが、それ以外にも多くの謎がある。卑弥呼など存在しなかったという説もある。三百年以上の間、侃侃諤諤(かんかんがくがく)と議論が続いている。

 この本では私はひとつの事実を仮定して、それをもとに邪馬台国の謎のすべてを解明しようと思う。

 その仮定とは、『三国志』の列伝に登場する五斗米道(ごとべいどう)の教祖である張魯(ちょうろ)という人がいる。その姉妹、張玉蘭(ちょうぎょくらん)こそが卑弥呼であるという事実である。

 この事実自体は文献がないので証明ができない。歴史というのは文字があって、つまり歴史書に記述があってはじめて議論ができる。記述がない場合、歴史にはならない。しかし、この仮定によってあらゆる邪馬台国にまつわる謎がすべて解ける。本当にすべての人が納得のいく形で解けてしまう。

 これは数学で言えば「公理」にあたる。違う公理を用いると、違う数学が生まれる。平行な直線は交わらないというユークリッド幾何学に対して、平行な直線も交わるとしてできた非ユークリッド幾何学が有名だ。同様にある歴史の史実を仮定することで、全く違う歴史像が生まれてくる。

 この本では、まず第1章で邪馬台国の謎を俯瞰(ふかん)する。八つの謎を、過去の文献を参考に見ていく。そして、その後、第2章以下でその八つの謎をすべて解いていく。余計ではあるが、卑弥呼は美人だったことまでも、史実をもとに明らかにしていく。第2章および第3章では卑弥呼とは誰だったのか、そして第4章では、邪馬台国がどこにあったかを詳細に説明する。さらに、第5章では、単なる祈祷師(きとうし)・呪術師(じゅじゅつし)と思われていた卑弥呼が、実は日本の文化の基礎をつくった最重要人物だと考えられることを明らかにする。

●なぜ物理学者が歴史の本を書くのか

 この本は『物理学者が解き明かす重大事件の真相』『物理学者が解き明かす思考の整理法』に続く、私が書いた三冊目の本である。

 私は物理学を専攻し研究する学者である。物理学者がこの手の歴史本にかかわるなら、アイソトープの半減期による年代決定、含有物の元素組成比による制作地決定など、物理学的計測手法のデータを基にした考察を書くのが普通だろう。しかし、この本には、その手の計測結果やデータはほとんど出てこない。したがって、著者が物理学者である理由は特にない。もしかしたら、この本を手にとった方の中に科学的計測がでてこないことにガッカリした人がいるかもしれない。

 ただ、科学=サイエンスに従事するものとして以下のことに挑戦してみたかった。

 まず、科学の伝統的な手法、祖述(先人の学説を受け継いで発展させること)をつかって、日本の歴史に挑戦してみたかった。特に、中国史の専門家の岡田英弘氏の学問を土台として、日本の歴史に挑戦してみたかった。

 日本人は、専門外の人の意見をあまり重く見ない。日本古代史の研究者も中国史を専門とする岡田英弘氏を相手にしない。丸山眞男(まるやままさお)という戦後の政治学者は、専門分野に閉じこもり、他の優れた学説を取り入れない、このような学者の頑(かたく)なな態度を「タコつぼ型という学問に対する日本独自の態度」と表現した。我々は優れた過去の学説に対しては、引用する形できちんと取り上げるべきである。ある優れた学説を受け継ぎ、きちんとその内容と優れた点を説明し、その上に自分の発見した事実を積み重ね、自分の説を展開していく。科学はこれにより進んでいく。同じことを、日本の歴史学でやってみたかった。第5章で詳しく述べる。

 ただし、通常の科学の手法は使えない。科学では、いくつかの実験的事実、観測した事実から、ひとつ、あるいは複数の命題や法則を導いていく。これが王道である。これをcorrespondence theory of truth(真理の対応説)という。歴史は科学ではないが、同様に、古い文献の記述の信頼性から真実を議論する。これはその文献の信頼度で決まり、歴史学者によって徹底的に議論されている。門外漢の私が口を出す余地はない。

 しかし、実はもうひとつ、いくつかの事実関係の「整合性」から真実を求める方法がある。これをcoherence theory of truth(真理の整合説)という。物理学者は基本つかわない、というか嫌われている。しかし、たまにつかうこともある。例えば日本人初のノーベル賞をとった湯川秀樹の中間子論は、当時観測されていなかった新しいボーズ粒子の存在を仮定してできあがっている。この粒子を中間子(メソン)と呼ぶ。中間子を仮定すれば陽子同士の結合が説明でき、素粒子の議論全体が整合する。ただし、この中間子論は、中間子が発見されるまでは物理学者のニールス・ボーアなどに「見つかってもいない粒子を勝手に存在することにするのか」と酷評された。したがって、学問としては異端な方法に分類される。しかし、この事実関係の「整合性」から真実を求める方法、つまり真理の整合説なら、私でも歴史学に対応することができ、新しい知見が生まれる余地がある。第2章から第4章でこの整合性で議論する。

 そして、読者の方々には最後まで読んだ後で、これらのやり方が本当に正しいかどうか判断していただきたい。

 しかし、それでも自分の専門分野以外をやるのは勇気がいる。特に門外漢である日本の古代史に関する本を出版することには抵抗があった。しかし、私の師である副島隆彦先生が紹介してくれたラルフ・ウォルドー・エマソンの次のことばに励はげまされて世に出すことにした。ここに引用しておく。

「自分の考えを信じること、自分にとっての真実はすべての人にとって真実だと信じること」

「私が何かに気づけば、私の子孫も、いずれは全人類もそれに気づくだろう。たとえ私以前には誰ひとり、それに気づいた人がいなかったとしても、私がそれを知覚したことは太陽の存在と同じくらい、揺るぎない事実だからだ」

(ラルフ・ウォルドー・エマソン『自己信頼(Self-Reliance)』より引用)

 この本から、理科系の人間がどのような思考をして文科系の問題にアプローチしているのかを知っていただけたら幸いです。

令和四年五月

下條竜夫

=====

『物理学者が解き明かす邪馬台国の謎』◆ 目次

はじめに 1

邪馬台国の謎 1

なぜ物理学者が歴史の本を書くのか 3

第1章 邪馬台国の謎 15

「魏志倭人伝」が語る邪馬台国 17

卑弥呼が存在したという形跡は日本にない 19

なぜ卑弥呼は王になれたのか 22

邪馬台国の場所はどこなのか 23

なぜ卑弥呼は豪華な返礼品をもらえたのか 28

なぜ魏の王朝の鏡が日本にあるのか 34

第2章 なぜ卑弥呼は王になれたのか 41

鬼道とは五斗米道という道教の神のことである 43

五斗米道とはどんな宗教か 48

鬼道と鬼神の違い 58

鬼道とは五斗米道の神様=天神のこと 60

卑弥呼は中国五斗米道の始祖、張陵の孫である 62

卑弥呼の本当の名前は玉姫 64

卑弥呼は魏の皇帝と縁戚関係にある 68

なぜ「魏志倭人伝」に詳しい卑弥呼の記述があるのか 77

第3章 『日本書紀』と『古事記』に登場する玉依姫が卑弥呼である 81

玉姫とは神武天皇の母である玉依姫のことである 83

万世一系とは卑弥呼の子孫の物語である 90

卑弥呼は美人だった 95

第4章 邪馬台国があったのは間違いなく太宰府である 99

「魏志倭人伝」が邪馬台国の距離と方角を間違えた理由 101

改ざん前の報告書を推測する 106

「魏志倭人伝」の距離の記述を復元すれば太宰府に到達する 107

玉依姫を主祭神とする竈門神社 112

なぜ天神様が太宰府天満宮に祀られているのか 117

太宰府は九州の交通網の要所にある 123

出雲がなぜ古代の大都市なのか 126

卑弥呼の墓は大おお野の 城じょう市にある 134

なぜ奈良に大和があるのか 137

第5章 日本の文化の礎いしずえをつくった卑弥呼 143

「誠の道」という日本独自の思想 146

二十四節気が明らかにする日本の古代史 155

一月中、七月中、十月中という三つの祝宴 161

道教国家日本 165

日本古代史の真実を暴いた岡田英弘氏 166

おわりに 177

参考文献 180

=====

おわりに

 第1章の冒頭に、最初の謎として卑弥呼のいた形跡、例えば、ゆかりの神社や名が入った遺跡がまったくないのはなぜだろうかと述べた。だが、実際はその逆だった。日本には卑弥呼の軌跡(きせき)がいたるところに溢(あふ)れている。

 卑弥呼=玉依姫を主祭神(しゅさいじん)とする神社は、第2章、第3章で取り上げた京都の河合(かわい)神社、福岡の竈門(かまど)神社以外にもたくさんある。北は宮城県から南は鹿児島県まで、それこそ日本中にたくさんある。また、鬼道とは「天神」のことだと第2章で述べた。福岡の「天神」は九州最大の繁華街である。また、大阪の「天神」橋筋商店街と言えば六百以上の店舗が並ぶ日本一長い商店街のことである。日本は卑弥呼で溢れている。

この本で私が提示したのは、卑弥呼の新しいイメージである。今までは、卑弥呼は、よく言えば呪術師(じゅじゅつし)、悪く言えばただの占い婆さんであった。「王になったのは占いがよく当たるからだろう」という記述を何回か読んだことがある。その程度の認識であった。

しかし、卑弥呼はそういう人物ではない。『三国志』の「張魯伝」にあった「人々に正直であること、偽らないこと、病気になったら自分の過ちを告白すること」を、教えただろう。食べ物に困った人に食事を与えるための義舎もつくっただろう。しかも中国の奥地である漢中あたりから、危険な玄界灘と対馬海峡を渡って倭に来る気概をもっていた。だから、卑弥呼は凛とした美しい人だったと私は思う。

「卑弥呼は聖母マリヤのような人だっただろう」とここにはっきり書いておこう。これは、ただの比喩ではない。古代道教とは、実は東に流れてきたキリスト教なのである。私の先生の副島隆彦氏がそう書いている。第2章に書いてあるように「山上の垂訓」があり、義舎はまるで「修道院」、そして鬼卒は「修道者」のようである。だから、卑弥呼は本当に聖母マリヤのように聖人としてたてまつられていたと思う。そうでなければ、神武天皇の母として日本の歴史書に残ることはなかっただろう。

 もし私のこの見方に賛同してくれる歴史小説家の方がいたら、この本の内容を、ぜひ小説かドラマにしてほしい。「私のアイデアを盗用するな」などと野暮なことは言わない。絶世の美女である張玉蘭が、化外(けがい)の地、倭にわたる。東夷というのは中国皇帝に朝貢する国の呼び名であり、しない国はさらにその先という意味で化外と呼ばれる。そして、苦労して現地にとけこんでいく。姪が王室に嫁いだというので、貢物(みつぎもの)を送ったら、驚くほどの多量の返礼品と王の金印を送ってきた。

 そういう、現実が想像を上回った歴史ドラマだと私は思う。

本書を上梓するにあたっては秀和システムの小笠原豊樹編集長にお世話になりました。御礼申し上げます。また、副島隆彦氏から、岡田英弘氏に関する情報を含め、たくさんのアドバイスをいただきました。ここに感謝いたします。また、この本が書けたのは玉姫様の御加護とお導きの賜物(たまもの)と思っております。謹んで感謝の意を表したいと思います。どうもありがとうございました。

令和四年五月

下條 竜夫

(貼り付け終わり)

(終わり)※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


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 古村治彦です。

 

 新年あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


 この度、私の仲間であり、先輩である、下條竜夫博士の著書が発売となります。私は高校1年生で数学と理科で赤点を取り始めて以来、理科系に関しては並以下の知識しかありません。今回の本は下條さんが世の中で起きた自然科学に関する事件を分かりやすく説明されています。私は下條さんに何度も会ってお酒を飲んだり、話をしたりしていますが、いつも穏やかに、笑顔を湛えながら、私(たち)の馬鹿な質問にも答えてくれる方です。

 今回の本では、福島第一原発事故や福知山線脱線事故、小保方晴子氏の「STAP細胞」騒動、和歌山カレーヒ素混入事件などが取り上げられています。数字や数式、化学物質の名前などは、文科系の私(高校1年生の早い段階で理系科目は赤点の常連になりました)には難しく感じましたが、それでも書いてある内容は刺激的です。小保方さんの騒動やカレーヒ素混入事件は、物理学者(自然科学の訓練を受けた人)から見たら、そう見えて、世間の「常識」とは大きく違うことが「確かなこと」、もしくは「確からしい」のだということが分かります。


 そして、自然科学の研究や分析の結果は得てして、「文科系」の最たるものである政治や経済に捻じ曲げられたり、すり替えられたりして、うまく利用されるのだということも分かります。そして、「自然科学のお墨付き」を使って、私たちは騙されてしまうこともあるということも分かります。


 「すべてを疑え」とはよく言われることですが、日本で生まれ育ち、暗記型の学校教育を受けてしまっては、どうやっていいか分かりません。その時に、下條さんが提唱している「批判的思考(critical thinking、クリティカル・シンキング)」が役に立ちます。是非、手に取ってお読みください。宜しくお願い申し上げます。


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 是非、手に取ってお読みください。

 ※ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」内の「今日のぼやき」でも宣伝をしております。こちらもお読みいただければ幸いです。http://snsi.jp/tops/kouhou/1872

 

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推薦文

                            副島隆彦

 

 下條竜夫(げじょうたつお)氏は、気鋭の物理学者(1964年生まれ)であり、大変優れた人である。私が主宰する副島国家戦略研究所(通称SNSI エスエヌエスアイ)の研究員を10年前からやってくださっている。私たちは政治評論や歴史研究をする、いわゆる文科系知識人の集まりである。その中にあって最先端の物理学を専攻している、純粋に理科系の下條氏に加わっていただいて大変感謝している。


 彼は私たちの発表している論文集に、すでに数多く寄稿している。地球温暖化という虚偽を暴いた本『エコロジーという洗脳 地球温暖化サギ、エコ利権を暴く』(成甲書房、2008年)で、二酸化炭素の増加は地球温暖化にはほとんど寄与していないことを証明した。


 下條君は公立大学の若手の准教授で、大学では「物理化学」なる高度な学問を教えている。彼は私たち文科系人間には理解できない難しい物理公式や数式が、すらすらと理解できる。しかも、この本で証明するとおり、彼は政治や思想などの文科系の知識と学問までも習得した。だから下條竜夫氏(現在51歳)は、この科学(サイエン)と政治(ポリティクス)の2つの学問を両輪にして大きな真実に迫ることができている。


 このことが、はっきりわかるのは第1、2章の「福島第一原発事故」の解明である。


 2011年3月11日に東日本大地震が起き、翌日から(正確には25時間後)福島で原発の爆発と放射能漏れが起きた。現地に行きもせず、遠くのほうから知ったかぶりをして、「放射能はコワイ」「子供たちが危ない」と騒いだ人々がたくさん出た。原子力工学と放射能医学の専門家の中にも、ごく少数であるが自然科学(ナチュラル・サイエンス)の正確な知識のふりをして、「危険だ、危険だ」と多くの虚偽を書いた人々がいる。


 私は、事故直後から弟子たちと現地(原発正門前)に入って放射線量を測定した。だから、あのとき放出された放射線量がどれくらい低いものであるかをはっきり知った。私は、あの後の国民的集団狂躁状態に、あきれ返った。その後も続いた怖いコワイの国民的、世界的な馬鹿騒ぎのことも腹の底から苦々しく思っている。


 福島の現地では、事故からやがて5年が経つが、赤ちゃん一人作業員一人誰も事故後の放射能のせいで発病している者はいない。「福島第1原発の事故の結果、日本でおよそ1600人が死亡した。この圧倒的大多数は避難がうまく行われなかったことと、ストレスに起因しており放射能が死因ではない」とニューヨーク・タイムズ紙(2015年9月21日付)は報じた。放射能をコワイコワイと煽(あお)って現地の人々を過剰に避難させたことで、人々にストレスがたまって死に至ったということだ。冷静に事実を現地で見て自分の脳(頭)で考えるということをすべきなのだ。

 

 原発事故のあのとき、日本で〝ショック・ドクトリン〟という政策が実行されたのである。『ショック・ドクトリン』とは、カナダ人の女性評論家のナオミ・クラインが書いた本の書名だ。2011年に岩波書店から日本語訳も出た。大災害や戦争、テロ事件などによって、国民大衆を、一瞬のうちに大きな恐怖に陥(おとしい)れ、ショックとパニックで、正常な判断力を国民から奪い取る。権力者、為政(いせい)者たちによる計画的な悪辣(あくらつ)なやり方だ。このことを、著者のナオミ・クラインは徹底的に暴いた。そのために原子力発電を過剰にコワがる言論と風潮が生まれる。そのことで電力(電気)をつくるコスト(費用)が異常に高くなった。


 これがショック・ドクトリンだ。大惨事を利用して一気に大量に政府が問題を解決するという戦略である。


 この「恐怖と扇動で国民を支配せよ」という手法の恐ろしい実験場が、福島原発の放射能漏れ事故を利用して日本でも実行されたのである。〝ショック・ドクトリン〟のために動転した日本国民は、コワイ、コワイと大騒ぎして、冷静な思考と判断力を失った。


 東大と東工大の原子力工学の専門学者たちは、日本の国策(こくさく)(国家政策)として育てられた人材だ。彼らは原発の製造から運転まで自分たちが行ってきたので、こんな微量の放射線量では誰にも被害が出ないし発病しない、とわかっていた。このことを早い時期に私は知った。ところが、その後、放射線医学の専門医師と、原子力工学の専門工学者たちのほとんどは、政府の命令で黙らされて鬱屈させられている。国民に真実を伝える術(すべ)を奪われた。


 だから、下條竜夫氏のような原発の製造管理の専門家ではないが、原子力工学も放射線物理も十分にわかっていて、しかも文科系の知識人としても話ができる人間が日本に出現したことを私たちは大きな喜びとする。理科系の本物の学者たちが、徹底的にわかりやすく事件や事故について説明しなければならない。そうでなければ福島の原発事故の真実はこれからも見えてこない。ここにこの本の価値がある。

 

 この本で特筆すべきは、第8章の仁科芳雄(にしなよしお)を扱った評伝だ。


 今こそ、〝日本の原爆の生みの親(まだだけど)〟の仁科芳雄(陸軍省委託。戦後のサイクロトロン実験も彼が主導した)の偉大さに日本国民の理解を求めなければいけない。下條氏は、ここに貴重な灯をともしてくれた。本当に頭脳明晰の日本人の理科系の人々であるならば、このことに気づいているはずだ。この仁科芳雄の復活、復権は今後、下條氏の功績となるだろう。


 敗戦後ひどい目にあった仁科芳雄(1951年死去)に私は非常に共感し同情した。仁科芳雄が、隼(はやぶさ)戦闘機を設計した日本ロケットの父、糸川英雄(いとかわひでお)と二人して、日本で一番頭がよかった科学者(ああ、科学者! という不思議なコトバ)だとずっと考えてきた。


 下條氏の仁科芳雄理解の土台は、「湯川秀樹と朝永振一郎は、仁科芳雄が、手塩にかけて育てた彼の忠実な弟子だ」である。彼ら二人は、戦後、アメリカ・ロックフェラー財団に尻尾を振って、パグウオッシュ会議に参加した。ここでアインシュタインという神格化された、相対性理論(そうたいせいりろん)という、何を言っているのか今も誰にも本当はわからない数式の山の理科系という宗教の大神官(グランド・マジシャン)の教徒になった。この二人の本当の先生は仁科芳雄だ。


 朝永振一郎も、湯川秀樹も、恩師である仁科芳雄のことを、戦後まったく書かなかった。自分の先生であり、自分たち二人を育てた仁科芳雄に対して、「戦争期の不都合なことは話さない」として。仁科が死んだときも追悼もしなかった。朝永振一郎と湯川秀樹は、パグウォッシュ会議で、アインシュタインとバートランド・ラッセルの子分になって、ぬくぬくと戦後世界で、「平和のための物理学」という、血塗られた過去を消し去る作業に加担した。


 仁科芳雄は本当に偉大だった。1925年に、コペンハーゲン大学で、ニールス・ボーアが、量子力学(クオンタム・フィジックス)を生み出し誕生させた。その記念すべき現場に若き理論物理学者として立ち会っている。デンマーク、ドイツ人物理学者たちの興奮の渦の中にいて、その激論の中に、たった一人、日本から仁科芳雄がいたのだ。


 今は、〝理研のワカメちゃん〟になってしまってお騒がせ事件を起こしたりしている。この理研(理化学研究所 りかがくけんきゅうじょ)という日本国の理科系の最高級の研究機関の闇の部分にも、そのうち、下條氏がきっと鋭く迫ってくれるだろう。理研は、アメリカからの監視がきついので、今はアメリカ様(さま)に屈服しているように見える。だが本当は、今でも、第三帝国(ダス・ドゥリテ・ラヒ! 嗚呼、偉大なるドイツ民族!)に、密かに忠誠を誓っているだろう。それは日本で最も優れた頭脳をもって生まれた理科系の人間たちの自然な運命である。

 

 宇宙物理学(スペイス・フィジックス)の分野にも、世界宇宙物理学界の体制派(アインシュタイン信奉者。その流れから出たビッグバン宇宙モデルの信奉者たち)に異議をとなえた優れた学者たちが世界中にたくさんいる。コンノケンイチ(1936〜2014)という人がいて、この国の基準では何の学歴もない人だったが、世界中の反アインシュタインや、反ビッグバン理論家たちの文献を懸命に丁寧に日本に紹介した。それを徳間書店が、「スピリチュアル本の中の一冊として」本にした。『ビッグバン理論は間違っていた』(1993年刊)という本である(現在は2011年にヒカルランドから文庫版で出ている)。90年代にものすごくよく売れた本だ。


 それに対する防御として、日本の宇宙物理学の体制派である佐藤勝彦(さとうかつひこ)氏や池内了(いけうちさとる)氏が反撃に出た。彼らは、体制、権力の側の学者であり、民衆、大衆を、「私たちが、おまえたちに教育と試験問題を与えるのだから、私たちが教えるとおりの答えを書きなさい。それ以外は、許しません」と強圧し威圧の態度をとる。池内了氏は『疑似(ぎじ)科学入門』(岩波新書、2008年)という本を出している。「私たちに逆らう者は、理科系の学者、研究者としてはろくな生活はおくらせない」という態度だ。それが支配、体制、権力というものだ。国民教育とか、メディア(報道機関)というのも国民洗脳の一種だ。これに反抗して大きな真実の指摘をする者たちは、何十年も何百年も抑えつけられ、苦しい思いをする。


 それでも大きな真実は、時間の経過とともに塗り壁の後ろから剥がれ落ちるように次第に明らかになる。権力(パウア)、支配(コントロール)、秩序(オーダー)よりも、事実(ファクト)と真実(トルース)そして、それを勇気を持って書いて、書物にして残す者たちのほうが、時間と時代の波に耐えて勝つ。下條竜夫氏は、第7章の「現代物理学は正しいのか」という文章で、このことにも風穴を開けてくれた。みなさん、読んでください。


 私が下條氏と話していて心底ビックリしたのは、「ビッグバン理論(宇宙膨張説)は、数学的には証明されているのです。だから私たち物理学者はそれに従うしかない。しかし天文学者(てんもんがくしゃ)たちによる観測(かんそく)と、実験からは何の証明もされていません」とのことだった。

 

 日本国で大切なのは、彼ら理科系の人々だ。ところがちっとも恵まれていない。


 理科系の中でも本当に大切なのは、理科系の学者たちではなく、理科系の技術者たちだ。理科系の技術者たちこそが日本の宝である。日本の製造業の大企業に、そういう優秀な技術者が、500万人くらいいるだろう。日本の繁栄はこの理科系の技術者たちのおかげだ。もっとハッキリ書くと、日本の先端技術は、工業高校や高専、そして聞いたこともないような地方の工業大学を卒業した技術屋(エンジニア、テクニシャン)たちがつくりあげたのだ。しかし、彼ら理科系の技術者たちも属国(ぞっこく)技術屋の集団でしかない。ほとんどが計算ロボットのようにされているかわいそうな人たちなのだと、最近、私は本当によくわかる。


 下條竜夫氏は、理科系の物理学者だが、技術屋(エンジニア)だ。実験屋(じっけんや)というらしい。その彼がなんとか、文科系の世界までもわかろうとして、こうして侵入、侵略してきて、文科系の世界にも風穴を開けようとしている。稀有な人である。世によくある本だが、理科系の学者が取り澄まして、文科系が主である一般書籍の読み手に向かって、高みからムズカしいことを講釈している本ではない。


 理科系と文科系という二つの世界をガッシリと繋ぐ人が、こうして出現して、文科系の人々の文の書き方までも必死で習得して書きあげた。この一点がこの本の本当のすばらしさだ。


 「理科系の世界の真実」がもっともっと、明らかにされなければならない。下條氏は、手始めにこの本でそれをやってくれた。しかし、まだまだ、もっと多くの隠された真実がある。彼が、私たちのために今後それらを明らかにしてくれることを、私は強く望みます。

 

  2015年12月                          副島隆彦

 

 

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目次

 

推薦文……… 副島隆彦

はじめに 

第1章 理科系の目からみた福島第一原発事故⑴

    福島第一原発事故の放射性物質放出量の過大評価とそのねらい

      日本がチェルノブイリと同じようになるという恐怖

      風評被害を拡大させた政府の発表

      報告されている数値から予測される放射性物質放出量

      実際に起きなかった健康被害

      高レベル放射性廃棄物最終処分場という原子力村の夢

第2章 理科系の目からみた福島第一原発事故⑵

    マスコミが伝えない原発事故の真実

      福島第一原発の1号機は電源車の電源をつないだために水素爆発を起こした

      3月15日に大量の放射性物質が放出されたのは

        班目委員長の指示によるものだろう

      官邸がSPEEDIの情報を出さなかった理由

      放射性廃棄物の最終処分場を探す

        行政法人NUMO(ニューモ)によってつくられた土壌汚染地図

      地上のセシウム量からがん罹患率を求めたトンデル氏は、

        すでに自分の論文が間違いであったことを認めている

第3章 福知山線脱線(尼崎JR脱線)事故は車両の軽量化が原因である

    理系の目から事件の真相を解明する

      カーブで転倒して脱線した電車は過去にない

      事件の概要と原因が特定されていった過程を追う

      〝なぜ転倒したか〟が書いてある本がある

      揺れて倒れやすかった事故車両

      情報が出てこないJRという会社

第4章 STAP細胞と小保方晴子氏について

    緑色に光る小さな細胞は本当に存在する

      リケジョの星の失墜

      理化学研究所という国の独立行政法人

      30歳の研究者は、ひとりでは、まともな英語論文は書けない

      確かに存在する緑に光る小さな細胞

      小保方晴子氏は天才実験家である

      STAP細胞の捏造は、小保方氏個人ではなく、若山研究室の問題である

      「常温核融合問題」と同じになるだろう論

第5章 和歌山毒カレー事件の犯人を林眞須美被告と特定した証拠は本物か?

    理科系の「科学的に証明された」ということばが、いつも正しいとは限らない

      事件の経緯

      蛍光X線分析法で何がわかったのか?

      鑑定結果に対する疑問点

      鑑定に異議をとなえた京都大学・河合潤教授

      【ふたりの論争内容その1】鑑定結果が意味するもの

      【ふたりの論争内容その2】犯人ではないことを証明した蛍光X線分析測定

      【ふたりの論争内容その3】谷口・早川鑑定について

      犯罪者である証明責任は、観察側にある

第6章 排出権取引に利用された地球温暖化問題

    科学では地球の未来はわからない

      地球温暖化や寒冷化は本当に起きているのか?

      クライメートゲート事件とホッケースティック曲線の捏造

      地球の二酸化炭素濃度が2倍になると気温は何度あがるか?

      では地球は寒冷化するのか?

      コンセンサスという名の世論誘導

      政治的には終わってしまった地球温暖化議論

第7章 現代物理学は本当に正しいのか?

    正しさの判定基準は、物理学の体系との整合性にある

      世に出回る数々の現代物理「否定」本

      マッハの科学哲学

      マッハの哲学を思想の歴史からひもといてみる

      現代物理学は、観測不可能のものを、実際に存在しているとみなしている

      数学的にだけ証明されている現代物理

第8章 仁科芳雄(にしなよしお)こそが「日本物理学の父」である

    政治的に葬られた日本の物理学の英雄をここに復活させる

      新庄尋常小学校の神童

      理化学研究所

      コペンハーゲン大学理論物理学研究所

      日本でただひとり量子力学を理解していた仁科芳雄

      サイクロトロンの建設と宇宙線の観測

      日本の原爆開発

      東京湾に捨てられた仁科芳雄のサイクロトロン

      戦後の仁科芳雄

      仁科芳雄の弟子たち




(終わり)


アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12






メルトダウン 金融溶解
トーマス・ウッズ
成甲書房
2009-07-31






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