古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:中国

 古村治彦です。

 

 今回は、中国が文化外交の一環として、中国への留学生増加を図っている、一方で、アメリカは留学生のための予算を削減しているという内容の記事をご紹介します。

 

 戦後、冷戦期、自由主義国ではアメリカ留学、共産主義国ではソ連留学がエリートへの近道でした。アメリカやソ連で最新の学問を学び、同時に人脈を作り、価値観や思想を習得して、母国に帰り、政治、経済、学術などの分野で偉くなる、と言うのがどこの国にもあった出世物語です。

 

 日本でも戦後、フルブライト奨学金を得て、アメリカに留学することはエリートへの近道でした。日本は皆が貧しくて御飯を食べるのが精一杯、という時代に、毎日ステーキを食べ、蛇口をひねればお湯が出るという夢の国アメリカに優秀な若者たちが渡っていきました。日本からのアメリカへの留学生は1990年代後半には3万人を超えましたが、現在までに数を減らし、現在は1万5000人程度にまでなってしまっています。

 

 冷戦期、アメリカは各国の優秀な学生たちを生活費まで保証する奨学金付きでアメリカの大学で学ばせました。そうすることで、親米的なエリート層を形成するという目的がありました。その当時、ソ連の成功で光り輝いていた社会主義計画経済に対抗するための、「近代化理論」の実践のための人材として活用しようと考えていました。アメリカからの資金や技術の援助、そして人材育成によって、発展途上国を近代化し、経済成長させようとしました。

 

しかし、その試みは多くの場合、それぞれの国の事情を無視して行われ、アメリカからの資金援助は有効に使われず、アメリカで博士号を取得したような人材も母国に帰っても働き口がなく、タクシー運転手になるしかないというような状況を生み出しました。

 

 アメリカでは留学生に対する奨学金の予算を削減しています。それに対して、中国はアジアやアフリカの発展途上国、また、一帯一路計画の参加国からの留学生を増やそうと様々な試みを行っています。その成果として中国への留学生が増加しています。今なら、中国に留学して学問を学び、人脈などを広げておけば、母国に帰った時に中国関係の仕事に就くことができるということもあり、その数はどんどん増えているようです。

 

 昔から遅れた国は進んだ国に若者を送り、学問や技術を学ばせてきました。日本でも、遣唐使と一緒に留学生や留学僧を派遣し、勉強させていました。帝国には最新の知識や情報、思想が生まれ、集まります。中国も1970年代末に改革開放を打ち出してから、アメリカに多くの優秀な若者を送り、勉強させてきました。そして、その成果を利用して、現在のように経済発展を遂げてきました。そして、中国がアメリカに追いつき追い越し、世界の中心、世界帝国になるという話が現実味を帯びるまでになってきました。

 

 アメリカの留学生に対する奨学金削減と中国の留学生誘致という現象は、帝国の交代ということを印象付けるものとなっています。

 

(貼り付けはじめ)

 

スタンフォードのことは忘れて、清華に招かれる(Forget Stanford, Tsinghua Beckons

―アメリカは、アフリカとアジア諸国からの留学生を中国に取られている

 

チェン・リー、シャーロット・ヤン筆

2018年10月2日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2018/10/02/forget-stanford-tsinghua-beckons/

 

 

最近中国で放映されたあるテレビ番組の中で、ケニア人の学生たちが中国語で書かれた指示が掲示されている教室の中で、教授の話を聞いている様子が流された。この学生たちはナイロビではなく、中国の最高峰の大学である北京大学で勉強している。ケニア人の学生たちは、自分たちが母国では得られない教育の機会を中国が生活費まで含めた奨学金を支給することで与えてくれたこと、彼らは母国に帰って母国を豊かにするための技術の習得を行うつもりだということを話していた。

 

中国は留学生に対する恩恵をもたらす動きを加速させている。太平洋の反対側に位置する国アメリカは、長年にわたり、世界中で最も賢く、好奇心溢れる学生たちを惹きつけ、留学させてきた。そのアメリカでは中国とは反対の動きが起きている。様々な政策や行動を通じて、トランプ政権は外国の学生たちがアメリカを敬遠するように仕向けている。トランプ政権のスティーヴン・ミラーが進めた留学生数の制限によって、中国からアメリカへの留学生も減少している。中国はこのアメリカで加速している動きを、アメリカとの間にある差を埋める機会だと捉えている。アフリカとアジアの国々において、この変化は既に影響を及ぼしている。外国人学生がアメリカではなく、中国の大学を留学先に選ぶようになっており、これはアメリカのソフトパワーを構成する重要な要素が消え去る危機に瀕していることを示している。

 

高等教育ということになれば、アメリカは今でも世界の中心ということになる。2016年、100万人以上の留学生がアメリカの大学に在籍していた。一方、中国の大学には50万人弱であった。

 

しかし、中国はアフリカとアジア諸国の学生たちにアプローチをしている。特に発展途上の国々で、中国との経済関係を深めている国々へのアプローチを強め、それに成功している。2016年の段階で、60以上のアフリカとアジアの国々がアメリカに向けてよりも中国に向けてより多くの学生を送っていた。その具体例としてラオスを挙げる。ラオスは、中国に9907名の学生を送り出し、アメリカにはわずか91名であった。米中間の大きな差は次の国々でも起きている。アルジェリア、モンゴル、カザフスタン、ザンビアは中国に送り出した学生数がアメリカへの学生数の5倍以上となっている。2014年以降、中国に留学したあふふぃか諸国の学生数の総数はアメリカに向かった学生数の総数を超えた。2016年、中国で6万人以上のアフリカからの留学生が勉強していたが、2000年の時と比べてその数は44倍となっている。

 

同時に、中国は、国際的な高等教育システムの拡大を図っている。一方、アメリカ政府は国際的な高等教育システムへの財政的関与を縮小している。フルブライト奨学金プログラムは1946年以降、アメリカの文化外交の象徴となってきたが、オバマ政権下から、予算削減に直面している。アメリカ政府が資金を出しているこのプログラムの参加者たちは、後に世界中の国々の学術、政治、シンクタンク、ジャーナリズム、芸術、ビジネスの分野で重要な地位を占めるようになっている。このような輝かしい歴史と成果があるにもかかわらず、トランプ政権は、2019年度の予算計画では71%の予算削減を求めている。

 

アメリカ各地の公立大学は政府からの財政支援削減に直面している。そのために学費の値上がりと教育の質の低下を招いている。2005年から2015年の間に、公立の教育機関での学部教育の学費は34%も値上がりし、私立の教育機関でも26%も値上がりしている。

 

アメリカ人学生のための学費を低い水準に維持するために、多くの大学ではより高い学費を支払える留学生の獲得を目指している。留学生の入学者数の合計は増加しているが、留学生は上流、中流階級出身者に集中するようになっている。これは、中国がターゲットにしているより貧しい国々を見落とすようになっている。2016年から2017年の学事暦において、アメリカの大学に留学している100万の学生のうちほぼ半数は中国とインドからの学生であった。これら2か国を除くと、韓国とサウジアラビアからの学生が多いが、アメリカへの留学生の総数に占める割合が3%以上を占める国はどこにもない。

 

●中国とアメリカのアフリカ・アジア諸国の大学在籍者数

 

STUDENT COUNTRY OF ORIGIN            CHINA    UNITED STATES

Algeria                   992         192

Cambodia                         2,250        512

Indonesia             1           4,714      8,776

Kazakhstan                    13,996         1,792

Kyrgyzstan                     3,247           216

Laos                       9,907           91

Mongolia                         8,508          1,410

Tajikistan                        2,606           204

Tanzania                                                       3,520            811

Thailand                                                 23,044           6,893

Zambia                                                3,428          469

Source: Open Doors 2017, Institute of International Education; International Students in China, 2011-2016, China Power Project, Center for Strategic & International Studies.

 

アメリカにおける学費のコストは上昇し、留学生に対する奨学金の枠が制限されるようになっている。そのために、アメリカの教育システムは、世界の多くの国々の学生たちにとって利用不可能なものとなっている。カナダとオーストラリアは労働ヴィザの制限を緩和し、学費も低く抑えている。しかし、低所得、中間レヴェルの所得の国々からの学生たちにとってはこれら2か国への留学も難しい。対照的に、中国は、アジアとアフリカ諸国からの留学生を惹きつけるための政策と財政援助策を拡大している。

 

中国は高等教育における機会の提供を拡大するための様々な政策を採用している。特に、中国が貿易関係や外交関係を深めつつある地域からの留学生を惹きつけることに注力している。2003年から2016年にかけて、タイ、ラオス、パキスタン、ロシアからの留学生数は10倍以上になっている。中国の一帯一路計画の重要な対象国であるカザフスタンからの高等教育への留学生は65倍に急増している。

 

過去10年、中国は高等教育システムの質を改善することに注力してきた。当時に、留学生に対する政府資金による奨学金を拡大してきた。2017年、留学生の9人に1人は中国政府からの奨学金を得ていた。2000年から2017年にかけて、助成金・補助金の受給者数の総数はほぼ11倍に増えている。英語で授業を行う大学の数は拡大しているし、教育と研究の質を改善するために努力を続けている。中国は、アフリカとアジア諸国に対する貿易とインフラ整備プロジェクトを拡大させている。中国の教育の価値はこれらの国々で上昇している。学生たちは中国に留学し、帰国後に中国に関連した仕事に就くことを求めている。

 

●中国政への留学生の資金種別

internationalstudentsenrollmentinchina001
 
 

ここ数年、中国政府は一帯一路計画に参加している国々からの学生たち向けの政府が資金を出す奨学金プログラムを拡大させている。2016年に中国政府の奨学金プログラムを受けた留学生の出身国10か国のうち、8か国は一帯一路計画の参加国である。中国政府は、一帯一路計画の参加国だけに向けた様々な教育プロジェクトを実施している。中国政府は名門大学である中国人民大学に付属の「シルクロード・スクール」を発足させた。この学校には一帯一路計画の参加国の学生たちが今年の9月に入学した。この学校の中国政治、経済、文化を学ぶ修士課程に入学する学生たちすべてに学費と生活費をカヴァーできる奨学金を支給することになる。

 

奨学金を得て中国の大学で学位を得ることよりも、自由主義的価値観と政治的な開放性を持つアメリカの大学に行くことの方に魅力を感じる学生がいるのは当然のことだ。ここ数年、中国の大学で、学問の自由が制限されるケースも出ている。しかし、多くの学生たちにとっては、アメリカの価値観や理想は、中国における高等教育よりも魅力的という訳にはいかない。奨学金が充実しているということもあるし、帰国後に中国関連の職に就けるということも大きな魅力になっている。

 

文化外交の一形態として、教育が外交関係に果たす役割について、中国政府の幹部たちは楽観的な考えを持っている。ある程度、中国はアメリカが撤退しつつある道を進もうとしている。これまでの数十年、特に冷戦期、アメリカの指導者たちは留学生に対する教育、特に将来の指導者に対する教育は、アメリカの価値観を拡散し、革命を伴わない平和的な進化を促進し、他国の発展に対して影響を与えるための有効な手段だと考えていた。しかし、アメリカで学んだ留学生たちが必ずしもアメリカの価値観や理想に対して忠実ではないということが分かり、アメリカの教育における関与は成功とも失敗とも言えないということになり、留学生を通じて世界に影響を与えるという政策に対する信頼は消えつつある。アメリカにおいてポピュリズムが勃興しているが、指導者たちは文化外交よりも国内政策を重視するようになっている。

 

教育に影響を与えるということはゆっくりとしたプロセスであり、教育システムは特にゆっくりとしか変化しない。これからしばらくは、アメリカは高等教育における国際的な基準となり続けるだろう。自由な学問研究と独立した思考、革新的な研究、最新の技術がアメリカの高等教育の長所であり、世界中の羨望の的だ。しかし、アメリカのソフトパワーのレヴェルはアフリカとアジアの発展途上国にどれほど基盤を持てるか、特にそれらの国々に対して、アメリカが教育面で支援をできるかにかかっている。アメリカが外国の学生たちに教育の機会を与える力を失いつつあり、そのために、アメリカが彼らに影響を与える機会もなくなるであろう。経済成長が著しい中国が教育の機会を与えることで、アメリカと張り合っている中で、それに負ければ、アメリカの影響力は減退するだろう。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

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 古村治彦です。

 

 2018年9月18日から韓国の文在寅大統領が北朝鮮を訪問し、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と会談を行っています。本日、平壌共同宣言に両首脳が署名しました。南北の間で武力を使用しないこと、北朝鮮北部のミサイル施設を廃棄すること、寧辺の各施設も米国の出方次第で廃棄すること、年内に金正恩委員長が韓国・ソウルを訪問することが南北間で合意されました。今回の共同宣言によって、「朝鮮戦争は実質的に終結した」と韓国政府高官は強調しています。

 

 今回の共同宣言と南北の軍事分野での合意によって朝鮮戦争は「実質的に」終結した、という点は重要です。朝鮮戦争の休戦協定に署名したのは、中国人民志願軍司令員の彭徳懐と朝鮮人民軍司令官の金日成、国連軍総司令官のマーク・W・クラーク米陸軍大将です。韓国は署名の当事者ではありません。ですから、休戦協定と今回の共同宣言は全く別のものと考えるべきです。中国と国連軍(実質はアメリカ軍)が関係していないのですから。

 

 韓国が北朝鮮に対して武力を使用しない、北朝鮮も韓国には武力を使用しないということが今回合意された訳ですから、アメリカがもし北朝鮮に武力攻撃を行う際には、韓国は米軍と共同歩調を取らないということになります。そうなると、米韓両軍で行われる共同軍事演習も行われるのかどうか微妙ということになります。ですから、今回の共同宣言は韓国がアメリカ離れを進めていることの証左となります。

 

 アメリカが韓国内にある米軍基地を使って北朝鮮を攻撃することが出来るのか、ということも議論となってくるでしょう。韓国の最大の敵は北朝鮮ということでこれまでやってきたわけですが、お互いで武力行使をしないと決めた以上、米軍が韓国内にいる必要はありません。

 

 6月には米朝首脳会談が行われ、その際に米朝共同宣言が発表されました。その内容は曖昧でした。そのために、その後、米朝間の交渉はうまくいかないということになりました。アメリカは北朝鮮に安全の保証を与え、それで北朝鮮は核兵器とミサイルを放棄するということが大筋の合意内容ですが、米朝はその後、交渉を行っていますが、うまくいっていません。これは、アメリカが北朝鮮に騙された、出し抜かれた、ということになります。

 

 また、北朝鮮北西部にあるミサイル施設を廃棄するというのは、中国に対する配慮ということになります北朝鮮がアメリカを攻撃するならば、北朝鮮北東部にミサイル発射施設を建設するはずです。北西部ということは、その標的は中国ということになります。このミサイル施設が廃棄されるということは中国にとっては喜ばしいことです。

 

 こうして見てくると、北朝鮮と韓国、中国がひと塊となって、朝鮮半島での戦争が出来ない状況を作り出しています。今この状況でアメリカが北朝鮮に対して軍事力を行使するならば、アメリカは国際的に厳しい立場に置かれてしまいます。中朝韓が一緒になって、アメリカを封じ込めることに成功しました。トランプ政権は本質的に外国のことに関わりたくない、アメリカ・ファースト(アメリカ国内の問題を優先する、最初に解決する)ですから、そこを見切られての動きでしょう。

 

 アメリカのアジアからの撤退ということも視野に入ってきました。こうなってくると、日本の立場はどうなるかということになります。トランプ政権は日本に対して敵対的な姿勢を見せるようになっています。日本もアメリカ一辺倒に依存する状態から脱する方策を考える必要があるようです。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「北朝鮮、核施設廃棄の用意=南北が実質「終戦」宣言―正恩氏、ソウル訪問へ」

 

9/19() 16:41配信 時事通信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180919-00000076-jij-kr

 

 【ソウル時事】韓国の文在寅大統領と金正恩朝鮮労働党委員長は19日、平壌の百花園迎賓館で2日目の会談を行い、合意文書「平壌共同宣言」に署名した。

 

 宣言は「朝鮮半島での戦争の危険除去や敵対関係解消」をうたい、北朝鮮が北西部・東倉里のミサイル施設を廃棄することを明記、米国の対応次第では、寧辺の核施設も廃棄する用意を表明した。正恩氏が近く、ソウルを訪問することも盛り込まれた。また、韓国の宋永武国防相と北朝鮮の努光鉄人民武力相は、宣言の付属文書となる軍事分野の合意書に署名した。

 

 正恩氏は共同記者会見で「朝鮮半島を核兵器、核脅威のない平和の地にするため積極的に努力することを確約した」と明言。文氏は正恩氏のソウル訪問について「特別な事情がなければ、年内という意味だ」と語った。北朝鮮最高指導者のソウル訪問が実現すれば分断後初めてで、南北関係や北東アジア情勢の重大な転機となる。

 

 韓国大統領府の尹永燦国民疎通首席秘書官は、宣言署名で「実質的に(朝鮮戦争の)終戦を宣言した」と強調。北朝鮮が核施設の廃棄の用意を表明した点には「核の無能力化の実践的段階に入った」という見方を示した。

 

 尹氏によると、文氏は23日から国連総会出席のため米国を訪問し、現地時間の24日にトランプ大統領と会談する予定。尹氏は「(南北首脳会談での)公開されていない話も(トランプ氏に)伝達するだろう」と語り、正恩氏の対米メッセージを伝えるという見通しを明らかにした。

 

 宣言はこのほか、条件が整えば、北朝鮮南東部・金剛山の観光や南西部・開城の工業団地を正常化させることも盛り込み、離散家族問題の解決のための協力強化も確認。さらに、2020年東京五輪などでの共同出場を積極的に進め、32年五輪の南北共催に向けた誘致活動も検討することを定めた。

 

 文氏は20日、正恩氏とともに北朝鮮北部の白頭山を訪れた後、ソウルに戻る予定。文氏はかねて、白頭山訪問に意欲を見せており、正恩氏が提案したという。 

 

=====

 

●「正恩氏、年内ソウルへ 寧辺核施設の廃棄用意 南北会談」

 

9/19() 12:19配信 朝日新聞デジタル

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180919-00000036-asahi-int

 

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は19日、平壌で前日に続いて首脳会談を行い、米国の対応次第で、北朝鮮が寧辺(ヨンビョン)核施設の廃棄などの追加措置を取ることなどを盛り込んだ「9月平壌共同宣言合意書」に署名した。正恩氏が年内にソウルを訪れることでも合意した。

 

 合意書は、北朝鮮が東倉里の弾道ミサイル発射台とエンジン実験場を、関係国の専門家の立ち会いのもとで永久廃棄するとした。北朝鮮は、米国が「米朝共同声明の精神に従った相応の措置」を取った場合、寧辺核施設の永久廃棄などの追加措置を引き続き取る用意があるとした。

 

 南北関係筋によれば、文氏は18日の会談で、「未来の核だけではなく、過去に生産した核を廃棄しなければ米朝対話は進まない」と指摘。米国の求める非核化対象リストや行程表の提出と検証に応じるよう、正恩氏の説得を続けたようだ。正恩氏は、豊渓里(プンゲリ)核実験場の爆破などを評価しない米政府の姿勢に不満を表明したという。

 

 トランプ米大統領は19日未明、「金正恩氏が核査察や、専門家同席のもとでの核実験施設やミサイル発射場の永久廃棄に合意した。とても素晴らしい」とツイートした。ただ米側は、リストの提出などを引き続き求めており、北朝鮮の非核化が直ちに進展するかは予断を許さない。

 

 合意書は、正恩氏が近い時期にソウルを訪れるとした。文氏は会見で、「特別な事情がない限り、年内という意味が込められている」と述べた。北朝鮮の最高指導者がソウルを訪れるのは初めてとなる。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 今年の6月に米朝首脳会談が行われ、共同宣言が出されました。「これで、北朝鮮はすぐに核兵器を放棄する、良かった良かった、金正恩もドナルド・トランプもいい人じゃん」という雰囲気が醸成されました。これ以降、どのような進展があったのか、よく分からない状況です。北朝鮮が積極的に核兵器放棄に向けた動きを行っているようには見えません。

 

 マイク・ポンぺオ国務長官が4度目の訪朝をするという発表がなされました。アメリカという国家のこれほどの高官がこのような短期間でこれほどの頻度で北朝鮮を訪問するというのは異例なことでした。しかし、直前になって、トランプ大統領がポンぺオ長官の訪朝を中止させました。

 

 トランプ大統領は北朝鮮との交渉が進展しておらず、それは中国の責任だというツイートをしています。しかし、これは、6月の米朝首脳会談と共同宣言を発表した時点で、中国が北朝鮮への制裁を骨抜きにすることは容易に予想が出来たことで、もしトランプ大統領がそのことを今頃になって怒っているということであれば、それはトランプ大統領の不明ということになります。

 

 ですから、トランプ大統領の中国に対する発言は、中国に対して北朝鮮に対してもっと強く影響力を行使して、とりあえず、核兵器関連を急速に解決できる方向に勧めて欲しいという意図があると考えられます。中国を批判しているように見せながら、何とかならないかとお願いというか、依頼、説得をしているということだと思います。中国がこれでどう動くかが注目されます。

 

ポンぺオ国務長官は、幻と終った訪朝発表の際に、スティーヴン・ビーガン(Stephen Biegun)という人物を特別代表に任命して、帯同させると発表しました。これからビーガンがアメリカの対北朝鮮交渉で重要な役割を果たすことになるという意味の発表でした。

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スティーヴン・ビーガン

 

 ビーガン(1963年生まれ)は、自動車メーカー大手のフォード社の外国政府担当副社長を務めています。ですが、政府機関で仕事をしていた時期が長い人物です。1984年にミシガン大学を卒業、専攻はロシア語と政治学だったそうです。その後、1992年から1994年まで国際共和研究所(International Republican InstituteIRI)のロシア駐在部長を務めました。IRIは共和党系のNGOで、はっきり言えば、世界各国で民主化(democratization)を進めるため、NGOの外見を持った準政府機関です。民主党系には全米民主研究所(National Democratic InstituteNDI)というNGOがあります。

 

 IRINDIに資金を提供しているのは、こちらもNGOの外見を持っているが、実質的にはアメリカ連邦議会から資金を提供されている、全米民主政治体制のための基金(National Endowment for DemocracyNED)です。NEDIRINDIはアメリカの介入主義のための準政府機関です。このことについては、拙著『アメリカ政治の秘密』(2012年、PHP研究所)で取り上げています。ビーガンは「非民主国家の民主化(democratization of nondemocratic states)」のための人材ということになります。

 

 その後、連邦下院外交委員会のスタッフ(海外援助予算、貿易政策、ヨーロッパ担当)、連邦上院外交委員会のスタッフ(1994-1998年)、首席スタッフ(1999-2000年)、を務めました。共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領(在任:2001-2009年)が誕生すると、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)事務総長(2001-2003年)、国家安全保障問題担当大統領補佐官コンドリーザ・ライスの上級スタッフを務めました。ホワイトハウスでは国家安全保障会議の運営を取り仕切っていたそうです。

 

 その後は、連邦上院議員で共和党連邦上院院内総務を務めた、重鎮ビル・ファーストの国家安全保障問題担当アドヴァイザーを務め、フォード社の副社長に就任しました。ビーガンはアジアの専門家でもなく、国家安全保障問題を中心に活動してきたことを考えると、今回の人事は不思議な感じがします。

 

 北朝鮮担当特別代表にはこれまで、韓国系、アジア系の人物が就いていました。今回ロシア専門家が就任したということは、北朝鮮問題をアジア系の人々の手から離して、新たな道筋を探そうとしているのではないかと考えられます。そして、ロシアを引き入れて、中国の北朝鮮に対する影響力を減少させ、相対的にアメリカの影響力を増大させようという考えがあるのではないかと思います。

 

 更に言うと、ビーガンの前歴を考えると、ビーガンの特別代表就任は北朝鮮に対する圧力とも考えられます。これまでのように甘やかして下手(したて)には出ない、北朝鮮問題を国家安全保障上の専門家であり、かつ、非民主国家の民主化の専門家が、北朝鮮を国家安全保障上の問題として捉え、民主化のアプローチから交渉の場に立つ、というのは、北朝鮮からすれば「体制保障をもらっているのに、これでは話が違う」ということになります。更に、ビーガンがロシア専門家ということを考えると、ロシアの影響力を使おうというトランプ大統領の意図が感じられます。

 

 米朝交渉が停滞気味のまま、中間選挙ということになると、北朝鮮に対する弱腰(appeasement toward North Korea)という形での批判が起こり、共和党内部からもトランプ大統領に対する批判が出て来てしまう可能性が考えられます。そうなると選挙戦は難しくなってしまうということになってしまいます。ですから、それまでに何とか形だけでもなんとか進展のようなものが見えるようにしたいということだろうと考えられます。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「トランプ氏、北朝鮮の非核化進展遅れは中国のせいと」

BBC 20180831

https://www.bbc.com/japanese/45364594

 

ドナルド・トランプ米大統領は29日、北朝鮮の非核化に具体的進展が乏しいことについて、中国の責任だとツイッターで非難した。

 

トランプ氏は、「ホワイトハウスの声明」と大文字で題した上で、連続ツイートを投稿した。

 

「ドナルド・J・トランプは、北朝鮮が中国からとてつもない圧力を受けていると強く感じている。これは、我々と中国政府が大きく対立している貿易問題のせいだと考える。同時に、中国が北朝鮮に」

 

「資金や燃料、肥料その他の必需品を含め、相当な支援を提供していることを承知している。これは迷惑だ! それでもなお大統領は、金正恩氏と自分の関係はとても良好で温かいものだと考えており、現時点では」

 

「米韓合同軍事演習に大金を使う必要はないと考えている。それに大統領は、その気になればいつでもただちに韓国や日本との合同演習を再開できる。そうなったら、前よりもはるかに大規模なものになる。米中貿易やその他の」

 

「相違点については、いずれトランプ大統領と中国の偉大な習近平主席が解決する。2人の関係と絆は、いまだにとても強力だ」

 

大統領のツイートとは裏腹に、ジェイムズ・マティス米国防長官は28日、韓国との合同軍事演習を再開する見通しだと発言したばかり。マティス長官は、「最大規模の演習をいくつか延期したのは、シンガポール首脳会談後に誠意を示すためだったが、現時点ではこれ以上、演習を中止する予定はない」と説明した。北朝鮮は、米韓合同演習を「挑発的」だと異議を唱えておえり、6月の米朝首脳会談では米国側が一時中止に応じていた。

 

外交部の華春瑩報道官は、「問題解決のためには、米国は責任転嫁ではなく、自分自身を見つめるべきだ」と批判した。

 

6月にシンガポールで開いた米朝首脳会談では、北朝鮮が「朝鮮半島の完全非核化」に合意し、トランプ氏は「北朝鮮の核の脅威はなくなった」と宣言した。

 

しかしそれ以来、北朝鮮による核開発施設や発射台の解体は十分に進んでいない、核放棄は具体的に進展していないという専門家の指摘が相次いでいる。

 

トランプ氏の連続ツイートは、その責任はすべて中国にあると批判しつつも、北朝鮮の金氏だけでなく、中国の習主席も称賛し、個人的関係の良さを強調している。

 

批判と称賛と警告が分かりにくく混ざり合った大統領ツイートの背景には、歴史的な首脳会談に伴う具体的な成果を求める批判や圧力を政権が意識していることの表れともみられる。

 

=====

 

●「米国務長官「非核化前進見込めず」」

毎日新聞2018825 2229(最終更新 825 2229)

https://mainichi.jp/articles/20180826/k00/00m/030/118000c

 

 【ワシントン渋江千春、高本耕太】トランプ米大統領は24日、ポンペオ国務長官に対し、来週予定していた北朝鮮訪問を取りやめるよう指示したと、同日のツイッターで明らかにした。初の米朝首脳会談(6月12日)で合意した北朝鮮の非核化をめぐる米朝交渉が難航しており、ツイッターでも「現時点で大きな前進があるとは思えないため」と理由に掲げている。

 

 トランプ氏はこれまで集会などで北朝鮮との協議を「極めて順調に進んでいる」と繰り返し評価してきた。20日のロイター通信によるインタビューでも「北朝鮮が具体的な非核化措置を取っていると信じる」と述べていた。だが、この発言後も北朝鮮側から積極姿勢が示されなかったことから、評価を転換させ、不満を表明した。

 

 また、トランプ氏は24日のツイッターで、北朝鮮の後ろ盾である中国との貿易戦争にも言及し、「我々が貿易の分野で中国に強硬な姿勢をとっていることから、中国はかつてのように(北朝鮮の)非核化プロセスに協力していない」と非難した。

 

 今後のポンペオ氏の訪朝時期については、米中間の貿易関係が改善された後になる可能性が高いとも述べた。米中間の貿易戦争が泥沼化するなか、中国が北朝鮮への影響力を対米取引カードとして使う事態を避けたいという思惑も透けて見える。

 

 一方、トランプ氏は金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対しては敬意を示したうえで「近く会えることを楽しみにしている」と呼びかけ、2度目の米朝首脳会談に強い意欲を示した。

 

 ポンペオ氏は、北朝鮮訪問が実現していれば、訪朝後に日本や韓国を訪問し、河野太郎外相や康京和(カン・ギョンファ)外相とそれぞれ会談して訪朝結果を説明する方向で調整していた。

 

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●「米国務長官が来週訪朝=特別代表にフォード副社長」

 

8/24() 0:42配信 時事通信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180824-00000001-jij-n_ame

 

 【ワシントン時事】ポンペオ米国務長官は23日、北朝鮮を来週訪問すると明らかにした。

 

 また、米自動車大手フォード・モーターのスティーブン・ビーガン副社長を北朝鮮担当の特別代表に起用し、訪朝にも同行させると発表した。具体的進展が見られない北朝鮮の非核化で、事態打開を目指す。

 

 ポンペオ氏の北朝鮮訪問は7月以来で、中央情報局(CIA)長官時代を含め4回目。ポンペオ氏は記者団に「外交を通じて北朝鮮の脅威を解消することが、引き続きトランプ大統領の最優先課題だ」と述べ、交渉進展に意欲を示した。

 

 国務省のナウアート報道官は23日の記者会見で、ポンペオ氏と金正恩朝鮮労働党委員長との会談は現時点で予定されていないと述べた。ポンペオ氏は7月の前回訪問でも、正恩氏と会談していない。

 

 ビーガン氏は記者団に「(北朝鮮問題は)困難で容易に解決できるものではない。北朝鮮国民の平和な未来を実現するため、可能なあらゆる機会を捉えなければならない」と語った。

 

 ビーガン氏はブッシュ(子)政権時代の200103年、当時のライス大統領補佐官(国家安全保障担当)の上級スタッフを務めた。マクマスター前大統領補佐官の辞任が取り沙汰された際、後任候補として名前が挙がったこともある。 

 

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 古村治彦です。

 

 少し古くなりますが、日本の安全保障関係とアメリカの保護貿易政策による米中貿易戦争に関する記事をご紹介いたします。この論稿の要旨は「日本はトランプの貿易政策などによって酷い目に遭うので、それならば中国に色気を見せることも考えられるが、やっぱりアメリカから離れられない」というものです。

 

 日本がアメリカから離れるということを想像することは難しいことです。中国が経済力と影響力を増大させる中で、それでは日本が中国に近づくということは短期的にはあり得ません。しかし、日本はアメリカとの関係について、もっと現実的に動くという選択肢はあります。中国が伸びてきている以上、中国にも近づき、かつその関係を使って、アメリカに対して条件闘争を行うというものです。

 

 最初から「ご無理ごもっとも」で何でも相手の言う通りに全てを受け入れるというのは、よほど特殊な関係です。個人間で考えても分かります。日米関係はこの特殊な関係になっています。それが帝国・属国関係ということになります。何でもかんでもアメリカの言いなりになる、アメリカの利益のために日本の利益を犠牲にする、それは究極的にはそれで平和を買うということ、それは戦後日本が到達した一つの見識かも知れません。

 

 しかし、貿易戦争で関税を課され、プラスして防衛力増強を求められ、アメリカらの武器購入を求められるということは、お金をさらに貢ぐということです。貢がれたお金はアメリカとアメリカ国民のために使われるもので、日本人のためではありません。そのような関係でいいのか、というときに、中国との関係を深めておけば、それを使って、条件闘争が出来る可能性もあります。

 

 ところが、日中関係は不自然なほどに敵対的です。この不自然なほどの敵対関係で得をするのはアメリカです。中国との関係がこうである以上、日本はアメリカに益々べったりということになるからです。

 

 このような状況で本当に良いのかということを考えるべき時期に来ているのではないかと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

日本の中国との合意は純粋なプラグマティズム(Japan’s China Deals Are Pure Pragmatism

―ドナルド・トランプでさえも日本政府を中国政府の陣営に押し込むことはできない

 

J・バークシャー・ミラー筆

2018年7月3日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2018/07/03/japans-china-deals-are-pure-pragmatism/

 

複数の専門家たちは最近になって、ドナルド・トランプ大統領の予測不可能で大胆な外交政策によって、アメリカにとって東アジア地域の最重要の同盟国である日本を中国の陣営に押しやることになると分析している。『ウォールストリート・ジャーナル紙』紙に掲載された記事「トランプの貿易戦争は、日本と中国を協力させることに」の中で、両国を「奇妙な同志(strange bedfellows)」と表現した。また、東アジア地域のライヴァルである日本と中国の雪解けの原因がトランプの政策による非確実性であると主張する人々も存在する。

 

この日中の接近という主張にはいくつかの真実が含まれているが、日本政府がすぐにアメリカ政府を捨てて中国政府の側につくということはない。日本の対中国政策は、中国の力が強くなり、東アジアにおけるアメリカの役割が不透明化している中で、よりプラグマティック(現実的、実践的)になりつつあるが、日本が最終的に望むことは、アメリカが東アジアからいなくなることである。

 

トランプ大統領の外交政策はジェットコースターに乗っているようなものだ。これは日本では特に痛切に感じられている。トランプは大統領に就任して最初の週に、トランプ大統領は環太平洋経済パートナーシップ協定(TPP)からのアメリカの離脱を発表した。TPPは、アジア太平洋地域の旗艦となる貿易合意であり、もともとはアメリカが主導し、日本の安倍晋三首相が協力してきた。その後、トランプ大統領は、日本と韓国を含む長年の同盟諸国に脅しをかけている。トランプはこれらの国々はアメリカとの同盟関係において最低限度のコストで最大の利益を得ていると非難している。

 

トランプ大統領は最近、貿易に関して全面攻勢に出て、これが同盟諸国やライヴァル諸国に影響を与えている。日本は、カナダやEUと同様に、長年にわたりアメリカに対して忠実な同盟国であり続けてきたのに、貿易問題に対して何らの恩恵も受けていない。トランプ政権は日本の鉄鋼とアルミニウムに対して大幅な関税引き上げを行った。トランプ政権は、アメリカの国家安全保障上にとって関税引き上げのような厳しい措置は必要不可欠な措置なのだと主張している。

 

日本はまたトランプ政権が北朝鮮との合意で譲歩し過ぎたと懸念を持っている。共同宣言の内容は具体性に欠け、アメリカ政府は中国の東アジア地域における攻勢に対処するにあたり、いくつかの効果の薄い対策は行っているが、包括的な戦略を持っていないと日本は考えている。日本は、トランプ政権が主導してきた北朝鮮を交渉のテーブルにつかせることを目的とする最大限の圧力の熱心な支持者であった、しかし、現在、日本は最近の情勢と出来事について、米朝間で、アメリカが北朝鮮に代償なしに妥協しているということに懸念を持っている。

 

シンガポールでの米朝首脳会談の直後、トランプ大統領は、今年の後半に予定されていた米韓合同軍事演習「ウルチ・フリーダム・ガーディアン」の延期を提案した。トランプ大統領の発表は、日本や韓国に相談することなくなされたものだった。この発表によって、アメリカの朝鮮半島における役割についての疑問が醸成されている。トランプの発表は日本と韓国に相談することなくなされたもので、朝鮮半島に対するアメリカのアプローチに対する疑念を駆り立てることになった。日本政府はトランプが演習について「挑発的」でかつ「費用負担が大きい」と述べたことについても深く憂慮している。トランプのあけすけな言葉遣いによって、ホワイトハウスは地域の同盟諸国をアメリカの対アジア政策と地域の安定にとっての必要不可欠な要素ではなく、財政上、安全保障上の負担だという考えを強めているのではないかという懸念を同盟諸国は持っている。

 

同時に、日中関係において大きな改善が起きている。先月(2018年5月)、日本は李克強国務院総理を迎え、また日中韓3か国の首脳会談のために韓国の文在寅大統領も訪日した。李克強訪日中、日本と中国は一帯一路協議会の設立と東シナ海における意図しない衝突を避けるための空海における接触に関するメカニズムの長年にわたる議論を終わらせた。東シナ海では島々を巡り日中間で衝突が継続している。貿易問題に関しては、日中両国は相互依存関係にあり、トランプの保護主義的な動きに対抗し、東アジア地域の安定した貿易環境を促進することで共通の利益を持っている。貿易協定に関して日中は全く別の意図を持っているが、両国は二国間、そして日中韓自由貿易協定とより大きな地域包括経済パートナーシップを通じて多国間の交渉を続けている。

 

しかし、このような関係改善の動きは歓迎されているが、進みは遅い。言い換えるならば、現状は、雪解けではなく、現実主義に基づいた動きということである。日中関係における戦略に関する不信が生み出す構造的な問題は尖閣諸島の領有権問題と東シナ海に埋蔵されている天然資源の問題である。中国の地域における攻勢と急速な軍の近代化、日米同盟の存在、台湾との関係は根深い問題で、解決に向けた取り組み話されていない。二つ目に、トランプ政権が同盟諸国に対して敵意を持った言葉遣いをしていることに対して、日本と同盟諸国の中で、懸念が広がっている。これは正当な懸念である。日本政府は国家安全保障の保証者としてアメリカをつなぎ留めたいとしている。トランプの言葉遣いがどんなに荒くても、日本政府にとっての要点は全く変わらないのだ。

 

日本は、貿易に関してのアメリカの保護主義的な主張を攻撃するようなことはしない。アメリカの保護主義派アジアにおけるアメリカの信頼性を減少させ、中国の地位を上昇させることになる。日本は、外交上の集中的な攻勢を通じて、アメリカを東アジア地域に関与させ続けようと努力を続けている。この外交上の攻勢は南アジアと東南アジアで展開されている。安倍首相はインド、ヴェトナム、フィリピンなどの諸国家との戦略上の関係を結び、発展させようとしている。この動きは頼りにならないアメリカに対してバランスをとることではなく、二国間の関係を束ねた網を通じてアメリカを東アジア地域に関与させる続けることが目的である。更には、日本は、日米関係を通じて、航行の自由と国際法を通じての紛争の解決のようなアメリカの目的を支持するのである。

 

最後に、安倍政権の下で、日本は安全保障と防衛に対する姿勢を改善し続けている。こうした動きはこれまでの日本の各政権が進めたプロセスの一部であり、進化である。安倍政権下での重要な変化は、国家安全保障会議の設置、国家安全保障戦略の策定、米国との二国間の防衛ガイドラインの見直しといったもので、アメリカの撤退の恐怖を和らげるためではなく、日米同盟をより完全に、そして強化することを目的としたものだ。

 

日中関係の最近の動きは無内容なものではないが、和解に向けた兆候ということでもない。これからの数か月、私たちは中国政府と日本政府との関係がより現実的な方向に進むだろう。しかし、紛争に関して和解が進むものではない。安倍首相率いる自民党の運命は重要な役割を果たす可能性がある。安倍首相が自民党総裁として3期目を務める、つまり首相を務めることが継続できるならば、中国との関係の動きはこれまで通り進む。しかし、安倍首相が継続できないとなると、日中関係の不安定さが増すことになる。

 

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 古村治彦です。

 

 今回は北極海航路に中国が進出するという内容の記事をご紹介します。

 

 中国は現在、ユーラシア大陸を横断する一帯一路計画を推進しています。また、地中海からインド洋を通っての航路にも多額の投資をしています。そして、現在は地中海から北海などを経由して北極海を通る航路にも多額の投資をしているということです。


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 私は北極海航路が出来そうだという話を聞いたときに、ある人と地図を見ながら、中国が地中海沿岸やヨーロッパ各地の港湾に多額の投資をしているのは、北極海航路を使うためではないだろうかと話をしていたことを思い出します。話をしていた人は、「しかし、ロシアがうるさいから難しいんじゃないの」と言っていましたが、中国は金の力でロシアを黙らせているのではないかと思われます。


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 北極の氷が融け、船舶の航行可能な海面が拡大しつつあるそうです。ここはこれまで船舶が通れなかったわけですから、ここでの航路は出来立てほやほやで、誰が主導権を握っているという訳ではないようです。もちろんロシアが主導権を握るのだろうということは予測されますが、北極圏に中国が進出を図っているそうです。

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2019年就役予定の砕氷船「雪竜2」の模型 

 北極海航路は南廻り航路に比べて2週間近く短い期間で中国とヨーロッパをつなぐことが出来る上に、アメリカ海軍の存在もなく、中国にとっては国家安全保障上、自分たちが有利な立場となる航路ができることになります。米中間での紡績戦争の懸念が高まる中、中国の「ユーラシア大陸・アフリカ大陸のブロック化」の一環が北極海航路推進だと思われます。

 

 アメリカや日本が国全体がシュリンクし、縮んでいくのに代わり、中国がこれから世界に進出していくことになります。北極海、北極圏はその最前線ということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

氷が溶けつつある北極海に資金を投入する準備が出来ている中国(China’s Ready to Cash In on a Melting Arctic

―中国政府は北極圏シルクロード建設の大計画を持っている

 

シェリー・ゴードン、エリザベス・フレッセ筆

2018年5月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2018/05/01/chinas-ready-to-cash-in-on-a-melting-arctic/

 

最近の議会証言で、海軍長官リチャード・スペンサーは、今年の夏に発表される予定のアメリカ海軍の新たな北極海戦略は北極圏の氷が溶けていることが原因であることに言及し、最後に「忌々しい奴らが溶けたのです」と述べた。アメリカ海軍が16年間の計画を発表してから、新たな計画を発表したのはそのわずか4年後のこととなった。その理由の一つは北極圏の氷が後退したことで、結果として「新たな交易路、新たな資源の発見、大陸間の地図の書き換え」が発生することとなった。また、アメリカが新たな計画を発表する理由としては、「北極圏に利害関係を持つ存在」として中国が登場し、重要な役割を果たしていることも挙げられる。

 

中国は最近、北極海に関する新たな白書を発表した。この白書はアメリカ海軍が新たな北極海戦略を発表する3カ月前に発表されたものだ。この白書では「北極圏シルクロード(Polar Silk Road)」が標榜されている。これは、習近平国家主席が頻繁に使う「一帯一路計画」をなぞったものだ。一帯一路計画は中国の外交政策の基本となっている。北極圏シルクロードとは氷のない北極圏に新たな航路を設定し、その航路は中国の貿易が独占的に使用し、中国の世界に向けた野心を実現しようというものだ。

 

中国は既に北極海協議会にオブザーヴァ―として既に参加し、「北極圏に近い」国家として、北極海進出の野心を持っている。しかし、中国の北極圏政策は、 中国を「北極圏に近い」国家から「北極圏に利害関係を持つ」国にしようというものだ。これはあくまで自称ではある。「利害関係を持つ国」になると、地域における権益と責任が増大する。このような変化は、将来のアメリカの北極圏政策に影響を与えることになる。

 

中国は北極海に対する野心を持っている。その中には、北極圏シルクロードを通る貿易ルートを構築すること、北極海沿岸諸国への対外直接投資を拡大すること、戦略的に科学的研究を実施することが含まれる。中国は、北極海における気候変動のインパクトが近い将来に中国の国内問題になると認識している。

 

ある研究者は「北極圏の氷が溶けることで、次の世紀では中国の沿岸部に大規模な浸水が発生するだろう。そうなれば2000万人の人が移動を余儀なくされる。農業生産高が減少するのは言うまでもないことだ」と述べている。北極圏の氷が溶けることは、中国の「責任ある世界の強大国」になるという野心に影響を与える。現在のアメリカのトランプ政権が放棄している気候変動への対処におけるリーダーシップを取ることで世界の大国となれる。

 

中国が想定している北極圏のシルクロードはまずヨーロッパの北海ルートから始まり、海上の有料道路のようなロシア沿岸を進み、北極海に到達する。北極海ルートを通っての中国からヨーロッパへ海上輸送経路は一年のうちで氷が溶ける数カ月かだけで利用可能となるだろう。このルートだと、スエズ運河とマラッカ海峡を通る現在のルートに比べて15日間の時間短縮となる。そして、このルートは、アメリカ海軍が存在しないルートである。

 

長期的には、中国は北極点の近くを通る「極地横断航路」を使えると予想している。これから数十年で北極の氷が溶けることで極地横断が出来ると考えられる。この航路の距離はより短くなる。この極地横断航路は毎年数か月間利用できるようになる。これによって、中国の輸出入にかかる日数を短縮し、燃料費を削減することができる。それだけでなく、ロシアがコントロールする水域を通らなくて済むことになる。大連大学極地海域研究センター所長リー・ゼンフーは「北極圏航路をコントロールする主体が世界経済の新しい道筋と国際的な戦略をコントロールすることになる」と述べている。中国は北極圏において経済的な大国として存在している。中国は直接的な存在として、そして北極海における利害関係を持つ存在して間接的な影響力を発揮している。アメリカはこの新しい航路で敗北したくなければ、影響力と役割を増大させる必要がある。

 

中国は資源開発と港湾開発への投資を増加させることで北極圏での存在感を高めている。現在のところ、中国は石油と天然ガスの輸入をペルシア湾とアフリカに依存している。石油と天然ガスの輸送は、アメリカ海軍が監視している戦略上の重要地点をいくつも通過しなければならない。しかし、中国はロシアのヤマル液化天然ガスプラント、ノルウェー国内の油田や天然ガス田に投資をすることで、エネルギー資源の多様化を実行している。ロシアやノルウェーへの投資によって、中国は天然資源の新たな供給源を開発するだけではなく、自国にとって重要な物資の輸送路となるであろう北極圏におけるインフラ整備の経験を積むことになる。同様の理由で、中国は現在、アラスカ、カナダ、ノルウェーでの石油と天然ガス分野での投資の機会を窺っている。また、北欧の北極圏地域における天然資源や港湾整備への投資も増大させている。

 

北極圏における中国のパートナーとなっているのは、北極圏協議会に加盟する5つの北ヨーロッパの国々だ。具体的には、アイスランド。デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドだ。それぞれの国は自国の北極圏開発計画のための資金援助を必要としている。アイスランドとグリーンランドは中国の海外直接投資の目的地となっている。アイスランドは中国の存在に対して複雑な対応を示している。アイスランドは中国からの地熱科学研究分野の投資を歓迎し、アイスランドに深海港を建設することに中国が支援を行うことについて話し合いを行っている。しかし、中国企業が観光関連で土地を購入することをアイスランド政府は拒絶している。グリーンランドの雪と氷が融けるにつれて、中国はグリーンランドにおける港湾開発とレアメタル開発に投資を行っている。レアメタルは中国の巨大な製造業にとって必要不可欠なものである。フィンランドと中国はデータ版の「シルクロード」創設に同意した。このデータ版「シルクロード」は北極圏とアジア地域の市場をつなぐことを目指している。

 

中国の北極圏における野望の最後の部品となるのは、科学の戦略的な利用だ。中国はノルウェーの北極圏地方にあるスヴァルバード列島に多くの科学者を送り込んでいる。この場所は国際的に認められた非武装地帯であり、全ての国家に科学者を送り込む権利が認められている。そのほかの場所にも多くの中国人科学者が送り込まれている。1984年以降、30を超える北極圏における大規模調査と探検が行われてきた。そして、北極圏における研究と航路開発の野望のために、中国は現在、次期砕氷船を建造中である。「雪竜(シューロン)2」は2019年に就役する予定だ。アメリカは次の大型砕氷船の建造を計画中であり、実際の建造は2020年に開始される。中国は北極圏の気候と天候を観測するために多くの衛星を打ち上げている。その中には2017年に打ち上げられたFY-3Dも含まれている。この衛星は、アメリカの共同極地監視衛星システム1号機の打ち上げの3か前に打ち上げられたものだ。中国は北極圏における科学分野の外交を推進している。一方、アメリカは、アメリカ海洋大気庁の極地衛星プログラムと「ポーラー・フォロー・オン」プログラムを統合し、予算を20%削減しようとしている。

 

中国の北極圏における影響力は、経済的な目標と科学を使った外交が協力して得られたものである。中国極地研究所は、2020年までに中国の輸出入の5%から15%が北極海航路を通して行われるようになると推定している。そして、この数字は、北極海航路へのアクセスを確保することを目的に北極圏における利害関係国との関係を良好なものとすることで、更に大きくなる。中国は極地研究の増加と天然資源開発を通じて科学研究を使った外交を推進する。そして、これからの15年間でのこの地域での漁獲量を維持することに合意することで、中国の存在感は更に重要度を増す。

 

このような状況はユーラシア大陸を横断する一帯一路計画に沿って中国の存在が高まっている状況と同じだ。一帯一路計画は二国間による合意や外交を基礎にしている。外交を通じた一帯一路計画の推進によって中国は協力する各国の天然資源を利用し、中国の経済成長に伴う環境へのインパクトを外国に逸らし、中国企業や中国の技術が利益を生む機会を確保することができる。中国の北極圏計画にはより多くの国々が参加し、交易ルートを確保し、北極圏における中国の利益を推進している。一方、アメリカは北極圏で変化しつつある地政学的な状況に対応する必要がある。アメリカ海軍と他の政府機関の北極海に対する戦略を改善し、北極圏における科学的、人的、商業的投資を行うべきだ。北極圏はアメリカにとって次の技術革新の最前線となる。アメリカは科学的、技術的能力と利用して北極圏とアメリカをつなげるようにすべきだ。アメリカは、通信技術と輸送を通じて北極圏に進出すべきだ。アメリカは北極圏に存在する同盟諸国にとっての重要なパートナーとなるようにすべきだ。

 

(終わり)


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金儲けの精神をユダヤ思想に学ぶ (祥伝社新書)

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今の巨大中国は日本が作った


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真実の西郷隆盛
 

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迫りくる大暴落と戦争〝刺激〟経済
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