古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:中国

 古村治彦です。

 

 トランプ政権のアジア外交政策が混乱している、という内容の記事をご紹介します。私に言わせれば、既得権を持つアジア各国の従米エリートたちが混乱しているという方が正確ではないかと思います。特に、日本のエリート層の混乱ぶりはより大きいものではないかと思います。

 

 トランプの政策はアイソレーショニズム(アメリカ国内問題解決優先主義)であり、世界各国の問題には基本的に関与しないというものです。そして、そうした判断は国益にかなうかどうかで行う、というリアリズムです。それらと反対なのが、グローバリズム、インターヴェンショニズムであり、アイディアリズム(理想主義)です。

 

 アメリカ国内の勢力で分けるならば、リアリズムは民主、共和両党にまたがって存在します(国内問題では意見が異なる場合が多い)。リアリズムではない場合には、共和党はネオコン派、民主党は人道的介入主義派です。ネオコン派の第一世代はもともと民主党支持者たちですから、両者は本家と分家という感じです。

 

 アメリカ国内でトランプを批判しているのは、多くの場合、ネオコン派や人道的介入主義派ということになります。しかし、彼らの批判は今一歩、届きません。なぜなら、ネオコン派はアメリカをアフガン戦争とイラク戦争に引きずり込んだ張本人たちであるということから人々から嫌われてそのために2008年の大統領選挙ではリアリズムを掲げるオバマ大統領が当選しましたし、昨年の選挙では人道的介入主義派のヒラリー・クリントンが落選しました。アメリカ国民はグローバリズム(インターヴェンショニズム)とアイディアリズムを拒否する選択をしたということになります。

 

 ここで私たちは、それでは日本はどの様に行動すべきかということを考える必要があります。アメリカの衰退が既に始まっていますが、まだ時間的に余裕があります。GDPの世界に占める割合で見ると、アメリカは約25%、中国は約14%、日本は約6%であり、アメリカ衰退は確かですが、アメリカはまだまだ世界の超大国です。中国に完全に抜かれた、となるまでは後20年から30年かかるでしょう。中華人民共和国建国100年が、2049年ですから、それまではアメリカの優位は動かないものと考えられます。

 

 その中で、日本の世界における立ち位置と国内政策で何を重点とするかということが重要になります。国内で見れば人口減少と高齢化は現実ですから、新しい箱ものや大規模開発は必要ではなく、余裕のあるコンパクトということが重要になって来るのではないかと思います。そうした中で人間一人あたりにかけるお金を増やしていくということがメインになるべきだと考えます。

 

 外交では、日本は海外での武力行使はできないという立場を堅持し、わざわざ普通の国になる必要もなく、復興の時に最大の力を発揮するという方向に向かうべきです。アメリカと一緒に壊しに行くのではなく、破壊からの再生の際に力を発揮すべきです。自分たちも敗戦時には国土の多くが瓦礫となったがそこから立ち直った、それは自国の力もあったが他国の助けもあった、だから破壊を経験した国として、再建の手助けをするということであれば大いに感謝されるでしょう。そして、アジア地域では地域大国として先頭に立たずに二番手の位置をキープするということになるのだろうと思います。

 

 現在の国土以上を求めず、軍事力を求めず、世界と仲良く交易をして生活していく、これ以上のことは望むべきではないし、これ以上何を望むというのでしょうか。

 

 ですから、現在の世界のヒエラルキーが変化していくであろうここ数十年間で、硬直的にアメリカと一緒に心中していくような方向に進むべきではありません。ですから、中国や韓国とも関係を改善し、ロシアとは改善しつつある関係を後退させないようにするということになるのだろうと思います。

 

 変化に合わせて日本も変わっていかなければならない、と思います。

 

(貼りつけはじめ)

 

トランプのアジア政策はこれまで以上に混乱している(Trump’s Asia Policy Is More Confused Than Ever

 

コリン・ウィレット筆

2017年6月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/06/12/trumps-asia-policy-is-more-confused-than-ever/?utm_content=buffer3b499&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

6月3日、ジェイムズ・マティス国防長官は、アジアの同盟諸国やパートナー国に対して、アメリカはこれまでの70年間行ってきたようにこれからも地域を安定させる役割を果たすということを再認識させるために大いなる努力を行った。マティスはアジアの安全と繁栄にアメリカがこれからも関与し続けると雄弁に述べた。また、第二次世界大戦以降のアジアの成功の基盤となってきたルールに基づいた秩序を守るためにアジア・太平洋地域各国と協力するための方法を見つける必要があるとも述べた。残念なことは、マティスの主張が説得力を持たないことで、それは、マティスが代表しているアメリカの政権がこの秩序を損なおうとしているからだ。

 

マティスの演説の数日前、大統領国家安全保障問題担当補佐官H・R・マクマスターと国家経済会議議長ゲイリー・コーンは、『ウォールストリート・ジャーナル』紙に論説を発表し、その中で、マティスが守りたいとしている「世界共同体」を明確に否定した。この論説は、これまでの考えを否定し、「独立独歩」政策を宣言したものとなった。この政策では、諸国家はむき出しの国家の力に基づいて、有利な立場と利益を得られるように争うようになり、同盟諸国やパートナー国を混乱させるだけでなく、アメリカの国家安全保障を損なってしまう。

 

この論説が発表される2日前、アメリカ海軍は南シナ海で航行の自由を守るための作戦訓練を実施した。これは、アメリカが、国際法が許す場所であればどこでも飛行し、航行する権利を守るという決意を示すものだ。このような行動の法的根拠は何か?国際社会で同意した国連海洋法条約(しかし、アメリカは批准していない)がそれだ。国連海洋上条約では、全ての国家が国際海洋上における権利と義務を保有しているとしている。国利欲に関係なく、一連のルールを遵守することは全ての国々の利益となるとしている。世界各国が相互に合意した国際ルールには不便であっても意味があるということを受け入れないということになるならば、アメリカ海軍は航行の権利を持つと主張することは、中国政府はアメリカ海軍の航行を阻害する権利を持つという主張となんら変わらないことになってしまう。マクマスターとコーンはこのようは合意や同意に疑問を呈している。

 

マティスが演説した同じ日、国連安全保障理事会は今年に入って9回目のミサイル発射実験を行った北朝鮮に対する政策を拡大することを決定した。どうしてこのような行動を取ることが可能になるのか?それは、「北朝鮮の核開発とミサイル開発プログラムは世界のルール、規範、条約に違反している」という国連という国際共同体による同意があるからだ。各国政府が、それがたとえ実行困難であり苦痛を伴うものであっても国際条約は彼らを縛り、守る必要があるのだという考えを受け入れないとなると、国連による制裁は、各国が意図的に利用しもしくは無視することができる道具となってしまう。

 

航行の自由や制裁だけでアジアの緊急の安全保障に関する問題を解決することはできない。しかし、これら2つは重要な道具である。国際的な連合が支援する場合、これら2つは国際的な規範を破る国々に対する圧力をかけるための重要な道具となる。

 

アジア各国はアメリカの複雑なシグナルから何を見出すであろうか?マクマスターとコーンが述べたように、アメリカは自国の直接的な利益が危機にさらされる場合にのみ国際社会と協力するのだろうか?もしそうであるならば、アメリカはアジア各国がアメリカに協力する理由を与えられないということになる。

 

北朝鮮、公海上の航行の自由、軍縮といった諸問題は、アジア諸国の多くにとって、現実的な生活にとって、さほど重要な意味を持たないものとなっている。これらの諸問題への対処のために協力することはコストがかかり、技術的に難しいものであり、時間だけを浪費することになる。しかし、ほとんどの国々が努力をするだろう。それは各国が基盤となっている原理に価値を見出しているからだ。その原理とは、各国の主権と諸権利を守っている国際システムは、自国の利益が危機にさらされていない場合でも各国が責任を果たすことも求めているというものだ。

 

アジアにおける私たちの同盟関係とパートナー関係は一つの考えに基づいて構築されてきた。それは第二次世界大戦後の法と規範のシステムは私たち全員に利益を与え、このシステムを防御するために協力することは、たとえそれが困難であっても、投資をするに値するものだ、というものだ。しかし、アメリカがそのような行動をとらないとなると、他国がそのような行動を取る理由があるだろうか?マティス国防長官はこのことを明確に理解している。しかし、彼が代表しているトランプ政権がこのことに同意しているのかどうかは定かではない。そして、アメリカの友人やパートナーである各国はこの乖離に鋭く気付いていることは疑いのないところだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







 古村治彦です。

 

 今回は世界のGDPについて、分かりやすい記事をご紹介します。数字の羅列を見てもよく分からなくても、視覚化されると分かりやすくなります。世界各国のGDPの大きさについてよく分かるようになっています。

 

世界のGDPに関しては以下のウェブサイトも参考になります。↓

http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpd.html

 

 世界で、GDP1兆ドル(約110兆円)を超える国は15しかありません。こうして見ると、日本は400兆円以上ある訳ですから、経済大国であることは間違いないところです。日本は1950年代から1970年代まで高度経済成長を経験しました。そのスピードと成長率(毎年10%以上の成長率が10年近く続いた)は「奇跡」と言われました。この奇跡の経済成長について、もう1つ奇跡と言われたのは、不平等、格差が拡大しない経済成長であったという点です。英語ではeconomic miracle without inequality(格差なき奇跡の経済成長)と言います。この富の再分配を成功させたのは、自民党であり、裏で自民党に協力していた社会党という55年体制でした。


 日本は1980年の段階では世界GDPの約10%、1995年には約17%を占めるまで行きましたが、その後、割合はどんどん小さくなっていきます。現在は5.91%ですから全盛期の約3分の1ということになります。それだけ新興経済大国の伸びが大きいということになります。日本は規模が既に大きいので2%、3%の経済成長でもあれば割合を落とすことはなかったように思いますが、失われた20年でかなり落ちてしまったということが言えます。残念ではありますが、日本は落日の経済大国ということになります。

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 2011年に中国はGDPで日本を逆転しました。1968年に日本が西ドイツを抜いて世界第2位になって以来、日本は40年以上世界第2位の地位を守ってきましたが、第3位になりました。それ以降、中国は経済成長率は鈍化していますが、それでも約7%の経済成長率を維持しているので、日本との差は拡大しています。アメリカと比べたら約60%ほどですが、日本と比較すれば2倍以上になっています。人口を考えると、1人当たりのGDPはまだまだ日本が多いですが、これもいつの間にか逆転ということもあり得るでしょう。

 

 ヨーロッパでは、ドイツを筆頭に上位40カ国にだいたいが入っており、EUでちょうどアメリカと同じくらいの割合(約25%)になっているということで、EUでひとかたまりになっていることは経済的にメリットがあるようですが、ドイツが一人勝ち状態では、イギリスの離脱のように分裂に向かう動きも出てくるでしょう。

 

 世界200カ国以上のうち、下位150カ国のGDPは全体の10%くらいしか占めていないということは、経済成長する、経済大国になるということは並大抵のことではないし、ただ援助を与えたら良いということでもないのだということを改めて認識させられます。そうした中で、経済成長のエンジンとなっているアジア諸国は重要な存在になっている訳で、ここで不安定さをもたらすこと(世界の他の地域ででもそうですが)は愚の骨頂であると言わざるを得ません。

 

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情報を視覚化した表現手段:世界のGDPは如何にして切り分けられているのか(Infographic: Here’s How the Global GDP Is Divvied Up

 

ロビー・グラマー筆

2017年2月24日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/02/24/infographic-heres-how-the-global-gdp-is-divvied-up/

 

今月、世界銀行は世界経済の現状に関する新しい統計数字を発表した。この統計数字は興味深い物語を語っている。

 

アメリカは現在でもまだ世界経済を支配している。アメリカは世界のGDP(約74兆1000億ドル[約8151兆円])のほぼ4分の1を占めている。世界経済の動きは中国がアメリカを追い越すことは不可避であるという話が持ちきりであるが、アジアの経済面での巨人はアメリカから10ポイント引き離されている、中国は14.84%を占め、一方、アメリカは24.32%を占める。

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2011年にGDPで中国が日本を抜いて世界第2位となった。それ以降、日本は世界のGDPに占める割合を低下させ、5.91%となっている。

 

ここで数字が大嫌いという人たちのために、コスト情報を提供するウェブサイト「ハウマッチ・ドット・ネット」の専門家たちの協力も得て、最新の統計数字を使って、世界経済をパイに見立ててどのように切り分けられているかを示すことができた。

For the non-number junkies out there, the data and market research gurus over at cost information website HowMuch.net put together a helpful diagram using the new numbers to show just who has what slice of the pie in the global economy:

 

最新の2015年の世界経済の発表したデータを基にした情報を視覚化した表現手段によると、世界経済の上位40か国の名前を示している。アジア地域の占める割合はほぼ3分の1で、33.84%を占める。これは地域別で最大の割合である。北米は2番目で27.95%、ヨーロッパは21.37%である。

 

その上昇率は高いものの、新興国の経済が世界のGDPで占める割合はまだ小さい。インドは世界経済の2.83%、ブラジルは2.39%、ナイジェリアは0.65%を占めるに過ぎない。今回のグラフを作った専門家たちが指摘しているように、「残りの国々(155か国が分類されている)」が占める割合は、アメリカと中国の差とほぼ同じ大きさである。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 明日にも北朝鮮からミサイルが飛んでくる、サリンを弾頭に付けたミサイルが飛んでくるという、安倍政権の意図を「忖度」したマスコミの煽情的な報道がなされたり、一部有名人による、北朝鮮のミサイルが飛んでくる、飛んできて自分の家族に被害が出たら、テロ組織を結成して日本国内の売国政治家や売国文化人を潰すというアホ丸出しのツイートがなされたりしています。

 

 アメリカがシリアの空軍基地1か所にトマホークミサイルを撃ち込んで以来、「大変だ、大変だ、戦争になる」という不安が煽られています。しかし、冷静になって状況を考えてみましょう。シリアへの攻撃に関しては、空軍基地1か所にトマホークミサイルを撃ち込んだだけのことで、甚大な被害が出たという話は出ていません。攻撃前にシリアにいるロシア軍に被害が出ないように、ロシアとフランスの外相には事前通告がしてあったのですから(日本には事前通告があったのかなかったのか、岸田文雄外相は答えていません)、シリアにも当然その話が伝えられていた、もしくはシリアはロシア軍の動きでその動きを察知していたということは考えられる訳ですから、戦闘機や武器の避難、人員の退避は可能であったということになります。そうなると、あのトマホークミサイル59発は、数百億、数千億の花火大会であったというくらいにしか効果はないものです。地上軍の派遣もない訳ですから、シリアのバシャール・アサド政権の転覆もしばらくはないということになります。

 

 トランプ政権は、「化学兵器を使った攻撃をしないように」ということで、今回のミサイル攻撃を行った訳ですが、これはアサド政権が化学兵器を使ったという断定のもとに行われた攻撃です。アサド政権が使ったという証拠を示すレポートを国防総省は発表しましたが、アメリカの情報機関の能力の低下は2001年の同時多発テロ事件前後から今まで、明らかになっています。

 

 シリアに関しては、化学兵器使用を「誰に対しても許さない」という姿勢をアメリカが示すということで、シリア軍の基地が選ばれて、ミサイルが撃ち込まれた(花火が打ち上げられた)ということになります。政権転覆(regime change、レジーム・チェンジ)を意図したものではないということが明らかです。

 

 北朝鮮に関しても「核開発を進めるための実験をするな」という要求をトランプ大統領は出していますが、政権転覆を意図していないということは下に貼った記事から明らかです。

 

 トランプ大統領は、政権転覆を意図しているのではなく、とりあえずの危険を除去、もしくは起こってしまったことの再発の防止を求めています。これが彼の目的です。そして、その目的を達成するために、硬軟取り混ぜた方法で相手から譲歩や合意を引き出そうとしています。ディールをやろうとしている訳です。トランプは介入しようとしないという点で、バラク・オバマ前大統領の路線の継承者であると言えます。

 

 また、トランプ大統領は、アメリカがシリアと北朝鮮に直接介入・対処して国力を費消してしまうことを避けるために、それぞれロシアと中国のお尻を叩いています。というよりも、責任転嫁をしています。問題の原因はアメリカにあるのに、その尻拭いを中露に刺せようとしています。厚顔無恥はアメリカのお家芸ですからしょうがありません。

 

 シリアで化学兵器を使わせず、北朝鮮に核実験をさせないという目的を達成するために、強硬な構えを見せながら、裏では交渉しているのがアメリカのトランプ政権だと思います。中国やロシアとのパイプが切れかけているようにも見えますが、ヘンリー・キッシンジャーがお膳立てをして、ジャレッド・クシュナーが交渉役になっているのは明らかです。ジャレッド・クシュナーは親族だから切れない、とトランプが発言したという話もありますが、クシュナーがトランプとキッシンジャーとの会談(2016年ン5月)をお膳立てしたことを考えると、クシュナーはトランプ政権の外交におけるキーパーソンです。トランプ政権は交渉を行っているでしょう。

 

 日本ではシリアのことはどうしても遠い中東での出来事ということで関心が高まらず、北朝鮮はお隣の国のことですから過剰に反応してしまいます。北朝鮮はアメリカが核攻撃をしてきたら核攻撃で報復すると述べています。これは、自分から核兵器を使った攻撃をしないと述べていることになります。また、アメリカ本土まで届くミサイルに核弾頭をつけて届かせる技術が北朝鮮にあるのかというと疑問です。

 

 そうなると、北朝鮮が報復するということになると、標的は日韓ということになります。日韓はアメリカと同盟関係を結び、核の傘の下で、守ってもらっているということになっています。しかし、北朝鮮とアメリカとの間で戦争が起きた場合に真っ先に被害を蒙るのは日韓ということになります。また、中国やロシアも無傷ではすみません。日韓中露で世界のGDPの約25%を占めています。いわば世界経済のエンジンであるこれらの国々に迷惑をかける選択をアメリカがするでしょうか。

 

アメリカ国債を日中で100兆円以上ずつ、合計すれば発行額の10%以上も購入しています。アメリカが北朝鮮と戦争になって、北朝鮮が破れかぶれでミサイルを司法に飛ばしたら、日韓中露に大変な被害が出て、世界経済は崩壊の危機に瀕しますし、アメリカ国債も暴落、そして、アメリカが築き上げてきた戦後の世界秩序は崩壊します。

 

 ですから、北朝鮮には強硬な姿勢を見せながら、裏で中国を使って、もしくは中国を通して交渉して、核開発プログラムの停止を交渉していると私は見ています。アメリカが先制攻撃をして、北朝鮮がこの世から完全になくなってしまわない限り、少しでも反撃能力が残っていたら、ミサイルを数発でも残していて、それを破れかぶれで発射したら、それでアメリカは相当なダメージを受けますし、近隣の日韓中露は物理的に大きな被害を蒙ることになります。

 

 ですから過度に恐れる必要はありません。だいたい、安倍首相はこんな緊迫した中で、観桜会を開き(2012年の野田内閣は北朝鮮のミサイル発射があって中止)、鉄鋼ビルヂングの重役などオトモダチや昭恵夫人と3時間も会食を楽しみ、ホテルのジムで運動しているのですから。安倍首相がのんびり休日を楽しんでいます。ですから煽動に載って過剰に不安を持つ必要はないと思います。また、アメリカのマイク・ペンス副大統領も韓国や日本を歴訪します。次の大統領選挙で有力な共和党候補者になり得るペンス副大統領が危険に晒されるという可能性は極めて低いでしょう。
 

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北朝鮮に「最大限の圧力」=トランプ政権、体制転換求めず―米紙

 

時事通信 4/15() 7:47配信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170415-00000012-jij-n_ame

 

 【ワシントン時事】米紙ワシントン・ポスト(電子版)は14日、トランプ政権が北朝鮮政策について、体制転換を目指すのではなく、核・ミサイル開発を放棄させるために「最大限の圧力」をかける方針を決めたと報じた。

 

 2カ月にわたる包括的な政策見直しを終え、国家安全保障会議(NSC)で今月承認されたという。

 

 新政策は、北朝鮮を核計画放棄の交渉に復帰させるために制裁や外交的手段を用いるという。核実験や違法な行動の停止だけでなく、朝鮮半島の「非核化」を目標にする。また、北朝鮮と取引のある中国企業を標的にした制裁も準備するが、「まず中国が自発的に北朝鮮に影響力を行使する機会を与える」という。 

 

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朝鮮半島、取り返しのつかない事態に陥るのを防ぐ必要=中国外相

 

ロイター 4/14() 17:18配信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170414-00000065-reut-kr

 

[北京 14日 ロイター] - 中国の王毅外相は14日、朝鮮半島情勢が取り返しのつかない事態に陥るのを防ぐ必要があるとの見解を示した。中国を訪問中のフランスのエロー外相との共同会見で語った。

 

北朝鮮を巡っては、国連の制裁にもかかわらず6回目の核実験やさらなるミサイル発射実験を間もなく行うのではないかとの懸念が高まっている。

 

ティラーソン米国務長官は先月、北朝鮮に対する戦略的忍耐の政策は終わったと発言し、北朝鮮の脅威が高まれば軍事行動も選択肢になるとの見解を明らかにしている。

 

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北朝鮮ナンバー2、「核攻撃には核攻撃で反撃」

 

AFP=時事 4/15() 12:28配信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170415-00000011-jij_afp-int

 

AFP=時事】北朝鮮のナンバー2、崔竜海(チェ・リョンヘ、Choe Ryong-Hae)朝鮮労働党副委員長は15日、米国から核攻撃を受けた場合、北朝鮮も核攻撃で反撃する用意があると述べた。

 

 崔副委員長は、朝鮮中央テレビ(KCTV)で放映された大規模軍事パレードの開会式で「わが国には全面戦争には全面戦争で応じる用意があり、核攻撃を受けた場合、わが国流の核攻撃で反撃する用意がある」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News

 

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北朝鮮が軍事パレード 金正恩氏も出席、アメリカに自重を促す主張も

 

朝日新聞デジタル  |  執筆者:     朝日新聞社提供

投稿日: 20170415 1323 JST 更新: 20170415 1323 JST

http://www.huffingtonpost.jp/2017/04/15/north-korea-parade_n_16024326.html?ncid=fcbklnkjphpmg00000001

 

 北朝鮮の平壌で15日午前、故金日成(キムイルソン)国家主席の生誕105周年を祝う軍事パレードが行われた。金正恩(キムジョンウン)委員長も背広姿で出席した。朝鮮中央テレビは午前9時35分(日本時間同10時5分)からパレードを生中継した。北朝鮮はトランプ米政権を激しく非難する一方、米国に自重を促すなど、緊張を避ける動きも出始めた。

 

 軍事パレードの開催は、2015年10月、朝鮮労働党創建70周年の際に実施して以来となる。北朝鮮関係筋によれば、北朝鮮は当初、25日の軍創建85周年に合わせて開催するとしていた。米原子力空母カールビンソンの朝鮮半島近海への接近に対抗し、この日に繰り上げたとみられる。

 

 崔竜海(チェリョンヘ)党副委員長は演説で「米国が挑発に出れば、直ちに壊滅的な打撃を与える。全面戦には全面戦で、核戦争には我々式の核打撃で対応する」と主張した。

 

(朝日新聞デジタル 20170415 1146)

 

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 古村治彦です。

 

 今年に入って、中国・上海郊外の義烏市からロンドンまでの貨物輸送鉄道が開通したそうです。7500マイル(約12000キロ)を16日間でつなぐというものだそうです。

 

この鉄道線は、中国が2011年に発表した「一帯一路(One Belt, One Road)」構想の一環であり、この一帯一路構想は、シルクロードと海のシルクロードの再構築、という中国のユーラシア大陸とアフリカ大陸、インド洋を「獲得する」ための大構想です。

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 以下に紹介する文章にもありますが、太平洋でアメリカと日本から受ける圧力を受け流すために、後背地として中央アジア、そして遠くヨーロッパ、アフリカまで包含する大構想です。 

 

 一帯一路構想は鉄道だけではなく、道路やパイプライン、航路でもつながるということであって、まさにこれから、「ユーラシアの時代」がやってくるという予感がします。
 


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中国の「新シルクロード」急行、出発進行(
All Aboard China’s ‘New Silk Road’ Express

:太平洋からロンドンまでの中国の鉄道は、アメリカとの関係が緊張を増す中でヨーロッパ志向になっていることを示す

 

ロビー・グレイマー筆

2017年1月4日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/01/04/all-aboard-chinas-new-silk-road-express-yiwu-to-london-train-geopolitics-one-belt-one-road/?utm_content=buffer9f622&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

中国の「新しいシルクロード」は輝かしい新しい道を獲得した。中国東部の浙江省からロンドンまでつなぐ鉄道サーヴィスが始まる。中国鉄路総公司は1月2日に、上海市郊外で人口100万を抱える都市である義烏市から初めて貨物輸送列車が出発したと発表した。これは、物流における素晴らしい企てだ。この鉄道は全長7500マイルを誇り、16日間をかけてヨーロッパ各国の大都市や首都をつなぐ。

 

より重要な事は、義烏・ロンドン鉄道線は、中国の「一帯一路」政策という地政学的な野心をあらわにするものだ。この一帯一路政策は、中国と中央アジア、中東、ヨーロッパを繋いだ古代の貿易ルートである「シルクロード」を再び作り上げることを目的にしている。アメリカは中央アジアに安全保障をもたらそうという野心を持っている。そして、米中の貿易関係が悪化し、ドナルド・トランプ次期大統領と彼の政権移行ティームが示しているように、中国に対して厳しい姿勢を取っている。この「新しいシルクロード」は、中国にとってより重要性を増すものとなる。

 

古い貿易ルートであるシルクロードを通じてアジアとヨーロッパを繋ぐという中国の目標は、「ベルト・アンド・ロード・イニシアティヴ」など多くの名前で呼ばれている。これは、世界人口の60%を占める65の国々の間で貿易がやりやすくするということなのである。中国は鉄鋼やセメントといった主要な産業部門で生産力過剰に苦しんでいる。そこで、中国は経済を健全なペースで成長させるために必要な新たな市場を探している。

 

ブルガリアの財務大臣や世界銀行幹部を歴任したシメオン・デジャンコフは、「中国は、自国の労働力と建設資材を輸出しているのだ」と述べている。

 

また、中国の国営銀行はそれぞれ、輸送と建設インフラのために2500億ドルの融資を行っている。ピーターソン国際経済研究所の報告によると、「一帯一路」プロジェクトに対する投資は最大で4兆ドルにまで達すると見込まれている。

 

この鉄道はお金の面だけではなく、中国の外交政策にとっても僥倖である。オランダ国際関係研究所の欧中関係専門家であるフラン=ポール・ヴァンダー・パッテンは、「新しいシルクロードは、中国が外交政策面で持っている多くの目的を混合して含んでいる」と述べている。ヨーロッパと環インド洋地域のエネルギー、鉄道、港湾に対する中国の投資は、経済的な利益よりも地政学的な利益を中国にもたらす可能性が高い。

 

ヴァンダー・パッテンは「投資によって、中国はアジア、アフリカ、ヨーロッパでの外交的な影響力を強めることができる。東アジア地域でアメリカと日本から受けている地政学的な圧力に対してそれで対抗することができる」と述べている。

 

中国は、アメリカとの関係が緊張感を増していく中で、ここ数年、国内消費を増加させようとしているが、現在でも輸出に依存している。このプロジェクトは中国にとってさらに重要になっていくことだろう。トランプは自由貿易を声高に批判し、自分の周りに中国を叩く経済学者や貿易に関するアドヴァイザーを集めている。彼らは中国がアメリカ経済を苦しめていると非難している。このことは中国の指導者たちを心配させている。アメリカ貿易通商代表部によると、2015年の米中の貿易関係は合計で6594億ドルに達するものとなっている。

 

アメリカが関税率を上げ、通貨戦争を起こすようなことがあると、ヨーロッパに向けた新しいシルクロードは、中国にとっての格好の避難所となるだろう。

 

デジャンコフは次のように述べている。「トランプ次期政権が貿易面で厳しい態度を取ると、中国は、“ヨーロッパは我々にとっての主要な貿易パートナーである”と言ってインフラを建設することになるだろう」。

 

鉄道輸送サーヴィスは大量輸送の面で最も効率的な輸送方法ではない。しかし、中国鉄路総公司は、ドイツのハンブルク、イタリアのミラノ、スペインのマドリッド向けの鉄道輸送サーヴィスを提供している。義烏・ロンドン鉄道線はコンテナ200個しか輸送できない。巨大な輸送船ならば2万個のコンテナを運べることを考えるとこの数は大変に小さい。しかし、ある種の財物であれば十分に利益を出せるものである。

 

イギリスに本社を置く輸送サーヴィス会社ブリューネル・プロジェクト・カーゴ社のマイク・ホワイトは、「ロンドンまでの鉄道輸送は、海上輸送に比べて半分の距離で済み、空路輸送に比べてコストを半分にできる」と述べている。ブリューネル・プロジェクト・カーゴ社は義烏・ロンドン鉄道線に参加している。ホワイトは、「義烏・ロンドン鉄道線の実現によって、中国との輸出入にかかわる輸送業者や荷主の多くが輸送方法について考え方を変えることになるだろう」と述べている。

 

義烏・ロンドン鉄道線は象徴的な記念碑的事業となっている。前出のデジャンコフは、「“一帯一路”構想が2011年に初めて発表された時から、この構想はヨーロッパの中心とロンドンにつながることを目的とした計画となって具体化したし、それが実現しつつある」と述べた。

 

経済大国であるイギリスは、2014年だけで6630億ドル分の輸入を行った。イギリスは、中国の輸出を基盤とした経済にとって魅力的な対象となる。ここ数年、中国はイギリスの産業とエネルギーに対する投資を増加させている。そして、中国は少なくともつい最近までは、世界第二位の経済大国への経済的なアクセスを熱望するイギリスの指導者たちから熱烈な歓迎を受けた。EU離脱後にヨーロッパとの貿易における優位を失う可能性が出てきたことで、イギリスは、中国との貿易関係を更に深めたいという希望を持つようになるだろう。

 

「一帯一路」はただ鉄道だけのことではない。「帯」は中央アジアを貫く道路とパイプラインを含む陸上のつながりを意味するものだ。「路」は、中国産の絹をローマ帝国各地の市場に送るためにインド洋で開拓された古い海のシルクロードを再び作り出すことを意味している。

 

しかし、中国の習近平国家主席は鉄道投資を最優先政策としている。国有鉄道に2020年までに5030億ドルを投資し、規模を拡大して、新たな輸出市場につなげようとしている、とブルームバーグは報じている。デジャンコフは「鉄道は新しいシルクロードにとって最重要の構成要素となる」と語っている。

 

迎える側となるヨーロッパは、義烏・ロンドン鉄道線が提供するであろうサーヴィスについて歓迎している。特に経済的に遅れていて、輸送、エネルギーなどに投資を必要としているヨーロッパ内部の周辺部は熱いまなざしを向けている。

 

ヴァンダー・パッテンは、中国の新たな鉄道ザーヴィスによって資金を得られることになるので、「ヨーロッパ各国の政府と企業は鉄道サーヴィスに対して大きな期待を持っている」と語っている。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)



アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22




 

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 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ新政権発足まで1カ月を切りました。閣僚人事もほぼ決定しましたが、日本にとって関心のある駐日大使はまだ明らかになっていません。千葉ロッテマリーンズの監督時代にティームを日本一に導いたボビー・ヴァレンタイン氏の名前も出ていましたが、まだ正式には決まっていません。

 

 トランプ政権になってどうなるかということに関心が移っています。トランプは次期大統領(President-Elect)となっての数カ月で、様々な新機軸を打ち出そうとし、また現実政治にも影響を与えようとしています。世界を驚かせたのは、台湾重視の姿勢です。

 

 アメリカは米中国交正常化を行い、「一つの中国政策」を堅持しつつ、台湾に対しても、台湾関係法で関係を維持してきました。アメリカ国内では、チャイナ・ロビー派(この場合のチャイナは中華民国[台湾])と呼ばれる勢力も大きな力を持っています。しかし、公式には台湾は中国の一部であるという立場を取ってきました。

 

 トランプは「王様は裸だ」と言わんばかりに、台湾を重視する姿勢を見せました。これに対して、中国政府は不快感を表明しました。それは当然のことでしょう。

 

 トランプの対中姿勢には前例がありました。そのことをおなじみのマイケル・グリーン先生が教えてくれています。レーガン大統領の時に、国務省の高官人事が決まる前に、国家安全保障会議のメンバーが決まって、そのメンバーが主導して、レーガン大統領は台湾に肩入れする姿勢を取ったということです。また、レーガン大統領はカリフォルニア州知事時代に個人的に台湾指導部との人脈を築いていたということもあったそうです。

 

 1980年代初頭と現在では中国の置かれている立場は大きく異なります。中国はアメリカに次ぐ世界第二位の経済規模を誇り、経済成長率は鈍化しているとは言え、現在でも世界経済の成長エンジンとなっています。

 

トランプ政権の外交調整役になるであろうヘンリー・キッシンジャーの存在もありますから、中国と激しくぶつかるということはないでしょうが、トランプとしては、簡単に言うと、「アメリカからもっとものを買って欲しい、貿易不均衡を押さえて欲しい」ということで、中国に対して色々と注文や要求を出すことでしょう。

 

 今回は、台湾を使って、中国をけん制する、揺さぶるということをやったのではないかと思います。アメリカ、中国、台湾、中国、韓国、日本の中で、本気で米中がぶつかって得をする国はありません。強いて言えば北朝鮮でしょうが、それでも相当なダメージを受けるでしょう。

 

 トランプ政権になってどうなる、と言うことはみんなが関心を持っていることですが、決してそんな無茶をすることはないだろう、特に外交では、と思います。そして、より内政に力を入れていくだろうと思います。そのようなトランプ政権を利用もせずに、「やったやった、日本の防錆予算を増やす口実にできるわい」とくらいにしか思っていない日本の指導部は大局的には大きな間違いをするでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプの台湾への電話がどれほど悪いことなのか?(How Bad Was Trump’s Taiwan Phone Call?

 

マイケル・グリーン筆

2016年12月3日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2016/12/03/how-bad-was-trumps-taiwan-phone-call/

 

ドナルド・トランプ次期大統領は12月2日に、蔡英文台湾総統に電話をかけた。これに国際社会は驚かされた。1979年にアメリカは台湾との外交関係を転換した。アメリカはこの時に「一つの中国」政策の優越性を認めた。それ以降、アメリカ大統領から台湾総統に電話をかけたことはなかった。専門家たちは、中国政府はトランプの政権移行ティームに激しく対応することになるだろうと警告している。彼らは恐らく正しい。また、今回の出来事で、トランプ・オーガナイゼ―ションが台湾の桃園航空城都市開発計画に参加する希望を持っていることについて、利益相反(利益衝突)に関する疑問が出てくるということを指摘している人々もいる。

 

しかしながら、ここでは歴史的な観点が必要である。今回の外交儀礼と慣習の無視は初めてのことではない。1980年から1981年にかけて、当時のレーガン次期政権は、台湾との関係を正常化すると約束し、大統領就任に関連するいくつかの式典に台湾政府高官を招待した。中国政府は激怒した。政権初期のこのような議論を巻き起こした台湾に対しての働きかけは、レーガンのカリフォルニア州知事時代からの台湾政府指導部との深い繋がりが反映されていた。今回のトランプの電話と同じく、こうしたレーガン大統領の動きも当時のリチャード・アレン率いる国家安全保障会議(NSC)ティームが国務長官や国務省高官が決まる前に計画し、主導したものであった。

 

政権発足後の数カ月、アレンとNSCは、台湾政策を巡って、アル・ヘイグと国務省との間で争った。アレンは中国と対峙させるために戦闘機を台湾に売却することを主張した。一方、ヘイグはソ連と対峙させるために中国に戦闘機を売ることを主張した。政権が発足してから18カ月後には、アレンもヘイグもレーガン政権から追い出された。レーガン大統領は「第三の」米中コミュニケを発表した。このコミュニケは、最初の2つのコミュニケの中で確立された米中関係の要素を再確認するものであった。しかし、附則として、台湾の安全保障にとって重要な諸問題について、台湾の頭越しで何かを行うことはないことを約束する「6つの前提」がつけられていた。

 

レーガンを振り向かせようと考えた中国政府は、最高幹部クラスを含む代表団を送り、レーガンに対して、更なる譲歩と「台湾関係法について何らかの処置を行う」ように圧力をかけた。私は出版予定の著作(By More than Providence: Grand Strategy and American Power in the Asia Pacific Since 1783)のためにジョージ・シュルツにインタヴューを行った。その中でシュルツは、レーガンが代表団をじっと見ながら、「あなた方が仰っていることは正しい。私たちは台湾関係法を強化しなくてはいけない!」と語ったと教えてくれた。中国政府は圧力をかけるのを止め、レーガン政権は、それ以前の政権よりも、より生産的で安定した米中関係を構築することができた。同時に、台湾との信頼関係を深めることにも成功した。

 

トランプの電話は、レーガン政権の時と同じような結果をもたらすことになるだろうか?私は民主的に選ばれた台湾の指導者に更なる尊敬を示したいと思うことには同感だ。しかし、トランプ新政権はこれから中国政府と協力して多くの困難な諸問題に対処していかねばならない中で、台湾重視の動きを維持することは大変に難しいと私は考える。

 

NSCの初期メンバーが国務長官や幹部クラス(彼らはより広範な外交上の利益を主張する)が指名される前に台湾重視の姿勢を打ち出したことで、第一次レーガン政権は中国と台湾の角逐を生み出した。これと同じことがトランプ政権でも起こる可能性はある。もちろん、これは誰が国務長官になるかにかかっている。最近のトランプの行動全てを見ても、彼の最初の電話から長期にわたる結論を導き出すのは早計であると言えるだろう。ただ言えることは次のようなことだ。「次期大統領閣下、台湾に配慮することは賞賛に値しますが、歴史が教えるところでは、中国政府とやり合う前に、包括的なアジア戦略を構築する方がより良い方策と考えられます」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)



アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22




 

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