古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:中間選挙

 古村治彦です。

 先日の中間選挙では、様々な選挙が実施された非白人、女性、LGBTQ+の人々がこれまでよりも多く立候補し選挙戦を戦った。その中には、「史上初」という言葉が付く当選者が多く出た。全員をご紹介することはできないが、良くまとまっている記事をご紹介する。

 全体で見れば、共和党ではドナルド・トランプ前大統領が支持した連邦議員選挙の候補者たちが150名近く当選した。共和党のエスタブリッシュメント派は戦々恐々としている。彼らはトランプ派の伸長を警戒し、「今回の選挙で共和党が予想を下回る結果しか得られなかったのはトランプのせいだ」と訴えている。しかし、それは自分たちの責任を回避する言論でしかない。

 民主党では進歩主義的な議員たちが新たに当選しているがその勢力は小さい。しかし、彼らの影響力は大きい。特に若い人々への影響は顕著だ。そうした中で、25歳の進歩主義派の候補者マックスウェル・フロストがフロリダ州で連邦下院議員に当選した。彼の動きはこれから注目だ。

 その他にも性的マイノリティの人々が当選しているということが注目を集めている。アメリカでは性的マイノリティに対する差別が根強いが、それでも少しずつ変化が起きている。

 選挙はアメリカ社会を移す鏡とも言える存在だ。アメリカの多様性は少しずつであるが、公職の構成も反映されつつある。翻って日本を顧みれば、その道のりはまだ遠いということになる。

(貼り付けはじめ)

サマー・リーがペンシルヴァニア州初のアフリカ系アメリカ人女性として連邦議員に当選(Summer Lee becomes first Black woman elected to Congress from Pennsylvania

シェヤン・M・ダニエルズ

2022年11月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/3727447-summer-lee-becomes-first-black-woman-elected-to-congress-from-pennsylvania/

2022年5月12日(木)、ペンシルヴァニア州連邦下院議員選挙第12区の民主党候補者指名を目指すサマー・リー州下院議員がピッツバーグでの選挙集会で演説をしている。この演説の後にバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)からの支持表明を受けた。民主党予備選挙は2022年5月17日(火)の予定だった

進歩主義派の民主党員サマー・リーが火曜日、連邦下院議員選挙に当選し、ペンシルヴァニア州初のアフリカ系アメリカ人女性として連邦議会に赴くことに決まった。

リーにとっては、歴史的な瞬間を作り出すのは2回目のこととなった。リーは、ハリスバーグ地区から初めてアフリカ系アメリカ人女性としてペンシルヴァニア州下院議員に当選した経歴を持つ。

リーはピッツバーグのダウンタウンで開催した投開票日の集会で「今回の選挙運動は、最も疎外された人々を優先し、この国で真の労働者階級の運動がどのようなものになるかを求めて戦った運動となった」と語った。

リーは、ペンシルベニア州第12選挙区で、引退を表明した民主党連邦下院議員の後任として、共和党のマイク・ドイルを破った。

リーは州下院議員を2期務めた弁護士で、労働組合の組織化を行う活動を行っていたこともある。彼女は州下院議員選挙で再選を果たした。来年には補欠選挙が行われる予定である。

リーの成功は、進歩主義的な人々にとって大勝利となる。来年議会に参加する1年生議員となるリーは、連邦議会で「スクアッド(the squad)」と呼ばれる進歩主義的な議員集団の最新のメンバーになることが期待されている。

この選挙区は民主党が圧倒的に優勢とされていたが、連邦下院共和党の選挙部門はこの選挙区に資金を注ぎ込み、先月末には6桁(10万ドル単位)の資金投入を行った。さそれに対して米国イスラエル公共問題委員会(American Israel Public Affairs CommitteeAIPAC)傘下のスーパーPACは、リーの当選を阻止しようと100万ドル以上の資金を提供した。

AIPACの投開票日直前の支出は、現職の進歩主義的な連邦下院議員たちの怒りを引き起こした。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員(ニューヨーク州選出、民主党)やイルハン・オマル議員(ミシガン州選出、民主党)のような現職の進歩主義派連邦議員たちから怒りの声が上がった。2人は、AIPACが共和党の連邦議会支配のために働いていると非難し、オカシオ=コルテスはAIPACが「アメリカの民主政治体制の更なる不安定化(destabilizationに向けて働いている」とツイートした。

しかしリーは、火曜日に彼女のパーティーに集まった人々に、彼女の勝利はペンシルヴァニアが大口寄付者のお金よりも強いことを示すと語った。

リーは次のように述べた。「私たちは、ダークマネーや外部の人々がペンシルヴァニア西部にやってきて、私たちにふさわしい代表のタイプを教えるようなことはさせない。何故なら、私たちのコミュニティは自分たちにとってふさわしい代表を選び出すために長い期間待ち続けたからだ」。

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火曜日夜に歴史を作った10名の候補者たち(Ten candidates who made history Tuesday night

シェイヤンヌ・M・ダニエルズ筆

2022年11月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/3726601-ten-candidates-that-made-history-tuesday-night/

火曜日の中間選挙の結果で、全米で史上初という言葉が付く候補者の当選がいくつも報告された。

過去最多のアフリカ系アメリカ人候補たちが党派を超えて選挙に立候補し、LGBTQの代表が躍進し、ジェンダーの壁が打ち破られた。

これから、今年の選挙でガラスの天井を打ち破った10名の候補者たちを紹介していく。

(1)ウェス・ムーア(Wes Moore

wesmoore511 

アメリカ陸軍の退役軍人でベストセラー本の執筆者であるウェス・ムーア(民主党)は、メリーランド州初のアフリカ系アメリカ人州知事に選ばれた。ムーアは州知事に選ばれたアフリカ系アメリカ人としては3人目となった。彼はトランプが支持した保守派のダン・コックスを破った。

ムーアは7月の民主党予備選挙で10名の他の候補者を倒して民主党候補者となった。選挙運動では、オプラ・ウィンフリーのような有名人たちからの支持を得た。また、民主党所属知事協会から多くの資金提供を受けた。

全米最大級の反貧困団体の元CEOであるムーアの勝利で、知事公邸を青く染め上げた。

ムーアは副知事に、アルナ・ミラーを起用する予定である。インド生まれのミラーは、アジア系アメリカ人として初めて、また移民として初めてメリーランド州の副知事に選出された。

(2)マウラ・ヒーリー(Maura Healey

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マサチューセッツ州司法長官マウラ・ヒーリー(民主党)は、火曜日の夜、2つの壁を打ち破った。マサチューセッツ州初の女性知事、そして全米初のレズビアンを公表した知事として選出された。

ヒーリーは、トランプ前大統領の推薦を受け、2020年の選挙が盗まれたという虚偽の主張を繰り返していたジェフ・ディール前州下院議会議員(共和党)を破った。

選挙戦を通じて、ヒーリーはディールに対して、リードを維持したが、ディールは、引退する現職の共和党所属のチャーリー・ベーカー知事の推薦を取り付けることができなかった。

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)と「ヒューマン・ライツ・キャンペイン(HRC)」は火曜日のヒーリーの当選を称賛した。HRCはツイートで、新しい州知事は「LGBTQ+コミュニティ全体にとってのロールモデルとなる」だろうと述べた。

(3)サラ・ハッカビー・サンダース(Sarah Huckabee Sanders

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元ホワイトハウス報道官サラ・ハッカビー・サンダース(共和党)はアーカンソー州知事に当選し、アーカンソー州初の女性知事となった。

トランプ人気が続くアーカンソー州で、元補佐官が、民主党候補のクリス・ジョーンズ、リバータリアン党候補のリッキー・デール・ハリントンを破っての当選が有力視されていた。

サンダースは昨年選挙戦を開始した際、アーカンソー州での選挙資金調達記録を更新し、火曜日までの世論調査ではジョーンズに対して2桁のリードを保っていた。

サンダースは元アーカンソー州知事マイク・ハッカビー(共和党)の娘であり、トランプ政権の有名な出身者の中で最も政治的に高位の選挙の当選者となった。

(4)マックスウェル・フロスト(Maxwell Frost

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民主党所属のマックスウェル・フロストは火曜日夜にZ世代初の連邦議員となった。

弱冠25歳のフロストは、フロリダ州選出の連邦上院議員選挙に出馬したヴァル・デミングス連邦下院議員(民主党)の後の議席を勝ち取った。彼は進歩主義的な政策を掲げて立候補し、「スクアッド」の最新メンバーになることが予想されている。「スクアッド」は非白人の進歩主義的な連邦下院議員たちのグループである。

勝利を宣言したツイートの中で、フロストは火曜日に「歴史は作られた」と書いた。

「フロリダ州民、Z世代、より良い未来に自分たちはふさわしいと考える全ての人たち、皆にとって、歴史が作られた。アメリカ合衆国議会において私の地元であるフロリダ州を代表する機会をいただけたことに感謝以上の言葉はない」とフロストはツイートした。

(5)ベッカ・バリント(Becca Balint
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民主党所属のベッカ・バリントはヴァーモント州初の女性連邦下院議員、芸であることを公表した人物初の議員となった。ヴァーモント州は全米で最後の女性を連邦議会に送る州となった。

元教師のバリントは、民主党所属の現職連邦下院議員だったピーター・ウェルチが連邦上院議員選挙への出馬を決めたことで空席となった議席のために、共和党のリアム・マデン、リバータリアン党のエリカ・ルディック、その他3名の無所属候補を破った。

今年3月、バリントは本誌『ザ・ヒル』誌の「チェンジング・アメリカ」で、ゲイであることを公表した。そして、彼女の生活体験を反LGBT関連法で矮小化しようとする同僚と自分のアイデンティティーのバランスをどうとるかについて語った。

バリントは「チェンジング・アメリカ」の中で次のように語った。「私は、民主政治体制が当たり前にあるものだと漫然と考えてはいけないということを、家族の中で強く意識して育った。議会でも、教師時代でも、地域社会の一員としても、憎しみが定着しないように、またお互いを単純に見ないようにするために、顔を出して人々と厳しい話し合いをしなければならないと、いつも同僚を励ましきた」。

(6)アンナ・パウリナ・ルナ(Anna Paulina Luna

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共和党所属のアンナ・パウリナ・ルナは火曜日、フロリダ州連邦下院第13選挙区で議席を青から赤に染め直すことに成功した。

ルナはフロリダ州初のメキシコ系アメリカ人女性の連邦下院議員となり、連邦下院で共和党が議席を伸ばすことに貢献した。彼女はフロリダ州選出の12名のラティーノ系連邦議員に参加することになる。そのうちの10名はキューバ系、1名はプエルトリコ系、1名はエクアドル系である。

ルナはオバマ大統領の補佐官を務めたエリック・リンとの接戦を制した。ルナは、保守派のスターである、マット・ギーツ連邦下院議員(フロリダ州選出)とローレン・ボバート連邦下院議員(コロラド州選出)、「トーキング・ポインツ・USA」創設者チャーリー・カークから支持を受けた。

(7)ジェイムズ・ローズナー(James Roesener
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民主党所属のジェイムズ・ローズナーは、トランスジェンダーの男性として初めて州議会議員に選出された。ローズナーは、ニューハンプシャー州連邦下院第22選挙区第8地区を代表する。

ローズナーは、記録的な数のトランスジェンダーおよびノンバイナリーの候補者の一人であった。彼らの立候補は、全米で反LGBTQの法案が相次いで提出された時期に行われた。

「ヴィクトリー・ファンド」によると、トランスジェンダーであることを公表している州議会議員は全米で8名しかおらず、トランスジェンダーであることを公表している男性もわずか6名しか当選していない。

ヴィクトリー・ファンドの社長兼CEOであるアニス・パーカーは声明の中で次のように述べた。「トランスの人々、特にトランス男性は、あらゆるレヴェルの政府において、依然として深刻な存在感の欠如の状態にある。彼の勝利によって、より多くのトランスの人々が選挙に出馬するきっかけになると確信している。政府や社会のあらゆるレヴェルでトランスフォビア(嫌悪)が激化している今、ローズナーは歴史的な選挙戦を通じて信じられないほどの勇気を示した」。

(8)アンソニー・ブラウン(Anthony Brown

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メリーランド州で長年の政治家を務めてきたアンソニー・ブラウンが、州史上初のアフリカ系アメリカ人州司法長官に就任することが決定した。

メリーランド州連邦下院第5選挙区の代表(連邦下院議員)を務めたブラウンは、これまでメリーランド州副知事、州議会議員を務め、2014年に州知事選に出馬した。

ブラウンは極右の共和党候補者マイケル・ペロウトカとの選挙で勝利が有力視されていた。『ボルティモア・サン』紙によると、メリーランド州では1919年以以降、共和党所属の人物が州司法長官に選ばれたことはない。

ブラウンは、州司法長官事務局の公民権部門を拡大し、中絶の権利を守り、銃による暴力を減らすために努力すると述べた。

ブラウンは2日、2000人以上を前にした勝利宣言で、州司法長官に選ばれたことは「名誉であり責任を感じている」と述べた。

(9)サマー・リー(Summer Lee
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火曜日、民主党所属のサマー・リーはペンシルヴァニア州初の女性連邦議員となった。彼女はペンシルヴァニア州連邦下院第12選挙区を代表することになる。

アメリカ・イスラエル公共問題委員会の政治活動委員会(PAC)である「ザ・ユナイテッド・デモクラシー・プロジェクト」がリーの相手である共和党候補者マイク・ドイルに選挙戦最終盤で資金を投入したが、サマー・リーが勝利を収めた。この動きは連邦議会の他の進歩主義派の議員たちから大きな怒りを引き出した。

リーは、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)、アイアナ・プレスリー連邦下院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)といった進歩主義派の議員たちから支持を受けた。リーは宣誓就任すれば、「スクアッド」の最新のメンバーとなるだろう。

(10)デリア・ラミレス(Delia Ramirez

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デリア・ラミレスは、イリノイ州連邦下院第3区を代表することになる。中西部の州から選出された初のラティーナ(ラティーノの女性形)系議員として歴史に名を刻む。

移民の両親の娘であるラミレスはキャリアを通じて、公共サーヴィスの指導的なポジションに就いていた。

ラミレスの勝利は、2020年の区割りで、この地区の有権者攻勢で圧倒的にヒスパニック系が多くなったことを受けたものだ。彼女は共和党のジャスティン・ブラウを破った。

ラミレスは火曜日に支持者たちを前にして、「私たちは今夜歴史を作った。私たちはガラスの天井を打ち破った」と語った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 アメリカでは中間選挙が終わり、連邦上院では民主党が過半数を確保し、連邦下院では共和党が過半数を確保することになった。事前の予想に比べて、民主党が大善戦したということになるが、連邦下院で過半数を失ったことで、ジョー・バイデン政権の政権運営は難しくなる。

 民主党の中には「スクアッド(the Squad)」と呼ばれる進歩主義派の若手議員たちがいる。その代表格がニューヨーク州選出のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員だ。この議員たちも今回の選挙で楽々と再選を決めた。スクアッドの議員たちは、「ジャスティス・デモクラッツ(Justice Democrats)」という進歩主義的な議員たちの増加を目指す政治行動委員会(PAC)からの支援を受けている。このPACの支援を受けて、今回複数の新人が初当選を果たした。進歩主義派の議員たちは民主党エスタブリッシュメント派と同調せずに、たとえ民主党の出した法案であっても、バイデン大統領肝いりの政策であっても、反対する場合がある。エスタブリッシュメント派にとっては目の上のたんこぶのような存在だ。

今回の中間選挙では、ニューヨーク州の連邦下院議員選挙で4つの選挙区で共和党が民主党から議席を奪取した。州知事選挙では、クオモ前知事がスキャンダルのために辞任して、副知事から昇格した現職のキャシー・ホーチュルが得票率約52%で勝利した。これは、最近の選挙結果から見れば、民主党側にとっては大苦戦ということになった。2016年の大統領選挙では民主党候補のヒラリー・クリントンが得票率約59%で勝利、2018年の州知事選挙では当時現職だったアンドリュー・クオモが得票率約59%で勝利、2020年の大統領選挙ではジョー・バイデンが得票率約60%で勝利を収めた。共和党側が支持を伸ばし、民主党は大事な地盤であるニューヨーク州で負けたということになる。
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2020年に比べて共和党が支持を伸ばした

この結果を受けて、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員はニューヨーク州民主党指導部を批判し、委員長の辞任を要求した。これに対して、エスタブリッシュメント派である指導部は「あなたは選挙のために何もしなかったではないか」と反撃するということになった。アレクサンドリア・オカシオ=コルテスは全米的に人気を誇る議員であるが、民主党エスタブリッシュメント派からは嫌われている。

 今回、民主党は予想よりも大きく負けなかったということで、民主党が勝ったようなものだという雰囲気が醸し出されているが、足元のニューヨーク州で負けているというのは深刻な事態である。2024年の大統領選挙と連邦議会選挙に向けて、民主党は立て直しを図らねばならないが、党内融和と協力体制を作るところからということになる。しかし、それが困難なほどに党内での分裂は厳しいものがある。

(貼り付けはじめ)

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自身の選挙で落選した民主党の選挙対策委員長がオカシオ=コルテスを非難:「彼女はニューヨーク州の各選挙区での民主党候補の勝利にほぼ何も貢献しなかった」(Ousted Dem campaign chair blasts Ocasio-Cortez: ‘She had almost nothing to do’ with our wins

ジュリア・シャピロ筆

2022年11月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3730516-ousted-dem-campaign-chair-blasts-ocasio-cortez-she-had-almost-nothing-to-do-with-our-wins/

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)がニューヨーク州で民主党が敗北を喫したことに民主党指導部の責任を追及したことを受けて、連邦下院民主党選挙対策委員会委員長シーン・パトリック・マロニー連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)はオカシオ=コルテスを非難した。

マロニー議員は『ニューヨーク・タイムズ』紙の取材に対して次のように述べた。「はっきりさせておきたい。民主党が過半数を維持するための歴史的な防衛戦において、彼女はほぼ何も貢献しなかった。「党の選挙資金をびた一文負担しなかった。彼女からの資金など望まなかった最前線に立つ候補者たちに資金を押し付けること以外には何もしなかった」。
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火曜日の中間選挙の投開票の結果、ニューヨーク州が右傾化したことが明らかになったことを受け、オカシオ=コルテスは水曜日にニューヨーク州民主党指導部を批判した。共和党は、ニューヨーク州全体で、民主党が保持していた4議席を奪取した。その中にはマロニー自身の議席も含まれていた。

オカシオ=コルテスは特に、ニューヨーク州民主党委員会委員長ジェイ・ジェイコブスの辞任を求めた。

しかしながら、マロニーはニューヨーク州選出の連邦下院議員であるオカシオ=コルテスに反撃し、中間選挙における彼女の支援のレヴェルについて疑義を呈した。

マロニーは「民主党が今回の中間選挙において連邦下院で過半数を維持するために、彼女は1分も時間を使わなかった。彼女がどのようなアドヴァイスを持っているかは分からないが、きっと惜しみなくアドヴァイスを与えてくれるだろう」と語っている。

オカシオ=コルテスは木曜日の夜、マロニーが彼女の選挙運動を無視していると主張し、反論した。

このような状況下、オカシオ=コルテスは、「マロニーは私に接戦の選挙を戦っている各民主党陣営に寄付を呼びかけた。私がこの選挙戦で行った最初のことは寄付だった」とツイッターで述べた。彼女は続けて「今回の選挙で25万ドル以上を民主党に寄付し、民主党連邦議会選挙対策委員会(DCCC)の資金集めを促進したのに、彼はそれを否定している。もし彼が、私のカリフォルニア訪問や私たちの努力を知らないのなら、それは彼の責任だ」と書いた。

連邦下院民主党は、中間選挙で共和党の「赤い波(red wave)」を退け、大敗するという予測を覆した。しかし、共和党が連邦下院を支配する可能性は依然として高いと見られている。

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オカシオ=コルテスが中間選挙の結果に関してニューヨーク州民主党指導部を非難(Ocasio-Cortez slams NY Democratic Party leadership over election results

ミカエル・シュニール筆

2022年11月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/3727383-ocasio-cortez-slams-ny-democratic-party-leadership-over-election-results/

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は水曜日、中間選挙の結果でニューヨーク州が右傾化したこと(共和党が勢力を伸ばしたこと)を受け、ニューヨーク州民主党指導部を非難し、委員長の辞任を要求した。

オカシオ=コルテスはツイッター上で次のように書いた。「ニューヨーク州民主党指導部は、前ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ(民主党)の下で骨抜きにされ、ロビイストを詰め込み、共和党を後押しするために働き、ニューヨーク州の再編成を守るための基本的な州投票法案を通せなかった、説明責任を果たすべきだ」。

オカシオ=コルテスは「私は1年前にジェイ・ジェイコブスの辞任を要求し、今もその立場を変えていない」とニューヨーク州民主党の会長に言及した。

オカシオ=コルテスは、ニューヨーク・タイムズ紙が発表した、今年のニューヨーク州知事選挙の得票と2020年の大統領選挙での得票を比較したグラフィックに反応した。ニューヨーク・タイムズによると、今年のニューヨーク州の投票はより共和党にシフトしたということだ。

しかしながら、ニューヨーク州知事キャシー・ホーチュル(民主党)は、リー・ゼルディン連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)の挑戦を退け、セクハラ疑惑で辞任したクオモの後に就任したニューヨーク州知事として初めて完全な任期を確保した。

その後のツイートでオカシオ・コルテスは、ジェイコブスが元KKK指導者のデイヴィッド・デュークを含めた類推を行ったことで炎上した事件を詳細に伝える2021年10月の記事のリンクを掲載した。

2021年10月、ジェイコブスは、候補者が予備選に勝ったからといって党が支持する必要はないと主張し、デイヴィッド・デュークがニューヨーク州の民主党予備選挙で勝利するという「シナリオ」を提示した。

オカシオ=コルテスは次のように書いている。「民主党の議席を守るはずだった投票法案の惨敗に党を導いた後、委員長(ジェイコブス)は民主党候補となったアフリカ系アメリカ人女性をKKKと比較した。それなのに彼は守られたのだ。昨夜の劣勢はその決定の結果だ」。

そして、3つ目のメッセージで、オカシオ=コルテスは、「昨晩のニューヨーク州での民主党の劣勢は、パフォーマンス、戦略、そして組織化よりも、石灰化したマシーン政治とコネや優遇を優先してきた長年の証しである」と述べた。

オカシオ=コルテスは、党委員長ジェイコブスは「去らねばならない」と述べ、「そして私たちはコミュニティのリーダーシップと小さな民主政治体制をより大切にするために党を再編成しなければならない」と付け加えた。

本誌はジェイコブスにコメントを求めた。

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「スクアッド」のメンバー議員たちが順調に再選を決める(‘Squad’ members cruise to reelection

ザック・ションフェルド筆

2022年11月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3726475-squad-members-cruise-to-re-election/

火曜日の中間選挙で、「スクアッド」と呼ばれる6人の進歩主義的な連峰下院議員のグループが、全員再選を果たすと予測されている。

様々な報道機関が、これらの民主党の連邦下院議員の当選を報じている。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(ニューヨーク州選出)、イルハン・オマル(ミネソタ州選出)、アイアナ・プレスリー(マサチューセッツ州選出)、ラシダ・タリブ(ミシガン州選出)、コリ・ブッシュ(モンタナ州選出)、ジャマール・ボウマン(ニューヨーク州選出)がスクアッドのメンバーである。
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しかしながら、全ての議員が2020年の大統領選挙でジョー・バイデン大統領がトランプに対して得票率で2桁の差をつけた選挙区の出身なので、彼らの勝利は驚くに値しない。

オカシオ=コルテス、オマル、プレスリー、タリブの4人は、2018年の選挙で初当選した後、1年生議員グループとして注目され、ソーシャルメディアで多くのフォロワーを獲得した。

「ニューヨーク州第14選挙区を代表する連邦下院議員という大きな責任を私に託してくれた、コミュニティのメンバー全てと草の根の支援者に感謝します」とオカシオ=コルテスはツイートした。彼女は続けて「私たちは毎回、少ない選挙資金で選挙運動をやっています。新しい種類の統治を可能にしてくれる皆さんには、感謝の念を抱き続けています」と書いた。

上記の4人に2020年の選挙で当選したブッシュとボウマンがメンバーに加わった。

6人の連邦下院議員はいずれも比較的若く、党のエスタブリッシュメント派には同調しないという意志を示している。

彼らは、バイデン大統領や多くの民主党連邦議員が中間選挙までの数カ月の間に繰り返し宣伝した主要法案である超党派インフラ法に反対票を投じた唯一の民主党連邦議員グループになった。

連邦下院民主党が9月に上程する予定だった警察・治安関連4法案について、そのうちの1法案に「説明責任方策」が欠けているとして、スクアッドのメンバーたちは審議を延期させる事態を招いた。

このグループのメンバーの中にはブッシュやタリブなど、予備選挙でより穏健な候補者からの挑戦に直面したメンバーもいた。現職議員の2人は民主党の予備選挙で楽に勝利した。

タリブは次のようにツイートした。「ヴォランティアの皆さん、人々の投票する権利を守ってくださったこと、ありがとうございます。十分な配慮をしてくださってありがとうございます。喜びと愛を持って活動してくださってありがとうございます。今夜、私たちは、私たちのコミュニティが美しく、力強いものであることを人々に示すでしょう。私たちは沈黙するつもりはありません」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 アメリカ中間選挙が終わった。現在のところ、いくつかの州や選挙区で結果が確定していないが、連邦下院では共和党が過半数を奪取し、連邦上院では民主党が過半数を保持する可能性が高い。ジョー・バイデン政権発足から2年間、ホワイトハウスと連邦上下両院の過半数を民主党が保持するという状態が続いてきたが、連邦下院は共和党が握るということになりそうだ。

 今回の中間選挙において、ドナルド・トランプ前大統領が支持した候補者たちが150名上連邦議員に当選した。トランプのスローガンは、「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」と「アメリカ・ファースト(America First)」である。トランプの外交政策の基本は「アイソレイショニズム(Isolationism、国内問題解決優先主義)」とも言われるが、これは簡単に言えば、「アメリカの国内問題解決に集中しよう、海外の問題は海外に任せておけばよい」ということになる。トランプ支持を鮮明にしている連邦議員たちはこれまで、連邦議会においてウクライナへの軍事支援に対して反対票を投じている。民主党側では、進歩主義派の議員たちが反対票を投じている。

 トランプとウクライナの関係で言えば、トランプが大統領在任中に、ウクライナと当時のジョー・バイデン副大統領と息子ハンター・バイデンの関係、スキャンダルについて、ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領に対して捜査を行うように要請し、それをゼレンスキーが拒絶したということが思い起こされる。ハンター・バイデンがほとんど何も仕事をしていないのに多額の報酬をウクライナのエネルギー企業から受け取っていたことがアメリカ国内でも報じられていたが、その本丸はバイデン副大統領(当時)とウクライナの関係である。はっきり言えば、ウクライナの中立政策(EUとロシアの間でどちらにも肩入れしすぎない)を放棄させ、ロシアの危機感を煽り、ウクライナとの間で紛争を引き起こさせることになった。

 トランプ派が多く連邦議員に当選したことで、バイデン政権は政権運営に苦慮することになる。特にウクライナ問題に関しては、お手盛りの軍事支援が難しくなることが予想される。ウクライナ側としては攻勢を続けている状況ではあるが、これはアメリカの手厚い支援があってこそである。トランプ派が増えればアメリカからの支援が削られることになる可能性がある。そこで、「良識派(トランプ派ではない、エスタブリッシュメント派)が多く当選して欲しい」というのがウクライナ側の本音ということになる。

 アメリカの支援が先細りということになれば、停戦交渉が実施され、現状が固定される可能性がある。ロシアとしては守備を固めてウクライナ側の攻勢を迎え撃つという戦略になる。ロシアとしてはそのような状態になることを待つということになるだろう。アメリカの中間選挙の結果がウクライナ戦争にも影響を与えることになる。

(貼り付けはじめ)

トランプ氏の通話記録を公表 ウクライナにバイデン氏捜査を働きかけ

2019926日 BBC日本語版

https://www.bbc.com/japanese/49834824

トランプ氏は「就任の誓いと憲法と安全保障を裏切った」 ペロシ下院議長

アメリカのドナルド・トランプ大統領が、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対し、政敵について捜査するよう働きかけていたことが、25日にホワイトハウスが公表した通話記録で明らかになった。野党・民主党からは、政敵潰しのために外交を利用したと批判が上がっている。

公表された通話記録によると、トランプ大統領はゼレンスキー大統領に対し、ジョー・バイデン前副大統領とその息子のウクライナでの活動について捜査するよう促していた。

バイデン前副大統領は、来年の大統領選で民主党候補に選ばれる可能性がある。

民主党は24日、このウクライナ疑惑をめぐり、弾劾調査を正式に開始すると発表していた。

「協力をしてくれるとありがたい」

公表された通話記録によると、トランプ氏はゼレンスキー氏との電話で、ウクライナのヴィクトール・ショーキン検事総長の解任について話し合った。

トランプ氏は、「ウクライナには非常に優秀な検事総長がいたのに、解任されたと聞いた。本当に不公平だ」、「ウクライナの非常に優秀な検事総長の解任方法についてや、非常に悪い人間が複数関与していたと、多くの人がうわさしている」と述べたという。

さらに、「それからもうひとつ、バイデンが(自分の息子の)捜査を止めさせたなどといった、バイデンの息子に関するうわさがたくさんある。多くの人が何があったのか知りたがっている。あなた(ゼレンスキー氏)がアメリカの司法長官と何らかの協力をしてくれるとありがたい」と続け、ウィリアム・バー米司法長官やルドルフ・ジュリアーニ米大統領顧問弁護士と連携して捜査するよう要請したという。

「バイデンは息子の捜査を止めたと自慢して回っていたので、調べてもらえれば。(中略)私にはひどい話に思える」と述べたトランプ氏に対し、「われわれはこの件の捜査に取り組む方針だ」とゼレンスキー氏は答えたという。

ゼレンスキー氏は、過去にアメリカを訪問した際、ニューヨークのトランプ・タワーに滞在したと伝え、トランプ大統領に感謝を述べた。

援助の重要性を強調

通話記録ではまた、トランプ氏がゼレンスキー氏に対し、軍事支援の実行はバイデン氏に関する捜査次第だとは明言していないことも明らかになった。

しかし、バイデン氏について言及する前に、トランプ氏はこう述べて、アメリカからの援助の重要性を強調していた。

「われわれは、ウクライナのために多くのことをしている」

ゼレンスキー大統領との電話の数日前、トランプ氏はウクライナへの39100万ドル(約420億円)の軍事支援を延期した。

トランプ氏は、ゼレンスキー氏に圧力をかけるためのものではなかったとしている。

「米史上最大の魔女狩り」

トランプ大統領はツイッターで、「完全に機密解除された未編集の通話記録」を25日に公表すると約束していた。しかし、ホワイトハウスが25日朝に公表したのは、政府職員が会話の内容を聞いて書き起こした文書だった。

トランプ大統領は25日朝、米ニューヨークで開かれた国連総会に出席。弾劾調査は「アメリカ史上唯一最大の魔女狩り」だと反発し、7月の電話はなんでもない内容だったと述べた。

一方、トランプ氏と共に国連総会に出席したゼレンスキー氏は記者団に対し、「われわれが電話でいい協議をしたということが、あなた方にもわかっただろう。普通の電話だった。さまざまなことを話し合った。誰も私に圧力をかけていなかったことが、通話記録を読んで分かったと思うが」と述べた。

「言い換えれば、圧力はなかった」と、トランプ氏は口を挟んだ。

一方、米下院情報委員会のアダム・シフ委員長(民主党、カリフォルニア州選出)は、記者団に対し、通話記録を見れば「古典的なマフィアがやるようなゆすり」があったと分かると述べた。

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キエフは中間選挙で共和党の「良心派が勝利する」ことを希望しているようだ(Kyiv Is Hoping the Republican Party’s Better Angels Prevail in the U.S. Midterms

-共和党の親トランプ派は少数派だが声は大きい。彼らはアメリカによるウクライナ支援に公然と疑問を呈している。

エイミー・マキノン筆

2022年10月14日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/10/14/ukraine-military-aid-midterms-republicans-gop-trump/?tpcc=recirc_latest062921

「党派間で消耗するだけの議論をするべきではない分野が存在する(Politics stops at the water’s edge)」、あるいは1947年、連邦上院外交委員会委員長だったアーサー・バンデンバーグ連邦上院議員(当時)が初めてそう発言したとき、そうであったかもしれない。しかし、近年、党派政治(partisan politics)がアメリカの外交政策に益々影響を及ぼしているため、来月の中間選挙では、ロシアとの戦いが冬に突入する中、アメリカのウクライナ支援に選挙がどのように影響するかが懸念されている。

連邦下院では共和党が過半数を奪還するとの予測が大勢を占めており、連邦上院の行方は依然不透明である。共和党の主流派は開戦以来、超党派でキエフを強く支持してきたが、ドナルド・トランプ前米大統領と連携する議員たちや、フォックスニューズなど右派のエコーチャンバー(反響室現象)の有力なコメンテーターたちは、ワシントンによる軍事援助の程度に疑問を呈し始めている。

ウクライナを更に武装化するという決定は、海外介入をためらわないタカ派のエスタブリッシュメント保守派と、トランプ政権で目立つようになったアイソレーショニストの合唱の間で共和党内で深まる亀裂の上に描かれている。

連邦下院軍事委員会委員長である民主党所属のアダム・スミス連邦議員は、「ウクライナを強く支持し、政権にもっと努力してほしいと思っている共和党議員たちはたくさんいる」と述べた。

しかし、共和党員、民主党員、そしてウクライナ人の間には、声の大きい少数派に圧倒されてしまうのではないか、という不安が忍び寄るようになった。5月には共和党所属の連邦下院議員57名と連邦上院議員11名が400億ドルのウクライナ支援策に反対票を投じ、極右議員を代表する議員連盟である「連邦下院フリーダム・コーカス」のメンバー数名もウクライナへの追加支援に明確に反対を表明している。8月には、メキシコとの国境に壁を建設するまでウクライナにこれ以上連邦資金を送らないよう求める法案を、フリーダム・こーカスのメンバーが共同提案した。

アトランティック・カウンシルのユーラシア・センター副所長のメリンダ・ヘリングは、「アメリカ第一を主張するアイソレイショニズム(America First isolationism)を信じるこれらの声は、全ての主要右翼メディアを支配している。彼らは最も騒がしく、最も声が大きく、最も注目されている」と述べた。

2月24日にロシアがウクライナに侵攻した日以来、影響力の強いフォックスニューズの司会者タッカー・カールソンなどは、この戦争をバイデン政権の失敗、2016年の大統領選挙に対するロシアの干渉に復讐するための努力として描いてきた。時には、カールソンは戦争に関するロシアの論調に同調している。

他の保守系論客たちは、カールソンらが共和党全体に及ぼした影響を否定した。アメリカン・エンタープライズ研究所の外交・防衛担当上級研究員ダニエル・プレトカは、「マット・ゲーツ連邦下院議員やタッカー・カールソンを引き合いに出すのは、いつでも背後に何らかの意図があるように聞こえる」と述べた。プレトカは、連邦上下両院の共和党幹部がいずれも、ウクライナへの支援を強化するよう政権に働きかけていると指摘した。

この件について匿名を条件に取材に応じたある共和党所属の連邦議会補佐官は「フォックスニューズのコメンテーターたちの影響については、多くのことが誇張されていると思う」と述べた。この補佐官は、軍事援助に関する共和党の懸念は、主に予算計上をめぐる官僚的な争いや、重火器をウクライナ軍の手に早く渡したいという思惑が中心になっていると指摘した。9月下旬の連邦上院議会での演説で、連邦上院少数派(共和党)院内総務のミッチ・マコーネル連邦上院議員は、バイデン政権に対し、ウクライナへの武器納入を早めるよう促した。

この補佐官は加えて、「ウクライナへの資金提供に対するもう1つの逡巡は、ウクライナそのものというよりも、バイデン政権が外国のパートナーに提供される非常に大きな金額の資金に対する適切な監督と説明責任を果たしていないことだ」と述べた。

バイデン政権のウクライナへの軍事援助の扱い方に対する共和党の批判にはほとんど中身がないとの見方もある。前述のヘリングは「バイデン政権に対する共和党の批判は、ウクライナに関してはナンセンスだ。私はこれまで共和党員であるが、ウクライナの専門家としてこのように断言する」と述べている。

しかし、2020年の大統領選は不正選挙であったという主張を軸に党が結束していることからも明らかなように、党の周辺にある意見が近年、主流派に移行する可能性があることを証明されている。11月の選挙に立候補した共和党の候補者の大多数は、投票結果に疑問を呈し、あるいは否定している。

スミスは「その小さな集団が、ケビン・マッカーシー連邦下院議員の選択する方向性に不釣り合いなほどの影響を及ぼしていることは確かだ」と述べた。

各種世論調査では、共和党支持の有権者の間で、アメリカのウクライナ支援に対する疲労感が高まっていることが既に明らかになっている。「モーニング・コンサルト」社が月曜日に発表した世論調査によると、「アメリカにはウクライナをロシアから守り抜く責任がある」と考える共和党員はわずか32%、民主党員の58%であった。へリングは「共和党の主流派は、ワシントンやニューヨークを離れ、アメリカ人と話をする義務があると思う。「そして、何故ウクライナを支援することがアメリカの国益に適うのかを説明する必要がある」と述べた。

キール世界経済研究所のウクライナ支援トラッカーによると、1月から10月の間に、アメリカは268億ドルの軍事支援を約束し、第2位のイギリスの数倍を提供した。

キエフへの米軍援助が削減されれば、ウクライナに存亡の危機をもたらすことになる。

ウクライナの独立した防衛反汚職委員会NAKO事務局長オレナ・トレグブは「ウクライナの人々はウクライナへの支援は超党派の問題であると信じている」と語っている。

オレナ・トレグブは続けて次のように述べた。「しかし、ここウクライナでは、ドナルド・トランプやタッカー・カールソンの発言に強い反発がある。これらはウクライナ人にとって本当に衝撃的な発言であり、ロシアのプロパガンダがどうしてこれほどまでにアメリカの共和党に浸透しているのか、ウクライナ人は困惑している」。

エイミー・マキノン:『フォーリン・ポリシー』誌国家安全保障・諜報分野担当記者。ツイッターアカウント:@ak_mack

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 アメリカの中間選挙(Midterm elections)が近づいてきた。連邦下院の全議席、連邦上院の一部、州知事の一部の選挙が実施される。現在のところ、連邦下院では共和党の過半数が確実、連邦上院では共和党が過半数を獲得できるかどうか微妙な状況となっている。以下の図の通りだ。

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連邦上院の状況
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連邦下院の状況

 今回の全国規模の選挙は「中間」という名前がついている通り、大統領選挙と大統領選挙の間に行われ、現職の大統領に対する「評価」がなされる選挙である。大統領選挙を期末試験と考えると、中間選挙は中間テストということになる。アメリカでも日本と同様にエネルギー価格と食料価格の高騰により、生活が苦しい人々が多く出ており、経済問題が選挙の焦点となっている。

 それ以外にも、今回の中間選挙には2024年の大統領選挙の前哨戦として、いくつかの重要なテーマが存在する。それらは、(1)民主党はラティーノ系有権者の支持を確保できるか、(2)ドナルド・トランプ前大統領以外の有力な大統領選挙候補者は出てくるか、(3)トランプはどれくらい躍進するか、(4)2016年にトランプを当選に導いたブルーカラー、労働者たちの支持はどこに向かうか、である。そして、2016年、2020年の大統領選挙で激戦州となった、フロリダ州、ジョージア州、ペンシルヴァニア州、オハイオ州、ウィスコンシン州、ネヴァダ州、アリゾナ州が焦点となる。これら、選挙の結果が大きく変わるパープルステイト(共和党の赤色と民主党の青色が混ざって紫となり、激戦であることを示す言葉)、スイングステイトに注目が集まる。

 今回の選挙戦では共和党予備選挙の段階で、トランプ前大統領が支持する候補者が躍進し、共和党のエスタブリッシュメント、主流派は戦々恐々としている。トランプ派はマイノリティではなく、共和党で大きな勢力となる。2024年の大統領選挙にトランプ前大統領が出馬するのか、もしくは彼が支援する候補者が出るのかということは大きな焦点となる。連邦議会の上下両院で過半数を獲得することになれば、共和党はジョー・バイデン政権と共和党に対してより対決的な姿勢で臨むことになるだろう。バイデン政権の政権運営は厳しいものとなる。

 民主党側では、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出)やアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出)が率いる進歩主義派の「ジャスティス・デモクラッツ」は勢力を少し拡大しそうであるが、トランプ派のように民主党を動かすほどにはならないだろう。民主党はホワイトハウスを抑え、連邦議会上下両院で過半数を占める与党であるが守勢となっている。大型の財政出動を行おうとしてきたが、党内に「ブルードック」と呼ばれる財政規律重視派を抱え、それもうまくいっていない。現状ではなかなか厳しい結果となるであろう。

 バイデン政権1期目後半の政権運営が厳しいものとなる場合、人々の関心を国内から国外に向けるために、外交と防衛分野で何かしら大きなことを起こそうとするだろう。その相手となるのは、中国とロシアということになる。しかし、ここで舵取りを間違うと、世界大戦を引き起こすということにもなりかねない。バイデンが次の2024年に大統領選挙に出馬できるかどうも焦点となる。これから注目である。

(貼り付けはじめ)

今回の中間選挙の5つの選挙戦が2024年の選挙とそれ以降に対する教訓となるだろう(Five midterm races that will hold big lessons for 2024 and beyond

ナイオール・スタンジ筆

2022年11月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3713192-five-midterm-races-that-will-hold-big-lessons-for-2024-and-beyond/

選挙の投開票日まであと1週間となり、連邦上院の熾烈な争いの中でも、最も緊迫した複数のレースに注目が集まっている。

しかし、いくつかの選挙戦は、アメリカ政治の現状を知る上で重要なスナップショットを提供したり、2024年以降への教訓を提供したりと、別の意味でも重要である。

これからいくつかの重要な一対一の選挙戦について見ていく。

(1)ネヴァダ州とラティーノ系有権者たちの争奪戦(Nevada and the battle for Latino voters
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ネヴァダ州は、共和党が民主党から連邦上院の議席を奪う最大のチャンスとなる州だ。

現職のキャサリン・コルテス・マスト連邦上院議員(民主党)は、決して安泰とは言えない。最近の各種世論調査では、共和党の挑戦者であるアダム・ラクサルトがわずかに優勢となっている。月曜日の午後に発表されたリアル・クリア・ポリティックス(RealClearPoliticsRCP)の平均では、ラクサルトが1ポイントリードしているという状況だ。

レースがどちらの道に進むにせよ、政治の専門家たちは、ラティーノ系有権者たちの間での民主党支持の更なる低下、あるいは安定化の兆候を探るために、この結果に注目するだろう。

民主党は既に、フロリダ州南部やテキサス州のリオグランデヴァレーなど、国内の他の地域でラティーノ系支持の低下の兆しが見られることを懸念している。

コルテス・マストはアメリカ史上初のラティーノ系上院議員で、彼女の公約には包括的な移民制度改革への強い支持が含まれている。

祖父が連邦上院議員やネヴァダ州知事を務めたラクサルトは、共和党のテレビ広告で「国境の混乱(boarder chaos)」と称し、コルテス・マスト議員やバイデン大統領を非難している。

ラクサルトは、スペイン語の広告や「Latinos Con Laxalt」のイヴェントなど、ラティーノ系有権者たちに対して激しい支持獲得競争を行っている。彼は、「ラティーノ系有権者は経済成長と機会という共和党の公約に応えている」と主張する。

それでもコルテス・マストはラティーノ系有権者のほとんどを獲得するはずだが、ラティーノ系有権者の間での両者の獲得支持の差は極めて重要となるだろう。

過去2人の民主党大統領候補、2020年のバイデンと2016年のヒラリー・クリントンは、出口調査によると、ネヴァダ州でのラティーノ系有権者の支持率で、それぞれ26ポイント、31ポイント差をつけていた。

もしコルテス・マストがこれよりずっと小さい差しかつけられなければ、おそらく彼女にとって破滅を意味し、全米の民主党議員に混乱を引き起こすことになる。

(2)フロリダ州とデサンティスの2024年の希望(Florida and DeSantis’s 2024 hopes
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理論的には、フロリダ州のロン・デサンティス知事(共和党)は厳しい再選キャンペーンに直面していたかもしれない。

知事は様々な問題でリベラル派を激怒させ、最近の最も爆発的な例は、彼が組織したマサチューセッツ州マーサズ・ヴィンヤードへの移民を送る飛行機便だ。

デサンティスは学校での性教育の制限を定める法律を支持したが、それは別の批判を生み出した。デサンティスとバイデンはまた、新型コロナウイルス感染拡大をめぐって激しく対立した。

こうした状況にもかかわらず、デサンティスは民主党の対立候補であるチャーリー・クリスト前連邦下院議員を大きく引き離している。

クリストは元知事で、元共和党員だが、リアル・クリア・ポリティックスの平均ではデサンティスが12ポイント以上リードしている。

現職知事のデサンティスが圧勝すれば、2024年の大統領選挙への立候補の憶測が高まっている中、手ごたえを感じることになる。

デサンティスは、共和党の大統領選挙予備選挙でドナルド・トランプ元大統領に一矢報いることができる唯一の共和党員との見方が広がっている。トランプが出馬を見送った場合、デサンティスは即座に最有力候補に躍り出ることになるだろう。

フロリダ州は共和党優勢に傾き始めてはいるが民主党との差は僅かでしかない。2018年の州知事選挙でデサンティスは1ポイント以下の差で初当選し、2020年にはトランプがバイデンにおよそ3ポイント差をつけてフロリダ州を制した。

その中で、デサンティスが得票率で2桁の差をつけて勝利を収めれば、彼は2024年に全米で最も選挙に強い共和党員であると主張する上でそれを証明する強力なデータとなる。

デサンティスの強さを考えれば、デサンティスとトランプの間に緊張が高まるのは当然だ。

トランプは選挙の投開票日直前、2日前の11月6日にマイアミで集会を開く予定だ。民主党のヴァル・デミングス連邦下院議員が候補者になっている、連邦上院議員選挙において、再選を果たすと予想されるマルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出)もトランプ主催の集会に出席する予定だ。

複数のメディアは、デサンティスはこの集会に招待されていないと報じている。

(3)アリゾナ州と2020年大統領選挙否定論(Arizona and election denialism
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民主党は今回の選挙で、特に2020年の大統領選挙における選挙不正の虚偽の主張と、扇動的な言葉を好むトランプを争点にしようとしてきた。

今のところ、少なくとも民主党の支持層を超えて、その主張が多くの有権者たちに浸透することはなさそうだ。

その代表例が、アリゾナ州の共和党知事候補であるカリ・レイクだ。

熱心なトランプ支持者であるレイクは、2020年の大統領選挙は違法であると繰り返し主張している。彼女はまた、今年初めの自身の共和党予備選が何らかの形で汚染されている可能性を示唆した。それは彼女の予備選挙での勝利が明らかになるまで続いた。レイク最終的に「私たちは不正に勝った」と宣言した。

10月中旬、ABCニュースのジョン・カールとのインタヴューで、レイクは今年の選挙の結果を受け入れるかどうかについて、ひどく曖昧な態度を示した。

レイクは、もし敗北した場合、自分の敗北を認めるかどうかについてカールに質問され、「公正、正直、透明である限り」認めると答えた。

それでもレイクは、リアル・クリア・ポリティックスの平均で民主党の対立候補であるケイティ・ホッブス州務長官に4ポイント近く差を付けてリードしている。

レイクがリードしているのは、共和党予備選挙で彼女を支持したトランプとの親密さと、元TVニュースキャスターで鍛えたメディアスキルに助けられているからだ。

何より重要なのは、アリゾナ州におけるバイデンの支持率が低調で、9月下旬のマリスト大学実施の世論調査では、登録有権者の39%が支持、54%が不支持という結果になったことだ。

レイクの勝利は、トランプとトランプ主義にとって大きな追い風となるだろう。

また、レイクが勝利することは、アメリカの民主政治体制の道筋を懸念する民主党員たちなどの血を凍らせる結果ということになるだろう。

(4)オハイオ州とブルーカラー有権者からの支持強化を求める民主党の探求(Ohio and Democrats’ quest to shore up blue-collar support
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民主党にとって今年の数少ない明るい話題は、ティム・ライアン連邦下院議員(民主党)が共和党のJD・ヴァンスとの連邦上院議員選挙で、多くのワシントン政治専門家たちの予想以上に競争力を発揮したオハイオ州だ。

オハイオ州は数十年にわたり民主党にとって先導指標であったが、近年は急激に共和党に傾倒している。トランプ大統領は2016年、2020年ともに同州を約8ポイント差で制した。

ライアンは、世論調査の平均値でヴァンスに23ポイント以上離されないでついていっている。

ライアンは、ヤングスタウンエリアでの自身の平凡なルーツを強調し、特に「警察から予算をはく奪せよ(Defund the Police)」 という有害なテーマについて、自身が所属する民主党の進歩主義的な要素との違いを明確にすることで戦ってきた。

ライアンは「バイデンは2024年に大統領選挙に再出馬すべきだとは考えていない」とも発言しているのが特徴的だ。

ライアンが直面している逆風を考えると、いずれも勝利を切り開くには十分ではないかもしれない。

現在、リアル・クリア・ポリティックスの平均では2ポイント差、データ・世論調査サイト「ファイヴサーティエイト(FiveThirtyEight)」では、ヴァンスの勝率は80%近くとされている。

ライアンに近い人々は、ミッチ・マコーネル連邦上院院内総務(共和党)とつながりのあるスーパーPACがヴァンスを支援するために約2800万ドルを費やしたにもかかわらず、全米民主党がライアンにより多くの資金援助をしなかったことを不満に思っている。

いずれにせよ、ライアンが勝つにしても負けるにしても、他の民主党員たちは、ライアンが労働者階級の有権者にどれだけ受け入れられるか、この結果を鋭く観察することになる。

もしライアンが好成績を収めれば、今後の選挙戦の雛形(テンプレイト)となる可能性がある。

(5)ミシガン州と中絶権をめぐる戦い(Michigan and the fight over abortion rights
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ミシガン州知事選挙は現在のところ民主党が神経を尖らせている選挙の1つとなっている。

現職のグレッチェン・ウィットマー知事(民主党)は、共和党の対立候補チューダー・ディクソンが10月初旬に2桁つけられていたリードを少しずつ縮めているのを目撃している。

リアル・クリア・ポリティックスの平均ではウィットマーが4.2ポイントの差をつけてリードしている。最近のある世論調査では同率という結果が出た。

両候補者間の最も顕著な対立点の1つは人工妊娠中絶である。

ウィットマーは中絶の権利を断固として擁護し、ディクソンはウィットマーと正反対だ。

現職知事ウィットマーはこの問題について生々しい言葉で語っている。大学時代にレイプされ、その結果として妊娠するのではないかという恐怖を感じたことを公然と語っている。また、中絶の権利を守るための戦いを、成人した自分の2人の娘に言及して語っている。

対照的に、ディクソンは、レイプや近親相姦の場合でも中絶に反対する立場を示しており、ウィットマーの立場を「極めて過激だ」と評している。

ミシガン州では、中絶の権利を明記する州憲法改正案「プロポーザル3」に対して有権者が意見を述べる機会があるため、中絶問題は特に顕著になる。

世論調査では、ミシガン州民の多くは中絶が広く合法とされることを望んでいる。中絶権活動家たちは、夏に、より保守的なカンザス州で、自分たちの側(中絶合法化)がほぼ同等の票を獲得したことに注目している。

もしウィットマー知事がミシガン州で圧勝すれば、中絶問題の有効性を証明することになる。

しかし、もしレースが拮抗し続けるか、あるいは彼女が敗れるなら、選挙結果から得られる教訓は全く異なるものになるだろう。

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これら5つの選挙戦が連邦上院の過半数をどちらが制するかを決定することになるだろう(These five races will determine the Senate majority

マックス・グリーンウッド、アル・ウィーヴァー筆

2022年10月31日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3712941-these-five-races-will-determine-the-senate-majority/

連邦上院議員選挙は、有権者が投票に向かうまで残り1週間しかなく、誰が勝ってもおかしくない状況だ。

共和党は現状から1議席増を確保すれば良い状況だ。国内環境がますます共和党寄りになっていて、ジョージア州とネヴァダ州で共和党がリードしているとの調査結果もあり、その扉を叩いている最中だ。「ファイヴサーティエイト(FiveThirtyEight)」の最新予測によると、過半数をめぐる戦いは「デッドヒート(dead heat)」状態になっており、最後の数日間は有権者を投票に向かわせるための最後の全力疾走でのスパートを両党が行っている。

連邦上院の過半数を決めることになるだろう5つの選挙戦をこれから見ていく。

(1)アリゾナ州(Arizona
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このリストにある5州のうち、民主党がマーク・ケリー連邦上院議員の議席を維持する可能性はまだ高いが、共和党のブレイク・マスターズがここ数週間でその差を縮めてきている。

ケリー議員は、再選を目指す民主党現職議員の中で最有力とされてきたが、8月初旬の予備選で共和党候補が浮上した後、2ヶ月近くマスターズに対してかなりのリードを保っていた。その多くは、民主党の圧倒的な資金調達作戦の結果、広告の猛攻を行ったおかげだ。

しかし、ここ数週間で状況は一変し、ほとんどの調査でケリーのリードは誤差の範囲に収まっている。その理由の多くは、激戦州でのレースが自然に接戦になることと、共和党の州知事選挙候補カリ・レイクの存在が上院議員選挙の結果に影響することの2つであるとあるストラティジストは語っている。

全国の連邦上院選挙に携わっている民主党のある幹部は、「ケリーが扉をこじ開けるとは思うが、誰もが予想するよりも選挙戦は極めて厳しい」と述べた。

アリゾナ在住のある共和党幹部は本誌の取材に対し、月曜日に出た『ニューヨーク・タイムズ』紙とシエナ・カレッジの共同世論調査は「現実的」だとしながらも、現時点でマスターズが2、3ポイントの差をは予想の範囲内であるとし、逆転の可能性の原動力はレイクでも述べた。

このストラティジストは「レイクとマスターズが協力しているのは間違いない。彼女はティーム全体をゴールまで引っ張ろうとしている」と述べている。

最新のリアル・クリア・ポリティックスの平均によると、州知事選挙でレイク(共和党)はアリゾナ州務長官ケイティ・ホッブス(民主党)を3.8%ポイントリードしている。同様に、現職の連邦上院議員ケリー(民主党)はマスターズ(共和党)を2.4ポイント差でリードしている。

(2)ジョージア州(Georgia
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ラファエル・ウォーノック連邦上院議員(ジョージア州選出、民主党)は、共和党の対立候補ハーシェル・ウォーカーに対して優位に立っているように見えたが、元NFLのスター選手で初出馬のウォーカーは、連邦上院選挙の過程で個人的にも職業的にも多くの論争に巻き込まれている。

ウォーカーに関する最も衝撃的な事実の1つは、先月初め、『デイリー・ビースト』紙が報じたもので、ウォーカーが2009年に当時の恋人に中絶手術を受けさせるために金を支払ったという疑惑を詳細に報じたものだ。

しかし、ウォーカーは世論調査でこのスキャンダルからそれほど大きな打撃を受けていない。ウォーカーは、犯罪の増加や長引く経済的懸念について何度もウォーノック議員を非難し、スキャンダルについてほぼ嘘だと一蹴している。その結果、ウォーカーはウォーノックとの各種世論調査の差を着実に縮め、ファイヴサーティエイトの世論調査平均によると、現在1ポイント強の差でウォーノックがリードしている。

元州議会上院議員でジョージア州共和党委員長のチャック・クレイは、「実際問題、ウォーカーはこれまで見た中で最も多く攻撃されている。私たちがまだ知らないような恐ろしい話が潜んでいるのでなければ、彼はこれまでにかなり叩かれていると思う」と述べた。

ウォーノックとウォーカーのレースが特に不安定なのは、ジョージア州は、候補者が選挙に勝つために50%以上の得票を必要とする2つの州のうちの1つであるという事実だ。そして、今のところ、ウォーノックもウォーカーもその基準に達していない。

クレイは「ウォーカーは50%には達しないかもしれないが、全てのネガティブな要素が大きな影響を及ぼしているようには見えない。まだ迷っている最後の2、3パーセントの人たちに、全てがかかっている」と述べた。

(3)ネヴァダ州(Nevada
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再選を目指す民主党所属の連邦上院議員の中で、キャサリン・コルテス・マスト連邦上院議員(ネバダ州選出、民主党)は最も脆弱かもしれない。

民主党の選挙戦が最も盛り上がっていた時期でさえ、彼女は共和党のライバルである元州司法長官アダム・ラクサルトに対して、他の激戦区の民主党議員が持つような明確なリードを保ってこなかった。ニューヨーク・タイムズとシエナ・カレッジが月曜日に発表した新しい世論調査では、コルテス・マストとラクサルトは47%で拮抗している。

ネヴァダ州は、民主、共和両党にとって一連の課題を突きつけている。一方、民主党は近年、ネヴァダ州で連勝を続けており、2018年のディーン・ヘラー元連邦上院議員(ネバダ州選出)の落選とその2年後のジョー・バイデン大統領の勝利で頂点に立った。

他方、共和党がラティーノ系有権者の間で差を拡大していることは、民主党がネヴァダ州での勝利を推進するために長年頼ってきた支持基盤を削り取る可能性がある。また、ネヴァダ州は人口が流動的であるため、政治的に固定化することが特に難しい。

複数の連邦上院議員選挙に携わった経験を持つある民主党のストラティジストは、「ネヴァダ州は、色々な意味でつかみどころがない。ネヴァダ州は、私たちが見てきた様々な潮流やトレンドが集まる場所だ」と語った。

(4)ペンシルヴァニア州(Pennsylvania
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選挙戦最終週、メフメト・オズの背後にはしっかりと風が吹いているが、それが来週ジョン・フェッターマン副知事(民主党)を倒すのに十分かどうかはまだ分からない。

現段階では、明らかにオズ有利な状況である。オズの犯罪増加についての絶え間ない批判は、何ヶ月も前から有権者の共感を呼び、先週の討論会では、脳卒中のため苦戦を続けていたフェッターマンの恩恵に浴した。

しかし、オズの終盤の追い上げは、州司法長官ジョシュ・シャピロ(民主党)の支持者を知事選、特にフィラデルフィア近郊で十分に引き剥がせるかどうかにかかっている。シャピロは、任期満了のトム・ウルフ知事(民主党)の後任として、ダグ・マストリアーノ州上院議員(共和党)に対する最有力候補と目されている。

ミューレンバーグ大学政治学教授であるクリス・ボリックは、オズの最近のメッセージを分析して次のように述べた。「本当に厳しいレースで、このクロスオーヴァー集団(民主党支持から共和党支持へ移る人々)はインパクトがあるかもしれない。メフメト・オズはフェッターマンを叩きのめして自分を穏健派として売り込もうとしている。彼はトランプについて話しているのではない。マストリアーノのような軽薄な党派的なことは一切語っていない」。

ブリックは続けて「これはアピールだ。オズの売りは、彼は大丈夫だということだ。過激ではないということだ」と述べた。

リアル・クリア・ポリティックスの最新の調査平均によると、フェッターマンはまだ1.5ポイントリードしている。

誰が勝利しても、僅差で勝利する可能性が高く、選挙の夜には勝敗がつかず、次の連邦上院議員が決まるまで何日もかかる可能性が高まっている。リー・チャップマン州務長官代理(民主党)は先週、完全な結果を出すには「少なくとも数日かかるだろう」と述べた。

ペンシルヴァニア州のある共和党幹部は本誌の取材に対し、「もしこれが厳しい選挙だと言うならば、選挙の正当性が疑われるような、非常に危険なウサギの穴にまた入ることになるだろう。他の州では、このようなことが予定通りに行われているのを見ると、なぜペンシルヴァニア州ではできないのかという疑問が生じる」。

(5)ウィスコンシン州(Wisconsin
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2022年は全体的に厳しい政治環境にあるが、民主党はウィスコンシン州に目をつけ、論争の絶えない共和党現職のロン・ジョンソン連邦上院議員を有権者が納得して追い出してくれるかもしれないと考えた。

民主党側は、長期にわたる、時には厳しい予備選挙を経て、副知事のマンデラ・バーンズ(ウィスコンシン州、民主党)を指名した。初期の世論調査ではジョンソンが危ういとされていたが、バーンズも総選挙への出馬に苦戦し、彼を「急進左派」と決めつける攻撃に何週間も晒されることになった。

民主党は最後の数週間、バーンズに最後の追い風を吹かせようと、選挙戦に資金を注ぎ込んでいる。バラク・オバマ前大統領は、今でも民主党で最も人気のある人物の一人であり、週末にはウィスコンシン州で党勢を回復させるために奔走している。

また、ファイヴサーティエイトの平均値では、ジョンソンがバーンズに3.4ポイントの差をつけており、レースは依然として接戦であることは確かだ。それでも共和党は、バーンズの見込みが過大評価され、民主党はジョンソンの強さを過小評価していると主張する。

共和党系のストラティジストのダグ・ヘイは、今年初め、「候補者の質」を理由に同党の連邦上院選勝利の見通しを軽視したミッチ・マコーネル連邦上院少数党(共和党)院内総務(共和党)の言葉を引用して発言した。

ヘイは「候補者の質が重要だと言って、マコーネルを非難しようとした人もいた。しかし、それは民主党の側でも重要なことだ。これはマンデラ・バーンズがあれほど期待はずれだった理由の1つだ」と語った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 今年8月、アメリカのジョー・バイデン政権は連邦政府による学生ローンについて、返済を免除するという発表を行った。約4300万人が対象になると言われている。連邦政府が貸し付けている学生ローンの内で最高で1万ドル、ペル・グラントという種類の学生ローンの場合には2万ドルが帳消しの対象となる。学生ローンの徳政令ということになる。

 アメリカの大学教育、大学院教育の学費は高い。安い州立大学もあるが、そこでは学校案内に記載されている授業が実際には開講されないということもあって、教育のレヴェルが高くない。高い大学教育を受けようと思えばどうしてもお金がかかる。給付型の奨学金を得られることが出来ればよいが、当然のことだがそれは成績が優秀な学生たちに限られる。大学教育を受けようと思えば、どうしても学生ローンからの借り入れということになる。大学学部教育4年間に大学院まで利用すれば、その総額は日本円で1000万円を軽く超えることになる。学部を卒業して学士号を取得する段階で、数百万円の借金を背負うということはざらだ。現在はインフレであり、借金の額自体は相対的に小さく感じられるようになるが、それでも返済は当然のことながらきつい。

 そこでバイデン政権はこうした学生ローンの返済に苦しむ人々からの支持を得ようとして、学生ローン徳政令の計画を発表した。この計画については共和党と民主党の一部から反対の声が挙がっている。反対の理由は極めて単純で、「国民全体ではなく、一部のために税金を使うことには反対だ」「大学を出ないで働いている労働者も納めている税金を原資にして、エリートである大学卒業者の借金を棒引きにするのは間違っている」というものだ。

 アメリカでは金利引き上げによって住宅ローンの金利も上がり、返済に苦労している人々も多い。学生ローン返済と住宅ローン返済を比べてみれば、住宅ローン返済を軽減させた方が良いということになるが、それだけの予算をつけることは難しい。返済不能者が多く出るようになれば、住宅や土地の価格は下がり、アメリカの不動産バブル崩壊ということになる。これが景気後退の引き金を引けば、物価高での景気後退というスタグフレイションということになる。

 大卒者というカテゴリーで見ると、民主党支持が多いという結果が出ている。中間選挙に向けて、大卒者の支持を固めようという民主党側の意図はミエミエであるが、そう言ったことは、アメリカ国民は既にお見通しだ。このような弥縫策などでは焼け石に水ということになる。アメリカ国民の最大の関心事は経済、特に物価高への対応だ。ドル高状況にして、輸入品の価格を下げようとしているが、一番の物価対策はウクライナ戦争の早期停戦だ。しかし、アメリカはウクライナ戦争に多くの予算と武器を投入している。これではアメリカ国民を苦しめて、軍産複合体を肥太らせるということをやっているだけのことだ。

 学生ローン徳政令はそれほど大きな効果は持たないだろう。

(貼り付けはじめ)

バイデン大統領の学生ローン返済免除計画は民主党を含む連邦議員を分裂させる(Biden’s student loan forgiveness plan divides elected officials, including Democrats.

ジョナサン・ワイズマン、マギー・アスター筆

2022年8月25日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/live/2022/08/25/us/primary-elections-midterms

ジョー・バイデン大統領が水曜日に発表した、何百万人ものアメリカ人のために何千ドルもの大学の借金を帳消しにするという大統領令は、民主党の候補者たちを、彼の政権の他の政策と同様に分裂させることになった。一部の民主党所属の政治家たちは、この計画を利用して、自分の州や選挙区で大きな負担になる可能性のある大統領から距離を置くようにしている。

大統領による発表への反応は人種や世代によって大きく分かれ、アフリカ系の候補や若い有権者たちは賛成する傾向が強く、中道派の民主党の政治家たちは批判的な傾向が強かった。しかし、厳しい選挙戦に臨む民主党の候補者の間では、その反応について一貫性がほとんど見られなかった。

ジョージア州選出のラファエル・ウォーノック連邦上院議員とウィスコンシン州選出のマンデラ・バーンズ副知事は、ともに黒人で来年の連邦上院議員選挙での当選を目指しているが、大統領の計画への支持を表明している。ネヴァダ州のキャサリン・コルテス・マスト連邦上院議員は、再選に向けて厳しい戦いを強いられている民主党所属の政治家であるが、穏健派で融和的な姿勢を取っているが、大統領の計画に対して非常に批判的だ。

しかし、アリゾナ州選出のマーク・ケリー連邦上院議員は、超党派から支持を集める穏健派としてこの州での再選を目指すもう一人の民主党議員であるが、彼はこの計画を支持した。

ペンシルヴァニア州のジョン・フェッターマン副知事は、労働者階級の有権者たちにアピールすることを望んでおり、学生ローン免除の動きは、政策立案者に忘れられがちなペンシルヴァニア州に住む、苦境にある人々を救済するものだと賞賛している。一方、労働者階級の代弁者として連邦上院選に立候補したオハイオ州選出のティム・ライアン連邦下院議員は、既に成功への道を歩んでいる人々への贈り物であり、高等教育から締め出されたオハイオ

ライアン下院議員は、声明の中で「大学教育がチャンスを広げるものであることは間違いないが、既に経済的に安定していて、軌道に乗っている人たちに借金を免除することは、学位を持たずに同じように懸命に働いている何百万人ものオハイオ州民に対して間違ったメッセージを送ることになる」と述べている。

債務救済令をめぐる激しい対立は、計画が検討されていた期間や、この問題が10年以上前のウォール街占拠デモでの叫びから2020年のバイデン選挙公約に至るまでの長い道のりを考えると、やや意外なものとなっている。

この計画の出所は、ヴァーモント州選出のバーニー・サンダース連邦上院議員(無所属)やマサチューセッツ州のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(民主党)など、はるかに寛大な債務免除を約束して選挙戦を戦った党内左派であることは疑いようがない。今年11月の中間選挙の2カ月余り前に、バイデン大統領が穏健なヴァージョンを発表したことで、党を分裂させるのではなく、団結させることが期待されたかもしれない。

しかし、この動きは、共和党や民主党系の経済学者の一部が、深化するインフレイションのためのジェット燃料として、多額の予算を必要とする社会福祉案を描いているときに、不人気な大統領から出たものであった。

リベラル派のストラティジストであり、学生ローンの救済を強力に推進してきた進歩主義派団体ジャスティス・デモクラッツの報道担当であるワリード・シャヒードは、「民主党内には、政府がどれだけ介入すべきなのかという真の議論がまだある。更には、民主党の連邦議員の中には、激戦州(purple state)においては、大統領に対して反撃しなければならないと感じている人がいて、彼らが反撃するために選んだのがこの法案なのだ」と語った。

このような生々しい政治の裏には本質的な批判がある。バイデン大統領は、年収12万5000ドル以下のアメリカ人が抱える1万ドルの負債を帳消しにし、ペル・グラントを受け取っている低所得の学生には2万ドルを帳消しにするとしている。

コルテス・マスト連邦上院議員とライアン連邦下院議員は、この債務救済は、低所得のアメリカ人や、地方の医療や救急医療など、低賃金で切実なニーズに応える分野に進む大学生を十分に対象としていない、と指摘した。

学生ローン免除は社会的なニーズを満たすためのツールであるべきで、包括的な贈り物ではないとライアン議員は述べた。また、債務救済だけでは、問題の根本的な原因である授業料の高騰により、学生がますます大きな借金を背負わざるを得なくなっていることに対処できないとライアンたちは主張した。

コルテス・マスト連邦上院議員は声明の中で「低所得の学生に対するペル・グラントを拡大し、必要な学生にはローン免除を適用し、労働者世帯にとってより手頃な価格で大学を提供するための法案を可決することに私たちは集中すべきである」と述べた。

この立場は、同じく激戦州で再選を目指すコロラド州選出のマイケル・ベネット連邦上院議員(民主党)の発言と同じである。

しかし、党内左派の民主党員たちには、こうした立場は計算高く映ったようだ。債務救済の大部分は、多額の負債を抱えるエリート教育機関の卒業生ではなく、コミュニティカレッジに通い、おそらく学位は取得できないものの、それなりの負債と厳しい経済的見通しを抱えて卒業した若者たちに与えられる可能性が高い。

フェッターマン副知事の選対は、バイデン大統領の計画を「全体的に合理的」だと賞賛したが、大学に通っていないペンシルヴァニア州民のためのキャリア・技術プログラムへの投資拡大や、バイデン大統領も採用している二年制・コミュニティカレッジの授業料無料化についても訴えた。

フェッターマン陣営の報道担当ジョー・カルヴェロは「これは本当にどちらか一方だけの問題ではない。大卒であろうとなかろうと、それを必要とする人々を助けなければならない」と述べた。

ジョージア州の有権者層は異なる。ウォーノック議員が2020年の最初の選挙戦で債務救済を唱えたとき、ジョージア州の若い有権者はこれを支持した。彼が共和党の対抗馬ハーシェル・ウォーカーに勝つことを望むなら、若い有権者たちからの支持は再び必要とされるだろう。この計画に対する若い有権者の熱意は、ティックトック(TikTok)を湧き上がるような動画で埋め尽くした。

一方、ネヴァダ州の民主党の屋台骨は長年、調理師労働組合(Culinary Workers Union)とサービス従業員国際組合(Service Employees International Union)で、その労働力は大卒を必要としない職務が中心だ。

ライアン議員の反対は、ローンの返済が滞り、政府に何千億ドルもの損失を与える可能性のある政策によって取り残されたと感じるかもしれない、大卒でないオハイオ州民の4分の3に向けた公然のアピールであった。

また、共和党の対立候補であるJD・ヴァンスがフォックス・ニューズに出演し、「学生負債の軽減を望むなら、この非常に腐敗したシステムから利益を得ている人々にペナルティを課すべきで、オハイオ州の配管工に対して、大学教育を受けた若者、主に生涯を通じてとにかく多くのお金を稼ぐことになる若者の人生の決断に補助金を出すよう求めるべきではありません」と断言した。これはバイデン政権の政策に対する共和党側からの反応である。

ライアン選対の報道担当イジー・レヴィはライアンの姿勢は「逆張りということだけではない」と述べた。

しかし、大接戦の選挙戦を戦っている他の候補者たちは、そのような批判をする気にはならなかった。ウォーノック議員は、「連邦上院議員に就任以来、バイデン政権に学生ローン免除を働きかけてきた」と自身の功績を主張したが、それは「最初の一歩」に過ぎないとも述べた。

ウォーノック連邦上院議員は声明の中で「今回の発表はジョージア州民の多くにとって助けとなるし、数十年にわたり夫妻に苦しんできたが、財政上の基盤を得ることができる人たちも出てくるだろう」と述べた。

アリゾナ州選出のケリー連邦上院議員は、大統領の命令はウォーノック氏の「最初の一歩」ではなく、「節度(moderation)」の表れであると見ている。そして、ライアン連邦下院議員とは逆の結論に達し、バイデンの大統領令は「全ての学生ローンを帳消しにするという過去の提案よりも的を絞っている」し、「コミュニティカレッジに通った人の救済を含め、最も必要としている人に向けられたものだ」と述べた。

共和党は、そのような分裂を見なかった。彼らは皆、大統領の発表を非難した。フロリダ州でヴァル・B・デミングス連邦下院議員(民主党)との闘いで、再選を目指す共和党のマルコ・ルビオ連邦上院議員は、代替案として、連邦学生ローンの利息をなくす法案を提出したことをアピールした。

丸子議員は声明の中で次のように述べた。「学生ローンの負債を免除することは無料ではない。大学時代に借金をしたことのない85%のアメリカ人が、借金をした人のために負担を背負うことになる。それは救済ではなく、労働者家庭に課される不当な負担である」。

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あなたがどれだけ学生ローン免除を受けられるか、そしていつ受けられるか(Here’s how much student loan forgiveness you’ll receive, and when you’ll see it

アディ・ビンク、ネクスタ―・メディア・ワイアー筆

2022年8月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/nexstar_media_wire/3615588-heres-how-much-student-loan-forgiveness-youll-receive-and-when-youll-see-it/

(ネクスタ―)数カ月にわたって期待が続いていたが、バイデン政権はまもなく何百万ドルもの学生ローンの債務免除を開始する予定だ。ホワイトハウスの推計によると、最大で4300万人の債務者たちが免除を受ける見込みとなっている。

あなたがどれだけ免除を受けられるか、そしていつ受けられるか、それらはいくつかの要素にかかっている。

これから知るべき内容を挙げていく。

●ローンの種類が重要だ(Loan type matters

あなたが現在抱えている学生ローン(複数の学生ローン)の種類が重要だ。

バイデン政権が返済免除できるのは連邦政府による学生ローンだけであり、民間の貸し手によるいかなる学生ローンにも免除は適用されない。つまり、あなたのローンが連邦政府系金融機関(NelnetGreat LakesFedLoanなど)を通じて「米教育省が保有」していない場合、この免除の対象にはならない(ここで全リストを見ることができる)。

●私にはまだ学生ローンの借金が残っている。支払いはいつ再開されるか?

学部生と大学院生両方の学生ローン債務が存在するが、ローンが教育省に保管されている限り、免除の対象となる。

連邦学生ローン(Parent PLUS Loanを含む)は免除の対象となるが、一部免除の対象外となるものもある。『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、2020年に始まった支払い凍結の対象外だったFFELローン(連邦家庭教育ローン)は、今回の免除の対象にはならない。

●収入制限(The income cap

予想通り、バイデン政権は学生ローンの免除を所得に応じて制限する。

ホワイトハウスと米教育省の発表によると、「パンデミック時の年収が12万5000ドル以下(個人の場合)、または25万ドル以下(夫婦または世帯主の場合)の借り手が救済の対象となる」としている。大学時代にペル・グラントを受給していた同所得の上限以下の借り手は、最大で2倍の債務免除を受けられることになる。

年収がいずれかの所得制限を超える場合は、バイデン政権が説明した救済措置の対象にはならない。

2022年6月30日以降に受領した連邦学生ローンは対象外だ。

●どれくらいの免除となるか(How much forgiveness will you get

連邦学生ローンを抱えていて、所得制限に該当する、というこれまでの条件を満たせば、債務救済が期待できる。

バイデン政権によると、個人で12万5000ドル以下、夫婦や世帯主で25万ドル以下の収入の借り手は、最大1万ドルの救済を受けることができると言われている。ペル・グラントの受給者(自分がそうであるかどうかを知る方法はこちら)は、同じ基準で最大2万ドルまでの救済が可能となっている。

ホワイトハウスは学生ローン計画の予算を明らかにしていない。

しかし、「最大で」という言葉の意味するところはどこにあるのか?

それは非常に簡単なことだ。あなたの債務免除は、あなたがまだ借りている金額に制限される。例えば、あなたが12万5000ドル未満の収入でペル・グラントを受け取っていて、1万2000ドル(2万ドルを借りて8000ドルは既に返済した)の残高が残っているとする。それならばあなたは1万2000ドルの免除となる。2万ドルから1万2000ドルを引いた8000ドルを受け取ることはできない。

この救済措置のための利息は全体の残高に含まれる。

●負債免除はどれくらい早く利用できるようになるのか?(How soon will you see the debt relief?

学生ローンの免除がいつどのように実行されるかはまだ明らかにされていない。

米教育省によると、同省が既に持っている所得データに基づき、約800万人の借り手が自動的に救済の資格を得る可能性があるという。教育省があなたの収入データを持っていない、あるいは持っているかどうかわからない場合、今すぐできることはあまりない。

その代わり、バイデン政権が申請手続きを開始するのを待つ必要がある。「今後数週間のうちに」申請手続きが可能になる予定だ。学生ローン返済の一時停止が終わる12月31日までに申請できるようになる予定だ。

この申し込みフォームに記入することで、教育省を通じてアプリケーションが利用可能になった時に通知を受けるように登録することができる。

●私が知っておくべきことは何か?(What else should I know?

借り手が抱いている最大の懸念の1つは、このローン免除が課税対象になるかどうかだ。ホワイトハウスは水曜日に、アメリカン・レスキュー・プランのおかげで、そのようなことはないだろうと述べた。連邦議会は2025年までのローン免除に対する課税を撤廃した。

学生ローンの免除は、クレディットスコア(個人の信用度)にも影響する。ネクスタ―(Nexstar)への声明の中で、消費者データ産業協会(Consumer Data Industry Association)は、イクイファックス(Equifax)、エクスペリアン(Experian)、トランスユニオン(TransUnion)などの全米規模で展開する信用情報機関を代表する複数の業界団体は、「クレディットスコアについては、口座数、残高、支払い履歴、返済額など、消費者の信用情報に関連する多くの要素を考慮に入れている」と述べている。また、信用報告書から学生ローン情報を削除または一時停止することは、これらの各要素に関連する各個人の信用履歴に応じて、消費者のクレディっとスコアにある程度の影響を与えることになるともと述べている。

消費者データ産業協会の広報担当者はネクスタ―の更なる詳細開示の要求に応じなかった。

●バイデン大統領の学生ローン計画は、インフレにどのような影響を与えるか?(How will Biden’s student loan plan impact inflation?

ローン残高が全額消えない場合(約2300万人の借り手にとってはそうだろう)、バイデン大統領は支払いの一時停止を今年末まで延長した。しかし、2023年1月1日になると、利息が再び発生し、通常の支払いが再開される。バイデン大統領は、一時停止が再び延長されることはないだろうと示唆している。

連邦学生支援局によると、支払いが一時停止された2020年3月以降に任意で支払いを行った場合、その分の払い戻しを請求することができる。払い戻しを請求するには、ローンサーヴィサー(回収業者)に連絡して欲しい。

連邦議会が大統領に債務を帳消しにする明確な権限を与えたことはないため、ホワイトハウスはこの免除計画に関して訴訟に直面する可能性がある。バイデン政権は、その権限を新型コロナウイルス感染拡大と、軍人に援助を提供することを目的とした2003年の法律に結びつけている。法的措置が学生ローン免除のスケジュールにどのような影響を及ぼすかはまだわからない。

AP通信が本記事の作成に協力した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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