古村治彦です。

 アメリカではインフレもあり、住宅価格が高騰しているということは日本でも報道されている。日本の芸能人や有名人がアメリカ旅行をして、レストランでの食事代やホテルの宿泊代が日本では考えられないほどに高かった(現在円安傾向の日本円で換算して)、ということをテレビなどで発言しているので、私たちも何となく実感できているところがある。「それならば住宅価格も上がっているだろうし、日本と同じく電気代や燃料代も高騰しているだろう」ということは容易に想像できる。実際に、1戸建ての毎月の住宅ローンの全米平均は1969ドルであり、日本円に換算すると約25万6000円となる。日本でも都市部と地方ではだいぶ違うだろうが、平均すれば10万円強ということになるのではないかと思う。

 住宅価格が下落している地域もあるが、同時に急上昇している地域もあるというのは常識的な結果ということになるだろう。興味深いのは上昇率トップ10のうち、9つがアメリカ南部ノースカロライナ州、テキサス州、フロリダ州に集中しており、特にフロリダ州に多いということだ。アメリカ南部の方が「暮らしやすく」、引っ越してくる、住宅を求める人が多いということになるのだろう。

 アメリカ北部の降雪地帯は燃料費や物価のことを考えると暮らしにくいということになるだろう。雪が降る、降らないはやはり重要な要素になると思う。以前から物価安や環境面から、特に若い人々がアメリカ南部、テキサス州に移動しているということは言われていた。

 これを政治的に見れば、アメリカ南部は共和党が勢力を持つ、レッドステイト(赤い州)ばかりである。共和党が強い保守的な地域ということになる。こうした地域では税金も安いということになる。また、農業生産力も高いので食料価格も低く抑えられるということになるのだろう。

更に言えば、このような現象はアメリカの分断を示す兆候であると言えるだろう。北部や東海岸、西海岸のリベラルな雰囲気に嫌気がさして、南部に引っ越したいという動きであることが想像される。更に言えば、2016年と2020年の大統領選挙ではトランプが勝利を収めた各州である。反エリート(反エスタブリッシュメント)対ポピュリズム、民主党対共和党、リベラル対保守という対立が深まっており、「もう一緒には住めない」ということになっているのだろうと考えられる。アメリカ国内の分断も癒されないままに深化しているようである。

(貼り付けはじめ)

これらのアメリカ国内の各都市では住宅価格が最も急速に上昇している(These US cities have fastest-growing home prices

-フロリダ州、ノースカロライナ州、そしてサウスカロライナ州の各都市では前の四半期で、住宅価格が2桁の上昇を記録している。

アレハンドラ・オコーネル=ドメネク筆

2023年2月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/changing-america/respect/poverty/3856173-these-us-cities-have-fastest-growing-home-prices/

●記事の要約

・全米不動産協会(National Association of Realtors)が発表した最新の四半期報告書によると、全都市圏の約90%が前の四半期(2022年10月から12月)に住宅価格を上昇させたことが明らかになった。

・最も住宅価格が上昇したのはニューメキシコ州ファーミントン市では、前年同期比で20.3%の上昇を記録した。

・フロリダ州のネープルズ、デイトナビーチ、ノースポートなどの各都市でも住宅価格が急上昇した。

全米不動産協会(National Association of Realtors)が全米の住宅価格を調査した新しい報告書によると、ニューメキシコ州ファーミントンは、アメリカで最も住宅コストが上昇している地域である。

フロリダ州とノースカロライナ州の地域は、住宅価格が最も急速に上昇した上位10都市圏(metro areas)のうち7都市を占め、ノースポート・サラソタ・ブラデントン地域が2位となった。

報告書によると、一戸建て住宅の価格は全都市圏のほぼ90%で上昇し、中央値は昨年同時期から4%上昇し37万8700ドルとなった。この報告書は、全米186の都市圏の住宅価格の変化を調べたものだ。

頭金20%の中古一戸建て住宅の月々の住宅ローン支払額は58%増加して、1969ドルにまで跳ね上がったという。

この数字は、一般的な一戸建て住宅の月間住宅ローン支払い額が1838ドルだった昨年の第3四半期から7%増加したことを意味する。

昨年の第3四半期から2021年の同時期にかけて、毎月の住宅ローン支払額は急増しており、58%、つまり毎月720ドル増加して1838ドルとなった。

一方、都市圏の住宅市場の11%が昨年第4四半期に住宅価格の下落を経験し、この傾向は今年に入っても続く可能性がある。

全米不動産協会チーフエコノミストのローレンス・ユンは、「特に物価の高い地域では、雇用が低迷し、住民が他の地域に移り住むケースが多く、2桁の価格下落が見られる市場もあるかもしれない」と述べている。

しかし、住宅価格は上昇しているが、もっと悪くなる(低下する)可能性もあると報告書は強調している。

住宅価格が2桁上昇した都市圏はわずか18%で、46%の都市圏が2桁の価格上昇を記録した昨年の第3四半期から急転直下で低下している。

以下は、住宅価格が最も上昇した10の都市圏である。

(1)ニューメキシコ州ファーミントン:20.3%

(2)フロリダ州ノースポート・サラソタ・ブラデントン:19.5%

(3)フロリダ州ネープルズ・インモカリー・マルコアイランド:17.2%

(4)ノースカロライナ州グリーンズボロ・ハイポイント

(5)ノースカロライナ州ミトロビーチ・コンウェイ・ノースミトロビーチ:16.2%

(6)ウィスコンシン州オシュコシュ・ニーナー:16.0%

(7)ノースカロライナ州ウィストン・セーラム:15.7%

(8)テキサス州エルパソ:15.2%

(9)フロリダ州プンタゴルダ:15.2%

(10)デルトナ・デイトナビーチ・おル・モンド・ビーチ:14.5%

(貼り付け終わり)

(終わり)

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