古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:公明党

 古村治彦です。

 

 昨日、東京都知事選挙の投開票が行われました。

 

 結果は、小池百合子氏が圧勝し、初の女性と知事となることが決定しました。小池氏は自民党に所属しながら、自民党からの推薦を得ず、「先出しじゃんけん」「ひとりの戦い」を強調しました。自民党、公明党は元総務大臣の増田寛也氏を推薦しましたが、2位に終わりました。後出しじゃんけんで、知名度がそこまで高くないこともあって準備不足となって、小池氏に120万票ほどの差を付けられての次点(179万票)となりました。

 

 3位にはジャーナリストで、野党共闘候補となった鳥越俊太郎氏が136万票を獲得して入りました。鳥越氏の前に前回の都知事選挙で次点となった宇都宮健児氏が立候補を表明していましたが、野党共闘の枠組みの尊重もあって、立候補を取り止めました。また、民進党が擁立を模索していた古賀茂明氏も立候補を取り止めたこともあって、選挙が始まる前には、鳥越氏で盛り上がりを見せましたが、演説や選挙運動の低調と週刊誌によるスキャンダル報道が響き、選挙戦を通じて支持が盛り上がることはありませんでした。

 

 4位にはジャーナリストの上杉隆氏が入り、5位の在特会元会長の桜井誠氏が入りました。「愛国右翼ヘイト」枠で言えば、前回は田母神俊雄氏が60万票を獲得しましたが、桜井氏は11万票でぎりぎり二桁を確保することができたということになりました。前回、田母神氏に投票した人たちは多くが核武装容認、中韓との対決姿勢を鮮明にする小池氏に投票することが出来たということだと思います。

 

 投票率が10%以上跳ね上がったことで、自民党、公明党得意の組織中心選挙は不発に終わり、支持政党がなく、選挙に対して関心の薄い無党派の多くが小池氏に投票した結果が、小池氏の圧勝につながりました。

 

 小池氏は政界渡り鳥で、様々な大物政治家の許で勉強したということもあってか、政治的な勘と勝負度胸が卓越しています。今回は、小泉純一郎元首相型の「敵をフレームアップして一点突破する」という戦術を使い、当選しました。彼女はまず、都議会、特に都議会自民党と自民党都連、更には都連の実力者である内田茂・都連幹事長を敵に設定しました。見た目で色々と言いたくないですが、東京都連の幹部クラスになると、高齢の男性ばかりで、見た目も悪人、敵とされるのに十分な貫録を備えています。また、最近の都議会自民党のセクハラ野次のこともあって、都議会議員については悪い方面での関心が高く、「楽な選挙で高い報酬を得て、女性差別をする年寄りたちの集まり、特に自民党が」という印象が出来上がっていました。

 

 ここに、小池氏が切り込んで、都議会と都議会を牛耳る自民党東京都連を「ぶっ壊す」ということになりました。小池氏は、選挙終了後には、対立的な姿勢は取らないと述べましたが、立候補宣言後には、「都議会を冒頭解散する」ということまで述べていました。また、小池氏は、東京オリンピック・パラリンピックについても予算を精査してということも述べていましたが、選挙期間中に「個人の財産を出していただく」ということも述べており、はっきり言って政策に一貫性はない(右派的、タカ派的な政策には一貫性を持っていますが)、恐らく、森喜朗元首相とはうまく妥協するだろうと思われますが、イメージで、自分が改革者、破壊者であることを印象付けることに成功しました。こうした役割と印象付けは野党共闘候補である鳥越氏が行うべきでしたが、うまくいきませんでした。

 

 地方政治における「抵抗勢力」に対峙する「改革勢力」という自己規定をしているおおさか維新は小池氏を肯定的に受け止めていました。「維新運動」の生みの親である、テレビ司会者の橋下徹氏は、最初から小池氏支持でした。彼らは、地方では自公と戦いながら、国政では、自公の連立与党の枠組みにうまく接近し、その補完勢力になりつつあります。「自民・おおさか維新・公明」という枠組みができれば、自民党は公明党に対して強気な対応をすることが出来るようになります。

 

 小池氏は自民党にとっては分裂選挙を引き起こし、自民党推薦候補を落選させた人物ですが、まだ自民党員です。彼女を除名するのかどうかですが、選挙が始まった時点で除名をしていない時点で、自民党は本気で小池氏を潰すつもりはなかったし、出来ないと判断したのだろうと思います。更には、「小池が勝ってくれれば、言うことを聞かない自民党東京都連を屈服させるチャンスになる」という判断もあると思われます。

 

 また、小池氏が除名された場合、おおさか維新系との提携、都市型政党の結成ということもあると思われます。地方議員を中心に「とうきょう維新」のようなものが既に形が出来つつあるようです。彼らは国会議員を持たないので、おおさか維新と提携することになるでしょう。おおさか維新としては東京に足がかりを作ることができます。

 

 そして、大きく見れば、改憲において、「自民・おおさか維新・公明」の中核ブロックが出来上がります。自民党とすれば、改憲に関して不安がある公明をつなぎとめておくための牽制を行う存在としておおさか維新を使えますし、おおさか維新としては、与党と近い「ゆ」党として、地方(大阪)における戦いで、自公の党中央とつながっていることで影響力を行使できます。「ゆ」党として、おいしい立場に立つことが出来ます。

 

 安倍晋三首相にしてみれば、分裂選挙にはなって、自民党が推薦した候補者が負けてしまったのですが、全く痛手にはならないことになりました。

 

 安倍氏は政治家としての資質を備えているのかどうか疑わしい人物だと私は思っていますが、ひとつだけ、運の良さだけはこれまでの政治家たちの中でもトップクラスではないかと考えています。しかし、彼個人の運の良さが国の運の良さに転換されていないことが現在の不幸だと考えています。

 

(新聞記事貼り付けはじめ)

 

<都知事選>小池氏が当選…女性初、増田氏らに大差

毎日新聞 81()059分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160801-00000005-mai-pol

 

 舛添要一氏の辞職に伴う東京都知事選は31日投開票され、元防衛相の小池百合子氏(64)が、元総務相の増田寛也氏(64)=自民、公明、こころ推薦=やジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)=民進、共産、社民、生活推薦=らを大差で破り、初当選を果たした。初の女性都知事が誕生した。都知事が3代続けて任期途中で辞職しており、保育所待機児童や高齢化、防災など首都が抱えるさまざまな課題に有効な対策が講じられていない。小池氏には混乱した都政の立て直しが求められる。投票率は59.73%(前回46.14%)。

 

 この5年余で4回目となる今回の都知事選には史上最多の21人が立候補した。小池氏が所属する自民党は増田氏を推薦して1999年以来の分裂選挙となり、野党4党は統一候補として鳥越氏を擁立。国政の対立構図が持ち込まれたが、有権者は政党の支援を受けない小池氏を選択した。

 

 小池氏は選挙事務所で「結果の重みを感じながら、都政にまい進していく。これまでにない都政を進めたい」とあいさつした。

 

 舛添氏の辞職から告示まで時間がなく政党の候補者擁立が混迷する中、衆院議員だった小池氏は主要候補者でいち早く手を挙げた。候補者選定を自民党都連幹部に一任する方針に反したと都連側は反発したが、小池氏は対決姿勢を鮮明にして都連や自民党都議の批判を展開した。不信任案可決を踏まえた「都議会冒頭解散」を公約とし、選挙戦では「東京大改革」「たった一人の戦い」を強調した。

 

 政策では遊休空間の活用による待機児童の解消、2020年東京五輪・パラリンピックをはじめとした都の事業を巡る利権の追及などを掲げた。シンボルカラーの緑色を身につけてもらう「参加型選挙」を演出して支持を広げた。

 

 増田氏は告示3日前の7月11日、正式に出馬表明した。「政治とカネ」の問題で著名人都知事が2代続けて辞職したことを踏まえ、建設官僚、岩手県知事、総務相の経歴をもとに「実務型」を強調した。他の主要2候補に劣る知名度を挽回しようと積極的に街頭演説を行い、持論だった東京一極集中是正への言及は避けた。自民、公明両党は幹部を応援に送り込み、増田氏支援徹底の文書を出して組織の引き締めを図ったが、及ばなかった。

 

 鳥越氏は12日に出馬表明し、参院選で共闘した民進、共産、社民、生活の野党4党が統一候補として支援を決めた。知名度から表明直後は大きな注目を集めたが、出遅れで選挙戦序盤は十分な政策を提示できず、当初の「がん検診100%」から終盤の「原発ゼロ」へと重点を置く主張が変遷した。街頭演説も少なく、選挙戦が進むにつれて支持は伸び悩んだ。【篠原成行】

 

 ◇東京都知事選確定得票数

 

当2,912,628小池百合子<1>無新

 

 1,793,453増田 寛也 無新=[自][公][こ]

 

 1,346,103鳥越俊太郎 無新=[民][共][社][生]

 

   179,631上杉  隆 無新

 

   114,171桜井  誠 無新

 

    51,056マック赤坂 無新

 

    28,809七海ひろこ 諸新

 

    27,241立花 孝志 諸新

 

    16,664高橋 尚吾 無新

 

    16,584中川 暢三 無新

 

    15,986山口 敏夫 諸新

 

     8,056岸本 雅吉 無新

 

     7,031後藤 輝樹 無新

 

     6,759谷山雄二朗 無新

 

     4,605武井 直子 無新

 

     4,010宮崎 正弘 無新

 

     3,332望月 義彦 無新

 

     3,116山中 雅明 諸新

 

     3,105今尾 貞夫 無新

 

     2,695内藤 久遠 無新

 

     1,326関口 安弘 無新

 

(新聞記事貼り付け終わり)

 

(終わり)





 
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 古村治彦です。

 

 今回は、おなじみのマイケル・グリーンCSIS上級副所長兼アジア・日本部長の参院選総括を皆様にご紹介します。以下のCSISのアドレスにあるものを抜粋したものです。

 

 今回はマイケル・グリーンと彼の下にいるニコラス・シェンシェーニが総括を書いたようです。シェンシェーニは経済に強い人物です。CSISに入る前には、ワシントンで、日本のフジテレビのプロデューサーをしていたという人物です。

 

 総括についてまとめると、安倍首相の経済政策(アベノミクス)と国防政策が支持された、憲法の見直しについては、可能性はあるが、まずは経済だ、ということになっています。あまり独自色のある総括ではありません。

 

=====

 

Japan's Upper House Election

July 11, 2016

https://www.csis.org/analysis/japans-upper-house-election

 

 

Michael J. Green

Senior Vice President for Asia and Japan Chair

 

Nicholas Szechenyi 

Deputy Director and Senior Fellow, Japan Chair; Asia Program

 

=====

 

●今回の選挙の概説

 

・7月10日の参院選挙で連立与党は圧勝を収めた。安倍晋三首相の政治的な力は固められた。彼は経済の再生と国防政策に重点を置いた政策を推進する。

・選挙前の世論調査によると、有権者の最大の関心事(懸念)は経済であった。しかし、大差を付けての勝利で、国会が開会された時、安倍首相はその他の重点事項である憲法の見直しに注力するのではないかという懸念も高まっている。

・選挙後のインタヴューで、安倍首相は今秋、憲法の見直しを国会の憲法審査会で議論することになると述べた。しかし、彼は経済と人々の成長への期待を高めるために努力すると重ねて強調した。

 

●問1:今回の選挙での重要なテーマは何だったか?

 

・金融緩和、財政刺激策、構造改革で構成される「アベノミクス」と呼ばれる安倍首相の経済政策への国民投票であった。

・2012年12月に第二次政権が発足して以来、安倍首相はデフレーションと戦うことを公約としてきた。しかし、積極的な金融緩和を行ってもインフレーション目標には遠く及ばない状況である。史上最大規模の国家予算といくつかの財政刺激策が行われたが、経済成長は緩慢なものにとどまっている。財政緊縮派の批判者たちは、公的債務の規模に懸念を持っている。公的債務の規模は現在、GDPの240%にまで膨れ上がっている。

・2016年第一四半期の日本の成長率は年間換算で1.9%であったが、安倍首相は、経済の失速を恐れて、2度目の消費税増税を延期した。

・構造改革に関する政策は、過去3年間で明らかにされ、貿易の自由化、企業のガヴァナンス、女性の地位向上を含む様々な施策となって出現した。それは大きな衝撃ではなかったが、確実な成長を支援することになった。

・民進党をはじめとする野党は、アベノミクスを失敗だとし、安倍首相の経済刺激策を批判し、経済格差を縮小するために社会福祉を増進させるべきだとした。

・野党側は、集団的自衛を含む自衛隊の活動制限を拡大し、攻撃されている同盟諸国の支援を行うことが出来るようにした、昨年の秋に可決した防衛改革法案を批判した。

・安倍首相はすぐに日本国憲法の戦争放棄条項を見直し、日本の平和杉を放棄すると主張する人々がいる。しかし、このような恐怖を掻き立てる戦術を用いても、連立与党の国会コントロールを弱めることはできなかった。

 

●問2:安倍首相はどの程度政治的な力を固めたのか?

 

・安倍首相率いる自由民主党は、参院の過半数にほんの少し足りないほどの議席を獲得した。連立与党のパートナー公明党と一緒だと、過半数を大きく超える。

・自公の連立与党はより力のある衆議院ではすでに3分の2の議席を獲得している。これで、参院が衆院と異なった可決を行っても覆せるだけの力を得ている。

・今回の選挙の結果は、安倍首相の議会コントロールの力を再び強めたということになる。これでしばらく国政選挙はないということになるだろう。

・次の参院選挙は2019年だし、衆議院議員の任期は2018年までだ。自民党内に安倍首相に挑戦する人はいない。安倍首相の自民党総裁の任期は2018年までだ。しかし、自民党は阿部総裁の任期を最大2期延長できるようにルールを変更することはできる。野党の力は弱い。

・民進党は、2009年から2012年まで与党であった内部がバラバラのグループだ。当時の民主党は2011年の東日本大震災以降、人々の信任を失った。民進党は、共産党を含むより小さい野党と一緒になって、安倍氏の政策を阻止しようと絶望的な試みを行ったが、安倍氏の脅威にはならなかった。

・有権者たちは毛財政帳について厳しい目で監視していたが、こうした要素のため、安倍首相の指導力が維持された。

 

●問3:安倍首相はこれからも経済問題に集中するだろうか?

 

・安倍首相はマスコミに対して、成長戦略を進めると述べた。今秋、安倍首相は、経済刺激のために900億ドル(約9兆円)の補正予算を提案する予定である。TPP批准も行う可能性もある。TPPに関しては、自民党の中核的な支持基盤である農業従事者から激しく非難している。しかし、安倍首相は、TPPは日本の経済競争力を高め、アメリカやその他の価値観を共有する国々と共に地域の経済問題に指導力を発揮するためには必要な手段だと主張した。

・今回の選挙の勝利を利用して、経済から憲法の見直しのような他の問題に力点を移す可能性が高いという疑念が高まっている。改憲には衆議院と参議院両方で3分の2の賛成と国民投票で過半数の賛成が必要だ。

・安倍首相率いる連立与党は、小規模の中道・右派の諸政党と一緒になって参院の3分の2を超えている。しかし、安倍首相は経済政策を犠牲にして、政治的資本を憲法に関する議論のために使うことないであろう。2006年から2007年までの第一次安倍政権下、安倍首相は憲法にばかり注力し、経済問題に関心を払っていないと批判された。

・安倍首相は、彼が優先しているもう一つの政策である安全保障分野において、日本が指導的な役割を拡大させるためには、経済力が根本になると理解している。そのためには成長戦略を維持する必要がある。

・憲法を議論する余地があるのは確かだ。しかし、憲法だけがリストに掲載されている訳ではない。

 

●問4:アメリカにとっての戦略上の意義はあるか?

 

・米日同盟は日本の外交政策の礎石だ。安倍首相は両国間の経済と安全保障の結びつきを教誨しようとしている。彼は既にTPP締結に向けての交渉を始めており、国防政策を改め、安全保障同盟関係を発展させるため、アメリカとの間で新しい防衛ガイドラインを作成した。

・先日のG7では議長を務め、世界共通のルールと規範を支持した。

・安倍首相はアメリカの利益と日本の政治的安定を支える政策を実行している。今回の選挙の結果で、日本の政治的安定は確保された。そして、安倍首相は日米両国間の戦略的な関係を維持することを支持している。

 

(終わり)





 

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 古村治彦です。

 

 昨日、参議院議員選挙の投票開票が行われました。結果は、自民党と公明党の政権与党が勝利を収めました。また、改憲に賛成・反対のくくりになると、今回の選挙の結果、改憲賛成ブロックが164(おおさか維新・日本のこころを大切にする会の非改選、無所属を含む)となり、改憲の発議に必要な参議院議員の3分の2を2議席超える結果になりました。

 

 民進党はほんの少しですが、無党派からの支持を獲得することに成功し、改選時は下回りましたが、前回よりは挽回しました。共産党は、例の「人殺し予算発言」が響いてそこまで党勢を拡大することはできませんでした。

 

 自公は設定した勝敗ライン61議席を超えたので、まずは勝利と言えます。皆で「アベノミクス選挙だ」と言っていたのですから、とりあえず「アベノミクスは民意の賛意を得た」と言うことが出来ます。”Japanese voters have bought Abenomics.”となりました。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

参院選

●「全121議席が確定」

 

毎日新聞2016711日 0613分(最終更新 711日 0646分)

 

 参院選は11日早朝に全121議席が確定した。自民党は56議席、公明党は14議席を獲得し、安倍晋三首相が勝敗ラインに設定した与党の改選過半数(61議席)を大きく上回った。憲法改正に前向きなおおさか維新の会は7議席を獲得し、同党などを加えた「改憲勢力」で参院(定数242)の3分の2を上回った。

 

 自民、公明、おおさか維新の3党など改憲勢力の非改選議席は88議席。参院で憲法改正の発議ができる3分の2(162議席)に達するには74議席が必要で、3党の議席はこれを上回る77議席に達した。これで衆参両院で改憲発議が可能となった。

 

 自民党は32ある1人区(改選数1)の21選挙区で勝利。比例代表でも2013年参院選を1上回る19議席を獲得したが、27年ぶりの単独過半数回復をかけた57議席には届かなかった。現職閣僚では岩城光英法相(福島選挙区)と島尻安伊子沖縄・北方担当相(沖縄選挙区)の2人が落選した。

 

 公明党は選挙区に過去最多の7人を擁立。全員を当選させるなど、改選9議席を大きく上回る14議席を獲得した。

 

 民進党は13年参院選(当時は民主党)の17議席を上回る32議席を獲得したが、改選46議席は割り込んだ。ただ、1人区は野党統一候補が11選挙区で勝利する健闘をみせた。

 

 おおさか維新の会は改選2議席を大きく上回る7議席を獲得。共産党は13年参院選に続いて東京選挙区で議席を得て、改選数から倍増の6議席を獲得した。社民党は比例代表で1議席を獲得したものの、吉田忠智党首は落選した。生活の党も比例代表1議席を獲得した。

 

(新聞記事点差貼り付け終わり)

 

 今回の参院選挙の争点は、公式的(自民党が設定しようとしたもの)には「アベノミクス、これをそのまま続けるか」ということですが、野党やメディアは「改憲が可能となる参院での改憲勢力が議席数の3分の2を占めるかどうか」という観点で報道しました。

 

 そもそも今回の参議院議員選挙では当初、衆議院の解散に伴う総選挙と同日選挙(ダブル選挙)になる可能性もありました。ところが、安倍首相は衆院解散を断念しました。この時点で、改憲に関しては及び腰である、と言うことが出来ます。2014年の総選挙と今回の参院選の争点は、アベノミクスでした。もちろん、2014年の選挙の後、安保法制を成立させましたので、争点でないことを平気でやるのは安倍政権の得意技です(「新しい判断」という言葉を安倍首相は使ってきました)。

 

 しかし、彼らの悲願の本丸である改憲に関しては衆議院、参議院それぞれの院で100名、50名の議員の賛成で発議が行われ、本会議で3分の2の議員の賛成で可決となり、国民投票にかけられます。この手続きについては、慎重さを期さなければなりません。いささかの瑕疵もあってはなりません。

 

 そうなると、まずは改憲の発議を行う前に、衆院解散を行って、直近の民意を問うことが憲政の常道です。今回はそのチャンスでした。しかし、安倍首相は衆院解散をしての同日選挙に踏み切れませんでした。それは、同日選挙にするとそれは「改憲」を大きく打ち出すことになり、そうなれば、いくらふがいない野党勢力と言ってもまとまる口実を与えてしまい、また選挙が盛り上がってしまい、衆院で改憲勢力で3分の2を取れない、自民党が解散前の議席を割り込むなんてことになってしまったら、安倍首相の責任問題に発展して、辞任ということになります。そうなれば、おじいちゃんを乗り越えるチャンスを失うことになります。

 

 私は今回の選挙結果は、「日本人の絶妙のバランス感覚が発揮されたもの」と考えます。野党がまとまって行動したことに評価を与えつつ、3分の2をほんの少し超える程度の議席(現在流行りの週刊文春のスクープで減らされることだってあり得ます)を与え、「ほれ、これで改憲ができるものならやってみろ」という態度を示したものと思います。

 

 私は、今回自民党と公明党を中心とする改憲ブロックが参議院で3分の2を少し超える議席を獲得したと言っても、改憲はかなり困難である、安倍首相が考えているような改憲はほぼ不可能であると考えます。それは国民投票で賛否を決めるまでの高いハードルがいくつもあるからです。

 

国民投票については総務省のウェブサイトが便利です。

 

※以下が総務省のウェブサイトのアドレスです↓

http://www.soumu.go.jp/senkyo/kokumin_touhyou/

 

 憲法改正の発議が衆議院では100名以上、参議院では50名以上の賛成で行われます。そして、両院の憲法審査会でそれぞれ審議が行われます。合同の審査会も可能です。そして、両院の本会議で採決が行われます。それぞれ3分の2以上の賛成で可決となります。これで国会が国民に対して憲法改正の発議を行ったということになります。

 

 この可決された日から60日から180日以内の日に国民投票が実施されます。国民投票の投票率によって効果が無効になるということはなく、単純に過半数で賛成、反対が決まります。その後、賛成となった場合には、内閣総理大臣は直ちに改正の手続きを行うということになっています。

 

 国民投票では、単純に「日本国憲法を改正することに賛成ですか?反対ですか?」という設問ではありません。改正する部分、部分それぞれに設問があって、「賛成・反対」に○をするという形になります。

 

 こうして見てくると、国民投票は単純な話ではありません。憲法改正の発議はまぁできます。その時に、どのように改正するかという案を出さねばなりません。日本国憲法は前文から第96条まであります。理論的には全部を変える・修正することは可能でしょうが、実際には無理な話です。設問の数や順番のこともあります。設問が50問などとなってしまったら、いつもの選挙のように立って丸を付けていくだけでも大変な苦痛になります。ですから、設問はできるだけ絞るということになるでしょう。自民党の憲法改正草案にはいろいろなことが書かれていますが、あれを全部1回でやるということは無理です。「この部分は良いけど、これは嫌」という人が大多数になるでしょう。

 

 そうなると、自民党の内部でまずどの変更や修正を優先するかで意見が分かれるでしょう。自民党は総裁一任ということにはなるでしょうが、その議論の過程で、様々な意見や批判が党内から出るでしょう。これは大きな痛手です。

 

 更には、公明党とも調整しなければなりません。公明党は今や看板だけになっているかもしれませんが、「平和の党・福祉の党」と謳っています。「加憲」ということを言って、ある意味で「逃げ」を打っている状況ですが、そこまできたら、肚をくくり、自党の運命を決めねばなりません。自民党の陰にいて補完勢力になって、批判の弾は自民党に受けさせるというオイシイ立場は終わりになります。公明党は、自民党に同調するのか、しないのかの踏み絵を踏まされます。そして、全国に約800万世帯にある創価学会の皆さんを説得しなくてはなりません。ここも大きな関門です。また、野党でも与党でもない「ゆ」党路線のおおさか維新や日本のこころを大切にする会の意向も問わねばなりません。これらは少数ですが、彼らが抜けてしまえば3分の2に響くのですから、かなりの要求を飲まねばなりません。政治家の最大の指名は選挙に勝つことですから、選挙協力という話も出るでしょうが、実際におおさか維新と争う自公の政治家たちからは不満が出るでしょう。衆議院では自公で3分の2ですが、参議院ではこれらを含んで3分の2から2議席出ただけのことです。

 

 自民党や公明党、その他の勢力から造反が出る可能性も高くなります。それに備えて、自公側は民主党の内部に手を突っ込むことになるでしょう。アクターが複雑に入り組んでいますから、そう簡単に、スムーズに憲法改正の発議が進むとは思いません。もちろん、野党は激しく抵抗するでしょうし、院外の街頭では、抗議活動が行われるでしょう。

 

 憲法改正の発議が両院の憲法審査会で通り、本会議で審議・可決されて国民投票になります。それから60日から180日以内に国民投票が実施されます。現在の世論調査の数字では、反対が上回っています。憲法に関する議論がメディアなどを通じても盛んになるでしょう。国民投票になった場合に、通常の選挙と同じ手法が使えるのかどうかが疑問です。自公は組織票固めに走るでしょう。この組織というのは利益団体であって、単純に言えば、国の予算を分け与えてもらう見返りに投票をする、選挙運動をするということになります。自公が「国民投票で自分たちの発議に賛成の票が多かった都道府県や市町村に予算を手厚く配分する」なんてことを言えば、「・公務員等及び教育者は、その地位を利用した国民投票運動をすることができません。・組織的に多数の者を対象に、投票に影響を与えるような利益を供与したり、利害関係を利用して誘導することは罰則の対象となります」という国民投票の規定に引っかかってしまいます。

 

 また、組織の中でも色々な考えがあるでしょうから、「自民党がやることは何でもいいんだ」という人から「今回は従えないな」という人まで出ます。これは労組でもそうです。

 

 こうして見てくると、改憲の道のりは長く険しいということになります。「3分の2を取れば明日にも改憲だ!」ということにはなりません。今回の選挙の後でも改憲勢力は揃って死んだふりをしています。しかし、油断はできません。改憲勢力にとっては、今が最後のチャンスかもしれないのですから。衆議院議員の任期が2018年、次の参議院議員選挙は2019年です。それまでは確実に3分の2が確保されているのですから、このことは安倍首相にとっては大変魅力的でしょう。次の選挙ではどうなるかは分からないのですから。

 

両院で改憲勢力が3分の2を取ったという事実を踏まえて、まず私たちができることは、自民党の憲法草案を読む、その解説書(賛成・反対それぞれの立場)を読む、国民投票について知る、という極めて単純な話です。そして、改憲ブロックの中心である自民党と公明党があらゆる手段を用いてきても良いように準備をしておくことです。ですから、今回の選挙で「あいつが出たからダメだった」とか「頑張りが足りなかった」という批判はある程度までにして、反省するところはしっかり反省して、改憲ブロックに反対する、議会に議席を持つ人々と結び附き、また彼らをしっかり結び付けておかねばなりません。

 

(終わり)










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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

 古村治彦です。

 

 2013年1月16日にブログ「古村治彦の酔生夢死日記」旧版に掲載した記事をこちらに再掲します。この記事は消費税増税に関して、低所得者層に向けての軽減措置制度について、私が税制の専門家から聞いた話を書いたものです。

 

 今回の総選挙では、公明党が軽減税率の導入を主張していますし、この軽減税率導入については、自民党と粘り強く交渉して、公明党が勝ち取ったものだと主張しています。

 

 以下の記事を読んでいただければ、結局は財務省にとってだけ美味しい話であるだけということが分かります。

 

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軽減税率か、給付付き税額控除か、それが問題だ:財務省にすればどちらでもOK!

 

 安倍晋三首相は、先日、緊急経済対策を発表しました。安倍政権は、この経済対策で、GDPの2%成長を目論んでいます。この2%の経済成長が達成された後に実施されるのが、消費税率の5%から8%への引き上げです。「景気が良くなったら消費税を上げる」ということで、基本的に自民、公明、民主が合意しているのですから、これは予想されてきた動きです。消費税率を上げたい財務省とすれば、財政出動しても、その後、その分以上のお金を税金として取り立てることができる訳ですから、財政出動に対して文句を言いません。

 

 このところ、話題になっているのは、消費税率引き上げに伴って、低所得者層に対する軽減措置制度です。自民党と公明党は、導入の時期に関しては意見が異なりますが、軽減税率制度の導入を主張しています。これは食料品など生活必需品の税率を低くするというものです。しかし、どの物品やサービスの税率を低くし、どれを高くするかを決めるのは大変なことです。また、富裕層も低所得者層も同じものを買う場合は、富裕層に恩恵があるというデメリットがあります。一方、民主党は、給付付き税額控除を主張しています。給付付き税額控除とは、「所得税を減税しても、低額所得でもともと納税額が少ないため、減税の恩恵があまり受けられない人に対して給付金を支給する制度」です。この制度には、所得の把握が難しいこと、財産はあるが所得が少ない人に恩恵があるというデメリットがあります。

 

 この2つの制度が今、議論されています。このことについて、先日、私はとある専門家にお話を聞く機会がありました。お恥ずかしい話ですが、専門家からお話を伺うまで、そこまで関心がありませんでした。その方は、私があまり興味を持っていないのを感じたのか、大変興味深いお話を聞かせてくださいました。

 

 その方は、「古村君、この2つの制度の議論で何が大事か分かるかな?」とまず言われました。私は、「事務手続きの煩雑さでしょうか?」と答えました。その方は、「そんなことじゃないんだよ、財務省が絡んだことさ」とその方は言われました。そして、次のような説明をしてくださいました。

 

 自民党が主張している軽減税率制度が導入されたどうなるか。どの業界団体も、自分たちの商品は軽減税率の適用を受けたいと考えるでしょう。そして、一度軽減税率の適用を受けたら、その適用がずっと続いてほしいと願うでしょう。そうなると、各業界団体は、自民党の政治家、そして官僚たち、この場合は財務省にロビー活動を行います。そうなると、当然見返りということになります。政治家には政治献金や集票、官僚には天下りの受け入れということになります。財務省にしてみれば、天下り先をこれから確保するためにも、軽減税率は重要です。これだと、いわゆる「政官財の鉄の三角形」が維持されます。そして、民主党は天下りをさせないためには、給付付き税額控除が良いのだと主張しています。しかし、この給付付き税額控除にもカラクリがあります。

 

 給付付き税額控除を行うためには、日本国民各人の「所得の正確な把握」が必要になります。そうなると、必要になるのは、「マイナンバー(社会保障と税の共通番号)制度」です。これによって、税務署は各人の名寄せが簡単になり、転居や結婚により姓の変更などによって名寄せが困難になることを防ぐことができます。しかし、日本人のプライベートな情報まで一つの番号で把握されることになります。財務省は、マイナンバーの導入を悲願として掲げています。

 

 所得の正確な把握ということになると、「公正、公平な制度」のために、マイナンバー導入が不可避となります。そうなると、給付付き税額控除とマイナンバーは表裏一体の関係になります。

 

 財務省とすれば、「天下りの確保」と「マイナンバーの導入」のどちらが良いかということになります。私が話を聞いた専門家は、「天下りの確保はいつでもできるから、やはり、マイナンバーの導入を優先したいだろう」と話しておられました。そして、「あと、重要なことは、富裕層、財産のある層には税金が重くなるだろうね」とも話しておられました。どちらの制度も富裕層、財産家層には恩恵があるというデメリットがありますから、これを是正するための富裕層・財産家層への課税は強化されるでしょう。

 

 消費税の論議は、国民のためにどちらが良いかという視点でやられていると思われていますが、結局は、どちらに転んでも財務省には美味しいことになっているようです。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「低所得者対策 自民、公明は軽減税率で足並み 民主は給付付き税額控除」

MSN産経ニュース 2012.9.27 21:42

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120927/fnc12092721440013-n1.htm

 

 消費税率引き上げの大前提になる低所得者対策が、次期衆院選の争点に浮上してきた。自民、公明両党が食料品など生活必需品の税率を低くする「軽減税率」の導入で足並みをそろえたのに対し、政府・民主党は所得に応じて減税と現金給付を組み合わせる「給付付き税額控除」を柱に据えているためだ。長引く景気低迷で節約を強いられている家計にとって税負担の増大は切実で、各党の政策判断が注目される。

 

 平成26年4月に消費税率を8%に、27年10月に10%に上げる社会保障・税一体改革関連法で積み残された課題が低所得者対策だ。消費税増税は、低所得者ほど負担感が重くなる「逆進性」が問題視され、今後の税制改正論議で具体策を急ぐ必要がある。

 

 自民党の安倍晋三新総裁は総裁選の公約で、「軽減税率を導入」と主張。公明党は22日に発表した公約案で、税率8%段階からの「軽減税率の導入を目指す」と明記した。これに対し、野田佳彦首相は「給付付き税額控除が基本」との立場を崩していない。

 

 軽減税率は買い物のたびに、恩恵が実感できるわかりやすさが魅力だ。消費税にあたる付加価値税の標準税率が20%程度と高い欧州では、食料品や新聞などで広く適用され、国民負担の緩和に役立ってきた。

 

 政府・民主党は軽減税率は対象品目の線引きが難しく、税収が目減りするなどの難点を指摘するが、自民党は給付付き税額控除について、正確な所得把握が困難で「バラマキになる」と強く反対している。

 

 

●「軽減税率、導入時期で自公の綱引き続く」

読売新聞電子版 2013年1月13日

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130113-OYT1T00437.htm?from=ylist

 

 

 2013年度税制改正を巡る自民、公明両党の綱引きが続いている。

 

 所得税、相続税を巡る調整は進んでいるものの、消費税率引き上げに伴う低所得者対策として生活必需品などの税率を抑える軽減税率の扱いは、なお着地点が見えない。両党は軽減税率を導入することでは一致したものの、導入時期で隔たりがある。

 

 「国民から消費税(率の引き上げ)を理解してもらうために、最も良い方法は軽減税率だ」

 

 公明党の斉藤鉄夫税制調査会長は、12日のTBS番組でこう強調した。

 

 斉藤氏と自民党の野田毅税調会長らによる11日の与党税制協議会では、軽減税率導入の必要があるとの認識で一致した。しかし、公明党が税率を8%に引き上げる14年4月から導入するよう主張するのに対し、自民党は10%に引き上げる15年10月以降を念頭に置いており、溝は埋まっていない。

 

 公明党は11日の協議会で、適用品目をコメなどの穀類や野菜などに限定する案を提示した。適用品目を絞れば、自民党が「軽減税率に不可欠だ」と指摘するインボイス(税額票)制度の導入も当面は不要になるとの判断だ。

 

 これに対し、自民党は、10%段階での導入を念頭に「軽減税率の検討チームを設けることでどうか」と妥協案を示し、決着はつかなかった。自民党も軽減税率には賛成しているものの、8%段階での導入には否定的な意見が根強い。夏の参院選前に8%段階での導入を決めれば、納税額の算出などで事務負担の増える小売店が反発し、支持を失う可能性も指摘されている。

 

 自民、公明両党は、14日に協議会を開き、軽減税率の導入時期について再度調整することにしている。(20131131545 読売新聞)

 

 

●「民主 給付付き税額控除導入を」

NHK NEWS WEB  113 1811

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130113/k10014775491000.html

 

民主党の細野幹事長は、高知県南国市で記者団に対し、消費税率の引き上げに伴う低所得者対策に関連し、自民・公明両党との今後の協議では、所得に応じて給付や控除を行う「給付付き税額控除」の導入を求めていく考えを示しました。

 

この中で細野幹事長は、消費税率の引き上げに伴う低所得者対策に関連し、食料品などの税率を低く抑える複数税率について、「どの項目の税率を軽減するのか、本当に公平にできるのかということを考えると現実に導入できるのか、相当慎重に考えなければいけない」と述べました。

 

そのうえで細野氏は、「基本的には、現金を払い戻す『給付付き税額控除』によって低所得者への対応をしっかりしていきたい」と述べ、自民・公明両党との今後の協議では、「給付付き税額控除」の導入を求めていく考えを示しました。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)









 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 今回は2014年12月14日に投開票が行われる第47回総選挙について書きたいと思います。現在は太陽暦を使っており、厳密には同じ日ではありませんが、12月14日は赤穂浪士の吉良邸討ち入りの日で、その時の浪士は47名でありました。12月14日に47という数字の一致は興味深い偶然です。

 

 2014年12月14日まで約3週間ほどある訳ですが、現在のところ、自民党と公明党が過半数(0増5減で選挙区が295、比例区が180で合計475議席なので)238議席を超えることは間違いないようです。安倍首相は自公で過半数であれば勝利であり、アベノミクスと2017年4月からの消費税増税10%が国民の信任を得たとして政権を続けていくことになります。現在与党である自公は320議席を保有しており、0増5減の影響があるとは言え、絶対安定多数266議席を28議席も下回っても「勝利」とするのは無理があるように思います。

 

 公明党は比例で手堅く20議席以上、小選挙区で数名の当選をそこまで減らさないとなると、大幅に議席を減らすのは自民党の方になります。前回は295名が当選したのですが、今回自公で過半数が最低ラインとなると80名近くが落選、絶対安定多数266が最低ラインとなると50名以上が落選と言うことになります。

 

 これで果たして「勝利」と言えるのか、50名以上の落選を出しながら「勝利だ」「政権続行だ」と強弁しても党内には不満が残ります。今回の総選挙は争点がはっきりしない選挙で、はっきり言って安倍氏自身もやりたくない選挙であった訳ですが、自民党側にしてみれば何でも官邸主導で貧乏くじだけを引かされるということで不満が充満していくと思います。議席数にもよりますが自民だけで過半数238を維持できなければ倒閣運動、反安倍氏の動きが出てくると思います。そうなると、ポスト安倍氏は前幹事長の石破茂氏と現在の幹事長の谷垣禎一氏ということになりますが、自民党、公明党、財務省、諸外国全てが納得できる人物としては谷垣氏と言うことになります。岸信介が安保改定で辞任した後にチェンジ・オブ・ペースで宏池会の池田勇人が首相になったというアナロジーに通じるものがあります。

 

 2012年の総選挙で安倍総裁の下で大勝した自民党ですが、人の体に譬えるならば、体脂肪率が上がって、血圧が上がり、血液検査の数値が悪くなってしまったようなものです。嫌韓嫌中を堂々と標榜する議員、ネトウヨと何ら変わらない知性の低い議員、国会議員が偉いと勘違いし周囲に威張り散らし当たり散らす議員など、自民党の若手議員は低質な人物たちが多くなってしまいました。失礼を承知で言いますと、脂肪(こうした低質な議員たち)が増えて、自民党がネトウヨや在特会と変わらない、血圧だけが高いような組織になってしまい、血糖値(嫌韓嫌中)や尿酸値(過度なナショナリズム)が挙がってしまいました。血圧、血糖値や尿酸値を下げるためにはダイエットが必要です。皆さん方には是非自民党のダイエットに協力していただきたいと思います。

 

 2003年以降の総選挙の結果を見ると、①得票数と議席数の割合は同じにならない、②公明党と共産党は手堅い(支持者が固定して動かないので議席数の増減が大きくないが大きな躍進は難しい)、③野党側は数が多くなると得票数に比べて獲得議席が少なくなってしまう(共倒れを起こしてしまう)ということが分かります。前回選挙は日本維新の会とみんなの党が躍進しましたが、野党側が候補者をそれぞれ出してしまったために票が分散し、合計すれば非共産の野党側が勝っていたのに、という選挙区がいくつもありました。

 選挙制度と政党の数については、フランスの政治学者モーリス・デュヴェルジェという人が唱えたデュヴェルジェの法則というものがあります。これは、選挙区の当選できる人数に1を足した数の政党数(国政選挙で当選者を出す)に収斂していくというものです。小選挙区だと当選者は1ですから、1+1で2となります。完全な小選挙区制だと二大政党制になります。日本の場合は比例代表制も並立させていますから、数が減らないということになります。小選挙区制で当選者が1人、与党は候補者を絞り込んでいるのに、野党側が乱立させれば勝ち目がないことは、明らかです。

 前回2012年の総選挙では民主党と国民新党が与党でしたが、1993年以降の日本の政治の対立軸であった自民対非自民という枠組みで考えるならば、非自民系が乱立したと言えます。自民軸側は、自民党と公明党ががっちりスクラムを組み、まとまって突出したのに対し、非自民系軸は乱立してしまいました。

 

 そこで、下の新聞記事にもありますが、今回は野党側は選挙協力を進めて候補者の数を絞り込んでいます。そうなのです、自民党にダイエットをしてもらうには、野党側も候補者を絞り込んで、つまり「ダイエット」をして、投票を集中してもらう必要があります。

 

 今回の野党側は民主党と維新の党(橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事が不出馬を決めてくれたことが最大の貢献となるでしょう)を軸に野党再編(野党再建)を射程に入れて、選挙協力が進んでいます。共産党に選挙協力をしてもらうことは難しい面もありますが、沖縄では現職優先で選挙協力ができていますし、社民党に対してはある程度の協力関係ができるのではないかと思います。

 

 今回の選挙は簡単に言えば、「太り過ぎた自民党にダイエットをしてもらう」ことだと思います。「今のままの自民党が好きだ」と思われる方は自民党に入れていただいた方が良いでしょう。何事もそうですが、過度なダイエット(現実で言えば絶食を長期間続けるとか)はかえって健康を損ないます。「今の自民党はちょっとおかしいな」と思われる方はぜひダイエットに協力してあげていただきたいと思います。私もウエストがメタボリック症候群の範囲を超えてしまいましたので、自戒を込めて書いておきたいと思います。

 

(2003年以降の総選挙の結果)

 

●2003年

・与党側(選挙区:2777万→181;比例区:2939万→94)

自民党(選挙区:2609万→168;比例区:2066万→69)

公明党(選挙区:887万→9;比例区:873万→25)

保守新党(選挙区:79万→4;比例区――――)

・非共産野党側(選挙区:2412万→108;比例区:2513万→77)

民主党(選挙区:2181万→105;比例区:2210万→72)

社民党(選挙区:171万→1;比例区:303万→5)

無所属の会(選挙区:50万→1;比例区――――)

自由連合(選挙区:10万→1;比例区――――)

・共産党(選挙区:484万→0;比例区:459万→9)

 

●2005年 

・与党側(選挙区:3350万→227;比例区:3488万→100)

自民党(選挙区:3252万→219;比例区:2589万→77)

公明党(選挙区:981万→8;比例区:899万→23)

・非共産野党側(選挙区:2639万→55;比例区:2710万→71)

民主党(選挙区:2480万→52;比例区:2013万→61)

社民党(選挙区:100万→1;比例区:372万→6)

国民新党(選挙区:43万→2;比例区:118万→2)

新党日本(選挙区:14万→0;比例区:164万→1)

新党大地(選挙区:約2万→0;比例区:43万→1)

・共産党(選挙区:494万→0;比例区:492万→9)

 

●2009年

・与党側(選挙区:3580万→228;比例区:3503万→92)

民主党(選挙区:3348万→221;比例区:2984万→87)

社民党(選挙区:138万→3;比例区:301万→4)

国民新党(選挙区:73万→3;比例区:122万→0)

新党日本(選挙区:22万→1;比例区:53万→1)

新党大地(選挙区:――――;比例区:43万→1)

・非共産野党側(選挙区:3579万→66;比例区:2993万→79)

自民党(選挙区:2730万→64;比例区:1881万→55)

公明党(選挙区:783万→0;比例区:805万→21)

改革クラブ(選挙区:4万→0;比例区:6万→0)

みんなの党(選挙区:62万→2;比例区:301万→3)

・共産党(選挙区:298万→0;比例区:494万→9)

 

●2012年

・与党側(選挙区:3350万→227;比例区:3488万→100)

自民党(選挙区:2564万→237;比例区:1662万→57)

公明党(選挙区:886万→9;比例区:712万→22)

・非共産野党側(選挙区:2730万→49;比例区:3253万→95)

民主党(選挙区:1360万→27;比例区:963万→30)

社民党(選挙区:45万→1;比例区:142万→1)

国民新党(選挙区:12万→1;比例区:7万→2)

日本維新の会(選挙区:694万→14;比例区:1226万→40)

みんなの党(選挙区:281万→4;比例区:525万→14)

日本未来の党(選挙区:299万→2;比例区:342万→7)

新党日本(選挙区:6万→0;比例区――――)

新党大地(選挙区:約32万→0;比例区:35万→1)

新党改革(選挙区――――;比例区:13万→0)

・共産党(選挙区:452万→0;比例区:369万→8)

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「衆院選立候補予定者、大幅減1047人 野党間調整進む」

 

2014年11月24日 朝日新聞デジタル

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141124-00000033-asahi-pol

 

 来月2日公示の衆院選で、各党の立候補予定者がほぼ出そろった。朝日新聞がまとめた今月24日時点の擁立状況は、小選挙区928人、比例区119人で計1047人。民主党を中心とする野党間の候補者調整が進み、「第三極」の新党が擁立を競った前回衆院選の候補者数1504人より大幅に減る方向だ。

 

 一票の格差縮小のため、今回から選挙区は5減の295となり、比例区を含めた衆院定数は475。与党の自民・公明両党と、共産党はすでに大半の選挙区で候補者を固めた。共産以外の野党各党は与党に対抗しつつ選挙区での共倒れを避ける思惑から、民主党と維新・次世代など第三極各党が立候補予定者を一本化する作業を加速。共産を除く主要野党の選挙区の予定者数は前回の624人から314人に半減している。

 

 24日時点では295選挙区のうち185前後で、与党と共産に加え、民主・維新・次世代・生活・社民のいずれかから1人が立つ構図に。民主や第三極各党の予定者が競合する選挙区も約60あり、与党と共産以外に主要政党の予定者がいない選挙区も約45ある。

 

 自民は選挙区で285人、比例区は「0増5減」で選挙区を失った5人や比例単独の前職らを擁立。公明は選挙区で9人、比例単独で25人を立てる。民主は選挙区に180人を立てて積み増しをめざすが、前回より大幅に減りそうだ。選挙区では維新が73人、次世代が30人、生活が16人、社民が11人を擁立する。(石松恒、山下龍一)

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)








 

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