古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:共和党

 古村治彦です。

 

 前回は、ハワード・ディーン元民主党全国委員長が2020年の大統領選挙で民主党は勝利できないだろうと述べたことについてご紹介しました。そして、2020年の候補者は50代以下の若い人物が必要だとも述べました。

 

 今回は、民主党内で台頭しつつある若手政治家、ティム・ライアン連邦下院議員(オハイオ州選出、民主党)をご紹介します。ライアンはアイルランド系とイタリア系の両親の間に1973年に生まれました。現在44歳ですから、2020年には47歳ですから、ディーンが主張している「50代以下の若手」にあてはまります。

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ティム・ライアン
 

 大学卒業後に1995年、オハイオ州選出の連邦下院議員のスタッフとなり、その後、2000年に法科大学院を修了しました。2000年から2002年にかけて、オハイオ州上院議員を務めました。その後、2002年に連邦下院議員に当選、それから8期連続で当選しています。連邦下院議員は2年おきに選挙があり、参入しやすいということもあり、常にライヴァルたちから虎視眈々と狙われていますので、連続当選ということは困難ですが、8期連続当選というのはライアンの有能さを示しています。

 

 ライアンが名前を上げたのが、昨年の選挙後に行われた連邦下院民主党のトップとなる院内総務を決める選挙に立候補したことでした。最有力だったのはナンシー・ペロシ元連邦下院議長(カリフォルニア州選出)でした。結果はペロシが134票を獲得し当選しましたが、ライアンも63票を獲得し、善戦したという評価を受けました。

 

 ライアンは昨年の大統領選挙でトランプが勝利したオハイオ州の選出です。オハイオ州は工業地帯として知られ、トランプ大統領誕生の原動力となったラスト・ベルトの一部です。ライアンは、オハイオ州における空気を敏感に感じているようです。

 

 そして、ライアンはこれまでの民主党の主張とは相いれない、企業税の減税を主張しています。これはトランプ大統領と同じ主張です。民主党が再び人々の支持を得るためには、トランプ政権誕生の原動力となった人々の空気や雰囲気に寄り添うべきだということがライアンの考えのようです。そして、民主党内部でもライアンが台頭するスター(ライジング・スター)として扱われ始めているようです。

 

 ティム・ライアンをこれから注目していきたいと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

民主党の中で台頭するスターであるティム・ライアンが党の方針に反し、企業税の減税を支持する(Rising Dem star Tim Ryan splits with party, endorses corporate tax cuts

 

『ザ・ヒル』誌スタッフ

『ザ・ヒル』誌

2017年831

http://thehill.com/video/lawmaker-interviews/348776-rising-dem-star-tim-ryan-splits-with-party-endorses-corporate-tax

 

民主党所属の連邦下院議員ティム・ライアン(オハイオ州選出)は、党指導部に反対し、2018年の中間選挙に向けて企業にやさしい主張を行っている。

 

ライアンはオハイオ州ヤングスタウンにある選挙区事務所で本紙の取材に答えて次のように語った。「国際的に競争力を持つためには、企業税の税率を下げることが必要です。企業税が高いために、現在のところ国際的な競争力を持っていないのです」。

 

ライアンは、工業地帯であるオハイオ州出身で、民主党内で台頭しつつある。彼は民主党指導部とは異なるアプローチで大企業に接し、財界と協力して雇用を創出することを主張している。

 

「民主党は富の再分配の党というだけでは存在できない時代です。アメリカ全土で富を創出するための党となる必要があります。シリコンヴァレーやウォール街だけでなく、アメリカ全土で、です」。

 

昨年秋、ティム・ライアンは、ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が握っていた民主党院内総務の座に挑戦したことで民主党内において注目を集めた。ライアンは敗れたが、2018年の中間選挙に向けて民主党指導部に新しい血を入れることを求めることは止めなかった。

 

ライアンは次のように述べた。「ナンシー・ペロシほど党内をうまくまとめるプレイヤーはいません。私は彼女に敵意を抱いていません。わが党は2018年の中間選挙に向けてこれまでとは異なる主張を行う人間が必要だと考えます。それが私であっても他の人でも構いません」。

 

ペロシをはじめとする民主党指導者たちは、企業ではなく、中流階級の世帯の減税政策を主張している。トランプは財界に友好的な税制に関する提案を演説で行った。それを受けてペロシは水曜日、民主党としてのメッセージを声明の形で発表した。

 

ペロシは声明の中で次のように述べている。「トランプ大統領は、実行可能で雇用を創出する税制改革をアメリカ国民に提案する代わりに、大富豪ファーストで、トリクルダウン式の税制を提案しています。この提案は、アメリカの家族を犠牲にして、大富豪たちの大減税をしようというものです」。

 

ライアンは2018年の中間選挙で、民主党は連邦下院の過半数を獲得できるが、それには財界に友好的なメッセージがカギとなると述べた。

 

ライアンは次のように語っている。「東海岸と西海岸の富を工業地帯である中西部に移し、私が選出されている地域で数銭という大規模なものではなく、数百の雇用を生み出すためにはどのようにすべきか、という経済上の大きな問題を理解できれば、それが大きな転機になると私は考えています」。

 

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共和党内のグループが税制改革支援で民主党議員に感謝する内容の広告を展開(GOP group launches ad thanking Dem for backing tax-code reforms

 

ナオミ・ジャゴダ筆

2017年8月28日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/finance/348194-gop-group-launches-ad-thanking-dem-for-backing-tax-code-reforms

 

連邦下院共和党指導部に近いあるグループは月曜日、新しい広告を流し始めた。その内容は、ティム・ライアン連邦下院議員(オハイオ州選出、民主党)が税制改革に対して積極的な意欲を見せていることへ感謝するというものだ。

 

この広告を出したのは、「アメリカン・アクション・ネットワーク(AAN)」だ。広告では、先週のMSNBCのテレビ番組「モーニング・ジョー」に出演した際のライアンのコメントを取り上げた。ライアンは租税制度の簡素化と企業税率の引き下げを主張した。これらの問題は税制改革における共和党にとっての最重要課題となっている。

 

ライアン議員は次のように語った。「税制の簡素化が必要だと考えます。そして、企業税の引き下げも必要ですね。民主党はただの富の再分配の政党としてだけで存在できないような状況です。富を生み出す政党にならねばなりません」。

 

広告はテレビとインターネット上で火曜日からライアンの選挙区で放送されることになる。これは、税制改革を促進するAANの「ミドル・クロス・グロウス・イニシアティヴ」の最新の試みである。このグループはこの夏、共和党が議席を保持している複数の選挙区で広告を流した。今回の新しい広告は民主党の下院議員の選挙区で流す最初の広告となる。

 

ANNの上級部長コリー・ブリスは声明の中で、「私はライアン議員のコメントは、超党派の税制控除の始まりを象徴している。これはアメリカ国民にとって必要なものなので超党派の動きが出始めたのだ」と述べている。

 

税制改革はこの秋の連邦議会共和党とホワイトハウスにとっての最重要課題である。民主党の連邦議員の多くは、税制の修正と企業税の減税について、共和党側と協力することに関心を持っていると述べている。

 

しかし、共和党にとって彼らが提案する税制改革法案で民主党側の支持を得ることは難しい。民主党の議員の多くは富裕な人々の減税を望んでいない。また、共和党側が「調停(reconciliation)」として知られる過程で税制改革法案を可決することも望んでいない。この過程が使われると、連邦上院で民主党議員の賛成が必要ではなくなってしまい、民主党の存在感がなくなる。

 

ライアンは昨年の秋に民主党院内総務ナンシー・ペロシ(カリフォルニア州選出、民主党)に挑戦し敗れた。ライアンは、自身が属する民主党は進歩的な税制と株式配当への課税を強化することを主張していると述べている。

 

その後、MSNBCの番組に出演したライアンは、民主党はトランプ大統領と協力することは難しいだろう、それはトランプ大統領が「混乱」しているからだ、と述べた。

 

ライアンは続けて次のように語った。「いくつかの問題を解決しようと思っています。しかし、トランプ大統領は大変不安定なために、問題解決がとても難しい状況です。大統領は約束を守りませんしね」。

 

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民主党連邦下院議員は「共和党に冬がやってくる」と述べる(Dem rep says 'winter is coming' for GOP

 

ジョシュ・デレク筆

2017年8月24日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/347899-dem-rep-says-winter-is-coming-for-gop

 

オハイオ州選出のティム・ライアン連邦下院議員(民主党)は木曜日、「共和党に冬がやってくる」と述べた。これは、共和党側の党は争いと2018年の中間選挙で民主党が反撃に出るということを示唆した発言だ。

 

ライアンはMSNBCのインタヴューに対して、有名なドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のセリフを使って次のように答えた。「共和党は現在大きなトラブルを抱えています。共和党に冬がやってきているかのようです(winter is coming for Republican Party)」。

 

ライアンは、2020年のアメリカ大統領選挙の出馬を考えているかどうかという質問をうまくそらした。彼は「私とほかの民主党員は2018年の中間選挙に集中しています」と述べた。

 

ライアンは次のように語った。「連邦下院で過半数を回復するチャンスは大きいと思います。現在、私を含め、多くの民主党員が2018年の中間選挙に集中していると思います。下院の過半数回復のチャンスは大きいですよ」。

 

自分自身を鏡で見たときにそこに大統領としての姿が映っているのではないですか、と質問され、ライアンは「今現在、そんなことはありません。まったくね」と答えた。

 

ライアンは連邦議会における党派性の厳しさについて語った。彼は、「いくつかの問題について民主党はトランプ大統領と協力できるだろうと予測していましたが、私が予想していたよりもこれは困難なものであることが分かりました」と述べた。

 

「いくつかの問題を解決しようと思っています。しかし、トランプ大統領は大変不安定なために、問題解決がとても難しい状況です。大統領は約束を守りませんしね。ですから、大統領と何か合意に達しても、それがもともと合意した内容として実現するかどうか不確かなのです」。

 

共和党保守派とトランプ政権との間の緊張関係は今週に入ってこれまでにないほど高まった。トランプはアリゾナ州の連邦上院議員の共和党予備選挙で、現職のジェフ・フレイクの対抗馬を支持すると発言し、ミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)とジョン・マケイン連邦上院議員(アリゾナ州選出、共和党)を非難した。これで緊張関係が高まった。

 

ライアンは「トランプ大統領が現職の対抗馬を支持するなら、代償や犠牲が大きい内戦が共和党内で起きることになります」と述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12






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 古村治彦です。

 

 トランプ大統領の周辺がざわつき、アメリカ国内では右派と左派が激しく衝突しています。トランプ政権はもうだめだ、トランプ大統領は次の選挙では落ちてしまうだろう、と考える人も多くいると思います。

 

 しかし、民主党側では状況を楽観視していないようです。民主党全国委員会委員長を務め、2004年の大統領選挙の民主党予備選挙では序盤にリードした経験を持つハワード・ディーン元ヴァ―モント州知事がテレビ番組に出演し、「2020年、民主党がアメリカ大統領選挙で勝てないだろう」と述べました。彼は「現職大統領に勝てない」と述べましたが、この現職大統領が2020年の段階でトランプ大統領なのか、他の人物なのかははっきりしません。

 

 民主党側では2020年の米大統領選挙の有力候補者になりそうな人物がいません。そうした人物が選挙直前に出てくることもありますが、ビル・クリントンにしても、バラク・オバマにしても、当時は民主党の若手政治家として大統領選挙の数年前から既に名前が知られていました。ですから、この時期にそうした政治家の名前が出てこないのは民主党の人材不足です。現在、全国的な知名度を持っている、たとえばジョー・バイデン前副大統領、バーニー・サンダース連邦上院議員、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員は高齢です。ここのところをディーンは心配しているようです。

 

 ディーンは次の大統領選挙では50歳以下の若い人が大統領候補になるべきだと述べています。2016年の大統領選挙では共和党のドナルド・トランプ、民主党のヒラリー・クリントンと共に60代後半から70代でいわゆるベイビーブーマー世代です。ベイビーブーマー世代、日本で言えば団塊の世代は、両国の社会の動きに大きな影響を与えてきましたし、これから人類初の大規模な超高齢化世代として影響を与えていくでしょう。これほど多数の人々が高齢化を迎えるということは人類史上初と言わねばなりません。

 

 ディーンの懸念ははっきり言えば、「ヒラリー・クリントンよ、ベイビーブーマーの代表格であるあなたの出番はもうない。だからもう静かにして表舞台に出てこないように」ということです。ヒラリーは、選挙戦直後はさすがにしばらく静かにしていましたが、今はいろいろな集会に顔を出してはスピーチをして、FBIと民主党全国委員会の悪口を言って回っています。これは民主党んにしてみれば大変迷惑な話です、敗戦の痛手を癒して、次に進もうとしているのに、ヒラリーにその邪魔をされているということになります。ヒラリーが2018年の中間選挙、2020年の大統領選挙に向けての体制づくりの邪魔になってい訳です。

 

 日本的な表現をするならば、怨念を持ったヒラリーが恨みを持ったまま成仏も出来ずに、この世に出てきては生者の世界にちょっかいを出して邪魔をしている、ということになります。ジョージ・W・ブッシュに敗れたアル・ゴアは選挙直後に逼塞する形となりましたが、本来はこうあるべきです。しかし、ヒラリーは表舞台に出てきて復権を目指しています。また、彼女にしてみれば表舞台に出て影響力を持ち続けなければ、国家機密情報の取り扱いに関して逮捕されてしまうという恐怖感もあるかもしれません。そう考えると、哀れな晩年と言いたくもなってしまいます。

 

 公民権(Civil Rights)とは政治に参加する権利、具体的には、投票する権利と公職に立候補する権利のことを指します。公民権運動(Civil Rights Movement)とは1950年代から60年代にかけて、黒人をはじめとする少数派の人々の選挙に参加する権利を認め、人種差別を撤廃しようとして人々が立ち上がった運動です。アメリカ南部では長年にわたり、黒人の参政権が認められなかったり、参政権を行使しようとすると妨害されたりということが続きました。こうした差別を撤廃しようというのが公民権運動です。

 

 公民権運動の過程で、多くの流血事件が起きました。論稿の中で紹介されているケント州立大学の事件やエドマンド・ペタス橋での事件(「血の日曜日」事件と呼ばれています)でも死傷者が出ています。現在の状況も同じだとディーンは述べています。このブログでもご紹介しましたが、若い人々の間で戦闘的な左派グループの勢力が大きくなっています。そうした中で、これからも暴力や流血はしばらくの間続いていくでしょう。そうなると、これに対する揺り戻しで、戦闘的な右派、左派両方のグループは退潮していくと思われます。

 

 現在のアメリカで激しい対立が人々の中に起きているのは、トランプ大統領に不満を持つ人々にとっての展望がない、つまり次の大統領選挙で支持したい、支持すべき政治家が不在という状況になっていることが原因であると私は考えます。

 

(貼りつけはじめ)

 

ディーンは2020年の大統領選挙で民主党が勝利することはないと考えている(Dean doesn't think Dems will win White House in 2020

 

ジョー・コンカ著

2017年8月25日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/media/347978-dean-trump-election-was-kent-state-moment-for-millennials

 

金曜日、ハワード・ディーンは、トランプ大統領の支持率は低いが、2020年の大統領選挙で民主党が勝利することはないと考えていると述べた。

 

金曜日に放映されたテレビ番組「モーニング・ジョー」に出演したディーンは、「2020年に我々民主党が現役大統領を打倒すことはないでしょう」と述べた。ディーンは以前、民主党全国委員長を務めた。

 

ディーンは次のように述べた。「2020年に我々がホワイトハウスに入ることができるなどと考えている人に会ったことがないんです。誰が勝利をもたらす候補者になれるかについて頭を悩ましてばかりですよ」。

 

「それはもう大変なことですね」と代理で司会者を務めたウィリー・ガイストは冗談めかして述べた。

 

2016年の共和党の大統領選挙予備選挙には17名の候補者が立候補した。

 

ディーンは更に、ミレニアム世代にとって、トランプの選挙の当選は、過去に起きた「ケント州立大学」事件の時と同じような事件となったのだ、と述べた。

 

「トランプの選挙の勝利は、現在の若い世代にとっては、エドマンド・ペタス橋やケント州立大学(両所とも公民権運動の舞台となった)で起きた事件のようなものだと思いますね」とディーンは述べた。

 

「ミレニアム世代全体が持つ原理原則が侵害されています。彼らはそれに対して自分たち自身で戦わねばならないのです」とディーンは述べた。

 

ディーンは次の大統領選挙での民主党の候補者には50歳以下の人物がなるのが望ましいと述べた。

 

1970年5月4日、学生たちはケント州立大学でヴェトナム戦争反対デモを行った。それに対してオハイオ州兵が発砲し、4名の学生が殺害された。

 

エドマンド・ペタス橋は「血の日曜日」事件の舞台となった。1965年4月、アラバマ州セルマ近郊のエドマンド・ペタス橋をデモ行進していた公民権運動の参加者たちが地元警察から殴打された。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12









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 古村治彦です。

 

 民主党は2016年の大統領選挙での敗北から立ち直ろうとしていますが、党の新しい顔、2020年の大統領選挙のスターはまだ見つけられないでいます。最新の世論調査では、ジョー・バイデン前副大統領、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員が大きな支持を集めているようですが、共に少々年齢を重ねて、しかも古顔という感じです。ここで名前が出てくるカマラ・ハリスは黒人女性で現在52歳、アメリカ初の女性大統領になるのでは、という期待の声も出ています。

 

 民主党はまずは2018年の中間選挙で、連邦議会で議席を増やさねばなりません。そのために、トランプ攻撃を行い、オバマケア廃止による無保険者の増加を材料にして議席獲得を目指すということになります。また、ロシアが選挙戦に介入し、操ったという疑惑や、政権内の人物たちが政権発足前にロシアと交渉したという疑惑も材料にしています。

 

 オバマケア廃止については、連邦下院では可決されましたが、連邦上院ではどのような形になるのかは不透明な状況です。

 

 こうした中で、ジョージア州とサウスカロライナ州の連邦下院議員補欠選挙で、共和党候補者が勝利しました。民主党としてはジョージア州の補選で勝利もしくは惜敗を目指して資金と人材を投入しましたが、敗北してしまいました。これは民主党にとっては痛手となります。

 

 民主党は昨年の大統領選挙でヒラリー・クリントンが一人勝ちするだろうと思われていましたが、民主党所属ではないバーニー・サンダース連邦上院議員が善戦しました。予備選挙中、民主党全国委員会がヒラリーを勝たせようとしていたことを示すメールも出てきて、民主党は分裂しました。ヒラリーが代表する富裕でグローバリズム、インターヴェンショニズムを望む支持者と、サンダースを押し立て、アイソレーショニズムを求め、社会主義とまでは言わないまでも、富の再分配を望む左派的な人々に民主党は分裂状態にあります。

 

 そうした中、ヒラリーが度々公の場に出てきて発言する訳ですが、発言内容が未来志向というよりも、昨年の選挙のこと、しかも他人に敗北の責任を押し付けるものということは既にご紹介しました。こうした状況では民主党も一枚岩で中間選挙に向かうことはできません。

 

 バーニー・サンダースとドナルド・トランプは全く違う姿勢を持っているように思われますが、政策は似ているものが多く、サンダースとヒラリーとの違いよりも小さいのではないかと思われるほどでした。

 

 サンダースを支持したような熱心な有権者たちが、ヒラリーを応援した議員たちを熱心に応援するだろうかというのは大きな疑問であり、その答えは限りなくノーに近いものです。オバマを応援することがそのまま民主党議員たちを応援することになった幸せな時代は過ぎました。ヒラリーはそれだけ大きな傷と分裂を民主党に残しました。

 

 トランプ批判が溢れかえる報道ですが、民主党も決して安泰ではありません。

 

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最新の世論調査で2020年の大統領選挙の民主党候補者希望でバイデンがトップに(Biden tops list of potential 2020 Democrats in new poll

 

ジュリア・マンチェスター筆

2017年6月19日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/338447-biden-tops-2020-dem-in-new-pollhttp://livedoor.blogcms.jp/blog/hfurumura/report/

 

最新の世論調査によると、2020年の大統領選挙の民主党候補者として、ジョー・バイデン前副大統領がリストの第1位となった。

 

月曜日に発表されたモーニング・コンサルトとポリティコの共同世論調査の結果によると、民主党支持者の74%がバイデンを支持した。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が51%の支持を集め、バイデンに次いで2位となった。

 

バイデンは先週、NPRの取材に対して、「私は大統領選挙に出馬する意思を持っていないが、私は運命というものに大きな敬意を払っている」と述べた。

 

「私は現在、大統領選挙に出馬する計画を持っていないが、出馬しないと約束することもしない」とも述べた。

 

その他に名前が挙がったのは、それぞれ民主党所属の連邦上院議員であるアル・フランクリン(ミネソタ州選出)、コーリー・ブッカー(ニュージャージー州選出)、カマラ・ハリス(カリフォルニア州選出)であった。

 

今回の世論調査は6月8日から12日にかけて民主党支持者895名を対象に行われた。誤差は3%である。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)






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 古村治彦です。

 

 昨年の米大統領選挙民主党予備選挙でヒラリー・クリントンを追い詰めた連邦上院議員バーニー・サンダースがトランプの支持者について、「人種差別主義者、性差別主義者、同性愛憎悪者ではない」と発言しました。

 






 トランプを支持した人々は、民主党の支持者だと考えられる人たちでした。南部の白人で、学歴が低く、所得が低いがトランプを大統領に押し上げたということは日本のマスコミでよく語られたことです。本来であればこうした人々の支持を民主党は取り込めたはずですし(オバマ大統領は成功しました)、取り込まなければなりませんでした。

 

 しかし、民主党が労働者の党ではなく、リベラルな理想ばかりを語るエリートたちの党になっていたために、民主党は敗れたのだということをサンダースは、民主党支持者たちの前で言いました。

 

 サンダースはトランプに対して、是々非々の態度で臨むと主張してきました。サンダースにとって民主党主流派は、トランプよりも遠い存在であり、敵なのだという認識だと思われます。共和党主流派に嫌われたトランプ、民主党主流派に嫌われたサンダース、この共通点のために親近感を感じているのだろうと思います。また、インフラ整備などの点では、連携できると思われます。

 

 共和党内部に大きな敵を抱えているトランプにとっては、皮肉なことに、サンダースはまだ味方になってくれる、もしくは最低限邪魔はしないそんざいになるのかもしれません。

 

 

(貼り付けはじめ)

 

サンダースがトランプに投票した有権者を擁護:「私は彼らが人種差別主義者、性差別主義者、同性愛嫌悪者だとは思わない」

 

ブルック・シーペル筆

2017年3月31日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/326820-sanders-defends-trump-voters-i-dont-think-theyre-racists

 

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は金曜日、ドナルド・トランプを支持した有権者たちを擁護した。サンダースは、大統領選挙では民主党は負けるべくして負けたのであり、民主党は、トランプや他の共和党の連邦議員たちを支持した労働者階級の有権者たちをより良く代表できる政党になる必要があると発言した。

 

サンダースは、同僚のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)と出席した、ボストンで開催された「アウワ・レヴォリューション」というイヴェントで次のように発言した。「トランプ大統領に投票した人々は人種差別主義者、性差別主義者、同性愛憎悪者、嘆かわしい人々だと考える人たちがいる。私はそうした考えに同意しない。なぜなら私はトランプ大統領に投票した人々と一緒にいたからだ。皆さん方は同意できないであろうことを言わせてもらう。昨年の大統領選挙ではドナルド・トランプが勝ったのではない。民主党が負けたのだ」。

 

サンダースは「将来の選挙に勝つために民主党の根本的な再編が必要だ。現在の民主党の構成が問題なのは、そのために昨年の選挙で人々が民主党ではなく、トランプを支持したというところにある。民主党の選挙での主張が問題だったのではない」と語った。

 

サンダースは「リベラルなエリートの党ではなく、この国の労働者階級の党としての民主党を私たちは必要としている。富豪や力を持つ人々からの資金を集めるために時間を使うのではなく、労働者たちと話をすることに時間を使う候補者たちが集う、草の根の政党としての民主党が必要だ。私たちがこのような変革をすれば、民主党の変革をすれば、アメリカは変わる」と述べた。

 

サンダースは、有権者のほとんどは、右翼的な主張ではなく、進歩的な主張を持っているのだと語った。

 

演説の冒頭、サンダースはウォーレンに対する賛辞を送った。サンダースは、「あなたは自身が敵とする人を通じて、自身の素晴らしさを語らせている。エリザベス・ウォーレンの素晴らしさは、彼女の敵の素晴らしさが教えてくれる」と述べた。

 

サンダースは、ウォーレンの敵にはウォール街、製薬業界、化石燃料業界がいると語り、有権者たちに対して、ウォーレンを上院議員に当選させて、進歩的な主張のために戦えるようにして欲しいと訴えた。

 

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(終わり)




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 古村治彦です。

 

 以下の日経新聞は現在のドナルド・トランプ政権が置かれている状況が良くまとめられています。トランプ政権の政策実行を邪魔する存在が同じ共和党内にいるという話です。それが、連邦議会の自由議連(フリーダム・コーカス、Freedom Caucus)です。そして、彼らを資金面でサポートしよう(言うことを聞かせよう)としているのが、コーク兄弟です。コーク兄弟については、拙訳『アメリカの真の支配者 コーク一族』(ダニエル・シュルマン著、講談社、2015年)で詳しく書かれていますので、是非お読みください。

アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22

  

 コーク兄弟はリバータリアン(Libertarians)として、共和党主流派とは距離を置きながら、共和党を支援してきました。トランプも共和党主流派から嫌われながらも大統領になりました。お互いに共和党主流派を嫌っているトランプとコーク兄弟ですが、コーク兄弟はトランプの言動やポピュリスト的な政策には反対しています。コーク兄弟は個人の自由を徹底的に擁護するリバータリアンであり、リバータリアンは政治的には保守派に分類されますが、社会的にはリベラルとなります。コーク兄弟は、麻薬の使用、同性愛や妊娠中絶に対しては個人の自由だとして容認しています。

 

 現在、民主党はトランプ・ショックのために、党内を見直し、エスタブリッシュメントの党になっていたことを反省し、かつ強大な敵であるトランプと対決するために、まとまっています。複雑なのは、元々、民主党はコーク兄弟の政治的な影響力について批判的で(「共和党はコーク中毒(コークは清涼飲料水のコーラと麻薬の両方の意味とコーク兄弟をかけている)に陥っている」と民主党の大物議員だったハリー・リードが批判した)、バーニー・サンダース連邦上院議員は、コーク兄弟を厳しく批判する一方で、トランプ大統領には是々非々で臨むという態度を採っています。

 

 味方である共和党内に敵がいるということになると、トランプ政権の政策遂行は厳しくなります。一部政策に関しては、民主党と連携した方がうまくいくのではないかとも思いますが、減税などでは共和党の一部まで反対してしまうと、これもうまくいかないでしょう。トランプ政権の先行きは厳しいですが、どれだけ交渉と妥協ができるかにかかっています。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「トランプ政権阻む保守強硬派 看板公約滞る」

 

日本経済新聞

2017/3/31 23:26

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM30H1Y_Q7A330C1EA5000/

 

 発足から2カ月余りのトランプ米政権に、与党・共和党の保守強硬派が立ちはだかってきた。看板公約の医療保険制度改革法(オバマケア)代替案を撤回に追い込んだほか、政府債務増につながるような大型税制改革やインフラ投資にも否定的。大きな政府に反対する草の根の「茶会(ティーパーティー)運動」に連なる保守強硬派が、米議会の主導権を握る。トランプ大統領には政権運営の足かせとなりそうだ。

 

 「2018年には彼らと民主党とも戦う」。トランプ氏は3月30日、18年の中間選挙で身内の与党内勢力に敵対することも辞さないと語った。

 

 トランプ氏が「彼ら」と名指ししたのは下院の「フリーダム・コーカス(自由議員連盟)」。3040人に上る党内の保守強硬派だ。国家の干渉に対して個人の権利を擁護する古典的な自由主義者らでつくる。

 

 下院共和党(237人)の中で2割にも満たない集団だが、投票は一致結束して動く。下院の法案通過は216票が必要で自由議連が法案通過を実質的に阻止できる。オバマケア代替法案はトランプ氏が真っ先に取り組んだ本格的な法案だが、自由議連が反対の姿勢を崩さず、下院で採決すらできなかった。

 

 「今回はコーク兄弟にしてやられた。税制改革も簡単ではない」。トランプ氏に近い党関係者は弱音を吐く。コーク兄弟とは米エネルギー複合企業、コーク・インダストリーズを経営するチャールズ・コーク氏、デビッド・コーク氏を指す。共和党の大口献金者として知られ、資産総額はともに約4兆6千億円とされる。米国の長者番付はそろって7位。大統領選でトランプ氏を支持せずに、様子見に徹した。

 

 自由議連を強力に支援し続けたのがコーク兄弟ら富裕層の献金ネットワークだ。その一つ、政治団体「繁栄のための米国人(AFP)」は、ライアン下院議長ら党主流派がオバマケアの代替法案を発表すると「改革が不十分」と反対。自由議連も足並みをそろえた。

 

 AFPは緊縮財政を唱える茶会運動を先導し、自由議連はその流れを継ぐ。15年秋には政府債務上限の引き上げに反対。政府機関の閉鎖すら辞さない姿勢で党内のベイナー下院議長(当時)を辞任に追い込んだ。

 

 オバマケア代替法案が頓挫した直後の3月28日、トランプ氏はオバマ前政権の地球温暖化対策を見直す大統領令をぶちあげた。「保守強硬派の懐柔が狙いだ」と関係者。保守系政治団体は規制色の強い温暖化対策を毛嫌いする。そもそもコーク兄弟の事業は石油精製が中核だ。

 

 それでもトランプ氏による30年ぶりの税制改革は前途が険しい。主導するライアン氏は、連邦法人税率を35%から20%へと大幅に下げ、輸出は免税して輸入は課税強化する「税の国境調整」を導入する意向だ。

 

 保守強硬派は党主流派と同じく減税に大賛成。ただ、AFPは「法人税の国境調整は輸入品の値上がりを招き、米国人に破壊的な影響を与える」と反対の構え。ライアン氏らは輸入品の課税強化を減税の財源に見込む。税制改革が頓挫すれば、保守派の悲願である減税も遠のく。それでもオバマケア改廃や税制改革に反対姿勢を貫くのは「トランプ政権の転覆が狙いではないか」との見方すらある。

 

 4月末には暫定予算が切れ、新予算を組まなければ政府機関は閉鎖に追い込まれる。自由議連は緊縮財政をトランプ政権に迫る。看板政策であるメキシコ国境の壁建設は、今年度予算への計上をひとまず断念した。

 

 トランプ政権は、側近で過激な排外主義や孤立主義を唱えるバノン首席戦略官・上級顧問が主導権を握る。上院議長で政権の議会対策を担うペンス副大統領は日米経済対話など負担が重い。党主流派は政府閉鎖の回避や公約実現で野党・民主党との連携も模索し始めたが、反トランプへ攻勢を強める民主党との協議は難しい。政権は議会対策で袋小路に入りかけているようだ。

 

 (ワシントン=河浪武史)

 

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