古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:共和党

 古村治彦です。
 2023年12月27日最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。2024年のアメリカ大統領選挙について詳しく分析しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2024年3月8日にジョー・バイデン大統領が一般教書演説(State of the Union Address)を行った。一般教書演説は、アメリカ大統領が連邦議事堂で行う、アメリカ合衆国の現状について国内外に報告するという演説だ。アメリカ合衆国憲法では、権力分立(separation of power)が規定されており、連邦議会の権威は強いもので、大統領がほいほいと連邦議事堂に行けるということはない。連邦議会が招聘しなければ入ることはできない。
joebidenstateoftheunionaddress2024001
2024presidentialelectionpolls20240315001
 バイデン大統領は大統領任期一期目の最後の一般教書演説を行った。アメリカ史上最高齢の大統領であり、おぼつかないところや、プロンプターに映った原稿の文言を読み飛ばすということもあったが、大きな失言や言い間違いはなかった。まずは何とかなったというところだ。バイデン政権と民主党側は、この一般教書演説からバイデンの支持率が上がって、反転攻勢が始まったというシナリオにしたいようだ。バイデンは、経済の好調さをアピールして、「経済に強いのはトランプ」というアメリカ国民の間にある考えを払拭しようと躍起になっている。

 重要なのは、一般教書絵演説が選挙演説のようになってしまって、直接名前を出すことはなかったが、「前任者」という言葉を使って、トランプのことを指して、批判を展開したことだ。その中で重要なのは、トランプとトランプの選挙運動(MAGA運動)を、南北戦争(The Civil War)期の「南部連合(The Confederate States of AmericaCSA)」に例えたことだ。これは、バイデンと民主党側は、選挙運動を進めて、大統領選挙が実施され、結果が判明したら、アメリカは分裂すると考えているということを示している。「Union=United States」であるはずだが、それほどまでに考えが違っているとなれば、とても統一は維持できないというところまでアメリカの国内状況は悪化しているということだ。

 また、バイデン大統領は「世界平和と民主政治体制(デモクラシー)を守るための重要な時期が今だ」ということで、危機を演出しようとしている。トランプが大統領になれば、世界平和は実現せず、民主政治体制も守られないということを言っている。しかし、一般教書演説で選挙の相手候補を悪しざまに罵り、自分の高齢問題をごまかそうとする人物がアメリカ大統領にふさわしいとは多くのアメリカ国民は考えないだろう。それでも何故か、バイデンが二期目に当選してしまう。そうなると、アメリカ国内の分裂、分断は深刻化し、アメリカ合衆国が、アメリカ合衆国ではなくなるということも起きる可能性がある。今回の大統領選挙は、トランプ、バイデン、どちらの候補者が勝つということも重要だが、アメリカ合衆国がアメリカ合衆国であり続けられるか、ということもまた重要になってくる。
(貼り付けはじめ)

バイデンの一般教書演説の5つのポイント(5 takeaways from Biden’s State of the Union address

ナイオール・スタンジ筆

2024年3月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/4518254-five-takeaways-from-bidens-state-of-the-union-address/

木曜日の夜、2024年の大統領選挙を前に、ジョー・バイデン大統領は大統領任期1期目最後の一般教書演説(State of the Union)を行った。

それは極めて重要な瞬間であった。現在、大統領を低く評価しているアメリカ国民に対して、途中にメディアを挟むことなく、直接発言する貴重な機会であった。

本誌とディシジョンデスクHQが行っている世論調査の平均によれば、アメリカ国民の58%がバイデンの大統領としての職務遂行に不支持で、支持はわずかに40%である。

バイデンは、今週初めのスーパーチューズデーで圧倒的な勝利を収め、実質的に共和党の指名を獲得したトランプ前大統領に対して、11月の大統領選挙本選挙ではやや劣勢になっている。

バイデンは木曜日、ささやかな期待のハードルをクリアし、勢いと情熱をもって67分間の演説を行った。

主要なポイントは以下の通りです。

(1)トランプを標的にして、バイデンは選挙演説を行った(Biden, taking aim at Trump, makes a campaign speech

良きにつけ悪しきにつけ、この演説は近年で最も仰々しく政治的なものだった。

バイデンは、わずか8カ月後に迫った大統領選挙本選挙に向けて自らの主張を展開する機会をつかんだ。

演説が始まるとすぐに、バイデンはトランプを彼の名前は出さずに、最近のNATOに関する発言で「ロシアの指導者に屈服している(bowing down to a Russian leader)」と非難した。

バイデンはそこから、2021年1月6日の件に話を移し、トランプと他の共和党連邦議員たちはあの日起こったことの「真実を葬り去ろうとしている(bury the truth)」と述べた。バイデンは「私はそんなことはしない」と述べた。

バイデンは、共和党を税制面で超富裕層に従属し、人工妊娠中絶から体外受精治療まで女性のリプロダクティブ・ライツ(生殖に関する権利)に反対し、社会保障とメディケアを脅かす存在として描こうとした。

バイデンと彼のスピーチライター陣は、「医療保険制度改革法(Affordable Care Act)」について、当時のバラク・オバマ大統領に対する有名な冒涜的発言を連想させるような、「まだ非常に大きな問題である(still a very big deal)」ことを思い出させるような、巧みな場面を織り交ぜた。

共和党は、この演説は党派的すぎると抗議した。しかし、マージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員(共和党)のように、この日のためにMAGAハットをかぶってバイデン大統領に罵声を浴びせた人物が共和党にいる以上、その指摘の正統性を主張することは難しい。

要するに、バイデンは、総選挙選挙運動を本格的に開始するために、多くの人が予想していたよりもこの場をうまく利用したということだ。

(2)81歳の大統領であるバイデンは高齢問題を抑え込もうとしている(81-year-old president tries to neutralize the age issue

二期目を目指すにあたり、高齢であることはバイデン大統領にとって最も厳しい弱点となっている。

各種世論調査によると、アメリカ国民のおよそ75%が、81歳のバイデンが2期目をしっかりと務められるかどうかについて懸念を持っている。

木曜日の一般教書演説の終わりに、バイデンはこの問題を直接取り上げ、自分の有利になるように、少なくとも自分の責任の範囲を小さくしようとした。

「そうは見えないかもしれないが、私は長い間生きてきた」とジョークを飛ばして言及を始め、自分が高齢であることで、アメリカの歴史と価値観を広く正しく見渡していることを主張した。

バイデンは品格や誠実さといった特質を挙げ、前任の大統領であるトランプへの明確なジャブとして「私と同年代の人たちは違う見方をしている」と付け加えた。バイデンは、トランプが「恨み、復讐、報復」に焦点を当てているとほのめかした。

年齢問題はなくならない。そしてバイデンは木曜日の一般教書演説において、本当に悲惨な失言を避けながらも、いくつかの文言を飛ばした。

しかし、彼は少なくとも、自分の大きな弱点をポジティブな物語にしようとして最善を尽くした。

(3)進歩主義派の怒りが高まる中でガザをめぐる新たな動き(A new move on Gaza, amid rising progressive outrage

ガザをめぐる政治的利害は、ここ数ヶ月の恐ろしい死者数とともに高まっている。

バイデンの精力的なイスラエル支持に対する不満は、特に進歩主義派や若い有権者たちの間で根強い。しかし、民主党の主流派からも不安の声が上がり始めている。

バイデンは、ホワイトハウスがその日のうちに予告していた新たな展開、つまりガザの地中海沿岸に緊急用の桟橋を建設するためにアメリカ軍を利用することを発表した。

この桟橋は、国連が50万人以上の人々が「壊滅的な(catastrophic)」困窮と餓死寸前に直面していると発表したガザに、切実に必要とされる援助を届けるためのものだ。

バイデンは、「アメリカ軍が現地に乗り込むことはない(no U.S. boots will be on the ground)」と強調した。その代わり、海上から桟橋を建設する計画があると述べた。

この発表によって、バイデンに対する左派からの政治的圧力が軽減されるかどうかはまだ明確には分からない。

また、バイデンが中東で求めているという停戦(cease-fire)は、今のところ達成されていないという事実とも戦わなければならない。

(4)移民問題での台本大幅変更の試み(An attempt to flip the script on immigration

南部国境を越える大量の移民は、バイデンの政治の命運を大きく左右している。

政策的には、移民問題は一般的に大統領が最も苦手とする2つの問題のうちの1つである。

しかし、バイデンと民主党は、トランプ大統領の反対により、数カ月前から進められていた超党派の国境交渉が決裂したことで、自分たちは政治的な贈り物を手に入れたと考えている。

バイデンは木曜日の一般教書演説の中で、協定に反対した共和党を非難し、協定が成立すれば入国審査官、亡命職員、麻薬探知機の数が増加するだろうと指摘した。

バイデンはまた、この協定が国境警備隊の組合によって承認されたことを強調した。

共和党連邦議員たちが声を荒げて反対すると、バイデンは「事実を見てみるべきだ。あなたが本当は私たちの提案の内容をきちんと分かっていることは知っている」と言い返し、民主党連邦議員たちが喝采を浴びた。

バイデンはその直後、先月ジョージア州アテネで殺害された22歳のレイケン・ライリーの名前を "リンカーン"・ライリーと言い間違えた。ライリー殺害容疑で起訴された男は、アメリカに不法入国していた。

年齢と同様、入国管理もバイデンの責任であり続けるだろう。ライリーの名前の間違いは、彼が木曜日に行おうとしていた主張を台無しにする可能性もある。

(5)共和党の台頭するスターが反対討論でつまずく(GOP rising star stumbles in response

一般教書演説への反対討論を行うことは報われない仕事だ。

通常、反対討論はカメラに向かって1人で行われるため、連邦議事堂の荘厳な雰囲気の中で演説する大統領よりも印象が薄くなるのは自然なことだ。

これまでに誰も見事に反対討論を成功させた者はいない。しかし、ケイティ・ブリット連邦上院議員(アラバマ州選出、共和党)は、木曜日、特に酷い結果に終わった。
katiebritt001

ブリットの発言は、実質的には共和党の標準的な言葉遣いだった。

しかし、彼女の独特で過剰な芝居がかった話し方によって、彼女の反対討論は悪い意味で際立ってしまった。

ブリットはおそらく感情を伝えるつもりだったのだろう。しかし、ソーシャルメディア(SNS)上では、不誠実だとの嘲笑で溢れかえった。

共和党の台頭するスターと見なされていた若手議員にとって手痛い後退となった。

CNNでは、トランプ政権下でホワイトハウスの高官を務めたアリッサ・ファラ・グリフィンも、ブリットのキッチンでこの反応を撮影するという、性差別的なステレオタイプに翻弄されそうな設定に苦言を呈した。

=====

バイデンが2024年への賭けを明確に示す(Biden Starkly Lays Out the Stakes for 2024

-バイデン大統領は、一般教書演説において最も政治的に重要な演説を行った。

マイケル・ハーシュ筆

2024年3月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/03/08/biden-sotu-address-2024-election/

ジョー・バイデン米大統領は木曜夜、記憶に残る最も政治的、そして政治的に重要な一般教書演説の1つを行い、アメリカと全世界にとって来たるべき選挙の賭けを最も厳しい言葉で述べた。

アメリカが戦争の脅威に直接晒されている訳ではないことを考えれば、この演説で最も印象的だったのは、バイデンが演説の冒頭で、アメリカの第二次世界大戦参戦を前にした1941年1月のフランクリン・デラノ・ルーズヴェルト大統領の一般教書演説を引用したことだろう。バイデンはFDRの言葉を引用し、「私は、アメリカの歴史において前例のない瞬間に演説する(I address you in a moment unprecedented in the history of the union)」と述べた。

「今、前例のない瞬間に直面しているのは私たちだ」とバイデンは述べた。そしてバイデンは、彼の名前を挙げることなく、2024年の対立候補となることを確実にしているドナルド・トランプ前大統領を、アドルフ・ヒトラーとナチスの脅威となった役割にたとえた。これだけでは物足りないと思ったのか、バイデンはすぐにトランプと彼の「アメリカを再び偉大に(Make America Great AgainMAGA)」運動を、連邦から脱退した南部連合(the Confederates)と同一視した。

バイデンは、「エイブラハム・リンカーン大統領と南北戦争の時代以降、今日ほど国内で自由と民主政治体制が攻撃に晒されている時期はない。私たちの瞬間が特別になっているのは、自由と民主政治体制が国内外で同時に攻撃に晒されていることだ」と述べた。

言い換えれば、バイデン大統領は、一般的に歴史上最も偉大な2人の米大統領と考えられているフランクリン・D・ルーズヴェルトとエイブラハム・リンカーンが個別に直面した以上に、今日、国家はトランプという更に危険な脅威に直面している、と言っているように受け止められた。バイデンはその後、トランプを繰り返し「前任者(predecessor)」と呼び、何度も何度も非難した。バイデンは、トランプがウクライナ侵攻をめぐってロシアのウラジーミル・プーティン大統領に「ひれ伏し(bowing down)」、国内で政治的暴力を煽り(「自分が勝ったときだけ国を愛することはできない[You can’t love your country only when you win]」とバイデンは言った)、移民は「我が国の血に混じりこんだ毒(poison in the blood of our country)」だと述べ、ファシストのように発言し、蔓延する銃乱射事件には肩をすくめるだけだったと非難した。

バイデンは繰り返し、トランプがもたらす国内と国外の複合的な脅威、つまり、国外では平和が危機に瀕し、国内では民主政治体制が損なわれるというテーマを訴えた。バイデンは次のように述べた。「アメリカが手を引けば、ウクライナが危険に直面する。ヨーロッパも危険に晒される。自由な世界は危険に晒され、私たちに危害を加えようとする他者を活性化することになる。歴史は見ている。3年前の1月6日、暴徒たちがまさにこの連邦議事堂を襲撃し、アメリカの民主政治体制の喉元に短剣を突き立てたとき、歴史がこの事件を目撃していた」。

1つ明らかなことは、バイデンとそのティームは、彼の年齢(81歳)と厳しい支持率を残した経歴に対する連鎖的な疑惑を一気に克服することに熱心であり、事実上わずか8カ月しか残っていない大統領選挙でトランプに対して劣勢に陥っている中で逆転をすることだった。バイデン大統領は、70分近くの演説が終わるまで、再選を目指す上での最大の争点である年齢のために疲れを見せることが予想されたが、明らかにエネルギーの衰えを感じることなく、力強く演説を行った。

バイデンは次のように述べた。「そう見えないかもしれないが、私はこれまでに長く生きてきた。私のような年齢になると、あることがこれまで以上に明確になる。アメリカ国民の皆さん、我が国が直面している問題は、私たちが何歳であるかということではなく、私たちの考え方が何歳であるかということだ。憎しみ、怒り、復讐、報復は、最も古い考え方だ。しかし、私たちを後戻りさせるだけの古い考えでアメリカを導くことはできない」。

バイデンの演説は、大統領選挙での敗北から彼自身を救うことができるだろうか? バイデンの2023年の一般教書演説は絶賛されたにもかかわらず、彼の低い支持率にはあまり影響を与えなかった。しかし、この演説はまったく異なる時点で行われた。スーパーチューズデーでのバイデンの大勝利と、トランプの最後の共和党対抗馬ニッキー・ヘイリーの大統領選挙からの離脱からわずか2日後に行われたこの演説は、アメリカの有権者にとって厳しい現実を問うものでもあった。バイデンがどこにも行かず、8か月後にはトランプが彼の敵となることが初めて明らかになった。この演壇の前に立つ81歳の男性だけが、大惨事とアメリカ民主政体の存続の間に立っていることが多くのアメリカ人の目に明らかになったのだ。

バイデン陣営の明らかな賭けは、サミュエル・ジョンソンの言葉を借りれば、差し迫った絞首刑のように、独裁者志望者の脅迫、それは差し迫った絞首刑のようなもの、が見事に人々の精神を集中させるということだ。突然、人々はもはや30歳も若い、あるいはもっと刺激的な人に投票したいと願うような余裕はない。今はジョーとドナルドだけだ。ほとんどの民主党所属の議員でさえも、バイデン2期目の誕生に興奮していないのは明らかだ。しかし、もしそれしか残されていないのだとしたら、つまり、風邪かガンかという選択なのだとしたら、進むべき道は突然明らかになる。

バイデンが上院議員時代にコミュニケーション・ディレクターとして仕えたノーム・クルツは私たちの取材に対して、Eメールで、「有権者たちはバイデンを全能の神と比べるのではなく、その代替案と比べるべきだというバイデンの繰り返しの主張に、共鳴し始めるだろう」と書いている。

バイデンの演説は、米大統領が存亡のレベルでの賭けを明確にしようとした過去の瞬間を思い出させた。リンカーンは、1862年の一般教書演説で、「私たちが経験している激しい試練は、最新の世代に、名誉を与えるか、不名誉を与えるかで、私たちを照らすだろう」と述べた。あるいは、冷戦の最盛期の1961年1月にジョン・F・ケネディは警告を発し、アメリカは「我が国のように組織され統治されている国家が果たして存続可能であるかどうかが試されなければならないとき、国家的危機と国家的機会」に直面している、というものだった。

しかし、それはまた、トランプ大統領が目覚めさせた新たなアイソレイショニズムの感情を逆手に取りながら、アメリカの伝統的な世界の警官としての役割を回復するという、バイデンが大統領任期中に達成せざるを得ない微妙なバランスの尺度でもあった。数百万のアメリカの有権者たちは「アメリカは世界の中で過度に拡張されていると信じている」が、バイデンは彼らを説得しなければならない。バイデンは国家安全保障政策として、「バイ・アメリカン」新保護主義的アプローチを宣伝した。バイデンは「前任者を含む過去の政権は、バイ・アメリカンに失敗した」と述べ、ウクライナへの601億ドルの支援策を再度推し進めながらも、アメリカ軍はウクライナ戦争に巻き込まれることはないと繰り返した。

バイデンはまた、自身の親イスラエル中東政策をめぐって勃発している、進歩主義派からの反乱を鎮圧しようとした。火曜日には数十万人の有権者たちがバイデンに不満を表明し、木曜日には抗議活動参加者たちが連邦議事堂へ入ろうとする大統領の車列を阻止しようとした。バイデンはガザ沿岸部の桟橋は、包囲されたパレスチナ人に対する「人道支援の量の大幅な増加を可能にする」だろう、と述べた。

ここでも同様に、バイデンは、「アメリカ軍を派遣することはない(No U.S. boots will be on the ground)」と改めて公約した。

バイデンは演説の大半を、より伝統的な一般教書演説の方法で行い、トランプの「古臭い考え」とは対照的な前向きなアジェンダを主張し、有権者たちに彼の最大の功績を思い出させた。その中には、2030年までに炭素排出量を半減させ、クリーンエネルギーの雇用を何万人分も創出するという「世界史上最も重要な気候変動に関する行動」と、「道路や橋、港湾や空港、公共交通システムの近代化」を含む4万6000もの新規プロジェクト、そして複数の銃規制法の新設を含む「超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)」が含まれている。バイデンは、NATO(「世界がかつて見たことのない最強の軍事同盟(the strongest military alliance the world has ever seen)」)の維持について自画自賛し、同盟の新加盟国であるスウェーデンの首相を紹介した。

バイデン大統領はまた、企業の内部留保への増税、大手製薬会社、大手石油会社、役員報酬への税制優遇措置の撤廃を発表し、処方箋薬のコストを劇的に削減する法案に署名したと述べた。また、各種世論調査で共和党に大きな打撃を与えているリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)についてもトランプを厳しく非難し、中絶反対派はアメリカにおける「女性の力について何も分かっていない」と述べた。バイデンは「私はロウ対ウェイド事件を再び国の法律として復活させる」と宣言した。

バイデンを最もイライラさせている問題である経済(世論調査によると、経済成長率は高いにもかかわらず、多くの有権者がトランプの方が経済に強いと信じていることが示されている)について、バイデン大統領は有権者たちが今の経済状況がいかに良好であるかを理解するのは時間の問題だと主張し続けた。バイデンは次のように述べた。「私は瀬戸際にあった(on the brink)経済を受け継いだ。今、私たちの経済は文字通り世界の羨望の的となっている。わずか3年間で1500万件の新規雇用が発生した。これは記録的なことだ。失業率は50年ぶりの低さだ。 給料は上がり続けている。インフレ率は下がり続けている。インフレ率は9%から3%に低下し、世界で最低水準となった」。

そのレトリックは刺激的で、扇動的でさえあり、おそらく少し絶望的だった。しかし、正直に言って、バイデンは決して優れた演説家とは言えないだろう。バイデンの演説は全て、息も詰まるような綱渡りのような緊張感、ろれつが回らなくなる音、時折どもる声、彼がつまずくことなく一文を最後まで言い切ることができるかどうかは誰にも分からないが、木曜日の夜にはそれらが全て存在し、拍手の間に時折咳き込むこともあった。

しかし、バイデン大統領は大きな失言も犯さず、最初から最後まで調子を落とさずに演説を成功させた。バイデンはまた、特に連邦下院共和党がいかに無力で妨害主義的であるかを考慮して、侮辱を叫ぶ共和党連邦議員たちを嘲笑するという昨年の演説の戦術を繰り返したことでも効果的だった。はっきりとは言わなかったが、バイデンは、悪名高い「何もしない(do-nothing)」連邦議会を攻撃するというハリー・S・トルーマン大統領の成功した1948年の戦術を模倣しているようだった。バイデンは共和党主導の連邦下院に対し、長年滞っていた法案、特にウクライナ国家安全保障支援法案の可決を何度も要求した。いずれにせよ、共和党は民主党の「あと4年(four more years)」のシュプレヒコールに何度もかき消され、それがまた全体の出来事に選挙集会のような雰囲気を与えた。

バイデンの一般教書演説は常に、何を言ったかよりも、どのように言ったか、つまり、どのように話し、どのように演壇に上がり、どのようにヤジに反応したかが重要であり、その尺度で彼は成功した。 何よりも、バイデンは、アメリカの有権者たちが最終的に彼の計画が機能していることを理解するようになるだろうと、はっきりと自信を示していた。

バイデン、そしてアメリカ国民にとっての課題とは、バイデンの敵対者、つまり、前大統領トランプである。トランプは現在もまた終末論的な言葉遣いを行っている。2月末のある演説では、トランプ大統領は第二次世界大戦との比較を引き合いに出し、「今回の最大の脅威は国外からのものではない、私はそう信じている。もっと危険なのは国内の人々だ。彼らはとても病んだ人々だ」と述べた。そして、火曜日の夜、14の州での勝利を受けて、トランプ大統領は、バイデンの下でアメリカは「第三世界の国(a third-world country)」に成り下がったと述べた。

業績のデータは明らかにバイデン側を有利にする。 それでもバイデンは、2022年の中間選挙後ほど自信を持てなくなっており、有権者がバイデンの政策を評価するのは時間の問題だという。中間選挙の翌日、バイデンは今後2年間で何を変えるつもりかとの質問に「何も(nothing)」と答え、国の方向性に自信をのぞかせた。

その戦術はうまくいかなかった。 新しい大統領の戦術が効果を発揮するかどうかは分からない。

※マイケル・ハーシュ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。『資本攻勢:ワシントンの賢人たちはいかにしてアメリカの未来をウォール街に委ねたか(Capital Offense: How Washington’s Wise Men Turned America’s Future Over to Wall Street)』と『我たち自身との戦争:なぜアメリカはより良い世界を築くチャンスを無駄にするのか(At War With Ourselves: Why America Is Squandering Its Chance to Build a Better World)』の2冊の著作がある。ツイッターアカウント:@michaelphirsh

(貼り付け終わり)

(終わり)
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。今年実施されるアメリカ大統領選挙についての分析も行いました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 米大統領選挙共和党予備選挙は、ドナルド・トランプ前大統領が4連勝となった。既に有力なライヴァルたちは選挙戦から撤退し、ニッキー・ヘイリー元米国連大使・元サウスカロライナ州知事しか残っていない。先週末、サウスカロライナ州で共和党予備選挙が実施された。結果はトランプの圧勝となった。ヘイリーは地元サウスカロライナ州でも敗北を喫し、選挙戦からの撤退が話題に上がっている。トランプの共和党予備選挙の勝利と大統領選挙本選挙候補者指名が確実視されている。これで、大統領選挙本選挙は、民主党のジョー・バイデン大統領対共和党のドナルド・トランプ前大統領の戦いとなる。
2024southcarolinagopprimaryresults001
2024southcarolinagopprimarypollsresultsgraph001

 共和党の反ポピュリズム勢力・反トランプ勢力の旗頭であるコーク一族は、ヘイリーに資金提供を行ってきたが、サウスカロライナ州共和党予備選挙でのヘイリーの敗北を受けて、資金提供を停止すると発表した。大統領選挙でトランプを止めることは不可能だということを敵であるコーク一族も認めたことになる。
charlesdavidkoch001
左がデイヴィッド・コーク(故人)、右がチャールズ・コーク(コーク系の総帥)

 コーク一族の資金ネットワークは、連邦下院共和党の議員たちで構成する、議員連盟であるフリーダム・コーカスの議員たちの当選と新しい議員たちの当選を目指すことになる。フリーダム・コーカスは日本では親トランプ派とされているが、実態は、コーク一族の資金が入っている反トランプ派である。それなのに、日本で親トランプ派とされているのは、共和党エスタブリッシュメントに反対する姿勢のために、親トランプ派の議員たちが入っているからである。フリーダム・コーカスは反トランプ派・反エスタブリッシュメントである。詳しく知りたい方は、私が翻訳した『アメリカの真の支配者 コーク一族』(講談社)と、拙著『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)をお読みいただきたい。

(貼り付けはじめ)

大統領選挙サウスカロライナ州共和党予備選挙の5つのポイント(Five takeaways from the South Carolina GOP primary

ナイオール・スタンジ筆

2024年2月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/4487698-five-takeaways-from-the-south-carolina-gop-primary/

サウスカロライナ州チャールストン発。土曜日に行われた大統領選挙サウスカロライナ州共和党予備選挙で、ドナルド・トランプ前大統領が対抗馬のニッキー・ヘイリーを打ち負かし、圧勝した。

アメリカ東部標準時の午後7時に投票が締め切られた瞬間、トランプの選挙戦での勝利が決まった。午後10時前に開票率が83%に達した時点で、トランプは、ヘイリーに21ポイントの差をつけて圧勝した。

大統領選挙ミシガン州共和党予備選挙は来週火曜日に行われる。そして、3月5日は10以上の州で投票が行われるスーパーチューズデーとなる。

サウスカロライナ州での予備選挙についてこれから5つのポイントを挙げていく。

(1)トランプは地滑り的な勝利によって、候補者指名への最終経路に入った(Trump’s landslide puts him on a glide path to nomination

よほどの重大な出来事が起きない限り、トランプが2024年大統領選挙の共和党の指名候補となるのは間違いのないところだ。

トランプ前大統領はこれまでのところ、予備選挙が4州で行われ、4連勝している。サウスカロライナ州では、ヘイリーが知事として2度当選した実績があったが、トランプはヘイリーを叩きのめした。

コロンビアで行われたトランプの勝利演説では、サウスカロライナ州の共和党エスタブリッシュメントがどの程度トランプの後ろ盾になっているかが明らかになった。ティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)とリンジー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、ヘンリー・マクマスター州知事(共和党)と一緒に壇上に立ち、トランプに代わって短いスピーチを行った。

チャールストンでは、ヘイリーがたった一人で壇上に立ち、少数の聴衆を前に演説した。

ヘイリーは、トランプは11月の大統領本選挙では当選不可能だと訴え続けている。しかし、彼女の主張が共和党の有権者の支持を得られると信じる根拠はない。

これは必ずしも前サウスカロライナ州知事ヘイリーの失敗ではなく、単に共和党の支持層が依然としてトランプに熱狂していることを反映している。

これまでのところ、どの州でもトランプ前大統領はライヴァルたちに得票率で二桁の差をつけて圧勝している。

候補者指名争いは、掛け声を除けば全て終わっている。

(2)ヘイリーは選挙戦から撤退しない(Haley isn’t quitting

数週間前、ヘイリーがサウスカロライナ州予備選挙を前に選挙戦から撤退するかどうか、疑問を持たれていた。

この当時、トランプの支持者たちは、ヘイリーが惨敗すれば、彼女は選挙戦を止めることになるだろうと予測していた。

しかし、この予測通りにはならなかった。

選挙後のサウスカロライナ州でのヘイリーの演説は、少なくともスーパーチューズデーまでは戦い続けるという断固とした宣言に等しかった。

彼女は、これまでに有権者たちに示してきた約束について言及し、「私は約束を守る女性」と述べた時、その夜最大の歓声を受けた。

彼女の主張の根拠は、多くのアメリカ人がバイデン大統領とトランプ氏の対決に興味を持てない状況にある中で、「この戦いをあきらめない(not going to give up this fight)」というものだ。

ヘイリーは語気と言葉を強め、このような激しい選挙戦は、「アメリカが分裂するだろう」結果をもたらすだろうと示唆した。

前知事ヘイリーは1月に、これまでで最高の献金額を記録したが、選挙戦を継続するための資金を持っている。そして、彼女には熱烈な支持者もいるが、その数はトランプ大統領の指名獲得への影響を与えるほどではない。

サウスカロライナ州での支持者の一人、ネル・パーカーは、ヘイリーは「明かりを灯し続ける資金がある限り選挙戦に留まるべきだ」と本誌の取材に語った。

(3)共和党は現在MAGAMake America Great Again)の政党になっている(The GOP is now the MAGA Party

トランプが共和党内を支配していることを示すのは、トランプのライヴァルたちにつけた票差だけではない。

サウスカロライナ州の共和党有権者のほとんどが、トランプの世界観全体を共有しているということだ。

AP通信の有権者調査「ヴォートキャスト」は、少なくとも初期の結果では、サウスカロライナ州の共和党有権者の約10人に6人が、アメリカのウクライナに対する援助継続に反対していることを示した。これはヘイリーにとって悪いニューズであり、軍事的伝統の強い州においては印象的な結果となった。

この調査によると、サウスカロライナ州の共和党有権者の約10人に7人が、トランプの行動に関する各種の捜査はトランプを弱体化させようとするものだというトランプの主張を受け入れている。

これらの数字を考慮すると、ここにいる共和党員の約10人中6人が自分たちを「アメリカを再び偉大に(MAGA)」 運動の支持者だと考えるのも不思議ではない。

共和党は良い意味でも悪い意味でも、今やトランプの党となっているのだ。

(4)トランプの暴言は本選挙への危険信号となる(Trump’s rhetoric still raises red flags for the general election

共和党のサウスカロライナ州予備選挙で大差をつけたにもかかわらず、11月の本選挙におけるトランプの当選可能性に関する疑問は消えない。

それは、トランプが直面している91件の刑事告発のせいだけではない。それはまた、彼が炎上させる性質(propensity to inflame)を持っているからでもある。

トランプはサウスカロライナ州での予備選挙前夜、金曜日に開催されたアフリカ系アメリカ人保守連合の年次総会で演説した際に、その傾向を再び示した。

トランプは、アフリカ系アメリカ人が自分の警察に捕まった際に撮影される顔写真(mugshot)を「受け入れてくれた」と述べた。これは、犯罪率の高いアフリカ系アメリカ人の有権者たちが、自分が起訴されたことについて共感を持ってくれるだろうということを、不器用に示唆しようとした発言だった。

トランプ前大統領は次のように述べた。「私は何の理由もなく、何でもないことで起訴された。そして多くの人が、だからこそアフリカ系アメリカ人の皆さんが私のことを好きなのだと言ってくれている。アフリカ系アメリカ人の皆さんはひどく傷つけられ、差別されてきたからこそ、私に共感してくれる。実際、アフリカ系アメリカ人の皆さんは私を差別されているように見ている。とても素晴らしいことだが、そこに何かがあるかもしれない」。

翌朝、ヘイリーはサウスカロライナ州キアワアイランドで予備選挙の投票を行った後、トランプによるこれらの発言を非難した。

ヘイリーは「これはドナルド・トランプがテレプロンプターを外したときに起こること、本当にうんざりしてしまう。これがドナルド・トランプが引き起こす混乱というものだ。これが、本選挙の日まで毎日やってくる不快感の原因だ」と述べた。

もちろん、更に別の論争が起きることになっても、トランプに固執している支持者が離れていくことはないだろう。しかし、彼の暴言(よく言えば無礼)は、説得されやすい有権者たちを獲得するチャンスを妨げている。

民主党がよく指摘するように、トランプは2016年と2020年の2度の本選挙で得票総数で敗れている。

(5)ヘイリーの攻撃は共和党支持層を超えてトランプの妨げになる可能性がある(Haley’s attacks could hinder Trump beyond the GOP base

ヘイリーの攻撃はトランプの共和党候補指名獲得への前進を妨げるものではないが、穏健派の共感を呼び、民主党が11月にトランプ前大統領に対して主張を展開して支持を集めるのに役立つ可能性がある。

土曜日の演説でヘイリーは、トランプが政敵たちを「人間のくず(vermin)」という言葉で表現することに異議を唱えた。

サウスカロライナ州での予備選挙までの数日間、ヘイリーはトランプが本選挙で勝つことはできないと述べ、最近のNATOに関する発言で彼がロシアのプーティン大統領に「味方(sided)」していると非難し、トランプをナルシストと評し、軍服を着たことがないと嘲笑した。

トランプ大統領の盟友たちは、ヘイリーがこの種の発言で、トランプに対して損害を与える可能性があるため、ヘイリーの選挙戦からの撤退を望んでいる。ナンシー・メイス下院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、金曜日、サウスカロライナ州ロックヒルでのトランプの集会で本誌の取材に応じた際、この主張を展開した。

しかし、トランプ前大統領は、ヘイリーが自分よりも得票するという脅威の可能性を打ち砕いた。

しかし、民主党の攻撃広告の絶好の材料となるであろうヘイリーの言葉は、11月の大統領選挙本選挙に向けて、まだまだトランプを苦しめる可能性がある。

=====

●「米富豪コーク氏団体、ヘイリー氏の支援停止 米報道」

2024年2月26日 日経新聞 

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78750410W4A220C2EAF000/

【ワシントン=中村亮】米富豪チャールズ・コーク氏の政治団体は、11月の大統領選に向けた共和党の候補指名争いでニッキー・ヘイリー元国連大使の支援を停止する。米ポリティコが25日に報じた。ヘイリー氏への撤退圧力になる。

保守系政治団体「繁栄のための米国民アクション」の首脳が25日、スタッフに宛てたメールでヘイリー氏支援のために資金を使うのをやめると伝えた。

「外部グループが彼女の勝利に向けた道を広げるために大きな貢献をできると思わない」と記した。代わりに11月に大統領選と同時実施の上院選や下院選に資金を振り向けるという。コーク氏の政治団体による動きは、ヘイリー氏の選挙資金が細る予兆となる可能性がある。資金集めが行き詰まると、指名争いから撤退を余儀なくされる公算が大きい。ヘイリー氏は24日、地元である南部サウスカロライナ州の予備選でトランプ前大統領に敗れた。前大統領が1月の中西部アイオワ州の党員集会から5連勝を果たし、ヘイリー氏は反転攻勢の糸口をつかめていない。

米メディアによるとヘイリー氏の選挙陣営は25日、最近24時間で100万ドル(約15000万円)以上の資金を集めたと明らかにした。敗北が続いても、資金集めの勢いが衰えていないとアピールする狙いがある。

ヘイリー氏は25日、中西部ミシガン州で支持者集会を開く。同州では27日に予備選を予定する。16州・地域が予備選を一斉に開く35日のスーパーチューズデーが指名争いの大きな山場になる。

(貼り付け終わり)

(終わり)
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカの外交政策についても詳しく分析しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2024年11月にアメリカ大統領選挙が実施される。現段階で、民主党は現職のジョー・バイデン大統領、共和党はドナルド・トランプ前大統領がそれぞれ、候補者に指名されることが確実視されており、2020年に続いて、バイデン対トランプの構図になる。各種世論調査を見てみると、両者の対決は接戦で、ややトランプ有利となっている。トランプが大統領に返り咲く場合、もしくはバイデンが大統領として二期目を迎える場合、どちらになっても、アメリカの外交政策は大きく変わらないというのが、今回下にご紹介している、ハーヴァード大学教授スティーヴン・M・ウォルトの主張だ。

 アメリカにとって重要な外交政策の対象は、ウクライナ、中東、そして中国だ。トランプ前大統領はウクライナ戦争勃発後からウクライナへの支援に反対し、即時の停戦を行うようにロシアに働きかけるべきだ、自分にはそれができると主張している。ウクライナ、ロシア療法に圧力をかけてでも停戦すべきだと述べている。バイデン政権はウクライナ支援を行ってきたが、ウクライナ戦争の状況を好転させるまでには至らず、アメリカ国内での共和党の反対によって、ウクライナ支援を継続できない状況にある。結果として、停戦に向かうしかないという状況だ。

 中東に関しては、バイデン政権は、サウジアラビアに対して宥和的な姿勢を示しているが、サウジアラビアはバイデン政権との関係修復を望んでいない。アメリカはサウジアラビアとイスラエルとの間の国境正常化を行おうとしたが、その試みはとん挫している。対イスラエルに関しては、バイデン政権は、イスラエルの過剰な攻撃を止めるに至っていない。トランプも恐らく、イスラエルを止めることはできないし、まず、止めることはしないだろう。

 中国に関しては、トランプもバイデンも強力な競争相手として、敵対的に見ている。中国と対峙するために、アジア地域の同盟諸国に対して、負担の増加を求めており、それについて、同盟諸国は嫌気が差しながら、しぶしぶ従っている状況だ。

 バイデン政権の方が、トランプ政権に比べて、より理想主義的な外交を行うと見られていたし、公約でもそのようなものが多かった。しかし、現実としてはうまくいっていない。それは、アメリカの力が減退している中で、それに気づいている国々がアメリカに従わなくなっているからだ。世界の構造は大きく変化しつつある。そうした中で、アメリカにできることの範囲はどんどんと狭まっている。

(貼り付けはじめ)

トランプが再び大統領に就任してもアメリカの外交政策は大きく変わらないだろう(Another Trump Presidency Won’t Much Change U.S. Foreign Policy

-世界の恐怖はほとんどが誇張されているに過ぎない。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年1月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/01/22/another-trump-presidency-wont-much-change-u-s-foreign-policy/

不測の事態が起きない限り、2024年の米大統領選は現職のジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領の再戦となる。アメリカ国民の多くは、どちらも出馬しない方が幸せだと考えているが、2024年11月に直面するのはそのような選択ではないだろう。この選挙は既に、アメリカの民主政治体制と世界に対するアプローチに広範囲な影響を及ぼす、画期的な出来事として位置づけられている。

第一の問題、つまり国内で起こりそうな結果については、選択肢は明確だ。トランプは有罪判決を受けた詐欺師であり、性的虐待者であり、前任の大統領時代には無能な最高責任者であった。民主政治体制の原則と法の支配に対する彼の関与は存在せず、彼と共和党は2期目も、権力を、政敵を罰するために利用し、アメリカを事実上の独裁政治に向かわせるつもりであることが懸念される。女性の権利は更に縮小され、気候変動を食い止める努力は放棄され、裕福なアメリカ人や企業は、より広範な社会的・政治的影響をほとんど考慮することなく、自分たちの利己的な利益を自由に追求するようになるだろう。あなたがバイデンや彼の政策をどう思おうとも、彼がそのようなことをする可能性はない。私にとっては、それだけでトランプに反対票を投じる十分な理由ということになる。

しかし、外交政策に目を向けると、その違いはそれほど顕著ではない。現在、多くの人々がトランプ大統領の2期目がアメリカの外交政策に劇的な影響を及ぼすのではないかと懸念しているが、その違いは皆さんが思っているほど大きくはないだろう。トランプは1期目と同じように、不安定で、気まぐれで、粗野で、特にNATOの同盟諸国に対して対立的な態度をとるだろう。しかし、他の点では、トランプ大統領の2期目は、バイデンが更に4年間の任期で大統領を務めた場合とそれほど変わらないかもしれない。このことを理解するためには、現在の外交政策で間違いなく最も重要な3つの議題について、それぞれの人物がどのように対処する可能性があるかを考えてみればよい。ウクライナ、中国、中東である。

●ウクライナ(Ukraine

共和党の一部議員の反対や、キエフが戦争に勝利したり、失った領土を回復したりする能力について悲観的な見方が強まっているにもかかわらず、戦争が始まって以来、バイデン政権はウクライナに全面的に関与してきた。ウクライナ人とその西側の支持者たちは、トランプ大統領がアメリカの支援を打ち切り、ウクライナをヨーロッパからの援助に頼り、ロシア軍のなすがままにするのではないかと心配している。トランプは得意な大げささで、戦争を「1日で(in one day)」解決できると自慢し、ウクライナの勝利を望んでいるのかと聞かれると、言葉を濁した。従って、トランプ当選でアメリカの政策が大きく変わると多くの人々は思うかもしれない。

しかし、バイデンがもう1期当選すれば、たとえ追求の方法が違っても、同じような道をたどる可能性が高いのだ。戦争の潮流は2023年にウクライナに有利に傾き、これまで、ウクライナの支持者たちはウクライナの運命を逆転させ、ロシアが不法に征服し併合した領土を解放するための楽観的な計画を考え続けているが、彼らの希望はほぼ間違いなく幻想であり、米国防総省はおそらくそのことを分かっている。バイデンと彼のティームは選挙前にこのことを認めるつもりはないだろう。なぜなら、そうなればこれまでの戦争への対応に疑問符がつくからだ。しかし、もし大統領に再選されれば、キエフにもっと現実的な目標を採用し、和解に向かうよう圧力をかけるだろう。

私は、バイデンなら慎重なやり方でウクライナへ圧力をかけ、キエフが可能な限り最良の取引を行う手助けをしようとすると信じている。これとは対照的に、トランプ大統領はおそらく、北朝鮮の金正恩委員長との素人同士の仲良しな態度(amateurish bromance)で見せたような外交的手腕を発揮し(つまり、何もしない)、ウクライナとはさっさと手を切って逃げようとするだろう。しかし、より大きなポイントは、トランプ政権になっても、バイデン政権が続いても、2025年1月以降の戦争終結を交渉しようとするだろうということであり、その結果得られる合意は、キエフの戦争目的よりもロシアの戦争目的にかなり近いものになる可能性が高いということだ。

●中国(China

トランプはその最初の任期中、それまでの対中経済関与政策を決定的に変更し、米国経済に打撃を与え、是正されるはずだった二国間の貿易赤字にはほとんど何の効果もない、お粗末な貿易戦争(trade war)を開始した。バイデンはこのアプローチを改め、更に強化し、先端技術のいくつかの主要分野をマスターしようとする中国の努力を阻害することを意図して、ますます厳しい輸出規制を課した。あからさまな保護主義(protectionism)を拒否した、ある政権高官は、このアプローチを国家安全保障上の懸念に焦点を絞ったもの(つまり「高いフェンス(high fence)」のある「小さな庭(small yard)」)だと擁護した。しかし、庭の大きさはどんどん大きくなっており、中国に対するより対決的なアプローチは、超党派の強いコンセンサスを得ている数少ない問題の1つである。

このため、2024年11月にどのような結果が出ようとも、アメリカの対中政策は大きく変わることはないだろう。バイデン政権とトランプ前政権の公式声明は、中国をアメリカの世界的優位に対する主要な挑戦者の1つと見なしており、その見方は、どちらかと言えば、今日より顕著になっている。トランプは、アメリカの保護に過度に依存していると繰り返し非難している、アメリカのアジアの同盟諸国に対して、やや対立的な態度を取るかもしれないが、北京に本気で立ち向かうつもりなら、アジアの同盟諸国を見捨てることはできない。

結論は次の通りだ。中国との関係に関しては、バイデンもトランプも2期目には同じ合唱曲の歌詞を歌うことになるだろう。

●中東(The Middle East

アメリカの中東政策が大混乱に陥っていることを考えれば、バイデンもトランプも2025年には軌道修正を図りたいと考えるかもしれない。悲しいことに、どちらが大統領になっても将来、過去と異なる行動を取ることを期待する理由はない。実際、最も印象的なのは、この不安定な地域に対処する際、このまったく異なる2人の大統領がいかに似たような行動をとってきたかということである。

トランプは大統領として、イランの核開発に上限を設けていた核合意を破棄し、在イスラエル米大使館をエルサレムに移転し、ワシントンのパレスティナ問題担当領事事務所を閉鎖した。彼はまた、熱狂的にイスラエルの入植者たちを支持する弁護士を駐イスラエル大使に任命した。彼の和平計画は、二国家解決(two-state solution)というアメリカの長年の目標を嘲笑するものであり、一方で素人外交官(そして娘婿)であるジャレッド・クシュナーのアラブ・イスラエル国交正常化計画を後押しするものだった。その結果、アブラハム協定(Abraham Accords)は、イスラエルとバーレーン、モロッコ、アラブ首長国連邦、スーダン(後者は現在内戦状態にある)との間に外交関係を樹立したが、ヨルダン川西岸とガザ地区でイスラエルの過酷な支配下に暮らす500万人のパレスティナ人の苦境には何も対処しなかった。

この状況を引き継いだバイデンは何をしたのか? 彼は事態を悪化させた。イランとの核合意に復帰することを選挙公約に掲げていたにもかかわらず、イランの選挙で強硬派が政権を握り、共同包括行動計画への復帰がさらに困難になるまで、彼は逡巡した。結果は次の通りだ。イランは今、かつてないほど核爆弾所有に近づいている。バイデンとアントニー・ブリンケン米国務長官はパレスティナ人について、トランプと同じように扱い、在エルサレム米総領事館の再開を遅らせ、和平プロセスの再開にはほとんど力を注がなく、ヨルダン川西岸で増加するイスラエル人入植者たちによる暴力行為には目をつぶった。入植者たちの行為は、イスラエル史上最も極右的な政府によって公然と支持されていないが、容認されてきた。

トランプと同様、バイデンとブリンケンはサウジアラビアの機嫌を取ることに集中し、亡命ジャーナリストのジャマル・カショギ殺害に関与したサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子を「不可触民(pariah)」として扱うというバイデンの選挙公約を完全に覆した。共和党政権と民主党政権にまたがって存在感を示すブレット・マクガーク(Brett McGurk、1973年-)の指導の下、アメリカは昨年、イスラエルとの国交正常化と引き換えにサウジアラビアに安全保障(およびその他の特典)を与える取引を完了させようとしていた。マクガークは、おそらく近年の米国政策で最も影響力のある唯一の設計者である。パレスティナ問題はまたしても脇に追いやられ、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官は昨年秋、中東は「ここ数十年来で最も静かだ(quieter than it has been for decades)」と自画自賛した。

トランプに始まり、バイデンが続けたこれらの誤りは、世界中で見られる、逆噴射を引き起こした。2023年10月7日、ハマスの戦闘員たちはガザの野外刑務所を脱獄し、イスラエルの国境地帯に残忍な攻撃を仕掛けた。イスラエルの市民に対する彼らの不可抗力とも言える残忍な攻撃は重大な犯罪であったが、イスラエルの獰猛で不釣り合いな、そして間違いなく大量虐殺的な対応は、イスラエルのイメージ、アメリカの評判、そして世界の良心に対する、更に深刻な汚点である。

かつてブリンケン国務長官が「人権をアメリカの外交政策の中心に据える」と述べたアメリカは、この外交的・人道的大惨事にどう対応したのだろうか? ガザで既に2万3000人以上のパレスティナ人を殺戮したイスラエルに、何十億ドルもの軍事援助を急ぎ提供し(その過程でアメリカの法律を迂回したと報じられている)、停戦を求める国連安全保障理事会決議(U.N. Security Council resolutions)に何度も拒否権を行使し(vetoing)、イスラエルの大量虐殺を非難する南アフリカの国際司法裁判所への広範な文書による申請を「メリットがない(meritless)」として却下した。アメリカ政府高官はイスラエルに行動を慎むよう求めたと伝えられているが、アメリカの支援を縮小すると脅した訳ではない。予想通り、ベンヤミン・ネタニヤフ政権はアメリカの要請を無視してきた。

今年、誰が選挙で勝とうとも、何かが変わると期待する理由はない。バイデンもブリンケンも自称シオニストであり、どちらもイスラエルに軌道修正を迫るような意味のある圧力をかけることはないだろう。トランプはどちらの側にもあまり関心がないように見えたが、アメリカにおける政治的影響力のバランスを理解しており、彼の反イスラム偏重(anti-Muslim bias)はよく知られている。バイデンの2期目には、ある種の和平プロセス(peace process)を復活させる試みが見られるかもしれないが、それがアメリカのこれまでの努力以上のことを成し遂げられると騙されるべきではない。結局のところ、バラク・オバマ前大統領の二国家解決への努力を台無しにしたと言われるバイデンが、もう1期務めたとしても、二国家解決を達成する可能性はないだろう。トランプ大統領は、義理の息子であるジャレッド・クシュナーと同じように、資金の流れに従う可能性が高い。ウクライナや中国と同様、アプローチの類似性は、世界観や外交スタイルの違いを凌駕している。

明らかにしておきたいが、私は今回の選挙がアメリカの外交政策に難の影響も及ぼさないと言っているのではない。例えば、トランプが大統領になれば、アメリカをNATOから脱退させようとするかもしれないが、そのような動きは間違いなく外交・防衛政策当局からの多大な抵抗に直面するだろう。トランプは主に国内の課題、そして長引く法的問題に焦点を当てる可能性があり、その場合、既に限定されている外交問題への関心がより減ることになり、現状を強化する傾向があるだろう。トランプはその1期目で外交政策の人材の見極めが不十分であった(そして前例のない離職率を引き起こした)ため、その傾向がアメリカの政策実行を妨げ、外国政府がさらなるリスク回避につながる可能性がある。バイデン2とトランプ2の間には微妙な違いがあるだろうが、私は根本的な変革が起きる方には賭けない。

全体として、次の選挙は外交政策の重要な問題よりもアメリカの国内政治にはるかに大きな影響を与えるだろう。冒頭で述べたように、国内での利害は十分に大きく、明確であり、十分な懸念が存在するため、投票方法を決めるのにそれほど問題はないだろう。私は民主政治体制下での生活が好きなので、2024年11月には主要州で過半数の有権者が私の考えに同意してくれることを願うばかりである。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』コラムニスト、ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:

@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治、アメリカ大統領選挙に関して詳しく分析しています。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 1月の最終週に地元鹿児島に戻っておりました。家族の用事でバタバタしておりました。ブログの更新が滞りまして、申し訳ございません。今回からまた精進してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 アメリカ大統領選挙は今年11月に投開票が実施される。それに向けて、まず民主、共和両党の候補者を決める予備選挙が実施される。民主党は現職大統領であるジョー・バイデンが二期目を目指すと表明した時点で、事実上、候補者に内定している。共和党側では、ドナルド・トランプ前大統領が立候補を表明して以来、最有力候補となっており、複数名の政治家たちが出馬したが既に多くが撤退を余儀なくされている。現在でも選挙戦に踏みとどまっているのは、元サウスカロライナ州知事で米国連大使を務めたニッキー・ヘイリーだ。
2024uspresidentialelectiongopnewhampshireprimarypollsgraph001

 アイオワ州に続いて、ニューハンプシャー州で予備選挙が実施された。選挙の形式は、アイオワ州の党員集会とは異なり、普通の選挙と同じで、予備選挙と呼ばれる形式だった。

 ヘイリーはニューハンプシャー州にお金と時間を投入し、トランプをかなり追い上げた。事前の世論調査で数ポイント差まで追い上げたが、結果としては敗戦となった。ヘイリーは、地元サウスカロライナ州での支持率は低迷しており、一応、地元のサウスカロライナ州での予備選挙まで選挙戦を続け、地元で撤退宣言を行うだろうと私は見ている。これで、共和党予備選挙は事実上の終戦となり、トランプが大統領選挙の候補者に内定する。
2024uspresidentialelectionnewhampshiregopprimaryresults001

 これで、共和党のトランプと民主党のバイデンという2020年と同じ構図での大統領選挙本選挙ということになる。現在のところ、各種世論調査では、トランプが1ポイント、2ポイントで、バイデンをリードしている展開だが、これからバイデン陣営がどのような奇手を繰り出してくるか分からない。既に「トランプには大統領選挙に立候補する資格はない」という訴えを起こしての法廷闘争が起きている。この他にもメディアを使ってのネガティヴキャンペーンも行われるだろう。バイデンは、現職大統領の強みで、外交上の大きな成果を挙げてアピールすることも考えられる。ウクライナ戦争やパレスティナ紛争での大きな動きがあれば、バイデンの支持率も上がるだろうから、それを狙ってくるだろう。

 今回の大統領選挙でトランプ、バイデンのどちらが勝者となっても、アメリカ国内の分断が深まり、アメリカの統一が危ぶまれる事態が発生することも十分に考えられる。

(貼り付けはじめ)

トランプがニューハンプシャー州で勝利し、ヘイリーに打撃を与える(Trump wins New Hampshire in blow to Haley

キャロライン・ヴァキール筆

2024年1月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4424478-donald-trump-wins-new-hampshire-gop-primary-nikki-haley/

ディシジョンデスクHQによると、米大統領ニューハンプシャー州共和党予備選挙で、ドナルド・トランプ前大統領が勝利を収めることが確実となった。主要なライヴァルであるニッキー・ヘイリーに対する大きな一撃となり、トランプが共和党の大統領選挙候補者指名を確実とすることにまた一歩近づいた。

ニューハンプシャー州でのトランプの勝利はヘイリーに特にダメージを与えることになる。それは、ヘイリーがニューハンプシャー州に彼女の持つ時間と資源のほとんどを投入してきて、更に同州で人気の高い知事クリス・スヌヌ(共和党)の支持を得ていたからだ。ある時点では、支持率において、ヘイリーはトランプに数ポイント差に迫っていた。

元米国連大使のヘイリーは、アイオワ州共和党党員集会において、彼女のライヴァルだったフロリダ州知事ロン・デサンティスの後塵を拝し、3位となった。予備選挙形式で最初に行われるニューハンプシャー州共和党予備選挙をわずか数日後に控えた時点で、デサンティスは選挙戦からの撤退を決めた。撤退を宣言する演説の中で、デサンティスはトランプ支持を表明した。そうした状況下、ヘイリーは結果として、最後まで残った、トランプに対する主要な挑戦者ということになった。

しかし、ここ数日の各種世論調査の結果を見ると、ヘイリーがトランプを追い落とすのはかなりの困難な道のりであることが明らかになっていた。ディシジョンデスクHQと本誌の集計した、ニューハンプシャー州での各種世論調査の平均では、トランプの支持率が51%に対して、ヘイリーは37%となっていた。

トランプはまた、かつてのライヴァルたちが彼の周りに結集したことで、上機嫌となった。アイオワ州党員集会の直前、ノースダコタ州知事ダグ・バーガム(共和党)はトランプを支持した。ティム・スコット連邦上院議員(共和党)とバイオテクノロジー起業家のヴィヴェック・ラマスワミも、ニューハンプシャー州共和党予備選の前にトランプ支持を表明した。

ヘイリーはウィル・ハード元連邦下院議員(テキサス州選出)やアサ・ハッチンソン元アーカンソー州知事(共和党)など、予備選挙から撤退した、数名の支持を得たのみだった。

ニューハンプシャー州でのトランプ氏の勝利は、ヘイリー氏が地元サウスカロライナ州に向けて予備選の戦いを続けるかどうかという問題を提起している。アイオワ州とニューハンプシャー州の両州での勝利は、共和党内におけるトランプの優位性を強調するものであり、次の予備選挙は、ヘイリーにとって逃げ道を提供するものだ。

しかし、ヘイリー選対は、ニューハンプシャー州予備選の前に、サウスカロライナ州で戦うことを示唆していた。アドインパクトは月曜日にヘイリー陣営がサウスカロライナ州で木曜日から始まる広告の予約を入れたと報じている。

=====

ニューハンプシャー州予備選挙の5つのポイント(5 takeaways from the New Hampshire primary

キャロライン・ヴァキール、ジュリア・ムラー筆

2024年1月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4425725-5-takeaways-from-the-new-hampshire-primary/

ドナルド・トランプ前大統領は、アイオワ州の重要な党員集会で勝利したわずか1週間後の火曜日、全国初の予備選挙形式のニューハンプシャー州予備選でニッキー・ヘイリーを破って勝利を収めた。

ヘイリーは、前回のアイオワ州での成績からニューハンプシャー州でのトランプとの差を縮めたが、それでも、この記事の発表時点で、ディシジョンデスクHQが発表したように、トランプが約10ポイント差で勝利した。

共和党予備選挙は現在、2人の有力候補の直接対決となっており、先行するトランプが共和党の大統領選挙候補者指名を獲得するのはほぼ確実だ。

一方、ジョー・バイデン大統領はニューハンプシャー州の民主党予備選で追加候補者として、自党の挑戦者を破って勝利を収めた。

これからニューハンプシャー州予備選挙の5つのポイントを挙げていく。

(1)トランプが共和党大統領選挙候補としてほぼ確実な地位を固める(Trump cements status as almost certain GOP nominee

ニューハンプシャー州でのトランプの勝利は、同州での最後の投票が終了した午後8時(米国東部標準時)に即座に予想されたもので、トランプが共和党大統領選挙候補になることがほぼ確実となった。

共和党員たちのほとんどは、このニューハンプシャー州でトランプが勝利すると予想しており、得票率で二桁の大差を予想する者さえいたが、ヘイリーが無党派層に強いことから、火曜日に向けて、この対決がどの程度の接戦になるのか注目されていた。

ディシジョンデスクHQとザ・ヒルがまとめたニューハンプシャー州の各種世論調査の平均では、トランプが51%、ヘイリーが37%だった。トランプは先週のアイオワ州党員集会で30ポイント差の圧勝を収め、フロリダ州知事ロン・デサンティスとバイオテクノロジー起業家のヴィヴェック・ラマスワミが選挙戦から脱落し、トランプ前大統領を支持することになった。

2023年11月に大統領選挙運動を断念したティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)も、ニューハンプシャー州予備選投開票日までの数日間、トランプを支持し活動した。

しかし、トランプ懐疑派や穏健派の共和党支持者たちがどの候補者を支持するのか疑問があったが、ニューハンプシャー州でトランプが勝利した後、これらの多くがトランプを支持すると明言した。

ミッチ・マコーネル連邦上院少数党院内総務率いる連邦上院共和党の幹部メンバーであるジョン・コーニン連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)はXに「もう十分だ。バイデンに勝つためには、共和党は1人の候補者を中心に据えて団結する必要があり、トランプ大統領が共和党有権者の選択であることは明らかだ」と書いた。

コーニン議員は更に「バイデンが引き起こした国境危機や記録的な高インフレのような失敗した国内政策や、敵対勢力を増長させ世界をより危険な場所にした失敗した外交政策を、あと4年も続くことがないように阻止しなければならない」と書いた。

(2)バイデンが予備選挑戦者たちを一蹴(Biden brushes off primary challengers

ジョー・バイデン大統領は火曜日にニューハンプシャー州予備選挙に出馬しなかったにもかかわらず(選挙の投票用紙に名前が掲載されない)、名前を書きこまねばならない候補(write-in candidate)となりながら、挑戦者たちを圧倒し、勝利すると草々に予想が出た。

ニューハンプシャー州民主党は、共和党の予備選と同じ火曜日に予備選を実施することで、ニューハンプシャー州を全米最初の予備選開催州の座から追い出そうとした民主党全国委員会(Democratic National CommitteeDNC)の計画に反発し、バイデンの名前は投票用紙から外された。

バイデンは民主党全国委員会の規則に従う義務があり、民主党の予備選挙選挙戦への立候補をしないことを選択した。そして民主党は、火曜日のニューハンプシャー州での選挙戦は今年後半に実施予定の全国大会に出席する代議員には何の影響もないと述べた。

しかし、ニューハンプシャー州のバイデン支持者たちは、とにかく現職大統領であるバイデンを勝利に導こうとして、名前を書き込もうキャンペーンを開始し、予備選挙序盤の重要な州でバイデンを押し上げることの重要性を強調した。

ディシジョンデスクHQによると、共和党の予備選挙では共和党のトップランナーであるトランプが勝利した。バイデン大統領は民主党候補のマリアンヌ・ウィリアムソンとディーン・フィリップス連邦下院議員(ミネソタ州選出、民主党)を打ち負かすと予測されていた。

バイデン大統領の書き込み作戦が功を奏しての予備選挙勝利は、バイデンの支持率が低迷する中で、民主党のライヴァルたちに対して、二期目を目指す戦いを続ける中で、党支持層の間でのバイデンの力強さを反映したものだ。

予備選挙での勝利予測が出た後、バイデン陣営は「2024年11月の大統領選挙投開票に向けて取り組んでいるが、今日ますます明らかになっていることが1つある。それはドナルド・トランプが大統領選挙本選挙での共和党候補となるだろうが、彼に真っ向から向かい、投票所でこれまでに自分に勝った唯一の人物である、ジョー・バイデンと対戦することになるということだ」と述べた。

(3)ヘイリーには一撃を加えられた(Haley dealt a blow

火曜日はトランプにとって良い夜になったが、ヘイリーにとっては、選挙戦に踏みとどまっている、最後の主要なトランプのライヴァル候補として、無党派層と共和党員の両方に働きかけようとしていたため、ニューハンプシャー州で打撃を受けた。

ニューハンプシャー州は、登録をしていない有権者が共和党予備選に投票できることから、ヘイリーが序盤の指名争いで好成績を収める絶好のチャンスを提供していた。しかし、ここ数週間の世論調査では、ヘイリーがトランプを数ポイントの差で引き離しているとの見方もあったが、結局、無党派と共和党支持者の両方を十分に納得させ、ヘイリーの選挙戦に結集させることはできなかった。

ヘイリーは、4期目を務めている、人気の高いニューハンプシャー州のクリス・スヌヌ知事(共和党)の支持を得たにもかかわらず、惨敗してしまった。

それでも、ヘイリー候補は、火曜日夕方の支持者向け演説で、予備選の全結果がまだ集計されていないにもかかわらず、「次は私の愛するサウスカロライナ州だ」と述べた。また、共和党大統領予備選から脱落するつもりはないだろうと予想されている。

しかし、ニューハンプシャー州での敗北は、トランプとヘイリーが来月のサウスカロライナ州での共和党予備選に備える中で、彼女の実行力に新たな疑問を投げかけている。世論調査では、元国連大使ヘイリーは地元でトランプから大きく引き離されている。

ディシジョンデスクHQと本誌がまとめたサウスカロライナ州における世論調査の支持率の平均では、トランプが61%、ヘイリーが27%となっている。

(4)トランプの勝利は共和党内部の分裂を浮き彫りに(Trump win highlights divide in GOP

ニューハンプシャー州でのトランプの勝利はかなり早く予想されたものの、トランプ前大統領は先週のアイオワ州のような地滑り勝利を楽しむことはできなかった。

記事掲載時点で74%の得票が報告されており、ディシジョンデスクHQは、トランプ54.8%に対し、ヘイリー44%と約10ポイントの差をつけている。

出口調査でも、トランプとヘイリーの支持層は大きく異なっていた。CNNの出口調査では、トランプ支持者の80%が、バイデン大統領が2020年の選挙で正当に当選していないと考えているのに対し、当選していると答えたのは17%だった。逆に、ヘイリー支持者の83%が、バイデン大統領は2020年の選挙に正当に勝利すると答えたのに対し、勝利しないと答えたのは15%だった。

また、CNNの出口調査では、前国連大使ヘイリーに投票した人の約40%が、彼女のライヴァルであるトランプに反対して投票したことが分かった。

トランプが共和党の大統領候補になった場合、最終的にはヘイリーの支持者の多くから支持を得る可能性が高いが、共和党予備選で示された分裂は、党がトランプを中心にまとまろうともがく中で、有権者間でグループがあることを示唆している。

(5)予備選の季節は短く、ドラマなど起きないだろう(Primary season looks short and drama-free

ヘイリーは敗北予想が出た後、「ニューハンプシャーにおいて全米で最初の予備選挙が実施された。全米で最後ではない。このレースはまだ終わっていない。まだ何十州も残っている」と発言し、予備選挙での選挙戦の継続を約束した。

しかし、党内では以前から、アイオワ州とニューハンプシャー州でトランプが連勝すれば、トランプ前大統領の共和党候補指名がほぼ確定するとの予測もあった。

トランプは2024年の選挙で事実上の現職として出馬しており、全米の世論調査では2桁のリードを誇っている。混戦模様の候補者たちは、トランプに代わる最有力候補となるべく何カ月も争ったが、トランプが発表した時点でレースは実質的に決まっていたと言う専門家たちもいる。

今月、共和党予備選挙の有力候補4人が立候補し、選挙戦を通じて、トランプとヘイリーの一騎打ちに移行した。

火曜日、ヘイリーは自身のキャンペーンが「半数近い票を獲得した」と宣伝したが、彼女のキャンペーンは今、それが指名候補としての競争力を証明し、サウスカロライナ州での2月の予備選挙とその後に向けたキャンペーンの燃料として十分かどうかという疑問に直面している。

そうでなければ、共和党の予備選シーズンは始まってわずか数週間で終わってしまうかもしれない。

アメリカ南部初のサウスカロライナ州での共和党予備選は2月24日に行われる。

(貼り付け終わり)

(終わり)
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)が発売になりました。アメリカ政治についても分析しています。是非手に取ってお読みください。

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカ大統領選挙に関しては、現在のところ、各種世論調査を見てみると、トランプが僅差で優勢、バイデンが追う展開となっている。私は2024年大統領選挙はジョー・バイデンが勝利するが、それによってアメリカは混乱に陥る、分断が深刻化すると考えている。そのことを最新刊でも書いた。バイデンがやはり現職大統領であり、政治の世界でのキャリアが長く、政治の裏も表も知り尽くしているということは、合法・非合法あらゆる手段を取ることができるということになる。

 しかし、バイデンの不人気ぶりは目を覆うばかりだ。問題は、2020年の大統領選挙で、バイデンの当選に貢献した有権者層や有権者グループでの支持率が落ちていることだ。このブログでもご紹介したが、バイデンを大統領に押し上げたマイノリティ、特にアフリカ系アメリカ人、ヒスパニックの支持率が落ちている。また、若者層での支持も落ちている。
 そのことの理由について、下に掲載した論稿では分析をしており、元々トランプを支持している若者たちは「経済に関してはやはりトランプ」という考えを変えていない。問題は、民主党系、進歩主義的な若者たちで、彼らはバイデンが社会変革に消極的、能力不足ということで「幻滅」しているために、支持できないと考えているということだ。民主党系の若者有権者たちがトランプに投票するということはあまりないであろうが、前回の大統領選挙では、大差でバイデンを支持する人が多かった若者層で、トランプが支持を伸ばすとなると、バイデンとバイデン陣営にとっては大きな痛手となる。

 1月15日には、アイオワ州で大統領選挙予備選挙が始まる。アイオワ州の予備選挙の方法は、党員集会(Caucus)である。民主党はバイデン以外に有力候補は出ていない。一方、共和党は複数の候補者が出ているが、トランプが圧倒的な人気を誇っている。これから、民主党系の市民団体などが、「トランプには大統領選挙に出る資格がない」ということを訴えての裁判戦術が本格化するだろうが、トランプが共和党の大統領選挙候補者になるのは確実である。

(貼り付けはじめ)

メモ:バイデンに対する幻滅が蔓延する中で、トランプに対して、若者層有権者たちの間で驚くべき支持拡大が起きている(The Memo: Trump gets surprise boost with young voters amid Biden disillusionment

ナイオール・スタンジ筆

2023年12月20日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/4368796-the-memo-trump-gets-surprise-boost-with-young-voters-amid-biden-disillusionment/'/

ジョー・バイデン大統領が直面する現在の問題は、ただ単に世論調査の炊事が悪いということではない。

バイデンが直面している問題は、民主党の主要な支持層から支持が離れていること、そして宿敵であるドナルド・トランプ前大統領が驚くほど順調に支持を伸ばしていることだ。

最も顕著な例は、若い有権者の間で起こっている。

火曜日に発表された『ニューヨーク・タイムズ』紙とシエナ・カレッジの共同世論調査では、30歳以下の登録済有権者の間で、トランプ支持がバイデン支持を6ポイント上回った。

この結果が実際の選挙に反映されれば、トランプ勝利は確実なものとなる。

2020年の大統領選挙では、主要な出口調査の結果によると、30歳以下の有権者の間で、バイデンはトランプに24ポイント差をつけて圧勝していた。そして、選挙人獲得において勝利を収めた。

最新の世論調査の結果を異常値(outliner)として片付けることはできない。

先月(2023年11月)のNBCニューズの調査でも、35歳以下の有権者では、46%対42%と、4ポイント差でトランプがバイデンを上回っており、よく似たパターンを示していた。バイデン大統領就任後初のNBCニューズの世論調査であり、2ポイント差という僅差ではあったが、トランプが現職大統領であるバイデンを総合的に上回った。

こうした調査結果は、2つの絡み合った疑問を提起している。なぜバイデンは若い有権者の間で支持が減っているのか? そして、トランプはどうしてうまく言っているのか?

1つ目の質問は答えやすい。

81歳のバイデンは、比較的穏健派であるが、頑固な制度主義者であり、若い有権者にとって特に刺激的な人物であったことはない。

若い進歩主義者たちは、彼が気候変動から選挙権まで、優先課題に対してより広範な行動を取らなかったことに失望している。学生ローンの返済は、多額の学生負債を免除しようとしたバイデンの努力が最高裁によって阻止された後、10月に再開された。

そのため、バイデンは脆弱な立場に置かれたが、10月7日のハマスの襲撃でイスラエル人約1200名が死亡した後、イスラエルがガザに猛烈な攻撃を開始したことで状況は急激に悪化した。

アメリカの若い世代は全体的に、上の世代よりもパレスチナ人にはるかに同情的である。世論調査によれば、そのような有権者の多くは、パレスチナ人の死者が増える中、バイデンがイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を強力に支持していることに反発している。

ニューヨーク・タイムズの世論調査では、30代以下の有権者は、バイデンの中東紛争への対応について、不支持72%対支持20%となっており、不支持が大差をつけている。

左派団体の「ジャスティス・デモクラッツ」の広報担当者ウサマ・アンドラビは、「それが明らかに全体像の一部であるにもかかわらず、何よりも若い有権者をバイデンから遠ざけているのはこのことだ」と語った。

バイデンは先週、イスラエルは「無差別爆撃(indiscriminate bombing)」のせいで支持を失い始めていると発言するなど、最近はイスラエルに対してより厳しい発言をするようになっている。

しかし、アンドラビのような進歩主義者にとっては、それでは不十分なのだ。

アンドラビは「“無差別爆撃”を慎重に批判するのは、200万人近いパレスチナ人を避難させることになった容赦ない作戦が始まって2カ月半も経ってからすべきことなのだろうか? 慎重になるには少し遅すぎる。現時点では、強い最終防衛線(red lines)、つまり強い反対を表明すべきだ」と語った。

だからと言って、バイデンの政策に対する左派の嫌悪感が、トランプの好調ぶりを完全に説明するものではない。結局のところ、トランプ大統領の誕生によってパレスチナ人により同情的なアプローチをアメリカ政府が採用するとは考えづらい。

さらに、トランプ前大統領はバイデンと同世代で、4つの刑事事件で91の罪に問われ、2021年1月6日の連邦議事堂暴動に関与したことで弾劾訴追された。

火曜日(2023年12月19日)の午後、コロラド州最高裁判所は、トランプの2020年16日前後の行為について、選挙資格を剥奪する判決を下し、コロラド州の共和党予備投票からトランプを除外する決定を下した。

この判決については、上告する期間が認められており、トランプ陣営のスポークスマンであるスティーヴン・チャンは、「アメリカ合衆国最高裁判所への上告を速やかに行う」ことを約束する声明を発表した。

しかしながら、トランプを支持する若者たちは、支持の理由としていくつかの異なる要素を挙げている。

彼らが強調するのは、低迷する経済が日常生活や経済的な階段を上る希望に与える影響、トランプの破壊力への好感、バイデンの下でアメリカが弱体化し、より分断されているという感覚である。

カムリン・キンゼイは、彼女が選挙権を持つ年齢になった最初の大統領選となった2020年にトランプを支持した。彼女は現在もトランプ前大統領を支持している。

キンゼイは「トランプが今、若い有権者の世論調査でリードしている理由は、経済的な懸念だと思う。若い有権者は自分の経済状況を考えて投票している。家の購入から食料品の値段に至るまで、バイデン大統領の下では、持続不可能なライフスタイルだ」と語った。

「若い有権者は、トランプが抱える様々な問題のせいで彼から遠ざかることが予想されるという議論にどう反論するか」と質問されたキンゼイは、「私たちがバイデン政権によって得ているものは、アメリカにとって望ましい結果ではない」と答えた。

キンゼイは、経済だけでなく、国家安全保障やグローバルな舞台でのアメリカの強さに対する尊敬の喪失など、様々な懸念について説明した。そして彼女は、若者のトランプ支持を、「若い有権者が自分たちの国を健全に愛している(young voters have a healthy love for their country)」ことの証拠であるとし、愛国的な言葉を使って表現した。

若い進歩主義者は、キンゼイのようなトランプ支持者とは正反対の世界観を持っている。しかし、バイデンによる真の変革の欠如(lack of real change)がトランプに隙を与えたと主張する点で、彼らは意外な共通点を持っている。

若者向けの進歩主義的組織である「サンライズ・ムーヴメント」の政治担当責任者ミシェル・ワインドリングは「より大きなリスクは若者が選挙に参加しないことだが、このニューヨーク・タイムズの世論調査では、その代わりにトランプに投票する割合が示されている。そこから読み取れるのは、若者たちは民主党が過去4年間、自分たちの生活に具体的な変化をもたらすことができなかったと感じているということだ」と述べた。

ワインドリングは、国家と自分たちの世代が複数の危機に直面していると考える若い有権者は、「システムを揺るがしたい(to shake up the system)」という衝動を感じており、今彼らはその衝動を「どのように扱えば良いのか分からない」のだと語った。

さらにワインドリングは、バイデンのイスラエル問題(「戦争支援」)やエネルギー問題(「掘削賛成」)などが、若い進歩主義派を幻滅させていると主張した。彼女は、ホワイトハウスは「幻滅の深刻さ(severity of the disillusionment)を見過ごし続ける」ことに満足しているようだと警告した。

ジャスティス・デモクラッツのアンドラビは、トランプ支持は、トランプ前大統領への実質的な支持というより、むしろバイデンに対する反射的な拒否反応であると主張している。

アンドラビは、「トランプ以外の人物であっても同じ結果のはずだ」と述べた。

しかし、ホワイトハウスにとっては何の安心材料もない。特にガザでの戦争が続いており、国内では経済に対する先行きが不透明なままだ。

アンドラビは、「若者たちは、バイデン大統領は自分たちが望んでいる人物ではないと言っている。バイデン大統領の行動は、私たちが望んでいるものではないのだ」と語った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ