古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:副島隆彦

 古村治彦です。

 今回は、私の最新刊『バイデンを操(あやつ)る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)をご紹介いたします。発売日は2023年12月27日です。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 『バイデンを操(あやつ)る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』は私にとって4冊目の単著で、ジョー・バイデン成立後のアメリカ政界の動きと世界政治の動きを網羅した内容になっています。何とか年内に出すことができました。2023年を振り返る、冬休みの一冊として、是非手に取ってお読みください。

 以下に、副島隆彦先生の推薦の言葉、はじめに、目次、おわりにを掲載します。

(貼り付けはじめ)

推薦の言葉 副島隆彦(そえじまたかひこ)

 本書『バイデンを操(あやつ)る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』は、私の弟子である古村治彦(ふるむらはるひこ)君にとって4冊目の単著となる。

 古村君の前著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム、2021年6月刊)は、アメリカ政治研究の専門家たちから高い評価をいただいた。それで、本書がその続編として書かれた。前著を読んだ編集者から執筆の話をいただいたと聞いた。大変ありがたいことだ。

 前著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』では、古村君は、アメリカのバイデン政権を作っている、ディープステイト(超[ちょう]財界人と米軍需産業)側の政府高官たちが、中国・ロシアとの対決、戦争をどのように仕組んで、どのような計画で実行しているかを、正確にはっきりと説明した。なんと、この本が出てから8カ月後に、実際にウクライナ戦争が始まった(2022年2月24日)。これは真に驚くべきことだ。

 アメリカの国防政策と外交政策を実際に操(あやつ)っている、ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社とその創設者のミッシェル・フロノイ元(もと)米国防次官(アンダーセクレタリー)のことを、詳しく紹介していた。これは日本初(はつ)のことで、国際関係論(インターナショナル・リレイションズ)の研究者である古村君の学問業績である。本書に続いてお読みください。

 本書では、古村君は、引き続き、アメリカ国際政治の悪の司令塔であるウエストエグゼク社と、米国防総省(ペンタゴン)の密接な結びつきを丹念に追っている。ウエストエグゼク社が、米国防総省と、民間のハイテク企業群のグーグル、フェイスブック(現在はメタ)などのビッグテック(Big Tech 巨大IT企業)を結び付けて、アメリカの軍事部門の先端技術(ハイテク)と武器開発の優位を保っている様子を、精(せい)(かく)に描いている。古村君はこのことを「新(しん)・軍産(ぐんさん)複合体」と表現している。今も前著の帯に書かれた「アメリカをWestExec(ウエストエグゼク)社が動かす!」の通りだ。

 古村君は、バイデン政権の進めている「産業政策(Industrial Policy(インダストリアル・ポリシー))」に注目している。産業政策は日本語で書くと珍腐なコトバだが、アメリカ政治学における重要な概念だ。この産業政策という概念を生み出したのは、日本研究学(ジャパノロジー)の大(だい)学者だったチャルマーズ・ジョンソン博士だ。私は、当時アメリカ留学中だった古村君を伴(ともな)って、カリフォルニア州サンディエゴにあるチャルマーズの自宅を訪問し、長時間にわたって話し込んだ。2004年4月のことだ。このことを懐かしく思い出す。

 古村君は、本書の後半部で世界政治における「西側諸国(the West[ザ・ウエスト[)対(たい) 西側以外の国々(the Rest[ザ・レスト] 残りの部分の意味)の分裂と対立」を描き出している。ウクライナ戦争は、アメリカのディープステイトが、何が何でも、プーチン政権を罠(わな)に嵌めてウクライナにおびき出して、ロシアを弱体化することが目的だった。この外交・軍事戦略を決定して実行した者たちが、まさしく今のバイデン政権の高官たちだ。一方、中国、インド、サウジアラビアなど、非()西洋、即ち西側以外の国々は、継続してロシアから石油を輸入することでロシアを支えた。ウクライナ戦争は膠着(こうちゃく)状態だが、英と米のディープステイト側の敗北、そしてロシアとロシアの苦境を支える西側以外の国々の勝利が見えてきた。

 本書『バイデンを操(あやつ)る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』で、古村君は、「世界覇権がアメリカから中国に移動する、中国は焦らず、じっくりと熟柿(じゅくし)作戦で覇権(ヘジェモニー)が泰然自若(たいぜんじじゃく)で手に入るのを待つ。大国の風格だ」と書いている。まさしくその通りで、もうすぐ世界覇権の移動が起きる。

 この一冊で、最新のアメリカ政治と世界政治の動きを理解することができる。ぜひ、読者諸賢にお読みいただきたい。

2023年12月

副島隆彦(そえじまたかひこ) 

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はじめに 古村治彦(ふるむらはるひこ)

 私は2021年6月に、著書『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)を発表した。その中で、ジョー・バイデン Joe Biden(1942年~、81歳。大統領在任:2021年~)政権の高官たちの多くが、アメリカの首都ワシントンDCにあるコンサルティング会社の、ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社 WestExec Advisors の出身者であることに着目し、この会社を中心とする人脈からバイデン政権を分析した。

 このウエストエグゼク社が米国防総省 United States Department of Defense(ユナイテッド・ステイツ・デパートメント・オブ・ディフェンス) や軍事産業と関係が深い点に注目し、「バイデンとバイデン政権の高官たちは中露に対して強硬な姿勢を取る、もしかしたら戦争になるかもしれない」と書いた。

 翌年の2022年2月24日にウクライナ戦争が始まった。バイデン政権の下でロシアが絡(から)む戦争が起きたということで、私の本に注目してくださる方が増えた。アメリカと中露が直接戦う戦争ではなかったが、アメリカはウクライナに対して大量の武器を支援しており、ウクライナがアメリカの代理 proxy(プロキシー) となり、ロシアと戦っている。

 しかし、バイデン政権の活動の根幹を担っている、ウエストエグゼク社と同社の出身者たちの人脈に対して、日本では大きく注目されるところまではいかなかった。私はそのことを残念に思っていた。

 しかし、2023年9月2日、講談社が運営するウェブサイト「現代ビジネス」の「ニュースの深層」というコーナーを長年にわたり担当している、ヴェテランのジャーナリスト歳川隆雄(としかわたかお)氏が、「米バイデン政権『国務副長官』の後任は……政府要職を占めるコンサル出身者のからくり」(https://gendai.media/articles/-/115663)という題名の記事の中で、ウエストエグゼク社について取り上げた。歳川氏は、バイデン政権に数多くのウエストエグゼク社出身者がいることを指摘し、バイデン政権にとって重要だと書いた。

 歳川氏の記事が出てから、「あの記事で取り上げられていたウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社は、あなたが本の中で取り上げていた会社ですね」「あなたの方が先に注目していたことになる」という嬉しい声を多くいただいた。これでウエストエグゼク社と出身者たちについて、日本でも注目されるようになるだろうと考えている。

 本書では引き続き、ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社の動きから、バイデン政権の意図を分析する。さらに、アメリカ国内政治、国際政治の最新の動きを網羅的に捉(とら)え、日本の主流メディアでは紹介されない、見方や考え方を提供する。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる──目

推薦の言葉 1

はじめに 5

第1章 中国に対する優位性の確保に苦労するバイデン政権──米中で実施される産業政策でも中国が有利

バイデン政権の産業政策に深く関わるウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社 20

ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社とはどのような会社か 22

ウエストエグゼク社出身者が重要高官を占めるバイデン政権はヒラリー政権でもある 27

国防総省がウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社と関係を深めている 30

ウエストエグゼク社創設者ミシェル・フロノイは国防総省の予算を使いやすくするように提言報告書を執筆 35

産業政策の本家本元は日本 40

バイデン政権が進める産業政策 46

バイデン政権で産業政策を推進する人材としてのジャレッド・バーンスタイン 51

ジェイク・サリヴァン大統領補佐官が産業政策の熱心な支持者 54

産業政策の成功例である中国 66

ファーウェイがiPhoneと同水準のスマートフォンを開発──21世紀のスプートニク・ショック(Sputnik Crisis(クライシス)) 70

軍事面で優位に立つためには技術面での優位が必要──長期計画ができる中国が有利ということが明らかに 75

第2章 2024年米大統領選挙は大混迷

米大統領選は100年に一度の大混乱 80

アメリカ大統領選挙はマラソンレース──まずは党の候補者を決める予備選挙から 82

アメリカ大統領選挙本選挙は各州の選挙人の取り合い 85

現職大統領なのに支持率が上がらないバイデン──有権者は高齢問題を憂慮 88

民主党全国委員会はバイデン当選に向けて露骨な依怙贔屓 91

民主党予備選挙に出馬宣言したロバート・F・ケネディ・ジュニア──大いなる期待 99

ケネディ・ジュニアが無所属で大統領選挙本選挙に出馬表明という怪しい動き 104

共和党ではトランプが圧倒的に有利な情勢 110

トランプを尊敬する新人候補ヴィヴェック・ラマスワミが大健闘 111

アメリカ史上初めての連邦下院議長解任まで起きた連邦下院共和党の分裂 115

連邦下院では10月から始まる2024年度の予算が可決成立していない 123

共和党内の分裂で注目を集めるフリーダム・コーカスは「トランプ派」議員連盟ではない 127

「大統領の犯罪」を隠(いん)(ぺい)するためにはどうしても勝たねばならないバイデン 136

第3章 ウクライナ戦争から見えてきた世界の分断

長期膠着状態に陥っているウクライナ戦争の戦況 142

アメリカ軍やNATOの評価が低い、そして自分勝手なウクライナ軍では勝てない 149

「ゼレンスキー疲れ」「ウクライナ疲れ」に陥ったヨーロッパとアメリカ 153

国際関係論の大物学者ミアシャイマーが「ウクライナ戦争の責任は、アメリカとNATOにある」と喝破 157

ヘンリー・キッシンジャーの提示する「落としどころ」が停戦の基本線 164

「世界の武器庫」であるべき西側諸国、特にアメリカの武器増産が進まずに武器不足に陥る 171

「大統領の犯罪」ノルドストリーム爆破事件──アメリカは平気で自分の同盟諸国を苦境に陥れる 177

戦争直後の国連でのロシア非難決議の採決で世界の分断が明らかになった 187

ウクライナ戦争の結末はどうなるか 191

第4章 「西側諸国 the West」対「西側以外の国々 the Rest」の分断が世界の構造を変える

「西側以外の国々」の中核となるBRICS(ブリックス)(ブリックス) 199

多元的な国際機構や枠組みで重層的な関係を築いている西側以外の国々 202

サウジアラビアがバイデン大統領の依頼を断り、中国寄りの姿勢を鮮明にした 208

中国の習近平国家主席がサウジアラビア訪問で石油取引の人民元決済に言及 210

アメリカを追い詰めすぎると怪我するということで、「ブリックス通貨」導入は見送り 218

国際社会で仲介者になるほどに中国の大国としての存在感は高まっている 225

アメリカはインド・太平洋で中国を封じ込めたい──QUAD、AUKUS、NATOのアジア進出 229

「アジアの皇帝」カート・キャンベル国務副長官指名は、バイデン政権の対中強硬姿勢を鮮明に 234

ハマスによるイスラエルに対する大規模攻撃とイスラエルの反撃 240

アメリカの意向を無視するイスラエルがアメリカを追い詰める 246

ウクライナ戦争とパレスティナ紛争から見えてくるアメリカの威信の低下 253

第5章 覇権国でなくなるアメリカとこれから覇権国になる中国

国際関係論の覇権国交代理論である覇権戦争論と長期サイクル論 261

世界は西洋支配の前の状態に戻る 269

米中間で戦争が起きるか 273

米中は戦争の可能性を視野に入れて体制強化を図る 277

ウクライナ戦争とパレスティナ紛争が長引けば、国際情勢はアメリカと西側諸国にとって不利になる 279

ウクライナ戦争とパレスティナ紛争で抑制的な動きをしている中国だが国際情勢は中国有利になる 284

アメリカはこれから同盟諸国にバック・パッシング(責任転嫁)を行う 287

短期的に見て怖いのは、直接戦争ができないアメリカが日本に代理戦争をさせること 290

おわりに 295

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おわりに 古村治彦(ふるむらはるひこ)

 本書の一貫したテーマは、アメリカを筆頭とする西側諸国(the West[ザ・ウエスト])の衰退と中国を筆頭とする西側以外の国々(the Rest[ザ・レスト])の台頭が世界に大きな変化をもたらしている、ということだ。そのことを、アメリカ国内政治と世界政治の分析を通じて描き出そうと努めた。

 本書の執筆中、10月になって、アメリカ国内では、史上初の連邦下院議長解任が起き(10月3日)、国際的に見れば、ハマスによるイスラエルへの攻撃が起き、イスラエルがガザ地区に報復攻撃を開始した(10月7日)。そのため、本書の構成を一部変更せざるを得なくなったが、これらの出来事は、本書で掲げたテーマを裏付けるものだ。

 アメリカ国内政治は混迷の中にある。アメリカ国内の分裂と衰退はもう隠すことができないところまで来ている。アメリカ国内では、2024年の大統領選挙で、高齢問題もあり、有権者から全く支持されていないバイデンが再選を果たすことになると私は見ている。合法、非合法、あらゆる手段で、アメリカ国民の意思を捻()じ曲げて、バイデン勝利とするだろう。そうしなければならない理由を、私は本書で書いた。バイデン勝利が「作り出されたcreation(クリエイション)」後に、アメリカでは、バイデンが大統領選挙で勝利した州を中心にして、アメリカ国民による大規模な抗議活動が起き、アメリカ国内の分裂はさらに深まる。

 さらには、バイデン再選とそれに対する抗議運動がきっかけになって、アメリカが新たな「南北分裂」状態に陥ることも考えられる。私は、本文の中で、バイデン勝利は「アメリカ民主政治体制の死」を意味すると書いたが、さらに進んで「アメリカ合衆国の死(解体)」にまで進む可能性も高い。

 バイデン政権は、分裂を避けるために、国内政策に注力しなければならなくなる。対中封じ込め政策を強化しようとしているが、国内対策に足を取られて、思い通りに物事を進められない状態になる。国内経済の先行きも不透明になる中で、アメリカは分裂と衰退に向かう。アメリカの分裂と衰退は、西側諸国全体にも悪影響を及ぼすことになる。

 世界政治の構造も大きく変化している。アメリカの分裂と衰退で利益を得るのは、中国を中心とする西側以外の国々だ。ウクライナ戦争では、西側以外の国々はロシアを間接的に支え切り、ロシアは戦争初期の厳しい段階を乗り越えて、守備を重視した、負けない体制を構築し、戦争継続が可能となっている。西側諸国は、武器生産能力が限界を迎え、資金面でも、限界に来ており、全体に厭戦気分が広がっている。

 西側以外の国々は、重層的な国際組織を結成し、宗教、政治体制、経済体制の面で、多様な国々が連携できるネットワークづくりを進めている。その中心がBRICS(ブリックス)であり、中国が核となっている。石油の人民元(じんみんげん)決済やドル以外の共通通貨(脱[だつ]ドル化)の話が出ているのは、アメリカの戦後支配体制の揺らぎを象徴している。中国は、アメリカとの対立激化を避けながら、アメリカの自滅を待つという姿勢だ。できるだけ労力をかけないようにしながら、慌てず急がずで、世界覇権を手にする。

 西洋近代は、もちろん素晴らしい成果を収めた部分もある。西洋近代がもたらした科学(サイエンス)(学問)の発展や価値観、制度によって、人類はより快適で豊かな生活を享受することができた。その点は認めなければならない。しかし、一方で、西洋中心主義 Ethnocentrism(エスノセントリズム) によって、西洋的な価値観と制度を世界中に押し付け、結果として、西洋化することで世界を一色にまとめ上げようとしてきた。

 非西洋諸国の文明化 civilization(シヴィライゼイション) は、社会工学 socialengineering(ソーシャル・エンジニアリング) を通して行われた。非西洋の土台の上に無理やり、西洋社会の価値観や制度が移植された。社会工学は「文明化外科手術(ぶんめいかげかしゅじゅつ)」とも呼ばれるべきもので、不自然な移植のために、制度がうまく機能しないことも起きた。それに対して、西洋諸国は、「近代化の出来ない落ちこぼれ」というレッテルを貼った。

 しかし、これから、世界の「優等生」たちが力を失い、これまでの「落ちこぼれ」たちが力をつけていく。そうした時代に入っていく。西洋近代、戦後世界の終わりの始まりである。

 本書の構成を友人に話したところ、「世界の今が分かるということですね」と言われて、私は少し驚いた。私としては、そのような大それた目的をもって執筆を始めた訳ではなかった。しかし、本書を通じて、読者の皆さんに、現在の世界情勢を理解するための情報や視点を提供できるとすれば、それは筆者として、何よりの喜びだ。

 師である副島隆彦(そえじまたかひこ)先生には、力強い推薦文をいただきました。徳間書店学芸編集部の力石幸一氏には、本書の企画から出版までお世話になりました。記して御礼申し上げます。

2023年12月

古村治彦

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 2023年12月15日に、副島隆彦先生の最新刊『中国は嫌々(いやいや)ながら世界覇権を握る』が発売になります。

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中国は嫌々ながら世界覇権を握る

 以下にまえがき、目次、あとがきを掲載します。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

まえがき 中国人がいま本気で考えていること  副島隆彦(そえじまたかひこ)

この本の書名は「中国は嫌々(イヤイヤ)ながら世界覇権を握る」である。なぜ中国が「嫌々ながら世界覇権を握る」のか。そのことを説明することから始める。
大きく言うと、ウクライナ戦争はロシアが勝つ。今のような戦争状態はもう続かない。何らかの形の停戦がある。停戦が破られてもどうせ膠着(こうちゃく)状態になる。
世界が第3次世界大戦に入り、核戦争の可能性もある。この問題については、後ろのほうで書く。

ヘンリー・キッシンジャー博士がちょうど100歳で死んだ(11月29日)。この人が世界皇帝であったデイヴィッド・ロックフェラーの代理だった。
キッシンジャーは、2023年7月19日に北京へ向かい、このあと更迭された李尚福(りしょうふく)国防部長と会っている。

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(新聞記事貼り付けはじめ)

「100歳キッシンジャー氏、軍同士の対話復活探る 中国国防相と会談」

 米国のキッシンジャー元国務長官が中国を訪問し、7月19日に北京で李尚福国務委員兼国防相と会談した。李氏が米国の制裁対象となっていることが、米中が国防分野での対話を再開できない大きな要因となっているが、中国側は米国の対応次第で再開の意図があることを改めて示した。

 キッシンジャー氏はニクソン米政権の大統領補佐官として極秘訪中し、米中の国交正常化に道筋を付けた立役者。100歳となったキッシンジャー氏は現在の米中関係の緊張に危機感を持っており、2019年に習近平国家主席とも会談するなどいまでも中国側からの信頼は厚い。(朝日新聞 2023年7月18日)

 (新聞記事貼り付け終わり)

キッシンジャー博士が死んでも、当分の間(あいだ)は核戦争は起きない。なぜなら、核戦争を食いとめるためにヘンリー・キッシンジャーという大御所が存在したからだ。この構造はすぐには変わらない。だから大丈夫である。

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『中国は嫌々(いやいや)ながら世界覇権を握る』 目次

まえがき 中国人がいま本気で考えていること ──3

第1章  中国が嫌々ながら世界覇権を握る理由

目の前に迫るアメリカの没落 ──16
アメリカはもはや核ミサイルを打てない ──21
世界覇権が「棚からぼたもち」で中国のものになる ──26
「賃労働(ちんろうどう)と資本の非和解的(ひわかいてき)対立」という中国の大問題 ──30
人権は平等だが、個人の能力は平等ではない ──36
李克強の死 ──44
アメリカに通じた大物たちの〝落馬〟 ──48
中国の不動産価格は落ち着いていく ──49
民衆にものすごく遠慮している中国共産党 ──53
統一教会に対して空とぼけている連中 ──57

第2章  中国はマルクス主義と資本主義を乗り越える

中国は自分たち自身の過去の大失敗を恥じている ──68
鄧小平と Y=C+I ──78
ジャック・マーを潰すな ──85
中国が気づいた有能な資本家の大切さ ──90
中国版のオリガルヒを絶対に潰さない ──97
中国は他国に攻め入るどころではない ──100
イデアとロゴス ──102
賃労働と資本 ──107
「賃労働と資本の非和解的対立」について ──111

第3章  中国と中東、グローバルサウスの動き

ハマスを作ったのはCIAである ──120
パレスチナの若者はハマスに騙されて死んだ ──126
中国が成し遂げたイランとサウジの歴史的仲直り ──128
もうこれ以上アメリカに騙されない中東諸国 ──134
追い詰められているのはディープステイト ──136
一帯一路、発足10年で強まるヨーロッパとの関係 ──138
グローバルサウスの結集 ──154
進むアメリカの国家分裂 ──159

第4章  台湾は静かに中国の一部となっていく

ムーニーの勢力にヘイコラする日本 ──164
何よりも台湾人は中国人である ──170
台湾軍幹部の9割は退役後、中国に渡る ──175
基地の島、金門島の知られざる現実 ──182
ラーム・エマニュエルという戦争の火付け役 ──184

第5章  中国経済が崩壊するという大ウソ

ファーウェイ Mate60pro の衝撃 ──190
中国の勝利に終わった半導体戦争 ──195
半導体製造にまで進出するSBI ──202
アメリカが80年代に叩き潰した日本の半導体産業の真実 ──205
日本人が作った革新的な技術 ──208
量子コンピュータは東アジア人しか作れない ──212
アメリカが敗れ去った量子暗号通信技術戦争 ──213
EVという幻想 ── 218
TSMCの奪い合いこそが「台湾有事」の本態 ──221
世界を牛耳る通信屋たちの最大の弱点 ──225

あとがき ──228

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あとがき

 私が、この本で描きたかったことは。中国がもうすぐ次の世界支配国になる。アメリカ帝国は早晩(そうばん)崩(くず)れ落ちる。そのとき中国人は、どういう新(しん)思想で世界経営(けいえい)をするか、という課題だ。

 今の中国人は、総体としてもの凄(すご)く頭がいい。文化大革命の大破壊のあとの44年間を、ずっと苦労して這(は)い上がって来た。このことが私は分かる。中国(人)は、もうイギリス(大英帝国。ナポレオンを打ち倒した1815年からの100年間)と、アメリカ帝国(1914年からの100年間)の2つの世界覇権国(ヘジェモニック・ステイト)がやった、ヨーロッパ白人文明(ぶんめい)(実は帝国が文明も作るのである)の救済(サルベーション)と博愛思想[フラターニティ](代表キリスト教) の偽善(ぎぜん)と騙(だま)しによる世界管理はやらない。棚(たな)からぼた餅(もち)が落ちてくる。嫌々(いやいや)ながらの世界覇権国だ。

 中国は、カール・マルクスが発見した「賃労働(者)[ウエイジレイバラー]と資本(家)[カピタリスト]の非和解的対立」を何とか、180年ぶりに部分的に乗り越える新(しん)思想(イデー)で、世界を良導(りょうどう)しようと思っている。それを見つけることができるか。全てはここに掛(かか)っている。私自身の1973年(大学入学、20歳)以来の丁度50年間のマルクス思想との浮沈(ふちん)、泥濘(でいねい)でもある。

 中国は、もう核戦争と第3次世界大戦の脅威さえも乗り越えた。そんなものは怖くない、という段階まで一気に到達した。私は誰よりも早くこのことに気づいた。

 何という大ボラ吹きの大言壮語(たいげんそうご)を、と思われることはすでに計算のうちだ。先へ先へ、未来へ未来へと、予言(プレディクション)で突き進まなければ、知識・思想・言論を職業(生業[なりわい]) としてやっていることの意味がない。すでに私には、村はずれの気違い(village idiot、ヴィレッジ・イデオット)の評価がある。私だけは他のどんな知識人たちよりも、大きな言論の自由(フリーダム・オブ・エクスプレッション) を、この国で保障されている。しかも、出版ビジネス(商業出版物) としての信用の枠にもきちんと収まっている。

 この本を急速に書き上げるために、ビジネス社編集部の大森勇輝氏の優れた時代感覚に

大いに助けられた。記して感謝します。

2023年11月

副島隆彦

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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古村治彦です。

 今回は、副島隆彦の最新刊『金融恐慌が始まるので 金(きん)は3倍になる』(祥伝社)をご紹介します。発売は12月1日です。
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金融恐慌が始まるので 金は3倍になる

 以下に、まえがき、目次、あとがきを掲載します。参考にして、是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

まえがき

 この本の書名は、『ドルが没落するので 金(きん)は3倍になる』である。まさしくそのまま本書を貫(つらぬ)く私の主張である。なぜ金(ゴールド)が、これから今の3倍になるのか。しかも、それは3年後(2027年)である。その理由は、アメリカの金融市場が崩れて(コラプス)米ドルによる世界支配が終わるからだ。だから、まだまだ今のうちに金を買いなさい、という本である。

 とくに、これまでまだ一度も金(きん)を買ったことのない人は、「今すぐ買いなさい」と私は言う。それに対して。これまでに金を買ってきた人は、金(きん)1グラム=9000円(小売り)を割ったら買いなさい。金は9月の終わりから10月の初めにかけて、少し値下がりした。だから、値下がりの節目(ふしめ)である小売り(リーテイル)で9000円(卸売[おろしうり]、ホールセールスで8000円)になったら、買い増しなさい。とくに、これからは金貨(ゴールドコイン)で買い増しなさい。その買い方は、本書P28以下で、指図(さしず)します。

 金の値段(小売)は8月29日に1グラム=1万円を突破した。このあと1万円を割って、9621円(10月6日) まで下がっている。だが、大きくは、すでに達成された1グラム=1万円(小売)の大台は維持されて基調は変わらない。10月26日には1万0569円の高値を付けた。いくらアメリカ政府(米財務省とFRB)とゴールドマン・サックスが結託(けつたく)して、米ドルの信用を守り抜くために、金(きん)への憎しみを込めて、金(きん)の先物市場(ペイパー・ゴールド。証券化された紙キレの金)を使って、NY先物(さきもの)市場(フューチャー・マーケット)で金(きん)の値段を、必死で上から叩いて押し潰(つぶ)すとしても、もう、そろそろ限界に来つつある。

 現在の世界の金融・経済は、もう何が起きてもおかしくはない。それぐらいの激しい変動期に入っている。

 表面上は、金融市場(株(ストツク)と債券(ボンド)と為替(FX)など)は今も穏やかに、大変化は起きていないように見える。いや、そのように見せかけている。だから、世界の足元の地盤(グラウンド)はしっかりしているように見える。だが本当は、アメリカを中心にしてかなりぐらぐらとしている。これを loose the ground(ルーズ・ザ・グラウンド) という。地盤が崩れつつある。

 比較相対的(comparatively[コンパラテイヴリー])に、日本は大丈夫である。なぜなら、ここまで30年間、日本はずっとヒドい不況と不景気(これがデフレ経済)で痛めつけられて、日本の国民生活はヒドい貧乏状態を続けてきた。だから、日本は足腰がしっかりしているのである。目下(もっか)の世界を吹き荒れる、金融恐慌と大戦争(核戦争(ニユークレア・ウオーフエア)を含む)の予兆と恐怖が押し寄せても、日本国民は、さらにじっと我慢して、この大混乱期を乗りこえるだろう。

 私はこれまでずっと当たり前のことを書いてきた。私はこの生き方の態度を変えない。この26年間、自分が書いてきた本たちで、ずっと「金を買いなさい。必ず上がるから」「アメリカ発の金融恐慌になる。アメリカは、世界覇権(ワールド・ヘジエモニー)を失う」と、ずっと書いてきた。1998年6月に出版した『悪(あく)の経済学』(祥伝社刊)から、ずっとである。

 このことで私は、自分の主張が26年間まったく変わらないことを確認できる。あの26年前の1998年ごろは、金1グラムは1200円であった。だから1キロの延()べ板で120万円だった。それが26年後の今、1グラム=1万100円になったので、1キロ=1000万円である。8・4倍である。これ以上は、私は自分で自分を褒()める言葉を使わない。自惚(うぬぼ)れでものを言う奴を、人々は軽蔑するからだ。すべては、冷静な客観的事実(オブジェクティブ・ファクト)で判定される。

 この私が、これから3年後には、金1グラムはさらに実質3万円(小売)になるだろうと書くのだから、皆さんは私の主張に耳を傾けるべきだ。

 もう、私の、この一見(いっけん)、傲慢(ごうまん)な書き方に、書評(ブックレビュー)で悪罵(あくば)を投げる者はいなくなった。金融の専門家を名乗る人々を含めてだ。「副島、ハズレー」と以前書いた者たち自身が、ハズレーの人生を歩んでいる。

 どうやらウクライナでの戦争は、ロシアの勝ちのようである。日本国内では今もテレビ、新聞を始め、「ウクライナ軍が勝利、前進をしている」という報道がまだずっと続いている。まともな知能と判断力を持つ人ならば「あれ、おかしいなぁ。ロシアと中国がそんなに負けているようには見えない」と思っている。この感覚と判断が正しい。私たちは、日本国内の、嘘だらけの洗脳報道に騙(だま)されないようにしなければいけない。あいつらはアメリカの手先たちだ。

 アメリカ政府は、もうほとんど金(きん)を持っていない。貿易決済(ぼうえきけっさい)用に金(きん)を全部使ってしまった。これまでずっと公表されてきた8200トンは、ほとんど無い。ケンタッキー州のフォート・ノックス米陸軍基地の洞窟(どうくつ)にあるFRB(NY連銀[ニューヨークれんぎん])の金庫は、ほぼスッカラカンである。ただし、アメリカの金持ち層は、イーグル金貨(コイン)(アメリカの国章である白頭(はくとう)ワシの絵が刻印されている)を中心に、金(きん)を持っている。

 この本では、その他いろいろの金融市場の数値や金融理論を使いながら、ドルによる世界支配がもうすぐ終わることを証明していく。

 私の本の書き方は、横綱相撲である。私は今さら、私と対立する主張をする者たちを大技(おおわざ)で投げ飛ばすことはない。投げ飛ばすと自分の体にも打撃が来るからだ。それよりは、ぐっと両手で相手を押さえて、じりじりと押してそのまま土俵を割らせる。これが横綱相撲である。そろそろ、周(まわ)りの人たちからもそのように見えるだろう。

副島隆彦

=====

まえがき

1章 金(きん)の値段は3倍にハネ上がる

● 金は再高騰して、1グラム=1万4000円へ

● なぜ「売り」と「買い」の差額が、わずかなのか

●「野口(のぐち)コイン」を勧める

● 金貨〝ヒロヒト・コイン〟の謎

● 買取業者に注意せよ

● その古い金貨(アンテイーク・コイン)は本物か

● 金1グラムが、いくらになったら買い時なのか

● 金・ドル体制が終わる

●「金〝資源〟本位制」が世界規模で誕生する

● 米ドルは世界の基軸通貨ではなくなる

2章 世界で「脱ドル化(デイー・ダラライゼイシヨン)」が進んでゆく

● 世界の中心が、欧米から貧乏大国同盟に移ってゆく

● 脱ドル化(ディー・ダラライゼイション)が世界で進む

● 2024年、BRICS新通貨(BRICS債券)の誕生

●「アメリカの副島隆彦」は何を書いたか

● 世界中の有識者たちが震え上がった

●「ドル覇権(ヘジェモニー)の崩壊」が始まる

● 米国務長官と財務長官は、なぜ慌(あわ)てて中国へ行ったのか

● だから金は、3年後、3倍に跳()ね上がる

3章 金利(イールド)の上昇から不景気(リセツシヨン)突入へ

● 造幣局の職員が金貨を売る

● 中央銀行は、財務省の振り出す国債を引き受けてはいけない

● 近代経済学(アメリカ計量経済学)の滅亡

● 属国・日本は耐え続ける

● 米国債の利回りが上昇している。要注意だ

● 格下げされた米国債

●「利回りの上昇」から「景気後退」を予測したアナリスト

● リスク資産(株式)の暴落が起きるだろう

● 日本はインフレではない

● アメリカ人のバブル不動産投資は止まらない

● 不況入りの条件が整った

● なぜ実質金利(リアル・イールド)が重要なのか

● 住宅ローン金利は、日米でこれほど違う

● 株価だけが異常に高い2社

● リセッション(不景気突入)は、いつ来るか

4章 お金も腐る

● 中古品が投げ売りになって、モノが腐る

● 銀行が買った日本国債を日銀の口座に寝かしておくと……

● 危ない銀行と健全な銀行

● 米地銀、連鎖破綻の真相

● 債券市場(ボンド・マーケツト)が恐ろしいことになっている

● 次のシリコンバレー銀行(バンク)はどこか

● SBI新生銀行を中心に、日本の地銀の再編が進む

● ますます世界で「脱ドル化(デイー・ダラライゼーシヨン)」が進む

5章 半導体の先端技術で読むこれからの世界

● ファーウェイの最新スマホ「Mate(メイト) 60」の衝撃

● 半導体の「6分野」を説明する

●「線幅2ナノ」の技術競争に中国企業が加わった

● TSMCとトヨタとソニーの関係

● 日本のロジック半導体で起きた〝問題〟とは

● 量子コンピュータを世界で初めて開発した日本人

● アメリカが日本の半導体メーカーを潰した

● 私は日米半導体戦争の動きを見続けてきた

● 東芝はNAND型フラッシュメモリーの発明者を冷遇した

● キオクシアとWD、経営統合の裏で……

● 中国の技術がアメリカを凌(りよう)()する

● 中国が主導する世界最先端企業連合

●「台湾有事」と騒ぐな

● アップルの製品は、ほとんど中国製だ

● GAFA+Mの「土台」となる半導体企業が重要だ

● ナノチップ製造に必要な露光装置

● NAND型について、副島隆彦が説明する

あとがき

巻末特集

半導体の新技術で

大成長する15銘柄

=====

あとがき

 この本を書き上げて、私の頭の中ではっきりと纏(まと)まったのは、私が作った「お金も(退蔵[たいぞう]していると)腐(くさ)るのだ」理論である。これは、経済学理論としてきわめて斬新(ざんしん)なものであり、おそらくこれまで誰も提言しなかった。私はすでに、アメリカ理論経済学(近代経済学(モダーン・エコノミツクス)の現代版)は、学問(サイエンス)としては死んで絶滅した、という本を1冊書いている。『経済学という人類を不幸にした学問』(日本文芸社、2020年刊)である。

 アメリカ帝国の〝衰退と没落(フォール・ダウン)〟が誰の目(頭)にも明瞭になって来た。それは世界政治の勢力論としてだけでなく、金融・経済の領域では、米ドルによる世界一局支配が一気に崩れつつあることからも分かる。世界貿易の決済通貨としての米ドルの比率は、もうすぐ50パーセントを割るだろう。

 英と米がウクライナ戦争を用意周到に、虎視眈々(こしたんたん)と仕掛けて、ロシアのプーチンを罠(わな)に嵌()めようとした。ロシアルーブルを国際送金決済システム(SWIFT[スウィフト])から遮断(しゃだん)し、追放した(2022年2月)。そのことで、かえって、現在も続く金ドル体制(およびドル石油体制)が動揺し、打撃を受けた。そして中東産油諸国(アラビア、イスラム圏)が、アメリカの支配から脱出しつつある。このことによく表われている。

 私が本書で唱導(しょうどう)する「お金(マネー)も腐(くさ)る」論は、米ドルという通貨(カレンシー)の信用崩壊は、その背後にある「10年物(もの)米国債の暴落」という債券市場(ボンド・マーケツト)で長期金利がハネ上がってゆくことが、今のアメリカの最大の危機であり、もうすぐ金融(および財政)危機(マネタリー・アンド・ファイナンシャル・クライシス)が起きる必然を洞察(どうさつ)したことである。

 ここで「金利が上がる」とは、中古の(既発債の)国債市場で、実質利回り(リアル・イールド)real yield)の下落が、市場関係者たちの、目下の最大の恐怖の的(まと)であることを、本書で描き出したことにある。これが「お金も(放っておくと)腐る」理論として、私の頭の中で結実した。

 本書書き上げの伴走は、いつものとおり岡部康彦氏にお願いした。コロナ・ウイルス騒ぎとワクチンという、これもアメリカが仕組んだ日本民族抹殺計画に、身をもって自分の体の痛みに耐えながら、この本は成った。記して感謝します。

2023年11月

副島隆彦

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 今回は久保修著、副島隆彦監修『プロが厳選する 世界大恐慌が来ても絶対大丈夫な株200銘柄』(秀和システム)をご紹介します。発売日は2023年7月11日です。
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プロが厳選する 世界大恐慌が来ても絶対大丈夫な株200銘柄

久保修氏は私と同様に、副島隆彦先生の弟子で、現在、外資系の運用会社にて日本株の運用にあたっています。本作は久保氏の渾身のデビュー作です。副島先生の推薦文、目次、あとがきを以下に掲載します。参考にして、是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

推薦文 副島隆彦

 本書、『プロが厳選する 世界大恐慌が来ても絶対大丈夫な株 200銘柄』は、私の弟子である久保修君(仮名)が、気合を入れて書いたものである。

 彼は現役の歴戦のファンド・マネージャーであり、何百億円も顧客たちから資金を預かり、日本株で利益を出して来た。大損をしたこともあると言う。そして彼なりの血尿を出すほどの苦闘の末に、結論に到達した。それはウォーレン・バフェットが教えるバリュー投資(割安株を、半値で買って長く持つこと)であった。バリュー投資こそは投資の極意(ごくい)である、と彼は知った。

 そんな子供じみた、株の投資家なら誰でも知っていることを言うな、と読者は笑うだろう。しかしプロのファンド・マネージャーとして、高級な高等数学まで駆使して、実践で相場を

張って来た者であるが故に、この結論に達したのである。

この本に挙がっている日本株200株は、全て、優れた実績と、頑丈な経営実体を持つ、まさしく「大恐慌でも戦争でも、何が起きても大丈夫な株たち」である。経営陣がしっかりしていて技術力もあり資金(内部留保)もしっかりと持っている。

 この本に書店で出会って、持(も)ち前(まえ)のその鋭い嗅覚(きゅうかく)で、この本に載っている株たちを一覧しただけで「これは本物だ」とすぐに感づく人たちは、本当のプロ並みの株式投資家である。

 こんな厳しい時代に、それでも株の売り買いで儲(もう)けを出している人たちがいる。彼らは、変な騙(だま)しには乗せられない。騙されたら自分の〝虎の子〟の資産を失う。身を切られる思いである。投資は、やっぱり博奕(ばくち)である。どんなに気取って健全な資産の運用とか言ってみてもギャンブルである。不確実( uncertainty [アンサーティンティ])である先のこと(近[きん]未来)にサイコロを振って、己(おの)れの才覚で厳しく勝ち残らなければ済まない。敗残者は、自分の知恵と用心が足りなかった、と去ってゆくしかない。

 真剣勝負で、自分の身銭(みぜに)を賭ける者たちにウソは通用しない。全ての勝負は、勝つか負けるか、の丁(ちょう)(偶数)か半(はん)(奇数)かのどちらかで決まる。中途半端はない。あたりか外れ、のどっちかだ。

「儲(もう)ける」という言葉は、不思議な気がするが、「信じる(偏[へん])に者(もの)」と書く。

 自分が「これは本物だ。ウソはない」と、心底(しんそこ)信じて惚(ほ)れ込んで買う株こそは、自分の宝物だ。

  著者の久保修君は、早稲田大学大学院のファイナンス研究科を出た秀才だ。彼が言うには、「金融エリートたちは高級な金融理論(ファイナンシャル・セオリー)を学び、それに従って投資を行いました。そして皆、大失敗しました。客に大損をさせました。彼らは理路整然(りろせいぜん)と間違ったのです」と。

 久保君自身も、血の小便を垂らしながら苦闘の末に、長期投資を旨(むね)とするバリュー投資こそ高いリターン(利益)を上げられる、と悟った。人間、痛い目に遭(あ)わないと成長しない。

 株式投資(ここもやっぱり博奕[ばくち]の世界だ)もまた、厳しい人生の修行の場なのである。

2023年6月10日

副島隆彦

=====

『プロが厳選する 世界大恐慌が来ても絶対大丈夫な株200銘柄』目次

推薦文(副島隆彦) 1

序 章 大動乱の時代の絶対賢い株式投資 11

バリュー投資とは何か 12

米ドル中心の体制から、ロシアによる実物経済圏の構築へ 15

機能不全に陥りつつあるペトロダラー体制 16

「日本の借金は内国債だから財政破綻しない」論は極めて危険 21

ウクライナ戦争の帰結としての実物経済の台頭、ペトロダラー体制の崩壊 27

金と天然ガスに裏付けられたルーブルがドルより遥かに安全 34

ドル覇権は自壊する 39

本書の構成 47

第1章 インフラ・経済正常化関連30銘柄 51

2章 暴落したら買いたい76銘柄 73

第3章 軍需関連19銘柄 125

第4章 産業廃棄物、都市鉱山、鉱物資源37 銘柄 141

第5章 時価総額は小さいが、成長が見込まれる38銘柄 167

あとがき 195

=====

あとがき 久保修

 2023年に入り、日本株市場は活況を呈している。4月、5月と大量の外人買いにより、東証株価指数(TOPIX)は33年ぶりの高値を付けた(5月23日)。これはご祝儀(しゅうぎ)相場だ。日本にNATO(北大西洋条約機構)の事務所を置くことが決まり、西側陣営の一員として逃げられないようにしたことへのご祝儀だ。

 ただし、この間、為替は円安に振れている。4月5日の1ドル131円台から5月26

日には140円台まで、この2ヵ月で、約9円の円安になっている。「株式市場の外人買い」を「はるかに上回る円売りドル買い」があった、ということだ。G7で日本に来たバイデンが、日本から10兆円、20兆円のお金をむしり取ったのではないか。そうでなければ、「大量の外人買いが入ったのになぜか円安になった」ということの辻褄(つじつま)が合わない。

 債務上限問題という「お金の話」で七転八倒(しちてんばっとう)しているバイデンが、わざわざ日本に来たのは、日本から金をむしり取って、お金の話を何とかしようとしたためだ、と考えれば辻褄が合う。日本は今でもアメリカの属国であり、都合のいいATMのような役回りをずっとやらされている。

 この30年間、日本は全く成長していない。増えたのは借金だけだ。それでいて少子高齢化により日本の就労人口は減っている。だから、これから日本は大増税国家になる。

 このような成長のない日本で、それでも資産を守り、増やそうとするならば、業績が拡大

している企業の株に投資するしかない。日本に本社があり、日本の株式市場に上場している

企業の中には、本書で紹介したように、着実に利益を出している企業がたくさんある。バブ

ル崩壊後の30年間を、国に頼らず、自力で生き残ってきた企業だ。自分に経営の才や商売の才がなくても、親から受け継いだお金がある人は、これらの企業の株に投資して、株価が上昇することに賭けたらよい。

 株式は企業の所有分であり、実物だ。これからの動乱の時代、株式市場はものすごく乱高

下するだろうが、企業は株式市場の乱高下とは無関係に、生き残りを賭けて事業活動に邁進(まいしん)する。だから、株式市場の変動に一喜一憂せず、動乱の時代でも生き残る企業に投資して、5年でも10年でも保有しておく。動乱の時代が終わり、新たな時代が来た時に、生き残った企業の株価は、「5年、10年、保有してよかった」と思えるくらい、上昇していることだろう。

 本書は、師匠である副島隆彦先生の叱咤(しった)激励と、秀和システムの小笠原豊樹編集長のアドバイスにより、何とか出来上がった。お二人がいなければ、一介の相場師に出版の機会など与えられるはずがない。副島先生、小笠原編集長、どうもありがとうございます。

2023年6月

久保修

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 古村治彦です。 

 本日は、副島隆彦先生の最新刊『米銀行破綻の連鎖から世界大恐慌の道筋が見えた』(徳間書店)をご紹介します。発売日は2023年7月1日です。
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米銀行破綻の連鎖から世界大恐慌の道筋が見えた

 以下に、まえがき、目次、あとがきを貼り付けます。参考にして是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

まえがき

副島隆彦

●アメリカ地方銀行の取り付け騒ぎは終わらない

 アメリカで、中堅の地方銀行(リージョナル・バンク)の破綻(はたん)が5月にも相次いだ。この動きはさらに続く。9月には再び、銀行の取(と)り付(つ)け騒ぎ(バンク・ラニング bank running)が起きる。

 それは今年の3月10日に起きた取り付け(バンク・ラン)よりも大規模なものだ。

 アメリカの金融がガラガラと崩れつつある。

 私は、「世界大恐慌(ワールド・グレイト・デプレッション)が迫り来る」と、「株式(ストック)と債券(ボンド)の大暴落が起きる」と書き続けて、もう25年が経()つ。いまさら私は何を言い、何を書けばいいのか。ひとりで呆(あき)れ返(かえ)っている。私はホラ吹き人間だったのか?

「アメリカは強い。アメリカは強大だ。アメリカさまにしっかり付()いていれば、これからも日本は大丈夫だ」と言い続け、信じ続けた者たち、即ち、お前たちだ! この馬鹿やろうたちは一体、これからどうするつもりだ。

 今さら私に何の助言を求めるというのか。

 私、副島隆彦は、憮然(ぶぜん)として、ひとりで不愉快極まりない思いで事態を見つめている。5月の連休も、自分のこの金融本を書く気が起きないまま過ぎ去った。

「先生の次の金融本は、いつ出ますか?」と、自分のおカネ(投資)のことしか考えない人々が、安心、安全のお札(ふだ)がわりに私の新刊本を待つ。たいして真面目(まじめ)に読みもしないくせに。

 これからの世界の金融、経済の動きについて、私はもうグダグダと書かない。徹底的に分かり易く、サラサラと、書く。私の文章を読んだ人が、誰でもすっと分かるように1行ずつ、ではっきりと書く。1行ずつ、文章は平易であるべきだ、の極意(ごくい)を、私は、大(だい)作家のひとり谷崎潤一郎(たにざきじゅんいちろう)の文体[ぶんたい](スタイル)から学んだ。

 誰がいつまでも訳(わけ)の分からない、バカみたいに難かしい金融本、経済(学?)本なんか書いていられるか。金融、経済の専門家という連中は皆(みんな)、滅びた、死んだ。お前たちの高級文章なんか誰にも相手にされない。読んで貰(もら)えない。書いていることが、ウソで人騙(ひとだま)しだからだ。

 米の中堅銀行(各州を代表する有力な地銀[ちぎん]である)の経営破綻は、4月にいったん治(おさ)まった。危機が一旦(いったん)は、収束(しゅうそく)したように見える。しかし、皆さんもご存知のとおり、その後もぐずぐずとぐずついて、再びアメリカの銀行たちの取り付け騒ぎ(バンク・ラニング)が起きると言われている。次の連鎖破綻(はたん)は、8行までならいいが、10行を超すと金融恐慌(マネタリー・クライシス)になる。日本でも昭和2(1927)年3月に起きた(写真のとおり)。米政府(財務省)とFRB(連邦準備制度理事会)が助けきれなくなる。

●2024年から「ドル覇権の崩壊」が始まる

最近は「脱(だつ)ドル化」という言葉がよく言われる。アメリカのドルの信用が世界中で低下している。それでも、まだ世界の貿易の決済の54パーセントは、米ドルでやっている。これが、50パーセントを割ると、アメリカの世界からの信頼が決定的に落ちる。このことの別名が「ドル覇権(はけん)の崩壊」だ。私は、ドル覇権(ヘジェモニー)(米ドルによる世界支配)が終わることを、15年前(2007年)から書き続けている。

「副島の予言はハズレ」と言われてずっと不愉快だった。それで、それから、どうなったか。何が今、起きつつあるのか。まだ「副島ハズレ」と、私の本に向かって書評(ブック・レビュー)を書けるのか。

 アメリカのドルによる世界支配が、本当に崩れつつある。この考えに反対する人はもうほとんどいなくなった。日本人は、従順奴隷[じゅうじゅんどれい]という意味だ)だから、風向き(日和[ひより])に合わせて、何とでも、平気で自分の考えを変える。今やドル支配(覇権[はけん])の終焉(しゅうえん)は、いつ起きるか、の議論になっている。

「いやあ、まだあと20年は続く(即ち2043年まで)」と主張し続けた専門家たちが、アメリカにもずっといた。私は、そんなに長くはかからない、と書いて来た。来年2024年から、ドル覇権はガラガラと崩れるだろう。

 たとえ米ドルの弱体化(ドルの暴落)が起きても、アメリカの世界支配は、簡単には終わらなくて、ずっと続くと思っている人々が日本の保守派の大半だ。今もそうだ。しかし、そんなことはもう無いよ。あと数年で終わりだ。

●金とドルの戦いでドルは大暴落

 金(きん)は、これからまだまだ上がる。1グラム2万円、いや3万円までゆく。今(5月12日)金(きん)の小売(こうり)価格で、1グラム=9800円まで行った(P203の表を参照)。アメリカ政府(財務省)とFRB(米[べい]中央銀行)とゴールドマンサックスが組んで、違法そのものの、金(きん)ETF(イーティーエフ)(金(きん)証券。ペイパー・マネーの先物取引。差金決済[さきんけっさい])で、レバレッジ(投資倍率)を何と500倍どころか、今や1000倍ぐらいをかけて、金(きん)を売りクズしている。

 わずか1割(10パーセント)の担保(保証金)も差し出さずに、全くタダで「政府さま(お上[かみ])がやる取引だぞ」と〝裸の空(から)売り(ネイキッド・ショート・セリング)〟を仕掛けている。

 アメリカ政府(財務省とFRB)は、もう現物(げんぶつ)の金(きん)をほとんど持っていない。「アメリカはニューヨーク連銀(れんぎん)が8300トンの金(きん)を保有している」というのはウソである。

 もう、ケンタッキー州のフォートノックス(米陸軍の基地である)のニューヨーク連銀(れんぎん)の金庫(巨大な横穴[よこあな]の洞窟)に、金の地金(じがね)(ingot インゴット)はほとんど無い。有るはずなのに無い。使ってしまって外国に流れた。

 アメリカ政府がいくらドルの空(から)売りをやっても、もうダメだ。金(きん)が米ドルを、ブチ壊して大上昇してゆく。金(きん)とドルの戦いで、ドルの大敗(おおま)けが迫っている。だからドルは大(だい)暴落する。

 この金融本では、私はさらに、これからの金融の動きを予言をする。どこまででも分かり易く書く。

 日経新聞と週刊ダイヤモンドと週刊東洋経済という一流金融雑誌が、毎号、毎号書いているような難しいことを私は書きたくない。ああいう難しい文章を読んで、何か分()かったふりをしている投資家や金融業界の人間たちが大嫌いだ。私は、本当に分かりやすい言葉でお金(かね)の動きを説明する。これが出来なければ、私の負けだ。私はすでにこの25年間に70冊以上の、金融本を書いてきた。あいつら(金融評論家たち)に妥協して、私も難しいことを知ったかぶりをしてワザと書いてきた。それがもうイヤになった。

 恐れいったことに、この金融雑誌たちが、平気で、「世界恐慌が迫り来る」という特集記事を書くようになった。恐慌になる、大暴落が起きる、と書いたら、その業界人は、業界追放ではなかったのか。お前たちは、いつ、自分たちのルールを変えたのだ。この恥知らずどもめが。

●米政府は無限にお札を刷って自滅してゆく

 3月10日に、シリコンバレー・バンク(SVB)が経営破綻した。それで、アメリカに新しい金融危機が勃発した。それ以来アメリカは震(ふる)えている。誰もがこのことに気づいている。しかし、日本のアメリカの手先(てさき)どもが、今も団結して、日本国民を洗脳して、騙(だま)し続けているから、誰も公然と真実を言う(書く)者がいない。私、副島隆彦だけが、なんとか、かんとか書いてきた。

 私は、SVBの破綻の翌々日の3月13日に、自分のホームページにはっきり書いて予言した。次のアメリカの中堅銀行たちが破綻の連鎖をするのは7月だ、と。遅くとも9月までに次の米(べい)金融危機が起きると。だが、米(べい)政府とFRBは、自分たちがやることは違法(いほう)であり、さらに犯罪(刑事違法[けいじいほう])であることを知りながら、「もう、こうなったら」で無限にお札を刷って、市中(しちゅう)という名前の、危ない民間銀行たちに、10トン・トラックの現金輸送車で運び込む。こうなったら、何でもやる。「政府がやることはすべて合法(ごうほう)である」という近代(モダーン)ヨーロッパで生まれた、「国家は悪(あく)evil[イーヴォ])をなさず」(ハ?)の、おかしな法理論で突破する気だ。

 そして、その揚げ句に、(法律上の根拠がなく)刷り散らかし過ぎた米ドル札(さつ)と国債(こくさい)(国の借金証書)が原因で、ドルの信用が一気に、世界中で消滅して、それでドルの大(だい)暴落が起きるのだ。

 即ち、「ドル覇権の崩壊」 “ The() Collapse(コラプス) of(オブ) the() US(ユーエス) Dollar(ダラー) Hegemony(ヘジェモニー)  である。

 めでたし、めでたし。

=====

米銀行破綻の連鎖から世界大恐慌の道筋が見えた──[目次]

まえがき

アメリカ地方銀行の取り付け騒ぎは終わらない─2

2024年から「ドル覇権の崩壊」が始まる─5

金とドルの戦いでドルは大暴落─7

米政府は無限にお札を刷って自滅してゆく─9

第1章 世界大恐慌への道筋が見えた            

SVBの経営破綻から金融危機が始まった─18

やっぱり2024年に世界大恐慌に突入する─22

政府による銀行救済にも限度がある─31

米国債の高値掴みで損失を出した─37

ハイリスク・ハイリターン債とは高危険債だ─40

ニューヨークのジャンク債市場こそが金融核爆弾─42

債券市場から大恐慌が始まる─44

パウエルFRB議長が自らの誤りを認めた─46

米政府もFRBもお手上げの事態になる─51

アメリカの連鎖破綻がヨーロッパに飛び火した─56

第2章 これから米地銀の破綻が連鎖する   

これから全米で160行の中堅銀行が潰れる─66

米の有力地銀が次々と破綻する─72

日本でもAT1債を仕組み債で売っていた─86

国債の売り崩しをやっていた連中が敗北した─92

ついにNY株がピークアウトした─102

世界中で債券価格が暴落を始めたのはなぜか─106

金利が上がることほどいやなことはない─119

第3章 いよいよアメリカのドル覇権が崩壊する       

ジリアン・テットが金利リスクの恐ろしさを指摘─124

インフレとはエネルギー(石油、ガス)の価格が上がっているだけのこと─158

ペトロ人民元がアメリカのドル覇権に挑戦する─165

世界の主要な港でドル決済がどんどんされなくなっている─167

日本でも脱ドル化が進んでいる─173

ドルの大暴落への対応がリデノミネーション─178

アメリカは没落してドルは大暴落する─182

第4章 金は1グラム=1万円をもうすぐ超える       

金価格が暴騰し始めた─186

国内の金は1円の円安で、1グラム60円上がる─190

金は減価償却がないから売ったら消費税10%が返ってくる─195

国が召し上げるのは売値の3割と覚えておく─198

金の売買の証拠を見せられたら黙って払いなさい─201

(きん)を小分けにしたければ日本マテリアルに頼みなさい205

「ばかの金」で金(きん)をあやつる206

(きん)証券の先物市場はぶっ壊れてゆく208

世界の中央銀行が競って金を買い漁っている─214

金は上海黄金市場で取引されるようになる─226

預金封鎖がすでに準備されている─231

1ドル=1円にこれからなってゆく─235

日本円は新札切り替え時にリデノミネーションをやる─237

第5章 黒田日銀総裁は日本を救った            

黒田は勝利宣言をして引退の花道を飾った─242

日本国債暴落にかけたゴロツキ投資家たちが総敗北した─248

黒田日銀は米国債を売って日本国債を買った─249

日本のインフレ目標2%達成は黒田の大業績だ─260

アメリカの経済学は死んだ─264

日本が裏金でアメリカに貢いでいる残高は1800兆円─268

あとがき─280

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あとがき

 アメリカの次の銀行の連鎖倒産は9月だろう。遅くても10月だ。

 この本では「(これから)潰れる危ない米有力地銀(ちぎん)トップ14行のリスト」を、私は独自に作って載せた(本書P20とP64)。これがこの本の最大の売り物だろう。我れながら苦労して作った最先端の金融情報である。

 併せて、全米トップ45の銀行のリストも載せた。私が金融・経済の近(きん)未来予測を本に書き続けて25年になる。

 全米で潰れる(破綻処理)中堅銀行は60行と噂(うわさ)されている。

 私が自力で調査し作成した「危ない米銀行」をじっと見ていたら、これらは、全米50州の各々(それぞれ)の州を代表する銀行たちであることが分かって驚いた。その州の州民(日本でなら県民)にとっては、一(いち)大事で大騒ぎになっているだろう。このことが、日本にいる私には全く伝わらない。

 やはり、情熱、知識、ニューズは大きく統制(コントロール)されているようである。日本の金融メディアの欠点、欠陥、節穴(ふしあな)を補(おぎな)うために、私の本が存在する。私は、さらに意気揚々(ようよう)と、世界大恐慌(ワールド・グレイト・デプレッション)に向かう世界に、日本の持ち場からカッサンドラの預言(よげん)をあげ続ける。

 この本も徳間書店学芸編集部の力石幸一氏との地獄の共同作業の中から生まれた。記して感謝します。

2023年6月

副島隆彦 

ホームページ「副島隆彦の学問道場」 http://www.snsi.jp

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(貼り付け終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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