古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:司法省

 古村治彦です。

 現在、私が翻訳を行っているジョシュ・ホーリー著『ビッグ・テック5社を解体せよ』に関連する内容をこれからご紹介する。
jonathankanter501

ジョナサン・カンター
 ジョナサン・カンター(
Jonathan Kanter、1973年-、48歳)は、ニューヨーク州立大学オルバニー校(State University of New York at AlbanySUNY)を卒業して学士号を取得し、その後、ワシントン大学法科大学院で法務博士号を取得し、弁護士資格を得た。キャリアを連邦取引委員会に勤務する弁護士としてキャリアをスタートさせた。その後は、いくつかの法律事務所に勤務し、2020年には自身の法律事務所「カンター・ラー・グループ(Kanter Law Group)」を開設した。

2021年7月20日に、ジョー・バイデン大統領は、カンターを独占禁止法担当司法次官補(assistant attorney general for the antitrust division)に指名した。10月6日には、連邦議会司法委員会で人事承認のための公聴会が開催された。現在の状況は、「未定(TBDTo Be Determined)」である。しかし、人事承認は確実視されている。

 カンターについては、日本経済新聞に簡潔にまとめられた記事が掲載されていたので、以下に貼り付ける。

(貼り付けはじめ)

米、巨大ITの追及緩めず 司法次官補に反グーグル弁護士

逆境の巨大IT

2021721 19:43 (2021721 21:13更新)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2101X0R20C21A7000000/

【ワシントン=鳳山太成】バイデン米大統領は20日、司法省の反トラスト法(独占禁止法)担当トップに米グーグルへの批判で知られる弁護士を指名した。米連邦取引委員会(FTC)のカーン委員長を含め、競争政策を担う主要ポストにはIT(情報技術)大手に厳しい専門家をそろえる。独禁法を厳しく執行する方向へ転換する姿勢を鮮明にした。

この弁護士は、司法省の反トラスト局を率いる次官補に指名されたジョナサン・カンター氏。就任には議会上院の承認が必要だ。

司法省とFTCは反トラスト法を共同で所管する。カンター氏が就けば、カーン氏と共に独禁当局ツートップを形成する。FTCは委員5人の多数決で意思決定するが、司法次官補は組織の長として大きな権限を持つ。

カンター氏は巨大IT企業に挑む弁護士として名をはせてきた。米メディアによると、米マイクロソフトや飲食店口コミサイト「イェルプ」の代理人弁護士として、競合であるグーグルや米アップルなどの不公正な慣行を訴えてきた。

カンター氏は自身が設立した法律事務所の代表を務める。「反トラストの権利擁護者」を自称し、活動家の側面を持つ。オバマ元政権で司法次官補を務めたビル・ベア氏は「尊敬される経験豊富な弁護士だ。全国民に対して自由市場経済を機能させるという(バイデン)政権の公約に取り組むだろう」と話す。

デジタル時代に沿うように反トラスト法の改正を求める声もあるが、現行法でも対応可能だというのがカンター氏の主張だ。202010月のイベントでは「私たちには法律がある。勢いよく情熱を持って定期的に執行しよう」と述べていた。

司法省は米国のIBM、マイクロソフトといった巨大企業を独禁法違反で提訴してきた。01年に発足した共和党のブッシュ政権(第43代)を機に、独禁法にからむ大型訴訟は途絶えた。カンター氏は独占や寡占に寛容な当局の姿勢をやり玉にあげてきた。

トランプ前政権の司法省は2010月、グーグルを独禁法違反の疑いで提訴した。カンター氏が就任すれば、23年にも公判が始まる久しぶりの大型訴訟を引き継ぐ。

バイデン氏は司法省の独禁法担当トップには穏健派を登用し、カーン氏のFTC委員長指名とのバランスをとろうとするとの見方もあったが、リベラル色を前面に押し出した。「巨大IT企業解体」を唱える民主党左派のウォーレン上院議員は「企業の強力な支配力を監視する戦いのリーダーだ」と、今回の人選を称賛した。

(貼り付けはじめ)

 上の記事にあるように、カンターは法律家(弁護士)としてのキャリアを連邦取引委員会(日本の公正取引委員会)から始め、その後はいくつもの法律事務所に所属しながら、中小企業の代理人として、グーグルやマイクロソフトとの訴訟を戦ってきた。今回、司法次官補となり、反独占禁止法違反容疑でビッグ・テックを捜査し、訴訟を提起するということになるだろう。

 バイデン政権の「ビッグ・テック解体」を目指す姿勢を示すのが、ジョナサン・カンターの指名である。今後は後2人のキーパーソンを紹介していく。

(貼り付けはじめ)

バイデンは、ビッグ・テックの批判者を司法省の独占禁止法担当部門責任者に指名(Biden to appoint Big Tech critic to DOJ antitrust role

クリス・ミルズ・ロドリゴ筆

2021年7月20日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/technology/563923-biden-to-appoint-big-tech-critic-to-doj-antitrust-role

バイデン大統領は法律家のジョナサン・カンターを司法省の独占禁止法担当部門の責任者として指名する計画を持っている、とホワイトハウスは木曜日に発表した。これはバイデン政権のビッグ・テックとの対峙姿勢のもう一つのシグナルだ。

カンターの指名は、司法省と連邦取引委員会(FTC)に対しテクノロジー業界における反競争的行為の取り締まりを強化するよう求めてきた進歩主義的な各組織にとって、満足できる人事となった。

昨年、自身の法律事務所を立ち上げたカンターは、独占禁止法の執行機関にグーグルを訴えるように仕向けようとする企業の代理人を務めてきた。人事承認を得られれば、カンターは、独占禁止法担当司法次官補(assistant attorney general for the antitrust division)に就任することになる。今回の人事を最初に報道したのはブルームバーグだった。

「アメリカン・エコノミック・リバティーズ・プロジェクト」の上級部長サラ・ミラーは次のように述べている。「バイデン大統領は、司法省の独占禁止法担当部門の責任者に素晴らしい人物を選んだ。ジョナサン・カンターは経験豊富で、有能で、知的先見性を持っている。彼はバイデン政権下での独占禁止法に基づいた執行を確実に行い、それは労働者や中小企業、共同体のための仕事をしてくれるだろう」。

ミラーは更に次のように述べた。「高い能力を有する法律家(弁護士)として、カンターはキャリアを通じて、独占禁止法の執行の再活性化に取り組んできた。彼は、ビッグ・テックに対する主要な独占禁止に関する調査において、最も成功した法的議論を数多く展開してきた。彼は連邦議会の民主、共和両党から、さらに法曹界において多くの人々からの尊敬を集めている」。

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)はバイデンの指名を称賛し、カンターについて、「企業の統合的な力を抑制し、市場における競争を強化するための戦いにおけるリーダー」と評した。

民主、共和両党で50議席ずつを持っている連邦上院で人事承認が得られれば、カンターは連邦取引委員会委員長リナ・カーンとホワイトハウスの経済アドヴァイザーであるティム・ウーと共に、バイデン政権内のビッグ・テックに対して声高の批判を行う人々のグループに参加することになる。

今回のカンターの指名の前には、バイデンは競争促進を目的とした包括的な大統領令を発表した。大統領令の実行は、連邦取引委員会と司法省独占禁止法担当部門に大きく依存している。

連邦上院司法委員会反独占小委員会委員長は声明の中で、「カンターの司法分野における深い経験と積極的な行動を主張してきた経歴を見れば、司法省独占禁止法担当部門を率いる地位に彼を就けることは素晴らしい選択である」と書いている。

カンターが司法次官補に就任すれば、グーグルが検索およびオンライン広告の分野で、違法に独占的な地位を維持しているとする既存の訴訟を引き継ぐことになる。

フェイスブックとアマゾンは既にカーンに対して、自分たちを対象とした調査を中止するように求めている。カンターの過去の仕事を見れば、グーグルから同様の異議申し立てがなされる可能性がある。

=====

大企業の力に対峙するために、バイデンにはジョナサン・カンターが必要だ(To confront corporate power, President Biden needs Jonathan Kanter

モンダレー・ジョーンズ連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)

2021年4月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/blogs/congress-blog/judicial/549404-to-confront-corporate-power-president-biden-needs-jonathan

1980年代以降、企業の力はどんどん強まっていく一方で、独占禁止法を執行する連邦政府諸機関は、その責任をほとんど放棄し続けて現在に至る。このような企業の力の集中は、経済に対する脅威であるだけでなく、民主政治体制そのものへの脅威でもある。

連邦取引委員会(FTC)委員長にリナ・カーン、国家経済会議(NEC)の大統領特別補佐官にティム・ウーをそれぞれ指名することで、バイデン大統領は、企業に対して制つめ五責任を果たさせる準備ができていることを示した。彼の独占禁止法担当ティームの人事の仕上げとして、現在の独占禁止運動の主導者を、独占禁止法担当司法次官補に指名することが必要だった。その人物こそはジョナサン・カンターだ。

独占禁止法執行こそは、企業の力を抑制し、公正で包括的な経済を構築するために、連邦政府が持つ最良の手段の一つである。独占禁止法担当司法次官補の仕事は、現在の経済のルールを決めている現代の独占企業に対抗するための政権のアプローチを確立することである。連邦下院司法委員会独占禁止法小委員会の委員として、我が国の独占禁止法は、独占禁止法執行者たちくらいにしか効果的ではないということが分かっている。

これまでの数十年間、私たちは独占禁止法執行の重要性を痛い目に遭いながら学んできた。連邦政府は、大企業が自分たちに有利なように市場を操作するのを阻止できなかった。その結果、労働者、中小企業、消費者が犠牲になってきた。

大統領選挙候補として、バラク・オバマは「独占禁止法執行の再活性化」を公約として挙げた。しかし、オバマ政権は、アマゾン、フェイスブック、そしてグーグルのようなビッグ・テックの各企業が独占的な地位を確立することを阻止できなかった。アメリカン・エコノミック・リバティーズ・プロジェクトが明らかにしたように、オバマ政権は大企業の持つ力に挑戦する歴史的な機会を得ていた。しかし、オバマ政権の最高幹部たちのほとんどは、レーガン政権から始まった「大企業には手を出さない」アプローチから脱却しようとはしなかった。その結果として、2009年から2019年にかけて、五大インターネットプラットフォーム企業による400件以上の行買収に対して、1件も独占禁止法の執行は行われなかった。

驚くべきことに、オバマ政権は、独占禁止法の執行を難しくした面もある。2010年、取引委員会と司法省独占禁止法担当部門の両者は、企業統合を黙認するために、一部の合併ガイドラインを改訂した。法学教授であるダニエル・クレインは『スタンフォード・ラー・レヴュー』誌に掲載した論文の中で、これらのルールは、「(この種の)合併による集中は、以前の体制に比べて、独占禁止法の審査を受ける必要が出てくる」ということを示唆していると書いた。

2010年、司法省独占禁止担当部門は、ライヴネイション社とティケットマスター社の合併を承認した。両社はチケット販売とコンサート関連市場をそれぞれ支配していた。しかしながら、企業合併は単純に企業の力を統合することではあるが、独占禁止法担当省次官補はこの企業合併を承認した決定について、両社に対して一部資産の売却を認めることを条件に付けただけだった。この決定について「強力な独占禁止法の執行だったが、ハンマー(sledgehammer)ではなくメス(scalpel)を使っているだけのことだった」と評された。

同様に、オバマ大統領の連邦取引委員会は、2013年に反競争の行動について、グーグルに説明責任を果たさせることに失敗した。広範囲にわたる捜査の結果、連邦取引委員会のスタッフたちは、グーグルを独占禁止法で提訴すべきだと連邦取引委員会に働きかけたが、連邦取引委員会は訴訟の提起を拒絶した。

そして、当然のことだが、オバマ政権はフェイスブックがインスタグラムとワッツアップの買収することを阻止できなかった。フェイスブックは強力な競争相手となり得る存在を吸収することができた。

これまでのところ、バイデン大統領の独占禁止法関連の人事は、新しい、より希望に満ちた道筋を描いている。バイデン大統領は、優れた独占禁止法執行の主導者であるリナ・カーンを連邦取引委員会委員長に指名することで、新しい経済のために強固な独占禁止法の執行を刷新することを決心したことは明らかだ。また、技術・競争政策のアドヴァイザーとしてティム・ウーを起用したことで、バイデン大統領は新しい進歩主義時代の到来を認識していることを示した。今回の人事により、バイデン大統領は、すべての人に恩恵をもたらす経済を実現するために必要な、勇気ある指導力を発揮している。

独占禁止法担当ティームの性格が大きく変更されつつあるが、その変更を完成させるためには、バイデン大統領はジョナサン・カンターを独占禁止法部門担当司法次官補に任命すべきだ。カンターが司法の世界で最初にインターンとして働いたのが連邦取引委員会だった。それ以来、カンターは集中した企業の力に対峙することでキャリアを過ごしてきた。 連邦取引委員会の競争担当部で弁護士として働いていた時、カンターは、統合による危機を生み出した大企業の合併に異議を唱えた。現在、司法省は最近では最も重要な独占禁止法違反容疑の訴訟である、アメリカ合衆国対グーグルの訴訟を抱えている。独占禁止法担当部門は、創造性を持ち、訴訟における法理論を構成するために努力を惜しまない人物に率いられるべきだ。アメリカとヨーロッパでは、独占禁止法執行部門は、現代の独占巨大企業に対する最も厳しい訴訟に勝つためには、ジョナサン・カンターから助言を受けねばならない。法律関係の出版において、ジョナサン・カンターが独占禁止法に関する指導者として繰り返しトップにランク付けされる理由はここにある。

最も重要なポイントだと思われるのは、カンターはキャリアを通じて、今の時代に必要な政治的勇気を持っていることを示していることだ。カンターは、私たちがテクノロジー産業のプラットフォーム提供巨大企業の力を再認識する数年前にすでに、グーグルがテレビ業界を支配することに警鐘を鳴らしていた。2018年に連邦上院で証言を行った際、カンターは「集中した経済力は、集中した政治力と同様に、自由に対する大きな脅威となり得る」と強調した。また、自身の法務活動を通じて、競争を促進するために苦しい戦いを強いられている中小企業を代理してきた。今こそ、私たちのために考えてくれる、独占禁止法執行者が必要とされているのだ。

次期独占禁止法担当司法次官補(assistant attorney general for the Antitrust Division)は、チェックを受けない大企業の力こそが問題だ、その解決のためには大企業の力と対峙しなければならないと認識する人物が就任しなければならない。アメリカの歴史が示しているのは、司法省独占禁止法担当部門においては、真の反独占主義者が責任者に就くことで、アメリカの働く人々と小規模業者たちに大きな利益を与えることができるということだ。バイデン大統領がフランクリン・デラノ・ルーズヴェルト大統領の足跡を負いたいと望むならば、問題の当事者ではなく、解決の当事者でもある人を選ぶ必要がある。

=====

バイデンは独占禁止法担当人事でテクノロジー企業に対する厳しい姿勢を示す(Biden signals tough stance on tech with antitrust picks

クリス・ミルズ・ロドリゴ、レベッカ・クレアー筆

2021年7月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/technology/564612-biden-signals-tough-stance-on-tech-with-antitrust-picks

バイデン大統領によるジョナサン・カンターの独占禁止法担当司法次官補指名は、アメリカ最大のテクノロジー企業の解体(break up)を目指す進歩主義派の運動に支持される、予想外の一連の人事が完成したことを意味する。

カンターと共に、バイデン政権はリナ・カーンを連邦取引委員会(FTC)委員長に就任させ、ティム・ウーをホワイトハウスの補佐官に指名した。

3名の人事は、バイデンの反独占禁止法の再活性化と独占に対する挑戦の意図を示すものだ。

最近盛り上がりを見せている独占反対運動の主要な団体であるアメリカン・エコノミック・リバティーズ・プロジェクトの政策・アドヴォカシー担当部長モーガン・ハーパーは、

「今回の指名は、バイデン大統領が強力な独占禁止法執行と優れた競争政策を持つことにどれほど真剣に取り組んでいるかを示す、極めて重要な一歩である」と述べている。

ハーパーは続けて次のように述べている。「問題をよく理解しているだけでなく、経済で起きている多くの問題を解決するための政策に積極的に取り組むという実績を持つ人々を見ることは興奮することです」。

カンターは、独占禁止法専門弁護士として中小企業を代理していた時代に、長年にわたり巨大ハイテク企業を批判してきた。

イェルプやマイクロソフトを含む、グーグルの反競争的な行為を非難する企業の代理人をカンターは務めてきた。司法省が検索エンジン大手のグーグルに対して現在進行中の独占禁止法違反訴訟を抱えていることを考えると、カンターの指名は特に重要な意味を持つと考えられる。

カンターとカーンの両者の独占禁止法に関する考えを現実化するためには、訴訟が重要な道具立てということになる。

カーンが率いる連邦取引委員会は、今年6月に最初の訴訟が棄却された後、フェイスブックに対する訴訟で、訴状の修正版を提出する期限が今月末に迫っている。

この訴訟のターゲットは、フェイスブックが以前に買収したワッツアップとインスタグラムである。

訴訟以外にも、連邦取引委員会は新しい規則を発行したり、報告書を作成したり、公聴会を開いたりして、経済の様々な分野での集中に注意を喚起することが可能である。

カーンは、連邦取引委員会委員長に就任してから、今月2回の公開ミーティングを開催するなど、すでにいくつかのステップを踏んでいる。

連邦取引委員会は今週、消費者保護団体にとって重要な課題である、「修理を行う権利」に関する諸法を施行することを全会一致で決議した。

カーンは会合の席上、次のように述べた。「連邦取引委員会は、違法な修理制限を根絶するために利用できる様々な手段を保有しており、本日の政策ステイトメントは、この問題を新たな勢いで前進させることを約束するものだ」。

この政策ステイトメントは、連邦取引委員会が直面している、論争の少ない投票の一つとなった。連邦取引委員会は今年5月、この問題についての長文の報告書を発表した。この報告書に関しては、その当時に委員会に在籍していた4名の委員全員が賛成票を投じた。

しかし、消費者金融保護局の責任者に指名されたロヒット・チョプラ委員長の後任をバイデン氏が指名する時期によっては、他の施策の可決が難しくなる可能性がある。

例えば、水曜日の会合の席上、連邦取引委員会は、1995年に出された政策ステイトメントを取り消すことを3対2の賛成多数で決議された。この政策ステイトメントでは、過去の合併で法律に違反した企業に対して、今後の合併の際には連邦取引委員会の事前承認を得ることを義務付けるという慣行が廃止された。

カーンは、会議において、1995年の政策によって「追加的な負担」がもたらされ、「すでに窮地に立たされている資源を使い果たしてしまう」と主張した。共和党側の委員たちは1995年の政策ステイトメントの取り消しは「不確実性をもたらす」と主張した。

今月初めの、カーンが委員長となって開催された最初の会議において、共和党側の委員2名は同様に反対票を投じた。これは、既存の独占禁止法に違反していない「不公正な競争方法」に異議を唱えることを封じる2015年の方針声明を廃止する投票について、反対したのだ。

新たに指名された人物たちはホワイトハウスから完全な支援を受けていることが明らかだ。

バイデン大統領は今月初め、各産業分野における反競争的行為を取り締まることを目的とした包括的な大統領令を発表した。ホワイトハウスが発表したファクトシートによると、この大統領令では、司法省と連邦取引委員会が「過去の悪質な合併に異議を唱える」ことが法律で認められていることになった。

ハーヴァード大学ケネディ記念行政学大学院教授でオバマ大統領の経済アドヴァイザーを務めたジェイソン・ファーマンは「バイデン大統領は個人的に、競争に関する諸問題について大いに関心を持っている。連邦取引員会の動きはこれに同調している」と述べている。

米国の消費者が電子機器や自動車を自ら修理できるようになるが、メーカー側はこれについて引き続き反発している。連邦取引委員会は、修理する権利の投票などバイデン大統領の命令で示された提言に沿って、すでにいくつかの行動を起こしている。

カンターは、バイデンの命令を司法省で実現するために、指名プロセスを通過しなければならない。

カンターの指名は、連邦上院司法委員会独占禁止法小委員会委員長であるエイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州、民主党)やエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州、民主党)などの連邦上院民主党の主要メンバーから絶賛された。

カンターの人事承認は、民主党側の賛成票だけで進めることができるが、マイク・リー連邦上院議員(ユタ州選出、共和党)もカンターに前向きな姿勢を示している。

連邦上院独占禁止法小委員会共和党側幹部委員であるマイク・リー議員は本紙の取材に対して声明で次のように述べた。「カンター氏のビッグ・テックと対峙してきた経歴を見て、私は彼に賛成票を投じることを考えている。私は人事承認プロセスを通じて、彼の適格性についてより多く学べることを楽しみにしている」。

バイデンが指名した人々が共有している独占禁止についての考えの実現を確実にするためには連邦議会の存在も重要になる。

前述のファーマンは次のように述べた。「しかし、重要なポイントは、リナ・カーンとジョナサン・カーンが司法システムの内部に入ってしまったことだ。ほとんどの問題について、最終的には彼らが判断するのではなく、裁判官が判断することになる。従って、彼らは自分たちの考えをそのまま実現することはできない」。

連邦下院司法委員会は先月、独占禁止法を改善し、規制当局が最大規模のテクノロジー企業を攻撃しやすくすることを目的とした法案の審議を進め、本会議の審議のために上程した。

しかし、司法委員会での投票は、民主党内の分裂を浮き彫りにし、連邦下院での可決のチャンスをふいにする可能性があった。特に、穏健派の指導者たちは、いくつかの法案に懸念を表明している。

(貼り付け終わり)

(終わり)

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 「ロシアゲート」「クレムリンゲート」と呼ばれる、ドナルド・トランプ大統領とその周辺人物たちとロシアとの関係をめぐる「疑惑」を追及する動きが勢いづいています。これは、トランプ大統領がジェイムズ・コミーFBI長官を解任したことから始まります。司法省のジェフ・セッションズ司法長官(Attorney General)とロッド・ローゼンスタイン副長官(Deputy Attorney General)はメモ(文書)を作成し、コミー長官が昨年の大統領選挙期間中に、民主党の有力候補であったヒラリー・クリントン元国務長官の私的Eメールサーヴァー使用問題について、捜査について記者会見をし、公開書簡を連邦議会に送るなど、選挙に影響を与えたことがFBI長官の職務を逸脱していると激しく非難しました。トランプ大統領は両者のメモに基づいてコミー長官解任を決定しました。

 

 しかし、ローゼンスタイン副長官は、「解任するべきだとまではメモに書いていない」「トランプ大統領はコミーを解任したくてうずうずしていて、メモを手にして渡りに船とばかりに自分の行動を正当化するために利用した」と憤っているという報道が出ました。

 

 コミー解任時に、「ローゼンスタインとは何者だ?」ということで注目を浴びるようになりました。ローゼンスタインは司法省生え抜きの幹部職員です。ハーヴァード大学法科大学院時代には学内法律誌『ハーヴァード・ラー・レヴュー』誌の編集長をしています。バラク・オバマ前大統領も在学時に編集長をしていますが、成績が良くなければ選ばれないポジションです。また、メリーランド地区連邦検察官に任命され、空中分解していた連邦検察局を建て直したという実績もあります。有能な、頭の切れる官僚です。

 

 民主党側は昨年の大統領選挙期間中からコミー長官やFBIを選挙に影響を与えたとして批判してきましたが、トランプ大統領がコミー長官を解任すると、この解任を批判しています。FBIが現在、マイケル・フリン前大統領国家安全保障問題担当補佐官とロシアとの関係を捜査中で、捜査妨害だ、と批判しています。また、トランプ大統領がコミー長官に対して、フリンへの捜査に手心を加えるように求めたという話も出てきて、批判の度合いを強めています。トランプ政権が自分たちに都合の悪い捜査、ロシアとのつながりに関する捜査を妨害している、という批判が高まっています。

 

 先週、ロッド・ローゼンスタイン副長官は、ロバート・ムラー元FBI長官(コミー前長官の前任者で10年以上FBI長官を務めた)を特別検察官に任命し、トランプ政権とロシアとの関係を捜査させる権限を与えることになりました。ジェフ・セッションズ司法長官は、トランプ政権の一員でもあり、政権が捜査対象となるために、この任命には関与できませんでした。コミー長官解任に反発した民主党所属の連邦議員は、「それならば、政権に対してより独立性が高い独立検察官や特別検察官を任命すべきだ」と主張していましたが、特別検察官任命は彼らを満足させるはずでした。

 

 しかし、ローゼンスタイン副長官は連邦議事堂で連邦議員たちとの会議に出席したのですが、ほぼ全ての質問に回答拒否をして、議員たちを怒らせたようです。捜査情報を表に出し過ぎたということで、コミー長官を非難したので、情報公開には慎重な姿勢を取ったということでしょうが、民主党議員たちは怒り心頭です。

 

 ローゼンスタイン副長官は「自分はあくまで、司法副長官としての職務を全うしている」と言うでしょうが、なかなかの策士です。彼はトランプの考えを忖度してコミー長官解任を正当化できる理屈を考えだし、それにトランプ大統領が乗りました。しかし、返す刀で、特別検察官を任命し、トランプ政権から邪魔をされない形でロシア問題(ロシアゲート、クレムリンゲート)を追及できる形を作り上げました。トランプの味方のふりをして、トランプを攻撃する形を作ったということになります。ですが、ここで民主党側を喜ばせると、自分の中立性、不偏不党が疑われますから、民主党側にも肩入れしないということで、素晴らしく官僚的な動きをしています。

 

 ローゼンスタインの目的はどこにあるのか、まだはっきりしませんが、ワシントンのエリート攻撃のためにできたトランプ政権に対する、エリート側の反撃と言うところではないかと私は考えます。

 

(貼り付けはじめ)

 

民主党はローゼンスタインへの不満を募らせる(Dem frustration grows with Rosenstein

 

マイク・リリス、ケイティ・ボー・ウィリアムズ筆

2017年5月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://thehill.com/homenews/house/334234-dem-frustration-grows-with-rosenstein

 

連邦下院の民主党所属議員たちは金曜日、大統領選挙におけるロシアの行動とトランプ政権とロシアとの関係についての捜査について、ロッド・ローゼンスタイン司法副長官からブリーフィングを受けたが、不満を募らせることになった。

 

民主党所属議員たちは、連邦議事堂の地下にある部屋で開かれた機密扱いの、非公開の会議に出席した。会議後、議員たちは、リンダ・サンチェス連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)の言葉を借りると、ローゼンスタインは「単純な、イエスかノーかの質問にさえ答えることを拒否した」と不満を表明した。議員たちは、司法省の捜査全般を監督する、トランプ大統領が任命した司法副長官がホワイトハウスの影響を受けているのではないかという懸念を募らせている。

 

会議室を後にしながら、連邦下院民主党議員連盟の副会長サンチェス議員は、「ローゼンスタインに対する疑念は消えていない」と語った。

 

サンチェス議員は次のように語った。「“私たちを信頼してください、誠実に職務を遂行しています。正直にやっています。変な魂胆など持っていません”“とにかく信頼してください”という言葉ばかりでした」。彼女は続けて次のように述べた。「私は、“OK、信頼しましょう、だけど証明をしてください”という立場です。私たちには事実に基づいた情報を望んでいるのです」。

 

ルベーン・ガレゴ連邦下院議員(アリゾナ州選出、民主党)は怒りをあらわにしながら、更にきつい言葉遣いだった。「無駄な」ブリーフィングで、こんなものをいくら受けても、連邦議会と司法省との間の不信感は募るばかりだ、と吐き捨てた。

 

ガレゴ議員は「ローゼンスタインは連邦議員たちの間に混乱と怒りを増幅させています」と述べた。

 

セス・モールトン連邦下院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)もまた不満をぶちまけた。

 

会議の後、モールトンは次のように語った。「会議室の中には不平不満が充満しました。ブリーフィングを受けて、私たちはトランプ政権を信任すべきではないという確信を新たにしましたよ」。

 

ローゼンスタイン司法副長官を任命したのはトランプ大統領だ。ローゼンスタインは先週、蜂の巣をつついた格好になった。ジェイムズ・コミーFBI長官の2016年の大統領選挙期間中におけるヒラリー・クリントンの私的Eメール使用スキャンダルの取り扱いを非難した3ページのメモをローゼンスタインが書いた。トランプは最初、ローゼンスタインのメモをコミー解雇の主要理由に挙げていた。それ以降の10日間、トランプの発言は変化している。ローゼンスタインは、大統領が過度に彼のメモに依存していることに怒りを覚えていると報じられた。

 

ローゼンスタインは、木曜日には連邦議事堂で連邦上院議員たちに対してブリーフィングを行った。その際、議員たちに対して、彼がメモを書く前に既に、トランプがコミーを解任したいと思っていたことを知っていたと述べた。ローゼンスタインは、トランプ大統領によるコミー解任を正当化するために彼のメモが使われたと示唆している。

 

水曜日、ローゼンスタインは再び新聞の1面を飾ることになった。彼はコミー長官の前任者ロバート・ムラー元FBI長官をロシアとトランプとの関係を捜査する特別検察官に任命した。

 

ムラーは民主、共和両党の連邦議員たちによって好意的に受け入れられた。彼は党派を超えて、信頼性の高い操作を行うことができるという評価を受けている。ルイ・ゴウマート連邦下院議員(テキサス州選出、共和党)は例外だ。ゴウマート議員は金曜日の会議の最後にマイクを手に取り、新任の特別検察官について批判したと複数の議員たちが証言した。

 

他の出席者たちも受け入れていなかった。

 

ある議員は、「ローゼンスタインが話している時に、全員が部屋を出ていこうとしていた」と述べた。

 

金曜日の会議の参加者全員が失望した訳ではなかった。ダレル・アイサ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)は、ムラーが徹底的な捜査を行うために必要な知識と経験を備えているので信頼していると述べた。アイサ議員は今年になって、特別検察官任命を最初に発言した議員である。

 

アイサ議員は「ムラー氏が特別検察官に任命されると聞いて、私はとても満足です。ムラー氏は特別検察官として、直接的にかつ間接的に全てを指揮する力を持っていますからね」と述べた。

 

民主党議員たちは共和党側ほど満足してはいない。

 

モールトンは次のよう述べた。「ローゼンスタインは多くの質問に対して回答拒否で返した。政権によるコントロールとムラーが本当に必要とする権威と権限を与えられるのかどうかについて、懸念を感じている」。

 

連邦下院情報・諜報委員会の委員であるマイク・キグリー連邦下院議員(イリノイ州選出、民主党)は畳み掛ける。

 

キグリー議員は、「ローゼンスタインはこちらからの質問に対して準備不足でした。ロシア関連の捜査について懸念を持っている人々を満足させることなどできませんでしたよ」と述べた。

 

======

 

ロッド・ローゼンスタイン、コミー解任の裏にいるミステリアスな人物(Rod Rosenstein, the Mystery Man Behind Comey Firing

 

―かつての同僚や司法省の官僚だった人々は、司法副長官がいかにしてトランプの刺客となったのかと不思議に思っている

 

エリアス・グロール筆

2017年5月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/05/10/rod-rosenstein-the-mystery-man-behind-comey-firing/

 

今週火曜日まで、ロッド・ローゼンスタインはワシントンで最も無名で、最も力を持つ人物であった。ドナルド・トランプ大統領がジム・コミーFBI長官を解任し、ローゼンスタインの判断に従ったと述べた時、司法副長官は無名の存在から一気に人々の注目を集める存在になった。

 

司法省に勤務しいていた人々はローゼンスタインを完璧なプロフェッショナルと言いながら、トランプ政権のホワイトハウスのためにFBI解任を主導する役目を引き受けることになったのか、不思議に思っている。水曜日、本誌はローゼンスタインの同僚だった人々に取材を行った。彼らは全て匿名を条件に取材に応じた。彼らは、ローゼンスタインを誠実な人物であると賞賛しながらも、いかにしてトランプの刺客となったのかと首をひねっていた。

 

ローゼンスタインがメリーランド地区の連邦検事を務めていた時にその下で働いていた司法省所属の弁護士をしていた人物は次のように語る。「ロッドは馬鹿ではありません。彼は経験豊富で、頭が切れ、常識をわきまえた人物です。ロシアと共謀について捜査している現職のFBI長官を解任することは狂ったことだということを理解しなければなりません」。

 

ローゼンスタインは、厳しい叱責内容を3ページのメモにまとめた。ローゼンスタインは、コミーFBI長官は、ヒラリー・クリントン元国務長官の私的なEメールシステム使用に対する捜査の取り扱いによって、人々の信頼を損なったと述べた。2016年7月、コミーFBI長官は記者会見を開き、FBIは民主党の大統領選挙候補有力と見られていたヒラリー・クリントンに対する不起訴を勧告すると述べた。ローゼンスタインは、コミーが不起訴相当という司法省への勧告を公にしたことで、司法省の優越の権威を損なうことになったと主張した。

 

トランプ大統領はコミー解任にあたり、ローゼンスタインのメモを引用している。しかし、ローゼンスタイン副長官はコミー長官の解任までは提案していないのだ。司法帳に勤務していたある弁護士は次のように語った。「ロッドは、技術的にジム・コミー解任を求めることに意味はないという事実を認識していますよ。彼は頭脳明晰なんですから」。

 

ジェフ・セッションズ司法長官は当事者ということもあり、米大統領におけるロシアの介入と、トランプの側近とクレムリンとの間の共謀にFBI捜査に関わることができないということもあり、ローゼンスタインは論争を起こすロシア関連の捜査を監督する責任を担っている。火曜日、CNNは大陪審が前大統領国家安全保障問題担当補佐官マイケル・フリンのビジネス上の取引相手を召喚した。マイケル・フリンは、駐米ロシア大使と自分との接触の程度について、マイク・ペンス副大統領に嘘をついたという報道が出て、補佐官就任後1カ月もしないうちに辞任した。

 

トランプ政権がローゼンスタインを司法副長官に任命すると発表した時、法執行分野の人々は安心のため息をついた。ローゼンスタインは司法省生え抜きのある職員で、ジョージ・W・ブッシュ大統領からメリーランド地区連邦検察官に任命された。ローゼンスタインは、無秩序のままに放置されていた地区検察を立て直してくれると期待され、検察官に任命された。ブッシュ大統領時代に任命された連邦検察官の中で、オバマ政権下でも引き続き職務を続けることができたのはローゼンスタインだけであった。多くの人々は、ローゼンスタインがトランプ政権の最悪の行き過ぎを和らげるために手腕を発揮すると見ていた。

 

ローゼンスタインは、コミー解任にあたり正当化の理由を与える役割を果たした。これに対して、司法省のヴェテラン職員たちは、これに疑問を持っている。司法省で国家安全担当部門の職員を務めたある人物は次のように語る。「ローゼンスタインがこのような行動を取ったことに驚き、失望しています。私はローゼンスタインの誠実性はいつも大変信頼しています」。

 

厳しい批判され、コミー解任に関するホワイトハウスの説明は最初のものから24時間で大きく変化している。まず、トランプの側近たちは、司法省によるコミー解任の勧告に基づいてトランプ大統領はコミーを解任したと主張した。しかし、複数の報道によると、トランプ大統領はFBI長官をまず決心し、その後に司法省に対してこの行動を正当化するように求めたということだ。

 

水曜日、ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は、トランプ大統領は就任直後からコミー長官が政策実行の邪魔になり解雇を考慮していた。サンダース報道官は更に、司法省の幹部たちは、コミー長官の「酷い行動」に対応するように大統領に求め、大統領はそれに応じたとも述べた。

 

ローゼンスタインが出した激しい内容のメモは、コミー長官の「酷い行動」を記述したものだ。このメモにはローゼンスタインの気持ちが入っている、とローゼンスタインの元同僚は語っている。ローゼンスタインは数多くの政府機関の汚職の摘発を行ってきた。その中で、選挙に影響を与えない、そして、捜査を秘密に進めるために、司法省のガイドラインに従ってきた。コミー長官によるヒラリーに対する捜査に関する2016年7月の記者会見と10月の連邦議会へ送付した書簡はこのルールから逸脱したものだとローゼンスタインは考えていた。

 

ローゼンスタインの下で働いた経験を持つ元検察官は次のように語る。「コミーがへまをやらかした、重要な時期にへまをやらかした、辞任に値するほどのへまをやったという主張は正しいですよ。それでも、解任を求めるメモを出すことをOKだとローゼンスタインが考えたのはどうしてだろうかと不思議に思っているんです」。

 

メリーランド地区連邦検察官事務所に長年勤める職員は次のように語った。「ロッドがどうしてこんなに簡単にトランプのために働く存在になってしまったのか理解できない」。

 

ローゼンスタインは連邦議会の民主党議員から激しい批判を受けている。彼らは、ロシアによる米大統領選挙介入とロシアとトランプ選対との関係を捜査するために、独立捜査官を任命するように求めている。彼らはローゼンスタインには捜査官を任命することはできないと主張している。

 

連邦上院情報・諜報委員会の民主党側幹部委員であるマーク・ウォーナー連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)は、「特別捜査官は司法省生え抜きの幹部職員であった人物を任命されるべきで、政治任用をされるべきではない」と述べている。ウォーナー議員は、ロシアによるハッキングとロシアとトランプ選対との関係について調査を行う委員会を率いている。水曜日、ワーナー率いる委員会は、委員会の調査に関する文書を巡り、証言を得るためにマイケル・フリンを召喚した。

 

ローゼンスタインを教えたハーヴァード大学法科大学院の教授に電話で取材を行った。取材に応じたのは、フィリップ・ヘイマン教授だ。ヘイマンは、ビル・クリントン政権で司法副長官を務めた。ヘイマンは、教え子であるローゼンスタインに次のような助言を送った。「私がロッドに話すとするならば、特別顧問か独立検察官を起用するようにと言うでしょう。それは、そうしなければコミー長官解任の目的であると彼が述べた信頼をできないからです」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)



アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22




このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 副島隆彦先生が日本に紹介した「ヒラリーを逮捕せよ!(Lock Her Up!)」の声は再び強まっているようです。責任追及は、司法省のロレッタ・リンチ長官とFBIの幹部にまで及ぶと思われます。

 

 以下の記事では、FBIの最高幹部だった人物が、クリントン夫妻を「犯罪一家」だと断じています。クリントン財団のことを調べれば、それくらいのことは言いたくなります。そして、重要なことは、この人物は、FBIの現場レヴェルの人々の考えを代弁し、ロレッタ・リンチとFBIの幹部連中が今年の7月にヒラリーのEメール問題を刑事訴追しないと決めたことにも責任がある、と述べていることです。

 

 今回の件は、FBIの失地回復でもあり、面目躍如ということになります。そして、司法省とFBIにおいて幹部クラスの更迭や粛清、左遷といったことがこれから起きることは確実です。しかし、ヒラリーが勝利すれば、この状態は温存されるでしょう。ですが、そうなれば、アメリカ国民がアメリカの現体制に大きな不満を持ち、それがやがて革命にまでつながるかもしれません。アメリカ国民には政府が間違っていれば、それに抗する抵抗権が認められているのですから、それを敷衍すれば、統治機構が腐敗しているから、それを一掃しようということになります。

 

 アメリカの民主政治体制の腐敗とどん底からの再生がこれからのテーマとなっていくでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

FBI幹部:「クリントン家は“犯罪一家”だ」(Ex-FBI official: Clintons are a 'crime family'

 

ハーパー・ニーディグ筆

2016年10月30日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/303458-former-fbi-official-clintons-are-a-crime-family

 

FBI幹部は日曜日、ビル・クリントン、ヒラリー・クリントンは「犯罪一家」を構成する要素であり、ヒラリーが国務長官在任中に私的Eメールサーヴァー使用に関する捜査をFBI幹部が妨害したと主張した。

 

FBI副長官のジェイムズ・コールストロームは、ジョン・キャトシマティディスが司会を務めるラジオ番組に出演し、共和党大統領選挙候補者ドナルド・トランプを賞賛し、その後、クリントン池に対する攻撃を始めた。

 

コールストロームは、「クリントン家は、基本的に犯罪一家と言って良いと思います。組織犯罪によく似ていますね。クリントン財団は汚物だめですよ」と語った。

 

コールストロームは、1990年代後半に発生したTWA800便爆破事件の捜査を主導したことで知られている。コールストロームは、民主党大統領選挙候補者ヒラリー・クリントンは、「病的な嘘つき」だと切って捨てた。

 

コールストロームは、ロレッタ・リンチ司法長官を批判し、リンチがヒラリーの私的Eメールサーヴァー使用の捜査を妨害したと述べた。

 

コールストロームは次のように述べた。「問題は、ヒラリーのEメール問題の捜査がちゃんと進められていなかったことです。これは問題ですよ。司法省は大陪審の手続きをしなかったんです。どうしてそんなことが起きたのか、その理由は、ロレッタ・リンチがそれをさせなかったからですよ」。

 

コールストロームはヒラリーについて、「犯罪者をホワイトハウスに入れることを神はお許しにならないですよ」と述べた。

 

コールストロームは、FBI全体ではなく、ジェイムズ・コミーFBI長官とFBI幹部たちに捜査をやり直す責任があると語った。

 

コールストロームは「FBI捜査官たちは事態の進行に怒り狂っています。それが事実なんですからね」と語った。

 

(貼り付け終わり)

 


(終わり)









このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 先週金曜日にFBIのジェイムズ・コミー長官が連邦議会の委員会に出した書簡が民主党とヒラリー選対を揺り動かしています。

 

 この件について、競争相手であるドナルド・トランプは、「FBIは間違いを正す勇気を持っている、それに敬意を表する」と発言しています。ヒラリーのEメール問題によって、アメリカ大統領選挙の最終盤は混沌とした状況になっています。

 

 コミーの書簡送付について、司法省のロレッタ・リンチ長官は政治的な影響を考えて、送付を控えるようにと助言したということです。そもそも、ヒラリーのEメール問題の刑事訴追に関しては、2016年7月にコミーFBI長官が、刑事訴追に足る証拠が見つからなかったとして刑事訴追しないように司法省のリンチ長官に勧告したことでいったん終息することになりました。

 

 FBIと司法省の関係ですが、FBIは捜査を行う部門で、司法省の司法長官は英語では、Attorney Generalで、これは「検事総長」とでも訳すべきものです。そもそも政権内の他の閣僚たち、たとえば国務長官や国防長官は、Secretary of StateSecretary of Defenseと、Secretaryですから、司法長官は職分や立場は違います。

 

 ヒラリーのEメール問題が刑事訴追されるかどうかの時期に、リンチ長官はアリゾナ州の空港で、「ばったりと」ビル・クリントン元大統領に会って、噺をしています。「家族の話をしていた」などと呑気なことを言っていますが、ビル・クリントンのお蔭で出世ができたロレッタ・リンチが微妙な時期に彼に会って、刑事訴追見送りということになる、これはアメリカの司法制度や統治制度がフ反していることを示しています。

 

 これについて、トランプは「アメリカ国民こそがこの腐敗したシステムの被害者なのだ」と発言しました。まさにその通り、であるとしか言えません。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプ:ヒラリーは被害者ではない(Trump: Clinton is not the victim

 

ベン・カミサール筆

2016年10月31日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/303619-trump-clinton-is-not-the-victim

 

共和党大統領選挙候補者ドナルド・トランプは月曜日、ミシガン州の選挙集会において、「ヒラリー・クリントンに“法的なトラブルが頻発している”のは、誰のせいでもない、自分のせいなのだ」と語った。

 

アンソニー・ウェイナー元連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)のコンピューターから押収された新たなEメールを調査するというFBIの決定を受けて、トランプは大統領選挙のライヴァルであるヒラリーを攻撃した。

 

トランプは、「ヒラリーは自分の周囲で法的なトラブルが頻発していることについて、自分以外の全ての人を非難したいと思っているだろうが、こうしたトラブルは彼女自身がもたらしたものだ」と語った。

 

トランプはミシガン州グランド・ラピッズでの選挙集会で続けて次のように語った。「ヒラリーは自分の犯罪行為を隠すために私的なEメールサーヴァーを利用したのだ。ヒラリーは国務省で、堕落した地位を利用して私腹を肥やすあっせん利得、賄賂の受け取りをやってのけた人間なのだ」。

 

トランプは次のように語った。「ヒラリーは犠牲者ではありません。アメリカ国民こそがこの腐敗したシステムの犠牲者なのです。11月8日こそは皆さんにとってこのシステムを変える唯一のチャンスになります」。

 

ジェイムズ・コミーFBI長官は金曜日、FBIがヒラリーEメール問題について新たなEメールを調査していると発表した。これが最終盤を向けている選挙戦に影響を与えている。ヒラリーのEメール問題(国務長官在任時に私的なEメールサーヴァーを利用した)が再び注目を浴びるようになっている。

 

今年の夏、コミーは、ヒラリーが機密情報を意図的にやり取りしていたことを示す証拠が発見できなかったと発表した。先週金曜日、コミーは、ヒラリーのEメール問題の捜査に関連することが明らかな新たなEメールが発見されたと発表した。

 

民主党側は、コミーFBI長官が選挙に介入しようとしている非難している。そして、コミーの連邦議会委員会への書簡には詳細が書かれていないと批判している。

 

共和党側はコミーを擁護している。コミーの発見は、ヒラリーが国務長官在任時に機密情報を如何に誤って取り扱っていたかを示していると主張している。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)









このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ