古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:国務長官

 古村治彦です。
 ジョー・バイデンは国務長官に側近のアントニー・ブリンケンを指名した。ブリンケンはどんな人物か。
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アントニー・ブリンケン(右)とバイデン
 ブリンケンの父ドナルドは1944年に米陸軍に入隊し、その後、1948年にハーヴァード大学を卒業した。投資会社ウォーバーグ・ピンカス・カンパニーの創設者の一人だ。ブリンケンは民主党の大口献金者であり、1988年の大統領選挙では民主党候補のマイケル・デュカキスの資金集めを担当した(息子のアントニーも参加した)。そして、民主党のビル・クリントン政権下の1994年から97年にかけて駐ハンガリー米国大使を務めた。

 父ドナルドと母ジュディスが離婚し、ジュディスはパリで弁護士をしていたサミュエル・ピカールと再婚した。それでアントニーもパリに移り、高校時代を過ごした。そのために、アントニーはフランス語に堪能だ。その後、アントニー・ブリンケンはハーヴァード大学を卒業し、コロンビア大学法科大学院を卒業した。

 1993年からは国務省に勤務し、2002年からは上院外交委員会の民主党側スタッフとなった。この時に上院外交委員長を務めていたジョー・バイデンと知り合い、その後、側近となった。2009年からはジョー・バイデン副大統領の国家安全保障問題担当補佐官を務めた。2013年から2015年までは国家安全保障担当大統領次席補佐官を務めた。更に2015年から2017年にかけては国務副長官も務めた。オバマ政権時代には「副」「次席」の立場で外交政策や国家安全保障政策を担った。

 ジョー・バイデン政権ができれば、ブリンケンは初めて「副」や「次席」という言葉が付かない形で外交政策の中心人物となる。

 ブリンケンは「人道的介入主義派(Humanitarian Interventionists)」の一員である。彼の経歴を見ても、連邦上院時代にバイデン委員長の下で、イラク戦争賛成の下準備を行った。また、オバマ政権下ではリリアやリビアへの介入を主導したと言われている。トランプ大統領の外交姿勢を徹底的に批判してきた。彼はヒラリー派の一員である。しかし、同時にバイデンの側近ということを考えると、バイデンが途中で辞任となれば一緒に辞める(辞めさせられる)ということもあるだろう。

 このバイデン政権=ヒラリー・チェイニー政権の外交政策を担うという点では、アントニー・ブリンケンは適任であろう。それが世界にとってどんな厄災をもたらすかは想像すらできないが。「グレイト・リセット」を行い、アメリカと世界はディストピアに陥る。その時に平然と人々を抑圧する側の人間ということになる。

(貼り付けはじめ)

バイデンが国務長官に選んだアントニー・ブリンケンについて知るべき5つのこと(Five things to know about Antony Blinken, Biden's pick for State

オリヴィア・ビーヴァーズ、ロウラ・ケリー筆

2020年11月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/national-security/527650-five-things-to-know-about-antony-blinken-bidens-pick-for-state

大統領選挙当選者バイデンは今週アントニー・ブリンケンを国務長官に起用すると発表した。ブリンケンはバイデンにとって長年の側近であり、バイデンに近い外交政策アドヴァイザーである。

ブリンケンは外交政策分野で広範な経験を持っている。そして、連邦議会で人事が承認されれば、ブリンケンは複数の発生中のそして永続的な諸問題に直面している。その中には危険な新型コロナウイルス感染拡大も含まれている。

ブリンケンについての5つの知るべきことを述べていく。

(1)バイデンは数十年に渡りバイデンと一緒に仕事をしてきた(Blinken has a years-long working relationship with Biden

ブリンケンとバイデンとの間の関係は数十年前までさかのぼることができる。

バイデンが連邦上院外交委員会の委員長と幹部委員を務めた時、ブリンケンは民主党側スタッフ部長を6年間にわたり務めた。バイデンが副大統領に選ばれた際、ブリンケンはバイデンの後を追ってホワイトハウスに入った。ブリンケンはバイデン副大統領の国家安全保障問題担当補佐官を務めた。

ブリンケンは後にオバマ政権内で様々なポジションを経験した。その中にはバラク・オバマ大統領のアシスタントとオバマ大統領の国家安全保障問題担当筆頭次席大統領補佐官が含まれていた。

バイデンが選挙運動を始めた後、ブリンケンは再びバイデンの側近となった。ブリンケンはバイデン選対の外交政策アドヴァイザーに就任した。

ブリンケンは火曜日、国務長官就任を受諾すると述べ、その中で、大統領選挙当選者バイデンとの関係は自分の職業人としての人生の中のハイライトだと述べた。

「大統領選挙当選者であるバイデン氏のために働くこと、そして、あなたを師と友人として仰ぎ見ることができることは、私の職業人としての人生において最大の栄誉です」と述べた。

バイデンは、ブリンケンを国務長官に指名すると発表し、その中で、ブリンケンは「自分に最も近く、最も信頼できるアドヴァイザー」であると発言した。

(2)ブリンケンは中東に過集中している(Blinken has had hyperfocus on Middle East

ブリンケンは、911のテロリストによる攻撃とイラクへのアメリカ軍の侵攻の後に、対中東の外交政策に過剰に集中していることで知られている。

バイデンが連邦上院議員を務めていた機関、ブリンケンはイラクの分割計画を発表する手助けをした。ブリンケンは、イラクを人種や宗教的なアイデンティティを元にして3つのゾーンに分割することを強く主張した。そうすることで、それぞれのゾーンで自治が可能になると主張した。しかし、この考えは、多くの人々の反対に遭った。当時のイラクの主将からも強く反対された。

ブリンケンは対中東のアメリカの外交政策を形作った。

オバマ政権下、ブリンケンは、中東地域でISISに対抗するために十数カ国の連合形成を主導した。ブリンケンは政権内の外交政策の決定を主導した。特にアフガニスタン政策とイラクの核開発プログラムについて政策を主導した。

(3)ブリンケンは国務省の士気を上げたいと考えている(Blinken wants to raise State’s morale

ブリンケンはオバマ政権で国務副長官を務めた。ブリンケンの最後のそしてより記憶に残る瞬間としては、国務省のホリデーパーティーでの姿であった。ブリンケンはギターを手に取り、国務省職員で結成されているバンドに参加して、ボブ・ディランの曲を弾きながら、歌詞を国務省の職員に捧げるものに変えて歌った。

ブリンケン副長官の下、国務省に勤務したハイリー・ソイファーは「ブリンケンは政府において同僚たちと協力しながら仕事を進めました」と述べた。

ブリンケンと親しい人物として、トム・マリノウスキー連邦下院議員(ニュージャージー州選出、民主党)が挙げられる。マリノウスキーは民主政治体制・人権・労働担当国務次官補を務めた。

火曜日、ブリンケンはデラウエア州で国務長官就任を受諾した。その際、オバマ政権とクリントン政権、連邦上院、国務省で一緒に働いた「バンド仲間」に感謝の言葉を述べた。

ソイファーは次のように語っている。「これがまさにブリンケンを象徴しているものです。国務副長官時代、ブリンケンはただのリーダーではなかった。トップダウンでの判断をするのではなく、国務省全体を支援しながら仕事をするリーダーでした」。

ルー・ルーケンズは2018年まで、オバマ政権において、ロンドンの米国大使館で首席公使(deputy chief of mission to the U.S. embassy in London)を務めた。ルーケンズは「穏やかで謙虚」な人物だと評しているが、同時に、国務省に対する深い理解と評価をもたらすだろうとも述べた。更に、ブリンケンは「バイデンが優先政策ついて知識を持っており、深井考えを持っている」とも語った。

ルーケンズは次のように語った。「ブリンケン率いる外交ティームは、国際的な脅威に対処する同盟諸国とパートナー諸国の協力の重要性を認識するであろうことは明らかです。“アメリカ・ファースト、アメリカ・あローン”アプローチを推進する代わりに、志を同じくする諸国と協働することで、テロリズム、感染症拡大、気候変動などの脅威に対処することができるということを彼らは理解しています」。

(4)ブリンケンはホロコースト帰還者の継子だ(Blinken is stepson of a Holocaust survivor

ブリンケンは、自身のアメリカに対する考え方は、第二次世界大戦中に空軍兵士として従軍し、その後駐ハンガリー米国大使となった父親と、ホロコーストを生き抜いた継父の両者によって形成されたと認めている。彼の継父はアメリカを自由の烽火だと考えていた。

ブリンケンは、火曜日に国務長官受諾の演説の中で、父と継父の2つの物語を語った。ブリンケンは父ドナルド・ブリンケンこそが自分にとってロールモデルであり英雄だと述べた。

ブリンケンは更に、彼の継父サミュエル・ピサールの米国に来るまでの物語について語った。ピサールの親族はホロコーストでそのほとんどが殺害された。ピサールはバイエルン州の森の中で隠れ、第二次世界大戦末期の最後の死の行進から逃走した。その時、彼は白い5つの星がペイントされた戦車を目撃した。

ブリンケンは次のように述べた。「彼は戦車に駆け寄りました。戦車のハッチが開きました。アフリカ系アメリカ人兵士が彼を見下ろしました。私の父は膝をついて、彼の母親が教えてくれた3つの英単語を叫びました。それは、“God Bless America(神よ、アメリカに祝福を)”でした。兵士は彼を戦車に引き上げてくれて中に入れてくれました。父はアメリカに、そして自由に入ったのです」。

大使を務め、外交分野で長く勤務したダン・フライドは数十年にわたりブリンケンと新興を持ってきた。フライドは、ブリンケンの継父の物語はブリンケンの外交政策に関する考え方を表現していると考えていると述べた。

フライドは「アトランティック・カウンシル」とのインタヴューの中で次のように語っている。「外交政策についての基本的な考えについて、ブリンケンと話したことはないです。しかし、彼の外交政策についての基本的な考えは、価値観を持つ国としてのアメリカのアイデンティティから出ているということは感じられています。アメリカは、難民であった彼の継父をアメリカに招き入れてくれた国なのです。そして、アメリカは、自国の価値観と国益の増進はリンクしているということを分かっている国なのです」。

(5)ブリンケンには二人の幼い子供たちがいる(Blinken has two young children

ブリンケンは多忙を極める国防長官の職に就くが、彼と彼の妻は現在二人の幼い子供たちを育てている真っ最中だ。ブリンケンは20世紀以降の国務長官の中で、幼児を育てながら職責を果たすことになる最初の長官となる。

ブリンケンは、こちらもアメリカ政界で働いているエヴァン・モウリーン・ライアンと結婚した。二人はクリントン政権で働いている時に知り合った。

政府で仕事をしている間、ブリンケンは幼児教育に対しての関心を示した。2016年9月、ブリンケンは、有名な子供番組「セサミストリート」に出演した。彼は番組の中で、難民の流入と国連の役割について説明した。

オバマ政権で国連大使を務め、ブリンケンと同僚だったサマンサ・パワーは次のようにツイートした。「アメリカのトップ外交官が二人の幼児を育てながら職責を果たす姿を見せることは、働く親御さんたちにとって、元気をもらえることになるだろう。トニーと素晴らしいエヴァン・ライアンが家族を犠牲にして職責を果たしていることに感謝します」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 今回は米中新冷戦に書いていく。

■マイク・ポンぺオのヘンリー・キッシンジャー批判

 米中関係が緊迫化している。アメリカ側の厳しい姿勢に対して中国が戸惑っているという形だ。その中心にはマイク・ポンぺオ(Mike Pompeo、1963年-)国務長官がいる。ポンぺオ国務長官は2020年7月23日にカリフォルニア州で演説し、リチャード・ニクソン大統領が行った米中国交回復以降のアメリの対中「関与政策(engagement policy)」を批判した。「関与政策」に対となる考え方は「封じ込め政策(containment policy)」であり、アメリカの外交官ジョージ・ケナン(George Kennan、1904-2005年)が書いた「X論文」がその基であり、これがアメリカの第二次世界大戦後の冷戦期の対ソ連の基本となった。
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マイク・ポンぺオ
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ジョージ・ケナン

 ポンぺオ国務長官は対中「封じ込め政策」のために、「有志連合」の形成を訴えている。有志連合(coalition of the willing)という言葉は、2003年のイラク戦争の際にも使用されたが、国際連合(United Nations、連合諸国[第二次世界大戦の戦勝国の世界管理に資する枠組み])の決議によらないで、アメリカが他国を攻撃する際に使う他国を「従わせる」ための枠組みである。アメリカは既に「国連は役立たず」と考えており、利用できる時だけ利用すればよい、という姿勢になっている。

(貼り付けはじめ)

●「米の歴代対中政策「失敗だった」 ポンペオ国務長官」

7/24() 13:08配信

朝日新聞デジタル

https://news.yahoo.co.jp/articles/25bb2028ab3adbac4f0be59a302e68ebcf0f6500?fbclid=IwAR0wmBMsOgo9MFyGrzq1maGqg9a0_YeMzS-Sh_spMTC4KwBjHvvuLqfR_AU

 ポンペオ米国務長官は23日、対中政策について演説し、米国の歴代政権が続けてきた、一定の関係を保つことで変化を促す「関与政策」について、「失敗だった」と訴えた。中国に対抗するため、有志の民主主義国による新たな連合も提唱した。

 ポンペオ氏はカリフォルニア州のニクソン大統領図書館で演説。「無分別な関与という古いパラダイムは失敗した。我々は続けるべきではない」と訴えた。そのうえで、「ニクソン大統領の歴史的な訪中によって我々の関与戦略は始まった。その後の政策当局者は中国が繁栄すれば、自由で友好的な国になると予測したが、関与は変化をもたらさなかった」との見方を示した。

 ポンペオ氏は、閉鎖を命じた在ヒューストン中国総領事館について「スパイ活動と知的財産盗用の中継地だった」とした。

(貼り付け終わり)

 ポンぺオのアメリカのこれまでの対中政策批判は、リチャード・ニクソン(Richard Nixon、1913-1994年)政権下で米中国交正常化を行ったヘンリー・キッシンジャー(Henry Kissinger、1923年-)元国務長官が敷いた路線を批判したということになる。これは重大なことだ。ドナルド・トランプ(Donald Trump、1946年-)大統領は大統領選挙中の2016年6月に極秘に(と言ってもマスコミで報道されたが)ヘンリー・キッシンジャーの自宅を訪問している。この橋渡しをしたのは、トランプの娘イヴァンカ(Ivanka Trump、1981年-)の夫ジャレッド・クシュナー(Jared Kushner、1981年-)である。それ以降もたびたびホワイトハウスで会談している。この最重要人物キッシンジャーに対して、「お前のやってきたことは間違っていた、アメリカに大損害をもたらした」と、マイク・ポンぺオは国務長官として公の場で批判したことになる。
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キッシンジャー、周恩来、毛沢東
 現在のところ、トランプ大統領は表立って何かを言ってはいない。しかし、ここで分かることは、トランプ大統領は複数の路線を政権内に握っているということだ。マイク・ポンぺオをはじめとする対中強硬派と、ヘンリー・キッシンジャーを頭目とする対中関与派の2つの路線がある。トランプ大統領はそれらを使い分けようとしている。

 後100日ほどで大統領選挙投開票日を迎える。日本でも民主党の大統領選挙候補者に内定しているジョー・バイデン前副大統領がトランプ大統領を大きくリードしているという報道がなされている。このことについてはあまり言及しないが、全国規模の世論調査の数字だけを見ていては大統領選挙の実態を掴むことはできない。なぜならば、大統領選挙の結果は全国規模の総得票数で決まるのではなく、各州の得票数によって選挙人総取り制度となっているからだ。

 トランプ大統領とバイデン副大統領、どちらも支持者から簡単に支持を得やすいのは対中強硬姿勢だ。不公正な現在の貿易の状況を是正する、とか中国の人権状況を改善するとか言っていれば支持は上がる。特にトランプ大統領の支持者たちは、中国に恐れを抱いているだろうから(アメリカから覇権を奪う国として)、強硬姿勢は重要だ。

 しかし、トランプ大統領はビジネスマンだ。金儲けにならないことは無駄なことだ。ここまで大きくなった中国、世界のGDPの16%を占め、2020年の経済成長予測で世界の大国で唯一経済成長を続ける(それでも1%だが)国、そうした国と商売ができた方が良いに決まっている。だから、決定的な手切れにならないように、「保険」として、キッシンジャーを大事にしている。ポンぺオには好きなように吠えさせておけばよい、しかし、あまりにも行き過ぎたらガツンとやる、更迭もあるということになる。

■スパイ合戦はお互い様でしょう

 アメリカ政府は中国に対してテキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を命令した。その理由として、ポンぺオ国務長官は「スパイ活動と知的財産窃取の拠点」だったとしている。はっきり言って、スパイ合戦はお互い様だ。どこの国だってやっている。

 「なんでニューヨークとかロサンゼルスとかアメリカの大都市部の総領事館じゃなくてヒュースントンなの?」という疑問がわく。スパイ合戦というならば、イメージとしては、大都市の裏路地で情報提供者とスパイマスターが接触する、ということになる。

 テキサス州はアメリカ国内でも経済成長が著しい地域であり、人口流入が続いている。そして、中国からの投資や移民も多い。テキサス州の大都市であるヒューストン、ダラス、サンアントニオを結ぶ三角形内の人口増加は著しい。前回の大統領両選挙からの約4年間で200万人の人口増があったと報じられている。

移住してくる人の多くは教育水準の高い若者たちが多い。こうした人々の多くは民主党支持者である。テキサスは共和党の金城湯池、レッドステイトであり、レッドステイトしては最大の大統領選挙での選挙人配分数(38名)となっている。しかし、世論調査の数字を見ると、トランプ大統領とジョー・バイデン前副大統領は大接戦となっている。また、大統領選挙と同時に実施される連邦議員選挙でも民主党が議席を伸ばす可能性が高まっている。

 トランプ大統領としては何としてもテキサス州を取りたい。そのために支持者を固めたいところだ。対中強硬姿勢を見せる場所としてヒューストンは格好の場所である。ヒューストンという場所が別の意味で象徴的であるのは、この町が先ごろ亡くなったジョージ・HW・ブッシュ元大統領の町だという点だ。ちなみに息子のジョージ・W・ブッシュ(George Walker Bush、1946年-)元大統領はダラスに住んでいる。ヒューストンとダラスの間を日本の新幹線で結ぼうという計画がある。

 ジョージ・HW・ブッシュ(George Herbert Walker Bush、1924-2018年)元大統領は中国とのつながりが深い。兄や息子が中国とのビジネスをしていたということもあるし、何より、ブッシュ自身が米中国交正常化後、北京に設置された米中連絡事務所(事実上のアメリカ大使館)の初代所長として中国に滞在した。また、ブッシュ政権下で発生した天安門事件の後処理でも強硬な姿勢を取らず、ヘンリー・キッシンジャーやブレント・スコウクロフトを派遣し、関係を継続するなどしている。そのために、ブッシュ家は「親中派」だという主張もある。ブッシュ家の拠点であるヒューストンの中国総領事館に閉鎖命令が出されたことは、アメリカの対中関与政策派に対する攻撃をも意味するものだ。
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北京でのブッシュ夫妻
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●「総領事館は中国のスパイ拠点 習主席を名指しで批判―ポンペオ米国務長官」

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https://www.jiji.com/jc/article?k=2020072400203&g=int

 【ワシントン時事】ポンペオ米国務長官は23日、南部テキサス州ヒューストンの中国総領事館閉鎖命令の理由について、「スパイ活動と知的財産窃取の拠点だったからだ」と明らかにした。現在の中国を「通常の国」として扱うことはできないと述べ、対抗姿勢を鮮明にした。西部カリフォルニア州ヨーバリンダでの演説で語った。

 ポンペオ氏は演説で、歴代米政権の「関与政策」は中国に変化をもたらさず、習近平国家主席は「全体主義の本物の信奉者だ」と批判。知財窃取に加え、南シナ海への進出、人権侵害などを挙げ、「われわれが行動しなければ、中国は法の支配に基づく国際秩序を破壊する」と懸念を示した。

 その上で、国連や先進7カ国(G7)などが中国の脅威に十分に対応できていないと示唆。「新たな民主主義国の連合」による国際的な対中包囲網の形成を模索する考えを示した。詳細には触れなかったが、トランプ大統領はこれまで、G7にインドや韓国、オーストラリアなどを加えて拡大する案を表明している。

 また、ポンペオ氏は「中国共産党は、市民の正直な意見をいかなる敵よりも恐れている」と指摘。天安門事件で民主化を求めた学生リーダー、王丹氏や民主活動家の魏京生氏を演説に招待し、「国家安全維持法」施行で香港への統制を強める中国をけん制した。

 ポンペオ氏の演説に先立ち、過去1カ月でオブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)、レイ連邦捜査局(FBI)長官、バー司法長官が共産党のイデオロギーや、中国のスパイ活動などを批判する演説を行ってきた。政権として強硬姿勢を前面に押し出している。

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 中国政府は、アメリカ政府によるヒューストンの中国総領事館の閉鎖命令に対抗して、四川省成都にあるアメリカ総領事館の閉鎖を求めた。これはヒューストンの中国総領事館閉鎖命令への対抗措置だ。対抗措置の場合、受けた事象よりも過大であってもいけないし、過小であってもいけない。釣り合わねばならない。中国政府は成都の米総領事館が「スパイ活動」の拠点であったと示唆している。ここで思い出されるのは、重慶市党委書記として辣腕を振るった薄熙来(はくきらい、ポーシーライ、1949年-)をめぐる事件だ。2012年、薄熙来の側近だった王立軍(おうりつぐん、ウネンバートル、1959年-)重慶市副市長が成都の米総領事館に逃げこんだ。その後、薄熙来をめぐる様々な事件が明るみに出て、薄熙来は失脚した。

 薄熙来は重慶市のトップである中国共産党重慶市委員会書記として権勢をふるい、「独立王国」を形成し、北京に乗り込む勢いだった。これに対して、当時の胡錦涛(こきんとう、フーチンタオ、1942年-)国家主席と温家宝(おんかほう、ウェンチアパオ、1942年-)国務院総理は深刻な危惧を抱いていた。薄熙来は重慶市を抑えるとともに、成都軍区(現在は西部戦区)人民解放軍も取り込んでいた。一説にはクーデターを画策していたとも言われている。ここからは私の推測だが、薄熙来の後押しをしていたのが成都にある米総領事館だったのではないかとも考えられる。
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北京、瀋陽、上海、武漢、広州、成都
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五戦区(Theater Command)
 アメリカの総領事館は上の地図で表示されているが、中国国内の各戦区と対応している。もちろんそれは各地の大都市に置いてあるのだから当然であるが、この総領事館には米軍の情報将校が派遣されていると見るのが当然だ。そして、人民解放軍内に人脈を広げたり、工作活動を行ったりしているのは間違いない。もちろん、中国側もアメリカ国内で同様の活動を行っているはずだ。

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●「中国、米国に成都の総領事館閉鎖を要求-ヒューストン閉鎖に対抗」

Bloomberg News

2020724 13:36 JST 更新日時 2020724 21:04 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-24/QDYHIFT1UM0W01

領事館員としてそぐわない活動に一部が従事-中国外務省報道官

成都の総領事館はチベット情勢の重要な情報収集拠点

中国政府は米国に対し、中国南部の四川省成都にある総領事館を閉鎖するよう要求した。中国外務省が24日に声明で明らかにした。米政府が中国にテキサス州ヒューストンの総領事館閉鎖を迫ったことに対抗する措置。

中国外務省は声明で、「中国が講じた措置は、米国の不当な行為に対する正当かつ必要な対応だ」と主張した。中国の報復は想定されており、ヒューストンの総領事館が撤収期限を迎える数時間前に発表された。米国務省はヒューストンの総領事館がスパイ活動や情報活動の拠点になっていたと非難している。

成都の総領事館閉鎖は米国の外交官を四川省の省都から追放するだけではない。隣接するチベットの動向を把握する上で重要な情報収集拠点の閉鎖も意味するため、武漢の米総領事館の閉鎖を命じられた場合よりも大きな影響があるとみられる。ただ香港や上海の総領事館の閉鎖ほどの影響ではない。

中国外務省の汪文斌報道官は北京での定例会見で、一部の総領事館職員が「領事館員としてはそぐわない活動に従事し、中国の内政に介入、中国の国家安全保障上の利益を損ねた」と説明した。24日午後までに多くの警察官や私服警察官、人民解放軍関係者が成都の総領事館に隣接する通りをパトロールし、写真を撮影した人たちに画像を消去するよう命じていた。

 総領事館の閉鎖はここ数年間の米中関係悪化が警戒すべき水準にまで達したことを示している。中国は世界に対して一段と強硬な姿勢を取るようになり、米国は中国の台頭を阻もうと必死だ。トランプ米大統領とその側近らは11月の大統領選を前に対中攻撃を強めており、スパイ活動からサイバー攻撃、新型コロナウイルスのまん延などあらゆる面で中国政府を非難している。

1985年に開設された成都の総領事館は、中国南西部の四川省と雲南省、貴州省、重慶市を管轄地域としているほか、チベット情勢に関して米国が情報収集する主要拠点の役割も果たしている。

中国共産党機関紙・人民日報系の新聞、環球時報の胡錫進編集長がツイッターに投稿したところによると、中国は成都の米総領事館を72時間以内に閉鎖するよう命じ、米国がヒューストンの中国総領事館の閉鎖を求めたのと同じ期限を設けた。これに基づくと、成都の米総領事館は27日午前10時までに閉鎖する必要がある。

これとは別に米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は今回の件で説明を受けた関係者の話として、中国は閉鎖命令で影響を受ける外交官らに30日以内の国外退去を求めたと報じた。WSJは関係者の氏名を明らかにしていない。

中国外務省は24日、「中国と米国の関係の現況は中国が望むものではない。米国はこの全てに責任がある」と強調。「われわれはもう一度、米国にその誤った決定を直ちに撤回し、二国間関係を軌道に戻すために必要な条件作りを強く求める」と呼び掛けた。

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■「華人対華人」と書かれて、アメリカ人専門家の立場がない

 マイク・ポンぺオ国務長官の対中政策指南役は余茂春(Maochun Miles Yu、1962年―)という人物だ。米海軍兵学校の歴史学部の教授だ。天津にある南開大学を卒業後の1985年にアメリカに留学、フィラデルフィアにあるスワースモア大学で修士号、カリフォルニア大学バークレー校で博士号(歴史学)を取得した。東アジア史、東アジア政治、軍事史を専門とし、教えている。
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ポンぺオ国務長官と余茂春

「華人の軍師」という言葉から見ると、ポンぺオの軍師は余茂春となり、習近平(しゅうきんぺい、シーチンピン、1953年-)国家主席の軍師は、王滬寧(おうこねい、ワンフーニン、1955年-)中国共産党中央政治局常任委員・中央書記処書記・中央精神文明建設指導委員会主任ということになる。王滬寧は江沢民。胡錦涛、習近平に仕えたことから「三朝帝師」と呼ばれている。

 どちらもイケイケ、それぞれ反中、反米の路線で極端に流れがちだ。そのために王滬寧は習近平から叱責を受けたとも言われている。ヘンリー・キッシンジャーのリアリズム(現実主義)と比べれば、やはり一段落ちると感じだ。

(貼り付けはじめ)

中国もひどく驚いた米国の超強硬圧迫…「国宝」と呼ばれる中国人の作品

7/23() 14:58配信

中央日報日本語版

https://news.yahoo.co.jp/articles/53327d5db0c4c20c8734cfe33bc17a9d7da577ab

米国の「中国バッシング」が中国内で「あくどいこと極まりない」という言葉が出るほど過酷だという評価が出ている。中国共産党員の米国訪問禁止案を議論したかと思えば、ヒューストン駐在の中国総領事館に対して72時間以内の閉鎖を電撃通知した。

想像を超える米国の強硬措置が続き、中国はひどく当惑している様子だ。中国はその都度「米国はおかしい」と非難し、「反撃する」と対抗している。しかし、中国が対応の枠組みを整える前に、米国は別の中国バッシングを披露している。 

過去の政府とは全く異なるトランプ米大統領の対中強硬措置の背後には「米国では国宝、中国では漢奸」と呼ばれる華人がいる。ことし58歳の余茂春氏がその主人公だ。余氏は現在、マイク・ポンペオ国務長官の中国政策首席顧問だ。

余茂春氏のオフィスはポンペオ長官の執務室からわずか数歩しか離れていない。中国から「人類の公敵」と非難されるポンペオ長官は、余茂春氏のことを「我々のチームの中核」と言う。

ポンペオ長官は「中国共産党の挑戦に直面し、このチームは我々に自由をいかに守ることができるかについて提案する」とし、余茂春氏の役割を評価した。デイビッド・スティルウェル米国務省東アジア・太平洋担当次官補は「余茂春先生は国宝」とまで称えている。

マット・ポッティンジャー米国家安全保障副補佐官は、余茂春氏をトランプ政府外交政策チームの「宝のような貴重な資源」と賞賛している。米ワシントン・タイムズや中国環球時報などによると、現在米国の中国バッシングを背後から指揮している人物が余茂春氏だ。

1962年8月に中国重慶で生まれた余茂春氏は、青少年期に狂乱の文化大革命の10年の歳月を経て、1979年から1983年までは周恩来が通ったことのある天津・南開大学で歴史学を学んだ。

1985年に米国に渡り、ペンシルバニア州のフィラデルフィアの南西に位置するスワースモア大学で修士号を、1994年にカリフォルニア大学バークレー校で歴史学の博士号を取得した。同年、米海軍の教官になり東アジアと軍事史を講義した。現在、米国の要職には余氏の学生が少なからず布陣しているという。

トランプ氏の執権以降、米国務省傘下の政策企画室で勤務することになった余茂春氏は、この3年間トランプ政府の対中戦略を立てるために非常に重要な役割を果たした参謀で、米国に中国を戦略的競争相手と規定させた張本人として知られている。

中国語を母国語として学んだ余茂春氏は中国が駆使する外交用語に惑わされるなと主張する。北京がよく使う「Shuangying(ウィン・ウィン)」や「相互尊重」のような言葉は中国語の中の陳腐なことこの上ない古臭い表現で、耳を傾けてはならないと言う。

余茂春氏は米政府が70年代末に北京と修交して以来、米中関係を自らの意のままに導いていけると誇示したのが間違いの始まりだったと言う。トランプ氏以前の米大統領が犯した間違いは、対中政策を立てる際に中国がどう出るかを考慮したことだと主張する。

余茂春氏は「まず、米国の最優先の国家利益が何なのかから検討すべきだった」と言う。これを土台に中国を強く圧迫すべきだということだ。また、余氏は米政府の歴代の対中政策のうち、最大の過ちは中国共産党と中国人民を区別しなかったことだと言う。

米高官が中国共産党政権と中国人民を区別せずに「中国人」と総称したのは間違いだということだ。ポンペオ長官が最近、習近平中国国家主席を「習首席」ではなく「中国共産党総書記」と呼んでいるのには理由があったのだ。

先日、米ニューヨークタイムズが報じた「中国共産党員の米国訪問全面禁止案検討」報道からは余茂春氏の存在が感じられる。中国共産党は伝統的に人民を水、共産党員を魚に例える。余氏の主張は魚を水から離そうとするものだ。

また、余茂春氏は米国はこれまで対中政策を樹立する際に北京の弱点を正確に把握できていなかったと指摘する。余氏は「実のところ、中共政権の核心は脆弱で、自らの人民を最も恐れている」と主張した。 

余茂春氏は現在、米政府で「中国に関する百科事典」で通っている。一方、中国では余氏を「漢奸」と呼ぶ。中国の左派シンクタンク昆侖策の研究員は「南開大学がこんな恩知らずな人物を輩出したのか」と嘆いている。

環球時報の総編集、胡錫進氏は「米国のあくどい対中政策はこの華人から出た。20代前半に中国を離れる時、彼の頭の中には西欧への崇拝でいっぱいだった」とし「彼はインターネットで出回る極端主義勢力の影響を受けた偽の学者に過ぎない」と猛非難した。 

現在展開されている米中の戦いは、ある意味「華人対華人」の構図だ。トランプ執権後、中国は米国の予想外の高校措置にひどく苦戦し、「我々が米国を分かっていない」と嘆いてきたが、実は気づけば米国の背後には華人がいたのだ。

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毛沢東支配下の中国からフォギー・ボトム(引用者註:国務省のこと)へ:マイルス・イーは中国政府に対する私たちの新しいアプローチの重要なプレイヤーである(From Mao's China to Foggy Bottom: Miles Yu a key player in new approach to Beijing

ビル・ゲーツ筆

『ワシントン・タイムズ』紙

2020年6月15日

https://www.washingtontimes.com/news/2020/jun/15/miles-yu-mike-pompeo-adviser-helps-form-china-poli/

マイルス・イーの人生は中国の片田舎で始まった。その当時、中国全土は毛沢東が始めた文化大革命の狂乱の中にあった。狂信的な紅衛兵たちが中国国内の伝統と資本主義の全ての痕跡を破壊し殺害するために国全体を蹂躙していた。

今日、イー氏はマイク・ポンぺオ国務長官の中国に関する政策と企画立案の主要な助言者となっている。国務省7階にある政策企画本部(Policy Planning)の重要なメンバーでもある。政策企画本部はポンぺオ国務長官の執務室から数歩分しか離れていない場所にあり、アメリカの外交政策の最高峰の場所だ。

これはなかなか他の人にはない人生経験であり、彼に深く影響を与えている。

イー氏は本紙の独占インタヴューの中で次のように述べている。「共産中国で生まれ育ち、現在は私自身のアメリカンドリームを生きている中で、私は、世界はアメリカに心から感謝すべきだと確信しています。何故ならば、レーガン大統領が述べたように、アメリカは“地上に残された最後の最善の希望”を象徴しているからです。私は心の底からそれを信じているんです」。

ポンぺオ長官はイー氏を「敬意を持って私に助言を行ってくれているティームの中心的な人物であり、[中国共産党]からの挑戦に直面する中でいかにしてアメリカ人と私たちの自由を守ることを確かなものとするかについて助言を行っている」と称賛している。

国務省政策企画本部はかつてジョージ・ケナンが本部長を務めたこともある。ケナンは1947年に発表された「ミスターX」論文の著者だ。ケナンはアメリカに冷戦期における封じ込め政策のおぜん立てをした人物である。彼の封じ込め政策がソヴィエト連邦を最終的に歴史の灰にうずめさせることになった。

イー氏は数年に渡り、本紙のコラム「インサイド・チャイナ」に論稿を掲載していた。彼は1985年に中国からアメリカにやってきた。彼が渡米して4年後に起きた天安門での抗議活動と弾圧の後、学生として、イー氏は自由と民主政治体制を主張する活動家となった。

(貼り付け終わり)

米中間の新冷戦の行方はどうなるか。アメリカの封じ込め政策派と関与政策派の綱引きということになるだろう。大事なことは、本格的かつ深刻な衝突にならないことだ。トランプ大統領はそのことを心得ている。バイデン前副大統領は心もとない。バイデンが大統領となり、ヒラリークリントンを頭目とする人道主義的介入主義派が外交を牛耳るとなると、ジョージ・W・ブッシュ政権下のネオコンと同様のこととなる。これは大変に怖いことだ。

 米ソ冷戦について「長い平和(Long Peace)」だったとする学説もある。イェール大学教授ジョン・ルイス・ギャディス (John Lewis Gaddis、1941年-)はその名も『ロング・ピース』という著書を1987年に発表し、冷戦期は「長い平和」だったという主張を行った。米ソが直接戦争をするということはなかったという点を見れば「長い平和」であった。もちろん、朝鮮半島やヴェトナム、インドシナ半島の人々からすれば、何を言っていやがる、ということになるだろうが、世界を破滅させるような戦争は起きなった。

 米中の新しい冷戦もまさに「長い平和」となるべきだ。そのためには指導者層の選択が重要となる。猪突猛進的な単細胞の指導者層はこの時期には大変危険である。「中国嫌い嫌い、中国怖い怖い、中国消えろ消えろ」と叫びまわるような政治家たちこそが「怖い」存在であり、「消えて」しまうべきである。過激な方向に進まず、敵とも共存、それこそ、トムとジェリーさながらに、仲良く喧嘩するということができる「知恵」の深い指導者層が必要だ。

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 

 今回はアメリカのレックス・ティラーソン国務長官(日本で言えば外務大臣に相当)の発言についての記事をご紹介します。

 

 ティラーソン国務長官がワシントンにあるシンクタンクで講演を行い、「北朝鮮とは最初の爆弾が落ちる直前まで外交交渉を続ける」と発言しました。

 

米朝のどちらが「先に爆弾を落とすのか」ということが問題になります。ティラーソンの発言の文脈では、どちらとも言えないですが、「アメリカはあくまで外交努力を続ける、先制攻撃をするにしても外交上の全ての努力が効果を挙げないということが分かった時だ」というのがティラーソンの言いたいことのようです。

 

 ティラーソン国務長官の行っているのは、リアリズムに基づいた外交です。リアリズムとは、自国の国益を第一に考え、理想に走らず、与えられた状況下で最大の成果を得る(目的を達成する)という考えです。

 

 しかし、ティラーソン国務長官は外交がうまくいかなければ、次はジェイムズ・マティス国防長官の出番となり、「マティス長官は自分の出番となれば、自分の仕事をうまくやり、成功を収めると確信している」ともティラーソン国務長官は発言しました。これは、軍事的な方法を放棄してはいないということを示唆しています。

 

 ドナルド・トランプ大統領はアイソレーショニズム(国内問題優先主義)を掲げて当選しましたので、外交は外国にあまり関わらないということを基本線にしています。従って、ティラーソン国務長官の外交姿勢が基本線ですが、同時に、北朝鮮に対しては強硬な姿勢も保っています。硬軟両路線いずれも選べるということは、相手を迷わせる、疑心暗鬼にさせるのに適したやり方です。

 

 しばらくはティラーソン国務長官に外交努力を続けてもらい、もうどうしようもないとなったら、北朝鮮に対して強硬路線ということになるでしょう。強硬路線と言ってもかなりアメリカにとってかなり自己限定した内容になると思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

ティラーソンは北朝鮮との交渉の扉を開いている(Tillerson Open To Talks With North Korea

―ティラーソン国務長官は「最初の爆弾が落ちる直前まで」交渉を行うだろうと述べた。核兵器をめぐる対決の脅威を減らそうと外交努力をさらに高めると示唆した。

 

ロビー・グラマー筆

2017年12月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/12/12/tillerson-open-to-talks-with-north-korea-asia-state-department-china-pyongyang-nuclear-weapons-program-nonproliferation-diplomacy-pressure-campaign/

 

レックス・ティラーソン国務長官は北朝鮮との交渉に向けてドアを大きく開けた。今週火曜日、北朝鮮政府から準備が整ったというシグナルが送られたらすぐに無条件で交渉を行うと述べた。

 

火曜日、ワシントンにあるシンクタンクであるアトランティック・カウンシルでのイヴェントでティラーソンは「私たちは無条件で初めての会談を行う準備が整っている」と語った。ティラーソンは続けて次のように語った。「まずは会ってみよう。もし相手が望むなら天気の話だってできる。もしこれが楽しいというなら、交渉のテーブルの形を四角にするか丸にするかだって話せる。少なくとも交渉の席に座り、お互いの顔を見てみることができる」。

 

ティラーソンはこのイヴェントの後に交渉を申し出る条件を提示した。ティラーソンは、北朝鮮に対してミサイル発射テストを凍結するように求めた。ティラーソンの一連の発言は、トランプ政権から北朝鮮政府に対しての現在における外交交渉開始の明確な提案である。ティラーソンは、ドナルド・トランプ大統領は北朝鮮政府と間で対話を行う必要性について認識しており、「とても現実的」であると述べた。トランプ大統領は彼の発言とツイッター上の書き込みで戦争の恐怖を高めているように見られている。

 

ティラーソンは「私は最初の爆弾が落とされる直前まで外交努力を続けるだろう。しかし、交渉が打ち切りとなってマティス国防長官は彼の出番となったら物事をうまく進めて成功させるだろうという確信を持っている」と述べた。ティラーソンは交渉が行き詰まったら、軍事的に解決するという計画があることを示唆しつつ発言を行った。今年2月から北朝鮮は16回の試験で23発のミサイルを発射した。結果として朝鮮半島における戦争の危険性が高まった。最新のミサイル発射テストは11月29日に行われた。この時の実験ではミサイルの新しい機能が示された、このミサイルはワシントンを攻撃するのに十分な高度と距離を飛ぶことが出来ることを示した。

 

北朝鮮は核兵器とミサイル開発を大きく進めている。ティラーソンは何カ月もかけて北朝鮮の首にかけた経済的、外交的に、北朝鮮の首にかけられた処刑ロープを少しずつ締めながら、北朝鮮を交渉のテーブルに座らせようとしている。ティラーソンのやっていることは、外交政策についてのトランプ政権の複雑な姿勢の中で、明確な試みとなっているが、トランプの外交に対する否定的な姿勢が続く中で、これは効果が削減されてもいる状況だ。

 

北朝鮮に圧力をかける動きの中で勝利が得られている。イタリア、スペイン、メキシコ、ペルー、クウェートは北朝鮮の大使を国外退去とした。北朝鮮からの労働者を出国処分とし、北朝鮮との間の限定的な交易関係を断つ国々も出ている。労働力輸出と貿易は金正恩政権にとっての主要な収入源だと見られている。

 

ティラーソンは「金政権は大使が送り帰されたことで、こうした状況に気づいている、ということを私たちはつかんでいる」と語った。

 

専門家たちは、こうした小さな勝利の積み重ねは遅々として進まない厳しい試みであっても、やがて大きな勝利をもたらすことが出来ると述べている。センター・フォ・ニュー・アメリカン・セキュリティーのパット・クローニンは次のように語っている。「これは重要な責務である。法的、外交的な障害は多く存在している。しかし、ティラーソン国務長官の下で確実に事態は前に進んでいると私は考えている」。

 

外交的な下準備を進めているが、ティラーソンの前には厳しい仕事が待っている。クローニンは、「外交によって、危機を完全に取り去ることはできず、一時的な妥協しか成立しないかもしれない」と発言している。しかし、戦争を避けるために外交はあくまで進める価値がある。北朝鮮に対して、ほぼ条件をつけずに交渉を開始しようとしたのは今回の政権が初めてという訳ではない。2001年にコリン・パウエルが国務長官だった時に交渉を行おうとした。

 

対決的な状況に対する切り札は中国だ。中国はアメリカやアメリカの同盟諸国から、北朝鮮に対する姿勢を変えるように常に圧力を受けながらも、北朝鮮の金政権にとっての経済的、外交的な頼みの綱を与えている。中国は隣国である北朝鮮の体制が突然崩壊して、難民が押し寄せることを危惧している。

 

今年になって、中国は北朝鮮政府に対してより圧力をかける方向に進んでいる兆候を見せている。中国は繊維、石炭、石油、燃料などの北朝鮮向け輸出を削減し、北朝鮮の労働力輸出を厳しく取り締まるようになった。ティラーソンは、ティラーソンとトランプは次の段階として北朝鮮向けの石油輸出の更なる削減を中国に求めている、と語った。

 

クローニンは次のように語った。「中国はできることをやっているが、それがどれほどの効果があり、そもそも十分なのかははっきりしないというのは事実である。しかし、中国がこれまでにないほど熱心に取り組んでいるのは確かだ」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







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 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ次期政権の閣僚、ホワイトハウススタッフ人事が固まりつつあります。重要ポストである国務長官にはエクソン・モービル社最高経営責任者レックス・ティラーソンが指名されました。閣僚人事は連邦上院の承認が必要となりますが、ティラーソンがロシアとのビジネス関係を深めてきたことについて、一部上院議員の中には懸念を表明している人たちが出ています。

 

 しかし、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官はそうした懸念をバカらしいと一蹴しています。エクソン・モービル社の最高経営責任者として多額のビジネス取引をロシアと結ぶのは至極当然であって、それができなければ、最高経営責任者としては無能だ、と言うことを述べています。

 


 キッシンジャーが上記のような発言を行ったのは、コミッティー・オブ・ワンハンドレッドという米中関係を深化させることを目的としている組織のイヴェントでした。キッシンジャーは、米中による世界管理、G2体制の主導者であり、かつ、ロシアのプーティン大統領とも関係を持っている人物です。

 

 トランプが大統領選挙に当選後、キッシンジャーはトランプと会談し、その後、中国を訪問し、習近平国家主席と会談しています。キッシンジャーは、トランプに対して「ご進講」を行うと共に、中国に対して、「かなり過激な発言が出てくると思うが心配しないでもらいたい」ということを説明に行ったのだと思います。

 

 トランプは台湾に肩入れする姿勢を見せています。これは、トランプ大統領当選に貢献し、政権参加においても一定の影響力を持つであろう、ヘリテージ財団の影響があるように思います。ヘリテージ財団は、アメリカ国内のチャイナ・ロビー派(台湾派)の組織で、このヘリテージ財団に多額の寄付を行っているのは、トランプを選挙期間中支え続けた、大富豪の娘レベカ・マーサー、アムウェイ、そしてコーク財団です。

 

 トランプのこうした動きはレーガン政権初期の対中姿勢ともよく似ています。しかし、中国と事を構えることで最も被害を受けるのは台湾ですから、これ以上のエスカレーションは誰も望んでいないでしょう。

 

 また、トランプはまだ正式に大統領になっていませんし、選挙人による最終的な投票も済んでいない状況では、逆に言うと、何を言ってもよいし、今のうちに過激なことを言っておいて、政権発足後に少しずつ軌道修正をしていくというやり方をするのだろうと思います。

 

 米中ロが表面上は対立しながらも接近していく、という状況の中で、日本は、アメリカによって中国に吠えかかる犬の役割をやらされるでしょう。アメリカは都合の良い時には吠えさせておいて、いざとなったら、厳しくしつけて(お灸をすえて)、「日本を黙らせてやった」と中国に恩を売るということもやるでしょう。日本は吠えかかる犬をどうしたってやらされるのなら、遠くにはなれて吠えかかって、決して近づいて吠えかからないことです。あまりに近い距離で吠えかかったら間違って噛みついたり、爪で引っかいたりするという「事故」がおきかねません。ですから、事故が起きないように慎重に吠えかからねばなりません。

 

(貼り付けはじめ)

 

キッシンジャーはトランプの国務長官選びを賞賛(Kissinger lauds Trump's pick for secretary of State

 

マーク・ヘンシュ筆

2016年12月14日

『ザ・ヒル』誌

https://www.youtube.com/watch?v=1DoPe8z4fe8&list=RD23achdSE-QI&index=8

 

ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は、ドナルド・トランプ次期大統領の国務長官指名を賞賛した。

 

火曜日、トランプはエクソン・モービル社最高経営責任者レックス・ティラーソンを国務長官に指名した。

 

キッシンジャーは、マンハッタンで『』誌の取材に答え、「国務長官の資格に完璧に当てはまる人物など存在しない。私は今回の指名は良かったと思う」と語った。

 

キッシンジャーは更に、ティラーソンが行ってきたこれまでのビジネスのつながりから、ロシアのウラジミール・プーティンとの関係が親密すぎるのではないかという懸念の声が上がっていることについて、それを批判した。

 

キッシンジャーは、コミッティー・オブ・ワンハンドレッドが主催したイヴェントに出席し、「私は、ティラーソンのロシアとの関係が近すぎるという主張に関心を持たない。もし彼がロシアと友好的でなければ、エクソン・モービル社の最高経営責任者など務まらなかっただろう。私はそのような懸念に金輪際耳を傾けない」と述べた。コミッティー・オブ・ワンハンドレッドは米中関係の促進を目的としている組織である。

 

しかし、ティラーソン自身について詳しく議論する段階になると、キッシンジャーの口も重くなり、ティラーソンの任用について議会の承認が得られるかどうかについて質問されて、「(私の予想が外れても)自殺はしませんからね」と軽口を叩いた。

 

リチャード・ニクソン、ジェラルド・フォード両政権で国務長官を務めたキッシンジャーは、トランプがティラーソンを選んだことについて、「親近感を持っている」と語った。ティラーソンとロシア政府の関係は、連邦上院の任用承認のための公聴会に置いて、必ず厳しい質問を浴びせられる理由となることは確実だ。

 

プーティンとティラーソンは2011年にエネルギーパートナーシップについて交渉を行った。『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、この時、プーティンはこのパートナーシップは5000億ドルの価値を持つと語ったと報じている。

 

ティラーソンはその翌年(2012年)にロシア友好勲章を受賞した。この勲章は外国人に与えられるものとしては最高の勲章である。

 

マルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出、共和党)は火曜日、ティラーソンに関して「大変懸念」を持っていると語り、ティラーソンの国務長官任用に反対する可能性もあると示唆した。

 

連邦上院軍事委員会委員長ジョン・マケイン連邦上院議員(アリゾナ州選出、共和党)とリンゼー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は共に懸念を表明している。

 

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(終わり)







 
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 古村治彦です。

 

 今朝、お知らせした、「ジョージ・シュルツとヘンリー・キッシンジャーがヒラリーを支持する見通し」という報道は結局、間違いでした。

 

 あの報道がアメリカに出た数時間後に、シュルツとキッシンジャーは共同声明を発表し、「今回の大統領選挙では、主要政党の候補者を支持しない」というところに落ち着きました。共和党のドナルド・トランプも民主党のヒラリー・クリントンもどちらも支持しないということになりました。この発言は情勢如何では変更がある可能性もあります。

 

 下のCNNの記事では、「共和党の重鎮2人がドナルド・トランプを支持しないと表明」という点を強調して、これはトランプにとっては不利となる動きだと書いています。

 

 しかし、「ヒラリー・クリントンを支持するという話が結局なくなってしまった」という点から考えると、ヒラリーにとってもまた大きな痛手です。現在のところ、共和党の国務長官経験者、つまり共和党の外交政策分野で大きな影響力を持つ人物たちは、大統領選挙については音なしの構えです。2008年と2012年の選挙では、共和党所属である黒人のコリン・パウエル元国務長官が、バラク・オバマ大統領を支持したことで、オバマ大統領にとっては選挙が楽になりました。今回の場合、ヒラリーは私的Eメール使用問題で、パウエルから助言を受けたとFBIの事情聴取で語っていたことが明らかになっていますから、パウエルがヒラリーを支持することはありません。

 

 民主党側の大物がトランプ支持という話は聞いていませんが、情勢と3回ある討論会でのトランプの外交政策の主張がオバマ大統領に近いものであれば、支持する人が出る可能性もあります。

 

 今回の動きはシュルツの発言ばかりで、キッシンジャーの声は最後の共同声明の中にしかありませんでした。シュルツもヒラリーを支持したいと思うのなら、一人でやればよかったのに、「キッシンジャーと一緒に」ということにこだわっていたように思われます。

 

 キッシンジャーとシュルツではやはり影響力が違いますから、シュルツとしては、自分の影響の小ささを意識して、キッシンジャーを引き入れようとしたのでしょうが、キッシンジャーは動かなかった、しかし、シュルツの顔もあるから、今のところ、誰も支持しないという声明の内容になったと思われます。

 

(貼りつけはじめ)

 

キッシンジャー、シュルツが2016年大統領選挙で誰も支持をしないと表明(Kissinger, Shultz decline to endorse in 2016 race

 

ナオミ・リン筆

2016年9月2日

CNN

http://edition.cnn.com/2016/09/02/politics/henry-kissinger-george-shultz-donald-trump-hillary-clinton/

 

ワシントン発(CNN)。ヘンリー・キッシンジャーとジョージ・シュルツは金曜日、2人とも2016年の大統領選挙で主要政党の候補者を支持しないと発表した。2人は、世界におけるアメリカの立場を改善するために党派を乗り越えることに注力していくと述べた。

 

 

過去の共和党政権で国務長官を務めた人物たちの決定は、共和党大統領選挙候補者ドナルド・トランプに対する公の冷遇である。トランプはこれまでに他の共和党の長老たちから支持を拒絶されている。

 

キッシンジャーとシュルツは共同声明の中で、次のように書いている。「私たちは現在行われている大統領選挙で誰に対しても支持をしない。私たちは、超党派の外交政策の促進に献身する。私たちは現在もそして選挙後も注力を続けていく」。

 

今回の件は、金曜日の朝に『ポリティコ』誌がキッシンジャーとシュルツが、ヒラリー・クリントンを支持する可能性について最初に報じた。

 

リチャード・ニクソン政権で大統領国家安全保障問題担当補佐官、ジェラルド・フォード大統領政権で国務長官を務めたヘンリー・キッシンジャー、そしてロナルド・レーガン政権で国務長官を務めたジョージ・シュルツは、共和党大統領候補者を支持することを拒絶した高名な共和党側の人物に仲間入りした。

 

ジョージ・HW・ブッシュ(父)とジョージ・W・ブッシュの元と前の大統領、元フロリダ州知事ジェブ・ブッシュはトランプを支持していない。2012年の大統領選挙の共和党候補者ミット・ロムニーは、「リバータリアン党に投票することを考慮中だ」と述べ、過去の共和党政権で政府高官を務めたブレント・スコウクロフトとリチャード・アーミテージは、ヒラリーへの投票を明らかにしている。

 

2016年の大統領選挙でキッシンジャーの名前が取りざたされたのは初めてのことではない。2016年2月、民主党予備選挙でヒラリーと争ったバーニー・サンダースは、「私はヘンリー・キッシンジャーと友人ではないことを誇りに思う」と発言した。これは、国務長官の先達としてキッシンジャーからの助言をもらいたいとした過去のヒラリーの発言を揶揄したものだった。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)








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