古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:国賓

 古村治彦です。

 

 ホワイトハウスは2019年4月26日、27日に安倍晋三首相夫妻がホワイトハウスを訪問し、5月25日から28日までドナルド・トランプ大統領夫妻が国賓として訪日すると発表しました。2019年6月にはG20サミットが大阪で開催されるため、トランプ大統領は短期間で2度の訪日となります。

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 詳細はまだ明らかになっていませんが、以前にはトランプ大統領が大相撲5月場所で優勝力士を表彰するというプランが出ているという報道がありました。5月場所の千穐楽は5月26日ですからこれは可能なプランです。また、安倍首相お得意のゴルフも計画されているという報道もありました。


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 2019年6月のG20で訪日するのに、その前にも訪日するというのはどういうことだろうかと不思議ですが、2019年5月1日に新天皇が即位し、初めての国賓がトランプ大統領夫妻となることがポイントのようです。トランプ大統領が当選直後に、世界の首脳で安倍首相が初めてトランプタワーで会談を持ったということはニュースになりました。

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 ですから、高い地位に就いた人物が誰と初めて会うのか、ということは意味を持つことなのでしょう。日米同盟関係の深化のための演出として、トランプ大統領訪日と新天皇との会談は重要な意味を持つのでしょう。また、中国やロシアに対するけん制という意味もあるのでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプ大統領は5月に訪日し、安倍首相と新天皇と面会(Trump to visit Japan in May to meet with Abe, new emperor

 

ブレット・サミュエルズ筆

2019年4月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/439668-trump-to-visit-japan-in-may-to-meet-with-abe-new-emperor

 

ホワイトハウスは木曜日、トランプ大統領は今月下旬に日本の安倍晋三首相をホワイトハウスに迎え、5月下旬に大統領が日本を訪問すると発表した。

 

安倍首相と昭恵夫人は2019年4月26日と27日にホワイトハウスを訪問する。そこでトランプ大統領と安倍首相は現在続いている朝鮮半島の非核化の努力と貿易について議論することになる。

 

トランプ大統領とメラニア・トランプ夫人は2019年5月25日から28日まで国賓として日本を訪問する。トランプ夫妻は、来月日本で皇位が譲られ、徳仁天皇(Emperor Naruhito)即位が行われた後、初めての国賓となる。

 

ホワイトハウスは、トランプ大統領は天皇と面会し、安倍首相と一対一の会談を行うと発表した。

 

ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は声明の中で、「トランプ大統領夫妻の国賓としての日本訪問はアメリカ国民と日本国民との間の緊密関係を深化させ、同盟関係とパートナー関係の継続的な重要性を明確にするだろう」と述べた。

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トランプ大統領夫妻の国賓としての日本訪問は、2度にわたる日本訪問の1つとなる。2019年6月には大阪で開催されるG20サミットでも日本を訪問する予定になっている。

 

安倍首相はトランプ大統領にとって世界各国の指導者の中でも最も緊密な協力者である。両首脳は個人的な関係を強めている。

 

前回トランプ大統領が日本を訪問したのは2017年11月で、アジア各国訪問の一環であった。安倍首相はこれまで複数回にわたりアメリカを訪問している。

 

安倍首相はトランプ大統領とホワイトハウスで会談し、大統領が所有するマーラーゴ・リゾートに滞在した。リゾートで両首脳は、貿易やその他のテーマに関する一対一の会談を行い、その合間に一緒にゴルフをプレーした。

 

トランプ大統領は日本との間の貿易に関する合意の更新を進めている。これは世界各国との貿易に関する合意の再交渉の一環である。大統領は交渉を行っている間、日本車への新たな関税を課してはいない。

 

日本は、北朝鮮の指導者金正恩委員長に核兵器を放棄させるためのアメリカの試みにおいて、主要なパートナーとなっている。トランプ大統領は先月ヴェトナムで金委員長と首脳会談を行ったが、非核化についての進展はないままに終了した。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12

 

 古村治彦です。

 

 2014年4月23日、アメリカのオバマ大統領が来日しました。ビル・クリントン元大統領以来の国賓待遇での来日ということになりました。オバマ大統領は日本、韓国、マレーシア、フィリピンの4か国歴訪アジアツアーを行う予定です。昨晩は、東京にあるミシュランの三つ星を獲得した超高級寿司屋の「すきやばし次郎」本店で非公式の、安倍晋三首相とオバマ大統領、キャロライン・ケネディ駐日米大使、佐々江賢一郎駐米日本大使が夕食会を開きました。

 

 オバマ大統領は来日にあたり、日本の読売新聞のインタビューに書面で答える形で、尖閣問題などについて、発言しています。その内容な日本だけでなく、欧米でも注目されて、メディアは記事にしています。フィナンシャル・タイムズ紙(Financial Times)もその一つです。

 

 フィナンシャル・タイムズ紙の記事の中で紹介された、オバマ大統領の発言や米政府の意向についてポイントフォームで紹介します。記事の中には次の6つのポイントが紹介されています。

 

==========

 

①東シナ海にあり、日中間で争っている尖閣諸島は日米安全保障条約によってカヴァーされている。

 

②オバマ大統領はアメリカの大統領で初めて、尖閣諸島は日米の防衛同盟の一部に含まれることを認めた。

 

③オバマ大統領は読売ン新聞に対して書面で次のように回答した。「アメリカの政策は明確だ。尖閣諸島は日本によって行政が行われている。従って、日米安全保障条約第5条の適用範囲内にある。私たちは、尖閣諸島における日本の行政を行う、一方的な試みには反対する」

 

④アメリカはここ数年で政治的に激しい闘争の対象となっている尖閣諸島の主権を巡る争いでは中立である。しかし、尖閣諸島を行政的にコントロールしているのは日本であると認めている。オバマ大統領の前に複数のアメリカ政府高官が尖閣諸島は日米安全保障条約に含まれると発言している。

 

⑤オバマ大統領は、「争いは、威嚇と強制ではなく、対話と外交によって解決される必要がある」と発言した。

 

⑥また、オバマ大統領は、「日本が国際的な安全保障の維持においてより大きな役割を果たしたいという希望を持っていることを熱烈に歓迎するものだ」とも発言している。

 

⑦最後にオバマ大統領は次のように発言している。「私は、日本の安倍晋三首相が日本の国防力を強化し、私たちアメリカとの間で軍事面における協力関係を深化させようと努力していることを賞賛する。その努力には、集団的自衛(collective self-defense)の行使に関する既存の制限を見直そうとしている試みも含まれる」

 

==========

 

 オバマ大統領がアメリカの大統領で初めて、「尖閣諸島が日米安保条約第5条の対象になる」と明言しました。この種の発言はヒラリー・クリントン前国務長官もしていたので、いまさらといった感は否めませんが、日本の一部には「勝利」と捉え評価する動きがあるようです。日米安全保障条約第5条の条文は以下の通りです。

 

「第五条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。

  前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。」

 

 日本が行政的に管理している尖閣諸島は日米安全保障条約の対象に含まれるというのは、考えてみれば当たり前の話です。日本の保守派は、この名言を中国に対してのヘッジとして使おうとしていると思われます。「尖閣に軍隊を送ったら、自衛隊だけでなく、米軍も出てくるんだぞ」ということだと思います。しかし、アメリカ軍は本当に出てくるのかどうか、たかだかいくつかの無人島を守るために危険を冒すだろうかという疑問は残ります。それは、クリミア半島をめぐるウクライナとロシアの争いとロシアの併合の事態の推移を見ていると、果たしてどうなのだろうかという思いに駆られます。

 

 更に、「主権に関する争いにはアメリカは関与しないので、日中で話し合いで解決して欲しい、軍事力での解決は望まない」というのは、一番の無理難題です。主権争いに関してアメリカは関与しないということになると、中国は、「尖閣諸島の主権は中国にある」ということを証明するために、沿岸警備隊のパトロールを増やすことになるでしょう。そうなれば、偶発的な事件や事故が起きて、物理的な衝突が起きるということも考えられます。

 

 オバマ大統領の発言があったからと言って、尖閣問題がすぐに解決することはなく、それどころか、かえって日中間の衝突の危険性が高まったのではないかとすら思えてしまいます。

 

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

Financial Times April 23, 2014 11:14 pm

 

Barack Obama says disputed islands covered by Japan pact

 

By Geoff Dyer in Washington

 

http://www.ft.com/intl/cms/s/0/cf6f8304-cb2e-11e3-ba9d-00144feabdc0.html?siteedition=intl#axzz2zkzvOKF9

 

President Barack Obama and Japanese Prime Minister Shinzo Abe depart Sukiyabashi Jiro sushi restaurant in Tokyo, Wednesday, April 23, 2014. Opening a four-country swing through the Asia-Pacific region, Obama is aiming to promote the U.S. as a committed economic, military and political partner, but the West's dispute with Russia over Ukraine threatens to cast a shadow over the president's sales mission.

 

President Barack Obama has said the islands in the East China Sea disputed by Tokyo and Beijing are covered by the US-Japan defence treaty as he sought to use the first day of a trip to Asia to reassure anxious allies in the region.

 

In an interview with a Japanese newspaper, Mr Obama became the first sitting US president to acknowledge that his country considered the islands – which Japan calls the Senkaku and China the Diaoyu – to be part of the defence alliance between Washington and Tokyo.

 

His comments were clearly designed to show support for Japan, Washington’s most important ally in the region, but immediately prompted an angry response from China which says the US is trying to encircle it.

 

The policy of the United States is clear – the Senkaku islands are administered by Japan and therefore fall within the scope of Article 5 of the US-Japan Treaty of Mutual Co-operation and Security,” Mr Obama said in written responses to the Yomiuri Shimbun newspaper. “And we oppose any unilateral attempts to undermine Japan’s administration of these islands.”

 

Mr Obama is spending a week in the region, visiting Japan, South Korea, Malaysia and the Philippines. His trip comes at a time of considerable uncertainty in the region about US staying power, which has been prompted by the president’s public reverse over military action in Syria, defence budget cuts and political gridlock that caused Mr Obama to cancel an Asian trip last year.

 

The US says it is neutral in the sovereignty dispute over the islands, which have become the subject of an increasingly tense political battle in recent years, but recognises that Japan has administrative control. Mr Obama’s comments come after several senior officials said the islands were covered by the treaty.

 

Referring to China, which has used coastguard ships and aircraft to reinforce its sovereignty claims, Mr Obama said: “Disputes need to be resolved through dialogue and diplomacy – not intimidation and coercion.”

 

The comments generated strong criticism in China. A commentary by the official Xinhua news agency said changes to the US-Japan alliance were part of “a carefully calculated scheme to cage the rapidly developing Asian giant”.

 

Qin Gang, a spokesman for the Chinese foreign ministry, said the US-Japan alliance was an agreement forged during the cold war, and China was “firmly opposed to putting the islands” under the treaty.

 

Mr Obama also used the interview to give a carefully worded endorsement of the Japanese government’s plans to modernise its military and to loosen some of the political and constitutional limits on its operations.

 

We have enthusiastically welcomed Japan’s desire to play a greater role in upholding international security,” he said.

 

I commend [Japanese] Prime Minister [Shinzo] Abe for his efforts to strengthen Japan’s defence forces and to deepen the co-ordination between our militaries, including by reviewing existing limits on the exercise of collective self-defence.”

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)






 

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