古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:国防長官

 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプは2017年1月に正式に米大統領に就任しました。そして、トランプ政権が発足しました。政権発足後、2年が経過する訳ですが、様々な出来事があり、これまでの政権の中でも、中身の「濃い」政権発足後の2年間であったと思います。

 

 様々な出来事の中には人事異動も含まれています。これまでに多くの辞任、解任がありました。下にご紹介する記事は、外交政策、国家安全保障政策に関するポストの人事異動について簡潔にまとめたものです。簡潔にまとめたとは言いながら、たくさんの人たちの名前が出てきます。政権発足後2年(米大統領の任期は4年間)で人事異動が多く行われました。まずアメリカの閣僚級の仕事はそれだけタフでありまたハードで、大統領と副大統領以外は4年続けることは大変なことです。大統領と副大統領がハードではないということではありませんが、この2人は「疲れたから」「自分と家族のための時間を確保したい」などという理由で代えることはできません。

 

 この記事を読むと、そう言えばそういうこともあったなぁと思い出すことばかりです。経済関係の閣僚ではここまで大きな人事異動はないのとは対照的に、国家安全保障関係、外交関係で人事異動が目立ったのは、トランプ政権では、トランプ大統領のイニシアティヴが強く、彼についていけない、彼の考えとは合わないということで辞任するケースが多くなっているということが言えると思います。トランプ大統領の対外政策は一言で言って、アイソレーショニズム(国内問題解決優先主義)であり、アメリカの世界における役割を縮小していこうという立場ですから、国家安全保障関係、外交関係の人々は戦々恐々としているでしょう。その間に立つ閣僚級の人々のストレスもまた大変なことでしょう。

 

 これからの2年間は2020年米大統領選挙が最大のテーマとなります。トランプ大統領は再選を最大の目標として動いていくでしょう。アメリカ国内の景気を何とか持たせることが最大の施策であり、それ以外は二の次ということになるでしょう。外交で何かやるとすれば、中国とは何とか妥協して、景気がこれ以上悪化しないようにしつつ、アメリカに投資しろ、アメリカ製品(武器)を買え、と迫ることになるでしょう。高尚な国際政治や理想主義的なことなど語っていられない、ということで、こうした時期にトランプが大統領であるというのは、歴史の必然ということになります。

 

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トランプの国家安全保障ティームは常に不安定さをもたらしている(Trump's national security team is constant source of turnover

 

モーガン・チャルファント筆

2018年12月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/national-security/422792-top-national-security-posts-with-turnover-under-trump

 

ジェイムズ・マティス国防長官の辞任の決断は、トランプ政権が常に不安定であることを示す最新の具体例となっている。

 

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トランプとジェイムズ・マティス

 

トランプ大統領は日曜日、マティス長官が年末に辞任すると発表した。マティスは2019年2月に辞任すると発表していたが、それよりも早くなってしまった。マティスは政権内の国家安全保障政策・外交政策の最高幹部クラスの中で最新の退任者となった。

 

数人は辞任し、数人は解任され、数人は政権内で人事異動となった。

 

2019年、トランプ大統領の国家安全保障ティームの顔ぶれは全く違うものとなるだろう。

 

これからはトランプ政権において人事異動があった国家安全保障に関連するポジションについて見ていく。

 

●国家安全保障問題担当大統領補佐官

 

トランプのホワイトハウスにおける国家安全保障と外交の諸問題についての担当補佐官にはこれまで3名が就任している。

 

陸軍の三ツ星の将軍で、トランプの大統領選挙陣営に参加していたマイケル・フリンを、トランプは2016年の選挙直後すぐに、国家安全保障問題担当補佐官に指名した。

 

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マイケル・フリン

 

フリンの任期は極めて短かった。フリンは就任して1カ月もしないうちに辞任せざるを得なくなった。フリンは、マイク・ペンス副大統領に対して、政権移行期に駐米ロシア大使との接触について誤った情報を与えたことが暴露され、辞任に追い込まれた。フリンは、駐米ロシア大使との接触についてFBIに対して有罪であると認め、ロシアの2016年米大統領選挙への介入についてのロバート・ムラー特別検察官に協力している。

 

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ロバート・ムラー

 

トランプはHR・マクマスター陸軍中将をフリンの後任に指名した。マクマスターはトランプ政権の中でより穏健な人物だと見られ、様々な問題についてトランプと衝突を繰り返したと言われていた。2015年のイランとの合意もその中に含まれていた。トランプは大統領選挙期間中、この合意について常に非難していた。

 
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 HR・マクマスター

 

マクマスターの任期も長くはなかった。2018年4月、トランプはマクマスターを解任し、ジョン・ボルトンを後任に据えた。ボルトンはジョージ・W・ブッシュ政権に参加し、中国とイランに対して強硬な考えを持つタカ派である。

 

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ジョン・ボルトン

 

FBI長官

 

トランプは2017年5月にジェイムズ・コミーFBI長官を解任する決断を下した。コミーの解任はトランプ政権において最も議論を巻き起こした出来事であった。

 

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ジェイムズ・コミー

 

コミー解任は、ロシア政府が2016年の米大統領選挙に介入するためにトランプ選対の幹部たちが協力したのかどうかについてFBIが捜査していることを、コミーが公式に認めてからわずか数か月後のことであった。

 

コミーの解任は、司法省がヒラリー・クリントン元国務長官の私的Eメールサーヴァー使用に関する捜査の指揮からコミーを外すように勧告した時点で予想がされていた。一方、後にトランプはNBCニュースとのインタヴューの中で、「ロシアに関する出来事」はコミー解任の決断の参考になったとも述べている。コミー解任についてムラー特別検察官は、トランプ大統領が司法の執行を邪魔したのかどうかについて、コミー解任の敬意を詳しく調査したと報じられている。

 

コミーは解任後、何度もトランプを批判することになった。また、連邦上院で、大統領がコミーに対してFBIによるフリンの捜査を取り止めるように要求したかどうかについて証言を行った。

 

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クリストファー・レイ

 

連邦上院は、コミーと同じくジョージ・W・ブッシュ政権に参加していたクリストファー・レイのFBI長官就任を承認した。

 

●司法長官

 

ジェフ・セッションズ前司法長官は、選挙期間中にトランプと親密な関係を築き、信頼できる側近として政権に参加した。

 

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ジェフ・セッションズ

 

しかし、アラバマ州選出の共和党所属の連邦上院議員だったセッションズとトランプとの関係は、セッションズが選挙期間中にセルゲイ・キスリャクと接触を持っていたとし、ロシアに関する捜査の指揮を行わないと発表したことで、悪化してしまった。キスリャクはその当時駐米ロシア大使を務めていた。

 

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トランプとセルゲイ・キスリャク

 

セッションズは、不法移民と犯罪集団に対する取り締まりを強化するとしたトランプの公約を実行しようと積極的に動いた。トランプは公的な場で、多くの場合はツイッター上で、セッションズを数カ月にわたり激しく非難した。2018年9月には「ヒルTV」に出演し、「自分の政権には司法長官は存在しない」とまで発言した。

 

セッションズは、中間選挙投開票日の翌日、トランプから辞任するように言われて辞任を決めた。トランプは、セッションズ司法長官の首席補佐官を務めたマシュー・ウィッテカーを臨時長官に任命した。それから、トランプ大統領は、司法長官にジョージ・HW・ブッシュ(父)政権で司法長官を務めたウィリアム・バーを指名した。ウィッテカー、バー両者ともにムラーのロシアの選挙介入に関する捜査に対して批判的な態度を取っている。

 

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ウィリアム・バー

 

●国土安全保障長官

 

退役した海兵隊将軍であるジョン・ケリーは、トランプ政権に最初国土安全保障長官として入閣した。ケリーの働きはすぐにトランプから尊敬され、関心を持たれることになった。そして、2017年夏に大統領首席補佐官に異動することになった。

 

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ジョン・ケリー

 

トランプはラインス・プリーバスに代わってケリーを大統領首席補佐官に就けるという決断を行った。これはトランプ大統領の日常的な行動の具体例を示している。それは、既に政権内で高位の職にある人物を空いたポジションに就けるというものだ。

 

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ラインス・プリーバス

 

こうした行動の結果として、旅行禁止や国境警備の手法といったトランプ大統領の議論を巻き起こす政策を実行するにあたり中心的な役割を果たす省庁のトップがしばらく空位になってしまった。

 

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キリステン・ニールセン

 

トランプは最終的にキリステン・ニールセンを後任に選んだ。ニールセンはジョン・ケリーの次席を務め、またジョージ・W・ブッシュ政権にも参加していた。しかし、2018年秋になりすぐに、トランプは11月の中間選挙後にニールセンを更迭する意向だという報道が数多く出るようになった。

 

●国務長官

 

トランプは、エクソンモービル社CEOであり、自身が選んだ最初の国務長官だったレックス・ティラーソンとたびたび衝突したことは既に知られている。イラン問題からパリ気候変動合意まで多くの点で衝突した。ティラーソンは昨年、国防総省で開催されたある会議の席上でトランプのことを「愚か者」と呼んだと報じられた。

 

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レックス・ティラーソン

 

今年3月にトランプがツイッターを通じてティラーソンを解任したことに誰も驚かなかった。トランプはツイッター上でイランとの核開発を巡る合意の放棄について両者の意見が合わなかったと述べた。

 

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マイク・ポンぺオ

 

トランプはすぐにCIA長官だったマイク・ポンぺオを次の国務長官に指名した。外交政策についてタカ派的な考えを持つ元カンザス州選出連邦下院議員だったポンぺオを政権の中でより人の目に晒される地位に就けた。ポンぺオは、北朝鮮の核兵器開発プログラムの停止に関して、北朝鮮を交渉のテーブルに引き出す試みにおいて推進役を担った。

 

CIA長官

 

ポンぺオの国務長官就任によって、CIA初の女性長官が就任する道が開かれた。ジナ・ハスペルは長くCIAに勤務したヴェテランで、トランプによってCIA長官に指名され、2018年5月に連邦上院において54対45で人事を承認され、CIAを率いることになった。

 

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ジナ・ハスペル

 

ハスペルの就任承認は平穏にはいかなかった。911当時多発テロ事件以降のテロ容疑者たちに対する尋問には批判も出ており、こうした尋問についてのハスペルの関与について様々な角度からの調査が行われた。

 

ハスペルは歴代のCIA長官と同じく、就任以降、目立たないようにしていた。しかし、アメリカを拠点にして活動していたジャーナリストのジャマル・カショギがイスタンブールのサウジアラビア領事館で殺害された事件についてCIAが情報を掴んでいたことがマスコミで報じられたことで、ハスペルはスポットライトの当たる場所に再び引きずり出されることになった。

 

●米国連大使

 

2018年10月、ニッキー・ヘイリーは2018年いっぱいで米国連大使を辞任すると突然発表を行った。

 

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ニッキー・ヘイリー

 

サウルカロライナ州知事を務めたヘイリーは、トランプ政権発足後からすぐに、政権の外交政策における重要な人物となった。そして、国際問題についてのトランプの行動を支持してきた。早い段階でヘイリーはトランプからの尊敬を勝ち取り、トランプとの間で合意ができない場合でも、独立した姿勢を貫き続けた。

 

ヘイリーの辞任の発表は、共和党所属の連邦議員たちと保守派の人々の間に失望をもたらした。

 

ヘイリーは2020年の米大統領選挙に出馬しトランプに挑戦するために大使を辞任するのではないかという憶測を否定し、公的な仕事から退いて「休息を取りたい」と述べた。

 

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ヘザー・ナウアート

 

トランプは、フォックス・ニュースのキャスターを務め、国務省報道官を務めているヘザー・ナウアートをヘイリーに後任に指名した。しかし、国連大使の地位を閣僚レヴェルから引き下げることをトランプは計画している。

 

●国防長官

 

先週、マティスはワシントンに衝撃を与えた。マティスは2019年2月に辞任すると発表した。その中で、彼はトランプ大統領と政策面で合意が出来なかったことを示唆した。辞任の決断は、トランプ大統領がシリアから米軍を撤退させると発表してから数日後に行われた。トランプ大統領の米軍撤退の発表は幅広い層から批判を受けた。

 

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ジェイムズ・マティス

 

多くの人々は、マティスこそは、無秩序に陥りつつある政権を安定させる存在であり、第二次世界大戦後のアメリカの同盟関係を守る人物であると考えた。民主、共和両党はマティス辞任のニュースを受けて狼狽した。これ以降、トランプと連邦議員で彼を擁護してきた人々との間で亀裂が生じることになった。

 

連邦上院院内多数派総務ミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は木曜日、「アメリカの世界における指導力に関するいくつかの重要な点」について大統領と合意できない点があったのでマティスは辞任するということを知り、「酷く動揺」したと述べた。

 

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ミッチ・マコーネル

 

トランプは外部からの批判と、トランプとマティスとの間の相違を明らかにしたマティスの辞任についての書簡に苛立ったと報じられている。そして、日曜日に、マティスは2018年の年末までに辞任すると発表した。

 

トランプはツイッターを通じて、マティスは、アメリカが、アメリカの納税者の犠牲の上に、「多くの」富裕な国々の軍隊に対して「実質的に補助金を支給し続けている」ことを認識していないと述べた。トランプは更に、マティスを二カ月も早く追い出して、臨時の国防長官にパトリック・シャナハン国防副長官を任命した。

 

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パトリック・シャナハン

 

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 古村治彦です。

 

 2018年12月20日、ジェイムズ・マティス国防長官の辞任が前倒しとなり、在任は年内いっぱいまでとなりました。マティス長官の辞任は、ドナルド・トランプ大統領のシリア政策、具体的には米軍の撤退に反対したことが原因でした。トランプ大統領は正式の後任を置く前に、代行として、パトリック・シャナハン(1962年―)国防副長官を指名しました。このシャナハンもマティスの後任の有力候補として名前が挙がっています。

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パトリック・シャナハンとトランプ
 

シャナハンは1986年にボーイング社に入社し、最後は供給担当の上級副社長を務めました。政府での経験はないというところが不安を持たれているようですが、シャナハンはトランプ大統領が提唱した宇宙軍創設を推進しており、大統領からの信頼も厚いようです。彼自身もコンピューター技術者出身ということもあり、技術に関しては有能ということになるでしょう。

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アヨッテ
 
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トム・コットンとトランプ

 その他にケリー・アヨッテ、トム・コットン、デイヴィッド・マコーミック、ジム・タレントといった名前が挙がっています。アヨッテ、タレントは連邦上院議員の経験者、コットンは現役の連邦上院議員です。それぞれ軍事委員会に所属し、軍事知識が豊富なようです。トム・コットンはハーヴァード大学卒業後、法科大学院に進学し、弁護士資格を取得しました。その後、アメリカ陸軍に入隊し、幹部候補生学校に入学し、士官(最終階級は大尉)としてイラクとアフガニスタンに派遣されました。その後、ネオコンのウィリアム・クリストルに見出されました。そして、2014年の連邦上院議員選挙に当選しました。ネオコン派の議員として、タカ派的言動で知られています。

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デイヴィッド・マコーミックとトランプ
 

 デイヴィッド・マコーミックはヘッジファンドのブリッジウォーター社のCEOですが、ジョージ・W・ブッシュ政権で財務次官を務めた経験を持っています。また、イヴァンカ・トランプ、ジャレッド・クシュナーと個人的に親しい関係にあるようです。

 
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ジム・タレント

 下に掲載した記事が書かれた頃にはシャナハンの代行はまだ発表される前でした。シャナハンが代行に任命されたことで、シャナハンがマティスの後任になる可能性が高まったように考えられます。アヨッテ、コットンといった人たちはトランプ大統領のシリアとアフガニスタンの米軍の縮小に反対を表明しています。主要な政策に反対する人を入れるのかどうかは分かりません。それぞれに一長一短があるので、誰と決め打ちすることは難しいですが、もしこの中から誰かが選ばれた場合に、トランプ大統領の思考法を理解するための手助けになると思われます。

 

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マティスの後任の有力候補者5名(Five possible successors to Mattis

 

エレン・ミッチェル、レベッカ・キール筆

2018年12月23日

『ザ・ヒル』誌

 https://thehill.com/policy/defense/422560-five-possible-successors-to-mattis

 

トランプ大統領はジェイムズ・マティス国防長官の今週の辞任を受けて公認を決めるのに苦労するかもしれない。

 

マティスは木曜日(20日)に辞任した。最高司令官(大統領)との間で政策をめぐる大きな相違があったことを理由に挙げている。マティスは民主、共和両党から幅広い支持を受け、アメリカの同盟諸国から尊敬を集めていた。マティスの存在のおかげで発足してから2年間、無秩序な政権が何とかやっていくことが出来たが、現在、政権人事のこれまでにない大幅な異動が展開されている。

 

トランプ大統領は2月末までに退役した4つ星の将軍マティスの後任を決めることとなるが、有力候補者として数名の名前が挙がっている。

 

しかし、名前が挙がっている有力候補者たちで大統領と一対一であった人はほぼいない。また、連邦上院において大差で承認を得られるであろう人もほぼいない。現段階での名前が挙がっているのはトランプ大統領以外の人物の推測に基づいた人々である。

 

トランプ大統領によるシリアからのアメリカ軍の撤退という決定とアフガニスタン駐留の米軍の半減を考慮していることについて、連邦上院軍事委員長ジェイムズ・インホフェは次のように語った。「大統領は自分の考えを進んで実行してくれる人物を選ばなければならない。これは難しいと思う。多くの人間はシリアからの撤退決定、アフガニスタン駐留米軍の半減について憤慨していると思う」。

 

マティスの後任の候補者5名を紹介する。

 

●ケリー・アヨッテ(Kelly Ayotte)前連邦上院議員(ニューハンプシャー州選出、共和党)

 

政権に近い匿名の人々はアヨッテがマティスの後継者となると語っている。彼女は、マティスが国防長官に指名される前に、国防長官に指名されると考えられていた。

 

ニューハンプシャー州選出の前連邦上院議員アヨッテは国防に関して豊富なバックグラウンドを持っている。アヨッテは連邦上院議員時代に連邦上院軍事委員会即応小委員会の委員長を務めた。

 

2016年の選挙で彼女は敗れてしまった。2015年のイランとの核開発を巡る合意に関しては激しく反対する共和党議員の一人であった。彼女はイランと北朝鮮に対する経済制裁を強化することを主張した。

 

上院議員退任後すぐに、アヨッテはトランプが大統領になって初めて連邦最高裁判所判事に指名したニール・ゴーサッチのための連邦議会におけるシェルパ、先導役を務めた。アヨッテの名前は、2017年5月にトランプがジェイムズ・コミーFBI長官を解任した際を含む、複数の機会で取り沙汰された。

 

しかし、アヨッテの持つ考えの中にはトランプ大統領の考えと齟齬をきたすものがあるようだ。その中には中東からの米軍撤退に関する考えも含まれている。

 

アヨッテは2011年にオバマ前大統領がイラクから米軍を撤退させたことを激しく批判した。このことは、彼女が、トランプ大統領が望むシリアからの米軍撤退について同様に批判するのではないかということを示している。

 

連邦上院議員在任中、アヨッテは「スリー・アミーゴス」の一員として知られていた。他の二人はトランプを多くの場面で批判した故ジョン・マケイン前連邦上院議員(アリゾナ州選出、共和党)と、ここ数日シリアとアフガニスタンについてトランプ大統領と激しい応酬を展開しているが、基本的には大統領の味方であるリンゼー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)である。

 

●トム・コットン(Tom Cotton)連邦上院議員(アーカンソー州選出、共和党)

 

ここ数カ月、連邦上院軍事委員会と情報委員会の委員を務めている、トム・コットン連邦上院議員が国防長官、もしくはCIA長官に指名されるのではないかという憶測が流れている。

 

コットンは金曜日に国防長官就任の可能性について質問しようと集まってきた記者たちに何も答えなかった。

 

コットンは陸軍士官としてイラクとアフガニスタンに従軍した経験を持つ。コットンは連邦上院の中で国防タカ派として名前を知られている。また、トランプ大統領による対イラク政策の変更を支持している。

 

現在41歳のコットンが国防長官になると、現代においては最年少の国防長官の一人ということになる。

 

コットンはいくつかの間違いを犯している。2017年2月にマイケル・フリンが国家安全保障問題担当大統領補佐官を辞職した後に、トランプ大統領にH・R・マクマスターを後任に推薦したと報じられている。

 

マクマスターの名前は、コットンによる推薦があるまで、トランプ大統領のレーダーには引っかかっていなかったと言われている。マクマスターはトランプと衝突を繰り返し、トランプの対ロシア、対イラン、対北朝鮮政策に反対し続け、2018年3月に解任された。

 

コットンは、トランプがシリアとアフガニスタンにおける米軍の規模を縮小すると発表したことに対して、激しい批判を行った。これらの問題はマティスの辞任を誘発した。

 

ロビー活動会社「ナヴィゲイター・グローバル」社長アンディ・カイザーは、トランプの政権移行ティームの国家安全保障部門に参加していた。カイザーは、コットンのシリアに対する姿勢が彼の国防長官に就任するチャンスにどのように影響するかどうかははっきりしない、と述べた。

 

カイザーは次のように述べている。「誰が国防長官になるかを推測するのは難しい。ニッキー・ヘイリーはトランプ大統領に批判的であった。それでもヘイリーは米国連大使に指名された。どのコメントが重要でどれが重要でないかを判断するのは難しい。公平に述べて、トム・コットンはトランプ政権に対して好意的であり、トランプ政権が発足してから帰還のうち99%の時期は政権を評価してきたと私は思う。従って、彼にも大いに可能性があると考えている」。

 

しかし、問題を複雑にしているのは、コットンが安泰な連邦上院議員の座を捨てて、国防長官になるかどうかということ、そして、トランプ大統領が、共和党が過半数を占めている連邦上院から議員を引き抜くかどうかということである。

 

●元財務省上級職員のデイヴィッド・マコーミック(David McCormick

 

今年9月、『ワシントン・ポスト』紙はマコーミックがマティスの後任になる可能性があると報じた。この時期、中間選挙(11月6日)後にマティスの辞任があるのではないかという話が出始めていた。

 

マコーミックは陸軍士官学校を卒業後、陸軍士官として湾岸戦争に従軍した。ジョージ・W・ブッシュ(子)政権で、国際問題担当財務次官を務めた。それ以前には産業・安全保障担当商務次官と国家安全保障問題担当次席大統領補佐官(国際経済政策担当)を務めた。

 

マコーミックは現在、世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーターの共同CEOを務めている。また、トランプ政権の酷寒安全保障問題担当次席大統領補佐官を務めたディナ・パウエルと婚約している。

 

マコーミックは大統領の娘と義理の息子であり、ホワイトハウスの上級顧問を務めるイヴァンカ・トランプとジャレッド・クシュナーとは社交グループを通じて個人的に大変に親しい関係にある。

 

2017年、マコーミックは国防副長官就任の申し入れを拒否した、その理由としてブリッジウォーターでの仕事に満足していること、国防副長官の仕事に自分は適していないことを挙げた、と報じられたことがある。

 

●パトリック・シャナハン(Patrick Shanahan)国防副長官

 

トランプ大統領はマティスの後任を見つけることが出来ない場合、国防副長官の中から選ぶこともある。その場合、ボーイング社の重役であったパトリック・シャナハンは有利な立場にある。

 

国防総省内で2番目の高位の文官は、企業の役員を務めた背景を持つ。1986年にボーイング社に入社し、2017年に国防副長官の指名を受けるまで、ボーイング社の供給チェーン担当上級副社長を務めていた。

 

更に言えば、シャナハンは、実際の戦争と戦闘に関してのアドヴァイスではなく、ビジネスと行政における経験に基づいて、国防総省の改革を主導する役割を担っている。

 

シャナハンは、宇宙軍新設というトランプの計画を支持しているだけでなく、実際に国防総省内で宇宙軍新設計画を推進している。そのために、ホワイトハウスを頻繁に訪問し、トランプ大統領とマイク・ペンス副大統領と会談を持っている。

 

シャナハンがマティスと緊密な関係にあるのかどうかは知られていない。

 

●ジム・タレント(Jim Talent)元連邦上院議員(ミズーリ州選出、共和党)

 

2016年の米大統領選挙直後、トランプの政権移行ティームは国防総省トップにタレントを就けようとした。ミズーリ州選出の連邦上院議員だったタレントは、連邦上院軍事委員会印を務めた経験を持ち、今でも連邦議員たちと太いパイプを持っている。また、ニューヨークでトランプと会談を持った。2015年と2016年、トランプを批判した多くの共和党の政治家たちと異なり、選挙期間中、タレントはトランプを批判しなかった。

 

国防長官決定の過程の中で、タレントを強力に推したのはその当時の大統領首席補佐官レインス・プリーバスであった。しかし、プリーバスは2017年7月にホワイトハウスを去った。今回、タレントは大統領に対して影響を与えることが出来る大物支持者を得ているのかどうかははっきりしていない。

 

タレントは現在、米中経済・安全保障問題検討委員会の委員を務めている。タレントを2019年末までの2年の任期の委員に任命したのは、連邦上院多数党院内総務ミッチ・マコーネル(ケンタッキー州選出、共和党)であった。

 

トランプの政権以降ティームに参加したヘリテージ財産の国防政策担当アナリストであるジェイムズ・カラファノは誰がマティスの後任にふさわしいかと質問され、タレントとジョン・カイル連邦上院議員(アリゾナ州選出、共和党)の名前を挙げた。

 

カラファノは次のように述べている。「ジョン・カイルやジム・タレントのような人物は経験豊富、尊敬を集める連邦上院議員とその経験者で、国家安全保障問題に精通している。連邦議会の中で人々の尊敬を集めている。そのような人々は素晴らしく、国防長官に適格だろう」。

 

2012年の米大統領選挙で共和党候補者となったミット・ロムニーは、タレントを国防長官にすると明言していた。

 

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 古村治彦です。

 

 今回はアメリカのレックス・ティラーソン国務長官(日本で言えば外務大臣に相当)の発言についての記事をご紹介します。

 

 ティラーソン国務長官がワシントンにあるシンクタンクで講演を行い、「北朝鮮とは最初の爆弾が落ちる直前まで外交交渉を続ける」と発言しました。

 

米朝のどちらが「先に爆弾を落とすのか」ということが問題になります。ティラーソンの発言の文脈では、どちらとも言えないですが、「アメリカはあくまで外交努力を続ける、先制攻撃をするにしても外交上の全ての努力が効果を挙げないということが分かった時だ」というのがティラーソンの言いたいことのようです。

 

 ティラーソン国務長官の行っているのは、リアリズムに基づいた外交です。リアリズムとは、自国の国益を第一に考え、理想に走らず、与えられた状況下で最大の成果を得る(目的を達成する)という考えです。

 

 しかし、ティラーソン国務長官は外交がうまくいかなければ、次はジェイムズ・マティス国防長官の出番となり、「マティス長官は自分の出番となれば、自分の仕事をうまくやり、成功を収めると確信している」ともティラーソン国務長官は発言しました。これは、軍事的な方法を放棄してはいないということを示唆しています。

 

 ドナルド・トランプ大統領はアイソレーショニズム(国内問題優先主義)を掲げて当選しましたので、外交は外国にあまり関わらないということを基本線にしています。従って、ティラーソン国務長官の外交姿勢が基本線ですが、同時に、北朝鮮に対しては強硬な姿勢も保っています。硬軟両路線いずれも選べるということは、相手を迷わせる、疑心暗鬼にさせるのに適したやり方です。

 

 しばらくはティラーソン国務長官に外交努力を続けてもらい、もうどうしようもないとなったら、北朝鮮に対して強硬路線ということになるでしょう。強硬路線と言ってもかなりアメリカにとってかなり自己限定した内容になると思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

ティラーソンは北朝鮮との交渉の扉を開いている(Tillerson Open To Talks With North Korea

―ティラーソン国務長官は「最初の爆弾が落ちる直前まで」交渉を行うだろうと述べた。核兵器をめぐる対決の脅威を減らそうと外交努力をさらに高めると示唆した。

 

ロビー・グラマー筆

2017年12月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/12/12/tillerson-open-to-talks-with-north-korea-asia-state-department-china-pyongyang-nuclear-weapons-program-nonproliferation-diplomacy-pressure-campaign/

 

レックス・ティラーソン国務長官は北朝鮮との交渉に向けてドアを大きく開けた。今週火曜日、北朝鮮政府から準備が整ったというシグナルが送られたらすぐに無条件で交渉を行うと述べた。

 

火曜日、ワシントンにあるシンクタンクであるアトランティック・カウンシルでのイヴェントでティラーソンは「私たちは無条件で初めての会談を行う準備が整っている」と語った。ティラーソンは続けて次のように語った。「まずは会ってみよう。もし相手が望むなら天気の話だってできる。もしこれが楽しいというなら、交渉のテーブルの形を四角にするか丸にするかだって話せる。少なくとも交渉の席に座り、お互いの顔を見てみることができる」。

 

ティラーソンはこのイヴェントの後に交渉を申し出る条件を提示した。ティラーソンは、北朝鮮に対してミサイル発射テストを凍結するように求めた。ティラーソンの一連の発言は、トランプ政権から北朝鮮政府に対しての現在における外交交渉開始の明確な提案である。ティラーソンは、ドナルド・トランプ大統領は北朝鮮政府と間で対話を行う必要性について認識しており、「とても現実的」であると述べた。トランプ大統領は彼の発言とツイッター上の書き込みで戦争の恐怖を高めているように見られている。

 

ティラーソンは「私は最初の爆弾が落とされる直前まで外交努力を続けるだろう。しかし、交渉が打ち切りとなってマティス国防長官は彼の出番となったら物事をうまく進めて成功させるだろうという確信を持っている」と述べた。ティラーソンは交渉が行き詰まったら、軍事的に解決するという計画があることを示唆しつつ発言を行った。今年2月から北朝鮮は16回の試験で23発のミサイルを発射した。結果として朝鮮半島における戦争の危険性が高まった。最新のミサイル発射テストは11月29日に行われた。この時の実験ではミサイルの新しい機能が示された、このミサイルはワシントンを攻撃するのに十分な高度と距離を飛ぶことが出来ることを示した。

 

北朝鮮は核兵器とミサイル開発を大きく進めている。ティラーソンは何カ月もかけて北朝鮮の首にかけた経済的、外交的に、北朝鮮の首にかけられた処刑ロープを少しずつ締めながら、北朝鮮を交渉のテーブルに座らせようとしている。ティラーソンのやっていることは、外交政策についてのトランプ政権の複雑な姿勢の中で、明確な試みとなっているが、トランプの外交に対する否定的な姿勢が続く中で、これは効果が削減されてもいる状況だ。

 

北朝鮮に圧力をかける動きの中で勝利が得られている。イタリア、スペイン、メキシコ、ペルー、クウェートは北朝鮮の大使を国外退去とした。北朝鮮からの労働者を出国処分とし、北朝鮮との間の限定的な交易関係を断つ国々も出ている。労働力輸出と貿易は金正恩政権にとっての主要な収入源だと見られている。

 

ティラーソンは「金政権は大使が送り帰されたことで、こうした状況に気づいている、ということを私たちはつかんでいる」と語った。

 

専門家たちは、こうした小さな勝利の積み重ねは遅々として進まない厳しい試みであっても、やがて大きな勝利をもたらすことが出来ると述べている。センター・フォ・ニュー・アメリカン・セキュリティーのパット・クローニンは次のように語っている。「これは重要な責務である。法的、外交的な障害は多く存在している。しかし、ティラーソン国務長官の下で確実に事態は前に進んでいると私は考えている」。

 

外交的な下準備を進めているが、ティラーソンの前には厳しい仕事が待っている。クローニンは、「外交によって、危機を完全に取り去ることはできず、一時的な妥協しか成立しないかもしれない」と発言している。しかし、戦争を避けるために外交はあくまで進める価値がある。北朝鮮に対して、ほぼ条件をつけずに交渉を開始しようとしたのは今回の政権が初めてという訳ではない。2001年にコリン・パウエルが国務長官だった時に交渉を行おうとした。

 

対決的な状況に対する切り札は中国だ。中国はアメリカやアメリカの同盟諸国から、北朝鮮に対する姿勢を変えるように常に圧力を受けながらも、北朝鮮の金政権にとっての経済的、外交的な頼みの綱を与えている。中国は隣国である北朝鮮の体制が突然崩壊して、難民が押し寄せることを危惧している。

 

今年になって、中国は北朝鮮政府に対してより圧力をかける方向に進んでいる兆候を見せている。中国は繊維、石炭、石油、燃料などの北朝鮮向け輸出を削減し、北朝鮮の労働力輸出を厳しく取り締まるようになった。ティラーソンは、ティラーソンとトランプは次の段階として北朝鮮向けの石油輸出の更なる削減を中国に求めている、と語った。

 

クローニンは次のように語った。「中国はできることをやっているが、それがどれほどの効果があり、そもそも十分なのかははっきりしないというのは事実である。しかし、中国がこれまでにないほど熱心に取り組んでいるのは確かだ」。

 

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