古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:大統領

 古村治彦です。

 ジョー・バイデン政権の閣僚(cabinet members)人事で重要なのは、国務長官や財務長官といった重要閣僚の人事ではない。私が注目しているのは気候変動問題担当大統領特使(U.S. Special Presidential Envoy for Climate)ジョン・ケリー(John Kerry、1943年-、77歳)とアメリカ国際開発庁(USAID)長官(administrator)のサマンサ・パワー(Samantha Power、1970年-、50
歳)だ。今回はサマンサ・パワーを取り上げる。
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バイデン(左)とサマンサ・パワー

 私は著書『アメリカ政治の秘密』の中で、サマンサ・パワーを取り上げた。彼女は2008年の大統領選挙でオバマ選対に入り、民主党予備選挙でヒラリー・クリントン陣営と激しい戦いをする中で、イギリス・スコットランド地方の新聞のインタヴューを受けた際に、ヒラリーを「彼女は怪物よ、もちろんこれはオフレコでお願いね(She is a monster, too—that is off the record)」と発言したことが、そのまま掲載されたために、選対を離れることになった。オバマ政権では国家安全保障会議のスタッフになり、オバマ政権二期目には、閣僚級の米国国連大使に任命された。

 パワーは1990年代に、20代でジャーナリストとなり、民族紛争が激化していた当時のバルカン半島を取材した。そして、2002年に最初の著作『集団人間破壊の時代(A Problem from Hell": America and the Age of Genocide)』を出版した。これが2003年にピューリッツァー賞 一般ノンフィクション部門を受賞する。そこで高い知名度を得た。

 USAIDの予算規模は2016年の時点で272億ドル(約2兆9000億円)、人員は約4000名だ。「庁(Agency)」となっているが、「省(Department)」クラスの規模だ。ここに人道的介入主義者(humanitarian interventionist)のサマンサ・パワーを長官に持ってくる。その意味は重たい。

更に言えば、バイデン政権から、USAID長官も国家安全保障会議(National Security Council、NSC)にも出席できるようにする、ということになった。ここが重要ポイントだ。国家安全保障会議は縦割りの弊害をなくし、大統領の許で、外交や国家安全保障政策を一元化するための会議であり、アメリカにとっても世界にとっても最重要の会議である。議長は大統領であるが、実際の差配は国家安全保障問題担当大統領補佐官(National Security Advisor)が引き受ける。もっと細かいことは国家安全保障問題担当次席大統領補佐官(Deputy National Security Advisor)が行う。国務長官や国防長官、財務長官などは出席する。これまでの正式な出席メンバーは以下の通りだ。

(貼り付けはじめ)

●議長:大統領、●法的参加者:副大統領、国務長官、国防長官、エネルギー長官、●軍事アドバイザー:統合参謀本部 (JCS) 議長、●情報関係アドバイザー:国家情報長官、●定期的参加者:国家安全保障問題担当大統領補佐官、首席補佐官、国家安全保障問題担当次席大統領補佐官、●追加参加者:財務長官、司法長官、国土安全保障長官、ホワイトハウス法律顧問、アメリカ合衆国国家経済会議委員長、米国国連大使、アメリカ合衆国行政管理予算局局長

(貼り付け終わり)

省の長官(Secretary)でも出席できないものが殆どであるのに、国務省の傘下にあるUSAIDの長官(administrator)が出席できるようになった。これは、「アメリカの海外援助を国家安全保障政策や外交政策と同格に扱う」ということ、歴代政権もぼやかしてきたことを、初めて明確にしたのである。私たちは海外援助と言えば、井戸を掘ったり、農業技術の支援をしたり、学校や道路、橋を建設したり、ということをイメージする。困っている人たちを助ける、ということを想像する。

 しかし、アメリカの海外援助はそうではない。そんなただでお金をくれてやる、そんな無駄なことはしない。海外援助を「ターゲットにした国の体制転換(regime change)のために」使うということなのである。私はその実態を『』の中で書いている。そのために、人道的介入主義派(humanitarian interventionism)のリーダーである、サマンサ・パワーをUSAID長官に持ってきた。更に、サマンサ・パワーがホワイトハウスでの国家安全保障会議に出席できるようにした。バイデン政権は海外介入をやる気満々だ。

現在、新型コロナウイルス感染拡大が問題になっている。バイデン政権は感染症対策のために、このUSAIDの海外援助を利用しようとしている。中国が世界各国に対して支援を行っているが、アメリカもそれに遅れてはならじ、ということであろう。しかし、新型コロナウイルス感染拡大が一番深刻なのはアメリカである。まずは自国のことからしっかりやれよ、そのためにUSAIDの予算を削減して国内対策に回せ、と私は考える。

 人道的介入主義とネオコンは同根である。「アメリカの理想や価値観を世界中に広めて、それで統一すれば戦争は起きない、平和な世界になる」という何とも思い上がった思想を共有している。そのためにターゲットにされる国にとっては災難であり、厄災である。バイデン政権誕生を喜んでいる人間は何ともおめでたい人たち、なのだ。

(貼り付けはじめ)

バイデンは元米国国連大使をUSAIDのトップに指名し、アジア担当スタッフを強化(Biden Names Former U.N. Envoy to Head USAID, Beefs Up Asia Staff

-元米国国連大使サマンサ・パワー(Samantha Power)はトラブルを抱えた政府機関を立て直すことになるだろう。一方、オバマ政権に参加したヴェテラン、カート・キャンベル(Kurt Campbell)とイーライ・ラトナー(Ely Ratner)をアジア担当のトップの地位に就く

ジャック・デッツ、アイミー・マキノン筆

2021年1月13日

『ザ・ヒル』誌

https://foreignpolicy.com/2021/01/13/biden-names-former-u-n-envoy-to-head-usaid-beefs-up-asia-staff/

大統領選挙当選者ジョー・バイデンは元米国国連大使サマンサ・パワーを米国国際開発庁(U.S. Agency for International DevelopmentUSAID)に指名している。著名なジャーナリストだったパワーを外国向け支援担当政府機関の責任者にすることになる。USAIDは過去4年間に予算削減と運営管理の失敗によって動きが取れなくなってしまっている。

パワーがUSAID長官に指名されるという報道を初めて行ったのは、NBCニュースであった。アイルランドからの移民であったパワーの名前が最初に世間に知られるようになったのは、大虐殺に対するアメリカの反応についての研究でピューリッツァー賞を受賞したことがきっかけだった。パワーのUSAID長官への指名を政権移行ティームが事実だと認めた。今回の人事は、新型コロナウイルス感染拡大への対応で、外国への支援が重要だと、来るべきバイデン政権が考えていることを示している。バイデン政権はUSADI長官を国家安全保障会議の参加メンバーに引き上げる。

バイデンは国家安全保障会議(NSC)に、調整役ポジションを新たに作った。このポジションは世界のより広範な地域や重要な地域を担当することになる。これらの地位はすぐに埋まった。バイデンはキャンベルとラトナーを指名したが、この人事は中国との戦略的競争に集中することを示している。

水曜日、『フィナンシャル・タイムズ』紙は次のように報じた。オバマ政権下で国務省において幹部を務めたカート・キャンベルをインド太平洋担当コーディネイターに指名した。キャンベルはオバマ政権下でアメリカは太平洋地域に集中すべきだと主張した人物である。また、ブルッキングス研究所の研究員ラッシュ・ドシーを中国担当部長に指名したフィナンシャル・タイムズ紙はまた、バイデンの副大統領時代に次席国家安全保障担当副大統領補佐官だったイーライ・ラトナーがインド太平洋問題担当国防次官補(assistant secretary)に就任すると報じた。インド太平洋問題担当国防次官補は、国防省の職位の中で、アジアに関して、連邦上院の人事同意を必要とする、最も高い地位である。

 こうした人事を発表する中で、バイデンはパワーを「世界的な賞賛を受けている、両親と道徳的明確性を主張する声のような存在」と称賛している。そして、パワーは尊厳と人間性のために立ち上がる人物だと評している。

バイデンは声明の中で次のように述べている。「パワーは、彼女自身が提起した、原理に基づいたアメリカの関与に対して、比類のない知識と疲れを知らない努力を行っていることを知っている。USAIDの世界の舞台でのリーダーという役割を再び果たすようになるためには、パワーの専門性と考えが必要不可欠である」。

国連大使として、パワーは国連において、シリアにおける化学兵器による攻撃、ロシアによるクリミア侵攻、エボラ出血熱危機などの諸問題に対するアメリカの対応を主導した。パワーは理想主義者を自称しているが、1990年代のバルカン半島においてジャーナリストとしての取材経験が大きな影響を彼女自身に与えている。バルカン半島において最初にプレスパスを得る際には、若いパワーは本誌『フォーリン・ポリシー』誌の推薦状を得た。この推薦状はカーネギー国際平和財団を通じてもたらされたものだが、当時、パワーは同財団でインターンをしていた。

オバマ政権で、パワーはシリアとリビアで起きている人道上の危機の深刻化を止めるためにはアメリカの力が必要だと声高に主張した。2019年に出版した回顧録『ある理想主義者の教育(The Education of an Idealist)』の中で、パワーは、2013年にホワイトハウスのシチュエーションルームで激しいやり取りがあったと書いている。オバマ大統領は、パワーに向かって、「サマンサ、私たちは皆、君の本を読んでいるんだよ」と述べた。

USAIDはトランプ政権下で脇にどかされ、士気が下がっていた。パワーはそのUSAIDを率いることになる。USAID長官に政治任用された人物が就任することになり、USAIDの士気は上がるだろう。2020年の大統領選挙の翌日、ホワイトハウスは、連邦上院の人事承認が必要なUSAID副長官ボニー・グリックを解任した。その日は、USAIDの臨時長官ジョン・バルサの任期の最終日(連邦欠員法の定めによる)であった。そして、バルサはグリックの後任として副長官になり、USAIDのトップの地位を維持した。

1月6日の連邦議事堂進入事件の後、USAIDのホワイトハウス担当キャサリン・オニールはトランプ政権で登用された人物だが、事件をきっかけにしてUSAIDの幹部職員たちが次々と辞任していくことを批判した。

バラク・オバマ元大統領が連邦上院議員時代にサマンサ・パワーの文章に注目した。バイデンはトランプ政権と連邦議会によって予算を削られ続けたUSAIDに、知名度の高いパワーをもってきた。トランプ政権は繰り返し海外援助予算を削減しようとし、昨年にはUSAIDの予算を22%削減することを提案した。しかし、小の動きは連邦議会によって阻止された。トランプ政権は、イラクのような緊急性の高い場所でのフルタイムの援助担当職員の数を減らし、最低限の帰還要因だけを残すようにした。

パワーはバイデン、そして国務長官内定者アントニー・ブリンケンと直接の関係を持ち、人権問題に対して熱心に発言してきたという記録は残っているが、国際開発の分野におけるバックグラウンドは持っていない。パワーのUSAID長官指名に到達するまでに、バイデン・ハリス政権以降ティームは、国連世界食糧計画の責任者を務めたエルサリン・カズンやオバマ政権下でUSAIDの幹部職員を務めたジェレミー・コインディアックも候補に挙がった。コインディアックはツイッターなどを通じてトランプ政権の新型コロナウイルス感染拡大への対処を激しく批判したことで有名だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 2020年の一般教書演説(State of the Union Address)はないような大したものは何もなかったが演説外では大変見どころの多いものとなった。ドナルド・トランプ大統領は翌日に連邦上院で弾劾についての評決が行われ、無罪評決となる可能性が高い中で、一般教書演説を行った。演説の中で弾劾について触れるか注目されたが、触れなかった。
2020stateoftheunionaddressdonaldtrump

 トランプ大統領は、昨年弾劾の調査を開始した連邦下院議会の議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)に対しては徹頭徹尾無視する態度に出た。大統領は演壇に進み、後ろの議長席に座るマイク・ペンス副大統領とペロシ下院議長に演説原稿を渡した。ペロシ議長はその際に手を差し伸べて握手しようとしたが、トランプ大統領は完全に無視した。ペロシ議長は笑顔ではあったが目を丸くし、驚愕の態度であった。

 その後も演説でトランプ大統領が自身の業績を誇り、議場で共和党側から大きな拍手を受ける時も首を振り、不同意の態度を示した。

 そして、演説が終わり、トランプ大統領がペロシ議長を無視して演壇から降りる際、笑顔で演説原稿を真っ二つに引き裂いた。演説中も民主党側からの抗議の声が出されることもあった。

 「State of the Union」の「Union」はアメリカという各州が集まって作っている国、まとまりの意味で、その状況を行政府の長である大統領が立法府である議会に説明する、ということだ。三権分立で等しく権力を持つ司法部からは連邦最高裁判所判事たちが出席する。この「Union」という言葉が虚しく響く一般教書演説となった。トランプ大統領は自身の選挙戦のためのサプライズをいくつも用意し、全米中継の中で得放映された。テレビ番組で何回も紹介されることになる。これで大統領を強固に支持する有権者を固めることができた。民主党予備選挙で集計に不手際があったこともあり、これもうまく利用できる形となった。

しかし、まとまりや団結を強調すればするほど、虚しく響くだけのこととなってしまった。連邦上院で弾劾に関する無罪評決が出た後の演説でもトランプ節が炸裂するだろう。これでアメリカの分裂を益々印象付けることになる。

 

(貼り付けはじめ)

トランプ大統領による緊張を高めた一般教書演説の5つの特徴(Five takeaways from Trump's tense State of the Union address

ブレット・サミュエルズ、モーガン・チャルファント筆

2020年2月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/481555-five-takeaways-from-trumps-tense-state-of-the-union-address?__twitter_impression=true

党派間の激しい争いの中で一般教書演説が行われた。また、共和党が過半数を占める連邦上院における弾劾裁判でトランプ大統領に無罪評決を行われるであろうという時刻の24時間以内に演説が行われたことになる。

一般教書演説は、弾劾訴追に関する共和党が過半数を占める連邦上院で無罪判決が出る可能性が高い日の前日に行われた。

ここで5つの特徴を書いていく。

(1)トランプ・ペロシの緊張関係再び激化(Trump-Pelosi tensions boil over again

今回の一般教書演説は、昨年の10月に不調に終わったホワイトハウスでの会談以来、初めてトランプ大統領とペロシ連邦下院議長が同じ部屋にいる機会となった。10月の会談の後、ペロシ議長がそそくさと外に出て、トランプ大統領はペロシ議長を「三流」の政治家だとこき下ろした。

火曜日の夜、物事は改善しなかった。

トランプ大統領が登壇し、演説原稿をペロシ議長に渡した際、議長は大統領に手を差し伸べ握手をしようとした。しかし、大統領はペロシ議長の行為を無視したように見えた。演説が続く中、ペロシ議長は大統領に目を向けることはなかった。また、大統領が演説の中で健康保険制度と社会保障について話した際には、「ノー」を示すように頭を振った。

トランプ大統領が演説を終えた後、ペロシ議長は演説原稿を真っ二つに引き裂き、注目を集める瞬間を作った。

ペロシ議長は演説の後、記者団に対して、「選択肢を検討した上で行った礼儀にかなった行動です」と述べた。

トランプ大統領がペロシ議長の握手を無視したこと、ペロシ議長が演説原稿を破ったことという2つの場面は、水曜日にトランプへの無罪評決が連邦上院で行われようとしている中でケーブルテレビのニュースで繰り返されることになるだろう。

これら2つの場面は2020年が酷い年になるであろうという雰囲気を作り出すものだった。

(2)連邦議場は党派対立に包まれた―トランプ時代になっても(The chamber was polarized — even for the Trump era

連邦議場において演説の中で共和党側によるスタンディング・オヴェイションが何度も起きた。しかし、民主党側はトランプ大統領の演説時間のほとんどで嫌悪を示した。

そのような行動は一般教書演説ではそこまで珍しいことではない。しかし、この火曜日の一般教書演説では、民主党側はトランプ大統領に対しての否定的な感情を強く示したのは今回の演説が特異であった。

トランプ大統領は演説の中で低い失業率とアフリカ系アメリカ人の間での歴史的に見て低い失業率を自画自賛した。この時でも民主党側は椅子に座ったままだった。

大統領が数百万のアメリカ国民がフードスタンプを必要としなくなったと述べた時には民主党側からはブーイングが出た。大統領が処方薬の薬価を引き下げる法律の必要性を訴えた時、民主党側からは処方薬の薬価に関してペロシ議長が署名した法案である「HR3」を叫ぶ声が上がった。

トランプ大統領は、「急進左派」と「社会主義的」医療制度政策を批判し、不法移民を守る聖域都市(sanctuary cities)の拡大を非難することで厳しい雰囲気を議場にもたらした。

火曜日の夜を特徴づけることになった党派対立から、議場のギャラリー、招待者席も免れることはできなかった。2018年に学校内の銃撃事件で娘を亡くしたフレッド・ガッテンバーグはペロシ議長からの招待を受けてギャラリーにいた。ガッテンバーグは、トランプ大統領が銃保有の権利を守ると公言した際に抗議のために叫び声を上げたために議場から連れ出された。

(3)本領を発揮したトランプ大統領(Trump in his element

トランプ大統領は連邦議会に対する90分間の演説の間でメッセージを発信した。トランプ大統領は自身の政権下での経済、安全保障、移民政策を強調し、自分自身をアメリカの労働者と家族の擁護者だと定義した。

トランプ大統領は様々な方法で選挙戦での集会での発言内容を演説の中で繰り返した。民主党側からの批判はそこまで大きなものではなかった。トランプ大統領はまともだった演説の最初の部分で経済成長と低失業率、特にアフリカ系アメリカ人共同体の低失業率を強調した。

トランプ大統領は演説の最初で次のように述べた。「アメリカの敵は逃亡している。アメリカの幸運は上り調子であり、アメリカの将来は光り輝いている。経済後退の年月は終わった。私が決めていることは、労働者優先、家族優先、成長優先、何よりもアメリカ優先だ」。

トランプの発言は議場で共和党側の座る部分から賞賛され、演説中に弾劾について触れることは避けるようにと主張した共和党側はトランプ大統領の演説に満足した。トランプ大統領の一般教書演説は、2020年という選挙の年に入るにあたり共和党に勢いをつけるものとなった。

(4)トランプの「リアリティショー」だった一般教書演説(Trump’s reality show State of the Union

トランプ大統領はかつてリアリティーテレビ番組の司会者だったことがある。火曜日夜の演説の中で、大統領は彼らしさと司会者らしさを十分に示した。トランプ大統領はテレビが取り上げやすい場面をいくつも作った。

トランプ大統領は保守派のラジオ番組司会者ラッシュ・リンボウの業績を讃えた。リンボウは進行した肺癌と診断され、ホワイトハウスの招待客リストに遅れて加えられた。トランプ大統領は演説の中で、リンボウに大統領自由勲章を授与すると発表し、メラニア・トランプ大統領夫人が勲章をリンボウの首にかけた。

トランプ大統領は演説の中でタウンゼント・ウィリアムズ軍曹の家族に触れた。ウィリアム軍曹はアフガニスタンに派遣されて11か月が経過していた。トランプ大統領はウィリアムズ軍曹の妻と子供たちにサプライズをプレゼントした。大統領は軍曹が帰国し、家族に会うために議場に来ていると発表した。家族は再会を果たし、議場は「USA!」コールに包まれた。

学校選択法制について進めると強調する中で、トランプ大統領はフィラデルフィアに住む小学4年生ジャニア・デイヴィスに「オポチュニティ・スカラシップ」を与えると発表した。これによってジャニアは自分が選ぶ公立学校か私立学校に通えるようになる。

派手な身振りはトランプ大統領特有のもので、マスコミがトップで報じるようなものを作り出すものであった。しかし、同時に刺刺しい雰囲気を和らげるものでもあった。

(5)トランプ大統領は弾劾については別の日に取っておくことにした(Trump leaves impeachment for another day

トランプ大統領の長かった演説では事前にもそしてアドリブ的にも最大の関心事について触れられることはなかった。関心事とは弾劾と共和党が過半数を握る連邦上院で無罪評決が出る見通しについてであった。

ペロシ下院議長が弾劾に関する調査を行うと発表してからの4カ月、トランプ大統領はこれまで選挙集会や公式行事の場において、頻繁に連邦下院民主党が弾劾の調査を行ったことについて非難してきた。そのトランプ大統領が演説の中で弾劾について触れなかったのは驚きであった。

共和党内部には、トランプ大統領が連邦上院で無罪評決を受ける前に、事前の勝利宣言として一般教書演説を使うのではないかと懸念を持つ人々もいた。

共和党所属の連邦議員たちの多くは一般教書演説が近づく数日間は弾劾に集中すべきではないと主張していた。また、大統領に対して演説においては自身の業績を強調するように求めていた。

トランプ大統領は水曜日の午後に連邦上院で弾劾に関する判決の投票がなされた後で演説を行うと見られている。どのような判決になりどのような演説になるかはは明確ではない。

(貼り付け終わり)

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 古村治彦です。

 

 先日、ドナルド・トランプ大統領によって解任されたジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官の後任にロバート・オブライエン(Robert O'Brien、1966年―)が決まった。ロバート・オブライエンは弁護士で、アメリカ政府高官として外交分野での経験も長い人物だ。また、アメリカ軍の法務関係で神奈川県の座間にある在日米陸軍司令部に勤務したこともある。民間で弁護士をしている時代も、共和党系の半官半民の組織である国際共和研究所(IRI)の代表として、2013年には中央アジアの国ジョージアの大統領選挙、2014年にはウクライナの議会選挙の監視団に参加した。

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 2005年には当時のジョージ・W・ブッシュ大統領によって、国連総会の米国代表に任命され、総会に参加した。その頃、国連大使を務めていたのは、オブライエンの前任者となるジョン・ボルトンだった。その後はブッシュ政権からオバマ政権にかけてアフガニスタンの司法制度の構築に参加した。2018年からは人質問題担当の特使を務めていた。

 下の『ワシントン・ポスト』紙の記事では、ロバート・オブライエンの古くからの友人が、彼はネオコンとは違う、古いタイプの保守派で、トランプ大統領の「アイソレーショニスト(アメリカ国内優先主義)」に沿った助言や説得をできると絶賛している。現在、アメリカ外交は、イランとの緊張の高まり、北朝鮮との交渉が先行き不透明、ヴェネズエラ問題に対する対処の失敗などの問題を抱えている。また、アメリカの力と存在感の減退によって世界各地域が不安定となっている。現在の日韓関係の悪化もその流れにある。

 ロバート・オブライエンはロナルド・レーガン元大統領の「強さを通じた平和」という考えを一貫して持っているようだ。これは軍事力増強に多額の予算を投入しつつ、軍事力の行使には消極的ということである。アメリカ軍の強大さと巨大さを誇示することで、反抗する意図を挫くということだ。これだとトランプ大統領の意向に沿う形になる。

 トランプ大統領はアメリカ海軍の増強を主張していて、オブライエンもその同調者(navalist、海軍増強主義者)だそうだ。これはアメリカの貿易ルートを守るためということもあるだろう。現在、太平洋や東シナ海、南シナ海をめぐっては米中の間で綱引きが行われている。中国は西太平洋までを実質的に自分たちのコントロールする海にしたい。アメリカ海軍はハワイまで引け、ということになる。アメリカはそうさせじとなり、日本をますます強く握りしめる。東南アジア諸国や太平洋島しょ諸国はその間をうまく立ち回ろうとしている。 

日本に近いところでは、「第一列島線(First Island Chain)」と「第二列島線(Second Island Chain)」をめぐる綱引きが起きている。この2つの線は中国封じ込めの線となっているが、中国はこの2つの線の内側を自分がコントロールする海にしたいと考え、アメリカはそれを阻止しようとしている。日本はその間で絶妙な位置にいる。

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 ロバート・オブライエンはネオコンであった前任者の失敗を繰り返すことはしないだろう。戦争に結びつくような動きはしないだろう。トランプ大統領とオブライエン新補佐官の認識は、米軍の再建が必要だということだ。これは現在の米軍は弱体化しており、世界の諸問題に対処するにあたり、米軍の弱体化はアメリカの力と存在感の減退を招いているので、まずは米軍の再建だということになる。米軍の増強には公共事業の拡大という側面もある。

 (貼り付けはじめ)

 

トランプが次の国家安全保障問題担当大統領補佐官にロバート・オブライエンを指名(Trump names Robert O'Brien as next national security adviser

 ブレット・サミュエルズ筆

2019年9月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/461910-trump-names-robert-obrien-as-next-national-security-adviser

ロサンゼルス発。トランプ大統領は水曜日、現在トランプ政権の人質問題担当特使を務めているロバート・オブライエン(Robert O'Brien)を国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命する意向だと発表した。

トランプ大統領は「私は長い間、ロバートと共に懸命に仕事をしてきた。彼は素晴らしい仕事をしてくれるだろう」とツイッター上に書き込んだ。

トランプ大統領は先週、ジョン・ボルトンを解任した。ボルトンの後任にオブライエンが就くことになった。ボルトンは北朝鮮問題とヴェネズエラ問題に対する政権の姿勢に同調することが出来なかった、とトランプ大統領は批判した。

 国家安全保障問題担当大統領補佐官に関しては連邦上院の人事承認を必要としない。

オブライエンはトランプ政権発足後の3年弱で4人目の国家安全保障問題担当大統領補佐官となる。彼の前任者たちは、マイケル・フリン、HR・マクマスター、ボルトンだ。
オブライエンはトランプ大統領が直面している様々な困難に対処するという難しい役割を担うことになった。イランと緊張関係の深刻化、北朝鮮の非核化について交渉が頓挫している状況、ヴェネズエラの状況の悪化など他の様々な国際問題に対処しなければならない。

 オブライエンは自分の考えに固執していきすぎることなく、トランプ大統領に助言を行うことが出来るに違いない。これはオブライエンよりもタカ派のボルトンには全くできなかったことだ。

 トランプ大統領は水曜日の午後にサンディエゴで開催される資金集めイヴェントに出席するために大統領専用機エアフォース・ワンに搭乗した。途中立ち寄ったロサンゼルスで、トランプ大統領はオブライエンを伴って姿を現した。その後、再びエアフォース・ワンに搭乗してサンディエゴに向かった。トランプ大統領は途中で立ち寄ったロサンゼルスで、記者団に対して、おぶらいえんを「素晴らしい人物」と称賛し、トランプ政権下で、本国に戻ることが出来たアメリカ国民の人質の記録を示し、業績を強調した。

トランプ大統領は記者団に対して次のように語った。「オブライエンとはしばらくの間一緒に働いたが、私たちは大きな成果を上げた。私たちは多くのアメリカ人を故郷に連れ帰ったが、身代金は全く支払っていない」。

オブライエンは国家安全保障問題担当大統領補佐官という新たな役割を果たすことを楽しみにしていると述べ、トランプ政権はこれまで多くの外交上の勝利を収めてきたが、これから多くの困難も待ち受けていることは認識しているとも語った。

オブライエンは次のように述べている。「トランプ大統領に仕えることは光栄なことで、強さを通じての平和が、大統領の残りの任期である1年半続くことを望む。トランプ大東慮の指導力の下、アメリカは多くの外交政策上の成功を収めてきた。私はこれがこれ化も続くことを期待している」。

オブライエンは続けて次のように語った。「私たちは多くの困難に直面してきた。しかし、ポンぺオ国務長官、エスパー国防長官、ミュニーシン財務長官といった人々が構成する素晴らしいティームで対処してきた。私はこのティームと一緒に働けることを楽しみにしている。そして、大統領と共にアメリカを安全にするために努力する。また、軍を再建し、強硬な姿勢を通じての平和を私たちに取り戻す(get us back to a peace through strength posture)」。

オブライエンは2018年に国務省の人質担当の首席交渉者となった。彼は海外で拘束されているアメリカ国民の解放のために働いた。オブライエンはラッパーのA$APロッキー がスウェーデンで拘束され、その釈放手続き期間中にスウェーデンまで赴いた。トランプ大統領はスウェーデン政府に対して暴行事件で逮捕されたA$APロッキーの解放を求めた。

オブライエンは長年にわたり外交分野で働いてきた。ジョージ・W・ブッシュ元大統領は2005年の国連総会の米国代表にオブライエンを指名した。また、ブッシュ(子)政権とオバマ政権で、アフガニスタンの司法システム構築のために、米国人の裁判官、検察官、弁護士を訓練するための国務省プロジェクトの共同委員長を務めた。

火曜日、トランプ大統領はカリフォルニア州での資金集めイヴェントへと向かう大統領専用機エアフォース・ワンの中で記者団に、国家安全保障問題担当大統領補佐官の候補者として考えている人物たちのリストを伝えた。

オブライエンの名前は、前任の国家安全保障問題担当大統領副補佐官(国家安全保障問題担当大統領補佐官はHR・マクマスター)リッキー・ワデル、エネルギー省高官リサ・ゴードン=ハガティ、元CIA分析官フレッド・フライツ、マイケル・フリン国家安全保障問題担当大統領補佐官辞任を受けて代理を務めたキース・ケロッグ陸軍中将が掲載されたリストの中に入っていた。

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トランプ大統領は、彼自身と国家が必要とする国家安全保障問題担当大統領補佐官を正確に選択した(Trump chose exactly the national security adviser he and the country need

 ヒュー・ヒューイット筆

2019年9月19日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/opinions/2019/09/19/trump-chose-exactly-national-security-adviser-he-country-need/

トランプ大統領は水曜日に新しい国家安全保障問題担当大統領補佐官について素晴らしい選択を行った。ロバート・C・オブライエンは2018年5月以来、トランプ政権の人質問題担当特使を務めてきた。彼はトランプ大統領就任以降に20名以上のアメリカ国民を祖国に連れ帰ることに貢献してきた。

オブライエンの有能さはトランプ大統領の関心と重点政策に合致してきた。しかし、それだけで彼が国家安全保障問題担当大統領補佐官に選ばれた理由ではない。マイク・ポンぺオ国務長官はオブライエンの重要な役職への昇進を支持した。国家安全保障問題分野で活躍してきたヴェテランたちは「レーガン流の強さを通しての平和」を目指す保守派(“Reagan peace through strength” conservatives)」に属してきた。このグループは、ロナルド・レーガン政権のキャスパー・W・ワインバーガー国防長官とジョージ・P・シュルツ国務長官にまで連なる。こうしたネオコンとは違う保守派は、国家安全保障問題担当大統領補佐官の仕事をよく理解している。彼らはリチャード・M・ニクソン大統領時代のヘンリー・キッシンジャーが国家安全保障問題担当大統領補佐官の仕事の内容を激変させたことを知っている。

私とオブライエンは親密な友人同士であることはここで書いておかねばならない。2つの法律事務所でパートナーを務めた仲だ。また、10年以上前から私が司会を務めるラジオ番組のゲストとして何度も来てくれた。また、私が国家安全保障分野に関するエッセイやコラムを書く際にも協力してくれた。私は昨年の夏に法律の実務から引退したが、チャップマン大学ファウラー記念法科大学院で教えることは続けている。私は2016年にオブライエンが出版した書籍『アメリカが眠っていた間に:危機に直面する世界に対してアメリカの指導力を再構築する』の推薦文を書いた。私以外にも多くの人々が今回の決定を称賛しているが、皆似たような内容の話をしている。これまでに、オブライエンは、ミット・ロムニー連邦上院議員(ユタ州選出、共和党)、前ウィスコンシン州知事スコット・ウォーカー、テッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)に助言をしてきた。連邦下院少数党院内総務ケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)とは長年の友人であり、マッカーシー以外にもカリフォルニア政界や国家安全保障分野に多くの友人を持つ。

今回のオブライエンの抜擢という選択を行うにあたり、トランプ大統領は、オブライエンの大統領自身とポンぺオ国務長官とうまく仕事をやっていく確立された能力だけでなく、海外や国内の法廷で複雑な訴訟で様々な依頼人の代理人を務めてきた技術を注目した。トランプ大統領が選択を行うにあたり、素晴らしい能力と誠実さを持つ人物を選ぶ必要があった。様々な事実と選択肢をまとめて大統領に説明し、大統領執務室にいない同盟諸国とアメリカ政府の高官たちを代弁して大統領を説得できる人物が必要であった。その人物こそがオブライエンだ。彼は複数の法律事務所を運営した経験を持つ。大規模な法律事務所では経営陣はエゴの塊で、野心と仕事が絡み合い、競い合う場所である。

オブライエンは様々な分野の書籍を読み、ウィンストン・チャーチルを尊敬している。オブライエンは「海軍増強主義者(navalist)」として知られている。トランプ大統領が提唱する「355隻」体制の海軍の賛同者たちは、ホワイトハウス中枢ウエストウィングに新たに友人を持つことになる。オブライエンは、トランプ大統領は艦隊の拡大を志向していることを人々に思い出させることが期待されている。私はオブライエンと一緒に船舶のエンジン・ドライブの製造工場を訪問したことがあった。私はオブライエンが工業レヴェルの現実と海軍のトップの意向をよく分かっている。

オブライエンは危機の真っただ中にある国々、アフガニスタン、ウクライナ。ジョージアを選挙監視団や外交官として訪問してきた。ジョージ・W・ブッシュ政権下、国連の米国代表部でジョン・ボルトンと一緒に仕事をした経験も持つ。最近では、外国の政府や組織に誤って拘束されたアメリカ国民の解放のためにトランプ大統領の代理として世界中を飛び回った。トランプ大統領はアメリカ国民を祖国に連れ帰るということに重点を置いており、それがオブライエンの情熱の源になった。拘束されたアメリカ国民の家族は新しい国家安全保障問題担当大統領補佐官はトランプ大統領とポンぺオ国務長官の人質奪還の強力な意向を共有していることを分かっている。最近のアメリカの外交史において、人質奪還がこれほど熱心に行われたことはなかった。オブライエンはアメリカ国民を海外で拘束しても何の得もしないと示しながら人質を解放することに成功した。

トランプ大統領はアメリカ軍の再建と現場の陸軍兵、海軍兵、空軍兵、海兵隊員の装備を最高で最強の兵器にすると主張している。オブライエンがこれまでに発表した著作や記事を概観すると、彼がこれまで長い間同じことを訴えてきたことが分かる。オブライエンはロナルド・レーガン大統領の前に立った。レーガン大統領と同様、トランプ大統領は外国の揉め事にすぐに介入することはない。トランプ大統領は国家安全保障問題について「ネオコンサヴァティヴ」ではなく、古いタイプの保守だ。自分が仕える人物の意向を受けて、オブライエンは、真剣で経験豊富なこれまでの国家安全保障専門家たちのラインに連なり、古典的な補佐官となる。

オブライエンは前任者たちとは違ってこれまで有名ではなく、国家安全保障分野では若手の間では知られている。彼はこれまでの20年間、国家安全保障分野の若手たちを教えてきた。国家安全保障分野、そして軍事分野には次世代にも受け継がれる一つの伝統が存在する。

トランプ大統領は政権の政策を実行するために有能で、公正な、そして知性のある補佐官を選択した。世界各地で緊張が高まる中で、これはアメリカに対する信頼を構築する選択となる。

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決定版 属国 日本論
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 古村治彦です。

 

 このブログで何度もご紹介したトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は歯に衣着せぬ発言で、民主党主流派や指導部、左派からも批判されることがあります。今回は、「ドナルド・トランプ大統領弾劾はすべきではない、アメリカの分裂を深めてしまう」と発言したそうです。


tulsigabbard108

 現在、連邦下院民主党の議員たちがトランプ大統領弾劾手続きを取るように求めています。弾劾手続きは連邦下院の過半数の賛成で訴追が決定され、連邦上院が弾劾裁判所の役割を果たします。連邦最高裁判所長官が裁判長となり裁判が行われ、連邦上位の3分の2(67名)以上の賛成で弾劾が成立し、大統領は罷免となります。これまで弾劾裁判にかけられたのはアンドリュー・ジャクソン(第17代)とビル・クリントン(第42代)の2人ですが、どちらも罷免までには至りませんでした。

 

 トランプ大統領には大統領選挙当選のためにロシアの選挙介入を依頼したのではないかというロシア疑惑があり、ロバート・ムラー特別検察官の捜査でも灰色の結果であったために、トランプ大統領の弾劾論が今でも残っています。


donaldtrump108

 

 連邦下院は民主党が過半数を握っていますから、訴追の決定はできるでしょうが、連邦上院は共和党が過半数を握っていますし、3分の2の賛成というハードルは高いので、トランプ大統領の弾劾が現実的なものとはならないでしょう。また、連邦下院民主党指導部は弾劾に消極的であり、これが民主党内部の対立を招いています。連邦下院民主党指導部は大統領選挙まで弾劾に関する調査を引き延ばす考えのようです。

 

 トゥルシー・ギャバードは、弾劾はアメリカ国民の中にある分裂をさらに深めるとして、大統領選挙でトランプ大統領を落選させることが重要だと述べています。これまでも歴史を見ても、弾劾が成立することはかなり難しいと言えます。トランプ大統領が何か重大な犯罪をしていてそれが隠されていたのに大統領期間中に証拠付きで発覚するというくらいのことならば弾劾は成立するでしょうが、現実的ではありません。

 

 大統領選挙のサイクルが始まっていますから、こちらに注力して、トランプ大統領を選挙で落選させる、ということの方が現実的でかつ、国民にとって民主的な手続きで指導者を交代させたということが重要なのだと思います。弾劾手続きは憲法に規定があるのですからもちろん民主的ですが、今のところは現実的ではないとなると、大統領選挙こそが重要になってきます。

 

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ギャバード:弾劾はアメリカを分裂させるだけだろう(Gabbard: Impeachment would only tear US apart

 

ジョン・バウデン筆

2019年9月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/460398-gabbard-impeachment-would-only-tear-us-apart

 

トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は最新のインタヴューの中で、民主党所属の連邦下院議員たちが行っているドナルド・トランプ大統領弾劾のための調査について、「大統領の弾劾はアメリカを更に分裂させるだけだ」と反対した。

 

ギャバードは「フルコート・プレス・ウィズ・グレタ・ヴァン・サスターン」に出演し、弾劾に対して断固とした態度を取ることを表明した。ギャバードは、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)やエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)のような他の大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちとは弾劾について考えを異にしている。

 

ギャバードは次のように語った。「私は弾劾を支持しません。私たちにとって何が我が国とアメリカ国民の利益のために最善のものは何かを考えることが重要なのです。弾劾を求め続けることは、我が国を更に分裂させることになると私は考えます」。

 

ギャバードは更に次のように述べた。「隠し立てせずにはっきり言います。私たちはドナルド・トランプを倒さねばなりません。しかし、私たちの国と私たちの未来のためには、この国の有権者たちが選挙を通じてトランプ大統領を倒すことが重要であり、私たちは大統領を倒すことになるだろうと私は確信しています」。

 

民主党所属の連邦下院議員132名は弾劾手続きの開始を求めているが、民主党エスタブリッシュメントに属する指導者たちは手続きを支持していない。その代表はナンシー・ペロシ連邦下院議長であり、彼女は大統領に対する調査を継続することを求めている。

 

2019年8月のマンモス大学の世論調査では、57%のアメリカ人がトランプ大統領は別の大統領に交代して欲しいと答えた。しかし、同時に弾劾手続きの開始を支持するのは3分の1だった。

 

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 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ大統領とアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)はともにニューヨーカー、もちろんおお金持ち出身と庶民出身という違いはありますが、生き馬の目を抜く激しい環境のニューヨークで生まれ育ったからなのか、お互いにいい意味でも悪い意味でも言葉の使い方がうまく、その応酬はお笑いを見ているかのようです。

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 トランプ大統領がグリーン・ニューディール法案を批判する際に、これは「若いバーテンダー」が作ったと揶揄し、それに対して、AOCが「最後に私を過小評価(見下した)人物は敗れ去った」と言い返しました。トランプ大統領は、AOCが議員になる前、家族の生活を支えるために、バーテンダーの仕事も掛け持ちして18時間働く日もあったということを知っていて、このような発言をしたのでしょう。「素晴らしい女性」という言葉を付け加えていますが、馬鹿にしているのは明らかです。しかし、彼女のことをよく知っている、注目している証拠ということが言えるでしょう。

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 アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)はこれに対して、「私を舐めると痛い目に遭う」と反撃しました。切り返しのうまさは、頭の回転の速さを示していますが、言葉遣いのうまさと激しさで彼女は、新人議員でありながらアメリカ政界で注目される存在となっています。こうしたことはニューヨークでの生まれ育ちも関係あるのかもしれません。頭の回転の速さで言い返していかなければ生きていけない、ということがあったのかもしれません。




 AOCが連邦下院議員になるために戦ったのは、10期連続当選、次はいよいよ連邦下院議長だと言われていたジョセフ・クローリー連邦下院議員でした。誰も知らない無名の若い女性が予備選挙で出てきたところで、クローリーは歯牙にもかけなかったでしょう。しかし、その態度が「有権者も舐めている」と捉えられ、結局予備選挙で大敗を喫することになりました。

 

 こうした言葉の応酬は時にアメリカ政治を活性化させます。日本の政治家のレヴェルの低い発言や聞くに堪えないヤジを思うと、何とも羨ましい限りです。

 

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オカシオ=コルテスが、トランプが彼女を「若いバーテンダー」と呼んだことに反撃:「最後に私に過小評価した人は敗れ去った」(Ocasio-Cortez responds to Trump calling her a 'young bartender': The 'last guy who underestimated me lost'

 

レイチェル・フラジン筆

2019年4月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/437259-ocasio-cortez-responds-to-trump-calling-her-a-young-bartender-the-last-guy-who?__twitter_impression=true

 

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は水曜日、トランプ大統領の最新のコメント、その中で彼女を「若いバーテンダー」と表現したことについて反応した。

 

彼女は『ニューズウィーク』誌の取材に対して、「最後に私を過小評価した人物は敗れ去りました。この件について言えることはこれだけです」と述べた。

 

バーテンダーとして働いた経験を持つオカシオ=コルテスは、2018年のニューヨーク州選出連邦下院議員選挙民主党予備選挙で長年現職議員を務めたジョセフ・クロウリーを破った。そして、本選挙で共和党候補者のアントニー・パパスを降した。

 

トランプ大統領は火曜日全米共和党連邦議員委員会主催の資金集めを目的とした優勝会に出席し、オカシオ=コルテスが提案したグリーン・ニューディール法案について揶揄した。

 

トランプ大統領は「グリーン・ニューディールは若いバーテンダーが作ったものだ。29歳の」と述べた。

 

トランプ大統領は次のように述べた。「若いバーテンダーの素晴らしい女性だ。グリーン・ニューディール。私がこのことを最初に聞いた時、“これは最も狂った考えだ”と言った。皆さんご存知のように、連邦議会上院には長年にわたり議員を務めてきたプロたちがいる。彼らは彼女の後ろに立って揺さぶっている。」連邦上院議員たちは彼女の動きを止めてしまう」

 

トランプ大統領はこれまでオカシオ=コルテスの提案したグリーン・ニューディール法案について繰り返し批判してきた、彼はこれを選挙運動で民主党批判の柱にしたいと述べた。今年初め、オカシオ=コルテスとエド・マーキー連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)はグリーン・ニューディール法案を提出した。この法案は再生可能エネルギーを100%使用することで経済を再構成することを目的とするものだ。

 

連邦上院では、民主党側が審議を求めたが、先週、早々に否決された。

 

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トランプがグリーン・ニューディールを作ったのは「若いバーテンダー」オカシオ=コルテスと揶揄した(Trump mocks Green New Deal as done by 'young bartender' Ocasio-Cortez

 

ブレット・サミュエルズ筆

2019年4月2日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/437074-trump-mocks-ocasio-cortez-green-new-deal-done-by-a-young-bartender

 

トランプ大統領は火曜日、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)をグリーン・ニューディールにかこつけて揶揄した。グリーン・ニューディールは気候変動を戦うために彼女が作った野心的な提案だ。

 

トランプは、全国共和党所属連邦議員委員会主催の夕食会に出席し、共和党所属の連邦下院議員たちを前にして、グリーン・ニューディールについてあまり批判したくない、それは彼が2020年の大統領選挙でグリーン・ニューディールをこき下ろしながら選挙運動をしたいからそれまで控え痛いのだ、と述べた。トランプ大統領はオカシオ=コルテスの名前を出さずに批判し続けた。

 

トランプ大統領は「グリーン・ニューディールは若いバーテンダーが作ったものだ。29歳の」と発言し、出席者たちの笑いを誘った。

 

トランプは続けて次のように語った。「若いバーテンダーの素晴らしい女性だ。グリーン・ニューディール。私がこのことを最初に聞いた時、“これは最も狂った考えだ”と言った。皆さんご存知のように、連邦議会上院には長年にわたり議員を務めてきたプロたちがいる。彼らは彼女の後ろに立って揺さぶっている。」連邦上院議員たちは彼女の動きを止めてしまう」。

 

トランプ大統領はその前にもグリーン・ニューディールを彼の再選運動のために、批判の柱としたいというコメントをしたこともあった。グリーン・ニューディールは、二酸化炭素の排出量を減らし、再生可能エネルギー使用を増やし、経済を活性化させることを目指すものだ。先週、この法案は審議されることなく、連邦上院多数党(共和党)院内総務ミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)がすぐに採決にかけて、否決してしまった。

 

オカシオ=コルテスは昨年、10期連続当選中だったジョセフ・クロウリー連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)を民主党予備選挙で破るという大番狂わせを起こし、民主党のライジングスターとして登場した。昨年11月の本選挙で当選し、連邦議会で史上最年少の女性議員となった。彼女は当選する前まで、ニューヨークでバーテンダーと政治オーガナイザーとして働いた。

 

アレクサンドリア・オカシオ=コルテスはトランプ政権を厳しく批判している。そして、グリーン・ニューディールと富裕層への増税といった進歩主義的な考えと政策を推進している。彼女は最近連邦下院民主党の資金集め組織を批判している。

 

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