古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:大統領

 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ政権が国家予算を発表し、国務省とUSAIDの予算を大幅に削減し(30%の削減)、国防費を540億ドル増加させました。これについては、批判の声が多く挙がっています。しかし、私はこれを当然のことで、大変喜ばしいことだと考えています。

 

 2011年のアラブの春から始まった中東の不安定な状況は、ムアンマール・カダフィ大佐の殺害、ベンガジ事件へと発展し、シリア内戦、シリアとイラク国内でのISの勃興というところまで悪化しています。また、ウクライナを巡る西欧とロシアの対立ですが、これはウクライナ国内の歴史的に複雑な問題とも相まって、こじれてしまいました。アメリカはロシアを非難し、制裁を課していますが、トランプ大統領は選挙戦期間中から、ロシアのウラジミール・プーティン大統領を賞賛し、ロシアとの関係改善を主張しています。また、中国に対しては厳しい言葉遣いをしていますが、貿易戦争をやる気はなく、また、北朝鮮は中国の問題だとしています。

 

現在の世界の不安定要因が発生した原因は、端的に言って、アメリカの対外政策の失敗が理由です。特に、共和党のネオコン、民主党の人道的介入派がアメリカ外交を牛耳ってきた結果、現在の状況にまでなってしまいました。こうしたことは拙著『アメリカ政治の秘密』で明らかにしましたので、是非お読みください。
 

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 古村治彦です。

 

 2017年2月9日から大きな事件となった、森友学園を巡る疑惑ですが、人々の注目を集めたのは、安倍晋三首相の配偶者、安倍昭恵さんが森友学園の開校予定(認可取り下げ)の瑞穂の國記念小學院(学園側は安倍晋三記念小學院にしたかった)の名誉校長をしていたという事実が明らかになってからです。子供たちが教育勅語を暗唱し、天皇皇后の写真に最敬礼し、運動会で「安倍首相頑張れ」と叫ぶ幼稚園の教育に感銘を受け、「何かお力になりたい」ということで、名誉校長になったという事実には驚かされました。

 

 そして、これ以降、安倍昭恵夫人のこれまでの活動にも関心が集まり、また、昭恵夫人のおつきの人々(常勤が2名、非常勤が3名)が国家公務員であったことも明らかになり、「公人」か「私人」かということで、もし公人ならば、森友学園の小学校の名誉校長になったことは適切ではなかったのではないかという主張も出てきています。

 

 昭恵さんはこれまでの控えめで目立たない存在であった首相夫人という立場を大きく変えました。彼女の行動は多くの人々から好感を持って迎えられました。それは彼女の行動力と好奇心の結果です。そして、安倍首相の支持率の維持にも少なからず貢献しました。

 

 しかし、「首相夫人」については、その立場に法的な根拠もなく、その活動がどこまでが公務で、どこからが私的なものなのかは線引きが難しいということも事実です。そのはざまで、「首相」夫人であることの影響力が少なからず行使されながら、見過されてきたということもあるようです。

 

 アメリカの大統領夫人(First Lady)の場合は、ホワイトハウスのイーストウイングに執務室が与えられ、補佐官やスタッフがつきます。ビル・クリントン大統領の夫人ヒラリー・クリントンは健康保険制度改革では陣頭に立ちましたし、フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領の夫人エレノア・ルーズヴェルトは病弱の夫を支え、影響力を発揮しました。しかし、たいていの場合は、ファーストレディは政治的な事にはかかわらず、社会的にコンセンサスのある問題に取り組みます。ジョージ・W・ブッシュ(息子)大統領のローラ夫人は図書館司書の経験を活かして、子供たちの読書啓発、バラク・オバマ大統領のミシェル夫人は、子供たちの肥満対策のために野菜摂取、運動の啓発に取り組みました。テレビ番組でミシェル夫人がおどけた姿でダンスをしている姿を見たことがある人もいると思います。

 

 それでは日本の首相夫人はどうなるべきか、ということはこれから検討されるべきです。その時に必要なことは、個人の資質で活動の範囲が変化してはいけないということであり、もう1つは政治と関わる部分もありますから、公的な活動の範囲は制限されるべきだと考えられます。首相夫人が公的な活動を行う場合には、国民的にコンセンサスを得られる問題に取り組むこと、そして首相や首相官邸の同意を得ることが必要ではないかと考えます。

 また、ビジネスの側面が大きいものも制限される必要があります。 昭恵さんのSNSを見ていますと、宣伝行為と判断されやすいものもありますから、これは排除されねばなりません。見られる数が制限される場合には私的な行為として判断されるかもしれませんが、こういう点では慎重な行動が求められます。

 

 「首相夫人」という肩書が政治的、営利的に利用されない、利用しないということが重要なのだろうと思います。

 

(貼りつけはじめ)

 

首相夫人の支え方「研究する」…菅官房長官

20170316 0950

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170316-OYT1T50015.html

 

 菅官房長官は15日の記者会見で、安倍昭恵・首相夫人の活動への支援のあり方について「研究していきたい」と述べ、検討を進める考えを明らかにした。

 

 菅氏は、首相夫人の活動が公的行為か、私的行為かを巡って国会で論戦になっていることを踏まえ、「首相夫人の活動をどのように支えていくか、実態を十分に把握した上で国民が『なるほどな』と思えるものにしたい」と強調した。

 

 同日の衆院内閣委員会では、昭恵夫人が名誉会長を務めるスキーイベントに政府職員が同行していたことが新たに明らかになった。政府の説明によると、イベントは2015年2月、16年3月、17年3月の計3回行われ、いずれも政府職員が連絡調整などのために同行。職員の旅費などは昭恵夫人が負担したという。

 

 政府は14日の閣議で「首相夫人は私人」とする答弁書を決定している。

 

(貼りつけ終わり)

 

 

(貼りつけはじめ)

 

日本のファーストレディは酒とフェイスブックを愛す、そして人々はそうした彼女を愛す(Japan’s first lady loves sake and Facebook, and people love her for it

 

アンナ・フィールド筆

『ワシントン・ポスト』紙

2014年9月22日

https://www.washingtonpost.com/world/japans-first-lady-loves-sake-and-facebook-and-people-love-her-for-it/2014/09/21/44ff5159-71ca-49cf-ab23-fc3f6531ce7d_story.html?tid=a_inl&utm_term=.e88a414af27c

 

東京発。一人の安倍さんがおり、その人物は上流階級の出身者でありながら、フレンドリーで、近づきやすく、お酒とソーシャルメディアを愛しており、友達になりたいと思う人だ。

 

ここにもう一人の安倍さんがいる。その名前は安倍晋三。保守的な日本国首相である。安倍首相の支持率は高い。しかし、安倍首相個人は、平均的な日本人が一緒にビールを飲みたいと思うようなタイプの人物ではない。そして、実際のところ、安倍首相はお酒をほとんどたしなまない。

 

安倍首相の妻、安倍昭恵氏は存在感を増し、彼にとって秘密兵器となりつつある。堅物な首相の柔らかい側面を見せることに貢献している。選挙から2年経って、彼の政策の効果について疑問が出ている中で、昭恵夫人の存在は重宝している。

 

フェイスブックのプロフィール写真で、昭恵夫人は麦わら帽子をかぶり、首相夫人らしからぬ服装で、農業者の格好で、彼女の田んぼの中で微笑んでいる。昭恵夫人は、アイスクリームを食べていたり、自動車の後部座席で古い型の折り畳み型携帯電話で話をしたり、微笑んでいたりしている安倍首相の写真を掲載している。世の中に出ている安倍首相の写真のほとんどにはそのような姿はない。

 

フェイスブックで昭恵夫人をフォローしている5万5000以上のフォロワーの中の1人であるリエ・コバヤシは、昭恵夫人が地震からの再建の専門家たちと写っている写真に対して次のように書いている。「昭恵さん、本当に素晴らしいです。あなたの生き方、望むままに生きて、自分の考えを曲げない、本当に憧れます」。

 

妻は夫に従うものという日本のステレオタイプとは異なり、安倍昭恵さんは夫である安倍首相の政策への反対を公にする。安倍首相は、原子力はエネルギーにとって必要だと主張しているが、昭恵夫人は反原発を主張している。昭恵夫人は津波対策の防潮堤計画に反対し、安倍首相が韓国政府と対立しているのに、韓国文化を愛している。首相は夫人を「家庭内野党」と呼んでいる。

 

今年初めに開催されたゲイ・プライド・パレードに昭恵夫人は参加した。日本ではLGBTに関する諸問題について公に議論がなされていない。また、昭恵夫人は不妊治療について公言し、安倍夫妻が養子縁組を検討したことがあると述べた。これもきわめて珍しい行動だ。

 

過去にはラジオDJをしたこともある。現在、彼女は東京の中心部で日本式のパブである居酒屋を経営している。そこでは、安倍首相の選挙区内にある田んぼで彼女自身が育てて収穫した無農薬の「昭恵米」を出している。一般の人々は、米から作られる日本酒好きの昭恵夫人について冗談を言っている。

 

昭恵夫人は首相公邸(安倍夫妻は首相就任後も公邸ではなく、自宅に住んでいる。公邸は会合とレセプションのために使われている)でインタヴューを受け、その中で次のように語っている。「私は枠を少しずつ壊しています。もしそれが女性他の多くが一歩踏み出すことの助けになれば、嬉しいですね」。

 

安倍晋三首相は「ウイメノミクス」を推進している。これは、日本において比較的斬新な考えで、女性たちがもっと働くことで日本経済を成長させようというものだ。安倍首相はウイメノミクス推進のために昭恵夫人を起用している。

 

今月初め、昭恵夫人は政府主催の「女性のための世界会議」(東京)に出席し、講演を行った。また、今週火曜日にはワシントンにあるシンクタンクCSISでウイメノミクスについて講演を行う予定だ。

 

昭恵夫人は次のように語っている。「私は、女性がいかに社会においてより活動的になるべきかについてお話をするつもりです。男性が作り上げた、垂直的な、争いが起きやすいピラミッド構造では社会はもう持たないと思います。これを変えることができるのは、女性の寛容さ、柔軟さ、母性だと考えています」。

 

昭恵夫人のこうした発言を見れば、彼女が急進的なフェミニストではないことが分かる。昭恵夫人は自分たちの部屋をいつもきれいに掃除するだけの時間を取れないと述べ、夫は自分でごみを出したり、洗濯をしたりしているので、「かわいそう」だと述べている。

 

安倍首相は女性が労働市場に参加する数を増加させようとしている。これが日本経済の抱える諸問題の解決策になると考えている。日本の人口は減少しつつあり、また高齢化も進んでいる。これは労働力の減少を意味する。しかし、女性たちの多くは、1日12時間労働が普通のこととされている文化に参加できない、もしくは参加したくないと考えている。

 

昭恵夫人は、女性の進出というメッセージの主導者だ。昭恵夫人は24歳最後の日に結婚した。日本では長い間、女性はクリスマスケーキと同じく、25歳を超えると結婚しにくくなると言われてきた。そして、昭恵夫人は結婚後に勤務していた広告会社を辞めた。

 

東京の上智大学で政治学を教える中野晃一は、「彼女はヒラリー・クリントンではない」と述べている。

 

しかし、メディアに対して昭恵夫人が好意を増しているのは、安倍晋三首相にもう一つの側面を加えるための策略のように見える。安倍晋三首相は有名な政治家一族の御曹司で、彼には思いやりが欠けていると見られてしまうことがある。

 

安倍首相は2012年末に権力の座に復帰した。第一次政権は2007年に短期間で終わった。この時は健康問題で辞任した。安倍首相の支持率は高く、これについて首相自身は経済の再活性化(これには異論はない)と「自衛隊」により行動の自由を与えるための憲法解釈の変更(これには大きな反対がある)に対して信任が与えられているからだと解釈している。

 

安倍首相の支持率は下がり気味だが、それでも50%前後を保っている。

 

昭恵夫人は裕福な家庭に生まれ育った。彼女は彼女自身の行動が戦略であることを否定し、彼女が安倍首相をより人間らしく見せているという意見には笑顔で次のように述べた。

 

昭恵夫人は「私の夫はとても面白くて、人間臭い人ですよ。マスコミには見せない面がたくさんあります」と語った。

 

政治分析を専門にしているアナリストは口を揃えて、昭恵夫人はざっくばらんだが、常識をわきまえている、そして安倍首相にとっては、彼のより柔らかい印象を人々に与え、人々をホッとさせることに役立っている。

 

中野教授は次のように語っている。「昭恵夫人の存在がなければ、安倍首相は上流階級出身で強固な右翼的な考えを持ち、頑固な保守派というだけの人物になってしまう」。

 

昭恵夫人は、夫の進める政策に対して影響力を与えることはないと考えているが、「私の役割は、夫がアドヴァイザーから聞くことがないであろう意見を言うことです。ただ、夫は既にたくさんの反対意見を聞いているんだよ、と私に言いますけどね」と語った。

 

2011年の福島原発事故以降、操業停止となっている原発の再稼働を安倍政権は準備している。これに対して、昭恵夫人は、ワシントン・ポスト紙の取材に対して、日本は原子力エネルギーなしでも「うまくやっていけるだろう」と述べた。

 

安倍内閣はアメリカを含むTPPを推進しているが、昭恵夫人は、障壁を開けると、遺伝子組み換え食品のような望まない製品が洪水のように入ってくると懸念を表明している。

 

日韓関係は良かったことはないが、最近は、歴史問題を巡る論争のために悪化し続けている。昭恵夫人は韓流ドラマを楽しみ、韓国料理を作ることを批判されている。しかし、昭恵夫人は、「夫は韓国の朴槿恵大統領と話をしたいと言っています」と語った。

 

昭恵夫人は「女性として、近隣の国々とは仲良くしたいと思っています。私は常にこれらの国々に愛情を持っています」と語った。

 

こうした言葉は、もう1人の安倍さんの口から出ることは決してないと確信している。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)












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 古村治彦です。

 

 私は音楽に詳しい訳ではないですが、ビリー・ジョエル(Billy Joel)というアメリカの歌手(自分で作詞作曲もします)が好きです。ビリー・ジョエルは日本でも人気のある歌手で、日本公演があれば確実に東京ドームや大阪ドームでコンサートが開かれるほど、世界規模での人気アーティストです。

 

 私は高校生の時に、ビリー・ジョエルの「ストーム・フロント(Storm Front)」というアルバムを買って繰り返し聞いていました。聞いただけでは歌詞なんかわかりませんから歌詞カードを見ながら、歌詞カードについている日本語訳を見ながら聞いていました。どうしてあんなに何回も繰り返し聞いたのだろうと思うほど聞きました。そんなアルバムはいままでありません。

 


 このアルバム「ストーム・フロント」が発表されたのが1989年でした。このアルバムにはその時代の空気や雰囲気を反映した曲がいくつも収録されていました。ビリー・ジョエルがレニングラードを訪れ、同世代のロシア人男性と交流した経験を基にした曲、漁業で生計を立てている人々が住む町の様子や苦悩を描いた曲、彼が生まれてから1989年までに何が起きたかを出来事の名前を羅列する曲などがありました。アルバムを通じて、冷戦に勝利しながらも、深く傷ついたアメリカ、過去の栄光を懐かしく思い出す人々を感じることが出来ました。機会があれば、是非お聞きください。名盤です。

 




 ビリー・ジョエルはラヴソングでももちろん定評がありますが、その時代の空気や雰囲気を曲に反映させるという点でも天才的です。私は以下に貼り付けるニュースを読んで、ビリー・ジョエルのことを思い出しました。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプ氏支持の客が機内で暴言、生涯搭乗禁止に 米デルタ

2016.11.29 Tue posted at 11:47 JST

http://www.cnn.co.jp/business/35092866.html?ref=yj

 

デルタは、機内で暴言を吐いた乗客を二度と搭乗させないと表明した

 

 

トランプ氏支持の乗客が暴言、生涯搭乗禁止に

ニューヨーク(CNNMoney) 米デルタ航空の旅客機内で、次期米大統領のドナルド・トランプ氏を支持する男性乗客が暴言を吐き、女性乗客を口汚い言葉でののしる騒ぎがあった。デルタ航空は28日、騒ぎを起こした男性乗客は二度と同航空の旅客機に搭乗させないと表明。同便に乗り合わせた乗客には全員に運賃を全額払い戻すと説明した。

 

騒ぎは22日、米ジョージア州アトランタ発ペンシルベニア州アレンタウン行きの国内便の機内で起きた。通路に立った男性乗客が「ドナルド・トランプ、ベイビー」と叫んで頭上で両手を打ち鳴らし、「その通り、この男は物事が分かっている」と言った後、1人の乗客を指さして「ここにヒラリー・b******sがいるぞ」と口汚い言葉で暴言を浴びせた。

 

この様子を撮影した動画がフェイスブックに掲載され、220万回以上再生されている。

デルタのエド・バスティアン最高経営責任者C(CEO)は28日、従業員宛ての通知でこの乗客を降ろさなかったのは誤りだったと述べ、「この人物は騒がしくて無礼で他の乗客に礼を失した」と指摘。乗員は男性から事情を聴いた上でそのまま搭乗させることに決めたものの、「もしこの映像の場面を直接目撃していれば、間違いなく男性を同機から降ろしていた。男性は二度とデルタ便には搭乗させない」と言明した。

 

バスティアン氏はさらに、「社会の緊張が高まっている今、私たちにはこれまで以上に機内および当社の施設内での礼節が求められる」と指摘している。

 

(貼り付け終わり)

 

 このニュースにペンシルヴァニア州アレンタウンという地名が出てきます。ペンシルヴァニア州と言えば、今回のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが勝利した州であり、選挙のカギを握ると言われたラスト・ベルトに属しています。

 

 

 ビリー・ジョエルには1982年に「アレンタウン」という曲を発表しています。この曲は戦後アメリカの歴史をアレンタウンという実在の町に投影した曲です。この中で、アメリカが傷ついていく様子が歌われています。そして、「労働組合は何も助けてくれない」という内容の歌詞の一節もあります。

 

 アレンタウンに30年以上にわたって渦巻いた怒りや悲しみがドナルド・トランプ勝利を実現させたということが言えます。そして、その怒りや悲しみを30年以上前に既にビリー・ジョエルが捉えていた、ということになります。まさに詩人は時代を反映し、時代を超えていくものだと実感します。

 

(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22




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 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ次期大統領についてのヘンリー・キッシンジャーの評価についての記事をご紹介します。トランプについてはどのような外交を展開するのか未知数であるというのが一般的な評価で、それが不安をもたらしています。

 


 選挙期間中にイラク戦争には反対だったと語り、ジョージ・W・ブッシュ前大統領を批判し、バラク・オバマ大統領とヒラリー・クリントン前国務長官がIS(イスラム国)を生み出したと斬り捨てています。自分はISを退治することができるが、それは自分を支持する米軍の将軍たちの献策を受け入れるからだとも発言していますが、米軍を中東に派遣する感じはありません。ロシアと関係を改善させたいとし、中国は不公正な貿易を行っていると、1980年代に日本に向けたような批判を行い、台湾を重視するかのような姿勢を取っています。

 

 トランプはめちゃくちゃなことを言っているように見えます。ISをやっつけると言いながら、米軍を出さないということは矛盾しているように見えます。台湾を重視するというのは、中国との軋轢を生み出し、現状では大事にされる台湾も困った立場に追い込まれてしまうことになります。

 

 ヘンリー・キッシンジャーはテレビ番組に出演し、トランプはこれまでの大統領とは違うので、違うアプローチから何か素晴らしいものが出てくる可能性があると発言しました。あくまで、可能性であって、出てこないこともあるということを言いたいようですが、これまでとは違った大統領であり、外交政策も違ったものとなり、それで何か素晴らしいものが生まれて、歴史に名前を残す大統領になるかもしれない、というのがキッシンジャーの評価です。

 

 キッシンジャーは国際関係の学問的潮流で言えば、リアリズム、リアリストに属する人です。アメリカの国益を第一に、理想を追わず、敵とでも手を結ぶということを実践してきた人です。そして、現在は、中国という新興大国を敵にすることなく、G2体制という米中による国際管理体制構築を主張しています。

 

 トランプは国際問題解決優先主義(アイソレーショニズム)であり、アメリカの理想を広めることや人道的な理由から海外に軍隊に出すようなことは反対しています。こうした点では、ビル・クリントン政権、ジョージ・W・ブッシュ政権、バラク・オバマ政権と、濃淡の差はありますが、理想主義に分類される人道的介入主義とネオコンサヴァティヴィズムの人々が外交政策を担当した政権が続いた時期とは違う外交が展開されることになるでしょう。キッシンジャーもこの点を言っているものと思われます。

 

 アメリカの国内問題解決優先主義とは具体的には、すっかりくたびれてしまった社会資本の改善があると思います。アメリカに行って、アメリカの社会資本、インフラは日本よりも劣っているなと思われた人も多くいらっしゃると思います。高速道路はただだけど、路面がデコボコだったとか、都市部でもいきなり停電が起きて何時間も復旧しないとかそういう経験をした方も多いと思います。トランプはこの社会資本の改善や修繕も公約に掲げています。しかし、そうなると、彼の減税政策と矛盾してしまうことになります。

 

 そこで、トランプとしては民間活力活用(民活、Public Private Partnership、PPP)を利用するということになるでしょう。しかし、アメリカ国内だけではどうしようもありません。そこで外国からの資本投資を受け入れたいという考えも持っているでしょう。台湾に肩入れをして、中国を刺激しているのは、台湾と中国を競わせて、アメリカに対する資本投資を刺激しているようにも見えます。私たちの日常生活でも、何かを買う場合には、どこの店が安いかを探したり、複数の店に行って、「あそこはいくらだったからこれくらいに負けて欲しい」などと交渉したりということはやることです。

 

 ヘンリー・キッシンジャーはトランプ当選以降、中国とロシアを訪問し、習近平国家主席とウラジミール・プーティン大統領と会談しています。彼が米中露の関係を保つスタビライザーの役割を果たしています。2020年までにトランプがキッシンジャーという安定装置を使いながら、どのように外交政策を展開していくのか、注目です。

 

(貼り付けはじめ)

 

キッシンジャー:「トランプの外交政策のアプローチから“何か素晴らしい”ものが出てくる可能性がある」(Kissinger: 'Something Remarkable' Could Emerge From Trump's Approach to Foreign Policy

 

キャシー・バーク筆

2016年12月18日

『ニューズマックス』誌

http://www.newsmax.com/Newsfront/henry-kissinger-trump-opportunity-stay-focused/2016/12/18/id/764532/

 

元国務長官で人々の尊敬を集める共和党系の政治学者ヘンリー・キッシンジャーは、ドナルド・トランプ次期大統領の外交政策から「何か素晴らしい」ものが出てくる可能性があり、トランプは「熟慮をした大統領」として歴史に名前を残す機会を持つであろうと述べた。

 

日曜日に放送されたテレビ番組「フェイス・ザ・ネイション」のインタヴューの中で、キッシンジャーは「トランプに対して大きな信頼を持っている。彼はアメリカの状況を分析し、戦略を作り、共和党指導部に打ち勝とうとしている」と述べた。

 

キッシンジャーは次のように述べた。「トランプが大統領選挙候補者になるまで、彼を大統領選挙候補者として考えたことはなかった。彼が大統領選挙候補者として出てきたとき、私はこれを過渡的な現象だと考えた。しかし、今はトランプがこれまで培った技能を国際的な状況に応用することが彼の挑戦なのだと理解している」。

 

キッシンジャーは、「外交・国際関係分野において、トランプは諸外国がこれまでみたことがなかった現象なのだ」と語った。

 

キッシンジャーは、「トランプが大統領に当選したことは諸外国にとってショックな経験である。同時に、トランプが歴史上に思慮深い大統領として名前を残す機会と可能性があると私は考えている」とも語った。

 

キッシンジャーは更に次のように述べた。「トランプはこれまでの大統領が発してこなかった疑問を呈する大統領になる。その質問は素晴らしい何かになるであろうと思われるし、そうなれば新しい大統領の姿を見せることになるだろう。私は必ずそうなるとは言わない。私は彼にはそうなる大いなる機会があると言いたい」。

 

キッシンジャーはまたトランプに対する助言として次のように述べた。「集中して、自分が達成しなければならない基本的なことを明確にせよ」。

 

「最も大変なことは日常の諸問題と根本的な諸問題を区別することだ。根本的な諸問題は長期にわたって影響を残すものだ。また、些細な諸問題で官僚たちとの戦いで消耗しないようにすることだ。」

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22








 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ次期大統領は、アメリカ国内の各分野のリーティング・カンパニーの経営者たちを集めて、「戦略・政策フォーラム(Strategic and Policy Forum)」を作るようです。このフォーラムは、トランプ大統領に対して、経済政策を実施するに当たり、参加者たちの知識と経験に基づいて提言を行うことを目的としています。


 以下の記事にもありますが、「ブレイントラスト」とも言うべき存在です。戦前のフランクリン・D・ルーズヴェルト大統領がブレイントラストを重用し、それを真似て、日本でも近衛文麿が有識者たちを集めたのが昭和研究会です。近いところでは、中曽根康弘元首相は有識者たちを重用し、内閣に次々と審議会を設置し、彼らを登用しました。その結果、「審議会政治」と揶揄されました。

 

 トランプは幅広い人材をこのフォーラムに結集しようとしています。トランプを支持しなかった、IT系の新進気鋭の創業者、経営者たちとも会談し、この戦略・政策フォーラムに参加してもらうことになっているようです。

 

 トランプはアメリカ国内に雇用を生み出し、自分を支持した人々に職を与えようとしています。そのために、アメリカの各企業と協力しようとしています。IT系企業は大統領選挙期間中、全体としてヒラリー支持、反トランプ姿勢を示してきましたが、いつまでも対決姿勢を取っていても仕方がありません。トランプが行おうとしているポピュリズムにおいては、雇用を作れる企業が必要ですから、彼らと協力していく姿勢を示しているのに、それをむげに断ることはできないでしょう。

 

そして、トランプは、ポピュリズムを体現し、「人民の友(プブリコラ、Publicola)」になろうとしています。そのために、幅広い人々を結集させようとしています。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプが、エロン・マスクとウーバー社最高経営責任者を顧問ティームに指名(Trump names Elon Musk, Uber CEO to advisory team

 

アリ・ブレランド筆

2016年12月14日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/technology/310321-trump-names-elon-musk-uber-ceo-to-advisory-team

 

トランプの政権移行ティームは水曜日、テスラ社・スペースX社の最高経営責任者エロン・マスクは、ドナルド・トランプ次期大統領の顧問ティームに参加することになると発表した。

 

ウーバー社最高経営責任者トラヴィス・カラニックとペプシ社最高経営責任者インドラ・ヌーイもまたトランプ次期大統領の戦略・政策フォーラムに参加することになるだろう。

 

トランプは水曜日にマスクを含むIT業界の指導者たちとトランプ・タワーで会談を持ったがそれに先立って、上記の発表がトランプの政権移行ティームからなされた。

 

会談にはその他にも重要な人々の参加が予想された。フェイスブックのシェリル・サンドバーグ、グーグル社の親会社アルファベット社のエリック・シュミット、ラリー・ペイジ、アマゾン社創業者で『ワシントン・ポスト』紙を所有しているジェフ・ベゾスが出席する予定だ。ウーバー社の代表は会談に参加しない見通しだ。

 

ウーバー社のカラニックは声明の中で、「私は次期大統領と協力できることを楽しみにしている。フォーラムは、私たちの乗客、ドライヴァー、私たちがビジネスを展開している450以上の都市に影響を与える諸問題に関わることになる」と述べた。

 

マスク、カラニック、ヌーイはトランプ次期大統領の戦略・政策フォーラムに参加するが、このフォーラムには、既に13名のメンバーが参加することになっている。フォーラムのメンバーは、「大統領と頻繁に会談し、大統領が彼の経済政策を実行する際に彼らの特別な経験と知識を共有する」ことになる。

 

戦略・政策フォーラムの議長はブラックストーン社の最高経営責任者であり、共同創業者であるスティーヴン・A・シュワーツマンだ。ブラックストーン社は、世界最大の投資ファンド運用会社である。

 

トランプは声明の中で、「アメリカには、世界の中で最も創造性と活力を持つ企業が存在する。本日、フォーラムに参加する創業者でもある最高経営責任者は、それぞれの分野でトップを走る人々だ」と述べた。

 

トランプは続けて、「私の政権は民間部門と協力し、ビジネス環境を改善し、シリコンヴァレーからアメリカの中西部まで新たな雇用を生み出すために、ビジネス環境を魅力的なものとする」とも述べた。

 

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トランプの戦略ブレイントラストはオバマ政権の政策と親和性を持ち、中道派の人々が集まっている(Trump’s Strategic Braintrust Sounds Sort of Obama-Friendly and Centrist

 

エミリー・タムキン筆

2016年12月2日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2016/12/02/trumps-strategic-braintrust-sounds-sort-of-obama-friendly-and-centrist/

 

金曜日、トランプ政権移行ティームは、世界各国の権威主義的な独裁者たちからの電話が相次いでいるという発表の合間に、大統領戦略・政策フォーラムの創設を発表した。このフォーラムは「大統領と頻繁に面会し、参加者の特別な経験と知識を共有し、大統領が、雇用を回復し、“アメリカを再び偉大にする”ための計画に活かすために召集されることになる」ものだ。

 

一見したところ、白人の超富豪たちの集まりを創設することは、大富豪たちが数多く登用される政権と同様に、トランプがポピュリズムにのっとった主張を維持し続けるためには最善の方法のように思われる。

 

このフォーラムには、ジェネラル・モータース社の会長兼最高経営責任者メアリー・バラが参加している。GMは、エリート層が好む電気自動車開発に多額の予算と人材を投じてきた。

 

クリーヴランド・クリニック会長のトビー・コスグローヴも参加している。コスグローヴはオバマケアを撤回する必要を認めないと発言したことがある人物だ。

 

ウォルマート社の会長兼最高経営責任者ダグ・マクミロンもフォーラムに参加している。ウォルマートはエネルギー効率向上と気候変動でオバマ政権を支援し協力してきたし、大企業の中で最も環境対策を進めている存在だ。

 

ボーイング社会長、社長、最高経営責任者を歴任したW・ジェイムズ・(ジム)・マクナーニーも参加している。ボーイングは、イランとの間で航空機売却契約を結んだ。オバマ政権下でのイランとの核開発に関する合意から利益を受けた企業である。このイランとの合意が変更されることを望まないだろう。ボーイングは、世界規模の資材調達網を邪魔されないこと、アジア向けの輸出を促進することを求めている。これは、オバマ大統領が主張してきたが、今や実現は厳しいものとなっている環太平洋経済協力協定(TPP)を下支えするものだ。

 

石油とエネルギー分野の専門家ダニエル・ヤーギンも参加している。ヤーギンはイラクに侵攻しても石油を手に入れることはできないということ、シェールガス採掘のための「水圧破砕採掘」革命(フラッキング・レヴォリューション)は、石炭産出地域を再びよみがえらせることはできないということを主張している。

 

このフォーラムが実際にどんな役割を果たすのか、そして本稿で取り上げた人々が次期大統領を中道に引っ張るかどうか(気候変動のような問題では左派の方向に引っ張るかどうか)、これからも注目していかねばならない。しかし、このフォーラムの参加者がオバマ大統領主催のホワイトハウスの夕食会に出席していても違和感を感じないのは確かなことだ。

 

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