古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:大統領選挙

 古村治彦です。
 2023年12月27日最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。2024年のアメリカ大統領選挙について詳しく分析しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2024年3月8日にジョー・バイデン大統領が一般教書演説(State of the Union Address)を行った。一般教書演説は、アメリカ大統領が連邦議事堂で行う、アメリカ合衆国の現状について国内外に報告するという演説だ。アメリカ合衆国憲法では、権力分立(separation of power)が規定されており、連邦議会の権威は強いもので、大統領がほいほいと連邦議事堂に行けるということはない。連邦議会が招聘しなければ入ることはできない。
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 バイデン大統領は大統領任期一期目の最後の一般教書演説を行った。アメリカ史上最高齢の大統領であり、おぼつかないところや、プロンプターに映った原稿の文言を読み飛ばすということもあったが、大きな失言や言い間違いはなかった。まずは何とかなったというところだ。バイデン政権と民主党側は、この一般教書演説からバイデンの支持率が上がって、反転攻勢が始まったというシナリオにしたいようだ。バイデンは、経済の好調さをアピールして、「経済に強いのはトランプ」というアメリカ国民の間にある考えを払拭しようと躍起になっている。

 重要なのは、一般教書絵演説が選挙演説のようになってしまって、直接名前を出すことはなかったが、「前任者」という言葉を使って、トランプのことを指して、批判を展開したことだ。その中で重要なのは、トランプとトランプの選挙運動(MAGA運動)を、南北戦争(The Civil War)期の「南部連合(The Confederate States of AmericaCSA)」に例えたことだ。これは、バイデンと民主党側は、選挙運動を進めて、大統領選挙が実施され、結果が判明したら、アメリカは分裂すると考えているということを示している。「Union=United States」であるはずだが、それほどまでに考えが違っているとなれば、とても統一は維持できないというところまでアメリカの国内状況は悪化しているということだ。

 また、バイデン大統領は「世界平和と民主政治体制(デモクラシー)を守るための重要な時期が今だ」ということで、危機を演出しようとしている。トランプが大統領になれば、世界平和は実現せず、民主政治体制も守られないということを言っている。しかし、一般教書演説で選挙の相手候補を悪しざまに罵り、自分の高齢問題をごまかそうとする人物がアメリカ大統領にふさわしいとは多くのアメリカ国民は考えないだろう。それでも何故か、バイデンが二期目に当選してしまう。そうなると、アメリカ国内の分裂、分断は深刻化し、アメリカ合衆国が、アメリカ合衆国ではなくなるということも起きる可能性がある。今回の大統領選挙は、トランプ、バイデン、どちらの候補者が勝つということも重要だが、アメリカ合衆国がアメリカ合衆国であり続けられるか、ということもまた重要になってくる。
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バイデンの一般教書演説の5つのポイント(5 takeaways from Biden’s State of the Union address

ナイオール・スタンジ筆

2024年3月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/4518254-five-takeaways-from-bidens-state-of-the-union-address/

木曜日の夜、2024年の大統領選挙を前に、ジョー・バイデン大統領は大統領任期1期目最後の一般教書演説(State of the Union)を行った。

それは極めて重要な瞬間であった。現在、大統領を低く評価しているアメリカ国民に対して、途中にメディアを挟むことなく、直接発言する貴重な機会であった。

本誌とディシジョンデスクHQが行っている世論調査の平均によれば、アメリカ国民の58%がバイデンの大統領としての職務遂行に不支持で、支持はわずかに40%である。

バイデンは、今週初めのスーパーチューズデーで圧倒的な勝利を収め、実質的に共和党の指名を獲得したトランプ前大統領に対して、11月の大統領選挙本選挙ではやや劣勢になっている。

バイデンは木曜日、ささやかな期待のハードルをクリアし、勢いと情熱をもって67分間の演説を行った。

主要なポイントは以下の通りです。

(1)トランプを標的にして、バイデンは選挙演説を行った(Biden, taking aim at Trump, makes a campaign speech

良きにつけ悪しきにつけ、この演説は近年で最も仰々しく政治的なものだった。

バイデンは、わずか8カ月後に迫った大統領選挙本選挙に向けて自らの主張を展開する機会をつかんだ。

演説が始まるとすぐに、バイデンはトランプを彼の名前は出さずに、最近のNATOに関する発言で「ロシアの指導者に屈服している(bowing down to a Russian leader)」と非難した。

バイデンはそこから、2021年1月6日の件に話を移し、トランプと他の共和党連邦議員たちはあの日起こったことの「真実を葬り去ろうとしている(bury the truth)」と述べた。バイデンは「私はそんなことはしない」と述べた。

バイデンは、共和党を税制面で超富裕層に従属し、人工妊娠中絶から体外受精治療まで女性のリプロダクティブ・ライツ(生殖に関する権利)に反対し、社会保障とメディケアを脅かす存在として描こうとした。

バイデンと彼のスピーチライター陣は、「医療保険制度改革法(Affordable Care Act)」について、当時のバラク・オバマ大統領に対する有名な冒涜的発言を連想させるような、「まだ非常に大きな問題である(still a very big deal)」ことを思い出させるような、巧みな場面を織り交ぜた。

共和党は、この演説は党派的すぎると抗議した。しかし、マージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員(共和党)のように、この日のためにMAGAハットをかぶってバイデン大統領に罵声を浴びせた人物が共和党にいる以上、その指摘の正統性を主張することは難しい。

要するに、バイデンは、総選挙選挙運動を本格的に開始するために、多くの人が予想していたよりもこの場をうまく利用したということだ。

(2)81歳の大統領であるバイデンは高齢問題を抑え込もうとしている(81-year-old president tries to neutralize the age issue

二期目を目指すにあたり、高齢であることはバイデン大統領にとって最も厳しい弱点となっている。

各種世論調査によると、アメリカ国民のおよそ75%が、81歳のバイデンが2期目をしっかりと務められるかどうかについて懸念を持っている。

木曜日の一般教書演説の終わりに、バイデンはこの問題を直接取り上げ、自分の有利になるように、少なくとも自分の責任の範囲を小さくしようとした。

「そうは見えないかもしれないが、私は長い間生きてきた」とジョークを飛ばして言及を始め、自分が高齢であることで、アメリカの歴史と価値観を広く正しく見渡していることを主張した。

バイデンは品格や誠実さといった特質を挙げ、前任の大統領であるトランプへの明確なジャブとして「私と同年代の人たちは違う見方をしている」と付け加えた。バイデンは、トランプが「恨み、復讐、報復」に焦点を当てているとほのめかした。

年齢問題はなくならない。そしてバイデンは木曜日の一般教書演説において、本当に悲惨な失言を避けながらも、いくつかの文言を飛ばした。

しかし、彼は少なくとも、自分の大きな弱点をポジティブな物語にしようとして最善を尽くした。

(3)進歩主義派の怒りが高まる中でガザをめぐる新たな動き(A new move on Gaza, amid rising progressive outrage

ガザをめぐる政治的利害は、ここ数ヶ月の恐ろしい死者数とともに高まっている。

バイデンの精力的なイスラエル支持に対する不満は、特に進歩主義派や若い有権者たちの間で根強い。しかし、民主党の主流派からも不安の声が上がり始めている。

バイデンは、ホワイトハウスがその日のうちに予告していた新たな展開、つまりガザの地中海沿岸に緊急用の桟橋を建設するためにアメリカ軍を利用することを発表した。

この桟橋は、国連が50万人以上の人々が「壊滅的な(catastrophic)」困窮と餓死寸前に直面していると発表したガザに、切実に必要とされる援助を届けるためのものだ。

バイデンは、「アメリカ軍が現地に乗り込むことはない(no U.S. boots will be on the ground)」と強調した。その代わり、海上から桟橋を建設する計画があると述べた。

この発表によって、バイデンに対する左派からの政治的圧力が軽減されるかどうかはまだ明確には分からない。

また、バイデンが中東で求めているという停戦(cease-fire)は、今のところ達成されていないという事実とも戦わなければならない。

(4)移民問題での台本大幅変更の試み(An attempt to flip the script on immigration

南部国境を越える大量の移民は、バイデンの政治の命運を大きく左右している。

政策的には、移民問題は一般的に大統領が最も苦手とする2つの問題のうちの1つである。

しかし、バイデンと民主党は、トランプ大統領の反対により、数カ月前から進められていた超党派の国境交渉が決裂したことで、自分たちは政治的な贈り物を手に入れたと考えている。

バイデンは木曜日の一般教書演説の中で、協定に反対した共和党を非難し、協定が成立すれば入国審査官、亡命職員、麻薬探知機の数が増加するだろうと指摘した。

バイデンはまた、この協定が国境警備隊の組合によって承認されたことを強調した。

共和党連邦議員たちが声を荒げて反対すると、バイデンは「事実を見てみるべきだ。あなたが本当は私たちの提案の内容をきちんと分かっていることは知っている」と言い返し、民主党連邦議員たちが喝采を浴びた。

バイデンはその直後、先月ジョージア州アテネで殺害された22歳のレイケン・ライリーの名前を "リンカーン"・ライリーと言い間違えた。ライリー殺害容疑で起訴された男は、アメリカに不法入国していた。

年齢と同様、入国管理もバイデンの責任であり続けるだろう。ライリーの名前の間違いは、彼が木曜日に行おうとしていた主張を台無しにする可能性もある。

(5)共和党の台頭するスターが反対討論でつまずく(GOP rising star stumbles in response

一般教書演説への反対討論を行うことは報われない仕事だ。

通常、反対討論はカメラに向かって1人で行われるため、連邦議事堂の荘厳な雰囲気の中で演説する大統領よりも印象が薄くなるのは自然なことだ。

これまでに誰も見事に反対討論を成功させた者はいない。しかし、ケイティ・ブリット連邦上院議員(アラバマ州選出、共和党)は、木曜日、特に酷い結果に終わった。
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ブリットの発言は、実質的には共和党の標準的な言葉遣いだった。

しかし、彼女の独特で過剰な芝居がかった話し方によって、彼女の反対討論は悪い意味で際立ってしまった。

ブリットはおそらく感情を伝えるつもりだったのだろう。しかし、ソーシャルメディア(SNS)上では、不誠実だとの嘲笑で溢れかえった。

共和党の台頭するスターと見なされていた若手議員にとって手痛い後退となった。

CNNでは、トランプ政権下でホワイトハウスの高官を務めたアリッサ・ファラ・グリフィンも、ブリットのキッチンでこの反応を撮影するという、性差別的なステレオタイプに翻弄されそうな設定に苦言を呈した。

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バイデンが2024年への賭けを明確に示す(Biden Starkly Lays Out the Stakes for 2024

-バイデン大統領は、一般教書演説において最も政治的に重要な演説を行った。

マイケル・ハーシュ筆

2024年3月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/03/08/biden-sotu-address-2024-election/

ジョー・バイデン米大統領は木曜夜、記憶に残る最も政治的、そして政治的に重要な一般教書演説の1つを行い、アメリカと全世界にとって来たるべき選挙の賭けを最も厳しい言葉で述べた。

アメリカが戦争の脅威に直接晒されている訳ではないことを考えれば、この演説で最も印象的だったのは、バイデンが演説の冒頭で、アメリカの第二次世界大戦参戦を前にした1941年1月のフランクリン・デラノ・ルーズヴェルト大統領の一般教書演説を引用したことだろう。バイデンはFDRの言葉を引用し、「私は、アメリカの歴史において前例のない瞬間に演説する(I address you in a moment unprecedented in the history of the union)」と述べた。

「今、前例のない瞬間に直面しているのは私たちだ」とバイデンは述べた。そしてバイデンは、彼の名前を挙げることなく、2024年の対立候補となることを確実にしているドナルド・トランプ前大統領を、アドルフ・ヒトラーとナチスの脅威となった役割にたとえた。これだけでは物足りないと思ったのか、バイデンはすぐにトランプと彼の「アメリカを再び偉大に(Make America Great AgainMAGA)」運動を、連邦から脱退した南部連合(the Confederates)と同一視した。

バイデンは、「エイブラハム・リンカーン大統領と南北戦争の時代以降、今日ほど国内で自由と民主政治体制が攻撃に晒されている時期はない。私たちの瞬間が特別になっているのは、自由と民主政治体制が国内外で同時に攻撃に晒されていることだ」と述べた。

言い換えれば、バイデン大統領は、一般的に歴史上最も偉大な2人の米大統領と考えられているフランクリン・D・ルーズヴェルトとエイブラハム・リンカーンが個別に直面した以上に、今日、国家はトランプという更に危険な脅威に直面している、と言っているように受け止められた。バイデンはその後、トランプを繰り返し「前任者(predecessor)」と呼び、何度も何度も非難した。バイデンは、トランプがウクライナ侵攻をめぐってロシアのウラジーミル・プーティン大統領に「ひれ伏し(bowing down)」、国内で政治的暴力を煽り(「自分が勝ったときだけ国を愛することはできない[You can’t love your country only when you win]」とバイデンは言った)、移民は「我が国の血に混じりこんだ毒(poison in the blood of our country)」だと述べ、ファシストのように発言し、蔓延する銃乱射事件には肩をすくめるだけだったと非難した。

バイデンは繰り返し、トランプがもたらす国内と国外の複合的な脅威、つまり、国外では平和が危機に瀕し、国内では民主政治体制が損なわれるというテーマを訴えた。バイデンは次のように述べた。「アメリカが手を引けば、ウクライナが危険に直面する。ヨーロッパも危険に晒される。自由な世界は危険に晒され、私たちに危害を加えようとする他者を活性化することになる。歴史は見ている。3年前の1月6日、暴徒たちがまさにこの連邦議事堂を襲撃し、アメリカの民主政治体制の喉元に短剣を突き立てたとき、歴史がこの事件を目撃していた」。

1つ明らかなことは、バイデンとそのティームは、彼の年齢(81歳)と厳しい支持率を残した経歴に対する連鎖的な疑惑を一気に克服することに熱心であり、事実上わずか8カ月しか残っていない大統領選挙でトランプに対して劣勢に陥っている中で逆転をすることだった。バイデン大統領は、70分近くの演説が終わるまで、再選を目指す上での最大の争点である年齢のために疲れを見せることが予想されたが、明らかにエネルギーの衰えを感じることなく、力強く演説を行った。

バイデンは次のように述べた。「そう見えないかもしれないが、私はこれまでに長く生きてきた。私のような年齢になると、あることがこれまで以上に明確になる。アメリカ国民の皆さん、我が国が直面している問題は、私たちが何歳であるかということではなく、私たちの考え方が何歳であるかということだ。憎しみ、怒り、復讐、報復は、最も古い考え方だ。しかし、私たちを後戻りさせるだけの古い考えでアメリカを導くことはできない」。

バイデンの演説は、大統領選挙での敗北から彼自身を救うことができるだろうか? バイデンの2023年の一般教書演説は絶賛されたにもかかわらず、彼の低い支持率にはあまり影響を与えなかった。しかし、この演説はまったく異なる時点で行われた。スーパーチューズデーでのバイデンの大勝利と、トランプの最後の共和党対抗馬ニッキー・ヘイリーの大統領選挙からの離脱からわずか2日後に行われたこの演説は、アメリカの有権者にとって厳しい現実を問うものでもあった。バイデンがどこにも行かず、8か月後にはトランプが彼の敵となることが初めて明らかになった。この演壇の前に立つ81歳の男性だけが、大惨事とアメリカ民主政体の存続の間に立っていることが多くのアメリカ人の目に明らかになったのだ。

バイデン陣営の明らかな賭けは、サミュエル・ジョンソンの言葉を借りれば、差し迫った絞首刑のように、独裁者志望者の脅迫、それは差し迫った絞首刑のようなもの、が見事に人々の精神を集中させるということだ。突然、人々はもはや30歳も若い、あるいはもっと刺激的な人に投票したいと願うような余裕はない。今はジョーとドナルドだけだ。ほとんどの民主党所属の議員でさえも、バイデン2期目の誕生に興奮していないのは明らかだ。しかし、もしそれしか残されていないのだとしたら、つまり、風邪かガンかという選択なのだとしたら、進むべき道は突然明らかになる。

バイデンが上院議員時代にコミュニケーション・ディレクターとして仕えたノーム・クルツは私たちの取材に対して、Eメールで、「有権者たちはバイデンを全能の神と比べるのではなく、その代替案と比べるべきだというバイデンの繰り返しの主張に、共鳴し始めるだろう」と書いている。

バイデンの演説は、米大統領が存亡のレベルでの賭けを明確にしようとした過去の瞬間を思い出させた。リンカーンは、1862年の一般教書演説で、「私たちが経験している激しい試練は、最新の世代に、名誉を与えるか、不名誉を与えるかで、私たちを照らすだろう」と述べた。あるいは、冷戦の最盛期の1961年1月にジョン・F・ケネディは警告を発し、アメリカは「我が国のように組織され統治されている国家が果たして存続可能であるかどうかが試されなければならないとき、国家的危機と国家的機会」に直面している、というものだった。

しかし、それはまた、トランプ大統領が目覚めさせた新たなアイソレイショニズムの感情を逆手に取りながら、アメリカの伝統的な世界の警官としての役割を回復するという、バイデンが大統領任期中に達成せざるを得ない微妙なバランスの尺度でもあった。数百万のアメリカの有権者たちは「アメリカは世界の中で過度に拡張されていると信じている」が、バイデンは彼らを説得しなければならない。バイデンは国家安全保障政策として、「バイ・アメリカン」新保護主義的アプローチを宣伝した。バイデンは「前任者を含む過去の政権は、バイ・アメリカンに失敗した」と述べ、ウクライナへの601億ドルの支援策を再度推し進めながらも、アメリカ軍はウクライナ戦争に巻き込まれることはないと繰り返した。

バイデンはまた、自身の親イスラエル中東政策をめぐって勃発している、進歩主義派からの反乱を鎮圧しようとした。火曜日には数十万人の有権者たちがバイデンに不満を表明し、木曜日には抗議活動参加者たちが連邦議事堂へ入ろうとする大統領の車列を阻止しようとした。バイデンはガザ沿岸部の桟橋は、包囲されたパレスチナ人に対する「人道支援の量の大幅な増加を可能にする」だろう、と述べた。

ここでも同様に、バイデンは、「アメリカ軍を派遣することはない(No U.S. boots will be on the ground)」と改めて公約した。

バイデンは演説の大半を、より伝統的な一般教書演説の方法で行い、トランプの「古臭い考え」とは対照的な前向きなアジェンダを主張し、有権者たちに彼の最大の功績を思い出させた。その中には、2030年までに炭素排出量を半減させ、クリーンエネルギーの雇用を何万人分も創出するという「世界史上最も重要な気候変動に関する行動」と、「道路や橋、港湾や空港、公共交通システムの近代化」を含む4万6000もの新規プロジェクト、そして複数の銃規制法の新設を含む「超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)」が含まれている。バイデンは、NATO(「世界がかつて見たことのない最強の軍事同盟(the strongest military alliance the world has ever seen)」)の維持について自画自賛し、同盟の新加盟国であるスウェーデンの首相を紹介した。

バイデン大統領はまた、企業の内部留保への増税、大手製薬会社、大手石油会社、役員報酬への税制優遇措置の撤廃を発表し、処方箋薬のコストを劇的に削減する法案に署名したと述べた。また、各種世論調査で共和党に大きな打撃を与えているリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)についてもトランプを厳しく非難し、中絶反対派はアメリカにおける「女性の力について何も分かっていない」と述べた。バイデンは「私はロウ対ウェイド事件を再び国の法律として復活させる」と宣言した。

バイデンを最もイライラさせている問題である経済(世論調査によると、経済成長率は高いにもかかわらず、多くの有権者がトランプの方が経済に強いと信じていることが示されている)について、バイデン大統領は有権者たちが今の経済状況がいかに良好であるかを理解するのは時間の問題だと主張し続けた。バイデンは次のように述べた。「私は瀬戸際にあった(on the brink)経済を受け継いだ。今、私たちの経済は文字通り世界の羨望の的となっている。わずか3年間で1500万件の新規雇用が発生した。これは記録的なことだ。失業率は50年ぶりの低さだ。 給料は上がり続けている。インフレ率は下がり続けている。インフレ率は9%から3%に低下し、世界で最低水準となった」。

そのレトリックは刺激的で、扇動的でさえあり、おそらく少し絶望的だった。しかし、正直に言って、バイデンは決して優れた演説家とは言えないだろう。バイデンの演説は全て、息も詰まるような綱渡りのような緊張感、ろれつが回らなくなる音、時折どもる声、彼がつまずくことなく一文を最後まで言い切ることができるかどうかは誰にも分からないが、木曜日の夜にはそれらが全て存在し、拍手の間に時折咳き込むこともあった。

しかし、バイデン大統領は大きな失言も犯さず、最初から最後まで調子を落とさずに演説を成功させた。バイデンはまた、特に連邦下院共和党がいかに無力で妨害主義的であるかを考慮して、侮辱を叫ぶ共和党連邦議員たちを嘲笑するという昨年の演説の戦術を繰り返したことでも効果的だった。はっきりとは言わなかったが、バイデンは、悪名高い「何もしない(do-nothing)」連邦議会を攻撃するというハリー・S・トルーマン大統領の成功した1948年の戦術を模倣しているようだった。バイデンは共和党主導の連邦下院に対し、長年滞っていた法案、特にウクライナ国家安全保障支援法案の可決を何度も要求した。いずれにせよ、共和党は民主党の「あと4年(four more years)」のシュプレヒコールに何度もかき消され、それがまた全体の出来事に選挙集会のような雰囲気を与えた。

バイデンの一般教書演説は常に、何を言ったかよりも、どのように言ったか、つまり、どのように話し、どのように演壇に上がり、どのようにヤジに反応したかが重要であり、その尺度で彼は成功した。 何よりも、バイデンは、アメリカの有権者たちが最終的に彼の計画が機能していることを理解するようになるだろうと、はっきりと自信を示していた。

バイデン、そしてアメリカ国民にとっての課題とは、バイデンの敵対者、つまり、前大統領トランプである。トランプは現在もまた終末論的な言葉遣いを行っている。2月末のある演説では、トランプ大統領は第二次世界大戦との比較を引き合いに出し、「今回の最大の脅威は国外からのものではない、私はそう信じている。もっと危険なのは国内の人々だ。彼らはとても病んだ人々だ」と述べた。そして、火曜日の夜、14の州での勝利を受けて、トランプ大統領は、バイデンの下でアメリカは「第三世界の国(a third-world country)」に成り下がったと述べた。

業績のデータは明らかにバイデン側を有利にする。 それでもバイデンは、2022年の中間選挙後ほど自信を持てなくなっており、有権者がバイデンの政策を評価するのは時間の問題だという。中間選挙の翌日、バイデンは今後2年間で何を変えるつもりかとの質問に「何も(nothing)」と答え、国の方向性に自信をのぞかせた。

その戦術はうまくいかなかった。 新しい大統領の戦術が効果を発揮するかどうかは分からない。

※マイケル・ハーシュ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。『資本攻勢:ワシントンの賢人たちはいかにしてアメリカの未来をウォール街に委ねたか(Capital Offense: How Washington’s Wise Men Turned America’s Future Over to Wall Street)』と『我たち自身との戦争:なぜアメリカはより良い世界を築くチャンスを無駄にするのか(At War With Ourselves: Why America Is Squandering Its Chance to Build a Better World)』の2冊の著作がある。ツイッターアカウント:@michaelphirsh

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。今年実施されるアメリカ大統領選挙についての分析も行いました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 米大統領選挙共和党予備選挙は、ドナルド・トランプ前大統領が4連勝となった。既に有力なライヴァルたちは選挙戦から撤退し、ニッキー・ヘイリー元米国連大使・元サウスカロライナ州知事しか残っていない。先週末、サウスカロライナ州で共和党予備選挙が実施された。結果はトランプの圧勝となった。ヘイリーは地元サウスカロライナ州でも敗北を喫し、選挙戦からの撤退が話題に上がっている。トランプの共和党予備選挙の勝利と大統領選挙本選挙候補者指名が確実視されている。これで、大統領選挙本選挙は、民主党のジョー・バイデン大統領対共和党のドナルド・トランプ前大統領の戦いとなる。
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 共和党の反ポピュリズム勢力・反トランプ勢力の旗頭であるコーク一族は、ヘイリーに資金提供を行ってきたが、サウスカロライナ州共和党予備選挙でのヘイリーの敗北を受けて、資金提供を停止すると発表した。大統領選挙でトランプを止めることは不可能だということを敵であるコーク一族も認めたことになる。
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左がデイヴィッド・コーク(故人)、右がチャールズ・コーク(コーク系の総帥)

 コーク一族の資金ネットワークは、連邦下院共和党の議員たちで構成する、議員連盟であるフリーダム・コーカスの議員たちの当選と新しい議員たちの当選を目指すことになる。フリーダム・コーカスは日本では親トランプ派とされているが、実態は、コーク一族の資金が入っている反トランプ派である。それなのに、日本で親トランプ派とされているのは、共和党エスタブリッシュメントに反対する姿勢のために、親トランプ派の議員たちが入っているからである。フリーダム・コーカスは反トランプ派・反エスタブリッシュメントである。詳しく知りたい方は、私が翻訳した『アメリカの真の支配者 コーク一族』(講談社)と、拙著『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)をお読みいただきたい。

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大統領選挙サウスカロライナ州共和党予備選挙の5つのポイント(Five takeaways from the South Carolina GOP primary

ナイオール・スタンジ筆

2024年2月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/4487698-five-takeaways-from-the-south-carolina-gop-primary/

サウスカロライナ州チャールストン発。土曜日に行われた大統領選挙サウスカロライナ州共和党予備選挙で、ドナルド・トランプ前大統領が対抗馬のニッキー・ヘイリーを打ち負かし、圧勝した。

アメリカ東部標準時の午後7時に投票が締め切られた瞬間、トランプの選挙戦での勝利が決まった。午後10時前に開票率が83%に達した時点で、トランプは、ヘイリーに21ポイントの差をつけて圧勝した。

大統領選挙ミシガン州共和党予備選挙は来週火曜日に行われる。そして、3月5日は10以上の州で投票が行われるスーパーチューズデーとなる。

サウスカロライナ州での予備選挙についてこれから5つのポイントを挙げていく。

(1)トランプは地滑り的な勝利によって、候補者指名への最終経路に入った(Trump’s landslide puts him on a glide path to nomination

よほどの重大な出来事が起きない限り、トランプが2024年大統領選挙の共和党の指名候補となるのは間違いのないところだ。

トランプ前大統領はこれまでのところ、予備選挙が4州で行われ、4連勝している。サウスカロライナ州では、ヘイリーが知事として2度当選した実績があったが、トランプはヘイリーを叩きのめした。

コロンビアで行われたトランプの勝利演説では、サウスカロライナ州の共和党エスタブリッシュメントがどの程度トランプの後ろ盾になっているかが明らかになった。ティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)とリンジー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、ヘンリー・マクマスター州知事(共和党)と一緒に壇上に立ち、トランプに代わって短いスピーチを行った。

チャールストンでは、ヘイリーがたった一人で壇上に立ち、少数の聴衆を前に演説した。

ヘイリーは、トランプは11月の大統領本選挙では当選不可能だと訴え続けている。しかし、彼女の主張が共和党の有権者の支持を得られると信じる根拠はない。

これは必ずしも前サウスカロライナ州知事ヘイリーの失敗ではなく、単に共和党の支持層が依然としてトランプに熱狂していることを反映している。

これまでのところ、どの州でもトランプ前大統領はライヴァルたちに得票率で二桁の差をつけて圧勝している。

候補者指名争いは、掛け声を除けば全て終わっている。

(2)ヘイリーは選挙戦から撤退しない(Haley isn’t quitting

数週間前、ヘイリーがサウスカロライナ州予備選挙を前に選挙戦から撤退するかどうか、疑問を持たれていた。

この当時、トランプの支持者たちは、ヘイリーが惨敗すれば、彼女は選挙戦を止めることになるだろうと予測していた。

しかし、この予測通りにはならなかった。

選挙後のサウスカロライナ州でのヘイリーの演説は、少なくともスーパーチューズデーまでは戦い続けるという断固とした宣言に等しかった。

彼女は、これまでに有権者たちに示してきた約束について言及し、「私は約束を守る女性」と述べた時、その夜最大の歓声を受けた。

彼女の主張の根拠は、多くのアメリカ人がバイデン大統領とトランプ氏の対決に興味を持てない状況にある中で、「この戦いをあきらめない(not going to give up this fight)」というものだ。

ヘイリーは語気と言葉を強め、このような激しい選挙戦は、「アメリカが分裂するだろう」結果をもたらすだろうと示唆した。

前知事ヘイリーは1月に、これまでで最高の献金額を記録したが、選挙戦を継続するための資金を持っている。そして、彼女には熱烈な支持者もいるが、その数はトランプ大統領の指名獲得への影響を与えるほどではない。

サウスカロライナ州での支持者の一人、ネル・パーカーは、ヘイリーは「明かりを灯し続ける資金がある限り選挙戦に留まるべきだ」と本誌の取材に語った。

(3)共和党は現在MAGAMake America Great Again)の政党になっている(The GOP is now the MAGA Party

トランプが共和党内を支配していることを示すのは、トランプのライヴァルたちにつけた票差だけではない。

サウスカロライナ州の共和党有権者のほとんどが、トランプの世界観全体を共有しているということだ。

AP通信の有権者調査「ヴォートキャスト」は、少なくとも初期の結果では、サウスカロライナ州の共和党有権者の約10人に6人が、アメリカのウクライナに対する援助継続に反対していることを示した。これはヘイリーにとって悪いニューズであり、軍事的伝統の強い州においては印象的な結果となった。

この調査によると、サウスカロライナ州の共和党有権者の約10人に7人が、トランプの行動に関する各種の捜査はトランプを弱体化させようとするものだというトランプの主張を受け入れている。

これらの数字を考慮すると、ここにいる共和党員の約10人中6人が自分たちを「アメリカを再び偉大に(MAGA)」 運動の支持者だと考えるのも不思議ではない。

共和党は良い意味でも悪い意味でも、今やトランプの党となっているのだ。

(4)トランプの暴言は本選挙への危険信号となる(Trump’s rhetoric still raises red flags for the general election

共和党のサウスカロライナ州予備選挙で大差をつけたにもかかわらず、11月の本選挙におけるトランプの当選可能性に関する疑問は消えない。

それは、トランプが直面している91件の刑事告発のせいだけではない。それはまた、彼が炎上させる性質(propensity to inflame)を持っているからでもある。

トランプはサウスカロライナ州での予備選挙前夜、金曜日に開催されたアフリカ系アメリカ人保守連合の年次総会で演説した際に、その傾向を再び示した。

トランプは、アフリカ系アメリカ人が自分の警察に捕まった際に撮影される顔写真(mugshot)を「受け入れてくれた」と述べた。これは、犯罪率の高いアフリカ系アメリカ人の有権者たちが、自分が起訴されたことについて共感を持ってくれるだろうということを、不器用に示唆しようとした発言だった。

トランプ前大統領は次のように述べた。「私は何の理由もなく、何でもないことで起訴された。そして多くの人が、だからこそアフリカ系アメリカ人の皆さんが私のことを好きなのだと言ってくれている。アフリカ系アメリカ人の皆さんはひどく傷つけられ、差別されてきたからこそ、私に共感してくれる。実際、アフリカ系アメリカ人の皆さんは私を差別されているように見ている。とても素晴らしいことだが、そこに何かがあるかもしれない」。

翌朝、ヘイリーはサウスカロライナ州キアワアイランドで予備選挙の投票を行った後、トランプによるこれらの発言を非難した。

ヘイリーは「これはドナルド・トランプがテレプロンプターを外したときに起こること、本当にうんざりしてしまう。これがドナルド・トランプが引き起こす混乱というものだ。これが、本選挙の日まで毎日やってくる不快感の原因だ」と述べた。

もちろん、更に別の論争が起きることになっても、トランプに固執している支持者が離れていくことはないだろう。しかし、彼の暴言(よく言えば無礼)は、説得されやすい有権者たちを獲得するチャンスを妨げている。

民主党がよく指摘するように、トランプは2016年と2020年の2度の本選挙で得票総数で敗れている。

(5)ヘイリーの攻撃は共和党支持層を超えてトランプの妨げになる可能性がある(Haley’s attacks could hinder Trump beyond the GOP base

ヘイリーの攻撃はトランプの共和党候補指名獲得への前進を妨げるものではないが、穏健派の共感を呼び、民主党が11月にトランプ前大統領に対して主張を展開して支持を集めるのに役立つ可能性がある。

土曜日の演説でヘイリーは、トランプが政敵たちを「人間のくず(vermin)」という言葉で表現することに異議を唱えた。

サウスカロライナ州での予備選挙までの数日間、ヘイリーはトランプが本選挙で勝つことはできないと述べ、最近のNATOに関する発言で彼がロシアのプーティン大統領に「味方(sided)」していると非難し、トランプをナルシストと評し、軍服を着たことがないと嘲笑した。

トランプ大統領の盟友たちは、ヘイリーがこの種の発言で、トランプに対して損害を与える可能性があるため、ヘイリーの選挙戦からの撤退を望んでいる。ナンシー・メイス下院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、金曜日、サウスカロライナ州ロックヒルでのトランプの集会で本誌の取材に応じた際、この主張を展開した。

しかし、トランプ前大統領は、ヘイリーが自分よりも得票するという脅威の可能性を打ち砕いた。

しかし、民主党の攻撃広告の絶好の材料となるであろうヘイリーの言葉は、11月の大統領選挙本選挙に向けて、まだまだトランプを苦しめる可能性がある。

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●「米富豪コーク氏団体、ヘイリー氏の支援停止 米報道」

2024年2月26日 日経新聞 

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78750410W4A220C2EAF000/

【ワシントン=中村亮】米富豪チャールズ・コーク氏の政治団体は、11月の大統領選に向けた共和党の候補指名争いでニッキー・ヘイリー元国連大使の支援を停止する。米ポリティコが25日に報じた。ヘイリー氏への撤退圧力になる。

保守系政治団体「繁栄のための米国民アクション」の首脳が25日、スタッフに宛てたメールでヘイリー氏支援のために資金を使うのをやめると伝えた。

「外部グループが彼女の勝利に向けた道を広げるために大きな貢献をできると思わない」と記した。代わりに11月に大統領選と同時実施の上院選や下院選に資金を振り向けるという。コーク氏の政治団体による動きは、ヘイリー氏の選挙資金が細る予兆となる可能性がある。資金集めが行き詰まると、指名争いから撤退を余儀なくされる公算が大きい。ヘイリー氏は24日、地元である南部サウスカロライナ州の予備選でトランプ前大統領に敗れた。前大統領が1月の中西部アイオワ州の党員集会から5連勝を果たし、ヘイリー氏は反転攻勢の糸口をつかめていない。

米メディアによるとヘイリー氏の選挙陣営は25日、最近24時間で100万ドル(約15000万円)以上の資金を集めたと明らかにした。敗北が続いても、資金集めの勢いが衰えていないとアピールする狙いがある。

ヘイリー氏は25日、中西部ミシガン州で支持者集会を開く。同州では27日に予備選を予定する。16州・地域が予備選を一斉に開く35日のスーパーチューズデーが指名争いの大きな山場になる。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治、アメリカ大統領選挙に関して詳しく分析しています。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 1月の最終週に地元鹿児島に戻っておりました。家族の用事でバタバタしておりました。ブログの更新が滞りまして、申し訳ございません。今回からまた精進してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 アメリカ大統領選挙は今年11月に投開票が実施される。それに向けて、まず民主、共和両党の候補者を決める予備選挙が実施される。民主党は現職大統領であるジョー・バイデンが二期目を目指すと表明した時点で、事実上、候補者に内定している。共和党側では、ドナルド・トランプ前大統領が立候補を表明して以来、最有力候補となっており、複数名の政治家たちが出馬したが既に多くが撤退を余儀なくされている。現在でも選挙戦に踏みとどまっているのは、元サウスカロライナ州知事で米国連大使を務めたニッキー・ヘイリーだ。
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 アイオワ州に続いて、ニューハンプシャー州で予備選挙が実施された。選挙の形式は、アイオワ州の党員集会とは異なり、普通の選挙と同じで、予備選挙と呼ばれる形式だった。

 ヘイリーはニューハンプシャー州にお金と時間を投入し、トランプをかなり追い上げた。事前の世論調査で数ポイント差まで追い上げたが、結果としては敗戦となった。ヘイリーは、地元サウスカロライナ州での支持率は低迷しており、一応、地元のサウスカロライナ州での予備選挙まで選挙戦を続け、地元で撤退宣言を行うだろうと私は見ている。これで、共和党予備選挙は事実上の終戦となり、トランプが大統領選挙の候補者に内定する。
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 これで、共和党のトランプと民主党のバイデンという2020年と同じ構図での大統領選挙本選挙ということになる。現在のところ、各種世論調査では、トランプが1ポイント、2ポイントで、バイデンをリードしている展開だが、これからバイデン陣営がどのような奇手を繰り出してくるか分からない。既に「トランプには大統領選挙に立候補する資格はない」という訴えを起こしての法廷闘争が起きている。この他にもメディアを使ってのネガティヴキャンペーンも行われるだろう。バイデンは、現職大統領の強みで、外交上の大きな成果を挙げてアピールすることも考えられる。ウクライナ戦争やパレスティナ紛争での大きな動きがあれば、バイデンの支持率も上がるだろうから、それを狙ってくるだろう。

 今回の大統領選挙でトランプ、バイデンのどちらが勝者となっても、アメリカ国内の分断が深まり、アメリカの統一が危ぶまれる事態が発生することも十分に考えられる。

(貼り付けはじめ)

トランプがニューハンプシャー州で勝利し、ヘイリーに打撃を与える(Trump wins New Hampshire in blow to Haley

キャロライン・ヴァキール筆

2024年1月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4424478-donald-trump-wins-new-hampshire-gop-primary-nikki-haley/

ディシジョンデスクHQによると、米大統領ニューハンプシャー州共和党予備選挙で、ドナルド・トランプ前大統領が勝利を収めることが確実となった。主要なライヴァルであるニッキー・ヘイリーに対する大きな一撃となり、トランプが共和党の大統領選挙候補者指名を確実とすることにまた一歩近づいた。

ニューハンプシャー州でのトランプの勝利はヘイリーに特にダメージを与えることになる。それは、ヘイリーがニューハンプシャー州に彼女の持つ時間と資源のほとんどを投入してきて、更に同州で人気の高い知事クリス・スヌヌ(共和党)の支持を得ていたからだ。ある時点では、支持率において、ヘイリーはトランプに数ポイント差に迫っていた。

元米国連大使のヘイリーは、アイオワ州共和党党員集会において、彼女のライヴァルだったフロリダ州知事ロン・デサンティスの後塵を拝し、3位となった。予備選挙形式で最初に行われるニューハンプシャー州共和党予備選挙をわずか数日後に控えた時点で、デサンティスは選挙戦からの撤退を決めた。撤退を宣言する演説の中で、デサンティスはトランプ支持を表明した。そうした状況下、ヘイリーは結果として、最後まで残った、トランプに対する主要な挑戦者ということになった。

しかし、ここ数日の各種世論調査の結果を見ると、ヘイリーがトランプを追い落とすのはかなりの困難な道のりであることが明らかになっていた。ディシジョンデスクHQと本誌の集計した、ニューハンプシャー州での各種世論調査の平均では、トランプの支持率が51%に対して、ヘイリーは37%となっていた。

トランプはまた、かつてのライヴァルたちが彼の周りに結集したことで、上機嫌となった。アイオワ州党員集会の直前、ノースダコタ州知事ダグ・バーガム(共和党)はトランプを支持した。ティム・スコット連邦上院議員(共和党)とバイオテクノロジー起業家のヴィヴェック・ラマスワミも、ニューハンプシャー州共和党予備選の前にトランプ支持を表明した。

ヘイリーはウィル・ハード元連邦下院議員(テキサス州選出)やアサ・ハッチンソン元アーカンソー州知事(共和党)など、予備選挙から撤退した、数名の支持を得たのみだった。

ニューハンプシャー州でのトランプ氏の勝利は、ヘイリー氏が地元サウスカロライナ州に向けて予備選の戦いを続けるかどうかという問題を提起している。アイオワ州とニューハンプシャー州の両州での勝利は、共和党内におけるトランプの優位性を強調するものであり、次の予備選挙は、ヘイリーにとって逃げ道を提供するものだ。

しかし、ヘイリー選対は、ニューハンプシャー州予備選の前に、サウスカロライナ州で戦うことを示唆していた。アドインパクトは月曜日にヘイリー陣営がサウスカロライナ州で木曜日から始まる広告の予約を入れたと報じている。

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ニューハンプシャー州予備選挙の5つのポイント(5 takeaways from the New Hampshire primary

キャロライン・ヴァキール、ジュリア・ムラー筆

2024年1月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4425725-5-takeaways-from-the-new-hampshire-primary/

ドナルド・トランプ前大統領は、アイオワ州の重要な党員集会で勝利したわずか1週間後の火曜日、全国初の予備選挙形式のニューハンプシャー州予備選でニッキー・ヘイリーを破って勝利を収めた。

ヘイリーは、前回のアイオワ州での成績からニューハンプシャー州でのトランプとの差を縮めたが、それでも、この記事の発表時点で、ディシジョンデスクHQが発表したように、トランプが約10ポイント差で勝利した。

共和党予備選挙は現在、2人の有力候補の直接対決となっており、先行するトランプが共和党の大統領選挙候補者指名を獲得するのはほぼ確実だ。

一方、ジョー・バイデン大統領はニューハンプシャー州の民主党予備選で追加候補者として、自党の挑戦者を破って勝利を収めた。

これからニューハンプシャー州予備選挙の5つのポイントを挙げていく。

(1)トランプが共和党大統領選挙候補としてほぼ確実な地位を固める(Trump cements status as almost certain GOP nominee

ニューハンプシャー州でのトランプの勝利は、同州での最後の投票が終了した午後8時(米国東部標準時)に即座に予想されたもので、トランプが共和党大統領選挙候補になることがほぼ確実となった。

共和党員たちのほとんどは、このニューハンプシャー州でトランプが勝利すると予想しており、得票率で二桁の大差を予想する者さえいたが、ヘイリーが無党派層に強いことから、火曜日に向けて、この対決がどの程度の接戦になるのか注目されていた。

ディシジョンデスクHQとザ・ヒルがまとめたニューハンプシャー州の各種世論調査の平均では、トランプが51%、ヘイリーが37%だった。トランプは先週のアイオワ州党員集会で30ポイント差の圧勝を収め、フロリダ州知事ロン・デサンティスとバイオテクノロジー起業家のヴィヴェック・ラマスワミが選挙戦から脱落し、トランプ前大統領を支持することになった。

2023年11月に大統領選挙運動を断念したティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)も、ニューハンプシャー州予備選投開票日までの数日間、トランプを支持し活動した。

しかし、トランプ懐疑派や穏健派の共和党支持者たちがどの候補者を支持するのか疑問があったが、ニューハンプシャー州でトランプが勝利した後、これらの多くがトランプを支持すると明言した。

ミッチ・マコーネル連邦上院少数党院内総務率いる連邦上院共和党の幹部メンバーであるジョン・コーニン連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)はXに「もう十分だ。バイデンに勝つためには、共和党は1人の候補者を中心に据えて団結する必要があり、トランプ大統領が共和党有権者の選択であることは明らかだ」と書いた。

コーニン議員は更に「バイデンが引き起こした国境危機や記録的な高インフレのような失敗した国内政策や、敵対勢力を増長させ世界をより危険な場所にした失敗した外交政策を、あと4年も続くことがないように阻止しなければならない」と書いた。

(2)バイデンが予備選挑戦者たちを一蹴(Biden brushes off primary challengers

ジョー・バイデン大統領は火曜日にニューハンプシャー州予備選挙に出馬しなかったにもかかわらず(選挙の投票用紙に名前が掲載されない)、名前を書きこまねばならない候補(write-in candidate)となりながら、挑戦者たちを圧倒し、勝利すると草々に予想が出た。

ニューハンプシャー州民主党は、共和党の予備選と同じ火曜日に予備選を実施することで、ニューハンプシャー州を全米最初の予備選開催州の座から追い出そうとした民主党全国委員会(Democratic National CommitteeDNC)の計画に反発し、バイデンの名前は投票用紙から外された。

バイデンは民主党全国委員会の規則に従う義務があり、民主党の予備選挙選挙戦への立候補をしないことを選択した。そして民主党は、火曜日のニューハンプシャー州での選挙戦は今年後半に実施予定の全国大会に出席する代議員には何の影響もないと述べた。

しかし、ニューハンプシャー州のバイデン支持者たちは、とにかく現職大統領であるバイデンを勝利に導こうとして、名前を書き込もうキャンペーンを開始し、予備選挙序盤の重要な州でバイデンを押し上げることの重要性を強調した。

ディシジョンデスクHQによると、共和党の予備選挙では共和党のトップランナーであるトランプが勝利した。バイデン大統領は民主党候補のマリアンヌ・ウィリアムソンとディーン・フィリップス連邦下院議員(ミネソタ州選出、民主党)を打ち負かすと予測されていた。

バイデン大統領の書き込み作戦が功を奏しての予備選挙勝利は、バイデンの支持率が低迷する中で、民主党のライヴァルたちに対して、二期目を目指す戦いを続ける中で、党支持層の間でのバイデンの力強さを反映したものだ。

予備選挙での勝利予測が出た後、バイデン陣営は「2024年11月の大統領選挙投開票に向けて取り組んでいるが、今日ますます明らかになっていることが1つある。それはドナルド・トランプが大統領選挙本選挙での共和党候補となるだろうが、彼に真っ向から向かい、投票所でこれまでに自分に勝った唯一の人物である、ジョー・バイデンと対戦することになるということだ」と述べた。

(3)ヘイリーには一撃を加えられた(Haley dealt a blow

火曜日はトランプにとって良い夜になったが、ヘイリーにとっては、選挙戦に踏みとどまっている、最後の主要なトランプのライヴァル候補として、無党派層と共和党員の両方に働きかけようとしていたため、ニューハンプシャー州で打撃を受けた。

ニューハンプシャー州は、登録をしていない有権者が共和党予備選に投票できることから、ヘイリーが序盤の指名争いで好成績を収める絶好のチャンスを提供していた。しかし、ここ数週間の世論調査では、ヘイリーがトランプを数ポイントの差で引き離しているとの見方もあったが、結局、無党派と共和党支持者の両方を十分に納得させ、ヘイリーの選挙戦に結集させることはできなかった。

ヘイリーは、4期目を務めている、人気の高いニューハンプシャー州のクリス・スヌヌ知事(共和党)の支持を得たにもかかわらず、惨敗してしまった。

それでも、ヘイリー候補は、火曜日夕方の支持者向け演説で、予備選の全結果がまだ集計されていないにもかかわらず、「次は私の愛するサウスカロライナ州だ」と述べた。また、共和党大統領予備選から脱落するつもりはないだろうと予想されている。

しかし、ニューハンプシャー州での敗北は、トランプとヘイリーが来月のサウスカロライナ州での共和党予備選に備える中で、彼女の実行力に新たな疑問を投げかけている。世論調査では、元国連大使ヘイリーは地元でトランプから大きく引き離されている。

ディシジョンデスクHQと本誌がまとめたサウスカロライナ州における世論調査の支持率の平均では、トランプが61%、ヘイリーが27%となっている。

(4)トランプの勝利は共和党内部の分裂を浮き彫りに(Trump win highlights divide in GOP

ニューハンプシャー州でのトランプの勝利はかなり早く予想されたものの、トランプ前大統領は先週のアイオワ州のような地滑り勝利を楽しむことはできなかった。

記事掲載時点で74%の得票が報告されており、ディシジョンデスクHQは、トランプ54.8%に対し、ヘイリー44%と約10ポイントの差をつけている。

出口調査でも、トランプとヘイリーの支持層は大きく異なっていた。CNNの出口調査では、トランプ支持者の80%が、バイデン大統領が2020年の選挙で正当に当選していないと考えているのに対し、当選していると答えたのは17%だった。逆に、ヘイリー支持者の83%が、バイデン大統領は2020年の選挙に正当に勝利すると答えたのに対し、勝利しないと答えたのは15%だった。

また、CNNの出口調査では、前国連大使ヘイリーに投票した人の約40%が、彼女のライヴァルであるトランプに反対して投票したことが分かった。

トランプが共和党の大統領候補になった場合、最終的にはヘイリーの支持者の多くから支持を得る可能性が高いが、共和党予備選で示された分裂は、党がトランプを中心にまとまろうともがく中で、有権者間でグループがあることを示唆している。

(5)予備選の季節は短く、ドラマなど起きないだろう(Primary season looks short and drama-free

ヘイリーは敗北予想が出た後、「ニューハンプシャーにおいて全米で最初の予備選挙が実施された。全米で最後ではない。このレースはまだ終わっていない。まだ何十州も残っている」と発言し、予備選挙での選挙戦の継続を約束した。

しかし、党内では以前から、アイオワ州とニューハンプシャー州でトランプが連勝すれば、トランプ前大統領の共和党候補指名がほぼ確定するとの予測もあった。

トランプは2024年の選挙で事実上の現職として出馬しており、全米の世論調査では2桁のリードを誇っている。混戦模様の候補者たちは、トランプに代わる最有力候補となるべく何カ月も争ったが、トランプが発表した時点でレースは実質的に決まっていたと言う専門家たちもいる。

今月、共和党予備選挙の有力候補4人が立候補し、選挙戦を通じて、トランプとヘイリーの一騎打ちに移行した。

火曜日、ヘイリーは自身のキャンペーンが「半数近い票を獲得した」と宣伝したが、彼女のキャンペーンは今、それが指名候補としての競争力を証明し、サウスカロライナ州での2月の予備選挙とその後に向けたキャンペーンの燃料として十分かどうかという疑問に直面している。

そうでなければ、共和党の予備選シーズンは始まってわずか数週間で終わってしまうかもしれない。

アメリカ南部初のサウスカロライナ州での共和党予備選は2月24日に行われる。

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(終わり)
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)が発売になりました。アメリカ政治についても分析しています。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカ大統領選挙に関しては、現在のところ、各種世論調査を見てみると、トランプが僅差で優勢、バイデンが追う展開となっている。私は2024年大統領選挙はジョー・バイデンが勝利するが、それによってアメリカは混乱に陥る、分断が深刻化すると考えている。そのことを最新刊でも書いた。バイデンがやはり現職大統領であり、政治の世界でのキャリアが長く、政治の裏も表も知り尽くしているということは、合法・非合法あらゆる手段を取ることができるということになる。

 しかし、バイデンの不人気ぶりは目を覆うばかりだ。問題は、2020年の大統領選挙で、バイデンの当選に貢献した有権者層や有権者グループでの支持率が落ちていることだ。このブログでもご紹介したが、バイデンを大統領に押し上げたマイノリティ、特にアフリカ系アメリカ人、ヒスパニックの支持率が落ちている。また、若者層での支持も落ちている。
 そのことの理由について、下に掲載した論稿では分析をしており、元々トランプを支持している若者たちは「経済に関してはやはりトランプ」という考えを変えていない。問題は、民主党系、進歩主義的な若者たちで、彼らはバイデンが社会変革に消極的、能力不足ということで「幻滅」しているために、支持できないと考えているということだ。民主党系の若者有権者たちがトランプに投票するということはあまりないであろうが、前回の大統領選挙では、大差でバイデンを支持する人が多かった若者層で、トランプが支持を伸ばすとなると、バイデンとバイデン陣営にとっては大きな痛手となる。

 1月15日には、アイオワ州で大統領選挙予備選挙が始まる。アイオワ州の予備選挙の方法は、党員集会(Caucus)である。民主党はバイデン以外に有力候補は出ていない。一方、共和党は複数の候補者が出ているが、トランプが圧倒的な人気を誇っている。これから、民主党系の市民団体などが、「トランプには大統領選挙に出る資格がない」ということを訴えての裁判戦術が本格化するだろうが、トランプが共和党の大統領選挙候補者になるのは確実である。

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メモ:バイデンに対する幻滅が蔓延する中で、トランプに対して、若者層有権者たちの間で驚くべき支持拡大が起きている(The Memo: Trump gets surprise boost with young voters amid Biden disillusionment

ナイオール・スタンジ筆

2023年12月20日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/4368796-the-memo-trump-gets-surprise-boost-with-young-voters-amid-biden-disillusionment/'/

ジョー・バイデン大統領が直面する現在の問題は、ただ単に世論調査の炊事が悪いということではない。

バイデンが直面している問題は、民主党の主要な支持層から支持が離れていること、そして宿敵であるドナルド・トランプ前大統領が驚くほど順調に支持を伸ばしていることだ。

最も顕著な例は、若い有権者の間で起こっている。

火曜日に発表された『ニューヨーク・タイムズ』紙とシエナ・カレッジの共同世論調査では、30歳以下の登録済有権者の間で、トランプ支持がバイデン支持を6ポイント上回った。

この結果が実際の選挙に反映されれば、トランプ勝利は確実なものとなる。

2020年の大統領選挙では、主要な出口調査の結果によると、30歳以下の有権者の間で、バイデンはトランプに24ポイント差をつけて圧勝していた。そして、選挙人獲得において勝利を収めた。

最新の世論調査の結果を異常値(outliner)として片付けることはできない。

先月(2023年11月)のNBCニューズの調査でも、35歳以下の有権者では、46%対42%と、4ポイント差でトランプがバイデンを上回っており、よく似たパターンを示していた。バイデン大統領就任後初のNBCニューズの世論調査であり、2ポイント差という僅差ではあったが、トランプが現職大統領であるバイデンを総合的に上回った。

こうした調査結果は、2つの絡み合った疑問を提起している。なぜバイデンは若い有権者の間で支持が減っているのか? そして、トランプはどうしてうまく言っているのか?

1つ目の質問は答えやすい。

81歳のバイデンは、比較的穏健派であるが、頑固な制度主義者であり、若い有権者にとって特に刺激的な人物であったことはない。

若い進歩主義者たちは、彼が気候変動から選挙権まで、優先課題に対してより広範な行動を取らなかったことに失望している。学生ローンの返済は、多額の学生負債を免除しようとしたバイデンの努力が最高裁によって阻止された後、10月に再開された。

そのため、バイデンは脆弱な立場に置かれたが、10月7日のハマスの襲撃でイスラエル人約1200名が死亡した後、イスラエルがガザに猛烈な攻撃を開始したことで状況は急激に悪化した。

アメリカの若い世代は全体的に、上の世代よりもパレスチナ人にはるかに同情的である。世論調査によれば、そのような有権者の多くは、パレスチナ人の死者が増える中、バイデンがイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を強力に支持していることに反発している。

ニューヨーク・タイムズの世論調査では、30代以下の有権者は、バイデンの中東紛争への対応について、不支持72%対支持20%となっており、不支持が大差をつけている。

左派団体の「ジャスティス・デモクラッツ」の広報担当者ウサマ・アンドラビは、「それが明らかに全体像の一部であるにもかかわらず、何よりも若い有権者をバイデンから遠ざけているのはこのことだ」と語った。

バイデンは先週、イスラエルは「無差別爆撃(indiscriminate bombing)」のせいで支持を失い始めていると発言するなど、最近はイスラエルに対してより厳しい発言をするようになっている。

しかし、アンドラビのような進歩主義者にとっては、それでは不十分なのだ。

アンドラビは「“無差別爆撃”を慎重に批判するのは、200万人近いパレスチナ人を避難させることになった容赦ない作戦が始まって2カ月半も経ってからすべきことなのだろうか? 慎重になるには少し遅すぎる。現時点では、強い最終防衛線(red lines)、つまり強い反対を表明すべきだ」と語った。

だからと言って、バイデンの政策に対する左派の嫌悪感が、トランプの好調ぶりを完全に説明するものではない。結局のところ、トランプ大統領の誕生によってパレスチナ人により同情的なアプローチをアメリカ政府が採用するとは考えづらい。

さらに、トランプ前大統領はバイデンと同世代で、4つの刑事事件で91の罪に問われ、2021年1月6日の連邦議事堂暴動に関与したことで弾劾訴追された。

火曜日(2023年12月19日)の午後、コロラド州最高裁判所は、トランプの2020年16日前後の行為について、選挙資格を剥奪する判決を下し、コロラド州の共和党予備投票からトランプを除外する決定を下した。

この判決については、上告する期間が認められており、トランプ陣営のスポークスマンであるスティーヴン・チャンは、「アメリカ合衆国最高裁判所への上告を速やかに行う」ことを約束する声明を発表した。

しかしながら、トランプを支持する若者たちは、支持の理由としていくつかの異なる要素を挙げている。

彼らが強調するのは、低迷する経済が日常生活や経済的な階段を上る希望に与える影響、トランプの破壊力への好感、バイデンの下でアメリカが弱体化し、より分断されているという感覚である。

カムリン・キンゼイは、彼女が選挙権を持つ年齢になった最初の大統領選となった2020年にトランプを支持した。彼女は現在もトランプ前大統領を支持している。

キンゼイは「トランプが今、若い有権者の世論調査でリードしている理由は、経済的な懸念だと思う。若い有権者は自分の経済状況を考えて投票している。家の購入から食料品の値段に至るまで、バイデン大統領の下では、持続不可能なライフスタイルだ」と語った。

「若い有権者は、トランプが抱える様々な問題のせいで彼から遠ざかることが予想されるという議論にどう反論するか」と質問されたキンゼイは、「私たちがバイデン政権によって得ているものは、アメリカにとって望ましい結果ではない」と答えた。

キンゼイは、経済だけでなく、国家安全保障やグローバルな舞台でのアメリカの強さに対する尊敬の喪失など、様々な懸念について説明した。そして彼女は、若者のトランプ支持を、「若い有権者が自分たちの国を健全に愛している(young voters have a healthy love for their country)」ことの証拠であるとし、愛国的な言葉を使って表現した。

若い進歩主義者は、キンゼイのようなトランプ支持者とは正反対の世界観を持っている。しかし、バイデンによる真の変革の欠如(lack of real change)がトランプに隙を与えたと主張する点で、彼らは意外な共通点を持っている。

若者向けの進歩主義的組織である「サンライズ・ムーヴメント」の政治担当責任者ミシェル・ワインドリングは「より大きなリスクは若者が選挙に参加しないことだが、このニューヨーク・タイムズの世論調査では、その代わりにトランプに投票する割合が示されている。そこから読み取れるのは、若者たちは民主党が過去4年間、自分たちの生活に具体的な変化をもたらすことができなかったと感じているということだ」と述べた。

ワインドリングは、国家と自分たちの世代が複数の危機に直面していると考える若い有権者は、「システムを揺るがしたい(to shake up the system)」という衝動を感じており、今彼らはその衝動を「どのように扱えば良いのか分からない」のだと語った。

さらにワインドリングは、バイデンのイスラエル問題(「戦争支援」)やエネルギー問題(「掘削賛成」)などが、若い進歩主義派を幻滅させていると主張した。彼女は、ホワイトハウスは「幻滅の深刻さ(severity of the disillusionment)を見過ごし続ける」ことに満足しているようだと警告した。

ジャスティス・デモクラッツのアンドラビは、トランプ支持は、トランプ前大統領への実質的な支持というより、むしろバイデンに対する反射的な拒否反応であると主張している。

アンドラビは、「トランプ以外の人物であっても同じ結果のはずだ」と述べた。

しかし、ホワイトハウスにとっては何の安心材料もない。特にガザでの戦争が続いており、国内では経済に対する先行きが不透明なままだ。

アンドラビは、「若者たちは、バイデン大統領は自分たちが望んでいる人物ではないと言っている。バイデン大統領の行動は、私たちが望んでいるものではないのだ」と語った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』が発売になります。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 米コロラド州の最高裁判所は、2024年の大統領選挙共和党予備選挙のコロラド州の選挙で、ドナルド・トランプ前大統領が候補者としての資格がない、力行方ができない、投票用紙に名前が載せられないという判決を下した。判事7名の投票で賛成4,反対3で判決が出た。私は、最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)で、アメリカ政治の分析も行った。そして、民主党からは現職のジョー・バイデン大統領が出て、共和党からはドナルド・トランプ前大統領が候補者に選ばれて、本選挙が戦われるが、バイデンが合法・非合法、あらゆる手段を尽くして勝利して、再選すると私は書いた。今回のコロラド州の最高裁の判決はその1つである。

 今回のコロラド最高裁の判決の根拠は、アメリカ合衆国憲法修正第14条第3節「アメリカ合衆国議会議員、国の機関の役人、州議会議員、あるいは州の行政及び司法の役人として、アメリカ合衆国憲法を支持することを以前に誓い、かつそれらに対する反乱に加わった者あるいはその敵に対して援助や同調した者は、アメリカ合衆国下院または上院議員、大統領および副大統領の選挙人、あるいは国または州の公的、軍事的役職に就くことはできない。ただし、アメリカ合衆国議会が各院の議席の3分の2以上で決した場合は、その禁止規定を排除する」である。「ドナルド・トランプがアメリカに対する反乱に加担し、援助したから公職(大統領)に就く資格がない」ということである。

 トランプが反乱に加担し,援助したというのは、2021年1月6日のアメリカ連邦議事堂にトランプ支持者たちが乱入し、死傷者が出た事件を指す。トランプが実際に支持者たちを引き連れて、議事堂内に乱入してはいないが、「教唆(incitement)」があったというのが、トランプ反対派の主張である。裁判で、トランプによる「教唆」を厳密に証明することは大変に難しい。しかし、今回のコロラド州最高裁はそうした証明をすっ飛ばして、「トランプが反乱に加担した」と認定した。これは司法手続きの正当性もないがしろにするものだ。そして、特定の人間の参政権を奪うということで、アメリカの民主政治体制の根幹も揺るがすものである。

 今回のコロラド州最高裁の判決の効力は、「コロラド州で実施される大統領選挙共和党予備選挙」に限定されるものだ。トランプの立候補資格の差し止めは、ニューハンプシャー、ミネソタ、ミシガンの各州でも裁判が起こされていたが、いずれも差し止めには至っていない。このような異常なことを求める裁判が全米各地で起こされて、裁判合戦になることは、共和党予備選挙の実施の妨害にもつながる。このような裁判を起こしているのは、リベラル派の「ワシントンの責任と倫理のための市民(Citizens for Responsibility and Ethics in WashingtonCREW)」という政治監視団体だ。この団体は、トランプ政経時代から、トランプをターゲットにして活動してきた。非営利団体で、政治活動に制限があるはずなのに、このような政治活動を行っていることについて批判がある。

 「ジョー・バイデンを勝たせるためには何でもする」「人気がないバイデンは普通にやっていたのでは勝てないので何でもやる」というのが、民主党だけではなく、アメリカの原稿の国内体制から利益を得ている人々のコンセンサスである。しかし、こうして、司法手続きの正当性や民主政治体制(デモクラシー)の正当性を傷つける行為が続けば、アメリカのデモクラシーは崩壊する。そうなれば行きつく先は、アメリカの国家解体(分裂)である。

(貼り付けはじめ)

【米大統領選2024】 トランプ氏の立候補資格を認めず コロラド州最高裁

BBC JAPAN 2023年12月20日 15時19分

https://www.bbc.com/japanese/67769200

米コロラド州の最高裁判所は19日、ドナルド・トランプ前大統領について、来年の大統領選の同州予備選に立候補することはできないとの判断を示した。反乱に関する憲法の修正条項を理由とした。

州最高裁は43で、トランプ氏に大統領選の州予備選の候補者となる資格はないと判断した。

大統領候補の資格の剥奪に、合衆国憲法修正第143項が使われたのは初めて。同項は、憲法の擁護を宣誓して公職に就いた者について、アメリカに対する反乱や謀反に関わった場合は再び公職に就くことを禁じている。

トランプ氏を投票の対象から除外する試みは、これまでもニューハンプシャー、ミネソタ、ミシガンの各州であったが、どれも失敗に終わっていた。

この日の判断は上訴が可能。最も早くて来月4日までは効力をもたない。

コロラド州以外には適用されないほか、来年35日の共和党の州予備選にのみ適用される。ただ、11月の大統領選に影響を与える可能性はある。

トランプ氏側は、連邦最高裁に「速やかに上告する」としている。同裁判所は保守派が63で多数派となっている。

●州地裁の判断を覆す

コロラド州では地裁が先月、憲法修正第14条の禁止規定は大統領には適用されないとの判断を示していた。大統領について明記していないというのが理由だった。

ただ地裁は、トランプ氏が20211月の連邦議会襲撃に加わったと認定した。この襲撃では、トランプ氏の支持者らが、ジョー・バイデン大統領の大統領選での勝利を承認中の議会になだれ込んだ。

州最高裁の今回の判断は、地裁の判断を覆すものとなった。

州最高裁の判事らは判決文で、「私たちは気軽な気持ちでこの結論に達してはいない。眼前の問題の大きさと重さに留意している」と説明。「同様に私たちは、法を適用する厳粛な義務にも留意している」とした。

反対意見を述べた判事3人の1人、カルロス・サムール判事は、「候補者について過去に恐ろしい行為を犯したと確信しても、たとえそれが反乱への関与であっても、公職に就く資格を剥奪すると私たちが宣言する前に、適正な手続きが必要だ」と書いた。

●トランプ陣営は判決を非難

トランプ陣営の広報担当のスティーヴン・チャン氏は声明で、今回の判決を「まったく欠陥がある」と批判。判事(全員が民主党の知事による任命)を非難した。

チャン氏はまた、与党・民主党の指導者らについて、「失敗したバイデン政権を信頼していないが、アメリカの有権者が来年11月にバイデン政権を退陣させるのを阻むことに全力を尽くしている」とした。

トランプ氏は判決が出た後、アイオワ州で演説したが、判決には触れなかった。

●原告は歓迎

再選を目指すバイデン氏の選挙陣営は、今回の判決に関してコメントを避けた。

ただ、陣営に関わっている民主党幹部は、今回の判決は連邦議会襲撃が反乱未遂だったとする民主党の主張を支えるものであり、同党の助けになるだろうと、BBCが提携する米CBSに話した。

野党・共和党の議員らは、今回の判決を非難している。マイク・ジョンソン下院議長は判決を「見え透いた党派攻撃」と非難した。

「政治的な所属に関係なく、投票権のあるすべての国民は、前大統領であり、かつ共和党予備選に関するすべての世論調査でリードしている人物を支持する権利を否定されるべきではない」

この裁判を起こした 監視団体「ワシントンの責任と倫理のための市民(CREW)」は判決を歓迎。

ノア・ブックバインダー代表は「歴史的で正当であるだけでなく、私たちの国の民主主義の未来を守るために必要なものだ」との声明を出した。

トランプ氏は前回の大統領選では、コロラド州で大差で敗れた。

トランプ氏は現在、4件の刑事裁判で被告となっている。うち2件は、ジョージア州で選挙結果を覆そうとしたとして、連邦政府と州政府の検察がそれぞれ起訴したもの。

(英語記事 Trump disqualified from 2024 ballot in Colorado

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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