古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:安倍昭恵

 古村治彦です。

 

 『ニューヨーク・タイムズ』紙のウェッブサイト版の女性に関するページ「Women in the World(世界における女性たち)」に面白い記事が掲載されました。

 

 それは、「日本のファーストレイディーは、トランプとの会話を避けるために、英語がしゃべれないふりをしたのか?」というタイトルの記事です。記事の内容を以下にまとめてご紹介します。

 

(貼りつけはじめ)

 

Did Japan’s first lady pretend she doesn’t speak English to avoid talking to Trump?

 

2017/07/20

WITW Staff

http://nytlive.nytimes.com/womenintheworld/2017/07/20/did-japans-first-lady-pretend-she-doesnt-speak-english-to-avoid-talking-to-trump/

 

(貼りつけ終わり)

 

 ニューヨーク・タイムズ紙の政治記者マギー・ハーバーマンがドナルド・トランプ大統領にインタヴューを行い、その中で、先日のG20サミットの様子についてトランプが話をしました。G20サミットでは20各国の指導者たちと配偶者たちが集まり(40名)、その他にEUの最高幹部たちやIMFのラガルデ専務理事もいたので、50名ほどになった。世界各国からのメディアも来ていて、みんなでたくさんの写真を撮った。

 

 オペラを皆で見に行った、その後に夕食会となった。トランプ大統領の隣は、安倍昭恵夫人が座った。トランプ大統領は、「安倍首相も昭恵夫人も素晴らしい人たちだが、昭恵夫人は英語がしゃべれない」とインタヴューで述べています。ハーバーマン記者が「全く、ゼロ?」と驚くと、トランプ大統領は「ハローさえ言えないくらい」と答え、「その席にいるのは大変だったでしょう」とハーバーマン記者が質問し、「大変だった、だって、その席にどれくらい座っていたと思う?」とトランプ大統領は答え、「何時間もでしょう」とハーバーマン記者が言い、「1時間45分だった」とトランプ大統領が答えました。


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 このインタヴューが出た後、昭恵夫人に対して、奇妙な評価が出てきました。昭恵夫人は先日の安倍首相の訪米に同行し、メラニア夫人と日本庭園を訪れたり、フロリダ州のマーアラゴ・リゾートで夫妻同士で夕食を楽しんだりしました。この時の様子は写真や映像に残されています。この時の様子から、「昭恵夫人が英語ができないというのはおかしい、この時にはちゃんと英語でコミュニケーションを取っている」ということになりました。

 

 そこで、アメリカ国内のフェミニストたちは、「昭恵夫人はトランプ大統領と話をしたくないために、英語ができないふりをした」という解釈をし、彼女は素晴らしいということになりました。

 

 私も昭恵夫人が聖心学園で教育を受けたという経歴を持っている以上、同世代の人々よりも英語や外国人に接する機会が多かったと考えますので、昭恵夫人が、「ハローも言えないほど」に英語ができないということは考えにくいと思います。また、立教大学大学院でミャンマーの教育に関する研究で修士号を取得し、ミャンマーも訪問していることを考えると(ミャンマーはイギリスの植民地であったことを考えると)、英語が全くできないというのはないと思います。

 安倍昭恵夫人が英語でスピーチを行っている映像も見ましたが、英語が全くできない人だとはとても思えませんでした。発音などは安倍首相よりも上手でした。あれだけきれいな発音なら、難しい議論はできないにしても、あいさつや楽しい会話はできると思います。


 

 しかし、G20の夕食会で、隣り合ったトランプ大統領と全く会話をしなかった、英語が出来ないふりをしたというのはおかしいと思います。また、彼女の人懐こい性格から考えて、たとえ言葉ができなくても、何とかコミュニケーションを取ろう、その場にいる人たちを楽しませようとするだろうことは容易に推測できます。

 

 ですから、昭恵夫人がトランプ大統領を約2時間もほったらかすということは考えにくいのです。しかし、実際にトランプ大統領はそう感じた、そして、彼女は英語ができないのだと考えたということです。

 

 なぜ昭恵夫人がトランプ大統領と話さなかったのか、ということが疑問として残ります。英語ができないからということはおそらく理由ではありません。それでは、フェミニストが言うように、女性蔑視をするトランプ大統領が嫌で話さなかったということがあるでしょうか。彼女は自分に批判的、敵対的な人たちとも話をしてきました。ですから、トランプ大統領が嫌いだから話さないということはないように思われます。

 

 昭恵夫人は2月以降、森友学園問題や秘書の業務に関して、大きな批判を受けてきました。そのために昭恵夫人の行動にメディアの関心も集まるようになりました。結果として、彼女の「天然」な行動も報道されるようになりました。

 

 また、安倍首相の訪米では、安倍首相自身はお酒を飲まないが、昭恵夫人はお酒をたしなむので、トランプ大統領夫妻との夕食の席上、一人でワインを飲み過ぎて、周囲をあきれさせたということも報道されました。緊張状態で、自分が頑張らねばと思うと、アルコールが回ってしまって、いつもよりも酔ってしまうのが速くなるということもあったとは思いますが、外交上の礼を失する行動であったということも言われました。また、昭恵夫人は誰に対しても物怖じしませんから、トランプ大統領に何かとんでもないことを言う可能性を周囲は心配したでしょう。

 

 従って、今回は昭恵夫人には特に厳しく、いつものように振る舞うのではなく、おとなしく、目立たないようにするよう、という注意がなされていたのでしょう。そして、その注意を忠実に守ろうとして、トランプ大統領をほおっておくということになったのだと思います。こう考えると、昭恵夫人は非常に不器用なように感じられます。

 

 しかし、もしこれが計算でなされたのだとすると大変な策士であると言わねばなりません。注意をした人々に対してやり返してやろう、鼻を明かしてやろうということで、わざとトランプ大統領を無視するような行動を取ったということになれば、大変な計算です。「私を押さえつけようとするなら、それに従いますよ」ということで、徹底的におとなしく、やり過ぎなほどにおとなしくして、かえって問題になるということになれば、今度は、おとなしくするように注意した人たちに「どうしてそういうことを言ったのだ」という批判が向かいます。

 

 「おとなしくしてほしい」という注意を逆手にとっての報復、ということになると、これはこれで大変なことです。

 

 真相が何かは分かりません。


 しかし、トランプ攻撃のために何でも使われるものだなぁと感心させられます。

 

(終わり)




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12





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 古村治彦です。

 

 今回はワシントン・ポスト紙が報じた森友学園を巡るスキャンダルの記事をご紹介します。このスキャンダルは籠池氏が宣誓証言をしたことで、彼の発言の重要性が増し、終息には向かわないであろうと書かれています。

 

 また稲田大臣の森本学園とのかかわりを巡る発言の混乱で、辞任を求める声が広がっていることが紹介されています。

 

 このスキャンダルは、今週末にどのような動きを見せるか、具体的には、日本維新の会の党内(大阪ウイングとそれ以外)と党外(対自民党、対公明党)でどのような動きを見せるかで来週に色々と動きが出ることが予想されます。そうなれば、ワシントン・ポスト紙の記事でフィールド記者が書いているように、この問題はすぐには終息しないということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

日本の安倍首相は極右の学校に秘密の寄付をしたと追及される(Japanese Prime Minister Abe accused of giving secret donation to far-right school

 

アンナ・フィールド筆

2017年3月23日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/japanese-nationalist-school-boss-says-prime-minister-gave-him-a-secret-donation/2017/03/23/5d8f5322-0fdc-11e7-ab07-07d9f521f6b5_story.html?utm_term=.97d7be43983d

 

東京発。日本の首相を巡る政治論争は終息の兆しを見せない。国家主義的な学校の理事長が木曜日、宣誓をした上で、安倍晋三首相が彼に対して9000ドルの寄付をしたと述べた。

 

この嫌疑について安倍首相は強く否定しているが、これまで無敵だと見られてきた首相にダメージを与えている。今回のスキャンダルによって支持率が低下し、来月に解散総選挙をするのではないかという噂話が流れている。

 

今回の論争の中心にいるのは大阪の学校法人である森友学園である。森友学園は幼稚園を運営している。この幼稚園では、園児たちに、日本の近隣諸国に対して強硬な姿勢を撮っている安倍首相を応援させ、「邪悪な」韓国人と中国人と書いた文書を送った。

 

森友学園は小学校開設を計画していた。この小学校はもともと「安倍晋三記念小学校(Shinzo Abe Memorial Elementary School)」という名前を付けられていた。そして、安倍昭恵首相夫人を名誉校長に就任してもらっていた。

 

しかし、今年初め、森友学園が学校用地の土地を大幅な値引きを受けて購入していたことが発覚した。土地の価格は評価額の14%にまで引き下げられた。

 

格安の国有地売却によって、首相のイデオロギー上の同盟者のために好待遇をしたのではないかという疑いが広がった。

 

森友学園理事長籠池泰典氏は木曜日、国会の2つの委員会に出席し、安倍昭恵夫人が夫の代理で自分に寄付をくれたという主張を繰り返した。しかし、今回は籠池氏は宣誓をして発言をした。

 

籠池氏は参議院予算委員会で「安倍夫人は私どもの幼稚園に三回お越しになりました」と述べた。2015年9月の訪問で、籠池氏は安倍夫人と延長室で会ったと述べた。

 

籠池氏は「お付の方に席を外すように言われた後、部屋には私ども2人だけになりました。そこで、夫人は、“どうぞ、これをお取りください。安倍晋三からです”と私に仰って、100万円の入った封筒を寄付として私に下さいました」と述べた。この金額は現在の為替レートでは約9000ドルに相当する。

 

籠池氏は「安倍夫人は寄付を渡したことを否定され、全く覚えがないと仰っているとお聞きしましたが、私どもにとっては大変名誉なことですから、私ははっきりと覚えております」と述べた。

 

安倍首相の最側近である菅義偉官房長官は再び、疑いを否定した。そして、木曜日、安倍夫人に付いていた2人の政府職員は両方とも夫人の側を離れたことはないと否定した。もし2人が離れていれば籠池氏は安倍夫人とだけ会うことができたがそうではないということだ。

 

この問題について安倍昭恵夫人は木曜日夜に沈黙を破り、疑いに対する否定をフェイスブックに反論を掲載した。

 

スキャンダルの渦中、来月開講予定であった小学校開設認可申請は取り下げられ、森友学園は土地の返還を強制される。

 

しかし、籠池氏の証人喚問はいくつかのテレビチャンネルで放送され、疑いが再び明確にされた。これによって今回の論争がすぐに終息するということはなくなったと言える。

 

今回のスキャンダルでは安倍昭恵首相夫人が渦中の人物となっているが、これに加えて、安倍内閣の防衛大臣で超保守派の政治家稲田朋美もスキャンダルに巻き込まれている。

 

稲田朋美大臣は、彼女が弁護士時代、森友学園の代理人であったことを否定した。しかし、先週になって、2004年になって森友学園のために働いていたことを認めさせられることになった。稲田大臣はこのことを忘れていたと述べ、謝罪した。しかし、発言の撤回によって、稲田大臣の辞任を求める声が広がっている。

 

今回のスキャンダルは、安倍政権の支持率の引き下げに重要な影響を与えた。安倍政権の支持率はここ数週間で10ポイント下がった。2012年末に首相になってから最大の下げ幅になった。しかし、保守的な読売新聞の最新の世論調査では、支持率自体は56%と依然高いままだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








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 古村治彦です。

 

 今回は、2017年3月23日の籠池泰典の国会での証人喚問と外国特派員協会での会見を受けての、イギリスの『ザ・ガーディアン』紙の記事の内容をご紹介します。

 

 記事の内容は、籠池氏が国会の証人喚問でも述べた、2015年9月に安倍昭恵首相夫人に塚本幼稚園で講演をしてもらった際に、夫人が封筒に入った100万円を「安倍晋三からです」と言って籠池氏に渡したという主張をしており、政府側はそれを否定しているというものです。

 

 欧米では、宣誓証言を重要視します。彼らはキリスト教文化で、「内面で神と向き合う」ということを重視し、神に対して嘘をつくかどうかということをとても気にします。ですから、宣誓をしての証言で嘘をついてはいけない、だから嘘をつく可能性は低いと考えます。この記事でも、「籠池氏は宣誓をした上で証言をしており、彼の発言内容が重要性を増す可能性が高まる」と書いています。宣誓証言というのはそれほど重いものです。

 

 ですから、宣誓をした上での証言とそれ以外では重みが全く違うということを理解しなければなりません。

 

 政府は3月24日の参考人招致で幕引きをしたいと考えているようですが、そう簡単なことではありません。登場人物がどんどん増えてしまっている今、重要な人物たちには是非、国会で宣誓をして証言をしていただきたいと思います。私が一番話をしてもらいたいのは、森友学園の代理人をしていた酒井康生弁護士です。籠池氏の話を聞きながら、今回の森友学園の土地取引や学校建設で一種のスキームを作ったのは財務省近畿財務局とこの酒井弁護士ではないかというのが個人的な感想です。

 

(貼り付けはじめ)

 

安倍晋三首相と首相夫人が超国家主義を標榜する学校に現金を渡したと追及された(Shinzo Abe and wife accused of giving cash to ultra-nationalist school

 

幼稚園の運営者が、「安倍昭恵夫人がこれは夫からだと言いながら100万円を手渡した」と証言

 

ダニエル・ハースト(東京)筆

『ザ・ガーディアン』紙

2017年3月23日

https://www.theguardian.com/world/2017/mar/23/shinzo-abe-wife-akie-accused-giving-cash-ultra-nationalist-school?CMP=share_btn_tw

 

日本の首相と夫人は超国家主義の教育方針を採用している幼稚園を巡るスキャンダルの渦中にいる。このスキャンダルの中心人物が宣誓した上で、首相夫妻から秘密の寄付を受けたと主張した。

 

幼稚園の運営者は国会で安倍昭恵総理大臣夫人から、100万円(7100ユーロ)が入った封筒を渡され、これは安倍晋三からですと首相夫人は言ったと証言した。日本政府はこの証言内容を否定している。

 

森友学園理事長籠池泰典氏はまた、学校を開設しようとした大阪の国有地が大幅な値引きをされたことに関しては「おそらく」政治的な影響力が働いたと語った。

 

今回のスキャンダルは既に安倍政権の支持率にも影響を与えているが、そもそも始まったのは、森友学園が評価額の7分の1の価格で土地を購入したことが明らかになったことからであった。

 

安倍首相は土地取引には一切関与していないし、もし個人的にかかわっていることが明らかになったら首相を辞任すると述べた。昭恵夫人はもともと開校予定の学校の名誉校長に予定されていた。しかし、今回の論争が始まって辞任した。

 

籠池氏は次のように主張している。2015年9月に安倍昭恵夫人が幼稚園で講演を行った時、籠池氏は封筒を受け取った。伝えられるところでは、籠池氏と昭恵夫人は部屋の中で2人だけになったということだ。

 

籠池氏は木曜日の国会の委員会で次のように語った。「奥様は、“どうぞ、これは安倍晋三からです”と仰いました。そして、100万円が入った封筒をくださいました。安倍夫人はこのことについて全く覚えていないと言っておられますが、これは私たちにとって大変名誉なことですから、私はこのことをきわめてはっきりと覚えております」。

 

先週、安倍首相は寄付をしたという話をきっぱりと否定した。しかし、籠池氏は、国会で宣誓した上で、寄付を受けたという話を繰り返した。そのため彼の発言は重みを増す可能性が高い。籠池氏は偽証をした場合には罪に問われることになる証人喚問を受けた。これは5年ぶりのことであった。

 

菅義偉官房長官は木曜日、再び寄付をしたという話を否定した。そして、主張の食い違いを解消するために安倍昭恵夫人が証言を行うことを求める可能性はないと断言した。

 

菅官房長官は記者団に対して「法的な問題とはならない行動についてある人物を喚問することには慎重でなければならない」と語った。

 

籠池氏は日本会議と関係を持っている。日本会議は愛国主義を標榜するロビー団体で、彼らはアメリカが起草した平和主義的な日本国憲法の改定を主張している。日本会議には、安倍晋三首相と安倍内閣の大臣10人以上がメンバーとして参加している。

 

木曜日の夕方、外国特派員協会で行った会見の中で、「素晴らしい仕事をしている」と確信していた首相に対して、厳しい発言をする決意をしたのはどうしてか、その理由について次のような示唆を与えた。

 

籠池氏は、自分は土地の確約売却を巡るスキャンダルで「スケープゴートとして使われ」たくないし、安倍夫妻が森友学園の教育哲学を支持する旨のメッセージから離れたことを怒っていると述べた。

 

籠池氏が経営する幼稚園は、園児たちに皇室の人々の写真の前でお辞儀をすること、毎日国歌を歌うこと、1890年に出された国家のために自身を犠牲にすることを強調した教育勅語を学ぶことを必修としていることで、人々の関心を集めている。この幼稚園の元園児の保護者たちは大阪府に対して、虐待と人種差別があったとし調査をするように求めている。

 

麻生太郎財務大臣は、土地の値段が9億5600万円から1億3400万円に引き下げられたことについて、これは土地に含まれていた産業廃棄物を除去するコストを除いたものだと述べた。しかし、建設コストに関する論争が起きている中で、学校の開校計画は撤回された。そして、財務省は土地の買い戻しを計画している。

 

防衛大臣稲田朋美は、弁護士時代の2004年に行われたある訴訟で森友学園の代理人をしていたことを国会で否定していたが、先週、それが誤りであったことを認め謝罪した。稲田大臣はこのために騒動の渦の中に巻き込まれている。

 

今月になって各社が発表した世論調査の結果では、内閣の支持率は3%から10%の間で下落した。しかし、それでも約50%は維持している。衆議院議員の任期(総選挙)は来年である。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








 

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 古村治彦です。

 

 昨日、森友学園理事長・籠池泰典氏の国会衆参両院での証人喚問が行われました。一民間人をいきなり証人喚問する、しかもその理由が総理大臣を侮辱したからという自民党の姿勢には驚くばかりです。

 

 この自民党の姿勢も含めて、現在、森友学園を巡るスキャンダルでは、「忖度(そんたく)」という言葉がよく出てきます。忖度の意味は、「他人の心を推しはかること」と辞書にはあります。しかし、現在、森友学園スキャンダルで使われている忖度は、「自分の上位者や依頼者の気持ちを推しはかり、その気持ちにかなうであろうと思われる行動を、直接的に何も言われなくても先回りして行う」という意味です。

 

 昨日、籠池氏は国会での証人喚問の後、外国人特派員協会での記者会見に臨みました。そこで、外国人記者や日本人記者から様々な質問を受けました。日英両方に長けた方が通訳をされていましたが、この方が困ってしまったのが忖度という言葉の訳でした。この方は、「conjecture」「read between lines」という表現を使っておられました。とっさの場合にどう説明するか、どう訳すか、ですが、忖度という言葉はとても難しいなぁと感じました。しかし、これらの言葉では忖度の持つ豊かな意味早くしきれていないなとも感じました。


 

 私はこの言葉について、英語のメディアではどのように伝えているのか気になって調べてみました。すると、『ニューヨーク・タイムズ』紙東京支局長のマーティン・ファクラー(Martin Fackler)氏が素晴らしい説明をしていることを知りましたので、是非ご紹介したいと思います。

 忖度という言葉の意味の説明は、ファクラー氏が2016年に外交専門誌『フォーリン・ポリシー』誌に発表した論稿の中で行われています。2016年5月27日付の記事でタイトルは、「日本の自由な報道が沈黙している(The Silencing of Japan’s Free Press)」です。記事の内容は、第二次安倍晋三内閣の成立以降、日本の報道機関が政府批判を弱めているというものです。

 

※記事のアドレスは以下の通りです↓

http://foreignpolicy.com/2016/05/27/the-silencing-of-japans-free-press-shinzo-abe-media/

 

 忖度の説明の部分をまず引用したいと思います。

(引用はじめ)

 

According to Torigoe, the result has been a form of self-censorship that Japanese journalists call sontaku, a term with no exact English translation but that refers to a Japanese social strategy of trying to please others, usually superiors, by preemptively acting in accordance with their perceived whims.

 

(引用終わり)

 

 この部分を私なりに訳してみますと次のようになります。「鳥越俊太郎氏は、その結果として、一種の自己検閲、日本のジャーナリストたちが「忖度(sontaku)」と呼ぶ状態が起きている。忖度には正しい英語訳が存在しないが、日本の社会的な戦略で、他の人、たいていの場合は上位者を喜ばせようとするものだ。その方法は、上位者たちの気まぐれな希望を知覚してそれに沿うように先回りして行動するというものだ」。

 

 昨日、この忖度について質問したのは、ニューヨーク・タイムズ紙の記者の方でしたが、ファクラー氏から助言を得れば、忖度についてより理解ができたのではないかと思います。これほど忖度についての完璧な英語での説明はないように思います。

 

 私はアメリカの大学で政治学を学びましたが、少しお手伝いも兼ねて、日本政治の授業にも出席したことがあります。その時にも「天下り」とか「根回し」といった言葉が日本政治の一面を説明するために出てきました。そして、宿題として、日本政治の授業で出てきた単語の意味の説明と重要性をまとめるという課題が出されていました。私も日本人の端くれとしてこの宿題に挑戦してみましたが、なかなか大変でした。それでも何とかやってみました。以下にその時の私なりの説明を掲載します。ご笑覧いただければ幸いです。

 

(貼り付けはじめ)

 

Amakudari (“descend from heaven”)

 

(1)The bureaucrats who are between the ages of 50 and 55 move from government to powerful positions in private enterprise, banking, the political world, and the numerous public corporations. This phenomenon is called as amakudari. This word shows that bureaucrats think themselves as higher position or rank than private sector or political arena.

 

(2)This mechanism shows the increase of bureaucratic influence over Japanese society. For example, in general, the Japanese enterprises do not seek the maximum profit. This is influenced by the former-bureaucrats in them. To bureaucracy, they can receive the compensations and young bureaucrats can get the high positions. To non-governmental sector, they can receive the talented, experienced, and intelligent people.

 

=====

 

Nemawashi (“behind-the-scenes consultation”)

 

(1)The term, Nemawashi originally refers to the process of trimming the roots around a tree before transplanting. Steven Reed uses this term to explain why companies obey the administrative guidance from ministries. In observations of some scholars (Richard Samuels, Daniel Okimoto), the Japanese government is not strong. The companies are in competition. At the same time, companies want to avoid the excess competition. The government plays the mediator role and arranges the numerous informal negotiations with companies. Through the negotiations, the government produces the solution and the companies obey the guidance.

 

(2)Nemawashi is used to explain one character of Japanese culture (harmony, or effort to avoid the disputes). In Japan Inc. model, Nemawashi refers to the cooperative business-government relationship. The government is not strong and can not impose a solution on companies. Companies want to make compromise to avoid the excess competition. As the result, the government and business sector have the relationship and control the competition. There are negotiations and trust between the government and the business sector. It contributes to stability.

 

(貼り付け終わり)

 

 こうした日英文化間の狭間にあるような言葉に出くわすと、故ベネディクト・アンダーソンが「翻訳は大変に重要な作業なのだ」と述べたことが思い出されます。
 
 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 2017年2月9日から大きな事件となった、森友学園を巡る疑惑ですが、人々の注目を集めたのは、安倍晋三首相の配偶者、安倍昭恵さんが森友学園の開校予定(認可取り下げ)の瑞穂の國記念小學院(学園側は安倍晋三記念小學院にしたかった)の名誉校長をしていたという事実が明らかになってからです。子供たちが教育勅語を暗唱し、天皇皇后の写真に最敬礼し、運動会で「安倍首相頑張れ」と叫ぶ幼稚園の教育に感銘を受け、「何かお力になりたい」ということで、名誉校長になったという事実には驚かされました。

 

 そして、これ以降、安倍昭恵夫人のこれまでの活動にも関心が集まり、また、昭恵夫人のおつきの人々(常勤が2名、非常勤が3名)が国家公務員であったことも明らかになり、「公人」か「私人」かということで、もし公人ならば、森友学園の小学校の名誉校長になったことは適切ではなかったのではないかという主張も出てきています。

 

 昭恵さんはこれまでの控えめで目立たない存在であった首相夫人という立場を大きく変えました。彼女の行動は多くの人々から好感を持って迎えられました。それは彼女の行動力と好奇心の結果です。そして、安倍首相の支持率の維持にも少なからず貢献しました。

 

 しかし、「首相夫人」については、その立場に法的な根拠もなく、その活動がどこまでが公務で、どこからが私的なものなのかは線引きが難しいということも事実です。そのはざまで、「首相」夫人であることの影響力が少なからず行使されながら、見過されてきたということもあるようです。

 

 アメリカの大統領夫人(First Lady)の場合は、ホワイトハウスのイーストウイングに執務室が与えられ、補佐官やスタッフがつきます。ビル・クリントン大統領の夫人ヒラリー・クリントンは健康保険制度改革では陣頭に立ちましたし、フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領の夫人エレノア・ルーズヴェルトは病弱の夫を支え、影響力を発揮しました。しかし、たいていの場合は、ファーストレディは政治的な事にはかかわらず、社会的にコンセンサスのある問題に取り組みます。ジョージ・W・ブッシュ(息子)大統領のローラ夫人は図書館司書の経験を活かして、子供たちの読書啓発、バラク・オバマ大統領のミシェル夫人は、子供たちの肥満対策のために野菜摂取、運動の啓発に取り組みました。テレビ番組でミシェル夫人がおどけた姿でダンスをしている姿を見たことがある人もいると思います。

 

 それでは日本の首相夫人はどうなるべきか、ということはこれから検討されるべきです。その時に必要なことは、個人の資質で活動の範囲が変化してはいけないということであり、もう1つは政治と関わる部分もありますから、公的な活動の範囲は制限されるべきだと考えられます。首相夫人が公的な活動を行う場合には、国民的にコンセンサスを得られる問題に取り組むこと、そして首相や首相官邸の同意を得ることが必要ではないかと考えます。

 また、ビジネスの側面が大きいものも制限される必要があります。 昭恵さんのSNSを見ていますと、宣伝行為と判断されやすいものもありますから、これは排除されねばなりません。見られる数が制限される場合には私的な行為として判断されるかもしれませんが、こういう点では慎重な行動が求められます。

 

 「首相夫人」という肩書が政治的、営利的に利用されない、利用しないということが重要なのだろうと思います。

 

(貼りつけはじめ)

 

首相夫人の支え方「研究する」…菅官房長官

20170316 0950

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170316-OYT1T50015.html

 

 菅官房長官は15日の記者会見で、安倍昭恵・首相夫人の活動への支援のあり方について「研究していきたい」と述べ、検討を進める考えを明らかにした。

 

 菅氏は、首相夫人の活動が公的行為か、私的行為かを巡って国会で論戦になっていることを踏まえ、「首相夫人の活動をどのように支えていくか、実態を十分に把握した上で国民が『なるほどな』と思えるものにしたい」と強調した。

 

 同日の衆院内閣委員会では、昭恵夫人が名誉会長を務めるスキーイベントに政府職員が同行していたことが新たに明らかになった。政府の説明によると、イベントは2015年2月、16年3月、17年3月の計3回行われ、いずれも政府職員が連絡調整などのために同行。職員の旅費などは昭恵夫人が負担したという。

 

 政府は14日の閣議で「首相夫人は私人」とする答弁書を決定している。

 

(貼りつけ終わり)

 

 

(貼りつけはじめ)

 

日本のファーストレディは酒とフェイスブックを愛す、そして人々はそうした彼女を愛す(Japan’s first lady loves sake and Facebook, and people love her for it

 

アンナ・フィールド筆

『ワシントン・ポスト』紙

2014年9月22日

https://www.washingtonpost.com/world/japans-first-lady-loves-sake-and-facebook-and-people-love-her-for-it/2014/09/21/44ff5159-71ca-49cf-ab23-fc3f6531ce7d_story.html?tid=a_inl&utm_term=.e88a414af27c

 

東京発。一人の安倍さんがおり、その人物は上流階級の出身者でありながら、フレンドリーで、近づきやすく、お酒とソーシャルメディアを愛しており、友達になりたいと思う人だ。

 

ここにもう一人の安倍さんがいる。その名前は安倍晋三。保守的な日本国首相である。安倍首相の支持率は高い。しかし、安倍首相個人は、平均的な日本人が一緒にビールを飲みたいと思うようなタイプの人物ではない。そして、実際のところ、安倍首相はお酒をほとんどたしなまない。

 

安倍首相の妻、安倍昭恵氏は存在感を増し、彼にとって秘密兵器となりつつある。堅物な首相の柔らかい側面を見せることに貢献している。選挙から2年経って、彼の政策の効果について疑問が出ている中で、昭恵夫人の存在は重宝している。

 

フェイスブックのプロフィール写真で、昭恵夫人は麦わら帽子をかぶり、首相夫人らしからぬ服装で、農業者の格好で、彼女の田んぼの中で微笑んでいる。昭恵夫人は、アイスクリームを食べていたり、自動車の後部座席で古い型の折り畳み型携帯電話で話をしたり、微笑んでいたりしている安倍首相の写真を掲載している。世の中に出ている安倍首相の写真のほとんどにはそのような姿はない。

 

フェイスブックで昭恵夫人をフォローしている5万5000以上のフォロワーの中の1人であるリエ・コバヤシは、昭恵夫人が地震からの再建の専門家たちと写っている写真に対して次のように書いている。「昭恵さん、本当に素晴らしいです。あなたの生き方、望むままに生きて、自分の考えを曲げない、本当に憧れます」。

 

妻は夫に従うものという日本のステレオタイプとは異なり、安倍昭恵さんは夫である安倍首相の政策への反対を公にする。安倍首相は、原子力はエネルギーにとって必要だと主張しているが、昭恵夫人は反原発を主張している。昭恵夫人は津波対策の防潮堤計画に反対し、安倍首相が韓国政府と対立しているのに、韓国文化を愛している。首相は夫人を「家庭内野党」と呼んでいる。

 

今年初めに開催されたゲイ・プライド・パレードに昭恵夫人は参加した。日本ではLGBTに関する諸問題について公に議論がなされていない。また、昭恵夫人は不妊治療について公言し、安倍夫妻が養子縁組を検討したことがあると述べた。これもきわめて珍しい行動だ。

 

過去にはラジオDJをしたこともある。現在、彼女は東京の中心部で日本式のパブである居酒屋を経営している。そこでは、安倍首相の選挙区内にある田んぼで彼女自身が育てて収穫した無農薬の「昭恵米」を出している。一般の人々は、米から作られる日本酒好きの昭恵夫人について冗談を言っている。

 

昭恵夫人は首相公邸(安倍夫妻は首相就任後も公邸ではなく、自宅に住んでいる。公邸は会合とレセプションのために使われている)でインタヴューを受け、その中で次のように語っている。「私は枠を少しずつ壊しています。もしそれが女性他の多くが一歩踏み出すことの助けになれば、嬉しいですね」。

 

安倍晋三首相は「ウイメノミクス」を推進している。これは、日本において比較的斬新な考えで、女性たちがもっと働くことで日本経済を成長させようというものだ。安倍首相はウイメノミクス推進のために昭恵夫人を起用している。

 

今月初め、昭恵夫人は政府主催の「女性のための世界会議」(東京)に出席し、講演を行った。また、今週火曜日にはワシントンにあるシンクタンクCSISでウイメノミクスについて講演を行う予定だ。

 

昭恵夫人は次のように語っている。「私は、女性がいかに社会においてより活動的になるべきかについてお話をするつもりです。男性が作り上げた、垂直的な、争いが起きやすいピラミッド構造では社会はもう持たないと思います。これを変えることができるのは、女性の寛容さ、柔軟さ、母性だと考えています」。

 

昭恵夫人のこうした発言を見れば、彼女が急進的なフェミニストではないことが分かる。昭恵夫人は自分たちの部屋をいつもきれいに掃除するだけの時間を取れないと述べ、夫は自分でごみを出したり、洗濯をしたりしているので、「かわいそう」だと述べている。

 

安倍首相は女性が労働市場に参加する数を増加させようとしている。これが日本経済の抱える諸問題の解決策になると考えている。日本の人口は減少しつつあり、また高齢化も進んでいる。これは労働力の減少を意味する。しかし、女性たちの多くは、1日12時間労働が普通のこととされている文化に参加できない、もしくは参加したくないと考えている。

 

昭恵夫人は、女性の進出というメッセージの主導者だ。昭恵夫人は24歳最後の日に結婚した。日本では長い間、女性はクリスマスケーキと同じく、25歳を超えると結婚しにくくなると言われてきた。そして、昭恵夫人は結婚後に勤務していた広告会社を辞めた。

 

東京の上智大学で政治学を教える中野晃一は、「彼女はヒラリー・クリントンではない」と述べている。

 

しかし、メディアに対して昭恵夫人が好意を増しているのは、安倍晋三首相にもう一つの側面を加えるための策略のように見える。安倍晋三首相は有名な政治家一族の御曹司で、彼には思いやりが欠けていると見られてしまうことがある。

 

安倍首相は2012年末に権力の座に復帰した。第一次政権は2007年に短期間で終わった。この時は健康問題で辞任した。安倍首相の支持率は高く、これについて首相自身は経済の再活性化(これには異論はない)と「自衛隊」により行動の自由を与えるための憲法解釈の変更(これには大きな反対がある)に対して信任が与えられているからだと解釈している。

 

安倍首相の支持率は下がり気味だが、それでも50%前後を保っている。

 

昭恵夫人は裕福な家庭に生まれ育った。彼女は彼女自身の行動が戦略であることを否定し、彼女が安倍首相をより人間らしく見せているという意見には笑顔で次のように述べた。

 

昭恵夫人は「私の夫はとても面白くて、人間臭い人ですよ。マスコミには見せない面がたくさんあります」と語った。

 

政治分析を専門にしているアナリストは口を揃えて、昭恵夫人はざっくばらんだが、常識をわきまえている、そして安倍首相にとっては、彼のより柔らかい印象を人々に与え、人々をホッとさせることに役立っている。

 

中野教授は次のように語っている。「昭恵夫人の存在がなければ、安倍首相は上流階級出身で強固な右翼的な考えを持ち、頑固な保守派というだけの人物になってしまう」。

 

昭恵夫人は、夫の進める政策に対して影響力を与えることはないと考えているが、「私の役割は、夫がアドヴァイザーから聞くことがないであろう意見を言うことです。ただ、夫は既にたくさんの反対意見を聞いているんだよ、と私に言いますけどね」と語った。

 

2011年の福島原発事故以降、操業停止となっている原発の再稼働を安倍政権は準備している。これに対して、昭恵夫人は、ワシントン・ポスト紙の取材に対して、日本は原子力エネルギーなしでも「うまくやっていけるだろう」と述べた。

 

安倍内閣はアメリカを含むTPPを推進しているが、昭恵夫人は、障壁を開けると、遺伝子組み換え食品のような望まない製品が洪水のように入ってくると懸念を表明している。

 

日韓関係は良かったことはないが、最近は、歴史問題を巡る論争のために悪化し続けている。昭恵夫人は韓流ドラマを楽しみ、韓国料理を作ることを批判されている。しかし、昭恵夫人は、「夫は韓国の朴槿恵大統領と話をしたいと言っています」と語った。

 

昭恵夫人は「女性として、近隣の国々とは仲良くしたいと思っています。私は常にこれらの国々に愛情を持っています」と語った。

 

こうした言葉は、もう1人の安倍さんの口から出ることは決してないと確信している。

 

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