古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:安倍晋三

 古村治彦です。

 

 今回は少し遅くなりましたが、日米首脳会談の直前に発表された論稿をご紹介します。

 

ドナルド・トランプ大統領の選挙中の様々な発言、「在日米軍の撤退」「日本の核兵器保有を容認」、といったことで、日本側が、日米関係、日米同盟に関して疑心暗鬼になっている(いた)ことは知られていました。そこで、日本の年金資金と新幹線をアメリカに差し出すことで、トランプ政権の歓心を買おうという決定を行いました。

 

 そして、首脳会談を迎え、トランプの上機嫌な行動に、安倍晋三首相も安心したのか、しまりのないニヤケ顔に終始していました。それはそうでしょう。首脳会談は、国益がぶつかり合う場所であり、厳しい交渉の場所です。掴み合い寸前ということだってあるでしょう。日ソ国交回復交渉の過程で、漁業交渉のためにモスクワのクレムリン宮殿に乗り込んだ河野一郎農水相はブルーガーニンと怒鳴り合いの交渉をしましたが、交渉は成立し、日ソ交渉は進展しました。それなのに、最初から相手が望むものをそのまま持っていて差し出すというガキの使いに対して、「やぁやぁよく来た」と笑顔で対応するのは当然です。子供の頃に近所にお使いに行くと、お店のおかみさんから雨やらジュースやらをもらった経験は多くの皆さんは持っておられるでしょう。安倍首相は対等な交渉相手ではなく、子供のお使いとしか扱われませんでした。

 

 ここまでしたのですが、読売新聞によると、アメリカ政府の高官は日本側に対して、「次はこんなに甘くはないからな」と捨て台詞を吐いたということです。年内のトランプ訪日も決まりましたが、ここではどんなお土産をお持たせしてお帰り願わねばならないのか、恐ろしいほどです。

 

 日米同盟、日米安保条約は、米軍の日本駐留が主目的であって、日本防衛は二の次です。しかし、そうした本質を隠し、「アメリカ軍が日本を守って下さるのだからありがたい、だから様々な嫌なことは甘受しなくてはいけない(しかし、東京の自分たちには見えないようにして地方に押し付けて、金をくれてやればよい)」ということでここ数十年、やってきました。しかし、トランプ政権出現で、これまでの日米同盟が変質してしまうと慌てているのは、日本側です。ここ数十年、金さえ払い続けたら(自分のカネではなく税金)、楽しい良い思いをしていた、自分たちの生活の基盤が脅かされるという感覚に捉われているようです。

 

最近読んだ記事の中でなるほどと思わされたタイトルが、「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」とは、「アメリカの覇権を再び偉大に(Make American Hegemony Great Again)」ではない、というものでした。アメリカが世界の警察官であることを止めるとは、アメリカ軍を世界各地から撤退させるということです。このアメリカの覇権に寄りかかって生きてきた日本側のエスタブリッシュメント(支配者層)は、アメリカの覇権の衰退に慌てていると言えます。

 

 そして、アメリカの経済が持ち直して、アメリカが自身を回復したら、再び覇権主義的な動きを取り戻すのかもしれないということなのか、日本から積極的に投資をして、アメリカの景気を上向かせ、雇用を増大させようということで、年金資金と新幹線を差し出すことになりました。しかし、アメリカ側はそれは当然の貢物として受け取るだけで、日本に何も見返りを与えませんでした。日米安保に関して、これまでと同じ内容を繰り返すだけでした。

 

 アメリカの世界における立ち位置が変化する中で、日本もまた変化していかねばなりませんが、その発想が現在の日本側のエスタブリッシュメントにはないようです。そして、たとえ変化しなくては、という思いはあっても考えつくのは、新発想でもなんでもなくて、昔ながらの従属か、それではなければ自大です。

 

 私は今回の日米首脳会談を見ながら次の言葉を思い出していました。

 

 「狡兎死して走狗烹らる」(必要なときは重用されるが必要なくなればあっさり排除される)

 

 アメリカの立場が変われば、日本はどうなるか分かりません。ですから、弱い立場にある以上、変化を敏感に感じ取って、先回りで変化するくらいでなければ、生き残ることはできません。しかし、その危機を察知するための生存本能に基づいた機能が致命的に欠如してしまっているようです。


 私もまた日本国民として、煮られてしまうのでしょう。私は自民党の候補に投票したことは人生で一度としてありませんでしたが、それでも、日本国民としてこの運命を享受しなければと思っています。ちょっと大きく書き過ぎましたが。

 

(貼りつけはじめ)

 

日米同盟はトランプ大統領の下で生き残れるのか?(Can the U.S.-Japan Alliance Survive Trump?

 

ローラ・ローゼンバーガー筆

2017年2月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2017/02/09/can-the-u-s-japan-alliance-survive-trump/

 

懸念、不安、混乱、困惑。先週、これらは、私が東京で日本政府関係者と専門家たちと会って言われた言葉だ。彼らはトランプ政権の外交政策に対する姿勢とそれが日本にとってどのような影響を及ぼすかを理解しようと努めていた。

 

彼らはドナルド・トランプ大統領の選挙期間中、もしくは過去30日間の発言内容について懸念を持っている。トランプはアメリカと各国の同盟関係と日本を批判した。日本政府関係者と専門家たちは、トランプが同盟の価値を理解できるかどうか、疑問を持っている。

 

日本政府関係者と専門家たちは、トランプの取引を基礎とする姿勢に懸念を持ち、トランプが経済と貿易の問題を安全保障を結びつけるだろうという恐怖心を持っている。同盟関係を人質にし、アメリカが日本の安全保障に参加するかどうかをはっきりさせないのではないかと考えている。

 

日本政府関係者と専門家たちは、トランプの「アメリカ・ファースト!」が何を意味するのか、特にアジア・太平洋地域におけるアメリカの関与にとってどういう意味を持ち、影響を与えるのか、アメリカの指導力と存在がこれからも継続するのかどうか、について憂慮している。

 

日本政府関係者と専門家たちは、アメリカは、世界の安全保障、繁栄、安定を長年支えてきた国際秩序と海洋法に対する関与を止めてしまうのではないかと心配している。現在、安倍首相は既存の国際秩序と海洋法の維持のために大きな投資をしているが、これは中国の台頭に備えるためでもあるのだ。

 

日本は、アメリカの撤退後に残された空白を埋めるために中国が進出してくることを懸念している。中国の習近平国家主席は世界経済フォーラムで行った演説で、中国をグローバライゼーションが進んだ世界における指導者だと形容した。

 

アメリカの核の傘によって提供されている日本も覆われている抑止力や共通の敵に対する抑止力を含む、日米両国の協力と信頼についての明確な理解に基づいて日米同盟は存在している。しかし、トランプ政権がこうした理解を持っていないために予測不可能な動きをするのではないかと日本側は懸念を持っている。トランプのツイッターでの発言に困惑している。

 

彼らは、トランプ政権の内部で誰が力と影響力を持っているのか、誰の発言が重要なのかということを知りたがっている。

 

日本で話をした人々に対して、安心させる言葉や説明をするための言葉を私は持ち合わせなかった。彼らはトランプの型破りな外交姿勢に困惑していた。トランプは、政権の目的や戦略を明確にする前に「一つの中国」政策を放棄するという脅しをかけたし、オーストラリアのターンブル首相との間で不必要ないさかいを起こしたりした。

 

しかし、日本にとっての唯一の選択肢は、日米同盟を機能させようとすることだ。アメリカとの同盟は、日本が大きな脅威だと考えている、攻撃的な、台頭しつつある中国に対する防波堤となる。他方、日本にとっての最大の脅威は、アメリカが日本を見捨てて中国と交渉をしてしまうことだ。トランプの対中姿勢はいまだに明確になっていない。また、日本政府関係者の多くは、トランプが台湾を交渉材料にするという考えを気軽に実行するかもしれないと憂慮している。しかし、トランプが経済問題について強硬な姿勢を取り、タカ派的である点は、日本政府を安心させ、「中国の攻勢に対して、日米同盟に基づいてアメリカがそれを押しとどめる役割を果たしてくれるかもしれない」という希望を持たせている。

 

現在のところ、日本政府は疑いつつの楽観主義を採っている。彼らは、安倍晋三首相がトランプとの間で個人的な信頼関係を形成し、トランプが長年持ってきた日本に対するマイナスの考えを払拭することができるに違いないと考えている。そして、トランプに対して、事実と数字を使って日米同盟の重要性を説明すれば、トランプを納得させられるという希望を持っている。

 

ジェイムズ・マティス国防長官が2月の第一週の週末に日本を訪問した。日本政府は、アメリカが引き続き日米安全保障条約に基づいて日本の防衛に関与してくれることを確認し安堵した。アメリカの関与には、日本が施政権を持ち、中国が領有権を主張している(Japanese-administered, Chinese-claimed)尖閣諸島への日米安保条約の適用や地域に対するアメリカの関与を維持するといったことが含まれる。しかし、これは最低限のラインに過ぎない。マティスの訪問と発言は重要な出来事であったが、多くの日本人はマティスはトランプの考えを述べたものなのか、疑問に思っており、金曜日からの日米首脳会談がより重要さを増している。

 

日本政府は、その重要性が分かっているために、会談に備えて、トランプについて、個人的な面や世界観を含むあらゆる角度から徹底的に研究をしている。彼らは現実的な思考をしており、TPPが既にお流れになっていること、そして、その代わりにトランプの掲げる政策、特にインフラ整備を支えることにある二国間の経済協力に関する提案を行わねばならないことを理解している。日本側は、トランプが日本に更なる防衛面での負担増加を強く求めてくることに対して準備をしている。また、新しい武器システムに関する協力の提案も受け入れる準備をしている。一方で、トランプに対して、日本の貢献と日本の貢献によってアメリカが享受している利益に関する様々な事実を示して理解を促そうとしている。また、彼らは安倍首相がトランプとの個人的な関係を構築するための計画を練っている。その中には、ゴルフも含まれている。

 

しかし、私は彼らの試みに関してその効果を疑問視している。事実や数字でトランプ政権を説得できるか疑問だ。こうした事実を重要視しないかもしれないし、日米同盟について、お金の問題にとどまらず、同盟そのものについての疑問を持ち出すことも考えられる。そして、アメリカが各国との同盟関係から利益を得ているのかという根本的な疑問を持ち出すこともあり得る。そして、首脳同士の個人的な関係があったとしても、同盟諸国を安心させ、敵を抑止するために必要な予測性と明確性を欠いているトランプ政権の同盟に対する取扱いには危険が存在する。

 

こうした逆風の中、日本側が出す最初の一手は効果を発揮する可能性が高い。安倍首相はトランプと個人的な信頼関係を構築することができるかもしれない。ホワイトハウスは、対中政策の達成のためには、強力な日米同盟の存在が必要不可欠であること、日本が大きな貢献をしている日米同盟からアメリカが利益を得ていることに気付く可能性が高い。このように認識することができれば、それはアメリカにとって素晴らしい事となるだろう。

 

しかし、日本政府側では、特定にアメリカの政策や関与についてだけでなく、あらゆる面から疑問を持っている。日本側は、日米関係の性質そのものに疑念を持ち、現在のような日米関係が永続するのかどうかを不安に思っている。アメリカはこれまでの70年間と同じ形の指導者としてこれからも君臨するのだろうか?アメリカは安定のための勢力、海洋法の守護者、友人にとっては頼りになり、敵にとっては恐怖となる、頼りになり行動を予測できる同盟国であり続けるだろうか?2015年、安倍首相はアメリカ連邦議会上下両院合同会議で演説をし、その中で、日米同盟を「希望の同盟」と呼び、日米が「しっかりと手を携えて世界をよりよく、より暮らしやすくするために努力する」と述べた。安倍首相は、同盟について、「常に私たちが共有する法の支配や人権と自由の尊重という価値観を重視する」ものだとも述べた。こうした同盟感をアメリカも持っているのだろうか?

 

日米同盟の根幹となる考え方などは何とか存続するように思われるが、トランプの外交政策のために、日米同盟に関するより広範な戦略的考え方は動揺しているように見える。トランプはアメリカのアジアからの撤退、国際秩序の軽視、国際環境を整えているルールを基盤としたアプローチに対する低評価を掲げている。しかし、より狭い定義を基礎とする同盟関係は、トランプの外交政策が引き起こす混乱によって傷つけられるのだろうか? それとも、アメリカがアジア地域で直面している様々な挑戦についてそれらを明確にすることだけで十分なのだろうか?

 

アメリカは、日本がアジア地域においてより大きな役割を果たすように促すために、大きな投資を行ってきている。しかし、日本のアジアにおける役割とはあくまでアメリカとの関係を基礎としているものであり、それに依存している。アメリカは、北朝鮮の核兵器とミサイル開発プログラムに対峙するために、日本と韓国、それぞれとの強固な関係を必要としている。 韓国内の政治の激動に直面して米韓同盟もまた動揺している面もある。アメリカは、中国に国際ルールを守らせるために、地域的な枠組みや機構を必要としている。そして、南シナ海と東シナ海における中国の攻勢をチェックするためにより同盟関係やパートナー関係を強化しなければならない。そして、アメリカはアジア地域の大国との同盟関係との関係を強化し、中国の攻勢に対して武力で対抗できるようにする必要がある。アメリカが退場した場合、これらの国々の対中姿勢はどの様なものとなるだろうか?

 

日本政府関係者がこれらの大きな疑問について答えを持っているのかどうか明確ではないし、トランプとの関係を築くことに失敗した場合の次の計画を持っているかどうかも不明だ。アメリカが退場した後に出来る空白を埋め、アジア地域における指導的な役割を果たす準備をしているとも思えない。また、中国と韓国との関係をどのようするのかと伊考えもはっきりしていない。

 

金曜日のトランプ・安倍会談には多くの注目の目が注がれることになるだろうが、私たちは、トランプのこれまでにはない外交政策によって日米同盟は影響を受けることないということが見えた場合でも、今回の首脳会談を「成功」と結論付けることは控えるべきだろう。日米同盟にとっての本当の試練はまだ姿を見せていないのだから。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)













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 古村治彦です。  

 2017年2月11日、日米首脳会談がワシントンDCのホワイトハウスで行われました。その後、フロリダ州の高級リゾート(トランプ所有)で夕食会が行われ、その翌日にはゴルフを行うということです。  トランプや日本政府のツイッターやフェイスブック上では、安倍晋三首相と仲良さげに写っている写真が掲載されています。トランプが10数秒間安倍首相と握手をしている様子もテレビで流されました。  

 アメリカの雇用を生み出すために、「日米成長雇用プログラム」で、日本の年金を差し出すことは安倍首相の訪米前には既に決定していますが、資金の行先はどうも、アメリカ国内の高速鉄道(新幹線)の建設になりそうです。トランプ大統領は、中国や日本の高速鉄道に言及し、アメリカでも建設を進めたいと発言しました。日本の投資で新幹線を建設することは、どれほど買い叩かれるかは分かりません。  

 以下にご紹介する論文は、保守系のシンクタンクの研究員が書いたものです。内容は、簡単に言うと、「日本は、トランプ政権にとって役立つことを証明しなければならない」「アメリカの国益にかなう存在にならねばならない」というものです。  お金の面でも、そして、外交・軍事の面でも「最前線」に立つ国家となることが、日本にとっての賢い選択だということですが、日本の国益については全くと言ってよいほど、考慮されていません。この点はアメリカ人の研究者が考えることではなく、日本の政治家が考え、行動すべきですが、安倍首相のこびへつらった、浮ついたニヤケ顔の写真を見ていると、そんなことを求めるのは不可能なのだという気持ちにさせられます。

(貼りつけはじめ)

日本はいかにしてトランプと「一緒に」勝利できるか(How Japan Can ‘Win’ With Trump)

ダニエル・トゥワイニング筆
2017年2月2日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2017/02/02/how-japan-can-win-with-trump/

日本の安倍晋三首相は、11月に諸外国の首脳の中で最も早くトランプと会談を行った。2月3日、ジェイムズ・マティス国防長官は新国防長官初めての外国訪問として、日本を訪問する。こうした一連の動きは、日本政府がトランプ政権の外交・安全保障政策において重要な役割を果たすことになると示唆している。しかし、日本政府の高官たちは、トランプの興味をそそるために、日米同盟関係の協力について明確にするために賢くならねばならない。日本はこれができる稀有な立場にある。日本は、アメリカ国内、海外における日米共通のゴールをトランプが達成できるように貢献ができる方法は数多くある。

第一に、トランプ大統領は、日米同盟の価値に懐疑的になっているが、日本は、アメリカにタダ乗りしているのではなく、同盟国のお手本として、太平洋の平和を維持するために負担を分担していることを示さねばならない。日本は、沖縄に駐留している米軍に対する予算的な援助を行っている。その結果、米軍はカリフォルニア州に駐屯するよりも安い経費で沖縄に駐留できている。日本は現在まで国防予算を増加させ続けており、自国の防衛のためだけではなく、アメリカの防衛のために、洗練された軍事能力を持った部隊を展開させている。その一例として、北朝鮮のミサイルに対する防衛における協力が挙げられる。日本は、アメリカの同盟諸国、インドや東南アジア諸国、NATOとの軍事的な協力関係を拡大し続けている。これらの同盟諸国はアメリカ軍との協力を行えるように軍事能力を強化している。日本はアメリカ軍の地球規模での展開を支援している。それには中東やアフガニスタンにおける展開も含まれている。

第二に、より強力な同盟国としての日本は、トランプの最終的な目標である、アメリカを「再び偉大にする」ことに貢献できる。トランプは、力を増大させつつある新興大国からの挑戦を受けつつある中で、アメリカの力と影響力を増大させたいとしている。中国とロシアは同盟国をほとんど持っていないし、その力は限定的だ。そして、アメリカと、アメリカと競争している国々との間の違いは、アメリカは地球を覆う同盟諸国のネットワークを持っている点だ。ある国が偉大な力を持つということは、その国従う国にとっては重要であり、日本をはじめとする多くの国々は、アメリカとパートナーになりたいと望んでいる。アメリカとの同盟に対する日本の継続的な支援は、アジアにおけるトランプの目標達成をより容易にすることだろう。トランプのアジアにおける目標は、中国のアジア地域の支配を阻止することである。日本が同盟関係に貢献することで、アメリカは有利な立場に立ち、ライヴァル諸国に対して比較優位の立場に立てるのだ。

 第三に、日本の指導者たちは、新たにワシントンにやって来た支配者たちに対して、「日本は貿易における脅威などではなく、根本的に経済協力者である」ということを理解できるように手助けをしなければならない。日本はアメリカに対する投資を行う外国としてはトップグループに入っている。アメリカ国内で年間販売される日本車約400万台のうちの約75%は北米で生産されている。日本の自動車メーカーは、トランプが守ろうとしている給料の高い製造業の仕事に数多くのアメリカ人を雇用している。 現在の日本は1980年代の「日昇る」日々の時のような、アメリカにとっての輸出に関して脅威ではなくなっている。日本ではなく、中国によるアメリカ企業の買収はアメリカの国家安全保障にとってリスクとなる。日本企業と日本の資本は、トランプがアメリカの有権者に約束した、アメリカの復活にとって重要な存在となる。それは、アメリカと日本の経済活動はその大部分は、伝統的な貿易の流れよりも、国内における生産と投資から生まれているものであるからだ。

4番目に、トランプがアメリカの経済成長のために始めようとしている米国内のエネルギー革命を日本は支援できる。日本はエネルギーに関してほぼ輸入に依存している。今年の1月初旬に、アメリカから初めて輸出された液体化された天然ガスを積んだ船が日本に到着した。伝統的な石油と天然ガスの生産、更には新技術の利用によるシェール・ガスや「タイト」オイルの生産が進むことによって、北米におけるエネルギー生産能力は、アメリカ市場の吸収力を超えるものだ。国内のエネルギー生産を促進するためには、海外市場への輸出が重要となる。現在のところ、日本は中東のリスクを抱える原産国からのエネルギー供給に依存している。そのような日本にとって、アメリカからのエネルギー輸出は、安定供給と政治的なリスクがないという利点がある。

エネルギーにおける日米協力によって、日米の経済と安全保障を確実にするためにウィン・ウィン関係を構築することができる。 トランプはTPPからの離脱を表明した。これはアメリカにとって不幸なことであった。こうした中で、アメリカのアジアの経済に対する関与において、日本は重要な存在となる。これが第五の点である。TPPは、日米間の貿易・投資の自由化がその中核にあった。その中にはアメリカが得意とするサーヴィス、農業、ディジタルといった分野が含まれている。 トランプはアメリカの重工業製品の輸出を即することに注力している。実際、アメリカの経済の生産高の80%以上がサーヴィス産業と「ソフトウェア」が生み出したもので、中国やそのほかの発展途上国がより低いコストで生産している「ハードウェア」産業が占める割合は20%以下なのだ。アメリカはサーヴィス部門では年間4000億ドルの貿易黒字を計上している。トランプ政権は、TPPの中のアメリカの経済競争力を支援する部分を抜き出し、TPPによっても残されていた相違点を解消するために、日本と二国間交渉を行うだろう。

第六の点として、トランプ政権下で新たな状況を迎える米ロ関係において、日本は要素の一部となるだろう。安倍首相はロシアのウラジミール・プーティン大統領との間で、日露関係をリセットしようとしている。これによって、第二次世界大戦以来の北方領土をめぐる争いに決着をつけたいとしている。アメリカと同様、日本にとっては、ユーラシアを支配し、ユーラシア大陸の沿岸部に存在する自由主義諸国に脅威することになる中露同盟の形成を阻止することが重要な国益となる。トランプが純粋に、アジアにおける中国の台頭をけん制するための関係を築くためにロシアとの関係を改善したいと望むならば、日本はこの試みのための、重要なパートナーとなるだろう。

第七の点として、トランプは明らかに中国との間の競争的な関係に直面している。この状況下で、活性化された日米同盟は、アメリカに有利な立場をもたらす。そして、中国にとってはアメリカと直接対峙するにあたって、日本も考慮に入れねばならず、状況が複雑化する。安倍首相率いる日本は、アジアにおける覇権を主張する中国の野心に対峙している。この点で、日本は、アメリカと同じ目標を持つ、最前線に立つ国家ということになる。アメリカは、中国が影響圏を拡大することで、経済成長著しいアジア地域における経済と軍事的なアクセスを制限されてしまい、利益を失ってしまうことになる。 日本政府の高官たちは、トランプが日本に何の相談もなく中国と交渉をして、日本の国益を損なう合意をするのではないかという不安を感じている。その中には台湾の安全保障問題も含まれる。トランプ政権は、現在のアジアの海洋秩序を維持する、南シナ海の公海における支配権を求める中国の野心をけん制し、民主諸国家と中国に懸念を持つヴェトナムのような国々のためにアジア地域の軍事バランスを強化するといった目的のために、日本とより緊密に協力するという賢い選択をすることになるだろう。

古くからのアメリカの同盟諸国の多くは、自分たちに価値を置かない、大事にしてくれないと感じているアメリカの政権との交渉の先行きに絶望している。日本のような重要な同盟国にとっての賢い行動とは、トランプ政権の外交政策と経済政策における優先事項の解決にとって重要な存在となることだ。そのためにアメリカとの間の緊密な関係を維持し、アメリカにとっての価値を増やすことができるということを示すべきだ。

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 古村治彦です。

 

 前回のブログ記事で、私は、トランプ新政権のインフラ整備に関する記事をご紹介しました。トランプ新政権は、アメリカ国内の壊れつつあるインフラ整備に力を入れるとしています。そして、その財源として、減税による民間投資の活発化と、官民パートナーシップ(PPP)を実施すると主張しています。しかし、これらがうまくいけばいいのですが、うまく回らないと、財政赤字と整備事業の頓挫という結果を招きかねません。トランプのインフラ整備には、どうしても財源の不安が付きまといます。

 


 そうした中、昨日、「2017年2月10日の日米首脳会談において、日本側・安倍晋三首相から、アメリカのトランプ大統領に対して、“日米成長雇用イニシアチブ”を提案する」というニュース速報が流れました。

 

 以下の記事にあるように、このイニシアチブ(政策パッケージ)については、2017年1月31日の段階で既に概要は決まっていたようです。日本政府が、アメリカのインフラ整備に投資し、数十万人分の雇用を創出する、というもので、昨日の報道では、「日米を中心に」70万人分の雇用を創出するということでした。そして、その原資として、日本の年金資金を出すということでした。

 


(貼りつけはじめ)

 

Business | 2017 01 31 16:36 JST

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「日米イニシアチブ」検討、数十万人の米雇用増目指す=政府筋

http://jp.reuters.com/article/japan-us-initiative-idJPKBN15F0KT

 

[東京 31日 ロイター] - 日本政府が米政府に説明する目的で、米国内での雇用創出を見据えた政策パッケージの検討を進めている。複数の政府筋が明らかにした。トランプ米大統領が雇用を優先課題に掲げる中、米国のインフラ投資活性化などを通じ、日米連携で数十万人規模の雇用増につなげることを目指す。名称は「日米成長雇用イニシアチブ」とする方向で、2月10日の日米首脳会談に向けて最終調整する。

 

新たに打ち出す枠組みでは、米国内のインフラ投資を含め、複数の分野で日米が協力し、米国内での雇用拡大とともに生産性向上を促す。

 

具体的には、米国内で発行されるインフラ事業テコ入れのための債券(インフラ債)への投資や、米東海岸、カリフォルニア州、テキサス州で構想されている高速鉄道プロジェクトへの資金供給も視野に入れる。

 

安倍晋三首相は30日の参院予算委員会で、米国との通商協議に関し「ウィンウィンの関係を作り、米国の雇用を増やし、日本も良くなっていく」と述べ、日米間での経済対話に意欲を示した。

 

ただ、トランプ大統領は雇用創出を求める一方、自動車貿易を巡って日本批判を展開しており、今後のトランプ氏の動向次第で、同計画の扱いが流動的になる可能性もある。

 

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 トランプ新大統領は、「アメリカ・ファースト!」というスローガンを掲げて当選しました。この「アメリカ・ファースト!」という言葉については、このブログでもすでに書きましたが、私たち日本人に分かりやすく言うと、「国民の生活が第一」ということです。

 

 トランプ大統領の「アメリカ・ファースト!」に貢献するために、日本国民の大事な年金のお金を差し出す、と安倍首相は言っています。「“アメリカ”国民の生活が第一」で、日本国民が貯蓄してきた年金のお金を出す、ということになります。安倍首相はいったいどこの国の政治指導者なのでしょうか。アメリカ帝国のお代官で、日本国民のお金をアメリカに差し出させるのが安倍首相の仕事なのでしょうか?これまでの、そして現在の状況では、この疑問の答えは「はい、そうです」ということになります。

 

 戦後の日本の政治指導者たちは、敗戦国でありながらも、アメリカに対して、何とか取引材料を持って、交渉しようとしました。「社会党がうるさい」から憲法改正もできないし、再軍備も最低限しかできないと言いながら、社会党にはしっかり反対して欲しいと裏で言っていたり、アメリカが援助をしてくれないのなら、自助のために中国との関係を改善するなどと言ってみたり、というくらいの芸当はしました。

 

 安倍首相が70万人分の雇用を創出する、と提案するからには、こちらもアメリカ側から何かを引き出すということができるのでしょうか。これが出来なければ、ただ、孫正義氏がトランプと会った後に、「彼が5万人分の雇用を創出してくれる」とツイッターでお褒めの言葉にあずかったのと同じように、安倍首相がトランプのツイッターでほめてもらうためだけに、日本国民の年金資金を差し出すことになって終わりです。

 

 「日本がアメリカの属国なんてとんでもない、日米同盟は世界で最も重要で強固な同盟で、日米はイクオールパートナーだ」と安倍首相とその周辺は抗弁するでしょう。しかし、彼らの行動は彼らの言葉とは全く別のことをやっています。

 

 トランプ政権はドル安を望んでいます。これは、円高になるということになりますが、こうなると、日本が保有している米国債の円建てでの価値が下がることになります。ですから、それならば、日本が保有している米国債の一部を売り払ってその資金をアメリカに投資しますというくらいのことは言えばよいのに、と思います。年金資金を差し出せられるうえに、円高で資産の価値が減らされるなんて二重でマイナスのことをされても、ツイッター上でほめてほしいばかりに、お土産を持ってワシントンに「朝貢」に行くなんて、なんてバカで、マゾヒスティックなことでしょうか。


 日本といえば、「サムライ・ニッポン」ですが、今や「シハライ・ニッポン」になり果てました。

 

(終わり)













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 古村治彦です。

 

 今回は、トランプ新政権の目玉政策であるインフラ整備についての古い記事をご紹介したいと思います。

 


 トランプは大統領選挙期間中に、アメリカの壊れつつあるインフラ整備を行うと公約に掲げていました。アメリカに行かれた方なら経験があると思いますが、高速道路が穴だらけで、自動車で走っていて振動が酷かったり、停電が起きたり、ということは良く起きます。アメリカ国民もこの状況には辟易しています。

 


 しかし、インフラ整備にはお金が必要となります。政府が行う公共事業ということになれば、財源は税金か公債ということになります。そうなれば、減税をするというトランプの公約と矛盾することになります。

 

 トランプは、インフラ整備の財源について、減税をして、その効果で民間投資が増えて、それがインフラ投資にまで波及すると主張しています。また、日本で言うところの、民間活力の活用も主張しています。

 

 そうした中で、今日、次のような記事が出ました。

 

(貼りつけはじめ)

 

米インフラ開発に年金資金 GPIFの活用案浮上

 

東京新聞 201722 1200

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017020201000817.html

 

 政府が10日に米ワシントンで開く日米首脳会談で提案する経済協力で、米国のインフラ開発に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の投資資金を活用する方向で調整していることが2日、分かった。経済協力では人工知能(AI)やロボットなどの研究開発協力などの分野も含めて、米国の数十万人の雇用創出につなげる事業を提案する方針だ。

 

 トランプ米大統領の関心が高い雇用問題への協力姿勢を示し、政権との関係強化を図る。環太平洋連携協定(TPP)の代替案として想定される2国間協定で、農産品や自動車などの分野での厳しい要求をかわす狙いもあるとみられる。

(共同)

 

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 2月10日に行う日米首脳会談の「お土産」として、日本の年金資金をアメリカのインフラに投資する、という提案を行うというものです。利息などの条件次第でしょうが、アメリカとしては大歓迎でしょう。もっと言うと、「日本はアメリカにとっての最悪の敵であったのに、戦後はいろいろと助けてやって、世界第2位の経済大国にしてやった、育ててやったんだから、当然だ」ということになるでしょう。

 

 私たちの大事な年金のお金を日本国内に投資して、きちんと利益を出して回収するならばまだしも、外国のために出して、利益が出ないならまだしも、損をしたり、最悪返ってこないということになったら、目も当てられません。

 

 「日本はアメリカの属国である」という主張に対して、「そんなことはない、イクオールパートナーだ」と言いそうなのが現在の安倍政権の人々ですが、やっていることは、自ら進んでお金を出すという属国そのものの態度です。

 

 このインフラ投資を取引材料にできるような「立派な」日本の国益を追求できる政治家を私たちは選び出さねばなりません。

 

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トランプの社会資本計画について知っておくべき5つのこと(Five things to know about Trump's infrastructure plan

 

メラニー・ザノーナ筆

2016年11月20日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/transportation/306847-five-things-to-know-about-trumps-infrastructure-plan

 

ドナルド・トランプ次期大統領の巨大社会資本計画についての雑音が大きくなっている。

 

民主、共和両党の連邦議員たちの中には、連邦政府が交通システム整備予算を計上していないことを憤っている人々がいる。彼らはトランプと交通システム整備問題で協力できるという期待を持っている。この問題は来年、活発に動き出す、党派の違いを超えた問題となる可能性がある。

 

トランプは共和党の大統領選挙候補指名受諾演説をし、その中でアメリカの弱体化しつつある社会資本の再建を公約に掲げた。その後、建設会社の株価は高騰した、と『ウォールストリート・ジャーナル』紙は報じた。

 

トランプは、「私たちはインナーシティーの状況を改善し、高速道路、橋梁、トンネル、空港、学校、病院を再建しなければならない。社会資本を再建する、これは第一の課題だ。社会資本再建のために数百万の人々に働いてもらうつもりだ」と語った。

 

トランプの社会資本計画の詳細についてはいまだに明らかになっていないが、不動産王トランプは選挙期間中に、アメリカの機能不全を起こしている交通システムを如何に改善するかについていくつかの示唆を与えている。

 

これからトランプの社会資本に関するアイディアについて5つのポイントを挙げていく。

 

①トランプの計画は民間の資金に多くを依存している

 

先月、トランプ選対のウェブサイトに10ページの白書が掲載された。その中には、トランプの社会資本計画の基礎となるのは民間資金だと書かれている。

 

社会資本に関する提案の内容には、交通システムプロジェクトを支援したい民間の投資家たちに1370億ドル(約15兆円)の税額控除を行うというものがある。これによって、これからの10年間で1兆ドル(約110兆円)の社会資本投資が行われるようになるという予想が立てられている。

 

歴史的に見て、アメリカの社会資本は各州政府、各地方自治体が自分たちの税収、連邦政府の高速道路整備補助金、債券発行を組み合わせて資金をねん出してきた。

 

しかし、トランプの提案によると、民間部門の代りに政府が計画を行うと、社会資本の建設コストはより高くなり、建設期間もより長くなるということだ。

 

トランプ社会資本計画の概要で次のように述べられている。「トランプ社会資本計画は、民間部門に焦点を当て、財政赤字を出さずに、国家規模のインフラ整備の資金の大部分を調達できる」。更に次のように述べられている。「この革新的な資金確保手段によって、官民パートナーシップ、『ビルド・アメリカ』債権、その他の資金ねん出方法を補助することができる」。

 

②民間資金ではすべてのプロジェクトの資金を賄えない

 

トランプの民間資金活用計画を批判する人々は、民間の投資家たちは、投資コストを回収できる入場料や使用料を徴収できるプロジェクトのみに関心を持つに違いないと主張している。

 

従って、水道管の修繕、港湾の浚渫(たまった土砂の除去)、既存の道路や橋梁の改修のような重要な社会資本ではあるが入場料や使用料を徴収できないプロジェクトは、トランプの計画の下では、無視されてしまう可能性があると主張する。

 

連邦下院交通・社会資本委員会の幹部委員ピーター・デファジオ連邦下院議員(オレゴン州選出、民主党)は、「官民パートナーシップ(PPP)は、収入をあげられるプロジェクトだけに機能するものだ。全米高速道路網の大部分、橋梁の改修問題、輸送システムは収入を見込めない。そうなればPPPも機能しない」と発言している。

 

PPPによって、民間企業は輸送インフラ計画に入札し、落札後に建設を行い、一定期間、インフラの保有と意地を行えるようにする。その間に建設などにかかったコストを、利用料の徴取や州政府からの支払いで回収することができる。

 

連邦議会予算事務局は、民間からの出資を伴うPPPによって完成まで漕ぎ着けた高速道路計画の数は14に過ぎないと発表している。

 

輸送インフラ西部を主張する人々は、民間資金の投入は国家規模のインフラ整備にとってプラスになると主張しているが、資金調達に関しては、民間資金の投入以外にも様々な方法があるとも述べている。

 

経営コンサルタント会社CG/LAインフラストラクチャ社の会長で取締役会議長ノーマン・アンダーソンは、「PPPをうまく運営・管理し、成功させることができれば、インフラ投資全体の増額につなげることができるようになる」と述べている。

 

③トランプは官僚主義的、形式主義の規制を撤廃したがっている(Trump wants to cut regulatory ‘red-tape’

 

トランプは社会資本計画の中で、建設プロジェクトの進行を遅らせている「山のような規制」に挑戦したいと述べている。

 

トランプ選対のウェブサイトには次のように書かれていた。「全米の社会資本プロジェクトは、終わりのない調査、後から後から出てくる規制、官僚制度、裁判のために年単位で計画が遅れていく。いつまでたっても完成しないのでは思ってしまう程だ。そのために納税者にかかる負担は増大し、経済競争力を持つために必要なレヴェルのインフラを利用できないという状況が起きている」。

 

様々な規制を撤廃することは、トランプのインフラ計画に対する連邦議会の保守派議員からの支持を集めるうえで重要になってくる。2009年にオバマ大統領が発表した経済刺激計画の中の「ショヴェルを手に持って」という輸送インフラ整備計画に反対した人々の反対理由は、そんなにうまくいくはずがない、スタートから失敗するというものだった。

 

トランプの提案には、トランプがお役所仕事を如何にして打破するのかについて詳細がかかれていない。

 

トランプは、ウェブサイト上で、インフラへの予算と改革を結び付けたいとしている。彼は、「許認可と予算を合理化し、インフラ整備システムを改良し、無用な仕事に対する予算をカットする」と書いている。

 

④トランプは計画が資金面で引き合うと考えている(Trump thinks the plan would pay for itself

 

トランプは、彼の社会資本計画の提案は、減税分と税収増加分が同額になり(revenue neutral)、それによって、計画は資金的に引き合うと考えている。

 

トランプの青写真は、民間投資家に対して減税を行っても、建設労働者たちに対して新たに発生する賃金と建設業者の上げる利益にかける税金の増加によって相殺される、としている。

 

「トランプ計画では、減税と税収との間で時間的な相違が大きくならないことが、政府予算にとって極めて重要になる」とトランプが示した計画の要約には書かれている。

 

しかし、コンペティティヴ・エンタープライズ・インスティテュートのある研究員は、計画の財政面については「疑わしい」と主張している。

 

トランプの最終的な計画が増税や公債発行を必要とする場合、この計画が連邦議会で承認されるかどうか難しい状況になるであろう。連邦議会は財政面では保守主義立場を堅持しているので、連邦議会は財政赤字を増やすような法律を通過させることはできないとトランプに対して既に警告を発している。

 

連邦下院フリーダム・コーカスに所属するラウル・ラブラドール連邦下院議員(アイダホ州選出、共和党)は、水曜日に開かれたヘリテージ財団主催のイヴェントに出席し、「トランプが財源を見つけるなど社会資本計画の資金のめどをつけなければ、私たち全員ではなくても、過半数の議員たちは反対票を投じることになるだろう」と発言した。

 

⑤トランプはアイディアを広く求めている、民主党側からも(Trump’s open to ideas — including from Democrats

 

トランプは社会資本予算に対する基本的な考えを作り上げているが、彼の計画は完成までには至っていない。

 

今週になって、トランプの政権移行ティームは、全米社会資本銀行設立の可否について調査検討すると発表した。全米社会資本銀行設立は民主党が長年主張してきていたが、連邦議会を共和党がコントロールしている状況では実現は不可能であった。

 

この発表によって、政権移行ティームは斬新な政策、たとえそれが民主党のものであっても、それを検討する姿勢を持っていることを鮮明に示した。

 

しかし、連邦議会では、共和党が、各企業が海外で保有している資金を本国に持ってきた際にそれに税金をかける、「本国送還」と呼ばれるプロセスとその税収を社会資本予算に使用するということを主張している。

 

連邦下院輸送予算小委員会委員長のマリオ・ディアズ=バラート連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)は次のように語った。「トランプ政権と協力できることを楽しみにしている。私は常に、アイディアが共和党側から出ようが、民主党側から出ようが気にせずに検討するという姿勢を貫いてきた。大事なことは、“それが良い考えであるかどうか”ということだ」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22
 
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 古村治彦です。

 

 先日、安倍晋三首相がバラク・オバマ米大統領と共にハワイのパールハーバーを訪問しました。「謝罪」ではなく、「慰霊」のための訪問ということでした。そして、2人は演説を行いました。

 

安倍首相の演説では、和解、友情といった言葉が並べ立てられていましたが、全く心に響きませんでした。日本の演説の中に、わざわざ英語の「power of reconciliation」「the Brave respect the brave」を入れたのは、この点をアメリカ人にも分かって欲しかったからだと思われますが、「和解の力」「勇者は勇者に敬意を表する」というのは、いかにもアメリカ人に媚びた言葉であると思います。

 

 安倍首相はここから始まった戦いとも述べましたが、1941年12月8日は、15年間も続いた、アジア・太平洋戦争の終幕の最後の約4年間ということになります。それ以前の11年間に日本は既に多くの犠牲をだし、かつ多くの犠牲を強いていました。この11年間の戦いに関する和解は進んでいるかと言えばそれは残念ながら続いていません。ハワイのパールハーバーという軍港を宣戦布告なしに攻撃したことは卑怯なことですが、それ以上に、謀略や恫喝を駆使して満州から華北地域を侵略し、占領したということははるかに多くの犠牲と傷を中国に強いました。日本軍は立派だった、日本が支配した方が良かったなどと言うのは欺瞞であって、それは戦後日本に進駐してきたアメリカ軍が立派だった、アメリカの支配が良かったという心性の裏返しに他なりません。

 

 安倍首相が仕えた小泉純一郎元首相でさえ(と敢えて書きますが)、謝罪はしませんでしたが、盧溝橋事件の現場を訪れました。安倍首相が戦後を終わらせると大見得を切るのなら、ある意味では「楽な道」であるアメリカとの和解演出などではなく、北方領土問題やアジア諸国との和解を行うべきですが、そちらはうまくいっていないというのが現状です。

 

安倍首相のパールハーバー訪問が終了するのを待っていたかのように、今村雅弘復興相が靖国神社を参拝しました。そして、「時期が重なった安倍晋三首相の米ハワイ・真珠湾での慰霊に関し『(み霊に)報告しておいた』と語った」ということです。また、ハワイから帰国したばかりの稲田朋美防衛相が靖国神社を参拝しました。

 

 国内リヴィジョニストにしてみれば、してやったりでしょうし、既に退任まで1カ月を切っているオバマ政権は怖くないのですから、こういうことができたのでしょう。安倍首相をはじめとする人々は、「次のトランプ大統領は日本の防衛負担の増加や核武装の可能性まで言及した。これを利用して日本の防衛予算の増大と核武装の準備も行えばよい」と単純な頭で考えているようです。米中露韓北朝鮮台湾に囲まれた中で、日本が貧乏くじを引かされないために、最悪の事態に追い込まれないために、アメリカの政権交代を利用して何ができるかという思考が、日本の軍事力強化ではあまりにも単純すぎる話です。

 

2017年、超大国アメリカの指導者がドナルド・トランプに代わります。トランプは、オバマ政権とは違う新機軸を打ち出そうとしています。外交面で言えば、オバマ民主党政権を結局のところ引きずっていってしまった、人道的介入主義派の政策とは違う、リアリズム(現実主義)的、アイソレーショニズム(アメリカ国内問題解決優先主義)的政策を実施することになるでしょう。世界各国に介入・干渉することを手控えるようになるでしょう。そして、アメリカとは体制が違う国々、具体的には中国とロシアとの関係を改善していくことになります。もちろん、何でも仲良しという関係にはなりませんし、貿易問題や資源問題などではバチバチやり合うことになるでしょう。そのためには大変複雑で難しい駆け引きが行われるでしょう。その一環として、トランプは台湾に肩入れする姿勢を見せ、中国を慌てさせながら、中国のアメリカにおける代言者とも言うべき、ヘンリー・キッシンジャーを重用し、汗をかいてもらうことをしています。「相手とは最終的な手切れにならないようにし、基本的に仲良くしながら、しかし、安心させない」ということをやっているように思います。

 

そうした中で、トランプに最初に会談相手に「選ばれ(御しやすい、ちょっと強く言えばアメリカの軍需産業から戦闘機やらを買うだろうと値踏みされて)」、オバマ大統領には広島に行ってやったのだからお前はハワイに来いと言われればホイホイと行って、和解だ、友情だの薄っぺらい三文芝居をやりながら、「これでお許しが出たし、国内向けのこともある」と閣僚が2人早速靖国神社に訪問する、中国との関係は改善の兆しも見えない。ロシアのプーティン大統領を日本に招きながら懸案の北方領土問題で、大見得を切った割には何も進展させることができなった。アメリカ、中国、ロシア、台湾、韓国といった国々に囲まれて、丁々発止の複雑な外交交渉や政策を実施して、国益を守らねばならないというのに、この程度の指導者をいただきながら、抱えながら、私たちは2017年を迎えなければならない、というのは何とも悲しいことです。

 

(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22


 

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