ダニエル・シュルマン
講談社
2015-07-29



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 以前、このブログの記事(2015年3月28日付「さらっと恐ろしいことを伝えているNHKニュースの「預金封鎖」」→http://suinikki.blog.jp/archives/23897219.html)でもお伝えした、「預金封鎖(restricted accounts)」のことを、日刊ゲンダイが伝えています。日刊ゲンダイはタブロイド紙で、「余り真面目に読むものではない、娯楽として読むべきだ」という意見もありますが、硬派な記事を掲載しており、真面目に読む価値がある記事があることは事実です。

 

 

 さて、今回の日刊ゲンダイの記事では「預金封鎖」を取り上げています。1946年に日本政府によって、預金の引き出し制限が行われたことを指して預金封鎖と言います。インフレの進行と合わせて、国民の持っていた預金の価値は全くなくなりました。日刊ゲンダイの記事によると、価値は15分の1になったということですから、生活の困窮は相当のものであったと思います。副島隆彦先生は、2003年に『預金封鎖―「統制経済」へ向かう日本』(祥伝社)を書かれています。先生の一連の著作を読んで、資産防衛のために様々な対策を行ってきた方のお話はよく耳にします。


 
NHKの「預金封鎖」に関する報道については、ブログの記事で書きましたので、ここでは繰り返しませんが、私は一種の「革命」で、旧来の(戦前からの)金持ち層で無能な人々を一掃し、一気に平等化を進める、しかし、ずる賢く立ち回れる人間たちはその存在を許すということを官僚たちが断行したのだともいます。

 

 今回の日刊ゲンダイの記事では、NHKの報道を通じて、安倍政権が「いくら預金していても預金封鎖に遭えば大変ですよ、土地と株式は大丈夫ですからそちらに投資しなさい」「公的債務の比率がギリシア以上に大変なことになっているので、国民も福祉だなんだと贅沢を言って今の借金を作ったのだからその責任をかぶって預金を差し出しなさい」「消費税の税率を上げて借金を返さなくちゃならないんです」と訴えていると書いています。

 

 安倍政権はお金の行先を「誘導」しようとしています。現代日本に生きる人の多くは、「将来が不安だから」「先立つものはカネ」と考えて、当然日ごろから節約してでも預貯金を増やそうとするでしょう。突然の病気や人生の大転換において取り敢えずお金があれば安心、と考えるのは自然です。しかし、預金封鎖となれば、その安心のためのお金を、自分が自分や家族のためにためたお金を自由に使えなくなります。だからと言って、多額のお金を家などにおいておくのは不安です。そうなればお金の行先は「今株が上がっていると言うし、この先も価値が落ちないような優良株に投資するか」「マンションが上がっているみたいだから思い切って買ってみるか」となるでしょう。もちろん、これはお金がある人の話ですが。

 


 こうして株高、不動産高が演出され、「アベノミクスはうまくいっている」ということになります。安倍首相は国民の年金のお金まで
GPIFで株式市場に突っ込むことが出来る訳ですから、我が世の春を謳歌していることになります。そして、「今はまだ景気回復の効果を実感できていない皆さん、そのうちに必ず効果が出て、皆さんに実感していただけます」と言い続けることになります。

 


 私は「うまい話など世の中には存在しない」そして、「政府と権力の座にある政治家たちは自分たちに都合の良いウソをつく」と考えています。そして、今回の政府のお金の「誘導」に乗って株や不動産を買った人たちの多くは最終的には損をさせられるのだろうと思います。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「ギリシャは対岸の火事じゃない 市場が囁く日本の“預金封鎖”」

 

日刊ゲンダイ 2015624

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161063/1

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161063/2

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161063/3

 

 デフォルト危機にあるギリシャで、高級自動車がバカ売れしている。

 

「預金封鎖に備えて富裕層がこぞって購入しているといいます。万が一、現金を引き出せなくなり、預金が凍結されても、自動車なら売却し現金化することも可能です。資産防衛のため高級車を買っているのでしょう」(市場関係者)

 

 ギリシャのチプラス首相は、新たな財政改革案をEU側に提示し、瀬戸際の交渉を行っているが、金融市場はデフォルトの可能性を捨てていない。デフォルトが現実となれば、ギリシャ金融市場は大混乱し、預金封鎖もチラつく。13年に金融危機が表面化したキプロスでは、実際に預金引き出しが制限され、国民はパニックに陥った。

 

「日本も戦後間もない1946年に預金封鎖があった。時代が違うとはいえ、日本の現状を考えると絶対にないとは言い切れません。国の借金はGDP比で200%を超え、先進国で最悪です。ギリシャの預金封鎖懸念は決して対岸の火事ではないのです」(株式評論家の倉多慎之助氏)

 

 実はここ数カ月、マーケットで日本の預金封鎖に関する噂が飛び交っている。

 

「2月16日にNHKのニュース番組で預金封鎖が特集されました。69年前のこの日に、預金封鎖が決まったという内容でしたが、なぜ69年前という中途半端なタイミングで放映したのか。突飛な印象が強いだけに、市場は真の狙いを勘繰っています」(金融関係者)

 

 戦後の預金封鎖は約2年に及んだ。この間のインフレは凄まじく、預金(現金)の価値は15分の1以下に目減りしている。

 

 一方、株式や土地は“差し押さえ”の対象外だったため、資産価値は物価上昇とともに上がっていった。

 

「アベノミクスが提唱する『貯蓄から投資へ』を加速させる目的があったのではないか。預金ではなく、株を買ったほうが賢明と促したのかもしれません」(証券アナリスト)

 

もうひとつ、有力な説がある。

 

「NHKの籾井会長は安倍首相の“お友達”です。官邸の意向をくんだ放送だったとすれば、17年4月の消費税10%への引き上げが絡んでいる。日本の財政はギリシャと同じく破綻する危険性がある。これを回避するには増税しかない。消費税10%を実現できないと、預金封鎖もホントにあり得るという安倍政権の恫喝です」(市場関係者)

 

 ギリシャの窮状を利用した悪質なプロパガンダだとしたら、国民をナメている。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)





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