古村治彦です。
イスラム国による湯川遥菜さん、後藤健二さんの誘拐事件がお二方の殺害という最悪の結末を迎えました。前回の本ブログの記事でもお知らせした通り、その後、我が国の政府は、お二人の解放に向けて「何もしていなかった」ということが明らかにされつつあります。そして、本日、2月3日には『女性自身』誌に以下のような記事が出ました。
後藤さんの奥様とシリア人のガイドに対して外務省が「誘拐されたことは決して口外しないように。後藤さんの安全のために必要です」と口止めを行ったということです。
日本国内でもごくたまに起きる誘拐事件の場合も、捜査はまず秘密で行われ、それから公開捜査に切り替えられます。また、人質解放交渉においては秘密を保つ必要がある場合もあることは容易に理解できます。
しかし、日本政府は人質解放に向けて、イスラム国と交渉することもなく、身代金さえも用意していませんでした。それなのに、後藤さんの奥様とシリア人ガイドには「後藤さんの安全のために事件のことは口外しないように」と口止めをした訳です。
この口止めの時期も問題で、昨年12月2日で総選挙の告示日でした。後藤さんの誘拐事件のことが明るみに出れば、それより前に発生していた湯川さんの誘拐事件も引き合いに出されて、「政府は何をやっているんだ」という声が上がり、自民党は苦戦を強いられた可能性もあります。
政治家にとって選挙は最重要です。選挙に勝たねば何もできません。しかし、有権者の側から見れば、選挙においてはあらゆる判断材料を提示してもらわねば、正しい判断を下すことはできません。昨年12月の時点で事件を公表すべきだったかどうかで言えば、私は交渉継続中であっただろうし、積極的に事件のことを公表する必要はなかったと思います。ただ、後藤さんの奥様とシリア人ガイドに対して口止めをするという行為はやり過ぎだと思います。
安倍政権は発足以来、こうした過度な隠蔽体質が見え隠れします。こうした隠蔽体質を、事件の事後検証においては是非出さないようにお願いしたいところです。事件についての正しい検証こそが次の悲劇を防ぐために必要なことだと私は思います。また、事件のことをしっかりと検証し、事実を公表することで、次の選挙における判断材料にさせてもらいたいと思います。
安倍氏とその周辺の言動を見ていると、陰鬱な隠蔽体質といわゆる「逆切れ」を頻発させる未熟さがあります。これらが日本の民主政治体制と日本を殺してしまうのではないかとハラハラさせられてしまいます。安倍晋三政権の退陣が一日も早からんことを願ってやみません。
(雑誌記事転載貼り付けはじめ)
●「後藤健二さん 外務省が妻にしていた「総選挙12日前の口止め工作」」
女性自身 2月3日(火)0時0分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150203-00010001-jisin-ent
テロ組織『イスラム国』に人質となっていたジャーナリスト・後藤健二さん(47)の殺害が公表された。 イスラム国を訪れたこともあるジャーナリスト・常岡浩介氏が言う。
「遺体の返還はこれまで例がありません。イスラム国は、遺体に“身代金”を払うよう要求してきたこともあります」
殺害を受け、後藤さんの妻は、夫を「誇りに思う」との声明を発表した。妻は、幼児2人を抱えながら独立行政法人で働く、東大大学院修了のキャリア女性だ。12月2日に夫の拘束をイスラム国からのメールで知って以来、彼女は苦難の日々を過ごしてきた。だが、常岡さんは重大な情報を本誌に明かす。
「この12月2日という日は、衆議院総選挙の告示日でした。12月14日が投票日ですから、その12日前という状況です。じつはこのとき、外務省が後藤さんの奥さんとシリア人の現地ガイドに、厳重に“口止め”をしていたのです」
選挙直前に“日本人人質事件”が発覚すれば、選挙に影響が――。万一にも事件が表沙汰にならないよう、外務省が口止めをしていたというのだ。
「奥さんは子供を守るため、もともとメディアにさらされたくないとは思っておられましたが、外務省からの“口止め工作”について、現地ガイドがはっきりと証言しています。外務省は『後藤さんを守るためだ』と言ってきたそうですが、選挙前にこの話が出たら、安倍首相にプラスにはなりません。譲歩して助けても、助けられなくても批判されますから。でも、選挙前に拘束の事実が明らかになっていたら、日本政府はもっとまじめに助けていたかもしれませんね」
政府による後藤さんの救出活動に問題はなかったのか。これからその検証が始まるーー
(雑誌記事転載貼り付け終わり)
(終わり)