古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

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 古村治彦です。

 

 2019年4月26日に副島隆彦先生の最新刊『絶望の金融市場──株よりも債券崩れが怖ろしい』が発売になります。

 

 以下にまえがき、目次、あとがきを掲載します。参考にしていただき、是非手に取ってお読みください。

 

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 絶望の金融市場 株よりも債券崩れが怖ろしい


(貼り付けはじめ)

 

まえがき

 

私は、『「トランプ暴落」前夜』を前年10月に書いて予言を当てた。そして今年である。

 

トランプが「株高[かぶだか](だけ)は死守せよ」に動けば、その周まわりに危機(危険)がはみ出す。

 

株ばっかりを、政治の力で無理やり吊つり上げると、ジャンク債ボンド(ボロくず債[さい])市場が崩れる。ジャンク債ボンドとは、ハイイールド債(さい)であり、各種の高危険[こうきけん](ハイリスク・ハイリターン)債である。日本も含めて投資家たちは、株の儲(もう)けに飽(あ)き足らずに、これらの高ハイリスク危険の仕コンポジット組み債(さい)に手を出している。これらは、株式(ストック)のお化ばけ、である。ETF[イーティーエフ](上場投資信託)やら「インデックス型投信」やら、「BB(ダブルビー) 格(かく)以下の低(てい)信用債券」と言ったりもする。

 

今の世界の金融・経済は、アメリカのトランプ大統領の決断で動いている。彼がズルズルと引きずり回している。

 

年明けにトランプが、FRB[エフアールビー](アメリカの中央銀行)のパウエル議長を、脅し上げて政策金利(短期金利)の利上げをやめさせた(1月30日)。この日からすべてがガラリと変わった。

 

2月27日には、パウエル議長は、議会証言で「(2019年の)年内で、FRB資産の縮小計画を終了する」と言った。すなわち、「FRBが抱える米国債の売却方針を撤回して、このまま抱(かか)え続ける」と発表した。パウエルは今にも泣き出しそうな顔だった。いじめっ子のジャイアンのトランプに、教室でカツアゲを喰くらったノビ太くんのような感じだ。

 

これは米トランプ大統領による〝トランプ独裁(どくさい)〟だ。

 

世界の金融・経済の流れがガラリと大きく変わった。今年の1月からだ。トランプがもの凄すごい剣幕でジェローム・パウエルを脅迫して「コラー、利上げするな。量的引き締め(クオンティテイティブ・タイトニング、quantitative tightening)もするな。緩和[かんわ](イージング・マネー)を続けろ」「私に逆らうと首を切るゾ」と本当に圧力をかけた。前代未聞(ぜんだいみもん)の激しさであった。

 

このために、FRBのそれまでの、①利上げと②通貨量(マネーサプライ)引ひき締しめへの転換の大方針が、ひっくり返った。2015年初めからのFRBの大だい方針が大だい転換した。

 

FRB(連邦準備制度理事会)は、政府から独立した組織である、ということになっている。民間銀行です、というフリまでする。政府の銀行ではありません、と。ここに秘密がある。ここへ豪腕(ごうわん)大統領から、「お前たちが利上げを公表する度(たび)に、株(かぶ)が暴落するじゃないか。それで景気が悪くなる。利上げをやめろー、これ以上景気が悪くなるのを喰くい止めるんだ」と怒鳴られるものだから、FRBの理事や各[かく](全米に12行ある)連銀(れんぎん)の総裁たちが、この剣幕(けんまく)にすっかり脅おびえてしまって、ホワイトハウスに屈服してしまった。

 

昨年12月20日に、パウエルは「来年は予定通り2回、利上げをする」と威厳をもって発表した。

 

そうしたら、12月24日に、クリスマス・イブ暴落が起きた。NY株は3000ドル落ちた。顔色(がんしょく)を無くしたパウエルは、1月30日に、FOMC[エフオーエムシー](米連邦公開市場委員会)のあとの記者会見で、ボッキリと背骨を折られて、利上げと量的引き締め政策を放棄した。

 

アメリカは景気がいい。そしてその頂点(ピーク)にある今のうちに、どんどん金利を上げて、景気を引き締めて過剰資金(加熱した投機、バクチの資金。すなわち過剰流動性[かじょうりゅうどうせい])を、金融市場から奪い取らなければいけないのである。FRBにしてみれば、何も間違った金融政策の舵取りはしていない。おかしいのはトランプの方だ。確かにそうなのだ。トランプの方がメチャクチャだ。だが、このトランプの商売人(都市開発デベロッパー) 上(あが)りの、ドウ猛な決断にも一理ある。アメリカの景気をここで崩したら、あとが大変なことになる。空(カラ)の、見せかけの景気回復であるが、トランプが、この2年間で、自力(じりき)で手塩(てしお)にかけて無理やり作ってきた景気だ。

 

2月27日のパウエル議長の議会証言は、2014年まで続けていた(前の前のバーナンキ議長の)金融緩和[かんわ](イージング・マネー)の方針を復活させる。これからアメリカは、ジャブジャブ・マネー(QE[キューイー]政策)に戻ることを意味する。利上げどころか、利下げをするだろう。ジャブジャブ・マネーの市場への放出もする。「行くところまで行けー」だ。そしてそのあと、この危険な政策が、どのような激しい副作用を起こして、大きな歪(ゆが)みがどこに出てくるか。私たちは凝視するべきだ。行け、行け、どんどんは有あり得えない。調子に乗ると、また、ハシゴを外はずされる。

 

トランプたち(彼への助言者たちも)は、「株価さえ吊(つ)り上げておけば、アメリカ国民は安心する。景気がいいという気持ちになる。FRBよ、邪魔するな」とFRBを脅した。

 

金融引き締めをやらないで、現状のまま金融市場に溢(あふ)れ返る余(あま)った資金で、巨大な金融バクチを、ヘッジファンドどもや、HFT(エイチエフティー)、超(ちょう)高速度株(かぶ)取引業者たち(後述する)に続けさせる。株価をハネ上げ(急上昇)させたり、急に下落させたりして、これで市場参加者(ステイク・ホールダー)たちに儲(もう)けさせる、ことを続ける。

 

“トランプ独裁”の決断は、政治の力で株価を操作、操縦[そうじゅう](マニュピュレイション)しながら、見せかけのアメリカの繁栄をなんとか続けることである。

 

しかし、それでも世界経済は暗雲が立ち込める。今にもどこかで金融危機(ファイナンシャル・クライシス)が起きそうだ、と投資家たちがソワソワして不安がっている。この動物的な心理と反応が正しい。

 

私は、逆張り人間のヘソ曲がり(contrarian、コントラリアン)であるから「反対に反対する」という考え方をいつもする。すると、どういう結論になるのか。元に戻るのか。いや、そうではない。ただちには分からない。私は権力者(支配者)と世の中の大勢(たいせい)が言うことを信じない。自分が持つ予知(よち)能力(近[きん]未来を予言する力)を信じて、次々と押し寄せる新しい事態に、慎重に備える。

 

この国で、ずっと、もう20年間、「もうすぐ金融危機が来る。大恐慌が近づいている」と、書いてきたのは私だ。この私が、大きく態度を変えて、「日本もアメリカも、経済(景気)はしばらく大丈夫です。安心して、さらに値上がり利益を待ちましょう」と言う訳(わけ)がないだろう。私は、「金融市場に対する根本的(根源[こんげん]的) 悲観(ひかん)主義者」だ。

 

私は、「そろそろ危ない。危機が迫っている。用心しなさい」と、本に書いて、金融崩れ、株崩れを事前に警告を発してきた。だから、私の新刊本を買ってササッと読む賢明(けんめい)な人々は、早めにポジション(建たて玉[ぎょく])を手仕舞(てじま)って、大損(おおぞん)を出さないで、ここまで生き延びてきた。

 

だから、今の私は、トランプが号令をかけるアメリカの「行け、行け、どんどん、どこまでも」に反対はしない。あいつらにやらせるしか、ないではないか。どこまでもドンドンやりなさい、その先に地獄が見えるだろうから、と私は唱える。かつ、日本国内でもどうせトランプに追随するから、私が強く主張するのは、「政府や日銀は、金融市場への規制を強めるべきだ」ではない。その反対に「規制をするな。一切するな。全くするな」である。「このままドンドン、ガンガン、行けるところまで行け。地獄まで行け」だ。

 

市場取引に規制をかけると、投資家心理が冷え込んで、株が下落して、それでさらに景気が悪くなる。と、政府(財務省)も日銀もトランプに右に倣ならえ、で思っている。大勢[たいせい](=体制) 順応が彼らの習性だからだ。アメリカのトランプ独裁の影響で、日本もゼロ金利(長期金利市場なら「マイナス金利」)を継続し、金融引き締めをしない(ジャブジャブ・マネーのまま)だ。

 

私が守ればいいのは、私の本を買って読んでくれる人(読者、お客さま)だけだ。

 

私は自分の読者だけをひたすら守る。彼らに間違った判断をして大損をすることをさせない。そうやって、20年間、ここまで、地道に築いて来た自分の信用だ。私は自分の読者(お客)だけは何があっても守る。

 

=====

 

絶望の金融市場──株よりも債券崩れが怖ろしい[目次]

 

まえがき─2

 

第1章 〝トランプ独裁〟が経済を変えた

 

アメリカの金融崩れが阻止された─22

フラッシュ・クラッシュの激震が為替市場を襲った─25

これからは債クレジット券市場が危ない! 32

バフェットまでもが株で大損した─44

ヘッジファンドが〝踏み上げ〟を喰らった─54

ニューヨークの株式市場は大爆発寸前で生き延びた─58

ロシアは米国債を売却して金(ゴールド)を買い増した─62

〝トランプ独裁〟で金融緩和の再開が決まった─65

私たちは危険な投資の時代に突入している─67

 

第2章 金融理論はみんなゴミだった

 

金融理論は全部ゴミくずだったことがバレた─70

トランプは若い頃から民主党リベラル─74

ジャブジャブ・マネーの洪水に呑み込まれる世界─80

もうすぐ何か巨大なことが起こる─103

 

第3章 株よりも債クレジット券市場の崩落が恐ろしい

 

レバレッジをかけてパワーアップした株もどきの金融仕組み債─106

ノックイン債でノックアウトされる恐怖─112

あまりにも危険な不動産担保抵当証券が平気で売られている─114

企業の債務不履行リスクをも対象にする金融派生商品CDS 122

“ヘッジファンドの皇帝”が鳴らす警鐘─124

 

第4章 ボロくず債の暴落から恐慌突入

 

ボロくず債崩れが国債市場をぶち壊す─130

パウエルFRB議長はジャンク債の暴落が怖い─136

日銀黒田総裁は誰と闘っているのか─141

「それでも金融市場は、しばらくは大丈夫。狼狽えるな」─146

ソフトバンク株の上場は二重評価のインチキだ─148

粉飾決算をしてでも株価を維持しようとする社長たち─151

買えなくなるから、今こそ金を買い増すべきだ─154

人騙し業界人のポジション・トークに乗せられるな─160

本当に危険なのはトランプの任期が終わる2024年─166

大戦争か大恐慌か──80年周期で大きな危機が来る─172

 

第5章 経済学はYイールド= Mマネーですべて分かる

 

経済学の理論はたった一つの公式で説明できる─180

「フィッシャーの交換方程式」がマネタリズムを生んだ─185

ケインズの偉大さは過剰生産の発見にある─191

Y = C + I という人類の大原理─197

 

第6章 「政府マネー」は間違っている

 

貨幣数量説は嘘っぱちのインチキ理論─204

マネタリズムに屈服したニューケインジアン─207

インタゲ論は完全に敗北した─210

スイスの国民投票で否決された政府マネー─214

米ドルの信用力が落ちてきた─224

通貨発行は中央銀行の役割でなければならない─227

皇帝や将軍たちも金貸し業をやっていた─233

国民負担率が5割を超したら江戸時代の「五公五民」だ─236

やっぱりケインズが偉大だ─241

第7章 アメリカは北朝鮮を押さえ込む

 

2月28日の米朝会談(トランプと金正恩)の決裂、もの別れ─248

ディールとネゴシエイションの違い─259

トランプはじわじわと金正恩を追い詰める─263

 

あとがき─269

 

【特別付録】隠れたお宝のモノづくり企業 厳選14銘柄─272

 

=====

 

あとがき

 

私の最新作の、この『絶望の金融市場 株よりも債券崩れが怖ろしい』を書き上げる時に、私は大きな謎をひとつ解いた。

 

アメリカは、自国の景気(経済)を必死で維持するために、〝トランプ独裁〟で無理やり利下げと量的緩和[りょうてきかんわ](イージング・マネー。ジャブジャブ・マネー)の再開に舵(かじ)を切った。

 

現代の欧米経済学の根底にあるのは、①実じつ物ぶつ経済(もの、財[ざい]の市場)と②金融(おカネ)経済との関係をどのようにとらえるか、である。

 

私はここで、Y=Mというたったひとつの数式(公式)で、理論経済学はすべてを書き表わしてきたのだ、という秘密を大発見した。

 

Y(もの)=M(お金)という一行の式(方程式)で、経済学(エコノミックス)なるものの謎は解けた。このことを本書の第5章で、大急ぎで書いた。

 

マネタリズム(シカゴ学派)も、ケインジアンも、マルクス経済学も、すべてY=Mで出来ていた。

 

このことが分かれば、日本人の鋭い、生来頭のいい人たちは、「理論経済学という暗黒大陸(あんこくたいりく)」に踏み込んでゆける。日本人にこの100年間、解けなかった西洋人の近代学問(サイエンス)というものの真髄に触れることができる。私が勢い込んで何を一体、書いているのか、分からなくていいですから、どうか、第5章の私の大発見を読んでください。

 

本書をたった一カ月の急ごしらえで(構想には半年かかっている)作るに当たって、徳間書店学芸編集部の力石幸一氏から、いつもながらの強い支援をいただいた。記して感謝します。

 

2019年4月

 

副島隆彦 

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)


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 古村治彦です。

 

 今回は副島隆彦先生の最新刊『迫りくる大暴落と戦争〝刺激〟経済』(徳間書店、2018年5月)をご紹介します。

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迫りくる大暴落と戦争〝刺激〟経済

 

 今回の最新刊にも副島隆彦先生による大胆な予測がたくさんなされています。アメリカの北朝鮮爆撃、攻撃が終わって「戦争によって経済を刺激して好景気を作り出す」、戦争刺激経済(war economywar boosts economy)が創出されますが、それも続かずに、大暴落がやってくるということがこの本の最も重要な点になります。これは第一次世界大戦の後の動きと同じだということです。

 

 アメリカは考えてみれば、何年かおきに戦争をして経済を立て直し、また崩れるということを繰り返してきました。軍需産業が一大産業ともなっています。この事実を踏まえて、直近の動きを考えてみると、戦争刺激経済が発動されそうです。

 

 その他にも様々な予測や分析が掲載されています。是非手にとってご覧ください。よろしくお願いいたします。

 

(貼り付けはじめ)

 

まえがき

 

●これからの3年、さらに3年の6年間を予測する

 

 この本では、これからの3年、さらにそのあと3年、計6年を予測(予言)する。

 

 これからの日本及び世界の経済はどうなるか。私の予測、先見(せんけん)は、大きくP7の図のとおりだ。この本が出て近いうちに株式市場で2回ぐらい大きな山が来るだろう。なぜなら、株式の次の暴落に対してアメリカは戦争〝刺激(しげき)〟経済(War boosts Economy. ウォー・ブースト・エコノミー)でなんとかエンジンをブオブオと吹かして景気を上げようとするからだ。

 

 トランプは「北朝鮮の金正恩に会う」と言ったが、この米朝の話し合いは、短時間でだめになるだろう。世の中に不安感が広がる。それで投資家も心配して、NYダウと日経平均はだーっと1回落ちる。1000ドル、2000ドル落ちる。日経平均も1000円、2000円ぐらい平気で落ちる。

 

 トランプは、ここで戦争(せんそう)によって経済を刺激する、押し上げるまさしくWar boosts economy.(ウォー・ブースト・エコノミー)を仕掛ける。戦争刺激経済とは、まさしく、「米軍による北朝鮮への爆撃」のことだ。戦争で経済を刺激する、のである。景気の落ち込みから脱出するためのアメリカの手口だ。これで、北朝鮮爆撃のあと、「アメリカは勝った!」で安心感が広がり急激に株価がハネ上がる。それに連れて日経平均も、どーんとハネ上がる。

 

 ところが、少しすると、また、ドドドと下がってゆく。こういう動きを2回、3回金融市場は繰り返すだろう。私はこのように予言する。

 

 この「ウォー・ブースト・エコノミー」、すなわち、戦争で経済を押し上げる。経済を政治(=軍事)の力でブーストboostする、押し上げる。この“War boosts economy.”という言葉の意味を、私がここまで易(やさ)しく説明しても、それでもまだ分からない人は、それは私、副島隆彦の本のこれまでの熱心な読者では無い。

 

 欧米では、これを簡単に「ウォー・エコノミー」と言う。このコトバの意味を頭のいい高校生でも知っている。ところが、日本(人)では相当の高学歴の金融専門家や、英語ペラペラのトレイダー(ファンド・マネージャー)たちでも、知らない。分からない。日本人は「ウォー(ブースト)エコノミー」と「ウォー・タイム・エコノミー」(戦時()経済。戦争中(ちゅう)の経済)の区別がつかない。その違いが分からない。私は、この10年、自分の本で、ずっとこの「ウォー・エコノミー」、戦争経済のことをあちこちで書いてきた。だが、ほとんど誰も理解してくれなかった。それでわざと間(あいだ)に「ブースト」を入れてより正確な英文にすることで戦争〝刺激〟経済と表記することにした。これで何とか日本人に分かる。分かってもらえるだろう。ヤレヤレだ。戦争を煽ることで景気、経済を押し上げる。それが「戦争(刺激)経済(ウォー・エコノミー)」だ。

 

 ダメ押しをする。欧米白人社会では、頭のいい高校生でも知っている、この war economy 「戦争経済」を、日本では、経済学部を出た市場関係者や、経済学者でも知らない。それどころか、実は政治学の学者や政治評論家たちも知らない。即ち日本ではまだ誰も知らない。

 

 どうしても「2兆円(200億ドル)分ぐらいミサイルや爆弾を使ってくれ」と、アメリカの軍需産業界が要求している。「政府がそうしてくれないと、兵器が売れなくて在庫が溜()まって仕方がない」と軍需(=国防)産業の親分たちが言う。レイセオンとロッキード・マーチン・マリエッタとボーイング社などである。日本で言えば三菱重工や川崎重工である。そうやって国防産業が政府に泣きつくのである。トランプ大統領は、このことを重々分かっている。トランプという人はビジネスマン(商売人)であるから、企業経営者たちの苦労が死ぬほど分かっている人だ。だから北朝鮮はウォー・エコノミーの問題なのだ。北朝鮮問題とは独裁者の国からの核ミサイルの取り除き、廃棄のことだけではない。アメリカの軍需産業(ミリタリー・インダストリー)のために兵器の消費がどうしても必要なのだ。これが戦争経済だ。第2章でさらに説明する。

 

●北朝鮮爆撃で株価の大変動が起きる

 

 株価が上下に動くことを、ボラティリティ(変動率)という。戦争はこの株価のボラティリティを激しく上下に大きく拡大させる。この価格の変動率(ボラティリティ)は、資金運用者と投資家にとっては、たいへん有難い重要な仕掛けだ。投資の基本は、買ったら売り、売ったら買い戻す、である。安値で買って価格が上がったら売って利益を取る。あるいは、下落相場なら、(先(さき)(もの)での売りならば)借りてきた株を先(さき)()で高値で売っておいて、暴落したあと安値で買い戻す。そして利益を取る。これしかない。そのためには、業界全体にある程度のボラティリティがなければいけない。無風状態で値動きなしが何カ月も続くのが、一番イヤなのだ。

 

 だから、ここから先、しばらくの間、株価の急上昇と暴落が何回か繰り返されるだろう。暴落したらその時、サッと買う。そのあと暴騰が来る。ここで迷わずサッと売る。ここで売れないでじっと持っていると、大損する。なぜなら、また暴落するからだ。また安値、底値でサッと買う。秋までに、こういう動きが3回ぐらいあって繰り返すだろう。

 

 第一次世界大戦(1914─1918)の時にも、これとまったく同じ暴騰と暴落があった。その時、日本は日露戦争(1904─1905)に勝利したあとで、世界の5大国入りして帝国(エムパイア)になっていた。日本は第一次大戦の戦争前景気で、1回おおいに盛り上がって、その後、ばたーんと落ちた。このあと戦争が終わったようだ、ということで、またドーッと株(景気)が上がった。ところが、暫(しばら)くしたら、またドーッと落ちた。1920年から〝戦争景気〟のあとの長い不況が来た。これと同じことがまた世界で起きようとしているのである。

 

第一次大戦(WWI)(ザ・ファースト・ワールドウォー)は、1918年12月に終わり、1919年から、講和(平和交渉)(ピーストークス)のためのベルサイユ会議が始まる。このあと1920年に入るとドーッと落ちた。この時、日本の鈴木商店(三井物産の前身)、そして台湾銀行が倒産した。鈴木商店は、今の総合商社の先駆けで、戦争景気で、スエズ運河に、鈴木商店の商船(輸送船)がズラリと並んでいたのである。鈴木商店が日本を代表する大商社だった。

 

 天才経済学者のケインズさえ、この時、投資で大失敗した。大戦後の1920年から後の4、5年は苦戦した。だから迫りくる〝第二次朝鮮戦争〟の前後にも大きな変動が来る。ただし、今回は期間が半年ぐらいなので短い。だからそのあとの数年(3年、さらに3年)の動きを読まなければいけない。

 

=====

 

迫りくる大暴落と戦争(ウォー・)〝刺激(ブースト・)〟経済(エコノミー)──[目次]

 

まえがき─3

これからの3年、さらに3年の6年間を予測する─3

北朝鮮爆撃で株価の大変動が起きる─8

 

第1章 緩和バブルとともに沈みゆくドル

 

パウエル新FRB議長はがむしゃらに利上げする─24

NYダウの暴落で「適温相場」の嘘がバレた─35

VIX指数を買っていたファンドが踏み上げをくらった─44

フラッシュ・クラッシュが暴落を誘発した─45

米長期金利の上昇は国債バブルの崩壊を意味する─54

バーゼルⅢで日本は米国債を買わされる─70

黒田日銀も出口戦略で金利をつけたい─74

パウエルFRB議長は、グリーンスパンの真似をする─79

あと6年で「ドル覇権体制」はめでたく崩壊する─83

巨大IT企業の肥大した株価が調整される─84

 

第2章 戦争(ウォー・)〝刺激(ブースト・)〟経済(エコノミー)しかなくなった

 

〝第二次〟朝鮮戦争が起きる─98

米軍の北朝鮮への爆撃は6月にある─100

金正恩はICBMの完成まで引き延ばし作戦をする─104

北朝鮮問題と中東問題は裏で密接につながっている─106

イランと北朝鮮は直結している─113

3年後から「ドル覇権」は崩壊に向かい、1ドル60円になる─115

だから3年待たないと金価格は上がってこない─119

あと6年でドルの終わりがくるから金を買っておきなさい─123

いよいよ人民元がこれから上がり出す─126

今のうちに人民元預金をするべきだ─130

 

第3章 金融市場で何が起きているのか

 

史上最大の大暴落のきっかけはフラッシュ・クラッシュだった─140

中国がシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の買収に動き始めた─145

ヨーロッパ発の金融規制で証券会社が潰される─149

ファイナンス理論どおりに整然と間違える─154

先物主導で暴落させられた─159

精緻なシステムも最終的には人間に壊される─163

日銀は目標とは逆の政策をやっている─165

アメリカは自分が生き残るためにヨーロッパを潰しにかかっている─168

ロボット・トレーディングを育てたのはシカゴのストライカー証券─170

日本の銀行を中国人が本格的に買い続けている─174

ユニクロ商法のそっくりさんも出てきた─176

次は日立が狙われている─181

お金の行き場がなくなったあと、戦争経済しか選択肢はなくなった─183

日本の生保が米国債30年物の償還でプレッシャーを受けている─184

ビットコイン取引のほとんどが日本からになっている─187

 

第4章 世界経済における巨大なマネーの秘密

 

複利で爆発的にお金が増えるのが資本主義だ!─190

利子こそが資本主義を回転させるエンジンである─191

貨幣乗数という資本主義のマジックが効かなくなった─196

投資の経済効果に注目したケインズの乗数効果─199

土地の値段が100倍にもなる時代があった─201

ジャブジャブ・マネーで麻痺している日本経済─207

マネーサプライが消えてなくなった─210

日本国債の買い取りでマネー・クリエイションしている─212

リチャード・ヴェルナーが日銀によるマネー創造の秘密を暴いた─213

ヴェルナーの本で、この30年の金融経済の全体の謎が解けた─216

グリーンスパンFRB議長はヴェルナーを無視した─221

イングランド銀行の理事がマネー・クリエイションを認め始めた─224

「リーマン・ショックの秘密」が見えてきた─227

 

第5章 経済学は死んでしまった

 

アメリカがヨーロッパ500年に挑戦したのが行動科学─234

株で儲かった喜びよりも、大損する恐怖を重視─238

今目の前にある1万ドルと3カ月後の2万ドル、どちらを取るか─241

経済学は身もふたもない学問に成り下がった─243

人間の能力は持って生まれた天性であり、人間は元々不平等だ─251

Y=C+Iという方程式が示す世界最高度の真実─253

 

あとがき─265

 

【巻末付録】戦争の陣太鼓が聞こえる軍需銘柄21─268

 

=====

 

あとがき

 

 こうやって私は、この本でこれからの世界の動きの「3年、さらに3年(合計6年間)」を予言した。自分が行った近(きん)未来予測(予言)をなんとか当ててみせる。ただしこの本は、金融、経済の本であるから、あまり政治の話は書かないようにした。それでもどうしても政治の話が入ってくる。

 

 政治(外交、軍事=安全保障を含む)と、金融・経済は、〝車の両輪〟であるから、片方だけを見るわけにはゆかない。両方を見てそれを総合する力があるから、私は金融評論業で生き延びているのだろう。

 

 第4章で、リチャード・ヴェルナー氏の『円の支配者』(2001年刊)を高く評価した。なぜならヴェルナー氏(現在、51歳)が、1995年に発見して、以来ずっと唱えている「先進国の中央銀行が、政府を助けるために、やってはいけない、銀行が持つ信用創造(力)(クレジット・クリエイション)を悪用してきた」理論は大きな真実を抉(えぐ)り出している。創造(クリエイテッド)マネーを大量に創(つく)って、それが、世界の金融・経済をおかしくしてきたのだ。彼らセントラル・バンカーたちがバブルを作り出し、破裂させ、そのために資金をショートさせた企業をたくさん倒産させて、世の中に多大な迷惑をかけてきた」理論は、2008年のリーマン・ショックをはっきりと予言していた。

 

 この違法な、創造(クリエイテッド)マネーは、私もまた自分の金融本でこの10年使い続けてきたジャブジャブ・マネー(金融緩(かん)()政策で人工的に作られたマネー。Q(キュー)(イー)=量的緩和)であった。

 

 そして、ヴェルナーと私は、今も共に「次の大きな株の大暴落、金融崩れは、大恐慌へとつながる」と予測、予言する。

 

 それは、1991年(今から27年前)に崩壊したソビエト共産主義(コミュニズム)に続いて起きるであろうアメリカ資本主義(キャピタリズム)の崩壊だ。エ、まさか、そんな。資本主義は、イデオロギーや宗教ではなくて、客観的実在(オブジェクティヴ・イグジステンス)だよ、壊れるわけはないよ、と、必ず起こる反論に対しても、私は明確な答えをそろそろ準備し、提出しなければいけない時代が到来したのである。

 

 資本主義(の社会、国家)が倒れたあと、一体、人類に次に何の制度、体制がやってくるのか? カール・マルクスとジョン・メイナード・ケインズ卿に続く、人類の大天才が現れなければ、その姿は明らかにならない。だが、資本主義までもが滅ぶ、そして全く新しい時代が人類に到来することが強く予想されるのである。ゼロ金利と、マイナス成長と、銀行消滅のコトバにその予兆が見られる。

 

 この本も、またしても徳間書店学芸編集部の力石幸一氏と、延々とおしゃべりしながら出来た。記して感謝する。

 

2018年4月   

副島隆彦 

 

(貼り付け終わり)


※2018年6月17日(日)に副島隆彦の学問道場定例会(講演会)が開催されます。定例会出席のお申し込みは以下のアドレスでお願いいたします↓
http://snsi-j.jp/kouen/kouen.html

 

(終わり)

 

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今の巨大中国は日本が作った



 

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(仮)真実の西郷隆盛

 

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(仮)福澤諭吉 フリーメイソン論

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 2015年4月25日に副島隆彦先生の最新刊『「熱狂なき株高」で踊らされる日本』(徳間書店、2015年)が発売されます。待望の経済に関する新刊です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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 また、2015年5月31日(日)に副島隆彦を囲む会主催の講演会が開催されます。こちらもどうぞよろしくお願い申し上げます。

  

※講演会の申し込みはこちらからどうぞ。


==========

 

「熱狂なき株高」で踊らされる日本──目次

 

まえがき─3

 

1    金と現金以外は信用するな!

 

国家が相場操縦して株価を吊り上げる動きは止まらない─12

金投資は初めての人は今すぐ買いなさい。もう買っている人はまだ待ちなさい─17

 

2    国家は株も土地も吊り上げる

今年1年は政府主導の強気の相場が続く─26

日本政府が「5頭のクジラ」を使って株の爆買いを始めた─28

株を買うのはGPIFだけではない─37

台湾人が日本の不動産を爆買いしているが、2020年までには売り払う─50

戦争の危機が迫る日本で東京オリンピックの中止もありうる─54

日本の不動産で値段が上がっているのは「3A1R」だけだ─58

富裕層が資産の再評価をやっている─62

政治と経済は貸借を取り合って、バランスする─66

日経平均株価は2万2000円まではいくだろう─72

 

3    世界から金利がなくなった

アメリカは金利を上げると一気に逆回転するから上げられない─84

黒田日銀総裁が「国債暴落」の不規則発言をした─87

世界中の金利が低下する異常事態になっている─93

ユーロはデフレに陥って衰退に向かう─104

アメリカの金融・財政は舵取り能力を失っている─108

ドル円の相場は120円がしばらく続く─112

NY金は1200ドルが抵抗線である─114

中国が金の値決めに参加することが決まった─116

イギリスが中国と組むと決めた─126

AIIB(アジアインフラ投資銀行)は大きな世界覇権移行の始まりだ─131

 

4    日本はますます貧乏国家にさせられる

名だたるヘッジファンドがどんどん潰れている─154

売り仕掛けのヘッジファンドが次々に潰れ、日本から撤退を始めた─155

1億円の投資信託が9割方まで回復している─161

またしても日本の米国債買いが始まった─166

コーポレートガバナンス・コードで日本企業の内部留保を吐き出させる─170

社外取締役に入る会計士たちが企業財務を丸裸にする─174

ROEを高くさせて日本企業のキャッシュを流出させる─176

ゴールドマンのキャシー松井がROEを言い出した─177

日本奪い取りの第三段階までもう来ている─181

日本はマイナス成長の衰退国家にさせられている─184

今の円安は日本の通貨の暴落だとなぜ言わないのか─188

 

5    経済学はケインズに戻らなければならない

日本の経済政策の最高指導者はGPIFを牛耳る伊藤隆敏だ─192

インフレ・ターゲット論は方程式を逆転させる論理でできている─201

アメリカの意思に沿う政策理論をやりながらその自覚がない─218

通貨量と株価上昇だけで市場がコントロールできるのか─220

今こそケインズ、ヴォルテールに学ぶべきだ─222

古典派とケインジアンの戦いが今も続いている─229

合理的期待学派は狂信者たちである─234

現金や金を信じることをケインズから学んだ─241

「情報の非対称性」とは、始めから結果を知っている人間がいるということ─252

銀行の不良債権問題に蓋をし続けていることが致命傷になる─254

本当は、金融市場でクラウディング・アウトが起きている─260

 

6    ピケティの『21世紀の資本』はアパート経営の話だった

収入の20倍が資産価格になるという「副島隆彦の法則」─264

ピケティの資本主義の第一基本法則からあらゆる経済問題が解ける─281

経済学は数学と物理学から発生した学問である─285

「資産は所得(年収)の6倍だ」と言い切ったところがピケティのすごさ─295

労働所得と資本所得は7対3で決まっている─298

ピケティが結論で提案している富裕層課税は間違っている─304

 

 

あとがき─308

巻末付録 吊り上げ相場の注目株32銘柄─311

 

 

 

あとがき

 

 この本を書き上げる段になって、私はようやくはっきり分かった。

 

 アベノミクス(安倍首相の経済政策)というのは、株バブル(および国債バブル)と土地バブルの両方を起こすことだ。この資産バブルを人為的に作って、無理やりでも国民心理にインフレ期待の人工の波を起こして、人々がどんどん消費して贅沢品を買うように仕向ける。そうすることで、景気回復を達成するという計画である。すべてはアメリカの指図、命令のままに行われている。

 

 こんな当り前のことを私は今頃、遅れて分かった。だがここに到達するまでに私は激しく辛吟した。

 

 資産バブルが全国(いや世界中)に波及し、景気(経済)は必ず回復すると狂信して、政府自ら株の吊り上げと都心の土地の値段(地価)の吊り上げに狂奔している。

 

 しかし「2%のインフレ(にする)目標」は丸2年たったが達成しなかった。責任者たちの責任が問われている。

 

 私は、この本でアベ(ABE)ノミクス(Asset Bubble Economy)を創作して日本に押しつけたアメリカの経済学の理論家たちのおかしさを追跡してなんとか解明できた。

 

 それは、小室直樹先生の遺作となった4冊の経済学の本を、本気で読み直したからである。先生は大事なことをすべて書き遺してくれていた。先生の霊が私を導いた(第5章)。

 

 今の安倍政権の金融政策の何が間違っているかを、この本で大きく解明することができた。私の方も土壇場まで追いつめられたが、なんとか大きな謎解きをすることができた、と思っている。

 

 評判を取ったトマ(ス)・ピケティの大著『21世紀の資本(論)』からも私は巨大な真実を学んだ(第6章)。やはりこの本は大変な本である。ピケティ本は、今や幻想と虚栄の神殿と化したアメリカ経済学を根底から掘り崩す核爆弾級の破壊力を持つ本である。おそらく日本では、今のところ私だけがこのことに気づいている。今はもう多くは書けない。一点だけ書く。

 

 ストック(資産)とフロー(所得)において、フロー面(消費者物価、インフレ率、GDPギャップ、失業率などの指標)ばかりに囚われてきたアメリカ経済学界のオカシさを、フランス人のピケティは、正しく大きくストック面(土地住宅価格。即ち不動産資本)の重要性からはっきりとつかみ出した。おそらくピケティ本からの根源的攻撃を受けてアメリカ理論経済学は自滅に向かうだろう。それはアメリカ帝国の崩壊と軌を一にするものだ。

 

 この本を書くに当たって、共に難行苦行と言うか、延々と果てしなく議論してくれた徳間書店の力石幸一編集委員に深くお礼を申し上げる。

 

2015年4月

 

副島隆彦 

(終わり)










 

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