古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:憲法改正

アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2015-12-09




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 先日の大阪のW選挙(大阪府知事選挙、大阪市長選挙)では大阪維新の会が勝利を収めました。この時のW選挙では、大阪維新の会対自民・民主・共産(公明党は自主投票)という奇妙な構図になりました。自民党は連日、大臣クラスを選挙応援に派遣していたのですが、一枚岩の感じはなく、官邸は大阪維新の会を間接的に支援しているかのように見えました。また、連立与党のパートナーである公明党が自主投票に回るということもあって、自公が一枚岩で大阪維新の会に対峙するという感じはありませんでした。

 

 下に貼りつけた毎日新聞の記事は、官邸(菅義偉官房長官)と自民党(谷垣禎一幹事長)との間の分裂が起きているようです。この記事では、軽減税率のことが焦点になっているようです。公明党は軽減税率を導入したい、連立を組んでいる安倍政権はそれを何とかしてあげたい、しかし、財務大臣の経験もある谷垣氏は財務省の意向もあって反対している、ということだそうです。

 

 私はこの分裂はもっと大きな問題にまで波及すると考えます。それは憲法改正問題です。安保法制も成立した今、安倍政権が目指すものは憲法改正です。公明党は平和の党とは言いながら、その実態は既に自民党に従属するだけの政党になってしまっており、憲法改正、具体的には憲法第九条改正に関しても理屈をこねて見ないふりをして、彼らの考える実利を取るという方向に行くと思われます。

 

 そして、大阪維新の会がW選挙で勝ったことで、来年の参議院議員選挙とそれ以降の動きが激しくなりそうです。具体的には、橋下徹氏が国政に進出、ということで大阪維新の会が大阪や関西を中心に票を伸ばしつつ、公明党の現職は通すという方向になるでしょう。衆議院との同日選挙ということも言われているようですが、同日選挙では与党が強いですから、自民党、公明党、そして大阪維新の会と、自民党にすり寄るいくつかの野党が衆参でそれぞれ3分の2の議席を獲得するというシナリオが描かれているでしょう。

 

私は、憲法改正に向けた動きを「2016年問題」と名付けて2014年の段階で重大な問題であると書きました。

 

※2014年1月7日付 「【再掲】2016年問題と言ったほうがよいかもしれない」

http://suinikki.blog.jp/archives/1328800.html

 

 この時はまだ、「憲法改正には時間がかかる」と考えていました。しかし、どうも事態はかなり急激に動いているようです。来年の参議院選挙、憲法改正まで進めさせるかどうかの大変重大な選挙となります。野党の結集もままならない状況で、改憲勢力が衆参3分の2の議席を占めてしまう危険性が高まっています。その中で、自民党からいくらなんでもこうした動きに反対するという人々が出てくれば良いのですが、それも期待薄です。日本は益々危険な方向に進みそうです。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

自民党:菅官房長官と谷垣幹事長、関係ぎくしゃく

 

毎日新聞 20151126日 2139分(最終更新 1127日 0002分)

http://mainichi.jp/select/news/20151127k0000m010119000c.html

 

 自民党の谷垣禎一幹事長と菅義偉官房長官の関係がぎくしゃくしている。軽減税率に関する与党協議では、安倍晋三首相が24日に行った指示を巡り、谷垣氏が財源規模への言及があったとにおわせる一方、菅氏は明確に否定した。2人は安倍政権を支える「両輪」だが、大阪ダブル選でもすきま風が吹いたばかりで、与党幹部は政局への影響を注視している。【高本耕太、野原大輔】

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 「具体的な数字は言っていない。首相に確認した」。菅氏は25日の記者会見で首相指示の内容を問われ、こう言い切った。自民党が想定する4000億円の枠にこだわらないとの意思表示だ。官邸関係者によると、首相は「ない袖は振れない」としつつ、財源や対象品目は与党協議に任せる意向という。

 

 ただ、軽減税率に慎重な自民党側には、頭越しの菅氏の言動に反発が少なくない。24日の首相指示は谷垣氏と宮沢洋一税調会長に直接出され、両氏は4000億円を前提とした指示との認識を示している。税調幹部は「宮沢氏は会見前に発言内容を首相とすりあわせた」と強調する。

 

 菅氏の念頭にあるのは来夏の参院選だ。勝利して長期政権を築くには、公明党の支持母体・創価学会の支援が不可欠だ。学会側と独自の人脈がある菅氏は、周囲に「自民党の主張で押し切れるものではない」と発言。公明幹部も「菅さんはすぐれた勘を持っている」と持ち上げる。

 

 元財務相の谷垣氏らにとって、1兆円規模の財源が必要な公明党の主張はのめない内容だ。ただ、安倍政権では昨年の消費再増税の延期判断など、既定路線が覆されてきた経緯がある。首相指示を盾に公明党に譲歩を迫る谷垣氏の思惑は崩れ去り、自公両党の対立が激しくなるほど、官邸の求心力が増す構図になっている。

 

 菅氏の強気の背景には、政局の主導権を首相官邸で握り続ける思惑がありそうだ。大阪ダブル選で自民党と対立する大阪維新の会に秋波を送ったのも、首相に近い橋下徹大阪市長との「連携カード」を手に、与党をけん制するためだ。

 

 それでも軽減税率協議は難航しており、公明党内では「2017年4月の消費再増税の見送りもあり得る」との声が漏れ始めた。与党内では「伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の成功の余勢を駆って衆院解散を狙うのでは」との見方があり、来年の通常国会会期末の衆院解散と衆参同日選を予想する声も出ている。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-09-09



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 安倍安保マフィアの中心人物である礒崎陽輔参議院議員(自民党)兼首相補佐官はツイッターで積極的に発言し、世論をリードしようとして、時々「立憲主義という言葉は聞いたことがない(最高学府である東京大学法学部を卒業しているのに)」と書いたり、女子高生にたしなめられて逃げ出してしまったりするような、安倍氏周辺に多い、おっちょこちょいな人物です。

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 昨日、礒崎陽輔参議院議員は地元の大分で国政報告会を行ったそうで、この会での発言の要旨が朝日新聞に掲載されていました。礒崎議員は東大法学部では立憲主義は習わなかったようですが、どんなことでも正当化できる、白を黒と言いくるめる魔法の話術である東大話法(安富歩東京大学教授の言葉)と、何を言っているのか一般人には理解できないが、それで一般人を「統治してあげる」ための「霞が関文学」については第一人者のようです。簡単に言うと、詭弁を弄して自分を正当化することに長けているのです。

 
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 礒崎議員の論旨は「憲法9条では必要最小限度の自衛権は認められている。時代が変わったから集団的自衛権でも日本を守るために良いものだ。日本を守ることに良いことを日本国憲法がダメと言っている訳がない」というものです。彼が言う時代が変わっているというのは具体的には中国を想定しています。先日の安倍首相のテレビ出演でも説明の地図で、中国の地図の上にはドクロをあしらった海賊の旗が付けられていました。中国が攻めてくるというのなら、領土領海領空の範囲内で専守防衛の自衛権を発揮すれば済むことです。アメリカ軍も日本に基地を置いている(これだけでアメリカの世界戦略に資している訳ですから片務的ではない)のですから、アメリカ軍も作戦行動を取るでしょう。中国にも日本と同じくらいにアホがいて、「日本をやっつけたい、アメリカと戦いたい」と病的に思っているでしょうが、そんなのが力を持たないようにしているでしょう(日本ではどうもそうではないですが)。

 

 集団的自衛権となれば、どうしても自衛隊の海外派兵ということになります。その際には「安全な」後方勤務、具体的には物資輸送や傷病兵の看護などになるでしょうが、テロ組織とテロ攻撃の遍在性(どこにでもいることができる)を考えると、派兵となり、相手側から見て「敵」「侵略者」と見なされた時点で、「安全な後方」などと言うものは存在しません。ですから、集団的自衛権が「日本を守るために良いもの」とはなりません。

 

 日本国憲法を読めば確かにどこにも「日本国の領土領海領空を越えて軍隊を出してはならない」と書いていませんが、その前提となる軍隊を持たないと書いている訳ですから、存在しない軍隊は外に出すことはできません。存在しないんですから。ただ、芦田均、吉田茂と金森徳次郎の一種の姦計で、自衛のための必要最小限度の戦力は持つことが出来るという解釈も成り立つようになり、それで自衛隊が置かれているのですが、政府はこれをずっと「軍隊ではない」と言ってきました。

 

 日本が攻撃されていないのに同盟関係にある国が攻撃されて、日本が攻撃されたと見なして自衛隊が海外に出てその国のために戦うというのは、日本の役割ではありません。帝国の存立を守るための自衛権の行使という名目の下でなぜか南太平洋、インド洋、北太平洋、中国にまで堂々とかつ姑息に攻め入った過去を持つ日本が行う役割ではありません。「良い・悪い」の問題に礒崎議員はしていますが、これは、最後は個人の判断になりますので、私は「悪い」と判断します。そして、礒崎議員は「日本にとって良いことを日本国憲法がダメというはずはない」と言って、憲法にその責を負わせようとしていることに憤りを覚えます。憲法を大切にしているように見えて実はそうではない、これが東大話法+霞が関文学の真骨頂です。その証拠に彼は憲法改正についても言及しています。

 更には「法的安定性は関係ない」という発言もしています。現実の前には憲法など蔑ろにされても良いということですが、これは太平洋戦争中に総理大臣・陸軍大臣・参謀総長を兼ねた東条英機と同じ心性です。憲法上問題があっても、現実はひっ迫しており、憲法を蔑ろにする方策を実行するとということです。このように書くと、「憲法を守って国が亡んでもよいのか」という極論を言う人が出てきますが、現在の日本国憲法で十分に対処できることに対して、脅威の過度な強調(exaggeration of threat)を行い、憲法を骨抜きにする一種の「クーデター」の方がよほど亡国の行為といえます。 

 

 礒崎議員は来年の参議院議員選挙で勝利し、自民党だけで参議院の過半数を握り、憲法改正を進めたいとしています。いよいよ憲法を改正して、よりアメリカの属国化とアメリカの肩代わり(アメリカ陸軍は4万人削減し、米軍全体の予算も削減されます)を進めようとしています。来年改選を迎える自民党議員は49名(選挙区12名、比例:37名)ですが、この数を57名にすると自民党の単独過半数となります。私は自民党の単独過半数、そして、自公での過半数は憲法改正の一里塚になりと思いますので、それは何とか潰えて欲しいと考えています。「何か危険だな」「自民党感じ悪いよね」「公明党は何をやっているのか」と思われる皆さんには是非投票を、出来たら自公と維新や次世代以外に投票して下さることを願っております。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「憲法解釈変更「法的安定性は無関係」 礒崎首相補佐官」

 

朝日新聞電子版 20157261904

http://www.asahi.com/articles/ASH7V5T5MH7VULFA004.html

 

■礒崎陽輔・首相補佐官

 

 憲法9条全体の解釈から、我が国の自衛権は必要最小限度でなければならない。必要最小限度という憲法解釈は変えていない。

 

 政府はずっと、必要最小限度という基準で自衛権を見てきた。時代が変わったから、集団的自衛権でも我が国を守るためのものだったら良いんじゃないかと(政府は)提案している。考えないといけないのは、我が国を守るために必要な措置かどうかで、法的安定性は関係ない。我が国を守るために必要なことを、日本国憲法がダメだと言うことはありえない。

 

 本当にいま我々が議論しなければならないのは、我々が提案した限定容認論のもとの集団的自衛権は我が国の存立を全うするために必要な措置であるかどうかだ。「憲法解釈を変えるのはおかしい」と言われるが、政府の解釈だから、時代が変わったら必要に応じて変わる。その必要があるかどうかという議論はあってもいい。

 

 来年の参院選は、憲法改正が絡む話でしっかりと勝たなければならない。参院もできれば、自民党で単独過半数を取りたい。その中で憲法改正を有利に進めたい。(大分市での国政報告会で)

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)










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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-07-29

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




 

 古村治彦です。

 

 アメリカの外交専門誌『フォーリン・ポリシー』誌に小野寺五典代議士(自民党)・元防衛大臣(第二次安倍内閣、2012―2014年)のインタヴュー記事が掲載されましたので、ご紹介します。

 

 小野寺議員が韓国について懸念を持っていること、そして日本の防衛関係者たちがアメリカの無人戦闘機(ドローン)グローバル・ホークの導入を目指していることが分かります。

 

==========

 

「日本は独力で平和を守り、維持できない(‘Japan Alone Cannot Guard or Sustain Peace’)」

―フォーリン・ポリシー誌は日本の元防衛大臣と中国の平和的台頭に対峙するための日本国憲法の再解釈について語った

 

アイザック・ストーン・フィッシュ(Issac Stone Fish

2015年6月16日

『フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)』誌

http://foreignpolicy.com/2015/06/16/japan-alone-cannot-guard-or-sustain-peace-defense-minister-itsunori-onodera/

 

朝鮮半島での動乱について語る際、多くの人々は北朝鮮に言及するが、韓国に言及する人は少ない。

 

 しかし、2014年9月まで防衛大臣を務めた小野寺五典は、韓国政府の北朝鮮に対する「挑発的な」行動について懸念を持っている。

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 日本の国会議員である小野寺は、日本の防衛政策に深く関与している。その中には、日本国憲法の再解釈を巡る議論も含まれている。日本国憲法の再解釈が可決されれば、日本はより行動的な軍隊を派遣することが出来るようになる。

 

 6月15日、国会内の彼の事務所で、『フォーリン・ポリシー』誌のアイザック・ストーン・フィッシュが小野寺にインタヴューを行い、日本のドローン使用、朝鮮半島における緊張、中国が平和的に台頭すると確信しているかどうかについて質問した。

 

 インタヴューは通訳を介して行われた。そして、インタヴュー内容を明確にするために編集し、要約を施している。

 

 フォーリン・ポリシー誌:この5月、金正恩が国防部長を粛正した。貴方は、北朝鮮の不安定さについて懸念を持っているか?

 

 小野寺五典:金正恩は最近も北朝鮮の防衛に関わる幹部たちを粛正していると私は聞いている。状況を判断するのは難しい。こうした行動が金正恩の権力基盤を強化するのか、それとも北朝鮮の軍部内部に不安定さが存在するのでこうした出来事が起きたのか、判断できない。

 

 しかし、私が懸念を持っているのは、韓国から北朝鮮に対してのやや挑発的な態度である。

 

 韓国の朴槿惠大統領は現在、北朝鮮を標的にするミサイル発射テストの実施を考え、そのための調査を行っている。これは最近の新しい動きである。私たちの懸念は、これが北朝鮮に対する挑発にならないかということであり、挑発にならないように願っている。

 

 韓国国内における混乱と人々の不満からの反政府行動もあり、朴大統領の支持率は低下し続けている。私は朴大統領が強制的な手段に訴えないことを願うばかりだ。

 

フォーリン・ポリシー誌:憲法の再解釈に関する国会における議論の最新の内容について教えて欲しい。

 

小野寺五典:日本は単独で平和を守り、維持することはできない。従って、平和を維持する目的のために、私たちはアメリカとの同盟関係を深化させている。同誌に他国との友好関係を強化している。

 

 アメリカとの間には安全保障条約があり、アメリカは日本を日本とともに共同防衛する責任を負っている。

 

 その前提条件として、当然のことながら、日本の自衛隊は日本を防衛しなくてはならない。しかし、現在の法制上では、日本の自衛隊は日本を防衛するアメリカ海軍に対して十分な防衛を与えることはできない。

 

 実際、アメリカ海軍の船舶が攻撃されたとして、公海上でこの船舶を防衛することは集団的自衛権の行動であると見なされるであろう。

 

 そして、ある国がアメリカを攻撃し、日本の領空城を越えてアメリカに向けてミサイルを発射した場合、現在の法制上では、このミサイルに対して日本は反撃を加えることはできない。

 

 アメリカ海軍の船舶に対する攻撃が日本の安全保障に重大な結果をもたらすような場合にのみ、日本は集団的自衛権を行使することになるだろう。こうした制限された条件と状況の下でのみ、だ。

 

フォーリン・ポリシー誌:6月14日、私は国会の外に多くの人々が集まり、安倍晋三首相と彼の憲法改正計画に抗議している様子を見た。アメリカ政府は日本政府がこの憲法再解釈計画を可決できないのではないかと考えるべきだろうか?

 

小野寺五典:この法案がある程度の時期を経て可決されることに何の問題もないと私は考えている。安倍首相が述べているように、この夏までに法案が可決されると私は確信している。遅くとも8月末までには可決される見込みだ。しかし、もしかしたら9月にまでずれ込む可能性もある。

 

フォーリン・ポリシー誌:日本が憲法改正に成功すれば、日本は中東地域においてアメリカを助けることが出来ると言えるか?

 

小野寺五典:憲法の再解釈によって、アメリカの中東での活動を日本が実質的に助けることが出来るようになると考えない方が良い。

 

フォーリン・ポリシー誌:外交儀礼として、日本政府は中国政府に対して憲法改正について連絡をしているのか?

 

小野寺五典:外交レヴェルで、日本政府は近隣諸国に説明をしており、その中には中国も含まれていると聞いている。

 

フォーリン・ポリシー誌:現在の日中関係は冷戦状態、もしくは冷戦状態に入る危険性を持っていると考えるか?

 

小野寺五典:その答えはノーだ。私は現在の状況を冷戦状態とは言えないと思う。しかし、日本だけではなく、他の複数の東南アジア諸国も中国の行動を注意深く監視している。

 

フォーリン・ポリシー誌:中国は「平和的な台頭」と「協調的な社会」を主張しているが、他の近隣諸国は中国を信用していると思うか?日本政府は中国を信用しているのか?

 

小野寺五典:他の近隣諸国も日本も中国を信用してはいないと思う。しかしながら、どの国も経済面においては中国と友好関係を築きたいと考えていると思う。

 

フォーリン・ポリシー誌:2013年9月に私たちは話し合ったが、それ以降、尖閣諸島を巡る状況は悪化しているのか、それとも改善しているのか?

 

小野寺五典:あの時点以降、何も変わっていない。中国の一般の船舶が複数回日本の領海内に入ってきてはいるが、中国海軍との間で事件は起きていない。

 

フォーリン・ポリシー誌:日本は現在、尖閣諸島のパトロールにドローンを使用しているか?

 

小野寺五典:最近、調査と監視を目的として普通の飛行機を使用している。現在のところ、日本が尖閣諸島のパトロールのためにドローンを使う計画を持っていないと思う。

 

 しかし、日本はドローンを有効に使用する意図は持っている。現在アメリカが使用している「グローバル・ホーク」を将来は導入することになるだろう。グローバル・ホークはより広い地域の調査とパトロールを行う際に有効である。

 

フォーリン・ポリシー誌:現在、中国は尖閣諸島のパトロールでドローンを使用しているのか?

 

小野寺五典:そうした動きが起きているというサインがあると私は聞いている。しかし、詳細については聞いていない。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12


⑦最後に

 

 自民党の憲法改正草案には、微妙なしかも目に見えにくい仕掛けがいくつもしてあって、素人には見抜けない落とし穴がいくつもあります。憲法草案作りに参加した自民党の政治家たちの多くが高級官僚出身者たちです。官僚たちのずるい言葉遣いを「霞が関文学」と揶揄しますが、自民党の憲法草案はまさに霞が関文学の傑作です。こうした落とし穴に嵌らないために、プロによる解説や批判を読むことは大変に重要なことです。

 

自民党の改憲草案に対しての批判は、つまるところ、立憲主義についての無理解と人権擁護の後退・義務の強化にあると思います。立憲主義と人権擁護は憲法にとって普遍的な要素です。少なくとも世界の先進諸国と呼ばれる国々の憲法はこれらを根本要素にしています。自民党の改憲草案はそれらが欠如している、もしくは稀薄であるという点で、世界の普遍性を無視した憲法草案と言うことができます。

 

 安倍晋三首相や麻生太郎財務相(元首相)は「自由の弧」「価値観外交」という言葉を使います。同じ価値観を持つ国々で連携しましょうということですが、本当のところは中国包囲網をやりましょうという意味です。しかし、国の形(Constitution)を決めるのに、こうした復古調、世界の普遍的な要素を否定する日本に対して、世界の先進諸国が「同じ価値観を持っている仲間だ」と考えてくれるものでしょうか。私はそうは思いません。国の根幹が違うのに、仲間だと思ってもらえる訳がありません。

 

 自民党が提出している改憲草案は包括的なものですが、一番の狙いは現在の日本国憲法第9条を変更して、自衛隊の海外派兵を容易にし、その派兵先で戦闘行為ができるようにするというものだと私は考えます。憲法9条が落とすべき本丸で、他の復古調の部分はできたらやる、出来ることを期待していないという程度のものではないかと思います。これは、アメリカによる日米軍事力共同運用(自衛隊の米軍下請化)だけはどうしても進めたいということだと思います(アメリカとしてはその副作用で安倍政権みたいなのができて少し困っていると思いますが)。

 

 アメリカは現在、財政は厳しいですし、一番の金食い虫であるアメリカ軍を削減従っています。しかし、世界の覇権を逃したくはないし、台頭している中国にはアメリカ国債を買っては貰っているが、できたら台頭を抑えたい、少なくとも邪魔したいと思っています。そこにあるのが日本です。日本が自衛隊を米軍と一緒に動かせるようになれば、中国に対しての立派な「かませ犬」になります。アメリカは自国の軍事力の一部を日本に肩代わりさせることができます。そうした流れの中の改憲というのは正しいことでしょうか。私はそう思いません。今の憲法を変える緊急の必要性はないと考えます。

 

 日本国憲法には足りない部分はあるでしょう。それら改正すべきところを改正するのではなく、9条に的を絞った改憲というのは国民の多くが望まないものです。いくら危機を叫んでみても、国民もそこまで馬鹿ではありません。しかし、完璧でもありませんから、やはり冷静になってしっかりと自分の頭で考えるようになることが重要だと思います。ポイントをつかみ知識を得れば、それだけで自分たちのことを最終的に守ることになります。そして、どれだけ面倒くさくてもやはり考え続けること、疑い続けること(師である副島隆彦先生は常に疑うことを基本にし、弟子たちにもそのことを教えています)だと思います。

 

 憲法は英語でconstitutionと言います。このconstitutionという言葉には、日本語で「構造、構成」の意味があります。憲法は法律の中でも最高の「私たちが生きる国の形」を定めたものです。それが現実に合わなくなっているので変えることはあるでしょう。日本国憲法には憲法改正に関する条文があります。ですが、あまりに安易に変えることはできないようになっています。自民党はそれを変更し、9条を変更しようとしています。今の憲法下でベストを尽くすことなく、あらゆる手段を用いて、「衆議院と参議院の総議員数の3分の2の賛成を得て発議し、国民投票を行う」ということを行おうとしません。これまでもしてきませんでした。そして、憲法を変える要件だけを変えようとしています。

 

 繰り返しになりますが、憲法を変えた方が良い、憲法を変えない方が良いと色々な意見があります。私の周りでも自分の意見を述べる人はいます。それぞれ自分なりに考えた意見だと思います。ですが不誠実なやり方で憲法を変えるということは、改憲を主張する人々も望んではいないでしょう。なぜなら、そのような不誠実なやり方で変えられた憲法には正当性など存在しないのですから。
 

  

(参考文献)

 

小林節著『「憲法」改正と改悪 憲法が機能していない日本は危ない』(時事通信社、2012年)

伊藤真著『憲法問題 なぜいま改憲なのか』(PHP新書、2013年)

伊藤真著『憲法は誰のもの? 自民党改憲案の憲章』(岩波ブックレット、2013年)

小林節著『白熱講義! 日本国憲法改正』(ベスト新書、2013年)

小林節、伊藤真著『自民党憲法改正草案にダメ出しを食らわす!』(合同出版、2013年)

舛添要一著『憲法改正のオモテとウラ』(講談社現代新書、2014年)

 

(終わり)




 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12

 

古村治彦です。

 

 4月末から5月初めにかけて大型連休(ゴールデンウィーク)がありました。5月末に刊行される『野望の中国近現代史 帝国は復活する』(オーヴィル・シェル、ジョン・デルリー著、古村治彦訳、ビジネス社、2014年)の仕事が一段落し、かねて関心を持っていた憲法問題、改憲について自分なりに勉強しようと思い(憲法記念日もありましたので)、以下に挙げた参考文献を読みました。憲法の授業は大学学部時代に受講したのですが、中身は全く覚えていません。熱心な学生でもなく、何とかお情けで単位を貰えたくらいでしたので、大学時代の先生はきちんと教えて下さったと思いますが、改めて勉強することにしました。「若い時にきちんと勉強しておけばよかったな」という後悔もありますが、年齢を重ねたことで理解力は増しただろう(記憶力は減退したのは確実ですが)、ということを頼りに勉強しました。

 

 私が選んだ文献は筆者が偏っていると思われるかもしれません。ですから、私の理解は一面的な、「偏った」ものかもしれませんが、しかし、個人の考えは不可避的に「偏る」ものであり、全く同じということもないのですから、それは自然であり、当然であると考えます。前置きが長くなりましたが、私が納得し、納得したことを基にして考えたことを以下に書いていきます。

 

 自民党の憲法改正草案というものが2012年に発表されています。私が読んだ本の著者たちはこの自民党の憲法改正草案を叩き台にして

 

①立憲主義(Constitutionalism

 

 どの本の筆者もまず掲げているのがこの「立憲主義」という言葉です。この言葉について、それぞれの筆者が分かりやすく言い換えていますが、立憲主義とは「人々の人権を最大限擁護し、国家が暴走しないように憲法で国家を縛る」ということです。憲法擁護遵守義務が公務員にのみ課せられているのはこのためです。憲法は国民が国家に与える縛りということです。国家が国民を縛るものではありません。他の法律は国民を縛るものです(国民の代表である政治家が主権者である国民を縛る法律を作ります)。ですから、憲法に国民が果たすべき義務というのは少ないのも当然です。現在の日本国憲法では、「納税、勤労、教育を子女に受けさせる」の3つが国民の義務となっています。ただ、人権に関しては、濫用しないように、「公共の福祉に反しないように」という条文があります。

 

②義務と権利

 

 「近頃の日本人は過度の個人主義と行き過ぎた権利意識のためにダメになっている。それが社会に反映されている」という主張があります。自民党の憲法改正草案作りにもそうした考えが反映されているようです。「権利と義務は表裏一体だから、責任感を持て」という主張をする人々もいます。そして、自民党の改憲草案には国民の義務規定がたくさん入っています。しかし、小林節教授も伊藤真氏もこの点について、「それは違う」と指摘しています。ある個人が権利と義務を一体として持たない場合はいくらでもあるということ、そして、憲法は国を縛ること、国に義務を課すことが目的で作られたものであり、国民に義務を課すためのものではないと指摘しています。この点は良く議論されるところですが、両氏の指摘は大変に説得力がありました。

 

③愛国心のような心情、信条の問題

 

 自民党は2005年にも憲法改正案を出しているのだそうです。この時は「愛国心」を持つことを義務化するような条文もあったそうですが、小林節教授、伊藤真氏は「心」の問題に憲法が踏む込むべきではないとしています。国民が国を愛する心を持つのは強制ではなく、自発的であるべきで、政治家はそのために努力をしなければならないのに、憲法に書いて強制するという愚挙を行うのは大きな間違いだと両氏は指摘しています。また、どうしても愛国心を持てない人々が少数派になってしまう場合もあります。そうなると、憲法を基にしてそうした人々を弾圧することも可能となります。人権尊重を重要な要素とする憲法が人々を弾圧する道具になってしまうのはおかしなことです。また、そのような危険性は低いとなっても、そうした可能性はできるだけ排除しておくことが必要ではないかと思います。

 

④「公益及び公の秩序」という言葉

 

 自民党の改憲草案には「公益及び公の秩序」という言葉が多く出てきます。伊藤真氏はこの点を警告的に指摘しています。これに反する表現の自由も結社の自由も認められないということになります。ここで出てくる「公」という言葉がなかなか曲者です。英語ではpublicがその意味になると思いますが、私はこれを「人々の」と訳したいと思います。しかし、自民党的な使い方では、state-centeredgovernment-orientedになるのではないかと思います。国家や政府の利益、それらにとって好ましい秩序ということになるのではないかと危惧します。

 

⑤自衛権

 

 自民党の改憲草案には、自衛権が明記されています。そして、自民党の説明では、「自衛権という言葉には、個別的自衛権と集団的自衛権が両方含まれており、それは自明のことである」としています。ここまでは分かりますが、自民党は、「集団的自衛権を日本は持っているのだから、それに制限をつけて行使することは何も問題はない」という姿勢です。国民の1人として、「自衛権には、個別的自衛権と集団的自衛権が含まれていて、それらは全く別のもので、集団的自衛権は行使しないという今の立場を維持すべきだ」と私は考えます。その理由については、このブログで自衛権について考えたことを書きましたので、そちらを参照していただければと思います。

 

⑥その他に興味深かったこと

 

伊藤真氏は、自民党の憲法改正草案の中で、「個人」という言葉ではなく、「人」という言葉を使っている点を指摘しています。これはそれぞれ全く違う、同じ人はこの世に2人といない個人を大切にするという考えから、人という一括りの言葉にすることで、個性や個人の人権を軽視するための言葉遣いではないかと伊藤氏は指摘しています。「そんなの考え過ぎじゃないの」と言う方もおられると思いますが、それならば、自民党は、個人の人権を尊重する立場を明確にし、「個人」という言葉を使えば済むだけの話です。こうして、微妙な言葉遣いの中に色々と落とし穴を仕掛けているのが、自民党の改憲草案だなという印象を持ちました。そして、少し考え過ぎるくらいに慎重にそして批判的に見ていかねば、そうした落とし穴に嵌ってしまうのだろうなと感じました。

 

また、伊藤氏は、住民投票について、レファレンダムとプレシビットとの違いを指摘しています。レファレンダムとは、憲法改正や国の重要な政策を対象とした国民投票のことを指し、プレビシットとは、執権者に対する信任を問う、国民投票のことを指します。フランスではドゴール大統領時代にプレシビットがあったそうです。ドゴール大統領が政策を提案し、それについての国民投票が行われたそうなのですが、実質的にはドゴール台帳量を支持するかどうかが争点になったのだそうです。このプレシビットになってしまうと、

 

日本国憲法は「硬性憲法(改正のための要件が厳しい)」で改正しにくいという主張があります。自民党もこの点を強調し、「国民の意思が反映されにくい、だから発議要件を3分の2から過半数にするべきだ」と主張しています。私も「衆議院、参議院で国会議員の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票というのは確かにハードルが高いよな」と思ってきました。しかし、こうした主張はただの誇張に過ぎません。小林節教授も伊藤真氏も指摘していますが、他の先進諸国の場合、憲法改正の要件が日本よりも厳しい国がいくつもありますが、それらの国々では憲法改正が行われています。小林、伊藤両氏は、「憲法とは基本的に硬性であること、そして、日本の場合、国民が憲法改正の必要性を感じることがなかったので憲法改正が行われなかったのだ」と指摘しています。私には、両氏の主張には、目から鱗が落ちるような感じを覚え、説得力があると感じました。

(つづく)





 

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