古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:政治献金

 古村治彦です。

 古い記事で恐縮だが、今回の大統領選挙の政治献金についての記事を紹介する。簡単に言えば、エリートはバイデンに献金し、非エリートはトランプに献金したということだ。民主党は貧しい人々やマイノリティのためのリベラルな党、共和党はお金持ちのための保守的な党、という色分けを子供の時に習った。私が子供時代の1980年代のことだが、「共和党は自民党で、民主党は社会党みたいなもの」と教えてくれた大人がいた。「日本の社会党は選挙でいつも自民党に負けているのに、アメリカの民主党は選挙で共和党に勝ったり負けたりしているのはどうしてなのか」と不思議に思ったことを覚えている。

 献金から見ると、そうした単純な色分けは既に破綻している、意味をなしていないということになる。バイデンに献金しているのは安定した大企業で働いている人々や政府機関の人々だ。一方、トランプに献金しているのは不安定な自営業者や労働者たちだ。「弱い者の味方」であるはずの民主党が本来ならば支持基盤としなければならない人たちがトランプの応援をしている。前回紹介した記事でも取り上げていたが、白人労働者階級とラティーノ系の有権者の民主党への支持が低調、ということはこの献金の面からも分かる。大企業や政府機関で働いている人々に比べ、自営業者や労働者は景気の影響をモロに受ける。

 新型コロナウイルス感染拡大のために景気が低迷して影響を受けるのはそうした弱い人々だ。そうした人々にとって経済政策で全く期待できないバイデンを応援する理由はない。バイデンは新型コロナウイルス感染拡大対策と景気対策という難問を引き受けるだけの能力があるとは誰からも思われていない。彼は選挙が終われば用済みで、「早くカマラが大統領に昇格しないかしら」と、大金持ちの老人が子供たちや親せきから思われているようなことを期待されている始末だ。12月中の選挙人による投票がどうなるか、最高裁での判決がどうなるかということはもちろんがあるが、もしバイデンが大統領に就任しても、こんなに悲しい船出をするアメリカ大統領がかつていただろうかと暗澹たる気持ちになる。

 そして、共和党と民主党のアイデンティティの逆転現象はアメリカ政治研究にとって非常に興味深いテーマとなる。ポピュリズムと似非リベラリズムとの戦い、これがアメリカ衰退の時期に起きた。いよいよ店じまい、そのような感じだ。

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トランプとバイデンに最も多く寄付した被雇用者(従業員、社員、職員)たちは誰か(The Employees Who Gave Most to Trump and Biden

ジャッキー・グー筆

2020年11月3日

『ブルームバーグ』紙

https://www.bloomberg.com/graphics/2020-election-trump-biden-donors/

2020年大統領選挙で使われた選挙資金の額は史上最高記録を更新している。そうした状況下、アメリカの労働者たちによる政治献金は、アメリカの雇用者(企業、組織、団体、政府)と職業の人たちの間での政治的な姿勢を示すスナップショットとなっている。

ブルームバーグ・ニュース社による、インターネット献金プラットフォームである「悪とブルー」と「ウィンレッド」が発表した献金データの分析によると、バイデンに献金した雇用者とその労働者たちのほとんどは、各大学から連邦政府、IT関連企業が含まれている。一方、トランプへの最大の献金者たちには配送企業、ウォルマート、米軍が含まれている。

この分析における被雇用者(従業員や職員)の中で、トランプに献金した被雇用者たちが雇用者(企業、組織、団体、政府)として名前を上げたで最も多かったのが、ニューヨーク市警察とアメリカ海兵隊であった。約70%がトランプ陣営に献金を行った。バイデンへの献金の中で、最も多く献金した雇用者は、フェイスブック社とワシントン大学であった。また、これらに属している被雇用者で政治献金を行った人々の内、97%がバイデンに献金を行った。

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どの雇用者(企業)がバイデン、トランプに献金しているか(それぞれの陣営に献金した被雇用者が多い雇用者100)

センター・フォ・リプリゼンティティヴ・ポリティックスの報告によると、2020年の大統領選挙の支出額は総額で66億ドル(約6860億円)以上になると見られている。4年前の倍額になる見込みだ。民主党のジョー・バイデンは10月14日までの時点で、陣営への個人献金を約10億ドル集めている。ドナルド・トランプ大統領は約6億ドルを集めている。

2020年、選挙陣営にとってインターネット上の献金プラットフォームは重要な資金集めの道具となった、特に新型コロナウイルス感染拡大のために対面での献金集めが制限される中で、重要な役割を果たした。民主党はアクトブルーを使った献金集めで有利なスタートを切ったが、ウィンレッドは、トランプ大統領が支持者たちに使用を促したことで、急速に重要性を増していった。これらのプラットフォームは少額の献金者の増加に大きく貢献した。

アクトブルーとウィンレッドを通じた被雇用者の献金について、ブルームバーグ・ニュース社の分析は、全ての個別の献金については説明はできていない。そして、今年の選挙で失業中の人々がどれだけの額を献金したのかについて考慮されていない。しかし、今年の選挙で、2つのプラットフォームでの献金は献金総額の57%を占めている。この分析によって、200ドル以下の献金者の動きを大まかに掴むことができ、こえは連邦選挙管理委員会の様々な報告の内容に反するものでもない。

トランプは徐々に肉体労働者たちからの支持を上げていった。自身の職業を牧場主と自己申告した献金者の84%、建設労働者の75%がトランプに献金した。大学教授、学部長、大学職員の大多数はバイデンに献金した。

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誰が誰に献金しているのか(それぞれの陣営に献金している100の職業)

ウィンレッドを使ってトランプに献金した1万9000名以上が自分たちの職業として挙げていたのが、「ホームメイカー(家事労働者、家政担当者)」であった。アクトブルーを使ってバイデンに献金した人々に比べて900名以上少なかった。トランプ陣営に献金した人の中で職業欄に「妻」という言葉を入れた人の数は、バイデン陣営に献金した同様の人々に比べてほぼ5倍となった。非営利団体に勤務している人の中で、トランプ陣営に献金をした人の割合は4%にとどまった。一方、牧場経営者の84%がトランプに献金を行った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 

 アメリカ政治で動くお金は膨大な額になります。アメリカの政治家たちが集める政治献金額は桁外れです。全米規模の大統領選挙となれば、選挙運動のための移動や事務所設置、更にはテレビコマーシャルのためにお金はいくらあっても足りません。

 

 今回は2019年第二四半期の政治献金額についての記事をご紹介します。注目は2019年4月末に出馬宣言を行ったジョー・バイデン前大統領がどれほどの政治献金を集めるかという点にありました。結果としては二カ月強で2150万ドルを集めたのでさすがということになりますが、期待外れだったという声をもあります。

 

 民主党の候補者の中で最高額を集めたのはインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジで2480万ドルでした。ブティジェッジは2019年3月末からメディアの注目を集め始め、CNNでのタウンホールミーティング形式の番組での当意即妙かつ丁寧なやり取りが評判となり、支持率ゼロの無名候補から一気に支持率上位の有力候補に駆け上がりました。献金額も有力候補にふさわしいものとなりました。


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 バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)とエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は1人からの多額の政治献金や企業などからの献金を断る姿勢を打ち出し、「草の根」レヴェルでの資金集めにこだわっています。それでもそれぞれ1800万ドル、1900万ドルの資金を集めているのはさすがということになります。

 

 カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は1200万ドルの政治献金を集めたということですが、1回目の討論会の後に24時間で200万ドルを集めたということで、討論会での出来不出来が政治献金集めに大いに関係してくるということになります。

 

 アメリカでは政治家が演説や有権者とのやり取り、他の候補者たちの討論でうまくやればお金が集まるという形になっています。アメリカの政治家たちは言葉を武器にして戦っているということが明白に分かります。日本でこれに匹敵するのは山本太郎氏くらいでしょう。後の大政党の政治家たちで言葉を武器にして人々の支持とお金を集めることが出来る人というのは残念ながら日本には見当たりません。

 

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政治献金レースでブティジェッジがトップとなっているがウォーレンがレースを激化させている(Warren heats up 2020 money race as Buttigieg tops field

 

マックス・グリーンウッド筆

2019年7月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/452078-warren-heats-up-2020-money-race-as-buttigieg-tops-field

 

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジと前副大統領ジョー・バイデンが2019年第二四半期の政治献金レースでトップとなることが確実となった。しかし、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は草の根レヴェルでの献金で注目を集めている。その結果、支持率上位の候補者たちの間での政治献金レースが白熱したものとなっている。

 

大統領選挙民主党予備選挙候補者たちは2019年第二四半期の政治献金について2019年7月15日までに連邦選挙管理委員会に報告しなければならない。候補者の中には、報告期限よりも早く政治献金額を発表しようとしている。これは自分の政治献金の基盤を誇示し、今年後半の政治献金集めを拡大しようという狙いがある。

 

ブティジエッジが2019年第二四半期の政治献金レースでトップになると見られている。ブティジエッジの選対は今月(7月)初めに、2019年第二四半期で29万4000名から2480万ドルを集めたと発表した。この額は2019年第一四半期の献金額の3倍以上となった。

 

民主党系のストラティジストで、2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントン元国務長官の側近を務めたアダム・パークホーメンコは、「今年の1月の時点で多くの人々が予想したよりも多くの資金をピート市長は手にしているということは明白だ。彼は選挙戦において自分の立場を確立した」と述べた。

 

一方、バイデン選対は、バイデンが4月末に正式出馬表明をして以降、2150万ドルの献金を集めたと発表した。結果としてバイデンは2019年第二四半期において政治献金の面でトップ2に入ることになった。しかし、献金者の中にはバイデンは2500万ドル弱を集めるだろうと予測していたが、それよりも少ない額となった。

 

しかし、ウォーレンとバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は草の根レヴェルでの政治献金の分野で話題を独占している。

 

先週、サンダース選対は2019年第二四半期で100万名以上の献金者から1800万ドルを集めたと発表した。2019年第一四半期で集めた1820万ドルとほぼ同じ額を集めた。サンダースは他の選挙運動の口座からの600万ドルを加えて2400万ドルを集めたと報告することになると見られている。

 

サンダース陣営の責任者ファイズ・シャキールは先週、サンダース派2019年7月15日の報告期限での報告の際に、手元に3000万ドルを持っていると報告することになると述べた。

 

ウォーレンは政治献金を受け付ける際に最も厳しい制限を設けている。2019年第二四半期の政治献金について最新の報告者となった。月曜日、支持者たちへのEメールの中で、4月以降の政治献金の総額は1900万ドルだと報告することになると述べた。この額は第一四半期の3倍以上となった。

 

支持率トップ5の候補者の最後となっているのが、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)で、金曜日に2019年第二四半期で約1200万ドルを集めたと発表した。

 

ハリスは他の有力候補者たちに後れを取っているが、先月の討論会で好印象となったために2019年第二四半期の最後の方になって政治献金額が急増した。討論会においてハリスは支持率トップのバイデンに対して、1970年代に連邦上院議員時代のスクールバス問題についての姿勢を非難した。

 

ハリス選対は、討論会の後の24時間でインターネットを通じて200万ドルの献金があり、その州の週末には更に120万ドルの献金があったと発表した。

 

政治献金額は民主党の指名候補になるまでの長期の選挙運動に必要不可欠な資金をどの候補者が持っているかについて私たちにヒントを与えることになる点で重要なものである。

 

しかし、政治献金額に関しての戦略はそれぞれで変わってくる。バイデンの場合は、民主党を古くから支援してきた大口献金者たちのネットワークの深いつながりを利用しようとしている。

 

一方、サンダースとウォーレンは政治における大口献金を警戒している。ウォーレンは高額の政治資金集めを行わないと宣言している。サンダースは高額な参加費が必要なイヴェントを開催せず、「草の根資金集め」と呼ばれるイヴェントを開催している。このイヴェントの参加費は低額となっている。サンダース選対は、2019年5月にサンフランシスコで開催したイヴェントでは総額8万ドルを集めたと発表した。

 

他方、ブティジエッジは大口献金者からの献金を求める努力と草の根の献金との間にある分裂をつなげようとしている。ブティジエッジは2019年第二四半期で高額の資金集めイヴェントを約50回開催した。一方で、ブティジェッジは約30万名の献金者から平均47ドル42セントの献金を集めている。

 

少なくとも2つの陣営の幹部たちは高額の献金を求めることにはリスクがあると述べている。個人は予備選挙において1人の候補者につき最大で2800ドルまでの献金をすることが認められている。限度額ぎりぎりの高額献金を行う献金者たちは短期間で金額を増加させるのには役立つが、政治資金の安定したソースとなる訳ではない、と幹部たちは述べている。

 

サンダース陣営の上級顧問ジェフ・ウィーヴァ―は先週次のように語った。「候補者たちの多くは手渡される2800ドルの小切手に過剰に依存している。2800ドルの小切手は一度きりの献金だ。より低額の献金に依存するモデルの場合、長い期間を通じて献金を促すことが出来る」。

 

トランプ大統領の集めた政治献金額に近い額を集めた民主党の候補者は誰もいないと見られている。トランプ選対は先週、大統領の共同資金集め委員会と共に、5400万ドルを集めたと発表した。

 

他の候補者たちの政治献金額はより少なくなるだろうと見られている。

 

モンタナ州知事スティーヴ・バロックは2019年第二四半期200万ドルを集めたが、彼は5月に出馬宣言をしたばかりで、他の有力候補者たちに比べて資金集めのための時間は少なかった。

 

そして、マイケル・ベネット連邦上院議員(コロラド州選出、民主党)は5月2日に出馬宣言をしてから350万ドルを集めた。その中には連邦上院議員選挙で残った70万ドルも含まれている。

 

多くの候補者たちの選対は2019年第二四半期の政治献金総額をまだ発表する必要はない。そして、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)のような、政治献金集めに熟練している候補者が順調に集めているか、それとも後れを取っているのかということがまだ分からない状況であり、こうした候補者たちはまだ支持率上位の候補者についていっている段階なのである。

 

ヒラリーの側近だったパークホーメンコは、他の候補者たちにも討論会でのパフォーマンが受けて政治献金を増やす人たちが出てくるだろう、フリアン・カストロ前住宅・都市開発長官やコーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)などにはその可能性があると述べている。

 

パークホーメンコは次のように述べている。「政治献金に関しては、あまり重要ではない程度の問題だと私は考えている。あまりに早く白熱すべき種類のものではない。多くの人々はレイバーディ(9月第一日曜日)の頃まで政治献金について関心を持つことはないだろう」。

 

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隠された十字架 江戸の数学者たち

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