古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:新型コロナウイルス

 古村治彦です。

 今回は少し古い記事になるが、『ニューヨーク・タイムズ』紙の大統領選挙情勢分析記事をご紹介する。ニューヨーク・タイムズは記事の中で、ミシガン州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州、フロリダ州、アリゾナ州、ノースカロライナ州を激戦州として、その情勢を紹介している。全体としては、バイデン贔屓の内容になっている。トランプ大統領に不利な点をいくつも挙げている。白人で大学の学位を持っていない有権者が2016年のトランプ勝利の原動力となったがその層での支持が下がっているということを指摘している。しかし、私はここで、トランプ大統領に有利な点について考えてみたい。

 トランプ大統領の有利な点はやはり現職であるという点と、経済運営に関しては評価が高いという点だ。アメリカでは現在も新型コロナウイルス感染拡大が続いており、新型コロナウイルスに関しては最初の内は「中国の病気」であったものが、現在は南北両アメリカ大陸のアメリカとブラジルが最前線となっている。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、2020年の経済は世界規模で大減速となる。国際通貨基金(IMF)の予想では、世界規模ではGDPは8%の減少となり、アメリカのGDPも8%の減少ということになる。主要国でプラス成長となるのは中国で、それでも1%成長の予想だ。日本は5.8%のマイナス予想だ。ブラジルは9.1%マイナスの予想だ。そうした中で、やはり人々の関心は経済ということになる。

 ここで重要なのは、トランプ大統領の経済運営は有権者の間で評価が高いということだ。「新型コロナウイルス感染拡大で減速してしまった経済を立て直す」ということがこれからの課題となる。下の記事では経済よりも感染対策を優先して欲しいという有権者の数も多いとしている。特に、有権者の中でも投票率が高く、共和党支持が多い高齢者層でこの考えが多数を占めている。それが下の記事の表でも示されているように、高齢者層のバイデン支持につながっている。また、フロリダ州でトランプ大統領支持が下がっているのも、高齢者層のバイデン支持が理由である。フロリダ州は人生である程度以上の成功を収めた高齢者たちが移住して老後を暮らす場所だ。その人たちからすれば、「高齢者が新型コロナウイルスに感染したら死亡するリスクが高い。だから経済再開よりも拡大対策を重視して欲しい」ということになる。

 話がそれてしまったが、感染拡大対策(pandemic)と経済再開(reopening)は車の両輪のようなもので、どちらが大き過ぎても小さ過ぎてもうまくいかない。しかし、経済対策は現在でもやらねばならないし、収束を迎えたら一気に進めねばならないものだ。現在の経済対策と経済再開を本格化させる時期のことを考え「トランプが良いか、バイデンが良いか」ということになれば、トランプ支持が上がってくることは予想される。トランプ大統領はまた選挙までに思い切った経済対策を打ってくることも考えられる。

 また、下の記事では、トランプ大統領の対中国政策を支持する有権者も多いという指摘がなされている。最近になってマイク・ポンぺオ国務長官が中国に対して強硬な姿勢を示して中国側を動揺させている。激しい言葉遣いで歴代政権の対中国政策を批判している。これはもちろんトランプ大統領の許可を得てのことだが、トランプ大統領としては、ポンぺオが中心の「封じ込め政策派」とキッシンジャーを中心とする「関与政策派」を車の両輪として進めていくと考えているだろう。有権者に受けがよい対中国強硬姿勢を見せつつ、こちらが進み過ぎたとなれば引っ込めるという形で手綱を使って制御していくだろう。今回の対中国強硬姿勢は大統領選挙対策という面もある。

 一つ明確に言わねばならないことは、全国規模の世論調査でバイデンがトランプを大量リードしているという報道は話半分で聞いておくべきだということだ。確かにバイデン支持は高まっているという流れはあるし、それを示してはいるが、バイデンが圧勝するということは今の段階ではまだ言えない。アメリカ大統領選挙の情勢をより正確につかむためには、私が以前挙げた10州程度の激戦州の世論調査の数字を、世論調査自体の誤差も頭に入れながら見ていくことだ。そうすると、現状は接戦ということになる。全米50州とワシントンDCを全て見る必要はもちろんないし、そんなことはできないが、激戦諸州を見ていくことが重要だ。

(貼り付けはじめ)

世論調査で、トランプ大統領は6つの激戦州でバイデンから遠くおいていかれている(In Poll, Trump Falls Far Behind Biden in Six Key Battleground States

-トランプ大統領への白人有権者からの支持が減っている。これは各州で少なくとも6ポイントの支持率減少につながっている。

ネイト・コーン筆

2020年6月27日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2020/06/25/upshot/poll-2020-biden-battlegrounds.html

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『ニューヨーク・タイムズ』紙とシエラ・カレッジの複数回の共同世論調査の結果によると、トランプ大統領は6つの激戦州で支持を大きく落としている。2016年の大統領選挙でトランプ大統領はこれらの州で選挙人を勝ち取った。ジョセフ・R・バイデン・ジュニアはミシガン州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州でトランプ大統領に対して10ポイント以上の差をつけている。

トランプ大統領は白人有権者の支持で大きなリードを保っていたが、それがほぼ消え去っている。この状態が続くならば、トランプ大統領の再選は妨げられることになるだろう。バイデン前副大統領は白人の大学卒業生の間で21ポイントのリードを記録している。バイデン氏は白人の大学卒業生の有権者たちの間で21ポイントの差をつけている。そして、トランプ大統領は北部の激戦諸州において白人有権者の支持を失いつつある。2016年の大統領選挙でトランプ大統領は10ポイント近くの差をつけて勝利した。

4年前、トランプ大統領は白人の労働者階級が多い激戦州で無類の強さを発揮し、獲得選挙人数で勝利をしたが、一般得票数では敗れるという結果を出した。各種の世論調査の結果によると、トランプ大統領は全国規模の結果に比べて、比較的白人が多く住む激戦諸州では善戦を続けている。

今週水曜日に発表されたニューヨーク・タイムズとシエラ・カレッジの共同世論調査の結果によると、全国規模でバイデン氏が50%対36%で、14ポイントの差をつけている。

バイデン氏は選挙人333名を獲得して勝利する可能性がある。バイデン氏が調査の実施された6つの州全てで勝利を収め、勝利に必要な270名を大きく超えるものだ。4年前にヒラリー・クリントンはこれらで勝利を収められなかった。フロリダ州、アリゾナ州、ノースカロライナ州を含む6州のうちの3つの州の組み合わせでもバイデン氏は勝利を収めるだろう。

選挙まで4カ月強に迫った段階で、大統領が政治力を使って支持率を回復するための時間はまだ残っている。4年前の大統領選挙でも多くの機会をトランプ大統領は利用した。トランプ大統領は経済について優位な立場を保っている。今年の波乱が起きそうな選挙では、経済はいつもよりも重要な争点となるだろう。今回取り上げる激戦諸州に住む、どちらを支持するかまだ決めていない有権者の多くは共和党支持寄りであり、最終的に共和党の候補者であるトランプ大統領に投票する可能性は高い。

しかし現在の段階では、昨年10月以降、トランプ大統領の政治的な立場は急速に落ち込んでいる。昨年10月、本紙とシエラ・カレッジの複数回の世論調査の結果、バイデン氏は6つの州全体で2ポイントのリードをつけていることが分かった(現在のリードは9ポイントになっている)。それ以降、アメリカはいくつも危機に直面している。これまで再選を目指した大統領は多くいたが、トランプ大統領ほどいくつも深刻な政治上の問題に直面している人はいない。各種世論調査によると、激戦諸州の有権者たちは、トランプ大統領が支持を集めることに苦闘していると考えている。

概して言うと、激戦諸州に住む有権者の42%がトランプ大統領の大統領の仕事ぶりを評価しており、54%は評価していない。

これら6つの州は大都市、古くからの工業の中心、拡大し続ける郊外、農業地帯など様々な要素を含んでいる。これらを合わせて見ると、最近の諸問題についてのトランプ氏の対応についての総合的な判断をすることができる。最近の諸問題はアメリカの生活様式に影響を与えている。ウイルス感染拡大とジョージ・フロイドの死亡の後に起きた抗議活動へのトランプ大統領の対応は、新旧の激戦諸州での大統領の支持率低下の説明となる。

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アリゾナ州アパッチ・ジャンクションに住む83歳になるアラン・ラーソンは最近、メカニック・エンジニアの仕事から引退した。ラーソンはトランプ大統領就任直後から、トランプ大統領に投票したことを後悔し始めた。ラーソンは、トランプ大統領が、オバマ前大統領の実施したことを余りにも多く廃止しようとしており、素晴らしい人々を政権から排除しているが、何よりも感染拡大に対する大統領の対処が自分の考えを固めさせた、と述べている。

ラーソン氏はバイデン氏に投票する予定だ。ラーソンは次のように述べた。「彼はウイルスについて何もしていません。彼が大統領としてやってきたことについて、私は彼がやるべきことをやったとは考えません」。

最近起きている諸問題について、有権者のトランプ大統領への不支持は、アメリカの現状についての一般的な不満以上のものを反映している。トランプ大統領への不支持は、コロナウイルスの拡大を止めることよりも経済を優先させる、そして、刑法システム改革よりも法と秩序を重視する大統領の姿勢に対するより根本的な不同意を反映しているように見える。

有権者の過半数、63%が抗議活動の主張を認める大統領選挙候補者を支持すると答えている。抗議活動が行き過ぎているが、行き過ぎたデモに対して強硬姿勢を取る必要がある述べる候補者を支持すると答えた有権者は31%にとどまった。

失業率が二桁を記録しているが、これら6つの州の有権者の55%は連邦政府の優先順位はコロナウイルスの感染拡大を制限するものであるべきだと答えている。たとえそれが経済に打撃を与えても感染拡大を制限する方を優先すべきだと答えた。一方、連邦政府は経済を再開することを優先すべきだと答えたのは35%だった。最近になって失業した人々は、経済再開で最も得るものがある人々であるが、コロナウイルスの感染拡大阻止が政府の優先政策となるべきだと答えている。

トランプ大統領とミシガン州知事グレッチェン・ウィットマーとの衝突は、大統領が直面している挑戦を象徴している。トランプ氏は、ミシガン州知事の在宅命令に反対する抗議活動参加者たちに味方した。しかし、ミシガン州に住む有権者たちのうち、ソーシャル・ディスタンシングに反対する抗議活動について、57%が反対、37%が賛成だった。

現在までに、ミシガン州の有権者の59%がトランプ大統領のコロナウイルスへの対処に同意していない。この数字は激戦諸州で実施された世論調査の数字の中で最も高いものである。ミシガン州の登録済見有権者の約40%、その中には共和党支持の有権者の11%が含まれているが、この人々は感染拡大に関して、トランプ大統領は他の州に比べて自分たちの州の取り扱いをきちんとしていないと答えている。

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コロナウイルス感染拡大という事態がなく、より通常の状態の選挙であれば選挙の中心的な争点となるであろう諸問題について、トランプ大統領の支持率はより健全である。経済については、56%がトランプ大統領の仕事ぶりを支持している。支持していないのは40%である。この数字は大統領支持率の数字とほぼ逆になっている。激戦諸州の有権者たちは、経済についてはトランプ大統領はバイデン氏よりもより良い仕事をするだろうと答え、その差は10ポイント以上だ。また、中国との関係への対処についてはトランプ大統領の方がうまく行うだろうと答えている。

人々の記憶を消したり、大統領への支持を引き戻させることができる全国放送の討論会の準備をしたりする時間はまだ残っている。

フロリダ州オークランドに住む35歳のパン販売店の店長ジョー・クックは2016年の大統領選挙でトランプ大統領に投票したが、大統領のコロナウイルス感染拡大の対処に失望している。クックは、トランプ大統領は感染拡大の間も経済のシャットダウンを行うべきではなかったし、略奪者たちへの厳しい取り締まりは行うべきだったと述べている。

それにもかかわらず、クックはトランプ大統領を支持し続けている。それは、トランプ大統領がより低い税率と規制緩和を行っているからだと述べている。クック氏は「私の人生で言えば、より小さい政府はより良いことなんですよ」と述べた。

しかし、現在のところ、トランプ大統領に勝利をもたらした連合は深刻な縮小に直面している。ここ最近の選挙の人口面から見た分裂に沿った減少である。

トランプ大統領は2016年に彼に投票した有権者の86%の支持を維持しているが、この数字は昨年10月の92%に比べて下がっている。

対照的に、バイデン氏は厳しい戦いとなった予備選挙を経て、まとまった民主党の連合から出現してきた。4年前の選挙でヒラリー・クリントン夫人に投票した有権者の93%がバイデン氏を支持している。また、自身を民主党支持者と答えた有権者の92%の支持も獲得している。バイデン氏は2016年にトランプ大統領にもクリントン夫人にも投票しなかった有権者の間で大量リードを保っている。バイデン氏は、激戦諸州の有権者の中で二大政党以外の小政党の候補者や他の人の名前を書いた有権者の間で、トランプ大統領に対して35ポイントの差をつけてリードしている。

まとめると、有権者の記録を見ると、2016年の選挙に参加した有権者の間で、バイデンは6ポイントの差をつけてリードしている。同じ有権者たちで見ると、2016年の時点では、トランプ氏はクリントン夫人に対して2.5ポイント差をつけていた。この数字は、6つの激戦諸州での実際の数字よりもより高いものとなった。これは世論調査の確かさを示している。2016年の選挙に参加しなかった登録済み有権者の間では、バイデンは17ポイントの差をつけている。

白人有権者の間でのトランプ氏の支持は低下している。現在、人種問題について全国規模で関心が高まっている。多くのアナリストたちは、人種問題によって、白人有権者たちの間でトランプ大統領は強さを増すはずだと考えている。人種についての姿勢は白人有権者に対するトランプ氏のアピールにとって重要であるが、彼の強さは揺らいでいる。

全国規模の各種世論調査の結果によると、ブラック・ライヴス・マター運動は2016年の選挙以降、より人々に知られるようになっている。本紙とシエラ・カレッジが実施している複数の世論調査では、激戦諸州に住む白人有権者たちは最近の抗議活動を支持しており、刑法システムについての抗議活動の主張を支持している。その中には、フロイド氏の死亡は警察の行き過ぎた暴力のパターンであり、刑法システムはアフリカ系アメリカ人に対して不利に働くようになっているという主張だ。有権者たちは、最近の抗議活動と人種関係についての大統領の対処の仕方全般について不同意である。

白人有権者の中で、若い有権者と大学教育を受けた有権者の間でバイデン氏支持が伸びている。こうした人々は人種問題についての抗議活動参加者たちの考えに同意している。

6つの州において、4年制大学の学位を持つ白人有権者の中で、バイデン氏は55%対34%でリードしている。昨年10月から11ポイント支持を伸ばしている。35歳以下の白人有権者たちの中で、バイデン氏は50%対31%でリードしている。昨年10月の時点では数字はタイであった。

人種問題についてより保守的な考えを持つ白人有権者たちはここ数カ月でトランプ氏への支持を下げているが、バイデン氏への支持にも回っていない。

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大学学位を持たない白人有権者は、トランプ大統領に勝利をもたらした連合の基礎であった。激戦諸州で見ると、この人々の間ではトランプ大統領が16ポイントのリードをつけているが、昨年10月の24ポイント差、前回の選挙前最後の世論調査での26ポイント差に比べると支持は下がっている。このようにトランプ台と寮への支持の低下はあるが、大学学位を持たない白人有権者の間でのバイデンの支持は昨年10月に比べて1ポイントしか上昇していない。

バイデン氏が支持を得た有権者の中には、ウィスコンシン州ベロイトに住む29歳のサマンサ・スペンサーがいる。スペンサーは次のように述べている。「私には失望してしまうことがたくさんあります。私はキリスト教徒ですが、同じキリスト教徒でもまだトランプ大統領支持にこだわっている人たちがたくさんいます。しかし、私は自分の信仰に照らしてみて、このゴミ箱をこれ以上支持することを正当化できなくなっているのです」。

バイデン氏は65歳以上の有権者の間でトランプ大統領をリードしている。10年単位で見ると、高齢者の間では共和党支持の方が高いという流れであったが、それが逆転している。しかし、バイデン氏は昨年10月以降、50歳以上の有権者たちの間で支持をあまり伸ばせていない。大学の学位を保持していない50歳以上の白人有権者の間では支持を伸ばせていない。

人種と抗議活動についての比較的保守的な姿勢は大統領の支持回復の理由となるだろう。激戦諸州の50歳以上の白人有権者たちは最近のデモについては反対し、あまりにも多くのデモが暴力的な暴動に発展していると述べている。白人に対する差別はマイノリティに対する差別と同様に重大なのかどうかということについては意見が分かれている。そして、アフリカ系アメリカ人への警察の取り扱いよりも暴動の方がより重大な問題だという主張に関しては10ポイントの差で支持されている。

先月、司法制度改革と人種差別について全国規模で関心が集まっているにもかかわらず、より驚くべきことには、バイデン氏は非白人有権者の間で支持をほぼ高めていないということだ。

激戦諸州全体で見ると、アフリカ系アメリカ人有権者の間で、バイデン氏の支持率83%、トランプ大統領の支持率7%となっている。昨年10月から支持率を少し上げている。ヒスパニック系有権者の間ではバイデンの支持率62%、トランプ大統領の支持率は26%で、バイデン氏の支持が高い。この数字はほぼ変わっていない。2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントン夫人の支持率の数字に比べれば、バイデン氏の支持率の数字は低くなっている。

バイデン氏の大幅リードは、バイデン氏の強さではなく、トランプ大統領の弱さを反映している。全体で見て、バイデン氏の支持者の55%は、自分たちのバイデン氏への投票は、バイデン氏支持というよりも、トランプ大統領への反対票だと答えている。一方、トランプ大統領の支持者たちはトランプ大統領への支持票だと答えている。バイデン氏の支持率の上昇は彼の好感度の改善なしに達成されている。トランプ大統領の好感度は大幅に下がっている。

しかし、バイデン氏は多くの点で支持を高めている。激戦諸州の有権者の50%はバイデン氏に対して好意的な見方をしている。彼に対して否定的な見方をしているのは47%だ。

バイデン氏はトランプ大統領に対してつけている大幅リードをそのまま有権者の投票に結びつけるために苦闘するだろうと考えられる。バイデン氏、トランプ氏両方とも支持していない激戦諸州の有権者たちは、登録した支持政党や支持政党から見ると、共和党を支持する傾向がある。この有権者のうち、2016年の選挙でトランプ大統領に投票したのが34%で、クリントン夫人に凍傷したのが20%だった。

選挙戦終盤までに、こうした有権者の一部はトランプ大統領支持に戻る可能性が高い。しかし、こうした有権者の56%がトランプ大統領の仕事ぶりを支持しておらず、支持しているのは29%にとどまった。

これらの複数の結果が示しているのは、バイデン氏は圧勝する可能性をまだ持っているということである。結論を述べると、激戦諸州の登録済み有権者の55%が、今年の秋の選挙でバイデン氏に少なくとも投票する「チャンス」があると答えている。その中には共和党支持者の12%、2016年の選挙でトランプ氏に投票した有権者の11%が含まれている。また、共和党支持に近い無党派層の44%も含まれている。

トランプ氏について、激戦諸州の登録済み有権者の55%が、今年の11月にトランプ大統領に投票することは「ほんとうにない」と答えた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大という事態を受け、米中関係は非難合戦の様相を五呈している。ドナルド・トランプ大統領をはじめとする政権幹部たちはウイルス感染拡大を中国の対応のまずさのせいにしている。世界各国で約1000万人が感染し、約50万人が死亡した。感染者数における死亡率は約5%である。今年1月から3月にかけて中国の武漢市を中心に感染が広がった。中国国内の深刻な様子が報道されていたが、現在のところ、中国国内の感染者は約8万3500名、死亡者は4634名だ。アメリカの感染者は約267万名、死亡者は12万名となっている。日本は感染者約18900名、死亡者は971名だ。

 アメリカは新型コロナウイルス感染拡大への対応が遅かったということになるだろう。都市部の人口密度や経済活動などの理由はあるだろうが、中国には人口1000万人を超える大都市が5つもある。日本にも東京、大阪、名古屋、横浜など大都市圏が存在する。

 下の記事は、新型コロナウイルス感染拡大の中で、大統領選挙の選挙運動が勧められており、共和党の現職ドナルド・トランプ大統領、民主党の内定候補者ジョー・バイデン前副大統領が共に相手を「中国に対して弱腰だ」という批判を行っている。こうした状況では、中国との協力は難しいが、それでも、様々な分野で競争相手となる米中両国であるが、疾病の世界的感染拡大、感染爆発という事態には協力して対処しなければならないと主張している。下の記事の著者であるアルバート・ハントはケネディ・大統領の言葉を引用している。その言葉とは、「ライヴァル同士のパートナーシップ(rival partnership)」だ。

 冷戦期、アメリカとソ連は東西両陣営に分かれて鎬を削ったが、徹底的な対決は回避した。これをアメリカの歴史家ジョン・ルイス・ギャディスは「長い平和(Long Peace)」と呼んだ。代理戦争を戦わされた朝鮮半島、ヴェトナム、アフガニスタンの人々にとってはどこが長い平和なのかと怒りを持つであろうが、世界大戦がなかったという意味である。

 21世紀の米中関係に関しても新冷戦という言葉が使われ始めている。下の記事でも取り上げられているが、シンクタンクであるブルッキングス研究所所長を務めるジョン・アレン(退役海兵隊大将)は、アメリカは「自由主義的資本主義」のモデルを提示し、中国は「権威主義的資本主義」のモデルを提示して世界にアピールしている、と述べている。これが新しい冷戦の軸ということになるだろう。

 ソ連は自国の経済を崩壊させ、消滅した。一方、中国は経済力を急速に伸ばし、それにつれて政治力と軍事力を増強している。経済力での米中逆転は視野に入っている。こうした状況になり、冷たい戦争が覇権交代をめぐる熱い戦争にならないためにも、ライヴァル同士のパートナーシップとアメリカの軟着陸が21世紀中盤の重要な要素となるだろう。

(貼り付けはじめ)

パンデミック下の政治と中国との協力(Pandemic politics and cooperation with China

アルバート・ハント筆

2020年5月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/496354-pandemic-politics-and-cooperation-with-china

アメリカ政治で70年前に激しかった議論が形を少し変えて再び復活している。それは、誰に責任があるのか、もっと端的には「中国を失ったのは誰だ?」というものだ。

それが今では「誰が中国に対してより宥和的か?」だ。

トランプ大統領と、今年の秋にトランプ大統領と戦うことになるジョー・バイデン前副大統領は、お互いに相手が中国の支配者たちに対して下手に出ていると非難する攻撃的なテレビCMを流している。

中国はもう一つの世界の超大国として、経済、政治、軍事の分野での成長もあり、アメリカにとって既に政治上の重大な問題となっている。中国から始まった新型コロナウイルス感染拡大は、中国側の1月にわたる隠蔽もあったが、アメリカ国内では党派性を持った批判合戦のテーマとなっている。

トランプ大統領は数週間にわたり中国の新型コロナウイルス対策を評価し、アメリカの対策の遅れを誰の責任にするのかを探していた。それがここにきて新型コロナウイルスを「中国のウイルス」とレッテル張りをし始めた。ホワイトハウスにいる政権幹部の中には、トランプ大統領を見習って、「カン・フルー(Kung Flu)」と呼んでいる(訳者註:Fluはインフルエンザのこと、カンフー[Kung Fu]にかけている)。トランプ大統領は、アメリカ国内で感染拡大が激しくなるにつれて、攻撃を激化させている。そして、選挙での対抗馬であるバイデンを弱腰だと攻撃している。

民主党の候補者に内定しているバイデンは、アメリカ国内で感染が拡大したのは初期段階でのトランプ大統領の無関心のせいだと非難し、自分が大統領であればより早い段階でより厳しい措置を取ったと主張している。

グラハム・アリソンはハーヴァード大学の学者で、国防総省に勤務した経験を持ち、米中対決の可能性と危険性についての著作を持っている。アリソンは新型コロナウイルス感染拡大への対処のために、米中両国は両国関係を変化させるべきだと述べている。アリソンは、米中両国は貿易、民主的な価値観、サイバー上と国家の安全保障に関しては、「厳しいライヴァル関係」となるだろうが、同時に、気候変動、テロリズム、そしてとくに感染症対策ではパートナーとなるべきだと主張している。

米中が協力することは現時点では、政治的に無理な状況だ。トランプ陣営、バイデン陣営ともに来るべき大統領選挙本選挙に向けて、これからの6カ月間は中国に対して宥和的な姿勢を取ることはできない。

バイデン前副大統領は、トランプ大統領が中国側の新型コロナウイルスに関する発表を鵜呑みにして「中国に丸め込まれた」と攻撃している。トランプ大統領は3月中旬まで危険性を否定していた。対照的に世界各国は中国がやっと1月中旬になって危険性を認識し、発表した段階で素早く対応した。

トランプ大統領は3月13日の時点までは中国の習近平国家主席は状況に対してうまく対応していると一貫して称賛してきた。また、危険を示す証拠を信用しなかった。

トランプ大統領陣営は現在、反中国攻撃を大統領選挙本選挙の中心的な要素にしていることは明らかだ。トランプ大統領は、バイデンが中国に「強い態度で臨む」ことに失敗し、オバマ政権の対中国融和政策の策定に関わったと攻撃している。

トランプ大統領に対する中国への攻撃は日々激しくなっている。関税引き上げや不手際に対する裁判提起、更に負債の支払いを拒絶などをと脅している。いつものトランプ大統領のように、この一部はブラフである。しかし、中国攻撃はトランプ大統領の選挙に影響を与えるが、失敗に終わる可能性もある。トランプ大統領は危ない橋を渡っている。

トランプ政権は、全ての選択肢を留保している。マイク・ポンぺオ国務長官が対中政策を主導している。ポンぺオ国務長官は中国に対しては、外交官というよりも党派性の強いガンマンのように振舞っている。

アメリカ連邦議会においては、共和党側の対中国攻撃の急先鋒はアーカンソー州選出のトム・コットン連邦上院議員だ。コットン議員は1月末にウイルスの脅威と中国の隠蔽に対して警告を発した。コットン議員は攻撃を止めていない。そして、ウイルスの発生源は武漢の食肉マーケットではなく、中国のある実験ラボから広がって感染拡大を招いたという理論を支持し、中国を批判している。コットン議員はまた、中国に対する法的手段を取ることを許可する法律の制定や中国人学生がアメリカの大学で科学を学ぶことを禁止する措置を提案している。

しかし、コットン議員は感染拡大ではなく、党派性の強い中国叩きに興味を持っているように見える。彼は中国が感染拡大について1カ月にわたり嘘をつき続けてきたと攻撃していた。しかし、2月25日の時点で、コットン議員はトランプ大統領がウイルスへの対処を「最重要事項」としていると発言した。これは極めて間違っている主張だ。

中国国民はアメリカとの争いを恐れていない。中国は、トランプ大統領が自身の失敗に対する言い訳として、「他の人々を非難している」と批判している。中国国内のSNSでの人々の書き込みを見て見ると、歪曲された内容もあるが、明白にアメリカを非難している。中国は感染拡大に見舞われている国々に医療や医療品の提供を行っている。初期段階ではアメリカに対しても支援を行った。

米中関係の悪化が危険を伴う理由は、世界の超大国2か国は感染拡大への対処のようないくつかの極めて重要な分野でお互いに協力しなければならないがそれができなくなる、というものだ。

ブルッキングス研究所所長で退役アメリカ海兵隊大将(four star general)であるジョン・アレンは米中間の緊張関係の深刻化は避けられないと評価している。アレンは次のように述べている。「中国はアメリカとは別のモデルに沿っている。それは、権威主義的資本主義(authoritarian capitalism)である。これは中国の成功もあり、世界のいくつかの国々にアピールしている。私たちは、私たちのより素晴らしいモデルを使って対抗することになるだろう」。しかし、今回の危機において継続的に中傷を続け、対立することは「世界にとっての最大の危機を解決する為のエネルギーの多くを無駄遣いすることだ」とアレンは述べている。

アレンは別の機会では、「中国を解決に向けて要素に入れなければ、今回のコロナウイルスとの戦いで勝利することはできない」とも述べている。医療分野と科学分野でのつながりを断絶することはったくもって合理的ではない。

アレンはまた次のようにも述べている。新型コロナウイルス対処によって米中両国のライヴァル関係や緊張が和らぐことはないが、冷戦期にジョン・F・ケネディ大統領が述べた「ライヴァル同士のパートナーシップ(rival partnership)」という考えを両国は持つべきだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 今回は、新型コロナウイルス感染拡大を抑えるためのロックダウン、経済閉鎖には負の側面があることを忘れてはいけないという内容の記事を紹介する。

 簡単に言えば、ロックダウンによって経済が動かなくなれば、失業者数が増加する。それによって自殺者が増えるというものだ。また、ストレスからアルコール中毒や薬物乱用ということも引き起こされる。ストレス由来の別の病気も増える。

 また、アメリカでは、新型コロナウイルスへの恐怖感から病院に行かない、ということも起きており、そのために病気の治療が中断されたり、病気の診断が遅れてしまったりして、病気が深刻化することで治療ができずに死亡者が増加しているということもある。

 経済活動の低下による景気後退と新型コロナウイルスへの恐怖感からの医療忌避や医療が受けられないことによるアメリカ国内の死亡者は、新型コロナウイルスによって引き起こされる疾病による死亡者の数を超えるものと推定される。

 新型コロナウイルスに関しては、高齢者や基礎疾患(糖尿病や高血圧など)を持っている人々はリスクが高い。そうした人々を守りながら、同時に経済活動や社会活動を行わねば、全体が干上がってしまう。日本では経済活動や社会活動が再開されつつある。どこまで再開すればどうなるかということを手探りの状態で進んでいくということになる。バランスが重要なのは当然であるが、感染初期に言われた「正しく怖がる」ということをもう一度思い出して、自分たちができることを淡々と進めていくしかない。

(貼り付けはじめ)

COIVD-19(新型コロナウイルス)の封じ込めはアメリカ人の人生数百年分を犠牲にするだろう(The COVID-19 shutdown will cost Americans millions of years of life

スコット・W・アトラス、ジョン・R・バージ、ラルフ・L・ケネディ、アレクサンダー・リプトン筆

2020年5月25日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/healthcare/499394-the-covid-19-shutdown-will-cost-americans-millions-of-years-of-life

わが国の政府は、新型コロナウイルス緩和政策として社会的ロックダウンを採用し、疾病の拡散の封じ込めに集中してきた。そのためにあらゆる犠牲を払ってきた。「流行曲線の平坦化」と病院内の過剰な混雑などよりもまずは拡散の封じ込めに集中してきた。善意によって行われてきたことではあるが、ロックダウンは、感染拡大の直接的な影響以上の、より深刻な結果を考慮することなく課されることになった。

ロックダウン政策は歴史上最も深刻な経済的崩壊をもたらしている。失われた経済的利益は何兆ドル規模にも上っている。これら経済上の損失をただ経済の上のことだけとして語るのは間違っている。そうではなく、アメリカ国立衛生研究所、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)、労働省労働統計局の公開している膨大な論文や統計データ、その他のデータを使って、私たちは、アメリカのロックダウン政策は、破壊的な非経済的な結果をもたらすことを計算して出した。その結果として、アメリカ国内において数百万年分の人々の人生が犠牲になるということを示している。これはウイルスそのものがもたらした損失の年数をはるかに超える数字である。

ウイルスや疾病の感染拡大は歴史を通じて人類を苦しめてきた。疾病の感染拡大によってローマ帝国、東ローマ帝国、中世ヨーロッパ、中国、そしてインドは崩壊した。医療の進歩にもかかわらず、この苦難は現在も続いている。

20世紀では、アメリカ国内でも10万人以上の死者を出した疾病の世界的な大流行が3度起きた。1918年から1919年にかけて「スペイン風邪」では世界規模で2000万人から5000万人、アメリカ国内で67万5000人の死者が出た。1957年から1958年にかけての「アジア風邪」では世界規模で110万人、アメリカ国内では11万6000人の死者が出た。1968年から1972年にかけての「香港風邪」では、世界規模で100万人、アメリカ国内で10万人の死者が出た。新型コロナウイルス感染拡大については現在のところ、アメリカ国内での死者はほぼ10万人となっているが、ほぼ完全な経済的ロックダウンはこれまでにない規模となった。

アメリカ一国のみの経済的利益損失は、経済的シャットダウンの期間、1か月でGDPの5%にあたる11兆ドル(約120兆円)と推定されている。失業と基礎的な生活物資供給を求める圧力が自殺、アルコール中毒、薬物中毒、ストレスによって引き起こされる疾病が増加する中で、収入が失われることは人々の生命が失われることに直結する。こうした影響は、特に低所得の人々に深刻である。それはそうした人々は仕事を失いやすく、そもそも低所得の人々の死亡率は大変に高いからである。

統計的に見て、アメリカ人1人が死亡するとアメリカ全体の収入が1000万ドルから2400万ドル分も失われることになる。この影響の一つは失業によって現れる。失業によって死亡率は少なくとも60%上昇する。3600万人のアメリカ人が新たに失業した中で毎月7200人の生命が失業によって失われるという計算になる。この3600万人のうち、40%以上は再就職の見込みがない。加えて、小規模なビジネスのオーナーの多くは、資金的にほぼ崩壊状態にある。資産の喪失は死亡率を50%引き上げる。一人の生命の喪失は1700万ドル分の収入喪失につながると推定されるが、そうなると、経済封鎖によって毎月アメリカ国内で6万5000人分の生命が失われるという計算になる。

収入喪失によって失われる生命に加えて、社会閉鎖によって医療の遅滞や無視と、患者の間に新型コロナウイルスに対する恐怖感が広がることでも、生命は失われる。筆者たちは個人的に脳神経外科医たちに話を聞いたのだが、患者の半分が病気の治療のために病院に来ることを放棄している、ということだ。病気を治療せずに放置しておくと、脳内出血、麻痺、死亡のリスクが高まる。

私たちの計算に基づいて、医療を受けない、受けないことに関する例を挙げていく。脳出血の緊急検査の数は40%減少する。アメリカ国内で化学療法を受けている65万人のがん患者のうち、半分が治療を受けられないと推定される。アメリカ国内では毎月15万人の新たながん患者が発見される。その大部分が、世界各地と同様に、診断されていないし、日常のがん検診の3分の2から4分の3がなされていない。それは閉鎖政策と人々の間の新型コロナウイルスに対する恐怖感のためだ。昨年の同時期に比べて、生体間内臓移植の約85%がなされないようになっている。加えて、子供たちへのワクチン接種の半分以上がなされていないが、これは将来の公衆衛生において大きな脅威となるだろう。

新型コロナウイルスを別にして、医療を受けることが遅れる結果、経済閉鎖の期間において毎月8000人が死亡することが推定される。この人々の推定される残りの人生の年数を足すと約12万年分となる。脳出血への治療がなされないことで毎月10万年分の人生年数が喪失している。がんの診察が遅れることで毎月25万年分の人生年数が喪失している。生体間内臓移植がなされないことで毎月5000年分の人生年数が喪失している。ワクチン接種の10%がなされなければ、毎月2万4000年分の人生年数が喪失している。

医療を受けない、受けられないということで起きる意図しない結果は、毎月50万年分以上の人生時間が失われるということである。これは他の要素は含まれていない。

経済閉鎖による失業に関連しての死亡だけで考えても、少なくとも毎月7200人が生命を喪失していることになる。アメリカ国内の現在の死亡率のデータの年齢別の割合をそのまま適用し、男性と女性との間で死亡率が同じだと仮定すると、経済閉鎖期間において毎月20万年分以上の人生年数が失われるということになる。

実際には、新型コロナウイルスで死亡する人々はその圧倒的大多数が高齢者であり、特に老人ホームに入所していたり、基礎疾患を持っていたりする人々だ。これら新型コロナウイルスによる疾病にかかった患者たちの余命と死亡者の40%が老人ホームの入所者であることを考慮すると、新型コロナウイルスによる疾病はこれまでに合計で80万年分の人生を奪っているということになる。ロックダウン政策によって引き起こされる不十分な医療提供と失業だけでも考えてみると、全国規模のロックダウンによって失われる人生の年数の合計は控えめに見積もって毎月70万年分、合計すれば約150万年分となり、既に新型コロナウイルスによって失われた年数の合計を凌駕している。

新型コロナウイルスの影響と戦っている政治家たちは自分たちの決定がもたらす影響の全体を認識し、考えねばならない。経済の大きな部分を閉鎖することで人々の生命が失われているという、破壊的な影響についても認識する必要がある。ロックダウンによる取り返しのつかない不都合に政策立案者たちが遅ればせながら気づくことだけでは十分とは言えない。政策立案者たちは、深刻な結果について明確にかつ広く人々に知らせる必要がある。社会の再開は正当であるということを強く主張することで、生活の全ての側面に関する懸念を払しょくさせねばならない。

経済的ロックダウンによる生命の喪失を終わらせるために、消毒など公衆衛生学による対策を強化し、リスクの高い人々に対しての科学に基づいた防御を施しつつ、ビジネス、小中高、公共交通、公園やビーチは、徐々にではあるが確実に再開しなければならない。アメリカの大部分の地域にとって、経済活動の再開は、恐怖感に基づいた不必要な制限を取り払い、今すぐに行うべきだ。恐怖感に基づいた制限の大部分は証拠の軽視という誤りを繰り返している。全ての可能な行動と結果私たちを最終的に認識する思慮に満ちた分析に従うことで、アメリカ人の人生数百万年分を救うことができるのだ。

次の世界的な疾病拡大が発生することは不可避だ。もし疾病拡大が発生した場合、私たちはこれらの教訓を思い出し、初期段階から全てのアメリカ国民の生命を考慮する政策を実施する必要がある。

※スコット・W・アトラス:内科医、スタンフォード大学フーヴァー研究所上級研究員

※ジョン・R・バージ:シカゴ大学ブースビジネススクール教授

※ラルフ・L・キーニー:デューク大学ビジネススクール名誉教授、サウスカロライナ大学工学部教授

※アレクサンダー・リプトン:イェルサレム・ヘブライ大学イェルサレムビジネススクール招聘教授兼学部長付研究員

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 今回は、「米ドルの供給(US dollar supply)が増大すると、実物資産、特に食糧価格が急騰する。食糧ショック(food shock、食糧価格の急騰)が社会不安(social unrest)を引き起こす」という内容の記事をご紹介する。著者たちの主張の証拠となるのが、2008年のリーマンショックからの国際的な金融危機(global financial crisis)と2010年からの「アラブの春(Arab Spring)」からの相関関係である。アラブの春は民主化(democratization)を求めた人々の動きと言うのが一般的な理解であるが、これはアメリカ、アメリカ国務省が主導した。このことは拙著『アメリカ政治の秘密』で詳しく説明した。

 しかし、このアラブの春は別名「空腹・飢餓の革命(Hunger Revolution)」とも呼ばれている。食糧価格の急激な変動は人々の生活を苦しめ、その不安の高まりもあり、暴動や内戦にまで発展したということである。食糧価格の推移と世界各地での抗議活動やデモの数の推移を示したグラフが下の記事に示されているが、相関関係はあるようだ。

 日米欧、特に日本はデフレーション(deflation)の状態である。給料も下がれば物価も下がる、だから景気が悪い、という状態だ。デフレとは簡単に言うと、供給(supply)は多が、需要(demand)が少ないという状況だ。だから物価が下がる、そして企業や個人の売上が下がれば給料も下がる、そうなると、家計の消費は減っていくということになる。

 ここで日本にとって怖いのは、「コストプッシュ・インフレーション(cost-push inflation)」だ。景気が悪く、給料が上がらない中で、食糧価格が高騰すると、生活は苦しくなる。食糧や石油について日本では輸入に頼っているが、それらの価格が高騰すると、日本でも物価高ということになるが、景気が良くなっている中での物価高ならば給料も上がっていくが、給料が下がっているのに物価が上がっていくということになれば、生活が苦しくなる人は多く出る。

 新型コロナウイルス感染拡大によって世界経済は大きく減速している。その規模は2008年の国際金融危機を超えるものだとも言われている。その時と同様、アメリカの中央銀行である連邦準備制度(Federal Reserve)は経済の安定化のために、ドル供給を行う。そうなれば、食糧価格が高騰し、世界各地で社会不安が起きるという、こういう図式である。日本もまた他人ごとではないが、主には発展途上国を襲うことになる。ハンガー・れヴォルーションが再び起きるということになるのだろう。

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食糧価格の急上昇と社会不安:連邦準備制度(アメリカの中央銀行)の危機との戦いの暗い側面(Food Price Spikes and Social Unrest: The Dark Side of the Fed’s Crisis-Fighting

―緊急金融政策は意図しない結果を生み出す:世界規模での食糧価格の上昇

オレ・コーレン、W・キンドレッド・ワインコフ筆

2020年5月20日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2020/05/20/food-price-spikes-and-social-unrest-the-dark-side-of-the-feds-crisis-fighting/

2010年12月の初め、国際連合食糧・農業機関は政策短観を発表した。その中には次のように書かれていた。「世界的な農産物市場における極端な価格の不安定さは、世界の食糧に関する安全性に大きな脅威を及ぼすことになる」。それから数日後の12月17日に、チュニジアの露天商ムハンマド・ブアジジは自分の体に火をつけた。警察がブアジジのフルーツの屋台を没収した。その後にブアジジは自殺した。フルーツの屋台は彼にとっての唯一の生活費を稼ぐ手段だった。ブアジジの自殺はそれ以降、十数件の焼身自殺を引き起こした。そして、大規模な抗議運動が発生した。その大部分は上昇し続ける食糧価格が原因であった。そして、抗議運動は中東と北アフリカに急速に拡大していった。

社会の大混乱の頻発は西側のメディアでは「アラブの春(Arab Spring)」として知られるようになった。しかし、この地域の活動家たちは、アラブの春を「空腹の革命(Hunger Revolution)」だったと描写した。一連の混乱がアラブ世界にだけ限定されなかったということを考慮すると、空腹の革命の方がふさわしい名前ということになる。一連の大混乱は一国の国境内に限定されるものではなかった。リビアとシリアへと飛び火した内戦状態は特に国際化されたものである。シリア内戦による2015年の難民ショックは、ポピュリズム・ナショナリズムの政治運動の台頭をもたらした。こうした政治運動は、最初にヨーロッパで起き、やがて世界中に伝播した。

コロナウイルス危機によって、手頃な価格で食糧を手に入れることができるだろうかという懸念が大きくなっている。特に発展途上諸国でこの懸念が高まっている。今月初め、国際連合総会議長ティジャニ・ムハンマド=バンデは、感染拡大がもたらす食糧危機に警告を発した。一方、国連食糧計画は、感染拡大が起きる前の水準に比べて、急激な食糧不足が2倍の水準に達することになると予測している。近年の農業生産高は堅調に推移してきたが、公的機関や各国政府の幹部たちは、世界規模の食糧供給チェイン(網)のもろさ、食糧買い占め、食糧に関する保護主義について懸念を持っている。食糧不足が顕著化する中で、抗議活動、大衆行動、暴力・非暴力を問わない大規模な反政府デモといった政治に対する争いに関するエピソードが世界各地に広がっていく可能性も大きくなっている。

これらの出来事全てが広範囲な社会的秩序の動揺をもたらす訳ではないが、その中のいくつかは社会秩序を動揺させる。その結果は深刻なものとなるだろう。手頃な価格の食糧へのアクセスを求める抗議活動は政治掲載においては定期的に起きる現象である。2007年から2008年にかけてこうした抗議活動の波が発生した。2010年末に起きたアラブの春よりも前の現象である。より一般的に言えば、食糧ショックに対応する社会運動は、近代史を形作りにあたり重要な役割を果たした。急速に上昇する物価はフランス革命を引き起こした。1848年の革命は、ヨーロッパ諸国で続いた干ばつのために起きた食糧価格の上昇によって引き起こされた。食糧を求める抗議活動はソヴィエト連邦を生み出した1917年のロシア革命だけではなく、歴史的な皮肉と言うしかないが、ソヴィエト連邦の終焉をももたらした。最近で言えば、食糧危機によって、1998年にはインドネシアのスハルト政権が倒された。

これら歴史的な出来事の多くには干ばつのような自然現象も含まれていた。自然現象はマルサス流の力学を始めさせ、悪化させた。食糧の供給可能性は人々が食糧を求める需要のために脅威に晒されることになる。特に都市部での急激な人口増加が伴うと、食糧需要が急速に高まり、供給が脅威に晒されることになる。しかし、これとは別の要素が国際的な食糧価格、そして政治の安定に大きな影響を与えている。その要素とは国際的な通貨システムの変化である。

食糧の国際的な取引は拡大し続けている。その結果、食糧に関しては米ドルで示される国際価格が出るようになっている。その理由は米ドルが国際的に最も使用されている通貨であるからだ。米ドルの価値の変化は世界各地での、その中には食糧価格も含まれるが、物価の変動をもたらす可能性が高い。そして、米ドルの価値は、連邦準備制度の行動に最も影響を受ける。

連邦準備制度は、アメリカ政府から、アメリカ経済において完全雇用、低く安定したインフレーション率、金融の安定の維持を達成するように求められている。連邦準備制度は、様々な政策を利用して、上記の目的を達するために、ドル供給を拡大したり、縮小したりする。連邦準備制度が持つ手段とは、金利の変更、資産購入(別名「量的緩和」)である。通貨供給量の変化は物価に影響を与える。そして、ドルは最も国際的に使われている通貨であるので、物価の変動は国際的なものとなる。

農産物や鉱物資源などの実物資源の価格は特にアメリカの金融政策の影響を受ける。在庫量、分配ネットワークの機能、世界的な需要のレヴェルといった他の諸要素もまた重要な役割を果たすことになる。他の全ての要素がそれまで同様だった場合に、米ドルの供給拡大が実物資源価格の高騰につながるのが典型的な反応だ。食糧価格の変動は世界中での社会の安定に強力な影響力を持つことになる。

このことが示されたのは2007年に始まった世界金融危機の時期だった。アメリカ経済が減速し始め、崩壊した時、連邦準備制度は金利をわずか1年の間に5.25%からゼロに引き下げた。主要な政策金利をゼロにするということは前代未聞だった。しかし、金融部門で崩壊が始まった時、ゼロ金利はアメリカ経済を安定させるためには不十分であったことを示した。2008年秋から、連邦準備制度は一連の量的緩和を開始した。連邦準備制度はドルを他の資産に変えた。資産の多くは政府債券と不動産担保証券で、これで各種金融市場を安定化させ、経済を回復させようとした。2008年から2014年にかけて、連邦準備制度の資産は1兆ドル弱から約4兆5000億ドルに増加した。これもまた前代未聞のことであった。これらの行動の効果は、ドル貨幣供給の増加を招き、2008年から2014年にかけて約50%増加した。

下のグラフが示しているように、食糧価格の急騰と共にみられる極端な動きは、毎月の米ドル供給の変化(これには標準的なM2法を用いる。これは銀行が持つ現金と金融市場の預入額の合計である)と毎月の国際的な食糧価格の変化(こちらのデータは国連食糧・農業機関のものだ)を同時に示したものである。2007年から2011年にかけての食糧ショックの各段階に先だったのは、ドル供給に影響を与える金融政策の変化であった。しかし、連邦準備制度の政策だけが危機をもたらしたと非難することは間違いであろう。石油価格の上昇のような連邦準備制度の政策以外の要素も影響を与えた。しかし、これらの諸要素にしても金融政策の変化に関連して変化するものである。国際金融システムの中核における極端な金融政策は実物資産の急激な価格変動を生み出したのだ。

■食糧ショックとドル供給

米国通貨(ドル)供給と食糧価格指標(複数の農産物を一緒にした国際価格の月単位での変化)

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食糧価格の上昇は政治に大きな影響を与える。下のグラフが示しているように、世界における食糧を求める暴動の件数(マーク・ベレマレのデータによる)は、食糧価格の急上昇に対応して、2005年から2011年にかけての期間の平均に比べて250%も急激に増加している。現在も続いている市民的不服従運動の件数(非暴力・暴力運動とその結果3.0データによる)は、2010年1月の13件から2011年12月の28件に増加している。こうした多くの人々が動員される運動は、リビア、シリア、イエメンで現在まで長引いている内戦状態を生み出した。そして、エジプトでは新しい独裁政権を生み出した。更には、イスラム国の台頭をもたらした。

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現在はその時のような状態になって、私たちはその中に生きていると言えるだろう。新型コロナウイルス感染拡大は別の経済危機を引き起こしている。今年の3月中旬以降、連邦準備制度は大規模な金融政策を実施している。その規模は最近の歴史にないほどのものだ。2016年に政策金利が少しそして中庸に上昇したが、それ以降はゼロ金利に戻っている。更に重要なのは、連邦準備制度の積極的な資産購入のペースは、2008年から2014年にかけての量的緩和プログラムを小さく見せてしまうほどのものだ。中央銀行の総資産は2月末の4兆2000億ドル(約450兆円)から4月末には約7兆ドル(約750兆円)に膨れ上がっている。

いくつかの食糧価格は既に上昇している。上記のグラフが示しているように、食肉価格は歴史上2番目の高さに達している。一方、供給は少しずつ減少している。更に重要なのは、穀物(小麦、トウモロコシ、米)の価格である。穀物は発展途上諸国においては基礎食品を構成しており、摂取カロリーの最大部分を占める。2007年から2008年、2010年から2011年にかけての抗議運動は穀物価格の急激な動きに深く関係していた。最近の米価は近年になく高い状態になっているが、他の穀物の価格の動きは激しくない。それは供給が高いレヴェルを維持しているからだ。連邦準備制度の諸政策はアメリカの食糧生産に大きな影響を与える可能性が高い。アメリカはトウモロコシの世界最大の輸出国であり、小麦と大豆に関しては世界2位の輸出国である。

これら複数の金融政策、特に大規模な資産購入(これは“無制限の量的緩和”と呼ばれる)は、急速な需要縮小に見舞われているアメリカ経済(そして世界経済)を安定させるために、経済的に必要となるだろう。しかし、更なる金融的な介入が少量価格の不安定化を招く可能性が高い。食糧価格の極端な動向の10年を過ぎて、食糧価格が落ち着くまでにはさらに4年間かかった。こうした価格の変動の政治的な結果はより深刻となるだろう。更に言えば、コロナウイルスによるロックダウンから社会が再開し始め、人々がこれから数カ月でレストランに戻ると、各種物価は上昇する結果になるだろう。

どういった国々が最もリスクに晒されているだろうか?下に掲載している地図は国際食糧安全保障指標に基づいて作られている。国際食糧安全保障指標は、食糧購入能力、供給能力、質を1つの安全保障の指標にまとめられている数字である。数字が大きいということは、より安全性が高いということになる。全ての国のデータが利用できる訳ではないが、一般的に言って、これらの側面に関するデータがないことは、全ての状況がうまくいっていると考えるべきではないことを示している。これが示しているのは、現在の食糧安全保障が低い国々のリストは、2000年代のリストとほぼ同じだ。サハラ砂漠以南のアフリカ、中東、北米の国々だけでなく、中央アジアと南アジアの一部、ヴェネズエラ、中央アメリカもリストに入っている。

国際食糧安全保障指標

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この結果は究極的には、最も強力な経済部門である連邦準備制度は、その行動が国際的な影響を持ちながら、究極的な国内的な政策権限を持つという事実から生み出されている。発展途上諸国は国際機関を通じて実物資産価格の安定化を長年にわたり求め続けてきた。それは現在も同じだ。国連は発展途上諸国への支援のために2兆5000億ドル規模の金融支援を求めている。国連のムハンマド=バンデ事務総長は「国際協力と協調は、食糧市場の安定を促進し、突然の価格ショックを防止するために極めて重要だ」と述べている。

しかし、こうした請願は各国政府によってほぼ無視されてきた。アメリカ型局主義を否定し、ヨーロッパ連合が動揺し、中国が国際的な公共財のコストの支払いを渋っている現在、国際協調主義は不足傾向にある。しかし、各国政府の国際協調といった試みなどを組み合わせることで、世界各地での社会不安と暴動を生み出す食糧ショックを防止することができるだろう。国際協調に加えて、国際的な金融機関(世界銀行と国際通貨基金)の寛大な行動も必要となるだろう。連邦準備制度は最も遠くまで国際的な影響を与えながら、最も反対を受けづらい機関である。連邦準備制度の緊急安定化プログラムはアメリカ財務省が発行する債券を支援し、国際機関と諸外国の政府に資金を供給することに使われ、少量価格の急騰から国際市場を守ることができる。もちろん、そのためにはトランプ政権が現在よりも国際問題についてより大きな関心を持つようになる必要がある。

世界の政治と経済は複雑な形で相互依存している。世界ネットワークの中核部分で取られた行動はシステム全体に影響を与える。アメリカ連邦準備制度の金融政策は世界の食糧価格に影響を与える。主要食料品の価格の急騰を引き起こすことになる。食糧価格の高騰によって抗議運動や暴動、不服従運動、大規模なデモが起こり、そこから国家の崩壊や内戦にまで進んでしまう場合もある。

前回食糧を求める暴動の波が起きて10年が過ぎた。しかし、その影響を今でも認識することができる。シリアでは内戦状態が続いている。レバノン(大規模なデモの回数が増えている)、トルコ、ヨーロッパ、その他の地域に逃げているシリアからの難民の経済的、政治的影響は今でも感じられている。結果として、ポピュリズムとナショナリズムを扇動する政治家たちに、自分たちの主張のプロパガンダにとっての効果的な道具を与えることになる。こうした政治家たちは食糧危機を、権力を掌握し、民主政治体制を掘り崩すために使う。この複雑さを人々が理解しないということになれば、同様のシナリオが間もなく繰り返される可能性がある。

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 古村治彦です。

 古い記事で恐縮だが、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官の新型コロナウイルス感染拡大に関する論考について短くまとめた記事をご紹介する。

 ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は、ドナルド・トランプ政権の外交面での「守護神」「橋渡し」の役割を果たしている。トランプ政権は中国とロシアに対して強硬姿勢を取るが、その前後にはキッシンジャーが96歳という高齢にもかかわらず、中国とロシアを訪問して、習近平国家主席、ウラジミール・プーティン大統領と会談を持つということを行っている。北朝鮮外交について関わっているのかは不明だが、中露両国に太いパイプがあるということは、間接的に北朝鮮外交にも影響を与えることができる。

 キッシンジャーは、アメリカが国際協調を主導し、かつ自由主義に基づく世界秩序を維持するために努力しなければならないとしている。また、トランプ政権は新型コロナウイルス感染拡大に対して手堅い仕事(solid job)をしているとも述べている。

 キッシンジャーでもこの程度のことしか言えないのかという内容ではある。しかし、キッシンジャーが述べたという事実が重要だ。

 トランプ政権はマイク・ペンス副大統領、マイク・ポンぺオ国務長官、ロバート・オブライエン国家安全保障問題担当大統領補佐官といった対中強硬派がおり、中国との軋轢を生んでいる。しかし、最後の一線を超えないのは、キッシンジャーがいるからだ。しかし、彼も96歳である。いつまでも健康で生きていられる訳ではない。キッシンジャーが死ぬ時、米中関係が悪化し始めていくだろう。

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“失敗によって世界に火がつく可能性がある”:96歳になるヘンリー・キッシンジャー元国務長官は、コロナウイルスが長期間にわたる経済の縮小をもたらす可能性があると警告を発し、アメリカに対しては「自由主義に基づく世界秩序を守る」ように求めている(Failure could set the world on fire.' Former Secretary of State Henry Kissinger, 96, warns coronavirus could spell economic doom for generations and tells US to 'safeguard the liberal world order'

・ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は世界規模の経済衰退について警告を発している。

・キッシンジャーは金曜日、『ウォールストリート・ジャーナル』紙に論説記事を発表した。この記事は、「失敗によって世界に火がつく可能性がある」という緊急提言である。

・96歳になるキッシンジャーは、ホワイトハウスは「悲劇的状況の急速な進行を避けるために手堅い仕事」をしていると考えている。

・キッシンジャーはアメリカが治療法の発見を急ぎ、世界経済の再建に努力し、「自由主義を基礎とする世界秩序」を守る必要があると述べている。

・キッシンジャーは「アメリカは独力でウイルスに打ち勝つことはできない」と書いている。アメリカ疾病予防管理センターによると、土曜日の朝の時点で、世界全体で110万件以上の感染と6万400名の死亡が確認されている。

・アメリカ国内では現在のところ、感染者数は27万8602名、死者数は7170名となっている。

チェインヌ・ラウンドトゥリー筆

2020年4月4日

『デイリー・メイル』紙

https://www.dailymail.co.uk/news/article-8187313/Henry-Kissinger-warns-coronavirus-spell-economic-doom-generations.html

ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は、適切な手段が取られない場合、新型コロナウイルス感染拡大によって長期間続く可能性がある世界規模の経済の悲劇が起きるだろうと警告を発した。

ニクソン大統領とフォード大統領に仕えたキッシンジャーは金曜日、『ウォールストリート・ジャーナル』紙に論説記事を掲載した。「失敗によって世界に火がつく可能性がある」という切迫した宣言を行った。

96歳になるキッシンジャーは、ホワイトハウスは「悲劇的状況の急速な進行を避けるために手堅い仕事」をしていると考えている。しかし、アメリカの信頼感だけでなく、世界の信頼感を取り戻すために、新型コロナウイルスを打ち倒すために効果的にかつ長期的視野で対応する必要があると考えている。

キッシンジャーは次のように書いている。「COVID-19の感染拡大が終了すれば、多くの国々の諸機関は失敗したと認識されることだろう。この判断が客観的に見て公平かどうかは重要ではない。現実は、アフター・コロナウイルスでは世界はそれ以前とは同じではなくなる」。

キッシンジャーは、アメリカは治療法を発見するために手際よく仕事をしなければならない、また、世界経済を再建し、「自由主義を基盤とした世界秩序」を守らねばならないとしている。更に、「アメリカ一国だけでウイルスを克服するための努力をすることはできない」と付け加えた。

アメリカ疾病予防管理センターによると、土曜日の朝までに、世界で110万人が感染し、6万400人が死亡したということだ。

コミュニティ・ソースド・データ・トラッカーによると、アメリカ国内では、27万8602件の感染が確認され、7170名が死亡した。

治療法はまだ見つからない。医療従事者たちは自分たちの安全を守るために必要な個人装備が十分にないと警告を発した。実際に、医者と看護師の中には患者の治療にあたる中で死亡する人たちが出ている。

キッシンジャーは不足の点を認識している。次のように書いている。「医療物資は、ウイルス拡大に対応するためには不十分だ。集中治療室は限界に達しているし、限界を超えてしまっている状況だ」。

キッシンジャーは次のように書いている。「検査は、感染規模をはっきりさせるための仕事には不十分だ。感染拡大を止めるためには更に不十分だ。ワクチンの開発にはこれから12か月から18か月かかる可能性が高い」。

キッシンジャーは、ウイルスを倒すために、アメリカはアメリカ以外の世界と協力する必要がある、と書いている。彼は、「目下の急務は、世界規模の協力のヴィジョンとプログラムを作ることだ」と述べている。

キッシンジャーは、アメリカはコロナウイルスを倒し、経済を安定化させるために3つのステップを踏む必要があると主張している。最初のステップは、新型コロナウイルスの治療法を見つけることだ。

キッシンジャーは次のように書いている。「感染管理のための新しい技術とテクノロジーを開発し、多くの人々が使用可能となるワクチンを使用できるようにする必要がある」。

キッシンジャーは続けて次のように書いている。「諸都市、諸国家、諸地域は、貯蔵、産学提携、科学の最先端の研究を通じて、感染拡大から人々を守らねばならない」。

次のステップは「世界経済に刻み付けられた傷を癒す」ことだ。

キッシンジャーは、シャットダウンによってもっと影響を受けた人々のダメージを改善する手助けを行うための特別なプログラムの必要性に言及している。

最後に、キッシンジャーは守られるべき自由主義を基調とした世界秩序の諸原理について書いている。彼は、啓蒙主義的な諸原理を守る政府は、「安全保障、秩序、経済的福利、そして正義」を守らねばならないと確信している、と指摘している。

キッシンジャーは次のように買いいている。「感染拡大は時代錯誤を促すことになる。その時代錯誤とは、繁栄が国際貿易と人々の動きに依存している時代に、壁に囲まれた都市の復活という形になる」。

キッシンジャーは続けて次のように書いている。「世界の諸民主政治体制国家は啓蒙思想の諸価値を守り、維持する必要がある。正統性に関して諸大国が均衡している状態から世界が後退することで、国内、そして国際的に社会が崩壊することになる」。

キッシンジャーは1938年にナチスが支配するドイツから両親と一緒に脱出し、ニューヨークに住むようになった。

1950年にハーヴァード大学で政治学博士号を取得後、キッシンジャーはいくつもの会議や政府機関のコンサルタントとしての仕事を始めた。その中には、アメリカ陸軍のオペレーションズ・リサーチ・オフィスや国務省の軍備管理軍縮局は含まれていた。

1960年代、キッシンジャーは共和党の大統領選挙予備選挙に出馬したネルソン・ロックフェラー選対の外交アドヴァイザーを務めた。しかし、1968年の大統領選挙で共和党の大統領選挙指名を獲得したリチャード・ニクソンの選対に転身した。

ニクソンは当選後、キッシンジャーは国家安全保障問題担当大統領補佐官に起用し、後には国務長官に任命した。キッシンジャーはジェラルド・フォードが大統領になった後も国務長官に留まった。

キッシンジャーは1973年にノーベル平和賞を受賞した。北ヴェトナムのレ・ドゥク・トと共にヴェトナム戦争の平和的な解決のための交渉の努力を行った。

中国が発表している公式の数に対して疑義が出ているが、アメリカは最近になってコロナウイルス感染者数が世界最大になっている。

ファウチは、デューク大学男子バスケットボールティームのヘッドコーチであるマイク・シャシェフスキー(Mike KrzyzewskiCoach K)が司会を務めるラジオ番組「バスケットボール・アンド・ビヨンド・ウイズ・コーチK」に出演した。シャシェフスキーはホワイトハウスの新型コロナウイルス対策タスクフォースに参加しているファウチを、COVID-19との戦いにおける「アメリカのポイントガード」だと形容した。COVID-19はウイルスによって引き起こされる疾病だ。

79歳になるファウチは、アメリカは感染拡大にどのように対応しているのか、バスケットボールを使ったたとえで表現するように求められた。

内科医であるファウチは、アメリカ国内のエイズとエボラ出血熱との戦いを含む数多くの戦いを主導してきた。ファウチはニューヨーク市で生まれ育ち、高校時代にはバスケットボールの選手だった。

ファウチは次のように語った。「バスケットボールでたとえるならば、まず私たちはとても強力なティームを作っているということです。相手はもちろんウイルスです。私たちに必要なことは、コート全面を使った厳しいディフェンスです」。

ファウチは続けて次のように述べた。「ウイルスにはドリブルでボールを前に進めさせないようにしなければなりません。私たちはウイルスを圧倒しなくてはなりません。私たちのゲームはまだハーフタイムにもなっていませんよね、コーチK」。

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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