古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:新型コロナウイルス

 古村治彦です

 インターネット上でも話題になっているが、昨年アメリカ政府が「中国で新型インフルエンザウイルス感染拡大が発生し、アメリカではシカゴで初めて感染が確認されて以降、パンデミックに発展する」という想定で、シミュレーション、演習が行われた。その結果は、国家レヴェルで対応がなければ1億1000万人が感染し、770万人が入院、58万6000人が死亡する、というものだった。

 トランプ大統領が「全米で10万から20万の人が死亡する」と発表したが、これは国家レヴェルでの対応を行った上での予測であって、何も対応をしなければ220万人が死亡するという数字を挙げていた。昨年のアメリカ政府が行ったシミュレーションでも何も対応をしなければ58万という数字が出ており、10万から20万という数字は大雑把ではあるが、信憑性の高い数字ということになる。

参考までに書くと、シカゴ市は人口が217万人、イリノイ州は1283万人だ。2020年4月1日時点でのシカゴ市での感染者数は3123人、死亡者数は40人、イリノイ州での感染者数は6980人、死亡者数は141人となっている。全米では感染者数は18万6101人、死亡者数は3603人となっている。シカゴ市やイリノイ州で特に感染者や死者数が多いということはない。

 シミュレーションと言えば、戦争や軍隊に絡むものである。日本海軍で伝統として行われてきた「兵棋演習(へいぎえんしゅう)」もシミュレーションである。アメリカに駐在武官として赴任した秋山真之が日本海軍にもたらしたもので、英語ではWar Time Simulationという。図上演習ともいう。ある回線を想定し、あらゆる条件を決めて、戦闘を行ってみる。日本海軍の場合は、太平洋戦争では物量的にも不利ということもあり、条件に手心を加えたり、改ざんを加えたりして、無理やり勝利すると医師也を作っていた。シミュレーションは客観的に行わなければ、実態にそぐわないただの作り話になってしまう。

 アメリカ政府は昨年、パンデミックが起きた際のシミュレーションを行った。これは現在の大勢のどこに欠陥や不足があって、どのような結果になるか、最悪の結果を回避するためにはどのような準備が必要かということを客観的に明らかにするためのものだ。

 今回の新型コロナウイルス感染拡大はシミュレーションで見つかった穴を塞ぐ前に発生してしまったようだ。アメリカ政府も日本政府と同様に対応が後手に回ってしまったようであるが、得意の物量作戦で何とか挽回しようとしている。トランプ大統領は今年の大統領選挙で再選を目指しているが、対応を間違えば落選の憂き目にあうことになる。今のところ、大統領の支持率は落ちてはいない。しかし、支持率が上がっている訳でもない。

 シミュレーションは日本でも自然災害に関しては行われていることはマスメディアでもよく取り上げられている。恐らく大規模疾病に関してもシミュレーションは行われていただろうし、日本政府はそこで何が足りないか、どこに穴があるかを把握していたはずだ。もし、そのようなことがなされていないとするならば、国家経営上の危機だ。是非、日本政府もシミュレーションを実施して、危機的状況に対する備えに役立てるべきだ。

(貼り付けはじめ)

Surviving The Trump Eraサム・ポトリッキオ

新型コロナを予言?米政府「的中シナリオ」が占う大統領選

20200324日(火)1600

https://www.newsweekjapan.jp/sam/2020/03/post-45_1.php

https://www.newsweekjapan.jp/sam/2020/03/post-45_2.php

<リークされた米保健当局の想定演習が現実に。混乱するアメリカ社会で国民が求めるリーダーは誰か>

米政府は201918月に、ある演習を実施した。「クリムゾン・コンテイジョン」というコードネームで呼ばれたこの演習は、中国で発生した新型呼吸器系ウイルスが航空機の乗客によって世界中に瞬時に拡散されるという、恐ろしいシナリオだった。

「アメリカではシカゴで最初に感染者が確認され、その47日後にWHO(世界保健機関)がパンデミック(世界的大流行)を宣言した。だが、対応は遅過ぎた。米国内の感染者は11100万人に上ると予測され、770万人が入院し、586000人が死亡するとみられた」

米保健福祉省は、今月リークされたその演習の報告書で、治療法がないウイルスと生死を懸けて闘うには、連邦政府は資金も準備も調整も「不十分」であることが分かったとしていた。演習は学校の休校をめぐって連邦政府と地方の足並みがそろわず、ウイルスとの闘いに必要な医療設備も十分に用意できないことを露呈した。

このシナリオが今、ほぼ現実のものになっている。アメリカの街は不気味なほど静かで、学校は休校になり、バーやレストランは営業を停止した。国民は有能な政府がいかに重要であるかを痛感している。

トランプ米大統領は、多くの前任者にない「チャンス」を手にしていた。パンデミックに真正面から立ち向かえば、大きく株を上げられたはずだ。ところが彼は危機の深刻さを見くびり、国を苦境に追い込んだ。

アメリカと韓国は、いずれも国内初の新型コロナウイルス感染者を120日頃に確認した。韓国では既に感染拡大のピークが過ぎたが、アメリカは危機への備えを始めたばかり。韓国に先見の明があったというより、アメリカに能力が欠けている。

危機は人の本質をあぶり出す。いまアメリカが目の当たりにしているのは、大統領の器の小ささだ。36日に米疾病対策センター(CDC)を訪れたトランプは、選挙運動用のキャップをかぶっていた。ウイルスの犠牲者が多いワシントン州の知事を「ヘビ野郎」と呼び、ウイルス検査について「必要な人は誰でも受けられる」と嘘を言った。第2次大戦以降で最大の危機より、自分の再選を気にしていた。

1カ月ほど前のトランプは、楽に再選を果たせそうだった。民主党の対抗馬はリベラル過ぎるという懸念が党内にもあるバーニー・サンダースになりそうだったし、株式市場は好調で、失業率は50年ぶりの低水準だった。

今は違う。米経済は大不況の崖っぷちにあり、トランプの大統領就任以降3年分の株価の上昇分は吹き飛んだ。過去10年、米経済はほぼ継続して拡大してきた。だが08年前後の大不況以降で初めての重大な危機を迎えた今、もう国民は面白くて新奇な指導者を求めてはいない。テレビでドタバタ劇を見たがる時代は終わり、関心は有能な指導者が今より希望を持てる未来に人々を導けるかどうかに移った。

大統領選は、候補者が時代の求める人物かどうかを測る場だ。その意味で今の危機的な状況は、民主党の大統領候補指名争いでトップを走るジョー・バイデン前副大統領にほぼ完璧な条件をもたらしている。

バイデンは50年にわたって公職を務め、息子を病で失った悲しい経験から他人に共感する能力も高い。オバマ前政権で副大統領を務めたことから学んだ安定感もある。バイデンは忘れっぽく失言も多い。だが態度を決めかねている有権者のほぼ全員が同意できるのは、彼が自分より他人の事情を考えられるということ。すなわち、トランプとは真逆の人間だということだ。

そしてアメリカ人は大統領選で、現職とは真逆の候補者を選ぶ傾向にある。時代はバイデンに味方している。

<本誌2020331日号掲載>

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1

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「“クリムゾン・コンテイジョン・2019”シミュレーションはアメリカ国内でのパンデミックの」 ‘Crimson Contagion 2019’ Simulation Warned of Pandemic Implications in US

―2019年のパンデミックに関する演習は州政府と連邦政府の役人たちに対して懸念のある分野を指摘した

キャロル・マリン、ドン・モーズリー筆

2020年3月24日

NBCシカゴ』

https://www.nbcchicago.com/news/local/crimson-contagion-2019-simulation-warned-of-pandemic-implications-in-us/2243832/

2019年8月、シカゴにおいて、連邦政府の諸機関が集まり、アメリカがいかにしてある疾病の爆発的感染拡大(パンデミック、pandemic)に対処するかについて把握するための演習(シミュレーション)を実施した。この疾病は世界的な観戦爆発を起こしながら、治療法がまだ見つかっていないという設定で演習は実施された。この演習によってパンデミックに対するアメリカの全国規模での欠点や欠如している点が数多く見つかった。その中には医療物資が十分に準備されていないということも含まれていた。

この演習は「真紅の伝染病感染2019年版機能実験(Crimson Contagion 2019 Functional Exercise、クリムゾン・コンテイジョン・2019・ファンクショナル・エクササイズ」」と呼ばれ、結果が一般に公開されているものではない。『ニューヨーク・タイムズ』紙がこの演習についていち早く報じた。

この演習はインフルエンザについてのもので、コロナウイルスについてのものではなかった。しかし、中国で始まり、シカゴに上陸するという架空の感染流行を想定すると、いくつも問題を抱える分野が見つかったと関係文書では指摘されている。

2019年8月13日、イリノイ州とアリゾナ州やコネチカット州といった11の州、連邦政府、州政府、地方政府の役人たちが集まり、4日間の演習を実施した。

シナリオは以下の通りだ。

新型インフルエンザの大規模感染が中国で始まり、急速に感染拡大が起き、アメリカではシカゴで最初に検出され、人と人との接触によってパンデミックにまで拡大するという想定がなされた。

演習では現在のワクチンの貯蔵量ではウイルスを封じ込めることはできないとされた。

この国家規模の演習には次の機関が参加した。

・19の連邦政府の諸機関(19 federal agencies

・12の州(12 states

・74の地方の医療衛生部局(74 local health departments

・87の病院(87 hospitals

報道によると、ホワイトハウスの国家安全保障会議の幹部たちは演習中に簡潔な報告を受け取っていた、ということだ。

主張な発見は以下の通りだ。

インフルエンザのパンデミックに対して連邦政府は十分な予算を持っていない。

国防生産法をどのように適用するかについての混乱がある。

現在の医療資材供給チェインと生産能力は需要を満たすことはできないだろう。

世界規模の製造業の能力では、アメリカ国内の個人の防御装置や付随の装置の需要を満たすことはできないだろう。

アリソン・アーワディは演習に参加し、演習の結果を受けてシカゴ市の対応能力を引き上げてきた。アーワディ博士はシカゴ市が取った行動と同じ行動を連邦政府の諸機関が取るかどうかについてはコメントしなかった。

シカゴ市長ローリ・ライトフットは記者たちとの電話を通じた会見で雄弁に語った。

市長は「私にとって明白なことは、連邦政府は私たちを助けてはくれないということです。あの人たちは、最後の最後でさっそうと現れる騎兵隊(cavalry)ではないのですよ」と述べた。

シカゴ市公衆衛生局、緊急事態対応・コミュニケーション室、イリノイ州健康衛生部、緊急事態対応庁も演習に参加した。

ニューヨーク・タイムズ紙の報道とアーワディ博士は連邦政府の諸機関が協力し、対応戦略を構築していることを称賛しているが、パンデミックを想定した演習では、恐ろしい結果を予想している。国家レヴェルでの協力した対応がなければ、アメリカ国内で1億1000万人の感染、770万人の入院治療、58万6000人の死亡が出るという予想である。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大は世界的な規模で危機的状況を作り出している。アメリカ国内も中国や日本を馬鹿にしていたが、今やプロスポーツは中止、選挙も延期などと影響が出ている。有名人が手を洗う動画を投稿し、「皆さん、しっかり手を洗いましょう」という呼びかけを行っている。手洗いうがいに関しては、日本の方が勝っているだろう。

 そうした中で、新型コロナウイルスを「ブーマー・リムーヴァー(boomer remover)」というスラングで呼ぶことがアメリカのインターネット上では流行しているそう。「ブーマー」とは「ベイビー・ブーム世代」、日本で言えば「団塊の世代」だ。戦後すぐ生まれから15年後くらいの間の世代ということになる。1946、47年から1964年くらいまでに生まれた人々であり、年齢で言えば55歳から74歳くらいまでを指す。

 「リムーヴァー」は除去剤という意味だ。ペンキやインク、マニキュアを剥がす液体などがリムーヴァーという。「ブーマー・リムーヴァー」とは「ベイビー・ブーム世代を除去するもの」という意味になる。新型コロナウイルスについてはその特徴として、高齢者になるほど重症化リスク、致死率が高いということが知られている。若者の重症化リスク、致死率が低い。これで「人口が多い高齢者だけを除去する(殺す)ウイルス」ということになる。何とも嫌な言葉である。しかし、現在の先進国が抱える、世代間の不公平感を示す言葉ともなっている。

 私のある知人は、「この新型コロナウイルスって高齢者しか死なないなんて、財務省からしたら最高じゃない?社会保障関連予算がどんどん増える中で年寄りだけが減るんだから。財務省にしたら万歳しながら、“社会保障改善ウイルス”と呼びたいんじゃないの」と冷酷に述べていた。これは、超高齢社会(高齢者が人口に占める割合が3割弱)の中で、税金と社会保障費で約5割の負担が重い中で、高齢者たちはバブルも経験して、逃げ得をしようとしている、という現役世代は不平不満を持っているということを示している。
 下の記事で言えば、ミレニアル世代とは20代中盤から30代後半までの人々、Z世代は18歳から20代中盤を指す。日本で言えば、団塊ジュニア世代は、アメリカで言えばX世代と呼ばれている。

 日本ではメディアの報道もあり、高齢者も新型コロナウイルスの危険性を理解し、行動を抑えている人々が多いように思う。しかし、以下の記事で紹介されているのは、アメリカでは、ベイビー・ブーム世代の高齢者が危険性を理解せず、子供たち世代の説得も聞き入れないで生活を抑制的にしないことで、子供たち世代が苛立っているということだ。ベイビー・ブーム世代の高齢者について「話が通じなくて、知識がない」という認識を持つ若い人たちが多くなっているということも紹介されている。この点は興味深い。

 社会が危機的状況に陥ると様々な事象が出てくるが、新型コロナウイルス感染拡大とともに「ブーマー・リムーヴァー」という言葉も拡大しているというのは、先進国の行き詰まり感をよく示しているものだと思う。

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寒気がするコロナウイルスに関するインターネット上のスラング「ブーマー・リムーヴァー」は、ミレニアル世代の人々をより怖い世代だと考えさせるだけの効果しかない(Morbid ‘boomer remover’ coronavirus meme only makes millennials seem more awful

ハンナ・スパークス筆

2020年3月19日

『ニューヨーク・ポスト』紙

https://nypost.com/2020/03/19/morbid-boomer-remover-coronavirus-meme-only-makes-millennials-seem-more-awful/

コロナウイルスの爆発的流行に対する新しいスラングが出て来ているが、それは嫌な思いをするが、寒気がするほど実態を表している言葉だ。それは、「ブーマー・リムーヴァー(boomer remover)」だ。

この虚無的なキャッチフレーズは、投稿型ソーシャルサイト「レディット(Reddit)」で拡散されて、全てのSNSプラットフォームでも拡散されている。特に知識が豊富なミレニアル世代の人々の間で広がった。こうした人々は、COVID-19ウイルスはベイビー・ブーム世代、もしくは55歳から75歳までの人々に狙いを定めているように見えるという事実を取り上げている。

疾病コントロール・予防センターのデータによると、アメリカ国内ではコロナウイルス感染関連で入院している患者の40%が54歳よりも若い人々であるという事実はある。しかし、今回の疾病がより年齢の高い人々にとってより厳しいものとなるということも事実だ。コロナウイルス関連での死者の80%が65歳以上である。

このような状況の中で、「ブーマー・リムーヴァー」は現在、インターネット上で流行語(trending meme)となっている。

しかし、アメリカ政府の医療関係の役人たちは、感染数の「カーヴを緩やかに」するために全ての年代の人々は家に留まるように求めている。若い人々の多くは、ベイビー・ブーム世代に属する両親や祖父母の世界規模の健康上の危機に対する無気力なアプローチを取るように感じている。

成人した人々からすれば高齢の人々の思慮のない行動が懸念材料となる。

フリードリッヒ・エイジェンシーの出版エージェントをしているルーシー・カールソンは心配しながら次のようにツイッター上で書いている。「糖尿病を持っているベイビー・ブーム世代の親に町中に行かないように止めるために説得するベストなアドヴァイスは何?電話で怒鳴ってしまうのは私の流儀ではないのだけれど」。

別の不満を持っているミレニアル世代のある人は次のようにツイートした。「70歳になるおふくろに、同世代が集まる行為を全部やめるように言う前に、若い人たちがコロナウイルスをブーマー・リム―ヴァ―と呼んでいるようだよ、と言ってやったんだ」。

『ニューヨーカー』誌のマイケル・シュルマン記者はツイッター上に、「ベイビー・ブーム世代の親たちが自分たちよりもコロナウイルスについて真剣に捉えていない」ことを教えて欲しいと投稿したところ、似たような状況にあって苛立っている子供世代から1500以上もの返事が返ってきた。こうした人々の中には、高齢の親戚がフロリダに休暇に行くと言って説得を聞き入れてくれない、いつも通りに教会に行くと言い張る、101歳になる両親に会いに行くのが悪いことなのかと食って掛かるといったエピソードが紹介されている。

ミレニアル世代はまだ家族として高齢者を心配しているところがあるが、Z世代の人々は高齢者に対してより敵対的な態度を取っている。

ツイッターユーザーのBW・カーリンはSNS上の議論を踏まえながら、「中学校の生成をしている親戚がいるのだけど、生徒たちはコロナウイルスを“ブーマー・リムーヴァー”と言っているんだって」とツイッター上に投稿している。

昨年、Z世代とミレニアル世代の人々は、高齢者に対する怒りを「分かったから、ブーマー世代(OK, boomer)」というキャッチフレーズを作ることで表現した。このベイビー・ブーム世代を馬鹿にする否定的な表現は、55歳以上の人々について話が通じず、何も知らないと若い人々が考えていることを示している。

しかし、ブーマー・リムーヴァーというより強い意味を持つ表現は更に先に進んだものと言えるだろう。

この言葉に対して批判的なある人物は次のようにツイートしている。「ハハハ、ブーマー・リムーヴァーか。これにはあなたの家族や愛する人、それに有名人や政治家も含まれる。こうした人々は若い人たちを常に助けてきた。彼らの政治的な考え方は未熟だ」。

別の人物は次のように不満を表明している。「#BoomerRemoverというタグをつけている奴らについて簡単に言うと次のようになる。これまで“ダメ”と言われたこともなく、共感や責任感を教えられたこともない甘やかされた子供ちゃんたちだ。誰も相手なんてしない。どれだけでも甘やかされたいんだろう。そして実際に甘やかされている」。

今週初め、『フィナンシャル・タイムズ』紙のラナ・フォールハー記者はこの流行している言葉の政治的な文脈からの分析を行った。

フォールハーは次のように書いている。「若い人々はコロナウイルスを“ブーマー・リムーヴァー”と呼んでいる。これは現在、社会全体に共感が欠けているということを反映している。しかし、同時に若い世代が年齢の高い世代に対して持っている漠然とした政治的な怒りも反映している」。

しかし、他の人たちはこうした論争を和らげようと努めている。ベイビー・ブーム世代の中には、十代の時に世代間の戦いを戦い抜いた人たちがいる(性的革命、ヴェトナム戦争への抗議活動、ビートルズ)と主張している人々がいる。

ヴィデオ作家ジャック・セイントは次のように書いている。「コロナウイルスを“ブーマー・リムーヴァー”と呼ぶ十代は恐ろしい。しかし、これがどのように誤っているかを教えようとしている人々は、十代がどんな人たちで何を考えているかを知らなければならない」。

結局、高齢者たちのコロナウイルス関連死を笑っている世代は、現在、春休みでフロリダの海岸に集まっている人々なのである。

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 古村治彦です。

 火曜日にアリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州で予備選挙が実施された。オハイオ州も実施予定であったが新型コロナウイルス感染拡大を受け延期となった。3州の予備選挙ではジョー・バイデンが全て勝利を収め、バーニー・サンダースに対して、獲得代議員数でほぼ逆転不可能なリードを取ることに成功した。これでほぼ終戦であり、サンダースがどうするのかということに人々の注目が集まっている。

 あくまで選挙戦を継続するのか、選挙戦から撤退して、新型コロナウイルス感染拡大もあり、予備選挙を終わらせるのか、どちらだろうかという憶測が様々に飛び交う。そうした中で、サンダース陣営の責任者ファイズ・シャキールが「次の予備選挙までに数週間あるので、その間に時間を取ってサンダース陣営と選挙戦について分析評価(assess)する」と発表した。これまで他の候補者たちの動きでは、「分析評価」「再度の評価」という言葉が出ると、数日もしないうちに「選挙戦を停止(suspend)する」ということになっている。従って、サンダースも選挙戦の停止を考えているということを示唆していると見るのが一般的だ。

 しかし、ここで勇み足をしてしまったのが『アクシオス』誌だ。アクシオス誌はバイデンが選挙戦を停止するという内容の記事を発表し、サンダース陣営から「完全な誤り」と指摘された。アクシオス誌も誤りを認めて編集長が謝罪するということになった。アクシオス誌の勇み足であろうが、「分析評価」という言葉を選対責任者が出すということはよほどのことであり、選挙戦の停止だと考えるのは仕方がない部分がある。取材が足りなかったという批判は出るが、少しかわいそうでもある。

 また、サンダースに対しては選挙戦を停止してはどうかという圧力は高まっている。これ以上戦っても逆転は不可能であり、サンダースもバイデンに致命傷を与えてまで逆転をしようという姿勢を取っておらず、自分たちの政策を少しでもバイデンに採用してもらおうという戦略に変わっている。

 選挙の方式も人々が集まらないようにする郵便形式や時間の延長などが検討されている。しかし、これからますます予備選挙の延期というところも出てくる。高齢者の方が投票やヴォランティアに参観する数が多いということもある。そうした人々は重症化リスクも高いので選挙自体が危険ということになる。そうした中であくまで続けるのか、止めるのか、まだ時間があるがサンダースにしては大きな決断が迫られる。

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火曜日の連敗を受けサンダースは「選挙戦を分析評価」する(Sanders to 'assess his campaign' after Tuesday losses

ジュリア・マンチェスター筆

2020年3月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/488181-sanders-will-assess-his-campaign-after-coronavirus-response

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の選対責任者は水曜日、サンダースはこれから数週間で時間を取って選挙運動と選対を分析評価することになると述べた。ジョー・バイデン副大統領が火曜日に連勝を収めたこと後にこの発言がなされた。

サンダース選対の責任者ファイズ・シャキールは声明の中で次のように述べている。「次の予備選挙は3週間後に実施されます。サンダース上院議員は自身の選挙運動と選対を分析評価するために支持者と話し合いを行うことになります」。

シャキールは「しかし、直近では議員はコロナウイルスの感染拡大への政府の対応に集中し、私たちは労働者と最も弱い人々への対応がなされることに全力を挙げます」と述べた。

この声明は火曜日にバイデンがアリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州の各予備選挙で勝利を収めた数時間後に発表された。バイデンはフロリダ州では40ポイント、イリノイ州では20ポイントの差をつけてサンダースに勝利した。

バイデンはアリゾナ州では得票率43%を記録し、サンダースは31%にとどまった。

今月初めのスーパーチューズデーで14州のうち10州で勝利を収めたことで、バイデンはリードを奪った。

火曜日の予備選挙での勝利によって、集計が最終的に完了し、バイデンは獲得代議員数で逆転不可能なリードを持つことになるだろう。

バイデンは現在1100名以上の代議員を獲得済みである。一方サンダースはやっと800名を超えた程度の数を集めているに過ぎない。

全代議員の40%がまだ配分されていない。候補者たちは民主党の候補者指名を正式に受けるためには少なくとも1991名の代議員を獲得しなければならない。

複数の予備選挙がコロナウイルスの感染拡大のために延期となっている。火曜日に行われる予定となっていたオハイオ州での予備選挙はウイルスのために延期となった。ジョージア州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、メリーランド州、プエルトリコもまた予備選挙を延期した。

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サンダースが2020年の選挙戦を停止すると『アクシオス』が誤った報道を行ったことを謝罪(Axios issues apology after incorrectly reporting Sanders suspended his 2020 campaign

タル・アクセルロッド筆

2020年3月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/media/488303-axios-issues-apology-after-reporting-sanders-suspended-his-2020-campaign

『アクシオス』誌は水曜日、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が選挙戦を停止すると誤った報道を行ったことを謝罪した。

アクシオス誌の編集長ニコラス・ジョンソンは、インターネット上に衝撃を与えた記事が発表されてしまったのはアクシオス誌の編集プロセスがうまく機能しておらず、スタッフがそれぞれ離れた場所で業務を行うことに慣れきってしまったために起きたことだと述べた。

ジョンソンは次のように述べた。「サンダース氏の選挙戦についての私たちの誤った報道は大きな間違いであり、私たちは謝罪します。言い訳ではありませんが、次のことが現実です。完全に別々の場所に編集部員たちがいるという状況で私たちの編集プロセスが完全に機能しなかったのです。これは改善されつつあり、修正も行われています。今回の間違いについて私たちは責任を取ります」。


この記事は水曜日の朝に発表されたものだが、その中では、サンダースは、火曜日夜に実施されたアリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州での各予備選挙でジョー・バイデン副大統領に対して大差で連敗を喫したので、民主党予備選挙の選挙戦を停止すると書かれていた。

サンダース選対の広報責任者マイク・カスカは、報道内容は「完全に誤り」であると明確に述べた。

アクシオス誌の記事は訂正されたのだが、誤りが含まれた元々のヴァージョンはアップル・ニュースに掲載され続けた。


火曜日に予備選挙が実施された3つの州で厳しい敗北を喫した後、サンダースは選挙運動と選対に対する分析評価を行っている。彼が選挙戦から撤退するのか、それともジョー・バイデンをより左派の方向に移動させる努力を行うために選挙戦を継続するのか、どちらだろうかという憶測が様々になされている。

サンダース陣営の責任者ファイズ・シャキーラは声明の中で次のように述べている。「次の予備選挙の投開票は3週間後に行われます。サンダース上院議員はこれから支持者の方々と選挙運動や選対について分析評価(assess)を行うために話し合いを持つことになります」。

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 古村治彦です。

 日本政府は「観光立国」を目指している。2020年夏には東京(と札幌やそのほかの地域)でオリンピック・パラリンピックが開催されることもあり、訪日客4000万人を目指している。世界GDPの40%近くを占め、世界経済の成長エンジンとなっているアジア諸国は人々の生活水準も上がり、海外旅行にも行ける人の数が増えており、海外旅行先として日本が選ばれることも多い。日本全国の観光地で様々な言語が飛び交うようになっている。

 私が生まれ育った鹿児島市にもいくつか観光地があり、その最大のものはやはり桜島であり、建造物で言えば、薩摩藩の藩主であり英明で知られた島津斉彬を祀った照国神社や、藩主の別邸を中心とした磯庭園だ。少し足を延ばせば有名な温泉地である指宿もある。こうした場所で、中国、台湾、韓国からの団体旅行客が多く見られるようになった。

 しかし、今回の新型コロナウイルスの感染拡大が起きた。中国で人々が長期休暇となる春節の時期に起きてしまった。この時期は中国から日本に多くの観光客が訪れる。しかし、急遽キャンセルになった。下の記事が示すように影響は大きく深刻だ。

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●「新型肺炎、奈良観光に大打撃 人出は「10分の1に」」

2/2() 10:29 配信朝日新聞デジタル

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200202-00000013-asahi-soci

 新型コロナウイルスは奈良の観光にも影響を及ぼしている。奈良県内に住むバス運転手の男性(60代)への感染が判明してから初めての週末を迎えた1日、奈良公園(奈良市)周辺の人出は少なかった。観光バスの出入りは減り、ホテルや旅館ではキャンセルが相次いでいる。

 この日の午前11時過ぎから午後3時半まで奈良公園周辺を歩くと、散策する人の姿はまばら。大勢の外国人観光客がシカにせんべいをやる光景もほとんど見られなかった。例年なら中国の春節にあたり、中国人観光客でにぎわう時期だ。

 鹿せんべいを売る行商組合の男性(58)は「春節なのに、すごく少ない。去年の10分の1くらい。中国人だけでなく全体的に減った感じ。しょうがないですが」と話した。

 中国は感染拡大を防ぐため、1月27日から国外旅行を含む団体ツアーを禁止にしている。翌28日、バス運転手の男性の感染が明らかになった。荒井正吾知事は、男性の運転するバスが奈良公園に1時間ほど立ち寄ったことを明かしたうえで、「県内での感染は想像しにくい」と強調した。

 だが観光客の不安は残る。東大寺や興福寺ではマスク姿の参拝者が目立った。東大寺の近くを家族4人で歩いていた三重県伊勢市の乾智典さん(41)は「子どもがシカを見たいというので連れてきました。ぎりぎりまで迷ったけど、屋外やし大丈夫かなと」

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●「新型コロナウイルスで中国人観光客「40万人減」の可能性」

白井 咲貴日経ビジネス記者 2020130

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00105/013000003/

 新型コロナウイルスの経済面への影響が心配される中、観光業に新たな懸念が出てきた。40万人近い中国人が日本への旅行を取りやめる可能性だ。

 中国人が観光ビザを取得する場合、日本の旅行会社が身元保証人となった「身元保証書」の発行を受ける必要がある。日本旅行業協会(JATA)によると、「127日から3月までに来日する観光客の身元保証書を約40万件発行していた」という。だが、新型コロナウイルスの感染拡大で中国政府が127日以降の海外への団体旅行を禁止した影響もあり、「100%とは言わないが、ほとんどの人が日本への旅行を取りやめることになるだろう」(JATA)。今後、訪日客が激減する可能性がある。

 日本政府観光局(JNTO)によると、20192月の訪日中国人は約72万人、3月は約69万人だった。23月で仮に40万人近くが旅行を取りやめれば、大きな影響が出るのは間違いない。特に今年は「1月中旬までの身元保証書の発行数は前年を大きく上回って推移していた」(JATA)ため、機会損失は大きい。

 すでに影響も出始めている。大手旅行会社の国内旅行責任者は「取引のある旅館でキャンセルが相次いでいる。中国人客のキャンセルの穴を埋めるため、日本人へ積極的にプロモーションしていく」と話す。

 重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した03年時点で44万人だった訪日中国人は、ビザの緩和やLCC(格安航空会社)の増加などで19年には959万人と20倍以上になった。日韓関係の悪化で韓国人観光客が激減する中、中国人観光客は観光業にとって頼みの綱だった。だが、新型コロナウイルスの感染拡大により「40万人減」という大きな打撃を受ける可能性が出てきた。観光関連産業の先行きに不透明感が漂っている。

(貼り付け終わり)

 中国政府は中国国民の海外旅行禁止措置を取っており、現在旅行で滞在している人たちもいずれ帰国することになる。今回の新型コロナウイルスの感染拡大がどれほどの影響を持つものなのかは終息してみて、統計上の数字を見て見なければ最終的なことは分からないが、素人が推計をして見てもかなり深刻であることが分かる。日本政府観光局が出している統計データは大変詳細なものであり、参考になる。

※日本政府観光局のウェブサイト上にある統計データ↓

https://statistics.jnto.go.jp/graph/#category--10

2019年の訪日外国人旅行者の合計は3188万2100名だった。2018年は3119万1856名で、約70万名の増加となった。日本の「観光立国」戦略は推進され、成果を上げている。訪日外国人旅行者の平均滞在日数は約5日間、一人当たりの平均旅行支出額(宿泊・飲食・娯楽など)は約15万3000円(2018年)です。2019年も一人当たりの支出に大きな変化がないものとすると、約3200万人の人が平均15万円のお金を使うということになるから、単純に計算すると、合計で約4兆8000億円のお金を日本で使っているということになる。

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中国からの旅行者は2019年では959万4300名で、全体の約30%を占めている。中国からの旅行者が国・地域別では第1位です。第2位は韓国からの旅行者で、558万4600名で約17.5%、3位は台湾からの旅行者で、489万600名で約15.4%となっている。

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 訪日観光客の80%は東アジア地域、東南アジア地域プラスインドからとなっている。やはり欧米諸国やアフリカ、南米地域からは「日本は遠い」ということになるのだろう。また、アフリカや南米地域には発展途上国も多く、海外旅行を楽しむ余裕がある人も少ないのだろう。

 訪日観光客数上位3名の国々の平均的な訪問客にはそれぞれ特徴がある。例えば、韓国からの訪問客の滞在日数は平均で2.8日、台湾で3.7日となっている。考えてみれば、私たち日本人も韓国や台湾はお手軽な海外旅行先ということもあり、週末の金曜日の夜から日曜日までという旅程を組む場合が多い。逆から考えれば、韓国や台湾からでも日本は週末に訪れることができるお手軽な国ということになるのだろう。

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中国人訪日観光客は平均滞在日数が5.2日で、平均で22万円のお金を使う。その内訳を見ると、買い物に11万円を使うとなっている。私たちが報道などで見る「中国人の爆買い」は統計上の数字でも分かり興味深い。約900万人が22万円のお金を使うというのは、総計すると1兆9800億円を使うということになる。訪日外国人観光客全体で4兆8000億円なので、40%以上を中国人訪日観光客(訪問者数で言えば30%)が占めることになる。中国からのお客さんは「お金を落としてくれる上得意」ということになる。

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今回の事態で中国からの訪日観光客がどれだけ減るのか分からない。事態がピークを越えた、終息に向かっているとなっても、中国政府やWHO(世界保健機関)が終息宣言を出さなければ、中国の人々が海外旅行に出かけるということにはならないだろう。また、他国からの旅行者も減少するだろう。事態の推移を見なければ分からないが、2021年からは回復傾向になっていくであろうが、今年は厳しいと思っていた方が良いだろう。

今年は東京でオリンピック・パラリンピックが開催される。中国もまたメダル大国であり、中国からたくさんの人々が中国選手の応援に来ることが予想される。そうなると厄介なのが訪日中国人に対するヴィザ発給だ。終息宣言があって、また通常通りということになるだろうか。SARSの事例から、新型コロナウイルスがピークを過ぎるのは今年の5月から6月と予測する医学者もいる。オリンピック・パラリンピックの直前だ。

封じ込めは中国国内から人々が出ないということで行われている。終息宣言が出ても、それではすぐにまたいつも通りとなるかどうか、日中両国政府にとって頭が痛い問題だ。日本政府としては日本国内の世論もあり、医師の健康診断を受け、新型コロナウイルスに感染していないことを示す証明書を中国からの訪問客が提出することを義務付けるだろう。これは訪問予定者にとって手間となり、それなら訪日は諦めようということになれば中国からの訪日客は減少する。

また、オリンピックを機会にして中国以外の国々からの訪日も増えることが予想された。しかし、今回のウイルスの封じ込めがいつまでかかるかに依るが、見込まれていた訪日客は減ることが容易に予想される。アジアを一緒くたにして見る傾向が強い欧米諸国では、人々の間で日本は中国の隣で危険だという心情が残る可能性がある。そうなれば海外向けに発売していたチケットがどうなるか分からない。キャンセルされて、それが再発売されるとなれば、日本国内で売れる。しかし、海外との間でのキャンセルと払い戻し手続きを行い、国内で再販売手続きを行うのは大変な手間となる。
 オリンピックの場合、特定の種目で世界の超一流のプロスポーツ選手が出場する。例えば、バスケットボールではアメリカ代表はNBAのスタープレイヤーたちで構成される「ドリームティーム」となる。サッカーも年齢制限があるものの、こちらも各国を代表する若手のスタープレイヤーが多く出場する。新型コロナウイルスが収束して間もない段階で、東京で開催されるオリンピックに、これらのプレイヤーが出場することをサラリーを払っている所属ティームやリーグが快く送り出すかとなると不透明だ。彼らの身体と技能を高額のお金を出して買っているのはこうしたティームだ。どのように判断するか、そして、プレイヤー自身がどのように判断するか不透明だ。もし、世界のスタープレイヤーたちの出場辞退となれば、せっかくの人気の花形種目の観客席がガラガラということにもなりかねない。

訪日観光客が10%減少した場合、単純計算で約5000億円のお金が日本国内に落ちないということになる。上得意の中国からの訪問客数が仮に半分となれば、1兆円近いお金が落ちないということになる。ここで完璧なシミュレーションなどできないので、何とも言えないが、かなり大きなマイナスの影響が出るということは覚悟しておかねばならない。日本のGDPは約550兆円だ。1兆円程度のお金は大したことではないということも言えるが、観光業にとっては大打撃となる。日本政府は既に観光業に対して影響を緩和する政策を実施すると発表している。私は昨年行った消費増税をいったん中止するというくらいのことを実施すべきだと考える。

 また、中国経済全体の減速は避けられない状況であり、そうなれば世界経済全体も沈滞することになる。日本もその影響をまともに受けることになるだろう。そのことを考え、大規模な対策を打ち出さねば、オリンピック・パラリンピックのお祭り気分もなく、沈滞した1年となってしまう。

(終わり)

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