古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:日本

 古村治彦です。

 

 今回は、『ザビエルの見た日本』という本をご紹介します。この本は、イエズス会神父で上智大学教授を務めたピーター・ミルワードが「先輩」「先達」「先駆者」フランシスコ・ザビエル(Francisco de Xavier、1506-1552年)の書簡をまとめたものです。

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ザビエルの見た日本 (講談社学術文庫)

 
 ザビエルという名前は多くの日本人が知っています。本の表紙にある彼の肖像画を記憶している人も多いでしょう。日本にキリスト教を伝えた人物です。1549年に鹿児島にやってきました。鹿児島の種子島にポルトガル人商人によって鉄砲が伝えられたのが1542年です。これで日本が西洋に「発見」されたことになります。逆に言うと、西洋が日本に「発見された」ということにもなります。

 

 ザビエルは日本に来る前に、マラッカ海峡のマラッカで日本人に出会います。そして、インドのゴアに戻ります。ゴアでは日本人のアンジロウ(鹿児島生まれ)が洗礼を受けて、パウロ・デ・サンタ・フェという名前をもらいました。これが1547年のことです。そして、ザビエルは日本人たちを連れて日本に向かい、1549年に到着しました。

 

 ザビエルは鹿児島、平戸、山口、京都、豊後(大分)と転々としながら布教活動に励みますが、1551年末には日本を離れます。その後、ゴアに戻り、中国布教を目指して関東に向かいますが、そこで亡くなりました。1542年のことでした。ザビエルの生涯は約46年、そのうち日本にいたのは2年ほどのことでしたが、日本史の中でも屈指の「有名人」となりまいた。ザビエルは日本布教を目指しましたが、日本に影響力の強い中国にキリスト教を布教したほうが、日本に布教しやすいということになり、中国を目指しましたが志半ばで亡くなりました。

 

 ザビエルは日本人に大きな期待をしていました。「日本人はキリスト教に改宗するだろう。それは日本人が知的好奇心にあふれ、理性的であるから」と彼は考えていました。ザビエルは日本に着き、日本人と直接交流することで、喜びとともに困惑も覚えたようです。

 

 日本人が知的好奇心にあふれているというのをプラスの面とすると、マイナスの面は、ザビエルたちを昼夜分かたず多くの日本人が質問攻めにしてしまうということになります。ザビエルは食事をする時間も眠る時間も祈りの時間もなかったそうです。また、食べ物が会わないということもあったようです。

 

 日本人たちはザビエルに対して様々な質問をしました。「神が全てを作ったのなら、悪である悪魔を作ったのはどうしてか」「洗礼を受けずに亡くなった私の先祖は地獄から出られないのか、救われないのか」といった質問をしています。ザビエルは2番目の質問に対して、「出られない、救われない」と答え、日本人たちを困惑させています。「人間を憐れんで、救ってくれるはずの神がどうしてそんな酷いことをするのか」「既に亡くなった親族が救われないなんて」ということになります。神と個人の対話が基本のキリスト教と、日本人の生活様式は齟齬をきたしたといえるでしょう。

 

 ザビエルは自身と希望をもって日本に布教に来ましたが、最初の期待が大きかった分、失望も大きかったようです。ザビエルはパリ大学の助教授の座を捨て、イグナティオ・ロヨラによって目覚めさせられ、東洋まで布教の旅に出た情熱の人で、その点は日本人を感動させたようですが、キリスト教の教理は日本人にはあまり受け入れなかったようです。

 

 私たちが自分以外の人間を見る場合に、勝手な理想をそこに投影すると後で勝手に失望を味わってしまいます。あるがままの姿を受け入れずに、自分の中にあるフィルターを通して見てしまうことで、「こう動くはずなのに、うまくいかない」と勝手に怒ったり、悲しんだりします。それは外国に対しての私たちの見方にも言えることです。

 

また、ザビエルが最初に会った日本人たちは外国に出て、キリスト教に興味関心を持っており、彼らはザビエルに過剰に同調し、ザビエルが聞きたい話を察知して話したことでしょう。そうなると、ザビエルは自分の中でこうあって欲しいという日本の姿を勝手に描き、持つようになるでしょう。その理想と現実のギャップに彼は苦しんだはずです。しかし、ザビエルは熱意の人ですから、それを直接吐露することはありませんでしたが、苦しいというようなことは手紙の行間から読み取ることが出来ます。

 

私たちがザビエルから学べることは、外国を見る際に、決して理想的なイメージを勝手に作らないということだと思います。現在の日本と近隣諸国との関係はまさに、日本が勝手に持ったイメージを押しけての反発という面が大きいと思います。もちろん逆もまたしかりですが。

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 JR東海によるリニア中央新幹線計画が進んでいます。早速、「入札談合」事件が起きました。総額9兆円という莫大な資金が動くプロジェクトで、安倍政権も力を入れて、財政投融資として3兆円が貸し付けられるということになっています。そうならば大小さまざまな人や企業が群がってそれを食い物にしようと考えるのは当然のことでしょう。

 

 JR東海、日本政府はともにリニア中央新幹線計画を前倒しで、少しでも早く実現しようと躍起になっています。これは、リニア技術をインフラ輸出の目玉としたいという思惑があるのでしょう。原発輸出は何かと批判が大きいですが、このような交通インフラであればそこまで批判を浴びることはありません。

 

 このようなインフラ技術を輸出するためには、実際に運用してみて(できるだけ条件の厳しい場所や状況で)、それで実績を見せる必要があります。日本のように山がちの複雑な地形で、きちんと運用できれば、それは大きなセールスポイントになります。東京から大阪までつなぐというのは大都市圏と地方、山がちな場所と言った場所での工事のデータや運用データが得られるという点でメリットがあります。

 

 新幹線技術とリニア技術の海外輸出ですが、これはアメリカにマージンが流れる構造になっています。JR東海(英語名はJR Central)とアメリカのUS-Japan High Speed Rail社とUS-Japan Maglev社との間で提携契約を結んでいます。以下のアドレス先をお読みください。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「2010年1月25日 高速鉄道の海外事業展開について」

https://jr-central.co.jp/news/release/nws000450.html

 

●「(別紙)USJHSRおよびUSJMAGLEVについて」

https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000007101.pdf

 

(貼り付け終わり)

 

「別紙」の中で、重要な分がありました。それらは以下の通りです。「USJHSRは、JR東海の世界レベルの技術を米国含めた海外市場に販売促進する独占的権利を有している」「USJMAGLEVは、JR東海の世界レベルの技術を米国含めた海外市場に販売促進する独占的権利を有している」。

 

 JR東海が新幹線技術とリニア技術を輸出する際に販売促進の独占的権利をアメリカの会社が握っているということです。JR東海が輸出する際に、これらの会社にお金が流れることになります。

 

 昨年、私は『ザ・フナイ』誌上で短期連載をさせていただきましたが、このことについて詳しく紹介しました。『ザ・フナイ』2017年7月号(ザ・フナイ 2017年 07 月号)と8月号(ザ・フナイ 2017年 08 月号 [雑誌])をお読みください。


 国策で急いでリニア中央新幹線計画を進めて、運用実績を作って、輸出をしてアメリカを儲けさせる、ということがあり、そのために資金を投入している、というのが属国日本の姿ということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

3兆円融資は忖度か リニア「国策化」の怪しいプロセス

 

201817日 日刊ゲンダイ

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/220745/1

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/220745/2

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/220745/3

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/220745/4

 

 東京地検特捜部が全容解明に向けて捜査を進めている「リニア疑惑」事件が今年、本番を迎える。総工費9兆円の巨大プロジェクトを巡る疑惑には、単なる「入札談合」では片づけられない「闇」が横たわっている。どう考えたって安倍政権のヨコシマな思惑への忖度がはたらいたとしか思えない――。そんな構図が浮かび上がってくるのだ。

 

 そもそもリニア中央新幹線の建設計画は、JR東海が全額自己負担を原則に進めてきた。政府もリニア計画に長年距離を置いてきたが、安倍政権がくちばしを入れ始めたのは、国が着工を許可した2014年のこと。

 

「JR東海が自力で行うとしていることも勘案しつつ、要望を受けて対応を考えていきたい」

 

 当時、世耕弘成官房副長官は、関西経済連合会のリニア新幹線「国家プロジェクト化」と「大阪・名古屋同時開業要望」に対し、そう語っていた。

 

「リニア大阪延伸の前倒しは関西財界の悲願でした。その意向を受けて積極的に“ロビー活動”を進めたのが、松井一郎大阪府知事であり、大阪市長時代の橋下徹氏です。2人は安倍首相と菅官房長官と定期的に会食する仲。その席でもリニア前倒しの話題を何度も伝えていたようです」(関西政界関係者)

 

 リニア大阪延伸の前倒しを決断したのは、ほかならぬ安倍首相だ。16年6月の「骨太の方針」の中で、国が低利で資金を貸し出す「財政投融資」を活用した財政支援を表明。さらに自民党は同年7月の参院選公約に、リニア大阪延伸の前倒しや整備新幹線の建設などのため、官民合わせて「5年で30兆円」の資金を投じることを掲げた。

 

 加えて同年11月には法改正し、リニア建設に財政投融資を活用できるようにした。その結果、すでに約3兆円がJR東海に貸し出され、大阪までの全線開通時期を当初計画の2045年から最短で8年前倒しされることになった。

 

■維新の要望の見返りに……

 

 安倍政権が横から口を挟み、成長戦略に取り入れたことで、リニア計画は文字通り「国家プロジェクト」に格上げされたのだ。政府が静観していたはずの民間の事業が、なぜ「国策」に格上げされ、法をねじ曲げてまで3兆円の国費を投じたのか。ここに、政権の意向をくんだ官邸や国交省などの「忖度」がはたらく余地がありそうなのだ。

 

「安倍政権が巨額の国費を貸し付けてまで、リニア大阪延伸の前倒しにこだわるのは、まず日本維新の会を味方につけたいためでしょう。リニアを含め、『大阪万博誘致』『大阪・夢洲のカジノ計画』という維新が公約に掲げた3点セットを支援する見返りに、政権運営で維新の協力を引き出す思惑です。事実、維新は与野党対立法案に軒並み賛成し、もはや政権の補完勢力です。9条改憲に公明党が難色を示す中、安倍政権と維新の蜜月はますます深まりそうです」(政界関係者)

 

リニア建設は南アルプスの巨大トンネルなど難工事が目白押し。ただでさえ建設業界全体が土木技術者の人手不足に悩まされる中、国がムリを重ねて工期まで縮小すれば、現場は地獄の苦しみである。もはや大手ゼネコンのキャパシティーさえ超え、業界関係者からは「限られた工期、対応できる業者の少なさ、工事の安心・安全などを考えれば、業者間の調整も仕方がない」という開き直った声も聞こえる。安倍首相のヨコシマなリニア国策化が談合の温床を生み出してもいるのだ。

 

 特捜部も野党も大手メディアも、「リニアの闇」に鋭いメスを入れるべきである。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







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 古村治彦です。

 

 『ウォールストリート・ジャーナル』紙が、トランプ政権幹部たちが北朝鮮に対する攻撃を検討したという報道を行ったということです。

 

 全面戦争ではなく、核兵器やミサイル関連施設に対する攻撃だそうで、これを「“鼻血”戦略(bloody nose strategy)」と呼ぶようです。刺し殺すとか、立ち上がれないくらいに殴りつけるということではなく、まず、先制攻撃的に鼻面を殴って相手の戦意を喪失させる、ということのようです。

 

 現在のところ、韓国と北朝鮮による南北交渉が行われ、平昌オリンピックに関しては、平和に開催されそうです。トランプ大統領も北朝鮮の選手団が参加することを歓迎する、という考えを表明しています。

 

 しかし、これで北朝鮮に対するアメリカ、そして中国の膺懲的な侵攻の可能性が亡くなったということは早計です。アメリカと韓国がここまで融和的な姿勢を見せてもなお核兵器とミサイルを放棄しない、アメリカを攻撃できると言い続ければ、それでは仕方がない、国連決議をもらって攻撃しよう、国際的な約束を破って大量破壊兵器を持つに至った北朝鮮は国際的な安全上の問題なので、膺懲するということになって、北朝鮮攻撃が起きる可能性があります。

 

 太平洋戦争直前の日米交渉において、アメリカ側はのらりくらり、日本側に融和的な姿勢を示したり、厳しい態度を示したりしながら、蛇の生殺しのようなことをしました。日本国内では結局、いくつかの考えに分裂し、最終的には一番強硬な手段が選択されるに至りました。追い込まれました。北朝鮮も同じ轍を踏まないということはありません。

 

 オリンピックまでは何もないと思いますが、北朝鮮が何らかの攻撃的なアクションを示すならば、事態はまた一気に緊張を増すでしょう。現在のような雪解けムードの後だけに、緊張感は一気に上がると思います。そうなれば不測の事態が起きてもおかしくありません。

 

 アメリカ軍が、あまり兵員が死傷しない形で北朝鮮攻撃ということになると、軍事産業や補給関連、食糧、衣服繊維、薬剤といった産業の株式が高騰するでしょう。アメリカはほぼ被害がなく、アメリカの企業にお金が落ちるということになりますから。日本は直接の被害のようなことがあれば、2011年の東日本大震災の時と同じような動きがあるのではないかと思います。今の日本株を買っているのは外国人投資家とGPIFです。外国人投資家からすれば、安くなったところで買って、大きく儲けると考えるでしょう。

 

 アメリカによる北朝鮮侵攻ということも頭に入れて今年の動きを考えるということが重要ではないかと思います。最悪の事態を考えていれば、少なくとも致命的な損失を負うことはないと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプ政権幹部たちが北朝鮮に対して攻撃対象を絞った「鼻先を殴りつけ鼻血を出させる」戦略を議論した(Trump officials debate targeted N. Korea strike in ‘bloody nose’ strategy: report

 

レベッカ・サヴランスキー著

2018年1月9日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/international/368046-trump-officials-debating-possibility-of-targeted-strike-against-north

 

 

アメリカ政府の高官たちが北朝鮮国内の複数の施設に対する攻撃対象を絞った攻撃を行う「鼻先を殴りつけ鼻血を出させる」戦略の可能性について議論した、と報じられている。

 

『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、核兵器もしくはミサイル試験への対応として北朝鮮国内の施設に対する攻撃対象を絞った攻撃を行うという戦略について報じた。

 

この攻撃は、全面戦争へと進むことなく、北朝鮮に対して自分たちの行動の結果がどのようなものになるのか、その可能性を見せつける試みとなるであろう。

 

ウォールストリート・ジャーナル紙の報道によると、トランプ政権幹部たちはこのアイディアが実現可能かどうか議論したということだ。

 

複数のメディアが火曜日になって報じたところでは、北朝鮮は、今年韓国の平昌で開催される冬季オリンピック大会に代表団を派遣すると発表したということだ。

 

北朝鮮は韓国との交渉の中で、選手、政府高官、応援団をオリンピックに派遣すると述べた。

 

先週末、トランプ大統領は来るべき冬季オリンピックに北朝鮮が参加するのを見たいものだと述べた。

 

北朝鮮と国際社会との間の関係は、北朝鮮による一連の大陸間弾道ミサイル反射によって、ここ数カ月緊張が高まっていた。先月、国連安全保障理事会において、無記名の投票が行われ、北朝鮮の経済を弱めるための経済制裁を科すことが決定した。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 今回は、ロシア軍参謀総長ゲラ下布野発言をご紹介します。

 

 簡単に言うと、北朝鮮周辺で日米韓が軍事訓練を行うことで、状況を不安定化させる、というものです。私たちは、この私たちの常識とは異なる発言を、馬鹿なことを言っている、と馬鹿にしながら打ち捨てるべきではありません。この発言内容にも一理あると考えてみることが重要だと思います。

 

 「北朝鮮がミサイルを発射いているから状況が悪化している」というのが国際社会の認識ですし、私たちもそう考えがちです。北朝鮮からしてみれば、自衛のためにミサイルを飛ばしているのだ、ということになります。国際社会は、「いやいやそんな、私たちが北朝鮮を攻めて滅ぼすことはないよ」と言いますが、それを信じさせるということはできていません。

 

 相手にこちらの発言を信じさせるには、行動と発言の内容が一致していなければなりません。約束したことは必ず守るということをしなくてはいけません。北朝鮮と国際社会(アメリカ)はお互いが相手を出し抜こうとして、裏切り合いや約束の破り合いをしたために、「こちらの意図が分かってもらえない、信じてもらえない」という状況になっています。

 

 過去のことはすべて水に流して、まっさらな状態から交渉を始めて、言動と行動が一致するようにして、それを積み重ねていけば信頼関係ができていくでしょうか、そのような時間は両者にはありません。ですから、信頼し合えないながらも、どこかに妥協点を見つけて、一時的な信頼、裏切られることを前提にした最低限の信頼による合意をするしかありません。アメリカとイランの核開発をめぐる合意はこのようなものであったと思います。

 

 アメリカのレックス・ティラーソン国務長官は交渉を粘り強く呼びかけるということをやっています。これがポーズなのかどうなのかは分かりません。しかし、日米開戦直前のハルノートのようなものはまだ出ていないようです。ですから、少なくとも平昌オリンピック・パラリンピックまではこのようなにらみ合いの状況が続くのだろうと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

ロシア軍高官:韓国と日本と共同のアメリカ軍の訓練は「ヒステリーを増長する」だけだと発言(Russian official: US exercise with S. Korea, Japan will only ‘heighten hysteria’

 

ブレット・サミュエルズ筆

2017年12月11日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/international/364238-russian-official-us-exercise-with-s-korea-japan-will-only-heighten

 

ロシア軍最高首脳は月曜日、北朝鮮がミサイルを発射した後のこの時期に行われる、アメリカ、日本、韓国が参加するミサイル追跡訓練は地域の緊張を高めるだけの結果に終わるだろうと発言した、とロイター通信が報じた。

 

ロシア軍参謀総長ヴァレリー・ゲラシモフは「北朝鮮周辺で軍事訓練を実施することはヒステリーを増長させるだけのことだろう。そして状況を不安定にするだろう」と語った。

 

ロイター通信は、中国政府は軍事訓練を継続することは誰に対しても最大の利益をもたらさないと発言し、アメリカと北朝鮮に対して軍事訓練を取りやめるように求めている、とロイター通信は報じた。

 

月曜日から始まる共同訓練は、日米韓3か国がミサイル追跡情報を共有するための6度目の訓練となる。

 

先月末、北朝鮮は新たに大陸間弾道ミサイルを発射した。北朝鮮はそれまで約2か月間ミサイル発射を行っていなかった。ミサイルは日本海に着水した。

 

ミサイルは2800マイル上空まで到達し、600マイル以上飛行したと言われている。北朝鮮がこの火星15号ミサイルはアメリカの領土全体に到達する能力を持つと主張している。

 

先週、アメリカと韓国は空中における共同軍事訓練を行った、アメリカ空軍、海兵隊、海軍から総勢1万2000名と航空機約230機が訓練に参加した。

 

北朝鮮政府は、米韓合同訓練を受けて、これは「アメリカが戦争を心の底から望んでいる」ことを示すサインだという内容の談話を発表した。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)






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 古村治彦です。

 

今回は「ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)」が世界各国で行ったサーヴェイ・リサーチの結果の中で、特に日本に関するものを読んで、その内容を簡単にご紹介したいと思います。記事のアドレスは以下の通りです。ピュー・リサーチ・センターは様々な世論調査を行っているアメリカのシンクタンク、研究所です。

 

http://www.pewglobal.org/2017/10/17/japanese-divided-on-democracys-success-at-home-but-value-voice-of-the-people/

 

サーヴェイ・リサーチというのは、人々に多くの質問をしてそれに答えてもらうものです。日本ではアンケートと言いますが、英語ではクエスチョナリーと言います。その際に回答者の年齢、性別、職業、学歴、居住地域なども記録されます。名前は出ません。今回の調査では日本では1000名ほどの人々が調査に協力したようです。調査は2017年3月8日から4月2日まで行われたようです。このサーヴェイ・データを使って、たとえば、年齢と投票率の関係や学歴と支持政党の関係などを調査することができます。そして、ある事象に対する因果関係に関する仮説を立て、統計学を使って調べることができます。

 

 今回の記事では、日本の回答者におけるアメリカへの信頼感の低下が特徴として取り上げられています。ジョージ・W・ブッシュ元大統領時代に約60%であったものが、バラク・オバマ大統領時代に約70%、最高値85%をつけていたのですが、ドナルド・トランプ大統領時代になって72%から57%になりました。それでも過半数は維持しています。アメリカの大統領への信頼感はブッシュ時代で3割台、オバマ時代が7割台でしたが、トランプ時代には2割台となってしまいました。アメリカへの好意とアメリカ大統領への信頼感は連関があるようですが、トランプ大統領時代になってアメリカへの好意が少し低下してしまっているようです。大変興味深いのは、年代別で見ると、若年層では、トランプ大統領へのマイナス評価の割合が低くなるという結果が出たことです。日本の若年層は、トランプ大統領をそこまで嫌っていないということになります。その理由については書かれていませんが、ああいう型破りなスタイルはやはり若い人たちには受け入れられやすいのだろうかと思います。11月にトランプ大統領が訪日しますが、若い人たちは歓迎するのでしょう。しかし、もちろんオバマ大統領に比べれば人気は全くないということになりますが。

 

 日本人の自国の民主世辞体制についての評価は私にとって興味深いものでした。現在の日本の民主政治体制はきちんと機能していると答えた人が50%で、そうではないと答えた人が47%という結果が出ました。現在の状況を好意的にとらえていない人が多くいるということが分かります。そして、日本にとって、「代議制民主政治体制」「直接民主体制」が良いと答えた人はそれぞれ77%、65%を超え、「専門家による支配」には49%、「強力な指導者による支配」には31%、「軍部による支配」には15%が良いと答えました。

 

 日本人の半分は現在の民主政治体制に満足しているが、しかし、47%は不満を持っている、そして、強力な指導者による支配には69%が良くないと答えた、ということになります。これは、現在の日本政治の状況、安倍一強状態に不満を持っている人たちが多いということになると思います。そして、アメリカに対する好感度の低下は、安倍首相のなんでもかんでもアメリカ追従、従米路線に対する嫌気も影響しているのだろうと考えられます。ただ、全体として10代、20代は50代以上に比べて、現状に満足し、専門家(官僚)による支配を支持しているという結果も出ました。失われた20年の中で成長した若い人たちは、現状を受け入れながら生きていく術を身につけ、年齢が高い人たちは日本の良い時代を知っているので現状に対して不満を持ちながら生きている、ということになるのではないかと思います。

 

 経済については、現状に多くの人々が満足していますが、将来もこのような状態が続くのかどうか、子供たち世代が自分たちよりも良い暮らしができるかということについては不安を持っているという結果が出ました。日本の経済規模、世界で第3位ということを考えると、生活水準が全体で急激に低下するということは考えにくいですが、一人一人の生活実感では、このまま世界の先進国としてやっていけるのだろうか、生活を維持できるのかということを不安に思っている人たちが多いようです。

 少し心配なのは、57%の人が「多様性は日本社会を悪くする」と答え、24%の人が「良くする」と答えたことです。日本人らしさ、日本の伝統ということを過度に強調すると、日本という国全体が息苦しくなるのではないかと思います。

 

 北朝鮮問題について、北朝鮮が核兵器を保有することについて3分の2の人が大変懸念を持っている、という結果が出ました。これは韓国の結果(59%)よりも高い数字となりました。そして、61%が北朝鮮に対する経済制裁を強化することを支持し、25%が北朝鮮との関係を進化させることを支持するという結果が出ました。若い人たちの41%と50代以上の21%が関係強化を支持しました。日本国民は、経済制裁をすることで交渉のテーブルに出てこさせようということを考えているようです。それでは武力行使までエスカレートさせるのが良いとまでは考えていないと思います。

 

 中国に対しては、否定的な答えが多くなっていますが、中国の経済成長だけは過半数の人々が評価している、望ましいと答えています。中国の世界GDPに占める割合は14%を超え、日本の2倍以上となっています。中国の経済成長率が6.9%であったと発表されましたが、日本が追いつくには二けた中盤の経済成長率が必要ですが、それは全く持って不可能な話です。ですから、日本国民の多くは、感情で中国は嫌だなぁと思っても、合理的に、経済で恩恵を受ければよいと考えているようです。ロシアに関しては脅威だと感じている人たちが多く、歴史的な経緯からロシア恐怖症やロシア嫌悪は拭い去れないということが分かります。

 

 今回の結果発表を読むと、若い人たちにはある種の諦観と周囲と争いたくないという感情があるようで、これは、高度経済成長を知らない若者たちの守りの姿勢を示していると思います。ですから、「世界の中心で輝く」とか何とか勇ましいことを言っても受けないのではないかと思います。低成長時代の先進国・日本のシュリンクした姿が見えてくるように私には感じられました。

 

(終わり)



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




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