古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:日本会議

 古村治彦です。

 今回は『日本会議の正体』という本を皆さんにご紹介します。このブログでは、以前に『日本会議の研究』という本を皆様にご紹介しました。今回の本もまた、日本会議をテーマにしています。私の個人的な感想では、『日本会議の正体』の方が私の興味関心、問題意識を満足させてくれるものでした。私の興味関心は、日本会議を支える宗教界、特に神社本庁の関わりと財政的支援や日本会議の源流となった80年代くらいまでの生長の家の活動や主張などでしたが、これらについて、著者の青木氏は丹念に追っています。『研究』と『正体』を読むと、現在の日本社会と日本政治の状況が掴めると思います。そして、現状は無関心ではいられないと思わせてくれます。


 
 

 日本会議の事務局を支えているのは、生長の家の信者であった椛島有三事務総長をはじめとする人々です。『日本会議の研究』では、椛島有三、安東巖、伊藤哲夫といった生長の家の信者で若い時から草の根保守運動に関わってきた人々について丁寧に描かれていました。『日本会議の正体』では、日本会議を動員や財政面で支える神社本庁の動きについて詳しく描かれています。私が驚くのは、明治神宮の動きです。

 

明治神宮はお正月ともなれば初詣客が押し寄せその数は日本一です。また、神宮球場(東京六大学野球、東都大学野球、東京ヤクルトスワローズの本拠地で恐らく日本で一番忙しい球場でしょう)や明治記念館(結婚式場として有名)といった優良施設を都心に構え、その売り上げが110億円にも上るということです。そして、豊富な資金力や動員力を使って、日本会議や日本会議が行うイヴェントを支えているということです。明治神宮に初詣に行く人や明治記念館で結婚式を行う人の中には、神社本庁や日本会議が目指す改憲に反対の人もいるでしょうが、そうした人たちのお金もこうした運動に使われていることになるということは驚きでした。

 

 この『日本会議の研究』では、生長の家の開祖である谷口雅春の教えや主張についても紙幅が割かれています。「谷口雅春」「生長の家」という言葉は知っていましたが、私が物心つくころには、生長の家は政治から撤退し(1983年、優生保護法の改正で自民党が努力をしなかったことが原因だそうです)、それ以降は、政治とは距離を取り、現在はリベラル寄りで、安倍政権に批判的になっているとのことです。

 

 谷口雅春が書いた本が『生命の實相』で、これはこれまでに約1900万部も出た本だそうです。病気になった人たちがこの本を読んで治ったという体験を持つのだそうで、鳩山一郎元首相も脳出血で倒れ体が不自由になってから読んでいたそうです。生長の家は、出版宗教と呼ばれていたほどで、多くの本やパンフレットを出して布教をしていました。こうなると、ある程度本を読むことができる、慣れている、好きだという人たちが多くなり、インテリが多いとも言われていたそうです(開祖の谷口雅春は早稲田大学中退で、文章がうまかったということです)。

 

 谷口は戦後、GHQから執筆追放処分となりましたが、1969年に『占領憲法下の日本』という本を出しました。推薦文は三島由紀夫が書いています。三島は、自分の祖母も病身で、枕元には『生命の實相』があったとその中で書いています。この本の中で、谷口は次のように書いているそうです。「すなわち『主権は国民にありと宣言し』の原稿占領憲法の無効を暴露する時機来たれりと宣言し、『国家統治ノ大権ハ朕カ之ヲ祖宗に承ケテ之ヲ子孫ニ伝フル所ナリ』(帝国憲法発布勅語)と仰せられた本来の日本民族の国民性の伝統するところの国家形態に復古することなのである」。

 

 この言葉は、現在、自民党内部でも強硬派と呼ばれる西田昌司議員や稲田朋美議員が述べている、「国民主権が間違っている」「国民の生活が第一なんて政治は間違っている」という発言の源流であることが分かります。そして、彼らはこれまでの人類の発展と進歩の歴史に逆行しようとしています。自民党の片山さつき議員もこうした人々の仲間の1人です。こうした人々が作ったのが「自由民主党憲法改正草案」です。この立憲主義とは何かも理解していない人々が作った文書については、『憲法改正のオモテとウラ』(舛添要一著、講談社現代新書、2014年)と『自民党憲法改正草案にダメ出し食らわす!』(小林節、伊藤真編集、合同出版、2013年)で厳しく批判されていますので、これらをお読みください。




  

 稲田議員は『日本会議の正体』の後半部でインタヴューに応じています。日本会議関係者のほとんどがインタヴューを拒否した中で、自民党政調会長であった稲田氏がインタヴューを受けたことには敬意を表したいと思います。稲田氏は、インタヴューの中で、日本会議や生長の家の元信者(原理主義者たち)とは微妙な温度差を見せています。政教分離であるとか、南京事件に対する評価などでは穏健な考えを示しています。しかし、こうしたインタヴューに答え、原理主義者たちに比べて比較的穏健な考えを述べれば、印象が良くなるという計算もあるでしょうから、言葉を額面通りには受け取ることはできません。

 

 青木氏は『日本会議の正体』の最後で、日本会議の正体について「戦後日本の民主主義体制を死滅に追い込みかねない悪性ウィルスのようなものではないかと思っている。悪デイであっても少数のウィルスが身体の端っこで蠢いているだけなら、多少痛くても多様性の原則の下で許容することもできるが、その数が増えて身体全体に広がりはじめると重大な病を発症して死に至る」と書いています。

 

 体が弱っている時に、そうではない時には何ともないのに、大きな病気を発症することがあります。今、日本は国力を落としながら、先進国としてどう着地しようかと迷っている状況です。1960年代からの奇跡の経済成長時期とバブル崩壊までの時期で日本は相当な国富を貯めこんだはずです。それを少しずつ使いながら、システムを転換させる時期に来ています。しかし、私たちが不安に思っているのは、「貯めこんだ国富が残っているのか」「それを使えるのか」ということです。具体的には、アメリカ国債やカリフォルニア州債に化けている国富を取り戻すことができるのかということです。

 

今、私たちは「昔はよかった」という思いに駆られることが多くあります。日本は衰退しつつあるという現実を痛みを持って受け止めています。これは、人間の体で言えば、体力が落ちている状態と同じです。そうした時に、えてして、排外主義、外国との戦争に活路を見出すという動きが起きてきたことは世界の歴史が証明しています。

 

 今、日本は体力を落として弱っています。経済の低迷と少子高齢化による社会構造の変化といった「体調の変化(年相応の高齢化)」が体が弱っています。その弱った体で菌の均衡状態が崩れてしまっている状況です。それは国会の議席数を見ても明らかです。このような状況を脱し、早く均衡に戻れるようにしなくては、この状況を利用されてしまって、再び外国とぶつけられてしまって、亡国の道を進むということもあり得ます。

(終わり)




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 古村治彦です。

 

 今回は、2017年3月23日の籠池泰典の国会での証人喚問と外国特派員協会での会見を受けての、イギリスの『ザ・ガーディアン』紙の記事の内容をご紹介します。

 

 記事の内容は、籠池氏が国会の証人喚問でも述べた、2015年9月に安倍昭恵首相夫人に塚本幼稚園で講演をしてもらった際に、夫人が封筒に入った100万円を「安倍晋三からです」と言って籠池氏に渡したという主張をしており、政府側はそれを否定しているというものです。

 

 欧米では、宣誓証言を重要視します。彼らはキリスト教文化で、「内面で神と向き合う」ということを重視し、神に対して嘘をつくかどうかということをとても気にします。ですから、宣誓をしての証言で嘘をついてはいけない、だから嘘をつく可能性は低いと考えます。この記事でも、「籠池氏は宣誓をした上で証言をしており、彼の発言内容が重要性を増す可能性が高まる」と書いています。宣誓証言というのはそれほど重いものです。

 

 ですから、宣誓をした上での証言とそれ以外では重みが全く違うということを理解しなければなりません。

 

 政府は3月24日の参考人招致で幕引きをしたいと考えているようですが、そう簡単なことではありません。登場人物がどんどん増えてしまっている今、重要な人物たちには是非、国会で宣誓をして証言をしていただきたいと思います。私が一番話をしてもらいたいのは、森友学園の代理人をしていた酒井康生弁護士です。籠池氏の話を聞きながら、今回の森友学園の土地取引や学校建設で一種のスキームを作ったのは財務省近畿財務局とこの酒井弁護士ではないかというのが個人的な感想です。

 

(貼り付けはじめ)

 

安倍晋三首相と首相夫人が超国家主義を標榜する学校に現金を渡したと追及された(Shinzo Abe and wife accused of giving cash to ultra-nationalist school

 

幼稚園の運営者が、「安倍昭恵夫人がこれは夫からだと言いながら100万円を手渡した」と証言

 

ダニエル・ハースト(東京)筆

『ザ・ガーディアン』紙

2017年3月23日

https://www.theguardian.com/world/2017/mar/23/shinzo-abe-wife-akie-accused-giving-cash-ultra-nationalist-school?CMP=share_btn_tw

 

日本の首相と夫人は超国家主義の教育方針を採用している幼稚園を巡るスキャンダルの渦中にいる。このスキャンダルの中心人物が宣誓した上で、首相夫妻から秘密の寄付を受けたと主張した。

 

幼稚園の運営者は国会で安倍昭恵総理大臣夫人から、100万円(7100ユーロ)が入った封筒を渡され、これは安倍晋三からですと首相夫人は言ったと証言した。日本政府はこの証言内容を否定している。

 

森友学園理事長籠池泰典氏はまた、学校を開設しようとした大阪の国有地が大幅な値引きをされたことに関しては「おそらく」政治的な影響力が働いたと語った。

 

今回のスキャンダルは既に安倍政権の支持率にも影響を与えているが、そもそも始まったのは、森友学園が評価額の7分の1の価格で土地を購入したことが明らかになったことからであった。

 

安倍首相は土地取引には一切関与していないし、もし個人的にかかわっていることが明らかになったら首相を辞任すると述べた。昭恵夫人はもともと開校予定の学校の名誉校長に予定されていた。しかし、今回の論争が始まって辞任した。

 

籠池氏は次のように主張している。2015年9月に安倍昭恵夫人が幼稚園で講演を行った時、籠池氏は封筒を受け取った。伝えられるところでは、籠池氏と昭恵夫人は部屋の中で2人だけになったということだ。

 

籠池氏は木曜日の国会の委員会で次のように語った。「奥様は、“どうぞ、これは安倍晋三からです”と仰いました。そして、100万円が入った封筒をくださいました。安倍夫人はこのことについて全く覚えていないと言っておられますが、これは私たちにとって大変名誉なことですから、私はこのことをきわめてはっきりと覚えております」。

 

先週、安倍首相は寄付をしたという話をきっぱりと否定した。しかし、籠池氏は、国会で宣誓した上で、寄付を受けたという話を繰り返した。そのため彼の発言は重みを増す可能性が高い。籠池氏は偽証をした場合には罪に問われることになる証人喚問を受けた。これは5年ぶりのことであった。

 

菅義偉官房長官は木曜日、再び寄付をしたという話を否定した。そして、主張の食い違いを解消するために安倍昭恵夫人が証言を行うことを求める可能性はないと断言した。

 

菅官房長官は記者団に対して「法的な問題とはならない行動についてある人物を喚問することには慎重でなければならない」と語った。

 

籠池氏は日本会議と関係を持っている。日本会議は愛国主義を標榜するロビー団体で、彼らはアメリカが起草した平和主義的な日本国憲法の改定を主張している。日本会議には、安倍晋三首相と安倍内閣の大臣10人以上がメンバーとして参加している。

 

木曜日の夕方、外国特派員協会で行った会見の中で、「素晴らしい仕事をしている」と確信していた首相に対して、厳しい発言をする決意をしたのはどうしてか、その理由について次のような示唆を与えた。

 

籠池氏は、自分は土地の確約売却を巡るスキャンダルで「スケープゴートとして使われ」たくないし、安倍夫妻が森友学園の教育哲学を支持する旨のメッセージから離れたことを怒っていると述べた。

 

籠池氏が経営する幼稚園は、園児たちに皇室の人々の写真の前でお辞儀をすること、毎日国歌を歌うこと、1890年に出された国家のために自身を犠牲にすることを強調した教育勅語を学ぶことを必修としていることで、人々の関心を集めている。この幼稚園の元園児の保護者たちは大阪府に対して、虐待と人種差別があったとし調査をするように求めている。

 

麻生太郎財務大臣は、土地の値段が9億5600万円から1億3400万円に引き下げられたことについて、これは土地に含まれていた産業廃棄物を除去するコストを除いたものだと述べた。しかし、建設コストに関する論争が起きている中で、学校の開校計画は撤回された。そして、財務省は土地の買い戻しを計画している。

 

防衛大臣稲田朋美は、弁護士時代の2004年に行われたある訴訟で森友学園の代理人をしていたことを国会で否定していたが、先週、それが誤りであったことを認め謝罪した。稲田大臣はこのために騒動の渦の中に巻き込まれている。

 

今月になって各社が発表した世論調査の結果では、内閣の支持率は3%から10%の間で下落した。しかし、それでも約50%は維持している。衆議院議員の任期(総選挙)は来年である。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








 

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 古村治彦です。

 

 このブログでも書きましたが、「教育勅語は現在の教育現場に出てきてはいけない文書」だと私は主張しています。それは私の勝手な考えではなく、国権の最高機関である国会が、衆議院では「教育勅語等排除に関する決議」、参議院では「教育勅語等の失効確認に関する決議」として、教育勅語には何の効力も効果もないということを決議しているからです。日本国憲法が最高法規であり、それに反する法律は日本には存在できません。そして、参議院の決議は、教育現場に関する指導的な法律である教育基本法(日本国憲法に反しない)に反するという理由で教育勅語は失効しているのだと述べています。

 

 今年2月から問題になっている森友学園に対する国有地の格安払下げ、瑞穂の國記念小學院開校認可に関する疑惑の中で、森友学園の教育方針にも注目が集まりました。森友学園が運営する塚本幼稚園では約15年前から教育勅語を園児たちに暗唱させるという教育を行ってきました。教育現場に教育勅語がふさわしいのかどうかについて、松野文科相は、「教育勅語を教育の源泉として扱うことは適切でない」と国会で答えていました。

 

 しかし、今週になって、しれっと次のように語るようになりました。下に貼り付けた記事をまずはお読みください。

 

(貼りつけはじめ)

 

●「教育勅語巡り、松野文科相「教材、配慮あれば問題ない」」

 

水沢健一

朝日新聞

20173141406

http://www.asahi.com/articles/ASK3G3DYFK3GUTIL00L.html

 

 松野博一文部科学相は14日、戦前・戦中の教育勅語について、憲法や教育基本法に反しないような配慮があれば「教材として用いることは問題としない」との見解を示した。配慮が適切かどうかの判断は「(都道府県などの)所轄庁が判断するものだ」とした。

 

 教育勅語は、明治天皇が1890年に教育の根本理念として授けた「教え」。両親への孝行など一般的な道徳を表す項目がある一方、国民は「臣民」とされ、国家の一大事には「皇室国家」のために尽くすと書かれている。

 

 松野文科相は14日の記者会見で、教育勅語が「日本国憲法と教育基本法の制定によって法制上の効力を喪失した」としたうえで、「憲法や教育基本法に反しないように配慮して授業に活用することは一義的にはその学校の教育方針、教育内容に関するものであり、教師に一定の裁量が認められるのは当然」と述べた。(水沢健一)

 

(貼りつけ終わり)

 

 松野文科相は、「憲法や教育基本法に反しないように配慮して」授業に活用することは学校の教育方針に関するもので、教師が決めることだとしています。松野文科相は、法律違反、憲法違反の危険を学校の先生方、特に公立学校の先生方(公務員)に冒させようとしています。また、教育基本法に則りながら運営されるべき学校現場に法律違反の危険を冒させようとしています。

 

 日本史の授業で1890年に教育勅語が制定された、という事実を教えることは問題ないでしょう。また、大学などで教育勅語を研究対象とすることは当然の行為でしょう。しかし、教育勅語を道徳の授業で使うことは教育基本法違反になる可能性があります。そんな危険を冒さなくても、親子や兄弟姉妹、友人や皆が互いを傷つけあわずに仲良くというようなことは別の教材でも十分に教えることは可能です。また、そのような道徳は個人的な良心の問題であって、天皇の言葉だからと身につけることではありません。

 

今回の発言で松野大臣が念頭に置いているのは、森友学園が開校しようとしていた瑞穂の國記念小學院(認可申請取り下げ)のことだと思いますが、この学校のウェブサイトには「道徳(教育勅語)」としてありました。認可申請が取り下げられたので、この学校での道徳の授業は行われませんが、もし道徳として教育勅語が教えられていたら問題になっていたと考えます。ですから、教育勅語についてはっきりと否定ができないと述べることができない松野文科相は問題です。松野博一文科省は、日本会議国会議員懇談会の一員です。ですから、教育勅語についてはっきりと否定できないのだと思いますが、教育勅語について擁護したければ少なくとも文科相を辞任されてからなさるべきでしょう。いや、公務員の憲法遵守義務違反にも該当するかもしれませんから、国会議員も辞めて、擁護活動をなさるべきかもしれません。

 

 「教育勅語には良いことがたくさん書いてある」という主張があります。そのように考えることは構いませんし、教育勅語を復活、つまり教育基本法に代わる日本の脅威の指導原理にしようと訴えることは自由です。しかし、そのためには日本国憲法を全面的に改正しなければなりません。教育勅語の内容と日本国憲法の理念は合わないものだと衆参両院の決議は述べています。そして、日本国憲法に反する法律や勅語は存在できませんし、天皇をはじめ全ての公務員には憲法遵守義務があります。ですから、日本国憲法を全面的に改定、もしくは破棄して大日本帝国憲法を復活させねばなりません。そうなると、主権者は天皇ということになります。現在は国民主権ですが、天皇主権ということになります。教育勅語の中で徳目が続いて最後に「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」という一節をどう訳すかが問題です。試訳では、「ひとたび天皇が主権者の大日本帝国にとって重大なことが起きたら、勇ましく奉公し、これまで栄え続けてきた天皇家のますますの発展に貢献せよ」ということになります。この一節は、やはり天皇大権が前提になっていると考えますから、この一節が入っている教育勅語は日本国憲法下の日本では復活できません。また、曲がりなりにも国民主権と基本的人権の尊重、民主政治体制が前進してきた日本が後進してしまうことも許されません。

 戦前の日本ではしかしながら、「天皇主権説」と「天皇機関説」が併存していました。顕教と密教という言葉で表現されていましたが、表向きは天皇が大権を統べるとなっていましたが、裏では主権は国家に属すると考えられてきました。天皇機関説によって議会は重要な役割を果たすことが出来ました。しかし、1935年から天皇機関説排撃が始まり、天皇を絶対視する勢力が軍部と結託し、亡国の道を進みました。ですから、大日本帝国憲法を復活させることは、いつ天皇絶対勢力が出現し、民主的な制度を窒息死させるか分からない危険なものですから、大日本帝国憲法の復活もまた歴史の進歩に反するものと言えます。 

 

 私個人の見解では、「教育勅語」をアホダラ経のように暗唱させたところで効果は薄いと考えています。戦前には「陸海軍軍に賜る勅諭」、通称「軍人勅諭」というものがありました。これは、旧日本帝国陸海軍の上は元帥から下は二等兵、新兵までに与えられた天皇からの「お諭しの言葉」です。陸軍は全員がこれを暗唱することが義務とされ、海軍ではその精神を理解しておくことが必要とされました。昔の陸軍士官学校の様子を収めた映像では、毎朝生徒たちは故郷に向かって遥拝し、その時に軍人勅諭を大声で暗唱していました。軍人勅諭の中身は軍人の心構えとして必要な内容が書かれていましたが、特に「政治にかかわってはいけない」と書かれていました。終戦の時の鈴木貫太郎首相は海軍大将でしたが、首相に推挙された際に、「私は明治大帝から軍人は政治にかかわるなというお教えを受けたので、できない」といったんは断ったところ、侍従長として仕え、大きな信任を受けていた昭和天皇から「頼むから」と言われて、ようやく引き受けました。一方、陸軍は中堅将校たちが政治に関心を持ってしまったがために満州建国や中国侵略を行ってしまいました。勅諭という「ありがたい」言葉をただの言葉にしてしまったのです。言葉をただ唱えているだけでは意味がないと思うのです。

 

 教育勅語が素晴らしいと考えることは自由ですが、それを「復活」させる、つまり教育の指導理念とすることは今のままではできませんし、私はそのような復活には強く反対します。それにつながるような動きにも強く反対します。

 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 今回は、菅野完(すがのたもつ)著『日本会議(にっぽんかいぎ)の研究』を皆様にご紹介します。私の所属しております「副島隆彦の学問道場」では、副島隆彦先生と菅野氏の対談を行い、その模様を公開しています。是非ご覧ください。

 

※アドレスは以下の通りです↓

http://www.snsi.jp/tops/kouhou

 

 さて、今回は、菅野氏の著書『日本会議の研究』についてご紹介したいと思います。菅野氏は現在、大阪にある森友学園・塚本幼稚園・瑞穂の國記念小學院を巡る疑惑を調査し、その成果をインターネット上で発表しています。

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日本会議の研究 (扶桑社新書)

 

 今回のスキャンダルの中心となっている森友学園を巡っては、登場人物たちが日本会議に絡んでいます。まず最重要人物である森友学園理事長である籠池泰典(かごいけやすのり)氏が日本会議大阪支部の役員であることを日本会議が認めました。また、小学校のウェブサイトであいさつ文を掲載しているのは、平沼赳夫代議士です。平沼代議士は、日本会議国会議員懇談会の会長を務めています。また、これまで海外メディアでの報道についてこのブログでもご紹介してきましたが、安倍晋三首相と安倍内閣の大臣たちのほとんどが日本会議と深いつながりを持っているということはどの社も必ず言及しています。

 

 現在の日本政治を理解するうえで、日本会議と政治の関係を理解することは重要な事です。本書『日本会議の研究』はその手助けとなるものです。本の中身を見ながら、戦後の保守系がどのような動きをしていたのかも合わせて勉強になりました。左翼については、佐野眞一著『唐牛伝』を読んで勉強になりました。こちらの本も後ほどご紹介します。

 

 日本会議は1997年に創設されました。その前身となったのは、「日本を守る会」と「元号法制化国民会議」から名前が変わった「日本を守る国民会議」という2つの団体でした。これらの団体は目標であった元号法制化には成功したものの、靖国神社国家護持法制定運動では足並みをそろえることができずに失敗してしまいました。これらの団体を支えていた保守的な宗教団体の中で、これに賛成と反対で分裂してしまいました。

 

 著者の菅野氏は、日本武道館で行われた日本会議主催の集会に取材に行き、そこで、霊友会、佛所護念会、崇教真光、神社本庁、天台宗、黒住教といった仏教系や神道系の各宗教団体の信者たちがバスで武道館まで来て、団体ごとに入場していく姿を目撃しています。こうした宗教団体からの参加者以外はそんなに多くなかったと報告しています。こうした大きなイベントをやり、日頃の活動を支えているのが事務局になります。その有能さについて菅野氏は特記しています。

 

 日本会議を現在、取り仕切っているのは、日本会議事務総長の椛島有三氏です。椛島氏は長崎大学で学園正常化(学生自治会の役員を左翼過激派団体の学生ではない学生にする運動)を成功させたことで、保守派・右派で有名になった人物です。彼は生長の家の信者ですが、大学を卒業できなかったために生長の家の職員になれず(生長の家の職員になるには大学生だったら大学を卒業していなければならない)、その後、保守の草の根運動を続けてきた活動家です。先ほど書いた「日本を守る会」の事務局で実務を担ったのが「日本青年協議会(1970年結成)」という学園正常化運動に成功した・関与した生長の家の若い信者たちで作った団体で、椛島氏はそこの書記長をやっていました。現在は議長です。椛島氏は、日本青年協議会議長であり、日本会議事務総長でもあります。そして、日本青年協議会の人々が日本会議の事務局に入って活動を支えています。

 

 椛島氏の学生時代の仲間であるのが日本政策研究センター代表を務める伊藤哲夫氏です。伊藤氏は安倍晋三首相のブレーンとも言われている人物です。彼もまた生長の家の信者です。伊藤氏率いる日本政策研究センターの憲法改定の主張と自民党の憲法改定草案はほぼ一致しているということです。また、伊藤氏は安倍晋三首相を草の根保守の世界で有名にし、首相にまで押し上げた人物の1人であり、著者の菅野氏は「プロモーター」と評しています。

 

上記2人よりも目立ちませんが、実は最も重要な人物が、学生協議会初代議長安東巖氏です。安東氏は10代で大病をし、7年間にもわたる壮絶な闘病生活の中で、『生命の實相』に出会い、生長の家の信仰で病気が治り、同世代の人々よりも遅れて長崎大学に入学しました。そこで、椛島氏と共に長崎大学の学園正常化に成功し、生長の家の若者信者たちの中で有名になっていきます。また、大病を信仰で治したということで、教祖である谷口雅春からも講演などで名前が出るなど、カリスマ信者ということになりました。大学を卒業した安東氏は生長の家の職員となりました。この安東氏と人気を二分していたのが、鈴木邦男氏です。鈴木氏は早稲田大学で左翼学生たちと激しく戦い、それで有名になっていきましたが、安東氏の策謀によって生長の家を追われることになったそうです。この安東氏は裏方ですが、椛島氏や伊藤氏は彼と会う時には直立不動であったということです。

 

 日本会議を支える人々は若い頃からの生長の家の信者です。生長の家(教祖は谷口雅春)はかなり国家主義的な教義を掲げて戦後勢力を伸ばした宗教です。アメリカのニューソートムーヴメントの影響も受けていますが、選良体制の打破と戦前回帰を掲げるような宗教であったそうです。1983年に政治からの決別を決定し、現在は大きく旋回してリベラルになっています。元々の教義を信奉する人々は「谷口雅春先生を学ぶ会」という原理主義的なグループを作っています。

 

日本会議に結集している保守系草の根の運動の手法は現代的、民主的です。右翼団体のように暴力をちらつかせるようなことはしません。各地に団体を作り、署名集めや請願を地方議会に行います。意見書が採択されたり、決議がされたりするとそれは大きな事実として残ります。そうやって運動の実績を積み重ねていきました。これは左翼、リベラル派も同じような運動をしてきているのですが、草の根の保守も粘り強く運動を展開してきました。彼らが望むのは人権や自由が制限された世界ですが、それを実現するために民主的な手法を選択している点は皮肉なものだと思います。

 

 私は、本書の最後に出てくる安東氏の逸話がとても気になりました。安東氏は10代で大病をし、7年間にもわたる壮絶な闘病生活の中で、『生命の實相』に出会い、生長の家の信仰で病気が治り、同世代の人々よりも遅れて長崎大学に入学しました。しかし、入ってみた大学では授業が行われませんでした。安東氏は授業が正常に行われるように求めましたが、左翼過激派の学生に殴り倒されるという経験をしました。この時、自分の傍らを一般学生たちは知らんぷりで通り過ぎて行ったということが安東氏の学園正常化運動に対する情熱の原点となりました。大学生にとって授業に出る、授業を再開して欲しいと願うことは当然のことです。そして、そのために行動したら左翼学生に殴られた、その時、見て見ぬふりで一般学生は通り過ぎていったということですが、安東氏は左翼学生に対する怒りよりも、一般学生に対する怒りを強くしたのだろうと思います。

 

 現在、生長の家は政治路線から撤退し、どちらかというとリベラルな方向に転換しています。昔からの信者たちは、「谷口雅春先生を学ぶ会」というグループを作っています。生長の家の原理主義グループというべきものです。現在、疑惑の中心になっている森友学園の副理事長である籠池夫人もこの会に参加していると言われています。籠池夫人は、一度、開成幼稚園(現在は休園)の近くで挨拶をしたのに返さなかったということで、小学3年生の児童を殴り、警察に逮捕されたことがあります。また、塚本幼稚園の保護者向けの文書では、駅を通行中にキスをする男女を見て、女性の手をつねり、男性に警察に突き出されたことを自慢げに書いています。籠池夫人は自分が持っている理想の姿、美しい状況に合わない状況に対しては過剰に反応してしまう人物のようです。

 

 安東氏と籠池夫人、どちらも真面目、おそらく馬鹿とかクソといった言葉がつくほどのまじめ人間なのだろうと思います。融通が利かないと言ってもよいのかと思います。そういう人物はえてして、この世の中では生きにくいことになります。彼らが言っていることのほとんどは「正しい」ことです。「殴られている人がいたら助ける、止める」「挨拶をしたら返す」というのは正しいことです。しかし、世の中には正しいことが必ずしも通らないことが起きます。そうした時に、不愉快な気持ちになっても、「まぁ仕方がないか」と諦めてしまう人がほとんどだと思います。しかし、安東氏や籠池夫人は違います。そうした中、安東氏や籠池夫人が属する「谷口雅春先生を学ぶ会」という生長の家の原理主義的グループは、現代日本を堕落していると考え、戦前に戻そう、美しい日本人(挨拶をしたら返すような)がいた戦前に戻そうとしています。

 

 彼らは理想主義者で、自分たちの持つ理想が現実のものとなるように動く人物です。問題は、理想とは万人にとって受け入れられるものではないということです。共産主義者の理想に反対する人がいるとの同様に、安東氏や籠池夫人が理想とする社会に反対する人もいるのです。もし理想社会が実現してもどうしても反対者が出てきますから、結果として秘密警察や強制収容所が出てきて、反対者は殺されるということになります。

 

 これまで私たちは、左翼の理想主義の怖さについては、北朝鮮やカンボジアの悲惨な具体例を見ることで認識してきました。しかし、右派・保守派に理想主義者が出現するとどうなるかということは、実際に体験しています。安倍晋三首相と安倍内閣の大臣たちのほとんどが日本会議と密接につながり、お互いを利用しながら、日本を彼らの理想とする「美しい国」にしようとしています。私はそれに反対するものです。そもそもこの世には理想は理念上は存在しても、実現せず、実現してもそれは人間の知恵の限界の悲しさもあって理想たりえない、ということを知ることが大人であって、それでも少しずつでも社会を生きやすい方向に持っていこうとするのが穏健な態度です。そういう点では、日本会議に集う人々は、年齢を重ねているとは言え、大人とは言えません。「左翼小児病」という言葉がありましたが、今は「右翼小児病」が蔓延している状況です。

 

 『日本会議の研究』は現在の日本政治について知り、考えるうえで大変有益な本ですので、是非お読みください。

 

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 古村治彦です。

 

 今回は、塚本幼稚園・森友学園に関するワシントン・ポスト紙の記事を皆様にご紹介します。これまで、ニューヨーク・タイムズ紙、ザ・ガーディアン紙の記事をご紹介しましたが、今回の記事はそれらとまた少し違う視点からの内容になっています。

 

 今回の記事は、今回のスキャンダルが、安倍首相に致命傷になりかねないという視点から書かれています。内容自体はこれまで紹介されたものがほとんどですが(前半は幼稚園の教育内容と差別の件、後半は土地取引の件となっています)、安倍晋三記念小学校という言葉が出てきており、また、土地取引で、8億円値引きされ、更にゴミの除去費用で1億2000万円が政府から学園側に支払われており、実質的に土地がタダで学園に与えられた点を書いてあります。

 

 外側からの目で見ると、事態がよりシンプルにかつ明確に見えてきます。そして、安倍首相にとってはこの問題が命取りになる可能性を秘めているということ分かります。

 

(貼りつけはじめ)

 

日本において、ある学校を巡るスキャンダルが安倍氏に絡みつく危険性が出てきている(In Japan, a scandal over a school threatens to entangle Abe

 

アンナ・フィールド

ワシントン・ポスト

2017年2月27日

https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/in-japan-a-scandal-over-a-school-threatens-to-entangle-abe/2017/02/27/29486b94-fa1a-11e6-aa1e-5f735ee31334_story.html?utm_term=.8777d9ea980a

 

東京発。日本の首相が彼の任期の中で最大の危機に直面している。後ろ暗い土地取引、隠蔽、「邪悪な」韓国人と中国人についての文章を送った幼稚園を巡る、急激に大きくなりつつあるスキャンダルに絡み付かれている。

 

安倍晋三氏は間違ったことは何もしていないと強く否定し、安倍昭恵夫人は、スキャンダルと批判の中心点となっている新設予定の学校の「名誉校長」を辞任した。しかし、スキャンダルがすぐに終息するという兆候は見られない。

 

上智大学の政治学教授で安倍政権を厳しく批判している中野晃一氏は「多くの疑問が浮上しており、安倍首相はこれらに答える必要があります。安倍氏が直接関与しているかどうかは分かりません。もし関与していないにしても、今回の件で安倍首相は痛手を蒙るでしょう」と述べた。

 

全てはヘイトスピーチに関する地方の小さな話から始まった。

 

大阪府豊中市にある塚本幼稚園(訳者註:正確には大阪市淀川区)が、保護者たちに対して手紙を送り、その中で在日韓国・朝鮮人や日本在住の中国人が「邪悪な考え(wicked ideas)」を持っていると述べ、中国人に対して侮蔑的な言葉を使った。

 

この私立幼稚園の運営する学校法人の理事長である籠池泰典氏は、手紙の送付は事実だと認めた。

 

別の文書では、「日本国内に(韓国人の)精神を受け継いでいるのに見た目は日本人という人々が存在することが問題です」と述べていた。共同通信がある保護者からこの手紙を入手し、内容を報道した。

 

共同通信が入手した2015年の運動会(a sport day)の映像では、ある園児が「日本を悪者にする中国と韓国には心を入れ替えてもらいたいです。私たちは安倍首相を支持します」と述べている。

 

安倍氏は月曜日になって、学校から距離を取ろうと躍起となった。国会での質疑の中で、「自分は教育内容について全く知らない」と述べた。

 

安倍氏は、籠池氏について以前、「私の考えとよく似た考えを持っている人」と述べていた。しかし、月曜日になって、「人種、国籍、宗教」で差別をする人は学校の指導者としてふさわしくないと述べた。

 

安倍氏は、「当然のことですが、私はあのような形で園児に応援されたいとは思いません。また、園児たちがあのようなことを言うのは、園児たちにとって適切ではないと考えます」と述べた。

 

大阪は在日韓国・朝鮮人の割合が特に高い。在日韓国・朝鮮人は、20世紀初めの日本による朝鮮半島の植民地支配が残したものである。

 

塚本幼稚園に通う3歳から5歳の園児たちは、日本国旗の前で国歌を歌い、教育勅語を暗唱する。教育勅語は1890年に制定され、日本人に対して、「皇統を保護し、その繁栄を維持する」ために「国に対して自分自身を勇敢に捧げる」よう求める内容だ。教育勅語は第二次世界大戦で日本が敗北した後、廃止された。この時、日本における天皇の役割は、儀式的なものにまで縮小された。

 

塚本幼稚園はウェブサイトでは、「塚本幼稚園では、日本人としての礼節を尊び、愛国人を育てる」としている。そして、幼稚園はこのウェブサイトを通じて、一連の文書の内容について「誤解」を招いたことを謝罪した。

 

しかし、スキャンダルが本格化したのは、塚本幼稚園を運営する森友学園が「安倍晋三記念小学校(“Shinzo Abe Memorial Elementary School”)」とつけようとした学校の敷地のために購入した土地が大きく値引きされて売られていたことが明らかになってからだ。

 

新設の小学校は今年の4月に開校予定だ。小学校はウェブサイトの中で、「初めてのそして唯一の神道小学校」であることを宣伝し、「日本人としての誇りを持ち、強固な背骨を持つ子供たちを育てる」としている。神道は日本の精霊信仰の宗教で、安倍氏はその信者だ。

 

森友学園は昨年、評価額840万ドルの2エーカーの土地に120万ドルを支払った。この値引きは表向き、土地がゴミや汚染土を含んでいたからだと説明されている。それにもかかわらず、政府は、ごみ処理や清掃のためのコストにかかる費用として、120万ドルを払い戻している。これは、森友学園が支払った額と同額だ。

 

日本共産党に所属する宮本岳志衆議院議員は、国会で「これは、政府がタダで土地をあげたということではないですか?」と質問した。

 

隣りにある少し広い土地は2010年に豊中市が講演を設置するために売却されたが、その値段は1250万ドルだった。学校が支払った金額の10倍だ。

 

現在、財務省は土地取引交渉に関する記録は、取引が成立後に廃棄したと述べている。これに対して、野党第一党の民進党の議員たちは、政府が隠蔽していると非難している。会計検査院(The Board of Audit)が現在、調査中である。

 

安倍氏は、森友学園に対して自分の名前を学校に使わないように頼んだが、寄付金集めの過程で、学園側が安倍氏の依頼を無視したと述べた。

 

安倍氏は先週の国家の委員会で「私が何度も止めるように依頼したのに、そのような形で私の名前が使われたことは極めて残念です」と述べた。安倍氏は更に、自分か妻が何か間違ったことをしていたことが発見されたら、自分は首相も議員も辞職すると述べた。

 

安倍昭恵夫人は、籠池校長の「情熱」を称賛していた。そして、名誉校長を務めた。しかし、先週金曜日になって名誉校長を辞任した。そして、学校のウェブサイトから彼女についての記述は全て削除された。

 

この件で、スキャンダルは人種差別だけでなく、政治的な談合(political collusion)の疑惑にまで広がることになった。

 

学校法人の理事長である籠池氏は、日本会議大阪支部の役員だ。日本会議は、国家主義的な団体で、安倍晋三首相や、与党議員たちの多く、そして、安倍内閣の大臣たちと深いつながりを持っている。

 

日本会議は多くの目標を掲げているが、その中には、「愛国心の醸成」と、第二次世界大戦後に日本を占領したアメリカによって書かれた憲法にかわって、「我が国の真の特性を基盤にした」新しい憲法の制定をすることが含まれている。

 

安倍氏は、強固な保守主義者(arch-conservative)で、日本を再び「美しい国」に(make Japan a “beautiful country” again)したいと望んでいる。安倍氏は、戦後日本に付けられた足枷を緩めるために改憲に向けて邁進している。

 

しかし、日本会議の目標は、日本に戦前の強さを回復させることである。籠池氏は、幼稚園の保護者向けのニュースレターの中で、改憲を主張し、「安倍晋三首相のような偉大な人物から学ぶ」ことを奨励した。

 

複数の専門家は、このスキャンダルが大きくなり続け、安倍氏が現在明らかになっているものよりもより大きな役割を果たしていたことが発見されたら、安倍氏に致命的に大きなダメージを与えることになるだろうと述べている。

 

左派の新聞社である毎日新聞社の記者だった板垣英憲氏は、「今回の疑惑で安倍政権は大きく傷ついており、政権の基盤を揺るがす可能性があります」と述べた。

 

今回のスキャンダルは、地方政治のそして人種差別に関わる問題を含んでいるが、それ以外に、日本の近隣諸国との間で外交的な嵐を巻き起こす可能性を持っている。板垣氏は、「安倍氏首相は今回の疑惑は小さな問題だと考えているかもしれません。しかし、大きなダメージになる可能性を秘めているのです」と述べている。

 

複数の世論調査で、安倍氏は約60%の支持率を記録している。そして、自民党内、そして野党第一党の民進党から彼に挑戦しようという動きはほぼない。しかし、スキャンダルが拡大することで、衆議院の解散と総選挙の実施という彼の計画が遅れる可能性もある。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)














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