古村治彦です。

2022年5月28日に副島隆彦先生の最新刊『有事の金。そして世界は大恐慌へ』(徳間書店)が発売になります。以下にまえがきとあとがきを貼り付けます。ぜひてにとってお読みください。

yuujinokinsoshitesekaihadaikyoukouhe511
有事の金。そして世界は大恐慌へ

(貼り付けはじめ)

まえがき

 この本は、突如、始まったウクライナ戦争(2022年2月24日)と金融、経済の関係について書く。戦争(政治の延長)と経済(お金と実物[じつぶつ])の関係が、これからどうなってゆくのか、を書く。

 日本人にとっては、9000キロも離れた遠くの国でのことだが大事件である。しかも、ネット(SNS)が発達した現在では、ロシア軍の戦車が次々と火を噴いて吹き飛び、むごたらしく散乱するロシアの若い兵隊たちの死体の映像が、スマホの画面にもバンバン入って来た。ロシア兵は開戦2カ月で2万人死んだようだ。ウクライナ兵も爆撃で同じぐらい死亡しただろう。手足を吹き飛ばされた負傷兵はどちらもその倍の4万人ずつ出ているだろう。戦争というのは真にむごたらしいものである。軍需産業(ぐんじゅさんぎょう)というのも有るから、人類(人間)は戦争をやめない。

 これからの世界経済は、どうなるのか。世界はロシア、中国を中心とする新興国(しんこうこく)連合(ユーラシア同盟) 対(たい) アメリカ西欧の西側同盟(ザ・ウエスト)とに分裂する2つの世界に分かれる、という説がある。いや、それ以上にウクライナ戦争は第3次世界大戦に繋(つな)がり核戦争(ニュークレア・ウォーフェア)も起きる、地球の大破壊の時代に入ってゆくという説まで出ている。私は大きくは後者の立場である。

 前ページに載せた「ウクライナ戦争とNYダウ(株価)の関係」の表のとおり、アメリカのバイデン政権(と英ボリス・ジョンソン首相)は、2021年の11月から、ロシアのプーチン大統領を着々とウクライナにおびき出す策略を実行した。開戦させる(プーチンに侵略させる)べく、手ぐすねを引いた。「相手に先に手を出させる。そして大(だい)悪人に仕立て上げる」は、アメリカのこの200年間の常套(じょうとう)手段である。日本に先に手を出させた真珠湾攻撃(1941年12月8日)と全く同じ手口である。

 バイデンは、開戦わずか1週間後の3月2日に勝利宣言とも言える、米議会での一般教書演説(ステイト・オブ・ユニオン)(国民の団結演説)を行った。このあとも予定どおりウクライナ軍の勝利すなわちアメリカが背後から指揮、命令する代理戦争、は快進撃した。

 ところが、3月8日に、株(ストック)と債券(ボンド)の暴落が起きた。前掲のグラフを参照。そして金(ゴールド)が暴騰(とう)して1オンス2079ドル(日本の小売りで1グラム8400円)が起きた。市場(マーケット)(市況)の方が政治(軍事、外交)よりも先を行く。市場は、必ずしもウクライナ(すなわちアメリカ)の勝利を予想しなくなった。

 このあとは、「資源(実物) 対(たい) ドル(の信用)の闘い」の世界に変わった。アメリカは、初めの戦術(tacticsタクティックス)で勝ったが、長期戦の戦略(strategyストラテジー)では決して勝っていないことがはっきりしてきた。ロシア(プーチン体制)に対する厳しい経済制裁(エコノミック・サンクション)がどうも効()かない。このことも判明した。

 アメリカは、ロシアをウクライナで嵌()めてドロ沼状態(quagmire[クアグマイア] situation[シチュエイション])に陥れたと、英米の指導者たち(経済界のトップたちも)は、一斉に欣喜雀躍(きんきじゃくやく)した。と思ったら、ロシア制裁のダダ漏れ(ほころび)が起きた。ここから先が、大変だ。

 世界は文字通り大動乱の時代に入った。だから「有事(ゆうじ)の金(きん)」なのである。金(きん)は実物資産の王者である。金はこのあと1グラム1万円を超えて、さらに上がるだろう。私は今の3倍になる、と予言してこの本で書き続ける。

 さあ、日本人は、どうやって自分の財産を守り、平和を守り、戦争をしないで済み、生き延びてゆけるか。この本で私の知能の限りを尽くして書く。

=====

あとがき

 この本を書き上げようとしている4月22日(金)に、NYダウ(平均株価)は860ドル急落した。続けて4月30日にも939ドル落ちて、3万3000ドルを割った(終値3万2977ドル)。

 アメリカ経済はうまくゆかない。ウクライナ戦争で、アメリカはゼレンスキー政権を全力で兵器支援したが、勝利しない。3月15日からは手詰まり、膠着状態(stalemate[ステイルメイト])に陥った。株価は戻るし、これからもズルズルとこんなものだろう。

 FRBの金融政策は、高(ハイ)インフレを何とか抑え込んで(金融引き締めで)、かつ、景気刺激(金融緩和で)も続ける、という脵裂(またさ)き状態だ。痩()せよう(ひきしめ)と思いながら、ついつい食べてしまう(デブ)私たちの日常と同じだ。

「資源(含むエネルギー) 対(たい) ドル(アメリカの金融世界支配)の戦い」でどうやら「ドル」の負けがはっきりしてきた。私たちは、この3月、4月にSNSで焼けただれて砲塔が吹き飛んだロシア軍の戦車とロシア兵の若者たちの死体と、爆撃で廃墟と化したウクライナの諸都市の映像を毎日のように見て考え込んだ。日本もあんな目に遭()わなければいいが、が日本国民の根底からの暗黙の合い言葉であった。私は投資家と小(しょう)資産家(小[]金持ち層)のために金融本を書き続けている。だが決して金儲け一点張りの人間ではない。でも私の予言どおり金(きん)が上がってよかった。金はまだまだ、今の3倍まで上がる。

 今回も、徳間書店編集部の力石幸一氏の尽力に預(あずか)った。私が極端言論(極(きょく)(ろん))に走ろうとするのを、それとなく押し止めてくださった。記して感謝します。

2022年5月

副島隆彦 

(貼り付け終わり)

(終わり)

※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505