古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:東京都知事選挙

 古村治彦です。

 

 昨日、東京都知事選挙の投開票が行われました。

 

 結果は、小池百合子氏が圧勝し、初の女性と知事となることが決定しました。小池氏は自民党に所属しながら、自民党からの推薦を得ず、「先出しじゃんけん」「ひとりの戦い」を強調しました。自民党、公明党は元総務大臣の増田寛也氏を推薦しましたが、2位に終わりました。後出しじゃんけんで、知名度がそこまで高くないこともあって準備不足となって、小池氏に120万票ほどの差を付けられての次点(179万票)となりました。

 

 3位にはジャーナリストで、野党共闘候補となった鳥越俊太郎氏が136万票を獲得して入りました。鳥越氏の前に前回の都知事選挙で次点となった宇都宮健児氏が立候補を表明していましたが、野党共闘の枠組みの尊重もあって、立候補を取り止めました。また、民進党が擁立を模索していた古賀茂明氏も立候補を取り止めたこともあって、選挙が始まる前には、鳥越氏で盛り上がりを見せましたが、演説や選挙運動の低調と週刊誌によるスキャンダル報道が響き、選挙戦を通じて支持が盛り上がることはありませんでした。

 

 4位にはジャーナリストの上杉隆氏が入り、5位の在特会元会長の桜井誠氏が入りました。「愛国右翼ヘイト」枠で言えば、前回は田母神俊雄氏が60万票を獲得しましたが、桜井氏は11万票でぎりぎり二桁を確保することができたということになりました。前回、田母神氏に投票した人たちは多くが核武装容認、中韓との対決姿勢を鮮明にする小池氏に投票することが出来たということだと思います。

 

 投票率が10%以上跳ね上がったことで、自民党、公明党得意の組織中心選挙は不発に終わり、支持政党がなく、選挙に対して関心の薄い無党派の多くが小池氏に投票した結果が、小池氏の圧勝につながりました。

 

 小池氏は政界渡り鳥で、様々な大物政治家の許で勉強したということもあってか、政治的な勘と勝負度胸が卓越しています。今回は、小泉純一郎元首相型の「敵をフレームアップして一点突破する」という戦術を使い、当選しました。彼女はまず、都議会、特に都議会自民党と自民党都連、更には都連の実力者である内田茂・都連幹事長を敵に設定しました。見た目で色々と言いたくないですが、東京都連の幹部クラスになると、高齢の男性ばかりで、見た目も悪人、敵とされるのに十分な貫録を備えています。また、最近の都議会自民党のセクハラ野次のこともあって、都議会議員については悪い方面での関心が高く、「楽な選挙で高い報酬を得て、女性差別をする年寄りたちの集まり、特に自民党が」という印象が出来上がっていました。

 

 ここに、小池氏が切り込んで、都議会と都議会を牛耳る自民党東京都連を「ぶっ壊す」ということになりました。小池氏は、選挙終了後には、対立的な姿勢は取らないと述べましたが、立候補宣言後には、「都議会を冒頭解散する」ということまで述べていました。また、小池氏は、東京オリンピック・パラリンピックについても予算を精査してということも述べていましたが、選挙期間中に「個人の財産を出していただく」ということも述べており、はっきり言って政策に一貫性はない(右派的、タカ派的な政策には一貫性を持っていますが)、恐らく、森喜朗元首相とはうまく妥協するだろうと思われますが、イメージで、自分が改革者、破壊者であることを印象付けることに成功しました。こうした役割と印象付けは野党共闘候補である鳥越氏が行うべきでしたが、うまくいきませんでした。

 

 地方政治における「抵抗勢力」に対峙する「改革勢力」という自己規定をしているおおさか維新は小池氏を肯定的に受け止めていました。「維新運動」の生みの親である、テレビ司会者の橋下徹氏は、最初から小池氏支持でした。彼らは、地方では自公と戦いながら、国政では、自公の連立与党の枠組みにうまく接近し、その補完勢力になりつつあります。「自民・おおさか維新・公明」という枠組みができれば、自民党は公明党に対して強気な対応をすることが出来るようになります。

 

 小池氏は自民党にとっては分裂選挙を引き起こし、自民党推薦候補を落選させた人物ですが、まだ自民党員です。彼女を除名するのかどうかですが、選挙が始まった時点で除名をしていない時点で、自民党は本気で小池氏を潰すつもりはなかったし、出来ないと判断したのだろうと思います。更には、「小池が勝ってくれれば、言うことを聞かない自民党東京都連を屈服させるチャンスになる」という判断もあると思われます。

 

 また、小池氏が除名された場合、おおさか維新系との提携、都市型政党の結成ということもあると思われます。地方議員を中心に「とうきょう維新」のようなものが既に形が出来つつあるようです。彼らは国会議員を持たないので、おおさか維新と提携することになるでしょう。おおさか維新としては東京に足がかりを作ることができます。

 

 そして、大きく見れば、改憲において、「自民・おおさか維新・公明」の中核ブロックが出来上がります。自民党とすれば、改憲に関して不安がある公明をつなぎとめておくための牽制を行う存在としておおさか維新を使えますし、おおさか維新としては、与党と近い「ゆ」党として、地方(大阪)における戦いで、自公の党中央とつながっていることで影響力を行使できます。「ゆ」党として、おいしい立場に立つことが出来ます。

 

 安倍晋三首相にしてみれば、分裂選挙にはなって、自民党が推薦した候補者が負けてしまったのですが、全く痛手にはならないことになりました。

 

 安倍氏は政治家としての資質を備えているのかどうか疑わしい人物だと私は思っていますが、ひとつだけ、運の良さだけはこれまでの政治家たちの中でもトップクラスではないかと考えています。しかし、彼個人の運の良さが国の運の良さに転換されていないことが現在の不幸だと考えています。

 

(新聞記事貼り付けはじめ)

 

<都知事選>小池氏が当選…女性初、増田氏らに大差

毎日新聞 81()059分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160801-00000005-mai-pol

 

 舛添要一氏の辞職に伴う東京都知事選は31日投開票され、元防衛相の小池百合子氏(64)が、元総務相の増田寛也氏(64)=自民、公明、こころ推薦=やジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)=民進、共産、社民、生活推薦=らを大差で破り、初当選を果たした。初の女性都知事が誕生した。都知事が3代続けて任期途中で辞職しており、保育所待機児童や高齢化、防災など首都が抱えるさまざまな課題に有効な対策が講じられていない。小池氏には混乱した都政の立て直しが求められる。投票率は59.73%(前回46.14%)。

 

 この5年余で4回目となる今回の都知事選には史上最多の21人が立候補した。小池氏が所属する自民党は増田氏を推薦して1999年以来の分裂選挙となり、野党4党は統一候補として鳥越氏を擁立。国政の対立構図が持ち込まれたが、有権者は政党の支援を受けない小池氏を選択した。

 

 小池氏は選挙事務所で「結果の重みを感じながら、都政にまい進していく。これまでにない都政を進めたい」とあいさつした。

 

 舛添氏の辞職から告示まで時間がなく政党の候補者擁立が混迷する中、衆院議員だった小池氏は主要候補者でいち早く手を挙げた。候補者選定を自民党都連幹部に一任する方針に反したと都連側は反発したが、小池氏は対決姿勢を鮮明にして都連や自民党都議の批判を展開した。不信任案可決を踏まえた「都議会冒頭解散」を公約とし、選挙戦では「東京大改革」「たった一人の戦い」を強調した。

 

 政策では遊休空間の活用による待機児童の解消、2020年東京五輪・パラリンピックをはじめとした都の事業を巡る利権の追及などを掲げた。シンボルカラーの緑色を身につけてもらう「参加型選挙」を演出して支持を広げた。

 

 増田氏は告示3日前の7月11日、正式に出馬表明した。「政治とカネ」の問題で著名人都知事が2代続けて辞職したことを踏まえ、建設官僚、岩手県知事、総務相の経歴をもとに「実務型」を強調した。他の主要2候補に劣る知名度を挽回しようと積極的に街頭演説を行い、持論だった東京一極集中是正への言及は避けた。自民、公明両党は幹部を応援に送り込み、増田氏支援徹底の文書を出して組織の引き締めを図ったが、及ばなかった。

 

 鳥越氏は12日に出馬表明し、参院選で共闘した民進、共産、社民、生活の野党4党が統一候補として支援を決めた。知名度から表明直後は大きな注目を集めたが、出遅れで選挙戦序盤は十分な政策を提示できず、当初の「がん検診100%」から終盤の「原発ゼロ」へと重点を置く主張が変遷した。街頭演説も少なく、選挙戦が進むにつれて支持は伸び悩んだ。【篠原成行】

 

 ◇東京都知事選確定得票数

 

当2,912,628小池百合子<1>無新

 

 1,793,453増田 寛也 無新=[自][公][こ]

 

 1,346,103鳥越俊太郎 無新=[民][共][社][生]

 

   179,631上杉  隆 無新

 

   114,171桜井  誠 無新

 

    51,056マック赤坂 無新

 

    28,809七海ひろこ 諸新

 

    27,241立花 孝志 諸新

 

    16,664高橋 尚吾 無新

 

    16,584中川 暢三 無新

 

    15,986山口 敏夫 諸新

 

     8,056岸本 雅吉 無新

 

     7,031後藤 輝樹 無新

 

     6,759谷山雄二朗 無新

 

     4,605武井 直子 無新

 

     4,010宮崎 正弘 無新

 

     3,332望月 義彦 無新

 

     3,116山中 雅明 諸新

 

     3,105今尾 貞夫 無新

 

     2,695内藤 久遠 無新

 

     1,326関口 安弘 無新

 

(新聞記事貼り付け終わり)

 

(終わり)





 
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 古村治彦です。



 私は最近、昭和史にも関心を持ち、それに関する本を読むようになりました。その中で、清沢冽の『暗黒日記』『清沢冽評論集』(ともに岩波文庫)を手にし、読む機会を得ました。これら2冊の本は本当に素晴らしい示唆を与えてくれました。



 清沢冽は1890年に長野県で生まれ、小学校を卒業後、内村鑑三の弟子、井口喜源治が開いていた「研成義塾」で学びました。そして、1906年に渡米し、苦学しながらタコマ・ハイスクール、ウィットウォース・カレッジで学びました。


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1918年に帰国し、中外商業新報社(現在の日本経済新聞社)、朝日新聞社に勤務した。1929年には朝日新聞を辞し、外交評論家として独立しました。その後は数多くの著作を著し、外務省の顧問なども務めました。1945年5月、肺炎をこじらせ55歳で急死してしまいました。彼の戦時中の日記は『暗黒日記』として出版されました。



 『清沢冽評論集』の編者山本義彦は、清沢冽の思想の特長を「(1)「心的態度」としての自由主義、中庸主義、(2)教育の国家統制に反対し、画一主義の排除と多元主義の擁護、(3)国際平和の実現をめざす外交論、(4)軍部の神がかり的、猪突猛進的で非科学的な戦争指導への否定、これに追従する思想家、ジャーナリストへの厳しい批判」としてまとめています。




 私は、清沢冽が1929年に発表した「甘粕と大杉の対話」に注目したいと思います。この文章を発表したことで、清沢冽は朝日新聞を追われ、外交評論家として独立しました。この文章は、獄中にいる甘粕正彦の許へ幽霊となった大杉栄が現れて対話を行うというものです。この二人のやり取りは清沢の創造の産物です。



 この対話の中で、私に最もなるほど、その通りだと思わせた一節をここで引用したいと思います。これは大杉の台詞です。



「今の俺は世界の思想を別けるに、右と左に区別しないで右と左を一緒にした極端派(エキストリーミスト)と、これに対する自由派(リベラル)とにする。そしてこの極端派の中には君ら軍人だの警官だのと一緒に生前の大杉やいわゆる戦闘的主義者とを編入する。この事実の特長は、持って生れた争闘性乃至は争闘を主とした教育の影響から、自分が闘うと同時に、他人をも闘わしたい点にある」



 私は、この「極端派(エキストリーミスト、Extremist)対自由派(リベラル、Liberal)」

という分類に触れて、自分の抱えていたもやもやをある程度晴らすことができたと感じました。私は、リベラルという言葉の定義の難しさもあって、今でもリベラルとは何かということを考えています。答えが出るかはわかりません。



 しかし、攻撃的な右と左対そうではない勢力という分け方にはある程度納得ができます。そして、右と左が極端派として一緒になり、リベラルと対峙するという構図を清沢は私に与えてくれました。



 私は、この構図は日本政治を理解する上で非常に重要だと思います。現在の状況に完全に当てはまるものではなくても、大きな示唆を与えてくれるものだと思います。



 現在の政治状況は、自民党が大きな勢力を持ち、公明党と共に与党となっています。野党側には元気がなく、共産党がある程度の活力を保っている状況です。日本維新の会やみんなの党は、安倍晋三首相が「責任野党」と呼んだように、自民党に大変強力的な姿勢を示しています。ここにリベラルな野党はいません。



これは2012年の衆議院銀選挙でリベラル政党が軒並み壊滅してしまったからです。この「リベラルの殲滅」を仕組んだのは、マイケル・グリーンであることは間違いのないところです。



 最近の選挙で安定して議席を確保し、微増させているのは共産党です。自民党に対する批判票を吸収する形で党勢を少しずつですが拡大させています。しかし、共産党が過半数を握って政権を掌握するということはないでしょう。



 ここで奇妙な「呉越同舟」「共存共栄」関係が生まれます。自民党がどんどん大きくなる。それによって、格差は拡大し、人々の生活は苦しくなります。すると、批判票が共産党に流れる。そして、自共の間には奇妙な相互依存関係ができます。自民党にしてみれば、批判票が共産党に流れることで、強力なリベラル野党の出現を防いでくれることになります。



 そして、ここで面白いことになるのですが、自共は共にリベラルの出現を阻止しようとして奇妙なランデブーを行うのです。その好例が今回の東京都知事選挙(2014年2勝ち9日投票)です。



 安倍晋三首相には国内に強力な反対勢力を持たないという状態になりました。私の考えでは、日本国内で安倍氏に少し動揺を与えられる反対勢力として、アメリカ大使館にいるキャロライン・ケネディ米駐日大使がいて、そのリベラル・カトリック人脈から、今回、細川護煕氏が突然、東京都知事選挙に出馬してきたと考えています。



 今話題の都知事選について考えてみます。舛添要一氏、田母神俊雄氏、宇都宮健児氏、細川護煕氏が有力な候補者となっています。自民党と公明党は舛添氏、日本維新の会の石原慎太郎系と自民党の一部は田母神氏、共産党は宇都宮氏、民主党は細川氏をそれぞれ支援しています。



 私は最初、宇都宮氏と細川氏が一本化してどちらかがどちらかの支援に回るくらいのことをしなければ、舛添氏が楽々と当選してしまうことになると考えていました。そうなるのなら、当選の可能性が高い細川氏が統一戦線の候補者となるべきだと考えました。しかし、細川氏も宇都宮氏も一本化の考えはないと言明されましたから、一本化がないのは残念だがしょうがないと考えあした。



 宇都宮氏陣営は、細川氏の出馬に関して文書をPDFファイル形式で発表していたり、細川氏の出馬が遅かったことを捉えて「後出しじゃんけんだ」という全く持って的外れな批判をしたり、と一番当選の可能性が高い舛添氏ではなく、細川氏を攻撃してきました。



 私は、主敵は誰なのか、自民党政権に大きなショックを与えるのは、舛添氏の落選ではないのかと考え、どうして宇都宮氏陣営は舛添氏に対して同じほどの熱心さで対峙しないのかと不思議で仕方がありませんでした。



 しかし、私は清沢の「極端派と自由派」という分け方を知り、合点がいきました。この都知事選でも「自共の共存共栄のためのリベラル潰し」が行われているのです。宇都宮氏個人は当選に向けて必死で選挙活動を展開されているでしょう、粘り強さが身上の方で、それこそ命がけの活動をなさっていると思います。しかし、彼の支援者や共産党はどうでしょう。



 自分たちの商売敵になりそうなリベラルの代表である細川氏を攻撃し、自共の安定した相互依存関係をこれからも維持していこうという戦略を取っているように見えます。自民党や安倍氏の圧政が続けば続くほど、彼らにとっては安定した支持や支援を得られるということで、これは「合理的な選択(ラショナル・チョイス)」と言えるでしょう。



 自民党にしてみれば、自分たちが動かなくても、宇都宮氏陣営が細川氏陣営を攻撃し、票を奪ってくれるのですからこんなに楽なことはありません。



 二正面作戦を強いられて、細川氏は苦戦するでしょう。そして、舛添氏が当選してしまうでしょう。そうなれば、自民党の圧政はしばらく続くことになります。これは国民の利益にかなうこととはとても言えません。



 「地獄への道は善意で舗装されている」という言葉があります。マルクスが『資本論』の中で使った言葉です。私はこの文章を書きながら、この言葉を思い出しました。



(終わり)







 


 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




 古村治彦です。

 

 今回は、東京都知事選挙について、過去のデータを振り返りつつ、妄想していきたいと思います。過去のデータは、ウィキペディアに掲載されているものを使います。

 

※ウィキペディアの「東京都知事選挙」についてのページのアドレスは以下の通りです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E7%9F%A5%E4%BA%8B%E9%81%B8%E6%8C%99

 

(貼り付けはじめ:少し加工を施しました)

 

2012(平成24)年1216日執行

 

※当日有権者数:10,619,652人 最終投票率:62.60%(前回比:+4.80ポイント)

 

候補者名 年齢 所属党派 新旧別 得票数 得票率 推薦・支持

・猪瀬直樹 66 無所属 4,338,936 65.27% 公明、維新支持・自民支援

・宇都宮健児 66 無所属 968,960 14.58% 日本未来の党、共産、社民、緑の党、

新社会党、東京・生活者ネットワーク支持

・松沢成文 54 無所属 621,278 9.35% なし

 

・笹川堯 77 都民のくらしを守る会 179,180 2.70% なし

・中松義郎 84 無所属 129,406 1.95% なし

・吉田重信 76 無所属 81,885 1.23% なし

・トクマ 46 幸福実現党 47,829 0.72% なし

・マック赤坂 64 スマイル党 38,855 0.58% なし

・五十嵐政一 81 無所属 36,114 0.54% なし

 

2011(平成23)年410日執行

 

※当日有権者数:10,505,848人 最終投票率:57.80%(前回比:+3.45ポイント)

 

候補者名 年齢 所属党派 新旧別 得票数 得票率 推薦・支持

・石原慎太郎 78 無所属 2,615,120 43.40% 都議会自民、公明 推薦

・東国原英夫 53 無所属 1,690,669 28.06% なし

・渡邉美樹 51 無所属 1,013,132 16.81% なし

・小池晃 50 無所属 623,913 10.35% 共産 推薦

 

・ドクター・中松 82 無所属 48,672 0.81% なし

・谷山雄二朗 38 無所属 10,300 0.17% なし

・古川圭吾 41 無所属 6,389 0.11% なし

・杉田健 43 新しい日本 5,475 0.09% なし

・マック赤坂 62 スマイル党 4,598 0.08% なし

・雄上統 69 東京維新の会 3,793 0.06% なし

・姫治けんじ 59 平和党核兵器廃絶平和運動 3,278 0.05% なし

 

2007(平成19)年48日執行[編集]

東京都庁舎前・東京都知事選挙横断幕詳細は「2007年東京都知事選挙」を参照

 

※当日有権者数:10,238,704人 最終投票率:54.35%(前回比:+9.41ポイント)

 

候補者名 年齢 所属党派 新旧別 得票数 得票率 推薦・支持

・石原慎太郎 74 無所属 2,811,486 51.06% 自民、公明 実質支援

・浅野史郎 59 無所属 1,693,323 30.75% 民主、社民、国民 実質支援

・吉田万三 59 無所属 629,549 11.43% 共産 推薦

 

・黒川紀章 73 共生新党 159,126 2.89% なし

・ドクター・中松(中松義郎) 78 無所属 85,946 1.56% なし

・桜金造 50 無所属 69,526 1.26% なし

・内川久美子 49 無所属 21,626 0.39% なし

・外山恒一 36 無所属 15,059 0.27% なし

・高橋満 61 無所属 5,558 0.10% なし

・雄上統 65 無所属 4,020 0.07% なし

・山口節生 57 カント~ 3,589 0.07% なし

・高島龍峰(木村一成) 71 無所属 3,240 0.06% なし

・佐々木崇徳 64 無所属 2,845 0.05% なし

・鞠子公一郎 33 無所属 1,373 0.02% なし

 

(貼り付け終わり)

 

これらのデータで分かることは、まず一応国会に議席を持っている政党の支持、支援がある候補者たちがある程度の票数を獲得していることです。そうではない場合は、圧倒的な知名度があることが必要です。

 

そして、当選するためには最低でも260万票が必要なことです。投票率が上がれば、この数字も上がっていくでしょう。

 

前回の選挙の場合、有権者数は約1060万、投票率は約63%でした。これを掛け合わせると、投票総数は約637万票ということになります。

 

自公維新が推した猪瀬直樹氏が約434万票(約65.3%)、次点の宇都宮健児氏(ほぼ全てのリベラルな野党が推した)が約97万票(約14.6%)、無所属の松沢成文(元民主党所属国会議員、元神奈川県知事で一定の知名度あり)が約62万票(約9.4%)を獲得しました。

 

前回は長く続いた石原都政の継続性と顔が変わるということで投票率も上がりましたが、上がった分が全て猪瀬氏に流れたと思われる程に猪瀬氏への投票が多くなりました。

 

政治学の理論の一つである合理的選択論(Rational Choice Theory)で考えると、有権者は自己利益の最大化を考えます。もし、投票することよりも投票しないことが自分の利益になると考えれば、棄権します。また、投票する一票が死票になって欲しくないと考えます。わざわざ自分が当選するはずもないと考える候補に入れる人はいません。できるだけ、勝ち馬に乗りたいと考えるのが人情という訳です。

 

主義、主張、イデオロギーがはっきりある人たちにとっては、投票を通じての意思表示が自己利益になるのですが、ほとんどの人にはそんな強固な考えはありません。そうではありますが、バランスを取るという行動に出ることもあります。

 

 今回の場合、細川護煕元首相の出馬表明がない段階では、舛添要一元厚労相、宇都宮健児弁護士・元日弁連会長、田母神俊雄元航空幕僚長・元空将・軍事評論家の争いになると考えられていました。舛添氏を自公に民主が支援し、宇都宮氏を共産党、社民党が支援し、田母神氏を石原慎太郎元東京都知事を含む、維新のゾンビ議員たちが支援することになっていました。はっきり申し上げて、この構図では、舛添え氏が圧倒的に有利な状況でした。自公で基礎票が180万から200万。民主党まで入れれば200万は超えてくる数でした。宇都宮氏に各政党が最大限支援しても100万に届かずで、田母神氏はそこまでもないということになったでしょう。

 

 そうなると、勝ち馬に乗りたい普通の有権者たちは舛添氏に投票するか、「もう結果が分かっているのなら」ということで棄権してしまったことでしょう。

 

 ここに細川氏が小泉純一郎元首相と小沢一郎代議士・生活の党代表の支援を受けて出馬表明を行いました。ここでこの安定した構図に波乱が起きました。細川氏、小泉氏、小沢氏はそれぞれ毀誉褒貶が多い人物です。それぞれが批判し合う関係でありました。それが東京都知事選に向けて「脱原発」ということでタッグを組みました。

 

 これで何が起きるかということを思考実験してみます。脱原発(舛添氏も自分なりの脱原発を主張されているようです)系が固まって支援するはずだった宇都宮氏から細川氏へ支援を変える組織や人々が出てきました。これに対して、宇都宮氏を支援する組織や人々はこうした動きに反発して、より支援に力を入れ、宇都宮氏支持に力を入れることになります。舛添氏の方では、足元にくさびを打ち込まれた形になります。

 

自民党と公明党は、党本部を上げて舛添氏支援を行おうとしています。しかし、自民党内部には舛添氏に対するアレルギーがあります。自民党政権時は厚生労働大臣を務めながら、自民党が野党に転落すると除名処分となる離党を強行しました。また、自民党の支持者の中には、田母神氏を支援したいとする人たちがかなりいることも分かってきました。

 

自民党の支持層に細川と田母神でくさびを打ち込んでいく、そして、公明党の支持母体である創価学会の信者の皆さんの中には平和や原発問題についてかなり懸念を持っている方々もいらっしゃると聞いています。安倍氏に対するブレーキ役になるかもしれません。

 

さて、ここで、基礎票について考えてみたいと思います。前回の投票数が約637万でした。舛添氏の基礎票は180万から200万ということで圧倒的に有利な状況は変わりません。数十万票の票数を獲得しそうな候補が4名ですから、過半数を獲得する候補者は出にくいと考えられます。ですから200万台での争いとなるでしょう。

 

宇都宮氏は共産党の支援がありますから大体60万、細川氏は民主、社民などを合わせて恐らく60万くらいではないかと考えます。田母神氏は20万票くらいではないかと考えます。これにはあまり根拠はありませんが、最終的に50万票ほど獲得出来たら御の字ではないかと考えます。

 

宇都宮氏と細川氏はいかにしてそこから200万台に乗せていくかの勝負となります。無党派層への浸透と他陣営の切り崩しが大きなカギとなります。自民、公明から多くを切り離せるのは細川氏であると考えます。宇都宮氏は共産党の党員でもないし、公認候補でもないのですが、自民党の支持者層は宇都宮氏に投票しづらいと考えられます。既に細川氏支持を表明している自民党の地方議員も出ているという話です。

 

無党派層への浸透は宇都宮氏の方が一日の長があるように思われますが、小泉氏の動員力(ミーハーですが見てみたいと思う人は多いと思います)と小沢氏とその周辺の選挙活動のうまさはやはり大きなものがあります。

 

そう考えると、200万台に乗せていく力を持つのは細川氏であると考えます。それでも恐らく舛添氏を抜くことは難しいでしょう。舛添氏230万、細川氏200万、宇都宮氏150万、田母神氏50万ということになるでしょう。

 

舛添氏が敗れる場合というのは、投票率の上昇と自公の支持者の投票が低調である時ということになります。しかし、自公に加え、連合東京の支援もあるということで、楽々と200万票を越えてくるということで、舛添氏の有利さは変わらないでしょう。

 

しかし、細川氏の出馬までは、勝利の確立がほぼ100%であったものが、少し引き下げられているのではないかと思います。細川氏の出馬によって「2月9日の投票日までどうなるかは予断を許さない状況です」という表現が少しリアリティを持つようになりました。

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



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 古村治彦です。


 今回は、ここ最近の政治状況と日米関係について書いてみたいと思います。都知事選挙は2014年1月23日告示ですが、出馬表明をした各氏の動きが活発化しています。特に早めに出馬を表明した宇都宮健児氏と田母神俊雄氏の動きは活発です。舛添要一氏には自公が本腰の支援を行うことに加え、労働組合の連合東京が支援を決定しました。自公と労働組合が一緒の候補を応援するのはなんだか奇妙なものですが、電気総連と東京都職員の自治労系が舛添氏を望んでいるということなのでしょう。彼らは身分の安定した高給取りの人々であって組合などを作っていますが、これは自分たちの要求する条件を通すための方便でしかないということが明らかになりました。彼らにしてみれば至極当然な合理的な行動です。


 細川護煕氏に対する様々な批判や非難、悪罵が投げかけられています。細川氏の出馬はある意味で出来レースであった東京都知事選挙に衝撃を与えたものであったということが言えましょう。青年会議所が主催して開催しようとした候補者討論会は宇都宮市の身が出席で後は欠席ということで、これを材料にして細川氏を攻撃するという動きもあります。しかし、選挙は23日告示です。まだこれから細川氏よりも大物が出馬を表明するかもしれないし、もしかしたら誰かが撤退することだってあります。そうした落ち着かない状況下で、初めての出馬で準備に忙殺されている人に、前回も出て準備万端な人間が、「早く出ないのはおかしい、卑怯だ」などと批判している。これは苛めであり、自分以外のものの行動や考えを認めない、非常に権威主義的な態度であると私は考えます。私はこれを風紀委員的態度と名付けたいと思います。


 東京都知事選挙は組織票を持つところが舛添氏を支援ということになりましたので、舛添氏が一気に有利な展開ということになりました。しかし、2月9日の投票日までにどういう動きが起きるか分かりません。


 安倍首相の靖国参拝の余波は続いているようです。谷内正太郎国家安全保障局(NSC)局長がワシントンを訪れ、ジョン・ケリー米国務長官、チャック・ヘーゲル米国防長官、スーザン・ライス米大統領補佐官と会談を行ったということです。これを「厚遇」と報道する新聞記事がありましたが、これは、直接の上司による「人品検査」と「お叱り」のための訪問と読み替えるべきです。日本のNSCとアメリカのNSCの間でホットラインが引かれるということは、いざという時にはアメリカ側が直接指揮を執ることができるようになるということです。ケリー国務長官とヘーゲル国防長官は前回の日本訪問時に千鳥ヶ淵戦没者墓苑で献花をしています。靖国問題についてあまり話が漏れて来ていませんが、これは、日本側によほど厳しい言葉があったのだということが推察されます。


 谷内氏もまともな感覚がある人なら、安倍総理の靖国参拝は控えて欲しいと思っていたと思いますので、「なんで俺が、安倍の代わりに怒られなきゃいけないんだ」と思っておられると思いますが、これも給料のうち、身の不幸と思って我慢していただきたいものです。


 安倍総理の側近の質の悪さが知られる報道がなされました。萩生田光一代議士・首相補佐官が党本部で講演し、「共和党政権の時代にこんな揚げ足を取ったことはない。民主党政権だから、オバマ大統領だから言っている」という発言を行ったということです。靖国問題は、アメリカの戦後世界支配の正統性を揺るがすものであり、アメリカ側からすれば重大な挑戦ですらあります。よく「失望」程度で収まったなというのが私の考えです。


この萩生田代議士と衛藤晟一参議院議員・首相補佐官が安倍総理に靖国参拝を進言したということです。この程度の国際感覚と能力で一体何を「補佐」出来るのか分かりませんが、問題はこの程度の人物たちを周辺に置いている安倍首相の能力にも及びます。


 さて、安倍総理に対してですが、少し気になる動きが出てきました。ジェイコブ・ルー米財務長官が「円安に対する懸念」を発表しました。政府や日銀関係者はその意図を測りかねているようですが、それは簡単なことです。アメリカの安倍総理に対する警告なのです。安倍総理は靖国参拝を行ったことで外交上の失点をしてしまいました。となると、もう一つの柱である経済(アベノミクス)に力を入れなければならなくなりました。しかし、4月には消費税増税を控え、その行く先は不透明です。これにアメリカが円安を懸念するという動きが出て円高に動くと、今の株高も頓挫してしまいます。そうなれば、外交もダメ、経済もダメということになると安倍首相に対する批判は党内外から大きくなり、最悪の場合、消費税増税の責任者である財務大臣の麻生太郎氏と共に退くということになります。そうなると、舛添氏の当選が条件ともなりますが、石破茂自民党幹事長にチャンスが巡ってくるということになります。


 アメリカはこうやって安倍さんに警告を出しているのです。”You won’t have a second chance”なのです。


(新聞記事転載貼り付けはじめ)


●「日米NSC、緊密に連携 谷内氏、米閣僚らと会談


2014年1月18日付 日本経済新聞

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS18005_Y4A110C1MM0000/


 【ワシントン=吉野直也】訪米中の谷内正太郎国家安全保障局長は17日、ワシントンでケリー米国務長官、ヘーゲル米国防長官、ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)と相次いで会談した。ライス氏とは日米の国家安全保障会議(NSC)が緊密に連携していくことで一致。ケリー、ヘーゲル両氏とは沖縄県の米軍普天間基地移設や日米防衛協力指針(ガイドライン)再改定の加速を確認した。


 谷内氏は昨年末の安倍晋三首相の靖国神社参拝についても言及した。内容に関して同行筋は「靖国問題を話し合うことが今回の訪米の目的ではなかった」と述べ、具体的なやりとりを明らかにしなかった。首相参拝後に日本政府の要人が米閣僚やホワイトハウス高官と会談するのは初めて。


 米側の3氏との個別会談は合わせて1時間半を超えた。連携相手となるライス氏との会談で、谷内氏は「ライス氏と直接連絡がとれるようにしたい」と述べ、ホットラインの開設を検討すると表明。ライス氏は「谷内氏とともにスタッフ間の協力を進めていきたい」と応じた。核開発を進める北朝鮮や海洋進出を活発にする中国など東アジア情勢についても意見交換した。


 米ホワイトハウスは声明で、谷内、ライス両氏が朝鮮半島の非核化に向けた日米の協力拡大の必要性を申し合わせるとともに、日米NSCの緊密な連携が日米関係の強化につながるとの見解で一致したと発表した。


 国防総省は声明で、普天間移設の前提となる名護市辺野古沿岸部の埋め立てを沖縄県知事が承認したことを評価。地域の平和と安定のために日米の役割は一段と大きくなると指摘し、移設計画の推進を求めた。谷内氏はケリー氏とも同様の認識を擦り合わせた。


 谷内氏は政府の外交・安全保障政策の司令塔である日本版NSCの発足を受け、米国を訪問。米国の後に欧州やインドを回り、NSCの目的や安倍政権の外交・安保政策を説明する。


●首相側近の萩生田氏、米政権に反論 靖国批判は「揚げ足取り」(01/18 02:05


2014年1月18日付 北海道新聞電子版

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/515922.html


 安倍晋三首相側近の自民党の萩生田光一総裁特別補佐は17日、党本部で講演し、首相の靖国神社参拝に「失望」を表明したオバマ米政権について「共和党政権の時代にこんな揚げ足を取ったことはない。民主党政権だから、オバマ大統領だから言っている」と反論した。政権中枢に近い与党幹部の発言だけに日米関係に波紋を広げる可能性がある。


 講演は党青年局メンバーの会合で行われた。萩生田氏は青年局長経験者として出席した。メディアには非公開だった。


 萩生田氏は共同通信の取材に対して発言内容を認めた上で「オバマ政権を非難する意図はない。日本の立場を説明する思いからの発言」と述べた。


●「米財務長官の円安けん制発言、日本政府は真意模索」


2014年1月17日付 ロイター通信

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJEA0G00H20140117


[東京 17日 ロイター] -米国のルー財務長官による突然の円安けん制発言を受けて、日本政府関係者は真意を測りかねている。安倍晋三政権発足以来の円安進行について米国は日本経済を強化するものとして支持してきたとみられるためだ。


ただ米国内には過度の円安を警戒する産業界の動きは根強く、同様の発言が繰り返されれば、安倍政権が理想とする緩やかな円安進行と株価上昇の実現に黄信号が灯る可能性がある。


ルー米財務長官は16日、日本について「為替に過度に依存すれば長期的な成長はない」とし、日本の為替政策を「注視し続ける」と述べた。金融市場で日銀の追加緩和観測が広まっているのを踏まえ、急激な円安・ドル高の進行に懸念を示した格好だ。


これに対して、日本の政府関係者は発言の真意について「よくわからない」(高官)とし、米側の本音を探りかねているもよう。


岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)は17日、都内の景気討論会で、ルー財務長官の発言を注視していると指摘。「政治的な発言がなければ、為替レートは緩やかに(ドル/円)110円まで進む」としつつ、為替に関する条項を環太平洋連携協定(TPP)に盛り込むようオバマ政権に求める書簡に、上下院の半数以上の議員が署名した点を挙げ、今後も同様の発言が繰り返されれば、円安があまり進まなくなる可能性もあるとの見解を示した。


米財務省は「日本の金融緩和は国内政策で、為替相場を政策の目標にしない」との日本の主張を理解している立場だが、議会には日本を為替操作国と批判する米自動車業界と近い声があるのも事実だ。


一方、政府内には米国で日本や欧州に金融緩和により世界経済のけん引役を果たすことを期待する声があるとの見方もある。「かつての日独機関車論と同様」(別の政府高官)で、米国は金融緩和の縮小過程に入る中で、日欧に金融緩和の継続を求めているとの解釈だ。実際、日銀は現時点で追加緩和を検討していないが、4月の消費増税などで景気が大きく下振れ、2%の物価目標達成が難しいと判断すれば、追加緩和も辞さない構えだ。


日銀の金融緩和は為替を目的とはしていないため、米高官発言は政策運営の直接の障害とはならない。ただ市場で円安進行が止まるようであれば、政権が期待する円安・株高は実現が難しくなる可能性もありそうだ。


(竹本能文 編集:内田慎一)


(新聞記事転載貼り付け終わり)




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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 古村治彦です。

 今回は都知事選挙について、私がここ数日考えたことを書きたいと思います。


 


 2014年2月9日に投票が行われる東京都知事選挙は主要な候補者たちの立候補表明が終わり、いよいよ本格化してきました。細川護煕元首相が立候補を表明して、舛添要一元厚労相がかなり有利だと思われていた都知事選挙の構図が少し変化するかなという印象があります。宇都宮健児元日弁連会長・弁護士や田母神俊雄元空将・軍事評論家も活発な動きを見せています。

 


 こうした中で、自民党と公明党が舛添要一氏の支援に本腰を入れるということになりました。最初は都連レベルでの支援を行い、党本部は直接関わらない(実質はそういう訳にはいかないと思いますが)ということになっていたようですが、党本部が動くということになりました。こういうことを書くと大変失礼ですが、宇都宮氏や田母神氏の出馬を受けても、「自公の組織票に舛添氏の個人の力があればそこまで本気にならなくても勝てるさ」という感じで動く気配を見せなかった自公が細川氏をターゲットにして動き始めてきました。

 


 細川氏に出馬に対しては、全陣営が早速批判と非難を向けています。そして、宇都宮氏や田母神氏の支持者の皆さんの中にいる、細川氏にかなりの拒否反応を示す人たちがインターネット上で広範なテーマを取り上げて批判を展開しています。私はこうした動きは、結局のところ、主敵であるはずの舛添氏の当選に利するだけの行為であると私は考えます。マルクスは『資本論』の中で、「地獄への道は善き意図をもって舗装されている」という言葉を使っています。この言葉の意味については複数の解釈があるようなのですが、「良いと思ってやった行いが思いもよらず、全く意図しなかった悪い結果をもたらす」という意味で使われます。細川氏に対しての批判には正論があり、その通りだということがありますが、細川氏に対する批判を行ったからと言って、圧倒的に有利な舛添氏に打撃を与えられるかというとそれは難しい、ほぼ不可能ではないかと私は思います。

 


 こういうことを書いて気分を害される方もおられると思いますが、近親憎悪や内ゲバという言葉があります。戦後の左翼陣営の歴史を見てみると、自分たちの主目的の達成よりも、自分たちと元々は仲間であったが分裂したグループに対する攻撃に終始する、そして弱体化していくということがありました。また、急進的な主張(それはそれで素晴らしい内容のものではありましたが)をするあまりにかえって広範な人々の支持を得られなかったということがありました。今回もまた同じような失敗をして、主敵を利することになるのだろうと、私はここ最近悲観的になっています。

 


 ここで良く考えねばならないのは、自民党員、自民党から選挙に出ること(東京地区の地方自治体や国会議員の選挙)を考えていながら、元空将・軍事評論家の田母神俊雄氏を支援しようとしている皆さんです。自民党は最初、都連レベルで舛添要一氏を支援することにしていました。しかし、公明党が舛添氏の支援を決めたこともあり、また細川氏の出馬で危機感を覚えたのか、安倍晋三首相・自民党総裁が公明党の山口那津男代表と会見し、舛添要一氏の支援で一致しました。そして自民党は党本部を上げての支援ということになりました。

 


 自民党が田母神氏を支援する可能性はなくなりました。複数の当選者が出るなら支援ができるかもしれませんが、都知事は一人しかなれません。そうなると、自民党員、もしくは自民党から選挙に出たいと考えている人が田母神氏を支援することは自民党総裁、もしくは自民党本部の意向に反することになります。自民党の歴史を見てみると、総裁や党本部に反抗しても許されてきたということもありますから大丈夫だとは思いますが、自民党東京都連や公明党のことを考えると、そういう人たちは今後選挙の際にそこまでの支援が受けられるのか、そして東京から選挙に出ようとしてどうだろうか、ということになります。

 


 やはり今の自民党には公明党の組織票が必要なのでしょう。そして、田母神氏に共鳴してしまうような人たちは少し邪魔な存在なのかもしれません。しかし、そうした人たちをJ-NSCなどを通じて自民党支持者として陶冶してきたのは、自民党自身なのです。自民党にしてみれば、おとなしく、強い主張をすることなく、淡々といつもいつも自民党に無条件に投票してくれる人が重要であって、自分たちを強烈に支持してくれるが、時に大変批判的になり、党総裁や党本部の意向に反抗するような人はいらないということになります。

 


 私は偉大な政治学者であった故チャルマーズ・ジョンソン(Chalmers Johnson)が提唱した「ブローバック(Blowback)」という言葉を思い出します。これは2001年9月11日の同時多発テロの1年前に出された本の題名でもありますが、アメリカが対ソ連用に育てたアルカイーダが、結局アメリカに攻撃を加えることになったということをいみじくも言い当てたものでした。

 


 この都知事選が一つのポイントとなって、自民党が少し変化していくのではないかと思います。都知事選自体は、自民党と公明党の組織力やネットワーク力がフル回転ということになり、舛添要一氏が有利になったと思われます。反自公で統一戦線(United Front)、統一候補ができると面白い勝負になると私は考えていましたが、それも潰えました。安倍晋三首相に対する現実的な力を持つストッパーは国内勢力には存在しなくなるということになります。それでも、野党側からすれば、自民党と同じくここが一つのポイントとなって、野党再編や野党再建の動きが活発化することになると私は考えます。

 


 ここ数日、私が考えたことを取り留めもなく書きました。乱文で申し訳ありません。最後まで読んでいただいてありがとうございます。

※2014年1月17日午後6時5分。加筆します。細川氏擁立には自民党内部にくさびを打ち込むということではないかという考えが浮かびました。それは、ある自民党員の方が細川氏に投票するという発言をSNSで行っていたのを見たからです。私は自民党内部が一枚岩であるという前提で考えてきました。しかし、もともと自民党は寄り合い所帯のように、様々な考えの人たちがいた(いる)政党です。穏健派の人たちは目立たないが、確かにいます。

 谷垣禎一法相も穏健派というか、保守本流の宏池会の出身です。谷垣氏は自分が総裁の時に党を出た舛添氏に対して「個人的な思いはある」という発言をしています。これは「だけど党の決定に従う」と続くものですが、それなら「党の決定に従うこと」だけを述べればよいのです。ところがそうではないのはよほどの思いがあるし、もっと大きく言えば、安倍晋三首相に対しても含むところがあるのではないかと推測されます。

 こうして考えると、自公が本部として引き締めにかかっているのも、意外に党内にまとまりが欠けるところが見え始めているのではないかと私は考えています。そして、それが細川氏陣営が仕掛けた揺さぶり、打ち込んだくさびのせいなのだろうと考えます。そしてこのようなことを考えたのは、小沢一郎氏なのだろうとも考えています。


(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「主張に現実性ない…自民、党挙げ「対細川氏」」



2014年1月17日 読売新聞

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20140117-OYT1T00171.htm?from=top



 自民党が東京都知事選(23日告示、2月9日投開票)を巡り、党本部が前面に出る形で舛添要一元厚生労働相を支援する姿勢を鮮明にしている。



 小泉元首相が支援する細川元首相の主張が政府の方針と異なるため、国政が混乱しかねないとの判断から主戦論が一気に強まった。



 自民党の河村建夫選挙対策委員長は16日、党本部で開かれた東京都連幹部らの会合で「党本部を挙げた態勢の中で、勝利を目指して頑張っていこう」と呼びかけた。会合では、党として舛添氏を全面支援することを決めた。同党は16日、石破幹事長名で党所属の全国会議員に舛添氏への支援を呼びかけるメールを送った。今後は閣僚クラスを応援弁士として投入するほか、都議や区議、支持団体への働きかけを強める方針だ。



 自民党は当初、都連を主体とした舛添氏の支援態勢を想定していた。無党派層がかぎを握る都知事選は、党本部が出過ぎない方がいいとの判断もあった。しかし、「原発の即時ゼロ」を主張する小泉氏が、「脱原発」を争点に細川氏を支援する考えを示しているほか、細川氏自身がかつて2020年の東京五輪・パラリンピックの「返上論」を唱えていたことも判明。「細川氏の主張は現実性がない。都知事になれば、日本全体に悪影響が広がる」(幹部)との懸念が広がった。



20141171049  読売新聞)



●「舛添氏支援で自公党首が一致」



2014年1月16日 共同通信

http://news.nifty.com/cs/headline/detail/kyodo-2014011601001946/1.htm



 安倍晋三首相と公明党の山口那津男代表は16日、官邸で会談し、東京都知事選(23日告示、2月9日投開票)に立候補を表明した舛添要一元厚生労働相(65)を支援する方針で一致した。同じく出馬予定の細川護熙元首相(76)の陣営では、小泉純一郎元首相に続き、民主党の野田佳彦前首相や、脱原発を主張する菅直人元首相がブログで細川氏を支援する考えを相次いで表明した。



 脱原発や2020年東京五輪への準備、防災対策強化を争点とする首都のリーダー選びは告示まで1週間となり、各陣営は選挙準備を加速した。



 安倍首相は会談で山口氏に「協力して取り組もう」と呼び掛け、賛同を得た。



(新聞記事転載貼り付け終わり)



(終わり)






 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 

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