古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:松野頼久

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-10-28


アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 現在、私の関わっている副島隆彦を囲む会の講演会DVDの作成と発想の準備に追われて忙しい状況です。ご注文いただいている皆様にはお待たせしてしまい、まことに申し訳ございません。ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」の「重たい気持ちで書く掲示板」の2015年8月15日に囲む会の須藤よしなお代表が書いている通りの状況があれからまだ続いている状況です。それでも8月31日中には完成し、発送が開始できそうです。深く深くお詫び申し上げます。

 

 さて、山形市長選挙への対応に端を発し、維新の党が分裂しました。非自民系の立候補予定者を柿沢未途幹事長が応援したことに対して、松井一郎・大阪府知事、維新の党最高顧問が批判(共産党みたいなことを言っているなどと批判)、幹事長を辞任するように求めました。これに対して、柿沢氏は辞任を否定し、松野頼久維新の党代表は辞任の必要なしと主張したことを受けて、松井氏と橋下徹・大阪市長は維新の党を離党しました。そして、大阪維新の会を国政政党にするということになり、維新の党に所属している大阪系の国会議員たちも大阪維新の会に移るということで、維新の党は分裂ということになりました。

 

 今回の分裂劇は松井一郎大阪府知事が仕掛けたものであり、橋下徹氏は脇役なのですが、維新の党分裂後、橋下氏が中心となって大阪維新の会を国政政党化し、それを松井氏らに引き継ぐということになっています。橋下氏は最初のうち、柿沢氏の処分を求めず、党も割らないという姿勢を取っていました。松井氏に引きずられているように見えます。

 

 その松井氏ですが、8月26日に東京で、安倍晋三内閣の菅義偉官房長官と会談しています。私はここで維新の党の分裂が正式に決定したと思います。それからの動きは素早く、橋下氏も巻き込んだものになっています。

 

 今回の維新の党分裂は、松井氏がチンピラのように難癖をつけて、分裂まで至りました。最初から分裂ありきで、そのための理由づけとして柿沢氏が利用されたのでしょう。また、これまでの地方選では自民党は敗北を続けています。山形市長選でも自民系が不利な状況でしたが、非自民系の立候補予定者に対して「国政政党を分裂させた責任」をかぶせて勢いを鈍らせようという考えがあるものと思います。

 

 維新の党の分裂によって、大阪維新の会は国政政党化し、5月に住民投票で否決された大阪都構想を再び公約とするということになりました。この都構想はよほど「おいしい」話で、諦めてしまうのに惜しい物なのでしょう。

 

 ここからは私の考えですが、26日の菅・松井会談では取引があったものと思われます。自民党が大阪都構想を容認し、反対している自民党府連に対してもそれを強力に圧力をかけることになるでしょう。「共産党なんぞと一緒にやりやがって」と執行部は苦々しく見ていたでしょうから、そうした点から責められることになるでしょう。松井氏が柿沢氏に対して「共産党が応援している候補なんぞ応援しやがって」と同じことです。

 

 その代り、大阪維新の会は明確にはしなくても改憲に賛成する、そして、2016年の参議院選挙では公式な選挙協力はなくても自民党に協力するということになるのでしょう。考えてみれば、松井氏や橋下氏の主張は安倍首相とほぼ同じなのですから、わざわざ別の政党である必要はないのですが、それが別の政党であるのは、野党攪乱要員としての役割を期待されてのことでしょう。つまり、野党再建・野党再編の阻害要員としての役割を期待されている訳です。

 

 来年の参議院選挙では大阪維新の会が攪乱要員として自民党を助け、野党をかき回すことでしょう。この時、有権者として本質を見誤らず、投票行動をすることで、最悪の事態である会見を防ぐことが出来ると私は考えています。

 

(新聞記事転載貼りつけはじめ)

 

●「維新分裂 民主、維新の両代表、31日午後会談へ 合流か否か…」

 

産経新聞 831()1121分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150831-00000513-san-pol

 

 民主党の岡田克也代表と維新の党の松野頼久代表は31日午後、野党再編や両党の合流構想をめぐり国会内で会談する。合流構想には、来年夏の参院選に向けて巨大与党に対抗できる勢力をつくる狙いがある。両党には消極論も存在しており、成否は見通せない。

 

 民主党の枝野幸男幹事長は31日午前、両代表の会談について国会内で記者団に「松野氏の話を聞いてみないといけない」と述べるにとどめた。

 

 松野氏は30日、東京都内で記者団に「岡田氏と胸襟を開いて話したい。(自民党の)1強多弱を変えるため強い野党をつくらねばならない」と説明した。

 

 

●「<橋下新党>11月までに結成 維新から20人弱合流」

 

毎日新聞 830()90分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150830-00000005-mai-pol

 

<橋下新党>11月までに結成 維新から20人弱合流

 

橋下徹・大阪維新の会代表=大阪府枚方市で2015年8月29日、三村政司撮影

 

 維新の党を離党した橋下徹大阪市長は29日、大阪府枚方市で街頭演説し、「1カ月後か2カ月後かわからないが、大阪維新の会という国政政党を誕生させる」と述べ、大阪府知事・市長選のダブル選(11月22日投開票)の前にも、新党を結成する方針を表明した。維新の党所属国会議員51人のうち大阪系議員10人強を含む20人弱が合流する方針で、維新は分裂する見通しになった。

 

 橋下氏は「大阪維新の会のもとに国会議員を従える」と述べ、維新の党の議員を新党に合流させる考えを示した。そのうえで「大阪維新の会の看板で、北海道から九州にまで国会議員を誕生させる」と述べ、全国で候補擁立を目指すとした。

 

 橋下氏は27日に党所属国会議員へのメールで「今、党が割れるようなことはしない」と表明したが、数日のうちに党分裂を前提とした新党結成を目指す方針に転換した。

 

 これに関連し、大阪維新の会の松井一郎幹事長(大阪府知事)は29日、府内で記者団に対し、来夏の参院選で候補擁立を目指す考えを明らかにした。橋下氏は29日も「松井氏や大阪維新の会のメンバーにその政党(新党)を引き渡す」と述べ、政界引退は変えないとしているが、松井氏は橋下氏について「国政進出を含め、政界復帰は十分ある」と述べ、強い期待感を示した。

 

 橋下、松井両氏と、馬場伸幸国対委員長ら大阪系議員約10人は大阪府内のホテルで会合を開き、国会閉会(9月27日)後に新党に参加することを確認した。新党には、非大阪系議員数人も参加する意向だ。民主出身の議員の多くは新党に参加しないと見られるが、旧結いの党出身や中間派の議員の動向が焦点となる。民主や無所属の保守系野党議員が今後、新党参加を検討する可能性もある。

 

 一方、維新の党関係者によると、橋下氏は新党へ受け入れる国会議員について、松野頼久代表らを念頭に「衆院選で比例復活した民主党出身議員は認めない」との条件を周辺に示した。対立してきた民主系を排除し、政権寄りの党運営をはかる目的とみられる。

 

 昨年の衆院選で選挙区で敗れ、比例復活した民主党出身議員は松野氏や今井雅人政調会長ら10人。新党では大阪維新の会結成当時の理念を同じくする議員を集め、「純化」を目指す狙いとみられる。【松井聡、福岡静哉】

 

 

●「菅氏と松井知事が会談」

 

産経新聞 2015年8月26日

 

 菅義偉官房長官は25日夜、維新の党顧問の松井一郎大阪府知事と東京都内で会食した。参院で審議中の安全保障関連法案や11月22日投開票の大阪市長、府知事のダブル選などをめぐり意見交換したとみられる。

 

(新聞記事転載貼りつけ終わり)






野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23





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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




ダニエル・シュルマン
講談社
2015-07-29


 

 古村治彦です。

 

 今週の国会は派遣法改正を巡る大荒れでした。派遣法改正を目指す自公とそれに反対する民主、共産、社民、生活の対立が激化し、昨日は掴み合いが起きるほどになりました。委員会の審議は打ち切られ、本会議での採決を待つばかりとなりました。

 

こう言う時、野党は審議拒否や国会内でピケを張るなどの形で抵抗します。審議拒否する、採決への出席を拒否する野党に配慮せずに多数決で法案を成立させればよいではないかと考える方も多いと思います。しかし、日本の国会は「野党優位」というか、「野党尊重」がなされています。日本の国会が会期主義を採っていること(会期中に採決できなければ廃案となります)、審議時間が短いこと、更には戦前の帝国議会の与野党一致を目指した伝統などが理由として挙げられ、アメリカの政治学者マイク・モチヅキ(ジョージワシントン大学教授)は、これを「ヴィスコシティ(Viscosity、粘着性)」と呼んでいます。

 

 こうした激しい対立状況になった時、与野党が話し合いを持つ場があります。それは各党の国会対策委員会(国対)による話し合い、そして、国会内の議院運営委員会(議運)です。国対は党の役職、議運は国会の委員会です。55年体制は、「国対政治」と呼ばれたように、激しい対立が起きた際、妥協や取引を行う話し合いが国対で行われました。この国対で活躍したのが、自民党では金丸信であり、社会党では田辺誠でした。

 

 派遣法改正に関して、自民党と取引を行ったのが維新の党です。松野頼久代表、柿沢未途幹事長の下、民主、生活両党と共同提出した同一労働同一賃金法案を独自に自公と修正し、審議と採決に応じる姿勢に転換しました。法案の一部修正を勝ち取ったことで目的を達したということで、今度は派遣法改正に反対する民主党を攻撃するようになりました。

 

 ここまでの動きを見ていると、思い出すのは1980年代の国会です。自民党と野党が重要法案で対立する場合、社会党が妥協できるものであれば、対立は激しくなりませんが、社会党がどうしても妥協できない、取引できない場合、「中道政党」と呼ばれた公明党や民社党が出てきます。自民党と公民が妥協して、野党が審議に応じる、採決に応じるという形を整えることになりました。そして、公民には相応の「御礼」が出されました。

 

 現在の状況を見てみると、維新の党が果たしている役割は1980年代の民社党と同じものです。民社党は1960年に社会党右派と呼ばれる人々が社会党を離脱して結成した政党です。その源流は、1930年代に広義国防論に賛成し、ファッショ化した社会大衆党です。同じくファシストの岸信介が巣鴨プリズンから出獄し、政治活動を再開する際に、まず社会党に入党申請して断られたという逸話があります(同時期に後に岸派を継承する福田赳夫は大蔵官僚でしたが、その才幹を見込まれて社会党から入党要請を受けましたが、経済政策が根本的に違うと拒絶しました)。私は、この話を不思議に思っていましたが、戦前のファシスト同士ということであれば、納得がいく話です。民社党は核武装論まで主張する、自民党よりも右の「中道」政党でした。民社党はその後姿を消したのですが、その悪影響は現在でも残されています。民主党内の民社協会について調べていただければその害悪は分かっていただけると思います。

 

 維新の党は1980年代の民社党と同じだという歴史上のアナロジーを私は主張したいと思います。さて、維新の党の内部について見てみると、私は、大阪ウイングと東京ウイングに分かれ、東京ウイングの中には小沢一郎の影響を受けた政治家たちの一団がある(旧民主・旧生活からの加入戦術)と考えます。それぞれが分裂しているように見えます。この3つのグループ、大阪ウイング、東京ウイング小沢系、東京ウイング非小沢系のうち、大阪ウイングは自民党、特に菅義偉官房長官との関係が取り沙汰されています。維新の党が果たして野党なのか、与党(寄り)なのかはっきりしませんから(野党[やとう]でも与党[よとう]でもなく、「ゆ」党だと揶揄されています)、維新の党が自民党の別動隊である、という主張は説得力を持ちます。私はどうも、東京ウイング非小沢系が、経験不足と思慮の足りなさから自民党系に取り込まれつつあるのではないかと考えています。柿沢未途幹事長の一連の発言を見ていると、老練な政治家たちに利用されて使い捨てされる、元気の良い若者という感じがします。松野代表とすれば、柿沢氏やその他の若手が目立つことで、そちらに批判が集中したところで、党運営と国会運営が拙かったとして柿沢氏を処分すればよいだけのことです。人身御供、スケープゴートといったところでしょう。

 

 江田憲司、松野頼久、細野豪志といった人々が一緒になって野党再編(野党再建)が進められるのではないかという雰囲気がありました。そのために民主党と維新の党の協力が進められるのではないかと言われていました。しかし、今回のことで、野党再編どころか、野党協力まで難しい状況になりました。野党側が多党分立している状況では巨大な与党である自公に対抗することはできません。逆に言えば、分立状況が続くことを与党である自公は望んでいる訳です。

 

 こうした野党壊滅状況の中で、戦前を思わせるような締め付けと戦争に向かう方向へ日本は進んでいます。そうした中で、「粘着性」を発揮できるブレーキとなるべき野党が再建されねばなりません。しかし、その野党再建までの道のりは大変厳しいです。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「維新・松野代表:「同一労働同一賃金法案」修正で陳謝」

 

毎日新聞 20150611日 1942分(最終更新 0612日 0632分)

http://mainichi.jp/select/news/20150612k0000m010047000c.html

 

 維新の党の松野頼久代表は11日の記者会見で、民主、生活両党と共同提出した「同一労働同一賃金法案」を独自に自民、公明両党と修正した経緯について、「申し訳なかった。民主、生活に丁寧に説明し同意を得た方が良かった」と述べ、手順に配慮が欠けていたとの考えを示した。柿沢未途幹事長が民主などに謝罪する。

 

 維新は労働者派遣法改正案の採決に応じる(賛否は反対)見返りに、同一賃金法案の修正案を新たに与党と共同提出する。11日の民主、共産、生活、社民の野党4党の国対委員長会談では、生活が「維新から与党との修正協議も含めまったく聞かされておらず、不誠実だ」と批判したほか、民主や共産からも維新の対応への疑問が出た。

 

 11日の維新の代議士会では若手議員から執行部の対応に批判が出た。初鹿明博氏は「国民からは維新が(反対している)派遣法成立をアシストしているようにしか見えない」と指摘。太田和美氏も「有権者に何をやっているんだ、ひきょうだと言われた」と不満を述べた。【福岡静哉】

 

 

●「<派遣法改正案>目立つ「自公維」路線 「民共」と対立激化」

毎日新聞 612()2153分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150612-00000133-mai-pol

 

 衆院厚生労働委員会は12日、労働者派遣法改正案を巡って自民、公明、維新3党と民主、共産両党が激しく対立した。民主、共産は同委だけでなく、平和安全法制特別委員会などほかの4委員会も欠席。一方、維新は各委員会で審議に応じ、24日の会期末に向けて荒れる国会は、与野党を超えた「自・公・維」路線が目立ち始めている。

 

 維新の足立康史氏は厚労委で「年金問題から逃げたのは民主だ。日程闘争そのもので、反対のための反対だ」と民主の欠席を厳しく批判した。これを受けて安倍晋三首相は「しっかり国民の前で質問を受け、真摯(しんし)に答えたい」と答弁。派遣法改正案の採決に応じる方針を決めた維新と息を合わせた。

 

 渡辺博道委員長(自民)はこの日、同法案の審議終結を宣言した。しかし、与党は安全保障関連法案の審議への影響を避けるため野党との妥協を模索。17、19両日に補充質疑を行い、19日に衆院を通過させる案が浮上している。与野党は15日に国対委員長会談を開き、正常化を図る。

 

 通常は審議拒否戦術をとらない共産党が委員会を欠席するのは異例。穀田恵二国対委員長は「野党第1党の民主が欠席したまま審議すべきではない」と民主に同調する姿勢を示した。民主党の岡田克也代表は、同一労働同一賃金法案の修正協議を通じて与党に接近した維新に対し、「何の断りもなく与党と修正協議するのは私の常識の範囲外だ」と不快感をあらわにした。

 

 一方、維新の党内では「民主の補完勢力とみられるぐらいなら、与党の補完勢力の方がまし」(大阪系議員)という声が広がっている。馬場伸幸国対委員長は「あくまで委員会、本会議に出てきちんと議論するのが国会議員の正しい姿」と民主、共産両党をけん制した。【阿部亮介、佐藤慶】

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)








 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 本日、維新の党の新興役員会が開催され、橋下徹(大阪市長)・維新の党共同代表と松井一郎(大阪府知事)・同党幹事長が辞任する旨が発表されました。江田憲司衆議院議員が代表となり、幹事長には松野頼久衆議院議員が幹事長に就任することになりました。

 

 新聞報道によれば、国会議員団は両者の辞任を慰留し、統一地方選後への復帰という条件で、辞任を了承したということです。

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左から松井氏、橋下氏

 

 維新の党は先日の総選挙でも惨敗という程でなく、公示前の議席42議席を41議席と1議席減らしただけで(議員定数が5削減されたことも考えねばなりません)、選挙前の予想よりも善戦でした。近畿ブロックでは比例票で約200万票(全国で800万票)を獲得するなど、健闘していました。

 

 前回の選挙で戦った日本維新の会(大阪維新の会と石原慎太郎氏率いる太陽の党が合併)の時もそうでしたが、「維新」には、瀕死の政治家たちを蘇らせて、議席を得させる効果があるようです。その点では、維新のブランド力は侮ることができません。しかし、その求心力は落ちているといのが現状のようです。維新の党の国会議員団の顔ぶれを見てみると、元々は自民党だったり、民主党だったり、みんなの党だったりとデビューからずっと橋下氏と共に行動してきたという、大阪維新の会生え抜きという人は少ないのです。

 

 それでも橋下氏らオリジナルの大阪維新の会は危機感を持っているようです。大阪維新の会は地方選挙でも力に陰りが見え始めているようです。大阪市議会、大阪府議会、堺市議会などで大阪維新の会系の議員たちは過半数に届かず、大阪維新の会系対他の既存政党という構図になっているようです。大阪維新の会はいわば組織に喧嘩を売っていて、橋下氏の個人の魅力と発信力で選挙をやっていますから、橋下氏の神通力が落ちてしまえば、苦戦するのは当然です。

 

 今回の選挙でも維新の党は善戦しましたが、近畿圏で既存政党を大きく陵駕することができず、小選挙区での勝利も半減(前回が12→今回が5)となりました。これでは、橋下氏(バックにいる上山信一・竹中平蔵の慶應義塾大学SFCキャンパス教授陣と堺屋太一)が悲願としている大阪都構想を実現することは難しいと判断し、地元に専念するということになったようです。

 

 しかし、考えてみると、大阪都構想のような大きなアイディアを実現するためには、国のバックアップも必要です。維新の党の国会議員団は衆議院で41名、参議院で11名ですので、他党の協力がなければ難しい状況です。地元では自民党、公明党、民主党、共産党などが揃って反対という状況では、他党の執行部としても応援しにくいし、特に近畿圏出身の維新の党以外の国会議員たちは地元に配慮して応援できません。

 

 そうなると、大阪市議会、大阪府議会、他の地方自治体の議会や首長の圧倒的多数を大阪維新の会で押さえ、国(国会議員)に「民意」というプレッシャーを与えねばなりませんが、橋下氏の話題先行型の政治姿勢では今のところ、これも厳しいようです。

 

 橋下氏と松井氏が揃って党役職辞任となると、維新の党の3つのグループ(私は大阪ウィング、日本維新の会国会議員団系、結いの党系と呼んでいます)のうち、野党再編のキーマンである、江田憲司氏、松野頼久氏、柿沢未途といった人々が党の中心となります。実際に、江田氏が単独で代表、松野氏が幹事長、柿沢氏が政調会長、江田氏と出身が同じ(岡山県、東大法学部、官僚)の片山虎之助氏が総務会長と党の重要なポジションを大阪維新の会系以外が全て押さえることになります。

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左から江田氏、松野氏

 

 私は、今回の総選挙に橋下氏が出馬できなかったこと、大阪維新の会系の力が落ちたことから、橋下氏と松井氏が「名誉ある撤退」を選び、大阪に立て籠もる戦略に出たのだと思います。それで大阪都構想が実現するのかとなると、それも難しいと思います。

 

 大阪都構想が頓挫した場合、橋下氏は大阪市長を辞任し、政界から去るのではないかと思います。一方の松井氏は国政にも関心を持っているようですから、2016年の参議院議員選挙に出馬するのではないかと思います。しかし、それもその時までに維新の党が残っていて、大阪維新の会系の力がまだ健在であったらの話です。

 

 こうして見ると、大阪維新の会は地方政党であるべきだったのだろうと思います。国政への色気を出したために、大阪維新の会の独自色が薄まってしまい、中途半端になってしまいました。そして、国政政治家たちにうまく利用されてしまったというところもあります。橋下氏はとても威勢が良く、歯切れもよくて、頭の回転も速い人ですが、国政政治家の老練さにはコロッと騙されてしまったのかもしれません。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「維新の党:橋下代表、松井幹事長が辞任 「都構想に専心」」

 

毎日新聞 20141223日 2029分(最終更新 1223日 2104分)

http://mainichi.jp/select/news/20141224k0000m010057000c.html

 

 維新の党の橋下徹共同代表(大阪市長)は23日、東京都内で開かれた同党の執行役員会で「大阪都構想実現に専心したいのでいったん職を退きたい」と述べて共同代表の辞任を表明し、了承された。松井一郎幹事長(大阪府知事)も辞任した。衆院選での伸び悩みを受け、都構想の実現がかかる来春の統一地方選での大阪府議選、同市議選に集中せざるを得なくなった。

 

 両氏は統一選後に復帰する見通し。橋下氏は最高顧問、松井氏は顧問に就任する。江田憲司共同代表が代表になる。松井氏の後任の幹事長には松野頼久代表代行が就任する。

 

 江田氏は慰留したが、橋下氏らの意志が固いため、辞任が一時的であることを前提に了承した。松井氏は役員会後、記者団に「大阪都構想は維新の一番中心の政策。最も大事な統一選に専念したい」と説明した。

 

 維新は大阪府議会、市議会ともに過半数を割っている。橋下氏らは都構想実現のため、来春の府市議選での過半数獲得を目指す考えだ。

 

 しかし先の衆院選で大阪の小選挙区で維新が勝利したのは5選挙区にとどまった。2012年衆院選での日本維新の会の12からは半減以下。府市議選での過半数獲得は容易ではないとの見方も強い。

 

 維新の看板である都構想が実現の見通しを失えば、橋下氏はもちろん、維新自体も求心力を失って解体に向かいかねない。橋下、松井両氏の辞任は、足元が崩れるなか、生き残りになりふりをかまっていられなくなったためだ。国政で影響力を発揮することで都構想実現につなげようとしたかつての戦略は破綻した。

 

 橋下氏が退くことで、江田氏の党内での影響力が増す可能性もある。政調会長には江田氏に近い柿沢未途氏が就任する。野党再編を巡っても、民主党の労組系議員を激しく攻撃してきた橋下氏に比べれば江田氏のほうが進めやすいとの見方もある。

 

 ただ、江田氏は記者団に対し「今後も橋下、松井両氏の意見を聞きながら党運営を進めることに変わりはない」と強調した。【葛西大博、熊谷豪】

 

 

●「維新、橋下共同代表が辞任 松井幹事長も、大阪都構想に専念」

 

東京新聞 20141223 1822

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014122301001681.html

 

 維新の党の橋下徹共同代表(大阪市長)と松井一郎幹事長(大阪府知事)は23日、東京都内で開かれた党執行役員会で役職を辞任する意向を伝え、了承された。「大阪都」構想の実現に向け、来年4月の統一地方選で行われる大阪府議・市議選への対応に専念する。

 

 橋下氏は最高顧問に、松井氏は顧問に就く。代表は江田憲司共同代表が単独で、幹事長は松野頼久代表代行がそれぞれ務めることも決まった。

 

 橋下氏は執行役員会で「当面の間、党の役職を離れたい」と述べた。国会議員団側は両氏に、統一地方選後に復職するよう強く要請した。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)









 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 2014年12月14日の総選挙の結果、民主党は公示前の62議席から73議席へと議席を増加させました。しかし、代表の海江田万里氏が小選挙区で落選し、比例復活もできなかったために、党代表を辞任すると発表したことを受け、2015年1月18日に代表選挙を行うと発表されました。海江田氏が落選していなかったらどうだったか分かりませんが、勝敗ラインを100議席としていましたので、それに届かなかった場合には責任論が出て、民主党の伝統芸能であるお家騒動が起きたことでしょう。

 

 下に貼り付けた新聞記事によると、細野豪志元幹事長が代表選挙への立候補を正式に表明し、岡田克也元代表を推す声も多いということです。前原誠司元代表も出馬に意欲を持っているという報道もあります。岡田氏と前原氏、共に代表を経験しており、政権を担った時に共に外相を務めましたが、やや賞味期限切れという印象が残ります。

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細野豪志 

 

 今回の党代表選挙では、民主党の再建が先だとする「再建」と野党再編に向けて動いていくべきだとする「再編」の2つの考えがあるということです。岡田氏は「再建」派からの支持が多く、細野氏は「再編」派だと言われています。そして、前原氏も「再編」派なのですが、前原氏は維新の党の橋下徹共同代表(現・大阪市長)と親しく、連携を模索しているという報道がなされています。まとめるとこういうことになります。

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岡田氏(左)と前原氏(真ん中)

・細野豪志(元幹事長):維新との連携・合併まで視野に入れた野党再編派

・前原誠司(元代表):維新(橋下徹氏)との連携を深める野党再編派

・岡田克也(元代表):民主党の勢力回復を優先する民主党再建派(海江田執行部副代表で、国政選挙を担当し、野党共闘を行った)

 

 私は、重要になるのは、①民主党内でもう一度政権を担う気概が出てくるのか、②医師の党がどうなるのかということがポイントになると思います。

 

 民主党は今回の総選挙で議席を増やしましたが、二桁台に留まりました。これは2009年からの2012年まで与党であった時に、菅直人、野田佳彦両氏を総理大臣にして、結局財務省にだまされて消費税増税を行い、「国民の生活が第一」というスローガンをこそこそと隠してしまったことに対する怒りと失望がまだ国民の側にあり、「とてもじゃないが民主党には入れられない」「自民党が巨大与党であり続けるのはまずいから、仕方なく、涙を呑んで、鼻をつまんで、煮え湯を飲む思いで、嫌々民主党に投票する」という人たちが多く、民主党への積極的な支持は戻っていません。

 

 そうした中で、現状をどう考えるかですが、「とりあえず党勢は少し回復したし、野党第一党であることには変わりない。来年の地方選挙で頑張れば、2016年の参議院選挙でそこまで負けないだろう」という弛緩した雰囲気が民主党を覆っているのではないかと思います。「党勢は少し回復したとは言え、このままでは政権を担うところまではとても届かない」という危機感がそこまでないように見えます。しかし、これは大変危険な兆候です。

 

 1955年からの55年体制下、日本社会党がまさにそうでした。「昔はうちも与党になって総理大臣も出たんだよ」「野党第一党として自民党に対峙している」「改憲を阻止できるだけの議席は確保している」ということを正当化の道具にして、怠惰と安寧に阿り、結果は党を滅ぼすことになりました。もちろん、民主党に日本社会党出身の議員たちが多く参加したのは、こうしたぬるま湯ではいけないということで参加したと思いますが、人間は悲しいもので、やすきにつく、怠惰になるという歴史は繰り返されるようです。

 

 菅直人氏に功績があるとすれば、2003年に代表であった時に小沢一郎氏が率いる自由党と合併をする決断をしたことです(その裏には鳩山由紀夫氏の動きがありました)。これによって、異分子を入れることで、化学反応が起きて、民主党の体質は強化されました。それを面白く思わない人間たちが最終的には民主党を駄目にしてしまったのですが、民主党はこの時のような決断をして、党を再び活性化させるべきです。

 

 具体的には、細野氏を代表に据えて、維新の党の江田憲司、松野頼久両氏との交渉を始め、何からの形で融合を図るべきです。細野氏、江田氏、松野氏は政界再編を目指して、2013年に「既得権益を打破する会」を設立しています。ここでその人脈を活かすべきです。

 

 維新の党は、私の考えでは、「大阪ウィング」(橋下徹)、「日本維新の会国会議員団」(松野頼久)、「結いの党」(江田憲司)の3つのグループの寄り合い所帯です。この3つのグループのうち、松野氏と江田氏が率いるグループは国会議員たちばかりです。そうなると、選挙となれば、橋下氏個人の風頼み、しかも関西限定となると、やはり民主党の組織に頼る方が良いと考えるでしょう。結局、橋下氏対松野・江田氏ということになり、解党ということになるでしょう。橋下氏は安倍晋三氏を応援する「ゆ」党(野党でも与党でもない)ですから、自民党に対抗するための軸にはなりませんし、そのための新勢力に入るべきでもありません。大阪維新の会に戻ればよいのだろうと思います。そして、野党結集軸には「立憲主義」を守ることを掲げて戦いを挑むべきだと思います。

 

 私の同僚、中田安彦氏が書いていたことですが、細野氏は人脈が広く、自民党の二階俊博氏や野中広務氏の系列ともつながりが深いのだそうです。こうした人々を通じて、中国の最高指導者層とも関係を保っているということです。

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野中氏(真ん中)と細野氏

 また、細野氏自身はアメリカ留学などの経験はないですが、江田憲司氏は、ハーヴァード大学留学を経験し、留学時の寮のルームメイトはマイケル・フロマン米国通商代表であり、フロマンはオバマ大統領とハーヴァード大学のロースクールで一緒に法学雑誌の編集をしていた友人です。松野氏は、震災後に立ち上げられた、「国難対処のために行動する『民主・自民』中堅若手議員連合」(民自連)に参加し、マイケル・グリーンやリチャード・アーミテージとも会談を持っています。この民自連には、自民党からは菅義偉、河野太郎、岩屋毅、梶山弘志、平将明、民主党からは、樽床伸二(落選中)、松野頼久(維新の党)、長島昭久、笠浩史が参加していました。こうした人脈に関することは、拙著『アメリカ政治の秘密』『ハーヴァード大学の秘密』、そしてこのブログでも繰り返し書いてきました。是非お読みください。

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民事連の会合の様子

細野氏は、アメリカにとっても中国にとっても納得できる存在であると思いますし、ポスト安倍氏という点でも、有力候補になると思います。

 この文章は本日(2014年12月19日)の午後に書いていたのですが、細野氏が正式に党首選への立候補を表明したというニュースが入ってきました。新聞記事によると、細野氏は民主党の政権与党時代を「失敗」と断じ、先日の総選挙の結果も「完全なる敗北」であったと発言したそうです。また、「民主党の自主再建を実現する」と述べて、維新の党の江田氏からの新党設立への呼びかけに応じない考えを示したとのことです。
 
 この新聞記事は自民党の機関紙に等しい産経新聞(総選挙の結果予想を自民党単独で3分の2だと嬉々として報道した「をめでたき」自称・全国紙)の記事ですから、読者による読み解きが必要となります。民主党は今の状況では野党再編の軸にはなれません。議席数が多いだけのことです。ここで重要なのは、細野氏が現在の幹部たちに喧嘩を売りつつ、議員と党員の支持を幅広く集めようとしているところです。岡田氏。前原氏といった最高幹部連中に「あんたらの出る幕じゃない」と切り捨て、比例復活組の某N島議員のように、負け惜しみと強弁を繰り返す人に「俺たちは負けたんだ、お前は選挙に強いはずだったのにな。だからしばらく黙っとけよ」と切り付け、それでも、「民主党を再建します」と発言して、議員と党員たちの支持を得ようとしているのだと思います。

 
 維新の党は41議席を獲得しました。何の組織もなくて、橋下代表の人気や個々の努力で維新は現有議席をほぼ守りました。民主党は一部で安倍政権に対する批判票の受け皿にはなりましたが、その役割を共産党に奪われ、あれだけの組織がありながら勝ち切れませんでした。このような脆弱な野党第一党では、野党再編の軸にすらなれないというのが細野氏と周辺の考えなのでしょう。私は、いずれ野党再編はあると思いますが、それは2016年の参議院議員選挙のあたりではないかと思います。

 私の考えでは、民主党を残すが、55年体制時の社会党のようになって、自民党の一人勝ち、万年与党化を許すか、野党再編から野党再建に向けて動くか、今が重要なターニングポイントです。ここで、安倍自民党と「立憲主義」で対抗すべきだと思います。歴史を振り返ってみれば、大正時代に、「藩閥打破、憲政擁護」を掲げての大正デモクラシーがありました。立憲政友会(尾崎行雄)と立憲国民党(犬養毅)が桂太郎(長州出身)を倒すことに成功しました。ここで、民主党を残すかどうか、ということよりも、民主党を利用して、立憲主義を守り、「平成の時代の大正デモクラシー」を起こすべきだと私は考えます。そのためには国会論戦と選挙を通じて、自民党と会え晋三首相を追い詰めるしかありません。

 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141219-00000583-san-pol

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「細野氏、出馬を正式表明 民主党政権は「失敗」、野党再編応じず」

 

産経新聞 1219()1936分配信

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141219-00000583-san-pol

 

 民主党の細野豪志元幹事長は19日、国会内で記者会見を開き、党代表選(来年1月18日投開票)への出馬を正式に表明した。「民主党としての旗を掲げ直し、新民主党を再生していきたい」と決意を述べた。

 

 細野氏は会見で、安倍晋三政権で「立憲主義が危機的な状況に立たされている」と批判。「国民が選択できる政権の枠組みが風前のともしびだ。民主党の再生なくして政権交代の枠組みはない」と述べ、政権交代可能な政党にするための出馬だと強調した。

 

 細野氏は民主党政権を「失敗」と断じた上で、「再起を期した今回の衆院選も完全なる敗北だった」と語り、党の抜本的な改革の必要性に言及。野党再編については「自主再建を実現していきたい」と訴え、野党再編による新党を目指す維新の党の江田憲司共同代表らの呼びかけには応じない考えを示した。


●「民主党:代表選 細野・岡田両氏を軸 維新との関係が焦点」

 

毎日新聞 20141217日 2125分(最終更新 1217日 2300分)

http://mainichi.jp/select/news/20141218k0000m010106000c.html

 

 民主党が来月18日の代表選実施を決めたことを受け、各グループが相次いで会合を開くなど代表選に向けた動きが本格化した。17日に出馬を表明した細野豪志元幹事長は知名度があり、発信力強化への期待が高い。代表経験者で政策にも強い岡田克也代表代行を推す声も強く、両氏を軸に党内の多数派工作が活発化しそうだ。

 

 代表選は、党立て直しに向け、維新の党との関係を中心に野党再編への対応が焦点となる。新代表の任期は2017年9月末までのため、来春の統一地方選だけでなく、16年参院選も含めた「党の顔」にふさわしいかもテーマだ。ベテランか中堅・若手かの世代問題も注目を集める。

 

 細野氏は17日、野党再編について「まず民主党の旗を鮮明にした上で、その旗の下で(同調する)野党のメンバーの結集を目指すべきだ」と述べ、野党再編に意欲を示した。海江田万里代表が野党再編に慎重姿勢を崩さなかったことに、党内の一部には根強い不満がある。細野氏は現執行部への批判票も狙う。

 

 一方、現執行部に属する岡田氏は17日、代表選に名前が挙がっていることについて「光栄なことだ」と記者団に述べるにとどめた。細野氏と比べ、野党再編に慎重とされる。連合出身議員が多く、維新との再編に警戒感を抱く参院側を中心に支持を集めるとみられる。ただ、岡田氏は衆院選では維新とも選挙区調整を積極的に進めた。細野氏との違いはそれほど大きくないという見方もある。

 

 前原誠司元代表のグループは17日、東京都内で会合を開き、対応を協議した。前原氏は会合後、「まったく白紙だ」と述べた。ただ、出馬を促す声が複数あったと紹介し「どうすれば党が再生できるか仲間と相談し決めたい」とも語った。その後、前原氏は細野氏や長島昭久元副防衛相、松本剛明元外相と会談した。

 

 若手に推す声がある玉木雄一郎政調副会長は国会内で当選3回以下の若手議員の会合に出席した。玉木氏は記者団に「若手も党再生に中核的な役割を果たさなければならない」と述べた。馬淵澄夫選対委員長は記者団に「準備と覚悟はできているが、現在は白紙だ」と語った。

 

 このほか、大畠章宏前幹事長のグループや旧社会党系議員らで作るグループも相次いで会合を開いた。【高橋恵子、村尾哲】

 

 

●「細野豪志氏、民主党代表選への立候補を表明 野党再編に言及」

 

朝日新聞デジタル              |  執筆者:       奈良部健、安倍龍太郎

投稿日: 20141218 0912 JST 更新: 20141218 0912 JST

http://www.huffingtonpost.jp/2014/12/17/goshi-hosono-runs-for-dpj-leader_n_6344496.html

 

民主党は17日の両院議員総会で、代表選の日程を来年1月7日告示、18日投開票と決めた。代表選に向けた動きが本格化し、細野豪志元幹事長(43)が立候補を表明した。党内には岡田克也代表代行(61)を本命視する見方が強く、前原誠司元代表(52)も意欲を示す。党内の各グループは多数派工作に着手した。

 

細野氏は17日、記者団に「安倍政権に対抗しうる勢力がいまの国会にない。民主党の旗を鮮明にしたい」と立候補を表明した。19日に記者会見を開いて具体的な政策を表明する。それに先だって自らが率いる派閥「自誓会」の会合を国会内で開き、笠浩史元文部科学副大臣、階猛元総務政務官ら約10人が参加した。

 

今回の代表選は党再生を民主中心の「自主再建」で進めるのか、新党を含めた他の野党勢力との「再編」を目指すかが争点になる。再編派の細野氏は「結集できるメンバーが野党の中にいれば、結集を目指す」とも語った。

 

再編派からは、維新の党の橋下徹代表と近い前原氏もグループの所属議員約10人を集めた。夜には、自身に近い議員と協議。周辺は「前原氏は立候補の意思があるが、グループ内にも異論がある」と述べ、立候補できるかどうかは不透明だ。

 

一方、自主再建派の筆頭格と目される岡田氏はこの日、記者団から候補として名前があがっていることを問われ「光栄なことだ」と述べるにとどめた。重鎮議員は「自主再建派はみんな岡田氏だろう。数が多い」と語り、再建派の議員たちが推すとみている。

 

大畠章宏前幹事長のグループ9人は国会内で会合を開き、自主再建を目指す代表を推す考えで一致した。ただ、「(代表経験者ら)昔の顔ばかりではなく、いろんな人が出た方がいい」(篠原孝衆院議員)との意見も出た。岡田氏が衆院選で維新の党と候補者の一本化を進めたことから、閣僚経験者からは「失敗に終わり、その戦犯だ」との声もある。

 

一方、党中央代表選挙管理委員会は、代表選立候補には国会議員20人以上の推薦が必要だと決めた。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)









 

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