古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:柿沢未途

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-10-28


アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 現在、私の関わっている副島隆彦を囲む会の講演会DVDの作成と発想の準備に追われて忙しい状況です。ご注文いただいている皆様にはお待たせしてしまい、まことに申し訳ございません。ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」の「重たい気持ちで書く掲示板」の2015年8月15日に囲む会の須藤よしなお代表が書いている通りの状況があれからまだ続いている状況です。それでも8月31日中には完成し、発送が開始できそうです。深く深くお詫び申し上げます。

 

 さて、山形市長選挙への対応に端を発し、維新の党が分裂しました。非自民系の立候補予定者を柿沢未途幹事長が応援したことに対して、松井一郎・大阪府知事、維新の党最高顧問が批判(共産党みたいなことを言っているなどと批判)、幹事長を辞任するように求めました。これに対して、柿沢氏は辞任を否定し、松野頼久維新の党代表は辞任の必要なしと主張したことを受けて、松井氏と橋下徹・大阪市長は維新の党を離党しました。そして、大阪維新の会を国政政党にするということになり、維新の党に所属している大阪系の国会議員たちも大阪維新の会に移るということで、維新の党は分裂ということになりました。

 

 今回の分裂劇は松井一郎大阪府知事が仕掛けたものであり、橋下徹氏は脇役なのですが、維新の党分裂後、橋下氏が中心となって大阪維新の会を国政政党化し、それを松井氏らに引き継ぐということになっています。橋下氏は最初のうち、柿沢氏の処分を求めず、党も割らないという姿勢を取っていました。松井氏に引きずられているように見えます。

 

 その松井氏ですが、8月26日に東京で、安倍晋三内閣の菅義偉官房長官と会談しています。私はここで維新の党の分裂が正式に決定したと思います。それからの動きは素早く、橋下氏も巻き込んだものになっています。

 

 今回の維新の党分裂は、松井氏がチンピラのように難癖をつけて、分裂まで至りました。最初から分裂ありきで、そのための理由づけとして柿沢氏が利用されたのでしょう。また、これまでの地方選では自民党は敗北を続けています。山形市長選でも自民系が不利な状況でしたが、非自民系の立候補予定者に対して「国政政党を分裂させた責任」をかぶせて勢いを鈍らせようという考えがあるものと思います。

 

 維新の党の分裂によって、大阪維新の会は国政政党化し、5月に住民投票で否決された大阪都構想を再び公約とするということになりました。この都構想はよほど「おいしい」話で、諦めてしまうのに惜しい物なのでしょう。

 

 ここからは私の考えですが、26日の菅・松井会談では取引があったものと思われます。自民党が大阪都構想を容認し、反対している自民党府連に対してもそれを強力に圧力をかけることになるでしょう。「共産党なんぞと一緒にやりやがって」と執行部は苦々しく見ていたでしょうから、そうした点から責められることになるでしょう。松井氏が柿沢氏に対して「共産党が応援している候補なんぞ応援しやがって」と同じことです。

 

 その代り、大阪維新の会は明確にはしなくても改憲に賛成する、そして、2016年の参議院選挙では公式な選挙協力はなくても自民党に協力するということになるのでしょう。考えてみれば、松井氏や橋下氏の主張は安倍首相とほぼ同じなのですから、わざわざ別の政党である必要はないのですが、それが別の政党であるのは、野党攪乱要員としての役割を期待されてのことでしょう。つまり、野党再建・野党再編の阻害要員としての役割を期待されている訳です。

 

 来年の参議院選挙では大阪維新の会が攪乱要員として自民党を助け、野党をかき回すことでしょう。この時、有権者として本質を見誤らず、投票行動をすることで、最悪の事態である会見を防ぐことが出来ると私は考えています。

 

(新聞記事転載貼りつけはじめ)

 

●「維新分裂 民主、維新の両代表、31日午後会談へ 合流か否か…」

 

産経新聞 831()1121分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150831-00000513-san-pol

 

 民主党の岡田克也代表と維新の党の松野頼久代表は31日午後、野党再編や両党の合流構想をめぐり国会内で会談する。合流構想には、来年夏の参院選に向けて巨大与党に対抗できる勢力をつくる狙いがある。両党には消極論も存在しており、成否は見通せない。

 

 民主党の枝野幸男幹事長は31日午前、両代表の会談について国会内で記者団に「松野氏の話を聞いてみないといけない」と述べるにとどめた。

 

 松野氏は30日、東京都内で記者団に「岡田氏と胸襟を開いて話したい。(自民党の)1強多弱を変えるため強い野党をつくらねばならない」と説明した。

 

 

●「<橋下新党>11月までに結成 維新から20人弱合流」

 

毎日新聞 830()90分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150830-00000005-mai-pol

 

<橋下新党>11月までに結成 維新から20人弱合流

 

橋下徹・大阪維新の会代表=大阪府枚方市で2015年8月29日、三村政司撮影

 

 維新の党を離党した橋下徹大阪市長は29日、大阪府枚方市で街頭演説し、「1カ月後か2カ月後かわからないが、大阪維新の会という国政政党を誕生させる」と述べ、大阪府知事・市長選のダブル選(11月22日投開票)の前にも、新党を結成する方針を表明した。維新の党所属国会議員51人のうち大阪系議員10人強を含む20人弱が合流する方針で、維新は分裂する見通しになった。

 

 橋下氏は「大阪維新の会のもとに国会議員を従える」と述べ、維新の党の議員を新党に合流させる考えを示した。そのうえで「大阪維新の会の看板で、北海道から九州にまで国会議員を誕生させる」と述べ、全国で候補擁立を目指すとした。

 

 橋下氏は27日に党所属国会議員へのメールで「今、党が割れるようなことはしない」と表明したが、数日のうちに党分裂を前提とした新党結成を目指す方針に転換した。

 

 これに関連し、大阪維新の会の松井一郎幹事長(大阪府知事)は29日、府内で記者団に対し、来夏の参院選で候補擁立を目指す考えを明らかにした。橋下氏は29日も「松井氏や大阪維新の会のメンバーにその政党(新党)を引き渡す」と述べ、政界引退は変えないとしているが、松井氏は橋下氏について「国政進出を含め、政界復帰は十分ある」と述べ、強い期待感を示した。

 

 橋下、松井両氏と、馬場伸幸国対委員長ら大阪系議員約10人は大阪府内のホテルで会合を開き、国会閉会(9月27日)後に新党に参加することを確認した。新党には、非大阪系議員数人も参加する意向だ。民主出身の議員の多くは新党に参加しないと見られるが、旧結いの党出身や中間派の議員の動向が焦点となる。民主や無所属の保守系野党議員が今後、新党参加を検討する可能性もある。

 

 一方、維新の党関係者によると、橋下氏は新党へ受け入れる国会議員について、松野頼久代表らを念頭に「衆院選で比例復活した民主党出身議員は認めない」との条件を周辺に示した。対立してきた民主系を排除し、政権寄りの党運営をはかる目的とみられる。

 

 昨年の衆院選で選挙区で敗れ、比例復活した民主党出身議員は松野氏や今井雅人政調会長ら10人。新党では大阪維新の会結成当時の理念を同じくする議員を集め、「純化」を目指す狙いとみられる。【松井聡、福岡静哉】

 

 

●「菅氏と松井知事が会談」

 

産経新聞 2015年8月26日

 

 菅義偉官房長官は25日夜、維新の党顧問の松井一郎大阪府知事と東京都内で会食した。参院で審議中の安全保障関連法案や11月22日投開票の大阪市長、府知事のダブル選などをめぐり意見交換したとみられる。

 

(新聞記事転載貼りつけ終わり)






野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
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2014-05-23





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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-07-29


アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




 

 古村治彦です。

 

 維新の党は分裂状況にあるように見えます。下に貼り付けた朝日新聞と産経新聞の記事は同じことを報道していますが、全く別の向きを向いています。これが示しているのは、維新の党がこの2つの貌を見せて、状況を理解しづらくし、混乱させているということです。

 

 私は維新の党が大阪ウイング、東京ウイング小沢系、東京ウイング非小沢系に分裂しているとこれまで書いてきました。そして、先日の文章では、自民党、特に党中央と官邸の別動隊である大阪ウイングが力を持ちつつあると書きました。

 

 橋下氏は住民投票に敗れ、政治の世界から足を洗うと言いながら、安倍首相と3時間も話をした後になって、露骨に安保法制や憲法改正についてSNSのツイッターを利用して発言するようになりました。まさに安倍首相の別動隊、子飼いの手兵といったところです。

 

 維新の党の幹事長である柿沢未途代議士は、アニメ化もされ、今でも根強いファンを持つ田中芳樹著『銀河英雄伝説(略称:銀英伝)』の大ファンであるようで、SNSのツイッター上で、銀英伝と自分たちの状況を絡めた書き込みを行っています。しかし、それらはどれも我田引水の内容で、銀英伝のファンを怒らせるものです(私を含めて)。

 


 柿沢氏が高揚感と陶酔感から自分を物語の主人公に見立てるのはご自由です。しかし、私が現在の威信の党の動きを見ていると、物語に出てくる、フェザーンという自治領(軍隊は持たないがほぼ国家のような動きをしている)の末路を思い出します。銀英伝は銀河系に帝政を敷く銀河帝国と民主政治体制を採用する自由惑星同盟があり、その間での戦いを描いています。国力の差は銀河帝国の方がやや上です(それを間にあるフェザーンが変えてしまうことで物語が展開します)。フェザーンは帝国と同盟の間にある地域で、その地理的な有利性を利用して、帝国に属しながら自治領となり、商業的に繁栄しています。

 

 まだ銀英伝をお読みになっていない方、アニメをご覧になっていない方は是非銀英伝に触れてみていただきたいと思いますが、フェザーンは帝国に同盟を滅ぼさせようとするのですが、結局帝国によって自分たちの領土を侵され、自治権も喪失してしまいました。

 

 維新の党が「現実的」だの「是々非々」だのと言って、自民党に迎合し続けるならば、結局は自民党に吸い尽くされて、お金のかからない別働隊として利用して、ポイ捨てされるだけのことでしょう。その時、自民党に救ってもらえるとすれば、橋下徹氏と松井一郎氏で、みんなの党や維新の党だけで選挙に通ってきた国会議員たちは弊履のように捨てられておしまいでしょう。

 

 銀河英雄伝説には、自由惑星同盟の急進的な右翼組織「憂国騎士団」というテロ組織が出てきます。この組織は愛国的ではないと彼らが判断する言動や時の政府に反対する人々に対して集団で暴力をふるうグループです。この夕刻騎士団と自由惑星同盟の行政府の長(国家最高評議会議長)ヨブ・トリューニヒトが裏でつながっている様子が描かれているのですが、安倍首相と橋下氏の関係を考えると、維新の党はこの憂国騎士団にも擬せられるような存在になっているように私には思えます。この憂国騎士団も最後には利用されるだけ利用されて壊滅させられました。

 

 

 維新の党が現状のままであれば結局不名誉な結末が待っていると私は考えています。

 

(新聞記事転載貼りつけはじめ)

 

●「橋下氏、野党再編に冷や水 維新、分裂の可能性も」

 

朝日新聞デジタル 616()755分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150616-00000016-asahi-pol

 

 維新の党の橋下徹最高顧問(大阪市長)が安倍晋三首相との会談直後の15日、民主党を痛烈に批判した。維新の松野頼久代表らは民主を相手にする「野党再編」路線だが、橋下氏の発言で急ブレーキがかかる可能性がある。首相も世論の批判が強い安全保障関連法案などを与党だけで採決し、批判を浴びるのを避けたいのが本音。橋下氏にエールを送って維新との連携を探っている。

 

■「宿敵」とは組めない

 

 橋下氏は住民投票後の5月末の記者会見で「次の人たちにバトンタッチして、やってもらっていかないと。個人商店じゃないわけですからね」と述べ、政界から身を引く考えを示していた。しかし、首相との会談から一夜明け、ツイッターで民主批判を発信した。

 

 「維新の党は民主党とは一線を画すべき」「民主党という政党は日本の国にとってよくない」「維新は民主党とは決定的に違う」――。

 

 大阪選出で橋下氏に近い「大阪組」の一人、馬場伸幸国対委員長も、与党の採決に協力する形になった労働者派遣法改正案などを引き合いに、「この進め方は維新らしさを出している。安保法制もそういう対応をすることに大きな変化はない」と述べ、安保関連法案でも安倍政権に協力する可能性に踏み込んだ。

 

 橋下氏の発信について、党内では、代表の松野氏が民主を念頭に野党再編を探る中、「民主党と組むのはダメだという牽制(けんせい)球」(党幹部)との見方がもっぱらだ。橋下氏は民主を支持する公務員労組と数々の改革を巡って対決。「大阪都構想」では民主大阪府連や連合大阪が反対に回り、結果的に反対多数となった。その「宿敵」と組むわけにはいかない。

 

 維新の大阪組にしても、現職や公認候補で選挙区が埋まっている自民との選挙協力は難しいが、かと言って、これまでさんざん批判してきた連合に頭を下げて選挙をするわけにもいかない。当面は、橋下氏の旗のもとで選挙に臨むしかないという事情もある。

 

■松野氏「民主と合流とは言ってない」と説明

 

 松野氏ら野党再編派は、こうした橋下氏の動きを警戒する。

 

 「安倍総理に大阪都構想のお礼をするのは構わないが、国会運営や法案でお返しすることは考えないで下さいね」。松野氏は橋下氏と首相の会談直前、橋下氏にこう念押しした。

 

 松野氏は15日、記者団に「集団的自衛権(の行使容認)の閣議決定をしたところに、憲法学者が唱えているように無理があったのではないか、とおっしゃっていた」と橋下氏の発言を紹介し、安保関連法案で政権と接近しようという党内の動きを牽制。江田憲司前代表も15日、「安保法制は派遣法のやり方を踏襲することはない」と明言した。

 

 ただ、橋下氏はツイッターで「内閣における憲法の有権解釈者は内閣総理大臣。憲法解釈が時代とともに変遷するのは当然のこと」とも述べている。また、橋下氏と首相の会談をどちらが持ちかけたかでも、江田氏が「安倍官邸の強い要請があった。橋下さんが申し入れた会談ではない」と言えば、菅義偉官房長官は15日の記者会見で「橋下氏があいさつに来たいということだった」。党内の疑心暗鬼は膨らみ続けている。

 

 党内の大阪選出議員を中心に影響を持つ橋下氏が浴びせた野党再編への冷や水。松野氏らが念頭に置く民主との野党再編路線に急ブレーキがかかり、安保関連法案をめぐる与党との修正協議論が台頭すれば、党の分裂につながる可能性もある。

 

 松野氏は橋下氏の民主批判を受け、「僕は、民主党と(維新という)二つの政党が合流すると言ったことは一度もない」と記者団に説明せざるをえなかった。

 

 橋下氏の民主批判に端を発した維新の動揺に、民主の枝野幸男幹事長は15日「コメントする立場にない」と述べた。その心を民主幹部はこう解説する。「そのうち『大阪組』と松野氏らは離別してすっきりする。松野氏らが最後まで橋下さんに乗っかると思ったら大間違いだ」(藤原慎一、河口健太郎)

 

●「橋下氏、民主に三行半 ツイッターで「日本の国にとってよくない政党」」

 

産経新聞 615()2228分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150615-00000565-san-pol

 

 「民主党という政党は日本の国にとってよくない」-。安倍晋三首相との会談を受け、維新の党最高顧問の橋下徹大阪市長は15日、自身のツイッターで、民主党を激しく糾弾するメッセージを連発した。松井一郎顧問(大阪府知事)も橋下氏に呼応して民主党批判を展開。維新の「民主離れ」に拍車がかかっている。

 

 「(民主党は)政党の方向性が全く見えない。維新の党は一線を画すべき」

 

 橋下氏はツイッターにこうつぶやき、同じ野党の民主党に三行半(みくだりはん)を突きつけた。松井氏も都内で記者団に「(民主と)組んだところで単なる野合、談合、数合わせだ」と述べ、橋下氏と足並みをそろえた。

 

 5月の住民投票で「大阪都構想」が否決されて以降、維新内では橋下氏に近い大阪選出議員を中心に民主叩(たた)きが強まっている。首相や菅氏が都構想に一定の理解を示したのに対し、民主党が反対姿勢を崩さなかったことへの遺恨も残る。

 

 一方で維新は労働者派遣法改正案の早期採決に応じるなど、与党との接近も図る。今回の会談が実現したのも、都構想のねぎらいを込めた菅(すが)義偉(よしひで)官房長官の誘いだった。橋下氏の上京を機に大阪系は改めて「与党寄り」も辞さない「是々非々」路線を確認した形だ。

 

 ただ、是々非々ゆえの路線対立が深まっていることも事実だ。松井氏は15日に国会内で大阪系議員と昼食をとった際、11日の代議士会で派遣法改正案の採決に応じる党方針を批判した民主党出身の初鹿明博、太田和美両氏を名指しし、「なんやねん」と嫌悪感を示した。一方、江田憲司前代表は15日の講演で「維新は民主党であれ、自民党であれ、連携していかない」と独自路線を強調。安全保障関連法案に関する修正協議を否定し、法案に「反対する」と明言した。(内藤慎二)

 

(新聞記事転載貼りつけ終わり)


(終わり)








野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23






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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




ダニエル・シュルマン
講談社
2015-07-29


 

 古村治彦です。

 

 今週の国会は派遣法改正を巡る大荒れでした。派遣法改正を目指す自公とそれに反対する民主、共産、社民、生活の対立が激化し、昨日は掴み合いが起きるほどになりました。委員会の審議は打ち切られ、本会議での採決を待つばかりとなりました。

 

こう言う時、野党は審議拒否や国会内でピケを張るなどの形で抵抗します。審議拒否する、採決への出席を拒否する野党に配慮せずに多数決で法案を成立させればよいではないかと考える方も多いと思います。しかし、日本の国会は「野党優位」というか、「野党尊重」がなされています。日本の国会が会期主義を採っていること(会期中に採決できなければ廃案となります)、審議時間が短いこと、更には戦前の帝国議会の与野党一致を目指した伝統などが理由として挙げられ、アメリカの政治学者マイク・モチヅキ(ジョージワシントン大学教授)は、これを「ヴィスコシティ(Viscosity、粘着性)」と呼んでいます。

 

 こうした激しい対立状況になった時、与野党が話し合いを持つ場があります。それは各党の国会対策委員会(国対)による話し合い、そして、国会内の議院運営委員会(議運)です。国対は党の役職、議運は国会の委員会です。55年体制は、「国対政治」と呼ばれたように、激しい対立が起きた際、妥協や取引を行う話し合いが国対で行われました。この国対で活躍したのが、自民党では金丸信であり、社会党では田辺誠でした。

 

 派遣法改正に関して、自民党と取引を行ったのが維新の党です。松野頼久代表、柿沢未途幹事長の下、民主、生活両党と共同提出した同一労働同一賃金法案を独自に自公と修正し、審議と採決に応じる姿勢に転換しました。法案の一部修正を勝ち取ったことで目的を達したということで、今度は派遣法改正に反対する民主党を攻撃するようになりました。

 

 ここまでの動きを見ていると、思い出すのは1980年代の国会です。自民党と野党が重要法案で対立する場合、社会党が妥協できるものであれば、対立は激しくなりませんが、社会党がどうしても妥協できない、取引できない場合、「中道政党」と呼ばれた公明党や民社党が出てきます。自民党と公民が妥協して、野党が審議に応じる、採決に応じるという形を整えることになりました。そして、公民には相応の「御礼」が出されました。

 

 現在の状況を見てみると、維新の党が果たしている役割は1980年代の民社党と同じものです。民社党は1960年に社会党右派と呼ばれる人々が社会党を離脱して結成した政党です。その源流は、1930年代に広義国防論に賛成し、ファッショ化した社会大衆党です。同じくファシストの岸信介が巣鴨プリズンから出獄し、政治活動を再開する際に、まず社会党に入党申請して断られたという逸話があります(同時期に後に岸派を継承する福田赳夫は大蔵官僚でしたが、その才幹を見込まれて社会党から入党要請を受けましたが、経済政策が根本的に違うと拒絶しました)。私は、この話を不思議に思っていましたが、戦前のファシスト同士ということであれば、納得がいく話です。民社党は核武装論まで主張する、自民党よりも右の「中道」政党でした。民社党はその後姿を消したのですが、その悪影響は現在でも残されています。民主党内の民社協会について調べていただければその害悪は分かっていただけると思います。

 

 維新の党は1980年代の民社党と同じだという歴史上のアナロジーを私は主張したいと思います。さて、維新の党の内部について見てみると、私は、大阪ウイングと東京ウイングに分かれ、東京ウイングの中には小沢一郎の影響を受けた政治家たちの一団がある(旧民主・旧生活からの加入戦術)と考えます。それぞれが分裂しているように見えます。この3つのグループ、大阪ウイング、東京ウイング小沢系、東京ウイング非小沢系のうち、大阪ウイングは自民党、特に菅義偉官房長官との関係が取り沙汰されています。維新の党が果たして野党なのか、与党(寄り)なのかはっきりしませんから(野党[やとう]でも与党[よとう]でもなく、「ゆ」党だと揶揄されています)、維新の党が自民党の別動隊である、という主張は説得力を持ちます。私はどうも、東京ウイング非小沢系が、経験不足と思慮の足りなさから自民党系に取り込まれつつあるのではないかと考えています。柿沢未途幹事長の一連の発言を見ていると、老練な政治家たちに利用されて使い捨てされる、元気の良い若者という感じがします。松野代表とすれば、柿沢氏やその他の若手が目立つことで、そちらに批判が集中したところで、党運営と国会運営が拙かったとして柿沢氏を処分すればよいだけのことです。人身御供、スケープゴートといったところでしょう。

 

 江田憲司、松野頼久、細野豪志といった人々が一緒になって野党再編(野党再建)が進められるのではないかという雰囲気がありました。そのために民主党と維新の党の協力が進められるのではないかと言われていました。しかし、今回のことで、野党再編どころか、野党協力まで難しい状況になりました。野党側が多党分立している状況では巨大な与党である自公に対抗することはできません。逆に言えば、分立状況が続くことを与党である自公は望んでいる訳です。

 

 こうした野党壊滅状況の中で、戦前を思わせるような締め付けと戦争に向かう方向へ日本は進んでいます。そうした中で、「粘着性」を発揮できるブレーキとなるべき野党が再建されねばなりません。しかし、その野党再建までの道のりは大変厳しいです。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「維新・松野代表:「同一労働同一賃金法案」修正で陳謝」

 

毎日新聞 20150611日 1942分(最終更新 0612日 0632分)

http://mainichi.jp/select/news/20150612k0000m010047000c.html

 

 維新の党の松野頼久代表は11日の記者会見で、民主、生活両党と共同提出した「同一労働同一賃金法案」を独自に自民、公明両党と修正した経緯について、「申し訳なかった。民主、生活に丁寧に説明し同意を得た方が良かった」と述べ、手順に配慮が欠けていたとの考えを示した。柿沢未途幹事長が民主などに謝罪する。

 

 維新は労働者派遣法改正案の採決に応じる(賛否は反対)見返りに、同一賃金法案の修正案を新たに与党と共同提出する。11日の民主、共産、生活、社民の野党4党の国対委員長会談では、生活が「維新から与党との修正協議も含めまったく聞かされておらず、不誠実だ」と批判したほか、民主や共産からも維新の対応への疑問が出た。

 

 11日の維新の代議士会では若手議員から執行部の対応に批判が出た。初鹿明博氏は「国民からは維新が(反対している)派遣法成立をアシストしているようにしか見えない」と指摘。太田和美氏も「有権者に何をやっているんだ、ひきょうだと言われた」と不満を述べた。【福岡静哉】

 

 

●「<派遣法改正案>目立つ「自公維」路線 「民共」と対立激化」

毎日新聞 612()2153分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150612-00000133-mai-pol

 

 衆院厚生労働委員会は12日、労働者派遣法改正案を巡って自民、公明、維新3党と民主、共産両党が激しく対立した。民主、共産は同委だけでなく、平和安全法制特別委員会などほかの4委員会も欠席。一方、維新は各委員会で審議に応じ、24日の会期末に向けて荒れる国会は、与野党を超えた「自・公・維」路線が目立ち始めている。

 

 維新の足立康史氏は厚労委で「年金問題から逃げたのは民主だ。日程闘争そのもので、反対のための反対だ」と民主の欠席を厳しく批判した。これを受けて安倍晋三首相は「しっかり国民の前で質問を受け、真摯(しんし)に答えたい」と答弁。派遣法改正案の採決に応じる方針を決めた維新と息を合わせた。

 

 渡辺博道委員長(自民)はこの日、同法案の審議終結を宣言した。しかし、与党は安全保障関連法案の審議への影響を避けるため野党との妥協を模索。17、19両日に補充質疑を行い、19日に衆院を通過させる案が浮上している。与野党は15日に国対委員長会談を開き、正常化を図る。

 

 通常は審議拒否戦術をとらない共産党が委員会を欠席するのは異例。穀田恵二国対委員長は「野党第1党の民主が欠席したまま審議すべきではない」と民主に同調する姿勢を示した。民主党の岡田克也代表は、同一労働同一賃金法案の修正協議を通じて与党に接近した維新に対し、「何の断りもなく与党と修正協議するのは私の常識の範囲外だ」と不快感をあらわにした。

 

 一方、維新の党内では「民主の補完勢力とみられるぐらいなら、与党の補完勢力の方がまし」(大阪系議員)という声が広がっている。馬場伸幸国対委員長は「あくまで委員会、本会議に出てきちんと議論するのが国会議員の正しい姿」と民主、共産両党をけん制した。【阿部亮介、佐藤慶】

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)








 
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