古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:核兵器

 古村治彦です。 

 今回、ドナルド・トランプ米大統領の外交交渉は全くうまくいっていない、成功していないということを取り上げている記事をご紹介したい。

 対中国、対イラン、対北朝鮮など、アメリカは国際的な諸問題に直面している。アメリカは、中国とは貿易戦争、イランと北朝鮮に対しては核開発、核兵器廃棄といった問題を抱えている。どれもこれもうまくいっていない。トランプ大統領が脅しをかけてみたり、すかしてみたり、良いことを言ってみたりと様々なことをやっているが、うまくいっていない。暗礁に乗り上げているという状況だ。

 トランプ大統領にとっては日本だけが唯一彼のいうことをほぼ受け入れてくれる国だ。防衛関連品を買えと言えば「はい、喜んで」と言い、トウモロコシがだぶついているので何とかしろと言えば、「是非買わせていただきます」となる。日本との場合は交渉ではなく、厳命、それですらなくて、指示、というくらいのことだ。

 ところが世界各国はそうはいかない。そして、それは、「トランプ大統領にはそもそも交渉術などないからだ」ということになる。トランプ大統領は不動産業で財を成し、自分の苗字「トランプ」をつけた高層ビルやホテル、リゾート施設をアメリカ国内外各地に持っている。自身が一代で今のトランプ・コーポレイションをここまでのグループにし、資産を築き上げた大富豪だ。それはトランプ大統領の実力、特に交渉力のおかげだと考えられている。しかし、長年トランプ大統領と一緒に仕事をしていた人物はそうではないと主張している。

 トランプ大統領の交渉術は「こん棒で叩きまくる」ようなもので、一対一で脅しをかけまくるものだということだ。交渉事というのは相手にも利益が出るように落としどころを探るものだ。「ウィン・ウィン」関係を成立させるものだ。しかし、トランプ大統領の考えは「自分だけが勝つ、得をする」ということで、それはなぜかと問われた時に、「世界には無数の人間がいて、取引するのは1回限りだから」と答えたという。また、脅しだけでなく、お世辞を駆使することもあるということだ。

 トランプは大統領になってもこのビジネスにいそしんでいた時代の交渉術を使っている。脅しで入り、相手が強硬だとお世辞を駆使する、という1つのパターンになっている。パターンになっていると、相手はどう対処すればよいか分かる。だから、放っておかれるということになり、交渉が暗礁に乗り上げるということになる。

 トランプ大統領が当選して3年、最初は突拍子もないことをやるということで、戦々恐々としていたが、だんだんパターンが見切られてしまい、放置されてしまうということになっている。ただ、日本だけは真剣に付き合って、言うことを聞いている。

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トランプはどうして交渉を成立させることに失敗するのか(Why Trump Fails at Making Deals

―トランプ大統領は中国、イラン、北朝鮮、インド、最近ではデンマークといった国々との間での交渉に失敗している。彼を長く知っている人々は「現在のアメリカ大統領は実際には交渉能力の低いのだ」と述べているが、数々の失敗はそれを証明している。

マイケル・ハーシュ筆

2019年8月21日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2019/08/21/why-trump-cant-make-deals-international-negotiations/

これは彼のアピールの中核である。2015年に突然大統領選挙に出馬して以来、不動産王はアメリカの有権者たちの支持を勝ち取ろうとしてきた。有権者の多くがトランプ個人を嫌いでも支持せざるを得ないようにしてきた。トランプはこれまでずっと自分は交渉の達人であり、アメリカ国民のために多くの新しい合意を勝ち取ることが出来ると主張してきた。 

しかし、大統領選挙当選3周年が近づく中、トランプ大統領は国際的な交渉においてほとんど成果を挙げていないという証拠が山積みになっている。2018年にNAFTAの再編に合意して以来、中国、イラン、北朝鮮、その他の国々との最高レヴェルの交渉を再スタートさせるための彼の努力は全て暗礁に乗り上げている。今週、トランプ大統領は交渉が下手であることを再び見せつけてしまった。トランプ大統領はアメリカの親密な同盟国デンマーク訪問を中止した。デンマーク首相はトランプ大統領の盟友で、彼と同じく反移民の姿勢を取っている。しかし、トランプがグリーンランドの購入を提案し、デンマーク政府はグリーンランド売却を考慮することを拒絶したために、訪問が取りやめになった。技術的にはデンマークはグリーンランドをアメリカに売却することはできない。それはグリーンランドには自治政府があり、首相が選ばれているからだ。

トランプを長年見てきた多くの人々にとって、トランプが大統領になって外交交渉にことごとく失敗していることは、実業界での華々しいキャリアを実態以上に過剰に売り込んだことの結果でしかないということになる。トランプ・オーガナイゼーションで建築家として働いたアラン・ラピダスは「ドナルドの交渉能力は虚構でしかない」と述べた。ラピダスは十代の頃からトランプと知り合い、トランプが不動産業を家族でやっている頃から一緒に働いた人物だ。

ラピダスは本誌の取材に対して、「ドナルドの交渉術は絶叫と脅迫で構成されている。ドナルドには緻密さもないし、ユーモアのセンスもない。こん棒で殴りつける、殴りつける、殴りつける、これだけだ」と述べた。

ラピダスはトランプと彼の事業が交渉に成功したが、それはハーヴェイ・フリーマンやスーザン・ハイルブロンのような幹部社員の交渉能力や技術のおかげだと述べた。2人はトランプ・オーガナイゼーションのアトランティック・シティでの事業やリース事業のほとんどを管掌した。 ラピダスは「彼らは詳細な分析と資料の読み込みを全て行った。トランプがもしこの仕事をやらねばならなかったとしても、まずやらなかっただろう」と述べた。

トランプの仕事仲間や取引先だった人々は、トランプが交渉の席で銀行をやっつけていたと自慢しているのは話を盛り過ぎていると指摘している。その当時のトランプの会計責任者だったスティーヴン・ボレンバックの交渉術によって、トランプは1990年に9億ドルの負債を抱えて個人破産寸前まで追い込まれたが、うまく逃れることが出来たのだ、と彼らは述べている。

トランプの自伝作家で多くの機会でトランプにインタヴューをしてきたマイケル・ダントニオは、ラピダスの発言に同意している。ダントニオも大統領としての交渉術は彼が実業家であった時のものと何も変わらないと認めている。ダントニオは次のように述べている。「彼のスタイルは敵意むき出しで、交渉相手から可能な全ての妥協を引き出すためにいじめ同様の方法を採用する。そして自分の利益を最大化する。トランプが私に語ったところでは、相手と“ウィン・ウィン”ではなく、“私だけが勝つ”取引をすることにしか興味がないということだった。将来またビジネスをするかもしれないので相手に好意を見せるために、相手に何かしらの利益を与えたことはあったかと私が彼に質問したところ、答えは“ノー”だった。そして、世界にはこれだけたくさんの人間がいるのだから、取引は一度きりだ、と語った」。

会社相手ではなく国家相手の交渉をする際には状況は異なる。世界には一定数の国家が存在するだけだ。アメリカ大統領は諸大国と何度も何度も交渉し合意に達するという行為を繰り返すことになる。それは様々な分野で行われるものだが、あくまで友好的になされる。更に言えば、国家は企業のように競争をして負けたからといって退場することはできない。破産を申請することも簡単に解散することもできない。貿易関係においては、「私だけが勝つ」というゼロサムの結果は存在しない。

結局のところ、国の誇りというものが重要になる。交渉を成功させるには、相手方の顔を立てることも必要だ。世界各国の指導者たちは、ビジネス上の取引でやられてしまった人々のように、降伏することもこそこそ逃げ出すこともできない。トランプ大統領はこのような妥協を望まない姿勢を明確にしている。2018年のアメリカ・カナダ・メキシコの協定に関する話し合いで、大統領は義理の息子ジャレッド・クシュナーからの強い働きかけを受けて、カナダとメキシコにしぶしぶではあるが2、3の譲歩をしたと報じられた。の当時、アメリカ通商代表ロバート・ライトハイザーは「ジャレッドの働きかけがなければ、この協定は成立しなかっただろう」と記者団に語っている。

ダントニオは次のように語っている。「トランプ大統領は外交を行うこと、そして主権国家と交渉することの準備がそもそもできていないのだ。二国間もしくは多国間での利益を生み出すためのギヴ・アンド・テイクのやり方を彼は知らない。彼は自己中心的過ぎるために、自分とは異なる考えを持つ人々を敵と認識する。大統領は自分のいじめが通じない相手がいれば自分が攻撃されたと思い、彼の提案に対して自分の考えを述べるような人物には激怒するのだ」。

従って、トランプ大統領は、こん棒で叩きまくるアプローチでは交渉相手によっては交渉が行き詰まり、交渉開始当初よりも交渉が進んでいる段階での方が、合意形成がより難しくなるというパターンが出来上がっていることに気付いている。トランプ大統領は中国と対峙するための12か国からなる環太平洋パートナーシップ協定から離脱した後で、トランプ大統領は彼の方か一方的に中国との貿易戦争を始めた。しかし、結果は、彼の習近平中国国家主席が企業向け補助金と知的財産権侵害の主要な問題に対して何の対策も取らないということであった。市場からは2年間の停滞は国際経済に脅威を与えるという警告が出ていた。トランプ大統領はオバマ政権下で結ばれたイランとの核開発をめぐる合意を「これまでで最悪の合意」と非難した。そして、イランに対する経済制裁を再開した。その中には、イラン外相モハマド・ジャヴァド・ザリフ個人に対する制裁も含まれていた。イランをめぐる情勢は先行きが見えない。トランプ大統領は北朝鮮の最高指導者金正恩と親しくなろうとし、アフガニスタンにおけるアメリカの状況を改善するためにカシミール地方をめぐるインドとパキスタンとの間を仲介しようと無様な提案を行った。これらもまた何も進んでいない。一つの局面では、トランプ大統領はもうすぐある程度の成功を収めることが出来るだろう。それはタリバンとの交渉だ。トランプ大統領は交渉に関しては特使であるザルメイ・ハリルザルドに任せきりだ。専門家の中には、トランプ大統領が公約しているアメリカ軍のアフガニスタンからの撤退は、タリバンに勝利をもたらすだけだと恐怖感を持っている人たちがいる。

トランプ大統領自身は何の心配もしていないふりを続け、ほとんどの問題に関しては解決を「急いでいない」と繰り返し述べている。それでも今週水曜日に記者団に対して中国に対して「私たちは勝利を収めつつある」と述べ、「私は選ばれた人間なのだ」という見当違いのアピールを行った。しかし、彼は2020年に迫った大統領選挙までの時間を浪費することになるだろう。

トランプ大統領は世界各国との交渉にことごとく失敗しているが、国内でも失敗を続けている。トランプ大統領の主要な公約である社会資本(インフラストラクチャー)、移民、医療制度について実質的な話し合いはこれまでなされていない。トランプ大統領は刑法改革法を成立させたが、これは民主党が訴えていた政策であり、こちらも義理の息子クシュナーの交渉術のおかげである。思い返してみれば、今年の1月、トランプ大統領は公約した国境の壁に関して、民主党に完全に屈服した。大統領自身が始めた政府機関の閉鎖が35日間に及んだ。大統領は最終的には連邦政府職員の給料を支払うための一時的な手段を採ることに合意したが、国境の壁への予算はつかなかった。

トランプの交渉スタイルは予測しやすいもので、ある一つのパターンが存在する。別のトランプ伝記作家グゥエンダ・ブレアはこれを「こん棒で殴りつけることと愛情を大袈裟に表現すること(love-bombing)」と呼んでいる。中国とイランに対しては次のようなパターンになる。中国の習近平国家主席とイランのハッサン・ロウハニ大統領に対しては降伏以外にはないというようなことを言っていた。これは両者にとっては不可能ではないにしても政治的に難しいことになる。トランプ大統領は同時にお世辞を言うことも忘れなかった。今週、トランプ大統領はツイッター上で「習近平は中国国民からの大いなる尊敬を集めている偉大な指導者だ」と書き、ロウハニ大統領に関しては別の観点から、「ロウハニ大統領はとても愛すべき人物だと思う」と書いている。

金正恩委員長との関係ではトランプ大統領は最初のうち脅しを繰り返した。ある時点では、当時のレックス・ティラーソン国務長官を北朝鮮との交渉をしようとして「時間を無駄にしている」と非難した。しかし同時にお世辞を繰り返すことも忘れなかった。そして、首脳会談や私的なメッセージの交換を行った。トランプ大統領は金委員長に「核兵器を放棄すれば北朝鮮はとても豊かな国になる」と請け合った。

しかし、トランプ大統領の広報外交(パブリック・ディプロマシー)も大臣レヴェルの交渉者たちの交渉も素晴らしい成果を上げることはできなかった。しかし、金委員長は別だ。一連の外交を通じて、金委員長はこれまでにない程の国際的な関心と認知を受け、彼自身の政権の正統性も認められた。

ブレアは次のように語っている。「中国やデンマークに対してのトランプ大統領のアプローチは古くからのドナルドのやり方だ。彼は自分ともう1人だけが部屋にいる形にしようとする。だから多国間の条件や会議を彼は嫌うのだ。彼は部屋の中に1人だけ入れて、その人に集中して脅しをかけたいのだ」。

ブレアは、グリーンランドをめぐる買い取り要請もトランプのキャリアでのやり方をそのまま使っているものだと述べている。「今起きていることは、ブランド確立ということなのだ。まず、トランプ・コーポレイションのブランド確立があった。それからカジノ、リアリティTV番組、と続き、今は大統領としてのブランド確立が行われているのだ。大統領としてのブランドを確立するためには、世界最大の島を買い取ること以上により良い方法はないではないか?」

ラピダスのトランプ家との家族ぐるみの付き合いはトランプ大統領の父フレッド・トランプにまで遡る。ラピダスはフレッドとも建築士として一緒に仕事をした。トランプ大統領のアプローチは自分の仕事仲間や取引先にとってはおなじみのもので驚きはないとしている。ラピダスは次のように述べている。「トランプ大統領のやり方は彼がビジネスをやっていた時と全く同じだ。彼がやっていることはその継続に過ぎない。とどまることを知らない嘘が続けられる。当時の私はそれを見ながら、なんだかかわいげを感じていた」。

ラピダスは、「トランプの交渉スタイルは、当時も今も、その場しのぎで何の明確な戦略などないのだ。私は、彼が頻繁に更新するツイッターを見てますますその思いを強めている」と述べている。ラピダスは、1980年代のアトランティック・シティでのカジノの件をめぐる裁判での審理のことをよく覚えている。トランプは出廷し宣誓をしたのち、カジノを建設した理由について嘘の証言をした。ラピダスは、何とか嘘を止めねばならないと感じたと述べている。

ラピダスは次のように語った。「その後で私はトランプに、何をやっているんだ、どうしてあんなことを言ったんだと食って掛かった。彼は“アラン、私はね、自分の言葉が口から出るまで私は何を言っているのか自分でも分からないんだよ”と言った。これがドナルド・トランプという人物なのだ」。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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決定版 属国 日本論

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 古村治彦です。

 

 朝鮮半島の非核化については、すでに何度もご紹介しました。北朝鮮の求めているのは、在韓米軍の徹底、アメリカが提供する核の傘からの韓国の除外ということです。これらと引き換えに核兵器を放棄するということになります。

 

 中国やロシアにしてみれば、朝鮮半島から米軍がいなくなることは、大きな利益という訳ではないにしても、喜ばしいことになります。日本というアメリカの不沈空母は残りますが、中国が台湾を取り込んでしまえば、アメリカのアジアにおける橋頭堡は日本だけということになります。日本にはアメリカの世界戦略の一環でアメリカ軍が置かれているのに、その費用まで支払わされている哀れな国で、どんどん衰退していく国ということで、対米従属のかわいそうな国ということになります。

 

 ジェイムズ・マティス国防長官と国防総省は在韓米軍の撤退ということは言及せず、韓国防衛の責務を強調しています。その姿勢は外交努力を見守る、というものです。外交の結果を受けて、それに合わせて行動するということです。

 

 トランプ大統領は2016年の大統領選挙で韓国と日本の核武装と韓国からの米軍の撤退を主張したこともあります。従って、在韓米軍の削減や撤退というのは可能性がない話ではないということになります。

 

 しかし、在韓米軍の撤退ということを、アメリカ側が米朝首脳会談の準備の大詰めで公表することには利益があるようには思えません。北朝鮮の核兵器の完全放棄ということの「確約」が得られて、「検証」できて、はじめて「それなら考えてやらんこともない」ということになるものです。ですから、観測気球的に在韓米軍の撤退という話が強になって出てきましたが、これが本当の話なのかどうかは分かりません。

 

 ただ、交渉過程での駆け引きとしてこのような話をぶつけてみるということはあり得ます。相手がどう出るかということを見るために、わざとやってみるということはあるでしょう。米朝首脳会談までおそらく残り1カ月の間で相当な駆け引きが行われることでしょう。

 

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アメリカは韓国防衛の「鉄の」責務を確認(US affirms 'ironclad' commitment to defend South Korea

 

ルイス・サンチェス筆

2018年4月28日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/international/385347-us-affirms-ironclad-commitment-to-defend-south-korea

 

ジェイムズ・マティス米国防長官は、朝鮮半島の非核化に向けた交渉が進む中でも、アメリカは韓国を防衛するという「鉄のように固い」責務を果たすことを改めて確認した。

 

国防総省は発表した声明の中で、アメリカと韓国は「緊密に協力しながら、国際連合安全保障理事会決議の順守を継続すること、完全な、検証可能な、逆戻りすることのない非核化実現に向けた外交努力を支援することを確認した」と述べた。

 

この新たな確認は、トランプ大統領が韓国の文在寅大統領と電話で会談を持った日に発表された。

 

トランプ大統領は計画中の米朝首脳会談の日時と場所は設定されつつあると述べた。

 

先週金曜日、文在寅大統領と北朝鮮の指導者金正恩委員長は朝鮮半島の非核化に向けて協力し、朝鮮戦争の公式な終戦を共同宣言の中で約束した。

 

南北共同宣言は北朝鮮の重要な変化を示している。北朝鮮は過去、核兵器の廃棄は絶対に行わないと宣言していた。

 

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Secretary Mattis Hosts an Honor Cordom Welcoming Poland Defense Minister Mariusz Blaszczak to the Pentagon

Press Operations

 

Secretary of Defense James N. Mattis; Poland Defense Minister Mariusz Blaszczak

April 27, 2018

 

https://www.defense.gov/News/Transcripts/Transcript-View/Article/1505983/secretary-mattis-hosts-an-honor-cordom-welcoming-poland-defense-minister-marius/

 

質問:北朝鮮に関して簡単に質問してもよろしいでしょうか?韓国と北朝鮮が本日、板門店でそのことについて語ったようですが、平和条約が締結される場合、アメリカ軍は朝鮮半島に駐屯する必要がありますか?

 

マティス長官:そうですね、アメリカ軍の朝鮮半島への駐屯は、まず我が国の同盟諸国、そしてもちろん北朝鮮との様々な交渉の中で議論される問題の1つとなります。現段階では、私たちはプロセスに沿って進まねばならず、交渉し、どのような結果になるかについて前提条件や仮定を持たないようにしなくてはなりません。私たち、今は外交官たちが仕事をしている最中です。

 

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●「トランプ氏の在韓米軍削減検討指示 「事実ではない」=韓国大統領府」

 

5/4() 11:30配信 聯合ニュース

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180504-00000015-yonh-kr

 

【ソウル聯合ニュース】韓国青瓦台(大統領府)は4日、トランプ米大統領が国防総省に在韓米軍の削減を検討するよう指示したとの米紙の報道について、「ホワイトハウスのNSC(国家安全保障会議)高官が事実ではないと明らかにした」と説明した。

 

 訪米中の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長(閣僚級)がホワイトハウスの高官との電話で確認したという。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

 

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真実の西郷隆盛
 

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今の巨大中国は日本が作った

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(仮)福澤諭吉 フリーメイソン論

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 古村治彦です。

 

 今回は2018年3月20日までにアメリカが北朝鮮を攻撃するという主張の論説をご紹介します。

 

 論稿の著者はジェイムズ・リカーズというアメリカ人です。弁護士で、金融の専門家のようです。1973年にジョンズホプキンズ大学を卒業し、1974年にジョンズホプキンズ大学ポール・ニッツェ記念高等国際問題研究大学院(SAIS)で修士号を取得、ニューヨーク大学法科大学院で法務博士号を取得しています。その後、ヘッジファンドのLTCMの幹部社員を務めるなど、長年にわたり金融業界で活動しているようです。

 

 古村治彦です。

 

 北朝鮮の最高指導者金正恩朝鮮労働党委員長が新年の挨拶を行い、その様子がテレビで放映されたということです。その中身は、「自分の机の上には核兵器発射のボタンがある」と述べながら、韓国での冬季オリンピックの成功を祈り、北朝鮮からの選手団が参加する用意があるということを表明するものでした。日本の報道では、核兵器発射のボタンの話ばかりが報道されているような印象がありますが、韓国との対話についての言及はとても重要であると思います。

 

 北朝鮮が核兵器とミサイル開発(共に旧ソ連、ロシアの支援を受けてのことでしょう)を推進し、現在、どの程度の実力を有するようになっているのかは未知数です。アメリカ領土を正確に狙い撃ちできるICBMを持っているのか、それに搭載できるだけの小型化された核兵器を所有しているのか、ということは分かりません。この分からなさが北朝鮮の力となり、交渉力となります。本来であれば、この分からなさをできるだけ高く売りつけて、何らかの約束、妥協、条件を引き出そうとするはずです。

 

 アメリカは北朝鮮がアメリカ領土を攻撃できる大量破壊兵器を製造するならば、武力行使もあり得るという立場を取りつつ、レックス・ティラーソン国務長官は交渉を優先するという立場を堅持しています。アメリカは明確な圧倒的な軍事力を背景に条件、譲歩を引き出そうとしています。

 

 金正恩は韓国に対して、対話の用意がある、オリンピックの成功を祈る、北朝鮮選手団が参加する用意があるという発言を行いました。これまでにない柔らかな内容の発言です。韓国側も早速対話の用意があり、オリンピックで北朝鮮選手団を歓迎するというシグナルを送っています。

 

 これはオリンピックが終わるまでは、朝鮮半島の緊張を高めることはないというメッセージであり、国際社会に対する宣言でもあります。このような発言があった以上、アメリカとしてもオリンピックまでは緊張を高めるわけにはいきません。

 

 昨年、米朝間で指導者同士が激しい言葉遣いの応酬をしたために、緊張が高まりすぎてしまったという反省もあっての今回の新年の挨拶になったと思います。

 

 激しい言葉遣いで相手をけん制しながら、自分の持っているカードを高く見せて、取引をするということになる訳ですが、激しい言葉遣いばかりをしていると、その言葉尻を相手にとらえられて、身動きが出来なくなります。

 

 太平洋戦争直前の日本を考えてみるとよくわかります。軍部も政府もアメリカと戦争するつもりなんか全くなく、日中戦争も終わらせたいと思っていました。しかし、意図しない方向、裏目裏目に事態は進んでいきました。メンツにこだわったこと、激しい言葉遣いで挑発的な言辞を繰り返したことで、自分たちを追い詰めていきました。

 

 そうして考えると、北朝鮮は戦前の日本よりもしたたかで、柔軟であると思われます。細い塀の上を落ちないように歩いている、そんな感じです。私はぎりぎりのジェンガを崩さないように慎重にかつ大胆に抜いている、という譬えを使っています。

 

 しかし、そうした状況下で怖いのは突発的な事故で、それを意図的に起こすという人たちもいます。そうなった場合には予想もつかないことが起きる、そうなったら人間ではコントロールできない状況ということも生まれてしまいます。最悪のシナリオは、北朝鮮が暴発して、死なばもろともで核兵器やミサイルを打ちまくるということですが、これはあまりにも可能性が低いシナリオではないかと考えます。

 

 アメリカも北朝鮮も人間のコントロールできる範囲内で何とかしようと動いている、そのように見えます。

 

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●「核のボタンは自分の机の上に 金正恩氏、オリーブの枝も」

 

2018年1月1日 BBCニュース日本語版

http://www.bbc.com/japanese/42532301

 

北朝鮮の最高指導者・金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は1日午前9時(日本時間同9時半)、テレビ放映された新年のあいさつで、米国が「戦争を決して始められないよう」に、自分の机には常に核兵器発射のボタンがあると述べた。

 

朝鮮中央テレビが放送した新年のあいさつで、金委員長は、米国全土がすでに北朝鮮の核兵器の射程圏内にあり、「これは脅しではなく、現実だ」と強調した。委員長はさらに、「核弾頭や弾道ミサイルを大量生産し、製造スピードを速めなくてはならない」と述べ、核・ミサイル開発事業の推進に意欲を示した。

 

しかしその一方で、自分には韓国と「対話の用意がある」とも述べ、韓国に対する友好の「オリーブの枝」ともとれる表現をした。

 

委員長は「2018年は北と南の双方にとって、大事な年になる。北は建国70周年を迎え、南は冬季五輪を開催する」と指摘。この表現は、過去1年間の敵対的な姿勢から大きく逸脱したものと受け止められている。

 

金氏はその上で、今年29日から韓国・平昌で予定される冬季五輪に選手団を送る可能性もあると、さらに友好姿勢を示唆した。韓国は以前から、北朝鮮選手団の出場を歓迎すると表明している。

 

「冬季大会に参加すれば、民族の団結を示す良い機会になる。大会の成功を願っている」と委員長は述べ、「両国の担当者が喫緊に会談し、その可能性を協議するかもしれない」と五輪出場に前向きな姿勢を示した。

 

金委員長の警告について記者団に聞かれたドナルド・トランプ米大統領は、「どうなるかこれから分かる」と答えた。トランプ氏は、フロリダ州の私邸リゾート「マール・ア・ラーゴ」で新年を迎えた。

 

北朝鮮が1129日に試射したミサイル「火星15」は、高度4475キロに達し、53分をかけて960キロ飛行した後、日本海に落下した。国際宇宙ステーションの10倍以上の高度で、通常の軌道で発射していれば13000キロ以上飛行した可能性がある。この場合、米本土全土が到達可能だったことになる。ただし、核弾頭をそれだけの距離にわたり運べるかは不明。

 

北朝鮮は、完全に実戦配備可能な核兵器を開発したと主張しているが、専門家の間ではまだ疑問視する声もある。

 

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●「韓国側、正恩氏の新年辞を歓迎 南北協議に応じる考え」

 

1/1() 17:15配信 朝日新聞デジタル

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180101-00000037-asahi-int

 

 韓国大統領府報道官は1日午後の記者会見で、平昌冬季五輪への北朝鮮代表団派遣を巡る南北協議に応じる考えを示した。報道官は、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の新年辞について「南北当局間の面会提案を歓迎する」と述べた。

 

 また、「北核(北朝鮮の核)問題を平和的に解決する」と強調。「半島問題の直接の当事者として南北が相対し、緊張緩和と平和定着の解決方法を見つけることを望む」と述べ、五輪問題だけでなく安全保障問題でも主導権を握りたい考えを示した。(ソウル=牧野愛博)

 

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 古村治彦です。

 

 「中国人民解放軍3万人を北朝鮮に駐屯させるべきだ」という論文をご紹介します。荒唐無稽なようですが、その論理構成を知ることは、現在の北朝鮮をめぐる情勢を考えるうえでも重要だと思います。

 

 論文では、北朝鮮が核兵器やミサイル開発を行っているのは、自国の安全保障と体制転覆に対する恐怖心があるとしています。そして、北朝鮮に安心感を与えることが問題解決の基礎になると主張しています。北朝鮮に安心感を与えるにはどうすべきか、ということで、「少数の(3万人)の人民解放軍を北朝鮮に駐屯させるべきだ」という結論になります。3万という数字は現在、韓国に駐留している米軍の数で、それと同数の中国人民解放軍を駐屯させることで、つり合いがとれるということです。

 

 朝鮮戦争では北朝鮮は鴨緑江まで押し詰められ、敗北寸前でした。この時、中国の人民義勇軍が北朝鮮に来援し、国連軍を押し返しました。300万の将兵のうち、約5分の1が死傷するという大きな犠牲を中国は払いました。中国と北朝鮮はそれ以来の「血の盟約」を結んできました。

 

 しかし、ことはそのように簡単に進みません。北朝鮮は中国に対しても歴史に基づいたある種の不信感を持っています。北朝鮮がアメリカを敵視しているのは当然ですが、中国も同盟国として信頼しているかというとそれは違います。また、朝鮮半島の人々にとって中国人民解放軍の駐屯は誇りを傷つけられる行為だと思います。そうした中で、人民解放軍の駐屯を受け入れさせることはほぼ不可能であると思います。

 

 ただ、確かに中国人民解放軍が駐屯すれば、アメリカは北朝鮮に対する攻撃がやりにくくなります。しかし、中国人民解放軍の駐屯を受け入れることとアメリカ軍の侵攻の危険性を天秤にかけて、どちらを選ぶか、ということになると、北朝鮮政府はどちらも選ばずに、「独立独歩の政策を続けつつ、ミサイルや核開発を交渉カードにして、体制保障を求める」という方向に進むのではないかと思います。

 

 もし中国人民解放軍を受け入れれば、北朝鮮政府はもたないでしょう。朝鮮半島にある政府としての正統性に大きな傷がついてしまいます。アメリカ軍の侵攻があってももたないでしょうから、中国人民解放軍を受け入れないでしょうし、北朝鮮に中国人民解放軍が入る時は、現在の北朝鮮政府が崩壊して、治安維持や復興にあたることになるのだろうと思います。

 

 北朝鮮にとっては体制保障が何よりも重要でしょうが、現状では他国にしてみれば大規模戦争(major war)にならないことが最大の利益ということになるかと思います。大規模戦争を阻止するための小規模な軍事介入という選択肢も存在しているのではないかと考えられます。

 

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中国は北朝鮮に3万の将兵を送るべきだ(China Should Send 30,000 Troops Into North Korea

―核兵器をめぐる争いを止めさせる唯一の方法はアメリカが北朝鮮に侵攻しないし、できないと金正恩に安心させることだ

 

アルトン・フライ筆

2017年11月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/11/28/china-should-send-30000-troops-into-north-korea-symmetrical-reassurance/

 

北朝鮮は核兵器開発を断固として止めない。これに対処しようとして行っている様々な取り組みはどれも効果を上げていない。朝鮮半島の非核化という目標は失敗している。国連決議もまた失敗している。徐々に締め付けを厳しくしている経済制裁もまた失敗している。 侮辱的な発言は失敗しているだけではなく、金正恩の強硬な姿勢を高めている。北朝鮮政府は最新の挑発行為として、1128日に北朝鮮東方海上に弾道ミサイルの発射テストを再び行った。

 

実際に試みる価値がある選択肢がまだほかに残っているだろうか?冷戦期の経験からある基本的な要素が存在することが示唆される。それは、戦略的安心感を示すことである。戦略的安心感とは、安全を保障することで核兵器開発という選択肢を諦めるように説得することである。

 

北朝鮮を核兵器開発に駆り立てる重大な懸念とは何であろうか?北朝鮮政府は、重大な懸念を「アメリカと韓国が金体制を転覆させるために侵攻を計画している」ことについて恐怖感を持っていると主張している。アメリカ側にしてみれば、そのような恐怖感は馬鹿げているように思われる。レックス・ティラーソン国務長官はそのような意図はないと明確に否定している。しかし、北朝鮮が国力を結集し多くの予算を投入するミサイルと核兵器開発プログラムを行っているのは恐怖感が原動力となっている、そして、こうしたプログラムは金正恩を危険にさらしている。 したがって、アメリカは北朝鮮に対して、第一に北朝鮮侵攻の脅威は現実的ではないと示し、第二に、そのような脅威をなくしたうえで、核兵器とミサイル開発を抑制するようにという国際社会の要求を拒絶し続けることは、自衛ではなくより邪悪な目的を持っていることになる、ということを示すことが重要だ。

 

アメリカ政府と韓国政府による各種の宣言も十分ではない。しかし、より効果的なアプローチが可能である。これらのアプローチは、核兵器開発の可能性のある国々に思いとどまらせるように仕向ける政策を基礎としている。ドイツ、日本、韓国が重要な具体例となる。これらの国々は、核兵器開発の基礎となる技術に関しては、北朝鮮よりもはるかに具体性と実現性を持っている。これらの国々が核兵器開発を自制する選択を行っているのは、多くの要素のためである。しかし、アメリカとの軍事同盟やアメリカ軍基地の自国内での展開 による安全保障のために自制できている。歴史家のマイケル・ハワードは同盟による安心感は、敵国による抑止と同じ程度の効果を持つと主張した。永続的な戦略的安定性は同盟による安心感と敵国による抑止の両方に依存している。

 

北朝鮮の思慮に欠けた行為を止めようとして強制的な外交策と軍事攻撃の脅威を用いるのは理解できる。より強制力の伴った方法を採用する必要性もあるだろう。北朝鮮のミサイルが日本の領土を飛び越える事態が続くならば、それらを迎撃するためにミサイルを発射する大きな理由となる。専門家たちの間でほぼ共通した理解となっているのは、直接的な軍事行動は、大きな戦争へとつながる深刻なリスクを伴うということだ。

 

長年にわたり、議論と断続的な交渉についてのテーマは常に中国政府はこのような悪い状況を止めるためのカギを握っているということだった。中国は金正恩率いる北朝鮮の主要な貿易相手国であり安全保障に関して最強の支援者ではあるが、その影響力を使って北朝鮮政府にコースを変えさせようとしている。中国は明確に北朝鮮の核武装化は自国の利益にかなわないと表明している。徐々にかつ消極的にではあるが、中国政府は北朝鮮に経済的、政治的圧力をかける多国間の行動に参加するようになっている。ここ数カ月で、中国は北朝鮮に対する国連安保理の出した強い内容の決議と厳しい経済制裁に参加している。特に中朝間の貿易を削減することを公約としている。現在の状況が示しているのは、外交上と経済上の厳しい制裁をもってしても金正恩に核兵器とミサイル開発をあきらめさせることが出来るのかどうか疑問だということだ。

 

状況は、恐らく、まったく異なる方法について検討する時期に来ているのだ。アメリカが韓国に安心感を与えているのと同じように中国は北朝鮮に安心感を与えられるか?中国政府は北朝鮮の行動について懸念を高めている状況で、中国は北朝鮮が攻撃を受けた際に支援するという内容の1961年に北朝鮮との間で結んだ協定は有効であると表明している。しかし中国は北朝鮮自身が戦争を始めた場合には金体制を支援しないだろう。これは建設的な姿勢であるが、北朝鮮政府にしてみれば長年にわたる独立独歩政策を正当化するための中国の優柔不断な態度とみなしていることだろう。北朝鮮の若き独裁者金正恩は1950年から1953年にかけての朝鮮戦争で中国がどれほどの大きな犠牲を出したかについてのちしきはほぼもっていないのかもしれない。約300万の将兵が戦闘に参加し、38万以上が負傷、18万以上が戦死した。中国側の戦死・戦傷者数はアメリカ側を大きく上回った。北朝鮮が敗北を認めそうになった時に、中国は支援に入った。

 

中国の介入は韓国を防衛していたアメリカや他の国々にとって歓迎されざるものだった。中国の払った犠牲は中国政府の与える安全保障の信頼性を高めるものだった。中国の与える安全保障がより信頼に足るものとなるには、北朝鮮の領土内に中国人民解放軍が実際に展開されることが伴うものとなる。北朝鮮に韓国と同様の安心感を与えるには中国人民解放軍の将兵3万人が駐屯することも可能性としては否定できない、38度線よりも南の韓国には同数の米軍の将兵が駐屯しているのだ。

 

確かに中国が北朝鮮領土内における軍事力強化を行うというのは常識的ではないと思われるだろう。アメリカの国益に関して言えば、このような行動は非倫理的であると考える人たちもいるだろう。残虐な人権侵害を行っている国家を支援することは安全保障のためには高すぎる代価と言えるかもしれない。しかし、戦争の勃発可能性を引き下げるためには効果的な方法ではある。

 

韓国とアメリカは中国人民解放軍と朝鮮人民軍と戦う戦争が起きるということを常に想定しなければならなかった。しかし、中国軍の少数の将兵が駐屯しても軍事バランスが崩れることはないだろう。韓国とアメリカは既に北朝鮮に侵攻する意思を持っていない。少数の中国軍の駐屯があってもこのような現状を変更することはないであろう。

 

安心感を与える政策を実行し、北朝鮮が攻撃を受けた際に中国は支援するということに関する疑いを払しょくすることが中国にできることである。安心感によって北朝鮮政府が表明しているアメリカによる侵攻の恐怖感から北朝鮮を解放し、状況を不安定化させる核兵器とミサイル開発プログラムの正当性を取り除くことになる。経済制裁と政治的孤立を緩和するためのいくつかの提案と共に安心感を与えることで、金正恩が核兵器とミサイル開発プログラムを停止するための最大の誘因を提示することが出来る。

 

中国がこの進路に進む準備ができるだろうか?現在のところ、中国は北朝鮮を占領する意向も姿勢も示していない。1950年代後半の大規模な介入の後、中国軍は撤退した。ソ連は東欧の衛星諸国に対して長年にわたり大規模な軍隊を駐屯させ、これらの国々を支配したことと比較してみて欲しい。しかし、しかし、現在の状況は全く別の問題を提示している。核不拡散体制の崩壊を防ぎ、大規模戦争の危険性を減らすため、中国政府は朝鮮半島に最低限の軍隊を駐屯させる準備をすべきだ。

 

更に不確定なことがある。北朝鮮は独立独歩を貫いてきたが、このような協定を受け入れるだろうか?1950年に金日成が持っていたもともとの意向は、中国の支援なしに朝鮮半島を統一することであった。しかしながら、金日成の下に集った将官たちは朝鮮人であったが毛沢東率いる中国人民解放軍に参加した経歴を持っていた。中国が国連軍の反撃から北朝鮮を守ったと言っても、金日成と子孫たちは巨大な隣国に対して複雑な感情を持っていた。中国からの支援が必要不可欠だと認識しながら、依存に対する後悔と支援するために来てくれる中国に対する恐怖感を持っていた。このような積極的な中国の安心感を与える行動を歓迎するように説得することは不可能ではないが、困難な仕事となるだろう。

 

北朝鮮を説得するという責務は中国が担うことになるだろう、一方、アメリカは中国人民解放軍の駐屯によって北朝鮮に安心感を与えるという考えに対して韓国が持つであろうと予想される懸念を弱めるために動かねばならない。北朝鮮指導部は中国人民解放軍駐屯の提示を、状況を安定させる提示というよりも、金体制打倒の序章として受け止めるかもしれない。このような疑念を乗り越えるのは歴史的な外交上の挑戦ということになる。しかし、中国政府に残された選択肢は他にはない。金政権に核兵器を放棄させることができる選択肢が他にあるのなら、中国は北朝鮮への人民解放軍の派遣と駐屯を拒絶することができるだろう。しかし実際にはそれは不可能なのだ。複雑な多国間の交渉において約束を守るということは主要な要素となる。

 

北朝鮮が中国人民解放軍の駐屯による安心感を拒絶するならば、北朝鮮が進める核開発プログラムはより敵意を持った目的のためのものではないのかという疑念を認めてしまうことになるだろう。これらの疑問についてのあらゆる推測は必要でもないし、役立つものでもない。これらの疑問に対する最高の答えは、積極的で、革新的な外交によって出されるものだ。現在の状況が示している将来像は、戦争かもしくは北朝鮮が何の規制も受けないで核兵器を製造するというものだ。少なくとも将来的に破滅的な衝突が起きる危険性を高めるというものだ。

 

様々な利益、選択肢、可能性、野心の間の差し引きは複雑だ。皮肉な状況が生み出されてしまっている。北朝鮮に安心感を与えることは、不愉快なことであろうが、事態が悪化すれば戦争に巻き込まれることになるすべての利害を持つ国々にとっては必要不可欠なことなのである。

 

※アルトン・フライ:外交評議会(CFR)名誉上級研究員

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



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