古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:民主党

 古村治彦です。

 

 ジョー・バイデン副大統領がヒラリー・クリントン敗北の理由として、「彼女自身がどうして選挙戦を戦っているのか分かっていなかった」ということを挙げています。大変ユニークな分析です。

 

 ヒラリーは女性で初めて大統領になるチャンスがある人物として大統領選挙に出馬する責務があると感じてはいたが、有権者に対して語りかけが足りなかった、有権者の声を聞くことが足りなかった、とバイデンは言っています。そして、人々の不満や恐怖心を聞く政党であった民主党がエリート主義になっていたと反省の弁を述べています。

 

 確かに、ヒラリーは能力が十分にあったでしょう。しかし、有権者のためではなく、自分のために選挙に出た、そして、有権者を向かないで、有権者の見ているものを見ないで選挙戦を戦ったということなのでしょう。上滑りする綺麗ごとばかりを、女性初の大統領になるという浮ついた気持ちで語ったところで、今本当に困っている人々には何のアピールにもならなかったのです。ヒラリーが勝利した州は民主党が強い州で、そこでは、誰が出ても民主党の候補者が勝利できたでしょう。しかし、それだけでは勝利はできません。トランプが勝利した州は共和党が自動的に勝つ州にプラスして、人々の不満や恐怖心が渦巻いていた州でした。

 

 政治家が選挙に通って権力を握る、ということは自己利益実現の最たるものです。しかし、それを露骨にやる、もしくは見えてしまうと、その自己利益実現はできないのです。ヒラリーは自分とだけ格闘し、周囲は見えていなかった、だから、自分というものを押し付けることで有権者は拒絶反応を示したということでしょう。

 

 トランプは「アメリカ・ファースト」というスローガンを掲げました。そして、「今苦境の中にいると不満や狂信を持っているアメリカ国民よ、このアメリカはあなた方のことだ」というメッセージを送ることに成功しました。トランプは非常に利己的で、自己中心的のように思われ、実際にそうなのでしょうが、選挙に勝つという自己利益実現に成功しました。見た目では、ヒラリーは謙虚・抑制的(トランプに比べて、ですが)、トランプは我儘・勝手なのに、人々はヒラリーに自己中心、押しつけ、独りよがり、自分たちのことを見ていないということを感じて忌避しました。

 

 こういうことは私たち自身にも置きかえて教訓として活かすことができると思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

バイデン:ヒラリー・クリントンはどうして選挙戦を戦っているのかを理解していなかった(Biden: Clinton never figured out why she was running

 

ジョーダン・ファビアン筆

2016年12月22日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/311591-biden-clinton-never-figured-out-why-she-was-running

 

バイデン副大統領は、ヒラリー・クリントンは大統領選挙で敗れたが、その理由の1つは、ヒラリーが大統領選挙に出馬している理由を彼女自身が理解していなかったことが挙げられると確信していると述べた。

 

木曜日のロサンゼルス・タイムズ紙に掲載されたインタヴューの中で、バイデンは「私は彼女が本当に理解していたとは思えない。話は変わるが、彼女の出馬の決断は困難なことだったと思う」と述べた。

 

選挙期間中にウィキリークスによって公開されたハッキングされたEメールの中で、ヒラリーの側近や協力者たちも非公式に同じような懸念を表明していたということをバイデンは自分の考えを補強する証拠として挙げた。

 

しかし、バイデンはヒラリーを選挙に負けたということだけで非難するのは公正なことではないとも述べた。バイデンは、ヒラリーは選挙運動中に崇高な目的を見つめていた、そして、オバマ大統領がアフリカ系アメリカ人に行ったように、女性の政界での活躍への道を切り開く義務を負っていると感じていた、と述べた。

 

バイデンは次のように語った。「彼女は出馬する以外に選択肢はないと考えたのだ。つまり、大統領に当選するかもしれない機会を与えられた史上初めての女性だったのであり、彼女にとってそれは責務であったと思う」。

 

バイデンのコメントにはオバマ政権の幹部としての直接的な批判が若干含まれている。

 

バイデン副大統領は選挙期間中、十数回にわたり、ヒラリーのために遊説を行った。

 

しかし、バイデンは、ドナルド・トランプは自分の出身地であるペンシルヴァニア州スクラントンのような白人の労働者たちが多く住む地域の人々を熱狂させて、選挙に勝利したがそれはずるいことだと感じた、とも述べた。

 

バイデンはその時の心境を次のように語った。「しまった、私たちは選挙に負けるかもしれない、と感じた。トランプに熱狂している人々は私が一緒に生まれ育った人々だった。もしくはその子供たちだった。彼らは人種差別主義者ではないし、性差別主義者でもない。しかし、私たちは彼らに語りかけなかった」。

 

バイデンは民主党全体が選挙で低調であったが、それは、「私たち民主党が、高卒の大部分が白人であるが、非白人もいる、そういった多くの人々に対して、“民主党は自分たちの抱えている問題を理解している”と思ってもらえるようにしなかったから」だと語った。

 

バイデンは、民主党の志向の中に、エリート主義が入り込んでいた、と述べた。

 

同時に、バイデンは、トランプは、ヒラリーよりも労働者階級の人々に問題解決の方策を提示することに成功している訳ではないとも語った。

 

バイデンは「私は、彼が労働者階級や中流階級の人々を理解しているとは思わない。少なくとも彼は彼らの痛みは認識している。しかし、彼は偏見、恐怖心を利用した。自暴自棄の気持ちを利用したのだ」と語った。

 

トランプは更に「トランプが人々を熱狂させる時に語った言葉には何も積極的で+なものはなかったと確信している」と述べた。

 

バイデン副大統領は民主党予備選挙でヒラリーに挑戦することを検討した。彼が予備選挙に出ていたら、自分はエリートではないというアピールと共に中流階級の人々に向けたメッセージを次々と発したことだろう。

 

しかし、バイデンは最終的には選挙に出ないという選択をした。バイデンは息子ボウの逝去を悼みながら、選挙戦を行うことはできないと述べた。

 

74歳になるバイデンは、これまで複数回の機会を軽視してはきたが、将来の大統領選挙出馬の可能性を排除することを拒絶した。

 

バイデンは、妻ジル・バイデン博士がノーザン・ヴァージニア・コミュニティ・カレッジで教鞭を執っている間はワシントンにたまに居住する計画だと明かした。

 

バイデンは、副大統領退任後に仕事を続けるために、ペンシルヴァニア大学内にオフィスを構える可能性についても説明している。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22








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 古村治彦です。

 

 今回は、大統領選挙が終わる直前に発表されたある論稿をご紹介します。この論稿で著者のジャッド・グレッグは、共和党のドナルド・トランプ、民主党のヒラリー・クリントンがアメリカの統治形態の基礎を攻撃したと主張しています。トランプは選挙システムを、ヒラリーはFBIをそれぞれ激しく批判しました。

 

 著者のグレッグは、候補者2人が当選を目指して選挙システムとFBIを激しく攻撃したために、それらに対するアメリカ国民の信頼が薄らぎ、アメリカの統治システムに対する信頼が揺らぐのではないかと心配しています。

 

 アメリカの有権者は、一部には彼らの主張を真に受けてしまう人たちもいるでしょうが、大部分は、「選挙のためのレトリックだ」と分かっている人たちでしょう。それでも、今回、アメリカの民意は、「ワシントンの大掃除をする」「共和党、民主党関係なく、ワシントンのインサイダー、エスタブリッシュメントをやっつける」ということになりました。これまで共和党に投票しなかった、白人の大学教育を受けていない男性労働者たち(南部では歴史的な経緯から民主党支持、北部では組合に加入していることからずっと民主党支持)がトランプに投票し、民主党側では、党のエスタブリッシュメントに失望した、バーニー・サンダース支持者とオバマを地滑り的勝利で当選に導いたオバマ・コアリッションが不活発だったために、トランプを押し上げ、ヒラリーを引きずりおろす格好になりました。

 

 一部には選挙人制度についての批判も出ていますが、選挙人制度には、小さな州の存在感を確保し、各州の独立性を守るという、反連邦主義的なアメリカの伝統にも則っているという面もあります。トランプが言っている「汚れきった沼から泥水を抜いて綺麗にする」ということが民意であり、それを今回アメリカの民主政治制度がすくい上げたのだということができます。

 

(貼り付けはじめ)

 

ジャッド・グレッグ:傷つけられるデモクラシー(Judd Gregg: Damaging democracy

 

ジャッド・グレッグ筆

2016年11月7日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/opinion/judd-gregg/304610-judd-gregg-damaging-democracy

 

私たちの憲法を基盤にした民主政治体制の強さは、人々の信頼に依っている。

 

リンカーン大統領は、彼独自の明確さと意識をもって、アメリカの民主政治体制の真髄を「人々の、人々による、人々のための統治」と述べた。

 

しかし、政府は自分たちがその一部を形成しているのだ、政府は私たちの生活のためにあるのだという信頼を人々が失ってしまえば、民主政治体制は存続の危機に直面する。

 

このアメリカで、そのようなことが起きるなどとは、かつては創造できなかった。しかし、今回の大統領選挙の残り数週間、民主政治体制の危機が起きる可能性が感じられてしまう状況であった。ありがたいことに、この状況も火曜日には終わる。

 

ヒラリー・クリントン、ドナルド・トランプの両候補とも、彼らがなすべき、人々の信頼を強めるという義務を放棄し、政府の諸機関を攻撃することに終始した。

 

ドナルド・トランプが私たちに語ったことは、彼が同意できないものは全て汚れていて、正しくない、ということだった。彼の攻撃対象リストのトップに来るのは、選挙システムだ。

 

人々が攻勢に実施されているという確信を持つことができる選挙がなければ、民主政治体制を備えているとは言えない。トランプは繰り返し繰り返し、選挙は公正さを欠いていると批判した。

 

「選挙は公正さを欠いている」ということを繰り返し述べることで、トランプは、民主政治体制にとって不可欠な価値を攻撃している。この価値とは、「投票した私の一票はきちんと数えられる、選挙は正当性を持っている」と人々が確信を持つことだ。トランプはこの民主政治体制にとって中核的な価値を傷つけている。

 

ヒラリー・クリントンは彼女自身の失敗と弱点を隠すために、私たちの民主政治体制において重要な機関である連邦政府の法執行機関を攻撃している。

 

FBIは、J・エドガー・フーヴァーが引退して以降、最悪の時期を過ごすことになったことだろう。しかし、これまでの数十年間、FBIはアメリカ国内で第一の法執行機関であり続けてきた。

 

FBIは党派に偏らない、我が国の法律に関する公正な執行者、我が国の守護者という評判を確立してきた。FBI長官にはこれまで誠実さを持つ才能あふれる人々が就任してきた。

 

ヒラリー・クリントンが私的なEメールサーヴァーを使用して国家安全保障を損なったのは、ヒラリー自身の間違いであって、FBIの間違いではなかった。

 

FBIとFBI指導部は、彼らの基本的な義務を果たすために捜査二十舌以上のことはないというのが事実だ。FBIは、いかなる人物も法の上にはいないこと、我が国の安全保障には妥協など許されないことを明確に示してくれた。

 

ヒラリーと彼女の側近たちは、ジェイムズ・コミーFBI長官を激しく批判した。

 

コミー長官は、新たな数千通のEメールが発見されたことを公表しなければならなかった。そうしなければ、彼は事実を隠蔽し、捜査を捻じ曲げたとして訴追されることになっただろう。

 

コミー長官はFBIの捜査過程における誠実さを維持するために適切な行動を行った。ヒラリーは適切な行動を取らなかった。

 

ヒラリーとヒラリーの支持者たちのFBIとFBI長官に対する攻撃は、FBIの信頼性を損なうこと、FBIが独立した、公正な機関ではないと人々に信じさせることを目的としていた。

 

彼らのこうした攻撃は、日曜日にコミー長官が新たに発見されたEメールの中に、彼が7月に出した「ヒラリー・クリントンは訴追されるべきではない」という結論をクスがエス材料は発見されなかったと発表したことで和らぐことになるだろう。しかし、たとえそうなっても、彼らが既に傷つけた大きな傷を癒すことにはならない。

 

ヒラリー・クリントンと彼女の支持者たちによる自己利益中心で、機会主義的な攻撃は、彼らの政治的な利益のために大変重要な政府機関の信頼性を犠牲にするものである。これは今までにはなかった破壊的な行動であった。その苦い影響はこれからもずっと続くだろう。

 

 

この偉大な国の大統領になろうとする人々が我が国の統治形態に対する信頼性を維持することが個人的な利益よりも重要なのだということを理解することがこれほどになっているのは今の時期を置いてない。

 

これは、統治している人々が彼らの失敗について説明責任を果たさなくてもよいということを言っているのではない。そうではなく、そういう時こそ説明責任を果たすべきだと言いたいのだ。

 

しかし、今回の選挙に出馬した主要政党の両候補はリーダーシップを持っていることを示さなかった。それどころか、彼らのアプローチは、ポピュリスト的無秩序(アナーキー)の坂道を登る第一歩であった。

 

火曜日に、今回の選挙は終わる。しかし、選挙がもたらしたダメージや傷は消えないだろう。

 

選挙に勝つのがどちらであれ、これまでのアプローチを根本的に変え、自分の仕事は我が国の統治形態を守ることであるということを認識する必要がある。

 

※ジャッド・グレッグ(共和党):元ニューハンプシャー州知事、元連邦上院議員(ニューハンプシャー州選出、3期)。連邦上院予算委員会幹部委員、委員長、連邦上院議員歳出委員会外交関連計画歳出小委員会幹部委員も歴任した。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







 
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 古村治彦です。

 

 保守派の著名評論家であるチャールズ・クラウトハマーはかなり早い時期からトランプを支持してきました。クラウトハマーは火曜日にテレビに出演し、「トランプは共和党の事実上の指導者となる」と語り、共和党内部のエスタブリッシュメントとの間で、激しい争いが起きると予言しました。

 

 共和党のエスタブリッシュメントのリーダーは、ポール・ライアン連邦下院議長です。彼は反トランプの急先鋒でしたが、これからどうするのでしょう。

 

 クラウトハマーの予言では共和党が変質ということです。民主党(労働組合)が強いラスト・ベストでトランプが全勝したということは、これまでの常識が覆されたということです。ですから、共和党だけでなく、民主党、更にはアメリカ政治が変質していくでしょう。共和党が変質いくうえで、エスタブリッシュメント系と反エスタブリッシュメント系との間で激しい争いが起きるでしょう。

 

 トランプの政治思想は保守思想ではなく、ポピュリズムです。ポピュリズムには、ワシントン(やニューヨーク)の汚れきったエリートたちへの人々の抵抗が基盤にあります。反エリート(反エスタブリッシュメント)です。19世紀に南部の農民たちを中心にしたポピュリスト党(ポピュリスト・パーティー、人民党)が結成され、それが民主党に合同していきました。ポピュリスト党は鉄道国有化など、アメリカ基準では社会主義的な政策を主張した政党でした。また、フランクリン・D・ルーズヴェルトが最も恐れた男、最後は凶弾に倒れたポピュリズムの悲運のリーダー、ヒューイ・ロングのスローガンは、「シェア・アウワ・ウェルス(Share Our Wealth)」でした。

 

 トランプが選挙期間中に語ったことを実際に政策として実行すると、現在の予算規模よりもおおきくなります。国債依存度、国債発行額のGDP比は大きくなります。これは、戦後の共和党が原則としてきた「均衡財政(国債を発行しないで、税収だけで予算を組む)」とは相いれないものとなります。しかし、共和党は、原則はそうですが、実際には、国債発行額を減らすことを主張していますが、実際には国債発行額を増やす方向に進み、協力してきました。また、共和党はウォール街などの財界人の政党でもありましたが、トランプは富裕層に対する課税を強化するでしょう。それは彼を押し上げてくれた人々の願いでもあるからです。トランプは税金支払いの格闘で税制には誰よりも詳しくなっているでしょうから、富裕層を痛めつけない程度で、彼らからの税収を上昇させることになるでしょう。

 

 ですから、下に掲載した記事のように、サンダースのような、民主党(彼は正式には民主党所属ではありませんが)内部の進歩派は、国内政策でトランプと協力することができると主張している訳です。プログレッシヴィズム(進歩主義)とポピュリズムは掲げるようになる政策には共通点が多くありますが、共通する最大の特徴は、既存の政党の穏健派やエスタブリッシュメントにとって目障りな、そしてもっと言うと危険な存在であるということです。

 

 簡単に言うと、今回、アメリカ政治において起きているのは、「民主党エリート+共和党エリート対民主党反エリート+共和党反エリート」、ということであり、民主党が人民党を吸収して以降掲げてきた、進歩的な政策を共和党の反エリート勢力(ポピュリズム)が乗っ取ったということです。

 

ですから、民主党内でサンダースを支持した人々や2008年、2012年の選挙でオバマを支持したが、オバマのTPP推進(エリート主義的)に失望した人々は、ヒラリー支援に積極的に動かず、極端な場合にはトランプに投票したことも考えられます。もちろん、トランプの過激な言動が嫌だという人たちも多かったと思いますが、彼のそうした表面的な行為の裏、下にある考えを知った人々は、一概に彼を嫌うということはできなかったのではないかと思います。

 

 アメリカ政治の変質がこれからの4年間で起きるでしょう。トランプも自分の持ち時間は4年間だと決めているでしょう。欲もなく、再選なども考えないで一期目を務める大統領は初めて出現したと言えるでしょう。ポピュリズムのリーダーが大統領としてワシントンに乗り込んできます。しかし、同時にトランプは経営者として、全てがうまくいくことはないし、外交交渉を含むすべての場面で、自分の望み通りにはいかないということも分かっていますから、無理はしないでしょう。ポピュリズムに殉じるということもないでしょうから、この点でもまた捉えどころがなく、批判する対象としては、攻撃しにくい人物です。せいぜい、彼の過激な発言をつかまえて批判するくらいのものでしょうが、トランプは自分の役割に徹することができる人でしょうから、それもまた難しいでしょう。

 

 トランプの過激な発言は主にツイッターでなされたものですが、大統領になれば、ツイッターで遊んでいる暇もないでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

クラウトハマー:共和党の「内戦」は水曜日から始まる(Krauthammer: GOP ‘civil war’ starts Wednesday

 

ジョナサン・スワン筆

2016年11月8日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/304980-krauthammer-gop-civil-war-starts-Wednesday

 

保守派のコメンテイターであるチャールズ・クラウトハマーは、選挙の結果に関係なく、共和党の「内戦」のゴングが水曜日の朝(選挙の翌日)には鳴り響くと警告を発した。

 

クラウトハマーは火曜日、火曜日夜に共和党大統領選挙候補者ドナルド・トランプが敗れても、トランプはポール・ライアン連邦下院議長(ウィスコンシン州選出、共和党)が進めてきた改革志向のプログラムにことごとく反対の諸原理に沿って共和党を革命的に変化させる立場に立つだろうと語った。

 

クラウトハマーは火曜日、フォックス・ニュースに出演し、「トランプは、共和党がこれからどこに向かうのか、将来を決定する人物となるでしょう」と語った。

 

クラウトハマーはトランプについて、続けて次のように語った。「彼は敗北して、そのまま退場するようなことはありません。彼は今、自分が何かを作り出していると感じているはずです。彼の直観は正しいと思います。彼は今回の選挙で大きな役割を果たしたポピュリスト的な大きな動きを生み出しました。共和党は保守主義からポピュリズムに立場を移動させることで、共和党自体が変化するでしょう」。

 

トランプが選挙に勝った場合、最初に彼がやることは、「共和党をこれまでとは全く別の形に作り変えること」だとクラウトハマーは語った。

 

クラウトハマーは、「共和党は全く新しい党になるでしょう。ポピュリストの政党となるでしょう。アメリカには、レーガン流の保守政党はなくなることになります」と述べた。

 

クラウトハマーは、トランプが敗北した場合に、ヒラリーとの差を小さく、2012年のミット・ロムニーとオバマ大東朗との差くらいに収めることが出来れば、水曜日の朝には、トランプは、「共和党の事実上の指導者」になると予言した。

 

クラウトハマーは次のように語った。「トランプは退場し、より若い人物が出てくるまで、運動が後退することにもなるでしょう。しかし、トランプは退場しないでしょう。彼はキングメイカーになるでしょう」。

 

ライアンは、福祉制度改革と赤字削減に意欲を燃やしている。クラウトハマーは、ライアンは「古いレーガン流のコンセンサス」を代表していると分析している。一方、トランプは、保護貿易政策と移民政策を柱に選挙戦を展開し、福祉政策の改革よりも保護を約束している。

 

クラウトハマーは「いいですか、内戦が水曜日から始まりますよ」と予言した。

 

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反トランプの共和党所属連邦下院議員:「恐らく」私はトランプの敵リストに載っている(Anti-Trump GOP rep: 'Maybe' I'm on Trump enemies list

 

レベッカ・サヴランスキー筆

2016年11月9日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/305317-anti-trump-gop-rep-maybe-im-on-trump-enemies-list

 

アダム・キンジンガー連邦下院議員(イリノイ州選出、共和党)は水曜日、ドナルド・トランプが保有している「敵リスト」に自分が載っているだろうと語った。

 

キンジンガーはCNNに出演し、「恐らくそうでしょう。私は多くの人々の敵リストに掲載されているでしょうね。アメリカ国内中のね」と語った。キンジンガーは大統領選挙期間中に、トランプ次期大統領への支持を拒否した。

 

キンジンガーは「それでも、私は興奮しています」と語った。

 

キンジンガーは、選挙後、様々な「感情」が襲ってきたと語った。

 

「人々は怒っています。私に対して怒りを持っていたトランプ支持者たちから色々と言われます。理解できます」とキンジンガーは述べた。

 

「私はそうした中で毎日を過ごさねばなりません。人々は怒っています。人々の怒りは結実しました。しかし、翌朝になって、私が現在感じているのは、今回のことは我が国が団結する機会になるということです」。

 

トランプを強力に支持したオマローザ・マニゴールドは火曜日、トランプは、大統領選挙で彼に投票しなかった共和党幹部たちのリストを覚え続けているだろうと述べた。

 

 

テレビ番組「アプレンティス」の出演者だったマニゴールドは、『インディペンデント・ジャーナル・レヴュー』誌に対して次のように語った。「私たちがホワイトハウスに入るにあたり、誰が敵を明確にすることができたのは素晴らしいことです。私たちの立場は明確になりました」。

 

マニゴールトは、リンゼイ・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)が火曜日、彼は大統領選挙で無所属のエヴァン・マクミランに投票したとツイートしたことについて言及した。

 

マニゴールドは、「グラハム議員がその候補者を選ぶことが自分のためになると考えていたのなら、これ以上何も言いません。神様の祝福があることを祈ります」と語った。

 

ゴールドは、「私は自分の権利と、彼が選びたい人を選ぶという自由を行使したことについて判断することはしません。しかし、良いですか、トランプ氏はずっと覚えておられるでしょうし、私たちは反対した人々のリストを持ち続けるでしょう」と語った。

 

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サンダースはトランプと協力することを示唆(Sanders signals willingness to work with Trump

 

レベッカ・サヴランスキー筆

2016年11月9日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/305337-sanders-signals-willingness-to-work-with-trump

 

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は、いくつかの分野でドナルド・トランプと協力する用意があると示唆した。

 

ヴァーモント州選出の連邦上院議員で民主党大統領選挙予備選に立候補したサンダースは水曜日に声明を発表し、「トランプ氏がこの国の労働者の家族の生活を改善するための政策を実行することに真剣であり続けるなら、私や他の進歩主義者たちは、彼と協力する用意がある」と述べた。

 

サンダースは声明の中で続けて、「彼が人種差別、性差別、外国嫌悪、反環境保護主義的政策を実行するならば、私たちは強力に彼に反対するだろう」と述べた。

 

サンダースは今年の初めに予備選挙から撤退し、ヒラリー・クリントンを支持した。サンダースは、トランプに対して、「彼は大統領にふさわしくない」として攻撃した。

 

サンダースは選挙期間中にヒラリー・クリントンのために選挙運動を展開し、ヒラリー・クリントンを大統領に当選させるべき理由を語り続けた。

 

 

水曜日に発表した声明の中で、サンダースは次のように語った。「トランプ氏は、エスタブリッシュメントのための経済、エスタブリッシュメントのための政治、エスタブリッシュメントのメディアに倦み、怒りを持っている没落しつつある中流階級の怒りを把握し、当選した」。

 

サンダースは声明の中で次のように述べた。「人々はより低い賃金でより長時間働き、きちんとした仕事が中国や賃金が低い国々に奪われているのを目撃し、大富豪が連邦所得税を支払わず、子供たちを大学に行かせられない、ということに倦み疲れている」。

 

サンダースは「富裕層がより富裕になる状況だ」と述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








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 古村治彦です。

 

 2016年アメリカ大統領選挙が終わりました。共和党のドナルド・トランプが、民主党のヒラリー・クリントンを大差で破って当選となりました。まだ最終的な開票結果は出ていませんが、ヒラリーはトランプに敗北を認め、祝意を伝える電話をかけたということです。ヒラリー派選挙終盤、選挙が終わったら何をしたいかと質問され、テレビの米デイショーやドラマをたくさん録画しているので、それらを見たいと冗談半分に述べましたが、まさかそれらを見る時間がたっぷり用意されるとは思っていなかったでしょう。

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 選挙直前、PBSのニュース番組に、アメリカ連邦下院民主党院内総務であるナンシー・ペロシが出演していました。彼女は現在のアメリカ政治で最高位にある女性です。「あと数時間で、最高位にある女性という言われ方が終わります」と言っていましたが、彼女がこれからもしばらくはアメリカ政治の最高位にある女性ということになります。

 

 ヒラリー陣営が投開票後の集会を開くための会場にしていた場所はコンヴェンションセンターでした。そこは天井が高くてガラス張りでした。これは、「ガラスの天井(グラス・シーリング、女性は目に見えない壁に阻まれて社会的に上昇できない)を打ち壊す日」を意味するための会場選びだったそうです。しかし、それも今や幻のように消え去りました。アメリカの有権者は、「ヒラリーが女性だから」という理由で彼女を選ばなかったのではないし、女性は大統領にふさわしくないなどとも考えていないでしょう。ヒラリー個人がふさわしいかどうかの判断でありました。彼女の選対は約500億円の政治資金を集めました。トランプの倍です。それでも選挙に勝つことはできませんでした。

 

 私は選挙速報を見ながら、ヒラリー側は関ヶ原の西軍側、石田光成のような気持だったのではないかと思います。軍勢の数や布陣で言えば圧倒的に有利(明治時代に関ヶ原の戦いの布陣図を見たドイツ軍参謀本部の将校は西軍勝利と言ったそうです)だったのに、負けてしまった、それに近いものがあると思います。また、私はトランプを応援していましたから、何となく2009年の日本の政権交代、民主党勝利を思い出していました。

 

 私は2016年11月7日付のブログで、ヒラリーが316、トランプが222で、ヒラリーが当選すると予測しました。これは見事に外れました。現在の情勢では、この数字がほぼ逆で、トランプが勝利ということになるでしょう。私の未熟さと無能さのために、このような恥ずかしいことになったと反省しています。そして、どうしてこうも大きな外し方をしたのか、ということを考えたいと思います。

 

 まず、私の判断材料は世論調査の数字とアメリカのメディアの記事だけでしたが、世論調査が「世論」を反映していなかったということが挙げられます。現実を反映しない世論調査の数字は役に立たないどころか害悪です。世論調査をはじめとする統計調査ではどうしても誤差が出てきますし、今回の場合は激戦州での世論調査で1、2ポイントの差、もしくは引き分けということもあって読みづらいものでした。更には、日本でも一部報道されたそうですが、「隠れトランプ支持者」と呼ばれる、世論調査には出てこないトランプ支持者が多かったということがあるようです。

 

 次に中途半端な経験から、五大湖周辺のラスト・ベルト、ペンシルヴァニア、オハイオ、ミシガン、ウィスコンシンは民主党が連勝しているし、ヒラリーが世論調査の数字で数ポイント分リードしているから、ヒラリーだろうと安易に判断してしまいました。オハイオは最後の方はトランプがヒラリーを追い抜いていましたから、トランプが取るだろうと思っていました。私が7日付のブログで書いた、「こうなったら面白いシナリオ」は、フロリダとノースカロライナをトランプが取ったら、ヒラリーとは接戦になるというものでした。しかし、ヒラリーがペンシルヴァニア、ミシガン、ウィスコンシンを落としたために、接戦とはならず、トランプが300以上を取る結果になりそうです。ラスト・ベルトの大学教育を受けていない白人労働者たちがヒラリーではなく、トランプを支持した、「トランプは俺たちの仲間だ」ということになりました。

 

 ラスト・ベルトが決戦場だということは分かっていましたが、別の点では安易に考えていたために、失敗を犯しました。反省しています。

 

 トランプはポピュリズムのリーダーとして、初めてワシントンに行きます。ウィリアム・ジェニングス・ブライアンやヒューイ・ロングが果たせなかったことを果たしました。映画「スミス都に行く」をもじると「トランプ都に行く」となります。彼はまず連邦政府と共和党の変革を強く求めるでしょう。もちろん、妥協するところも出てくるでしょうが、オバマの「チェンジ」とは異なるポピュリズムによる「革命」をおこすことになるでしょう。外交・防衛政策分野ではネオコン系や人道的介入主義派は一掃されるでしょう。

 

 経済政策は保護主義的になるでしょうし、ポピュリズムですから弱者保護(福祉)も行うでしょう。そうなると、これまでの「共和党=金持ちのための党、民主党=貧乏人のための党」という単純な図式は崩れていくでしょう。私が忘れられないのは、第3回目の討論会で、司会者が「両候補の政策を実行すると、国債のGDP比で言うと、クリントン候補が●●%、トランプ候補が▲▲%になりますね」と言ったことです。この時、ヒラリーよりもトランプの方の数字が大きかったのです。これは、トランプが言葉は悪いですが、ばらまき政策をやることになるということです。この点で、共和党伝統の「国債を減らして、均衡財政を行う」という考えとは全く異なりますから、共和党がトランプという指導者の出現で、変質していく可能性があります。

 

 今回の選挙では私は予測を外すという恥ずかしい失態をしました。人間は失敗をすることで学ぶことができるということもありますが、やはり失敗はできればしない方が良いものです。このことを糧にして精進してまいりたいと思います。

 


(終わり)









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 古村治彦です。

 

 アメリカの歴史学者で、トランプ勝利をずっと唱えている人がいます。ワシントンにあるアメリカン大学の歴史学教授アラン・リクトマンです。リクトマンは予測のために、13カ条からなるポイントフォームを作り、そのうちの6個以上で不利となれば、現職大統領(現職大統領が属している政党の候補者)が負ける(相手が勝つ)と予測しています。

 

 リクトマンによると、「オバマ大統領が現職大統領として選挙に出られないこと、2014年の中間選挙では共和党が勝利したこと、オバマ政権2期目で外交政策と軍事政策で大きな成功がなかったこと、ヒラリー・クリントンにカリスマと国家的ヒーローの資格が欠如していること」で民主党のヒラリー・クリントンに不利な状況にあり、更に、民主党に対する不満がリバータリアン党への支持に向かっていると述べています。

 

 このような状況下、ヒラリーの側近フーマ・アベディンと別居中の夫アンソニー・ウェイナー元連邦下院議員のパソコンから機密情報を含む可能性があるEメールが押収されました。ウェイナーは未成年にわいせつな写真をスマートフォンから送り、その中に幼児である息子が写りこんでいたということで、捜査を受けています。その捜査の過程で、彼のパソコンが押収され、そこに妻アベディンのEメールもあったということのようです。

 

 これによってFBIが再捜査ということになり、ヒラリーにとっては大きなダメージとなります。これによってリクトマン教授の予測も変更されることなく、「トランプ勝利」で固定化されるのではないかと思います。

  

(貼り付けはじめ)

 

30年に渡って選挙を正確に予測した大学教授:トランプが勝つだろう(Prof correct on 30 years of elections: Trump will win

 

マーク・ヘンシュ筆

2016年10月28日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/303239-prof-correct-on-30-years-of-elections-trump-will-win

 

1984年の大統領選挙から30年に渡って、アメリカ大統領選挙の結果を正確に予測してきた大学教授がいる。この大学教授は、今年の選挙はドナルド・トランプが勝利するという予測から撤退していない。

 

アメリカン大学の歴史学教授アラン・J・リクトマンは金曜日の『ワシントン・ポスト』紙に掲載されたインタヴューの中で、「接戦にはなるであろうが、いくつかの重要な要素はまだトランプ勝利を示している」と語っている。

 

リクトマンはワシントン・ポスト紙に対して、現在ホワイトハウスを押さえている民主党について13カ条の文言について「真偽」を決めるシステムで結果を予測していると述べた。

 

リクトマンは、この13カ条の内6カ条以上が偽になった場合、現職の方の政党が選挙に負けることになると語った。

 

リクトマンは2016年の選挙について、「早い段階では私が考える要素は民主党にとって決定的ものではなかったのですが、選挙が近づくにつれて6番目の要素が民主党に偽となり、不利になったのです」と語った。

 

リクトマンは、この決定的な要素とは、第三党の候補者の強さであると述べている。リバータリアン党のゲーリー・ジョンソンは、現在の世論調査の結果を基にすると、5%以上の得票率を見込める。

 

リクトマンは、「この数字は現在ホワイトハウスを押さえている民主党に対する人々の不満を明確に表しているものです。予測はとても難しいのですが、現職大統領が所属する民主党に不利となる6つの重要な要素があるのです」と語った。

 

リクトマンのシステムで、民主党に不利になっている要素は他に次のようなものがある。オバマ大統領が現職大統領として選挙に出られないこと、2014年の中間選挙では共和党が勝利したこと、オバマ政権2期目で外交政策と軍事政策で大きな成功がなかったこと、ヒラリー・クリントンにカリスマと国家的ヒーローの資格が欠如していること、である。

 

リクトマンは、先月の別のインタヴューでもトランプ勝利を予言していた。そして、彼は最近になっても彼の作ったシステムによって、トランプ勝利と予測している。しかし、この予測も2つの要素によって変更されることもある。

 

リクトマンはリバータリアンのジョンソンの世論調査の数字について、「ジョンソンの得票率が5%以下となるようなら、予測を変更することになるでしょう」と述べた。ジョンソンの得票率が低下することは、民主党にとって不利となる要素が除去されることになるのだ。

 

「2つ目の要素はドナルド・トランプです。私はトランプほどの歴史上他に類を見ない、あしき前例となり得る、危険な候補者を見たことがありません。彼は歴史のパターンを変化させる可能性があります。彼は1860年のエイブラム・リンカーン大統領当選以来の選挙のパターンを変えてしまうかもしれません」とリクトマンは述べた。

 

投開票日まで2週間を切った段階で、全国規模と各州での最近の世論調査の結果では、ヒラリーとトランプとの間の差は縮まっている。それでもヒラリーはほとんどの激戦州でリードを保っている。

 

(貼り付け終わり)




(終わり)







 
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