古村治彦です。

 

 2020年の米大統領選挙民主党予備選挙にバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が立候補を表明しました。2016年に続いての挑戦となります。サンダース議員は民主党に所属してはいませんが、連邦上院では民主党の会派に所属しています。

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 サンダース議員についてはこれまでも、2020年の大統領選挙の有力候補として名前が挙がっていましたが、多くの人たちが出馬表明する中で、態度を明らかにしていませんでした。

 

 今年に入って、『ニューヨーク・タイムズ』紙などで、2016年の米大統領選挙民主党予備選挙のサンダース陣営の幹部たちが女性スタッフに対してセクシャルハラスメントをしていたという告発が報道されました。サンダースはこうした報道に対して、「選挙期間中、私は忙しかった」というような発言をして、批判を浴び、後には陣営で起きたセクシャルハラスメントについて謝罪し、このようなことを許さないという決意を表明しました。

 

 2016年の米大統領選挙民主党予備選挙では、ヒラリー・クリントン元国務長官が大本命で、民主党の候補者となり、女性初の大統領になると言われていました。しかし、サンダースが善戦、若い人たちを中心に支持が広がり、それが民主党内部の過激派・進歩主義派対党主流派・エスタブリッシュメント派の激しい戦いとなり、民主党は分裂しました。この激しい戦いで傷を負ったヒラリーは本選挙でドナルド・トランプに敗れました。民主党が地盤としていた五大湖周辺州での敗北が原因でした。

 

 これ以降、民主党は左に寄ったということが言われています。その象徴が、2018年の中間選挙で彗星のごとく登場した、アレクサンドリア・オカシオ=コルテスです。アレクサンドリアは、サンダースの選挙を手伝ったことで政治の世界に入り、無名のところから一気に連邦下院議員へと駆け上がりました。

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 私は、アメリカが下降線をたどり、人々が不安を覚える中で、現状に対する不満が大きくなり、それがポピュリズムとなったと考えています。アメリカ社会がポピュリズムを出現させましたが、その形は2つあり、右派ポピュリズムと左派ポピュリズムです。右派ポピュリズムで出現したのがトランプ大統領で、左派ポピュリズムで出現したのがバーニー・サンダースであり、アレクサンドリア・オカシオ=コルテスです。

 

 トランプ大統領は、幾分皮肉を交えながら、サンダース出馬に対して、「うまくいくことを祈る」「貿易に対して厳しい姿勢を取っていることは同じだ」と述べました。また、今年の一般教書演説でトランプ大統領は社会主義に言及しましたが、これはサンダースや進歩主義派がアメリカ国内で影響力を増していることを意識してのことでしょう。

 

 サンダースは過激なリベラル派、極左と言われていますが、その代表的な主張は国民皆保険や大学教育の無償化などです。彼が極左ということになれば、世界の先進国の多くは極左が国を動かしているということになります。アメリカでは政府による再配分ということが敵視され、タブー視されていますが、これらも変化していくことでしょう。

 

 民主党の予備選挙ですが、後はジョー・バイデン前副大統領とビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)が立候補するかどうかで、この2人の態度が明らかになれば、候補者はだいたい出そろったということになるでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

バーニー・サンダースが2020年の米大統領選挙で再び出馬すると発言(Bernie Sanders says he will run for president again in 2020

 

マックス・グリーンウッド筆

2019年2月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/426684-bernie-sanders-says-he-will-run-for-president-again-in-2020  

 

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が2020年の米大統領選挙に出馬すると表明した。2016年の米大統領選挙民主党予備選挙に出馬したが、党の指名を獲得することに失敗したサンダースが再び出馬するのかどうかここ数か月、人々の関心を集めていた。

 

サンダースは火曜日午前に支持者たちに宛ててEメールのメッセージを送ることを計画しており、その中で「3年前の2016年の大統領選挙期間中、私たちは進歩主義的な政策を訴えた。その際、私たちは、あなたたちの考えは“急進的”かつ“過激”だと言われたものだ」と書いている、と『ニューヨーク・タイムズ』紙は報じた。

 

サンダースは続けて「そして、あれから3年の月日が経った。数百万のアメリカ国民が立ち上がり反撃した結果、私たちが選挙期間中に掲げた進歩主義的な政策とそれ以降の政策は全て、アメリカ国民の課は数の支持を受けている」とEメールの中で書いているとも報じられている。

 

民主社会主義者を自認するサンダースは進歩主義運動の指導者の一人と考えられている。サンダースは、もっとも有名で最もリベラルな候補者として民主党の予備選挙に出馬する。

 

サンダースは多くの人々が出馬している大統領選挙民主党予備選挙に参加することになる。既に、連邦上院議員の同僚であるカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、キリステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が出馬表明している。

 

サンダースは77歳で民主党予備選挙に出馬し、民主党の大統領選挙候補者指名を獲得することを望んでいる。民主党はここ数年、最低賃金と単一医療制度のような問題で、より左派の方に進んでいる。これら2つの問題についてサンダースは約30年間、連邦議会で主張し、取り組んできたものだ。

 

2020年の米大統領選挙はサンダースにとってホワイトハウスを目指す2回目の挑戦となる。現在、民主党員や支持者たちの間でトランプ大統領は大変に不人気である。

 

サンダースは2016年の米大統領選挙民主党予備選挙に、ヒラリー・クリントン元国務長官の対抗馬として出馬した。当時、ヒラリー・クリントンは民主党の大統領選挙候補者指名を容易に獲得できると見られていた。

 

ヒラリーは全国的な知名度と人気を誇り、資金を集める能力にも長けていた。それにもかかわらず、サンダースは、ニューハンプシャー州、ウィスコンシン州、ミシガン州、インディアナ州といった数州の予備選挙でヒラリーを相手に接戦を制した。これは、多くの政治の専門家たちの予想を裏切るものであった。

 

進歩主義派として有名な連邦上院議員であるサンダースは、民主党内の進歩主義派とエスタブリッシュメント派との間で激しい戦いが続いた後、最終的にヒラリーの候補者指名を認めた。

 

2016年以降、サンダースの支持勢力は民主党内で大きな影響力を持つようになった。

 

サンダースは「メディケア・フォ・オール」医療制度を主張してきた。これは民主党内部の多くの人々から過激な提案だと見られてきたが、今ではギリブランド、ハリス、ウォーレンといった民主党の多くの政治家たちから支持されるようになっている。

 

サンダースは2018年の中間選挙でアメリカ中を飛び回り、サンダースの掲げる進歩主義に共鳴している候補者たちを応援して回った。

 

サンダースはここ数年ですっかり進歩主義派のスーパースターとなった。しかし、人種、年齢、アイデンティティをめぐる民主党内部の議論で、サンダースは攻撃を受けることになるだろう。

 

今回の民主党予備選挙は民主党史上、最も多くの候補者が出て、候補者たちが最も多様性に富んでいるものとなりつつある。民主党員の中には、サンダースが有権者たちの民族、性別、人種の多様性を反映した存在ではないと主張している人々もいる。候補者たちにこれらの多様性があったおかげで、2018年の中間選挙で民主党は連邦下院議員選挙で勝利を収めることが出来た。

 

サンダースが2020年の米大統領選挙で民主党の候補者指名を獲得出来たら、民主、共和両党の歴史の中で最高齢の大統領選挙候補者ということになる。2020年の民主党の全国大会の時点で、サンダースは78歳になっている。

 

更に言えば、ここ数週間、サンダースは、2016年の大統領選挙において、サンダース選対の幹部たちからセクシャルハラスメントを受けたという元女性スタッフたちの告発に対して適切に対応しなかったという批判を受けている。

 

ヴァ-モント週選出の連邦上院議員サンダースは謝罪し、誤った行動に対して厳しく対処すると約束した。

 

サンダースの支持者たちは、「ウォール街の影響力を削ぎ、アメリカの労働者階級を助ける」という彼の政治的なブランドによって、2016年の大統領選挙でトランプ大統領が勝利したウィスコンシン州、ペンシルヴァニア州、オハイオ州といった州で勝利を収めることが出来ると主張している。

 

支持者たちはまた、サンダースの進歩主義派のブランドは本物であり、医療制度や高等教育の無償化といった問題に関して、同僚の連邦議員たちの先を進んでいるとも主張している。ここ数年、このような進歩主義的なポジションを取る民主党の議員の数は増加している。

 

昨年に行われた各種世論調査の結果で、サンダースは民主党で名前が挙がっていた人物たちの中で人気はトップレヴェルであった。

 

2018年12月にアイオワ州の党員集会参加予定者たちに対して、『デモイン・レジスター』紙・CNN・メディアコムが共同して世論調査を行った。この時は、サンダースは、ジョー・バイデン前副大統領に続いて第2位となった。バイデンは2020年の大統領選挙に出馬表明をしていない。

 

リベラル派のブログ「デイリー・コス」が行った最新の世論調査の結果では、サンダースは、カマラ・ハリス、ウォーレン、バイデンに続く第4位という結果であった。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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